(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】バリウム化合物構造体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 25/00 20060101AFI20240531BHJP
C04B 28/02 20060101ALN20240531BHJP
【FI】
C01G25/00
C04B28/02
(21)【出願番号】P 2022526904
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2021018579
(87)【国際公開番号】W WO2021241300
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】P 2020092471
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 夏希
(72)【発明者】
【氏名】澤 亮介
(72)【発明者】
【氏名】栗副 直樹
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 達郎
(72)【発明者】
【氏名】関野 徹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 知代
(72)【発明者】
【氏名】趙 成訓
(72)【発明者】
【氏名】徐 寧浚
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-082600(JP,A)
【文献】特開2013-142103(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105130423(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 25/00
C04B 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸バリウムとは異なり、結晶性を有するバリウム化合物を含む複数の第1化合物粒子と、
前記複数の第1化合物粒子の各々の表面を覆い、結晶性を有する硫酸バリウムを含む結合部と、
ケイ素を有する
非晶質酸化物を含む複数の第2化合物粒子と、
を含み、
前記複数の第1化合物粒子の各々は前記結合部及び前記複数の第2化合物粒子の各々の少なくともいずれか一方を介して結合する、バリウム化合物構造体。
【請求項2】
前記バリウム化合物はチタン酸バリウム及びジルコン酸バリウムの少なくともいずれか一方である、請求項1に記載のバリウム化合物構造体。
【請求項3】
前記複数の第2化合物粒子に含まれる化合物は非晶質
酸化ケイ素である、請求項1又は2に記載のバリウム化合物構造体。
【請求項4】
前記複数の第1化合物粒子の前記結合部に対する体積比は1以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載のバリウム化合物構造体。
【請求項5】
バリウムのケイ素に対するモル比は1以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載のバリウム化合物構造体。
【請求項6】
気孔率は30%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載のバリウム化合物構造体。
【請求項7】
前記複数の第1化合物粒子の平均粒子径は50nm~100μmである、請求項1から6のいずれか一項に記載のバリウム化合物構造体。
【請求項8】
硫酸バリウムとは異なり、結晶性を有するバリウム化合物を含む第1化合物粉末と、ケイ素を有する
非晶質酸化物を含む第2化合物粉末と、硫酸イオンを含む水溶液とを混合することにより混合物を得る工程と、
前記混合物を、圧力が10~600MPaであり、かつ、温度が50~300℃である条件下で加圧及び加熱する工程と、
を有する、バリウム化合物構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリウム化合物構造体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バリウム化合物は、電子部品の材料として広く用いられている。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸バリウム(BaZrO3)などのバリウム化合物は、強誘電体として知られており、コンデンサのような電子部品の材料として用いられている。これらのバリウム化合物は電子部品でセラミックスとして使用される。
【0003】
セラミックスを製造する方法として、特許文献1には、多孔性マトリックスからセラミックスを製造する方法が開示されている。当該方法は、第1の反応物質を含む多孔性マトリックスと第2の反応物質を運ぶ溶浸媒体とを接触させるステップを含んでいる。また、当該方法は、溶浸媒体を第1の反応物質と第2の反応物質との間の反応を促進する条件下で多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも一部分に浸み込ませ、チタン酸バリウムを含まない第1の生成物を作り出すステップを含んでいる。また、当該方法は、第1の生成物が生じて、多孔性マトリックスの間質腔の少なくとも一部分を満たすことを可能とし、それによってセラミックスを製造するステップを含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
特許文献1に開示された方法では、多孔性マトリックスに溶浸媒体を接触させて第1の反応物質と第2の反応物質との間の反応を促進している。多孔性マトリックスは、例えば金属酸化物の粉末を加圧することにより成形することができる。しかしながら、多孔性マトリックスは多くの気孔を含み、この気孔が脆弱部となるおそれがある。そのため、このような方法で作製された成形体は、十分な機械的強度が得られないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、高い機械的強度を有するバリウム化合物構造体及びバリウム化合物構造体の製造方法を提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係るバリウム化合物構造体は、複数の第1化合物粒子と、結合部と、複数の第2化合物粒子とを含む。複数の第1化合物粒子は、硫酸バリウムとは異なり、結晶性を有するバリウム化合物を含む。結合部は、複数の第1化合物粒子の各々の表面を覆い、結晶性を有する硫酸バリウムを含む。複数の第2化合物粒子は、ケイ素を有する化合物を含む。複数の第1化合物粒子の各々は結合部及び複数の第2化合物粒子の各々の少なくともいずれか一方を介して結合する。
【0008】
本発明の第二の態様に係るバリウム化合物構造体の製造方法は、硫酸バリウムとは異なり、結晶性を有するバリウム化合物を含む第1化合物粉末と、ケイ素を有する化合物を含む第2化合物粉末と、硫酸イオンを含む水溶液とを混合することにより混合物を得る工程を有する。当該方法は、混合物を、圧力が10~600MPaであり、かつ、温度が50~300℃である条件下で加圧及び加熱する工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るバリウム化合物構造体の一例を概略的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、バリウム化合物構造体の製造方法の一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施例1、比較例1、並びにICSD(無機結晶構造データベース)に登録されたジルコン酸バリウム及び硫酸バリウムのXRDパターンを示すグラフである。
【
図4】
図4は、
図3のうち実施例1及び比較例1のXRDパターンを拡大したグラフである。
【
図5】
図5は、実施例1の試験サンプルを1000倍で観察した走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
【
図6】
図6は、実施例1の試験サンプルを10000倍で観察したSEM像である。
【
図7】
図7は、実施例1の試験サンプルの
図6とは異なる位置を10000倍で観察したSEM像である。
【
図8】
図8は、
図5中の位置1におけるEDXスペクトルである。
【
図9】
図9は、
図5中の位置2におけるEDXスペクトルである。
【
図10】
図10は、比較例1の試験サンプルを1000倍で観察したSEM像である。
【
図11】
図11は、比較例1の試験サンプルを10000倍で観察したSEM像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて本実施形態に係るバリウム化合物構造体及びバリウム化合物構造体の製造方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0011】
[バリウム化合物構造体]
本実施形態のバリウム化合物構造体1は、
図1に示すように、複数の第1化合物粒子2と、結合部3と、複数の第2化合物粒子4とを含んでいる。また、バリウム化合物構造体1には、第1化合物粒子2の各々の間であって、結合部3によって囲われる複数の気孔5が存在している。
【0012】
複数の第1化合物粒子2の各々は結合部3及び複数の第2化合物粒子4の各々の少なくともいずれか一方を介して結合している。すなわち、複数の第1化合物粒子2の各々は、結合部3を介して結合してもよく、第2化合物粒子4の各々を介して結合してもよく、結合部3及び第2化合物粒子4の各々を介して結合してもよい。複数の第1化合物粒子2の各々がこれらを介して互いに結合することで、複数の第1化合物粒子2が集合したバリウム化合物構造体1が形成される。なお、バリウム化合物構造体1は、複数の第1化合物粒子2が結合部3又は第2化合物粒子4の各々を介さず、第1化合物粒子2の各々が直接結合する部分を有していてもよい。
【0013】
結合部3は、複数の第1化合物粒子2の各々の表面を覆う。結合部3は、第1化合物粒子2の各々の表面の一部を覆ってもよく、全部を覆ってもよい。結合部3で第1化合物粒子2の各々の表面を露出しないように覆うことで、第1化合物粒子2の各々が外部環境に直接晒されることを抑制することができる。そのため、例えば酸性条件などの特殊な環境下であっても、バリウム化合物構造体1の化学的安定性を向上させることができる。したがって、第1化合物粒子2の各々の表面は、外表面に露出していないことが好ましい。
【0014】
第2化合物粒子4の各々は、例えば第1化合物粒子2の各々の間に配置される。また、第2化合物粒子4の各々は、例えば結合部3の内部に配置される。バリウム化合物構造体1が複数の第2化合物粒子4を含むことにより、第1化合物粒子2の各々の間に第2化合物粒子4が密に充填され、バリウム化合物構造体1の構造を緻密にすることができる。そのため、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。複数の第2化合物粒子4の各々の表面は、結合部3に覆われもよい。複数の第2化合物粒子4の各々の表面の一部が結合部3に覆われてもよく、全部が結合部3に覆われてもよい。
【0015】
バリウム化合物構造体1は、複数の第1化合物粒子2と、結合部3と、複数の第2化合物粒子4とを主成分として含んでいてもよい。本実施形態において、主成分は、バリウム化合物構造体1に対する複数の第1化合物粒子2、結合部3及び複数の第2化合物粒子4の合計量が例えば50体積%以上を意味する。バリウム化合物構造体1に対する複数の第1化合物粒子2、結合部3及び第2化合物粒子4の合計量は、80体積%以上であってもよく、90体積%以上であってもよい。
【0016】
複数の第1化合物粒子2は、硫酸バリウムとは異なるバリウム化合物を含む。上記バリウム化合物は、例えば複合金属酸化物であってもよい。複合金属酸化物としては、例えば、アルミン酸バリウム、モリブデン酸バリウム、ニオブ酸バリウム、クロム酸バリウム、チタン酸バリウム、タングステン酸バリウム、ジルコン酸バリウム及び錫酸バリウムなどが挙げられる。これらは一種単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。硫酸バリウムとは異なるバリウム化合物は、チタン酸バリウム及びジルコン酸バリウムの少なくともいずれか一方であってもよい。これらのバリウム化合物は強誘電体であり、コンデンサのような電子部品の材料として用いることができる。
【0017】
硫酸バリウムとは異なるバリウム化合物は、結晶性を有する。バリウム化合物が結晶性を有することにより、バリウム化合物構造体1の誘電率を向上させることができる。
【0018】
第1化合物粒子2の各々の形状は特に限定されないが、例えば球状とすることができる。また、第1化合物粒子2の各々は、ウィスカー状(針状)の粒子、又は鱗片状の粒子であってもよい。ウィスカー状粒子又は鱗片状粒子は、球状粒子と比べて他の粒子との接触性が高まるため、バリウム化合物構造体1全体の強度を高めることが可能となる。
【0019】
複数の第1化合物粒子2の平均粒子径は、特に限定されない。複数の第1化合物粒子2の平均粒子径は、50nm~100μmであることが好ましく、100nm~50μmであることがさらに好ましく、300nm~20μmであることが特に好ましい。第1化合物粒子2の平均粒子径がこの範囲内であることにより、バリウム化合物構造体1の剛性を維持するとともに、バリウム化合物構造体1の内部に存在する気孔5の割合が小さくなることから、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。なお、本明細書において、「平均粒子径」の値としては、特に言及のない限り、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用する。
【0020】
結合部3は、結晶性を有する硫酸バリウムを含む。結晶性を有する硫酸バリウムは化学的安定性が高い。例えば、チタン酸バリウム及びジルコン酸バリウムは、酸に溶ける性質を有しているため、第1化合物粒子2の各々の表面を結合部3で覆うことにより、複数の第1化合物粒子2を外部環境から効果的に保護することができる。したがって、バリウム化合物構造体1の化学的安定性を向上させることができる。また、第1化合物粒子2の各々及び結合部3のいずれにもバリウム元素が含まれるため、複数の第1化合物粒子2と結合部3との間で相互拡散が起こりやすく、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。
【0021】
結合部3は、複数の第2化合物粒子4に含まれる元素を有していてもよい。すなわち、結合部3は、後述する、ケイ素、アルミニウム及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を有していてもよい。同じ元素を有している場合、結合部3と複数の第2化合物粒子4との間で相互拡散が起こりやすく、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。
【0022】
複数の第2化合物粒子4はケイ素を有する化合物を含む。このような第2化合物粒子4の各々は、第1化合物粒子2及び結合部3の少なくともいずれか一方と結合してバリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。複数の第2化合物粒子4はケイ素を含む酸化物を含んでいてもよい。すなわち、ケイ素を有する化合物は酸化ケイ素であってもよい。なお、酸化ケイ素について説明したが、酸化ケイ素だけでなく、酸化アルミニウム及び酸化チタンも同様の反応性を有する。したがって、複数の第2化合物粒子4は、ケイ素、アルミニウム及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を有する化合物を含んでいてもよい。
【0023】
複数の第2化合物粒子4に含まれる化合物は非晶質であることが好ましい。非晶質の化合物を含む第2化合物粒子4は、反応性が高いことから、結合部3との結合が強くなるため、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。なお、本明細書において、非晶質とは、バリウム化合物構造体1のX線回折パターンを測定した際、複数の第2化合物粒子4に含まれる化合物の回折ピークが観測されないことをいう。
【0024】
上述のように、バリウム化合物構造体1は、非晶質の酸化ケイ素を含む複数の第2化合物粒子4を含んでいることが好ましい。ただし、バリウム化合物構造体1は、Ba-Si-O系化合物、並びに、Ti及びZrなどの第1化合物粒子2の各々に含まれる金属-Si-O系化合物などを含んでいてもよい。
【0025】
第2化合物粒子4の各々の形状は特に限定されず、例えば球状、ウィスカー状(針状)、又は鱗片状の粒子とすることができる。複数の第2化合物粒子4の平均粒子径は0.1nm以上100nm以下であることが好ましい。上記のような平均粒子径を有する複数の第2化合物粒子4は、複数の第1化合物粒子2の各々の間を埋めるように密に充填されるため、バリウム化合物構造体1の構造を緻密にすることができ、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。
【0026】
複数の第1化合物粒子2の複数の第2化合物粒子4に対する体積比は1以上であることが好ましい。複数の第1化合物粒子2の上記体積比を1以上とすることにより、バリウム化合物構造体1において骨材となる複数の第1化合物粒子2の比率を多くすることができることから、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。上記複数の第1化合物粒子2の体積比は2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。複数の第1化合物粒子2の体積比は、バリウム化合物構造体1が高い機械的強度を有していれば特に限定されないが、例えば100以下であってもよい。
【0027】
複数の第1化合物粒子2の複数の第2化合物粒子4に対する平均粒子径の比は1以上であることが好ましい。平均粒子径の比が1以上であることにより、第2化合物粒子4の各々が複数の第1化合物粒子2の各々の間に密に充填されることから、バリウム化合物構造体1を緻密にすることができる。そのため、バリウム化合物構造体1の機械的強度をより向上させることができる。なお、上記平均粒子径の比は、2以上であることがより好ましく、5以上であることがさらに好ましい。上記平均粒子径の比は、バリウム化合物構造体1が高い機械的強度を有していれば特に限定されないが、例えば100以下であってもよい。
【0028】
複数の第1化合物粒子2の結合部3に対する体積比は1以上であることが好ましい。上記複数の第1化合物粒子2の体積比を1以上とすることにより、バリウム化合物構造体1において骨材となる複数の第1化合物粒子2の比率を多くすることができることから、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができる。上記複数の第1化合物粒子2の体積比は2以上であることが好ましく、4以上であることがより好ましい。複数の第1化合物粒子2の体積比は、バリウム化合物構造体1が高い機械的強度を有していれば特に限定されないが、例えば100以下であってもよい。
【0029】
複数の第1化合物粒子2の、複数の第1化合物粒子2、結合部3及び複数の第2化合物粒子4の合計に対する割合は50体積%以上であることが好ましい。複数の第1化合物粒子2の割合を50体積%以上とすることにより、バリウム化合物構造体1の機械的強度及び誘電率を向上させることができる。複数の第1化合物粒子2の上記割合は、60体積%以上であることがより好ましい。
【0030】
バリウム化合物構造体1において、バリウムのケイ素に対するモル比は1以上であることが好ましい。バリウムのモル比を1以上とすることによって、結合部3を介する第1化合物粒子2の各々の結合を促進することができることから、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上することができる。
【0031】
バリウム化合物構造体1の気孔率は30%以下であることが好ましい。すなわち、バリウム化合物構造体1の断面を観察した場合、単位面積あたりの気孔5の割合の平均値が30%以下であることが好ましい。気孔率が30%以下の場合、バリウム化合物構造体1が緻密になり、強度が高くなる。また、気孔率が30%以下の場合には、気孔5を起点として、バリウム化合物構造体1にひび割れが発生することが抑制されるため、バリウム化合物構造体1の曲げ強さを高めることが可能となる。なお、気孔率は、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。
【0032】
本明細書において、気孔率は次のように求めることができる。まず、バリウム化合物構造体1の断面を観察し、気孔5と、複数の第1化合物粒子2、結合部3及び複数の第2化合物粒子4などの気孔5以外の部分を判別する。そして、単位面積と当該単位面積中の気孔5の面積とを測定し、単位面積あたりの気孔5の割合を求め、その値を気孔率とする。なお、バリウム化合物構造体1の断面に対し、単位面積あたりの気孔5の割合を複数箇所で求めた後、単位面積あたりの気孔5の割合の平均値を気孔率とすることがより好ましい。バリウム化合物構造体1の断面を観察する際には、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができる。また、単位面積と当該単位面積中の気孔5の面積は、顕微鏡で観察した画像を二値化することにより測定してもよい。
【0033】
バリウム化合物構造体1の内部に存在する気孔5の大きさは特に限定されないが、可能な限り小さい方が好ましい。気孔5の大きさが小さいことにより、気孔5を起点としたひび割れが抑制されるため、バリウム化合物構造体1の強度を高め、バリウム化合物構造体1の機械加工性を向上させることが可能となる。なお、バリウム化合物構造体1の気孔5の大きさは、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。バリウム化合物構造体1の内部に存在する気孔5の大きさは、上述の気孔率と同様に、バリウム化合物構造体1の断面を顕微鏡で観察することにより、求めることができる。
【0034】
バリウム化合物構造体1の形状は、特に限定されず、例えば板状、膜状、矩形状、塊状、棒状、球状とすることができる。また、バリウム化合物構造体1が板状又は膜状の場合、その厚みは特に限定されないが、例えば50μm以上とすることができる。本実施形態のバリウム化合物構造体1は、後述するように、加圧加熱法により形成される。そのため、厚みの大きなバリウム化合物構造体1を容易に得ることができる。なお、バリウム化合物構造体1の厚みは1mm以上とすることができ、1cm以上とすることもできる。バリウム化合物構造体1の厚みの上限は特に限定されないが、例えば50cmとすることができる。
【0035】
また、バリウム化合物構造体1は、JIS R1610:2003(ファインセラミックスの硬さ試験方法)に準拠して測定したビッカース硬さが1GPa以上であることが好ましい。この場合、バリウム化合物構造体1は機械的強度に優れるため、例えば建築部材に容易に使用することが可能となる。
【0036】
このように、本実施形態のバリウム化合物構造体1は、複数の第1化合物粒子2と、結合部3と、複数の第2化合物粒子4とを含む。複数の第1化合物粒子2は、硫酸バリウムとは異なり、結晶性を有するバリウム化合物を含む。結合部3は、複数の第1化合物粒子2の各々の表面を覆い、結晶性を有する硫酸バリウムを含む。複数の第2化合物粒子4は、ケイ素を有する化合物を含む。複数の第1化合物粒子2の各々は結合部3及び複数の第2化合物粒子4の各々の少なくともいずれか一方を介して結合する。バリウム化合物構造体1は、複数の第2化合物粒子4を含んでおり、緻密な構造が形成されているため、気孔5の割合が少ない。また、複数の第1化合物粒子2の各々は結合部3及び複数の第2化合物粒子4の各々の少なくともいずれか一方を介して結合する。そのため、本実施形態に係るバリウム化合物構造体1は、高い機械的強度を有する。また、バリウム化合物構造体1は、第1化合物粒子2の各々が耐水性、耐酸性及び耐アルカリ性を有する結合部3で覆われているため、化学的安定性が高い。
【0037】
なお、本実施形態のバリウム化合物構造体1は、後述するように、50~300℃に加熱しながら加圧することにより得ることができるため、バリウム化合物構造体1に耐熱性の低い部材を添加することができる。具体的には、バリウム化合物構造体1は、複数の第1化合物粒子2、結合部3及び複数の第2化合物粒子4に加えて、有機物や樹脂粒子が含まれていてもよい。また、有機物等の耐熱性の低い部材に限定されず、バリウム化合物構造体1は、金属粒子や無機化合物からなる粒子が含まれていてもよい。
【0038】
[バリウム化合物構造体の製造方法]
次に、バリウム化合物構造体1の製造方法について説明する。バリウム化合物構造体1は、第1化合物粉末と、第2化合物粉末と、硫酸イオンを含む水溶液とを混合することにより混合物を得る工程と、当該混合物を加圧及び加熱する工程と、により製造することができる。
【0039】
具体的には、まず、複数の第1化合物粒子2の原料となる第1化合物粉末と、複数の第2化合物粒子4の原料となる第2化合物粉末と、硫酸イオンを含む水溶液とを混合して混合物を調製する。バリウム化合物構造体1に耐熱性の低い部材を添加する場合には、上記混合物に耐熱性の低い部材を加える。
【0040】
第1化合物粉末は、硫酸バリウムとは異なり、結晶性を有するバリウム化合物を含む。上記バリウム化合物は、例えば複合金属酸化物であってもよい。複合金属酸化物としては、例えば上述したような、アルミン酸バリウム、モリブデン酸バリウム、ニオブ酸バリウム、クロム酸バリウム、チタン酸バリウム、タングステン酸バリウム、ジルコン酸バリウム及び錫酸バリウムなどが挙げられる。これらは一種単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。硫酸バリウムとは異なるバリウム化合物は、チタン酸バリウム及びジルコン酸バリウムの少なくともいずれか一方であってもよい。
【0041】
第2化合物粉末は、ケイ素を有する化合物を含む。第2化合物粉末は、上述のようにケイ素を含む酸化物を含んでいてもよい。すなわち、ケイ素を有する化合物は酸化ケイ素であってもよい。なお、酸化ケイ素について説明したが、酸化ケイ素だけでなく、酸化アルミニウム及び酸化チタンも同様の反応性を有する。したがって、第2化合物粉末は、ケイ素、アルミニウム及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種以上の元素を有する化合物を含んでいてもよい。また、第2化合物粉末に含まれる化合物は非晶質であってもよい。
【0042】
硫酸イオンを含む水溶液は、硫酸及び硫酸塩の少なくともいずれか一方と、水を含む溶媒とを混合することにより得ることができる。硫酸塩は水を含む溶媒に溶解して硫酸イオンを形成することができれば特に限定されないが、硫酸塩としては例えば硫酸アンモニウムなどが挙げられる。水を含む溶媒は、純水又はイオン交換水であることが好ましい。水を含む溶媒は、水以外に、酸性物質又はアルカリ性物質が含まれていてもよい。また、水を含む溶媒は水が主成分であればよく、例えば有機溶媒(例えばアルコールなど)が含まれていてもよい。さらに、水を含む溶媒は、アンモニアが含まれていてもよい。
【0043】
硫酸イオンを含む水溶液の濃度は、第1化合物粒子2の各々の表面に硫酸バリウムが生成する量であることが好ましい。硫酸イオンを含む水溶液として硫酸アンモニウム水溶液を用いる場合、硫酸アンモニウム水溶液の濃度は、20質量%~60質量%であることが好ましい。
【0044】
第1化合物粉末及び第2化合物粉末の合計に対する第1化合物粉末の添加量は、バリウム化合物構造体1の機械的強度を向上させることができれば特に限定されない。第1化合物粉末の添加量は、第1化合物粉末及び第2化合物粉末の合計に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。また、上記第1化合物粉末の添加量は、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましい。
【0045】
硫酸イオンを含む水溶液の上記混合物に対する割合は、第1化合物粒子2の各々の表面に硫酸バリウムが生成する量であることが好ましい。上記割合は、5~90質量%が好ましく、20~80質量%がより好ましい。
【0046】
第1化合物粉末、第2化合物粉末及び硫酸イオンを含む水溶液の混合物は、金型の内部に充填される。金型は、
図2に示すように、凹部を有する下型11と、凸部を有する上型12とを備えており、凹部に載置された混合物を、凸部で押さえつけることにより加圧することができる。
【0047】
混合物は、第1化合物粉末及び第2化合物粉末を含む混合粉末を下型11の凹部に載置した後、硫酸イオンを含む水溶液を混合粉末に添加して調製してもよい。また、第1化合物粉末、第2化合物粉末及び硫酸イオンを含む水溶液を事前に混合して調製した混合物を、下型11の凹部に載置してもよい。当該混合物を金型に載置した後、必要に応じて金型を加熱する。そして、固定された下型11に対して上型12を下降させ、混合物を加圧することで金型の内部が高圧状態となる。この際、バリウム化合物からバリウムイオンが第1化合物粉末を構成する粒子2aの各々の表面に溶出する。バリウムイオンは水溶液6中の硫酸イオンと反応し、硫酸バリウムを形成し、結合部3となる。また、混合物を加熱しながら加圧することにより、第1化合物粉末を構成する粒子2a及び第2化合物粉末を構成する粒子4aの充填率が大きくなる。これにより、上述したように、複数の第1化合物粒子2の各々が結合部3及び複数の第2化合物粒子4の各々の少なくともいずれか一方を介して結合する。その結果、上述したバリウム化合物構造体1を得ることができる。
【0048】
第1化合物粉末、第2化合物粉末及び硫酸イオンを含む水溶液を混合してなる混合物の加熱加圧条件は、上述したバリウム化合物構造体1を得ることができれば特に限定されない。例えば、上記混合物を50~300℃に加熱しつつ、10~600MPaの圧力で加圧することが好ましい。なお、上記混合物を加熱する際の温度は、80~250℃であることがより好ましく、100~200℃であることがさらに好ましい。また、上記混合物を加圧する際の圧力は、50~600MPaであることがより好ましく、200~600MPaであることがさらに好ましい。
【0049】
本実施形態の製造方法では、第1化合物粉末と、第2化合物粉末と、硫酸イオンを含む水溶液とを混合して得られる混合物を加熱しながら加圧しているため、緻密かつ強度に優れたバリウム化合物構造体1を得ることができる。さらに、本実施形態の製造方法は、50~300℃で加熱しながら加圧することにより得ることができるため、緻密な温度制御が不要となり、製造コストを低減することが可能となる。
【0050】
このように、バリウム化合物構造体1の製造方法は、硫酸バリウムとは異なり、結晶性を有するバリウム化合物を含む第1化合物粉末と、ケイ素を有する化合物を含む第2化合物粉末と、硫酸イオンを含む水溶液とを混合することにより混合物を得る工程を有する。バリウム化合物構造体1の製造方法は、当該混合物を加圧及び加熱する工程を有する。そして、混合物の加熱加圧条件は、10~600MPaの圧力で、50~300℃の温度とすることが好ましい。本実施形態の製造方法は加熱温度が低温であっても、機械的強度の高いバリウム化合物構造体1を得ることが可能となる。したがって、バリウム化合物構造体1に耐熱性の低い部材を添加することも可能である。
【0051】
[バリウム化合物構造体を備える部材]
次に、バリウム化合物構造体1を備える部材について説明する。バリウム化合物構造体1は、誘電性に優れた部材として使用することができる。上記部材は、コンデンサ、圧電素子及びメモリのような電子部品に用いることができる。また、上記部材は、薄膜回路用基板、センサ部材用基板及び半導体プロセス用基板、半導体製造装置のセラミックス部材、並びにその他一般電子機器の筐体にも使用することができる。
【0052】
また、バリウム化合物構造体1は、上述のように、厚みの大きな板状とすることができ、さらに化学的安定性にも優れている。また、バリウム化合物構造体1は、機械的強度が高く、一般的なセラミックス部材と同様に切断することができると共に、表面加工することもできる。そのため、バリウム化合物構造体1は、建築部材としても好適に用いることができる。建築部材としては特に限定されないが、例えば、外壁材(サイディング)、屋根材などを挙げることができる。また、建築部材としては、道路用材料、外溝用材料も挙げることができる。
【実施例】
【0053】
以下、本実施形態を実施例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
[実施例1]
(試験サンプルの作製)
まず、ジルコン酸バリウム粉末(シグマアルドリッチ社製)0.78g及びシリカ粉末(日本アエロジル株式会社製)0.0777gにアセトンを加え、メノウ乳鉢及びメノウ乳棒を用いて混合し、混合粉末を得た。得られた混合物を、内部空間を有する円筒状の成形用金型(Φ10)の内部に投入した。なお、本例において、ジルコン酸バリウム粉末は第1化合物粉末に相当し、シリカ粉末は第2化合物粉末に相当する。第2化合物粉末を構成する複数の粒子の平均粒子径は、12nmである。
【0055】
次に、硫酸アンモニウム粉末(富士フイルム和光純薬株式会社製)7.4gをイオン交換水15mlに溶解させ、硫酸アンモニウム水溶液を得た。上記混合物が投入された成形用金型の内部に硫酸アンモニウム水溶液312μlを添加し、プラスチック製のスパチュラで混合した。なお、本例において、硫酸アンモニウム水溶液は硫酸イオンを含む水溶液に相当する。
【0056】
そして、当該硫酸アンモニウム水溶液を含んだ混合粉末を、120℃、400MPa、20分の条件で加熱及び加圧することにより、円柱状の試験サンプルを得た。
[比較例1]
混合粉末に代えて上述したジルコン酸バリウム粉末0.78gのみを用いた以外は実施例1と同様の手順で、円柱状の試験サンプルを得た。
【0057】
[試験サンプルの評価]
(結晶構造解析)
粉末X線回折(XRD)装置を用いて、実施例1及び比較例1の試験サンプルを粉砕した粉末のXRDパターンを測定した。
図3は、実施例1、比較例1、並びにICSDに登録されたジルコン酸バリウム及び硫酸バリウムのXRDパターンを示すグラフである。また、
図4は、
図3のうち実施例1及び比較例1のXRDパターンを拡大したグラフである。
【0058】
図3から、実施例1及び比較例1のいずれの試験サンプルにおいても、主相がジルコン酸バリウムであることが分かる。また、
図4から、実施例1及び比較例1のいずれの試験サンプルも硫酸バリウムを含んでいることが分かる。実施例1及び比較例1で顕著なXRDパターンの差異は認められなかったことから、実施例1の試験サンプル中のケイ素を含む化合物は結晶性を示さず、非晶質であると考えられる。
【0059】
(構造観察及び元素分析)
円柱状の試験サンプルを割断した断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。また、実施例1の試験サンプルの異なる位置について、エネルギー分散型X線分光法(EDX)による元素分析を行った。なお、観察面には金のスパッタリングを施した。
図5は実施例1の試験サンプルを1000倍で観察したSEM像である。
図6は実施例1の試験サンプルを10000倍で観察したSEM像である。
図7は実施例1の試験サンプルの
図6とは異なる位置を10000倍で観察したSEM像である。
図8は
図5中の位置1におけるEDXスペクトルである。
図9は
図5中の位置2におけるEDXスペクトルである。
図10は比較例1の試験サンプルを1000倍で観察したSEM像である。
図11は比較例1の試験サンプルを10000倍で観察したSEM像である。
【0060】
図10及び
図11のSEM像から、比較例1は多数の粒子が連なった構造を有していることが分かる。一方、
図5~
図7から、実施例1は比較例1で見られるような多数の粒子が連なった構造を有する部分(位置1)に加え、黒く観察される緻密部分(位置2)が確認された。
【0061】
図8のEDXスペクトルから、位置1ではBa、Zr、Si及びOが検出されており、ジルコン酸バリウム並びにSi及びOを含む組成物が含まれていることが分かる。また、
図9のEDXスペクトルから、位置2ではSi及びOが検出されており、黒く観察される部分にはSi及びOを含む組成物が含まれていることが分かる。
図7のSEM像には、微細な粒子の集合体が、黒く観察される緻密部分を形成しているため、微細な粒子は原料のシリカに由来するものと考えられる。
【0062】
なお、位置1には硫酸バリウムが含まれると考えられるが、位置1に含まれるSの量は微量のため検出されなかったものと考えられる。また、硫酸バリウムは、ジルコン酸バリウム粒子と硫酸アンモニウム水溶液の反応によって生成されることから、硫酸バリウムがジルコン酸バリウム粒子の各々を結合し、ジルコン酸バリウム粒子が連なった構造体を形成しているものと考えられる。
【0063】
結晶構造解析と元素分析の結果から、実施例1の試験サンプルはジルコン酸バリウム、硫酸バリウム及びケイ素を含む化合物を含むことが分かる。また、ジルコン酸バリウム及び硫酸バリウムは結晶性を有し、ケイ素を含む化合物は非晶質であることが分かる。
【0064】
(ビッカース硬さ測定)
実施例1及び比較例1の試験サンプルのビッカース硬さを、JIS R1610に準拠して測定した。その結果、実施例1の試験サンプルのビッカース硬さは1.4GPa、比較例1の試験サンプルのビッカース硬さは0.45GPaであり、実施例1の試験サンプルの方が高い硬度を示した。
【0065】
以上の結果から、原料としてシリカ粉末を加えることにより、バリウム化合物構造体の構造を緻密にすることができ、バリウム化合物構造体の機械的強度が向上することが分かった。
【0066】
特願2020-092471号(出願日:2020年5月27日)の全内容は、ここに援用される。
【0067】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示によれば、高い機械的強度を有するバリウム化合物構造体及びバリウム化合物構造体の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 バリウム化合物構造体
2 第1化合物粒子
3 結合部
4 第2化合物粒子