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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】美容機器
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/12 20060101AFI20240531BHJP
   A45D 20/10 20060101ALI20240531BHJP
   B05B 7/04 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
A45D20/12 101
A45D20/10 104
B05B7/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021017273
(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公開番号】P2022120402
(43)【公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】追風 寛歳
(72)【発明者】
【氏名】近澤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅登
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-196862(JP,A)
【文献】特開2019-072191(JP,A)
【文献】特開2013-102772(JP,A)
【文献】特開2010-075412(JP,A)
【文献】特開2009-006217(JP,A)
【文献】特許第6363388(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/00~20/52
B05B 1/00~ 9/08
F24F 6/00~ 6/18
F24F 11/00~11/89
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入口および吐出口を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置される加熱部と、
霧状にされた液体を吐出する吐出部を有する噴霧装置と、を備え、
前記ハウジングの内部には、前記吸入口と前記吐出口との間に形成される温風流路と、前記温風流路の下側に形成される冷風流路とが形成され、
前記加熱部が前記温風流路に配置され、前記噴霧装置が前記冷風流路に配置され
前記加熱部は、前記噴霧装置が噴霧動作をしているときには、前記噴霧装置が噴霧動作をしていないときに比べて前記温風流路から吐き出される温風の温度が下がるように制御される、
美容機器。
【請求項2】
吸入口および吐出口を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置される加熱部と、
霧状にされた液体を吐出する吐出部を有する噴霧装置と、を備え、
前記ハウジングの内部には、前記吸入口と前記吐出口との間に形成される温風流路と、前記温風流路の下側に形成される冷風流路と、前記冷風流路の下側に形成される無風流路とが形成され、
前記加熱部が前記温風流路に配置され、前記噴霧装置が前記無風流路に配置され
前記加熱部は、前記噴霧装置が噴霧動作をしているときには、前記噴霧装置が噴霧動作をしていないときに比べて前記温風流路から吐き出される温風の温度が下がるように制御される、
美容機器。
【請求項3】
吸入口および吐出口を有するハウジングと、
前記ハウジングの内部に配置される加熱部と、
霧状にされた液体を吐出する吐出部を有する噴霧装置と、を備え、
前記ハウジングの内部には、前記吸入口と前記吐出口との間に形成される温風流路が形成され、
前記加熱部が前記温風流路に配置され、前記噴霧装置が前記ハウジングの外部に配置され
前記加熱部は、前記噴霧装置が噴霧動作をしているときには、前記噴霧装置が噴霧動作をしていないときに比べて前記温風流路から吐き出される温風の温度が下がるように制御される、
美容機器。
【請求項4】
前記噴霧装置は、前記液体を貯留する貯留部と、前記貯留部からの前記液体を前記吐出部に向けて送り出す送液ポンプと、前記送液ポンプを駆動するモータと、をさらに有し、
前記噴霧装置が交換可能な交換カートリッジを有し、前記交換カートリッジには、前記吐出部、前記貯留部および前記送液ポンプが配置される、
請求項3に記載の美容機器。
【請求項5】
前記吐出部は、二流体ノズルにより構成され、
前記噴霧装置は、前記二流体ノズルに接続されるエアポンプを有し、
前記エアポンプは、前記噴霧装置の噴霧動作の終了後に、前記二流体ノズルの内部に残留した前記液体を前記二流体ノズルの外部へ吐き出させるように制御される、
請求項1~のいずれか1項に記載の美容機器。
【請求項6】
前記噴霧装置は、前記液体を貯留する貯留部と、正転運転と逆転運転とを行うことができる送液ポンプと、を有し、
前記送液ポンプは、前記噴霧装置の噴霧動作の終了後に、前記吐出部の内部に残留した前記液体を前記貯留部側に戻すために逆転運転される、
請求項1~のいずれか1項に記載の美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、液体を霧化して噴射するミストスプレー装置(噴霧装置)を開示する。ミストスプレー装置は、複数の微細孔が形成された霧化部を備えた振動板と、振動板を振動させるための振動発生器と、霧化部に液体を供給するための供給部と、を備える。霧化部に供給された液体が振動板の振動によって霧化されて、噴射される。このミストスプレー装置は加温要素をさらに備え、加温要素は霧化部を加熱するために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6363388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術におけるミストスプレー装置では、霧化部が加温要素により加熱されると、霧化部だけでなく周囲の液体も同時に加熱され、噴射する液体の劣化が促進され得る。噴射する液体の劣化は、使用者への効果および効能に影響を与えるだけでなく、液体を安定的に噴射することができなくなる原因となり得る。
【0005】
本開示は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本開示の目的は、噴霧装置を搭載した美容機器であって、噴射する液体が加熱の影響を受けずに、液体を安定的に噴射することができる美容機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様に係る美容機器は、吸入口および吐出口を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置される加熱部と、霧状にされた液体を吐出する吐出部を有する噴霧装置と、を備える。ハウジングの内部には、吸入口と吐出口との間に形成される温風流路と、温風流路の下側に形成される冷風流路とが形成される。加熱部が温風流路に配置され、噴霧装置が冷風流路に配置される。
【0007】
本開示の他の態様に係る美容機器は、吸入口および吐出口を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置される加熱部と、霧状にされた液体を吐出する吐出部を有する噴霧装置と、を備える。ハウジングの内部には、吸入口と吐出口との間に形成される温風流路と、温風流路の下側に形成される冷風流路と、冷風流路の下側に形成される無風流路とが形成される。加熱部が温風流路に配置され、噴霧装置が無風流路に配置される。
【0008】
本開示の他の態様に係る美容機器は、吸入口および吐出口を有するハウジングと、ハウジングの内部に配置される加熱部と、霧状にされた液体を吐出する吐出部を有する噴霧装置と、を備える。ハウジングの内部には、吸入口と吐出口との間に形成される温風流路が形成され、加熱部が温風流路に配置され、噴霧装置がハウジングの外部に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、噴霧装置を搭載した美容機器であって、噴射する液体が加熱の影響を受けずに、液体を安定的に噴射することができる美容機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る美容機器の基本構成を示す図である。
図2】噴霧装置の基本構成を示す図である。
図3A】美容機器の使用中の姿勢(水平姿勢)を示す図である。
図3B】美容機器の使用中の姿勢(下向きの姿勢)を示す図である。
図4A】ヒータのオンオフ制御を示す図である。
図4B】噴霧装置のオンオフ制御を示す図である。
図5A】送液ポンプおよびエアポンプの制御を示す図である。
図5B】送液ポンプおよびエアポンプの制御を示す図である。
図5C】送液ポンプおよびエアポンプの制御を示す図である。
図5D】送液ポンプおよびエアポンプの制御を示す図である。
図6】他の実施形態に係る美容機器の基本構成を示す図である。
図7】噴霧装置の基本構成を示す図である。
図8】他の実施形態に係る美容機器の基本構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
以下、図1および図2を用いて、本実施形態に係る美容機器(ヘアケア装置1A)を説明する。
【0014】
[1.構成]
まず、本実施形態に係るヘアケア装置1Aの構成について説明する。
【0015】
本実施形態に係るヘアケア装置1Aは、美容機器の一例であり、本実施形態では、ヘアドライヤである。
【0016】
図1に示すように、ヘアケア装置1Aは、本体部1aおよび把持部1bを備える。本体部1aは、外郭を構成するハウジング2を有しており、ハウジング2内には、空洞3が形成されている。空洞3には、長手方向(図1中の左右方向)の一方側(図1中の右側)の吸入口4aから、他方側(図1中の左側)の吐出口4bに至る温風流路としての送風流路3aが形成されている。
【0017】
ハウジング2の下部には、使用者が手で握る部分としての把持部1bが、本体部1aの長手方向と交差する方向に結合されている。ヘアケア装置1Aの使用時には本体部1aと把持部1bとで略T字状あるいは略L字状(本実施形態では、略T字状)の外観を呈するように構成されている。
【0018】
把持部1bは、本体部1a側の根元部1cと先端部1dとを有している。把持部1bの側面には、スライド式の電源スイッチ5が設けられており、把持部1bの突出端部(先端部1d)からは、電源コード6が引き出されている。また、根元部1cにおいて、連結部1eを介して回動可能に本体部1aと連結されている。これにより、ヘアケア装置1Aを、先端部1dが本体部1aに沿う位置まで折り畳むことができる。
【0019】
また、本体部1aにおける送風流路3a内の上流側(吸入口4aに近い側)には、送風部の一例である、ファン7およびモータ8が配置されている。
【0020】
ファン7の下流側(ファン7よりも吐出口4bに近い側)には、ファン7からの送風を加熱する加熱部の一例であるヒータ9が配置されている。ヒータ9は、例えば、帯状かつ波板状の電気抵抗体を、送風流路3aの内周に沿って巻回して配置することで形成される。
【0021】
また、送風流路3aの下側(下方)には、送風流路3aとは別に設けられた冷風流路としての分岐流路3bが存在する。分岐流路3bには、本実施形態に係る噴霧装置10の構成要素が配置されている。噴霧装置10の構成の詳細については、図2を用いて後述する。また、図8に示すヘアケア装置1Cのように、冷風流路としての分岐流路3bのさらに下側(下方)には、無風流路3cが存在し、この無風流路3cに、噴霧装置10の構成要素が配置されてもよい。
【0022】
本実施形態では、モータ8、ヒータ9および噴霧装置10などの、電力により動作する構成要素への電力供給および動作制御を行う制御ユニット20が、把持部1bの内部に配置される。なお、各構成要素への電力供給および動作制御を行うための電気回路は、1つの基板に集約されてもよく、複数の基板に分散されてもよい。
【0023】
次に、以上のように構成されたヘアケア装置1Aが備える噴霧装置10について、図2を用いて説明する。
【0024】
図2に示すように、噴霧装置10は、液体を貯留する貯留部としてのタンク11と、霧状にされた液体を吐出する吐出部としての二流体ノズル12と、タンク11から供給される液体を二流体ノズル12に向けて送り出す送液ポンプ13とを有している。また、噴霧装置10は、二流体ノズル12に接続されるエアポンプ15をさらに有している。
【0025】
二流体ノズル12の内部には、送液ポンプ13からの液体が供給される液体供給流路14aと、エアポンプ15からの空気が供給される空気供給流路14bとが形成されている(図5A参照)。
【0026】
また、二流体ノズル12の内部には、液体供給流路14aからの液体を空気供給流路14bからの空気に混合して液体を霧化するための混合空間部14cが形成されている(図5A参照)。
【0027】
二流体ノズル12の内部の液体供給流路14aとタンク11とは、液体用チューブ21により連通されており、液体用チューブ21の途中に送液ポンプ13が配設される。
【0028】
タンク11は、例えば、柔軟性を有するラミネートフィルムで形成された袋状の容器(パウチ)である。送液ポンプ13は、例えば、ローラとベース部とで液体用チューブ21を挟んで液体を送り出すチューブポンプである。また、送液ポンプ13は、正転回転に加えて、逆転回転を行うことができるものである。
【0029】
その一方、二流体ノズル12の内部の空気供給流路14bとエアポンプ15とが、空気用チューブ22により連通されている。
【0030】
そして、二流体ノズル12の内部の混合空間部14cにおいて混合されて霧化された液体(ミスト)が、ミスト放出口14d(図5A参照)から二流体ノズル12の外部へ噴射される。
【0031】
[2.動作]
以上のように構成されたヘアケア装置1Aの基本的な動作を説明する。
【0032】
使用者がスライド式の電源スイッチ5をオンにすることで、電源コード6を通じて、制御ユニット20に電力が供給されて、制御ユニット20が駆動される。
【0033】
駆動された制御ユニット20は、送液ポンプ13を駆動する駆動用モータ(送液ポンプ駆動用モータ)およびエアポンプ15を駆動する駆動用モータ(エアポンプ駆動用モータ)に電流を流す。これらの駆動用モータに電流を供給することで、タンク11内の液体が二流体ノズル12に供給され、また、空気がエアポンプ15から二流体ノズル12に供給される。これにより、液体は二流体ノズル12において霧化され、油分および薬剤などを含むヘアケア剤のミストとして二流体ノズル12から吐出される(図5A参照)。
【0034】
また、電源スイッチ5がオンにされた場合、モータ8およびヒータ9に電力が供給され、モータ8が回転駆動されることにより、ファン7が回転されて、空気流が形成される。具体的には、外部から吸入口4aを介して送風流路3a内に流入した空気が、送風流路3a内を通って吐出口4bから外部に排出されることにより空気流が形成される。また、ヒータ9に電力が供給されることにより、ファン7によって送風された空気が加熱されて、温風吐出口4cから温風として外部に吹き出されて、使用者の毛髪に供給される。このとき、ミスト吐出口4dより外部に放出されたミストは、上述のように、吐出口4bから外部に排出された空気流に乗って、使用者の毛髪に供給される。
【0035】
本実施形態では、図3Aおよび図3Bに示すヘアケア装置1Aの使用中の姿勢を鑑みて、ヒータ9(送風流路3a)をハウジング2の内部に配置し、ヒータ9(送風流路3a)の下側に噴霧装置10(分岐流路3b)を配置している。
【0036】
図3Aおよび図3Bに示されるように、温風吐出口4cからヘアケア装置1Aの外部に吹き出される温風は直進性があるのに対して、ミスト吐出口4dからヘアケア装置1Aの外部に吹き出されるミストは重力により落下する傾向がある。
【0037】
このため、ヒータ9の下側に噴霧装置10を配置することにより、重力により落下する傾向があるミストが温風と混合されることを抑制することができ、温風による飛翔中のミストの加熱を抑制することができる。
【0038】
[噴霧装置の動作制御]
図4Aおよび図4Bに示されるように、本実施形態では、ヒータ9がオフのときに、噴霧装置10がオンとされて、噴霧装置10からミストが噴霧される。
【0039】
その一方、ヒータ9がオンのときには、噴霧装置10がオフとされて、噴霧装置10からミストは噴霧されない。
【0040】
すなわち、本実施形態では、ヒータ9は、噴霧装置10が噴霧動作をしているときには、噴霧装置10が噴霧動作をしていないときに比べて送風流路3aから吐き出される温風の温度が下がるように制御される。
【0041】
このようにヒータ9および噴霧装置10のオンオフを制御することにより、使用者がヘアケア装置1Aを大きく動かしても、飛翔中のミストが温風により加熱されることを抑制することができる。
【0042】
噴霧装置10をオンとする時間およびオフとする時間はそれぞれ、例えば3秒~10秒である。
【0043】
[噴霧動作終了後の噴霧装置の動作制御]
図5Aに示されるように、噴霧装置10による噴霧動作時には、制御ユニット20により送液ポンプ13およびエアポンプ15の両方が駆動されて、二流体ノズル12からミストが噴射される。この噴霧装置10による噴霧動作中は、送液ポンプ13は正転運転される。
【0044】
図5Bに示されるように、噴霧装置10による噴霧動作の終了直後には、制御ユニット20によりエアポンプ15のみが駆動されて、二流体ノズル12の内部に残留した液体が二流体ノズル12の外部へミストとして吐き出される。
【0045】
その後に、図5Cに示されるように、制御ユニット20により送液ポンプ13が逆転運転で駆動されて、二流体ノズル12の内部に残留した液体をタンク11側に戻して当該液体が回収される。
【0046】
その後に、図5Dに示されるように、制御ユニット20による送液ポンプ13の駆動が停止される。
【0047】
このように噴霧装置10による噴霧動作の終了後に送液ポンプ13およびエアポンプ15のオンオフを制御することにより、二流体ノズル12に付着した液体を除去することができ、二流体ノズル12への液体のつまりを抑制することができる。
【0048】
[3.効果等]
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0049】
(1)本実施形態において、ヘアケア装置1Aは、吸入口4aおよび吐出口4bを有するハウジング2と、ハウジング2の内部に配置されるヒータ9と、霧状にされた液体を吐出する二流体ノズル12を有する噴霧装置10と、を備える。ハウジング2の内部には、吸入口4aと吐出口4bとの間に形成される送風流路3aと、送風流路3aの下側に形成される分岐流路3bとが形成される。ヒータ9が送風流路3a(温風流路)に配置され、噴霧装置10が分岐流路3b(冷風流路)に配置される。また、分岐流路3b(冷風流路)のさらに下側に無風流路3cが存在し、噴霧装置10が無風流路3cに配置されてもよい。
【0050】
ヒータ9とは別の流路に噴霧装置10を配置することにより、ヒータ9が生成する温風による噴霧装置10の加熱を抑制することができ、液体の劣化を抑制することができる。
【0051】
また、ヒータ9の下側に噴霧装置10を配置することにより、重力により落下する傾向があるミストが温風と混合されることを抑制することができ、温風による飛翔中のミストの加熱を抑制することができる。
【0052】
(2)ヒータ9は、噴霧装置10が噴霧動作をしているときには、噴霧装置10が噴霧動作をしていないときに比べて送風流路3aから吐き出される温風の温度が下がるように制御される。
【0053】
このようにヒータ9を制御することにより、使用者がヘアケア装置1Aを大きく動かしても、飛翔中のミストが温風により加熱されることを抑制することができる。
【0054】
(3)噴霧装置10の吐出部が二流体ノズル12により構成され、噴霧装置10は、二流体ノズル12に接続されるエアポンプ15を有する。エアポンプ15は、噴霧装置10の噴霧動作の終了後に、二流体ノズル12の内部に残留した液体を二流体ノズル12の外部へ吐き出させるように制御される。
【0055】
このように噴霧装置10による噴霧動作の終了後にエアポンプ15を制御することにより、二流体ノズル12の空気供給流路14bおよびミスト放出口14dに残留した液体を除去することができ、二流体ノズル12への液体のつまりを抑制することができる。
【0056】
(4)噴霧装置10は、液体を貯留するタンク11と、正転運転と逆転運転とを行うことができる送液ポンプ13と、を有する。送液ポンプ13は、噴霧装置10の噴霧動作の終了後に、二流体ノズル12の内部に残留した液体をタンク11側に戻すために逆転運転される。
【0057】
このように噴霧装置10による噴霧動作の終了後に送液ポンプ13を制御することにより、二流体ノズル12の液体供給流路14aに残留した液体を除去することができ、二流体ノズル12への液体のつまりを抑制することができる。
【0058】
(他の実施形態)
以下、図6および図7を用いて、他の実施形態に係る美容機器(ヘアケア装置1B)を説明する。
【0059】
なお、図1および図2に示す実施形態と同じ部分については同一符号を付することによりその詳細な説明を省略する。
【0060】
図6に示すように、ハウジング2の内部に形成される送風流路3a(温風流路)には、ヒータ9が配置され、ハウジング2の外部の副ハウジング23に、噴霧装置10が配置される。これらの副ハウジング23および噴霧装置10は、ハウジング2およびヒータ9の下側(下方)に配置される。また、副ハウジング23には、ミスト放出口23aが形成される。
【0061】
図7に示すように、噴霧装置10は、エアポンプ15の接続用のコネクタ31と、送液ポンプ13を駆動するモータ(送液ポンプ駆動用モータ)32と、を有する。噴霧装置10の構成要素の内、二流体ノズル12、送液ポンプ13、タンク11およびコネクタ31は、交換可能な交換カートリッジ30に配置される。
【0062】
以下、図6および図7に示す実施形態による作用効果を説明する。
【0063】
(1)この実施形態において、ヘアケア装置1Bは、吸入口4aおよび吐出口4bを有するハウジング2と、ハウジング2の内部に配置されるヒータ9と、霧状にされた液体を吐出する二流体ノズル12を有する噴霧装置10と、を備える。ハウジング2の内部には、吸入口4aと吐出口4bとの間に形成される送風流路3aが形成される。ヒータ9が送風流路3aに配置され、噴霧装置10がハウジング2の外部に配置される。
【0064】
ヒータ9と噴霧装置10との距離をより遠ざけることにより、ヒータ9が生成する温風による噴霧装置10の加熱を抑制することができ、液体の劣化を抑制することができる。
【0065】
(2)噴霧装置10は、液体を貯留するタンク11と、タンク11からの液体を二流体ノズル12に向けて送り出す送液ポンプ13と、送液ポンプ13を駆動する送液ポンプ駆動用モータ32と、をさらに有する。噴霧装置10が交換可能な交換カートリッジ30を有し、交換カートリッジ30には、二流体ノズル12、タンク11および送液ポンプ13が配置される。
【0066】
ヘアケア装置1Bの内部にヘアケア剤などの液体が長期的に保持されることによる継続的な液体の加熱を抑制することができ、液体の劣化を抑制することができる。
【0067】
すなわち、ノズルによるミストスプレー装置を搭載したヘアドライヤであって、ヘアドライヤは温風を出す温風部と冷風を出す冷風部とを備え、温風部は温風口を有し、冷風部は冷風口を有し、ミストスプレー装置は冷風部に設置される。前述のミストスプレー装置から放出されるミストに混合する物質を保管する物質保管部を、ヘアドライヤの加温部分から加温を受けない場所に配置した。また、前述の冷風部は、物質保管部と、ミストと物質とを混合して送り出すポンプ部と、ポンプ部から送り出された物質混合のミストをヘアドライヤの外部に噴出する流体ノズル部とを有する。また、前述の物質保管部は、差替え可能なカートリッジである。また、前述のポンプ部は、混合する物質を微粒子化する物質微粒子化部を有する。また、前述の冷風部は、温風部の下側に配置される。また、前述の冷風部は、差替え可能なカートリッジである。さらに、前述の流体ノズル部は、混合する物質を微粒子化する物質微粒子化部を有する。
【0068】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示は、噴霧装置を搭載した美容機器であって、噴射する液体が加熱の影響を受けずに、液体を安定的に噴射することができる美容機器に適用可能である。具体的には、ヘアケア装置、ヘアドライヤなどに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1A,1B,1C ヘアケア装置(美容機器)
2 ハウジング
3a 送風流路(温風流路)
3b 分岐流路(冷風流路)
3c 無風流路
4a 吸入口
4b 吐出口
9 ヒータ(加熱部)
10 噴霧装置
11 タンク(貯留部)
12 二流体ノズル(吐出部)
13 送液ポンプ
15 エアポンプ
30 交換カートリッジ
32 送液ポンプ駆動用モータ(モータ)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8