(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】ボンディング装置とこれを用いたチップ部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
(21)【出願番号】P 2020153122
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】浜平 大
(72)【発明者】
【氏名】向島 仁
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201006(JP,A)
【文献】特開2016-092093(JP,A)
【文献】特開2002-329735(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/52
H01L21/58 -21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボンディングツールがチップを保持し、前記チップと対向するように基板が載置されるステージに向かって前記ボンディングツールを下降させて前記チップを前記基板のボンディング位置に接合するボンディング装置であって、
前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間に位置した際に、前記チップの像を前記チップに対向する第1の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第1の出射口から上方に出射させるとともに、前記ボンディング位置の像を前記ボンディング位置と対向する第2の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第2の出射口から上方に出射させる可動導光体と、
前記第1の出射口から出射された前記チップの像を撮像する第1の撮像手段と、
前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像を撮像する第2の撮像手段と、
前記第1の撮像手段によって撮像された前記チップの像と前記第2の撮像手段によって撮像された前記ボンディング位置の像とに基づいて、前記チップと前記ボンディング位置の相対的な位置ずれを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールと前記ステージとを相対的に移動させるアライメント手段と、
前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間の空間に前記可動導光体を進退させる移動手段と、を有し、
前記可動導光体は、
前記第1の入射口から入射した前記チップの像を第1の方向に反射するとともに、前記第2の入射口から入射した前記ボンディング位置の像を第2の方向に反射する反射体と、
前記第1の出射口の真下に配置され、入射した前記チップの像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第1の最終反射面と、
前記第2の出射口の真下に配置され、入射した前記ボンディング位置の像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第2の最終反射面と、を少なくとも含む、
ボンディング装置。
【請求項2】
前記可動導光体は、
前記第1の方向に反射された前記チップの像を前記第1の最終反射面に導く第1の中継反射面と、
前記第2の方向に反射された前記ボンディング位置の像を前記第2の最終反射面に導く第2の中継反射面と、をさらに含む、
請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項3】
前記チップの像を前記第1の最終反射面に直接導く前記第1の中継反射面から前記第1の最終反射面への前記チップの像の光路の方向と、前記ボンディング位置の像を前記第2の最終反射面に直接導く前記第2の中継反射面から前記第2の最終反射面への前記ボンディング位置の像の光路の方向と、が略同一である、
請求項2に記載のボンディング装置。
【請求項4】
前記第1の最終反射面への前記チップの像の光路の方向と、前記第2の最終反射面への前記ボンディング位置の像の光路の方向とは、前記可動導光体の移動の方向と略平行である、
請求項3に記載のボンディング装置。
【請求項5】
前記第1の方向と前記第2の方向とは、互いに逆向きである、
請求項1~4のうちいずれか一項に記載のボンディング装置。
【請求項6】
前記第1の方向と前記第2の方向とは、水平方向である、
請求項1~5のうちいずれか一項に記載のボンディング装置。
【請求項7】
ボンディングツールがチップを保持し、前記チップと対向するように基板が載置されるステージに向かって前記ボンディングツールを下降させて前記チップを前記基板のボンディング位置に接合するボンディング装置であって、
前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間に位置した際に、前記チップの像を前記チップに対向する第1の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第1の出射口から上方に出射させるとともに、前記ボンディング位置の像を前記ボンディング位置と対向する第2の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第2の出射口から上方に出射させる可動導光体と、
前記第1の出射口から出射された前記チップの像の一部である第1の部分像を撮像する第1の撮像手段と、
前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像の前記第1の部分像に対応する一部である第2の部分像を撮像する第2の撮像手段と、
前記第1の出射口から出射された前記チップの像の前記第1の部分像とは異なる一部である第3の部分像を撮像する第3の撮像手段と、
前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像の前記第3の部分像に対応する一部である第4の部分像を撮像する第4の撮像手段と、
前記第1の撮像手段によって撮像された前記第1の部分像と前記第2の撮像手段によって撮像された前記第2の部分像と前記第3の撮像手段によって撮像された前記第3の部分像と前記第4の撮像手段によって撮像された前記第4の部分像とに基づいて、前記チップと前記ボンディング位置の相対的な位置ずれを検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールと前記ステージとを相対的に移動させるアライメント手段と、
前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間の空間に前記可動導光体を進退させる移動手段と、を有し、
前記可動導光体は、
前記第1の入射口から入射した前記チップの像を第1の方向に反射するとともに、前記第2の入射口から入射した前記ボンディング位置の像を第2の方向に反射する反射体と、
前記第1の出射口の真下に配置され、入射した前記チップの像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第1の最終反射面と、
前記第2の出射口の真下に配置され、入射した前記ボンディング位置の像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第2の最終反射面と、を少なくとも含む、
ボンディング装置。
【請求項8】
前記可動導光体は、
前記第1の方向に反射された前記チップの像を前記第1の最終反射面に導く第1の中継反射面と、前記第2の方向に反射された前記ボンディング位置の像を前記第2の最終反射面に導く第2の中継反射面と、をさらに含む、
請求項7に記載のボンディング装置。
【請求項9】
前記チップの像を前記第1の最終反射面に直接導く前記第1の中継反射面から前記第1の最終反射面への前記チップの像の光路の方向と、前記ボンディング位置の像を前記第2の最終反射面に直接導く前記第2の中継反射面から前記第2の最終反射面への前記ボンディング位置の像の光路の方向と、が略同一である、
請求項8に記載のボンディング装置。
【請求項10】
前記第1の最終反射面への前記チップの像の光路の方向と、前記第2の最終反射面への前記ボンディング位置の像の光路の方向とは、前記可動導光体の移動の方向と略平行である、
請求項9に記載のボンディング装置。
【請求項11】
前記第1の方向と前記第2の方向とは、互いに逆向きである、
請求項7~10のうちいずれか一項に記載のボンディング装置。
【請求項12】
前記第1の方向と前記第2の方向とは、水平方向である、
請求項7~11のうちいずれか一項に記載のボンディング装置。
【請求項13】
ボンディングツールによって基板のボンディング位置の上方で保持されたチップと前記基板との間に位置した際に、前記チップの像を前記チップに対向する第1の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第1の出射口から上方に出射させるとともに、前記ボンディング位置の像を前記ボンディング位置と対向する第2の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第2の出射口から上方に出射させる可動導光体を用い、前記チップと対向するよう基板が載置されるステージに向かって前記ボンディングツールを下降させて、前記チップを前記基板のボンディング位置に接合するボンディング方法であって、
前記第1の出射口から出射された前記チップの像を撮像する第1の撮像工程と、
前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像を撮像する第2の撮像工程と、
前記第1の撮像工程によって撮像された前記チップの像と前記第2の撮像工程によって撮像された前記ボンディング位置の像とに基づいて、前記チップと前記ボンディング位置の相対的な位置ずれを検出する検出工程と、
前記検出工程によって検出された前記位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールと前記ステージとを相対的に移動させるアライメント工程と、
前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間の空間に前記可動導光体を進退させる移動工程と、を含み、
前記可動導光体は、
前記第1の入射口から入射した前記チップの像を第1の方向に反射するとともに、前記第2の入射口から入射した前記ボンディング位置の像を第2の方向に反射する反射体と、
前記第1の出射口の真下に配置され、入射した前記チップの像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第1の最終反射面と、
前記第2の出射口の真下に配置され、入射した前記ボンディング位置の像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第2の最終反射面と、を少なくとも含む、
ボンディング方法。
【請求項14】
ボンディングツールによって基板のボンディング位置の上方で保持されたチップと前記基板との間に位置した際に、前記チップの像を前記チップに対向する第1の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第1の出射口から上方に出射させるとともに、前記ボンディング位置の像を前記ボンディング位置と対向する第2の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第2の出射口から上方に出射させる可動導光体を用い、前記チップと対向するよう基板が載置されるステージに向かって前記ボンディングツールを下降させて、前記チップを前記基板のボンディング位置に接合するボンディング方法であって、
前記第1の出射口から出射された前記チップの像の一部である第1の部分像を撮像する第1の撮像工程と、
前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像の前記第1の部分像に対応する一部である第2の部分像を撮像する第2の撮像工程と、
前記第1の出射口から出射された前記チップの像の前記第1の部分像とは異なる一部である第3の部分像を撮像する第3の撮像工程と、
前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像の前記第3の部分像に対応する一部である第4の部分像を撮像する第4の撮像工程と、
前記第1の撮像工程によって撮像された前記第1の部分像と前記第2の撮像工程によって撮像された前記第2の部分像と前記第3の撮像工程によって撮像された前記第3の部分像と前記第4の撮像工程によって撮像された前記第4の部分像とに基づいて、前記チップと前記ボンディング位置の相対的な位置ずれを検出する検出工程と、
前記検出工程によって検出された前記位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールと前記ステージとを相対的に移動させるアライメント工程と、
前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間の空間に前記可動導光体を進退させる移動工程と、を含み、
前記可動導光体は、
前記第1の入射口から入射した前記チップの像を第1の方向に反射するとともに、前記第2の入射口から入射した前記ボンディング位置の像を第2の方向に反射する反射体と、
前記第1の出射口の真下に配置され、入射した前記チップの像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第1の最終反射面と、
前記第2の出射口の真下に配置され、入射した前記ボンディング位置の像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第2の最終反射面と、を少なくとも含む、
ボンディング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボンディング装置とこれを用いたチップ部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造過程では、半導体チップ(以下、単に「チップ」と略記する)を超音波接合等によって基板に接合するボンディング工程が実行される。ボンディング工程には高い位置精度が求められるため、ボンディング工程時の位置誤差を画像認識によって補正することが行われる。例えば特許文献1のボンディング装置は、チップと基板の実装位置決めマークとを、実装直前に撮像して認識する認識システムを備えている。このボンディング装置は、高い位置精度を確保しながら高生産性を実現するために、チップと基板との間に進出した際に、チップの像、ボンディング位置の像をそれぞれ第1の入射口、第2の入射口から入射させ、第1の出射口、第2の出射口から上方に出射させる機能を有する可動プリズムと、出射されたチップの像、ボンディング位置の像を、2回反射ミラーとして機能する4つのプリズムを備えた固定光学ユニットを介して4つの撮像部によって撮像する撮像ユニットとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構成では、反射する光路によっては、可動プリズムが移動する時の停止精度以上にチップの位置の認識位置がずれてしまうという課題があった。
【0005】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、プリズムの停止精度が悪化してもボンディング対象となる部品の認識位置の誤差を低減し、高精度で短時間に部品を実装するボンディング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、ボンディングツールがチップを保持し、前記チップと対向するように基板が載置されるステージの方向に前記ボンディングツールを下降させて前記チップを前記基板のボンディング位置に接合するボンディング装置であって、前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間に位置した際に、前記チップの像を前記チップに対向する第1の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第1の出射口から上方に出射させるとともに、前記基板の前記ボンディング位置の像を前記ボンディング位置と対向する第2の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第2の出射口から上方に出射させる可動導光体と、前記第1の出射口から出射された前記チップの像を撮像する第1の撮像手段と、前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像を撮像する第2の撮像手段と、前記第1の撮像手段によって撮像された前記チップの像と前記第2の撮像手段によって撮像された前記ボンディング位置の像に基づいて、前記チップと前記ボンディング位置の相対的な位置ずれを検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールと前記ステージとを相対的に移動させるアライメント手段と、前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間の空間に前記可動導光体を進退させる移動手段と、を有し、前記可動導光体は、前記第1の入射口から入射した前記チップの像を第1の方向に反射するとともに、前記第2の入射口から入射した前記ボンディング位置の像を第2の方向に反射する反射体と、前記第1の出射口の真下に配置され入射した前記チップの像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第1の最終反射面と、前記第2の出射口の真下に配置され入射した前記ボンディング位置の像を真上に反射し、前記反射体の反射面と略平行の傾きを有する第2の最終反射面と、を少なくとも含む、ボンディング装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、ボンディングツールがチップを保持し、前記チップと対向するように基板が載置されるステージの方向に前記ボンディングツールを下降させて前記チップを前記基板のボンディング位置に接合するボンディング装置において、前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間に位置した際に、前記チップの像を前記チップに対向する第1の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第1の出射口から上方に出射させるとともに、前記基板の前記ボンディング位置の像を前記ボンディング位置と対向する第2の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第2の出射口から上方に出射させる可動導光体と、前記第1の出射口から出射された前記チップの像の一部である第1の部分像を撮像する第1の撮像手段と、前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像の前記第1の部分像に対応する一部である第2の部分像を撮像する第2の撮像手段と、前記第1の出射口から出射された前記チップの像の前記第1の部分像とは異なる一部である第3の部分像を撮像する第3の撮像手段と、前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像の前記第3の部分像に対応する一部である第4の部分像を撮像する第4の撮像手段と、前記第1の撮像手段によって撮像された前記第1の部分像と前記第2の撮像手段によって撮像された前記第2の部分像と前記第3の撮像手段によって撮像された前記第3の部分像と前記第4の撮像手段によって撮像された前記第4の部分像に基づいて、前記チップと前記ボンディング位置の相対的な位置ずれを検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールと前記ステージとを相対的に移動させるアライメント手段と、前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間の空間に前記可動導光体を進退させる移動手段と、を有し、前記可動導光体は、前記第1の入射口から入射した前記チップの像を第1の方向に反射するとともに、前記第2の入射口から入射した前記ボンディング位置の像を第2の方向に反射する反射体と、前記第1の出射口の真下に配置され入射した前記チップの像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第1の最終反射面と、前記第2の出射口の真下に配置され入射した前記ボンディング位置の像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第2の最終反射面と、を少なくとも含む、ボンディング装置を提供する。
【0008】
また、本開示は、ボンディングツールによって基板のボンディング位置の上方で保持されたチップと前記基板との間に位置した際に、前記チップの像を前記チップに対向する第1の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第1の出射口から上方に出射させるとともに、前記ボンディング位置の像を前記ボンディング位置と対向する第2の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第2の出射口から上方に出射させる可動導光体を用い、前記チップと対向するよう基板が載置されるステージに向かって前記ボンディングツールを下降させて、前記チップを前記基板のボンディング位置に接合するボンディング方法であって、前記第1の出射口から出射された前記チップの像を撮像する第1の撮像工程と、前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像を撮像する第2の撮像工程と、前記第1の撮像手段によって撮像された前記チップの像と前記第2の撮像手段によって撮像された前記ボンディング位置の像とに基づいて、前記チップと前記ボンディング位置の相対的な位置ずれを検出する検出工程と、前記検出手段によって検出された前記位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールと前記ステージとを相対的に移動させるアライメント工程と、前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間の空間に前記可動導光体を進退させる移動工程と、を含み、前記可動導光体は、前記第1の入射口から入射した前記チップの像を第1の方向に反射するとともに、前記第2の入射口から入射した前記ボンディング位置の像を第2の方向に反射する反射体と、前記第1の出射口の真下に配置され、入射した前記チップの像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第1の最終反射面と、前記第2の出射口の真下に配置され、入射した前記ボンディング位置の像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第2の最終反射面と、を少なくとも含む、ボンディング方法を提供する。
【0009】
また、本開示は、ボンディングツールによって基板のボンディング位置の上方で保持されたチップと前記基板との間に位置した際に、前記チップの像を前記チップに対向する第1の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第1の出射口から上方に出射させるとともに、前記ボンディング位置の像を前記ボンディング位置と対向する第2の入射口から入射させ前記第1の入射口から水平方向に離間した第2の出射口から上方に出射させる可動導光体を用い、前記チップと対向するよう基板が載置されるステージに向かって前記ボンディングツールを下降させて、前記チップを前記基板のボンディング位置に接合するボンディング方法であって、前記第1の出射口から出射された前記チップの像の一部である第1の部分像を撮像する第1の撮像工程と、前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像の前記第1の部分像に対応する一部である第2の部分像を撮像する第2の撮像工程と、前記第1の出射口から出射された前記チップの像の前記第1の部分像とは異なる一部である第3の部分像を撮像する第3の撮像工程と、前記第2の出射口から出射された前記ボンディング位置の像の前記第3の部分像に対応する一部である第4の部分像を撮像する第4の撮像工程と、前記第1の撮像手段によって撮像された前記第1の部分像と前記第2の撮像手段によって撮像された前記第2の部分像と前記第3の撮像手段によって撮像された前記第3の部分像と前記第4の撮像手段によって撮像された前記第4の部分像とに基づいて、前記チップと前記ボンディング位置の相対的な位置ずれを検出する検出工程と、前記検出手段によって検出された前記位置ずれに基づいて、前記ボンディングツールと前記ステージとを相対的に移動させるアライメント工程と、前記ボンディング位置の上方に位置する前記チップと前記基板との間の空間に前記可動導光体を進退させる移動工程と、を含み、前記可動導光体は、前記第1の入射口から入射した前記チップの像を第1の方向に反射するとともに、前記第2の入射口から入射した前記ボンディング位置の像を第2の方向に反射する反射体と、前記第1の出射口の真下に配置され、入射した前記チップの像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第1の最終反射面と、前記第2の出射口の真下に配置され、入射した前記ボンディング位置の像を真上に反射し、前記反射体と略平行の傾きを有する第2の最終反射面と、を少なくとも含む、ボンディング方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、プリズムの停止精度が悪化してもボンディング対象となる部品の認識位置の誤差を低減でき、高精度で短時間に部品を実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に係るボンディング装置の斜視図
【
図2】実施の形態1に係るボンディング装置の側面図
【
図3】実施の形態1に係るボンディング装置の正面図
【
図4】実施の形態1に係るボンディング装置に装備された撮像ユニットの下面図
【
図5】実施の形態1に係るボンディング装置に装備された撮像ユニットの断面図
【
図6】(a),(b)実施の形態1に係るボンディング装置の動作説明図
【
図7】実施の形態1に係るボンディング装置における可動導光体の構成を示す斜視図
【
図8】実施の形態1に係るボンディング装置によるチップおよびボンディング位置の撮像に用いられる撮像部および取得される撮像視野の説明図
【
図9】実施の形態1に係るボンディング装置によるチップおよびボンディング位置の撮像における画像取得経路の説明図
【
図10】実施の形態1に係るボンディング装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図11】比較例に係るボンディング装置における可動導光体の構成を示す斜視図
【
図12】(a),(b)比較例に係る可動導光体に位置ずれが発生したときの視認位置を示す作用説明図
【
図13】実施の形態1に係る可動プリズムに位置ずれが発生したときの視認位置を示す作用説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るボンディング装置およびボンディング方法を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。なお、ボンディング方法は、ボンディング装置を用いたチップ部品の製造方法である。
【0013】
先ず
図1、
図2、
図3を参照して、半導体チップ等のチップを基板のボンディング位置に接合するボンディング装置1の構成を説明する。
図1は、実施の形態1に係るボンディング装置1の斜視図である。
図2は、実施の形態1に係るボンディング装置1の側面図である。
図3は、実施の形態1に係るボンディング装置1の正面図である。
【0014】
なお、方向を示す矢印が記された図において、X軸はボンディング装置の右左方向、Y軸はボンディング装置の前後方向、Z軸はボンディング装置の上下方向を示す。X軸およびY軸は直交して水平面に含まれる。Z軸は鉛直面に含まれる。また、いずれか2つの軸の直交点に記される中黒円は矢線先端の正面を示し、中バツ円は矢線後端の背面を示す。
図1において、ボンディング装置1は、チップ供給部2、基板保持部3、ボンディング機構4およびこれらの各部を制御する制御部5を備えている。
【0015】
チップ供給部2は、ボンディング対象の部品であるチップを供給する機能を有する。
図2に示すように、チップ供給部2は、第1のXYテーブル10の上面に配置された供給ステージ11を備えている。供給ステージ11の上面にはウェハシート13が展張状態で保持されており、ウェハシート13の上面には個片に分割された状態のチップ14が、バンプが形成された能動面を上向きにした姿勢で貼着されている。第1のXYテーブル10の駆動により、供給ステージ11は、X方向、Y方向に移動し、取出対象の任意のチップ14を取出し位置[P1]に位置させることができる。
【0016】
図1に示すように、ピックアップヘッド駆動部16から延出したアーム部の先端にはピックアップヘッド15が結合されている。ピックアップヘッド駆動部16の駆動により、ピックアップヘッド15は、供給ステージ11の上方のチップ14の取出し位置[P1]とボンディング機構4への受渡位置ピックアップ位置[P2]との間で移動する。チップ14のピックアップにおいては、ウェハシート13の下面側に配置されたエジェクタ12の作動により、ピックアップ対象のチップ14がウェハシート13から剥離される。剥離されたチップ14は、ピックアップヘッド15によって能動面を上向きにした姿勢で保持される。
【0017】
取出し位置[P1]にてチップ14を保持したピックアップヘッド15は上昇して、ボンディング機構4のボンディングヘッド26によるピックアップ位置[P2]まで移動する(矢印c参照)。この移動途中でのピックアップヘッド15の上下反転(矢印d参照)により、ピックアップヘッド15は、ピックアップ位置[P2]にてチップ14を能動面を下向きにした姿勢で保持した状態となる。ピックアップヘッド15およびピックアップヘッド駆動部16は、取出し位置[P1]にてチップ供給部2から取り出したチップ14を光学ヘッド30によるピックアップ位置[P2]に移送するチップ移送部17を構成する。
【0018】
基板保持部3の構成を説明する。
図1および
図2に示すように、第2のXYテーブル20の上面には、ボンディング対象の基板22を保持した基板保持ステージ21が配置されている。第2のXYテーブル20の駆動により、基板保持ステージ21は、X方向、Y方向に移動する。これにより、基板22に設定されたボンディング位置22a(
図6参照)を作業位置[P3]に位置させることができる。このようにして作業位置[P3]に位置合わせされたボンディング位置22aに、ボンディング機構4のボンディングツール29(後述参照)によってチップ14がボンディングされる。
【0019】
ボンディング機構4の構成を説明する。
図1および
図2に示すように、チップ供給部2および基板保持部3の上方には、Y軸フレーム23がY方向に水平に配置されている。Y軸フレーム23には2列のガイドレール25を備えたリニアモータ24が側面に沿って配置されている。ガイドレール25は基板保持ステージ21の上方で水平に延びている。ガイドレール25には、スライダ25a(
図3参照)を介して第1の移動ベース26aがガイドレール25に沿って移動可能に装着されている。ガイドレール25には、第1の移動ベース26aとは独立してガイドレール25に沿って移動可能な第2の移動ベース30aが装着されている。
【0020】
第1の移動ベース26aにはボンディングヘッド26が装着されている。ボンディングヘッド26は、ボンディングツール駆動部27により駆動されるボンディングツール保持部28によって、ボンディングツール29を保持した構成となっている。ボンディングツール29によるチップ14の保持状態でのボンディングツール駆動部27の駆動により、ボンディングツール29は、下降し、保持したチップ14を基板22のボンディング位置22aに接合する(
図6参照)。すなわち実施の形態1に係るボンディング装置1では、ボンディングツール29がチップ14を保持し、チップ14と対向するように基板22が載置された基板保持ステージ21の方向にボンディングツール29を下降させて、チップ14を基板22のボンディング位置22aに接合する。
【0021】
第2の移動ベース30aには、光源ボックス31が装着されている。
図2に示すように、光源ボックス31の下部から下方に延出したアーム部31aには、可動導光体である可動プリズム32a(
図7参照)を内蔵した可動光学ユニット32が結合されている。ここでアーム部31aはボンディングヘッド26側へ屈曲して設けられており、可動プリズム32aは、光学ヘッド30の中心に対してボンディングヘッド26側にオフセットした形態となっている。
【0022】
リニアモータ24の駆動により、第1の移動ベース26aおよび第2の移動ベース30aは、ガイドレール25に沿って移動し、これによりボンディングヘッド26および光学ヘッド30はY方向に移動する。したがって、リニアモータ24およびガイドレール25は、ボンディングヘッド26および光学ヘッド30を移動させる移動手段となっている。
【0023】
すなわち、この移動手段は、ボンディングヘッド26をボンディングツール29がチップ14をピックアップするピックアップ位置[P2]とチップ14のボンディングを行う作業位置[P3]との間を移動させ、可動プリズム32aを内蔵した可動光学ユニット32を作業位置[P3]に出し入れさせるために光学ヘッド30を移動させる。
【0024】
そして光学ヘッド30の移動により、ボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22との間の空間に、可動光学ユニット32に内蔵された可動導光体である可動プリズム32aを進退させる機能を有している。このように、ボンディングヘッド26および光学ヘッド30を同一の移動手段によって動作させる構成とすることにより、ボンディング装置の機構を簡素化して設備コストを低減することが可能となっている。
【0025】
図3に示すように、Y軸フレーム23およびリニアモータ24の下面には、
図4に示す撮像ユニット34が、撮像部移動手段である撮像部移動機構35のベース部35aを介してX方向、Y方向に移動自在に装着されている。撮像ユニット34は、カメラを個別に備えた4つの撮像部を有している。
【0026】
さらにリニアモータ24の下面には、
図8,
図9に示す上左プリズム45(第1の導光体の一例)、上右プリズム46(第3の導光体の一例)、下左プリズム47(第2の導光体の一例)、下右プリズム48(第4の導光体の一例)を内蔵した固定光学ユニット33が配置されている。可動光学ユニット32は、チップ14と基板22との間で進退する。実施の形態1においては、撮像ユニット34を、固定光学ユニット33および可動光学ユニット32を組み合わせることにより、チップ14と基板22とを撮像ユニット34によって撮像するようにしている。
【0027】
図2,
図3に示すように、Y軸フレーム23の上部には、作業位置[P3]を両側から挟む配置で1対のスポット照明36が配置されている。スポット照明36は、Y軸フレーム23から延出した保持ブラケット36aの先端部に保持されて、照射方向を作業位置[P3]に位置する可動光学ユニット32に向けた姿勢で配置されている。スポット照明36から照射された照明光は、可動光学ユニット32内の可動プリズム32aに入射し、基板22のボンディング位置22aに照射される(
図13参照)。すなわちスポット照明36は、上方から基板22に照明用の光を照射する照明手段となっている。
【0028】
次に
図4,
図5を参照して、撮像ユニット34および撮像ユニット34を移動させる撮像部移動機構35の構造を説明する。
図4は、実施の形態1に係るボンディング装置1に装備された撮像ユニット34の下面図である。
図5は、実施の形態1に係るボンディング装置1に装備された撮像ユニット34の断面図である。
【0029】
図4は
図3に示す撮像ユニット34の下面を示しており、
図5は
図4におけるA-A断面を示している。
図4に示すベース部35aは矩形状のベースプレートであり、Y軸フレーム23、リニアモータ24の下面に装着される(
図3参照)。すなわち実施の形態1においては、撮像ユニット34を構成する第1の撮像手段、第2の撮像手段(
図8参照)を、ボンディングヘッド26および光学ヘッド30を移動させる移動手段であるリニアモータ24またはこの移動手段を支持するY軸フレーム23の下面に装着する構成となっている。
【0030】
撮像部移動機構35の構成を説明する。ベース部35aのY方向の両端部にX方向に配列された1対のガイドレール37には、略矩形状のX方向移動テーブル35Xに固定されたスライダ37aがスライド自在に嵌着されている。X方向移動テーブル35XのY方向の一方側の端部に設けられた延出部には、X軸ナット部材39Xが配置されている。X軸ナット部材39Xには、撮像ユニットX軸モータ34Xによって回転駆動される送りねじ39Xaが螺合している。撮像ユニットX軸モータ34Xを正逆駆動することにより、X方向移動テーブル35XはX方向に往復移動する。撮像ユニットX軸モータ34X、X軸ナット部材39Xおよび送りねじ39Xaは、撮像部移動機構35に含まれる第1の移動機構を構成する。
【0031】
X方向移動テーブル35Xに配置された1対のガイドレール38には、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2に固定された複数のスライダ38aがスライド自在に嵌着されている。第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2のそれぞれにおいて、X方向の一方側の端部に設けられた延出部には、それぞれ第1Y軸ナット部材39Y1、第2Y軸ナット部材39Y2が配置されている。第1Y軸ナット部材39Y1、第2Y軸ナット部材39Y2には、撮像ユニットY軸モータ34Yによって回転駆動される送りねじ39Yaが螺合している。
【0032】
ここで送りねじ39Yaに形成された送り溝は、第1Y軸ナット部材39Y1に螺合する範囲と第2Y軸ナット部材39Y2に螺合する範囲とで、リード角が逆になっている。撮像ユニットY軸モータ34Yを正逆駆動することにより、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2は、Y方向に相互に接近または離隔する方向に移動する。撮像ユニットY軸モータ34Y、第1Y軸ナット部材39Y1、第2Y軸ナット部材39Y2、送りねじ39Yaは、撮像部移動機構35に含まれる第2の移動機構を構成する。
【0033】
上記構成において、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2は、X方向移動テーブル35Xに固定して配置されていることから、上述の第1の移動機構を駆動することにより、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2は同一方向に同一距離移動する。また上述の第2の移動機構を駆動することにより、第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2を、反対方向に同一距離移動させることができる。
【0034】
第1Y方向移動テーブル35Y1、第2Y方向移動テーブル35Y2には、それぞれ撮像ユニット34を構成する上左撮像部41(第1の撮像部の一例)、上右撮像部43(第3の撮像部の一例)および下左撮像部42(第2の撮像部の一例)、下右撮像部44(第4の撮像部の一例)がX方向に配列されている。
【0035】
ここで、撮像ユニット34を構成する撮像部の構成について説明する。これらの撮像部は、円筒形状の鏡筒部の両端部に入射部およびカメラを装着し、入射部およびカメラの中間に位置する鏡筒部の側面に同軸照明を配置した構成となっている。この構成において、入射部に垂直方向に入射した撮像対象の像は鏡筒部内を水平方向に透過してカメラに入射し、これにより撮像対象の画像が取得される。このとき、同軸照明による照明光がハーフミラーによって撮像光軸に沿って撮像対象に向う方向に照射され、同軸方向から撮像対象に入射する。
【0036】
具体的には、第1の撮像部である上左撮像部41は、上左鏡筒部41a、上左同軸照明41b、第1のカメラである上左カメラ41cおよび上左入射部41dを有している。第3の撮像部である上右撮像部43は、上右鏡筒部43a、上右同軸照明43b、第3のカメラである上右カメラ43cおよび上右入射部43dを有している。同様に、第2の撮像部である下左撮像部42は、下左鏡筒部42a、下左同軸照明42b、第2のカメラである下左カメラ42cおよび下左入射部42dを有している。第4の撮像部である下右撮像部44は、下右鏡筒部44a、下右同軸照明44b、第4のカメラである下右カメラ44cおよび下右入射部44dを有している。
【0037】
図5における上左撮像部41、上右撮像部43の例に示すように、上左鏡筒部41a、上右鏡筒部43aは、第1Y方向移動テーブル35Y1の下面に結合された保持ブラケット41e、43eによって保持されている。上左入射部41d、上右入射部43dの上方には、ベース部35aに固定された固定光学ユニット33が位置している。固定光学ユニット33は、収納部33aの内部に上左プリズム45、上右プリズム46、下左プリズム47、下右プリズム48を内蔵した構成となっている。上左プリズム45、上右プリズム46、下左プリズム47、下右プリズム48は、入射縁部45a,46a,47a,48aから入射した像を内部で反射して出射縁部45b,46b,47b,48bから下方へ出射させる機能を有している(
図8参照)。
【0038】
固定光学ユニット33は、以下に説明する可動光学ユニット32によって取り込まれたチップ14およびボンディング位置22aの上下2視野画像を、左右2つのチップ画像、左右2つのボンディング位置画像に区分して前述の4つの撮像部に伝達する。すなわち上左入射部41d、下左入射部42d、上右入射部43d、下右入射部44dが、それぞれ
図8に示す出射縁部45b,47b,46b,48bの下方に位置するように、上左撮像部41,下左撮像部42,上右撮像部43,下右撮像部44が位置合わせされる。この位置合わせは、前述の撮像部移動機構35の機能を用いて行われる。
【0039】
すなわち、撮像部移動手段である撮像部移動機構35は、上左撮像部41(第1の撮像部の一例)と下左撮像部42(第2の撮像部の一例)と上右撮像部43(第3の撮像部の一例)と下右撮像部44(第4の撮像部の一例)とを、上左プリズム45(第1の導光体の一例)と下左プリズム47(第2の導光体の一例)と上右プリズム46(第3の導光体の一例)と下右プリズム48(第4の導光体の一例)に対して相対的に移動させる。これにより、上左入射部41d,下左入射部42d,上右入射部43d,下右入射部44dは、出射縁部45b,47b,46b,48bに位置合わせされる。
【0040】
図6(a)および(b)は、実施の形態1に係るボンディング装置1の動作説明図である。つまり、
図6(a)および(b)は、ボンディング装置1において実行されるボンディング作業における上下2方向認識およびそれに引き続いて実行されるボンディング動作を示している。すなわちボンディング動作の実行に先立って、
図6(a)に示すように、チップ14を保持したボンディングツール29をボンディング位置22aの上方に位置させ、ボンディング位置22aとチップ14との間に可動光学ユニット32を進出させる。
【0041】
ここで、可動光学ユニット32は、光学ヘッド30の中心に対してボンディングヘッド26側にオフセットした形態となっていることから、光学ヘッド30とボンディングヘッド26との干渉を生じること無く、ボンディング位置22aとチップ14との間に可動光学ユニット32を位置させることが可能となっている。撮像ユニット34によるチップ14およびボンディング位置22aの撮像および位置認識はこの状態で行われる。可動光学ユニット32に入射したチップ14およびボンディング位置22aの象は、上方に固定された固定光学ユニット33を介して撮像ユニット34に入射する(
図8参照)。
【0042】
1つのチップ14を対象とした撮像および位置認識が終えると、
図6(b)に示すように、光学ヘッド30を退避方向(矢印e参照)に移動させる。これにより、可動光学ユニット32はボンディング位置22aとチップ14との間から退避し(矢印f参照)、ボンディング位置22aとチップ14との間の空間はフリーな状態となる。そしてこの状態で、ボンディングツール駆動部27を駆動してボンディングツール29を下降させる(矢印g参照)ことにより、ボンディングヘッド26はボンディングツール29に保持したチップ14を基板22のボンディング位置22aに接合する。
【0043】
このとき、上述の位置認識結果を反映させてチップ14のボンディング位置22aに対する位置合わせが行われる。この位置認識においては、チップ14の装着直前にチップ14とボンディング位置22aを同時に撮像してこれらの相対的な位置ずれを検出するようにしている。これにより、ボンディング装置1は、位置ずれ状態を高精度で検出することが可能となり、高精度のボンディング結果を確保することができる。
【0044】
次に
図7を参照して、可動光学ユニット32に内蔵された可動プリズム32aの構成および機能を説明する。
図7は、実施の形態1に係るボンディング装置における可動導光体の構成を示す斜視図である。なお、
図7中の撮像経路に重ねて記した実線矢印は、視認方向を示し、終端の矢印はチップ14の視認位置を示す。また、撮像経路に重ねて記した破線矢印は、視認方向を示し、終端の矢印は基板22の視認位置を示す。上述のように可動光学ユニット32はチップ14と基板22との間に進退自在となっている。可動プリズム32aは、基板22のボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22の間に位置した際に、チップ14の像およびボンディング位置22aの像を、上方に位置する固定光学ユニット33に伝達する。
【0045】
図7において、可動プリズム32aは透光性部材よりなる多面反射プリズムであり、対をなす略菱形形状の第1のブロック体53(第1導光体の一例)および第2のブロック体54(第2導光体の一例)の鋭角側端部を、直方体形状の反射体50を介して結合したプリズム体を主体としている。反射体50は、直角三角柱形状の第1導光体51および第2導光体52の斜辺面を合わせて結合した構成となっており、結合面の上面および下面は光を反射する反射面(第1反射面71、第5反射面75)として機能する。第1のブロック体53、第2のブロック体54の左右端に設けられた斜辺面は、部材内部の光を反射する反射面(第2反射面72、第3反射面73、第6反射面76、第7反射面77)として機能する。
【0046】
第1導光体51の上面および第2導光体52の下面は、それぞれ撮像対象の像を入射させる第1の入射口61、第2の入射口62となっている。可動プリズム32aをチップ14と基板22との間に位置させる際には、反射体50がチップ14と基板22との間に位置するように位置合わせする。この状態では、第1の入射口61、第2の入射口62はそれぞれチップ14および基板22のボンディング位置22a(
図6参照)に対向する位置にある。
【0047】
第1のブロック体53および第2のブロック体54の右側の端部の外側面には、それぞれ直角三角柱形状の第5導光体55、第6導光体56が、一方の直角面を第1のブロック体53、第2のブロック体54の上面と面一にした姿勢で設けられている。第5導光体55、第6導光体56の斜辺面は、第1のブロック体53、第2のブロック体54側から入射する光を上方に反射する反射面(第4反射面74、第8反射面78)として機能する。そして第5導光体55、第6導光体56の上面は、反射された光を出射させる第1の出射口63、第2の出射口64となっている。ここでは、第1の出射口63、第2の出射口64は、第1の入射口61、第2の入射口62から水平方向に離間した位置に設けられている。
【0048】
チップ14とボンディング位置22aの撮像における可動プリズム32aの機能の詳細を説明する。可動プリズム32aがチップ14と基板22との間に位置した際には、チップ14の像をチップ14に対向する第1の入射口61から入射させるとともに、ボンディング位置22aの象をボンディング位置22aと対向する第2の入射口62から入射させる。
【0049】
次に、第1の入射口61から入射したチップ14の像を、反射体50の第1反射面71によって第1の水平方向(例えば矢印h1参照)に反射する。これとともに、第2の入射口62から入射したボンディング位置22aの像を、反射体50の第5反射面75によって第1の水平方向とは反対の第2の水平方向(例えば矢印h2参照)に反射する(
図9参照)。
【0050】
つまり、ボンディング装置1において、第1の水平方向(例えば矢印h1参照)と第2の水平方向(例えば矢印h2参照)とは、互いに逆向きであり、かつ水平方向となる。
【0051】
次に、第1の水平方向に反射されたチップ14の像を、複数のチップ像反射面(第2反射面72、第3反射面73および第4反射面74)によって順次反射して第1の出射口63に導く。これとともに、第2の水平方向に反射されたボンディング位置22aの像を、複数の基板像反射面(第6反射面76、第7反射面77および第8反射面78)によって順次反射して第2の出射口64に導く。
【0052】
第1のブロック体53に設けられた上述の複数のチップ像反射面は、第1の出射口63の真下に配置され、水平に入射したチップ14の像を真上に反射する第1の最終反射面(第4反射面74)と、第1反射面71によって水平方向に反射されたチップ14の像を第1の最終反射面に導く、少なくとも一つの第1の中継反射面(第2反射面72、第3反射面73)とを含む形態となっている。
【0053】
また第2のブロック体54に設けられた上述の基板像反射面は、第2の出射口64の真下に配置され、水平に入射したボンディング位置22aの像を真上に反射する第2の最終反射面(第8反射面78)と、第5反射面75によって水平方向に反射されたボンディング位置22aの像を第2の最終反射面に導く、少なくとも一つの第2の中継反射面(第6反射面76、第7反射面77)とを含む形態となっている。
【0054】
可動プリズム32aは、チップ14の像を第1の最終反射面(第4反射面74)に対して直接導く第1の中継反射面(第3反射面73)から第1の最終反射面に対するチップ14の像の第1の最終反射面への光路の方向と、ボンディング位置22aの像を第2の最終反射面(第8反射面78)に直接導く第2の中継反射面(第7反射面77)から第2の最終反射面に対するボンディング位置22aの像の第2の最終反射面への光路の方向と、が略同一となっている。
【0055】
そして、可動プリズム32aは、第1の最終反射面(第4反射面74)への光路の方向と第2の最終反射面(第8反射面78)への光路の方向が可動プリズム32aの移動の方向(Y軸に沿う方向)と略平行である。
【0056】
上記構成を有する可動プリズム32aにおいて、第1の最終反射面(第4反射面74)は、第1の出射口63の真下に配置され、入射したチップ14の像を真上に反射し、反射体50の第1反射面71と略平行の傾きを有する。また、第2の最終反射面(第8反射面78)は、第2の出射口64の真下に配置され、入射したボンディング位置22aの像を真上に反射し、反射体50の第5反射面75と略平行の傾きを有する。ここで、第1反射面71および第5反射面75は、平行である。つまり、可動プリズム32aは、第1の最終反射面(第4反射面74)と第2の最終反射面(第8反射面78)とが、略平行となる。
【0057】
そして、可動プリズム32aは、第1の最終反射面(第4反射面74)への光路の方向(例えば矢印h2)と第2の最終反射面(第8反射面78)への光路の方向(例えば矢印h2)が可動プリズム32aの移動の方向(例えば矢印h1、矢印h2)と略平行となっている。
【0058】
第1のブロック体53と第2のブロック体54とは、反射体50の中心を通過して第1の水平方向(例えば矢印h1)と第2の水平方向(例えば矢印h2)と水平面内で直交する直線(中心線CL)を基準に非線対称になっている。第1のブロック体53は、例えば平面視が台形となって2つ以上の辺部が反射平面を有する透明体で形成できる。第2のブロック体54は、例えば平面視で平行四辺形となって2つ以上の辺部が反射平面を有する透明体で形成できる。なお、略平行とは、真の平行を含むことに加え、アライメントにおいて支障のない程度の平行度の誤差は含む意である。
【0059】
上記の可動プリズム32aの機能を総括すると、可動プリズム32aは、ボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22との間に位置した際に、チップ14の像をチップ14に対向する第1の入射口61から入射させ第1の入射口61から水平方向に離間した第1の出射口63から上方に出射させる。これともに可動プリズム32aは、基板22のボンディング位置22aの像をボンディング位置22aと対向する第2の入射口62から入射させ第2の入射口62から水平方向に離間した第2の出射口64から上方に出射させる機能を有する。
【0060】
このように、ボンディングツール29に保持されたチップ14と基板22のボンディング位置22aとの間に進退させて上下2視野の認識を同時に行うために用いられる可動導光体として、本実施の形態に示すような構成の可動プリズム32aを用いることにより、以下に述べるような効果を得る。まず、可動プリズム32aは、第1のブロック体53、第2のブロック体54などのプリズムを組み合わせて構成されていることから、可動光学ユニット32の全体形状における厚み寸法を極力小さくできるとともに、重量の軽量化が可能となっている。
【0061】
したがって、
図6(a)に示す撮像動作において、チップ14を保持したボンディングツール29を待機させる待機高さを極力低く設定することが可能となっている。これにより、
図6(b)に示すボンディング動作において、ボンディングツール29が昇降するボンディング動作ストロークを小さくすることが可能となり、動作タクトタイムが短縮されている。加えて可動光学ユニット32を進退させる進退動作において、重量の軽量化が図られていることから高速動作が可能になり、動作タクトタイムの更なる短縮が実現される。
【0062】
なお、実施の形態1では、可動導光体として多面反射プリズムを用いた可動プリズム32aを用いる例を示しているが、可動プリズム32aには限定されない。すなわち、上述の機能を実現可能な構成であれば、ミラーなどの反射体やレンズなどの光学要素を組み込んで可動導光体を構成するようにしてもよい。
【0063】
また実施の形態1では、第1の入射口61、第2の入射口62から水平方向に離間した位置に、第1の出射口63、第2の出射口64を配置する構成を採用しているが、このような構成には限定されない。すなわち、第1の入射口61、第2の入射口62から取り込まれたチップ14の像、ボンディング位置22aの像を、上左撮像部41(第1の撮像部の一例)と下左撮像部42(第2の撮像部の一例)と上右撮像部43(第3の撮像部の一例)と下右撮像部44(第4の撮像部の一例)とに伝達可能なように、可動プリズム32aと固定光学ユニット33および撮像ユニット34との取合い部が設定されていればよい。
【0064】
次に、上述構成の可動プリズム32aと固定光学ユニット33との組み合わせを使用して、撮像ユニット34によってチップ14とボンディング位置22aを撮像する際の撮像視野および撮像経路について、
図8、
図9を参照して説明する。
図8において、可動プリズム32aの反射体50の上方に示す上左画像UL、上右画像URは、撮像対象となるチップ14の画像を示しており、反射体50の下方に示す下左画像DL、下右画像DRは、撮像対象となるボンディング位置22aの画像を示している。なお太線の破線にて示すC1~C11は、チップ14の像が撮像ユニット34に導かれる撮像の経路を示しており、また太線の一点鎖線にて示すB1~B11は、ボンディング位置22aの像が撮像ユニット34に導かれる撮像の経路を示している。
【0065】
ここで、上左画像ULは、チップ14の像の一部(左半分)である第1の部分像に該当し、上右画像URはチップ14の像の第1の部分像とは異なる一部(右半分)である第3の部分像に該当する。また下左画像DLは、ボンディング位置22aの像の第1の部分像に対応する一部(左半分)である第2の部分像に該当し、下右画像DRはボンディング位置22aの像の第3の部分像に対応する一部(右半分)である第4の部分像に該当する。ここで、「対応する」とは、これらの部分像を取得する際の撮像視野が上下に重なった状態であることを意味している。
【0066】
チップ14の上左画像UL、上右画像URは、反射体50の上面の第1の入射口61に入射し(経路C1)、第1のブロック体53内を導かれて第5導光体55の上面の第1の出射口63から上方へ出射する(経路C5)。ボンディング位置22aの下左画像DL、下右画像DRは、反射体50の下面の第2の入射口62に入射し(経路B1)、第2のブロック体54内を導かれて第6導光体56の上面の第2の出射口64から上方へ出射する(経路B5)。
【0067】
図8,
図9に示すように、第1のブロック体53内では、反射体50から入射したチップ14の像(経路C2)は、第2反射面72に入射してX方向に反射され(経路C3)、さらに第3反射面73に入射してY方向に反射される(経路C4)。次に第5導光体55の第4反射面74に入射して上方に反射され、第1の出射口63に至る。また第2のブロック体54内では、反射体50から入射したボンディング位置22aの像(経路B2)は第6反射面76に入射してX方向に反射され(経路B3)、さらに第7反射面77に入射してY方向に反射される(経路B4)。次いで第6導光体56の第8反射面78に入射して上方に反射され、第2の出射口64に至る。
【0068】
第5導光体55の上方には、上左プリズム45の入射縁部45a、上右プリズム46の入射縁部46aが位置しており、第6導光体56の上方には、下左プリズム47の入射縁部47a、下右プリズム48の入射縁部48aが位置している(
図8参照)。ここで上左プリズム45、上右プリズム46は、入射縁部45a、入射縁部46aが、第5導光体55の上面の第1の出射口63を左右方向に2つに区分した第1の左出射口63L、第1の右出射口63Rの上方にそれぞれ位置するように配置されている(
図7参照)。また下左プリズム47、下右プリズム48は、入射縁部47a、入射縁部48aが、第6導光体56の上面の第2の出射口64を左右方向に2つに区分した第2の左出射口64L、第2の右出射口64Rの上方にそれぞれ位置するように配置されている(
図7参照)。
【0069】
このような構成により、チップ14の像、ボンディング位置22aの像を左右2つに区分した4つの部分像のそれぞれを、撮像ユニット34を構成する4つの撮像部によって取り込むことができるようになっている。すなわち第1の出射口63から出射されたチップ14の像のうち、第1の左出射口63Lから出射される上左画像UL、第1の右出射口63Rから出射される上右画像URは、上左プリズム45の入射縁部45a、上右プリズム46の入射縁部46aにそれぞれ入射する(経路C6,C7)。
【0070】
そして上左プリズム45の入射縁部45a、上右プリズム46の入射縁部46aにそれぞれ入射した上左画像UL、上右画像URは、上左プリズム45、上右プリズム46内でそれぞれ出射縁部45b、出射縁部46b側に反射され(
図8に示す経路C8、C10参照)、ここで下方に反射されて上左撮像部41、上右撮像部43に入射する(経路C9、C11)。
【0071】
また第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像のうち、第2の左出射口64L(
図7参照)から出射される下左画像DL、第2の右出射口64R(
図7参照)から出射される下右画像DRは、下左プリズム47の入射縁部47a、下右プリズム48の入射縁部48aにそれぞれ入射する(経路B6,B7)。そして下左プリズム47の入射縁部47a、下右プリズム48の入射縁部48aにそれぞれ入射した下左画像DL、下右画像DRは、下左プリズム47、下右プリズム48内でそれぞれ出射縁部47b、出射縁部48b側に反射され(
図8に示す経路B8、B10参照)、ここで下方に反射されて下左撮像部42、下右撮像部44に入射する(経路B9、B11)。
【0072】
上記構成において、上左撮像部41は、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の一部である第1の部分像(上左画像UL)を撮像し、下左撮像部42は第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第1の部分像(上左画像UL)に対応する一部である第2の部分像(下左画像DL)を撮像する。また上右撮像部43は、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の第1の部分像(上左画像UL)とは異なる一部である第3の部分像(上右画像UR)を撮像し、下右撮像部44は、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第3の部分像(上右画像UR)に対応する一部である第4の部分像(下右画像DR)を撮像する。
【0073】
さらに詳細に述べると、ボンディング装置1が備えた固定光学ユニット33は、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の一部である第1の部分像(上左画像UL)を入射させ出射させる第1の導光体(上左プリズム45)と、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の一部である第2の部分像(下左画像DL)を入射させ出射させる第2の導光体(下左プリズム47)と、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の第1の部分像(上左画像UL)とは異なる一部である第3の部分像(上右画像UR)を入射させ出射させる第3の導光体(上右プリズム46)と、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第2の部分像(下左画像DL)とは異なる一部である第4の部分像(下右画像DR)を入射させ出射させる第4の導光体(下右プリズム48)とを備えている。
【0074】
そして上左撮像部41は第1の導光体(上左プリズム45)から出射された第1の部分像(上左画像UL)を撮像し、下左撮像部42は、第2の導光体(下左プリズム47)から出射された第2の部分像(下左画像DL)を撮像する。また上右撮像部43は、第3の導光体(上右プリズム46)から出射された第3の部分像(上右画像UR)を撮像し、下右撮像部44は、第4の導光体(下右プリズム48)から出射された第4の部分像(下右画像DR)を撮像する。
【0075】
上述構成の撮像ユニット34によるチップ14 とボンディング位置22aの撮像において、撮像対象のチップ14、ボンディング位置22aの形状、サイズ、認識点の位置などによって撮像視野の位置を調整する必要が生じる場合がある。このような場合には、撮像部移動機構35によって、上左撮像部41、下左撮像部42、上右撮像部43、下右撮像部44を、上左プリズム45、下左プリズム47、上右プリズム46、下右プリズム48に対して相対的に移動させることにより、各撮像部の撮像視野の位置を調整する。
【0076】
ここで、
図8に示すように、チップ14における上左撮像部41の視野(上左画像UL)とボンディング位置22aにおける下左撮像部42の視野(下左画像DL)は上下に重なった位置関係にある。また同様に、チップ14における上右撮像部43の視野(上右画像UR)とボンディング位置22aにおける下右撮像部44の視野(下右画像DR)は上下に重なった位置関係にある。
【0077】
前述のように、撮像部移動機構35の構成において、上左撮像部41と下左撮像部42と上右撮像部43と下右撮像部44とは、第1の移動機構によってX方向には同一方向に同一距離だけ移動する。そして第2の移動機構によって、上左撮像部41と上右撮像部43とを同一方向に同一距離移動させるとともに、下左撮像部42と下右撮像部44とを、上左撮像部41と上右撮像部43とは反対方向に同一距離だけ移動させることができるようになっている。
【0078】
上左撮像部41、上右撮像部43、下左撮像部42、下右撮像部44をこのような条件で移動させることにより、撮像部移動機構35は、上左撮像部41の視野と下左撮像部42の視野が重なった状態と上右撮像部43の視野と下右撮像部44の視野が重なった状態とを維持しながら、上左撮像部41と下左撮像部42と上右撮像部43と下右撮像部44とを移動させることができる。これにより、チップ14とボンディング位置22aの上下2つの撮像対象のそれぞれを区分した4つの部分像の位置関係を正しく維持した状態で、各撮像部の撮像視野の位置を調整することが可能となっている。
【0079】
上述のチップ14とボンディング位置22aの撮像に用いられる構成要素を、撮像対象毎に区分すると、上左プリズム45と上左撮像部41との第1の組み合わせ、または上右プリズム46と上右撮像部43との第3の組み合わせは、可動プリズム32aの第1の出射口63から出射されたチップ14の像を撮像する第1の撮像手段を構成する。また下左プリズム47と下左撮像部42との第2の組み合わせ、または下右プリズム48と下右撮像部44との第4の組み合わせは、可動プリズム32aの第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像を撮像する第2の撮像手段を構成する。
【0080】
なお、第1の撮像手段、第2の撮像手段において、それぞれの2つの組み合わせのうちのいずれか一方のみを用いてもよく、また双方を用いてもよい。一方の組み合わせのみを用いる場合とは、例えば第1の撮像手段として第1の組み合わせを用い、第2の撮像手段として第2の組み合わせを用いる場合のように、撮像視野の片側の部分像のみを撮像する場合を云う。
【0081】
すなわちボンディング対象が小型のチップ14であってボンディング動作時の認識が、チップ中心の一点認識で足りるような場合には、片側の撮像部のみを用いる。これに対し、ボンディング対象が大型のチップ14であってボンディング動作時の認識において、チップの対角位置等の2点を認識することが必要な場合には、前述の2つの組み合わせの双方を用いるようにする。すなわち、チップ14、ボンディング位置22aの双方のそれぞれを、2つの撮像部によって撮像する。このように、実施の形態1に係るボンディング装置1では、小型のチップから大型のチップまで多品種のチップに対応可能であり、汎用性に優れたボンディング装置が実現されている。
【0082】
そして上述の第1の撮像手段によって撮像されたチップ14の像と、第2の撮像手段によって撮像されたボンディング位置22aの像に基づいて、チップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれが、画像認識により検出される。この画像認識による位置ずれ検出は、制御部5が備えた画像認識部93(
図10参照)の処理機能によって実行される。したがって、制御部5の画像認識部93は、チップ14の像と、ボンディング位置22aの像に基づいて、チップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれを検出する検出手段となっている。
【0083】
このようにして検出手段によって検出されたチップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれに基づいて、制御部5のアライメント処理部92(
図10)が第2のXYテーブル20を制御することにより、チップ14を保持したボンディングツール29と基板22を保持した基板保持ステージ21とを相対的に移動させて、チップ14とボンディング位置22aとを位置合わせするアライメント処理が行われる。したがって制御部5のアライメント処理部92は、ボンディングツール29と基板保持ステージ21とを相対的に移動させるアライメント手段を構成する。
【0084】
ボンディング装置1における撮像手段の定義は複数の定義が可能であり、以下に示すような定義を用いてもよい。すなわち上左プリズム45と上左撮像部41との組み合わせを、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の一部である第1の部分像(上左画像UL)を撮像する第1の撮像手段と定義し、下左プリズム47と下左撮像部42との組み合わせを、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第1の部分像(上左画像UL)に対応する一部である第2の部分像(下左画像DL)を撮像する第2の撮像手段と定義する。
【0085】
また上右プリズム46と上右撮像部43との組み合わせを、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の第1の部分像(上左画像UL)とは異なる一部である第3の部分像(上右画像UR)を撮像する第3の撮像手段と定義し、下右プリズム48と下右撮像部44との組み合わせを、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第3の部分像(上右画像UR)に対応する一部である第4の部分像(下右画像DR)を撮像する第4の撮像手段と定義する。
【0086】
そして上述の第1の撮像手段によって撮像された第1の部分像(上左画像UL)と、第2の撮像手段によって撮像された第2の部分像(下左画像DL)と、第3の撮像手段によって撮像された第3の部分像(上右画像UR)と、第4の撮像手段によって撮像された第4の部分像(下右画像DR)と、に基づいて、チップ14とボンディング位置22aの相対的な位置ずれが、前述の検出手段によって検出される。そしてこのようにして検出手段によって検出されたチップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれに基づいて、前述のアライメント手段によってボンディングツール29と基板保持ステージ21とを相対的に移動させることにより、チップ14とボンディング位置22aとを位置合わせするアライメント処理が行われる。
【0087】
次に
図10を参照して、制御系の構成を説明する。
図10は、実施の形態1に係るボンディング装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図10において、制御部5は内部処理機能部としてのボンディング動作制御部91、アライメント処理部92、画像認識部93、視野位置設定部94および記憶部95を備えている。また制御部5には、リニアモータ24、第1のXYテーブル10、第2のXYテーブル20、ボンディングヘッド26、ピックアップヘッド15、撮像ユニットX軸モータ34X、撮像ユニットY軸モータ34Y、上左カメラ41c、下左カメラ42c、上右カメラ43c、下右カメラ44c、上側光源81、下側光源82、スポット照明36、上左同軸照明41b、下左同軸照明42b、上右同軸照明43b、下右同軸照明44bおよびタッチパネル96が接続されている。タッチパネル96は、画像認識部93による認識画面や制御部5への操作入力やデータ入力用の操作画面などを表示する。
【0088】
ボンディング動作制御部91は、リニアモータ24、第1のXYテーブル10、第2のXYテーブル20、ボンディングヘッド26、ピックアップヘッド15を制御することにより、ピックアップヘッド15によってチップ供給部2から取り出したチップ14をボンディングヘッド26によって基板22にボンディングするボンディング動作を制御する。
【0089】
画像認識部93は、上左カメラ41c、下左カメラ42c、上右カメラ43c、下右カメラ44cによってチップ14とボンディング位置22aを撮像して得られた画像を認識処理することにより、チップ14とボンディング位置22aとの位置ずれを検出する。すなわち画像認識部93はチップ14とボンディング位置22aとの相対的な位置ずれを検出する検出手段となっている。上左カメラ41c、下左カメラ42c、上右カメラ43c、下右カメラ44cによる撮像時には、画像認識部93が備えた照明制御機能によって上側光源81、下側光源82、スポット照明36、上左同軸照明41b、下左同軸照明42b、上右同軸照明43b、下右同軸照明44bの点灯が制御される。
【0090】
視野位置設定部94は、撮像ユニットX軸モータ34X、撮像ユニットY軸モータ34Yの駆動を制御することにより、撮像ユニット34を移動させる。これにより、上左撮像部41、下左撮像部42、上右撮像部43、下右撮像部44の撮像視野の位置が撮像対象に応じて設定される。記憶部95はボンディング動作制御部91によるボンディング動作の制御に用いられるボンディングデータや、画像認識部93による認識処理に用いられる認識データ、さらに視野位置設定部94による視野位置の設定に用いられる撮像視野データなどのデータを記憶する。
【0091】
次に、実施の形態1に係るボンディング装置1の作用を説明する。
【0092】
実施の形態1に係るボンディング装置1あるいはボンディング方法は、ボンディングツール29がチップ14を保持し、チップ14と対向するように基板22が載置されるステージ(例えば基板保持ステージ21)に向かってボンディングツール29を下降させてチップ14を基板22のボンディング位置22aに接合する。ボンディング装置1は、ボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22との間に位置した際に、チップ14の像(上左画像UL、上右画像UR)をチップ14に対向する第1の入射口61から入射させ第1の入射口61から水平方向に離間した第1の出射口63から上方に出射させるとともに、基板22のボンディング位置22aの像(下左画像DL、下右画像DR)をボンディング位置22aと対向する第2の入射口62から入射させ第1の入射口61から水平方向に離間した第2の出射口64から上方に出射させる可動導光体(可動プリズム32a)を有する。ボンディング装置1は、第1の出射口63から出射されたチップ14の像を撮像する第1の撮像手段(上左撮像部41、上左プリズム45)と、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像を撮像する第2の撮像手段(下左撮像部42、下左プリズム47)と、第1の撮像手段によって撮像されたチップ14の像と第2の撮像手段によって撮像されたボンディング位置22aの像に基づいて、チップ14とボンディング位置22aの相対的な位置ずれを検出する検出手段(画像認識部93)と、検出手段によって検出された位置ずれに基づいて、ボンディングツール29とステージとを相対的に移動させるアライメント手段(アライメント処理部92)と、ボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22との間の空間に可動導光体を進退させる移動手段(リニアモータ24、ガイドレール25)と、を有する。可動導光体は、第1の入射口61から入射したチップ14の像を第1の方向(例えば矢印h1)に反射するとともに、第2の入射口62から入射したボンディング位置22aの像を第2の方向(例えば矢印h2)に反射する反射体50と、第1の出射口63の真下に配置され入射したチップ14の像を真上に反射し、反射体50と略平行の傾きを有する第1の最終反射面(第4反射面74)と、第2の出射口64の真下に配置され入射したボンディング位置22aの像を真上に反射し、反射体50の反射面と略平行の傾きを有する第2の最終反射面(第8反射面78)と、を少なくとも含む。
【0093】
実施の形態1に係るボンディング装置1における作用の説明に先立ち、比較例に係る可動プリズムについて、
図11、
図12、
図13を参照して説明する。
図11は、比較例に係るボンディング装置における可動導光体の構成を示す斜視図である。
図12(a)および(b)は、比較例に係る可動導光体に位置ずれが発生したときの視認位置を示す作用説明図である。
図13は、実施の形態1に係る可動プリズム32aに位置ずれが発生したときの視認位置を示す作用説明図である。
図11に示す比較例の可動プリズム101は、第1のブロック体103に設けられた複数のチップ像反射面が、第1の出射口63の真下に配置され、水平に入射したチップ14の像を真上に反射する第1の最終反射面(第4反射面109)と、第1反射面71によって水平方向に反射されたチップ14の像を第1の最終反射面(第4反射面109)に導く、少なくとも一つの第1の中継反射面(第2反射面72、第3反射面105)とを含む。
【0094】
この可動プリズム101において、第1のブロック体103と第2のブロック体54、第1の最終反射面(第4反射面109)と第2の最終反射面(第8反射面78)、並びに第1の中継反射面(第2反射面72、第3反射面105)と第2の中継反射面(第6反射面76、第7反射面77)とは、反射体50の中心を通過して第1の水平方向(例えば矢印h1)と第2の水平方向(例えば矢印h2)と水平面内で直交する直線(中心線CL)を基準に線対称になっている。他の構成は、可動プリズム32aと同じである。
【0095】
図11において、可動プリズム101の撮像経路に記した実線矢印は、第1の出射口63からの視認方向を示し、最先端の矢印はチップ14の視認位置を示す。また、可動プリズム101の撮像経路に記した破線矢印は、第2の出射口64からの視認方向を示し、最先端の矢印は基板22の視認位置を示す。可動プリズム101は、チップ14と基板22との間にY軸に沿う前後方向で進退自在となる。
【0096】
図12(a)に示すように、この可動プリズム101では、第1の出射口63から視認されるチップ14への視線は、光の入射方向と逆に辿ると(実際には、チップ14からの光は矢印と逆方向で入射する)、まず第4反射面109、第3反射面105(
図11参照)、第2反射面72(
図11参照)、第1反射面71を順に経てチップ14へと至る。また、可動プリズム101では、第2の出射口64から視認されるボンディング位置22aへの視線は、入射方向と逆に辿ると(実際には、ボンディング位置22aからの光は矢印と逆方向で入射する)、まず第8反射面78、第7反射面77(
図11参照)、第6反射面76(
図11参照)、第5反射面75を順に経てボンディング位置22aへと至る。
【0097】
ここで、可動プリズム101は、例えば前方向(Y方向)へ移動したとき、
図12(b)に示すように、本来の停止位置に対しΔYのずれが生じると、チップ14とボンディング位置22aの中心を通る仮想鉛直線KLに対し反射体50の中心がY方向にΔYだけずれる。このとき、第4反射面109を見る視線は上側にずれ、第1反射面71を見る視線も上側にずれる。第1反射面71は、第4反射面109に対してY方向の逆側へ傾斜し、非平行であるため、距離2ΔY分だけチップ14の前側を視認することになる。すなわち、第1の出射口63からチップ14を視認する位置は、仮想鉛直線KLからY方向に2ΔYだけずれた位置となる。
【0098】
一方、第8反射面78を見る視線は下側にずれ、第5反射面75を見る視線も下側にずれるが、第8反射面78と第5反射面75が平行であるため、第2の出射口64からボンディング位置22aを視認する位置は、仮想鉛直線KLからずれが生じない。従って、可動プリズム101では、停止精度以上に前方向へ移動したとき、チップ14とボンディング位置22aとの間で2ΔYの位置ずれが生じる。
【0099】
これに対し、実施の形態1に係るボンディング装置1に用いられる
図13(a)の可動プリズム32aは、前方向(Y方向)へ移動したとき、
図13(b)に示すように、本来の停止位置に対しΔYのずれが生じると、チップ14とボンディング位置22aの中心を通る仮想鉛直線KLに対し反射体50の中心がY方向にΔYだけずれる。このとき、第4反射面74を見る視線は下側にずれ、第1反射面71を見る視線も下側にずれる。第1反射面71は、第4反射面74と平行であるため、第1反射面71および第4反射面74がY方向へ平行移動されるだけとなり、チップ14の中心を視認したままとなる。その結果、第1の出射口63からチップ14を視認する位置は、仮想鉛直線KLからずれが生じない。
【0100】
また、上述と同様に、第8反射面78を見る視線は下側にずれ、第5反射面75を見る視線も下側にずれるが、第8反射面78と第5反射面75が平行であるため、第2の出射口64からボンディング位置22aを視認する位置は、仮想鉛直線KLからずれが生じない。従って、可動プリズム32aでは、前方向へ移動したとき、チップ14とボンディング位置22aとの間で視認位置のずれが生じない。その結果、ボンディング装置1によれば、可動プリズム32aの停止精度が悪化しても認識位置に変化を生じなくすることができ、高精度で短時間に部品を実装することが可能となる。
【0101】
また、ボンディング装置1では、光学ヘッド30を移動させて可動光学ユニット32をチップ14と基板22との間に位置させた状態で、撮像ユニット34によってチップ14の像とボンディング位置22aの像を撮像する。これにより、ボンディング装置1は、機構を簡素化して設備コストを低減することが可能となっている。
【0102】
また、ボンディング装置1において、可動導光体は、第1の方向(例えば矢印h1)に反射されたチップ14の像を第1の最終反射面(第4反射面74)に導く第1の中継反射面(第2反射面72、第3反射面73)と、第2の方向(例えば矢印h2)に反射されたボンディング位置22aの像を第2の最終反射面(第8反射面78)に導く第2の中継反射面(第6反射面76、第7反射面77)と、をさらに含む。
【0103】
このボンディング装置1では、可動プリズム32aが、第1の中継反射面(第2反射面72、第3反射面73)と、第2の中継反射面(第6反射面76、第7反射面77)とを有する。第1の中継反射面(第2反射面72、第3反射面73)は、第1のブロック体53に設けられる。第2の中継反射面(第6反射面76、第7反射面77)は、第2のブロック体54に設けられる。第1のブロック体53は、平面視が台形となって2つ以上の辺部が反射平面を有する透明体で形成されることにより、第1の方向(例えば矢印h1)に反射されたチップ14の像を第2の方向(例えば矢印h2)で第1の最終反射面(第4反射面74)に導くことができる。第2の中継反射面(第6反射面76、第7反射面77)は、第2のブロック体54に設けられる。第2のブロック体54は、平面視が平行四辺形となって2つ以上の辺部が反射平面を有する透明体で形成されることにより、第2の方向(例えば矢印h2)に反射されたチップ14の像を第2の方向(例えば矢印h2)で第2の最終反射面(第8反射面78)に導くことができる。これにより、第1の最終反射面(第4反射面74)と第2の最終反射面(第8反射面78)の平行配置が可能となる。
【0104】
また、ボンディング装置1は、チップ14の像を第1の最終反射面(第4反射面74)に対して直接導く第1の中継反射面(第3反射面73)から第1の最終反射面に対するチップ14の像の第1の最終反射面への光路の方向(例えば矢印h2)と、ボンディング位置22aの像を第2の最終反射面(第8反射面78)に直接導く第2の中継反射面(第7反射面77)から第2の最終反射面に対するボンディング位置22aの像の第2の最終反射面への光路の方向(例えば矢印h2)と、が略同一である。
【0105】
このボンディング装置1では、第3反射面73から第4反射面74への光路の方向と、第7反射面77から第8反射面78への光路の方向とが、略同一の方向(例えば矢印h2)となる。これにより、第1の最終反射面(第4反射面74)と第2の最終反射面(第8反射面78)の平行配置を実現し、かつ可動プリズム32aの停止精度以上の変位方向(例えば矢印h2)に、平行配置された第4反射面74および第8反射面78への光路の方向を一致させることが可能となる。
【0106】
また、ボンディング装置1は、第1の最終反射面への光路の方向(例えば矢印h2)と第2の最終反射面への光路の方向(例えば矢印h2)が可動導光体の移動の方向(例えば矢印h1、矢印h2)と略平行である。
【0107】
このボンディング装置1では、第4反射面74と第8反射面78の平行配置を実現し、かつ第4反射面74および第8反射面78に対する光路の方向(例えば矢印h2)が可動プリズム32aの移動の方向(例えば矢印h1、矢印h2)と略平行となる。これにより、停止精度が悪化し、可動プリズム32aの停止位置にずれが生じても、認識位置には変化を生じさせない光学系の構成が可能となる。
【0108】
また、ボンディング装置1において、第1の方向(例えば矢印h1)と第2の方向(例えば矢印h2)は互いに逆向きである。
【0109】
このボンディング装置1では、可動プリズム32aに設けられた反射体50が、上方のチップ14からの光を第1反射面71から入射させ、下方の基板22からの光を第5反射面75から入射させる。反射体50は、第1反射面71および第5反射面75が、仮想鉛直線KLに対して45°で傾斜した面の表裏に形成される。これにより、可動プリズム32aは、ボンディングツール29に保持されたチップ14と基板22のボンディング位置22aとの間に進退させて上下2視野の認識を同時に行うことが可能となる。
【0110】
また、ボンディング装置1において、第1の方向(例えば矢印h1)と第2の方向(例えば矢印h2)は水平方向である。
【0111】
このボンディング装置1では、可動プリズム32aが矢印h1と矢印h2の方向に移動され、可動プリズム32aに設けられる反射体50により、上下2視野の認識を同時に行うことができる。これにより、可動プリズム32aの全体形状における厚み寸法を極力小さくできるとともに、重量の軽量化が可能となる。
【0112】
また、ボンディング位置22aの像(下左画像DL、下右画像DR)とチップ14の像(上左画像UL、上右画像UR)が複数の撮像手段で撮像されるボンディング装置1あるいはボンディング方法は、ボンディングツール29がチップ14を保持し、チップ14と対向するように基板22が載置されるステージ(基板保持ステージ21)に向かってボンディングツール29を下降させてチップ14を基板22のボンディング位置22aに接合する。ボンディング装置1は、ボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22との間に位置した際に、チップ14の像をチップ14に対向する第1の入射口61から入射させ第1の入射口61から水平方向に離間した第1の出射口63から上方に出射させるとともに、基板22のボンディング位置22aの像をボンディング位置22aと対向する第2の入射口62から入射させ第1の入射口61から水平方向に離間した第2の出射口64から上方に出射させる可動導光体(可動プリズム32a)を有する。ボンディング装置1は、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の一部である第1の部分像(上左画像UL)を撮像する第1の撮像手段(上左撮像部41、上左プリズム45)と、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第1の部分像に対応する一部である第2の部分像(下左画像DL)を撮像する第2の撮像手段(下左撮像部42、下左プリズム47)と、第1の出射口63から出射されたチップ14の像の第1の部分像とは異なる一部である第3の部分像(上右画像UR)を撮像する第3の撮像手段(上右撮像部43、上右プリズム46)と、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aの像の第3の部分像に対応する一部である第4の部分像(下右画像DR)を撮像する第4の撮像手段(下右撮像部44、下右プリズム48)と、第1の撮像手段によって撮像された第1の部分像と第2の撮像手段によって撮像された第2の部分像と第3の撮像手段によって撮像された第3の部分像と第4の撮像手段によって撮像された第4の部分像に基づいて、チップ14とボンディング位置22aの相対的な位置ずれを検出する検出手段(画像認識部93)と、検出手段によって検出された位置ずれに基づいて、ボンディングツール29とステージ(基板保持ステージ21)とを相対的に移動させるアライメント手段(アライメント処理部92)と、ボンディング位置22aの上方に位置するチップ14と基板22との間の空間に可動導光体を進退させる移動手段(リニアモータ24、ガイドレール25)と、を有する。可動導光体は、第1の入射口61から入射したチップ14の像を第1の方向(例えば矢印h1)に反射するとともに、第2の入射口62から入射したボンディング位置22aの像を第2の方向(例えば矢印h2)に反射する反射体50と、第1の出射口63の真下に配置され入射したチップ14の像を真上に反射し、反射体50の反射面と略平行の傾きを有する第1の最終反射面(第4反射面74)と、第2の出射口64の真下に配置され入射したボンディング位置22aの像を真上に反射し、反射体50の反射面と略平行の傾きを有する第2の最終反射面(第8反射面78)と、を少なくとも含む。
【0113】
このボンディング装置1では、上述と同様の構成により得られる作用によって、可動プリズム32aの停止精度が悪化しても認識位置に変化を生じなくすることができ、高精度で短時間に部品を実装することが可能となる。また、機構を簡素化して設備コストを低減することが可能となる。
【0114】
これに加え、このボンディング装置1は、第1の出射口63から出射されたチップ14の第1の部分像(上左画像UL)、第3の部分像(上右画像UR)、第2の出射口64から出射されたボンディング位置22aのチップ14の第2の部分像(下左画像DL)、第4の部分像(下右画像DR)を、4つのプリズムによって下方に反射する。反射されたこれらの画像を撮像ユニット34の4つの撮像部に入射させて撮像する。ボンディング装置1は、この構成において、4つの撮像部を撮像部移動手段によって固定光学ユニット33の4つのプリズムに対して相対的に移動させることにより、4つの撮像部による撮像視野の位置を調整する。これにより、サイズや認識点の位置が異なる多品種のチップ14を対象とすることが可能となる。
【0115】
また、ボンディング位置22aの像とチップ14の像が複数の撮像手段で撮像されるボンディング装置1において、可動導光体は、第1の方向に反射されたチップ14の像を第1の最終反射面に導く第1の中継反射面(第2反射面72、第3反射面73)と、第2の方向に反射されたボンディング位置22aの像を第2の最終反射面に導く第2の中継反射面(第6反射面76、第7反射面77)と、をさらに含む。
【0116】
このボンディング装置1では、サイズや認識点の位置が異なる多品種のチップ14を対象とすることができるのに加え、第1の最終反射面(第4反射面74)と第2の最終反射面(第8反射面78)の平行配置が可能となる。
【0117】
また、ボンディング位置22aの像とチップ14の像が複数の撮像手段で撮像されるボンディング装置1は、チップ14の像を第1の最終反射面に対して直接導く第1の中継反射面から第1の最終反射面に対するチップ14の像の第1の最終反射面への光路の方向と、ボンディング位置22aの像を第2の最終反射面に直接導く第2の中継反射面から第2の最終反射面に対するボンディング位置22aの像の第2の最終反射面への光路の方向と、が略同一である。
【0118】
このボンディング装置1では、サイズや認識点の位置が異なる多品種のチップ14を対象とすることができるのに加え、第1の最終反射面(第4反射面74)と第2の最終反射面(第8反射面78)の平行配置を実現し、かつ可動プリズム32aの停止精度以上の変位方向(例えば矢印h2)に、平行配置された第4反射面74および第8反射面78への光路の方向を一致させることが可能となる。
【0119】
また、ボンディング位置22aの像とチップ14の像が複数の撮像手段で撮像されるボンディング装置1は、第1の最終反射面への光路の方向と第2の最終反射面への光路の方向が可動導光体の移動の方向と略平行である。
【0120】
このボンディング装置1では、サイズや認識点の位置が異なる多品種のチップ14を対象とすることができるのに加え、停止精度が悪化し、可動プリズム32aの停止位置にずれが生じても、認識位置には変化を生じさせない光学系の構成が可能となる。
【0121】
また、ボンディング位置22aの像とチップ14の像が複数の撮像手段で撮像されるボンディング装置1において、第1の方向と第2の方向は互いに逆向きである。
【0122】
このボンディング装置1では、サイズや認識点の位置が異なる多品種のチップ14を対象とすることができるのに加え、可動プリズム32aは、ボンディングツール29に保持されたチップ14と基板22のボンディング位置22aとの間に進退させて上下2視野の認識を同時に行うことが可能となる。
【0123】
また、ボンディング位置22aの像とチップ14の像が複数の撮像手段で撮像されるボンディング装置1において、第1の方向と第2の方向は水平方向である。
【0124】
このボンディング装置1では、サイズや認識点の位置が異なる多品種のチップ14を対象とすることができるのに加え、可動プリズム32aの全体形状における厚み寸法を極力小さくできるとともに、重量の軽量化が可能となる。
【0125】
したがって、実施の形態1に係るボンディング装置1によれば、プリズムの停止精度が悪化しても認識位置は変化せず、高精度で短時間に部品実装できる。
【0126】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本開示は、プリズムの停止精度が悪化してもボンディング対象となる部品の認識位置の誤差を低減し、高精度で短時間に部品を実装するボンディング装置およびボンディング方法として有用である。
【符号の説明】
【0128】
1 ボンディング装置
14 チップ
21 基板保持ステージ
22 基板
22a ボンディング位置
24 リニアモータ
25 ガイドレール
29 ボンディングツール
61 第1の入射口
62 第2の入射口
63 第1の出射口
64 第2の出射口
32a 可動プリズム
41 上左撮像部
42 下左撮像部
43 上右撮像部
44 下右撮像部
45 上左プリズム
46 上右プリズム
47 下左プリズム
48 下右プリズム
50 反射体
72 第2反射面
73 第3反射面
74 第4反射面
76 第6反射面
77 第7反射面
78 第8反射面
92 アライメント処理部
93 画像認識部