(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】遮断装置
(51)【国際特許分類】
H01H 39/00 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
H01H39/00 C
(21)【出願番号】P 2020066262
(22)【出願日】2020-04-01
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2019073054
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019169813
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 純久
(72)【発明者】
【氏名】木本 進弥
(72)【発明者】
【氏名】木下 一寿
(72)【発明者】
【氏名】澁瀬 康平
(72)【発明者】
【氏名】金松 健児
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-165747(JP,U)
【文献】特開昭59-169029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する第1導電部材と、
第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する第2導電部材と、
ガスを発生させるガス発生器と、
を備え、
前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続しており、
前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置し、
前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置し、
前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断され、
前記第1電路が前記外部電路と電気的に接続されている時、前記第2電路は前記外部電路と遮断されており、
前記第1電路が前記分離用部位で遮断されると、前記第2電路は前記外部電路に電気的に接続され、
前記第2電路が前記外部電路に電気的に接続された後、前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されると、前記第2電路は前記外部電路と再び遮断される、
遮断装置。
【請求項2】
前記第2導電部材は、前記第1導電部材と非接触で対向する対向部を有し、
前記第1電路が遮断されると、前記第2導電部材は前記対向部を介して前記第1導電部材と電気的に接続され、
前記第2電路は、前記第1導電部材を介して前記外部電路に電気的に接続される、
請求項1に記載の遮断装置。
【請求項3】
前記第1導電部材は開口部を有し、
前記第2導電部材の端部が、前記第1導電部材に接触せずに前記開口部に挿入されている、
請求項1又は2に記載の遮断装置。
【請求項4】
前記第1破断部位及び前記第2破断部位の少なくとも一方の周囲に配置された消弧部材を更に備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の遮断装置。
【請求項5】
外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する第1導電部材と、
前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する第2導電部材と、
ガスを発生させるガス発生器と、
を備え、
前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続しており、
前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置し、
前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置し、
前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断され、
前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断され、
前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断され、
前記第1破断部位及び前記第2破断部位の少なくとも一方の周囲に配置された消弧部材を更に備える、
遮断装置。
【請求項6】
前記第1電路の電気抵抗は、前記第2電路の電気抵抗より小さい、
請求項1~5のいずれか1項に記載の遮断装置。
【請求項7】
外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する第1導電部材と、
前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する第2導電部材と、
ガスを発生させるガス発生器と、
を備え、
前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続しており、
前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置し、
前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置し、
前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断され、
前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断され、
前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断され、
前記第1電路の電気抵抗は、前記第2電路の電気抵抗より小さい、
遮断装置。
【請求項8】
動作ピンと、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材が設けられ、前記第1導電部材の上方に位置する第1空間と前記第1導電部材の下方に位置する第2空間とを有する筐体と、
を更に備え、
前記動作ピンは、前記第1空間に配置され、
前記第1破断部位は、前記第2空間に配置される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の遮断装置。
【請求項9】
外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する第1導電部材と、
前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する第2導電部材と、
ガスを発生させるガス発生器と、
動作ピンと、
前記第1導電部材及び前記第2導電部材が設けられ、前記第1導電部材の上方に位置する第1空間と前記第1導電部材の下方に位置する第2空間とを有する筐体と、
を備え、
前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続しており、
前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置し、
前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置し、
前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断され、
前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断され、
前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断され、
前記動作ピンは、前記第1空間に配置され、
前記第1破断部位は、前記第2空間に配置される、
遮断装置。
【請求項10】
前記筐体が前記第2空間を囲む壁部を有し、
前記第1破断部位から前記第1破断部位に最も近い前記壁部の内壁までの長さは、前記壁部の前記内壁から前記内壁に対向する前記壁部の外壁までの長さより小さい、
請求項8又は9に記載の遮断装置。
【請求項11】
前記ガス発生器で発生した前記ガスの前記圧力に連動して、前記第2導電部材は前記第1破断部位及び前記第2破断部位で破断され、
前記第2導電部材が前記第1破断部位及び前記第2破断部位で機械的に切断されることで、前記第2電路は遮断される、
請求項1~10のいずれか1項に記載の遮断装置。
【請求項12】
外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する第1導電部材と、
前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する第2導電部材と、
ガスを発生させるガス発生器と、
を備え、
前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続しており、
前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置し、
前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置し、
前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断され、
前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断され、
前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断され、
前記第2導電部材が前記第1破断部位及び前記第2破断部位で機械的に切断されることで、前記第2電路は遮断される、
遮断装置。
【請求項13】
前記ガス発生器で発生した前記ガスの前記圧力に連動して動く押圧部材を更に備え、
前記第2導電部材が第1端部及び第2端部を有し、
前記第2導電部材が前記第1端部及び前記第2端部で前記第1導電部材に固定され、
前記ガスの前記圧力に連動して前記押圧部材が前記第3位置及び前記第4位置の間を下方に向かって前記第2導電部材を押圧することで、前記第2導電部材は前記第1破断部位及び前記第2破断部位で機械的に切断される、
請求項11又は12に記載の遮断装置。
【請求項14】
前記第2電路と並列に接続される第3電路を構成する第3導電部材を更に備え、
前記ガス発生器で発生した前記ガスの前記圧力に連動して前記第3電路は遮断され、
前記第2電路が遮断されるタイミングと前記第3電路が遮断されるタイミングとは異なる、
請求項11~13のいずれか1項に記載の遮断装置。
【請求項15】
前記第1破断部位は、第1溶断部の一部であり、
前記第2破断部位は、第2溶断部の一部であり、
前記第1溶断部及び前記第2溶断部が溶断されると、前記第2電路は遮断され、
前記第2導電部材は、前記第1溶断部と前記第2溶断部とを接続する導電保持部を更に有し、
前記導電保持部の電気抵抗は、前記第1溶断部の電気抵抗及び前記第2溶断部の電気抵抗より小さい、
請求項11~14のいずれか1項に記載の遮断装置。
【請求項16】
外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する第1導電部材と、
前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する第2導電部材と、
ガスを発生させるガス発生器と、
を備え、
前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続しており、
前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置し、
前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置し、
前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断され、
前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断され、
前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断され、
前記第1破断部位は、第1溶断部の一部であり、
前記第2破断部位は、第2溶断部の一部であり、
前記第1溶断部及び前記第2溶断部が溶断されると、前記第2電路は遮断され、
前記第2導電部材は、前記第1溶断部と前記第2溶断部とを接続する導電保持部を更に有し、
前記導電保持部の電気抵抗は、前記第1溶断部の電気抵抗及び前記第2溶断部の電気抵抗より小さい、
遮断装置。
【請求項17】
前記第2電路に一定値以上の電流が流れると、前記第1溶断部及び前記第2溶断部は溶断する、
請求項15又は16に記載の遮断装置。
【請求項18】
前記第2導電部材は、前記第1導電部材に固定されている、
請求項5,7,9,12,16のいずれか1項に記載の遮断装置。
【請求項19】
前記第3位置から前記第4位置までの前記第2電路の電流経路は、前記第3位置と前記第4位置との直線距離より長い、
請求項1~18のいずれか1項に記載の遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は遮断装置に関し、より詳細には、電路を遮断する遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載の回路遮断器は、電気回路に接続されるように設計された少なくとも1つの導電体と、ハウジングと、マトリクスと、パンチと、火工品を用いたアクチュエータと、を備えている。アクチュエータは、点火されたときにパンチを第1の位置から第2の位置に移動させるように設計されている。パンチ及びマトリクスは、パンチが第1の位置から第2の位置に移動するときに、少なくとも1つの導電体を破断して、少なくとも2つの別個の部分にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている回路遮断器のような遮断装置では、導電体に大電流が流れているときに導電体を破断すると、破断した箇所でアークが発生することがある。このとき発生するアークのエネルギーは非常に大きくなり得る。
【0005】
本開示は、アークの発生を抑制することが可能な遮断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る遮断装置は、第1導電部材と、第2導電部材と、ガス発生器と、を備える。前記第1導電部材は、外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する。前記第2導電部材は、前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する。前記ガス発生器は、ガスを発生させる。前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続している。前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置する。前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置する。前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断される。前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断される。前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断される。前記遮断装置は、前記第1破断部位及び前記第2破断部位の少なくとも一方の周囲に配置された消弧部材を更に備える。
本開示の一態様に係る遮断装置は、第1導電部材と、第2導電部材と、ガス発生器と、を備える。前記第1導電部材は、外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する。前記第2導電部材は、前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する。前記ガス発生器は、ガスを発生させる。前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続している。前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置する。前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置する。前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断される。前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断される。前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断される。前記第1電路の電気抵抗は、前記第2電路の電気抵抗より小さい。
本開示の一態様に係る遮断装置は、第1導電部材と、第2導電部材と、ガス発生器と、動作ピンと、筐体と、を備える。前記第1導電部材は、外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する。前記第2導電部材は、前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する。前記ガス発生器は、ガスを発生させる。前記筐体は、前記第1導電部材及び前記第2導電部材が設けられ、前記第1導電部材の上方に位置する第1空間と前記第1導電部材の下方に位置する第2空間とを有する。前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続している。前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置する。前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置する。前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断される。前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断される。前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断される。前記動作ピンは、前記第1空間に配置される。前記第1破断部位は、前記第2空間に配置される。
本開示の一態様に係る遮断装置は、第1導電部材と、第2導電部材と、ガス発生器と、を備える。前記第1導電部材は、外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する。前記第2導電部材は、前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する。前記ガス発生器は、ガスを発生させる。前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続している。前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置する。前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置する。前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断される。前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断される。前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断される。前記第2導電部材が前記第1破断部位及び前記第2破断部位で機械的に切断されることで、前記第2電路は遮断される。
本開示の一態様に係る遮断装置は、第1導電部材と、第2導電部材と、ガス発生器と、を備える。前記第1導電部材は、外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する。前記第2導電部材は、前記第1電路と並列に接続される第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する。前記ガス発生器は、ガスを発生させる。前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続している。前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置する。前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置する。前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断される。前記第1電路が遮断された後、前記第2導電部材の前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断される。前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されることにより前記第2電路が遮断される。前記第2導電部材は、前記第1溶断部と前記第2溶断部とを接続する導電保持部を更に有する。前記導電保持部の電気抵抗は、前記第1溶断部の電気抵抗及び前記第2溶断部の電気抵抗より小さい。
【0007】
本開示の一態様に係る遮断装置は、第1導電部材と、第2導電部材と、ガス発生器と、を備える。前記第1導電部材は、外部電路に接続される第1電路を構成し、前記第1電路を遮断する分離用部位を有する。前記第2導電部材は、第2電路を構成し、前記第2電路を遮断する第1破断部位及び第2破断部位を有する。前記ガス発生器は、ガスを発生させる。前記分離用部位は、前記第1電路の第1位置の部位と前記第1電路の第2位置の部位とを接続している。前記第1破断部位は、前記第2電路の第3位置に位置する。前記第2破断部位は、前記第2電路の第4位置に位置する。前記ガス発生器で発生したガスの圧力に連動して前記分離用部位が前記第1導電部材から切断されることにより前記第1電路が遮断される。前記第1電路が前記外部電路と電気的に接続されている時、前記第2電路は前記外部電路と遮断されている。前記第1電路が前記分離用部位で遮断されると、前記第2電路は前記外部電路に電気的に接続される。前記第2電路が前記外部電路に電気的に接続された後、前記第1破断部位及び前記第2破断部位が破断されると、前記第2電路は前記外部電路と再び遮断される。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、アークの発生を抑制することが可能となるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の遮断装置の断面斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動される前の状態を示す図である。
【
図5】
図5は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動された直後の状態を示す図である。
【
図6】
図6は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動された後の状態を示す図である。
【
図7】
図7は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動されて溶断部が溶断した後の状態を示す図である。
【
図8】
図8は、変形例1の遮断装置の断面図である。
【
図9】
図9は、同上の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【
図16】
図16は、同上の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【
図17】
図17は、同上の遮断装置の動作を説明するための説明図である。
【
図18】
図18は、一変形例の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【
図20】
図20は、同上の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【
図21】
図21は、一変形例の遮断装置の要部の断面図である。
【
図23】
図23は、同上の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【
図24】
図24は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動される前の状態を示す図である。
【
図25】
図25は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動された直後の状態を示す図である。
【
図26】
図26は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動されて溶断部が切断された後の状態を示す図である。
【
図27】
図27は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動されて溶断部が溶断した後の状態を示す図である。
【
図29】
図29は、同上の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【
図32】
図32は、同上の遮断装置の導電部材及び溶断部材の斜視図である。
【
図33】
図33は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動された直後の状態を示す図である。
【
図34】
図34は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動されて溶断部材が切断された後の状態を示す図である。
【
図36】
図36は、同上の遮断装置の動作ピンの斜視図である。
【
図37】
図37は、同上の遮断装置の導電部材及び溶断部材の斜視図である。
【
図38】
図38は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動された直後の状態を示す図である。
【
図39】
図39は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動されて溶断部材が切断された後の状態を示す図である。
【
図41】
図41は、
図40のXXXXI-XXXXI線における同上の遮断装置の断面図である。
【
図42】
図42は、同上の遮断装置に用いられる隔壁部材の斜視図である。
【
図43】
図43は、変形例10の遮断装置の断面斜視図である。
【
図44】
図44は、同上の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【
図45】
図45は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動される前の状態を示す図である。
【
図46】
図46は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動されて第2導電部材が切断された後の状態を示す図である。
【
図47】
図47は、同上の遮断装置の断面図であって、動作ピンが駆動されて第3導電部材が切断された後の状態を示す図である。
【
図49】
図49は、同上の遮断装置の要部の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態に係る遮断装置について、図面を用いて説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(1)実施形態
(1.1)概要
本実施形態の遮断装置1は、例えば、電源を含む外部電路に接続されて、電源からの電流を流す電気回路の一部を構成する。遮断装置1は、外部の制御部からの信号に応じて内部の電路を遮断することで、上記の電気回路を遮断することができる。
【0012】
なお、本開示では、「上」、「下」、「上方」、「下方」等の方向を示す用語を用いて説明するが、これらは相対的な位置関係を示しているだけであり、それにより本開示が限定されるものではない。
【0013】
図1に示すように、遮断装置1は、第1遮断部2と、第2遮断部3と、を備える。
【0014】
第1遮断部2は、外部電路に接続される第1電路20を遮断する。ここでは、遮断装置1は第1導電部材4を備えており、第1導電部材4の一部により第1電路20が構成される。第1導電部材4は、第1電路20を遮断するための分離用部位41を有する。
【0015】
第1遮断部2は、ガス発生器7を有する。ガス発生器7は、燃焼によりガスを発生させる。第1遮断部2は、ガス発生器7で発生したガスの圧力に連動して第1電路20を遮断する(
図4~
図6参照)。第1遮断部2は、分離用部位41を第1導電部材4から切断することで、第1電路20を遮断する。
【0016】
図1に示すように、第2遮断部3は、第1電路20と並列に接続される第2電路30を有する。ここでは、遮断装置1は第2導電部材5を備えており、第2導電部材5の一部により第2電路30が構成される。第2遮断部3は、第2電路30を遮断する。第2遮断部3は、第2電路30の一部を構成する溶断部31を有する。溶断部31は、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する(
図6、
図7参照)。第2導電部材5は、溶断部31として、第1溶断部311と第2溶断部312と、を有する。第2遮断部3は、第1溶断部311及び第2溶断部312を破断させることにより第2電路30を遮断する。
【0017】
本実施形態の遮断装置1では、第2電路30が第1電路20と並列に接続されているため、第1電路20に電流が流れている状態で第1遮断部2が第1電路20を遮断すると、この電流が第2電路30へと流れ込む。そのため、第1遮断部2が第1電路20を遮断する時に、第1電路20の遮断箇所でアークが発生し難い。これにより、第2遮断部3(第2電路30)を備えていない遮断装置に比べて、アークの発生を抑制することが可能となる。なお、アークの発生を抑制するとは、アークを発生させなくすることに限らず、発生したアークが持続する時間を短くする、又は発生するアークのエネルギーを小さくすることも含み得る。
【0018】
要するに、遮断装置1は、第1導電部材4と、第2導電部材5と、ガス発生器7と、を備える。第1導電部材4は、外部電路に接続される第1電路20を構成し、第1電路20を遮断するための分離用部位41を有する。第2導電部材5は、第1電路20と並列に接続される第2電路30を構成し、第2電路30を遮断するための第1破断部位(第1溶断部311)及び第2破断部位(第2溶断部312)を有する。ガス発生器7は、ガスを発生させる。分離用部位41は、第1電路20の第1位置の部位と第1電路20の第2位置の部位とを接続している。第1破断部位は、第2電路30の第3位置に位置する。第2破断部位は、第2電路30の第4位置に位置する。ガス発生器7で発生したガスの圧力に連動して分離用部位41が第1導電部材4から切断されることにより第1電路20が遮断される。第1電路20が遮断された後、第2導電部材5の第1破断部位及び第2破断部位が破断される。第1破断部位及び第2破断部位が破断されることにより第2電路30が遮断され、
図3に示すように、第1位置と第2位置との間の長さW1は、第3位置と第4位置との間の長さW2よりも短い。これにより、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0019】
(1.2)構成
本実施形態の遮断装置1について、
図1~
図7を参照して、より詳細に説明する。
【0020】
遮断装置1は、
図1に示すように、第1導電部材4、第2導電部材5、ガス発生器7、動作ピン8、及び筐体9を備えている。
【0021】
遮断装置1は、例えば、電動車両等に備えられる。遮断装置1は、例えば、電動車両の電源とモータとを接続する電気回路に設けられ、電源からモータへの電流の供給の有無を切り替える。遮断装置1におけるガス発生器7の動作は、例えば、電動車両に設けられている制御部(ECU:Electronic Control Unit等)によって制御される。
【0022】
以下では、説明の便宜上、動作ピン8の移動方向であって動作ピン8と第1導電部材4とが対向する方向(
図4の上下方向)を上下方向と呼び、動作ピン8から見て第1導電部材4側を下側、第1導電部材4から見て動作ピン8側を上側と呼ぶ。また、第1導電部材4の長手方向(
図4の左右方向)を左右方向と呼ぶ。また、上下方向及び左右方向の両方と直交する方向(
図4の紙面に垂直な方向)を前後方向と呼ぶ。なお、これらの方向は、遮断装置1の構造を説明するための便宜的なものであり、遮断装置1を使用する場合の遮断装置1の向き等を規定するものではない。
【0023】
図3に示すように、第1導電部材4は、上下方向に厚さを有する板状である。第1導電部材4は、例えば、銅により形成されている。
【0024】
第1導電部材4は、分離用部位41と、分離用部位41につながっている2つの固定用部位42と、を有する。2つの固定用部位42は、分離用部位41を介してつながっており、互いに電気的に接続されている。2つの固定用部位42と分離用部位41とは、一体に形成されている。第1導電部材4の長手方向において、一方の固定用部位42、分離用部位41、他方の固定用部位42が、この順に並んでいる。
【0025】
2つの固定用部位42は、電動車両の電源とモータとを接続する電気回路の両端に電気的に接続される。2つの固定用部位42の各々は、矩形板状の部分と、矩形板状の部分の側面から突出する突出部分とを有する。突出部分の突出端面は、凹面状である。
【0026】
図3に示すように、分離用部位41は、固定用部位42よりも幅(前後方向の寸法)が小さな板状である。
【0027】
第1導電部材4は、各固定用部位42と分離用部位41との間に、溝44を有している。溝44は、第1導電部材4の第1の面F1(
図4参照)及び第1の面F1とは反対側の第2の面F2(
図4参照)とのうち、第1の面F1に形成されている。第1の面F1は、動作ピン8と対向する面である。各溝44の深さ方向は、第1導電部材4の厚さ方向に沿っている。溝44は、部分円筒状である。2つの溝44は、同心状に形成されている。2つの溝44は、外側(中心から遠い側)の径が互いに等しく、内側(中心に近い側)の径も互いに等しい。溝44が、固定用部位42と分離用部位41との境界部分440を規定する。境界部分440の破断強度は、固定用部位42の破断強度以下である。また、境界部分440の破断強度は、分離用部位41の破断強度以下である。
【0028】
以下、2つの溝44のうち、一方の溝44の位置を第1位置、他方の溝44の位置を第2位置と表す場合がある。2つの溝44の間の長さをW1として
図3に示す。なお、本実施の形態における溝44は上方から見て、湾曲しているため2つの溝44の間の距離は一番近いところを基準とする。つまり、一方の溝44の端部と、対向する他方の溝44の端部との間の長さを、2つの溝44の間の長さW1と定義する。
【0029】
第1電路20は、一方の溝44の位置(第1位置)と他方の溝44の位置(第2位置)とで、遮断される。
【0030】
2つの固定用部位42の各々は、貫通孔421を有している。2つの固定用部位42の各々は、貫通孔421にねじを通し、このねじを外部の電気回路(外部電路)の端子に結合することで、電気回路に対して電気的に接続され得る。つまりここでは、固定用部位42における貫通孔421の部分が、遮断装置1を外部電路に電気的に接続するための端子である。
【0031】
また、2つの固定用部位42の各々は、貫通孔421と分離用部位41との間の位置に、差込孔420を有している。差込孔420は、前後に長いレーストラック形状である。各差込孔420には、第2導電部材5の一端(第1端)又は他端(第2端)が挿入される(
図1参照)。言い換えれば、第2導電部材5(第2電路を構成する部材)は、第1導電部材4(第1電路を構成する部材)の差込孔420(開口部)に挿入されている。ここでは、第2導電部材5は、差込孔420の内面において第1導電部材4と接触しており、差込孔420において、第1導電部材4が第2導電部材5に接続されている。言い換えれば、第2導電部材5(第2電路30を構成する部材)は、第1導電部材4(第1電路20を構成する部材)に固定されている。
【0032】
第2導電部材5は、例えば銅により形成されている。
図3に示すように、第2導電部材5は、略U字状の本体部51と、本体部51の両端から互いに離れる向きに突出する一対の鍔部52と、を一体に有している。第2導電部材5は、例えば、第1導電部材4よりも薄い板部材に、打抜加工及び折曲加工を施すことで形成される。第2導電部材5では、板部材の両端を第1導電部材4の差込孔420にそれぞれ挿入し、挿入した部分を外側に折り曲げることで、鍔部52が形成される。第2導電部材5の鍔部52に形成されている貫通孔と、第1導電部材4に形成されている貫通孔とに、共通のねじを通すことで、第1導電部材4と第2導電部材5とが互いに接続される。
【0033】
本実施形態の遮断装置1では、第1導電部材4において、2つの差込孔420(第2導電部材5との接続部分)で挟まれる部分が、第1電路20を規定する。また、第2導電部材5における本体部51(第1導電部材4との2箇所の接続部分の間の部分)が、第2電路30を規定する。
【0034】
なお、以下では、遮断装置1の電路において、外部電路との接続点(ここでは、第1導電部材4の貫通孔421)と、第1電路20と第2電路30との接続点(ここでは、第1導電部材4の差込孔420)と、の間の部分を、共通電路10と呼ぶことがある。本実施形態の遮断装置1では、左側の貫通孔421と左側の差込孔420との間、及び右側の貫通孔421と右側の差込孔420との間に、それぞれ共通電路10がある。
【0035】
図3に示すように、第2導電部材5は、本体部51(第2電路30を構成する部分)の一部に、本体部51の他の部分よりも幅の小さな幅狭部53を有している。より詳細には、本体部51のU字の左右の直線部分それぞれに、幅狭部53が設けられている。各幅狭部53は、中央に貫通孔を有する矩形枠状である。また、幅狭部53は、幅狭部53の他の部分よりも更に幅の小さな起点部54を有している。
【0036】
第2導電部材5の第2電路30に電流が流れると、第2導電部材5が発熱する。そして、第2電路30に流れる電流が許容範囲を超えると、幅狭部53は、起点部54を起点として溶断する。その結果、第2電路30が遮断される。要するに、幅狭部53は、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31を構成する。溶断部31は、第2電路30に一定値以上の電流が流れると、溶断する。
【0037】
図1、
図3に示すように、本実施形態の第2電路30は、2つの溶断部31を備えている。なお、以下では、2つの溶断部31を「第1溶断部311」及び「第2溶断部312」と表す場合がある。
【0038】
第2導電部材5において、幅狭部53以外の部分は、溶断部31と直列に接続されており溶断部31が溶断されるまで導通可能に設けられる導電保持部32である。遮断装置1では、2つの溶断部31(第1溶断部311及び第2溶断部312)は、導電保持部32を介して直列に接続されている。導電保持部32(第2導電部材5における幅狭部53以外の部分)の電気抵抗は、溶断部31(幅狭部53)の電気抵抗よりも小さい。例えば、導電保持部32と溶断部31とを同じ材料から形成し、導電保持部32の断面積を溶断部31の断面積よりも大きく設けることにより、このような電気抵抗の大小関係を得ることができる。なお、導電保持部32と溶断部31とは異なる材料であってもよい。
【0039】
筐体9は、例えば、樹脂により形成されている。筐体9は、第1空間と第2空間とを有する。第1空間は第1導電部材4の上方に位置する。第1空間には、動作ピン8が配置される。第2空間は、第1導電部材4の下方に位置する。第2空間には、第1溶断部311が配置される。
【0040】
より詳細には、
図1、
図2に示すように、筐体9は、ベース91と、第1ボディ92と、第2ボディ93と、第3ボディ94と、第1カバー95と、第2カバー96と、を備えている。
【0041】
ベース91は、上下方向に厚さを有し左右に長い矩形板状である。
【0042】
第1ボディ92は、上下方向に厚さを有し左右に長い矩形板状である。第1ボディ92は、ベース91の上面上に配置される。第1ボディ92の下面には、第2導電部材5の本体部51の下板(導電保持部32)を収容するための、左右に長い収容凹所が形成されている。収容凹所の深さは、第2導電部材5の本体部51の下板の厚さと略等しい。下板は、ベース91と第1ボディ92との間に挟まれて保持される。また、第1ボディ92における収容凹所の底面の左右両端には、第2導電部材5の左右の側板を通すための貫通孔が2つ、上下に貫通している。第1ボディ92の上面において、各貫通孔の周りには、円環状の溝が形成されている。
【0043】
第2ボディ93は、前後左右の寸法が第1ボディ92と同じ矩形箱状である。第2ボディ93は、第1ボディ92の上面上に配置される。第2ボディ93の下面において、前後方向の中央であって左右方向の中央よりも外側には、円柱状の凹所が2つ形成されている。2つの凹所は、第2ボディ93を第1ボディ92に重ねたときに、第1ボディ92の2つの円環状の溝に対応する位置に形成されている。凹所の底面には、第2導電部材5の左右の側板を通すための貫通孔が、上下に貫通している。
【0044】
筐体9は、2つの筒部材97を更に備えている。筒部材97は、例えばセラミックなどの耐熱性が高く絶縁性が高い材料により、円筒状に形成されている。筒部材97は、第2ボディ93の凹所に嵌め込まれ、上端が第2ボディ93の凹所の底に接している。筒部材97の下端は、第1ボディ92の円環状の溝に嵌め込まれる。第2導電部材5の2つの幅狭部53(つまり溶断部31)は、2つの筒部材97の内部にそれぞれ位置している。筒部材97の内部は空間であるが、消弧砂等の消弧部材が設けられていてもよい。すなわち、遮断装置1は、溶断部31の周囲に配置された消弧部材を備えていてもよい。筒部材97内の空間が、第2空間を構成する。
【0045】
例えば、
図1に示す実施の形態では、起点部54(第1破断部)を囲む空間に消弧砂6
00(消弧部材)が充填されている。後述する実施の形態についても同様に、消弧部材を備えていてもよい。
【0046】
なお、消弧部材は消弧砂に限られない。消弧部材は、例えば、珪砂にエポキシ樹脂と硬化剤とが混ぜられて、エポキシ樹脂が硬化することにより固形状又は半固形状に形成された部材であってもよい。すなわち、消弧部材は、珪砂(シリカ)を含有してもよい。また、消弧部材は、例えば、SiC、SiO2、アルミナ、PA6、PA46、PA66等のポリアミド(ナイロン)、又は、これらのポリアミドの樹脂に水酸化マグネシウム又はホウ酸マグネシウムを混合した材料により形成されてもよい。また、消弧部材は、シリコンゴム等の液体であってもよい。また、消弧部材の材料として、水素貯蔵合金を用いてもよい。消弧部材として用いられる水素貯蔵合金は、熱せられると消弧ガスとしての水素を生じる。また、消弧部材の材料として、例えば、シリコン又は炭化ケイ素(SiC)を含む部材を用いてもよい。
【0047】
また、第2ボディ93の上面の中央には、円柱状の凹所931が形成されている。凹所931の断面形状は、動作ピン8の断面形状と略等しい。動作ピン8が移動した後に動作ピン8を凹所931の内周面により固定するために、凹所931の断面形状は凹所931の底面近傍において底面に向って狭くなるテーパ形状となっている。凹所931の径は、第1導電部材4の溝44の外径よりも小さく内径よりも大きい。
【0048】
第2ボディ93の上面上に、第1導電部材4が載置される。第1導電部材4は、溝44が凹所931の縁と対向するように、配置される(
図1、
図3参照)。
【0049】
第3ボディ94は、矩形の筒状である。第3ボディ94は、第2ボディ93の上面上に配置される。第3ボディ94の下面には、第1導電部材4が嵌まる凹所が形成されている。第3ボディ94の左右方向の寸法は第2ボディ93のそれよりも小さく、第1導電部材4の2つの差込孔420の間の間隔よりも小さい。ここでは、第1導電部材4の2つの差込孔420及び第2導電部材5の2つの鍔部52は、第3ボディ94に覆われることなく外部に露出している。第3ボディ94は、その中央に、上下に貫通する円柱状の貫通孔941を有している。貫通孔941の断面形状は、動作ピン8の断面形状と略等しい。
【0050】
第1カバー95は、第3ボディ94の上面に被せられる。第1カバー95は、直方体状の部分と、その上にのせられた円柱状の部分と、を含む形状を有している。第1カバー95の中央には、貫通孔950が上下に貫通している。貫通孔950は、第1カバー95の下面の中央に上方に凹むように形成された円柱状の凹所951と、第1カバー95の上面に形成された収容凹所952と、を含んでいる。凹所951の底面と収容凹所952の底面とは、つながっている。凹所951の断面形状は、第3ボディの貫通孔941の断面形状と略等しい。
【0051】
第1カバー95が第3ボディ94に取り付けられた状態で、第1カバー95の凹所951と第3ボディ94の貫通孔941とはつながっている。
【0052】
また、第1カバー95の下面には、リング状の凹所953が設けられており、凹所953にはオーリング61が配置される。
【0053】
第1カバー95の凹所951及び第3ボディ94の貫通孔941から構成される空間に、動作ピン8が配置される。また、第1カバー95の収容凹所952内の空間に、ガス発生器7が配置される。
【0054】
第2カバー96は、下面が開口した有底円筒状である。第2カバー96の上壁の中央には、ガス発生器7の上面を露出するための貫通孔が形成されている。第2カバー96は、第1カバー95の上面を覆うように第1カバー95に被せられる。
【0055】
ガス発生器7は、筐体9の収容凹所952に配置される。ガス発生器7は、第1遮断部2に含まれる。
図1、
図2に示すように、ガス発生器7は、燃料74と、ケース71と、通電用の2つのピン電極72と、発熱素子73と、を備えている。
【0056】
ケース71は、中空の円柱状である。遮断装置1は、ケース71の外周面と収容凹所952の内面との間に介在するオーリング62を更に備えている。ケース71は、内部空間を構成する下側の壁に、例えば十字溝が形成されており、この溝が形成された部分が他の部分よりも破断しやすくなっている。燃料74は、ケース71の内部空間に収容されている。燃料74は、温度が上昇すると燃焼してガスを発生させる。燃料74は、例えば、ニトロセルロース、アジ化鉛、黒色火薬、グリシジルアジドポイマ等の火薬である。
【0057】
2つのピン電極72は、ケース71に保持されている。2つのピン電極72の各々の第1端は、筐体9の外部に露出している。2つのピン電極72の各々の第2端は、発熱素子73に接続されている。つまり、発熱素子73は、2つのピン電極72の間に接続されている。発熱素子73は、ケース71内において燃料74が収容された内部空間に配置されている。発熱素子73は、通電されることにより熱を発生する。発熱素子73は、例えばニクロム線、鉄とクロムとアルミの合金線である。
【0058】
ガス発生器7は、燃料74を燃焼させることによりガスを発生させる。より詳細には、ガス発生器7は、2つのピン電極72の間が通電されると発熱素子73が発熱して、発熱素子73の周りの燃料74の温度を上昇させる。これにより燃料74が燃焼して、ガスが発生する。
【0059】
動作ピン8は、第1遮断部2に含まれる。動作ピン8は、ガス発生器7で発生したガスの圧力により動かされる。動作ピン8は、例えば、材料として樹脂を含む。動作ピン8は、筐体9の第1空間に配置される。
図1に示すように、動作ピン8は、第1導電部材4の分離用部位41とガス発生器7との間に配置されている。動作ピン8は、上下に長い円柱状である。動作ピン8の径は、貫通孔941の径及び凹所931の径と略等しい。動作ピン8の径は、溝44の外側の径よりも小さく、溝44の内側の径よりも大きい。ただし、動作ピン8の径は、溝44の外側の径と略等しくてもよい。
【0060】
動作ピン8の上端の外縁には、動作ピン8の周方向に沿った円環形の溝81が形成されている。遮断装置1は、溝81に嵌め込まれているオーリング63を更に備えている。オーリング63の外縁は、凹所951の内面に接している。溝81の内面及び凹所951の内面と、オーリング63との間の摩擦力により、動作ピン8が凹所951の内側において筐体9に保持されている。筐体9内には、動作ピン8の第1面(上面)、ガス発生器7の下面、及び第1カバー95における貫通孔950の内面に囲まれるように、気密な空間(加圧室75)が形成されている。
【0061】
上述のように、第1遮断部2は、貫通孔941、貫通孔950等から構成される空間(第1空間)に配置されており、第2遮断部3(溶断部31)は、筒部材97の内部空間(第2空間)に配置されている。すなわち、第1遮断部2と第2遮断部3とは、筐体9内の異なる空間に、それぞれ収容されている。
【0062】
図4に示すように、動作ピン8は、その外周縁が第1導電部材4の溝44(境界部分440)と対向するように、筐体9内に配置されている。動作ピン8は、ここでは、下面が第1導電部材4と接触するように、筐体9内に配置されている。
【0063】
(1.3)動作
遮断装置1の動作について、
図4~
図7を参照して説明する。
【0064】
図4に示すように、ガス発生器7のピン電極72が通電されずガス発生器7が駆動されていない場合、遮断装置1は、2つの端子(貫通孔421)間の電路に電流が流れるのを許容する。すなわち、遮断装置1内において、電流は、外部電路の高電位側に接続された端子(例えば、左側の貫通孔421)から、一方の共通電路10を通り、第1電路20と第2電路30との並列回路を通り、他方の共通電路10から、外部電路の低電位側に接続された端子(例えば、右側の貫通孔421)へと流れる。
【0065】
ここで、ガス発生器7が駆動していない状態において、第1電路20の電気抵抗は、第2電路30の電気抵抗よりも十分小さく設定されている。言い換えれば、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路20の電気抵抗は、第2電路30の電気抵抗より小さい。そのため、第1電路20と第2電路30との並列回路では、ほぼ全ての電流が第1電路20を通過する。言い換えれば、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路20に流れる電流は、第2電路30に流れる電流より大きい。特に限定されないが、第1電路20の電気抵抗は、例えば第2電路30の電気抵抗の1/100以下であり、1/1000以下であることが好ましく、1/10000以下であることが更に好ましい。一例として、第2電路30の電気抵抗が1Ω程度の場合、第1電路20の電気抵抗は、例えば10mΩ以下であり、1mΩ以下であることが好ましく、0.1mΩ以下であることが更に好ましい。
【0066】
例えば外部電路に規定以上の電流が流れたことを検知すると、電動車両の制御部等は、2つのピン電極72間に通電する。これにより、ピン電極72に接続されている発熱素子73が発熱する。この発熱素子73で発生した熱によって燃料74が点火され、燃料74が燃焼してガスを発生する。つまり、第1遮断部2は、外部電路に規定以上の電流が流れたとき、ガス発生器7がガスを発生させる。ガスは、ケース71において燃料74を収容する空間の圧力を上昇させて、この空間を構成する壁(下壁)を破断し、この破断した部分を通して加圧室75に導入されて加圧室75内の圧力を上昇させる。加圧室75内のガスの圧力により、動作ピン8には、ガス発生器7から離れる向き(下向き)の力が作用する。
【0067】
動作ピン8は、オーリング63の摩擦力に抗して移動し、動作ピン8の下面が分離用部位41を押す。分離用部位41が動作ピン8に押されることによって、
図5に示すように第1導電部材4は、分離用部位41と2つの固定用部位42とのそれぞれの境界部分440(第1位置及び第2位置)において破断される。これにより、分離用部位41が固定用部位42から切り離される。固定用部位42から切り離された分離用部位41は、動作ピン8に押されて下方の凹所931内に入る。
【0068】
ここで、第1導電部材4に電流が流れている状態において、分離用部位41が固定用部位42から切り離されると、切り離された部位の間でアークが発生することがある。しかしながら、本実施形態の遮断装置1では、第2電路30が、分離用部位41と固定用部位42との境界部分440を含む第1電路20と、並列に接続されている。そのため、分離用部位41が固定用部位42から切り離されると、第1電路20を流れていた電流は第2電路30へと流れるようになる(転流)。これにより、第1電路20を遮断した際のアークの発生が抑制される。
【0069】
分離用部位41を固定用部位42から切り離した後、動作ピン8は更に下方へと移動して、2つの固定用部位42の間に入り込む。その結果、2つの固定用部位42の間が動作ピン8によって絶縁される。動作ピン8によって押された分離用部位41が、凹所931の底面に到達し、動作ピン8は下方への移動を停止する(
図6参照)。
【0070】
一方、第2電路30に流れ込んだ電流は、第2導電部材5の温度を上昇させる。そして、溶断部31(より詳細には、起点部54)の温度が許容範囲を超えると、溶断部31が溶断し、第2電路30が遮断される(
図7参照)。このように、遮断装置1では、第1遮断部2が第1電路20を遮断した後、第2遮断部3の溶断部31が溶断される。
【0071】
つまり溶断部31が溶断(破断)されることにより、第2電路30は遮断される。第2電路30は第1溶断部311及び第2溶断部312で遮断される。第1溶断部311及び第2溶断部312の間の長さをW2として
図3に示している。第1溶断部311の位置を「第3位置」、第2溶断部312の位置を「第4位置」と表す場合がある。つまり、第2電路30は、第3位置と第4位置とで遮断される。第1溶断部311及び第2溶断部312は、「第1破断部位」及び「第2破断部位」と表す場合がある。また、特に起点部54を「破断部位」と表す場合がある。遮断装置1では、第3位置から第4位置までの第2電路30の電流経路は、第3位置と第4位置との間の直線距離よりも長い。
【0072】
ここで、溶断部31が溶断する際に、溶断箇所でアークが発生する可能性がある。しかしながら、本実施形態の遮断装置1では、第2電路30の電気抵抗が第1電路20の電気抵抗よりも十分大きく設定されているため、第2電路30を流れる電流の大きさは、第1電路20を流れる電流の大きさよりも十分小さくなる。そのため、溶断部31で発生し得るアークのエネルギーは、第2電路30が無い場合に第1電路20で発生し得るアークのエネルギーよりも、小さくなる。すなわち、本実施形態の遮断装置1は、第2遮断部3(第2電路30)を備えていることで、第2遮断部3を備えていない遮断装置に比べてアークの発生を抑制することが可能となる。また、アークの発生が抑制されることにより、発生するアークのエネルギーを小さくすることができる。そのため、アークのエネルギーを内部に閉じ込めるための筒部材97内の空間の容積を小さくすることが可能となる。また、アークのエネルギーを内部に閉じ込めるための筐体9の壁の厚さを薄くすることが可能となる。その結果、遮断性能の向上と遮断装置1の小型化が可能となる。
【0073】
なお、溶断部31で発生したアークは、筒部材97内の空間にエネルギーが吸収される等して消弧され得る。筒部材97の内部に消弧砂等の消弧部材(消弧砂600等)が設けられている場合には、消弧部材によりアークのエネルギーを吸収して消弧できるため、筒部材97内の空間の容積を更に小さくすることができる。
【0074】
また、本実施形態の遮断装置1では、「W1<W2」の関係を満たしている。「W1」は、第1位置と第2位置との間(2つの溝44の間)の長さ(第1長さ)であり、第1電路20が遮断される際の絶縁距離に相当する。「W2」は、第3位置と第4位置との間(第1破断部位と第2破断部位との間)の長さ(第2長さ)であり、第2電路30が遮断される際の絶縁距離に相当する。ここでの絶縁距離は、互いに絶縁すべき部分相互間のうち、導電性を有する部分の間の空間距離を意味する。すなわち、遮断装置1では、先に遮断される第1電路20が遮断された際の絶縁距離(第1長さW1)よりも、後に遮断される第2電路30が遮断された際の絶縁距離(第2長さW2)の方が長い。アークは、絶縁距離が長い程発生しにくく、発生した場合のエネルギーも小さくなる。そのため、本実施形態の遮断装置1では、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0075】
(2)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。なお、以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0076】
(2.1)変形例1
本変形例の遮断装置1Aについて、
図8、
図9を参照して説明する。
【0077】
本変形例の遮断装置1Aは、基本例の遮断装置1とは異なる形状の第1導電部材4A、第2導電部材5A、動作ピン8A及び筐体9Bを備えている。本変形例の遮断装置1Aでは、第1導電部材4Aの一部(分離用部位41Aを含む部分)により、第1電路20Aが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8A等により、第1遮断部2Aが構成される。また、第2導電部材5Aの一部(溶断部31Aを含む部分)等により、第2電路30Aを有する第2遮断部3Aが構成される。本変形例の遮断装置1Aにおいて、基本例の遮断装置1と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0078】
図8に示すように、筐体9Aは、第1ボディ92Aと、第2ボディ93Aと、第3ボディ94Aと、第1カバー95Aと、第2カバー96Aと、を備えている。
【0079】
第1ボディ92Aは、上面が開口した凹所921Aを有する箱状である。第1ボディ92Aの凹所921Aの内部空間は、円柱状の空間とお椀状の空間がつながった形状を有している。第1ボディ92Aの凹所921Aの底面の中央には、凹所921Aの深さの半分を超える高さを有する台部が形成されている。第1ボディ92Aの上面には、凹所921Aの周囲を囲うように、円環状の凹所が形成されている。この円環状の凹所には、オーリング64Aが嵌め込まれる。
【0080】
第2ボディ93Aは、第1ボディ92Aに被せられる。第2ボディ93Aは、その中央に上下に延びる貫通孔931Aを有する、矩形の筒状である。貫通孔931Aの内面は、上側(第1導電部材4Aに近い側)が円柱面状であり、下側は下方に向かうにつれて徐々に径が大きくなる円錐台面状である。また、第2ボディ93Aにおいて、貫通孔931Aの左右両側の位置であって第1ボディ92Aの凹所921Aの内周面に対応する位置には、上下に延びる貫通孔が形成されている。この貫通孔に、第2導電部材5Aの左右の接続部502の縦片が通される。
【0081】
第3ボディ94Aは、上下に延びる貫通孔941Aを有する矩形板状である。第3ボディ94Aは、その上面に、貫通孔941Aよりも径の大きな円筒状の支持壁942Aを有している。第3ボディ94Aは、第2ボディ93Aの上方に重ねられる。
【0082】
第1カバー95Aは、円筒状である。第1カバー95Aは、第3ボディ94Aの支持壁942Aの内側に嵌まる形状である。第1カバー95Aの内周面の断面形状は、第3ボディ94Aの貫通孔941Aの内周面の断面形状と同じである。第1カバー95Aの内部空間、及び第3ボディ94Aの貫通孔941A内に、動作ピン8Aが配置される。また、第1カバー95Aは、その上端に、ガス発生器7を収容するための円筒状の収容壁954Aを備えている。
【0083】
第2カバー96Aは、第3ボディ94Aの上面と第1カバー95Aの上面とを覆うように、第3ボディ94A及び第1カバー95Aに取り付けられる。第2カバー96Aと第3ボディ94Aとの間に、オーリング61Aが配置される。
【0084】
ガス発生器7は、第1カバー95Aの収容壁954Aで囲まれた空間に配置される。ガス発生器7と第1カバー95Aとの間に、オーリング62Aが配置される。
【0085】
第2ボディ93Aと第3ボディ94Aとに挟まれるように、第1導電部材4A及び第2導電部材5Aが配置されている。
【0086】
図9に示すように、第1導電部材4Aは、分離用部位41Aと、分離用部位41Aにつながっている2つの固定用部位42Aと、を有する。2つの固定用部位42Aは、分離用部位41Aを介してつながっており、互いに電気的に接続されている。
【0087】
2つの固定用部位42Aの各々は、矩形板状である。分離用部位41Aは、固定用部位42Aよりも幅(前後方向の寸法)が小さな板状である。分離用部位41Aと固定用部位42Aとの間には、分離用部位41Aと固定用部位42Aとの間の境界部分440Aを規定する、部分円筒状の溝44Aが形成されている。
【0088】
2つの固定用部位42Aの各々は、外部電路に電気的に接続するための貫通孔421A(端子)を有している。また、2つの固定用部位42Aの各々は、貫通孔421Aと分離用部位41Aとの間の位置に、差込孔420Aを有している。
【0089】
図9に示すように、第2導電部材5Aは、2つの接続部502と、2つの接続部502の間に接続される抵抗部501と、を備える。
【0090】
各接続部502は、金属製である。接続部502は、例えば、銅により形成されている。各接続部502は、L字状の接続片521Aと、幅狭部522Aと、保持部523Aと、を有する。接続片521Aは、固定用部位42Aの上面に載置される横片と、横片の端部から下方に延びる縦片と、を含むL字状である。幅狭部522Aは、接続片521Aよりも幅(前後方向の寸法)が小さく、縦片の下端から下方に突出する棒状である。保持部523Aは、上下方向と垂直な断面がU字状であり、幅狭部522Aの下端に設けられている。
【0091】
抵抗部501は、金属製である。抵抗部501の材料となる金属は、抵抗部501の電気抵抗値、耐熱性、熱容量、伝熱性等を考慮して選定される。抵抗部501の材料は、例えば、ステンレス、タングステン、ニクロム合金、又は、鉄とクロムとアルミニウムとの合金等である。また、抵抗部501の形状は、第2導電部材5Aの電気抵抗、耐熱性、熱容量、伝熱性等を考慮して選定される。抵抗部501の形状及び材料は、第2電路30Aの電気抵抗が、第1電路20Aの電気抵抗よりも十分大きくなるよう選定されている。
【0092】
抵抗部501は、螺旋状に湾曲した螺旋状部524Aと、螺旋状部524Aの両端から上方に延びる一対の保持棒525Aと、を備えている。抵抗部501の両端の保持棒525Aが2つの接続部502の保持部523Aに保持されることで、2つの接続部502及び抵抗部501が一体に結合されている。
【0093】
図8に示すように、第2導電部材5Aでは、各接続部502の接続片521Aの縦片が、第1導電部材4Aの差込孔420A(開口部)に挿入されており、横片が固定用部位42Aの上面に載置されている。接続片521Aの横片において、固定用部位42Aの貫通孔421Aに対応する位置には、貫通孔が形成されている。第2導電部材5Aにおける接続部502の横片の貫通孔と、第1導電部材4Aに形成されている貫通孔421Aとに、共通のねじを通し、外部電路の端子に接続することで、第1導電部材4と第2導電部材5とが、外部電路に共通に接続される。
【0094】
本変形例の遮断装置1Aでは、第1導電部材4Aにおいて、2つの差込孔420A(第2導電部材5Aとの接続部分)で挟まれる部分が、第1電路20Aを規定する。また、第2導電部材5Aにおける接続部502の接続片521Aの縦片、幅狭部522A、保持部523A、及び抵抗部501(言い換えれば、第2導電部材5Aにおける、第1導電部材4Aとの2箇所の接続部分の間の部分)が、第2電路30Aを規定する。また、遮断装置1Aの電路において、外部電路との接続点(第1導電部材4Aの貫通孔421A及び第2導電部材5Aの貫通孔)と、第1電路20Aと第2電路30Aとの接続点(第1導電部材4Aの差込孔420A)と、の間の部分が、共通電路10Aである。
【0095】
動作ピン8Aは、
図8、
図9に示すように、円柱状に形成されている。動作ピン8Aは、ガス発生器7と第1導電部材4Aの分離用部位41Aとの間に配置されている。動作ピン8Aの上端の外縁には、動作ピン8Aの周方向に沿った円環形の溝81Aが形成されている。溝81Aには、オーリング63Aが嵌め込まれる。
【0096】
本変形例の遮断装置1Aでは、第1導電部材4Aに電流が流れている状態において、ガス発生器7が駆動され動作ピン8Aが移動することで分離用部位41Aが固定用部位42Aから切り離されると、第2導電部材5A(第2電路30A)に電流が流れる。第2導電部材5Aに電流が流れると、第2導電部材5A、特に幅狭部522Aの温度が上昇する。そして、幅狭部522Aの温度が許容範囲を超えると、幅狭部522Aが溶断し、第2電路30Aが遮断される。つまり、ここでは、一方の幅狭部522Aの位置が「第3位置」に相当し、他方の幅狭部522Aの位置が「第4位置」に相当する。第3位置と第4位置の間の長さを
図9にW2として示す。また、一方の溝44Aの位置が「第1位置』に相当し、他方の溝44Aの位置が「第2位置』に相当し、第1位置と第2位置の間の長さを
図9にW1として示す。本変形例でも、W1<W2の関係にある。
【0097】
なお、後述する他の変形例では、「第1位置」、「第2位置」、「第3位置」、「第4位置」の説明を省略する場合があるが、上述した実施形態及び変形例1と同様に、後述する各変形例でも、「第1位置」、「第2位置」、「第3位置」、「第4位置」を有する構成であり、W1<W2の関係を満たしている。
【0098】
W1<W2の関係になるようにすることで、アークの発生位置を(従来と比較し)遠ざけることができ、絶縁性能の向上が期待できる。
【0099】
要するに、本変形例の遮断装置1Aでは、幅狭部522Aが、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31A(破断部位)を構成する。遮断装置1Aは、溶断部31Aとして第1溶断部311A(第1破断部位)と第2溶断部312A(第2破断部位)とを有しており(
図9参照)、溶断部31Aが溶断されるまで導通可能に設けられる導電保持部32A(抵抗部501)を介して、第1溶断部311Aと第2溶断部312Aとが直列に接続されている。遮断装置1Aでは、導電保持部32Aは、螺旋状に湾曲した螺旋状部524Aを有しており、導電保持部32Aの両端部を結ぶ直線距離よりも長い電流経路を有している。なお、導電保持部32A(抵抗部501)の電気抵抗は、溶断部31A(幅狭部522A)の電気抵抗より小さいことが好ましい。この場合、溶断部31Aが発熱しやすくなり、溶断部31Aでの溶断の信頼性が向上する。
【0100】
本変形例の遮断装置1Aでも、第2電路30Aを備えていることで、第1電路20Aを遮断した際のアークの発生を抑制することが可能となる。また、本変形例の遮断装置1Aでは、第2電路30Aの電気抵抗が、第1電路20Aの電気抵抗よりも十分大きいため、溶断部31Aが溶断される際に第2電路30Aに流れている電流の大きさは、第1電路20Aを遮断する際に第1電路20Aに流れている電流の大きさよりも、十分小さくなる。そのため、本変形例の遮断装置1は、第2遮断部3A(第2電路30A)を備えていない遮断装置に比べてアークの発生を抑制することが可能となる。なお、導電保持部32Aは、螺旋状以外の形状、例えば複数の折れ曲り部を有するジグザグ形状等であってもよい。
【0101】
(2.2)変形例2
本変形例の遮断装置1Bについて、
図10~
図14を参照して説明する。本変形例の遮断装置1Bにおいて、基本例の遮断装置1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0102】
図10は、遮断装置1Bの斜視図である。
図11は、遮断装置1Bの水平断面図である。
図12は、
図11のXII-XII線における遮断装置1Bの断面図である。
図13は、
図11のXIII-XIII線における遮断装置1Bの断面図である。
図14は、
図11のXIV-XIV線における遮断装置1Bの断面図である。
【0103】
図10~
図14に示すように、遮断装置1Bは、導電部材(第1導電部材)4Bと、溶断部材(第2導電部材)5Bと、ガス発生器7と、動作ピン8Bと、筐体9Bと、を備えている。本変形例の遮断装置1Bでは、導電部材4Bの一部(分離用部位41Bを含む部分)により、第1電路20Bが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8B等により、第1遮断部2Bが構成される。また、導電部材4Bの一部、溶断部材5B等により、第2電路30Bを有する第2遮断部3Bが構成される。
【0104】
導電部材4Bは、金属製であり、例えば銅により形成されている。導電部材4Bは、主電路部40Bと、分岐電路部50Bと、を備えている。
【0105】
主電路部40Bは、上下方向に厚さを有する矩形の板状である。主電路部40Bは、分離用部位41Bと、分離用部位41Bにつながっている2つの固定用部位42Bと、を有する。2つの固定用部位42Bと分離用部位41Bとは、一体に形成されており、互いに電気的に接続されている。主電路部40Bの長手方向において、一方の固定用部位42B、分離用部位41B、他方の固定用部位42Bが、この順に並んでいる。
【0106】
主電路部40Bは、各固定用部位42Bと分離用部位41Bとの間に、溝44Bを有している。各溝44Bの深さ方向は、主電路部40Bの厚さ方向に沿っている。各溝44Bの断面形状は、溝の開口から底面に向かうにつれて幅が狭くなる三角形状である。各溝44Bは、主電路部40Bの幅方向に延びている。溝44B(第1位置及び第2位置)が、固定用部位42Bと分離用部位41Bとの間の境界部分440Bを規定する。
【0107】
2つの固定用部位42Bの各々は、主電路部40Bを外部の電気回路(外部電路)に対して電気的に接続するための、貫通孔421B(端子)を有している。
【0108】
分岐電路部50Bは、2つの接続片531Bを含む。2つの接続片531Bは、2つの固定用部位42Bにそれぞれ電気的に接続されている。2つの接続片531Bは、主電路部40Bにおける2つの固定用部位42Bからそれぞれ突出しており、一体に形成されている。各接続片531Bは、矩形の板状である。各接続片531Bは、対応する固定用部位42Bの幅方向の一側面において、貫通孔421Bと溝44Bとの間の部分から、主電路部40Bの幅方向に突出している。各接続片531Bは、主電路部40Bの長さ方向と直交する方向に、突出している。以下では、主電路部40Bと分岐電路部50B(接続片531B)との接続点を、「第1接続点」とも言う。ここで、接続点は電気回路におけるノードに相当する部位である。例えば、第1接続点は、接続片531Bにおいて、板状の主電路部40Bの側面から突出する基端部分である。分岐電路部50Bが2つの接続片531Bを含むので、第1接続点は2つある。
【0109】
導電部材4Bは、主電路部40Bと分岐電路部50B(2つの接続片531B)とで、上面視π字状に形成されている。
【0110】
溶断部材5Bは、矩形の板状である。溶断部材5Bは、導電部材4Bにおける2つの接続片531Bの先端の間に、架け渡されている。溶断部材5Bは、例えばリベットにより接続片531Bに結合されている。溶断部材5Bは、主電路部40Bにおける分離用部位41Bを含む部分と、並列に接続されている。以下では、分岐電路部50B(接続片531B)と溶断部材5Bの接続点を、「第2接続点」とも言う。溶断部材5Bは、その両端で分岐電路部50B(接続片531B)に接続されているので、第2接続点は2つある。
【0111】
溶断部材5Bは金属製であり、例えば銅により形成されている。第1接続点と第2接続点との間に挟まれた分岐電路部50B(2つの接続片531B)の電気抵抗は、2つの第2接続点に挟まれた溶断部材5Bの電気抵抗より小さいことが好ましい。例えば、溶断部材5Bの厚さを、分岐電路部50Bの厚さよりも薄くすることにより、分岐電路部50Bと溶断部材5Bの電気抵抗の関係を設けることができる。
【0112】
溶断部材5Bには、複数(ここでは9個)の貫通孔57Bが形成されている。より詳細には、溶断部材5Bには、溶断部材5Bの幅方向に並ぶ一以上(ここでは3個)の貫通孔57Bが、列状に形成されている。貫通孔57Bの列は、溶断部材5Bの長さ方向における異なる位置に、一以上(ここでは3列)形成されている。溶断部材5Bにおいて、貫通孔57Bが形成されている部位は、溶断部材5Bの他の部分よりも幅の小さな幅狭部53Bといえる。
【0113】
溶断部材5Bに電流が流れると、溶断部材5Bが発熱する。溶断部材5Bに流れる電流が許容範囲を超えると、溶断部材5Bは、幅狭部53Bにおいて溶断する。すなわち、溶断部材5B(特に、幅狭部53B)が、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31Bを構成する。溶断部材5Bは、いわゆる溶断ヒューズ(電流ヒューズ)の可溶部として機能する。なお、分岐電路部50B(接続片531B)は、溶断部31Bと直列に接続されており溶断部31Bが溶断されるまで導通可能に設けられる導電保持部32Bである。
【0114】
ここでは、上述のように、溶断部材5Bは、貫通孔57Bの列を3列有している。貫通孔57Bの列のうちで、最も離れた列同士の間隔(溶断部材5Bの長さ方向の寸法)は、溝44B間の距離よりも大きい。ここでは、貫通孔57Bの列のうちで最も離れた列同士のうちの一方の位置が「第3位置」に相当し、他方が「第4位置」に相当する。本変形例でも、第1位置と第2位置との間の長さW1よりも、第3位置と第4位置との間の長さW2の方が、小さい(W1<W2)。
【0115】
本変形例の遮断装置1Bでは、導電部材4Bの主電路部40Bにおいて、2つの分岐電路部50Bとの接続点の間に挟まれる部分(2つの第1接続点間の部位)が、第1電路20Bと規定される。また、2つの接続片531B(第1接続点と第2接続点間の部位)及び溶断部材5Bが、第2電路30Bと規定される。第2電路30Bの電気抵抗は、第1電路20Bの電気抵抗よりも大きい。例えば、溶断部材5Bが導電部材4Bよりも薄く、また、溶断部材5Bに貫通孔57Bを設けることにより、このような電気抵抗の大小関係を得ることができる。また、遮断装置1Bの電路において、外部電路との接続点(貫通孔421B)と、第1電路20Bと第2電路30Bとの接続点(第1接続点)と、の間の部分が、共通電路10Bである。
【0116】
図10に示すように、筐体9Bは、矩形の箱状に形成されている。筐体9Bは、上面に開口を有するボディと、下面に開口を有するカバーとを、互いの開口面を突き合わせるように結合することで、構成される。ボディとカバーとは、例えばねじ止めにより結合される。
図11~
図14に示すように、筐体9Bは、その内部に、第1収容空間S1と第2収容空間S2とを有している。
【0117】
第1収容空間S1は、第1遮断部2B(ガス発生器7、動作ピン8Bを含む)を収容するための空間である。第1収容空間S1(第1空間)内には、ガス発生器7、動作ピン8B、及び主電路部40Bの分離用部位41Bが、上からこの順に並んで配置されている。また、第1収容空間S1は、分離用部位41Bの下側に、移動後の動作ピン8Bの一部(ロッド82B)及び分離用部位41Bを収容するためのスペースを有している。第2収容空間S2は、第2遮断部3B(溶断部材5Bを含む)を収容するための空間である。第2収容空間S2(第2空間)には、2つの接続片531Bの先端部、及び溶断部材5Bが収容されている。第2収容空間S2内には、消弧砂等の消弧部材が収容されている。消弧部材は、珪砂にエポキシ樹脂と硬化剤とが混ぜられて、エポキシ樹脂が硬化することにより固形状又は半固形状に形成された部材であってもよい。
図11、
図12に示すように、第1収容空間S1と第2収容空間S2との間は、隔壁90Bによって分離されている。
【0118】
動作ピン8Bは、
図12、
図13に示すように、導電部材4Bの分離用部位41Bとガス発生器7との間に配置されている。
【0119】
動作ピン8Bは、ベース81Bとロッド82Bとを有している。
【0120】
ベース81Bは、有底円筒状である。ベース81Bの外縁には、ベース81Bの周方向に沿った円環形の溝811Bが形成されている。溝811Bには、オーリング63Bが嵌め込まれている。溝811Bの内面及び筐体9Bの内面と、オーリング63Bとの間の摩擦力により、動作ピン8Bが第1収容空間S1内において筐体9Bに保持されている。
【0121】
ロッド82Bは、直方体状である。ロッド82Bは、ベース81Bの底面からベース81Bの軸方向に突出している。ロッド82Bは、ベース81Bと一体に形成されている。ロッド82Bの先端は、分離用部位41Bに接している。
図13に示すように、ロッド82Bの突出方向から見て、ロッド82Bの側面は主電路部40Bの溝44Bと対向しており、分離用部位41Bはロッド82Bと同程度の大きさである。
【0122】
ガス発生器7は、動作ピン8Bとの間に気密な加圧室75Bを形成するように、筐体9Bの第1収容空間S1内に配置されている。ガス発生器7と筐体9Bの内面との間に、オーリング62Bが配置されている。
【0123】
本変形例の遮断装置1Bでは、ガス発生器7のピン電極72が通電されるとガス発生器7がガスを発生し、加圧室75B内の圧力が上昇する。これにより、動作ピン8Bが分離用部位41Bに向かって(
図12、
図13の下方へ)移動し、動作ピン8Bが分離用部位41Bを押すことで、主電路部40Bが境界部分440Bにおいて破断される。これにより、第1電路20Bが遮断される。
【0124】
第1電路20Bに電流が流れている状態において第1電路20Bが遮断されると、この電流は、第1電路20Bと並列接続されている第2電路30Bへと流れるようになる。そのため、第1電路20Bを遮断する際に、第1電路20Bの破断箇所でのアークの発生が抑制される。
【0125】
第2電路30Bに流れる電流が、溶断部31Bの許容範囲を超えると、溶断部31Bにおいて溶断部材5Bが溶断する。これにより、第2電路30Bが遮断される。溶断部31が溶断する際には、溶断箇所でアークが発生する可能性がある。しかしながら、第2電路30Bの電気抵抗は第1電路20Bの電気抵抗よりも十分大きいため、第2電路30Bを流れる電流の大きさは、第1電路20Bを流れる電流の大きさよりも十分小さくなる。そのため、溶断部31Bで発生し得るアークのエネルギーは、第2電路30Bが無い場合に第1電路20Bで発生し得るアークのエネルギーよりも小さくなる。すなわち、遮断装置1Bによれば、発生し得るアークのエネルギーを低減することが可能となる。なお、溶断部31Bで発生するアークは、第2収容空間S2に収容されている消弧部材(消弧砂)によって、速やかに消弧される。
【0126】
このように、本変形例の遮断装置1Bでも、第2遮断部3B(第2電路30B)を備えていない遮断装置に比べて、アークの発生を抑制することが可能となる。また、「W1<W2」の関係を満たしていることで、アークの発生を抑制することが可能となる。また、第1遮断部2Bと第2遮断部3Bとを別々の空間(第1収容空間S1と第2収容空間S2)に配置することで、例えば第2遮断部3Bで発生したアークのエネルギーが第1遮断部2Bに与える影響を小さくできる。
【0127】
(2.3)変形例3
本変形例の遮断装置1Cについて、
図15、
図16を参照して説明する。
【0128】
本変形例の遮断装置1Cは、基本例の遮断装置1とは異なる第1導電部材4C及び第2導電部材5Cを備えている。本変形例の遮断装置1Cにおいて、基本例の遮断装置1と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0129】
図15に示すように、遮断装置1Cは、第1遮断部2Cと、第2遮断部3Cと、を備える。
【0130】
第1遮断部2Cは、外部電路に接続される第1電路20Cを遮断する。ここでは、遮断装置1Cは第1導電部材4Cを備えており、第1導電部材4Cの一部(分離用部位41Cを含む部分)により第1電路20Cが構成される。第1遮断部2Cは、ガス発生器7を有する。ガス発生器7は、燃焼によりガスを発生させる。第1遮断部2Cは、ガス発生器7で発生したガスの圧力に連動して第1電路20Cを遮断する。
【0131】
また、第2遮断部3Cは、第1電路20Cが遮断された場合に外部電路に接続可能となるように配置される第2電路30Cを有する。ここでは、遮断装置1Cは第2導電部材5Cを備えており、第2導電部材5C等により第2電路30が構成される。第2遮断部3Cは、第2電路30Cを遮断する。第2遮断部3Cは、第2電路30Cの一部を構成する溶断部31Cを有している。溶断部31Cは、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する。
【0132】
以下、本変形例の遮断装置1Cについて、より詳細に説明する。
【0133】
第2導電部材5Cは、金属製であり、例えば銅により形成されている。
図16に示すように、第2導電部材5Cは、基本例の遮断装置1における第2導電部材5の鍔部52を有しておらず、略U字状の本体部51Cから構成されている。また、第2導電部材5Cは、本体部51Cの他の部分よりも幅が小さな幅狭部53Cを有している。ここでの幅狭部53Cは、上下に長い棒状である。また、幅狭部53Cは、幅狭部53Cの他の部分よりも更に幅の小さな起点部54Cを有している。幅狭部53Cは、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31Cを構成する。
【0134】
図15、
図16に示すように、第2電路30Cは、2つの溶断部31C(第1溶断部311C及び第2溶断部312C)を備えている。第2導電部材5Cにおいて、幅狭部53C以外の部分は、溶断部31Cと直列に接続されており溶断部31Cが溶断されるまで導通可能に設けられる導電保持部32Cである。2つの溶断部31Cは、導電保持部32Cを介して直列に接続されている。
【0135】
第1導電部材4Cは、金属製であり、例えば銅により形成されている。
図16に示すように、第1導電部材4Cは、2つの固定用部位42C及び分離用部位41Cを一体に有している。固定用部位42Cには、差込孔420Cと、外部接続用の端子としての貫通孔421Cとが形成されている。固定用部位42Cと分離用部位41Cとの間には、固定用部位42Cと分離用部位41Cとの境界部分440Cを規定する部分円筒状の溝44Cが形成されている。
【0136】
第1導電部材4Cに形成されている差込孔420Cは、前後方向の寸法が第2導電部材5Cの幅よりも大きく、左右方向の寸法が第2導電部材5Cの厚さよりも大きい。そのため、
図15に示すように、第2導電部材5Cの端部が差込孔420Cに挿入された状態で、第1導電部材4Cと第2導電部材5Cとは非接触である。すなわち、第2導電部材5C(第2電路30Cを構成する部材)は、第1導電部材4C(第1電路20Cを構成する部材)と非接触で対向する端部(対向部55C)を有している。
【0137】
本変形例の遮断装置1Cでは、第1導電部材4Cにおいて、2つの差込孔420Cで挟まれる部分が、第1電路20Cを規定する。また、第2導電部材5Cが、第2電路30Cを規定する。また、第1導電部材4Cにおいて、外部電路との接続点(貫通孔421C)と差込孔420Cとの間の部分が、共通電路10Cである。
【0138】
図15に示すように、筐体9Cの第3ボディ94Cは、第1導電部材4Cにおける2つの差込孔420Cを覆っている。
【0139】
上述のように本変形例の遮断装置1Cでは、基本例の遮断装置1とは異なり、第2導電部材5Cが第1導電部材4Cと接触していない。そのため、遮断装置1Cでは、通常の使用が想定される電圧及び電流の範囲(例えば遮断装置1Cが電動車両の電気回路に設けられる場合、直流400V・400A以下の範囲)では、全ての電流が第1電路20Cを流れる。言い換えれば、遮断装置1Cの通常の使用時において、第2電路30Cには電流が流れない。
【0140】
第1電路20Cに電流が流れている状態において、ガス発生器7が駆動されることで動作ピン8が移動して、分離用部位41Cが固定用部位42Cから切り離されると、第1電路20Cを流れる電流が遮断される。このとき、遮断装置1Cの電路の両端間にかかる電圧が、第1導電部材4Cの差込孔420Cと第2導電部材5Cの対向部55Cとの間の隙間を絶縁破壊する程度に大きいと、第1導電部材4Cにおける差込孔420Cの内面と対向部55Cとの間で、アークA1が発生する(
図17参照)。これにより、第2電路30Cが、共通電路10C及びアークA1を介して、外部電路に接続される。そして、第1電路20Cを流れていた電流が、アークA1を介して第2電路30Cへと流れるようになる(転流)。このように、第2電路30Cは、第1電路20が遮断された場合にアークを介して外部電路に電気的に接続されるように構成されている。言い換えれば、第1電路20Cが遮断されると、第2導電部材5Cは、対向部55Cを介して第1導電部材4Cと電気的に接続される。第2電路30Cは、第1導電部材4Cを介して外部電路に電気的に接続される。
【0141】
第2電路30Cに流れ込んだ電流は、第2導電部材5Cの温度を上昇させる。そして、溶断部31C(より詳細には、起点部54C)の温度が許容範囲を超えると、溶断部31Cが溶断し、第2電路30Cが遮断される。溶断部31Cが溶断する際に発生し得るアークのエネルギーは、第2電路30Cが無い場合に第1電路20Cで発生し得るアークのエネルギーよりも小さい。そのため、本変形例の遮断装置1Cは、第2電路30Cを備えていることで、第2遮断部3C(第2電路30C)を備えていない遮断装置に比べて、発生するアークのエネルギーを低減することが可能となる。また、遮断装置1Cの電路にかかる電圧が小さい場合(通常の使用範囲)には、第2電路30Cには電流が流れないため、第2電路30C(特に、溶断部31C)の経時劣化を抑制することが可能となる。また、第1導電部材4Cと第2導電部材5Cとを電気的に接続するための工程(ねじ止め、溶接等)を省くことができるので、組立の簡素化ができる。
【0142】
要するに、遮断装置1Cでは、第1電路20が外部電路と電気的に接続されている場合、第2電路30は外部電路と遮断されている。第1電路20が分離用部位41Cで遮断されると、第2電路30は外部電路に電気的に接続される。そして、第2電路30が外部電路に電気的に接続された後、第1破断部位(第1溶断部311C)及び第2破断部位(第2溶断部312C)が破断されると、第2電路30は外部電路と再び遮断される。
【0143】
一変形例の遮断装置において、
図18に示すように、第2導電部材5Dは、丸棒を折り曲げてなるU字状の本体部51Dを有していてもよい。第1導電部材4Dは、固定用部位42Dと分離用部位41Dとを一体に備えており、固定用部位42Dにおける貫通孔421Dと溝44D(分離用部位41Dとの境界部分440D)との間の部分に、断面円形状の差込孔420Dが形成されている。差込孔420Dの径は第2導電部材5Dの径よりも大きく、第2導電部材5Dの端部(対向部55D)が差込孔420Dに挿入された状態で、第1導電部材4Dと第2導電部材5Dとは非接触である。第2導電部材5Dの材料は、第1導電部材4Dの材料(銅)よりも抵抗率の大きな材料、例えば、ステンレス、タングステン、ニクロム合金、又は、鉄とクロムとアルミニウムとの合金等である。
【0144】
図18に示す例では、本体部51Dは、そのU字の左右の直線部分それぞれに、他の部分よりも径の小さな小径部53Dを有している。この例では、小径部53Dが、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31Dを構成する。溶断部31Dは、導電保持部32Dを介して直列に接続された第1溶断部311D(第1破断部位)と第2溶断部312D(第2破断部位)とを含んでいる。
【0145】
図18に示す例でも、電路の遮断時に発生するアークを抑制可能となる。また、第2導電部材5Dが、第1導電部材4Dの材料よりも抵抗率の大きな材料で形成されているため、溶断部31Dが溶断される際に第2導電部材5Dに流れる電流の大きさが低減される。これにより、溶断部31Dが溶断される際に発生し得るアークのエネルギーを低減することが可能となる。
【0146】
(2.4)変形例4
本変形例の遮断装置1Eについて、
図19、
図20を参照して説明する。
【0147】
本変形例の遮断装置1Eは、変形例3の遮断装置1Cとは異なる第2導電部材5Eを備えている。本変形例の遮断装置1Eでは、第1導電部材4Eの一部(分離用部位41Eを含む部分)により、第1電路20Eが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8等により、第1遮断部2Eが構成される。また、第2導電部材5Eの一部(溶断部31Eを含む部分)等により、第2電路30Eを有する第2遮断部3Eが構成される。本変形例の遮断装置1Eにおいて、変形例3の遮断装置1Cと同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0148】
第1導電部材4Eは、変形例3の遮断装置1Cにおける第1導電部材4Cと同様の構造を有している。第1導電部材4Eの分離用部位41E、固定用部位42E、差込孔420E、貫通孔421E、溝44E、及び境界部分440Eは、第1導電部材4Cの分離用部位41C、固定用部位42C、差込孔420C、貫通孔421C、溝44C、及び境界部分440Cに、それぞれ相当する。
【0149】
図20に示すように、第2導電部材5Eは、2つの接続部502Eと、2つの接続部502Eの間に接続される抵抗部501Eと、を備える。
【0150】
各接続部502Eは、金属製である。接続部502Eは、例えば、銅により形成されている。各接続部502Eは、左右方向に厚さを有し上下に長い板状である。各接続部502は、その長さ方向の中央に、接続部502Eの他の部位よりも幅(前後方向の寸法)の小さな幅狭部53Eを有している。幅狭部53Eは、上下に長い棒状である。また、幅狭部53Eは、幅狭部53の他の部分よりも更に幅の小さな起点部54Eを有している。幅狭部53Eは、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31E(第1溶断部311E及び第2溶断部312E)を構成する。
【0151】
接続部502Eは、その下端に保持片56Eを有している。
【0152】
抵抗部501Eは、矩形の板状である。
図19に示すように、抵抗部501Eは、2つの接続部502Eの保持片56Eの間に配置されて、保持片56Eにそれぞれ接触することで2つの接続部502E間を接続する。抵抗部501Eは、金属製である。抵抗部501は、接続部502Eの材料よりも抵抗率の大きな材料により形成されている。抵抗部501Eの材料は、例えば、ステンレス、タングステン、ニクロム合金、又は、鉄とクロムとアルミニウムとの合金等である。抵抗部501Eの形状及び材料は、第2電路30Eの電気抵抗が、第1電路20Eの電気抵抗よりも十分大きくなるよう選定されている。抵抗部501Eは、溶断部31Eが溶断されるまで導通可能に設けられる導電保持部32Eを構成する。
【0153】
筐体9Eの第1ボディ92Eは、その下面に、抵抗部501Eを収容するための収容凹所を有している。
【0154】
本変形例の遮断装置1Eでも、第2遮断部3E(第2電路30E)を備えていることで、第2遮断部3Eを備えていない遮断装置に比べてアークの発生を抑制することが可能となる。また、遮断装置1Eの電路にかかる電圧が小さい場合(通常の使用範囲)には、第2電路30Eには電流が流れないため、第2電路30E(特に、溶断部31E)の経時劣化を抑制することが可能となる。また、第1導電部材4Cと第2導電部材5Eとを電気的に接続するための工程(ねじ止め、溶接等)を省くことができるので、組立の簡素化ができる。
【0155】
一変形例の遮断装置において、
図21に示すように、接続部502Fが保持片56Eを備えずに、接続部502Fの下端が、抵抗部501Eと隙間を空けて対向していてもよい。この場合、遮断装置の電路の両端間にかかる電圧が、第1導電部材4Eの差込孔420Eと第2導電部材5Eの対向部55Eとの間の隙間、及び接続部502Fと抵抗部501Eとの間の隙間を絶縁破壊する程度に大きいと、これらの隙間にアークが発生する。これにより、第1電路20Eを流れていた電流が、このアークを介して第2電路30Eを流れるようになる。
【0156】
なお、基本例の遮断装置1(
図1参照)の第2導電部材5が、
図21に示す構造を有していてもよい。例えば、第2導電部材5が、上端が差込孔420において第1導電部材4と接触する2つの板状の第1部材(接続部502F)と、これら2つの板状の部材の下端の間に配置される第2部材(抵抗部501E)と、を備えていてもよい。第2部材は、第1部材と隙間を空けて対向する。
【0157】
(2.5)変形例5
本変形例の遮断装置1Gについて、
図22~
図27を参照して説明する。
【0158】
本変形例の遮断装置1Gは、第2遮断部3とは別に、第2電路30を遮断する第3遮断部100を更に備える点で、基本例の遮断装置1と相違する。第3遮断部100は、ガス発生器7で発生したガスの圧力に連動して第2電路30を遮断する。第3遮断部100は、ガス発生器7で発生したガスの圧力に連動して第1溶断部311(第1破断部位)及び第2溶断部312(第2破断部位)で第2導電部材5を破断することで、第2電路30を遮断する。本変形例の遮断装置1Gにおいて、基本例の遮断装置1と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0159】
図22に示すように、遮断装置1Gの筐体9Gは、ベース91Gと、第1ボディ92Gと、第2ボディ93Gと、第3ボディ94Gと、第1カバー95Gと、第2カバー96Gと、2つの筒部材97Gと、を備えている。
【0160】
本変形例の遮断装置1Gのベース91G、第3ボディ94G、第1カバー95G、第2カバー96G、及び筒部材97Gは、基本例の遮断装置1のベース91、第3ボディ94、第1カバー95、第2カバー96、及び筒部材97とそれぞれ同様である。
【0161】
第1ボディ92Gは、上下方向に厚さを有し左右に長い矩形箱状である。第1ボディ92Gは、ベース91Gの上面上に配置される。第1ボディ92Gの下面には、左右に長い収容凹所921Gが形成されている。収容凹所921Gの深さは、第2導電部材5の本体部51の下板の厚さ及び押圧部材102(後述)の厚さの合計よりも、大きい。第1ボディ92Gにおける収容凹所921Gの底面の左右の中央には、押ピン101(後述)を通すための貫通孔が、上下に貫通している。また、第1ボディ92Gにおける収容凹所921Gの底面の左右両端には、第2導電部材5の左右の側板を通すための貫通孔が2つ、上下に貫通している。第1ボディ92Gの上面において、各貫通孔の周りには、筒部材97Gの下端が嵌まる円環状の溝が形成されている。
【0162】
第2ボディ93Gは、基本例の遮断装置1の第2ボディ93Gと同様の形状を有している。第2ボディ93Gの凹所931Gの底面の中央には、押ピン101を通すための貫通孔が上下に貫通している。
【0163】
本変形例の遮断装置1Gは、押ピン101と押圧部材102とを更に備えている。
【0164】
図23に示すように、押ピン101は、上下に長い円柱状である。
図22に示すように、押ピン101は、その上端が、第2ボディ93Gの凹所931G内において、第1導電部材4の分離用部位41を間に挟んで動作ピン8の下端と対向している。押ピン101は、第2ボディ93Gの貫通孔及び第1ボディ92Gの貫通孔を通って、その下端が収容凹所921G内の空間に露出している。押ピン101の径は、動作ピン8の径よりも小さい。
【0165】
押圧部材102は、左右に長い矩形の板状である。押圧部材102は、収容凹所921G内に配置されている。押圧部材102は、押ピン101の下端に対向する。押圧部材102は、収容凹所921G内において、押ピン101と第2導電部材5の本体部51の下板との間に、配置されている。押圧部材102は、ここでは押ピン101と別体であるが、押ピン101と一体であってもよい。押圧部材102は、ガス発生器7で発生したガスの圧力に連動して動く。
【0166】
ここでは、ガス発生器7、動作ピン8、押ピン101、及び押圧部材102等により、第3遮断部100が構成される。
【0167】
次に、遮断装置1Gの動作について、
図24~
図26を参照して説明する。
【0168】
図24に示すように、ガス発生器7のピン電極72が通電されずガス発生器7が駆動されていない場合、遮断装置1Gは、2つの端子(貫通孔421)間の電路に電流が流れるのを許容する。遮断装置1Gにおいて、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路20に流れる電流は、第2電路30に流れる電流より大きい。外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、典型的には、第2電路30に流れる電流の大きさは、第1電路20に流れる電流の大きさの1/100以下であることが好ましく、第2電路30の耐久性を高めることができる。
【0169】
ガス発生器7が駆動されると、動作ピン8が下方へ移動し、動作ピン8の下面が分離用部位41を押す。分離用部位41が動作ピン8に押されることによって、第1導電部材4は、分離用部位41と2つの固定用部位42とのそれぞれの境界部分440(第1位置及び第2位置)において破断される。これにより、分離用部位41が固定用部位42から切り離される。固定用部位42から切り離された分離用部位41は、動作ピン8に押されて下方の凹所931G内に入る。
【0170】
分離用部位41を固定用部位42から切り離した後、動作ピン8は更に下方へと移動して、2つの固定用部位42の間に入り込む。その結果、2つの固定用部位42の間が動作ピン8によって絶縁される(
図25参照)。
【0171】
また、動作ピン8が下方へ移動すると、動作ピン8に押された分離用部位41が、押ピン101の上面に接触して押ピン101を押す。これにより、第2導電部材5は、押ピン101及び押圧部材102を介して、動作ピン8から下向きの力を受ける。
【0172】
第2導電部材5は、溶断部31(より詳細には、幅狭部53の起点部54)において、機械的強度が最も小さい。そのため、動作ピン8から下向きの力を受けた第2導電部材5は、溶断部31(起点部54)において、機械的に破断される。すなわち、ガスの圧力に連動して押圧部材102が第3位置及び第4位置の間を下方に向かって第2導電部材5を押圧することで、第2導電部材5は、第1溶断部311(第1破断部位)及び第2溶断部312(第2破断部位)で機械的に切断される。第3遮断部100(ガス発生器7、動作ピン8、押圧部材102を含む)は、溶断部31(起点部54)を機械的に切断する。また、第3遮断部100は、第2電路30を構成する部材の一部(第2導電部材5の本体部51の下板)を押すことで、第2電路30を機械的に切断する。第3遮断部100は、第1溶断部313(第1破断部位)及び第2溶断部312(第2破断部位)を機械的に切断する。このように、遮断装置1Gでは、第1遮断部2が第1電路20を遮断した後、第3遮断部100が第2電路30を遮断する。
【0173】
動作ピン8によって押された第2導電部材5の本体部51が、ベース91Gの上面に到達することで、動作ピン8、分離用部位41、押ピン101、押圧部材102、及び本体部51は、下方への移動を停止する(
図26参照)。
【0174】
本変形例の遮断装置1Gでは、第1導電部材4に電流が流れていても流れていなくても、ガス発生器7が駆動されると、第1電路20と第2電路30との両方が、第1遮断部2及び第3遮断部100によってそれぞれ遮断される。そのため、例えば、遮断装置1Gが搭載されている電動車両の制御部が、障害物との衝突を検知する等して、遮断装置1Gに大電流が流れる可能性が高い場合に、予めガス発生器7を駆動して遮断装置1Gの内部電路を遮断することが可能となる。
【0175】
また、本変形例の遮断装置1Gは、第2電路30を遮断する第2遮断部3(溶断部31)も備えている。そのため、第2電路30に大電流が流れた場合、第3遮断部100が第2電路30を遮断する前に、溶断部31が溶断して第2遮断部3が第2電路30を遮断し得る(
図27参照)。これにより、第2電路30に大電流が流れた場合、第3遮断部100が第2電路30を遮断するのに必要な時間よりも短い時間で、第2電路30を遮断することもできる。
【0176】
第2電路30が第2遮断部3によって遮断されるか第3遮断部100によって遮断されるかは、例えば、溶断部31が溶断するまでの時間、及び押圧部材102が第2導電部材5を切断するまでの時間に依存する。溶断部31が溶断するまでの時間は、例えば、第2電路30を流れる電流の大きさ、溶断部31の温度上昇率等に依存する。押圧部材102が第2導電部材5(第1破断部位及び第2破断部位)を切断するまでの時間は、例えば、動作ピン8の移動速度、溶断部31の強度等に依存する。
【0177】
(2.6)変形例6
本変形例の遮断装置1Hについて、
図28、
図29を参照して説明する。
【0178】
本変形例の遮断装置1Hは、第2遮断部3Aとは別に、第2電路30Aを遮断する第3遮断部100Hを更に備える点で、変形例1の遮断装置1Aと相違する。第3遮断部100Hは、ガス発生器7で発生したガスの圧力に連動して第2電路30Aを遮断する。本変形例の遮断装置1Hにおいて、変形例1の遮断装置1Aと同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0179】
図28に示すように、筐体9Hは、第1ボディ92Hと、第2ボディ93Hと、第3ボディ94Hと、第1カバー95Hと、第2カバー96Hと、を備えている。
【0180】
本変形例の遮断装置1Hの第3ボディ94H、第1カバー95H、及び第2カバー96Hは、変形例1の遮断装置1Aの第3ボディ94A、第1カバー95A、及び第2カバー96Aとそれぞれ同様である。
【0181】
第1ボディ92Hは、変形例1の遮断装置1Aの第1ボディ92Aと同様の形状を有しているが、凹所921Hの底面には、台部が設けられていない。
【0182】
第2ボディ93Hは、第1ボディ92Hに被せられる。第2ボディ93Hは、その中央に上下に延びる貫通孔931Hを有する、矩形の筒状である。貫通孔931Hの内面は、円柱面状である。また、第2ボディ93Hにおいて、貫通孔931Hの左右両側の位置であって第1ボディ92Hの凹所921Hの内周面に対応する位置には、上下に延びる貫通孔が形成されている。この貫通孔に、第2導電部材5Aの左右の接続部502の縦片が通される。
【0183】
本変形例の遮断装置1Hは、押圧部材102Hを更に備えている。本変形例の遮断装置1Hでは、ガス発生器7、動作ピン8A、及び押圧部材102H等により、第3遮断部100Hが構成される。
【0184】
図29に示すように、押圧部材102Hは、左右に長い矩形箱状である。
図28に示すように、押圧部材102Hの長さは、第2導電部材5Aの2つ(左右)の幅狭部522A間の間隔よりも小さく、2つ(左右)の保持部523A間の間隔よりも大きい。押圧部材102Hは、その下面に、2つの保持部523Aがそれぞれ収容される2つの凹所112Hを備えている。押圧部材102Hは、2つの凹所112H内に2つの保持部523Aが収容されて、押圧部材102Hが2つの保持部523A上に載せられた状態で、第1ボディ92Hの凹所921H内の空間に配置される。
【0185】
本変形例の遮断装置1Hでは、ガス発生器7が駆動され動作ピン8Aが移動することで、分離用部位41Aが固定用部位42Aから切り離された後、動作ピン8Aは分離用部位41Aと一緒に更に移動し、押圧部材102Hの上面に接触して押圧部材102Hを押す。これにより、第2導電部材5A(保持部523Aの部分)は、押圧部材102Hを介して、動作ピン8Aから下向きの力を受ける。
【0186】
動作ピン8Aから下向きの力を受けると、第2導電部材5Aは、機械的強度が最も小さい溶断部31A(幅狭部522A)において、機械的に切断される。より詳細には、第2導電部材5Aは、第1溶断部311A(第1破断部位)及び第2溶断部312A(第2破断部位)において、機械的に切断される。これにより、第2電路30Aが機械的に切断される。
【0187】
本変形例の遮断装置1Hでも、第1導電部材4Aに電流が流れていても流れていなくても、ガス発生器7が駆動されると、第1電路20Aと第2電路30Aとの両方が、第1遮断部2A及び第3遮断部100Hによってそれぞれ遮断される。また、第2電路30Aに大電流が流れた場合、第3遮断部100Hが第2電路30Aを遮断する前に、溶断部31Aが溶断して第2遮断部3Aが第2電路30Aを遮断し得る。
【0188】
(2.7)変形例7
本変形例の遮断装置1Iについて、
図30~
図34を参照して説明する。
【0189】
図30は、遮断装置1Iの断面図である。
図31は、
図30のXXXI-XXXI線における遮断装置1Iの断面図である。
図32は、遮断装置1Iの導電部材4I及び溶断部材5Iの斜視図である。
図33及び
図34は、遮断装置1Iの動作ピン8Iの動作を説明するための図である。
【0190】
図30~
図32に示すように、遮断装置1Iは、導電部材4Iと、溶断部材5Iと、ガス発生器7と、動作ピン8Iと、筐体9Iと、を備えている。本変形例の遮断装置1Iでは、導電部材4Iの一部(分離用部位41Iを含む部分)により、第1電路20Iが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8I等により、第1遮断部2Iが構成される。また、導電部材4Iの一部、溶断部材5I等により、第2電路30Iを有する第2遮断部3Iが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8I等により、第3遮断部100Iが構成される。
【0191】
導電部材4Iは、金属製であり、例えば銅により形成されている。導電部材4Iは、主電路部40Iと、分岐電路部50Iと、を備えている。
【0192】
主電路部40Iは、上下方向に厚さを有する矩形の板状である。主電路部40Iは、分離用部位41Iと、分離用部位41Iにつながっている2つの固定用部位42Iと、を有する。2つの固定用部位42Iと分離用部位41Iとは、一体に形成されており、互いに電気的に接続されている。
【0193】
主電路部40Iは、各固定用部位42Iと分離用部位41Iとの間に、溝44Iを有している。各溝44Iの深さ方向は、主電路部40Iの厚さ方向に沿っている。各溝44Iの断面形状は、溝の開口から底面に向かうにつれて幅が狭くなる三角形状である。各溝44Iは、主電路部40Iの幅方向に延びている。溝44Iが、固定用部位42Iと分離用部位41Iとの間の境界部分440Iを規定する。
【0194】
分岐電路部50Iは、2つの接続片531Iを含む。2つの接続片531Iは、2つの固定用部位42Iにそれぞれ電気的に接続されている。2つの接続片531Iは、主電路部40Iにおける2つの固定用部位42Iからそれぞれ突出しており、一体に形成されている。各接続片531Iは、略C字状である。各接続片531Iは、対応する固定用部位42Iの幅方向の一側面の部分から後方に延びる第1部分532Iと、第1部分532Iの後端から下方に延びる第2部分533Iと、第2部分533Iの下端から前方に延びる第3部分534Iと、を有している。
【0195】
溶断部材5Iは、矩形の板状である。溶断部材5Iは、導電部材4Iにおける2つの接続片531Iの第3部分534Iの先端の間に、架け渡されている。溶断部材5Iは、例えばリベットにより接続片531Iに結合されている。溶断部材5Iは、主電路部40Iにおける分離用部位41Iを含む部分と、並列に接続されている。
図30、
図31に示すように、溶断部材5Iは、動作ピン8Iの進行方向(上下方向)において、分離用部位41Iと並んでいる。
【0196】
溶断部材5Iは金属製であり、例えば銅により形成されている。
図32に示すように、溶断部材5Iには、複数(ここでは12個)の貫通孔57Iが形成されている。より詳細には、溶断部材5Iには、溶断部材5Iの幅方向に並ぶ一以上(ここでは3個)の貫通孔57Iが、列状に形成されている。貫通孔57Iの列は、溶断部材5Iの長さ方向における異なる位置に、一以上(ここでは4列)形成されている。溶断部材5Iにおいて、貫通孔57Iが形成されている部位は、溶断部材5Iの他の部分よりも幅の小さな幅狭部53Iといえる。溶断部材5Iに規定以上の電流が流れると、溶断部材5Iは幅狭部53I(溶断部31I)において溶断する。溶断部材5Iは、いわゆる溶断ヒューズ(電流ヒューズ)の可溶部として機能する。
【0197】
図30、
図31に示すように、筐体9Iは、矩形の箱状に形成されている。筐体9Iは、その内部に、第1収容空間S1と第2収容空間S2とを有している。
【0198】
第1収容空間S1は、第1遮断部2I(ガス発生器7、動作ピン8Iを含む)を収容するための空間である。第1収容空間S1内には、ガス発生器7、動作ピン8I、及び主電路部40Iの分離用部位41Iが、上からこの順に並んで配置されている。第2収容空間S2は、第2遮断部3I(溶断部材5Iを含む)を収容するための空間である。第2収容空間S2には、2つの接続片531Iの第3部分534Iの先端部、及び溶断部材5Iが収容されている。第2収容空間S2内には、消弧砂等の消弧部材が収容されている。本変形例では、
図30、
図31に示すように、第1収容空間S1と第2収容空間S2とはつながっている。
【0199】
動作ピン8Iは、導電部材4Iの分離用部位41Iとガス発生器7との間に配置されている。動作ピン8Iは、ガス発生器7が駆動されることで発生するガスの圧力によって、
図30、
図31の下方に移動する。動作ピン8Iの進行方向において、分離用部位41Iの先に、溶断部材5Iが位置している。
【0200】
ガス発生器7は、動作ピン8Iとの間に気密な加圧室75Iを形成するように、筐体9Iの第1収容空間S1内に配置されている。ガス発生器7と筐体9Iの内面との間に、オーリング63Iが配置されている。
【0201】
本変形例の遮断装置1Iでは、ガス発生器7のピン電極72間が通電されると、ガス発生器7がガスを発生し、加圧室75I内の圧力が上昇する。これにより、動作ピン8Iが分離用部位41Iに向かって(
図30、
図31の下方へ)移動し、動作ピン8Iが分離用部位41Iを押すことで、主電路部40Iが境界部分440Iにおいて破断される。これにより、第1電路20Iが遮断される(
図33参照)。分離用部位41Iを分離させた後、動作ピン8Iは、分離用部位41Iと一緒に更に移動し、溶断部材5Iに接触して溶断部材5Iを押す。これにより、溶断部材5Iは、溶断部31Iである幅狭部53Iにおいて、機械的に破断される。これにより、第2電路30Iが遮断される(
図34参照)。
【0202】
本変形例の遮断装置1Iでも、導電部材4Iに電流が流れていても流れていなくても、ガス発生器7が駆動されると、第1電路20Iと第2電路30Iとの両方が、第1遮断部2I及び第3遮断部100Iによってそれぞれ遮断される。また、第2電路30Iに大電流が流れた場合、第3遮断部100Iが第2電路30Iを遮断する前に、溶断部31Iが溶断して第2遮断部3Iが第2電路30Iを遮断し得る。
【0203】
(2.8)変形例8
本変形例の遮断装置1Jについて、
図35~
図39を参照して説明する。
【0204】
図35は、遮断装置1Jの断面図である。
図36は、遮断装置1Jの動作ピン8Jの斜視図である。
図37は、遮断装置1Jの導電部材4J及び溶断部材5Jの斜視図である。
図38及び
図39は、遮断装置1Jの動作ピン8Jの動作を説明するための図である。
【0205】
図35~
図37に示すように、遮断装置1Jは、導電部材4Jと、溶断部材5Jと、ガス発生器7と、動作ピン8Jと、筐体9Jと、を備えている。本変形例の遮断装置1Jでは、導電部材4Jの一部(分離用部位41Jを含む部分)により、第1電路20Jが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8J等により、第1遮断部2Jが構成される。また、導電部材4Jの一部、溶断部材5J等により、第2電路30Jを有する第2遮断部3Jが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8J等により、第3遮断部100Jが構成される。
【0206】
導電部材4Jは、金属製であり、例えば銅により形成されている。導電部材4Jは、主電路部40Jと、2つの分岐電路部50Jと、を備えている。
【0207】
主電路部40Jは、上下方向に厚さを有する矩形の板状である。主電路部40Jは、分離用部位41Jと、分離用部位41Jにつながっている2つの固定用部位42Jと、を有する。2つの固定用部位42Jと分離用部位41Jとは、一体に形成されており、互いに電気的に接続されている。
【0208】
主電路部40Jは、各固定用部位42Jと分離用部位41Jとの間に、溝44Jを有している。溝44Jが、固定用部位42Jと分離用部位41Jとの間の境界部分440Jを規定する。
【0209】
2つの分岐電路部50Jは、例えばリベットによって、2つの固定用部位42Jにそれぞれ固定されて電気的に接続されている。各分岐電路部50Jは、左右に厚さを有し上下に長い矩形板状である。各分岐電路部50Jは、その上下の両端に、厚さ方向に沿って互いに反対向きに突出する鍔部を有している。
【0210】
溶断部材5Jは、矩形の板状である。溶断部材5Jは、導電部材4Jにおける2つの分岐電路部50Jの下側の鍔部の間に、架け渡されている。溶断部材5Jは、例えばリベットにより分岐電路部50Jの鍔部に結合されている。溶断部材5Jは、主電路部40Jにおける分離用部位41Jを含む部分と、並列に接続されている。溶断部材5Jは、動作ピン8Jの進行方向(上下方向)において、分離用部位41Jと並んでいる。
【0211】
溶断部材5Jには、複数(ここでは12個)の貫通孔57Jが形成されている。より詳細には、溶断部材5Jには、溶断部材5Jの幅方向に並ぶ一以上(ここでは3個)の貫通孔57Jが、列状に形成されている。貫通孔57Jの列は、溶断部材5Jの長さ方向における異なる位置に、一以上(ここでは4列)形成されている。溶断部材5Jにおいて、貫通孔57Jが形成されている部位は、溶断部材5Jの他の部分よりも幅の小さな幅狭部53Jといえる。溶断部材5Jに規定以上の電流が流れると、溶断部材5Jは幅狭部53J(溶断部31J)において溶断する。溶断部材5Jは、いわゆる溶断ヒューズ(電流ヒューズ)の可溶部として機能する。
【0212】
図35に示すように、筐体9Jは、その内部に第1収容空間S1と第2収容空間S2とを有している。
【0213】
第1収容空間S1は、第1遮断部2J(ガス発生器7、動作ピン8Jを含む)を収容するための空間である。第1収容空間S1内には、ガス発生器7、動作ピン8J、及び主電路部40Jの分離用部位41Jが、上からこの順に並んで配置されている。第2収容空間S2は、第2遮断部3J(溶断部材5Jを含む)を収容するための空間である。第2収容空間S2には、2つの分岐電路部50Jの先端部、及び溶断部材5Jが収容されている。第2収容空間S2内には、消弧砂等の消弧部材も収容されている。本変形例では、
図35に示すように、第1収容空間S1と第2収容空間S2とはつながっている。
【0214】
動作ピン8Jは、
図36に示すように、ベース81Jとロッド82Jとを有している。ベース81Jは、有底円筒状である。ベース81Jの外縁には、ベース81Jの周方向に沿った円環状の溝811Jが形成されている。溝811Jには、オーリング63Jが嵌め込まれている。
【0215】
ロッド82Jは、矩形の板状である。ロッド82Jは、ベース81Jの底面からベース81Jの軸方向に突出している。ロッド82Jは、ベース81Jと一体に形成されている。ロッド82Jは、厚さ方向に貫通する貫通孔821Jを有している。
図35に示すように、動作ピン8Jの貫通孔821J内に、主電路部40Jが通されている。ロッド82Jの厚さは、2つの溝44Jの間隔と略等しい。主電路部40Jは、分離用部位41Jが貫通孔821J内に位置するように、配置されている。ロッド82Jの先端は、溶断部材5Jに対向している。ロッド82Jの貫通孔821Jの上面と主電路部40Jとの間の間隔は、ロッド82Jの先端と溶断部材5Jとの間の間隔よりも小さい。
【0216】
ガス発生器7は、動作ピン8Jとの間に気密な加圧室75Jを形成するように、筐体9Jの第1収容空間S1内に配置されている。
【0217】
本変形例の遮断装置1Jでは、ガス発生器7のピン電極72が通電されると、ガス発生器7がガスを発生し、加圧室75J内の圧力が上昇する。これにより、動作ピン8Jが(
図35の下方へ)移動し、動作ピン8Jが貫通孔821Jの内面(上面)の部分にて分離用部位41Jを押すことで、主電路部40Jが境界部分440Jにおいて破断される。これにより、第1電路20Jが遮断される(
図38参照)。分離用部位41Jを分離させた後、動作ピン8Jは更に移動し、ロッド82Jの先端が溶断部材5Jに接触して溶断部材5Jを押す。これにより、溶断部材5Jは、溶断部31Jである幅狭部53Jにおいて、機械的に破断される。これにより、第2電路30Jが遮断される(
図39参照)。
【0218】
本変形例の遮断装置1Jでも、導電部材4Jに電流が流れていても流れていなくても、ガス発生器7が駆動されると、第1電路20Jと第2電路30Jとの両方が、第1遮断部2J及び第3遮断部100Jによってそれぞれ遮断される。また、第2電路30Jに大電流が流れた場合、第3遮断部100Jが第2電路30Jを遮断する前に、溶断部31Jが溶断して第2遮断部3Jが第2電路30Jを遮断し得る。
【0219】
(2.9)変形例9
本変形例の遮断装置1Kについて、
図40~
図42を参照して説明する。
図40は、遮断装置1Kの断面図である。
図41は、
図40のXXXXI-XXXXI線における遮断装置1Kの断面図である。
図42は、遮断装置1Kに用いられる隔壁部材90Kの斜視図である。
【0220】
図40、
図41に示すように、遮断装置1Kは、導電部材4Kと、溶断部材5Kと、ガス発生器7と、動作ピン8Kと、筐体9Kと、を備えている。本変形例の遮断装置1Kでは、導電部材4Kの一部(分離用部位41Kを含む部分)により、第1電路20Kが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8K等により、第1遮断部2Kが構成される。また、導電部材4Kの一部、溶断部材5K(溶断部31Kを含む)等により、第2電路30Kを有する第2遮断部3Kが構成される。また、ガス発生器7、動作ピン8K等により、第3遮断部100Kが構成される。
【0221】
導電部材4Kは、主電路部40Kと、分岐電路部50Kと、を備えている。主電路部40Kは、分離用部位41Kと、分離用部位41Kにつながっている2つの固定用部位42Kと、を有する。主電路部40Kは、各固定用部位42Kと分離用部位41Kとの間に、主電路部40Kの幅方向に延びる溝44Kを有している。分岐電路部50Kは、2つの接続片531Kを含む。2つの接続片531Kは、2つの固定用部位42Kにそれぞれ電気的に接続されている。導電部材4Kは、主電路部40Kと分岐電路部50K(2つの接続片531K)とで、上面視π字状に形成されている。
【0222】
溶断部材5Kは、矩形の板状であり、導電部材4Kにおける2つの接続片531Kの先端の間に、架け渡されている。溶断部材5Kには、複数(ここでは9個)の貫通孔57Kが形成されている。より詳細には、溶断部材5Kには、溶断部材5Kの幅方向に並ぶ一以上(ここでは3個)の貫通孔57Kが、列状に形成されている。貫通孔57Kの列は、溶断部材5Kの長さ方向における異なる位置に、一以上(ここでは3列)形成されている。溶断部材5Kにおいて、貫通孔57Kが形成されている部位は、溶断部材5Kの他の部分よりも幅の小さな幅狭部53Kであり、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31Kを構成する。貫通孔57Kの列のうちで、最も離れた列同士の間隔(溶断部材5Kの長さ方向の寸法)は、溝44K間の距離よりも大きい。貫通孔57Kの列のうちで最も離れた列同士のうちの一方の位置が「第3位置」に相当し、他方が「第4位置」に相当する。
【0223】
本変形例の遮断装置1Kでは、動作ピン8Kの進行方向(
図41の上下方向)において、主電路部40Kの分離用部位41Kと溶断部材5Kが並んでいない。本変形例の遮断装置1Kでは、動作ピン8Kの進行方向と交差する方向(
図41の左右方向)において、分離用部位41Kと溶断部材5Kとが並んでいる。
【0224】
また、本変形例の遮断装置1Kでは、動作ピン8Kのロッド82Kは、分離用部位41Kと溶断部材5Kとが並ぶ方向(
図41の左右方向)に長く形成されている。ロッド82Kは、分離用部位41Kと溶断部材5Kとが並ぶ方向と直交する方向(
図41の前後方向)から見て、非対称である。ロッド82Kは、ロッド82Kにおける分離用部位41Kと対向する部分821K(
図41の左側の部分)の方が、ロッド82Kにおける溶断部材5Kと対向する部分822Kよりも、上下方向の寸法が大きい。そのため、ロッド82Kにおける分離用部位41Kに対向する部分821Kと分離用部位41Kとの間の間隔の方が、ロッド82Kにおける溶断部材5Kに対向する部分822Kと溶断部材5Kとの間の間隔よりも、小さい。
【0225】
ガス発生器7によって駆動されると、動作ピン8Kは、主電路部40Kに先に接触して、溝44Kにおいて分離用部位41Kを固定用部位42Kから分離させる。その後、動作ピン8Kは分離用部位41Kと一緒に更に移動し、溶断部材5Kに接触して溶断部材5Kを破断する。
【0226】
なお、筐体9Kの内部において、導電部材4Kの主電路部40Kと、溶断部材5Kとの間には、移動後の動作ピン8Kを通すための溝91Kが形成された隔壁部材90Kが配置されている。
【0227】
本変形例の遮断装置1Kでも、導電部材4Kに電流が流れていても流れていなくても、ガス発生器7が駆動されると、第1電路20Kと第2電路30Kとの両方が、第1遮断部2K及び第3遮断部100Kによってそれぞれ遮断される。また、第2電路30Kに大電流が流れた場合、第3遮断部100Kが第2電路30Kを遮断する前に、溶断部31Kが溶断して第2遮断部3Kが第2電路30Kを遮断し得る。
【0228】
なお、本変形例の遮断装置1Kにおいて、部分821Kの厚さ(
図41の前後方向の寸法)よりも、部分822Kの厚さ(
図41の前後方向の寸法)を大きくしてもよい。
【0229】
(2.10)変形例10
本変形例の遮断装置1Lについて、
図43~
図47を参照して説明する。
【0230】
本変形例の遮断装置1Lは、第2電路30Lと並列に第3電路130が接続されている点で、変形例5の遮断装置1Gと相違する。また、本変形例の遮断装置1Lは、第3電路130を遮断する第4遮断部200及び第5遮断部210を更に備えている。本変形例の遮断装置1Lにおいて、変形例5の遮断装置1Gと同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0231】
第4遮断部200は、ガス発生器7で発生したガスの圧力に連動して第3電路130を遮断する。また、第5遮断部210は、第3電路130を有する。ここでは、遮断装置1Lは第3導電部材15を備えており、第3導電部材15の一部により第3電路130が構成される。つまり、遮断装置1Lは、第2電路30Lと並列に接続される第3導電部材15を備えている。第5遮断部210は、第3電路130の一部を構成する溶断部131を有している。
【0232】
遮断装置1Lは、
図43に示すように、第1導電部材4L、第2導電部材5L、第3導電部材15、ガス発生器7、動作ピン8L、及び筐体9Lを備えている。
【0233】
図44に示すように、第1導電部材4Lは、上下方向に厚さを有する板状である。第1導電部材4Lは、例えば、銅により形成されている。
【0234】
第1導電部材4Lは、分離用部位41Lと、分離用部位41Lにつながっている2つの固定用部位42Lと、を有する。
【0235】
2つの固定用部位42Lの各々は、矩形板状の部分と、矩形板状の部分の側面から突出する突出部分とを有する。突出部分の突出端面は、凹面状である。
【0236】
分離用部位41Lは、固定用部位42Lよりも幅(前後方向の寸法)が小さな板状である。
【0237】
第1導電部材4Lは、各固定用部位42Lと分離用部位41Lとの間に、溝44Lを有している。溝44Lが、固定用部位42Lと分離用部位41Lとの境界部分440Lを規定する。
【0238】
2つの固定用部位42Lの各々は、貫通孔421Lを有している。2つの固定用部位42Lの各々は、貫通孔421Lにねじを通し、このねじを外部の電気回路(外部電路)の端子に結合することで、電気回路に対して電気的に接続され得る。
【0239】
また、2つの固定用部位42Lの各々は、貫通孔421Lと分離用部位41Lとの間の位置に、差込孔(第1差込孔)420Lを有している。各第1差込孔420Lには、第2導電部材5Lの一端(第1端)又は他端(第2端)が挿入される(
図43参照)。ここでは、第1差込孔420Lの内面において、第2導電部材5Lが第1導電部材4Lと接触しており、第1差込孔420Lにおいて、第1導電部材4Lが第2導電部材5Lに接続されている。ただし、これに限られず、第2導電部材5Lは第1導電部材4Lと接触していなくてもよい。
【0240】
また、2つの固定用部位42Lの各々は、第1差込孔420Lと貫通孔421Lとの間の位置に、第2差込孔423を有している。各第2差込孔423には、第3導電部材15の一端(第1端)又は他端(第2端)が挿入される(
図43参照)。ここでは、第2差込孔423の内面において、第3導電部材15が第1導電部材4Lと接触しており、第2差込孔423において、第1導電部材4Lが第3導電部材15に接続されている。ただし、これに限られず、第3導電部材15は第1導電部材4Lと接触していなくてもよい。
【0241】
図44に示すように、第2導電部材5Lは、略U字状の本体部51Lと、本体部51Lの両端から互いに離れる向きに突出する一対の鍔部52Lと、を一体に有している。第2導電部材5Lは、例えば、第1導電部材4Lよりも薄い板部材に、打抜加工及び折曲加工を施すことで形成される。第2導電部材5Lでは、板部材の両端を第1導電部材4Lの第1差込孔420Lにそれぞれ挿入し、挿入した部分を外側に折り曲げることで、鍔部52Lが形成される。
【0242】
図44に示すように、第3導電部材15は、略U字状の本体部151と、本体部151の両端から互いに離れる向きに突出する一対の鍔部152と、を一体に有している。第3導電部材15は、例えば、第1導電部材4Lよりも薄い板部材に、打抜加工及び折曲加工を施すことで形成される。第3導電部材15では、板部材の両端を第1導電部材4Lの第2差込孔423にそれぞれ挿入し、挿入した部分を外側に折り曲げることで、鍔部152が形成される。
【0243】
本変形例の遮断装置1Lでは、第1導電部材4Lにおいて、2つの第2差込孔423(第3導電部材15との接続部分)で挟まれる部分が、第1電路20Lを規定する。また、第1導電部材4Lにおける、
図43の左側の第2差込孔423と左側の第1差込孔420Lとの間の部分並びに右側の第1差込孔420Lと右側の第2差込孔423との間の部分、及び第2導電部材5Lにおける本体部51Lが、第2電路30Lを規定する。また、第3導電部材15における本体部151が、第3電路130を規定する。
【0244】
第2導電部材5Lは、本体部51L(第2電路30Lを構成する部分)の一部に、本体部51Lの他の部分よりも幅の小さな幅狭部53Lを有している。より詳細には、本体部51LのU字の左右の直線部分それぞれに、幅狭部53Lが設けられている。各幅狭部53Lは、中央に貫通孔を有する矩形枠状である。また、幅狭部53Lは、幅狭部53Lの他の部分よりも更に幅の小さな起点部54Lを有している。幅狭部53Lは、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31Lを構成する。
【0245】
図43、
図44に示すように、第2電路30Lは、2つの溶断部31Lを備えている。2つの溶断部31Lは、第1溶断部311L(第1破断部位)及び第2溶断部312L(第2破断部位)を含む。第2導電部材5Lにおいて、幅狭部53L以外の部分は、溶断部31Lと直列に接続されており溶断部31Lが溶断されるまで導通可能に設けられる導電保持部32Lである。
【0246】
第3導電部材15は、本体部151(第3電路130を構成する部分)の一部に、本体部151の他の部分よりも幅の小さな幅狭部153を有している。より詳細には、本体部151のU字の左右の直線部分それぞれに、幅狭部153が設けられている。各幅狭部153は、中央に貫通孔を有する矩形枠状である。また、幅狭部153は、幅狭部153の他の部分よりも更に幅の小さな起点部154を有している。幅狭部153は、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部131を構成する。
【0247】
第3電路130は、2つの溶断部131(第1溶断部1311及び第2溶断部1312)を備えている。第3導電部材15において、幅狭部153以外の部分は、溶断部131と直列に接続されており溶断部131が溶断されるまで導通可能に設けられる導電保持部132である。
【0248】
図43に示すように、筐体9Lは、ベース91Lと、第1ボディ92Lと、第2ボディ93Lと、第3ボディ94Lと、第1カバー95Lと、第2カバー96Lと、を備えている。
【0249】
ベース91Lは、上下方向に厚さを有し左右に長い矩形板状である。
【0250】
第1ボディ92Lは、上下方向に厚さを有し左右に長い矩形箱状である。第1ボディ92Lは、ベース91Lの上面上に配置される。第1ボディ92Lの下面には、左右に長い収容凹所(第2収容凹所922)が形成されている。また、第1ボディ92Lにおける第2収容凹所922の底面の左右の中央には、断面矩形状の第1収容凹所921Lが形成されている。第1ボディ92Lにおける第1収容凹所921Lの底面の左右の中央には、押ピン101L(後述)を通すための貫通孔が、上下に貫通している。第1収容凹所921Lの深さは、第2導電部材5Lの本体部51Lの下板の厚さ及び第1押圧部材102L(後述)の厚さの合計よりも、大きい。第2収容凹所922の深さは、第3導電部材15の本体部151の下板の厚さ及び第2押圧部材103(後述)の厚さの合計よりも、大きい。また、第1ボディ92Lにおける第1収容凹所921Lの底面の左右両端には、第2導電部材5Lの左右の側板を通すための貫通孔が2つ、上下に貫通している。第1ボディ92Lにおける第2収容凹所922の底面の左右両端には、第3導電部材15の左右の側板を通すための貫通孔が2つ、上下に貫通している。
【0251】
第2ボディ93Lは、前後左右の寸法が第1ボディ92Lと同じ矩形箱状である。第2ボディ93Lは、第1ボディ92Lの上面上に配置される。第2ボディ93Lの下面において、前後方向の中央には、半円柱状の凹所が左右両側に2つずつ(計4つ)、形成されている。4つの凹所は、第2ボディ93Lを第1ボディ92Lに重ねたときに、第1収容凹所921Lの底面の2つの貫通孔、及び第2収容凹所922の底面の2つの貫通孔にそれぞれ対応する位置に、形成されている。凹所の底面には、第2導電部材5Lの側板又は第3導電部材15の側板を通すための貫通孔が、上下に貫通している。凹所により規定される空間は、ブランクであってもよいが、消弧部材が設けられていることが好ましい。
【0252】
また、第2ボディ93Lの上面の中央には、円柱状の凹所931Lが形成されている。凹所931Lの断面形状は、動作ピン8Lの断面形状と略等しい。凹所931Lの断面形状は、凹所931Lの底面近傍において底面に向って狭くなる湾曲形状となっている。凹所931Lの径は、第1導電部材4Lの溝44Lの外径よりも小さく内径よりも大きい。
【0253】
第2ボディ93Lの上面上に、第1導電部材4Lが載置される。第1導電部材4Lは、溝44Lが凹所931Lの縁と対向するように、配置される(
図43、
図44参照)。
【0254】
第3ボディ94Lは、矩形の筒状である。第3ボディ94Lは、第2ボディ93Lの上面上に配置される。第3ボディ94Lの下面には、第1導電部材4Lが嵌まる凹所が形成されている。第2導電部材5Lの2つの鍔部52L、及び第3導電部材15の2つの鍔部152は、第2ボディ93Lと第3ボディ94Lとの間に挟まれる。第3ボディ94Lは、その中央に、上下に貫通する円柱状の貫通孔941Lを有している。貫通孔941Lの断面形状は、動作ピン8Lの断面形状と略等しい。また、第3ボディ94Lは、その上面に、貫通孔941Lよりも径の大きな円筒状の支持壁942Lを有している。
【0255】
第1カバー95Lは、円筒状である。第1カバー95Lは、第3ボディ94Lの支持壁942Lの内側に嵌まる形状である。第1カバー95Lの内周面の断面形状は、第3ボディ94Lの貫通孔941Lの内周面の断面形状と同じである。第1カバー95Lの内部空間、及び第3ボディ94Lの貫通孔941L内に、動作ピン8Lが配置される。また、第1カバー95Lは、その上端に、ガス発生器7を収容するための円筒状の収容壁954Lを備えている。
【0256】
第2カバー96Lは、第3ボディ94Lの上面と第1カバー95Lの上面とを覆うように、第3ボディ94L及び第1カバー95Lに取り付けられる。第3ボディ94Lの支持壁942Lの外面と第2カバー96Lとの間に、オーリング61Lが配置される。
【0257】
ガス発生器7は、第1カバー95Lの収容壁954Lで囲まれた空間に配置される。ガス発生器7と第1カバー95Lとの間に、オーリング62Lが配置される。
【0258】
動作ピン8Lは、第1遮断部2、第3遮断部100L、及び第4遮断部200に含まれる。動作ピン8Lは、ガス発生器7で発生したガスの圧力により動かされる。
【0259】
本変形例の遮断装置1Lは、押ピン101Lと第1押圧部材102Lと第2押圧部材103とを更に備えている。本変形例の遮断装置1Lにおいて、第3遮断部100Lは、ガス発生器7、動作ピン8、押ピン101L、及び第1押圧部材102L等により構成される。また、第4遮断部200は、ガス発生器7、動作ピン8、押ピン101L、第1押圧部材102L、及び第2押圧部材103等により構成される。
【0260】
押ピン101Lは、上下に長い円柱状である。押ピン101Lは、その上端が、第2ボディ93Lの凹所931L内において、第1導電部材4Lの分離用部位41Lを間に挟んで動作ピン8Lの下端と対向している。押ピン101Lは、第2ボディ93Lの貫通孔及び第1ボディ92Lの貫通孔を通って、その下端が第1収容凹所921Lに露出している。押ピン101Lの径は、動作ピン8の径よりも小さい。
【0261】
第1押圧部材102Lは、左右に長い矩形の板状である。第1押圧部材102Lは、第1収容凹所921L内に配置されている。第1押圧部材102Lは、押ピン101Lの下端に対向する。第1押圧部材102Lは、押ピン101Lと第2導電部材5Lの本体部51Lの下板との間に配置されている。第1押圧部材102Lは、ここでは押ピン101Lと別体であるが、押ピン101Lと一体であってもよい。
【0262】
第2押圧部材103は、左右に長い矩形の板状である。第2押圧部材103は、第2収容凹所922内に配置されている。第2押圧部材103は、第2導電部材5Lの本体部51Lの下板を間に挟んで、第1押圧部材102Lに対向する。第2押圧部材103は、第1押圧部材102Lと第3導電部材15の本体部151の下板との間に配置されている。
【0263】
次に、遮断装置1Lの動作について、
図45~
図47を参照して説明する。
【0264】
図45に示すように、ガス発生器7のピン電極72が通電されずガス発生器7が駆動されていない場合、遮断装置1Lは、2つの端子(貫通孔421L)間の電路に電流が流れるのを許容する。遮断装置1Lにおいて、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路20Lに流れる電流は、第2電路30Lに流れる電流及び第3電路130に流れる電流よりも、大きい。外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路20Lの電気抵抗は、第2電路30Lの電気抵抗より小さい。また、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路20Lの電気抵抗は、第3電路130の電気抵抗より小さい。外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、典型的には、第2電路30Lに流れる電流の大きさ及び第3電路130に流れる電流の大きさの合計は、第1電路20Lに流れる電流の大きさの1/100以下であることが好ましい。第2電路30L及び第3電路130の耐久性を高めることができる。遮断装置1Lにおいて、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第2電路30Lの電気抵抗と第3電路130の電気抵抗とは、同じであってもよく異なっていてもよい。
【0265】
ガス発生器7が駆動されると、動作ピン8Lが下方へ移動し、動作ピン8Lの下面が分離用部位41Lを押す。分離用部位41Lが動作ピン8Lに押されることによって、第1導電部材4Lは、分離用部位41Lと2つの固定用部位42Lとのそれぞれの境界部分440Lにおいて破断される。これにより、分離用部位41Lが固定用部位42Lから切り離される。
【0266】
分離用部位41Lを固定用部位42Lから切り離した後、動作ピン8Lは更に下方へと移動して、2つの固定用部位42Lの間に入り込む。その結果、2つの固定用部位42Lの間が動作ピン8Lによって絶縁される。
【0267】
また、動作ピン8Lが下方へと移動すると、動作ピン8Lに押された分離用部位41Lが、押ピン101Lの上面に接触して押ピン101Lを押す。これにより、第2導電部材5Lは、押ピン101L及び第1押圧部材102Lを介して、動作ピン8Lから下向きの力を受ける。
【0268】
第2導電部材5Lは、2つの溶断部31L(より詳細には、幅狭部53Lの起点部54L)において、機械的強度が最も小さい。そのため、動作ピン8Lから下向きの力を受けた第2導電部材5Lは、溶断部31L(起点部54L)において、より詳細には第1溶断部311L(第1破断部位)及び第2溶断部312L(第2破断部位)において、機械的に破断される(
図46参照)。このように、遮断装置1Lでは、第1遮断部2が第1電路20Lを遮断した後、第3遮断部100Lが第2電路30Lを遮断する。
【0269】
第2導電部材5Lを破断した後、動作ピン8Lは、押ピン101L、第1押圧部材102L及び第2導電部材5Lの本体部51Lと一緒に更に下方へと移動し、本体部51Lが第2押圧部材103の上面に接触して第2押圧部材103を押す。これにより、第3導電部材15は、押ピン101L、第1押圧部材102L、本体部51L及び第2押圧部材103を介して、動作ピン8Lから下向きの力を受ける。
【0270】
第3導電部材15は、2つの溶断部131(より詳細には、幅狭部153の起点部154)において、機械的強度が最も小さい。そのため、動作ピン8Lから下向きの力を受けた第3導電部材15は、溶断部131(起点部154)において、より詳細には第1溶断部1311(第3破断部位)及び第2溶断部1312(第4破断部位)において、機械的に破断される(
図47参照)。このように、遮断装置1Lでは、第3遮断部100Lが第2電路30Lを遮断した後、第4遮断部200が第3電路130を遮断する。
【0271】
動作ピン8Lによって押された第3導電部材15の本体部151が、ベース91Lの上面に到達することで、動作ピン8L、分離用部位41L、押ピン101L、第1押圧部材102L、本体部51L、第2押圧部材103及び本体部151は、下方への移動を停止する。
【0272】
本変形例の遮断装置1Lでは、2つの端子(貫通孔421L)間の電路に電流が流れている状態で、動作ピン8Lによって第1電路20Lが遮断されると、第2電路30L及び第3電路130に電流が流れる。第2導電部材5Lの溶断部31Lは、第2電路30Lに流れる電流によって溶融して、徐々に抵抗が大きくなる。同様に、第3導電部材15の溶断部131は、第3電路130に流れる電流によって溶融して、徐々に抵抗が大きくなる。第2電路30Lと第3電路130とは並列に接続されているため、溶断部31Lと溶断部131とは、第2電路30Lの電気抵抗と第3電路130の電気抵抗とが略等しくなるように、バランスしながら徐々に溶融していく。そのため、第2遮断部3Lが第2電路30Lを遮断するタイミングと、第5遮断部210が第3電路130を遮断するタイミングとは、略等しくなる。このように、第2電路30Lと第3電路130に流れる電流に分流し、遮断するタイミングを略等しくすることにより、発生したアークのエネルギーを抑制できる。
【0273】
また、溶断部31Lと溶断部131の熱容量、及び第2電路30Lの電気抵抗と第3電路130の電気抵抗とを調整することにより、第2遮断部3Lが第2電路30Lを遮断するタイミングと、第5遮断部210が第3電路130を遮断するタイミングとを、異ならせてもよい。例えば、第2遮断部3Lが第2電路30Lを遮断するタイミングが、第5遮断部210が第3電路130を遮断するタイミングより早い場合、第3電路130での遮断時に発生したアークのエネルギーを抑制できる。
【0274】
このように、遮断装置1Lでは、溶断部131を有する第3電路130が設けられていることで、第3電路130がない場合に比べて、第2電路30Lの溶断部31Lが溶断するまでの時間を調整することができる。
【0275】
また、本変形例の遮断装置1Lでは、第1導電部材4Lに電流が流れていても流れていなくても、ガス発生器7が駆動されると、第1電路20L、第2電路30L及び第3電路130の全てが、第1遮断部2、第3遮断部100L及び第4遮断部200によってそれぞれ遮断される。そのため、例えば、遮断装置1Lが搭載されている電動車両の制御部が、障害物との衝突を検知する等して、遮断装置1Lに大電流が流れる可能性が高い場合に、予めガス発生器7を駆動して遮断装置1Lの内部電路を遮断することが可能となる。
【0276】
(2.11)変形例11
本変形例の遮断装置1Mについて、
図48、
図49を参照して説明する。
【0277】
本変形例の遮断装置1Mは、溶断部31Mで発生したアークを遮断する遮断構造900を有する点で、変形例5の遮断装置1Gと相違する。遮断構造900は、溶断部31Mの周囲に溶断部31Mと対向する絶縁壁901を設けることで、溶断部31Mの周囲の空間を狭め、溶断部31Mで発生したアークを遮断する構造である。本変形例の遮断装置1Mにおいて、変形例5の遮断装置1Gと同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0278】
図49に示すように、第2導電部材5Mは、略U字状の本体部51Mと、本体部51Mの両端から互いに離れる向きに突出する一対の鍔部52Mと、を一体に有している。第2導電部材5Mは、本体部51M(第2電路30Mを構成する部分)の一部に、本体部51Mの他の部分よりも幅の小さな幅狭部53Mを有している。より詳細には、本体部51MのU字の左右の側板それぞれに、幅狭部53Mが設けられている。各幅狭部53Mは、上下に長い棒状である。また、幅狭部53Mは、幅狭部53Mの他の部分よりも更に幅の小さな起点部54Mを有している。
【0279】
第2導電部材5Mの第2電路30Mに電流が流れると、第2導電部材5Mが発熱する。そして、第2電路30Mに流れる電流が許容範囲を超えると、幅狭部53Mは、起点部54Mを起点として溶断する。その結果、第2電路30Mが遮断される。幅狭部53Mは、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する溶断部31Mを構成する。遮断装置1Mは、2つの溶断部31M(第1溶断部311M及び第2溶断部312M)を含んでいる。
【0280】
図48に示すように、筐体9Mは、ベース91Mと、第1ボディ92Mと、第2ボディ93Mと、第3ボディ94Mと、第1カバー95Mと、第2カバー96Mと、を備えている。
【0281】
本変形例の遮断装置1Mのベース91M、第1ボディ92M、第3ボディ94M、第1カバー95M、及び第2カバー96Mは、変形例5の遮断装置1Gのベース91G、第1ボディ92G、第3ボディ94G、第1カバー95G、及び第2カバー96Gとそれぞれ同様である。
【0282】
第2ボディ93Mは、前後左右の寸法が第1ボディ92Mと同じ矩形箱状である。第2ボディ93Mは、第1ボディ92Mの上面上に配置される。第1ボディ92Mの前後方向の中央において左右方向の中央よりも両側には、第1ボディ92Mを上下に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔には、第2導電部材5Mの本体部51Mの左右の側板が通される。第2導電部材5Mの溶断部31Mは、貫通孔内に位置しており、貫通孔の内面に近接している。すなわち、溶断部31Mは、樹脂材料(第1ボディ92Mを形成する材料)からなる絶縁壁901に、囲まれている。すなわち、筐体9Mは、溶断部31M(第1破断部位又は第2破断部位)を収容する第2空間を囲む壁部を有する。そして、
図48に示すように、溶断部31M(例えば第1破断部位)から溶断部31Mに最も近い壁部の内壁(絶縁壁901)までの長さD1は、壁部の内壁から内壁に対向する壁部の外壁までの長さD2より小さい、
本変形例の遮断装置1Mにおいて、ガス発生器7が駆動されると、動作ピン8に押されることによって、第1導電部材4は、分離用部位41と2つの固定用部位42とのそれぞれの境界部分440(第1位置及び第2位置)において破断される。分離用部位41を固定用部位42から切り離した後、動作ピン8は更に下方へと移動して、2つの固定用部位42の間に入り込む。その結果、2つの固定用部位42の間が動作ピン8によって絶縁される。このとき、第1電路20を流れていた電流は、第2電路30Mに流れ込む。これにより、溶断部31Mが発熱して溶断する。
【0283】
ここで、溶断部31Mに電流が流れている状態で溶断部31Mが溶断すると、アークが発生することがある。しかしながら、本変形例の遮断装置1Mでは、溶断部31Mが絶縁壁901に囲まれている。アークは、帯電粒子(電子)の流れであるため、帯電粒子が移動可能な空間が狭いと、発生しにくい。すなわち、本変形例の遮断装置1Mでは、溶断部31Mが絶縁壁901で囲まれているので、アークを構成する帯電粒子の移動が阻害されて、アークの発生が抑制される。このアークの発生の抑制は、測定データ上は、アーク電圧の上昇という形で観測され得る。2つの端子(貫通孔421)間に印加されている電圧にも依存するが、発生し得るアーク電圧の最大値は、例えば、遮断装置1Mに電流を流す電源電圧の2倍以上が好ましい。具体的には、電源電圧400Vの場合には、アーク電圧の最大値は1000V以上であることが好ましい。これにより、電源に接続する電気回路の損傷を抑制しつつ、遮断装置1Mの小型化ができる。
【0284】
なお、動作ピン8は更に下方へと移動し、動作ピン8に押された分離用部位41が、押ピン101の上面に接触して押ピン101を押すことで、第2導電部材5の本体部51は下方へと移動する。これにより、第2導電部材5の本体部51は鍔部52から引き離され、アーク(発生している場合)が引き延ばされて消弧され得る。
【0285】
このように、本変形例の遮断装置1Mは、遮断構造900を備えていることで、溶断部31Mでのアークの発生を抑制することが可能となる。また、本変形例の遮断装置1Mでは、第1導電部材4に電流が流れていても流れていなくても、ガス発生器7が駆動されると、第1電路20Mと第2電路30Mとの両方が、第1遮断部2及び第3遮断部100Mによってそれぞれ遮断される。
【0286】
なお、絶縁壁901は、2つの溶断部31Mのうちの少なくとも一方に設けられていればよい。
【0287】
(2.12)その他の変形例
動作ピン8,8A,8B,8I~8Lの形状は、例示した形状に限られず、例えば任意の多角柱状等であってもよい。第1導電部材4,4A,4C~4E,4L又は導電部材4B,4I~4Kの溝44,44A~44E,44I~44Lは、動作ピン8,8A,8B,8I~8Lの形状に沿った形状であることが好ましい。
【0288】
ガス発生器7が駆動されていない場合、動作ピン8,8A,8B,8I~8Lの一端(下端)は、第1導電部材4,4A,4C~4E,4L又は導電部材4B,4I~4Kに、接触していてもよいし接触していなくてもよい。
【0289】
溝44,44A~44E,44I~44Lは、第1導電部材4,4A,4C~4E,4L又は導電部材4B,4I~4Kの第1の面F1に代えて又は加えて、第2の面F2に形成されていてもよい。また、境界部分440,440A~440E,440I~440Lは、溝44,44A~44E,44I~44Lによって規定されていなくてもよく、例えば、第1導電部材4,4A,4C~4E,4L又は導電部材4B,4I~4Kの厚さ方向に貫通する1又は複数の孔によって規定されていてもよい。
【0290】
遮断装置1,1A~1C,1E,1G~1Mは、発生したアークを引き延ばすための永久磁石を備えていてもよい。永久磁石は、例えば、筐体9、9A~9C,9E,9G~9Mの内部空間に配置されてもよいし、筐体9,9A~9C,9E,9G~9Mに埋め込まれていてもよい。
【0291】
遮断装置1,1A~1C,1E,1G~1Mの第1電路20,20A~20C,20E,20I~20Lは、固定用部位42,42A~42E,42I~42Lと分離用部位41,41A~41E,41I~41Lに代えて、第1接点及び第2接点を含む接点装置を備えていてもよい。この場合、第1接点及び第2接点は、ガス発生器7が駆動されていない場合には互いに接続されており、ガス発生器7が駆動されると、動作ピン8,8A,8B,8I~8Lの移動に連動して相対的に移動して開離される。
【0292】
遮断装置1B,1I~1Kにおいて、第2収容空間S2に消弧部材が収容されていなくてもよい。遮断装置1,1A,1C,1E,1Gにおいて、筒部材97の内部空間に、消弧部材が収容されていてもよい。
【0293】
遮断装置1,1A,1G,1H,1L,1Mにおいて、第2導電部材5,5A,5L,5Mの鍔部52又は接続片521Aは、差込孔420,420A,420Lに差し込まれることなく、第1導電部材4,4A,4Lの下面に接触していてもよい。第3導電部材15の鍔部152は、第2差込孔423に差し込まれることなく、第1導電部材4Lの下面に接触していてもよい。
【0294】
遮断装置1,1A,1C,1E,1G,1H,1L,1Mにおいて、差込孔420,420A,420C~420E,420Lは開口に限られず、第1導電部材4,4A,4C~4E,4Lの幅方向の一端から延びる切り欠きであってもよい。或いは、第1導電部材4,4A,4C~4E,4Lは、差込孔420,420A,420C~420E,420Lの代わりに、下面が開口した凹所を有していてもよい。或いは、第2電路30,30A,30C,30E,30L,30Mが第1電路20,20A,20C,20E,20L,20Mに対して接続される又は接続可能であれば、差込孔420,420A,420C~420E,420Lはなくてもよい。
【0295】
遮断装置1C,1Eにおいて、第2導電部材5C~5Eの両端が第1導電部材4C~4Eから隙間を空けて配置されていなくてもよい。例えば第2導電部材5C~5Eの一端は、第1導電部材4C~4Eにおける差込孔420C~420Eの部分に接触していてもよい。すなわち、遮断装置1C,1Eは、第2導電部材5C~5Eの少なくも一端が、第1導電部材4C~4Eから隙間を空けて配置されていてもよい。
【0296】
外部電路との接続用の端子は、貫通孔421,421A~421E,421Lに限られない。
【0297】
図6、
図7で示した動作例とは逆に、動作ピン8が凹所931に到達する前に、溶断部31が溶断されてもよい。
【0298】
第2導電部材5,5A,5C~5E,5L,5Mは、例えばリード端子を有する部材(電子部品)であってもよい。
【0299】
第1電路20,20A~20C,20E,20L,20M及び第2電路30,30A~30C,30E,30L,30Mの接続点(第1導電部材4の差込孔420等)と、外部電路に接続される端子(貫通孔421等)との位置関係は、逆であってもよい。
【0300】
例えば、基本例の遮断装置1において、貫通孔421は、固定用部位42における差込孔420と溝44との間の位置に、形成されていてもよい。この場合、第1導電部材4において2つの貫通孔421で挟まれる部分が、第1電路20を規定する。また、第1導電部材4における貫通孔421と差込孔420との間の部分、及び第2導電部材5における本体部51が、第2電路30を規定する。
【0301】
また、例えば変形例3の遮断装置1Cにおいて、貫通孔421Cは、固定用部位42Cにおける差込孔420Cと溝44Cとの間の位置に形成されていてもよい。この場合、第1導電部材4Cにおいて2つの貫通孔421Cで挟まれる部分が、第1電路20Cを規定する。また、第1導電部材4Cにおける貫通孔421Cと差込孔420Cとの間の部分、及び第2導電部材5Cにおける本体部51Cが、第2電路30Cを規定する。この場合、第2導電部材5Cの対向部55Cは、第1導電部材4Cにおいて第1電路20Cを構成する部位(2つの貫通孔421Cで挟まれる部分)ではなく、第1導電部材4Cにおいて貫通孔421Cよりも外側にある差込孔420Cが形成されている部分と、隙間を空けて対向することになる。
【0302】
変形例10の遮断装置1Lは、第2電路30Lを遮断する溶断部31Lを備える第2遮断部3Lと、第3電路130を遮断する溶断部131を備える第5遮断部210と、の両方を備えているが、これに限られない。遮断装置1Lは、第2遮断部3Lと第5遮断部210とのうちの少なくとも一方を備えていればよい。遮断装置1Lは、第2電路30L、第3電路130のうちで、動作ピン8Lによって相対的に後に遮断される電路に、溶断部を備えていることが好ましい。すなわち、変形例10の遮断装置1Lは、第3電路130に設けられている溶断部131を備えていることが好ましい。
【0303】
変形例10の遮断装置1Lにおいて、各要素を特定するために記載している序数(「第1」、「第2」等)は、単に各要素が互いに異なることを特定するためだけのものであり、その順番に意味はない。例えば、変形例10の遮断装置1Lの「第3電路130」を「第2電路」、「第2電路30L」を「第3電路」とみなしてもよい。
【0304】
遮断装置1,1A~1C,1E,1G~1Mにおいて、第2遮断部3,3A~3C,3E,3I~3Mは、第1遮断部2,2A~2C,2E,2I~2Jと別の筐体に収容されていてもよい。この場合、第1遮断部2,2A~2C,2E,2I~2Jと、第2遮断部3,3A~3C,3E,3I~3Mとを、別々にメンテナンスすることが可能となる。
【0305】
(3)まとめ
以上説明した実施形態及び変形例等から以下の態様が開示されている。
【0306】
第1の態様に係る遮断装置(1,1A,1B,1G,1H,1K~1M)は、第1導電部材(4,4A,4B,4K,4L)と、第2導電部材(5,5A,5B,5K~5M)と、ガス発生器(7)と、を備える。第1導電部材(4,4A,4B,4K,4L)は、外部電路に接続される第1電路(20,20A,20B,20L)を構成する。第1導電部材(4,4A,4B,4K,4L)は、第1電路(20,20A,20B,20L)を遮断する分離用部位(41,41A,41B、41K,41L)を有する。第2導電部材(5,5A,5B,5K~5M)は、第1電路(20,20A,20B,20L)と並列に接続される第2電路(30,30A,30B,30K~30M)を構成する。第2導電部材(5,5A,5B,5K~5M)は、第2電路(30,30A,30B,30K~30M)を遮断する第1破断部位(第1溶断部311,311A,311L,311M)及び第2破断部位(第2溶断部312,312A,57B,57K,312L,312M)を有する。ガス発生器(7)は、ガスを発生させる。分離用部位(41,41A,41B、41K,41L)は、第1電路(20,20A,20B,20L)の第1位置の部位と第1電路(20,20A,20B,20L)の第2位置の部位とを接続する。第1破断部位は、第2電路(30,30A,30B,30K~30M)の第3位置に位置する。第2破断部位は、第2電路(30,30A,30B,30K~30M)の第4位置に位置する。遮断装置(1,1A,1B,1G,1H,1K~1M)では、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して分離用部位(41,41A,41B、41K,41L)が第1導電部材(4,4A,4B,4K,4L)から切断されることにより第1電路(20,20A,20B,20L)が遮断される。遮断装置(1,1A,1B,1G,1H,1K~1M)では、第1電路(20,20A,20B,20L)が遮断された後、第2導電部材(5,5A,5B,5K~5M)の第1破断部位及び第2破断部位が破断される。遮断装置(1,1A,1B,1G,1H,1K~1M)では、第1破断部位及び第2破断部位が破断されることにより第2電路(30,30A,30B,30K~30M)が遮断される。第1位置と第2位置との間の長さは、第3位置と前記第4位置との間の長さよりも短い。
【0307】
この態様によれば、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0308】
第2の態様に係る遮断装置(1,1A,1B,1G,1H,1K~1M)では、第1の態様において、第2導電部材(5,5A,5B,5K~5M)は、第1導電部材(4,4A,4B,4K,4L)に固定されている。
【0309】
この態様によれば、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0310】
第3の態様に係る遮断装置(1C,1E)は、第1導電部材(4C~4E)と、第2導電部材(5C~5E)と、ガス発生器(7)と、を備える。第1導電部材(4C~4E)は、外部電路に接続される第1電路(20C,20E)を構成する。第1導電部材(4C~4E)は、第1電路(20C,20E)を遮断する分離用部位(41C~41E)を有する。第2導電部材(5C~5E)は、第1電路(20C,20E)を構成する。第2導電部材(5C~5E)は、第2電路(30C,30E)を遮断する第1破断部位(第1溶断部311C~311E)及び第2破断部位(第2溶断部312C~312E)を有する。ガス発生器(7)は、ガスを発生させる。分離用部位(41C~41E)は、第1電路(20C,20E)の第1位置の部位と第1電路(20C,20E)の第2位置の部位とを接続している。第1破断部位は、第2電路(30C,30E)の第3位置に位置する。第2破断部位は、第2電路(30C,30E)の第4位置に位置する。遮断装置(1C,1E)では、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して分離用部位(41C~41E)が第1導電部材(4C~4E)から切断されることにより第1電路(20C~20E)が遮断される。遮断装置(1C,1E)では、第1電路(20C~20E)が外部電路と電気的に接続されている時、第2電路(30C,30E)は外部電路と遮断されている。遮断装置(1C,1E)では、第1電路(20C~20E)が分離用部位(41C~41E)で遮断されると、第2電路(30C,30E)は外部電路に電気的に接続される。遮断装置(1C,1E)では、第2電路(30C,30E)が外部電路に電気的に接続された後、第1破断部位及び第2破断部位が破断されると、第2電路(30C,30E)は外部電路と再び遮断される。
【0311】
この態様によれば、アークの発生を抑制することが可能となる。また、第2電路(30C,30E)の経時劣化を抑制することが可能となる。
【0312】
第4の態様に係る遮断装置(1C,1E)では、第3の態様において、第2導電部材(5C~5E)は、第1導電部材(4C~4E)と非接触で対向する対向部(55C~55E)を有する。遮断装置(1C,1E)では、第1電路(20C,20E)が遮断されると、第2導電部材(5C~5E)は対向部(55C~55E)を介して第1導電部材(4C~4E)と電気的に接続される。遮断装置(1C,1E)では、第2電路(30C,30E)は、第1導電部材(4C~4E)を介して外部電路に電気的に接続される。
【0313】
この態様によれば、アークの発生を抑制することが可能となる。また、第2電路(30C,30E)の経時劣化を抑制することが可能となる。
【0314】
第5の態様に係る遮断装置(1C,1E)では、第3又は第4の態様において、第1導電部材(4C~4E)は開口部(差込孔420C~420E)を有する。第2導電部材(5C~5E)の端部が、第1導電部材(4C~4E)に接触せずに開口部に挿入されている。
【0315】
この態様によれば、第2導電部材(5C~5E)と第1導電部材(4C~4E)との間の位置決めが容易になる。
【0316】
第6の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G,1H,1K~1M)では、第1~第5のいずれか1つの態様において、第1破断部位は、第1溶断部(311,311A,57B,311C~311E,57K,311L,311M)の一部である。第2破断部位は、第2溶断部(312,312A,57B,312C~312E,57K,312L,312M)の一部である。遮断装置(1,1A~1E,1G,1H,1K~1M)では第1溶断部(311,311A,57B,311C~311E,57K,311L,311M)及び第2溶断部(312,312A,57B,312C~312E,57K,312L,312M)が溶断されると、第2電路(30,30A~30E,30L~30M)は遮断される。
【0317】
この態様によれば、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0318】
第7の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G,1H,1K~1M)では、第6の態様において、第2電路(30,30A~30E,30L~30M)に一定値以上の電流が流れると、第1溶断部(311,311A,57B,311C~311E,57K,311L,311M)及び第2溶断部(312,312A,57B,312C~312E,57K,312L,312M)は溶断する。
【0319】
この態様によれば、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0320】
第8の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G,1H,1K~1M)では、第6又は第7の態様において、第2導電部材(5,5A~5E,5K~5M)は、第1溶断部(311,311A,57B,311C~311E,57K,311L,311M)と第2溶断部(312,312A,57B,312C~312E,57K,312L,312M)とを接続する導電保持部(32,32A~32E,32I~32M)を更に有する。導電保持部(32,32A~32E,32I~32M)の電気抵抗は、第1溶断部(311,311A,57B,311C~311E,57K,311L,311M)の電気抵抗及び第2溶断部312,312A,57B,312C~312E,57K,312L,312M)の電気抵抗より小さい。
【0321】
この態様によれば、第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)に電流が流れた場合に、第1溶断部(311,311A,57B,311C~311E,57K,311L,311M)と第2溶断部(312,312A,57B,312C~312E,57K,312L,312M)が発熱により溶断しやすくなり、遮断の信頼性が向上する。
【0322】
第9の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G,1H,1K~1M)では、第1~第8のいずれか1つの態様において、第1電路(20,20A~20C,20E,20L)の電気抵抗は、第2電路(30,30A~30C,30E,30K~30M)の電気抵抗より小さい。
【0323】
この態様によれば、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合には第2電路(30,30A~30C,30E,30K~30M)に流れる電流が小さいので、第2電路(30,30A~30C,30E,30K~30M)の経時劣化を抑制することが可能となる。
【0324】
第10の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G,1H,1K~1M)では、第1~第9のいずれか1つの態様において、第3位置から第4位置までの第2電路の電流経路は、第3位置と第4位置との直線距離より長い。
【0325】
この態様によれば、第2電路(30,30A~30C,30E,30K~30M)の電気抵抗を増加させやすくなる。
【0326】
第11の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G,1H,1K~1M)は、第1~第10のいずれか1つの態様において、動作ピン(8,8A,8B,8L,8L)と、筐体(9,9B,9C,9E、9G,9L)と、を更に備える。筐体(9,9B,9C,9E、9G,9L)には、第1導電部材(4,4A~4E,4K,4L)及び第2導電部材(5,5A~5E,5K~5M)が設けられる。筐体(9,9B,9C,9E、9G,9L)は、第1導電部材(4,4A~4E,4K,4L)の上方に位置する第1空間と第1導電部材(4,4A~4E,4K,4L)の下方に位置する第2空間とを有する。動作ピン(8,8A,8B,8L,8L)は、第1空間に配置される。第1破断部位は、第2空間に配置される。
【0327】
この態様によれば、動作ピン(8,8A,8B,8L,8L)と第1破断部位との間の干渉を抑制することがかのうとなる。
【0328】
第12の態様に係る遮断装置(1M)は、第11の態様において、筐体(9M)が第2空間を囲む壁部を有する。第1破断部位から第1破断部位に最も近い壁部の内壁(絶縁壁901)までの長さは、壁部の内壁から内壁に対向する壁部の外壁までの長さより小さい。
【0329】
この態様によれば、第1破断部位でのアークの発生を抑制することが可能となる。
【0330】
第13の態様に係る遮断装置(1G,1H,1K~1M)では、第1~第3のいずれか1つの態様において、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して第2導電部材(5,5K,5L)は第1破断部位及び第2破断部位で破断される。
【0331】
第14の態様に係る遮断装置(1G,1H,1K~1M)では、第1又は第13の態様において、第2導電部材(5,5K,5L)は第1破断部位及び第2破断部位で機械的に切断されることで、第2電路(30,30A,30K~30M)は遮断される。
【0332】
この態様によれば、第1電路(20,20A,20K,20L)及び第2電路(30,30A,30K~30M)を遮断することが可能となる。
【0333】
第15の態様に係る遮断装置(1G,1H,1L,1M)は、第14の態様において、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して動く押圧部材(102,102H,102L)を更に備える。遮断装置(1G,1H,1L,1M)では、第2導電部材(5,5K,5M)が第1端部及び第2端部を有する。遮断装置(1G,1H,1L,1M)では、第2導電部材(5,5K,5M)が第1端部及び第2端部で第1導電部材(4,4A,4L)に固定される。遮断装置(1G,1H,1L,1M)では、ガスの圧力に連動して押圧部材(102,102H,102L)が第3位置及び第4位置の間を下方に向かって第2導電部材(5,5K,5M)を押圧することで、第2導電部材(5,5K,5M)は第1破断部位及び前記第2破断部位で機械的に切断される。
【0334】
この態様によれば、ガス発生器(7)を駆動することで、第1電路(20,20A,20K,20L)及び第2電路(30,30A,30K~30M)を遮断することが可能となる。
【0335】
第16の態様に係る遮断装置(1L)は、第14又は第15の態様において、第2電路(30L)と並列に接続される第3電路(130)を構成する第3導電部材(15)を更に備える。
【0336】
この態様によれば、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0337】
第17の態様に係る遮断装置(1L)では、第16の態様において、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して第3電路(130)は遮断される。第2電路(30L)が遮断されるタイミングと第3電路(130)が遮断されるタイミングとは異なる。
【0338】
この態様によれば、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0339】
第18の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1L)は、第1~第17のいずれか1つの態様において、第1破断部位及び第2破断部位の少なくとも一方の周囲に配置された消弧部材を更に備える。
【0340】
この態様によれば、アークの消弧を促進することが可能となる。
【0341】
第19の態様に係る遮断装置(1,1A,1B,1G~1M)は、第1遮断部(2,2A,2B,2I~2K)と、第2遮断部(3,3A,3B,3I~3M)と、を備える。第1遮断部(2,2A,2B,2I~2K)は、外部電路に接続される第1電路(20,20A,20B,20I~20L)を遮断する。第2遮断部(3,3A,3B,3I~3M)は、第1電路(20,20A,20B,20I~20L)と並列に接続される第2電路(30,30A,30B,30I~30M)を有し、第2電路(30,30A,30B,30I~30M)を遮断する。第1遮断部(2,2A,2B,2I~2K)は、燃焼によりガスを発生させるガス発生器(7)を有する。第1遮断部(2,2A,2B,2I~2K)は、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して第1電路(20,20A,20B,20I~20L)を遮断する。第2遮断部(3,3A,3B,3I~3M)は、溶断部(31,31A,31B,31I~31M)を有する。溶断部(31,31A,31B,31I~31M)は、第2電路(30,30A,30B,30I~30M)の一部を構成する。溶断部(31,31A,31B,31I~31M)は、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する。
【0342】
この態様によれば、第2遮断部(3,3A,3B,3I~3M)を備えていない遮断装置に比べて、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0343】
第20の態様に係る遮断装置(1,1A,1B,1G~1M)では、第19の態様において、第2電路(30,30A,30B,30I~30M)を構成する部材(第2導電部材5,5A,5L,5M、溶断部材5B,5I~5K)は、第1電路(20,20A,20B,20I~20L)を構成する部材(第1導電部材4,4A,4L,4M、導電部材4B,4I~4K)に固定されている。
【0344】
この態様によれば、第2遮断部(3,3A,3B,3I~3M)を備えていない遮断装置に比べて、アークの発生を抑制することが可能となる。
【0345】
第21の態様に係る遮断装置(1C,1E)は、第1遮断部(2C,2E)と、第2遮断部(3C,3E)と、を備える。第1遮断部(2C,2E)は、外部電路に接続される第1電路(20C,20E)を遮断する。第2遮断部(3C,3E)は、第1電路(20C,20E)が遮断された場合に外部電路に接続可能となるように配置される第2電路(30C,30E)を有し、第2電路(30C,30E)を遮断する。第1遮断部(2C,2E)は、燃焼によりガスを発生させるガス発生器(7)を有する。第1遮断部(2C,2E)は、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して第1電路(20C,20E)を遮断する。第2遮断部(3C,3E)は、溶断部(31C~31E)を有する。溶断部(31C~31E)は、第2電路(30C,30E)の一部を構成する。溶断部(31C~31E)は、許容範囲以上の電流が流れた場合に発熱により溶断する。
【0346】
この態様によれば、第2遮断部(3C,3E)を備えていない遮断装置に比べて、アークの発生を抑制することが可能となる。また、第2電路(30C,30E)の経時劣化を抑制することが可能となる。
【0347】
第22の態様に係る遮断装置(1C,1E)では、第21の態様において、第2電路(30C,30E)を構成する部材(第2導電部材5C~5E)は、対向部(55C~55E)を有する。対向部(55C~55E)は、第1電路(20C,20E)を構成する部材(第1導電部材4C~4E)又は第1電路(20C,20E)と接続されている電路部材と非接触で対向する。第2電路(30C,30E)は、第1電路(20C,20E)が遮断された場合に、対向部(55C~55E)を介して外部電路に接続される。
【0348】
この態様によれば、第2遮断部(3C,3E)を備えていない遮断装置に比べて、アークの発生を抑制することが可能となる。また、第2電路(30C,30E)の経時劣化を抑制することが可能となる。
【0349】
第23の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1M)では、第19~第22のいずれか1つの態様において、第1遮断部(2,2A~2C,2E,2I~2K)は、外部電路に規定以上の電流が流れたとき、ガス発生器(7)がガスを発生させる。
【0350】
この態様によれば、ガス発生器(7)を駆動することで、第1電路(20,20A~20C,20E,20I~20L)を遮断することが可能となる。
【0351】
第24の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1M)では、第19~第23のいずれか1つの態様において、第1遮断部(2,2A~2C,2E,2I~2K)が第1電路(20,20A~20C,20E,20I~20L)を遮断した後、第2遮断部(3,3A~3C,3E,3I~3M)の溶断部(31,31A~31E,31I~31M)が溶断される。
【0352】
この態様によれば、第1電路(20,20A~20C,20E,20I~20L)に電流が流れている状態から第2遮断部(3,3A~3C,3E,3I~3M)の第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)に電流が流れる状態になった後に、溶断部(31,31A~31E,31I~31M)が溶断されることで遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1M)が電路を遮断することができる。
【0353】
第25の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1M)では、第19~第24のいずれか1つの態様において、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路(20,20A~20C,20E,20I~20L)に流れる電流は、第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)に流れる電流より大きい。
【0354】
この態様によれば、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合には第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)に流れる電流が小さいので、第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)の経時劣化を抑制することが可能となる。
【0355】
第26の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1M)では、第19~第25のいずれか1つの態様において、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路(20,20A~20C,20E,20I~20L)の電気抵抗は、第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)の電気抵抗より小さい。
【0356】
この態様によれば、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合には第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)に流れる電流が小さくなるので、第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)の経時劣化を抑制することが可能となる。
【0357】
第27の態様に係る遮断装置(1,1A,1C,1E,1G,1H,1L,1M)では、第19~第26のいずれか1つの態様において、第2電路(30,30A,30C,30E,30L,30M)を構成する部材(第2導電部材5,5A,5C~5E,5L,5M)は、第1電路(20,20A,20C,20E,20L)を構成する部材(第1導電部材4,4A,4C~4E,4L)の開口部(差込孔420,420A,420C~420E,420L)に挿入されている。
【0358】
この態様によれば、第2電路(30,30A,30C,30E,30L,30M)を構成する部材と第1電路(20,20A,20C,20E,20L)を構成する部材との間の位置決めが容易になる。
【0359】
第28の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1M)では、第19~第27のいずれか1つの態様において、第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)は、溶断部(31,31A~31E,31I~31M)と直列に接続される導電保持部(32,32A~32E,32I~32M)を有する。導電保持部(32,32A~32E,32I~32M)は、溶断部(31,31A~31E,31I~31M)が溶断されるまで、導通可能に設けられる。
【0360】
この態様によれば、第2電路が溶断部のみからなる場合と比べて、設計自由度が向上する。
【0361】
第29の態様に係る遮断装置(1,1A,1C,1E,1G~1M)では、第28の態様において、溶断部(31,31A,31C~31E,31I~31M)は、第1溶断部(311,311A,311C~311E,311L)と第2溶断部(312,312A,312C~312E,312L)とを有する。第1溶断部(311,311A,311C~311E,311L)と第2溶断部(312,312A,312C~312E,312L)とは、導電保持部(32,32A,32C~32E,32I~32M)を介して直列に接続される。
【0362】
この態様によれば、2つの溶断エレメントを直列接続してなる溶断部(31,31A,31C~31E,31I~31M)を構成することが可能となり、第2遮断部(3,3A,3C,3E,3I~3M)による遮断の信頼性が向上する。
【0363】
第30の態様に係る遮断装置(1A,1H)では、第28又は第29の態様において、導電保持部(32A)は、導電保持部(32A)の両端部を結ぶ直線距離より長い電流経路を有する。
【0364】
この態様によれば、第2電路(30A,30H)の電気抵抗を増加させやすくなる。
【0365】
第31の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1M)では、第28~第30のいずれか1つの態様において、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、導電保持部(32,32A~32E,32I~32M)の電気抵抗は、溶断部(31,31A~31E,31I~31M)の電気抵抗より小さい。
【0366】
この態様によれば、第2電路(30,30A~30C,30E,30I~30M)に電流が流れた場合に、溶断部(31,31A~31E,31I~31M)が発熱により溶断しやすくなり、第2遮断部(3,3A~3C,3E,3I~3M)による遮断の信頼性が向上する。
【0367】
第32の態様に係る遮断装置(1,1B,1C,1E,1G,1L)は、第19~第31のいずれか1つの態様において、筐体(9,9B,9C,9E、9G,9L)を更に備える。第1遮断部(2,2B,2C,2E)と第2遮断部(3,3B,3C,3E,3L)とは、筐体(9,9B,9C,9E,9G,9L)内の異なる空間内にそれぞれ収容されている。
【0368】
この態様によれば、第1遮断部(2,2B,2C,2E)と第2遮断部(3,3B,3C,3E,3L)との間の干渉を抑制することが可能となる。
【0369】
第33の態様に係る遮断装置(1G~1M)は、第19~第32のいずれか1つの態様において、第2遮断部(3,3A,3I~3M)とは別に、第2電路(30,30A,30I~30M)を遮断する第3遮断部(100,100H~100M)を備える。第3遮断部(100,100H~100M)は、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して第2電路(30,30A,30I~30M)を遮断する。
【0370】
この態様によれば、遮断装置(1G~1M)に大電流が流れる可能性が高い場合に、ガス発生器(7)を駆動することで、第1電路(20,20A,20I~20L)及び第2電路(30,30A,30I~30M)を遮断することが可能となる。
【0371】
第34の態様に係る遮断装置(1G~1M)では、第33の態様において、第3遮断部(100,100H~100M)は、溶断部(31,31A,31I~31M)を機械的に切断する。
【0372】
この態様によれば、第3遮断部(100,100H~100M)による第2電路(30,30A,30I~30M)の遮断の信頼性が向上する。
【0373】
第35の態様に係る遮断装置(1G~1M)では、第33又は第34の態様において、第3遮断部(100,100H~100M)は、第2電路(30,30A,30I~30M)を構成する部材の一部を押すことで第2電路(30,30A,30I~30M)を機械的に切断する。
【0374】
この態様によれば、第3遮断部(100,100H~100M)による第2電路(30,30A,30I~30M)の遮断の信頼性が向上する。
【0375】
第36の態様に係る遮断装置(1L)では、第33~第35のいずれか1つの態様において、第2電路(30L)と並列に、第3電路(130)が接続される。
【0376】
この態様によれば、第2電路(30L)が遮断されるまでの時間を第3電路(130)によって調整することが可能となる。
【0377】
第37の態様に係る遮断装置(1L)では、第36の態様において、外部電路に流れる電流が規定値より小さい場合、第1電路(20L)の電気抵抗は、第3電路(130)の電気抵抗より小さい。
【0378】
この態様によれば、第3電路(130)の耐久性を高めることができる。
【0379】
第38の態様に係る遮断装置(1L)は、第36又は第37の態様において、第3電路(130)を遮断する第4遮断部(200)を備える。第4遮断部(200)は、ガス発生器(7)で発生したガスの圧力に連動して第3電路(130)を遮断する。第3遮断部(100L)が第2電路(30L)を遮断するタイミングと第4遮断部(200)が第3電路(130)を遮断するタイミングとは、異なる。
【0380】
この態様によれば、遮断装置(1L)に大電流が流れる可能性が高い場合に、ガス発生器(7)を駆動することで、第1電路(20L)、第2電路(30L)及び第3電路(130)を遮断することが可能となる。
【0381】
第39の態様に係る遮断装置(1,1A~1C,1E,1G~1L)は、第19~第38のいずれか1つの態様において、溶断部(31,31A~31E,31I~31L)の周囲に配置された消弧部材を更に備える。
【0382】
この態様によれば、溶断部(31,31A~31E,31I~31L)で発生したアークの消弧を促進することが可能となる。
【0383】
第40の態様に係る遮断装置(1M)は、第19~第39のいずれか1つの態様において、遮断構造(900)を有する。遮断構造(900)は、溶断部(31M)の周囲に溶断部(31M)と対向する絶縁壁(901)を設けることで、溶断部(31M)の周囲の空間を狭め、溶断部(31M)で発生したアークを遮断する。
【0384】
この態様によれば、溶断部(31M)でのアークの発生を抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0385】
1,1A~1C,1E,1G~1M 遮断装置
2,2A~2C,2E,2I~2K 第1遮断部
20,20A~20C,20E,20I~20L 第1電路
3,3A~3C,3E,3I~3M 第2遮断部
30,30A~30C,30E,30I~30M 第2電路
31,31A~31E,31I~31M 溶断部
311,311A,311C~311E,311L 第1溶断部
312,312A,312C~312E,312L 第2溶断部
32,32A~32E,32I~32M 導電保持部
4 第1導電部材
420 差込孔
44 溝(第1位置、第2位置)
5 第2導電部材
51 本体部
52 鍔部
55C~55E 対向部
7 ガス発生器
9,9A~9C,9E,9G~9M 筐体
100,100H~100M 第3遮断部
130 第3電路
200 第4遮断部
900 遮断構造
901 絶縁壁