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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
H05B6/12 313
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021104818
(22)【出願日】2021-06-24
(65)【公開番号】P2023003628
(43)【公開日】2023-01-17
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】岡本 直美
(72)【発明者】
【氏名】薮野 恭平
(72)【発明者】
【氏名】岸本 秀三
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-65915(JP,A)
【文献】特開2019-24020(JP,A)
【文献】特開2003-17236(JP,A)
【文献】特開2004-221004(JP,A)
【文献】特開2020-202138(JP,A)
【文献】特開2004-227816(JP,A)
【文献】特開2014-229425(JP,A)
【文献】特開2013-137917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートが上方に載置される本体ユニットと、を備え、
前記本体ユニットは、
前記トッププレートの下方に配置された加熱コイルと、
前記加熱コイルを制御する演算回路と、
前記演算回路の指示を受け付ける入力装置と、を有し、
前記入力装置は、
前記加熱コイルによる加熱方法を示すシーケンスが定義された自動調理コースの設定を受け付け、
第1の鍋種および第2の鍋種を含む鍋種の選択を受け付けるように構成され、
前記シーケンスは、前記第1の鍋種に対応づけられた第1シーケンスおよび前記第2の鍋種に対応づけられた第2シーケンスを含み、
前記演算回路は、前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付けた場合に、
前回選択された前記鍋種を参照して、前記第1シーケンスまたは前記第2シーケンスを実行するように構成された、
誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記自動調理コースは、炊飯コースを有し、
前記入力装置は、前記炊飯コースが選択された場合、さらに合数の選択を受け付け、
前記シーケンスは、各鍋種および各合数に基づいて設定され、
前記演算回路は、前回選択された前記鍋種および前回選択された前記合数を参照して、対応する前記シーケンスを実行するように構成された、
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記自動調理コースは、炊飯コースを有し、
前記入力装置は、前記炊飯コースが選択された場合、さらに合数の選択を受け付け、
前記シーケンスは、各鍋種および各合数により定められる組合せ情報に基づいて設定され、
前記演算回路は、前回選択された前記鍋種および前回選択された前記合数より決定される前記組合せ情報を参照して、対応する前記シーケンスを実行するように構成された、
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記本体ユニットは、
前記入力装置により一つずつ選択された前記鍋種および前記合数の組み合わせを表示するディスプレイと、
前記組み合わせの表示を順送りまたは順戻しする入力ボタンと、
をさらに備える、請求項2または請求項3に記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記第1の鍋種は、鋳物ホーロー鍋を含み、
前記第2の鍋種は、ステンレス鍋を含む、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記演算回路は、前記第1の鍋種および前記第2の鍋種の選択回数を計測する計測手段と通信可能に構成され、
前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付けた場合、前記演算回路は、前記計測手段での計測結果より、前記第1の鍋種および前記第2の鍋種で選択回数が多い鍋種を参照する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項7】
前記本体ユニットは、選択された前記第1の鍋種および前記第2の鍋種を記憶し、前記演算回路と通信可能に構成された記憶装置を備え、前記演算回路は、前記記憶装置から前回選択された前記第1の鍋種および前記第2の鍋種を参照する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項8】
前記本体ユニットは、通信回路を備え、前記演算回路は、前記通信回路を介して、選択された前記第1の鍋種および前記第2の鍋種を記憶する記憶装置と通信可能に構成され、前記演算回路は、前記記憶装置から前回選択された前記第1の鍋種および前記第2の鍋種を参照する、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項9】
前記記憶装置は所望の鍋種の設定情報を記憶でき、
前記記憶装置が前記所望の鍋種の設定情報を記憶している場合、前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付けると、前記演算回路は、前記記憶装置に記憶された前記所望の鍋種の設定情報を参照する、
請求項7または請求項8に記載の誘導加熱調理器。
【請求項10】
前記記憶装置は所望の鍋種の設定情報を記憶でき、
前記入力装置は、前記所望の鍋種の選択を受け付けるように構成され、
前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付け、さらに前記所望の鍋種の選択を受け付けた場合、前記演算回路は、前記記憶装置に記憶された前記所望の鍋種の設定を参照する、
請求項7または請求項8に記載の誘導加熱調理器。
【請求項11】
卓上用である、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の自動調理コースを備える誘導加熱調理器が知られている。例えば、特許文献1には、自動調理コースの使用時に、誘導加熱調理器に載置されている鍋の種類、すなわち鍋種、を判別し、当該判別結果によって加熱するシーケンスを変動させる制御を行う誘導加熱調理器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-65915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている誘導加熱調理器のように鍋種を判別する手段を誘導加熱調理器が備えることができない場合、鍋種をユーザが設定する必要がある。また、鍋種を判別する手段を備えていたとしても、鍋種の判定が難しい場合、鍋種をユーザが設定する必要がある。このように鍋種を設定して自動調理コースを実行させる場合、ユーザが毎回設定を行うと、毎回複数の設定を行う必要があるため操作数が増加し、煩雑となる。また、設定を誤ってしまうと、所望の調理性能が得られない可能性がある。
【0005】
本開示は、前回の調理時に入力した設定を参照することで、操作回数を減少させ、利便性を向上させた誘導加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の誘導加熱調理器は、鍋が載置されるトッププレートと、前記トッププレートが上方に載置される本体ユニットと、を備え、前記本体ユニットは、前記トッププレートの下方に配置された加熱コイルと、前記加熱コイルを制御する演算回路と、前記演算回路の指示を受け付ける入力装置と、を有し、前記入力装置は、前記加熱コイルによる加熱方法を示すシーケンスが定義された自動調理コースの設定を受け付け、第1の鍋種および第2の鍋種を含む鍋種の選択を受け付けるように構成され、前記シーケンスは、前記第1の鍋種に対応づけられた第1シーケンスおよび前記第2の鍋種に対応づけられた第2シーケンスを含み、前記演算回路は、前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付けた場合に、前回選択された前記鍋種を参照して、前記第1シーケンスまたは前記第2シーケンスを実行するように構成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、前回の調理時に入力した設定を参照することで、操作回数を減少させ、利便性を向上させた誘導加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る誘導加熱調理器の概略的な斜視図
図2】一実施形態に係る誘導加熱調理器の概略的な構成を示す図
図3】一実施形態に係る誘導加熱調理器の操作パネルの模式図
図4A】鋳物ホーロー鍋に対する加熱のシーケンスの一例を示すグラフ
図4B】ステンレス鍋に対する加熱のシーケンスの一例を示すグラフ
図5】一実施形態に係る誘導加熱調理器のディスプレイに表示される鍋種および合数の表示例を示す図
図6】一実施形態に係る誘導加熱調理器のディスプレイに表示される鍋種および合数の表示例を示す図
図7】一実施形態に係る誘導加熱調理器のディスプレイに表示される鍋種および合数の表示例を示す図
図8】一実施形態に係る誘導加熱調理器において炊飯コースで使用される際の処理の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る実施形態を説明する。ただし、以下に説明する構成は、本開示の一例に過ぎず、本開示は下記の実施形態に限定されることはなく、これら実施形態以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0010】
(実施形態)
図1は、本開示の実施形態に係る誘導加熱調理器1の概略的な斜視図である。図2は、本開示の実施形態に係る誘導加熱調理器1の概略的な構成を示す図である。本実施形態に係る誘導加熱調理器1は、卓上に配置されて使用され得る程度の、すなわち卓上用としてユーザが持ち運び可能な大きさおよび/または重量を有している。図2において、誘導加熱調理器1には、容器(鍋)2が載置されている。容器2には、調理対象となる被調理物が収容されている。後述する炊飯コースで容器2が加熱される場合、被調理物は、米および水を含むが、これらに限定されない。以下、基本的に図1および図2を参照しつつ、本開示の実施形態に係る誘導加熱調理器1の構成を説明する。本開示に係る誘導加熱調理器1によれば、前回の調理時に入力した設定を参照することで、調理で使用されると推定される鍋種等を自動的にディスプレイに表示させることができる。それにより、誘導加熱調理器1は、ユーザによる操作回数を減少させ、ユーザによる使用時の利便性を向上させることができる。
【0011】
図1および図2に示すように、誘導加熱調理器1は、トッププレート3および本体ユニット4を備える。本体ユニット4は、加熱コイル10と、サーミスタ11と、操作パネル12と、演算回路30と、記憶装置31とを備える。
【0012】
トッププレート3は、その上部に容器2を載置することができる載置部である。トッププレート3は、本体ユニット4の上面に配置される。トッププレート3は、加熱コイル10によって生成される磁場が透過することができる、例えばガラスなどの材料で構成されている。
【0013】
本体ユニット4は、上記するように、内部に加熱コイル10、サーミスタ11および演算回路30等を有する。また、本体ユニット4は、上面にトッププレート3を、前面に操作パネル12を有する。
【0014】
加熱コイル10は、容器2を加熱する加熱部であり、トッププレート3の下方に配置される。加熱コイル10は、高周波電流が供給されると誘導磁界を発生させる。加熱コイル10は、当該磁界によってトッププレート3上に配置された容器2の底面等を所定の加熱量(出力)で加熱し、それによって容器2内に収容された被調理物を加熱することができる。
【0015】
サーミスタ11は、トッププレート3の下面に配置される温度検出部であり、トッププレート3を介して容器2の底面の温度を検出することができる。温度検出部は、サーミスタ11に限定されず、熱電対などが使用されてもよいし、温度を検出できる非接触型のセンサが使用されてもよい。サーミスタ11は、検出した温度を演算回路30へと出力する。
【0016】
操作パネル12は、誘導加熱調理器1を動作させるための入出力装置である。操作パネル12は、本体ユニット4の前方に設けられている。操作パネル12は、出力装置としてディスプレイ13および入力装置として入力ボタン14を備える。ディスプレイ13は、例えば、誘導加熱調理器1の電源のオン、オフ、加熱コイル10の加熱量など、ユーザが誘導加熱調理器1を使用する上で必要な情報を表示する表示部である。入力ボタン14は、ユーザが誘導加熱調理器1を操作するための操作部である。入力ボタン14は、物理的なボタンであってもよいし、タッチパネルであってもよい。誘導加熱調理器1のユーザは、ディスプレイ13に表示された情報を確認しつつ、入力ボタン14を操作することで、誘導加熱調理器1を使用することができる。入力ボタン14を操作したことによる入力情報は、演算回路30へと出力され、演算回路30によって処理される。誘導加熱調理器1のユーザは、入力ボタン14を操作することで、例えば、加熱コイル10における加熱量を調整することができる。また、ユーザは、入力ボタン14を操作することで、所定の調理コースを選択し、当該コースに応じて予め定められたシーケンスで自動的に加熱量を制御して容器2を加熱することができる。シーケンスは、例えば、加熱コイル10による加熱量と加熱時間との関係、換言すると、加熱コイル10による加熱量の時間変化を示す。
【0017】
図3は、操作パネル12の模式図である。図3に示すように、操作パネル12は、入力ボタン14として、スタートボタン15、コース選択ボタン16、調節ボタン17、ワンタッチボタン18、タイマボタン19を備える。調節ボタン17は、第1調節ボタン17Aおよび第2調節ボタン17Bを含む。ワンタッチボタン18は、強火ボタン18Aおよびとろ火ボタン18Bを含む。ユーザはスタートボタン15を操作することで、誘導加熱調理器1によって加熱を開始できる。スタートボタン15が操作されると、演算回路30は、加熱を開始または停止するように加熱コイル10に指示する。ユーザはコース選択ボタン16を操作することで、所定の自動調理コースを選択し、その後、スタートボタン15を操作することで、当該コースで誘導加熱調理器1に載置された容器2を加熱することができる。コース選択ボタン16が操作されると、演算回路30は、選択された自動調理コースに基づいて、記憶装置31に格納されている自動調理コースによる加熱のシーケンスを読み出し、当該シーケンスに基づいて加熱するように加熱コイル10に指示する。自動調理コースには、例えば、煮込み、炊飯、揚げ物などが設定され得る。
【0018】
ユーザは、調節ボタン17を操作することで、例えば、加熱の出力を調節することができる。例えば、ユーザは、第1調節ボタン17Aを操作することで、出力を高くし、第2調節ボタン17Bを操作することで、出力を低くすることができる。また、調節ボタン17は、任意の設定を選択する際の操作のために使用され得る。例えば、ユーザは、任意の設定を選択する際、第1調節ボタン17Aを操作することで、次の設定を表示、または数字を1だけインクリメントすることができる。また、ユーザは、第2調節ボタン17Bを操作することで、前の設定を表示、または数字を1だけデクリメントすることができる。第1調節ボタン17Aまたは第2調節ボタン17Bが操作されると、演算回路30は、操作されたボタンに応じてディスプレイ13の表示内容を変更する。
【0019】
ユーザは、ワンタッチボタン18を操作することで、所定の出力で加熱コイルにより加熱することができる。所定の出力として、例えば、とろ火ボタン18Bが操作されると、加熱コイル10は最小の加熱量に調整され、強火ボタン18Aが操作されると、加熱コイル10は最大の加熱量に調整され得る。ワンタッチボタン18が操作されると、演算回路30は、当該ボタンにあらかじめ関連付けられている加熱量で加熱するように加熱コイル10に指示する。ユーザは、タイマボタン19を操作することで、ユーザが任意に設定できる所定時間後に加熱を停止するように設定することができる。タイマボタン19が操作されると、演算回路30は、所定時間後に加熱コイル10による加熱を停止する。
【0020】
入力ボタン14が操作されると、演算回路30は、当該操作によって選択された制御内容に基づいて、ディスプレイ13に情報を表示させる。それによって、ユーザは、自身が操作し、誘導加熱調理器1に指示した内容を把握することができる。
【0021】
演算回路30は、誘導加熱調理器1を制御する制御部である。演算回路30は、プログラムを実行することで所定の機能を実現するCPUまたはMPUのような汎用プロセッサを含む。演算回路30は、例えば記憶装置31に格納された演算プログラム等を呼び出して実行することにより、加熱コイル10による加熱処理、入力ボタン14による選択処理、選択処理によって選択された情報をディスプレイ13に表示する表示処理など、演算回路30における各種の処理を実現する。演算回路30は、ハードウェアとソフトウェアとが協働して所定の機能を実現する態様に限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、演算回路30は、CPU、MPU以外にも、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現され得る。このような演算回路30は、例えば、半導体集積回路である信号処理回路で構成され得る。後述する計測手段のハードウェア構成も、演算回路30と同様である。
【0022】
演算回路30は、例えば、加熱コイル10に流れる、例えば数十kHz程度の周波数を有する交流電流である高周波電流の大きさ、当該交流電流が流れる時間等を制御することができる。それによって、演算回路30は、加熱コイル10が容器2および容器2内に収容されている被調理物に与える加熱量と加熱時間の少なくとも一方を制御できる。演算回路30は、入力ボタン14によって入力された情報に基づいて、加熱コイル10に加熱処理を実行させる。さらに、サーミスタ11からの入力情報に基づいて、加熱コイル10における加熱量と加熱時間を制御する。また、演算回路30は、記憶装置31から所定のシーケンスを読み出し、当該シーケンスによって定められている加熱量と加熱時間で加熱コイル10による加熱を制御できる。演算回路30は、入力ボタン14によって入力された情報をディスプレイ13に表示してもよい。例えば、選択された調理コースまたは加熱コイル10の加熱量を表示してもよい。
【0023】
記憶装置31は、種々の情報を記憶できる記憶媒体である。記憶装置31は、例えば、DRAMやSRAM、フラッシュメモリ等のメモリ、HDD、SSD、その他の記憶デバイスまたはそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶装置31は、上述しているように、演算回路30が行う各種の処理を実現するためのプログラムを格納する。記憶装置31は、加熱処理を行う際の各調理コースにおけるシーケンスを記憶できる。また、記憶装置31は、入力ボタン14によってユーザが選択した情報を記憶することができる。当該情報は、例えば、炊飯コースが選択された際にユーザが入力した鍋種、合数を含む。記憶装置31は、鍋種と合数とに基づいて定められる特定の組合せ情報を格納してもよいし、鍋種および合数それぞれを格納してもよい。すなわち、例えば、後述するように鍋種と合数に関して「1-1」~「2-3」の6通りが選択され得る場合、それぞれ「A」~「F」と定めて格納してもよいし、鍋種として「1」~「2」および合数として「1」~「3」のそれぞれを格納してもよい。
【0024】
本実施形態に係る誘導加熱調理器1は、上記するように自動調理コースとして炊飯コースを有する。炊飯コースは、トッププレート3上に載置された容器2を所定のシーケンスで加熱して炊飯することができる調理モードである。本実施形態に係る炊飯コースでは、使用する鍋の種類および炊飯する量である合数が選択されると、演算回路30は、加熱コイル10によって加熱するシーケンスを決定する。この際、演算回路30は、例えば、上記するように、鍋種と合数とを組み合わせた組合せ情報に基づいて記憶装置31から対応するシーケンスを読み出してもよい。
【0025】
本実施形態に係る誘導加熱調理器1は、自動調理コースにおいて、使用する容器2の鍋種を選択することができる。当該鍋種は、鋳物である鋳物ホーロー鍋およびステンレス製のステンレス鍋を含む。鋳物ホーロー鍋とステンレス鍋はそれぞれ、比熱と質量に基づいて、所定の熱容量を有する。同程度の口径の鍋を比較すると、鋳物ホーロー鍋は、一般的にステンレス鍋より重く、そのためステンレス鍋より大きな熱容量を有する。したがって、鋳物ホーロー鍋を使用する場合、ステンレス鍋を使用する場合と比べて、鍋を加熱する際により大きな火力を必要する。また、熱容量が大きいと保温に優れるため、一旦温度が上昇すると、鋳物ホーロー鍋はステンレス鍋に比べて、当該温度を維持するために必要な火力が低いという特徴を有する。
【0026】
また、本実施形態に係る誘導加熱調理器1は、炊飯コースにおいて、炊飯する合数を選択することができる。選択できる合数は、例えば、1合~3合のいずれかを含む。より大きな合数で炊飯する場合、小さな合数で炊飯する場合に比べて、より大きな火力を必要とする。したがって、演算回路30が選択するシーケンスは、合数が大きいほど、より大きな加熱量で加熱コイル10を制御するように構成されている。
【0027】
このように、本実施形態に係る誘導加熱調理器1は、炊飯コースが選択されている場合、選択された鍋種によって、異なるシーケンスで容器2を加熱する。また、誘導加熱調理器1は、選択された合数によって、異なるシーケンスで容器2を加熱する。
【0028】
図4Aおよび図4Bはそれぞれ、異なる2種類の鍋種に適用されるシーケンスに基づく加熱量と加熱時間の関係を示すグラフである。図4Aおよび図4Bのいずれにおいても、縦軸が加熱量、横軸が時間を示す。図4Aは、鍋種が鋳物ホーロー鍋であり、合数が3合の場合のシーケンス(以下、適宜「第1シーケンス」という。)を示すグラフである。図4Bは、鍋種がステンレス鍋であり、合数が3合の場合のシーケンス(以下、適宜「第2シーケンス」という。)を示すグラフである。図4Aに示す第1シーケンスによる加熱および図4Bに示す第2シーケンスによる加熱は、鋳物ホーロー鍋またはステンレス鍋に収容されているそれぞれの被調理物の温度が同様の温度変化を示すように設定されている。以下、鋳物ホーロー鍋に収容されている被調理物の温度が鋳物ホーロー鍋の温度を示すと見なして、被調理物の温度を適宜「鋳物ホーロー鍋の温度」という。また、ステンレス鍋に収容されている被調理物の温度も同様に取り扱い、適宜「ステンレス鍋の温度」という。
【0029】
図4Aにおける時刻A~Bの期間は、鋳物ホーロー鍋の温度を常温から高温へと上昇させる加熱を行う第1期間である。図4Bにおける時刻A’~B’の期間は、ステンレス鍋の温度を常温から高温へと上昇させる加熱を行う第1期間である。上記しているように、鋳物ホーロー鍋の熱容量は、ステンレス鍋の熱容量よりも大きいため、加熱するために大きな火力が必要となる。そのため、図4Aおよび図4Bから明らかなように、鋳物ホーロー鍋に対するシーケンスは、ステンレス鍋に対するシーケンスに比べて、第1期間が長く設定されている。また、図4Aおよび図4Bから明らかなように、鋳物ホーロー鍋に対するシーケンスは、ステンレス鍋に対するシーケンスに比べて、第1期間の加熱量(つまり第1期間に消費される積算エネルギー)が大きく設定されている。
【0030】
図4Aにおける時刻B~Cの期間は、鋳物ホーロー鍋の温度を高温に保つように加熱を行う第2期間である。図4Bにおける時刻B’~C’の期間は、ステンレス鍋における第2期間を示す。上記しているように、鋳物ホーロー鍋は、ステンレス鍋より熱容量が大きいため、一旦温度が上昇すると、ステンレス鍋に比べて温度を容易に保つことができる。そのため、図4Aおよび図4Bから明らかなように、鋳物ホーロー鍋に対する第1シーケンスは、ステンレス鍋に対する第2シーケンスに比べて、第2期間はより早く終了している。このように、同一の合数の被調理物を炊飯する場合であっても、異なるシーケンスを用いて使用する鍋の種類によって加熱コイル10を制御する必要がある。
【0031】
したがって、誘導加熱調理器1のユーザは、使用する容器2の鍋種および炊飯する合数を入力ボタン14を通じて入力することで、適切に炊飯コースで調理をすることができる。本実施形態に係る誘導加熱調理器1は、炊飯コースを選択後、鍋種と合数とを同時に選択することができるように構成されている。図5図7は、鍋種と合数を同時に選択する際のディスプレイ13に表示される表示内容の一例である。本実施形態に係る誘導加熱調理器1の炊飯コースは、2種類の鍋種と、3種類の合数とを選択して調理できるように構成されている。2種類の鍋種は、鋳物ホーロー鍋(以下、適宜「第1の鍋種」という)およびステンレス鍋(以下、適宜「第2の鍋種」という)である。3種類の合数は、1合、2合および3合である。
【0032】
図5(a)は、誘導加熱調理器1の電源を入れ、コース選択ボタン16が一回操作されることで自動調理コースの一つである煮込みコースが選択された状態のディスプレイ13を示す。図5(b)は、図5(a)の状態に対して、さらにコース選択ボタン16が一回操作されることで自動調理コースの一つである炊飯コースが選択された状態のディスプレイ13を示す。図5(b)に示すディスプレイ13に表示されている「1-1」は、当該誘導加熱調理器1が前回炊飯コースで加熱した際に選択された鍋種および合数が表示されている。なお、前回に選択された鍋種および合数が存在しない場合、ディスプレイ13には、初期設定として所定の鍋種および合数(例えば、[1-1])が表示される。
【0033】
図6は、誘導加熱調理器1の炊飯コースにおいて選択され得る鍋種と合数に関して、調節ボタン17が操作されることによるディスプレイ13の表示の切り換えの一例を示す。図6(a)は、鍋種として第1の鍋種(すなわち、鋳物ホーロー鍋)が選択され、合数として1合が選択された状態のディスプレイ13を示し、「1-1」が表示されている。図6(b)は、鍋種として第1の鍋種が選択され、合数として2合が選択された状態のディスプレイ13を示し、「1-2」が表示されている。図6(c)は、鍋種として第1の鍋種が選択され、合数として3合が選択された状態のディスプレイ13を示し、「1-3」が表示されている。図6(d)は、鍋種として第2の鍋種(すなわち、ステンレス鍋)が選択され、合数として1合が選択された状態のディスプレイ13を示し、「2-1」が表示されている。図6(e)は、鍋種として第2の鍋種が選択され、合数として2合が選択された状態のディスプレイ13を示し、「2-2」が表示されている。図6(f)は、鍋種として第2の鍋種が選択され、合数として3合が選択された状態のディスプレイ13を示し、「2-3」が表示されている。上記のように「1-1」~「2-3」のいずれかがディスプレイ13に表示されている状態で、スタートボタン15が操作されると、演算回路30は、ディスプレイ13に表示している鍋種および合数をユーザが選択したと判定して、当該鍋種および合数に対応するシーケンスを記憶装置31から読み出し、当該シーケンスで加熱コイル10による加熱の制御を開始する。
【0034】
例えば、誘導加熱調理器1が起動され、炊飯コースが選択され、ディスプレイ13が[1-1」を表示した場合、第1調節ボタン17Aが操作されると演算回路30は図6(b)に示すようにディスプレイ13に「1-2」を表示させる。さらに第1調節ボタン17Aが操作されると、演算回路30は、ディスプレイ13に図6(c)に示す鍋種および合数を表示させる。このように、演算回路30は、第1調節ボタン17Aが操作されると、ディスプレイに表示する鍋種および合数を「1-1」、「1-2」、「1-3」、「2-1」、「2-2」、「2-3」、「1-1」のように次の組み合わせへと順に送ることができる。それにより演算回路30は、ディスプレイ13に表示する鍋種および合数を順送りして切り換えることができる。同様に、演算回路30は、第2調節ボタン17Bが操作されると、ディスプレイに表示する鍋種および合数を「1-1」、「2-3」、「2-2」、「2-1」、「1-3」、「1-2」、「1-1」のように次の組み合わせへと順に戻すことができる。すなわち、演算回路30は、第1調節ボタン17Aの場合とは反対側に次の組み合わせへと送り、ディスプレイ13の表示を順戻しして切り替えることができる。
【0035】
図7は、図6に示された状態から、スタートボタン15が操作されることで、表示されていた鍋種および合数に対応したシーケンスで加熱制御を開始した状態のディスプレイ13を示す。例えば、スタートボタンが操作される際、図6(b)に示すようにディスプレイ13に「1-2」が表示されている場合、演算回路30は、ユーザが炊飯コースで第1の鍋種および2合での調理を選択したと判断する。そして、演算回路30は、第1の鍋種および2合に対応したシーケンスを記憶装置31から取得し、当該シーケンスで加熱コイルを制御する。ディスプレイ13に表示されている「0:40」は、約40分後に加熱コイルを制御するシーケンスが終了することを示す。また、演算回路30は、第1の鍋種および2合という設定を、前回選択された鍋種および合数として、記憶装置31に記憶する。これにより、演算回路30は、誘導加熱調理器1が次回に炊飯コースで利用される際、炊飯コース選択時に最初に表示される鍋種および合数を設定することができる。
【0036】
このように構成することで、ユーザが誘導加熱調理器1で炊飯コースを利用する際、鍋種および合数の選択のためにユーザによって入力ボタン14が操作される回数が、鍋種と合数とをそれぞれ選択する場合に比べて低減される。したがって、ユーザはより容易に誘導加熱調理器1で炊飯コースを利用して調理することができる。
【0037】
本実施形態に係る誘導加熱調理器1は、上記するように、炊飯コースで選択された鍋種および合数の選択情報を記憶することができる。当該情報は、例えば、記憶装置31に記憶され得る。演算回路30は、炊飯コースが選択されると、当該情報を参照して、ディスプレイ13に表示する鍋種および合数を決定するように構成され得る。
【0038】
演算回路30は、例えば、最新の選択情報(すなわち最後に選択された鍋種および合数)を記憶装置31から読み出して、当該選択情報をディスプレイ13に表示させることができる。また、演算回路30は、記憶装置31に格納されている選択情報のうち、選択された回数が一番多い選択情報を読み出し、当該選択情報をディスプレイ13に表示させてもよい。例えば、本体ユニット4が、選択回数を計測できる計測手段をさらに備え、演算回路30は当該計測手段から当該選択回数に関する情報を取得することで、選択された回数が一番多い選択情報を取得してもよい。
【0039】
また、演算回路30は、上記の選択情報とは異なる、ユーザによって設定される所望の設定情報を読み出し、当該設定をディスプレイ13に表示させるように構成されてもよい。所望の設定情報は、ユーザによってあらかじめ設定される鍋種および合数であり、記憶装置31に格納されてもよい。例えば、演算回路30は、記憶装置31に所望の設定情報が格納されていると、選択情報ではなく、格納されている所望の設定情報を読み出し、ディスプレイ13に表示してもよい。また、演算回路30は、所望の設定情報が記憶装置31に格納されていたとしても、まず上記の選択情報を記憶装置31から読み出してディスプレイ13に表示してもよい。この場合、例えば、演算回路30は、ユーザが所定のボタンを操作すると、所望の設定情報を記憶装置31から読み出してディスプレイ13に表示するように構成され得る。所定のボタンは、例えば操作パネル12に入力ボタン14の一つとして設けられ得る。
【0040】
図8は、本実施形態に係る誘導加熱調理器1の演算回路30によって行われる処理の一例を示すフローチャートである。まず、演算回路30は、炊飯コースが選択されると(S10)、前回選択された選択情報(すなわち選択された鍋種および合数)が記憶装置31に存在するか確認する(S20)。前回選択された選択情報がある場合(S20:Yes)、演算回路30は、当該選択情報をディスプレイ13に表示する(S30)。前回選択された選択情報がない場合(S20:No)、演算回路30は、あらかじめ設定されている鍋種および合数をディスプレイ13に表示する(S40)。演算回路30は、選択情報が確定されると(S50:YES)、選択された選択情報を記憶装置31に格納する(S60)。演算回路30は、例えば、スタートボタン15が操作されると、その時点でディスプレイ13に表示されている鍋種および合数が選択情報として選択されたと判断して、選択情報が確定されたと判定してもよい。演算回路30は、選択情報が確定されておらず(S50:NO)、調節ボタン17が操作された場合、ディスプレイ13に表示させている鍋種および合数の組み合わせを、次の組み合わせまたは前の組み合わせに切り換える(S70)。そして、演算回路30は、再度、選択情報が確定されたか判定する(S50)。また、演算回路30は、選択情報が確定されると、当該鍋種および合数に対応するシーケンスを記憶装置31から読み出し、加熱コイル10を当該シーケンスで制御する(S80)。本実施形態に係る誘導加熱調理器1は、このようにして、炊飯モードで所定のシーケンスで容器2を加熱する。
【0041】
上記した実施形態では、スタートボタン15が操作された場合のみ、演算回路30は、選択された鍋種および合数を選択情報として記憶装置31に格納したがこれに限定されない。例えば、演算回路30は、調節ボタン17が操作される毎に、ディスプレイ13に表示された鍋種および合数を選択情報として、すでに記憶装置31に格納されている最新の選択情報を更新するように構成されてもよい。
【0042】
上記した実施形態では、演算回路30は、ユーザによって選択された鍋種および合数に基づいて加熱のシーケンスを決定し、加熱コイル10を制御して容器2を加熱するように構成されているがこれに限定されない。例えば、あらかじめ定められた合数で調理するように設定することで、演算回路30は、鍋種のみがユーザによって選択されるように構成されてもよい。また、例えば、本体ユニット4がトッププレート3に載置された容器2および被調理物の重量を測定できるセンサを備え、演算回路30は、当該センサによって計測された重量と選択された鍋種とに基づいて調理するように構成されてもよい。したがって、上記した実施形態では、記憶装置31は、選択情報または所望の設定情報として鍋種および合数を組み合わせた情報を格納していたが、鍋種のみを格納してもよい。このように構成することで、誘導加熱調理器1のユーザは、炊飯コースの選択後、鍋種を選択するだけで調理することが可能であり、より容易に誘導加熱調理器1を使用することができる。
【0043】
上記した実施形態では、本体ユニット4は記憶装置31を備えている。そのため、例えば、加熱のシーケンス、鍋種および合数の選択情報、所望の設定情報等は、記憶装置31に格納され、演算回路30は、記憶装置31から上述の情報を読み出している。しかし、演算回路30の情報の取得元は、本体ユニット4に備えられた記憶装置31に限定されない。例えば、本体ユニット4が通信回路を備えることで、通信回路を介して、有線または無線ネットワークを通じて、ネットワーク上の記憶装置と通信可能に構成することで、演算回路30は、ネットワークを介して通信可能な記憶装置から上記情報を取得できる。ネットワーク上の記憶装置は、演算回路30が通信回路を介してアクセス可能な任意のコンピュータが有する記憶装置および任意のサーバ装置が有する記憶装置を含む。通信回路は、有線または無線により通信回線を介して、演算回路と情報を送受信するインタフェース装置である。通信回路は、通信回線を介して他の装置と接続することができてもよい。インタフェース装置は、例えばUSB(登録商標)またはイーサネット(登録商標)等の有線通信規格に準拠した通信を行うことが可能であってもよい。また、インタフェース装置は、例えばWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、携帯電話回線等の無線通信規格に準拠した通信を行うことが可能であってもよい。演算回路30は、ユーザによって選択された選択情報を、通信回路を介してネットワーク上の記憶装置に格納できる。そして、演算回路30は、炊飯コースが選択されると、通信回路を介してネットワーク上の記憶装置から選択情報を取得できる。また、演算回路30は、通信回路を介して、ネットワーク上の記憶装置からあらかじめ格納されている加熱のシーケンスなどを取得できる。また、演算回路30は、ユーザによって選択された所望の鍋種の情報を、通信回路を介してネットワーク上の記憶装置に格納し、必要に応じて当該記憶装置から取得してもよい。
【0044】
(実施形態のまとめ)
以上のように説明した本実施形態に係る誘導加熱調理器は、以下のように構成してもよい。
【0045】
(態様1)誘導加熱調理器は、鍋が載置されるトッププレートと、前記トッププレートが上方に載置される本体ユニットと、を備え、前記本体ユニットは、前記トッププレートの下方に配置された加熱コイルと、前記加熱コイルを制御する演算回路と、前記演算回路の指示を受け付ける入力装置と、を有し、前記入力装置は、前記加熱コイルによる加熱方法を示すシーケンスが定義された自動調理コースの設定を受け付け、第1の鍋種および第2の鍋種を含む鍋種の選択を受け付けるように構成され、前記シーケンスは、前記第1の鍋種に対応づけられた第1シーケンスおよび前記第2の鍋種に対応づけられた第2シーケンスを含み、前記演算回路は、前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付けた場合に、前回選択された前記鍋種を参照して、前記第1シーケンスまたは前記第2シーケンスを実行するように構成されている。
【0046】
これにより、誘導加熱調理器は、前回選択された鍋種を参照することで、使用される鍋種を推定することができる。それによって、誘導加熱調理器は、鍋種ごとに適切なシーケンスで容易に自動調理を行うことができる。
【0047】
(態様2)態様1の誘導加熱調理器において、前記自動調理コースは、炊飯コースを有し、前記入力装置は、前記炊飯コースが選択された場合、さらに合数の選択を受け付け、前記シーケンスは、各鍋種および各合数に基づいて設定され、前記演算回路は、前回選択された前記鍋種および前回選択された前記合数を参照して、対応する前記シーケンスを実行するように構成されてもよい。
【0048】
これにより、誘導加熱調理器は、使用される鍋種および調理される合数を推定することができる。それによって、誘導加熱調理器は、鍋種および合数ごとに適切なシーケンスで容易に炊飯コースによる自動調理を行うことができる。
【0049】
(態様3)態様1の誘導加熱調理器において、前記自動調理コースは、炊飯コースを有し、前記入力装置は、前記炊飯コースが選択された場合、さらに合数の選択を受け付け、前記シーケンスは、各鍋種および各合数により定められる組合せ情報に基づいて設定され、前記演算回路は、前回選択された前記鍋種および前回選択された前記合数より決定される前記組合せ情報を参照して、対応する前記シーケンスを実行するように構成されてもよい。
【0050】
これにより、誘導加熱調理器は、使用される鍋種および調理される合数に基づいて定められる組合せ情報を推定することができる。それによって、誘導加熱調理器は、鍋種および合数ごとに適切なシーケンスで容易に炊飯コースによる自動調理を行うことができる。
【0051】
(態様4)態様2または態様3の誘導加熱調理器において、前記本体ユニットは、前記入力装置により一つずつ選択された前記鍋種および前記合数の組み合わせを表示するディスプレイと、前記組み合わせの表示を順送りまたは順戻しする入力ボタンと、をさらに備えてもよい。
【0052】
これにより、誘導加熱調理器は、使用される鍋種および合数を容易に選択できるように構成される。それによって、誘導加熱調理器は、使用するユーザによる操作回数を減少させ、利便性を向上させることができる。
【0053】
(態様5)態様1から態様4のいずれか1つの誘導加熱調理器において、前記第1の鍋種は、鋳物ホーロー鍋を含み、前記第2の鍋種は、ステンレス鍋を含んでもよい。
【0054】
これにより、誘導加熱調理器は、鋳物ホーロー鍋またはステンレス鍋を使用する際に、適切なシーケンスで容易に自動調理を行うことができる。
【0055】
(態様6)態様1から態様5のいずれか1つの誘導加熱調理器において、前記演算回路は、前記第1の鍋種および前記第2の鍋種の選択回数を計測する計測手段と通信可能に構成され、前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付けた場合、前記演算回路は、前記計測手段での計測結果より、前記第1の鍋種および前記第2の鍋種で選択回数が多い鍋種を参照してもよい。
【0056】
これにより、誘導加熱調理器は、前回選択された鍋種を参照する際に、選択された回数が多い鍋種を取得することができる。それによって、誘導加熱調理器は、選択される鍋種をより適切に推定し、鍋種ごとに適切なシーケンスで容易に自動調理を行うことができる。
【0057】
(態様7)態様1から態様6のいずれか1つの誘導加熱調理器において、前記本体ユニットは、選択された前記第1の鍋種および前記第2の鍋種を記憶し、前記演算回路と通信可能に構成された記憶装置を備え、前記演算回路は、前記記憶装置から前回選択された前記第1の鍋種および前記第2の鍋種を参照してもよい。
【0058】
これにより、誘導加熱調理器は、本体ユニットに備えられた記憶装置から前回選択された鍋種を参照し、使用される鍋種を推定することができる。それによって、誘導加熱調理器は、鍋種ごとに適切なシーケンスで容易に自動調理を行うことができる。
【0059】
(態様8)態様1から態様6のいずれか1つの誘導加熱調理器において、前記本体ユニットは、通信回路を備え、前記演算回路は、前記通信回路を介して、選択された前記第1の鍋種および前記第2の鍋種を記憶する記憶装置と通信可能に構成され、前記演算回路は、前記記憶装置から前回選択された前記第1の鍋種および前記第2の鍋種を参照してもよい。
【0060】
これにより、誘導加熱調理器は、通信回路を介してアクセスできる記憶装置から前回選択された鍋種を参照し、使用される鍋種を推定することができる。それによって、誘導加熱調理器は、鍋種ごとに適切なシーケンスで容易に自動調理を行うことができる。
【0061】
(態様9)態様7または態様8の誘導加熱調理器において、前記記憶装置は所望の鍋種の設定情報を記憶でき、前記記憶装置が前記所望の鍋種の設定情報を記憶している場合、前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付けると、前記演算回路は、前記記憶装置に記憶された前記所望の鍋種の設定情報を参照してもよい。
【0062】
これにより、誘導加熱調理器は、あらかじめ所望の鍋種の設定情報を記憶でき、当該設定情報が記憶されていると、当該所望の鍋種が使用される鍋種と推定することができる。それによって、誘導加熱調理器は、鍋種ごとに適切なシーケンスで容易に自動調理を行うことができる。
【0063】
(態様10)態様7または態様8の誘導加熱調理器において、前記記憶装置は所望の鍋種の設定情報を記憶でき、前記入力装置は、前記所望の鍋種の選択を受け付けるように構成され、前記入力装置が前記自動調理コースの設定を受け付け、さらに前記所望の鍋種の選択を受け付けた場合、前記演算回路は、前記記憶装置に記憶された前記所望の鍋種の設定を参照してもよい。
【0064】
これにより、誘導加熱調理器は、あらかじめ所望の鍋種の設定情報を記憶でき、当該設定情報が記憶されており且つ当該設定情報を使用するための操作が行われると、当該所望の鍋種が使用される鍋種と推定することができる。それによって、誘導加熱調理器は、鍋種ごとに適切なシーケンスで容易に自動調理を行うことができる。
【0065】
(態様11)態様1から態様10のいずれか1つの誘導加熱調理器は、卓上用であってもよい。
【0066】
本開示に記載の加熱調理器は、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、と、ソフトウェア資源(コンピュータプログラム)との協働などによって実現される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示によれば、前回の調理時に入力した設定を参照することで、操作回数を減少させ、利便性を向上させた誘導加熱調理器を提供することができるため、この種の誘導加熱調理器の産業分野において好適に利用できる。
【符号の説明】
【0068】
1 誘導加熱調理器
2 容器
3 トッププレート
4 本体ユニット
10 加熱コイル
11 サーミスタ
12 操作パネル
13 ディスプレイ
14 入力ボタン
30 演算回路
31 記憶装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8