(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】画像認証システム、画像認証方法、および画像認証プログラム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20240531BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240531BHJP
G07C 9/10 20200101ALI20240531BHJP
G07C 9/37 20200101ALI20240531BHJP
【FI】
E05B49/00 R
G06T7/00 510F
G07C9/10
G07C9/37
(21)【出願番号】P 2021019026
(22)【出願日】2021-02-09
【審査請求日】2023-02-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二村 誠示
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-269563(JP,A)
【文献】特開2020-119580(JP,A)
【文献】特開2009-64140(JP,A)
【文献】特開2006-31103(JP,A)
【文献】特開2009-3659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
G06T 7/00
G07C 9/00-9/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設の所定の領域への人の入場の可否を判断するための画像認証システムであって、
撮像部が前記所定の領域の外側の人を撮像した撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像から所定の条件に基づいて前記撮像画像よりも少なくなるように選択された選択画像により、学習を行い、認証基準を更新する学習部と、
前記認証基準に基づいて、前記撮像画像に含まれる人と、予め登録された登録画像に含まれる人との認証を行う認証部と、を備え、
所定の条件は、前記取得部による前記撮像画像の取得頻度を含む、
画像認証システム。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記撮像部の周辺環境が所定の状態であることを含む、請求項1に記載の画像認証システム。
【請求項3】
前記周辺環境は、明るさを含む、請求項2に記載の画像認証システム。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記取得頻度と、前記認証部の認証結果との関係を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像認証システム。
【請求項5】
前記所定の条件は、前記認証部の認証結果と、該認証結果に対する権限者による入場の可否との関係を含み、
前記権限者は、予め登録された登録画像に含まれる人、または、前記施設の管理人を含む
、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像認証システム。
【請求項6】
施設の所定の領域への人の入場の可否を判断するための画像認証システムであって、
撮像部が前記所定の領域の外側の人を撮像した撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像から所定の条件に基づいて前記撮像画像よりも少なくなるように選択された選択画像により、学習を行い、認証基準を更新する学習部と、
前記認証基準に基づいて、前記撮像画像に含まれる人と、予め登録された登録画像に含まれる人との認証を行う認証部と、を備え、
前記所定の条件は、前記認証部の認証結果と、前記所定の領域内の人の存在の有無との関係を含む
、画像認証システム。
【請求項7】
施設の所定の領域への人の入場の可否を判断するための画像認証システムであって、
撮像部が前記所定の領域の外側の人を撮像した撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像から所定の条件に基づいて前記撮像画像よりも少なくなるように選択された選択画像により、学習を行い、認証基準を更新する学習部と、
前記認証基準に基づいて、前記撮像画像に含まれる人と、予め登録された登録画像に含まれる人との認証を行う認証部と、を備え、
前記所定の条件は、時間帯を含む
、画像認証システム。
【請求項8】
前記所定の条件は、学習依頼を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の画像認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像認証システム、画像認証方法、および画像認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、ICカード等によるID認証や、顔、指紋等による生体認証によって、所定領域への入退管理が行われている。特許文献1には、顔認証が一定回数以上成功していないユーザが所定の領域へ入る際には、ID認証を併用することで、ユーザの利便性を考慮しつつ、入退管理の信頼性を高めた入退管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顔等の画像認証を利用した入退管理システムは、管理区域の入口等で所定の入場手続きをした人に対して、予め登録された登録画像に基づいて認証を行い、当該管理区域への入場の可否を判断する。撮像画像に含まれる周辺環境は、撮像された人に対する認証の結果に影響を及ぼし、入退管理システムの運用開始時の環境と運用後の周辺環境が異なることで、認証の精度が低下することがある。
【0005】
そこで、本開示の目的は、運用開始後の周辺環境の変化に対応した画像認証システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様である画像認証システムは、施設の所定の領域への人の入場の可否を判断するための画像認証システムであって、撮像部が所定の領域の外側の人を撮像した撮像画像を取得する取得部と、撮像画像から所定の条件に基づいて選択された選択画像により、学習を行い、認証基準を更新する学習部と、認証基準に基づいて、撮像画像に含まれる人と、予め登録された登録画像に含まれる人との認証を行う認証部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本開示の一態様である画像認証方法は、施設の所定の領域への人の入場の可否を判断するための画像認証方法であって、所定の領域の外側の人を撮像した撮像画像を取得するステップと、撮像画像から所定の条件に基づいて選択された選択画像により、学習を行い、認証基準を更新するステップと、認証基準に基づいて、撮像画像に含まれる人と、予め登録された登録画像に含まれる人との認証を行うステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本開示の一態様であるプログラムは、上記画像認証方法をコンピュータで実現するためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、画像認証システムにおいて、運用開始後の認証精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の一例である画像認証システムの概略図である。
【
図2】実施形態の一例における制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態の一例である画像認証方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態の一例である画像認証方法の他の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態の一例である画像認証方法の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本開示は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態、変形例を選択的に組み合わせることは当初から想定されている。
【0012】
本開示の装置およびシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示の装置およびシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)または大規模集積回路(LSI)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0013】
図1は、実施形態の一例であるマンション2の共用部への人の入場の可否を判断するための画像認証システム1の構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、画像認証システム1は、マンション2等の施設に設けられたシステムである。施設の具体例としては、マンション2の他に、寮、社宅、オフィス、工場、研究施設、医療施設、宿泊施設等が例示できる。
【0014】
マンション2は、共用部と、共用部の入口に設けられた共用玄関5と、共用部よりも施設の内側に設けられた専有部とを備える。共用玄関5は、玄関ドア7と、玄関ドア7が閉まると自動的に玄関ドア7を施錠するオートロック装置9とを備える。玄関ドア7は、例えば、自動ドアにより構成され、平常時は施錠された状態が基本である。
【0015】
また、マンション2は、インターホンシステム10を備える。インターホンシステム10は、共用玄関5に設けられたロビーインターホン11と、専有部である各住戸に設けられた複数のインターホン親機12およびインターホン子機13と、これらの装置を制御する制御装置14とを備える。共用玄関5は、ロビーインターホン11、インターホン親機12、および制御装置14と通信可能に接続されている。画像認証システム1は、インターホンシステム10における認証を行う。
【0016】
ロビーインターホン11は、玄関ドア7よりも外側に設置されている。ロビーインターホン11は、撮像部であるカメラを備え、カメラが撮像した撮像画像を用いて、画像認証に関する処理を行う。カメラは動画および静止画を撮影できるものが好ましい。ロビーインターホン11は、人感センサを備えてもよく、人感センサが人を検知した際に、自動的にカメラで当該人を撮影してもよい。なお、認証用画像の撮像に用いられる撮像部は、ロビーインターホン11のカメラに限定されず、例えば、共用玄関5の外側に別途設けられたカメラであってもよい。
【0017】
ロビーインターホン11は、テンキーと、呼出ボタンと、マイクと、スピーカと、モニタとを備える。来訪者は、テンキーで住戸番号を入力し、呼出ボタンを押すことで、訪問先の住戸を呼び出し、居住者が応答した場合にはマイクおよびスピーカにより居住者と通話をすることができる。モニタには、例えば、テンキーにより入力した住戸番号が表示されてもよく、カメラにより撮影された映像が表示されてもよい。居住者が、インターホン親機12に表示された画像や通話によって来訪者を確認し、インターホン親機12を操作して共用玄関5を解錠することで、来訪者は、玄関ドア7よりも内側に入りその住戸を訪問することができる。ロビーインターホン11は、居住者等が鍵を挿入して共用玄関5を解錠するための逆マスターキー挿入部を備えてもよい。また、ロビーインターホン11は、マンション2の管理事務室に設けられた管理事務室親機15と通信可能に接続されている。
【0018】
インターホン親機12は各住戸の室内に設置され、インターホン子機13は各住戸の室外の玄関近傍に設置される。また、インターホン親機12を介してインターホン子機13と通信可能に接続された副親機が設けられていてもよい。
【0019】
インターホン親機12は、分岐器16を介してロビーインターホン11および制御装置14と通信可能に接続されている。インターホン親機12はマイク、スピーカ、モニタ、および通話ボタンを備える。ロビーインターホン11を介して来訪者から呼び出しを受けた居住者は、インターホン親機12のモニタにより、来訪者の映像を確認する。居住者は、通話ボタンを操作することで、マイクおよびスピーカにより来訪者との通話が可能となる。インターホン親機12は、さらに、解錠ボタンを備え、居住者が解錠ボタンを操作することで、共用玄関5が解錠されて玄関ドア7が開き、来訪者は共用部に入ることができる。
【0020】
インターホン親機12は、インターホン子機13と通信可能に接続されている。来訪者が後述するインターホン子機13の呼出ボタン13aにより居住者を呼び出し、居住者がインターホン親機12の通話ボタンを操作することで、居住者は、インターホン親機12により、インターホン子機13を介した来訪者との通話が可能となる。また、居住者は、来訪者の映像を確認することもできる。
【0021】
インターホン子機13は、インターホン親機12を呼び出すための呼出ボタン13aを備える。また、インターホン子機13は、カメラ、マイク、およびスピーカを備える。呼出ボタン13aが操作されると、インターホン親機12の呼び出しが行われると共に、インターホン子機13のカメラにより来訪者が撮影され、その映像がインターホン親機12のモニタに表示される。インターホン親機12には、来訪者の映像を録画する機能が設けられていてもよい。
【0022】
クラウドサーバ17は、予め登録された登録画像を記憶している。登録画像は、居住者自身が登録してもよいし、マンション2の管理者が登録してもよい。例えば、居住者は、居住者自身を含む登録画像を、インターホン親機12を用いて登録してもよい。また、居住者は、例えば、インターホン親機12を用いて、クラウドサーバ17から登録画像を削除することができる。ゲートウェイ18は、制御装置14とクラウドサーバ17とを接続するルータとして機能する。
【0023】
制御装置14は、上述のように、共用玄関5の外側に設けられたロビーインターホン11、各住戸のインターホン親機12、およびクラウドサーバ17と通信可能に接続され、これらの装置を制御する機能を有する。
【0024】
図2は、制御装置14の構成を示すブロック図である。制御装置14は、プロセッサ20およびメモリ21を含むコンピュータにより構成される。プロセッサ20は、画像認証システム1を制御するための演算処理を実行する。メモリ21は、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等であり、制御プログラム等を記憶する。制御装置14は、1つのコンピュータで構成されていてもよく、複数のコンピュータで構成されていてもよい。
【0025】
制御装置14は、画像認証システム1を統括的に制御する装置であって、ロビーインターホン11、インターホン親機12、管理事務室親機15、およびクラウドサーバ17等と通信可能に接続され、各装置から信号を受信して種々の情報を取得し、各装置に制御信号を出力して各装置を制御する。また、制御装置14は、インターホン親機12を介してインターホン子機13と通信可能に接続されている。
【0026】
制御装置14は、来訪者に対する処理を行う処理部22を備える。処理部22は、ロビーインターホン11で呼び出し操作が行われたときに所定のインターホン親機12を呼び出し、インターホン親機12の操作に基づいてオートロック装置9に解除信号を出力するように構成されている。オートロック装置9に解除信号が出力されると、玄関ドア7のオートロックが解除される。また、処理部22は、インターホン子機13の呼出ボタン13aが操作されたときに、インターホン親機12の呼び出しを実行する。
【0027】
制御装置14は、取得部24と、学習部26と、認証部28とを備える。取得部24は、撮像部であるロビーインターホン11のカメラが共用部の外側の人を撮像した撮像画像をロビーインターホン11から取得する。学習部26は、撮像画像から所定の条件に基づいて選択された選択画像により、学習を行い、認証基準を更新する。学習は、例えば、AI(Artificial Intelligence)、ディープラーニングである。認証部28は、取得部24および学習部26と接続されており、取得部24からは撮像画像を受け取り、学習部26からは認証基準を受け取る。認証部28は、認証基準に基づいて、撮像画像に含まれる人と、クラウドサーバ17に記憶された登録画像に含まれる人(以下、登録者という場合がある)との認証を行う。これにより、運用開始後の周辺環境の変化に対応した画像認証システムを提供することができる。認証基準は、例えば、撮像画像および登録画像から特徴量を抽出する際の方法および基準、撮像画像の特徴量と登録画像の特徴量とを比較する際の方法および基準、等を含んでもよい。
【0028】
制御装置14は、上記の取得部24、学習部26、および認証部28によって、画像認証に関連する制御を実行する。プロセッサ20は、メモリ21にインストールされた制御プログラムを読み出して実行することにより、上記制御を実現する。すなわち、メモリ21にインストールされた制御プログラムには、画像認証方法をコンピュータで実現するためのプログラムが含まれている。
【0029】
学習部26が更新した認証基準に基づかずに、撮像画像と登録画像とを用いて認証を行うと、認証の精度が下がり、認証が失敗する場合がある。ここで、認証が失敗するとは、登録者と撮像画像に含まれる人とが同一人物であるのに、別人と判断すること、または、登録者と撮像画像に含まれる人とが別人であるのに、同一人物と判断することである。本発明者らは、鋭意検討した結果、撮像部であるカメラの周辺環境が認証の精度に影響していることを見出した。撮像部の周辺環境が画像認証システム1の導入時から変化することで、撮像画像から抽出される人の特徴量が変化し、導入当初は良好だった認証の精度が低下すると考えられる。
【0030】
認証部28が、学習部26から受け取った認証基準に基づいて、認証を行うことで、認証の精度が向上し、認証が失敗する割合を低減できる。これは、学習部26が適宜学習を行い、更新した認証基準を認証部28にフィードバックすることで、認証部28が使用する推論モデルを周辺環境や経年変化に合わせて更新できるためである。これにより、登録画像を増やさずに適切な認証を行うことができる。なお、撮像画像に引き延ばしや明るさ変更等の画像処理を行ってから、認証部28が認証を行っても、本実施形態と同等までは認証精度を向上させることはできない。
【0031】
学習部26が学習する対象を、全ての撮像画像とせず、撮像画像から所定の条件に基づいて選択された選択画像とすることで、認証の精度を維持しつつ、学習部26および認証部28への負荷を低減できる。撮像画像から選択画像を選択する処理は、取得部24または学習部26のどちらかが行ってもよい。また、制御装置14が選択部をさらに備え、当該選択部が、取得部24から撮像画像を受け取り、選択画像を選択して、選択画像を学習部26に出力してもよい。
【0032】
撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、例えば、撮像部の周辺環境が所定の状態であることを含んでもよい。周辺環境が所定の状態であるとは、例えば、周辺環境である明るさが、これまで学習部26が学習を行ったことがある範囲(以下、既習範囲という場合がある)から、一定以上変化した場合である。明るさは、ロビーの照明の劣化・更新、天気、季節の変化、等の影響によって変化するが、学習を繰り返すことで、どのような明るさでも精度の高い認証を行えるようになる。画像認証システム1の導入時には一定の頻度で学習が行われるが、学習が進むにつれて学習の頻度は下がるので、システムへの負荷を低減できる。このように、周辺環境は、明るさを含んでもよい。また、周辺環境は、明るさに限らず、ロビーの壁紙等の撮像画像の背景、等であってもよい。
【0033】
撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、取得部24による撮像画像の取得頻度を含んでもよい。例えば、撮像画像の取得頻度が高い場合には選択画像を選択する頻度を下げ、撮像画像の取得頻度が低い場合には選択画像を選択する頻度を上げて、学習の頻度を一定の範囲にしてもよい。
【0034】
撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、取得部24による撮像画像の取得頻度と、認証部28の認証結果との関係を含んでもよい。一般に、撮像画像の取得頻度が高いほど、認証が失敗する可能性は高い傾向がある。よって、撮像画像の取得頻度が低い状態で認証が失敗した場合、または、撮像画像の取得頻度が高い状態で認証が成功した場合には、一般的な傾向とは異なる結果が得られており、このような場合について学習部26に学習させることで、取得画像からの特徴量の抽出がより向上され、認証の精度の向上を見込むことができる。
【0035】
撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、認証部28の認証結果と、当該認証結果に対する権限者による入場の可否の入力内容との関係を含んでもよい。例えば、権限者である登録者が、顔認証による共用玄関5の解錠に失敗し、別途所持している鍵またはICカード等で共用玄関5を解錠した場合に、認証に失敗した撮像画像を選択画像としてもよい。これにより、学習部26は、登録者であるのに認証を失敗した場合について学習できる。また、共用玄関5が顔認証と、鍵やICカード等との複数認証によって解錠される場合には、他の例がありうる。例えば、権限者である登録者以外の人が、顔認証による共用玄関5の解錠に成功したが、鍵またはICカード等を所持しておらず共用玄関5を解錠できなかった場合に、認証に成功した撮像画像を選択画像としてもよい。これにより、学習部26は、登録者になりすまそうとした場合について学習できる。なお、登録者以外の権限者としては、例えば、管理事務室等に所在する管理者等が挙げられる。
【0036】
撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、認証部28の認証結果と、所定の領域内の人の存在の有無との関係を含んでもよい。例えば、居住者等の登録者がマンション2の内部に存在するか否かを管理しており、マンション2の内部に存在する登録者に対してマンション2に入る方向に認証が行われた場合や、マンション2の内部に存在しない登録者に対してマンション2から出る方向に認証が行われた場合に、認証に使用した撮像画像を選択画像としてもよい。これにより、登録者になりすまそうとした場合について学習できる。
【0037】
撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、時間を含んでもよい。一般に、居住者等の登録者は、特定の時間帯に共用玄関5を通過して施設内に出入りする。例えば、登録者が予め設定した時間帯や、登録者が頻繁に画像認証システム1を使用する時間帯以外の時間に、当該登録者が認証により共用玄関5を解錠した場合には、撮像画像を選択画像としてもよい。これにより、時間帯が異なるので明るさなどの周辺環境等が変化していると考えられ、選択画像から抽出される登録者の特徴量についてより詳しく学習することができる。
【0038】
撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、学習依頼を含んでもよい。学習依頼は、例えば、登録者が、認証により共用玄関5を解錠した際に、ロビーインターホン11等を操作して行ってもよい。学習依頼を受けた撮像画像の全てを選択画像としてもよいし、学習依頼を管理者が受け取り、管理者が学習依頼を受けた撮像画像の一部を再度選択して選択画像としてもよい。
【0039】
以下、
図3を用いて、上記構成を備える画像認証システム1を用いた画像認証方法の一例について説明する。
図3は、施設の所定の領域への人の入場の可否を判断するための画像認証方法の一例を示すフローチャートである。
【0040】
図3に示すように、画像認証方法では、まず、所定の領域であるマンション2の外側の人を撮像した撮像画像を取得する(S1)。本実施形態では、マンション2のロビーに設置されたロビーインターホン11を操作する人がロビーインターホン11のカメラで撮像された画像を撮像画像とする。
【0041】
S1ステップの後には、撮像画像から所定の条件に基づいて選択画像を選択する(S2)。本実施形態では、撮像画像の明るさが、既習範囲から一定以上変化している場合(S2ステップのYes)、当該撮像画像を選択画像として選択する(S3)。さらに、選択された選択画像を学習し、認証基準を更新する(S4)。他方、S2ステップにおいて、撮像画像の明るさが、既習範囲から一定以上変化していない場合(No)、認証基準を更新しない。このように、S2のステップでの判断がYesの場合には、認証基準が更新され、S2のステップでの判断がNoの場合には、認証基準は更新されない。撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、本実施形態の例に限定されず、例えば、明るさ以外の周辺環境が所定の状態であることや、取得頻度や、時間や、学習依頼を含んでもよい。
【0042】
次に、認証基準に基づき、撮像画像に含まれる人と、予め登録された登録画像に含まれる人(登録者)との認証を行う(S5)。また、
図3には図示されていないが、S5ステップにおいて、登録者と撮像画像に含まれる人とが同一人物であると判断された場合、共用玄関5は解錠され、マンション2の外側で撮像された人は、マンション2の内部に入ることができる。
【0043】
次に、
図4を用いて、
図3に示した例とは異なる画像認証方法について説明する。
図4は、画像認証方法の他の例を示すフローチャートである。
【0044】
図4に示す例は、
図3に示した例と、S5ステップの行われるタイミングが異なる。これにより、
図4に示す例では、S5ステップにおいて、直前に行われた画像認証方法後の認証基準に基づき認証が行われる。S5ステップの後に、学習に関するS2ステップ~S4ステップが行われ、撮像画像が所定の条件を満たす場合(S2ステップのYes)、認証基準が更新され、撮像画像が所定の条件を満たさない場合(S2ステップのNo)、認証基準は更新されない。画像認証方法後の認証基準は、次回の画像認証方法に用いられる。
【0045】
次に、
図5を用いて、
図3及び
図4に示した例とは異なる画像認証方法について説明する。
図5は、画像認証方法の他の一例を示すフローチャートである。
【0046】
図5に示す例は、
図4に示した例と、取得画像から選択画像を選択する所定の条件が、取得頻度と認証結果との関係である点(S12)で異なる。
図5に示す例では、認証に関するステップ(S5)を行った後に学習に関するステップ(S12~S4)を行うので、認証結果を所定の条件に含むことができる。本実施形態では、撮像画像の取得頻度が低い状態で認証が失敗した場合について学習し、認証基準を更新することで、取得画像からの特徴量の抽出がより向上され、認証の精度の向上を見込むことができる。撮像画像の取得頻度が高い状態で認証が成功した場合について学習し、認証基準を更新してもよい。撮像画像から選択画像を選択するための所定の条件は、本実施形態の例に限定されず、例えば、認証結果と、認証結果に対する権限者による入場の可否の入力内容との関係を含んでもよいし、認証結果と、所定の領域内の人の存在の有無との関係を含んでもよい。
【0047】
上述の実施形態は、本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。画像認証システム1を構成する要素は、適宜変更可能である。
【0048】
画像認証システム1が管理する所定の領域は、マンション2の共用部に限定されず、例えば、オフィスの管理区域等であってもよい。
【0049】
所定の領域は、複数の入口、出口、または出入口(以下、まとめて出入口という)を有してもよい。例えば、マンション2は、複数の共用玄関5を備えてもよい。複数の出入口は、相互に通信可能に接続され、いずれの出入口でも同じ画像認証を行えることが好ましい。
【0050】
登録画像を記憶する機能を有するのはクラウドサーバ17に限定されず、制御装置14、ゲートウェイ18、ロビーインターホン11等の画像認証システム1内の装置、および、画像認証システム1に接続される装置のいずれかが、登録画像を記憶してもよい。
【0051】
制御装置14の機能の一部または全部が、クラウドサーバ17などのマンション2の外側にあるサーバ、ゲートウェイ18等に存在していてもよい。取得部24、学習部26、および認証部28を有するのは、制御装置14に限定されず、クラウドサーバ17、ゲートウェイ18、ロビーインターホン11等の画像認証システム1内の装置、および、画像認証システム1に接続される装置のいずれかが取得部24、学習部26、および認証部28を有してもよい。
【0052】
他の実施形態としては、画像認証システム1が、制御装置14に処理部22を有さず、処理部22を有するロビーインターホン制御装置を少なくとも含むロビーインターホンシステムと、併用される構成であってもよい。また、画像認証システム1は、制御装置14を少なくとも含むロビーインターホンシステムの一部として、当該ロビーインターホンシステムに含まれる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 画像認証システム、2 マンション、5 共用玄関、7 玄関ドア、9 オートロック装置、10 インターホンシステム、11 ロビーインターホン、12 インターホン親機、13 インターホン子機、13a 呼出ボタン、14 制御装置、15 管理事務室親機、16 分岐器、17 クラウドサーバ、18 ゲートウェイ、20 プロセッサ、21 メモリ、22 処理部、24 取得部、26 学習部、28 認証部