(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】口腔衛生装置用部材
(51)【国際特許分類】
A61C 17/02 20060101AFI20240531BHJP
A61C 17/00 20060101ALI20240531BHJP
A61C 17/22 20060101ALI20240531BHJP
【FI】
A61C17/02 B
A61C17/00 T
A61C17/22
(21)【出願番号】P 2020179778
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】本多 未紗
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真一
(72)【発明者】
【氏名】井上 弘幹
【審査官】松山 雛子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2857619(CN,Y)
【文献】実開平04-123122(JP,U)
【文献】中国実用新案第208373361(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 17/00
A61C 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の通過が可能な流路を有する柄部と、
前記柄部の一端側に連設されるヘッド本体と、前記ヘッド本体に保持されるヘッド材と、を有するヘッド部と、
を備え、
前記ヘッド材は、前記ヘッド本体に保持された状態で前記ヘッド本体から露出し、口腔内の対象物を清掃可能な繊維状の清掃部を有しており、
前記ヘッド部には、前記流路に連通して前記清掃部に液体を供給することが可能な給液路が形成されて
おり、
前記ヘッド本体は、前記ヘッド材が載置される載置面を有する基台を備えており、
前記ヘッド本体は、前記柄部の一端側に連設されて、前記基台を挿入して保持することが可能な筒状部を備えており、
前記基台を前記筒状部に挿入して保持した状態で、前記基台の外周に形成される隙間が前記給液路の少なくとも一部を構成している、
口腔衛生装置用部材。
【請求項2】
前記清掃部がパイル毛である、
請求項1に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項3】
前記清掃部は、複数のループ部を備えており、
前記ループ部は、高さが0.5mm以上10mm以下である、
請求項2に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項4】
前記清掃部の各繊維は、繊維径が0.001mm以上0.05mm以下である、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項5】
前記ヘッド部は、厚みが5mm以上15mm以下であり、外径の最大寸法が15mm以上40mm以下である、
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項6】
前記基台の近傍に前記給液路が形成されている、
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項7】
前記基台に前記給液路が形成されている、
請求項1~6のうちいずれか1項に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項8】
前記基台を前記筒状部に挿入して保持した状態を前記筒状部の軸方向に沿って視たときに、前記隙間が前記基台の外周側に全周に亘って形成されている、
請求項
1~7のうちいずれか1項に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項9】
前記筒状部の軸方向の一方側には、前記ヘッド材を前記載置面上に載置させた状態で前記基台を前記筒状部に挿入して保持したときに前記ヘッド材の前記清掃部を露出させる第1の開口が形成されており、
前記第1の開口の周縁部には、前記ヘッド材の前記ヘッド部からの抜けを抑制する抜け止め部と、前記隙間内の液体を前記第1の開口側に流出させることが可能な流出部と、が形成されている、
請求項
1~8のうちいずれか1項に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項10】
前記筒状部には、前記筒状部の軸方向の一方側から前記ヘッド部を視たときに、前記基台を前記筒状部の軸方向の一方側から覆う被覆領域が形成されており、当該被覆領域が前記抜け止め部となっており、
前記第1の開口には、前記筒状部の軸方向の一方側から前記ヘッド部を視たときに、前記隙間と重なり合う重畳領域が形成されており、当該重畳領域が前記流出部となっている、
請求項
9に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項11】
前記ヘッド本体は、前記筒状部の軸方向の他方側の第2の開口を塞ぐカバーを備えている、
請求項
1~10のうちいずれか1項に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項12】
前記基台は、前記載置面の外周から前記筒状部の軸方向の他方側に延設される筒体を備えており、
前記カバーには、前記筒体の内部に挿入されて前記給液路の容積を減らす突起部が形成されている、
請求項
11に記載の口腔衛生装置用部材。
【請求項13】
前記流路の前記給液路との連通部に絞り部が形成されている、
請求項1~
12のうちいずれか1項に記載の口腔衛生装置用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔衛生装置用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔衛生装置用部材としては、以下の特許文献1に開示されているように、シート状基材に植毛部を設け、この植毛部で舌や口腔粘膜等の清掃対象部位を擦掃するものが知られている。
【0003】
この特許文献1では、植毛部が、シート状基材に突設された第一のフィラメントおよび第二のフィラメントを備えている。そして、第一のフィラメントは、両端がシート状基材に固定されたループ状をしており、第二のフィラメントは、一端がシート状基材に固定され、他端が自由端となっている。こうすることで、当たり心地に優れ、口腔内全体を良好に清掃できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、当たり心地に優れ、口腔内全体を良好に清掃することは可能であるが、シート状基材に第一のフィラメントおよび第二のフィラメントが密集して設けられている。そのため、清掃対象部位を擦掃するとシート基材がすぐに汚れてしまうという問題がある。
【0006】
また、上記従来の技術では、清掃対象部位を擦掃する際に、第一のフィラメントおよび第二のフィラメントを舌や口腔粘膜等の清掃対象部位に直接接触させているため、清掃対象部位にかかる負担が大きくなってしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本開示は、口腔内の対象物にかかる負担をより軽減することが可能であり、除去性能が低下してしまうことを抑制しつつ、より清潔な状態を維持することが可能な口腔衛生装置用部材を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様にかかる口腔衛生装置用部材は、液体の通過が可能な流路を有する柄部と、前記柄部の一端側に連設されるヘッド本体と、前記ヘッド本体に保持されるヘッド材と、を有するヘッド部と、を備えている。また、前記ヘッド材は、前記ヘッド本体に保持された状態で前記ヘッド本体から露出し、口腔内の対象物を清掃可能な繊維状の清掃部を有している。そして、前記ヘッド部には、前記流路に連通して前記清掃部に液体を供給することが可能な給液路が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、口腔内の対象物にかかる負担をより軽減することが可能であり、除去性能が低下してしまうことを抑制しつつ、より清潔な状態を維持することが可能な口腔衛生装置用部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかる口腔衛生装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態にかかる口腔衛生装置用部材を示す側面図である。
【
図3】実施の形態にかかる口腔衛生装置用部材を示す分解斜視図である。
【
図4】実施の形態にかかる柄部および筒状部を示す側面図である。
【
図5】実施の形態にかかる柄部および筒状部を示す正面図である。
【
図6】実施の形態にかかる柄部および筒状部を示す背面図である。
【
図7】実施の形態にかかる柄部および筒状部を一部拡大して示す側断面図である。
【
図8】実施の形態にかかる柄部および筒状部を一部拡大して示す斜視図である。
【
図9】実施の形態にかかるヘッド材を示す平面図である。
【
図10】実施の形態にかかるヘッド材を示す断面図である。
【
図11】実施の形態にかかるヘッド材の清掃部を説明する図である。
【
図12】実施の形態にかかるヘッド材で用いられる繊維を示す断面図である。
【
図13】実施の形態にかかるヘッド材の形成に用いられるシート状部材を示す平面図である。
【
図14】実施の形態にかかるホルダーを一方向から視た斜視図である。
【
図15】実施の形態にかかるホルダーを他の方向から視た斜視図である。
【
図16】実施の形態にかかるカバーを示す斜視図である。
【
図17】実施の形態にかかるヘッド部を示す側断面図である。
【
図18A】実施の形態にかかるヘッド本体に形成される抜け止め部および流出部の一例を説明する図である。
【
図19】実施の形態にかかるヘッド本体に形成される抜け止め部および流出部の第1変形例を説明する図である。
【
図20】実施の形態にかかるヘッド本体に形成される抜け止め部および流出部の第2変形例を説明する図である。
【
図21】実施の形態にかかるヘッド本体に形成される抜け止め部および流出部の第3変形例を説明する図である。
【
図22】実施の形態にかかるヘッド本体に形成される抜け止め部および流出部の第4変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
また、以下では、口腔衛生装置用部材として、口腔衛生装置の装置本体に着脱可能に装着される各種のアタッチメントの一部として用いられる口腔衛生装置用ノズルを例示する。
【0014】
また、以下の実施の形態では、口腔衛生装置用ノズルの方向について、ノズル柄(柄部)の長手方向に沿った方向を上下方向Zと規定し、筒状部の軸方向に沿った方向を前後方向Xと規定して説明する。そして、上下方向Zおよび前後方向Xに直交する方向を幅方向Yと規定して説明する。
【0015】
さらに、以下の実施の形態では、ヘッド部を上側に位置させた状態におけるヘッド部側を上下方向Zの上側と規定し、ヘッド材の清掃部が露出する側(ヘッド材がヘッド本体から突出する側)を前後方向Xの前方と規定して説明する。
【0016】
(実施の形態)
以下では、実施の形態にかかる口腔衛生装置および口腔衛生装置用ノズルの一例について説明する。
【0017】
[口腔衛生装置の構成の一例]
まず、口腔衛生装置の構成の一例を、
図1を用いて説明する。
【0018】
本実施の形態にかかる口腔衛生装置1は、
図1に示すように、装置本体10と、装置本体10に着脱可能に装着される口腔衛生装置用ノズル(口腔衛生装置用部材)20と、を備えている。
【0019】
ここで、本実施の形態では、口腔衛生装置用ノズル20は、一方向に細長いノズル柄(柄部)30と、ノズル柄30の一端側に連設されるヘッド部40と、を備えている。また、ヘッド部40は、ヘッド本体50と、繊維状の清掃部611を有し、ヘッド本体50に保持されるヘッド材60と、を備えている。そして、この口腔衛生装置用ノズル20は、繊維状の清掃部611に液体を供給することができるように構成されている。
【0020】
具体的には、口腔衛生装置用ノズル20のノズル柄30には、液体の通過が可能な流路P2が形成されており、ヘッド部40には、流路P2に連通して清掃部611に液体を供給することが可能な給液路P3が形成されている。一方、装置本体10には、口腔衛生装置用ノズル20の流路P2に液体を導入することが可能な導入路P1が形成されている。
【0021】
このように、本実施の形態にかかる口腔衛生装置用ノズル20を装置本体10に装着することで形成される口腔衛生装置1は、ヘッド材60を使用者等の清掃対象者の口腔内に挿入した状態で、液体を清掃部611に供給させながら清掃部611によって口腔内を清掃することができる装置になっている。すなわち、本実施の形態にかかる口腔衛生装置1は、繊維状の清掃部611によるブラッシング効果と併せて口腔内を液体で洗浄できるようになっており、口腔洗浄器としての機能を有している。
【0022】
なお、口腔衛生装置用ノズル20を介して供給される液体としては、水を用いることができるが、水に限られるものではなく様々な液体を用いることができる。例えば、洗浄剤が水に混入された洗浄液などを用いることが可能である。
【0023】
また、本実施の形態では、装置本体10は、液体を貯留することが可能な貯液タンク(貯液部)12と、貯液タンク12内の液体を口腔衛生装置用ノズル20の流路P2に導入するためのポンプ13と、を備えている。さらに、装置本体10は、貯液タンク12に連設されるホース14と、一端がホース14に連設され、他端に口腔衛生装置用ノズル20が装着されるグリップ15と、を備えている。
【0024】
貯液タンク12は、口腔衛生装置用ノズル20に供給される液体を貯留するものである。なお、装置本体10が貯液タンク12を備えている必要はなく、例えば、水道水等の液体を外部から直接的に引き込むようにすることも可能である。
【0025】
ポンプ13は、貯液タンク12に貯留されている液体を引き込み、ホース14を介してグリップ15へと送り出すものである。このポンプ13としては、例えば、ピストンポンプ式のポンプを用いることが可能である。ただし、ポンプ13の方式については、特に限定されるものではない。
【0026】
グリップ15は、口腔衛生装置1の使用時に使用者等が把持することが可能な部材であり、略円柱状をしている。このグリップ15の軸方向の一方の先端には、口腔衛生装置用ノズル20が着脱可能に装着されている。そして、グリップ15の軸方向の他方の先端には、ホース14が接続されている。
【0027】
このホース14の内部には、一端が貯液タンク12に連通された導入路P1が形成されている。この導入路P1は、グリップ15の内部に形成された導入路P1を介してノズル柄30の流路P2に連通している。したがって、貯液タンク12内の液体は、ホース14を介してグリップ15内に導入され、グリップ15内に導入された液体が口腔衛生装置用ノズル20内の流路P2および給液路P3に導かれるようになっている。
【0028】
また、本実施の形態では、グリップ15は、一部が表面側に露出する操作スイッチ15aを備えており、使用者等がグリップ15を把持した状態で操作スイッチ15aを操作することで、液体の噴出のオン・オフなどを調節することができるようになっている。
【0029】
また、装置本体10が、貯液タンク12やポンプ13を収容するケース11を備えていてもよい。本実施の形態では、装置本体10が、略円筒状の外形を有するケース11を備えるものを例示している。
【0030】
このケース11は、貯液タンク12やポンプ13が収容されるケース本体111と、ケース本体111に回動可能に取り付けられて、ケース本体111の上方に開口する開口111aを開閉可能に覆う上蓋112と、を備えている。
【0031】
本実施の形態では、ケース本体111は、略半円形の板部材である天壁1111と、略円形の板部材である底壁1112と、底壁1112の周縁部から立ち上がるように連設されて、上端の一部が天壁1111の円弧部分に連設される周壁1113と、を備えている。
【0032】
したがって、ケース本体111の天壁1111で覆われていない部分に、半円形の開口111aが上方に開口するように形成されることになる。
【0033】
また、貯液タンク12は、貯液タンク12の開口がケース本体111の開口111aと連通するようにした状態でケース本体111内に収容されており、この開口111aを開閉可能に塞ぐように上蓋112がケース本体111に取り付けられている。そして、使用者等が上蓋112を開くことで、貯液タンク12への液体の補給を行うことができるようになっている。
【0034】
また、周壁1113に、グリップ保持部1113aやホース保持部1113bを設けるようにしてもよい。例えば、グリップ保持部1113aを周壁1113に設けると、口腔衛生装置1(装置本体10)が使用されていないときに、グリップ15をグリップ保持部1113aに係合させて保持しておくことができるようになる。また、ホース保持部1113bを周壁1113に設けると、口腔衛生装置1(装置本体10)が使用されていないときに、ホース14をホース保持部1113bに巻き付けて保持しておくことができるようになる。
【0035】
なお、ケース11の内部に、ポンプ13等の動作を制御する制御部としての制御基板などが設置されていてもよい。
【0036】
また、本実施の形態では、電源コード16を介して外部からポンプ13等を動作させるための電源が供給されるようにしたものを例示している。しかしながら、口腔衛生装置1(装置本体10)の構成はこのような構成に限られるものではなく、例えば、ケース11内に充電池を備えるようにして、充電式でポンプ13等を稼働させるようにすることも可能である。
【0037】
また、ケース11の外面に、口腔衛生装置用ノズル20から供給される液体の流れの強さ(単位時間当たりの流量)などを調整する操作ボタンが設置されていてもよい。
【0038】
また、ケース11等は、合成樹脂等の材料を用いて形成することができるが、これに限らず様々な材料を用いて形成することが可能である。
【0039】
[口腔衛生装置用ノズルの構成の一例]
次に、口腔衛生装置用ノズルの構成の一例を
図2~
図18Bを用いて説明する。
【0040】
本実施の形態にかかる口腔衛生装置用ノズル20は、上述したように、口腔衛生装置1の装置本体10が備えるグリップ15に着脱可能に装着されるものである。
【0041】
また、口腔衛生装置用ノズル20は、上述したように、口腔衛生装置1の装置本体10に着脱可能に装着される各種のアタッチメントの一部として用いられるものである。
【0042】
口腔衛生装置1の装置本体10に着脱可能に装着される他のアタッチメントとしては、例えば、昇圧された液体(水、洗浄水等)を先端のノズルから噴射させて使用者等の口腔内を洗浄することが可能なノズルアタッチメントがあげられる。こうすれば、用途に応じて複数種類のアタッチメントを使い分けることができ、より効果的に口腔内の衛生状態を良好に保つことができるようになる。なお、口腔衛生装置用ノズル20を各種のアタッチメントの一部として用いるのではなく、口腔衛生装置用ノズル20専用の口腔衛生装置1とすることも可能である。
【0043】
口腔衛生装置用ノズル20は、
図2に示すように、液体の通過が可能な流路P2を有するノズル柄(柄部)30を備えている。また、口腔衛生装置用ノズル20は、ノズル柄30の一端側(
図2の上端)に連設されるヘッド本体50と、ヘッド本体50に保持されるヘッド材60と、を有するヘッド部40を備えている。
【0044】
ノズル柄30は、上下方向Zに細長い円筒状をしており、例えば、合成樹脂等の材料を用いて形成することができる。ただし、ノズル柄30は、金属等他の材料を用いて形成することも可能である。そして、このノズル柄30の内部には、上下方向Zに延在する流路P2が形成されている(
図7参照)。
【0045】
本実施の形態では、ノズル柄30は、ヘッド部40が連設される本体部31と、本体部31の上下方向Zの下方に連設されて、グリップ15の軸方向の一方の先端に係合される突部32と、を備えている。そして、この突部32をグリップ15に形成された図示せぬ係合凹部に挿入して係合させることで、口腔衛生装置用ノズル20がグリップ15に装着されるようになっている。
【0046】
一方、ヘッド部40は、略円板状をしており、軸方向を前後方向Xに沿わせた状態で本体部31の上端に連設されている。このヘッド部40は、
図3に示すように、ノズル柄30(本体部31)の上端(一端側)に連設されるヘッド本体50と、ヘッド本体50に保持されるヘッド材60と、を備えている。
【0047】
また、ヘッド本体50は、ヘッド材60が載置されるホルダー(基台)51と、ノズル柄30(本体部31)の上端に連設されて、ホルダー51を挿入して保持することが可能な筒状部52と、筒状部52の背面側を塞ぐカバー53と、を備えている(
図3参照)。
【0048】
なお、ホルダー51、筒状部52、カバー53およびヘッド材60も、例えば、合成樹脂等の材料を用いて形成することができるが、ヘッド材60以外の構成要素については、金属等他の材料を用いて形成することも可能である。
【0049】
ここで、本実施の形態では、ヘッド部40は、厚みTが5mm以上15mm以下となるように形成されている。また、ヘッド部40は、外径ODの最大寸法(幅方向Yの大きさ)が15mm以上40mm以下となるように形成されている。ヘッド部40全体の厚みTが5mmよりも薄くなったり、ヘッド部40全体の外径ODの最大寸法が15mmよりも小さくなってしまうと、使用時の耐久性を維持することが難しくなるためである。また、ヘッド部40全体の厚みTが15mmよりも厚くなったり、ヘッド部40全体の外径ODの最大寸法が40mmよりも大きくなってしまうと、ヘッド部40を口腔内に入れたときに違和感が生じ、口腔衛生装置用ノズル20の使用感が悪化してしまうためである。
【0050】
また、ホルダー51は、
図3に示すように、略円板状の天壁部511と、天壁部511の外周縁から前後方向Xの後方(筒状部52の中心軸C方向の他方側)に向けて延設された略円筒状の筒体512と、を備えている。そして、天壁部511の天面(前面)511aが、ヘッド材60が載置される載置面となっている。
【0051】
筒状部52は、
図4~
図8に示すように、前後方向Xに貫通する略円筒状をしており、前後方向Xの前方に第1の開口521が形成され、前後方向Xの後方に第2の開口523が形成されている。この筒状部52は、本実施の形態では、ノズル柄30に一体形成されている。
【0052】
ここで、本実施の形態では、筒状部52は、内径が筒体512の外径よりも若干大きくなるように形成されている。そして、ホルダー51を筒状部52に挿入したときに、筒体512の外周面512aと筒状部52の内周面52aとの間に隙間P3aが形成されるようにしている(
図17参照)。この隙間P3aは、ヘッド部40に形成される給液路P3の一部を構成するものである。
【0053】
また、本実施の形態では、筒状部52の内周面52aの4か所に、ホルダー(基台)51を係止する係止爪526が形成されている(
図8参照)。一方、ホルダー(基台)51の筒体512の外周面512aにおける各係止爪526と対応する位置には、各係止爪526にそれぞれ係止される被係止部5121が形成されている(
図14および
図15参照)。
【0054】
そして、ホルダー51を筒状部52に挿入したときに、ホルダー51の被係止部5121を係止爪526に係止させることで、ホルダー51が前後方向Xの後方に移動して筒状部52から抜けてしまうことが抑制されるようにしている。こうすることで、ホルダー51が筒状部52に保持されるようにしている。
【0055】
また、本実施の形態では、筒状部52の第1の開口521側には、中心軸Cに向けて延設された周縁部522が形成されており、この周縁部522によってホルダー51が前後方向Xの前方に移動して筒状部52から抜けてしまうことが抑制されるようにしている。
【0056】
また、カバー53は、筒状部52の前後方向Xの後方(中心軸C方向の他方側)に位置する第2の開口523を塞ぐ蓋体531と、蓋体531の前部中央から突設されて、ホルダー51の筒体512の内部に挿入される突起部532と、を備えている(
図3および
図16参照)。
【0057】
そして、突起部532を前後方向Xの前方に突出させた状態で、カバー53を筒状部52の後方から前方に向けて移動させることで、第2の開口523が蓋体531によって塞がれるようにしている。
【0058】
本実施の形態では、筒状部52の第2の開口523側の周縁部524に溶着リブ5241が全周に亘って形成されている(
図7および
図8参照)。そして、この溶着リブ5241を超音波溶着等により蓋体531に溶着させることで、ヘッド部40のカバー53側(後側)のシール性が確保されるようにしている。こうすることで、給液路P3に供給された液体がカバー53側(後側)から漏れ出てしまわないようにしている。
【0059】
また、突起部532は、本実施の形態では、蓋体531の前部中央から突設される支柱部532aと、支柱部532aの前端に連設される円板部532bと、を備えている。そして、円板部532bは、支柱部532aの前端から径方向外側に広がるように形成されており、この円板部532bがホルダー51の筒体512の内部に挿入されるようにしている。
【0060】
なお、本実施の形態では、ホルダー51の筒体512の内部に形成される内側空間P3bも給液路P3の一部を構成している(
図17参照)。したがって、円板部532bをホルダー51の筒体512の内部に挿入させると、給液路P3の容積が突起部532によって減らされることになる。こうすることで、使用後に給液路P3の内部に液体がなるべく残らないようにしている。
【0061】
また、ヘッド材60は、ヘッド本体50に保持された状態でヘッド本体50から露出し、口腔内の対象物を清掃可能な繊維状の清掃部611を有している(
図9および
図17参照)。
【0062】
具体的には、ヘッド材60は、ホルダー(基台)51の載置面(天面511a)上に載置される略円板状の天壁部61と、天壁部61の外周縁から前後方向Xの後方(筒状部52の中心軸C方向の他方側)に向けて延設された略円筒状のフランジ部62と、を備えている(
図10参照)。
【0063】
そして、ホルダー51上にヘッド材60を載置させた状態で、ホルダー51およびヘッド材60を筒状部52に挿入したときに、天壁部61の中央部が第1の開口521から露出するようにしている。すなわち、本実施の形態では、天壁部61の第1の開口521から露出する部分に清掃部611が形成されている。
【0064】
そして、このようなヘッド材60は、
図13に示すような合成樹脂製のシート状部材60Aに熱を加えて成形することで形成することができる。
【0065】
図13に示すようなシート状部材60Aは、布状のシート部F1の表面の全面に接着剤を塗布し、繊維Fを編み込んで形成したパイル毛F2をシート部F1の表面に接着することで形成することができる(
図11参照)。
【0066】
ここで、本実施の形態では、内側に開口空間Sが形成されたループ部F2aが複数形成されるように繊維Fを編み込んだものをパイル毛F2としている。
【0067】
このパイル毛F2は、複数のループ部F2aが、開口空間Sの開口方向が略同じ方向(
図11では、紙面に略垂直な方向)を向くようにした状態で面状に広がるように、シート部F1の表面に接着されている。
【0068】
そして、ヘッド材60のパイル毛F2が形成されている部位かつ第1の開口521から露出する部位が、清掃部611となっている。
【0069】
また、本実施の形態では、清掃部611が備える複数のループ部F2aは、高さHが0.5mm以上10mm以下となるようしている。ループ部F2aの高さHが0.5mmよりも低くなると、舌苔等の汚れの除去性能が低下してしまい、ループ部F2aの高さHが10mmよりも高くなると、ループ部F2aが舌乳状突起に引っかかってしまうおそれがあるためである。
【0070】
また、パイル毛F2を形成する繊維Fの繊維径FDが0.001mm以上0.05mm以下となるようにしている。繊維Fの繊維径FDが0.001mmよりも小さくなると、舌苔等の汚れの除去性能が低下してしまい、繊維Fの繊維径FDが0.05mmよりも大きくなると、舌触りが悪くなって使用時に違和感が生じてしまうためである。
【0071】
さらに、本実施の形態では、ヘッド材60をヘッド本体50に保持したときに、ループ部F2aの開口空間Sの開口方向が所定の方向となるようにする(方向を間違えないようにする)ために、シート状部材60Aに切り欠き621Aが形成されるようにしている。そして、シート状部材60Aを成形する際に、フランジ部62のみに切り欠き621が形成されるようにしている(
図3参照)。
【0072】
また、ホルダー(基台)51の筒体512の上部には、ヘッド材60の切り欠き621が差し込まれる位置決め用の突起5122が形成されている。具体的には、突起5122は、上方に向けて延設された支柱壁5122aと、支柱壁5122aの上端に連設される弧状壁5122bと、を備えている(
図14および
図15参照)。そして、弧状壁5122bをヘッド材60の切り欠き621に差し込む(挿入する)ことで、ヘッド材60がホルダー(基台)51に位置決めされた状態で保持されるようにしている。
【0073】
ここで、本実施の形態では、切り欠き621Aは、シート状部材60Aにおける開口空間Sの開口方向と同じ方向の一方側に形成されている。こうすることで、ヘッド材60をヘッド本体50に保持させたときに、ループ部F2aの開口空間Sの開口方向が上下方向Zと略一致するようにしている。すなわち、本実施の形態では、口腔衛生装置用ノズル20を上下方向Zに移動させることで、舌苔等の汚れをループ部F2aで掻き出せるようにしている。
【0074】
また、本実施の形態では、筒状部52の下端(ノズル柄30の本体部31に連設される部位)に、上下方向Zに貫通する貫通孔525が形成されている。この貫通孔525は、下端(一端)がノズル柄30に形成された流路P2と連通しており、上端(他端)が給液路P3に連通している。そして、流路P2から貫通孔525に導入された液体を給液路P3に供給できるようにしている。このように、本実施の形態では、貫通孔525を流路P2の給液路P3との連通部としている。
【0075】
さらに、本実施の形態では、貫通孔525の断面積(水平面で切断した場合における断面積)を流路P2の断面積(流路断面の面積)よりも小さくなるようにしており、この貫通孔525を、流路P2の給液路P3との連通部に形成される絞り部P2aとして機能させている。
【0076】
このように、流路P2の給液路P3との連通部に絞り部P2aを形成すれば、例えば、絞り部P2aの断面積を所定の大きさとなるように設定することで、給液路P3に供給される液体の流量(単位時間当たりに流入する液体の量)を所定の量にすることができる。すなわち、より適した量の液体を給液路P3に供給させることができるようになる。
【0077】
また、本実施の形態では、ホルダー51の筒体512の下端部に、切り欠き状の凹部5123が形成されており、ホルダー51を筒状部52に挿入したときに、貫通孔525から給液路P3への液体の供給が筒体512によって邪魔されてしまわないようにしている。
【0078】
ここで、本実施の形態では、口腔衛生装置用ノズル20の使用時に、口腔内の対象物にかかる負担をより軽減できるようにしている。
【0079】
具体的には、ヘッド部40に、流路P2に連通して繊維状の清掃部611に液体を供給することが可能な給液路P3を形成している。こうすることで、口腔衛生装置用ノズル20の使用時に、給液路P3から供給される液体の表面張力を利用して、繊維状の清掃部611(ループ部F2aの開口空間S)で液体を保持した状態で、口腔内の対象物を擦掃できるようにしている。
【0080】
本実施の形態では、給液路P3が、筒体512の外周面512aと筒状部52の内周面52aとの間に形成される隙間P3aを備えるようにしている。この隙間P3aは、ホルダー51の近傍に形成されるものである。
【0081】
さらに、本実施の形態では、隙間P3aは、ホルダー51を筒状部52に挿入して保持した状態を筒状部52の中心軸C方向に沿って視たとき(前後方向Xに沿って視たとき)に、ホルダー51の外周側に全周に亘って形成されるようにしている。したがって、筒状部52の中心軸C方向の前側(一方側)からヘッド部40を視たときの隙間P3aは、円環状をしている(
図18A参照)。
【0082】
そして、筒状部52の第1の開口521の周縁部に、ヘッド材60のヘッド部40からの抜けを抑制する抜け止め部527と、隙間P3a内の液体を第1の開口521側に流出させることが可能な流出部528と、が形成されるようにしている。
【0083】
このように、第1の開口521の周縁部に抜け止め部527および流出部528を形成することで、ヘッド材60のヘッド部40(ヘッド本体50)からの抜けを抑制しつつ、より確実に清掃部611に液体を行き渡らせることができるようにしている。
【0084】
具体的には、筒状部52の中心軸Cの前側(一方側)からヘッド部40を視たときに、ホルダー(基台)51を前側から覆う被覆領域R2を筒状部52に形成し、この被覆領域R2を抜け止め部527として機能させている。また、筒状部52の中心軸Cの前側(一方側)からヘッド部40を視たときに、隙間P3aと重なり合う重畳領域R1を第1の開口521に形成し、この重畳領域R1を流出部528として機能させている。
【0085】
ここで、本実施の形態では、第1の開口521の輪郭形状(筒状部52の中心軸C方向の前側からヘッド部40を視たときの輪郭形状)O1を、曲線状の波形(波形)となるようにしている(
図18Aおよび
図18B参照)。このように、第1の開口521の輪郭形状O1を曲線状の波形とすれば、第1の開口521の輪郭形状O1が少なくとも1組の凹凸を有することになる。なお、この第1の開口521の輪郭形状O1は、筒状部52の周縁部522の輪郭形状を曲線状の波形とすることで形成されるものである。
【0086】
そして、第1の開口521の輪郭形状O1の中心軸C側に凹む部分O1aに抜け止め部527が形成されるようにしている。この中心軸C側に凹む部分O1aは、筒状部52の周縁部522における中心軸C側に突出する部分5221によって画成されており、この中心軸C側に突出する部分5221の先端側がホルダー(基台)51を前側から覆う被覆領域R2になっている。すなわち、中心軸C側に突出する部分5221の先端側がヘッド材60のヘッド部40からの抜けを抑制する抜け止め部527となっている。なお、本実施の形態では、上下方向Zの両側に位置する中心軸C側に突出する部分5221に、ヘッド材60を引っ掛けて保持する爪5221aが形成されている(
図7および
図8参照)。
【0087】
一方、第1の開口521の輪郭形状O1の外周側に突出する部分O1bが、隙間P3a内の液体を第1の開口521側に流出させることが可能な流出部528となっている。
【0088】
また、本実施の形態では、複数組の凹凸を同一の形状とし、複数組の凹凸が全周に亘ってほぼ等間隔で形成されるようにしている。
【0089】
このように、第1の開口521の輪郭形状O1を曲線状の波形とすれば、筒状部52の周縁部522にエッジが形成されないため、ヘッド部40を口腔内に挿入して使用する際の安全性をより高めることができるようになる。
【0090】
また、複数組の凹凸を同一の形状とし、複数組の凹凸が全周に亘ってほぼ等間隔で形成されるようにすれば、外周からより均等に液体を清掃部611に供給させることができるようになる。
【0091】
なお、第1の開口521の輪郭形状O1は、曲線状の波形とする必要はなく、様々な形状とすることが可能である。
【0092】
[口腔衛生装置用ノズルの構成の変形例]
次に、口腔衛生装置用ノズルの構成の変形例を
図19~
図22を用いて説明する。
【0093】
まず、第1の開口521の輪郭形状O1は、
図19に示すように、三角波状(直線を連結させた山形状)とすることも可能である。
【0094】
このように、第1の開口521の輪郭形状O1を三角波状としても、第1の開口521の輪郭形状O1が少なくとも1組の凹凸を有することになる。なお、この第1の開口521の輪郭形状O1は、筒状部52の周縁部522の輪郭形状を三角波状とすることで形成されている。
【0095】
図19においても、筒状部52の中心軸C方向の前側(一方側)からヘッド部40を視たときの隙間P3aは、円環状をしている。
【0096】
そして、第1の開口521の輪郭形状O1の中心軸C側に凹む部分O1aに抜け止め部527が形成されるようにし、第1の開口521の輪郭形状O1の外周側に突出する部分O1bに流出部528が形成されるようにしている。
【0097】
また、第1の開口521の輪郭形状O1は、
図20に示すように、矩形波状(直線を連結させた山形状)とすることも可能である。
【0098】
このように、第1の開口521の輪郭形状O1を矩形波状としても、第1の開口521の輪郭形状O1が少なくとも1組の凹凸を有することになる。なお、この第1の開口521の輪郭形状O1は、筒状部52の周縁部522の輪郭形状を矩形波状とすることで形成されている。
【0099】
図20においても、筒状部52の中心軸C方向の前側(一方側)からヘッド部40を視たときの隙間P3aは、円環状をしている。
【0100】
そして、第1の開口521の輪郭形状O1の中心軸C側に凹む部分O1aに抜け止め部527が形成されるようにし、第1の開口521の輪郭形状O1の外周側に突出する部分O1bに流出部528が形成されるようにしている。
【0101】
なお、第1の開口521の輪郭形状O1は、鋸波状(直線を連結させた山形状)とすることも可能である。
【0102】
また、第1の開口521の輪郭形状O1は、
図21に示すように、楕円状とすることも可能である。この第1の開口521の輪郭形状O1は、筒状部52の周縁部522の輪郭形状を楕円状とすることで形成されている。
【0103】
図21においても、筒状部52の中心軸C方向の前側(一方側)からヘッド部40を視たときの隙間P3aは、円環状をしている。
【0104】
そして、第1の開口521の輪郭形状O1の短軸方向側に抜け止め部527が形成されるようにし、第1の開口521の輪郭形状O1の長軸方向側に流出部528が形成されるようにしている。
【0105】
また、第1の開口521の輪郭形状O1は、
図22に示すように、四角形(多角形)状とすることも可能である。この第1の開口521の輪郭形状O1は、筒状部52の周縁部522の輪郭形状を四角形(多角形)状とすることで形成されている。
【0106】
図22においても、筒状部52の中心軸C方向の前側(一方側)からヘッド部40を視たときの隙間P3aは、円環状をしている。
【0107】
そして、第1の開口521の輪郭形状O1の辺の中央部に抜け止め部527が形成されるようにし、第1の開口521の輪郭形状O1の頂点部分に流出部528が形成されるようにしている。
【0108】
このように、筒状部52の中心軸C方向の前側(一方側)からヘッド部40を視たときの第1の開口521の輪郭形状O1は、波形または山形状または凹凸形状または楕円形状または四角形状等、様々な形状とすることができる。
【0109】
[口腔衛生装置用ノズルの組立方法の一例]
以上のように構成された口腔衛生装置用ノズル20は、例えば、下記のようにして組み立てることができる。
【0110】
まず、ヘッド材60をホルダー(基台)51に保持する。このとき、弧状壁5122bをヘッド材60の切り欠き621に差し込む(挿入する)ことで、ヘッド材60がホルダー(基台)51に位置決めされた状態で保持されるようにする。
【0111】
そして、ヘッド材60を保持した状態のホルダー(基台)51を、ヘッド材60が前後方向Xの前方を向くようにした状態で、第2の開口523側から筒状部52内に挿入する。具体的には、周縁部522がヘッド材60に当接するまでホルダー(基台)51を筒状部52内に挿入する。こうすることで、ヘッド材60がホルダー(基台)51と筒状部52とで挟持されるようにする。そして、ホルダー51の被係止部5121を係止爪526に係止させることで、ホルダー51が筒状部52に抜け止めがなされた状態で保持されるようにする。
【0112】
このとき、ホルダー(基台)51は、ヘッド材60の切り欠き621に挿入される突起5122の弧状壁5122bが上方に位置するようにした状態で、筒状部52内に挿入されるようにしている。こうすることで、貫通孔525を切り欠き状の凹部5123から露出させるようにしている。
【0113】
次に、突起部532が前後方向Xの前方を向くようにした状態で、カバー53を第2の開口523側から筒状部52内に挿入する。そして、筒状部52の第2の開口523側の周縁部524に形成された溶着リブ5241を、超音波溶着等により蓋体531に溶着させて、ヘッド部40のカバー53側(後側)をシールする。
【0114】
こうして、口腔衛生装置用ノズル20が組み立てられる。なお、上記の組立方法は一例に過ぎず、口腔衛生装置用ノズル20は、様々な方法で組み立てることができる。
【0115】
[口腔衛生装置の動作の一例]
次に、上述した口腔衛生装置用ノズル20が装着された口腔衛生装置1について、その動作を説明する。
【0116】
まず、使用者等がグリップ15を把持し、口腔内にヘッド部40を挿入して、清掃部611を口腔内の対象物と対向させる。
【0117】
次に、使用者等がグリップ15を把持した状態で操作スイッチ15aを操作することで、液体が供給されるようにする。
【0118】
そして、繊維状の清掃部611(ループ部F2aの開口空間S)で液体を保持した状態で、口腔内の対象物を擦掃する。このとき、ヘッド材60を液体で洗浄しながら使用することになる。こうして、口腔内の汚れを除去する。
【0119】
なお、上記の口腔衛生装置用ノズル20の使用方法は一例に過ぎず、口腔衛生装置用ノズル20は、様々な方法で使用することができる。
【0120】
[作用・効果]
以下では、上記実施の形態で示した口腔衛生装置用ノズル(口腔衛生装置用部材)の特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
【0121】
上記実施の形態で示した口腔衛生装置用ノズル(口腔衛生装置用部材)20は、液体の通過が可能な流路P2を有するノズル柄(柄部)30を備えている。また、口腔衛生装置用ノズル20は、ノズル柄30の一端側に連設されるヘッド本体50と、ヘッド本体50に保持されるヘッド材60と、を有するヘッド部40を備えている。また、ヘッド材60は、ヘッド本体50に保持された状態でヘッド本体50から露出し、口腔内の対象物を清掃可能な繊維状の清掃部611を有している。そして、ヘッド部40には、流路P2に連通して清掃部611に液体を供給することが可能な給液路P3が形成されている。
【0122】
こうすれば、口腔衛生装置用ノズル20を用いて舌等の口腔内の対象物を清掃する際に、液体が保持された状態の清掃部によって対象物を清掃することができるようになる。その結果、繊維状の清掃部611が舌等の口腔内の対象物に直接当たってしまうことが抑制されるため、口腔内の対象物にかかる負担をより軽減することが可能になる。
【0123】
また、舌等の口腔内の対象物に液体を供給しながら対象物を清掃部611によって清掃することが可能になるため、舌苔等の汚れの除去性能をより向上させることができるようになる。
【0124】
また、ヘッド材60を液体で洗浄しながら使用することが可能になるため、口腔衛生装置用ノズル20をより清潔な状態で維持することが可能になる。また、ヘッド材60を液体で洗浄しながら使用するようにすれば、使用時にヘッド材60に汚れが付着してしまうことが抑制されるため、このことによっても、舌苔等の汚れの除去性能をより向上させることができるようになる。
【0125】
このように、上記実施の形態によれば、口腔内の対象物にかかる負担をより軽減することが可能であり、除去性能が低下してしまうことを抑制しつつ、より清潔な状態を維持することが可能な口腔衛生装置用ノズル20を得ることができる。
【0126】
すなわち、上記実施の形態で示した口腔衛生装置用ノズル20は、上記の構成を備え、ヘッド材60を液体で洗浄しながら使用することにより、ヘッド材60を清潔にでき、かつ、舌等の口腔内の対象物への負担を軽減しつつ、除去性能を有するものになっている。
【0127】
また、清掃部611がパイル毛であってもよい。
【0128】
こうすれば、より安全性を高めつつ、舌苔等の汚れの除去性能が低下してしまうことを抑制することができるようになる。また、パイル毛の表面張力を利用して液体を保持することで、より確実に清掃部611で液体を保持することが可能になる。
【0129】
また、清掃部611が複数のループ部F2aを備えていてもよい。そして、ループ部F2aの高さが0.5mm以上10mm以下となるようにしてもよい。
【0130】
こうすれば、安全性をより一層高めつつ、舌苔等の汚れの除去性能が低下してしまうことを抑制することができるようになる。また、清掃部611がループ部F2aを備えるようにすれば、ループ部F2aでより確実に液体を保持することが可能になる。
【0131】
また、清掃部611の各繊維Fの繊維径FDが0.001mm以上0.05mm以下となるようにしてもよい。
【0132】
こうすれば、使用時に感じる違和感を抑制しつつ、舌苔等の汚れの除去性能が低下してしまうことを抑制することができるようになる。
【0133】
また、ヘッド部40の厚みが5mm以上15mm以下であり、ヘッド部40の外径の最大寸法が15mm以上40mm以下となるようにしてもよい。
【0134】
こうすれば、ヘッド部40を口腔内に入れたときに感じる違和感が抑制されるため、口腔衛生装置用ノズル20の使用感が悪化してしまうことを抑制できるようになる。
【0135】
また、ヘッド本体50が、ヘッド材60が載置される天面(載置面)511aを有するホルダー(基台)51を備えていてもよい。そして、ホルダー(基台)51の近傍に給液路P3が形成されていてもよい。
【0136】
こうすれば、より確実に液体を清掃部611に供給できるようにしつつ、ヘッド材60をしっかりとホルダー(基台)51に保持させる(ヘッド材60の変形を抑制しつつ保持させる)ことが可能になる。
【0137】
また、ヘッド本体50が、ノズル柄30の一端側に連設されて、ホルダー(基台)51を挿入して保持することが可能な筒状部52を備えていてもよい。そして、ホルダー(基台)51を筒状部52に挿入して保持した状態で、ホルダー(基台)51の外周に形成される隙間P3aが給液路P3の少なくとも一部を構成していてもよい。
【0138】
こうすれば、より簡素な構成で清掃部611に液体を行き渡らせることができるようになる。
【0139】
また、ホルダー(基台)51を筒状部52に挿入して保持した状態を筒状部52の軸方向に沿って視たときに、隙間P3aがホルダー(基台)51の外周側に全周に亘って形成されていてもよい。
【0140】
こうすれば、ヘッド材60の周囲の全周から液体を清掃部611の中心側に向けて徐々に浸透させることができるようになる。その結果、より確実に清掃部611全体に液体を行き渡らせることができるようになる。
【0141】
また、筒状部52の軸方向の一方側に、ヘッド材60を天面(載置面)511a上に載置させた状態でホルダー(基台)51を筒状部52に挿入して保持したときにヘッド材60の清掃部611を露出させる第1の開口521が形成されていてもよい。そして、第1の開口521の周縁部に、ヘッド材60のヘッド部40(ヘッド本体50)からの抜けを抑制する抜け止め部527と、隙間P3a内の液体を第1の開口521側に流出させることが可能な流出部528と、が形成されていてもよい。
【0142】
このように、第1の開口521の周縁部に、ヘッド材60のヘッド部40(ヘッド本体50)からの抜けを抑制する抜け止め部527を形成すれば、口腔衛生装置用ノズル20の使用時等にヘッド材60がヘッド部40(ヘッド本体50)から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。また、清掃部611を露出させる第1の開口521の周縁部に、隙間P3a内の液体を第1の開口521側に流出させることが可能な流出部528を形成すれば、より確実に清掃部611に液体を行き渡らせることができるようになる。
【0143】
また、筒状部52に、筒状部52の軸方向の一方側からヘッド部40を視たときに、ホルダー(基台)51を筒状部52の軸方向の一方側から覆う被覆領域R2が形成されていてもよい。また、第1の開口521に、筒状部52の軸方向の一方側からヘッド部40を視たときに、隙間P3aと重なり合う重畳領域R1が形成されていてもよい。そして、被覆領域R2が抜け止め部527となっており、重畳領域R1が流出部528となっていてもよい。
【0144】
このように、被覆領域R2が抜け止め部527となるようにしつつ重畳領域R1が流出部528となるようにすれば、より容易に抜け止め部527および流出部528を設けることができるようになる。
【0145】
また、ヘッド本体50が、筒状部52の軸方向の他方側の第2の開口523を塞ぐカバー53を備えていてもよい。
【0146】
こうすれば、給液路P3内の液体が第2の開口523から漏れ出てしまうことを抑制することができるため、給液路P3内の液体をより効率的に清掃部611に供給することができるようになる。
【0147】
また、ホルダー(基台)51が、天面(載置面)511aの外周から筒状部52の軸方向の他方側に延設される筒体512を備えていてもよい。そして、カバー53に、筒体512の内部(内側空間P3b)に挿入されて給液路P3の容積を減らす突起部532が形成されていてもよい。
【0148】
こうすれば、口腔衛生装置用ノズル20の使用後に、液体が給液路P3内に残ってしまうことをより確実に抑制することができるようになる。その結果、ヘッド本体50をより清潔な状態で維持することが可能になる。
【0149】
また、流路P2の給液路P3との連通部に絞り部P2aが形成されていてもよい。
【0150】
このように、流路P2の給液路P3との連通部に絞り部P2aを形成すれば、例えば、絞り部P2aの断面積を所定の大きさとなるように設定することで、給液路P3に供給される液体の流量(単位時間当たりに流入する液体の量)を所定の量にすることができる。すなわち、より適した量の液体を給液路P3に供給させることができるようになる。
【0151】
[その他]
以上、本開示にかかる口腔衛生装置用部材の内容を説明したが、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0152】
例えば、上記実施の形態では、ホルダー(基台)51の近傍(筒体512の外周)に給液路P3(隙間P3a)を形成したものを例示している。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、ホルダー(基台)51に給液路P3が形成されるようにしてもよい。このような構成は、例えば、ホルダー(基台)51の天壁部511に複数の貫通孔を設けることで得ることができる。こうすることでも、より確実に液体を清掃部611に供給することが可能になる。
【0153】
また、ホルダー(基台)51の近傍およびホルダー(基台)51に給液路P3が形成されるようにしてもよい。
【0154】
また、上記実施の形態では、ヘッド材60のシート部として、表面に接着剤が塗布されている非透水性のシート部F1を例示したが、透水性を有するシート部とすることも可能である。このような透水性のシート部とすれば、裏面の全面から清掃部611に液体を供給させることができるようになる。
【0155】
また、上記実施の形態では、ループ部F2aを有するパイル毛F2を例示したが、フック状のパイル毛とすることも可能である。
【0156】
また、ヘッド材やヘッド部、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0157】
以上のように、本開示にかかる口腔衛生装置用部材は、口腔内の対象物にかかる負担を軽減できる上、除去性能が低下してしまうことを抑制しつつ、より清潔な状態を維持することが可能であるので、口腔内を洗浄する液体を送出可能な装置、具体的には、口腔洗浄器などに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0158】
20 口腔衛生装置用ノズル(口腔衛生装置用部材)
30 ノズル柄(柄部)
40 ヘッド部
50 ヘッド本体
51 ホルダー(基台)
511a 天面(載置面)
512 筒体
5121 被係止部
5122 突起
52 筒状部
521 第1の開口
523 第2の開口
526 係止爪
527 抜け止め部
528 流出部
53 カバー
532 突起部
60 ヘッド材
611 清掃部
621 切り欠き
C 軸
F 繊維
F2 パイル毛
F2a ループ部
FD 繊維径
H ループ部の高さ
P2 流路
P2a 絞り部
P3 給液路
P3a 隙間
P3b 内側空間(筒体の内部)
R1 重畳領域
R2 被覆領域
T ヘッド部の厚み
OD ヘッド部の外径