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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】情報処理方法及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20240531BHJP
   G06Q 50/43 20240101ALI20240531BHJP
   G06Q 30/0645 20230101ALI20240531BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q50/43
G06Q30/0645
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021565446
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2020044808
(87)【国際公開番号】W WO2021124887
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2019226715
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】米田 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】穴吹 元嗣
(72)【発明者】
【氏名】松村 優樹
(72)【発明者】
【氏名】新井 稔也
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032664(JP,A)
【文献】特開2019-168893(JP,A)
【文献】特開2018-142265(JP,A)
【文献】特開2018-169270(JP,A)
【文献】特開2019-185451(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0053081(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0294159(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B60W 30/00
B60W 40/08
B60W 50/02
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実行させる情報処理方法であって、
自動運転車リスト及び乗客リストを取得し、
前記乗客リストに含まれる複数の乗客それぞれの運転スキルを取得し、前記運転スキルは前記乗客が運転可能か否かを示し、
前記複数の乗客それぞれの運転スキルにしたがって、前記複数の乗客のうちの運転可能な乗客が前記自動運転車リストに含まれる複数の自動運転車に対して分散するように、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当て、
割り当て結果を出力する
情報処理方法。
【請求項2】
前記運転可能な乗客それぞれの運転許容性を取得し、前記運転許容性は運転要求に対する前記乗客の許容性を示し、
前記割り当てでは、前記運転可能な乗客それぞれの運転許容性にもしたがって、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当てる
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記運転可能な乗客それぞれの体調を取得し、
前記割り当てでは、前記運転可能な乗客それぞれの体調にもしたがって、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当てる
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記割り当てられた自動運転車に前記運転可能な乗客が乗車していることが検出された場合、提示装置を介して、前記運転可能な乗客を運転席に誘導する
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記運転可能な乗客とは別の乗客が乗車することが検出された場合、提示装置を介して、前記別の乗客を運転席以外の席に誘導する
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
自動運転車の予約時では、提示装置を介して、前記運転可能な乗客が他の前記運転可能な乗客が割り当てられていない自動運転車を予約するように前記運転可能な乗客を誘導する
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記運転可能な乗客が乗車する自動運転車が自動運転不能となった場合、提示装置を介して、前記運転可能な乗客に対して運転要求を通知する
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記運転可能な乗客が乗車する自動運転車が自動運転不能となった場合、前記提示装置を介して、前記運転可能な乗客に応じた運転支援情報を提供する
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記運転可能な乗客それぞれの運転履歴を取得し、
前記割り当てにおいては、前記運転可能な乗客それぞれの運転履歴にもしたがって、前記複数の乗客それぞれに自動運転車が割り当てられる
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記運転可能な乗客による手動運転の結果に基づいて、前記運転可能な乗客に利得を付与する
請求項1~9のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
自動運転車の予約時に、自動運転車が割り当てられた他の乗客の前記運転スキルの有無にしたがって、提示装置を介して、前記運転可能な乗客に対し自動運転車ごとに利得を提示する
請求項1~10のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
自動運転車の予約時に、自動運転車が割り当てられた他の乗客の前記運転スキルの有無にしたがって、提示装置を介して、前記複数の乗客のうちの運転可能でない乗客に対し自動運転車ごとに利得を提示する
請求項1~11のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記運転可能な乗客の前記割り当て結果にしたがって、自動運転車の監視優先度を決定し、
前記監視優先度にしたがって、監視者に自動運転車の情報を通知する
請求項1~12のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記運転可能な乗客が前記割り当てられた自動運転車の前記監視優先度を、前記運転可能な乗客が前記割り当てられていない自動運転車の前記監視優先度よりも下げる
請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに実行させる情報処理システムであって、
自動運転車リスト及び乗客リスト、及び前記乗客リストに含まれる複数の乗客それぞれの運転スキルを取得する取得部と、前記運転スキルは前記乗客が運転可能か否かを示し、
前記複数の乗客それぞれの運転スキルにしたがって、前記複数の乗客のうちの運転可能な乗客が前記自動運転車リストに含まれる複数の自動運転車に対して分散するように、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当てる割り当て部と、
割り当て結果を出力する出力部と、を備える
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、自動運転モードから手動運転モードに移行する場合、車両に乗車している乗員の運転者として適正があれば手動運転モードに移行し、乗員の運転者として適正が無ければセンター運転モードを移行する車両システムが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、作成された配車計画及び管理されたスケジュールの少なくとも一方で選定された自動運転車両における車両情報を、通信網経由で取得して表示するモニタ部を有する遠隔操縦装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-62223号公報
【文献】特許第6589713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、自動運転不能な状態に陥った自動運転車の運行を継続させることが困難となる場合がある。例えば、自動運転不能な状態に陥った自動運転車の数が、自動運転車の代わりに遠隔操縦するオペレータの数を上回る場合、オペレータが操縦できない自動運転車の運行が停止する。また、自動運転不能な状態に陥った自動運転車の代わりに乗客が手動運転する場合、手動運転が可能な乗客が当該自動運転車に乗車していないときは、当該自動運転車の運行が停止する。
【0006】
そこで、本開示は、自動運転車の運行停止を抑制しながら、オペレータによる自動運転車への介入を抑制することができる情報処理方法及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータに実行させる情報処理方法であって、自動運転車リスト及び乗客リストを取得し、前記乗客リストに含まれる前記複数の乗客それぞれの運転スキルを取得し、前記運転スキルは前記乗客が運転可能か否かを示し、前記複数の乗客それぞれの運転スキルにしたがって、前記複数の乗客のうちの運転可能な乗客が前記自動運転車リストに含まれる複数の自動運転車に対して分散するように、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当て、割り当て結果を出力する。
【0008】
なお、これらのうちの一部の具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体を用いて実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせを用いて実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の情報処理方法等によれば、自動運転車の運行停止を抑制しながら、オペレータによる自動運転車への介入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態における情報処理システムを示す模式図である。
図2図2は、実施の形態における情報処理システムの予約配車装置、端末装置及び遠隔管制装置を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態における情報処理システムの遠隔管制装置、予約配車装置、自動運転車、操作入力装置及び映像表示装置を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態における情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態における情報処理システムの動作を示すシーケンス図である。
図6図6は、実施の形態における情報処理システムにおける自動運転不能な状態での動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータに実行させる情報処理方法であって、自動運転車リスト及び乗客リストを取得し、前記乗客リストに含まれる複数の乗客それぞれの運転スキルを取得し、前記運転スキルは前記乗客が運転可能か否かを示し、前記複数の乗客それぞれの運転スキルにしたがって、前記複数の乗客のうちの運転可能な乗客が前記自動運転車リストに含まれる複数の自動運転車に対して分散するように、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当て、割り当て結果を出力する。
【0012】
これによれば、運転可能な複数の乗客を複数の自動運転車に可能な限り分散して割り当てるため、自動運転車に運転可能な乗客が乗車しない可能性を減らすことができる。言い換えると、1台の自動運転車に少なくとも1人の運転可能な乗客を搭乗させ易くなる。このため、例えば、自動運転車の状態が自動運転状態から手動運転状態に変化した場合でも、運転可能な乗客が手動運転状態の自動運転車を運転することにより、自動運転車の運行停止を回避できる。また、自動運転車に運転可能な乗客が乗車していない、すなわちオペレータによる遠隔操縦が要求される自動運転車の数が抑制されるため、オペレータ不足による自動運転車の運行停止を抑制できる。言い換えると、オペレータによる介入が抑制された自動運転車を増加させることができる。このように、自動運転車の運行停止を抑制しながら、オペレータによる自動運転車への介入を抑制することができる。
【0013】
本開示の他の態様に係る情報処理システムは、コンピュータに実行させる情報処理システムであって、自動運転車リスト及び乗客リスト、及び前記乗客リストに含まれる複数の乗客それぞれの運転スキルを取得する取得部と、前記運転スキルは前記乗客が運転可能か否かを示し、前記複数の乗客それぞれの運転スキルにしたがって、前記複数の乗客のうちの運転可能な乗客が前記自動運転車リストに含まれる複数の自動運転車に対して分散するように、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当てる割り当て部と、割り当て結果を出力する出力部と、を備える。
【0014】
この情報処理システムにおいても、上述と同様の作用効果を奏する。
【0015】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客それぞれの運転許容性を取得し、前記運転許容性は運転要求に対する前記乗客の許容性を示し、前記割り当てでは、前記運転可能な乗客それぞれの運転許容性にもしたがって、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当てる。
【0016】
これによれば、運転可能でかつ運転要求に応えることができる乗客が複数の自動運転車に対して分散するように、上記割り当てを実行することができる。したがって、実際上運転可能な乗客が分散して割り当てられることにより、自動運転車の運行停止をより確実に抑制することができる。
【0017】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客それぞれの体調を取得し、前記割り当てでは、前記運転可能な乗客それぞれの体調にもしたがって、前記複数の乗客それぞれに自動運転車を割り当てる。
【0018】
これによれば、乗客の体調をも考慮して運転可能な乗客を分散して割り当てることができる。体調によっては運転スキルを有する乗客であっても実際上は運転が困難な場合がある。したがって、実際上運転可能な乗客が分散して割り当てられることにより、自動運転車の運行停止をより確実に抑制することができる。
【0019】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記割り当てられた自動運転車に前記運転可能な乗客が乗車していることが検出された場合、提示装置を介して、前記運転可能な乗客を運転席に誘導する。
【0020】
これによれば、運転可能な乗客が自動運転車に乗車する際に可能な限り運転席に着座させることができる。このため、手動運転に切り替わった際に、当該運転可能な乗客に運転させやすくすることができる。また、運転席を移動させるなどの機構が不要となる。
【0021】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客とは別の乗客が乗車することが検出された場合、提示装置を介して、前記別の乗客を運転席以外の席に誘導する。
【0022】
これによれば、運転可能でない乗客が自動運転車に乗車する際に運転席に着座させないようにすることで、運転可能な乗客のために可能な限り運転席を空けておくことができる。このため、運転可能な乗客を運転席に着座させ易くなる。手動運転に切り替わった際に、当該運転可能な乗客に運転させやすくすることができる。また、運転席を移動させるなどの機構が不要となる。
【0023】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、自動運転車の予約時では、提示装置を介して、前記運転可能な乗客が他の前記運転可能な乗客が割り当てられていない自動運転車を予約するように前記運転可能な乗客を誘導する。
【0024】
これによれば、可能な限り運転可能な乗客に運転席を予約させることができる。このため、手動運転に切り替わった際に、当該運転可能な乗客に運転させやすくすることができる。また、運転席を移動させるなどの機構が不要となる。
【0025】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客が乗車する自動運転車が自動運転不能となった場合、提示装置を介して、前記運転可能な乗客に対して運転要求を通知する。
【0026】
これによれば、運転可能な乗客に手動運転を促すことができる。したがって、自動運転車の運行停止をより確実に抑制することができる。
【0027】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客が乗車する自動運転車が自動運転不能となった場合、前記提示装置を介して、前記運転可能な乗客に応じた運転支援情報を提供する。
【0028】
これによれば、乗客による自動運転車の運転の安全性を高めることができる。また、自動運転車が普及すると乗客は運転する機会が少なくなるため、運転に慣れていないことが想定される。上記構成によれば、乗客は安心して運転することができる。
【0029】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客それぞれの運転履歴を取得し、前記割り当てにおいては、前記運転可能な乗客それぞれの運転履歴にもしたがって、前記複数の乗客それぞれに自動運転車が割り当てられる。
【0030】
これによれば、運転可能な乗客のうち運転に慣れている又は運転が得意であると推定される乗客を分散して割り当てることができる。したがって、手動運転時の自動運転車の走行の質及び安全性を向上させることができる。
【0031】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客による手動運転の結果に基づいて、前記運転可能な乗客に利得を付与する。
【0032】
これによれば、例えば、自動運転車を運転した乗客には、自動運転車のコストを安くしたりする等の利得を付与することができる。これにより、運転に対する乗客のモチベーションを高めることができ、積極的に手動運転に対応させることができる。したがって、自動運転車の運行停止をより確実に抑制することができる。
【0033】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、自動運転車の予約時に、自動運転車が割り当てられた他の乗客の前記運転スキルの有無にしたがって、提示装置を介して、前記運転可能な乗客に対し自動運転車ごとに利得を提示する。
【0034】
これによれば、運転可能な乗客が選択する自動運転車をコントロールすることができる。これにより、運転可能な乗客に選択の余地を与えながら、運転可能な乗客を分散して割り当てることができる。例えば予約時に、運転可能な乗客に対して、運転可能な乗客が乗車予約をしておらず運転席の空きがある自動運転車に利得があることを提示することができる。このため、提示された利得によって、運転可能な乗客が予約をしておらず運転席の空きがある自動運転車を予約させやすくすることできる。
【0035】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、自動運転車の予約時に、自動運転車が割り当てられた他の乗客の前記運転スキルの有無にしたがって、提示装置を介して、前記複数の乗客のうちの運転可能でない乗客に対し自動運転車ごとに利得を提示する。
【0036】
これによれば、運転可能でない乗客が選択する自動運転車をコントロールすることができる。これにより、運転可能でない乗客に選択の余地を与えながら、運転可能な乗客を分散して割り当てることができる。例えば予約時に、運転可能でない乗客に対して、運転可能な乗客が予約をしており、空き座席がある自動運転車を割り当てることができる。この場合、空き座席を運転可能でない乗客で埋めることができるため、運転可能な乗客が当該自動運転車に予約することを抑制することができる。また、例えば予約時に、運転可能でない乗客に対して、運転可能な乗客が予約をしておらず、運転可能でない乗客が予約した場合でも空き座席がある自動運転車を割り当てることができる。この場合、運転可能な乗客を予約させるために空き座席を用意することができる。
【0037】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客の前記割り当て結果にしたがって、自動運転車の監視優先度を決定し、前記監視優先度にしたがって、オペレータに自動運転車の情報を通知する。
【0038】
これによれば、運転可能な乗客が乗車している自動運転車か否かに応じてオペレータによる監視の優先度を変えることができる。運転可能な乗客が乗車していれば、手動運転で運行を再開することができる場合があるためである。したがって、自動運転車の運行停止を抑制しながら自動運転車の監視作業の効率化することができる。また、結果として、例えばオペレータは、監視優先度の高い自動運転車を優先して監視すればよいため、オペレータによる自動運転車の監視負担を軽減することにもなり得る。
【0039】
本開示の他の態様に係る情報処理方法は、前記運転可能な乗客が前記割り当てられた自動運転車の前記監視優先度を、前記運転可能な乗客が前記割り当てられていない自動運転車の前記監視優先度よりも下げる。
【0040】
これによれば、オペレータは、監視優先度の高いすなわち運転可能でない乗客が乗車する自動運転車を優先して監視することにより、当該自動運転車が自動運転不能な状態に陥った場合であってもオペレータがすぐに遠隔操縦することができる。したがって、自動運転車の運行停止を抑制することができる。
【0041】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0042】
以下、本開示の一態様に係る情報処理方法及び情報処理システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0043】
(実施の形態)
<構成:情報処理システム1>
図1は、実施の形態における情報処理システム1を示す模式図である。
【0044】
図1に示すように、情報処理システム1は、乗客の求めに応じて、自動運転機能及び手動運転機能を有する車両である自動運転車8を乗客に配車することができるシステムである。情報処理システム1は、端末装置3等を使用する乗客から取得した情報に基づき、乗客に応じた自動運転車8を配車することができる。本実施の形態の自動運転車8は、周囲の外部環境に応じて自動運転状態から手動運転状態に遷移したり、手動運転状態から自動運転状態に切換ったりする。なお、自動運転車8は、乗客を配送することができる移動体であれば、他の種類の自律移動体であってもよい。自律移動体は、例えば、移動ロボット、船舶、ドローンなどの飛行体などであってもよい。
【0045】
情報処理システム1は、例えばライドシェアリングサービス(Ride-sharing Service)、ライドヘイリングサービス(Ride-hailing Service)等のために自動運転車8が提供される共用型利用形態に適用される。
【0046】
情報処理システム1の構成について、具体的に説明する。
【0047】
情報処理システム1は、端末装置3と、予約配車装置5と、遠隔管制装置7と、映像表示装置9aと、操作入力装置9bと、自動運転車8とを備える。
【0048】
[端末装置3]
端末装置3は、ネットワーク等を介して、予約配車装置5と無線又は有線通信可能に接続されるパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末等の乗客端末である。
【0049】
端末装置3は、乗客による情報処理システム1の乗客情報の入力を受付けることで、乗客の乗客登録を予約配車装置5に実行させる。端末装置3は、乗客の乗客登録時に、運転可能か否かを示す運転資格情報(運転スキルとも称する。)の入力も行わせる。運転資格情報は、運転免許を有しているか否か、運転講習を受けているか否か等の情報である。端末装置3は、乗客情報を予約配車装置5に送信する。乗客情報は、乗客を特定する情報(すなわち乗客ID)、乗客の氏名、連絡先、及び運転資格情報などを含む。
【0050】
また、端末装置3は、乗客(以下、予約者とも称する。)からの自動運転車8の配車の乗車予約の入力を受付けることで、乗車予約を予約配車装置5に送信する。また、端末装置3は、予約者が自動運転車8の運転許容性を入力することで、運転許容性情報を予約配車装置5に送信する。運転許容性は、乗車予約を入力する時点で、運転可能な乗客が運転許容性を有するかどうかを示す。乗車予約は、希望条件(出発地、目的地、出発時刻、及び到着時刻)、乗客ID、及び運転許容性情報を含む。
【0051】
また、端末装置3は、予約配車装置5の配車制御部54(後述する図2参照)が生成した予約可能車両情報を受信する。端末装置3は、受信した予約可能車両情報を、乗車予約を入力した予約者に提示する。予約者は、予約可能車両情報を確認し、乗車を希望する自動運転車8を決定する。端末装置3は、予約者の決定操作に基づいて、決定情報を生成する。決定情報は、乗客ID、予約者が乗車を希望する自動運転車8を特定する情報(すなわち車両ID)、出発地情報、目的地情報、出発地を出発する時刻を示す出発時刻情報、目的地に到着する到着時刻を示す到着時刻情報などを含む。
【0052】
また、端末装置3は、受信した予約配車装置5に対して、予約者により生成された決定情報を送信する。
【0053】
[予約配車装置5]
図2は、実施の形態における情報処理システム1の予約配車装置5、端末装置3及び遠隔管制装置7を示すブロック図である。
【0054】
図2に示すように、予約配車装置5は、端末装置3及び遠隔管制装置7と無線又は有線通信可能に接続され、予約者の入力した乗車予約を取得することで予約者が希望する自動運転車8を予約して配車したりすることができる。
【0055】
予約配車装置5は、乗客登録処理部51と、第1記憶部52と、予約処理部53と、配車制御部54と、第2記憶部55と、車両状態情報受信部56と、配車要求送信部57とを備える。
【0056】
乗客登録処理部51は、端末装置3から乗客情報を受信すると、乗客情報を第1記憶部52に記憶させる。具体的には、乗客登録処理部51は、端末装置3から受信した乗客情報を第1記憶部52の乗客データベースに登録する。
【0057】
第1記憶部52は、乗客情報を含む乗客データベースを記憶する。また、第1記憶部52は、予約処理部53及び配車制御部54からの要求に応じて、乗客データベースに格納される乗客情報を出力する。
【0058】
予約処理部53は、乗客による自動運転車8の予約を処理する。具体的には、予約処理部53は、乗車予約の受付、予約可能車両の通知、及び乗車予約の確定といった処理を行う。
【0059】
予約処理部53は、端末装置3から乗車予約を受信すると、乗車予約を入力した予約者の乗客情報が第1記憶部52の乗客データベースに登録されているか否かを確認する。乗客データベースに当該乗客情報が登録されている場合、予約処理部53は、乗車予約を付帯して予約可能車両情報を配車制御部54に要求する。要求への応答として、予約処理部53は、乗車予約の要件を満たす予約可能車両情報を取得する。予約処理部53は、取得した予約可能車両情報を端末装置3に送信する。なお、乗客データベースに当該乗客情報が登録されていなければ、予約処理部53は、乗車予約を却下し、端末装置3を介してユーザに乗客登録を促してもよい。
【0060】
予約処理部53は、予約可能車両情報に対する応答として、端末装置3から決定情報を受信すると、決定情報を予約確定情報として決定する。具体的には、予約処理部53は、乗客データベースに乗客情報と紐づけて決定情報を格納する。また、予約処理部53は、受信した決定情報を配車制御部54に出力する。
【0061】
配車制御部54は、割り当て部の一例として、乗車予約及び乗客情報に基づいて予約可能車両情報を生成する。具体的には、配車制御部54は、既に運行計画を有する自動運転車8に対して、乗車予約の希望条件が満たされる運行計画を有する自動運転車8のリストを第2記憶部55の運行車両データベースから取得する。また、配車制御部54は、運行計画を有しない自動運転車8のリストを運行車両データベースから取得する。配車制御部54は、取得した2つの自動運転車8のリストから配車可能な自動運転車8のリスト(以下、配車可能車両リストとも称する。)を生成する。
【0062】
運行車両データベースは、自動運転車8の運行状態を示す車両運行情報を含む。車両運行情報は、車両ID、空き席数、予約された乗客の乗客ID、当該乗客の運転可否、運行計画(出発地、目的地、出発時刻、到着時刻、予定経路)、運行ステータス(運行中か否か、現在地、走行経路、及び異常の有無)等を含む。
【0063】
配車制御部54は、乗客データベースを参照して予約処理部53から受け取った乗車予約に含まれる乗客IDから乗客情報を特定し、特定した乗客情報に含まれる運転スキル(以下、予約者の運転スキルとも称する。)を取得する。また、配車制御部54は、配車可能車両リストにおける自動運転車8を予約した乗客の運転スキルを第1記憶部52の乗客データベースから取得する。
【0064】
配車制御部54は、取得した複数の乗客それぞれの運転スキルにしたがって、複数の乗客のうちの運転可能な乗客が運行車両データベース(自動運転車リスト)に含まれる複数の自動運転車8に対して分散するように、複数の乗客それぞれに自動運転車8を割り当てる。具体的には、配車制御部54は、第2記憶部55の運行車両データベースから取得した配車可能車両リストを参照し、取得した乗客情報に含まれる運転スキルに基づいて、自動運転車8を予約者に割り当てる。割り当て結果が予約可能車両情報として生成される。つまり、配車制御部54は、運行車両データベースを参照して配車可能車両リストを抽出し、乗客データベースを参照して配車可能車両リストに含まれる自動運転車8ごとに予約している乗客の乗客リストを抽出する。予約者の運転スキルが運転可能を示す場合、配車制御部54は、運転可能な乗客が予約していない自動運転車8を予約者に割り当てる。予約者の運転スキルが運転不可能を示す場合、配車制御部54は、運転可能な乗客が予約している自動運転車8を予約者に割り当てる。配車制御部54は、割り当てた自動運転車8を示す予約可能車両情報を生成する。配車制御部54は、予約可能車両情報を、予約処理部53に出力する。
【0065】
配車制御部54は、決定情報を予約処理部53から取得すると、運行車両データベースにおける車両運行情報のうち決定情報に含まれる車両IDから特定される自動運転車8の車両運行情報を、決定情報に含まれる情報で更新する。決定情報に含まれる少なくとも乗客IDは、車両運行情報に追加される。また、運転スキルの有無に応じて運転可否が追加される。他の情報は、未登録の場合は追加され、登録済みの場合は差分があるときは更新に用いられる。なお、運転可否は、後述する運転許容性及び体調にも応じて追加されてよい。
【0066】
また、配車制御部54は、決定情報を予約処理部53から取得すると、取得した決定情報で示される自動運転車8について、配車要求送信部57を介して、遠隔管制装置7に配車要求及び利用者情報を送信する。配車要求は、車両ID、及び希望条件(出発地、目的地、出発時刻、到着時刻)等を含む。利用者情報は、当該自動運転車8を予約した乗客の乗客ID、及び運転可否等を含む。また、配車制御部54は、自動運転車8に配車要求を送信するとともに、決定情報に対応する予約結果情報を、予約処理部53を介して端末装置3に送信してもよい。予約結果情報は、決定情報通りに予約が決定されたことを示す情報である。
【0067】
なお、配車制御部54は、乗客の運転許容性にもしたがって、自動運転車8の割り当てを実行してもよい。具体的には、配車制御部54は、予約処理部53から乗車予約を受け取ることで、予約者の運転許容性を取得する。運転許容性は、運転要求に対する乗客の許容性を示す。ここで、運転許容性は、運転可能な乗客が手動運転状態の自動運転車8を運転する意思があるか否か、又は、どの程度の手動運転を許容するかを示す。運転許容性は、決定情報の登録の際に、運行車両データベースの車両運行情報の一部として乗客IDと紐付けて格納される。予約者が運転スキルを有し運転を許容する場合、配車制御部54は、運転可能で運転を許容する乗客が予約していない自動運転車8を予約者に割り当てる。予約者が運転スキルを有しているが運転を許容しない場合、配車制御部54は、運転可能な乗客が予約している自動運転車8を予約者に割り当てる。なお、運転許容性は、予約後に更新されてもよい。
【0068】
また、配車制御部54は、乗客が自動運転車8を予約する際、提示装置3を介して、運転可能な予約者が他の運転可能な乗客に割り当てられていない自動運転車8を予約するように予約者を誘導する。例えば、配車制御部54は、他の運転可能な乗客が割り当てられておらず空きのある自動運転車8が他の自動運転車8より強調されたり、リストの上位に並べられたりするような提示制御情報を含む予約可能車両情報を生成する。提示装置3は、予約可能車両情報に含まれる提示制御情報に基づいて予約可能車両を予約者に提示する。なお、座席指定まで可能な場合、運転席に空きのある自動運転車8について提示制御情報が生成されてもよい。
【0069】
また、配車制御部54は、予約可能な自動運転車8の予約時に、自動運転車8を予約した他の乗客の運転スキルの有無にしたがって、提示装置3を介して、運転可能な予約者に対し自動運転車8ごとに利得を提示してもよい。具体的には、配車制御部54は、他の運転可能な乗客が割り当てられておらず空きのある自動運転車8が他の自動運転車8より利得があることを示す提示制御情報を生成する。利得は、金銭的な観点又はサービスの品質の観点等でのメリットである。例えば、利得は、自動運転車8の利用料金の割引、金銭に相当するポイントの付与、クーポン又はドリンク等の付与、静粛性又は車内の広さ等の移動サービスの品質の高さ等である。
【0070】
また、配車制御部54は、予約可能な自動運転車8の予約時に、自動運転車8を予約した他の乗客の運転スキルの有無にしたがって、提示装置3を介して、運転可能でない予約者に対し自動運転車8ごとに利得を提示してもよい。具体的には、配車制御部54は、運転可能でない予約者に対して、他の運転可能な乗客が予約をしており、空き座席がある自動運転車8に利得があること示す提示制御情報を生成する。また、配車制御部54は、運転可能でない予約者に対して、他の運転可能な乗客が予約をしておらず、当該予約者が予約しても空き座席がある自動運転車8に利得があることを示す提示制御情報を生成する。
【0071】
また、配車制御部54は、運転可能な乗客による手動運転の結果に基づいて、運転可能な乗客に利得を付与してもよい。具体的には、配車制御部54は、自動運転車8が手動運転状態時に手動運転したことがある乗客に対し、手動運転した実績に応じて利得を付与する。利得は、運転履歴に示される手動運転の内容又は回数等によって変化してもよい。例えば、手動運転の内容又は回数に応じて等級が決定され、当該等級に応じて利用料金の割引率が変化させられてもよい。
【0072】
第2記憶部55は、遠隔管制装置7から車両状態情報受信部56を介して取得した車両状態情報に基づいて、記憶している運行車両データベースに格納される車両運行情報を更新する。また、第2記憶部55は、配車制御部54からの要求に応じて、運行車両データベースに格納される車両運行情報を出力する。
【0073】
車両状態情報受信部56は、遠隔管制装置7から自動運転車8の車両状態情報を受信する。車両状態情報受信部56は、遠隔管制装置7から車両状態情報を規定期間ごとに受信し、受信した車両状態情報を第2記憶部55に出力する。
【0074】
配車要求送信部57は、遠隔管制装置7に配車要求を送信する。配車要求送信部57は、配車制御部54から出力される配車要求、及び利用者情報を遠隔管制装置7に送信する。
【0075】
[遠隔管制装置7]
図3は、実施の形態における情報処理システム1の遠隔管制装置7、予約配車装置5、自動運転車8、操作入力装置9b及び映像表示装置9aを示すブロック図である。
【0076】
図3に示すように、遠隔管制装置7は、予約配車装置5から受信した自動運転車8に対するに配車要求に基づく配車指示を行う。また、遠隔管制装置7は、自動運転車8を遠隔監視又は遠隔操縦するオペレータに対して、自動運転車8を遠隔監視又は遠隔操縦をするための手段を提供する。オペレータは、監視者の一例である。
【0077】
遠隔管制装置7は、車両通信部71と、車両管理部72と、監視対象推薦部73と、運行管理部74と、地図管理部75と、操作受信部76と、監視制御部77と、映像管理部78と、監視タスク蓄積部79とを備える。
【0078】
車両通信部71は、自動運転車8と無線又は有線通信する。車両通信部71は、乗客状態情報、車両状況情報、センシング情報、走行経路情報を受信する。乗客状態情報は、自動運転車8の乗客がまだ乗車していないか、乗車中であるか、降車したか等の乗車状態である。車両状況情報は、自動運転車8の位置、加速度、減速度、速度、操舵、ドア又は窓の開閉、及びヘッドランプ等の車両制御状態、車両制御が正常か異常か、及び異常の内容等である。センシング情報は、自動運転車8の外部のセンシングデータ、及び自動運転車8の内部のセンシングデータである。自動運転車8の外部のセンシングデータは、自動運転車8の外部の映像、自動運転車8と物体との距離、自動運転車8が走行する道路の路面状態等である。自動運転車8の内部のセンシングデータは、自動運転車8の車内の映像、温度、湿度、照度、及び物体の位置等である。走行経路情報は、自動運転車8が実際に走行した経路を示す情報である。
【0079】
また、車両通信部71は、動作指示、予定経路、及び、遠隔操縦指示、手動運転指示を自動運転車8に送信する。動作指示は、運行計画にしたがって自動運転車8を動作させるための指示である。予定経路は、自動運転車8に走行させる予定の経路である。遠隔操縦指示は、自動運転車8を遠隔操縦するための指示である。
【0080】
車両管理部72は、自動運転車8の動作を管理する。車両管理部72は、運行管理部74からの配車指示に示される運行計画に基づいて、自動運転車8の動作指示を出力する。具体的には、車両管理部72は、配車指示に示される運行計画に基づいて自動運転車8を予定経路に沿って出発地から目的地まで移動させ又は待機させる。
【0081】
また、車両管理部72は、乗客状態情報に基づいて自動運転車8における提示を管理する。より具体的には、車両管理部72は、予約配車装置5から利用者情報を取得し、車両通信部71を介して自動運転車8から乗客状態情報を取得する。車両管理部72は、乗客状態情報から自動運転車8に乗車している乗客を識別し、識別した乗客が利用者情報が示す運転可能な乗客であるかを判定する。識別した乗客が運転可能な乗客であると判定された場合、車両管理部72は、提示装置8aを介して、当該運転可能な乗客を運転席に誘導する。例えば、車両管理部72は、運転可能な乗客を運転席に着座するように誘導する提示情報を、車両通信部71を介して提示装置8aに出力させる。
【0082】
また、車両管理部72は、識別した乗客が運転可能な乗客とは別の乗客であると判定された場合、提示装置8aを介して、当該別の乗客を運転席以外の座席に誘導する。車両管理部72は、例えば当該別の乗客を運転席以外の座席に着座するように誘導する提示情報を、車両通信部71を介して提示装置8aに出力させる。
【0083】
なお、車両管理部72は、提示装置8aの代わりに端末装置3に提示情報を、予約配車装置5等を介して送信してもよい。
【0084】
提示情報は、例えば運転可能な乗客には「運転席に着座してください。」、運転可能でない乗客には「後部座席に着座してください。」、等を提示する音声若しくは文字、又は座らせたい席を矢印等で示す画像等によって乗客を所定の場所に誘導する情報である。
【0085】
また、車両管理部72は、運転可能な乗客が乗車する自動運転車8が自動運転不能となった場合、提示装置8aを介して、運転可能な乗客に対して運転要求を通知してもよい。例えば、車両管理部72は、運行中に自動運転車8が自動運転不能となると、運転スキルを有する乗客に手動運転を行うことを誘導する提示情報を生成し、提示情報を提示装置8aに提示させる。提示情報は、上述のように音声又は画像であってよい。なお、運転要求は、手動運転指示の受信に応じて通知されてもよい。
【0086】
さらに、車両管理部72は、運転可能な乗客が乗車する自動運転車8を手動運転する場合、提示装置8aを介して、運転可能な乗客に応じた運転支援情報を提供する。例えば、車両管理部72は、運転スキルを有する乗客の運転を支援するための運転支援情報を生成し、生成した運転支援情報を当該乗客に提供する。運転支援情報は、運転ガイドの提示、危険情報の提示、運転操作量の提示又は自動調整等を含む。例えば、運転ガイドは、道路上の工事個所を迂回する経路等の経路のガイド、又は路肩に駐車等の運転行動のガイドである。また、危険情報は、物陰から人が飛び出す等の危険性あることを示す情報である。また、運転操作量は、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル等の操作量である。なお、運転支援情報は、遠隔管制のオペレータの過去の入力に基づいて生成されてもよい。
【0087】
監視対象推薦部73は、オペレータに監視対象として推薦する自動運転車8を決定する。具体的には、監視対象推薦部73は、車両管理部72を介して予約配車装置5から利用者情報、及び、車両管理部72及び車両通信部71を介して自動運転車8から車両状況情報を取得する。監視対象推薦部73は、運転可能な乗客の割り当て結果にしたがって、自動運転車8の監視優先度を決定する。より具体的には、監視対象推薦部73は、運転可能な乗客が割り当てられた自動運転車8の監視優先度を、運転可能な乗客が割り当てられていない自動運転車8の監視優先度よりも下げる。例えば、監視対象推薦部73は、利用者情報が、乗客が運転スキルを有することを示す自動運転車8の監視優先度を、運転スキルを有しない乗客が乗車する自動運転車8よりも下げる。
【0088】
また、監視対象推薦部73は、自動運転車8の監視優先度を、車両状況情報に基づいて、監視優先度を決定する。例えば、監視対象推薦部73は、車両状況情報が車両制御の異常を示す場合、監視優先度を高くする。
【0089】
また、監視対象推薦部73は、センシング情報に基づいて、自動運転車8の監視優先度を決定する。例えば、監視対象推薦部73は、外部のセンシングデータから障害物との距離が近いことが検出される場合、監視優先度を高くする。また、内部のセンシングデータから乗客の挙動に異常があることが検出される場合、監視優先度を高くする。
【0090】
監視対象推薦部73は、自動運転車8ごとの監視優先度及び監視対象を監視制御部77に出力する。ここで、監視対象推薦部73は、監視優先度が規定値以上の自動運転車8を監視対象として、監視優先度及び当該監視対象だけを監視制御部77に出力してもよい。
【0091】
運行管理部74は、予約配車装置5から配車要求を取得すると、配車要求に示される自動運転車8の運行計画を生成する。運行計画は、出発地、目的地、出発時刻、到着時刻、及び予定経路を含む。例えば、運行管理部74は、地図管理部75の地図情報及び道路交通情報に基づいて、配車要求に示される出発地から目的地までの予定経路を算出する。運行管理部74は、運行計画の生成として、配車要求に示される出発地から目的地までの最短距離をマッピングした地図上の予定経路、又は、道路及び交通の状態に応じて算出した迂回ルート等をマッピングした地図上の予定経路を算出する。運行管理部74は、生成した運行計画で自動運転車8を配車させる配車指示を、車両管理部72及び車両通信部71を介して、自動運転車8に送信する。
【0092】
また、運行管理部74は、取得した車両状況情報及び走行経路情報に基づいて、運行している自動運転車8の運行状態を管理する。具体的には、運行管理部74は、車両管理部72及び車両通信部71を介して、車両状況情報及び走行経路情報を自動運転車8から取得する。運行管理部74は、車両状況情報及び走行経路情報から自動運転車8の運行ステータスを判定する。運行管理部74は、生成した運行計画と、判定した運行ステータスを含む車両運行情報を予約配車装置5に送信する。また、運行管理部74は、運行している自動運転車8の車両運行情報を監視制御部77に出力する。
【0093】
地図管理部75は、地図情報、地図情報における道路及び交通の状態を示す道路交通情報、及び地図情報における自動運転車8の運行計画を管理する。地図管理部75は、運行管理部74からの要求に応じて、地図情報、道路交通情報、又は運行計画を出力する。
【0094】
操作受信部76は、操作入力装置9bから操作指示を受信する。具体的には、操作受信部76は、受信した自動運転車8に対する遠隔操縦指示及び手動運転指示を監視制御部77に出力する。また、操作受信部76は、監視対象指示を受信すると、監視対象指示に示される監視対象の監視タスクを監視タスク蓄積部79に格納する。また、操作受信部76は、監視対象指示に示される監視対象を監視制御部77に出力する。また、操作受信部76は、その他監視に関する操作指示を受信すると、受信した操作指示を監視制御部77に出力する。
【0095】
監視制御部77は、監視対象を制御する。具体的には、監視制御部77は、運行管理部74から自動運転車8の車両運行情報を取得し、監視対象推薦部73又は操作受信部76から監視対象を取得する。監視制御部77は、監視優先度にしたがって監視対象となる自動運転車8を決定し、監視対象として決定した自動運転車8の車両IDを映像管理部78に出力する。
【0096】
また、監視制御部77は、監視タスクをオペレータに割り当てる。具体的には、監視制御部77は、監視対象に決定された自動運転車8の監視タスクを監視タスク蓄積部79から取得し、取得した監視タスクを複数のオペレータのうちの少なくとも一人に割り当てる。なお、監視タスクは、映像管理部78に出力され映像化されてもよい。
【0097】
映像管理部78は、自動運転車8の監視のための映像を管理する。具体的には、映像管理部78は、監視制御部77から監視対象の自動運転車8の車両IDを取得する。また、映像管理部78は、センシング情報を車両通信部71から取得する。映像管理部78は、取得した車両IDのセンシング情報から監視用の映像(単に監視映像とも称する。)を生成する。また、映像管理部78は、監視対象の自動運転車8の監視映像の表示態様を監視優先度に応じて決定する。例えば、映像管理部78は、監視優先度の高い自動運転車8の監視映像を監視優先度の低い自動運転車8の監視映像より強調される表示態様を決定する。表示態様の強調は、例えば表示の大きさ、色、輝度、枠の有無などにより実行される。また、映像管理部78は、監視優先度の高い自動運転車8については、センシング情報及び走行経路情報からの情報量がより多い表示態様を決定する。
【0098】
そして、映像管理部78は、生成した監視映像を映像表示部9aに表示させる。
【0099】
監視タスク蓄積部79は、操作受信部76から監視対象を取得すると、監視対象に対する監視タスクを蓄積する。監視タスク蓄積部79は、監視制御部77からの要求に応じて、監視タスクを出力する。なお、オペレータの監視タスクへの割り当て結果が蓄積されてもよい。
【0100】
[映像表示装置9a]
図3に示すように、映像表示装置9aは、遠隔管制装置7の映像管理部78から受信された監視映像を、映像管理部78が決定した表示態様にしたがって表示する。
【0101】
[操作入力装置9b]
操作入力装置9bは、自動運転車8を監視又は操作するための入力を受け付ける。具体的には、操作入力装置9bは、入力にしたがって、自動運転車8を遠隔操縦するための遠隔操縦指示、及び自動運転車8を手動運転状態に切り替えるための手動運転指示を生成する。また、操作入力装置9bは、入力にしたがって、監視対象を選択するための監視対象指示、及びその他監視に関する操作指示を生成する。操作入力装置9bは、生成した各種指示を遠隔管制装置7に送信する。
【0102】
なお、操作入力装置9bは、自動運転車8が自動運転不能であるか否かに応じて、手動運転指示の操作を受け付けるか否かを制御してもよい。さらに、操作入力装置9bは、自動運転不能な自動運転車8に運転可能な乗客が乗車しているか否かに応じて、手動運転指示の操作を受け付けるか否かを制御してもよい。例えば、操作入力装置9bは、自動運転車8に運転可能な乗客が乗車していない場合、手動運転指示の入力を受け付けず、遠隔操縦指示を受付ける状態に遷移する。この場合、オペレータは操作入力装置9b及び遠隔管制装置7を介して、自動運転車8を遠隔操縦する。なお、操作入力装置9bの代わりに、操作画面によって手動運転指示の操作を受け付けるか否かが制御されてもよい。
【0103】
[自動運転車8]
自動運転車8は、ネットワークを介して、遠隔管制装置7と通信可能に接続される車両である。自動運転車8は、自動運転状態から手動運転状態に遷移したり、手動運転状態から自動運転状態に遷移したりする機能を有する。なお、自動運転車8は、自動運転が困難な環境では、手動運転に切換えるために、乗客に対して手動運転をするように促してもよい。
【0104】
また、自動運転車8は、自動運転車8の状態、外部又は内部をセンシングするセンサを備える。当該センサにより上述のセンシング情報が生成される。センサとしては、加速度センサ、角速度センサ、撮像センサ、LIDAR、ミリ波センサ、赤外線センサ、マイクロフォン、GNSS(Global Navigation Satellite System)などがある。
【0105】
また、自動運転車8は、上記センサの外部及び内部のセンシングデータによって乗客が自動運転車8に乗車又は降車したことを検知する。自動運転車8は、検知結果を乗客状態情報として生成する。
【0106】
また、自動運転車8は、上記センサの状態のセンシングデータによって車両制御状態を検知する。自動運転車8は、検知結果を車両状況情報として生成する。
【0107】
また、自動運転車8は、上記センサの外部及び内部のセンシングデータであるセンシング情報を生成する。
【0108】
また、自動運転車8は、上記センサの位置のセンシングデータによって自動運転車8が走行した経路を示す走行経路情報を生成する。
【0109】
そして、自動運転車8は、生成した乗客状態情報、車両状況情報、センシング情報、及び走行経路情報を、遠隔管制装置7に送信する。
【0110】
また、自動運転車8は、遠隔管制装置7を介して操作入力装置9bから手動運転指示を取得すると、自動運転状態から手動運転状態に遷移する。また、自動運転車8は、遠隔管制装置7から運転要求を取得すると、自動運転車8に搭載される提示装置8a等を介して、運転可能な乗客に対して手動運転を要求する。
【0111】
<動作>
以上のように構成される情報処理システム1が行う動作について説明する。
【0112】
まずは、予約配車装置5の配車制御部54の処理について、図4を用いて説明する。ここでは、予約者が端末装置3を介して乗車予約を入力する際に、配車制御部54が予約可能車両情報を生成する処理について説明する。
【0113】
図4は、実施の形態における情報処理システム1の動作を示すフローチャートである。
【0114】
図4に示すように、配車制御部54は、配車可能な自動運転車8のリストを取得する。具体的には、配車制御部54は、第2記憶部55の運行車両データベースを参照し、予約処理部53を介して取得した予約者の乗車予約の希望条件を満たす自動運転車8を抽出する。例えば、配車制御部54は、乗車予約に示される出発地と目的地との間を運行する運行計画のある自動運転車8を運行車両データベースから抽出する。また、運行計画のない自動運転車8を抽出する。配車制御部54は、抽出した自動運転車8のリストを配車可能車両リストとして生成する(S11)。
【0115】
配車制御部54は、予約者が運転可能であるか否かを判定する。具体的には、配車制御部54は、乗客データベースを参照し、乗車予約に示される乗客の運転資格情報を取得する。配車制御部54は、運転資格情報にしたがって予約者が運転可能であるか否かを判定する(S12)。
【0116】
配車制御部54は、予約者が運転可能であれば(S12でYES)、乗車予約に含まれる予約者の運転許容性を取得する(S13)。
【0117】
配車制御部54は、予約者の運転許容性に基づいて、予約者に運転許容性があるか否かを判定する。具体的には、配車制御部54は、運転許容性にしたがって予約者が手動運転状態の自動運転車8を運転してもよいと考えているか否かを判定する(S14)。
【0118】
配車制御部54は、運転可能な予約者に運転許容性がある場合(S14でYES)、運転可能な他の乗客が予約しておらず、かつ、座席に空きがあるという条件(以下、条件A)に該当する自動運転車8が存在しているかどうかを判定する(S15)。なお、座席に空きのある自動運転車8は、運転席に空きのある自動運転車8であってもよい。
【0119】
配車制御部54は、条件Aに該当する自動運転車8が存在する場合(S15でYES)、条件Aに該当する自動運転車8を抽出する(S16)。配車制御部54は、抽出した自動運転車8の情報を含む予約可能車両情報を生成し、予約処理部53を介して端末装置3に送信する。こうすることで、運転可能な他の乗客が予約していない自動運転車8を運転可能な予約者に予約させることができる。
【0120】
また、配車制御部54は、条件Aに該当する自動運転車8が存在しない場合(S15でNO)、条件Aに該当しない自動運転車8を抽出する(S17)。例えば、配車制御部54は、座席に空きのある自動運転車8を抽出する。
【0121】
また、配車制御部54は、予約者が運転可能でない場合(S12でNO)、又は運転可能な予約者に運転許容性がない場合(S14でNO)、運転可能な他の乗客が予約しており、かつ座席に空きがあるという条件(以下、条件B)に該当する自動運転車8が存在しているかどうかを判定する(S18)。
【0122】
配車制御部54は、条件Bに該当する自動運転車8が存在する場合(S18でYES)、条件Bに該当する自動運転車8を抽出する(S19)。配車制御部54は、抽出した自動運転車8の情報を含む予約可能車両情報を生成し、予約処理部53等を介して端末装置3に送信する。こうすることで、運転可能な他の乗客が予約している自動運転車8を運転可能でない又は運転許容性がない予約者に予約させることができる。
【0123】
また、配車制御部54は、条件Bに該当する自動運転車8が存在しない場合(S18でNO)、運転可能な他の乗客が予約しておらず、かつ、予約者が予約しても座席に空きがあるという条件(以下、条件C)に該当する自動運転車8が存在しているかどうかを判定する(S20)。
【0124】
配車制御部54は、条件Cに該当する自動運転車8が存在する場合(S20でYES)、条件Cに該当する自動運転車8を抽出する(S21)。配車制御部54は、抽出した自動運転車8の情報を含む予約可能車両情報を生成し、予約処理部53等を介して端末装置3に送信する。こうすることで、運転可能な他の乗客が予約していない自動運転車8であっても、運転可能でない又は運転許容性がない予約者に予約させることができる。
【0125】
また、配車制御部54は、条件Cに該当する自動運転車8が存在しない場合(S20でNO)、条件Bにも条件Cにも該当せず、かつ、座席に空きのある自動運転車8を抽出する(S22)。例えば、配車制御部54は、運転可能な他の乗客が予約しておらず、かつ、予約者が予約すると満席になる自動運転車8を抽出する。
【0126】
なお、抽出条件に応じて、抽出された自動運転車8のみが予約可能車両情報として予約者に提示されてもよい。この場合、運転可能な乗客を複数の自動運転車8に対してより確実に分散させることができる。
【0127】
また、抽出条件に応じて、自動運転車8の予約に対する利得が付与されてもよい。具体的には、配車制御部54は、条件A~Cの順に高い利得を付与する。また、配車制御部54は、条件A~Cのいずれにも該当しない自動運転車8を予約者が予約する場合、利得を付与しなくてもよい。この場合、予約者に選択の余地を残しながら、運転可能な乗客を複数の自動運転車8に対して分散させやすくすることができる。
【0128】
そして、配車制御部54は、処理を終了する。
【0129】
以上のような配車制御部54の処理により、遠隔管制装置7によりオペレータが運転可能な乗客が乗車していない自動運転車8を優先的に監視することができる。こうすることで、情報処理システム1は、運転可能な乗客が乗車していない自動運転車8が自動運転不能な状態になった場合でも、素早くオペレータが遠隔操縦することで運行効率の低下を抑制することができる。
【0130】
次に、情報処理システム1の動作について、図5および図6を用いて説明する。
【0131】
図5は、実施の形態における情報処理システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0132】
ここでは、予約可能車両情報に対する応答として、予約者が希望する自動運転車8Aを示す決定情報が端末装置3を介して入力された後の処理について説明する。
【0133】
図5に示すように、予約配車装置5の配車制御部54は、予約処理部53を介して、予約可能車両情報に対する応答として乗客の端末装置3から決定情報を取得すると、取得した決定情報に示される自動運転車8Aを配車するために、配車要求送信部57を介して、遠隔管制装置7に配車要求及び利用者情報を送信する(S31)。
【0134】
遠隔管制装置7の運行管理部74は、予約配車装置5から配車要求を取得すると、配車要求に示される自動運転車8Aの運行計画を生成する。具体的には、運行管理部74は、地図管理部75の地図情報及び道路交通情報に基づいて、乗客の出発地から目的地までの経路を予定経路として設定する(S32)。運行管理部74は、乗客が希望する出発地や目的地に時刻通り到着できるように、生成した運行計画と配車指示(出発地への動作指示)とを、車両管理部72に出力する(S33)。車両管理部72は、車両通信部71を介して自動運転車8Aを移動させる。これにより、自動運転車8Aが出発地に移動する。
【0135】
出発地にて、乗客が自動運転車8Aに乗車する際に、遠隔管制装置7は、提示装置8aを介して、着座案内を行う(S34)。例えば、遠隔管制装置7の車両管理部72は、運転可能な乗客を運転席に着座するように誘導し、運転可能でない乗客を運転席以外の座席に着座するように誘導する。なお、着座案内は、自動運転車8Aのドアが開いたことが検知されると実行されるとしてもよい。
【0136】
自動運転車8Aは、センサによって乗客の乗車状態を検知し、検知した結果を示す乗客状態情報を生成する(S35)。なお、自動運転車8Aは、自動運転車8Aに搭載されるセンサによって、乗客の体調を検知してもよい。
【0137】
また、自動運転車8Aは、センサを用いて車両状況情報を生成し、生成した車両状況情報を遠隔管制装置7に送信する(S36)。
【0138】
遠隔管制装置7が車両状況情報を受信すると、車両状況情報から自動運転車8Aが走行可能な状態であると判定されれば、遠隔管制装置7の車両管理部72は、車両通信部71を介して、運行計画にしたがって目的地への移動である動作指示を自動運転車8Aに送信する(S37)。自動運転車8Aが走行可能な状態とは、自動運転車8Aの座席に乗客が着座して、ドアが閉められた状態等である。自動運転車8Aは、動作指示を取得すると、乗客の目的地に向けて移動を開始する。
【0139】
自動運転車8Aは、生成した乗客状態情報、車両状況情報、及びセンシング情報を遠隔管制装置7に送信する(S38)。
【0140】
監視対象推薦部73は、運転可能な乗客の割り当て結果にしたがって、自動運転車8Aの監視優先度を決定する(S39)。例えば、監視対象推薦部73は、自動運転車8Aの乗客が運転スキルを有する場合、監視優先度を低く決定し、当該乗客が運転スキルを有しない場合は、監視優先度を高く決定する。監視対象推薦部73は、決定した監視優先度を監視制御部77に出力する。
【0141】
監視制御部77は、監視対象推薦部73から監視優先度を取得すると、監視優先度にしたがって監視対象を決定する(S40)。例えば、監視制御部77は、自動運転車8Aの監視優先度が他の自動運転車8よりも高い場合、自動運転車8Aを監視対象として決定する。監視制御部77は、監視対象として決定した自動運転車8の情報を映像管理部78に出力する。
【0142】
映像管理部78は、監視制御部77から監視対象の自動運転車8の情報を取得すると、監視対象の自動運転車8の監視映像を生成する(S41)。
【0143】
自動運転車8Aに運転可能な乗客が乗車する場合(すなわち自動運転車8Aの監視優先度が低い場合)、映像管理部78は、自動運転車8A以外の他の自動運転車8の監視映像を生成する。映像管理部78は、生成した監視映像を映像表示装置9aに送信する(S42a)。
【0144】
また、自動運転車8Aに運転可能な乗客が乗車しない場合(すなわち自動運転車8Aの監視優先度が高い場合)、映像管理部78は、自動運転車8Aの監視映像を生成する。映像管理部78は、生成した監視映像を映像表示装置9aに送信する(S42b)。
【0145】
映像表示装置9aは、遠隔管制装置7の映像管理部78から受信した自動運転車8の監視映像を表示する(S43)。
【0146】
ステップS42a及びステップS42bのいずれの場合でも、映像表示装置9aは、運転可能な乗客が乗車していない自動運転車8の情報を表示する。
【0147】
次に、情報処理システム1の動作について、図6を用いて説明する。また、図5と同様の処理については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0148】
図6は、実施の形態における情報処理システム1における自動運転車8が自動運転不能となった場合の動作を示すシーケンス図である。
【0149】
ここでは、自動運転車8Aが運行中に自動運転不能となった後の処理について説明する。
【0150】
図6に示すように、自動運転車8Aは、センサによって乗車した乗客の乗車状態を検知し、検知した結果を示す乗客状態情報を生成する(S35)。
【0151】
自動運転車8Aは、生成した乗客状態情報、車両状況情報、及びセンシング情報を所定期間間隔ごとに遠隔管制装置7に送信する(S38)。
【0152】
監視対象推薦部73は、運転可能な乗客の割り当て結果にしたがって、自動運転車8Aの監視優先度を決定する(S39)。
【0153】
監視制御部77は、監視対象推薦部73から監視優先度を取得すると、監視優先度にしたがって監視対象となる自動運転車8を決定する(S40)。
【0154】
映像管理部78は、監視制御部77から監視対象の自動運転車8の情報を取得すると、監視対象の自動運転車8の監視映像を生成する(S41)。
【0155】
映像管理部78は、監視対象の自動運転車8の監視映像を映像表示装置9aに送信する(S42)。
【0156】
映像表示装置9aは、遠隔管制装置7の映像管理部78から受信された自動運転車8の監視映像を表示する(S43)。
【0157】
自動運転車8Aに運転可能な乗客が乗車する場合(すなわち自動運転車8Aの監視優先度が低い場合)、操作入力装置9bは、オペレータの入力に基づいて遠隔管制装置7に手動運転指示を送信する(S58a)。遠隔管制装置7は、受信した手動運転指示及び運転要求を自動運転車8に送信する(S58b)。
【0158】
自動運転車8は、手動運転指示を受信すると、自動運転状態から手動運転状態に遷移する。また、自動運転車8の提示装置8aは、運転要求に基づいて乗客に対する手動運転依頼を表示する(S59)。
【0159】
自動運転車8Aに乗車する運転可能な乗客により手動運転状態の自動運転車8が運転されることで、自動運転車8は、手動運転による走行を行う(S60)。
【0160】
また、自動運転車8Aに運転可能な乗客が乗車しない場合(すなわち自動運転車8Aの監視優先度が高い場合)、操作入力装置9bは、オペレータの入力に基づいて遠隔管制装置7に遠隔操縦指示を送信する(S61a)。遠隔管制装置7は、受信した遠隔操縦指示を自動運転車8Aに送信する(S61b)。
【0161】
自動運転車8Aは、遠隔操縦指示を受信すると、自動運転状態から遠隔操縦状態に遷移する。これにより、自動運転車8は、オペレータにより遠隔操縦されることで、遠隔操縦による走行を行う(S62)。
【0162】
<作用効果>
次に、本実施の形態における情報処理方法及び情報処理システム1の作用効果について説明する。
【0163】
以上のように、本実施の形態における情報処理方法及び情報処理システム1によれば、運転可能な複数の乗客を複数の自動運転車8に可能な限り分散して割り当てるため、自動運転車8に運転可能な乗客が乗車しない可能性を減らすことができる。言い換えると、1台の自動運転車8に少なくとも1人の運転可能な乗客を搭乗させ易くなる。このため、例えば、自動運転車8の状態が自動運転状態から手動運転状態に変化した場合でも、運転可能な乗客が手動運転状態の自動運転車8を運転することにより、自動運転車8の運行停止を回避できる。また、自動運転車8に運転可能な乗客が乗車していない、すなわちオペレータによる遠隔操縦が要求される自動運転車8の数が抑制されるため、オペレータ不足による自動運転車8の運行停止を抑制できる。言い換えると、オペレータによる介入が抑制された自動運転車8を増加させることができる。このように、自動運転車8の運行停止を抑制しながら、オペレータによる自動運転車8への介入を抑制することができる。
【0164】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態等に限定されるものではない。
【0165】
例えば、上記実施の形態では、手動運転指示が操作入力装置5により生成される例を説明した。しかし、手動運転指示は、遠隔管制装置7が生成してもよい。例えば、車両状況情報から自動運転車8が自動運転不能になったことが検知されると、利用者情報に基づいて当該自動運転車8に運転可能な乗客が乗車しているか否かが判定される。運転可能な乗客が乗車していると判定されると、手動運転指示が生成され、自動運転車8に送信される。運転可能な乗客が乗車していないと判定されると、手動運転指示は生成されない。手動運転指示が生成されない場合、遠隔操縦指示が送信されてもよい。上記処理は、例えば車両管理部72又は監視対象推薦部73が実行してもよい。
【0166】
また、上記実施の形態に係る情報処理方法及び情報処理システムにおいて、配車制御部54は、運転可能な乗客それぞれの体調にもしたがって、複数の乗客それぞれに自動運転車8を割り当ててもよい。具体的には、端末装置3は、乗車予約の入力の際に、予約者に体調を入力させ、入力された体調を示す体調情報を予約処理部53に送信する。配車制御部54は、予約処理部53から受け取った乗車予約に含まれる予約者の体調を示す体調情報を取得する。体調は、健康状態、酒酔いの状態の有無又は程度等である。体調情報は、予約時において入力される代わりに、予約者の顔の撮像画像から推定されてもよい。予約者が運転スキルを有し体調が良好である、すなわち運転可能な状態である場合、配車制御部54は、運転可能で体調が良好な乗客が予約していない自動運転車8を予約者に割り当てる。予約者が運転スキルを有しているが体調が不良である、すなわち運転不可能な状態である場合、配車制御部54は、運転可能で体調が良好な乗客が予約している自動運転車8を予約者に割り当てる。なお、体調情報は、予約後に更新されてもよい。
【0167】
また、上記実施の形態に係る情報処理方法及び情報処理システムにおいて、配車制御部54は、運転可能な乗客それぞれの運転履歴にもしたがって、複数の乗客それぞれに自動運転車8が割り当ててもよい。具体的には、端末装置3は、乗客登録の際に、乗客に運転履歴を入力させ、入力された運転履歴を含む乗客情報を予約処理部53に送信する。予約処理部53は、運転履歴を含む乗客情報を乗客データベースに格納する。配車制御部54は、乗客データベースを参照して、運転可能な乗客それぞれの運転履歴を取得する。運転履歴は、運転可能な乗客が実際に手動運転状態の自動運転車8を手動運転した回数、期間等である。予約者が運転スキルを有し運転経験が多い場合、配車制御部54は、運転可能で運転経験が多い乗客が予約していない自動運転車8を予約者に割り当てる。予約者が運転スキルを有しているが運転経験が少ない場合、配車制御部54は、運転可能で運転経験が多い乗客が予約している自動運転車8を予約者に割り当てる。なお、運転履歴は、定期的に又は乗客が運転する度に更新されてもよい。
【0168】
また、上記実施の形態に係る情報処理方法及び情報処理システムは、コンピュータを用いたプログラムによって実現され、このようなプログラムは、記憶装置に記憶されてもよい。
【0169】
また、上記実施の形態に係る情報処理方法及び情報処理システムに含まれる各処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0170】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0171】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0172】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0173】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0174】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0175】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0176】
本開示は、自動運転車、自動運転車を遠隔操縦する装置、自動運転車の状態を提示する端末装置、或いはこれらを含むシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0177】
1 情報処理システム
3 提示装置
5 予約配車装置
7 遠隔管制装置
8 自動運転車
8a 提示装置
51 乗客登録処理部(取得部の一例)
53 予約処理部(取得部、出力部の一例)
54 配車制御部(割り当て部)
57 配車要求送信部(出力部の一例)
72 車両管理部
73 監視対象推薦部
74 運行管理部
77 監視制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6