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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】送風制御システム及び送風制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/72 20180101AFI20240531BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20240531BHJP
   F24F 120/14 20180101ALN20240531BHJP
【FI】
F24F11/72
F24F11/64
F24F120:14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020111396
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022022587
(43)【公開日】2022-02-07
【審査請求日】2023-04-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中川 朋美
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-003195(JP,A)
【文献】特開2016-027293(JP,A)
【文献】特開2017-036916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得する敏感情報取得部と、
前記ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、
送風制御の目標値を取得する目標値取得部と、
前記生体情報、前記敏感情報、前記環境情報及び前記目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成するパターン生成部と、
前記複数の送風制御パターンを前記ユーザに提示する提示部と、
前記複数の送風制御パターンの1つの選択を前記ユーザから受け付ける受付部と、
前記選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行う制御部と、
を備え、
前記複数の送風制御パターンは、前記敏感情報に基づいて定められる閾値を所定の制御パラメータが超えない状態を維持しながら、前記生体情報及び前記環境情報に基づいて定められる生体値を前記目標値に到達させる快適制御パターンを含み、
前記生体値は、前記ユーザからの放熱量であり、
前記所定の制御パラメータは、前記ユーザからの放熱量の瞬時値である、
送風制御システム。
【請求項2】
ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、
前記ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得する敏感情報取得部と、
前記ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、
送風制御の目標値を取得する目標値取得部と、
前記生体情報、前記敏感情報、前記環境情報及び前記目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成するパターン生成部と、
前記複数の送風制御パターンを前記ユーザに提示する提示部と、
前記複数の送風制御パターンの1つの選択を前記ユーザから受け付ける受付部と、
前記選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行う制御部と、
を備え、
前記複数の送風制御パターンは、前記敏感情報に基づいて定められる閾値を所定の制御パラメータが超えない状態を維持しながら、前記生体情報及び前記環境情報に基づいて定められる生体値を前記目標値に到達させる快適制御パターンを含み、
前記敏感情報は、前記ユーザの冷覚閾値である、
送風制御システム。
【請求項3】
前記複数の送風制御パターンは、前記生体値が前記目標値に達するまでに要する時間が前記快適制御パターンよりも短い時短制御パターンを含む、
請求項1又は2に記載の送風制御システム。
【請求項4】
前記敏感情報は、前記ユーザからの前記敏感さに関する自己申告、又は、前記ユーザの身体情報である、
請求項1~のいずれか1項に記載の送風制御システム。
【請求項5】
さらに、前記自己申告又は前記身体情報と冷覚閾値とを対応付けたデータベースを備え、
前記パターン生成部は、前記データベースを参照することで前記ユーザの冷覚閾値を決定する、
請求項に記載の送風制御システム。
【請求項6】
ユーザの生体情報を取得するステップと、
前記ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得するステップと、
前記ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得するステップと、
送風制御の目標値を取得するステップと、
前記生体情報、前記敏感情報、前記環境情報及び前記目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成するステップと、
前記複数の送風制御パターンを前記ユーザに提示するステップと、
前記複数の送風制御パターンの1つの選択を前記ユーザから受け付けるステップと、
前記選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行うステップと、
を含み、
前記複数の送風制御パターンは、前記敏感情報に基づいて定められる閾値を所定の制御パラメータが超えない状態を維持しながら、前記生体情報及び前記環境情報に基づいて定められる生体値を前記目標値に到達させる快適制御パターンを含み、
前記生体値は、前記ユーザからの放熱量であり、
前記所定の制御パラメータは、前記ユーザからの放熱量の瞬時値である、
送風制御方法。
【請求項7】
ユーザの生体情報を取得するステップと、
前記ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得するステップと、
前記ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得するステップと、
送風制御の目標値を取得するステップと、
前記生体情報、前記敏感情報、前記環境情報及び前記目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成するステップと、
前記複数の送風制御パターンを前記ユーザに提示するステップと、
前記複数の送風制御パターンの1つの選択を前記ユーザから受け付けるステップと、
前記選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行うステップと、
を含み、
前記複数の送風制御パターンは、前記敏感情報に基づいて定められる閾値を所定の制御パラメータが超えない状態を維持しながら、前記生体情報及び前記環境情報に基づいて定められる生体値を前記目標値に到達させる快適制御パターンを含み、
前記敏感情報は、前記ユーザの冷覚閾値である、
送風制御方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の送風制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風制御システム及び送風制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人の温冷感を推定し、推定した温冷感に基づいて風量を制御する空気調和機の制御方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示された制御方法では、人体温度と人の周囲温度との差分値を放熱量の指標として用いて、温冷感を推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-32154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放熱量を用いて推定された温冷感に基づいた送風制御では、放熱量が同じであれば同じ送風制御になる。しかしながら、暑さ及び寒さに対する快適さ又は不快さの感じ方(温熱的快適感)は、人によって異なる。このため、放熱量を用いて推定される温冷感に基づいた送風制御では、人によっては不快に感じさせることになる。不快さを解消するために余分な電力消費が行われ、送風制御の効率が悪い。
【0005】
そこで、本発明は、ユーザの快適性を効率良く実現することができる送風制御システム及び送風制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る送風制御システムは、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、前記ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得する敏感情報取得部と、前記ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、送風制御の目標値を取得する目標値取得部と、前記生体情報、前記敏感情報、前記環境情報及び前記目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成するパターン生成部と、前記複数の送風制御パターンを前記ユーザに提示する提示部と、前記複数の送風制御パターンの1つの選択を前記ユーザから受け付ける受付部と、前記選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行う制御部と、を備え、前記複数の送風制御パターンは、前記敏感情報に基づいて定められる閾値を所定の制御パラメータが超えない状態を維持しながら、前記生体情報及び前記環境情報に基づいて定められる生体値を前記目標値に到達させる快適制御パターンを含む。
【0007】
本発明の一態様に係る送風制御方法は、ユーザの生体情報を取得するステップと、前記ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得するステップと、前記ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得するステップと、送風制御の目標値を取得するステップと、前記生体情報、前記敏感情報、前記環境情報及び前記目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成するステップと、前記複数の送風制御パターンを前記ユーザに提示するステップと、前記複数の送風制御パターンの1つの選択を前記ユーザから受け付けるステップと、前記選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行うステップと、を含み、前記複数の送風制御パターンは、前記敏感情報に基づいて定められる閾値を所定の制御パラメータが超えない状態を維持しながら、前記生体情報及び前記環境情報に基づいて定められる生体値を前記目標値に到達させる快適制御パターンを含む。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記送風制御方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現することができる。あるいは、当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザの快適性を効率良く実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る送風制御システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、風に対する敏感さが異なる2人のユーザに対して、同じ風を当てた場合に2人のユーザが感じる快適感を説明するための図である。
図3図3は、実施の形態に係る送風制御システムによる作用効果を説明するための図である。
図4図4は、センサを用いた冷覚閾値の計測方法を説明するための図である。
図5図5は、自己申告と風に対する敏感さとの関係を示す図である。
図6図6は、体重と風に対する敏感さとの関係を示す図である。
図7図7は、実施の形態に係る送風制御システムの動作を示すフローチャートである。
図8図8は、送風制御パターンの選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態に係る送風制御システム及び送風制御方法について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係る送風制御システムの概要について、図1図3を用いて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る送風制御システム1の構成を示すブロック図である。図2は、風に対する敏感さが異なる2人のユーザに対して、同じ風を当てた場合に2人のユーザが感じる快適感を説明するための図である。図3は、本実施の形態に係る送風制御システム1による作用効果を説明するための図である。
【0015】
図1に示されるように、送風制御システム1は、送風制御装置2と、送風機3とを備える。
【0016】
送風制御装置2は、送風機3の送風を制御する。送風制御装置2は、送風機3と有線又は無線で通信する制御端末である。送風制御装置2は、壁面などに設けられた操作端末であってもよく、ユーザが所持するスマートフォンなどの携帯端末であってもよい。あるいは、送風制御装置2は、送風機3と一体的に設けられていてもよい。つまり、送風制御システム1は、スタンドアローン方式の装置であってもよい。
【0017】
送風機3は、図2に示されるように、風4を送り出す装置である。送風機3は、風4の風量、風速、風向、風温及び送風時間などを調整可能である。送風機3は、例えば、一定の風量及び風速の風を送り出すだけでなく、風量及び風速の強弱が時間変化する揺らぎ風を送り出すことができる。また、送風機3は、時間連続的に送風を行うだけでなく、時間間欠的に送風を行ってもよい。送風機3は、送風制御装置2によって決定された送風制御パターンによって風4を送り出す。
【0018】
図2には、2人のユーザ5及び6が示されている。ユーザ5は、暑がり、すなわち、風4に対して鈍感である。ユーザ6は、寒がり、すなわち、風4に対して敏感である。
【0019】
送風機3がユーザ5及び6の各々に対して同じ風4を当てた場合、暑がりのユーザ5にとっては快適であるが、寒がりのユーザ6にとっては、過度な放熱又は風による不快な状態になりうる。逆に、寒がりのユーザ5にとっては快適であるが、暑がりのユーザ5にとっては、不十分な放熱又は風による不快な状態も起こりうる。
【0020】
これは、ユーザ5及び6の風4に対する敏感さが異なるためである。したがって、ユーザ5及び6の各々に対して快適な送風を行うためには、ユーザ個人の風4に対する敏感さに基づいた送風制御が求められる。仮に、ユーザ5又は6を不快にさせてしまった場合には、快適な状態にリカバリーするための送風制御、又は、エアコンなどによる室温若しくは湿度の調整が必要になり、本来不要な電力が消費されて効率が悪くなる。
【0021】
これに対して、送風制御システム1は、ユーザ5及び6の各々の風に対する敏感さに基づいて送風制御を行う快適制御モードを送風制御モードとして有する。快適制御モードでは、図3に示されるように、送風機3は、風に対する敏感さが異なるユーザ5及び6の各々に当てる風を異ならせる。例えば、寒がりのユーザ6には、暑がりのユーザ5に当てる風4よりも弱い風7を当てる。これにより、ユーザ5及び6のいずれも不快にならないように、ユーザ5及び6に対して快適な送風を行うことができる。したがって、ユーザ5及び6の快適性を効率良く実現することができる。
【0022】
[送風制御装置の構成]
次に、送風制御装置2の具体的な構成について、図1を用いて説明する。
【0023】
送風制御装置2は、敏感情報取得部10と、生体情報取得部20と、環境情報取得部30と、目標値取得部40と、パターン生成部50と、提示部60と、受付部70と、制御部80とを備える。
【0024】
敏感情報取得部10は、ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得する。複数のユーザが対象である場合には、敏感情報取得部10は、ユーザ毎の敏感情報を取得する。敏感情報取得部10は、図1に示されるように、冷覚閾値取得部11と、申告受付部12と、身体情報取得部13とを含む。なお、敏感情報取得部10は、冷覚閾値取得部11、申告受付部12及び身体情報取得部13の少なくとも1つを含めばよい。
【0025】
冷覚閾値取得部11は、ユーザの冷覚閾値を取得する。冷覚閾値は、敏感情報の一例であり、皮膚に与えられる冷たさに対してユーザが不快に感じたときの皮膚温に基づく値である。冷覚閾値は、個人差があり、ユーザに応じて異なりうる値である。冷覚閾値取得部11は、ユーザの冷覚を計測するセンサで実現される。具体的な冷覚閾値の取得方法については、図4を用いて後で説明する。
【0026】
申告受付部12は、敏感さに関するユーザの自己申告を取得する。自己申告は、敏感情報の一例であり、暑がり、寒がり又はそのどちらでもないというユーザの自身への自己評価値である。申告受付部12は、タッチパネルディスプレイ又はマイクロフォンなどの入力装置で実現される。
【0027】
身体情報取得部13は、ユーザの身体情報を取得する。身体情報は、敏感情報の一例であり、体重、推定骨量、内臓脂肪量、基礎代謝量、体内年齢及び体水分率などの少なくとも1つを含む。身体情報取得部13は、ユーザの身体情報を測定する測定装置で実現される。
【0028】
生体情報取得部20は、ユーザの生体情報を取得する。生体情報は、ユーザの生体値を決定するために用いられる情報である。生体値は、例えば放熱量、皮膚温及び発汗量などの少なくとも1つである。生体情報取得部20は、例えば、ユーザの熱画像を生体情報として取得するサーモカメラ又は熱画像センサで実現される。生体情報取得部20は、ユーザの皮膚温を測定する温度計で実現されてもよい。
【0029】
環境情報取得部30は、ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得する。環境情報は、例えば、ユーザが居る空間の温度又は湿度を含む情報である。環境情報取得部30は、例えば、熱画像センサ又は温度計などで実現される。なお、環境情報取得部30と生体情報取得部20とは、単一のサーモカメラで実現されてもよい。単一のサーモカメラがユーザとその周囲(例えば、ユーザが居る部屋の壁面)とを含む熱画像を取得することで、生体情報と環境情報とを同時に取得することができる。
【0030】
目標値取得部40は、送風制御の目標値を取得する。目標値は、送風制御によって達成すべきユーザの生体値である。例えば、生体値は、送風制御による放熱量の累積値であり、目標値は、送風制御によって達成すべきユーザの放熱量である。目標値取得部40は、ユーザからの入力に基づいて目標値を取得する。目標値取得部40は、タッチパネルディスプレイ又はマイクロフォンなどの入力装置で実現される。あるいは、目標値は、予め設定されていてもよい。この場合、目標値取得部40は、メモリなどの記憶装置(図示せず)から目標値を読み出すことで取得してもよい。
【0031】
パターン生成部50は、生体情報、敏感情報、環境情報及び目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成する。図1に示されるように、パターン生成部50は、敏感さ決定部51と、データベース52と、パターン演算部53とを含む。
【0032】
敏感さ決定部51は、冷覚閾値に基づいてユーザの風に対する敏感さを決定する。また、敏感さ決定部51は、自己申告又は身体情報に基づいてユーザの風に対する敏感さを決定する。例えば、冷覚閾値取得部11によって取得される冷覚閾値を利用することができない場合、敏感さ決定部51は、自己申告又は身体情報に基づいてデータベース52を参照することで、風に対する敏感さを決定する。風に対する敏感さは、例えば、「敏感」、「普通」及び「鈍感」などの複数の段階で表される。冷覚閾値と敏感さとの関係については、図4を用いて後で説明する。
【0033】
データベース52は、敏感情報と風に対する敏感さとの関係を対応付けたデータベースである。具体的には、データベース52は、冷覚閾値と風に対する敏感さとを対応付けた対応情報を含んでいる。また、データベース52は、自己申告及び身体情報の各々と冷覚閾値との相関関係を含んでいる。当該相関関係の詳細については、図5及び図6を用いて後で説明する。
【0034】
また、送風制御の対象となるユーザが複数存在する場合、データベース52は、ユーザ毎の敏感情報を記憶していてもよい。具体的には、データベース52は、冷覚閾値、自己申告又は身体情報をユーザ毎に対応付けた対応情報を含んでいてもよい。
【0035】
パターン演算部53は、複数の送風制御パターンを生成する。複数の送風制御パターンはいずれも、生体情報及び環境情報に基づいて定められる生体値を目標値に到達させる制御パターンである。複数の送風制御パターンは、快適制御パターンと、時短制御パターンとを含む。快適制御パターンは、敏感情報に基づいて定められる閾値を所定の制御パラメータが超えない状態を維持しながら、生体値を目標値に到達させる制御パターンである。時短制御パターンは、生体値が目標値に達するまでに要する時間が快適制御パターンよりも短い制御パターンである。
【0036】
例えば、パターン演算部53は、敏感さ決定部51によって決定された敏感さに基づいて快適制御パターンを生成する。具体的には、パターン演算部53は、敏感さ決定部51によって決定された敏感さに基づいて、制御パラメータとの比較に用いられる閾値を決定する。制御パラメータは、例えば、ユーザからの放熱量の瞬時値である。放熱量の瞬時値との比較に用いられる閾値は、風に対して敏感である程、小さい値であり、風に対して鈍感である程、大きい値である。快適制御パターンでは、放熱量の瞬時値が閾値を上回らないように制御される。このため、例えば、風に対して敏感なユーザ6(寒がりなユーザ)では閾値が小さい値になるので、放熱量の瞬時値が大きくなり過ぎないようにすることができる。つまり、寒がりのユーザ6から熱を奪い過ぎないようにすることができるので、ユーザ6の快適さを保つことができる。風に対して鈍感なユーザ5(暑がりなユーザ)では閾値が大きい値になるので、放熱量の瞬時値を大きくすることができ、目標値に到達するまでの時間を短くすることができる。
【0037】
制御パラメータは、風量、風速、風温及び送風時間の少なくとも1つであってもよい。
【0038】
例えば、風量、風速及び送風時間との比較に用いられる閾値は、風に対して敏感である程、小さい値であり、風に対して鈍感である程、大きい値である。快適制御パターンでは、風量、風速及び送風時間の少なくとも1つが、対応する閾値を上回らないように制御される。このため、例えば、風に対して敏感なユーザ6では閾値が小さい値になるので、風量若しくは風速が大きくなり過ぎないように、又は、送風時間が長くなり過ぎないようにすることができる。これにより、強過ぎる風が寒がりのユーザ6に当たらないようにすることができ、又は、風が長時間当たらないようにすることができるので、ユーザ6の快適さを保つことができる。風に対して鈍感なユーザ5(暑がりなユーザ)では閾値が大きい値になるので、放熱量の場合と同様に、目標値に到達するまでの時間を短くすることができる。制御パラメータが風速の場合を一例に挙げると、例えば、風に対して敏感な場合の閾値を1.5m/秒とし、風に対して鈍感な場合の閾値を2.0m/秒とすることができる。
【0039】
また、風温との比較に用いられる閾値は、風に対して敏感である程、大きい値であり、風に対して鈍感である程、小さい値である。快適制御パターンでは、風温が閾値を下回らないように制御される。これにより、風に対して敏感なユーザ6では閾値が大きな値になるので、風温が下がり過ぎないようにすることができる。これにより、冷た過ぎる風が寒がりのユーザ6に当たらないようにすることができるので、ユーザ6の快適さを保つことができる。風に対して鈍感なユーザ5では閾値が小さな値になるので、放熱量の場合と同様に、目標値に到達するまでの時間を短くすることができる。
【0040】
また、パターン演算部53は、ユーザの生体情報、環境情報及び目標値に基づいて時短制御パターンを生成する。例えば、パターン演算部53は、ユーザの生体値が目標値に最短で達する送風制御パターンを時短制御パターンとして生成する。
【0041】
敏感さ決定部51及びパターン演算部53は、1つ以上の集積回路(IC:Integrated Circuit)であるLSI(Large Scale Integration)によって実現される。敏感さ決定部51及びパターン演算部53の各々が実行する機能は、ソフトウェアで実現されてもよく、ハードウェアで実現されてもよい。データベース52は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性記憶装置に記憶されている。
【0042】
提示部60は、複数の送風制御パターンをユーザに提示する。提示部60は、例えばディスプレイで実現される。提示部60は、複数の送風制御パターンを選択肢として含む選択画面を生成して表示する。選択画面の具体例については、図8を用いて後で説明する。なお、提示部60は、スピーカで実現され、複数の送風制御パターンを音声でユーザに提示してもよい。
【0043】
受付部70は、複数の送風制御パターンの1つの選択をユーザから受け付ける。受付部70は、タッチパネルディスプレイ又はマイクロフォンなどの入力装置で実現される。受付部70、提示部60及び目標値取得部40は、単一のタッチパネルディスプレイで実現されてもよい。
【0044】
制御部80は、送風機3を制御する。本実施の形態では、制御部80は、選択モードと自動モードとを含む複数の動作モードを有する。選択モードでは、制御部80は、複数の送風制御モードをユーザに提示し、ユーザによって選択された送風制御モードで送風機3を制御する。選択モードにおいて、制御部80は、受付部70で選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行う。自動モードでは、制御部80は、放熱量の瞬時値などの所定のパラメータと閾値との比較結果に基づいて送風機3を制御する。
【0045】
制御部80は、例えば、集積回路であるLSIによって実現される。なお、集積回路は、LSIに限られず、専用回路又は汎用プロセッサであってもよい。例えば、制御部80は、マイクロコントローラであってもよい。プロセッサ又はマイクロコントローラは、例えば、プログラムが格納された不揮発性メモリ、プログラムを実行するための一時的な記憶領域である揮発性メモリ、入出力ポート、プログラムを実行するプロセッサなどを含んでいる。また、制御部80は、プログラム可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又は、LSI内の回路セルの接続及び設定が再構成可能なリコンフィギュラブルプロセッサであってもよい。制御部80が実行する機能は、ソフトウェアで実現されてもよく、ハードウェアで実現されてもよい。
【0046】
なお、冷覚閾値取得部11、申告受付部12、身体情報取得部13、生体情報取得部20、環境情報取得部30及び目標値取得部40はいずれも、外部のセンサ、入力装置及び測定装置などと有線通信又は無線通信を行うことで、各情報を取得する通信インタフェースで実現されてもよい。また、冷覚閾値取得部11、身体情報取得部13、生体情報取得部20、環境情報取得部30及び目標値取得部40は、各情報の入力を受け付ける入力装置であってもよい。
【0047】
[冷覚閾値]
次に、冷覚閾値取得部11が取得する冷覚閾値について説明する。図4は、センサを用いた冷覚閾値の計測方法を説明するための図である。
【0048】
センサは、ユーザの額又は頬などの皮膚に接触させるプローブを有する。プローブの接触部位は、接触している皮膚との熱的平衡状態を保った後、徐々に温度を低下させる。図4に示されるように、最初は、ユーザは冷たさを感じず、快適である。温度がT1まで低下したときに、ユーザは、接触部位に冷たさを感じるが、まだこの時点では、快適である。温度がさらに低下することで、接触部位の冷たさが増し、ユーザは、不快さを感じる。この不快に感じたときの温度T2を冷覚閾値として用いることができる。
【0049】
このように、冷覚閾値取得部11は、ユーザの冷覚閾値を計測することにより、冷覚閾値を敏感情報として取得することができる。なお、上述した通り、冷覚閾値を計測できない場合は、ユーザの自己申告及び身体情報の少なくとも1つを利用することができる。これは、冷覚閾値と自己申告及び身体情報の各々とには相関関係があるためである。以下では、この相関関係について図5及び図6を用いて説明する。
【0050】
[自己申告と冷覚閾値との相関関係]
本願発明者らは、複数の被験者に対して、センサを用いた冷覚閾値の計測と、風に対する敏感さの自己申告の受付とを行った。冷覚閾値の計測は、図4を用いて説明した通りであり、被験者の頬にプローブを接触させることにより行われた。自己申告の受付は、寒がりの程度(風に対する敏感さの一例)を表す複数の選択肢を複数の被験者に提示し、各被験者が自身の性質として当てはまる選択肢を選択してもらうことにより行われた。冷覚閾値の計測結果と自己申告とを対応付けた散布図を図5に示す。
【0051】
図5は、自己申告と風に対する敏感さと関係を示す図である。図5において、横軸は風に対する敏感さの自己申告を表している。左側程、自己申告による寒がりの程度が強い(すなわち、より寒がりである)ことを表し、右側程、寒がりの程度が弱い(寒がりではない)ことを表している。縦軸は、不快に感じたときのプローブの温度(冷覚閾値に相当)を表している。上側程、温度が高いときに不快であると感じた、すなわち、冷たさに対して敏感であることを表し、下側程、温度が低いときに不快であると感じた、すなわち、冷たさに対して鈍感であることを表している。
【0052】
図5に示される斜めの点線は、各プロットの線形近似式を表している。線形近似式から分かるように、自己申告と冷覚閾値とは相関関係を有することが判明した。したがって、冷覚閾値が取得できない場合であっても、寒がりの程度を表す自己申告に基づいて冷覚閾値を精度良く推定することができる。なお、図示は省略されているが、暑がりの程度の自己申告(暑がり~暑がりでない)と冷覚閾値とに相関関係を有することも確認できている。
【0053】
[身体情報と冷覚閾値との相関関係]
また、本願発明者らは、複数の被験者に対して、センサを用いた冷覚閾値の計測と、身体情報の取得とを行った。冷覚閾値の計測は、図4を用いて説明した通りであり、被験者の額にプローブを接触させることにより行われた。身体情報の取得では、被験者の体重を取得した。冷覚閾値の計測結果と体重とを対応付けた散布図を図6に示す。
【0054】
図6は、体重と風に対する敏感さとの関係を示す図である。図6において、横軸は体重を表している。左側程、体重が軽く、右側程、体重が重いことを表している。縦軸は、不快に感じたときのプローブの温度を表しており、図5の縦軸と同じである。
【0055】
図6に示される斜めの点線は、各プロットの線形近似式を表している。線形近似式から分かるように、体重と冷覚閾値とは相関関係を有することが判明した。したがって、冷覚閾値が取得できない場合であっても、体重に基づいて冷覚閾値を精度良く推定することができる。なお、図示は省略されているが、推定骨量、内臓脂肪量、基礎代謝量、体内年齢及び体水分率と冷覚閾値とに相関関係を有することも確認できている。
【0056】
[動作]
次に、本実施の形態に係る送風制御システム1の動作について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る送風制御システム1の動作を示すフローチャートである。
【0057】
図7に示されるように、まず、生体情報取得部20及び環境情報取得部30が熱画像を取得する(S10)。熱画像には、ユーザの皮膚の温度、及び、ユーザの周囲の壁面温度などが含まれる。
【0058】
次に、パターン演算部53は、取得された熱画像に基づいて、ユーザの放熱量を推定する(S12)。放熱量の推定方法は、特に限定されず、従来知られている方法を利用することができる。
【0059】
次に、目標値取得部40は、目標値を取得する(S14)。例えば、目標値取得部40は、予め設定された目標値を取得する。
【0060】
次に、制御部80は、動作モードを判定する(S16)。動作モードが選択モードである場合(S16で“選択モード”)、敏感さ決定部51は、ユーザの敏感さを決定する(S18)。
【0061】
具体的には、まず、敏感情報取得部10が敏感情報を取得する。例えば、冷覚閾値取得部11が、ユーザの冷覚閾値を計測する。あるいは、申告受付部12が、ユーザの自己申告を取得してもよい。また、身体情報取得部13が、ユーザの身体情報を取得してもよい。敏感さ決定部51は、取得された冷覚閾値、自己申告又は身体情報に基づいてデータベース52を参照することで、ユーザの敏感さを決定する。
【0062】
次に、パターン演算部53は、複数の送風制御パターンを生成する(S20)。具体的には、パターン演算部53は、ユーザの敏感さに応じた快適制御パターン、及び、時短制御パターンを含む複数の送風制御パターンを生成する。
【0063】
次に、提示部60は、複数の送風制御パターンを表示する(S22)。例えば、提示部60は、図8に示される選択画面を生成して表示する。図8は、送風制御パターンの選択画面の一例を示す図である。図8に示す表示画面では、2つの快適制御パターンと1つの時短制御パターンとを含む3つの送風制御パターンが選択肢61として表示されている。また、3つの送風制御パターンにはそれぞれ、目標値に達するまでに要する所要時間が合わせて表示されている。2つの快適制御パターンは、所要時間が互いに異なっている。例えば、快適制御パターンAでは、快適制御パターンBよりも快適性が少し損なわれるが、その分、短期間で目標値に達することができる。ユーザは、3つの選択肢61から1つを選択した後、決定ボタン62を押す。これにより、受付部70は、送風制御パターンの選択を受け付ける(S24)。
【0064】
次に、制御部80は、選択を受けた送風制御パターンで送風機3を制御する(S26)。
【0065】
以降、ステップS10から上述した処理を繰り返す。なお、ユーザの敏感さを決定するステップS18では、ユーザの冷覚閾値の計測、自己申告の取得又は身体情報の取得は予め行われていてもよく、データベース52に冷覚閾値、自己申告及び身体情報が記憶されていてもよい。
【0066】
また、ステップS16において、動作モードが自動モードである場合(S16で“自動モード”)、制御部80は、ユーザの放熱量の瞬時値の判定を行う(S28)。放熱量の瞬時値は、ステップS10で取得した熱画像に基づいて算出される。
【0067】
放熱量の瞬時値が閾値以上である場合(S28で“閾値以上”)、制御部80は、送風制御パターンを維持する(S30)。ここでの閾値は、ユーザからの放熱が適切に行われているか否かを判断するための閾値である。ユーザの放熱量の瞬時値が閾値以上である場合には、ユーザには風が当てられていることにより、ユーザに熱がこもっておらず、放熱が適切に行われている。このため、現在の送風制御パターンを維持することにより、送風制御が継続される。
【0068】
放熱量の瞬時値が閾値未満である場合(S28で“閾値未満”)、制御部80は、選択モードに移行する。ユーザの放熱量の瞬時値が閾値未満である場合には、ユーザからの放熱が適切に行われていないので、送風制御パターンを変更する必要がある。このため、選択モードでステップS18~S26の処理を行うことで、新たな送風制御パターンで送風制御を行う。
【0069】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る送風制御システム1は、ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部20と、ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得する敏感情報取得部10と、ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部30と、送風制御の目標値を取得する目標値取得部40と、生体情報、敏感情報、環境情報及び目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成するパターン生成部50と、複数の送風制御パターンをユーザに提示する提示部60と、複数の送風制御パターンの1つの選択をユーザから受け付ける受付部70と、選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行う制御部80と、を備える。複数の送風制御パターンは、敏感情報に基づいて定められる閾値を所定の制御パラメータが超えない状態を維持しながら、生体情報及び環境情報に基づいて定められる生体値を目標値に到達させる快適制御パターンを含む。
【0070】
このように、選択可能な複数の送風制御モードには、ユーザの風に対する敏感さに基づいて送風制御を行う快適制御モードが含まれる。これにより、ユーザが不快にならないように、ユーザに対して快適な送風を行うことができる。したがって、ユーザの快適性を効率良く実現することができる。
【0071】
例えば、図4に示されるように、冷たさを感じたときの温度T1と、不快さを感じたときの温度T2とは異なりうる。このため、温冷感に基づいて送風制御を行うだけでは、快適な状態が実現できない場合がある。例えば、ユーザに所定の風を当てることによって冷たさを感じるが快適な状態(低下温度がT1からT2の間に相当する)を想定する。この場合に、風を弱めると、ユーザの快適さを損なう場合がある。これに対して、本実施の形態では、風に対する敏感さに基づいて送風制御を行うので、ユーザに対して快適な送風制御を行うことができる。
【0072】
また、例えば、複数の送風制御パターンは、生体値が目標値に達するまでに要する時間が快適制御パターンよりも短い時短制御パターンを含む。
【0073】
これにより、快適さよりも目標値に達するまでの時間の短縮を重視する場合には、時短制御モードを選択することが可能になるので、ユーザの好みに合った送風制御を行うことができる。
【0074】
また、例えば、生体値は、前記ユーザからの放熱量であり、所定の制御パラメータは、ユーザからの放熱量の瞬時値である。
【0075】
これにより、送風制御に必要な放熱量を、サーモカメラ又は熱画像センサを利用して簡単に取得することができる。
【0076】
また、例えば、敏感情報は、ユーザの冷覚閾値である。
【0077】
これにより、冷覚閾値を取得することで、快適制御パターンの閾値を精度良く決定することができる。このため、ユーザにとってより快適な送風制御パターンを生成することができる。
【0078】
また、例えば、敏感情報は、ユーザからの敏感さに関する自己申告、又は、ユーザの身体情報である。
【0079】
これにより、冷覚閾値の代わりに、冷覚閾値と相関関係を有する自己申告又は身体情報を利用することができる。冷覚閾値を計測するセンサがなくてもよいので、送風制御システム1の構成を簡素化することができる。
【0080】
また、例えば、送風制御システム1は、さらに、自己申告又は身体情報と冷覚閾値とを対応付けたデータベース52を備える。パターン生成部50は、データベース52を参照することでユーザの冷覚閾値を決定する。
【0081】
これにより、冷覚閾値と自己申告又は身体情報との相関関係を予めデータベース52に格納しておくことにより、送風制御パターンを速やかに生成することができる。
【0082】
また、例えば、本実施の形態に係る送風制御方法は、ユーザの生体情報を取得するステップ(S10)と、ユーザの風に対する敏感さに関する敏感情報を取得するステップ(S18)と、ユーザの周囲環境に関する環境情報を取得するステップ(S10)と、送風制御の目標値を取得するステップ(S14)と、生体情報、敏感情報、環境情報及び目標値を用いて複数の送風制御パターンを生成するステップ(S20)と、複数の送風制御パターンをユーザに提示するステップ(S22)と、複数の送風制御パターンの1つの選択を前記ユーザから受け付けるステップ(S24)と、選択を受けた送風制御パターンで送風制御を行うステップ(S26)と、を含む。また、本実施の形態に係るプログラムは、上記送風制御方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【0083】
これにより、送風制御システム1の場合と同様に、ユーザの快適性を効率良く実現することができる。
【0084】
(その他)
以上、本発明に係る送風制御システムについて、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0085】
例えば、申告受付部12は、暑がりの程度、又は、寒がりの程度以外の自己申告を取得してもよい。例えば申告受付部12は、冷え性の程度の自己申告を取得してもよい。冷覚閾値の計測結果と冷え性の自己申告とにも相関関係を有することが確認できている。
【0086】
また、例えば、制御部80は、動作モードとして自動モードを有しなくてもよい。制御部80は、選択モードのみを有してもよい。
【0087】
また、例えば、データベース52に複数のユーザの冷覚閾値が記憶されている場合、敏感さ決定部51は、送風制御の対象であるユーザを特定し、特定したユーザの冷覚閾値をデータベース52から読み出すことで取得する。ユーザの特定は、例えば、ユーザからの入力によって行われる。あるいは、熱画像を取得する際に、可視光カメラなどによってユーザを撮影し、撮影した画像から抽出したユーザの画像に基づいて行われてもよい。ユーザの顔画像と冷覚閾値とを予め対応付けておくことにより、撮影された画像から対象のユーザを特定し、当該ユーザの冷覚閾値を決定することができる。
【0088】
また、例えば、ユーザの敏感さの決定(S18)は、モードの判定(S16)より前に実行されてもよい。決定された敏感さは、記憶部などに記憶されていてもよい。
【0089】
また、上記実施の形態で説明した装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間で無線通信が行われる場合、無線通信の方式(通信規格)は、例えば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又は、無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線通信である。あるいは、無線通信の方式(通信規格)は、インターネットなどの広域通信ネットワークを介した通信でもよい。また、装置間においては、無線通信に代えて、有線通信が行われてもよい。有線通信は、具体的には、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)又は有線LANを用いた通信などである。
【0090】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよく、あるいは、複数の処理が並行して実行されてもよい。また、送風制御システムが備える構成要素の複数の装置への振り分けは、一例である。例えば、一の装置が備える構成要素を他の装置が備えてもよい。
【0091】
例えば、上記実施の形態において説明した処理は、単一の装置(システム)を用いて集中処理することによって実現してもよく、又は、複数の装置を用いて分散処理することによって実現してもよい。また、上記プログラムを実行するプロセッサは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
【0092】
また、上記実施の形態において、制御部などの構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、あるいは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサなどのプログラム実行部が、HDD又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0093】
また、制御部などの構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0094】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC又はLSIなどが含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integraion)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGAも同じ目的で使うことができる。
【0095】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。あるいは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0096】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1 送風制御システム
4、7 風
5、6 ユーザ
10 敏感情報取得部
20 生体情報取得部
30 環境情報取得部
40 目標値取得部
50 パターン生成部
52 データベース
60 提示部
70 受付部
80 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8