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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】分離装置及び分離システム
(51)【国際特許分類】
   B04B 5/12 20060101AFI20240531BHJP
   B01D 45/12 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
B04B5/12
B01D45/12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020017381
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2021122777
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 將有
(72)【発明者】
【氏名】早崎 嘉城
(72)【発明者】
【氏名】室 直樹
【審査官】塩谷 領大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/230258(WO,A2)
【文献】特開昭51-122866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B04B 1/00-15/12
B01D 45/00-45/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体の入口となる入口開口と、前記入口開口よりも上方に位置し気体の出口となる出口開口と、前記入口開口と前記出口開口との間に位置する少なくとも1つの排出孔と、を有するケーシングと、
前記ケーシングの内側に配置されており、上下方向に沿った回転中心軸を中心として回転可能な回転体と、
前記回転体と前記ケーシングとの間で前記ケーシングの内周面から離れて配置されており、前記回転体と一緒に回転する羽根と、
前記ケーシングを囲んでいる外部カバーと、
前記外部カバーの内周面と前記ケーシングの外周面とのいずれか一方から突出している少なくとも1つの気流制御リブと、を備え
前記少なくとも1つの気流制御リブは、前記外部カバーの前記内周面から突出し前記外部カバーの前記内周面の周方向において離隔している複数の第1気流制御リブを含み、
前記少なくとも1つの気流制御リブは、前記ケーシングの前記外周面から突出している複数の第2気流制御リブを含む、
分離装置。
【請求項2】
前記複数の第1気流制御リブは、前記回転中心軸に直交する方向において前記少なくとも1つの排出孔に対向している、
請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
前記複数の第1気流制御リブは、前記外部カバーにおいて前記少なくとも1つの排出孔に対向する部位から下端にわたって設けられている、
請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
前記複数の第1気流制御リブは、前記回転中心軸に沿った方向から見て、前記回転体の回転方向において前記外部カバー側の基端が前記ケーシング側の先端よりも後方に位置するように傾いている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項5】
前記複数の第2気流制御リブは、前記回転中心軸に沿った方向から見て、前記回転体の回転方向において前記ケーシング側の基端が前記外部カバー側の先端よりも後方に位置するように傾いている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項6】
前記複数の第1気流制御リブと前記複数の第2気流制御リブとは、前記回転中心軸に直交する方向において重ならない、
請求項1~5のいずれか一項に記載の分離装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の分離装置と、
前記回転体を回転駆動する駆動装置と、を備える、
分離システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置及び分離システムに関し、より詳細には、気体に含まれている固体を気体から分離する分離装置、及びそれを備える分離システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ケーシングと、回転体と、羽根と、駆動装置と、外部カバーと、を備える分離装置が記載されている。ケーシングは、上下方向に沿った中心軸を有する筒状である。ケーシングは、気体の入口となる入口開口と、入口開口よりも上方に位置し気体の出口となる出口開口と、を有する。回転体は、ケーシングの内側において、回転中心軸がケーシングの中心軸と揃うように配置されている。羽根は、回転体とケーシングとの間に配置され、回転体に連結されている。駆動装置は、回転体を回転中心軸のまわりで回転させる。外部カバーは、ケーシングを覆う。ケーシングは、入口開口と出口開口との間に、第1排出孔と、第2排出孔と、を有する。第1排出孔は、ケーシングの厚み方向に貫通する。第2排出孔は、上下方向において第1排出孔よりも下方に設けられ、ケーシングの厚み方向に貫通する。
【0003】
外部カバーは、下側が開放されている。これにより、分離装置では、外部カバー内に排出された固体が、外部カバーの下方から分離装置の外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/230258号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された分離装置では、気体から固体を分離する分離性能が低下してしまうことがあった。
【0006】
本開示の目的は、気体に含まれる固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能な分離装置及び分離システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る分離装置は、ケーシングと、回転体と、羽根と、外部カバーと、少なくとも1つの気流制御リブと、を備える。前記ケーシングは、気体の入口となる入口開口と、前記入口開口よりも上方に位置し気体の出口となる出口開口と、前記入口開口と前記出口開口との間に位置する少なくとも1つの排出孔と、を有する。前記回転体は、前記ケーシングの内側に配置されている。前記回転体は、上下方向に沿った回転中心軸を中心として回転可能である。前記羽根は、前記回転体と前記ケーシングとの間で前記ケーシングの内周面から離れて配置されており、前記回転体と一緒に回転する。前記外部カバーは、前記ケーシングを囲んでいる。前記少なくとも1つの気流制御リブは、前記外部カバーの内周面と前記ケーシングの外周面とのいずれか一方から突出している。
【0008】
本開示の一態様に係る分離システムは、前記分離装置と、駆動装置と、を備える。前記駆動装置は、前記回転体を回転駆動する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の分離装置及び分離システムは、気体に含まれる固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る分離装置の斜視図である。
図2図2は、同上の分離装置の要部の斜視図である。
図3図3は、同上の分離装置の一部破断した側面図である。
図4図4は、同上の分離装置の要部の平面図である。
図5図5は、同上の分離装置の要部の斜視図である。
図6図6は、同上の分離装置の断面図である。
図7図7は、同上の分離装置を備える分離システムの概略構成図である。
図8図8は、実施形態1に係る分離装置の比較例に係る分離装置の動作時における圧力分布のシミュレーション結果を示す図である。
図9図9は、実施形態2に係る分離装置の断面図である。
図10図10は、実施形態3に係る分離装置の断面図である。
図11図11は、実施形態4に係る分離装置の断面図である。
図12図12は、実施形態5に係る分離装置の斜視図である。
図13図13は、同上の分離装置の断面図である。
図14図14A~14Cは、実施形態5に係る分離装置の比較例に係る分離装置の動作時における流体の速度ベクトルのシミュレーション結果を示す図である。
図15図15A~15Cは、実施形態5に係る分離装置の動作時における流体の速度ベクトルのシミュレーション結果を示す図である。
図16図16A~16Cは、実施形態6に係る分離装置の動作時における流体の速度ベクトルのシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記の実施形態等において説明する図1~6、10~13は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
(実施形態1)
以下、実施形態1に係る分離装置1及びそれを備える分離システム10について、図1~7に基づいて説明する。
【0013】
(1)概要
分離装置1は、例えば、送風機能を有する空調設備の上流側に設けられ、空気(気体)中の固体を分離する。分離装置1は、例えば、平らな屋根を有する施設(住居等)の屋上、又は地面に設置される。空調設備は、例えば、上流側から下流側へ空気を送風する送風装置である。送風装置は、例えば、電動ファンである。空調設備は、送風装置に限らず、例えば、換気装置、エアコンディショナ、給気キャビネットファン、送風装置と熱交換器とを備える空気調和システムでもよい。空調設備により分離装置1に流す空気の流量は、例えば、50m3/h~500m3/hである。分離装置1から空調設備側への空気の流出量は、空調設備を流れる空気の流量と略同じである。
【0014】
図1図6に示すように、分離装置1は、ケーシング2と、回転体3と、羽根36と、外部カバー5と、を備える。また、分離システム10は、図7に示すように、分離装置1と、駆動装置4と、を備える。
【0015】
ケーシング2は、気体の入口となる入口開口21と、気体の出口となる出口開口22と、を有する。ケーシング2では、出口開口22は、上下方向において、入口開口21よりも上方に形成されている。図3図4に示すように、回転体3は、ケーシング2の内側に配置されている。回転体3は、上下方向に沿った回転中心軸30を中心として回転可能である。ここにおいて、回転体3は、回転中心軸30がケーシング2の中心軸20と揃うように配置されている。羽根36は、回転体3とケーシング2との間でケーシング2の内周面27から離れて配置されている。羽根36は、回転体3と一緒に回転する。ここにおいて、羽根36は、回転体3に連結されている。分離装置1では、ケーシング2と回転体3との間に、入口開口21から出口開口22に向かう流路200が形成されている。分離システム10では、駆動装置4は、例えばモータを備えており、回転体3を回転中心軸30のまわりで回転させる。
【0016】
分離装置1では、上流側から流路200に流入した空気(気体)を、回転体3のまわりで螺旋状に回転させながら、流路200の下流側に流すことができる。ここにおける「上流側」は、空気の流れる方向でみたときの上流側(一次側)を意味する。また、「下流側」は、空気の流れる方向でみたときの下流側(二次側)を意味する。つまり、分離装置1では、ケーシング2の下側(上流側)に形成されている入口開口21から流路200に流入した空気を、回転体3のまわりで螺旋状に回転させながら上昇させ、ケーシング2の上側(下流側)に形成されている出口開口22に流すことができる。なお、図1では、入口開口21に流入する気体(空気)の流れ、及び出口開口22から流出する気体の流れを、点線の矢印で模式的に示してある。また、図5では、ケーシング2内での気体の流れを、点線の矢印で模式的に示してある。
【0017】
分離装置1のケーシング2は、空気に含まれている固体をケーシング2の外側に排出するために、少なくとも1つの排出孔60(図2参照)を有している。ここでは、少なくとも1つの排出孔60は、複数の排出孔60であり、第1排出孔61と、第2排出孔62と、を含む。(図2参照)。第2排出孔62は、上下方向において、第1排出孔61よりも下方に設けられている。第1排出孔61及び第2排出孔62の各々は、ケーシング2の厚み方向に貫通している。言い換えれば、第1排出孔61及び第2排出孔62は、ケーシング2の内外を連通させる。ケーシング2の流路200に流入した空気に含まれている固体は、流路200を通過する途中で、第1排出孔61又は第2排出孔62からケーシング2の外部に排出される。なお、図2では、第1排出孔61及び第2排出孔62から流出する気体(空気)の流れを、ドットハッチングした矢印で模式的に示してある。
【0018】
空気中の固体としては、例えば、微粒子、塵埃等が挙げられる。微粒子としては、例えば、粒子状物質等を挙げることができる。粒子状物質としては、微粒子として直接空気中に放出される一次生成粒子、気体として空気中に放出されたものが空気中で微粒子として生成される二次生成粒子等がある。一次生成粒子としては、例えば、土壌粒子(黄砂等)、粉塵、植物性粒子(花粉等)、動物性粒子(カビの胞子等)、煤等が挙げられる。粒子状物質は、大きさの分類として、例えば、PM1.0、PM2.5(微小粒子状物質)、PM10、SPM(浮遊粒子状物質)等を挙げることができる。PM1.0は、粒子径1.0μmで50%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子である。PM2.5は、粒子径2.5μmで50%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子である。PM10は、粒子径10μmで50%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子である。SPMは、粒子径10μmで100%の捕集効率を持つ分粒装置を透過する微粒子であり、PM6.5-7.0に相当し、PM10よりも少し小さな微粒子である。図2では、第1排出孔61及び第2排出孔62から排出された固体として、微粒子600を模式的に示してある。
【0019】
図1図3に示すように、外部カバー5は、ケーシング2を囲んでいる。外部カバー5は、少なくとも、ケーシング2に設けられている第1排出孔61及び第2排出孔62の側方に位置している。すなわち、外部カバー5は、第1排出孔61及び第2排出孔62から流出する気体の流れを遮るように、ケーシング2を覆っている。外部カバー5は、第1排出孔61及び第2排出孔62からケーシング2の外側に排出された固体(微粒子600等)が、分離装置1の側方へ放出されるのを抑制する。
【0020】
分離装置1では、ケーシング2において、上下方向において異なる高さの位置に、複数の排出孔60(第1排出孔61及び第2排出孔62)が形成されている。このため、流路200に流入した空気に含まれている固体は、ケーシング2の内周側(ケーシング2の内周面27の近く)まで移動すると、上下方向における複数の位置からケーシング2の外部に放出され得る。
【0021】
また、ケーシング2内の流路200に流入した空気は、空気の流れ方向(上下方向)において異なる位置にある複数の排出孔60(第1排出孔61及び第2排出孔62)から、ケーシング2の外部に流出し得る。
【0022】
(2)詳細
上述のように、分離装置1は、ケーシング2と、回転体3と、羽根36と、外部カバー5と、を備える。また、分離装置1は、入口ダクト7と出口ダクト8とシャフト40と、を更に備える。また、分離システム10は、分離装置1と、駆動装置4と、を備える。
【0023】
図2及び図3に示すように、ケーシング2は、上面23が閉じ下面24に開口240を有する有底筒状、より詳細には有底円筒状である。ケーシング2の下面24は、下方に向かって先細りする円錐台状に形成されており、その中央に円形の開口240が形成されている。ケーシング2の材料は、樹脂(例えば、ABS樹脂)であるが、これに限らず、金属であってもよい。また、ケーシング2は、金属により形成されている金属部と、樹脂により形成されている樹脂部と、を含んでいてもよい。
【0024】
ケーシング2は、下端に入口開口21を有し、上端に出口開口22を有している。より詳細には、入口開口21と出口開口22とは、図3に示すように、それぞれ有底円筒状のケーシング2の外周面(側面)25の下端と上端とに形成されている。
【0025】
入口開口21は、ケーシング2の側方に開放されている。ケーシング2の周方向における入口開口21の開口範囲は、ケーシング2の中心軸20を中心として90度以下であり、本実施形態では略72度である。すなわち、入口開口21は、ケーシング2の周方向において略1/5円弧状に開口している。
【0026】
出口開口22は、ケーシング2の側方に開放されている。ケーシング2の周方向における出口開口22の開口範囲は、ケーシング2の中心軸20を中心として90度以下であり、本実施形態では略72度である。すなわち、出口開口22は、ケーシング2の周方向において略1/5円弧状に開口している。
【0027】
図2図3に示すように、ケーシング2の外周面25において、入口開口21と出口開口22との間には、第1排出孔61と第2排出孔62とが形成されている。
【0028】
第1排出孔61は、ケーシング2の中心軸20に平行な方向に対して傾いた方向に延びる、スリット状である。より詳細には、第1排出孔61は、ケーシング2の中心軸20に直交する一平面(以下、第1仮想平面ともいう)内に形成されている。言い換えれば、第1排出孔61を通る第1仮想平面は、ケーシング2の中心軸20と直交している。
【0029】
第1排出孔61は、ケーシング2の周方向の全周にわたって形成されており、ケーシング2を上下に分割している。本実施形態では、第1排出孔61は、上下方向に沿った中心軸を有する円環状に形成されている。
【0030】
図3に示すように、第1排出孔61の上縁は、出口開口22の下縁と連続している。すなわち、第1排出孔61は、流路200の下流側の端(出口開口22)のすぐ近くで、ケーシング2を貫通している。
【0031】
第2排出孔62は、ケーシング2の中心軸20に平行な方向に対して傾いた方向に延びている。より詳細には、第2排出孔62は、ケーシング2の中心軸20に直交し第1仮想平面に平行な一平面(以下、第2仮想平面ともいう)内に位置している。言い換えれば、第2排出孔62を通る第2仮想平面は、ケーシング2の中心軸20と直交している。第2排出孔62は、第1排出孔61と平行に形成されている。
【0032】
第2排出孔62は、ケーシング2の周方向に延びる4つのスリットからなる。本実施形態では、第2排出孔62を構成する4つのスリットは、上下方向に沿った中心軸を有する円弧状である。ここにおいて、第2排出孔62の中心軸は、ケーシング2の中心軸20と一致し、したがって第1排出孔61の中心軸と一致する。ケーシング2の周方向における、第2排出孔62を構成する4つのスリットの各々の開口範囲は、ケーシング2の中心軸20を中心として、90度より若干小さい。
【0033】
図2図3に示すように、第2排出孔62は、ケーシング2の上下方向における中央の位置に形成されている。すなわち、第2排出孔62は、上下方向における流路200の中央付近で、ケーシング2を貫通している。
【0034】
分離装置1では、第1排出孔61によって、ケーシング2が、上側(下流側)の第1筒部201と下側(上流側)の第2筒部202とに分割されている。第1筒部201は、上面が閉じ下面が開口した円筒状である。第1筒部201は、側面に出口開口22を有している。出口開口22は、第1筒部201の高さ方向(ケーシング2の中心軸20に沿った方向)において、第1筒部201の側面の全範囲にわたって形成されている。第2筒部202は、上面が開口し、下面が中央に開口240を有する円錐台状に形成された、円筒状である。第2筒部202は、側面の下端に入口開口21を有している。また、第2筒部202は、その側面に、第2排出孔62を有している。第1筒部201と第2筒部202とは、同一の中心軸を有しており、かつ、同一の内径を有している。
【0035】
ケーシング2の第2筒部202の底面(ケーシング2の下面24)には、複数(ここでは3つ)の脚部203が設けられている。第2筒部202は、脚部203によって支持される。第1筒部201は、例えば、外部カバー5の内周面57から内方に突出する一以上の支持梁によって、外部カバー5内で支持される。
【0036】
回転体3は、図3に示すように、ケーシング2の内側において、回転中心軸30がケーシング2の中心軸20と揃うように配置されている。回転体3において、回転中心軸30に直交する断面(水平方向の断面)における外周線は、円形状である。回転体3の材料は、例えば、ポリカーボネート樹脂である。
【0037】
回転体3の回転中心軸30に沿った方向(上下方向)において、回転体3の長さは、ケーシング2の長さよりも短い。回転体3の回転中心軸30に沿った方向において、回転体3の長さは、ケーシング2の入口開口21の上端と出口開口22の下端との間の距離よりも長い。回転体3は、図3に示すように、下側の第1端(下端)31と、上側の第2端(上端)32と、を有する。
【0038】
回転体3の第1端31は、ケーシング2の中心軸20に沿った方向において、ケーシング2の入口開口21の近くに配置されている。上下方向において、回転体3の第1端31は、ケーシング2の入口開口21の上端よりも下側に位置する。回転体3の第2端32は、ケーシング2の中心軸20に沿った方向において、ケーシング2の出口開口22の近くに配置されている。上下方向において、回転体3の第2端32は、ケーシング2の出口開口22の下端よりも上側に位置する。
【0039】
図3図5に示すように、分離装置1では、ケーシング2と回転体3との間には、複数(ここでは、24枚)の羽根36が配置されている。つまり、分離装置1は、複数の羽根36を備えている。複数の羽根36は、回転体3につながっており、ケーシング2からは離れている。複数の羽根36は、回転体3と一緒に回転する。
【0040】
複数の羽根36は、ケーシング2の軸方向に沿った方向において回転体3の全長に亘って回転体3に設けられている。つまり、複数の羽根36は、回転体3の第1端31から第2端32に亘って設けられている。複数の羽根36の材料は、例えば、ポリカーボネート樹脂である。分離装置1では、回転体3の材料と複数の羽根36の材料とが同じであるが、これに限らず、異なってもよい。複数の羽根36は、回転体3と一体に形成されていてもよいし、回転体3と別部材として形成され回転体3に固定されることで回転体3に連結されていてもよい。
【0041】
複数の羽根36の各々は、図3図4に示すように、ケーシング2の内周面27との間に隙間が形成されるように配置されている。言い換えれば、分離装置1では、複数の羽根36の各々とケーシング2の内周面27との間に隙間がある。
【0042】
複数の羽根36の各々は、回転体3の外周面37とケーシング2の内周面27との間の空間(流路200)において回転体3の回転中心軸30と平行に配置されている。複数の羽根36の各々は、平板状である。複数の羽根36の各々は、その厚さ方向から見て回転体3の回転中心軸30に沿った方向に長い長方形状である。
【0043】
複数の羽根36の各々は、回転中心軸30に沿った方向から見て、回転体3の一径方向に対して所定角度(例えば、45度)だけ傾いている。ここにおいて、複数の羽根36の各々では、回転体3からの突出方向におけるケーシング2側の先端が、回転体3側の基端よりも、回転体3の回転方向A1(図4参照)において後方に位置している。つまり、分離装置1では、複数の羽根36の各々が、回転体3の一径方向に対して回転体3の回転方向A1に所定角度(例えば、45度)だけ傾いている。所定角度は、45度に限らず、0度よりも大きく90度以下の角度であってもよい。例えば、所定角度は、10度以上80度以下の範囲内の角度であってもよい。
【0044】
複数の羽根36は、回転体3の周方向において等角度間隔で離れて配置されている。ここでいう「等角度間隔」とは、厳密に同じ角度間隔である場合だけに限らず、例えば、規定の角度間隔に対して所定の誤差範囲(例えば、規定の角度間隔の±10%)内の角度間隔であってもよい。
【0045】
図3に示すように、回転体3の回転中心軸30に沿った方向(上下方向)において、複数の羽根36の各々の長さは、ケーシング2の長さよりも短い。回転体3の回転中心軸30に沿った方向において、複数の羽根36の各々の長さは、ケーシング2の第1排出孔61と第2排出孔62との間の距離よりも長い。さらに、回転体3の回転中心軸30に沿った方向において、複数の羽根36の各々の長さは、ケーシング2の入口開口21の上端と出口開口22の下端との間の距離よりも長い。ケーシング2の軸方向において、複数の羽根36の各々の長さは、回転体3の長さと同じである。ここにおいて、複数の各々の羽根36の長さは、回転体3の長さと同じである場合に限らず、回転体3よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0046】
複数の羽根36の各々は、図3に示すように、下側の第1端(下端)361と、上側の第2端(上端)362と、を有する。
【0047】
各羽根36の第1端361は、ケーシング2の中心軸20に沿った方向(上下方向)において、ケーシング2の入口開口21の近くに配置されている。上下方向において、各羽根36の第1端(下端)361は、ケーシング2の入口開口21の上端よりも下側に位置する。
【0048】
各羽根36の第2端362は、ケーシング2の中心軸20に沿った方向(上下方向)において、ケーシング2の出口開口22の近くに配置されている。上下方向において、各羽根36の第2端(上端)362は、ケーシング2の出口開口22の下端よりも上側に位置する。
【0049】
回転体3は、例えば、図3に示すように、シャフト40を介して駆動装置4のモータの回転軸(シャフト)と連結される。シャフト40は、丸棒状である。シャフト40の材料は、例えば、ステンレス鋼である。シャフト40は、その軸線が回転体3の回転中心軸30と一致するように配置される。
【0050】
図2図3に示すように、入口ダクト7は、その内部空間がケーシング2の入口開口21とつながるように、ケーシング2と一体に形成されている。入口ダクト7の材料は、例えば、ケーシング2の材料と同じである。入口ダクト7は、第1端(図3の左端)がケーシング2の入口開口21の周縁とつながっており、第2端(図3の右端)に気体の流入口11を有している。
【0051】
入口ダクト7は、ケーシング2の外周面25における入口開口21の周縁から、ケーシング2の中心軸20を中心とする円(仮想円)の一接線方向に延びている。より詳細には、入口ダクト7は、ケーシング2の外周面25から、ケーシング2の外周面25の一接線方向に延びている。入口ダクト7は、角筒状である。入口ダクト7は、水平方向に互いに対向する第1側壁71及び第2側壁72を備えている。
【0052】
入口ダクト7の第1側壁71の内面は、ケーシング2の内周面27と中心軸20との間の距離を半径とする円C1(図4参照)の、一接線方向に延びている。すなわち、入口ダクト7の一側壁(第2側壁72)は、その内面が、ケーシング2の内周面27と中心軸20との間の距離を半径とする円C1の一接線方向に延びている。入口ダクト7の第1側壁71の内面は、第2側壁72の内面と平行である。
【0053】
出口ダクト8は、固体が分離された気体をケーシング2の外部へ供給するためのダクトである。出口ダクト8は、その内部空間がケーシング2の出口開口22とつながるように、ケーシング2と一体に形成されている。出口ダクト8の材料は、例えば、ケーシング2の材料と同じである。出口ダクト8は、第1端がケーシング2の出口開口22の周縁とつながっており、第2端に気体の流出口12を有している。
【0054】
出口ダクト8は、ケーシング2の外周面25における出口開口22の周縁から、ケーシング2の中心軸20を中心とする円(仮想円)の一接線方向に延びている。より詳細には、出口ダクト8は、円筒状のケーシング2の外周面25から、ケーシング2の外周面25の一接線方向に延びている。
【0055】
図1図2図4に示すように、出口ダクト8は、角筒状である。出口ダクト8は、水平方向に互いに対向する第1側壁81及び第2側壁82を備えている。
【0056】
出口ダクト8の第2側壁82の内面は、ケーシング2の内周面27と中心軸20との間の距離を半径とする円C1(図4参照)の、一接線方向に延びている。すなわち、出口ダクト8の一側壁(第2側壁82)は、その内面が、ケーシング2の内周面27と中心軸20との間の距離を半径とする円C1の一接線方向に延びている。出口ダクト8の第1側壁81の内面は、第2側壁82の内面と平行である。
【0057】
分離装置1では、図4に示すように、ケーシング2の中心軸20に沿った方向から見たときに、入口ダクト7の延出方向と出口ダクト8の延出方向とが互いに逆向きである。分離装置1では、ケーシング2の中心軸20に沿った方向から見たときに、入口ダクト7の中心軸と出口ダクト8の中心軸とが同一直線上にある。
【0058】
外部カバー5は、ケーシング2を囲んでいる。より詳細には、外部カバー5は、上端51が閉じ下端52に開口を有する有底筒状(ここでは、有底円筒状)である。
【0059】
外部カバー5の内径は、ケーシング2の外径よりも大きい。上下方向において、外部カバー5の寸法はケーシング2の寸法よりも大きい。外部カバー5は、脚部203を除いたケーシング2の全体を覆う大きさに形成されている。外部カバー5は、ケーシング2と同心状に配置されている。
【0060】
図1図2に示すように、外部カバー5の外周面56において、入口ダクト7に対応する部分には、入口ダクト7を通すことが可能な矩形の開口53が形成されている。外部カバー5の外周面56において、出口ダクト8に対応する部分には、出口ダクト8を通すことが可能な矩形の開口54が形成されている。
【0061】
外部カバー5には、分離装置1の設置場所(屋上、地面等)に外部カバー5を支持するための複数(例えば3つ)の脚部55が設けられている。
【0062】
分離装置1は、複数の気流制御リブ9を更に備える。複数の気流制御リブ9は、ケーシング2の流路200から排出孔60を通してケーシング2の外周面25と外部カバー5の内周面57との間の空間S1に流出した気流に流れの剥離を生じさせることで、気流の速度を低減させる。言い換えれば、分離装置1では、排出孔60から流出した気流が気流制御リブ9に衝突することよって戻り気流が生じ、空間S1内での気流の速度が低減される。
【0063】
複数の気流制御リブ9は、図3図6に示すように、外部カバー5の内周面57から突出している。複数の気流制御リブ9は、図6に示すように外部カバー5の内周面57の周方向に沿った方向(つまり、回転体3の周方向に沿った方向)において離隔して配置されている。ここにおいて、複数の気流制御リブ9は、外部カバー5の内周面57の周方向に沿った方向において、略等間隔(外部カバー5の内周の略8分の1の距離)で離れて配置されている。各気流制御リブ9は、外部カバー5の内周面57から外部カバー5の一径方向に平行な方向に突出している。気流制御リブ9の突出寸法は、外部カバー5の内周面57とケーシング2の外周面25との間の距離よりも短い。複数の気流制御リブ9の突出寸法は、互いに同じでもよいし、互いに異なってもよい。
【0064】
各気流制御リブ9は、回転体3の回転中心軸30に直交する方向において複数(2つ)の排出孔60に対向している。つまり、各気流制御リブ9は、第1排出孔61と第2排出孔62とに対向している。
【0065】
複数の気流制御リブ9は、外部カバー5において、下流側の第1排出孔61と上流側の第2排出孔62とのうち下流側の第1排出孔61に対向する部位から下端52にわたって設けられている。
【0066】
図7に示すように、分離システム10は、分離装置1と、分離装置1の回転体3を回転駆動する駆動装置4と、を備える。駆動装置4は、例えば、回転体3を回転駆動させるモータを含む。駆動装置4は、ケーシング2の上面23上に配置されている。ケーシング2の上面23の中央には、シャフト40が通る貫通孔が形成されており、駆動装置4内にシャフト40の上端が位置している。駆動装置4は、例えば軸継手を内部に備えており、シャフト40の上端が、軸継手によってモータの回転軸と連結されている。
【0067】
駆動装置4は、回転体3を回転中心軸30のまわりで回転させる。駆動装置4によって回転駆動される回転体3の回転数は、例えば、1500rpm~3000rpmである。駆動装置4のモータは、例えば、直流モータである。
【0068】
分離システム10は、駆動装置4を制御する制御装置17を更に備える。制御装置17は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御装置17としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0069】
(3)分離装置及び分離システムの動作
実施形態に係る分離装置1では、回転体3の回転方向A1(図4参照)は、例えば、ケーシング2の軸方向において上側から回転体3を見たときに、時計回り方向である。分離システム10は、駆動装置4によって回転体3を回転駆動する。
【0070】
分離装置1では、回転体3と羽根36とが一緒に回転することで、ケーシング2の流路200に流入した空気に対して回転中心軸30のまわりの回転方向の力を与えることが可能となる。分離装置1では、回転体3が回転することにより、回転体3と一緒に複数の羽根36が回転し、ケーシング2の流路200を流れる空気の速度ベクトルが、回転中心軸30に平行な方向の速度成分と、回転中心軸30のまわりの回転方向の速度成分と、を有することになる。要するに、分離装置1では、回転体3及び各羽根36が回転することにより、ケーシング2内に旋回する気流を発生させることができる。旋回する気流は、3次元の螺旋状に回転する気流である。
【0071】
分離装置1では、ケーシング2に流入した空気に含まれていた固体は、ケーシング2の流路200において螺旋状に回転するときに回転体3の回転中心軸30からケーシング2の内周面27に向かう方向の遠心力を受ける。遠心力を受けた固体は、ケーシング2の内周面27へ向かい、ケーシング2の内周面27付近を内周面27に沿って螺旋状に回転する。そして、分離装置1では、空気中の固体の一部が、ケーシング2の流路200を通過する途中で排出孔60から排出される。固体に作用する遠心力は、固体の質量に比例する。したがって、相対的に質量が大きな固体は、相対的に質量が小さな固体よりも先に、ケーシング2の内周面27付近に到達しやすい。このため、相対的に質量が大きな固体は、第1排出孔61と第2排出孔62とのうち上流側に位置する第2排出孔62から排出されやすく、相対的に質量が小さな固体は、第1排出孔61と第2排出孔62とのうち下流側に位置する第1排出孔61から排出されやすい。
【0072】
分離装置1では、ケーシング2の流路200において旋回している気流(旋回流)が発生するので、入口ダクト7を通してケーシング2の入口開口21からケーシング2内に流入した空気中の固体(例えば、砂塵)の一部が、排出孔60を通して排出され、固体が分離(除去)された空気(清浄化された空気)の一部が、ケーシング2の出口開口22から出口ダクト8を通して流出する。分離装置1では、粒径が大きい粒子は遠心力を受けると気流から逸脱しやすくケーシング2の内周面27に近づいて排出孔60から排出されやすい。なお、旋回流から受ける上向きの力よりも重力の方が大きい固体、すなわち質量が比較的大きな固体は、重力によって下方に落下し、ケーシング2の下面24の開口240からケーシング2の外部に排出される。
【0073】
分離装置1の分離特性に関しては、回転体3の回転速度が速くなるにつれて分離効率が高くなる傾向にある。また、分離装置1の分離特性に関しては、分粒径が大きくなるにつれて分離効率が高くなる傾向にある。分離装置1では、例えば、規定粒径以上の微粒子を分離するように回転体3の回転速度が設定されているのが好ましい。規定粒径の微粒子としては、例えば、空気動力学的粒子径が、2μmの粒子を想定している。「空気動力学的粒子径」とは、空気動力学的挙動が、比重1.0の球形粒子と等価になるような粒子の直径を意味する。空気動力学的粒子径は、粒子の沈降速度から求められる粒径である。分離装置1で分離されずに空気中に残る固体は、例えば、分離装置1で分離することを想定している微粒子よりも粒径の小さな微粒子(言い換えれば、分離装置1で分離することを想定している微粒子の質量よりも小さな質量の微粒子)を含む。
【0074】
(4)分離装置の分離性能
以下では、実施形態1に係る分離装置1の分離性能を説明する前に、実施形態1の比較例に係る分離装置1rについて図8に基づいて説明する。比較例に係る分離装置1rに関し、実施形態1に係る分離装置1と同様の構成要素については、同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0075】
比較例に係る分離装置1rは、実施形態1に係る分離装置1の複数の気流制御リブ9を備えていない点で、実施形態1に係る分離装置1と相違する。
【0076】
比較例に係る分離装置1rでは、回転体3が回転しているときに、外部カバー5の内周面57とケーシング2の外周面25との間の空間S1に、図8に示すシミュレーション結果のような圧力分布が生じる。これは、ケーシング2内の流路200から排出孔60を通して空間S1に流出した気流の旋回速度が維持されやすいためであると推考される。回転体3の回転中心軸30に沿った方向から見て、空間S1では、回転中心軸30に直交する方向において、ケーシング2の外周面25から離れて外部カバー5の内周面57に近づくにつれて圧力が高くなる傾向があり、空間S1のうちケーシング2の外周面25に近い領域の圧力が負圧になることがある。空間S1に負圧の領域が発生すると、外部カバー5の下端52の下方空間の圧力(大気圧)のほうが空間S1の圧力よりも高くなってしまい、空間S1において負圧の領域に外部カバー5の下端52の下方空間からの大気の吸い込みが発生してしまう。このような大気の吸い込みが発生すると、ケーシング2の流路200から排出孔60を通して空間S1内に流出した気体に含まれる固体が、空間S1から分離装置1の外部へ排出されにくくなり、ケーシング2内に逆流してしまう可能性もある。つまり、比較例に係る分離装置1rでは、空間S1において負圧の領域に外部カバー5の下端52の下方空間からの大気の吸い込みが発生してしまうと、分離性能が低下してしまう可能性がある。
【0077】
これに対して、実施形態1に係る分離装置1は、外部カバー5の内周面57とケーシング2の外周面25との間の空間S1に配置された複数の気流制御リブ9を備えるので、ケーシング2内の流路200から排出孔60を通して空間S1に流出した気流が気流制御リブ9に衝突することで減速されやすくなる。これにより、実施形態1に係る分離装置1では、空間S1に負圧の領域が発生しにくくなり、分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0078】
(4)利点
実施形態に係る分離装置1は、ケーシング2と、回転体3と、羽根36と、外部カバー5と、複数の気流制御リブ9と、を備える。ケーシング2は、気体の入口となる入口開口21と、入口開口21よりも上方に位置し気体の出口となる出口開口22と、入口開口21と出口開口22との間に位置する複数の排出孔60と、を有する。回転体3は、ケーシング2の内側に配置されている。回転体3は、上下方向に沿った回転中心軸30を中心として回転可能である。羽根36は、回転体3とケーシング2との間でケーシング2の内周面27から離れて配置されており、回転体3と一緒に回転する。外部カバー5は、ケーシング2を囲んでいる。複数の気流制御リブ9は、外部カバー5の内周面57から突出している。
【0079】
以上の構成により、実施形態1に係る分離装置1は、気体に含まれる固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0080】
(5)分離装置の適用例
分離装置1は、例えば、住宅等に設置する空気浄化システムにおいて、空調設備の上流側に配置されたHEPAフィルタ(high efficiency particulate air filter)等のエアフィルタよりも上流側に配置して使用する。「HEPAフィルタ」とは、定格流量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能をもつエアフィルタである。エアフィルタは、100%の粒子捕集効率を必須の条件とはしない。空気浄化システムは、分離装置1を備えることにより、空気中に含まれる砂塵等の微粒子がエアフィルタへ到達するのを抑制することが可能となる。よって、空気浄化システムでは、分離装置1よりも下流側にあるエアフィルタ等の長寿命化を図ることが可能となる。例えば、空気浄化システムでは、エアフィルタに捕集される微粒子等の総質量が増加することによる圧力損失の上昇を抑制することが可能となる。これにより、空気浄化システムでは、エアフィルタの交換頻度を少なくすることが可能となる。空気浄化システムは、エアフィルタと空調設備とが互いに異なる筐体に収納された構成に限らず、空調設備の筐体内にエアフィルタを備えていてもよい。言い換えれば、空調設備が、送風装置に加えてエアフィルタを備えていてもよい。
【0081】
(実施形態2)
以下では、実施形態2に係る分離装置1aについて、図9に基づいて説明する。実施形態2に係る分離装置1aに関し、実施形態1に係る分離装置1と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
【0082】
実施形態2に係る分離装置1aでは、複数の気流制御リブ9が、回転中心軸30に沿った方向から見て、回転体3の回転方向A1において外部カバー5側の基端がケーシング2側の先端よりも後方に位置するように傾いている。ここにおいて、複数の気流制御リブ9は、回転体3の一径方向に対して所定角度(例えば、45度)だけ傾いている。つまり、分離装置1aでは、複数の気流制御リブ9の各々が、回転体3の一径方向に対して回転体3の回転方向A1に所定角度(例えば、45度)だけ傾いている。所定角度は、45度に限らず、例えば、5度以上85度以下の範囲内の角度であってもよい。
【0083】
実施形態2に係る分離装置1aは、実施形態1に係る分離装置1と同様、複数の気流制御リブ9を備えるので、外部カバー5の内周面57にかかる圧力を抑制でき、空間S1に負圧の領域が発生するのを抑制することが可能となる。よって、実施形態2に係る分離装置1aは、気体に含まれる固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0084】
(実施形態3)
以下では、実施形態3に係る分離装置1bについて、図10に基づいて説明する。実施形態3に係る分離装置1bに関し、実施形態1に係る分離装置1と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
【0085】
実施形態3に係る分離装置1bでは、気流制御リブ9として、外部カバー5の内周面57から突出している複数の気流制御リブ9(以下、第1気流制御リブ91ともいう)に加えて、ケーシング2の外周面25から突出している複数の気流制御リブ9(以下、第2気流制御リブ92ともいう)を備える点で、実施形態1に係る分離装置1と相違する。
【0086】
複数の第2気流制御リブ92は、図10に示すようにケーシング2の外周面25の周方向において離隔して配置されている。ここにおいて、複数の第2気流制御リブ92は、ケーシング2の外周面25の周方向において略等間隔で離れて配置されている。各第2気流制御リブ92は、ケーシング2の外周面25から、回転体3の一径方向に延びている。すなわち、複数の第2気流制御リブ92は、ケーシング2から放射状に延びている。各第2気流制御リブ92は、回転体3の一径方向において複数の第1気流制御リブ91のいずれとも重ならないように配置されている。また、第1気流制御リブ91の突出寸法と第2気流制御リブ92の突出寸法との合計寸法は、外部カバー5の内径とケーシング2の外径との差分(言い換えれば、回転体3の一径方向における、ケーシング2の外周面25と外部カバー5の内周面27との距離)よりも小さい。複数の第1気流制御リブ91の数と複数の第2気流制御リブ92の数とは互いに同じであってもよいし、互いに異なってもよい。
【0087】
複数の第2気流制御リブ92は、ケーシング2において少なくとも1つの排出孔60の近傍部位からケーシング2の下端にわたって設けられている。排出孔60の近傍部位は、排出孔60の下端でもよいし、ケーシング2の周方向において排出孔60に隣接する部位でもよい。
【0088】
実施形態3に係る分離装置1bは、複数の第1気流制御リブ91の他に複数の第2気流制御リブ92を備えるので、実施形態1に係る分離装置1と比べて、ケーシング2内の流路200から排出孔60を通して空間S1に流出した気流が気流制御リブ9に衝突して減速されやすくなる。これにより、実施形態3に係る分離装置1bでは、実施形態1に係る分離装置1と比べて、空間S1に負圧の領域が発生しにくくなり、分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0089】
(実施形態4)
以下では、実施形態4に係る分離装置1cについて、図11に基づいて説明する。実施形態4に係る分離装置1cに関し、実施形態2に係る分離装置1aと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
【0090】
実施形態4に係る分離装置1cでは、気流制御リブ9として、外部カバー5の内周面57から突出している複数の気流制御リブ9(以下、第1気流制御リブ91ともいう)に加えて、ケーシング2の外周面25から突出している複数の気流制御リブ9(以下、第2気流制御リブ92ともいう)を備える点で、実施形態2に係る分離装置1aと相違する。
【0091】
複数の第2気流制御リブ92は、図11に示すようにケーシング2の外周面25の周方向において離隔して配置されている。ここにおいて、複数の第2気流制御リブ92は、ケーシング2の外周面25の周方向において略等間隔で離れて配置されている。実施形態4に係る分離装置1cでは、複数の第2気流制御リブ92が、回転中心軸30に沿った方向から見て、回転体3の回転方向A1においてケーシング2側の基端が外部カバー5側の先端よりも後方に位置するように傾いている。ここにおいて、複数の第2気流制御リブ92は、回転体3の一径方向に対して所定角度(例えば、45度)だけ傾いている。つまり、分離装置1cでは、複数の第2気流制御リブ92の各々が、回転体3の一径方向に対して回転体3の回転方向A1に所定角度(例えば、45度)だけ傾いている。所定角度は、45度に限らず、例えば、5度以上85度以下の範囲内の角度であってもよい。
【0092】
複数の第2気流制御リブ92は、ケーシング2において少なくとも1つの排出孔60の近傍部位からケーシング2の下端にわたって設けられている。排出孔60の近傍部位は、排出孔60の下端でもよいし、ケーシング2の周方向において排出孔60に隣接する部位でもよい。
【0093】
回転体3の回転中心軸30に沿った方向から見て、複数の第1気流制御リブ91の先端の包絡線と複数の第2気流制御リブ92の先端の包絡線とは、離れている。ここにおいて、複数の第1気流制御リブ91の先端の包絡線と外部カバー5の内周面57との距離と、複数の第2気流制御リブ92の先端の包絡線とケーシング2の外周面25との距離と、の合計距離は、外部カバー5の内周面57とケーシング2の外周面25との距離よりも短い。
【0094】
実施形態4に係る分離装置1cは、複数の第1気流制御リブ91の他に複数の第2気流制御リブ92を備えるので、実施形態2に係る分離装置1aと比べて、ケーシング2内の流路200から排出孔60を通して空間S1に流出した気流が気流制御リブ9に衝突して減速されやすくなる。これにより、実施形態4に係る分離装置1cでは、実施形態2に係る分離装置1aと比べて、空間S1に負圧の領域が発生しにくくなり、分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0095】
(実施形態5)
以下では、実施形態5に係る分離装置1dについて、図12図13に基づいて説明する。実施形態5に係る分離装置1dに関し、実施形態2に係る分離装置1aと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
【0096】
実施形態5に係る分離装置1dでは、ケーシング2dの形状が、実施形態2に係る分離装置1aにおけるケーシング2の形状と相違する。
【0097】
ケーシング2dでは、第1筒部201の外径が第2筒部202の外径よりも小さく、第1筒部201の内径が第2筒部202の内径よりも小さい。
【0098】
ケーシング2dは、中心軸20に沿った方向において、各羽根36の第2端362よりも排出孔60側に空間28を有する。分離装置1dでは、排出孔60は、回転中心軸30に直交する方向において空間28と重なる位置にある。つまり、排出孔60は、ケーシング2の軸方向に直交する方向において空間28と重なる位置にある。また、分離装置1dでは、排出孔60は、回転中心軸30に直交する方向において各羽根36と重複しない位置にある。つまり、排出孔60は、ケーシング2dの中心軸20に直交する方向において各羽根36と重複しない位置にある。言い換えれば、ケーシング2dを側方から見たときの排出孔60の投影領域には、各羽根36がない。
【0099】
分離装置1dでは、ケーシング2dの中心軸20に沿った方向における羽根36の長さと空間28の長さとの合計に対する空間28の長さの比率は、例えば、0.4であるが、これに限らない。
【0100】
また、実施形態5に係る分離装置1dでは、複数(図示例では、4つ)の排出孔60の各々が、略4分の1円弧状である。複数の排出孔60は、ケーシング2の外周縁に沿った方向に並んでいる。4つの排出孔60の各々の開口範囲は、ケーシング2の中心軸20を中心として、90度よりも若干小さい。
【0101】
また、実施形態5に係る分離装置1dでは、入口開口21が、ケーシング2dの外周面25ではなく、ケーシング2dの下面24に形成されている。また、実施形態5に係る分離装置1dは、実施形態1に係る分離装置1における入口ダクト7の代わりに、ケーシング2dの下面24における入口開口21の周縁から下方に延びている小径部70を有している。小径部70は、有底円筒状であり、外周面の下端に流入口11が形成されている。小径部70の内径及び外径は、第2筒部202の内径よりも小さい。
【0102】
実施形態5に係る分離装置1dは、実施形態1に係る分離装置1と同様、複数の気流制御リブ9を備えるので、外部カバー5の内周面57にかかる圧力を抑制でき、空間S1に負圧の領域が発生するのを抑制することが可能となる。よって、実施形態5に係る分離装置1dは、気体に含まれる固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0103】
図14A、14B及び14Cは、実施形態5に係る分離装置1dの比較例に係る分離装置1sにおける流体の速度ベクトルのシミュレーション結果を示す。流体の速度ベクトルは、回転体3の回転中心軸30に沿ったZ軸を有するXYZ直交座標系のXY平面(つまり、回転中心軸30に直交する平面)における気体の速度ベクトルである。また、比較例に係る分離装置1sは、実施形態5に係る分離装置1dの複数の気流制御リブ9を備えていない点のみ、実施形態5に係る分離装置1dと相違する。図15A、15B及び15Cは、実施形態5に係る分離装置1dにおける流体の速度ベクトルのシミュレーション結果を示す。流体の速度ベクトルのシミュレーションに関しては、流体解析ソフトウェアを用いて行った。流体解析ソフトウェアとしては、例えば、ANSYS(R) Fluent(R)を採用することができる。
【0104】
図15A、15B及び15Cは、回転体3の回転中心軸30に沿った上下方向の位置に関し、それぞれ、図14A、14B及び14Cと同じ位置における水平断面での流体の速度ベクトルを示している。図15A及び図14Aは、空間28を含む水平断面での流体の速度ベクトルを示している。図15B及び図14Bは、空間28を含み図15A及び図14Aよりも回転体3に近い位置における水平断面での流体の速度ベクトルを示している。図15C及び図14Cは、回転体3の第1端31を通る水平断面での流体の速度ベクトルを示している。
【0105】
図15A~15C及び図14A~14Cから、実施形態5に係る分離装置1dでは、比較例に係る分離装置1sと比べて、空間S1内での気体の流れが抑制され、外部カバー5の内周面57近くに高速の流体が存在しにくくなることが分かる。これにより、実施形態5に係る分離装置1dでは、比較例に係る分離装置1sと比べて、外部カバー5の内周面57にかかる圧力を抑制でき、空間S1に負圧の領域が発生するのを抑制することが可能となる。
【0106】
(実施形態6)
以下では、実施形態6に係る分離装置1eについて、図16A~16Cに基づいて説明する。実施形態6に係る分離装置1eに関し、実施形態5に係る分離装置1dと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を省略する。
【0107】
実施形態6に係る分離装置1eは、複数の気流制御リブ9が、回転中心軸30に沿った方向から見て、回転体3の回転方向A1において外部カバー5側の基端がケーシング2側の先端よりも後方に位置するように傾いている。ここにおいて、複数の気流制御リブ9は、回転体3の一径方向に対して所定角度(例えば、45度)だけ傾いている。つまり、分離装置1eでは、複数の気流制御リブ9の各々が、回転体3の一径方向に対して回転体3の回転方向A1に所定角度(例えば、45度)だけ傾いている。所定角度は、45度に限らず、例えば、5度以上85度以下の範囲内の角度であってもよい。
【0108】
実施形態6に係る分離装置1eは、実施形態1に係る分離装置1と同様、複数の気流制御リブ9を備えるので、外部カバー5の内周面57にかかる圧力を抑制でき、空間S1に負圧の領域が発生するのを抑制することが可能となる。よって、実施形態6に係る分離装置1eは、気体に含まれる固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0109】
図16A、16B及び16Cは、実施形態6に係る分離装置1eにおける流体の速度ベクトルのシミュレーション結果を示す。図16A、16B及び16Cは、回転体3の回転中心軸30に沿った上下方向の位置に関し、それぞれ、図4A、14B及び14Cと同じ位置における水平断面での流体の速度ベクトルを示している。図16A~16C及び図14A~14Cから、実施形態6に係る分離装置1eでは、比較例に係る分離装置1rと比べて、空間S1内での気体の流れが抑制され、外部カバー5の内周面57近くに高速の流体が存在しにくくなることが分かる。これにより、実施形態6に係る分離装置1eでは、比較例に係る分離装置1rと比べて、外部カバー5の内周面57にかかる圧力を抑制でき、空間S1に負圧の領域が発生するのを抑制することが可能となる。
【0110】
(変形例)
上記の実施形態1~6は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態1~4は、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0111】
分離装置1、1a、1b、1c、1d、1eは、複数の気流制御リブ9のうち少なくとも1つの気流制御リブ9を備えていれば、分離性能の向上を図ることが可能となる。ここにおいて、分離性能の向上を図る観点では、気流制御リブ9の数が多いほうが好ましい。なお、気流制御リブ9は、第2気流制御リブ92だけであってもよい。
【0112】
ケーシング2、2dの材料は、ABS等の合成樹脂に限らず、金属等でもよい。また、回転体3及び複数の羽根36の材料は、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂に限らず、例えば、金属等でもよい。また、回転体3の材料と複数の羽根36の材料とは互いに異なっていてもよい。
【0113】
ケーシング2dは、円筒状に限られず、例えば六角筒状であってもよい。外部カバー5は、円筒状に限られず、例えば六角筒状であってもよい。
【0114】
分離装置1~1cでは、入口開口21は、ケーシング2の外周面25の下端に形成されていなくてもよく、例えば、ケーシング2の外周面25において中央よりも下側の部分に形成されていてもよい。
【0115】
出口開口22は、入口開口21よりも上側であれば、ケーシング2の外周面25の上端に形成されていなくてもよく、例えば、ケーシング2の外周面25において中央よりも上側の部分に形成されていてもよい。また、出口開口22は、ケーシング2の外周面25に形成されていなくてもよく、例えばケーシング2の上面23に形成されていてもよい。
【0116】
第1排出孔61の形状は特に限定されず、ケーシング2の周方向の全体にわたって形成されていなくてもよい。例えば、第1排出孔61は、ケーシング2の中心軸20を中心とする円弧状であってもよいし、回転体3の回転方向に沿った螺旋方向の螺旋状であってもよいし、丸孔或いは任意の多角形状の孔であってもよいし、他の形状であってもよい。なお、「螺旋方向の螺旋状」とは、螺旋の少なくとも一部により形成された形状を意味する。螺旋の少なくとも一部とは、螺旋の回転数が1未満でもよいことを意味する。
【0117】
第2排出孔62の形状も特に限定されず、ケーシング2の周方向の全体にわたって形成された円環状であってもよいし、丸孔或いは任意の多角形状の孔であってもよいし、他の形状であってもよい。
【0118】
ケーシング2は、第1排出孔61及び第2排出孔62に加えて、上下方向において第1排出孔61及び第2排出孔62とは異なる位置に、一又は複数の別の排出孔(第3排出孔)を更に有していてもよい。第3排出孔の形状は特に限定されず、ケーシング2の中心軸20を中心とする円弧状又は円環状であってもよいし、他の形状であってもよい。ケーシング2における第3排出孔の形成位置も特に限定されず、上下方向において、第1排出孔61よりも上方又は第2排出孔62よりも下方の位置に形成されていてもよいし、第1排出孔61と第2排出孔62との間の位置に形成されていてもよい。
【0119】
また、ケーシング2は、排出孔60を複数有している場合に限らず、少なくも1つの排出孔60を有していればよい。
【0120】
ケーシング2は、必ずしも下面24に開口240を有していなくてもよい。
【0121】
回転体3の形状は特に限定されず、円筒状又は円柱状であってもよいし、例えば楕円球状等の他の形状であってもよい。
【0122】
回転体3の第1端31は、ケーシング2の入口開口21の上端よりも上側に位置していてもよい。或いは、回転体3の第1端31は、ケーシング2の入口開口21の下端よりも下側に位置していてもよい。
【0123】
回転体3の第2端32は、ケーシング2の出口開口22の下端よりも下側に位置していてもよい。或いは、回転体3の第2端32は、ケーシング2の出口開口22の上端よりも上側に位置していてもよい。
【0124】
複数の羽根36は、回転体3と一体成型されていてもよいし、回転体3と別部材として形成され回転体3に固定されることで回転体3に連結されていてもよい。
【0125】
羽根36の形状は、平板状に限らず、例えば、回転体3の回転中心軸30のまわりで螺旋状に形成されていてもよい。ここにおいて「螺旋状」とは、回転数が1以上の螺旋形状に限らず、回転数が1の螺旋形状の一部の形状も含む。
【0126】
羽根36の第1端361は、ケーシング2の入口開口21の上端よりも上側に位置していてもよい。或いは、羽根36の第1端361は、ケーシング2の入口開口21の下端よりも下側に位置していてもよい。
【0127】
羽根36の第2端362は、ケーシング2の出口開口22の下端よりも下側に位置していてもよい。或いは、羽根36の第2端362は、ケーシング2の出口開口22の上端よりも上側に位置していてもよい。
【0128】
分離装置1、1a、1b、1c、1d、1eは、第1筒部201を支持するための支持脚部を備えていてもよい。
【0129】
入口ダクト7は、外部カバー5の開口53を貫通していなくてもよい。例えば、ケーシング2の入口開口21からの入口ダクト7の長さを、外部カバー5の開口53まで届かない長さとして、流入口11が外部カバー5内に位置するようにしてもよい。この場合、例えば、入口ダクト7の流入口11につながる別のダクトが、外部カバー5の開口53を貫通するように配置されていてもよい。また、外部カバー5の開口53又は入口ダクト7の流入口11に、防虫網が設けられていてもよい。
【0130】
また、分離装置1におけるケーシング2は、出口開口22を複数有していてもよい。この場合、ケーシング2は、出口ダクト8を複数有していてもよい。複数の出口ダクト8は、ケーシング2の外周方向に並んでいてもよいし、ケーシング2の軸方向において互いに異なる位置にあってもよい。また、分離装置1は、出口ダクト8を備えていない構成であってもよい。
【0131】
また、ケーシング2、2dの入口開口21からケーシング2に流入する気体は、空気に限らず、例えば、排気ガス等であってもよい。
【0132】
駆動装置4は、モータの回転軸を回転体3に直接又は間接的に連結してあってもよいし、モータの回転軸の回転をプーリ及び回転ベルトを介して回転体3に伝達するようにしてあってもよい。モータは、ケーシング2、2dの内側に配置されていてもよいし、ケーシング2、2dの外側に配置されていてもよい。
【0133】
分離システム10は、分離装置1の代わりに、分離装置1a~1eのいずれか1つを備えていてもよい。
【0134】
また、分離システム10は、複数の分離装置1を備えてもよい。また、分離システム10は、分離装置1、1a、1b、1c、1d、1eのうちの少なくとも2種類を備えてもよい。
【0135】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0136】
第1の態様に係る分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)は、ケーシング(2;2d)と、回転体(3)と、羽根(36)と、外部カバー(5)と、少なくとも1つの気流制御リブ(9)と、を備える。ケーシング(2;2d)は、気体の入口となる入口開口(21)と、入口開口(21)よりも上方に位置し気体の出口となる出口開口(22)と、入口開口(21)と出口開口(22)との間に位置する少なくとも1つの排出孔(60)と、を有する。回転体(3)は、ケーシング(2;2d)の内側に配置されている。回転体(3)は、上下方向に沿った回転中心軸(30)を中心として回転可能である。羽根(36)は、回転体(3)とケーシング(2;2d)との間でケーシング(2;2d)の内周面(27)から離れて配置されており、回転体(3)と一緒に回転する。外部カバー(5)は、ケーシング(2;2d)を囲んでいる。少なくとも1つの気流制御リブ(9)は、外部カバー(5)の内周面(57)とケーシング(2;2d)の外周面(25)とのいずれか一方から突出している。
【0137】
第1の態様に係る分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)は、気体に含まれる固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0138】
第2の態様に係る分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)は、第1の態様において、少なくとも1つの気流制御リブ(9)は、外部カバー(5)の内周面(57)から突出し外部カバー(5)の内周面(57)の周方向において離隔している複数の第1気流制御リブ(91)を含む。
【0139】
第2の態様に係る分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、分離性能の向上を図ることが可能となる。
【0140】
第3の態様に係る分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、第2の態様において、複数の第1気流制御リブ(91)は、回転中心軸(30)に直交する方向において少なくとも1つの排出孔(60)に対向している。
【0141】
第3の態様に係る分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、少なくとも1つの排出孔(60)から排出された気流の速度を低下させやすくなる。
【0142】
第4の態様に係る分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、第3の態様において、複数の第1気流制御リブ(91)は、外部カバー(5)において少なくとも1つの排出孔(60)に対向する部位から下端(52)にわたって設けられている。
【0143】
第4の態様に係る分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)では、少なくとも1つの排出孔(60)から排出された気流の速度を低下させやすくなる。
【0144】
第5の態様に係る分離装置(1a;1c;1e)では、第2~4の態様のいずれか1つにおいて、複数の第1気流制御リブ(91)は、回転中心軸(30)に沿った方向から見て、回転体(3)の回転方向(A1)において外部カバー(5)側の基端がケーシング(2;2d)側の先端よりも後方に位置するように傾いている。
【0145】
第5の態様に係る分離装置(1a;1c;1e)では、分離効率の向上を図ることが可能となる。
【0146】
第6の態様に係る分離装置(1b;1c)は、第2~5の態様のいずれか1つにおいて、少なくとも1つの気流制御リブ(9)は、ケーシング(2)の外周面(25)から突出している複数の第2気流制御リブ(92)を含む。
【0147】
第6の態様に係る分離装置(1b;1c)は、分離性能の更なる向上を図ることが可能となる。
【0148】
第7の態様に係る分離装置(1c)では、第6の態様において、複数の第2気流制御リブ(92)は、回転体(3)の回転中心軸(30)に沿った方向から見て、回転体(3)の回転方向(A1)においてケーシング(2)側の基端が外部カバー(5)側の先端よりも後方に位置するように傾いている。
【0149】
第7の態様に係る分離装置(1c)では、分離性能の更なる向上を図ることが可能となる。
【0150】
第8の態様に係る分離装置(1)は、第6又は7の態様において、複数の第1気流制御リブ(91)と複数の第2気流制御リブ(92)とは、回転中心軸(30)に直交する方向において重ならない。
【0151】
第9の態様に係る分離システム(10)は、第1~8の態様のいずれか1つの分離装置(1;1a;1b;1c;1d;1e)と、駆動装置(4)と、を備える。駆動装置(4)は、回転体(3)を回転駆動する。
【0152】
第9の態様に係る分離システム(10)は、気体に含まれる固体を気体から分離する分離性能の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0153】
1、1a、1b、1c、1d、1e 分離装置
2、2d ケーシング
21 入口開口
22 出口開口
3 回転体
30 回転中心軸
4 駆動装置
5 外部カバー
52 下端
9 気流制御リブ
91 第1気流制御リブ
92 第2気流制御リブ
10分離システム
36 羽根
60 排出孔
A1 回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16