(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
(21)【出願番号】P 2022559240
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2021039881
(87)【国際公開番号】W WO2022092226
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2022-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2020183225
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小川 英
(72)【発明者】
【氏名】小塚 雅之
(72)【発明者】
【氏名】柏木 吉一郎
(72)【発明者】
【氏名】芹澤 誠
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳也
(72)【発明者】
【氏名】牧野 弘康
(72)【発明者】
【氏名】西尾 歳朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 靖利
(72)【発明者】
【氏名】中橋 康太
(72)【発明者】
【氏名】森 美裕
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-356875(JP,A)
【文献】特開2017-068232(JP,A)
【文献】特開平06-315124(JP,A)
【文献】特開平06-121259(JP,A)
【文献】特開平05-196898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの頭部に装着されるヘッドマウント型の表示装置であって、
前記表示装置は、
第1の画像を表示するための第1の表示部を底部に有する有底筒状の第1の鏡筒と、
第2の画像を表示するための第2の表示部を底部に有する有底筒状の第2の鏡筒と、
前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒の並び方向に長尺の支持部材であって、前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒を前記並び方向に貫通することで、前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒の少なくとも一方を前記並び方向に沿って移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材の前記並び方向における両端部のそれぞれに接続されたテンプル部と、
位置推定部と、を備え、
前記第1の鏡筒は、超音波を検知する第1の収音器及び第2の収音器を有し、
前記第2の鏡筒は、超音波を検知する第3の収音器及び第4の収音器を有し、
前記テンプル部のそれぞれは、超音波を検知する第5の収音器及び第6の収音器をそれぞれ有し、
前記位置推定部は、
前記第1の鏡筒と前記第2の鏡筒との前記並び方向における距離が第1距離から前記第1距離と異なる第2距離に変更されたことをトリガとして、前記表示装置の正面側に配置された校正用発信器から発信される校正用超音波が、互いの位置が固定された前記第5の収音器と前記第6の収音器とに到達したときの伝搬時間に基づいて前記校正用発信器と前記第5の収音器との距離、または、前記第6の収音器との距離を求め、求めた距離に基づいて、前記校正用発信器から前記第1の鏡筒に設けられた前記第1の収音器と前記第2の収音器との少なくとも一方までの距離、及び、前記校正用発信器から前記第2の鏡筒に設けられた前記第3の収音器と前記第4の収音器との少なくとも一方までの距離を三角測量の要領で求め、求めた距離をもとに、前記第1の収音器、前記第2の収音器、前記第3の収音器、前記第4の収音器、前記第5の収音器、及び、前記第6の収音器のうち、2つ以上の収音器同士の位置関係を校正
する
表示装置。
【請求項2】
ユーザの頭部に装着されるヘッドマウント型の表示装置であって、
前記表示装置は、
第1の画像を表示するための第1の表示部を底部に有する有底筒状の第1の鏡筒と、
第2の画像を表示するための第2の表示部を底部に有する有底筒状の第2の鏡筒と、
前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒の並び方向に長尺の支持部材であって、前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒を前記並び方向に貫通することで、前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒の少なくとも一方を前記並び方向に沿って移動可能に支持する支持部材と、
前記支持部材の前記並び方向における両端部のそれぞれに接続されたテンプル部と、
前記第1の鏡筒と前記第2の鏡筒とに接続される調整部材であって、前記調整部材と前記第1の鏡筒との相対位置及び前記調整部材と前記第2の鏡筒との相対位置の少なくとも一方を変更することにより、前記第1の鏡筒と前記第2の鏡筒との前記並び方向における
距離を調整する調整部材
と、
位置推定部と、を備え、
前記第1の鏡筒は、超音波を検知する第1の収音器及び第2の収音器を有し、
前記第2の鏡筒は、超音波を検知する第3の収音器及び第4の収音器を有し、
前記テンプル部のそれぞれは、超音波を検知する第5の収音器及び第6の収音器をそれぞれ有し、
前記位置推定部は、
前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒の少なくとも一方を前記並び方向に沿って移動させた際に、前記調整部材による前記第1の鏡筒と前記第2の鏡筒との前記並び方向における距離の調整量から決定される
移動量に基づいて、前記第1の収音器、前記第2の収音器、前記第3の収音器、前記第4の収音器、前記第5の収音器、及び、前記第6の収音器のうち、2つ以上の収音器同士の位置関係を校正する
表示装置。
【請求項3】
前記ユーザの手で把持され、第1周波数の超音波を発信する第1発信器が設けられたコントローラと、
前記表示装置を装着したユーザとの相対位置が一定である任意の位置を原点とした、前記ユーザに対する直交座標を設定し、前記第1の収音器、前記第2の収音器、前記第3の収音器、前記第4の収音器、前記第5の収音器、及び、前記第6の収音器のうち、位置関係が校正された前記2つ以上の収音器を含む少なくとも3つの収音器の、前記直交座標における座標位置を取得する位置検出部を備え、
前記位置推定部は、
前記第1発信器から発信される前記第1周波数の超音波を、前記少なくとも3つの収音器のそれぞれに到達したときの伝搬時間に基づいて前記第1発信器から前記少なくとも3つの収音器までの距離を求め、前記第1発信器の座標位置と前記少なくとも3つの収音器の座標位置との間での距離に関する連立方程式から前記第1発信器の前記直交座標における座標位置を求め、前記少なくとも3つの収音器に対する前記第1発信器の相対位置を推定する
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記ユーザの手で把持されるコントローラを備え、
前記校正用発信器は、前記コントローラに設けられている
請求項1記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、頭部装着型の表示装置である、いわゆるヘッドマウントディスプレイの開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1には、コンテンツの映像と外界の映像とを提示(つまり表示)可能なヘッドマウントディスプレイが開示されている。特許文献1に開示されたヘッドマウントディスプレイでは、コンテンツの映像と外界の映像との少なくとも一方の映像の輝度を調整することで、コンテンツの映像と外界の映像とを切り替えた際にユーザに与える違和感が軽減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヘッドマウントディスプレイのような表示装置は、ユーザによる使用の観点で適切に構成されていない場合がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされ、より適切に構成された表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示に係る表示装置の一態様においては、第1の画像を表示するための第1の表示部を底部に有する有底筒状の第1の鏡筒と、第2の画像を表示するための第2の表示部を底部に有する有底筒状の第2の鏡筒と、前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒の並び方向に長尺の支持部材であって、前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒を前記並び方向に貫通することで、前記第1の鏡筒及び前記第2の鏡筒の少なくとも一方を前記並び方向に沿って移動可能に支持する支持部材と、前記支持部材の前記並び方向における両端部のそれぞれに接続されたテンプル部と、を備え、前記第1の鏡筒は、超音波を検知する第1の収音器及び第2の収音器を有し、前記第2の鏡筒は、超音波を検知する第3の収音器及び第4の収音器を有し、前記テンプル部のそれぞれは、超音波を検知する第5の収音器及び第6の収音器をそれぞれ有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、より適切に構成された表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すii-ii線で切断した場合の第1鏡筒の一部を拡大した拡大断面図である。
【
図3A】
図3Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのカバー内部の構成について説明する図である。
【
図3B】
図3Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの位置推定部について説明する図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイを含む表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのコネクタボックスの周辺図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップを示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップを示す上面図である。
【
図8A】
図8Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの第1のテンプル部の組み立ての様子を説明する斜視図である。
【
図8B】
図8Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの第1の後テンプル部の周辺構造を示す断面図である。
【
図8C】
図8Cは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの第2のテンプル部の第1部品を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの使用時における出音器の機能を説明する図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの保持機構について説明する上面図である。
【
図11】
図11は、他の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイである。
【
図12】
図12は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイへのコントローラを介した入力について説明するためのブロック図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイとコントローラとの相対距離の算出方法について説明するための概念図である。
【
図14】
図14は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイに対するコントローラの姿勢を検出する方法について説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(開示の基礎となった知見)
近年、ユーザが頭部に装着することで眼前に表示部を配置して、見かけ上、表示される画像を大画面で視認することが可能な表示装置が開発されている。このような表示装置は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれ、遠近法によって、見かけ上、大画面で画像を視認できるという特性から、多くが高画質化及び高性能化の開発路線をたどり、大型の筐体を有する構成で実現されている。このような大型のHMDでは、例えば、電車、オフィス、又は屋外等の公共の場で使用するには、携行性及び重量の問題の他、周囲から目立ってしまう等の理由から適切ではなかった。
【0010】
そこで、本開示では、表示装置であるHMDの携行性等、利用可能性を高めるため、ユーザの左右の目それぞれに対応した2つの表示部(ディスプレイ装置等)をそれぞれ最小限に覆う2つの筒状の筐体(以下鏡筒ともいう)を用いる、グラス型のHMDを実現している。このようなグラス型のHMDは、美観に優れ、大型のサングラスを着用しているように見えるため、周囲から目立ちにくく、自然に溶け込むことが可能になると期待される。
【0011】
ここで、このようなグラス型のHMDでは、ユーザの両目の瞳孔と2つの鏡筒内に配置された表示部の位置とが適合せず、画像を適切に表示できない場合がある。本開示では、この2つの鏡筒を相対距離可変に接続(又は支持ともいう)することで、ユーザの瞳孔の位置に合わせて2つの鏡筒を自在に配置でき、左右それぞれの画像を適切に表示できる。この際、2つの鏡筒は、互いの並び方向に沿って移動可能に構成される。例えば、この並び方向に沿って長尺な支持部材によって貫通されることで、当該支持部材によって2つの鏡筒が支持されており、2つの鏡筒のうち少なくとも一方が、支持部材上を摺動することで移動可能に構成される。これにより、2つの鏡筒の一方は、2つの鏡筒の他方に対して並び方向における相対位置が可変に構成される。
【0012】
このように支持部材に摺動可能に支持される際に、支持部材と鏡筒との間のクリアランスの設計が困難になる。具体的には、支持部材と鏡筒とを円滑に摺動させるには、これらの間に空隙を設ける必要がある。一方で、この空隙が大きければ、鏡筒は、支持部材の延びる並び方向を軸として軸回りの回転が可能となってしまう。鏡筒の回転を許容してしまうと、2つの鏡筒の間で筒軸のねじれが生じ、平行関係が維持できない。筒軸の平行関係が維持できない場合、2つの鏡筒それぞれに表示されるわずかな視差などによって構成されるコンテンツを正常に表示できないといった課題が生じる。
【0013】
このため、本開示では、2つの鏡筒同士の相対位置を、並び方向に変更可能に構成しつつ、各々の鏡筒の回転を抑制して、筒軸の平行関係を維持可能な構成について説明する。
【0014】
また、HMDは、装着型の表示装置であり、特に外光の影響を遮るために可能な限り表示部とユーザの目との間に外光が入り込まないようにユーザに密着するようにして使用される。つまり、HMDでは、ユーザの目との間で略密閉空間が形成されることが望ましい。このような密閉空間では、ユーザの皮膚や目から蒸発する水分によって空間内の湿度が上昇するため、空間の壁部を成す、例えば、レンズなどの光学部品において曇りが発生しやすい。そこで、本開示では、この課題に対処可能な構成についても言及する。
【0015】
また、HMDは、コンテンツを視覚的に知覚させるデバイスであるが、本開示のHMDにおいては、HMD単体で、視覚的な刺激のみでなく、聴覚的な刺激を組み合わせてコンテンツを提示可能である。
【0016】
HMDは、ユーザの動きに合わせて提示されるコンテンツを制御することで、ユーザの没入感を高めるための用途に使用されることがある。この際、動きを伴うユーザに対して安定してHMDが装着されていることが要求される。そこで、本開示では、HMDを安定して装着可能とする構成についても説明する。
【0017】
なお、本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0018】
以下では、本開示の実施の形態について図面とともに説明する。
【0019】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0020】
なお、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0021】
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差等の差異も含むことを意味する表現である。
【0022】
また、以下の説明に用いる各図では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を、HMDの各部の方向等の説明に適宜用いる。X軸方向は、HMDが装着された場合におけるユーザの左右方向であり、特に、ユーザから見た左側をX軸方向のプラス側とする。
【0023】
また、Y軸方向は、HMDが装着された場合におけるユーザの前後方向であり、特にユーザの後側をY軸方向のプラス側とする。また、Z軸方向は、HMDが装着された場合におけるユーザの上下方向であり、特に上側をZ軸方向のプラス側とする。
【0024】
また、詳細は後述するが、X軸方向は、実施の形態におけるHMDが備え、ユーザの左右の目に対応して並ぶ2つの鏡筒の並び方向とも一致している。Y軸方向は、実施の形態におけるHMDの鏡筒の筒軸(又は中心軸)方向に沿う方向であり、2つの鏡筒の各々の中心軸を通る平面を鏡筒の並び面(又は単に並び面)と称する。並び面は通常YX平面に平行な面である。この並び面に対して垂直なZ軸方向を高さ方向という場合がある。
【0025】
以下では、上記の左右方向、前後方向、及び上下方向、ならびに、筒軸方向、中心軸方向、並び方向、並び面、及び高さ方向を、特に断りなく説明に用いる場合がある。なお、これらの方向等の表現は、説明のために便宜上用いられるものであり、HMDの使用時における姿勢等を限定するものではない。
【0026】
以下の説明において、一部の構成には「第1」及び「第2」などの数字を含む名称が付されている場合があるが、この数字に順序及び優先度などの意味は含まれない。これらの数字は、単に、各構成要素を識別するために付されたものである。したがって、例えば、「第1」と「第2」とを入れ替えてもよく、「第1」及び「第2」に代えて「第3」及び「第4」等の別の数字を適用して説明を読み替えてもよい。
【0027】
また、本実施の形態におけるHMDでは、多くの構成が左右対称な組み合わせを有する構造である。したがって、一部の構成において左右の組み合わせのうち一方の説明を参照することによって他方の説明を省略する場合がある。
【0028】
(実施の形態)
[基本構成]
はじめに、実施の形態におけるHMDの基本的な構成について、
図1~
図4を参照して説明する。
図1は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの斜視図である。
【0029】
図1に示すように、実施の形態に係るHMD100は、第1の鏡筒10、第2の鏡筒20、調整機構31、支持部材41、第1のテンプル部15、第2のテンプル部25、第1のアイキャップ14、及び第2のアイキャップ24を備える。
【0030】
第1の鏡筒10は、ユーザ99(後述する
図9参照)の、例えば左目に対応する画像を表示するための単眼分のディスプレイモジュールである。第1の鏡筒10は、樹脂及び金属材料を組み合わせて構成される。また、第1の鏡筒10には、ユーザ99の一方の目(ここでは左目)に対応する第1の画像を表示するための第1の表示部(後述する
図4の表示部30の一部)、第1の表示部に表示される画像を拡大する第1の凸レンズ(後述する
図4の凸レンズ40の一部)と、を内部に有する。より具体的には、第1の鏡筒10は、有底筒状の形状であり、第1の表示部をその底部に有する。
【0031】
また、第1の鏡筒10は、第1の主部11、第1の副部12、及び第1のパネル13から構成される。図中に示すように、第1の鏡筒10は、第1の主部11と第1の副部12と第1のパネル13とから構成される二重底構造である。図中に示すように、第1の主部11、第1の副部12、及び第1のパネル13は別部材から構成される。以降の説明では、第1の鏡筒10は、二重底を有する有底筒状の構造であるとして説明するが、本開示のHMDは、単に第1の主部11のみからなる一重底を有する有底筒状であってもよい。このような第1の鏡筒10における底の構成については特に限定はなく、複数の機能部をそれぞれ収容する複数底の構成によりHMDを実現できる。
【0032】
第1の表示部と、第1の凸レンズとは、Y軸方向プラス側に向けて開口した筒状の第1の主部11の内部に配置される。なお、第1の凸レンズとして1つのレンズにより構成してもよいし、2以上のレンズを組み合わせて構成してもよい。言い換えると、第1の凸レンズは、複数のレンズを有するレンズユニットであってもよい。
【0033】
第2の鏡筒20は、ユーザ99の、例えば右目に対応する画像を表示するための単眼分のディスプレイモジュールである。第2の鏡筒20は、樹脂及び金属材料を組み合わせて構成される。また、第2の鏡筒20には、ユーザ99の他方の目(ここでは右目)に対応する第2の画像を表示するための第2の表示部(後述する
図4の表示部30の一部)と、第2の表示部に表示される画像を拡大する第2の凸レンズ(後述する
図4の凸レンズ40の一部)と、を内部に有する。より具体的には、第2の鏡筒20は、有底筒状の形状であり、第2の表示部をその底部に有する。
【0034】
また、第2の鏡筒20は、第2の主部21、第2の副部22、及び第2のパネル23から構成される。第2の表示部と、第2の凸レンズとは、Y軸方向プラス側に向けて開口した筒状の第2の主部21の内部に配置される。
【0035】
第1の鏡筒10と第2の鏡筒20とは、調整機構31及び支持部材41によって互いに連結されている。
【0036】
支持部材41は、第1の鏡筒10に形成された第1の貫通孔11a及び第2の鏡筒20に形成された第2の貫通孔21aの内径よりも外径の小さい、並び方向に沿って長尺棒状の部材である。例えば、支持部材41は、アルミ、又はステンレス鋼などの金属材料で形成される。なお、支持部材41は、十分な強度、耐久性を有する樹脂で形成してもよい。支持部材41は、第1の貫通孔11a及び第2の貫通孔21aに挿通される。この結果、支持部材41は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のそれぞれを並び方向に貫通している。第1の貫通孔11a及び第2の貫通孔21aへの支持部材41の挿通長さに応じて、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との位置関係が変更される。
【0037】
ここで、
図2を参照して、支持部材41と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20との関係について、さらに説明する。
図2は、
図1に示すii-ii線で切断した場合の第1鏡筒の一部を拡大した拡大断面図である。
【0038】
図2に示すように、本実施の形態に係るHMD100では、第1の主部11には、フレーム42と、凸レンズ40の支持に用いられる部材46と、アイキャップ14を取付けるための部材47とが取り付けられる。フレーム42は、アルミ、又はステンレス鋼などの金属材料で形成される。なお、フレーム42は、十分な強度、耐久性を有する樹脂で形成してもよい。フレーム42は、図示されない領域において第1の主部11と固定されており、第1の鏡筒10の全体を内部から補強するとともに、第1の鏡筒10を構成する各部材の固定に用いられる。第1の貫通孔11aは、第1の主部11の筒形状の内外を貫通し、かつ、フレーム42をX軸方向に貫通する。第1の貫通孔11aのうち、フレーム42に係る部分をフレーム貫通孔42aと称する。第1の貫通孔11aは、第1の主部11の筒形状の内外を貫通する部分と、フレーム貫通孔42aとが連通されて構成される。
【0039】
支持部材41は、本実施の形態では、X軸方向に長尺状で断面がU字形状の第1部品41aと、X軸方向に長尺状で、断面が第1部品41aを収容可能な大きさのU字形状の第2部品41bとからなる。図中に示すように、第1部品41aと第2部品41bとが組み合わされることで、支持部材41には、X軸方向に長尺状の内部空間が形成される。例えば、内部空間には、図中に円形断面で示すような内部配線41cが収容される。
【0040】
本実施の形態のHMD100のように、支持部材41は、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20とを接続する限られた部品の1つであるため、上記の内部配線41cなど、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との間で必要な通信のための部品配置に用いられる。また、同様の内部配線は、調整機構31の内部に空間を設けて当該空間に収容してもよい。配線のために用いられる線材は、外観上に見える位置に配置されると美観を損なう部品であり、また、断線などの虞がある部品であることから、このように別の部品の内部に収容することで、美観を損なうことなく、さらには、断線などの機能的な破損の可能性を低減することができる。
【0041】
ここで、支持部材41とフレーム貫通孔42aとの間には空隙が形成されている。この空隙を埋めるように、スライダー45が配置されている。スライダー45は、ポリアセタール等の潤滑性の樹脂材料からなり、フレーム貫通孔42aに対して支持部材41を摺動可能に保持している。
【0042】
本実施の形態では、このスライダー45を外部から押圧して変形させることで、支持部材41を締め付け、かつ、スライダー45とフレーム貫通孔42aとを摩擦させる。これにより、スライダー45が外部から押圧された際にはフレーム42と支持部材41との摺動が抑制され、さらに、支持部材41に対するフレーム42のX軸方向に平行な回りの回転が抑制される。すなわち、支持部材41に対する第1の鏡筒10のX軸回りの回転が抑制される。
【0043】
スライダー45を外部から押圧するには、ネジ部材43と圧力分散プレート44とが用いられる。ネジ部材43は、アルミ、又はステンレス鋼などの金属材料で形成され、フレーム42に形成されたネジ孔42bに螺入されることで、スライダー45への押圧力を付与する。圧力分散プレート44は、アルミ、又はステンレス鋼などの金属材料で形成され、ネジ孔42bに螺入された際のネジ部材43がスライダー45を直接押圧することを抑制する。また、圧力分散プレート44は、ネジ部材43によって付与された押圧力の方向を調整することで、スライダー45の変形の方向を規定する。
【0044】
以下、ネジ部材43による押圧力の付与からスライダー45の変形までの流れについてさらに詳細に説明する。ネジ部材43は、ネジ孔42bに螺入されることで、Y軸方向マイナス側に向かって進む。ネジ部材43は、ネジ孔42bとネジ山同士が噛みあうため、スライダー45等からの応力によってY軸方向プラス側に押し戻されることなく、螺入された深度を維持する。これにより、圧力分散プレート44には、ネジ部材43の螺入深度に応じた押圧力が付与される。
【0045】
圧力分散プレート44は、ネジ部材43からの押圧力によりY軸方向マイナス側へと移動する。圧力分散プレート44は、図中に示すようにネジ部材43からの押圧力を分散するべく押圧方向に交差する平面(つまりXZ平面)に沿って展伸されたXZ板を有する。また、圧力分散プレート44は、押圧力が逃げる方向への傾倒が抑制されるよう、すなわち、XZ板がXZ平面に交差しないように、XZ平面に交差するXY平面に沿って展伸されたXY板を有する。
【0046】
XY板は、スライダー45のZ軸方向プラス側の端面と、フレーム貫通孔42aのZ軸方向プラス側の内側面との間に差し込まれ、Z軸方向に沿う移動が抑制されている。ネジ部材43からの押圧力が逃げる方向へのXZ板の傾倒のうち、X軸を回転軸として回転する傾倒は、XY板のZ軸方向の移動が必須である。したがって、上記のように、XY板のZ軸方向に沿う移動が抑制されていることで、XZ板がX軸を回転軸として回転する傾倒が抑制される。
【0047】
また、XZ板は、スライダー45のY軸方向プラス側の端面と、フレーム貫通孔42aのY軸方向プラス側の内側面との間で展伸され、Y軸方向に沿う移動が抑制されている。ネジ部材43からの押圧力が逃げる方向へのXZ板の傾倒のうち、Z軸を回転軸として回転する傾倒は、XZ板のY軸方向の移動が必須である。したがって、上記のように、XZ板のY軸方向に沿う移動が抑制されていることで、XZ板がZ軸を回転軸として回転する傾倒が抑制される。
【0048】
このようにして、圧力分散プレート44によって、ネジ部材43からの押圧力は、その方向を維持したままスライダー45をY軸方向プラス側からマイナス側へと押圧する。なお、このとき、ネジ部材43の押圧力は、ネジ部材43の螺入方向先端部の面積に依存した大きさである。仮に圧力分散プレート44が存在しない場合、上記の押圧力は、比較的柔らかいスライダー45を破損し得る。圧力分散プレート44は、ネジ部材43からの押圧力が及ぶ面積をXZ平面上に分散させることで、このようなスライダー45の破損を抑制している。
【0049】
スライダー45は、図中の断面において支持部材41を略一周して覆うように構成されている。より正確には、スライダー45は、Z軸方向プラス側の端部において、Y軸方向における一部分が開口しており、この開口分だけ変形が許容される。また、スライダー45には、支持部材41のY軸方向プラス側を覆う一部分であって、支持部材41に面する内側の一部分に、外方に向けて凹む凹部45aが形成されている。凹部45aは、X軸方向に沿って延びており、X軸方向に沿って延びる肉薄部をスライダー45に形成している。他部に比べて変形が容易な肉薄部を設けることで、肉薄部近辺において変形が生じるようにスライダー45の変形態様が規定される。
【0050】
また、上記したXZ板は、凹部45aよりもZ軸方向プラス側で途切れるように構成されている。したがって、ネジ部材43からの押圧力は、凹部45aよりも上側をZ軸方向マイナス側へと押圧する。さらに、スライダー45には、支持部材41のY軸方向プラス側を覆う一部分であって、凹部45a近傍の一部分に、外方に向けて突出する凸部45bが形成されている。この結果、XZ板による押圧が、はじめに凸部45bを押圧する。
【0051】
凸部45bは凹部45aの近傍に形成されるので、凸部45bの押圧によってより顕著に凹部45aに対応する肉薄部の変形が生じる。具体的には、スライダー45のY軸方向プラス側であり凹部45aよりも上側の部分が、X軸方向に平行、かつ、肉薄部を通過する軸を回動軸として、図中の白抜き矢印に示すようにスライダー45の一部が回動する。
【0052】
これにより、スライダー45の回動する一部は、支持部材41を当該回動方向に従って押圧する。スライダー45の回動する一部のうち、支持部材41側の表面には、支持部材41に向けて突出する凸部45cが形成されている。つまり、スライダー45の回動する一部による支持部材41の押圧では、凸部45cに押圧力が集約されている。これにより、スライダー45は、支持部材41を強力に押圧し、支持部材41とスライダー45との摺動が抑制される。また、このスライダー45の変形は、支持部材41の周囲の空隙を埋めるように作用するため、フレーム42に対して支持部材41がX軸方向の軸回りに回転することが抑制される。
【0053】
このようにして、支持部材41とスライダー45との間、スライダー45と圧力分散プレート44及びフレーム貫通孔42aとの間、圧力分散プレートとネジ部材43との間、及び、ネジ部材43とネジ孔42bとの間のそれぞれにおいて、相対的な移動が抑制される。この結果、支持部材41が第1の鏡筒10に対して押圧されて相対的な移動が抑制される。すなわち、支持部材41に対して、第1の鏡筒10が回転すること及び摺動することが抑制される。
【0054】
なお、このネジ部材43による押圧力を変化させることで相対的な移動の抑制の程度を調整できる。このように、ネジ部材43、ネジ孔42b、圧力分散プレート44、及び、スライダー45は、並び方向に交差する方向から支持部材41を押圧する押圧機構の一例である。また、特に、ネジ部材43及びネジ孔42bは、支持部材41を押圧する際の押圧力を調整可能な調整部の一例である。ネジ部材43の螺入深度の調整は、部材46及び部材47にそれぞれ設けられた調整孔48及び調整孔49を介して行われる。また、このような調整孔が設けられない場合には、ネジ部材43の螺入深度の調整は、HMD100の出荷前の組み立てにおいて部材46及び部材47が組付けられる前に行われてもよい。
【0055】
また、以上に説明した押圧機構等は、第1の鏡筒10の中に1か所以上設けられる。また、より押圧力を高めるために、押圧機構等は、第1の鏡筒10の中に2か所以上設けられてもよい。例えば、押圧機構等は、第1の貫通孔11aの両側の開口付近それぞれに設けられてもよい。また、同様の構成が第2の鏡筒20にも設けられる。第2の鏡筒20においても左右対称に同様の構成の押圧機構等が設けられるため、第1の鏡筒10に設けられた押圧機構等の説明を、X軸方向のプラス側とマイナス側とを入れ替えて参照することで、第2の鏡筒20に設けられた押圧機構等の説明を省略する。
【0056】
再び
図1を参照して、HMD100の構成についての説明を続ける。ここで、
図1の(a)は、図中のa-a線で調整機構31の周辺を切断した場合の断面図である。
図1の(a)に示すように、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間に設けられる調整機構31は、X軸方向に長尺状の調整部材32と、第1の鏡筒10に埋設され、第1の螺旋状のネジ溝を有するネジ穴36と、第2の鏡筒20に埋設され、第2の螺旋状のネジ溝を有するネジ穴35とを含む。調整部材32はX軸方向における両端部にネジ山が切られている。具体的には、調整部材32は、X軸方向プラス側の一端に第1の螺旋状のネジ山から成るネジ部34を有し、X軸方向マイナス側の他端に第2の螺旋状のネジ山から成るネジ部33を有する。
【0057】
第1の鏡筒10に埋設されたネジ穴36には、ネジ部34が螺入され、X軸方向に平行な軸回りに調整部材32を回転させることでネジ穴36にネジ部34が挿脱される。また、第2の鏡筒20に埋設されたネジ穴35には、ネジ部33が螺入され、X軸方向に平行な軸回りに調整部材32を回転させることでネジ穴35にネジ部33が挿脱される。
【0058】
これらのネジ穴は、例えば、第1の鏡筒10における第1の副部12、又は、第2の鏡筒20における第2の副部22に設けられている。特に、第1の副部12又は第2の副部22の表面から十分な長さだけ内部側にネジ穴が設けられることで、挿脱に伴ってネジ部が、第1の副部12又は第2の副部22からはみ出しにくくなり、美観に優れる他、異物の混入による調整機構31の不具合の発生が抑制される。
【0059】
なお、調整部材32には、長手方向の中央部付近に調整部材32の操作性を向上するためのつまみ部材32aが装着されている。つまみ部材32aは、筒状の部材であり、内径が調整部材32の外径と一致している。これにより、つまみ部材32aに調整部材32が圧入等されることで固定され、つまみ部材32aの厚み分だけ調整部材32が太くなるため、調整部材32を回転させる際の操作性が向上される。
【0060】
ここで、つまみ部材32aは、固定部材41lを介して、X軸方向に二分された2つの部材から構成されている。固定部材41lは、調整部材32の外径より十分に大きい(つまり、少なくとも互いに非接触となる間隙が設けられた)内径の挿通孔を有する。固定部材41lの挿通孔に調整部材32が挿通されており、固定部材41lをX軸方向の両側から挟むようにつまみ部材32aの2つの部材がそれぞれ圧入されている。
【0061】
これにより、固定部材41lに挿通された状態でも調整部材32はX軸方向に平行な軸回りに回転可能であり、かつ、つまみ部材32aが接触するために、固定部材41lに対して、X軸方向における調整部材32の相対位置が固定される。また、調整部材32は、固定部材41lの挿通孔に挿通されているので、Z軸方向及びY軸方向においても、固定部材41lに対する相対移動が制限される。
【0062】
図1の(b)は、固定部材41lの周辺をZ軸方向プラス側から拡大して見た拡大上面図である。なお、本図では、固定部材41lの周辺のうち、支持部材41及び調整部材32を実線で示し、その他の構成要素については、判別性のために破線で示している。
図1の(b)に示すように、固定部材41lは、支持部材41と接合されて一体化されている。つまり、固定部材41lは、支持部材41に対して相対的に移動不可能に構成されている。
【0063】
したがって、固定部材41lにより、支持部材41に対して、X軸方向における調整部材32の相対位置が固定される。このような固定機構が存在しない場合、例えば、上記の押圧機構を解除し、調整部材32を操作して第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の相対位置を変更させた際に、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が調整機構31ごとX軸方向のいずれかの方向に移動してしまう場合がある。
【0064】
固定機構によって、支持部材41に対して、X軸方向における調整部材32の相対位置が固定されるので、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が調整機構31ごとX軸方向のいずれかの方向に移動することが抑制される。よって、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の相対位置の変更を容易に行うことができ、ユーザ99に合わせた鏡筒位置の調整を簡単に行うことができる。なお、つまみ部材32aの位置を調整部材32の中心からずれた位置に固定することで、ユーザ99の目の位置が左右非対称の場合に対応させてもよい。
【0065】
また、つまみ部材32aは、この構成において必須ではなく、例えば、X軸方向における固定部材41lの移動を抑制する凹部又は凸部のみを備える構成などであっても同様の効果を奏することができる。さらに、この効果を得るには、固定部材41lと調整部材32とのX軸方向における相対位置のみが固定されればよい。したがって固定部材としては、上記の固定部材41lに設けられた挿通孔がY軸方向マイナス側に開環した、U字状の部材、又は、つまみ部材32aの2つの部材の間に引っ掛るのみの突起状の部材等を用いることもできる。
【0066】
第1のテンプル部15は、前端部が支持部材41のX軸方向プラス側の一端部に接続され、後端部がユーザ99の、例えば左耳に係止される。第1のテンプル部15は、金属及び樹脂を組み合わせて構成される。第1のテンプル部15は、前端側の、第1の前テンプル部18と、後端側の、第1の後テンプル部16とがヒンジ部17を介して回動可能に接続されて構成されている。ヒンジ部17は、回動軸を構成する棒状部材と、当該棒状部材に回動可能に第1の前テンプル部18を接続する接続部材と、当該棒状部材に回動可能に第1の後テンプル部16を接続する接続部材とを含む。
【0067】
また、第1の前テンプル部18の前端側には、カバー19が設けられている。以下、カバー19について、
図3Aを参照して内部構成とともに説明する。
図3Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのカバー内部の構成について説明する図である。
図3Aでは、
図1に示したHMD100と同じ視点からみた、カバー19が取り外された第1の前テンプル部18周りの構成を示している。
【0068】
図3Aに示すように、カバー19が取り外された箇所には、第1の撮像器51が配置されている。第1の撮像器51は、HMD100の周囲の画像を生成するためのカメラであり、より具体的には、第1の撮像器51は、赤外線光源52から出射された赤外線の反射光を二次元面状に配列された受光素子で受光し、赤外線画像を生成する。第1の撮像器51によって生成された赤外線画像は、HMD100の姿勢の変化を検知するために用いられる。例えば、第1時点において第1の撮像器51によって生成された赤外線画像における物体と、第2時点において第1の撮像器51によって生成された赤外線画像における物体とのパターンマッチングが行われる。これにより、第1時点の物体が第2時点においてどの位置に移動したかによって、HMD100の姿勢がどのように変化したかを算出することができる。
【0069】
なお、このような処理には、3次元的に物体の認識が行われることが望ましい。したがって、HMD100の後述する第2の前テンプル部28のカバー29の内部にも第1の撮像器51と同様の第2の撮像器が配置されている。第1の撮像器51と第2の撮像器との視差を用いて、それぞれの撮像器から生成された赤外線画像から、3次元的な物体の認識を行うことができる。また、この視差を利用した3次元的な物体の認識は、第1の撮像器51と第2の撮像器との相対位置が固定されていることが望ましい。
【0070】
本実施の形態におけるHMD100では、支持部材41の両端にそれぞれ固定的に接続された第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25に第1の撮像器51及び第2の撮像器がそれぞれ配置されている。このため、第1の撮像器51と第2の撮像器との相対位置が固定されており、良好にHMD100の姿勢の変化を算出することができる。
【0071】
また、上記の第1の撮像器51及び第2の撮像器は、可視光画像をさらに生成してもよい。第1の撮像器51及び第2の撮像器のそれぞれにおいて生成された可視光画像を第1の鏡筒10に配置された表示部及び第2の鏡筒20に配置された表示部にそれぞれ表示させることで、ユーザ99にHMD100の外界を視認させることができる。このとき、第1の撮像器51及び第2の撮像器がユーザ99の前方方向とずれた光軸を有する場合、等が光軸を補正するための画像処理を行った上で、可視光画像を表示部に表示させてもよい。これにより、特に、HMD100を装着したことによる視界の変化による違和感を軽減し、ユーザ99は、HMD100を使用していないかのような体感をすることができる。
【0072】
図3Aに示すHMD100では、さらに、第1の鏡筒10の第1のパネル13が取り外され、第1のパネル13の内部の構成が示されている。ここで、第1のパネル13の内部には、第1の収音器53及び第2の収音器54が配置されている。第1の収音器53及び第2の収音器54のそれぞれは、第1のパネル13が取り付けられた際に、第1のパネル13と第1の副部12との隙間から入り込む音を収音するように配置されている。このため、これらの収音器は、HMD100の外部から見えにくくなるので、美観に優れるHMD100が実現できる。これらの収音器と左右対称となるように、第2の鏡筒20にも第3の収音器及び第4の集音器が配置されている。
【0073】
また、図示するように、第1のテンプル部15の、特に、第1の前テンプル部18には、第5の収音器55が配置されている。第5の収音器55は、例えば、第1の前テンプル部18の下方の表面に形成された収音孔から入り込む音を集音するように配置されている。このため、第5の収音器55は、HMD100の外部から見えにくくなるので、美観に優れるHMD100が実現できる。第5の収音器55と左右対称となるように、第2の鏡筒20にも第6の収音器が配置されている。以上に説明した6つの収音器はそれぞれ特定の周波数、周期又はタイミングなどに基づいて発生される超音波(特定の超音波ともいう)を集音するように構成されている。
【0074】
ユーザ99は、HMD100を使用する際に左右の手それぞれに特定の超音波を発生する発信器が内蔵されたコントローラを把持していてもよい。この場合に、コントローラから発生された特定の超音波を6つの収音器によって収音することで、位相差、到来時間等から、HMD100に対するコントローラの相対位置及び回転量(向き及び傾き)を算出することができる。コントローラは、例えば、ユーザ99の左右の手それぞれに把持されているので、コントローラの相対位置からユーザ99の手の動きを検知することができる。HMD100では、このようにユーザ99の手の位置及び向きに基づいてコンテンツに対する入力(例えば表示部に表示されている映像を変化させる)などの処理を行うことができる。また、このように、HMD100に対して、相対的な位置及び回転量(向き及び傾き)の変化に基づいて入力するためのデバイスを、同様の手法によってHMD100と組み合わせて利用することができる。つまり、コントローラは、相対的な位置及び回転量(向き及び傾き)の変化に基づいてHMD100に入力を行うための入力デバイスの一例である。
【0075】
上記の6つの収音器のそれぞれは、互いに離間して配置されることが好ましい。ただし、HMD100は、ユーザ99の装着性及び外観特性の関係で、2つの鏡筒が棒状の支持部材41によって支持されている構成であるため、収音部の配置に制約がある。そこでHMD100では、図中に示すように、第1の鏡筒10のうちの、下端と、第2の鏡筒20とは反対側の端部とのそれぞれに第1の収音器53及び第2の収音器54が配置されている。第2の鏡筒20についても左右対称に同様の配置で第3の収音器及び第4の収音器が配置されている。
【0076】
また、上記の4つの収音器が、XZ平面に平行な略同一面に並んでいるのに対して、当該同一面の面外の位置に配置されるように、第1の前テンプル部18に第5の収音器55が配置されている。第2の前テンプル部28にも同様に第6の収音器が配置されている。このように、6つの収音器は、限られたHMD100の構成要素内において、互いに離間されるように配置されている。
【0077】
[コントローラを介したHMDへの入力]
図12は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイへのントローラを介した入力について説明するためのブロック図である。
図12に示すように、HMD100を使用する際には、制御部200、コントローラの1種である右側操作端末300及び左側操作端末400(以下、右側操作端末300及び左側操作端末400を包括してコントローラと呼ぶ場合がある)に接続される。
【0078】
また、ここでは、HMD100は、画像表示部190、超音波受信部180、操作用入力部170、通信部160、及び、記憶部150を備える。画像表示部190は、表示駆動部1901と、2つの表示素子1902と、2組以上のレンズ1903と、を有する。HMD100の上記各構成は、上記したHMD100の構成要素のうち1つ以上を組み合わせて実現される。
【0079】
制御部200は、HMD100の各構成を制御するための信号を、コントローラから受信する。
【0080】
制御部200は、通信部270、記憶部280及びCPU290を備えている。制御部200は、通信部270を介して、HMD100、右側操作端末300及び左側操作端末400のそれぞれに備えられた通信部と無線LANやブルートゥース(登録商標)等の無線通信方式を用いて無線接続されている。
【0081】
記憶部280は、半導体メモリなどによって構成されたROMやRAM等の情報記憶デバイスである。記憶部280は、CPU290において実行される種々のコンピュータプログラムや、その際に利用される各種データを格納している。記憶部280には、上記のデータの1つとして、HMD100において表示するための画像表示部190が表示する画像や映像を含むコンテンツデータや、ユーザ99がコントローラを用いて行ったジェスチャー操作(この操作によって発生する、各種センサ値の変化)を制御部200への入力信号として識別するための設定データなどが記憶されている。
【0082】
CPU290は、表示制御部2901、操作認識部2902、位置検出部2903、及び、超音波制御部2904を備える。CPU290は、記憶部280に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、コントローラとの間で送受信する信号を介して、以下の超音波制御部2904、位置検出部2903、操作認識部2902、及び、表示制御部2901として機能する。
【0083】
超音波制御部2904は、コントローラにおける超音波を発生する発信器の動作を制御する。図中に示すように、右側操作端末300は、発信器として第1超音波送信部370、第2超音波送信部380、及び、第3超音波送信部390を備える。また、左側操作端末400は、発信器として第4超音波送信部470、第5超音波送信部480、及び、第6超音波送信部490を備える。超音波制御部2904は、第1超音波送信部370、第2超音波送信部380、第3超音波送信部390、第4超音波送信部470、第5超音波送信部480、及び、第6超音波送信部490の発生及び停止の動作を制御する。これにより、第1超音波送信部370、第2超音波送信部380、第3超音波送信部390、第4超音波送信部470、第5超音波送信部480、及び、第6超音波送信部490が発する超音波の発生タイミング及び周期等の態様をそれぞれ任意の態様に制御することができる。
【0084】
位置検出部2903は、右側操作端末300及び左側操作端末400からHMD100の超音波受信部180が有する第1収音器1802~第6収音器1807が受信する超音波のパルス信号に基づき、右側操作端末300及び左側操作端末400のそれぞれの姿勢(位置及び向き)を右側操作端末300と左側操作端末400のそれぞれに設けた1少なくとも3つの超音波送信部からの信号により検出する。HMD100が備える第1収音器1802~第6収音器1807は、実施の形態に係る第1の収音器53~第6の収音器に対応するが、ここでは左右の区別なく示している。したがって、第1収音器1802~第6収音器1807のそれぞれは、第1の収音器53~第6の収音器のいずれに対応するものであってもよい。
【0085】
操作認識部2902は、位置検出部2903により検出された右側操作端末300及び左側操作端末400の相対位置及び姿勢(向き及び方向)や当該相対位置及び姿勢(向き及び方向)の経時的な変化を、HMD100への入力信号に相当する操作情報として認識する。操作情報は、例えば、画像表示部190に表示される画像や画像内に重畳されるポインタを移動させる、又は、ポインタの指示箇所を選択する操作等の情報であり、具体的には画像内の特定の座標に対するタップ操作や、画像を特定の方向にスライド変位させるワイプ操作などである。なお、操作認識部2902によるセンサ値を操作情報として認識する具体的な操作認識方法としては、既存のあらゆる技術を適宜選択して利用できるものとする。
【0086】
表示制御部2901は、操作認識部2902により認識された操作情報に基づいて、HMD100の画像表示部190で表示される画像を変化させるように制御する。
【0087】
右側操作端末300及び左側操作端末400は、それぞれユーザ99の右手及び左手のそれぞれ把持する保持型の端末装置である。なお、このようなコントローラとして、ユーザ99による把持等を必要としないウェアラブル型の端末装置が用いられてもよい。以下では、右側操作端末300について中心に説明するが、左側操作端末400にも同等の構成が備えられており、右側操作端末300の説明を参照することで左側操作端末400の説明が省略又は簡略化される場合がある。
【0088】
右側操作端末300には、互いに異なる周波数の超音波を発生可能な第1超音波送信部370、第2超音波送信部380、及び、第3超音波送信部390が設けられている。また、右側操作端末300は、さらに、トラックパッド(不図示)や方向キー(不図示)などで構成される操作用入力部360等を有する。また、右側操作端末300は、記憶部340及び通信部350を有する。同様に、左側操作端末400には、互いに異なる周波数の超音波を発生可能な第4超音波送信部470、第5超音波送信部480、及び第6超音波送信部490、操作用入力部460、記憶部440、ならびに、通信部450を有する。なお、このようなコントローラは、左右のいずれか一方のみでもよく、さらに、コントローラには、少なくとも1つの超音波を発する発信器が備えられていれば相対位置の検出は可能でコントローラの向きを必要としないアプリケーションでは有用である。
【0089】
上記のように、HMD100には、第1超音波送信部370~第6超音波送信部490から発生された超音波を受波する第1収音器1802~第6収音器1807が設けられている。第1収音器1802~第6収音器1807で受波した超音波は、ノイズを除去する受信回路(不図示)を介して、パルス出力部1801に出力される。そして、パルス出力部1801は、受波した超音波をパルス信号として制御部200へと出力する。制御部200の位置検出部2903は、パルス信号に基づいて右側操作端末300及び左側操作端末400の位置を検出する。
【0090】
以下、上記の位置検出部2903における、右側操作端末300及び左側操作端末400の位置及び向きを検出する方法について説明する。以下では、説明の簡略化のため、
図13に示すように、第1超音波送信部370~第6超音波送信部490のうちの1つの超音波送信部(ここでは第1超音波送信部370)と、第1の収音器53~第6の収音器のうちの3つの収音器(ここでは、第1の収音器53、第2の収音器54、及び、第5の収音器55)とを用いた位置検出方法について説明する。
【0091】
HMD100との相対位置が一定である任意の位置を直交座標系の原点とし、HMD100を装着したユーザ99における左右方向を当該直交座標系のX軸方向とし、ユーザの前後方向を当該直交座標系のY軸方向とし、ユーザの上下方向を当該直交座標系のZ軸方向とする。
【0092】
位置検出部2903は、第1超音波送信部370からの同じ超音波が第1の収音器53に到達したときの伝播時間T1、第2の収音器54に到達したときの伝播時間T2、及び、第5の収音器55に到達したときの伝播時間T3、に基づいて、以下の式(1)~式(3)を連立方程式として解くことにより、右側操作端末300の特に、第1超音波送信部370の、上記直交座標系における座標位置(x,y,z)を算出することができる。
【0093】
このとき、上記直交座標系における第1の収音器53の座標位置(x1,y1,z1)、第2の収音器54の座標位置(x2,y2,z2)、及び、第5の収音器55の座標位置(x3,y3,z3)は、あらかじめ把握されている必要がある。しかしながら、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が移動可能に構成されていることから、これらの座標位置は状況によって変化しうる。したがって、初めに収音器の座標位置を校正するための動作が行われる。この動作については後述する。
【0094】
【0095】
なお、上記式(1)~式(3)におけるL1は第1超音波送信部370から第1の収音器53までの距離を示し、L2は第1超音波送信部370から第2の収音器54までの距離を示し、L3は第1超音波送信部370から第5の収音器55までの距離を示し、Cは空気中の超音波の伝播速度を示している。
【0096】
また、上記した第1の撮像器51及び第2の撮像器のように本実施の形態におけるHMD100は、外界を撮像する撮像器を備えている。このような撮像器が2以上ある場合、コントローラなどの対象物までの距離を測距することができる。具体的には、第1の撮像器51で得られた画像と第2の撮像器で得られた画像との間での同じ対象物の座標位置のずれをパターンマッチング等を用いて算出する。そして、ずれに対する撮像器の焦点距離の関係と相似関係にある、各撮像器間の離間距離に対する撮像器から対象物までの距離を計算によって得ることができる。
【0097】
ここで、上記の入力デバイスをHMD100への入力のために利用する際の、当該入力デバイスの相対位置の推定について説明する。
図3Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの位置推定部について説明する図である。HMD100には、
図3Bに示す入力デバイスの相対位置を推定するための位置推定部81が備えられている。位置推定部81は、移動量取得部82を備え、収音器Mc及び撮像器Cmに接続されている。なお、収音器Mcは、上記した第1の収音器53~第6の収音器を包含する概念である。また、撮像器Cmは、上記した第1の撮像器51及び第2の撮像器を包含する概念である。上記のコントローラの例に示したように、入力デバイスには、超音波を発するための発信器が設けられており、HMD100に備えられた複数の収音器が超音波を検知することにより、いわゆる三角測量の要領で発信器の位置を推定することができる。具体的には、所定距離だけ離間した一の収音器及び他の収音器のそれぞれと、超音波を発する発信器との距離(一の収音器と発信器との距離、及び、他の収音器と発信器との距離)がわかれば、一の収音器及び他の収音器に対する発信器の相対位置が計算によって求められる。
【0098】
この方法を応用すれば、一の収音器と他の収音器とを結ぶ直線を弦とした円の円周上に送信器があることがわかり、さらに別の収音器を一の収音器及び他の収音器の少なくとも一方と組み合わせて同様にすることで、3次元空間上の発信器の相対位置を推定できる。
【0099】
上記したように、ここでは超音波を用いて、送信器から収音器までの超音波の伝達時間からその間の距離を求める。伝達時間を求める方法としてはパルスをカウントする、強度を測定よる、位相差を測定するなどの方法があるが、どの方法が用いられてもよい。上記のように、収音器(第1の収音器53~第4の収音器)は第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20に設置されている。一方で、これらの2つの鏡筒間の距離が調整可能であることから、各収音器間の距離が変化するため、発信器の相対位置を正しく推定することができない場合がある。そこで、本実施の形態におけるHMD100では、この課題を解決するために、2つの鏡筒間の距離を調整した後の各収音器間の距離を求める必要がある。
【0100】
これには大きく2つの方法がある。まず1つは、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の少なくとも一方を並び方向に沿って移動させた際の移動量に基づいて、各収音器同士の位置関係を校正する方法である。収音器Mcのそれぞれの相対位置が移動するのは、並び方向に沿って移動する第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のいずれかに設置されている第1の収音器53~第4の収音器の4つである。しかも、その移動方向は並び方向に限定されていることから、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向における距離の調整量(以下、移動量ともいう)を知ることができれば、上記の理論を適用して、各収音器同士の位置関係を算出することができる。
【0101】
本実施の形態では、移動量取得部82によってこの移動量が取得される。移動量取得部82は、例えば、2つの鏡筒間の距離を調整した後、ユーザ99が自身で2つの鏡筒間の距離をシステムに入力することで、入力された移動量を取得する。2つの鏡筒間の距離は、支持部材41に刻印された移動量を測るためのメモリをユーザ99が目視で読み取ることで入力が行われてもよい。また、同様のメモリが調整部材32に刻印されていてもよい。また、一般的な物差し、メジャー等の測定機器や専用に設計された測定機器等の外部の構成を用いてユーザ99が2つの鏡筒間の移動量を測定して入力してもよい。また、この場合に、測定に適した箇所を指し示すためのマーカが支持部材41などに付されていてもよい。
【0102】
また、移動量取得部82は、例えば、ユーザ99による2つの鏡筒間の距離を調整する際の操作量を計測することで、操作量に応じた移動量を取得してもよい。例えば、移動量取得部82は、調整部材32の回転角度及び回転数をロータリーエンコーダー、抵抗素子などで計測した結果を取得してもよいし、2つの鏡筒のいずれか一方に設けられた超音波を発する送信器からの超音波を他方に設けられた収音器で検出して、離間距離の計測結果を取得してもよいし、支持部材41に設けられた抵抗素子の抵抗値により、2つの鏡筒間の距離を計測した結果を取得してもよい。さらには、移動量取得部82は、2つの鏡筒の一方に発光素子及び受光素子を設け、他方に発光素子からの光を反射する反射板を設けて、反射光検出によって2つの鏡筒間の距離を計測した結果を取得するとしてもよい。
【0103】
そして、もう1つの方法は、校正用の発信器から発せられる校正用超音波を検知して推定した校正用の発信器の相対位置に基づいて、各収音器同士の位置関係を校正する方法である。あらかじめ、各発信器に対しての相対的な位置が判明している校正用の発信器から発せられた超音波を検出し、推定される校正用の発信器の相対位置を、あらかじめ判明している位置と一致させるように、各収音器間の位置関係を調整することで、推定に用いられる各収音器間の距離値を適正化するものである。例えば、コントローラを定められた位置に置き、推定されたコントローラの位置とコントローラを置いた位置との差から収音器間の距離に対して補正すべき補正量を算出して、これが0となるように補正すればよい。この際は、コントローラ(特に、コントローラに内蔵された発信器)がそのまま校正用の発信器として用いられている。また、同様にコントローラを校正用の発信器として用いる例として、コントローラを置いた位置を、HMD100に対する相対位置として入力して、上記と同様の処理によって補正をすることも可能である。上記は、コントローラを1か所に置くことで補正を行う例を示したが、コントローラを2以上の位置に置いて、各位置で補正を行うことでその正確度を高めてもよい。特に、HMD100では、収音器Mcの配置により、HMD100の右斜め前(つまり、X軸方向マイナス側かつY軸方向マイナス側)、及び、左斜め前(つまり、X軸方向プラス側かつY軸方向マイナス側)の少なくとも一方にコントローラを置いて補正を行うことで、2つの鏡筒間の距離の変化の影響が表れやすい左右方向の補正誤差を縮小できる。なお、HMD100では、2つの鏡筒が左右対称に移動するように構成されていることから、右左のいずれか一か所でも十分に正確な補正値を得ることができる。
【0104】
また、コントローラを置く位置をHMD100によって指示することもできる。例えば、表示パネル39にHMD100の外界の景色とコントローラの概形とを重畳して表示させることで、ユーザ99は、外界の景色のうち、コントローラの概形が表示された位置にコントローラを置いて、上記と同様の構成を行うこともできる。
【0105】
これとは逆の考え方として、あらかじめコントローラを置いた状態で、HMD100を装着したままユーザ99が頭部を動かして、コントローラの位置に概形が一致するようにHMD100側を適切な姿勢に変化させるとしてもよい。また、表示される画像上のコントローラの大きさを利用して、コントローラとの距離、すなわち、発信器との距離を測定することも可能である。これらを組み合わせて、より正確度の高い補正を行ってもよい。
【0106】
また、収音器Mcのうち、第5の収音器55及び第6の収音器は、互いの位置が固定されているので、これらの2つの収音器と、コントローラとの距離を三角測量の要領で測定した後、この距離をもとに、第1の収音器53~第4の収音器の位置を推定して補正してもよい。この場合、コントローラをHMD100の正面側に置き、第5の収音器55及び第6の収音器を用いて測定したコントローラまでの距離と第1の収音器53~第4の収音器を用いて推定した2つの鏡筒間の距離とにより、コントローラの位置を補正すればよい。また、HMD100の表示パネル39により、第5の収音器55及び第6の収音器を用いて推定できる限界位置を示し、その位置にコントローラを置くように指示を与えて、第1の収音器53~第4の収音器の位置を推定して補正してもよい。
【0107】
また、コントローラに代えて、校正用治具を用いてもよい。つまり、校正用の発信器は、コントローラに備えられた発信器とは異なっていてもよい。この例では、HMD100を治具にセットし、この治具との位置関係が既知の校正用の発信器とによって正確な補正が可能となる。さらに、コントローラと異なる校正用の超音波信号を利用してもよく、これにより、さらに構成の正確度を高めることができる。例えば、校正用の超音波信号は、単一の超音波のみからなる超音波信号である。コントローラ用の超音波信号は複数の超音波を組み合わせているので、これと異なる超音波信号を用いることで、より正確度が高い補正が可能となる。なお、コントローラを用いて校正をする例の場合も、校正モードとして単一の超音波だけを発するようにして同等の効果を奏してもよい。
【0108】
上記は、コントローラとは別の校正用の発信器を用いる例として説明したが、校正用治具にHMD100とともにコントローラをセットできる構成とすれば、コントローラを用いて同様の校正を行うことも可能である。
【0109】
また、
図13に示した1つのコントローラ(右側操作端末300)に1つの超音波送信部(第1超音波送信部370)を備えた構成では、HMD100とコントローラとの相対位置を求めることができる。
図14は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイに対するコントローラの姿勢を検出する方法について説明するための概念図である。
【0110】
相対位置を求めることと同様に、
図14に示したように1つのコントローラ(右側操作端末300)に少なくとも3つの超音波送信部(例えば、3つが同一線上には並ばない第1超音波送信部370、第2超音波送信部380、及び、第3超音波送信部390)を備えた構成では、HMD100に対するコントローラの回転量(向き及び傾き)を検出できる。かかる構成によれば、コントローラを持つユーザ99の手の向きの把握や、仮想的な物体の向きを把握することができる。
【0111】
図14において、第1超音波送信部370、第2超音波送信部380、及び、第3超音波送信部390から、互いに異なる周波数の超音波が発生される。第1超音波送信部370、第2超音波送信部380、及び、第3超音波送信部390から発生された超音波が第1の収音器53で受波された場合について説明する。
【0112】
図14において、
図13と同様にしてHMD100との相対位置が一定である任意の位置を直交座標系の原点とし、HMD100を装着したユーザ99における左右方向を当該直交座標系のX軸方向とし、ユーザの前後方向を当該直交座標系のY軸方向とし、ユーザの上下方向を当該直交座標系のZ軸方向とする。
【0113】
位置検出部2903は、第1超音波送信部370からの同じ超音波が第1の収音器53に到達したときの伝播時間T’1、第2超音波送信部380からの同じ超音波が第1の収音器53に到達したときの伝播時間T’2、及び、第3超音波送信部390からの同じ超音波が第1の収音器53に到達したときの伝播時間T’3、に基づいて、以下の式(4)~式(6)を連立方程式として解くことにより、第1の収音器53に対する右側操作端末300の第1超音波送信部370、第2超音波送信部380、及び、第3超音波送信部390の離間距離D1、D2、及び、D3を算出し、算出した離間距離の関係性に基づいて右側操作端末300の姿勢(向き及び方向)を検出することができる。
【0114】
ここで、上記直交座標系における第1の収音器53の座標位置を(x1,y1,z1)、第1超音波送信部370の座標位置を(p1,q1,r1)、第2超音波送信部380の座標位置を(p2,q2,r2)、及び、第3超音波送信部390の座標位置を(p3、q3、r3)とする。また、Cは空気中の超音波の伝播速度を示している。
【0115】
なお、上記直交座標系における第1の収音器53の座標位置(x1,y1,z1)は、あらかじめ把握されている必要がある。
【0116】
【0117】
図3Aに戻り、第1のテンプル部15は、図中のZ軸に平行な軸回りに、第1の前テンプル部18に対して第1の後テンプル部16が回動して折り曲げ可能である。また、第1のテンプル部15は、後述する第2のテンプル部25に向かって近づく方向(Z軸方向プラス側から見た反時計回り)にのみ折り曲げ可能であり、反対側には回動しないようになっている。これにより、第1のテンプル部15は、ユーザ99の耳96(後述する
図9参照)への係止の容易性を向上している。
【0118】
第2のテンプル部25は、前端部が支持部材41のX軸方向マイナス側の他端部に接続され、後端部がユーザ99の、例えば右耳に係止される。第2のテンプル部25は、金属及び樹脂を組み合わせて構成される。第2のテンプル部25は、前端側の、第2の前テンプル部28と、後端側の、第2の後テンプル部26とがヒンジ部27を介して回動可能に接続されて構成されている。ヒンジ部27は、回動軸を構成する棒状部材と、当該棒状部材に回動可能に第2の前テンプル部28を接続する接続部材と、当該棒状部材に回動可能に第2の後テンプル部26を接続する接続部材とを含む。
【0119】
また、第2の前テンプル部28の前端側には、カバー29が設けられている。カバー29については、カバー19の説明とともに後述する。第2の後テンプル部26には、さらに、HMD100と外部の装置とを接続するための配線71が接続されている。
【0120】
配線71は、第2のテンプル部25に接続され、第2の後テンプル部26、ヒンジ部27、及び第2の前テンプル部28の内部を通る内部配線67(後述する
図8C参照)に繋がっている。この内部配線67は、さらに、支持部材41の第1部品41a及び第2部品41bの間の空間を通って第2の鏡筒20及び第1の鏡筒10へと延びる。つまり、内部配線67は、上記の内部配線41cと一体化されている。したがって、配線71は、上記の内部配線41cに電気的に接続される。配線71には、外部の装置から、HMD100を駆動するための電力と、HMD100を用いてユーザ99に提示されるコンテンツを示す信号情報とが供給される。
【0121】
第2のテンプル部25は、図中のZ軸に平行な軸回りに、第2の前テンプル部28に対して第2の後テンプル部26が回動して折り曲げ可能である。また、第2のテンプル部25は、上記した第1のテンプル部15に向かって近づく方向(Z軸方向プラス側から見た時計回り)にのみ折り曲げ可能であり、反対側には回動しないようになっている。これにより、第2のテンプル部25は、ユーザ99の耳96への係止の容易性を向上している。
【0122】
図1に示すように、第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25は、各々の後端が互いに近づくように湾曲している。言い換えると、各々のテンプル部は、ユーザ99の頭部が位置するHMD100の内側に向けて湾曲している。これにより、第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25がそれぞれユーザ99の後頭部を内方かつ前方へと押圧し、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20がユーザ99の頭部へと押し当てられるように引き寄せられる。よって、第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25の湾曲形状は、HMD100を装着した際の脱落を抑制し、装着性の向上に寄与している。
【0123】
第1のアイキャップ14は、第1の鏡筒10とユーザ99の頭部との間に介在する筒形状の部材である。第1のアイキャップ14は、第1の鏡筒10に対して着脱可能に取り付けられる。例えば、HMD100を複数のユーザ99が共有するような場合に、第1のアイキャップ14を交換するのみで、第1の鏡筒10を介したユーザ99どうしの間接的な接触を抑制できる。第1のアイキャップ14は、第1の鏡筒10の第1の主部11における開口側から、Y軸方向マイナス側に向けて挿入されることで取り付けられる。この結果、第1のアイキャップ14は、第1の鏡筒10の開口端よりも外方(つまりユーザ99側)に向けて突出し、当該開口端に沿って設けられる。このように、ユーザ99に対して接触する主体物である第1のアイキャップ14を取り外して洗浄等をすることができるため、HMD100全体を洗浄しなくともHMD100を清潔に維持することができる。
【0124】
第2のアイキャップ24は、第2の鏡筒20とユーザ99の頭部との間に介在する筒形状の部材である。第2のアイキャップ24は、第2の鏡筒20に対して着脱可能に取り付けられる。例えば、HMD100を複数のユーザ99が共有するような場合に、第2のアイキャップ24を交換するのみで、第2の鏡筒20を介したユーザ99どうしの間接的な接触を抑制できる。第2のアイキャップ24は、第2の鏡筒20の第2の主部21における開口側から、Y軸方向マイナス側に向けて挿入されることで取り付けられる。この結果、第2のアイキャップ24は、第2の鏡筒20の開口端よりも外方(つまりユーザ99側)に向けて突出し、当該開口端に沿って設けられる。このように、ユーザ99に対して接触する主体物である第2のアイキャップ24を取り外して洗浄等をすることができるため、HMD100全体を洗浄しなくともHMD100を清潔に維持することができる。
【0125】
なお、上記の第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24の筒形状とは完全な筒でなくてもよく、例えば、筒軸方向から見た一部が開口した、湾曲板状等であってもよい。ただし、これらのアイキャップは、HMD100の表示部からの光を、外光の影響を少なくしてユーザ99の目に届けるためにHMD100とユーザ99の目との間を広く覆う形状であることが望ましい。このため、本実施の形態における第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24は、それぞれ、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の開口端を一周する筒形状である。
【0126】
以下では、
図4を参照することで、本実施の形態に係るHMD100の機能構成について説明する。
図4は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイを含む表示システムの機能構成を示すブロック図である。
【0127】
HMD100には、コネクタ75及びプラグ75aを介して電源91及び信号処理回路92が接続される。電源91及び信号処理回路92は、HMD100に接続される外部の装置である。
【0128】
電源91は、HMD100が各種の動作を行うための電力を供給する装置である。電源91は、例えば、家庭用の交流の電力を変換し、HMD100の動作に必要な電圧の直流の電力を生成するAC-DCコンバータである。また、電源91は、例えば蓄電された電力を直流で放電するバッテリ、太陽光エネルギーを利用して発電した電力を供給する太陽電池等であってもよい。また、電源91を、バッテリとしてHMD100に内蔵してもよく、太陽電池としてHMD100の外面に取付けてもよい。また、HMD100では、プラグ75a及びコネクタ75を用いずに無線伝送によって給電が行われてもよい。
【0129】
信号処理回路92は、HMD100に対して、表示される画像を示す画像情報を通信によって供給する装置である。信号処理回路92は、画像情報をデジタル信号として供給するが、アナログ信号により供給してもよい。また、画像情報をHMD100に格納させ、プラグ75a及びコネクタ75の接続が解除されたオフラインで画像を表示させてもよい。また、プラグ75a及びコネクタ75の接続が維持されたオンラインで、リアルタイムに生成した画像情報を逐一HMD100に供給して表示させてもよい。また、このような画像情報も無線通信を用いて供給してもよい。
【0130】
図1に示すように、第2のテンプル部25には、上記の通信及び給電の少なくとも一方を行うためのコネクタ75が先端に設けられる配線71が、HMD100の装着時におけるユーザ99の右耳の周辺に接続されている。配線71は、右耳よりも後方に向かって延びている。例えば、HMD100の第2の後テンプル部26は、位置把握性及び取り回しの観点から10cm~15cm程度の長さに設計された配線71を介して、コネクタ75が設けられるコネクタボックス72に接続されている。
【0131】
[コネクタボックス]
図5は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのコネクタボックスの周辺図である。コネクタボックス72は、コネクタ75が設けられたHMD100の操作部である。コネクタボックス72には、HMD100を操作するためのユーザ99の入力を受け付ける操作ボタンが設けられている。具体的には、図中に示すように、コネクタボックス72には音量増大操作ボタン73aと、電源操作ボタン73bと、音量減少操作ボタン73cとが設けられている。
【0132】
音量増大操作ボタン73aは、ユーザ99が押下すると、その押下回数に応じてHMD100に表示されるコンテンツに合わせて再生される音の音量を増大させる。また、電源操作ボタン73bは、ユーザ99が押下すると、HMD100の電源のオン/オフを切り替える。つまり、HMD100を動作させるためには、コネクタ75を介して電力を供給するとともに、電源操作ボタン73bを押下することでHMD100の電源をオンする操作を行う必要がある。音量減少操作ボタン73cは、ユーザ99が押下すると、その押下回数に応じてHMD100に表示されるコンテンツに合わせて再生される音の音量を減少させる。
【0133】
なお、HMD100は、表示されるコンテンツに合わせて再生される音を出音するための構成を備える。例えは、コネクタボックス72には、オーディオジャック74が設けられている。オーディオジャック74には、例えば、コネクタ75を介して信号処理回路92から取得した、コンテンツに合わせて再生される音の信号が供給されている。オーディオジャック74に任意のイヤホン又はスピーカ等に繋がるオーディオプラグ74aを挿入することで、当該イヤホン又はスピーカ等を介してコンテンツに合わせて再生される音が出音される。
【0134】
コネクタ75に接続されるプラグ75aは、例えば、変換プラグであってもよい。プラグ75aは、各種の信号及び電力を1つの形状のプラグで電装可能なユニバーサルタイプのプラグである。ただし、このようなプラグ形状に適合した信号の出力を行うことができない信号処理回路92から、コンテンツなどの信号をHMD100へと出力する場合がある。このとき、コネクタ75には、異なるプラグ形状での信号の入力を受け付けて信号変換処理を行い、かつ、プラグ75aのプラグ形状に適合した(つまりコネクタ75に適合した)形状で変換後の信号の出力が可能な変換プラグが接続されてもよい。
【0135】
再び、
図4を参照してHMD100の機能構成についての説明を続ける。外部の装置から給電された電力及び供給された画像情報は、内部配線41cなどを介して、駆動回路38へと伝送される。より詳しくは、画像情報は、
図4に示すように処理部38aを経由して駆動回路38へと伝送される。処理部38aは、HMD100の表示部30に表示させるための画像情報を処理して、アナログ信号に変換するとともに、各種の画像調整の処理を行う処理装置である。処理部38aは、プロセッサとメモリと当該メモリに格納された画像処理のためのプログラムによって実現される。
【0136】
このようにして、アナログ信号として駆動回路38に到達した画像情報に基づき、表示部30における画像の表示が行われる。具体的には、駆動回路38によって表示パネル39が駆動されて、画像を示す光が出射される。当該光は、凸レンズ40によって集光されてユーザ99の目95において視認される。
【0137】
駆動回路38は、表示パネル39を駆動するための回路装置である。また、表示パネル39は、例えば液晶パネル、有機ELパネル、又はマイクロLEDパネル等の装置である。なお、このような駆動回路38と表示パネル39とを用いる表示部30の他、表示部30として網膜投影型のレーザプロジェクタ等が用いられてもよい。
【0138】
[アイキャップ]
続いて、本実施の形態におけるアイキャップの構成についてさらに詳しく説明する。
図6は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップを示す斜視図である。また、
図7は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップを示す上面図である。なお、
図6及び
図7では、第1のアイキャップ14について図示しているが、第2のアイキャップ24についても左右対称である他は同様の構成であるため説明を省略する。また、
図6では、第1のアイキャップ14のうちの第2部材14iiの図示を省略している。
【0139】
第1の鏡筒10においては、第1のアイキャップ14は、ユーザ99と第1の鏡筒10との直接の接触を抑制している。第1のアイキャップ14は、ユーザの一方の目を覆うように構成されており、ユーザ99と第1の鏡筒10との間に介在し、ユーザ99と第1の鏡筒10との間を埋めるように構成されている。第1のアイキャップ14は、ゴム状のシリコン樹脂等の弾性変形可能、かつ、遮光性を有する材料を用いて形成される。また、第1のアイキャップ14はスポンジ状の樹脂材料を用いて形成されてもよい。第1のアイキャップ14は、遮光性を有し、ユーザ99と第1の鏡筒10との間を埋めるように構成されることで、HMD100がユーザ99に画像を視認させるために出射した光に外光が混ざり、画像の視認性が低下することを抑制している。
【0140】
図中に示すように、本実施の形態における第1のアイキャップ14は、第1部材14iと第2部材14iiとからなる。第1部材14iは、例えば、シリコン樹脂からなり、第1の鏡筒10の特に第1の主部11に挿入される筒状の挿入部14aと、第1の主部11の開口側の端部から筒外側(Y軸方向プラス側)に延び、HMD100の装着時におけるユーザ99の頭部に至る大きさの湾曲板状のキャップ部14bとを有する。また、キャップ部14bは、ユーザ99の目95の周囲から側頭部にわたるカーブに沿ってカーブを描いている。ユーザ99は、第1の鏡筒10の内部に設けられた表示部に対応する、円形の開口14cを介して、第1のアイキャップ14越しに画像を視認することができる。
【0141】
キャップ部14bのユーザ99に接触する接触端側は、接触面積が大きくなるようにユーザ99の顔面に対向する面状の表面14dを有している。ここで、キャップ部14bは、ユーザ99の頭部に沿う表面14dと、挿入部14aに接続される接続端との間を連続的に覆う。これにより、キャップ部14bは、離間された第1の鏡筒10とユーザ99の頭部とを接続して視野内への外光の進入を遮る機能を有する。
【0142】
挿入部14aとキャップ部14bとの間には、挿入部14aの外周及びキャップ部14bの外周よりも小さい外周を有するくびれ部が形成されている。くびれ部は、言い換えると、第1部材14iの外面全周にわたってくびれる薄肉部である。くびれ部が形成されることによって第1部材14iは、上下左右方向に撓む可撓性が付与される。ここで、第1部材14iの上下方向の可撓性は、HMD100の左右の視差に影響を与えずユーザ99の装着性を高める効果があるため有用であるが、第1部材14iの左右方向の可撓性は、HMD100の左右の視差に影響を与える場合がある。
【0143】
そこで、第1部材14iには、くびれ部と、高さ方向においてくびれ部の中央を通り並び方向に沿う線とが交差する箇所(つまり、くびれ部と並び面とが交差する箇所)に、外周をさらに外側に拡大する肉厚部が形成される。肉厚部は、並び面の面内においてくびれ部を埋めるように、第1部材14iとともに一体的に形成される。肉厚部は、第1の鏡筒10のY軸方向マイナス側に向けて拡径するテーパ形状を有する。これにより、キャップ部14bは、テーパの縮径した一端側において肉厚部をY軸方向マイナス側へと押圧し、拡径した他端側によって当該押圧の圧力が支持される。つまり、支点が小さく明確になり、支点から離れる方向へのキャップ部14bの撓みを促進するように機能する。結果として、キャップ部14bは、上下方向に容易に撓む構成となる。
【0144】
肉厚部は、第1部材14iの左右方向への撓みに対向するようにキャップ部14bを挿入部14a側から支持する。また、このようなキャップ部14bの支持をより強固とするために、キャップ部14bは、第1の鏡筒10の中心軸に交差するXZ平面に沿って肉厚部よりも外側に延びて、キャップ部14bに接続される平板部を有する。第1部材14iの撓みが平板部によって支持されるシーソ様構造を成し、左右方向への撓みが強固に抑制されるとともに上下方向への撓みがキャップ部14bの形状を維持した状態で生じやすくなる。
【0145】
ここで、第1部材14iの表面14dには、Z軸方向に沿って延びる溝14eが形成されている。本実施の形態の第1のアイキャップ14では、溝14eが複数形成されており、Y軸方向からみて、開口14cをZ軸方向に挟む上下側のそれぞれに形成されている。表面14dには、第1のアイキャップ14における第2部材14iiが貼り付けられる。第2部材14iiは、例えば、ウレタンによって形成され、ユーザ99の目95の周囲に直接接触する。
【0146】
第2部材14iiがウレタンなどの皮膚刺激の少ない材料で構成されることで、HMD100の装着感が向上されている。ここで、第2部材14iiが重ねられることで、溝14eのY軸方向プラス側の一部が塞がれる。これにより、溝14eと第2部材14iiとで、Z軸方向に第1のアイキャップ14の筒形状の内外を連通する通気路14fが形成される。通気路14fは、複数の溝14eの数に対応する複数個が設けられている。例えば、本実施の形態における通気路14fは、Y軸方向から見て、開口14cよりも上側(Z軸方向プラス側)及び下側(Z軸方向マイナス側)のそれぞれに6個ずつ設けられている。
【0147】
複数の通気路14fのうちの一部は、第1のアイキャップ14の筒外から筒内へと空気を取り込むために利用される。また、複数の通気路14fのうちの他部は、第1のアイキャップ14の筒内から筒外へと空気を放出するために利用される。このように、複数の通気路14fのそれぞれが空気の取り込み又は放出を行うことで第1のアイキャップ14の筒形状内部にユーザ99の目95などから揮発した水分によって発生する曇りを抑制することができる。
【0148】
本実施の形態では、複数の通気路14fのうち、Y軸方向から見て、開口14cよりも上側(Z軸方向プラス側)に設けられた通気路14fが空気の放出に関与し、開口14cよりも下側(Z軸方向マイナス側)に設けられた通気路14fが空気の取り込みに関与する。例えば、第1のアイキャップ14の筒形状の内部では、ユーザ99及びHMD100の表示部などから生じる熱がこもるため、空気が暖められる。Z軸方向プラス側を鉛直方向の上側となるような姿勢でHMD100を使用している場合、温められた空気は、Z軸方向プラス側に設けられた通気路14fから外部へと自然に放出される。この結果、負圧となった第1のアイキャップ14の筒形状の内部には、Z軸方向マイナス側に設けられた通気路14fから空気が取り込まれることによって供給される。この繰り返しにより、第1のアイキャップ14の筒形状の内部は、常に空気が入れ替えられているので、高い曇り発生の抑制効果が得られる。
【0149】
なお、このように通気路14fを設けることで、第1のアイキャップ14の内部に外光が入り込む可能性がある。本実施の形態におけるHMD100では、ユーザ99の目95に比較的近く、かつ、表示部からの画像を示す光の光軸と交差する方向に延びるように通気路14fが配置されているので、外光と表示部からの光とが混ざりにくく、通気路14f形成による画像の視認性の低下が抑制されている。
【0150】
また、第2部材14iiは、HMD100において必須の構成ではない。すなわち、第1部材14iのみを用いた第1のアイキャップ14であっても溝14eがユーザ99の目95の周囲の接触面との間で通気路を形成することができるので、同様の効果を奏することが可能となる。ただし、接触面において皮膚の変形により通気路14fが塞がれるような場合(例えば、HMDを強く押圧して装着する場合等)があるため、第2部材14iiを介在させて通気路14fを確実に形成することが可能とする構成は有用である。
【0151】
[内蔵型出音器]
次に、HMD100の第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25に内蔵される出音器について、
図8A~
図8C、及び、
図9を参照して説明する。
図8Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの第1のテンプル部の組み立ての様子を説明する斜視図である。
図8Aの(a)は、組み立て前の(分解された)第1の後テンプル部16を示している。また、
図8Aの(b)は、組み立て後の第1の後テンプル部16を示している。
【0152】
図8Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの第1の後テンプル部の周辺構造を示す断面図である。
図8Bは、
図8Aの(b)に示すb-b線で切断した場合の第1の後テンプル部16の断面を示している。また、
図8Cは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの第2のテンプル部の第1部品を示す斜視図である。また、
図9は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの使用時における出音器の機能を説明する図である。
【0153】
なお、
図8A、
図8B、及び、
図9では、第1のテンプル部15について図示しているが、第2のテンプル部25についても左右対称である他は同様の構成であるため説明を省略する。一方で、
図8Cにおいて説明する構造は、第2のテンプル部25に特有の構造であり、第1のテンプル部15には備えられていない。
【0154】
図8Aの(a)に示すように、HMD100の第1の後テンプル部16は、YZ平面に平行な面で分割された第1部品16i及び第2部品16iiの2つの部品からなる。第1部品16iは、第1の後テンプル部16におけるX軸方向プラス側の部分を構成する部品である。また、第2部品16iiは、第1の後テンプル部16におけるX軸方向マイナス側の部分を構成する部品である。第1の後テンプル部16は、第1部品16iと第2部品16iiとをX軸方向に沿って合わせることで、例えば、接続棒が接続穴に篏合されることで固定される。このようにして、
図8Aの(b)に示すように第1の後テンプル部16が形成される。
【0155】
ここで、
図8Aの(a)に示すように、第1の後テンプル部には、出音器61が内蔵されている。出音器61は、上記に説明したコンテンツに合わせて再生される音を出音するためのモジュールである。より具体的には、出音器61には、コンテンツに合わせて再生される音に基づいて、図示しないデジタル/アナログ変換回路及びアンプ回路等を介して必要な出力に調整されたアナログ信号が入力される。出音器61は、振動板と、当該振動板を駆動するための駆動素子とを備える。駆動素子に上記のアナログ信号が入力されると、駆動素子は、アナログ信号に応じた振動で振動板を振動させる。この結果、出音器61は、コンテンツに合わせて再生される音に応じた振動を発生させ、この振動による音波として出力する。振動による音波は、空気を伝播して耳96に届くことでユーザ99に知覚される。
【0156】
振動板を振動させることで音波を発生させる場合、振動板の一方の面が正位相の振動となり、他方の面が逆位相の振動となる。いずれの振動も音として成り立つが、正位相の振動による音波(以下正位相波ともいう)と逆位相の振動による音波(以下正位相波ともいう)とが同時に出力された場合、互いに打ち消し合うために、正常な音として成り立たない。そこで、正位相波及び逆位相波を互いに分離し、一方の音波のみをユーザ99に知覚させることが必要となる。本実施の形態におけるHMD100では、第1の後テンプル部16に内蔵された出音器61から、振動による音波を外部に取り出す際に、正位相波及び逆位相波の一方を取り出すための孔を、他方を取り出すための孔と離間して配置している。
【0157】
具体的には、
図8Aの(b)に示すように、第1の後テンプル部16には、正位相孔63と、正位相孔63に対して離間して配置された逆位相孔62とが設けられている。なお、正位相孔63は、第1部品16i及び第2部品16iiのそれぞれにまたがっており、第1部品16iに形成された半孔63iと、第2部品16iiに形成された半孔63iiとから構成されている。
【0158】
正位相孔63及び逆位相孔62は、HMD100の美観のために、例えば、第1の後テンプル部16における下面側(Z軸方向マイナス側)に設けられている。
図8Aの(a)を参照すると、出音器61を構成する振動板(出音器61の中心の円板)のうち、紙面手前側の面は、正位相孔63に繋がる空間に面しており、正位相波を出力する面である。一方、出音器61を構成する振動板のうち、紙面奥手側の面は、逆位相孔62に繋がる空間に面している。また、出音器61では、振動板の周囲に正位相波と逆位相波とが干渉しないようにするための隔壁が設けられている。隔壁は、振動板の両主面を隔絶するための振動板に平行な板部材と、当該板部材から板面に垂直な方向に延び、振動板から正位相孔63までの空間、及び、振動板から逆位相孔62までの空間を分離するための壁部材とからなる。
【0159】
正位相孔63に繋がる空間は、比較的小さな空間であり、振動板からの正位相波は、発生後すぐに正位相孔63から取り出される。一方で逆位相孔62に繋がる空間は比較的大きく。振動板からの逆位相波は、発生後しばらくは上記の空間を通過しながら逆位相孔62へと向かい、その後逆位相孔62から取り出される。
【0160】
また、
図9に示すように、正位相孔63は、ユーザ99がHMD100を装着した姿勢において、ユーザ99の耳96に近い位置に設けられている。一方で、逆位相孔62は、ユーザ99がHMD100を装着した姿勢において、ユーザ99の耳96から遠い位置に設けられている。さらに、正位相孔63は、その孔軸方向が後方かつ下方に設定されている。一方で逆位相孔62は、その孔軸方向が下方に設定されている。
【0161】
このように、正位相孔63をユーザ99の耳96の付近に設け、逆位相孔62を第1の後テンプル部16の中でも正位相孔63及びユーザ99の耳96から離れた位置に設けることで、正位相波と逆位相波との干渉を抑制している。さらに、
図8Aの(a)では、正位相孔63をユーザ99の耳96に向かう方向に設け、逆位相孔62を正位相孔63の向きとは異なる向きに設けることで、正位相波と逆位相波との干渉をさらに抑制している。
【0162】
ここで、
図8Bに示すように、第2部品16iiと出音器61との間に形成される空間は、第1の後テンプル部16の正位相孔63に近づくほど、断面積が大きくなるように構成されている。具体的には、出音器61と対向する第2部品16iiの内壁が肉厚部69を形成している。この肉厚部69の構成によって、上記の空間の断面積が制御されている。より詳細には、
図8Bにおける紙面上側(つまり正位相孔63から遠い位置)において、第2部品16iiの内壁が出音器61に向けてせり出すように突出して肉厚部69の最厚部を形成している。この最厚部から、正位相孔63に向けて徐々に肉厚部69の厚みが減少することで、出音器61の振動板の板面に対して傾斜した傾斜面69aが形成されている。これにより、傾斜面69aに反射されて正位相孔63を介することで出音器61から出力される音の高域特性がフラットになるので、より高音質の音をユーザ99に提供できる。
【0163】
また、先に説明したように、第2のテンプル部26には、内部配線67が配置されている。ここで、逆位相孔62に繋がる第2の後テンプル部26の内部空間にこのような内部配線67がむき出しで存在する場合、音響抵抗が増大してしまうので適切ではない。
【0164】
図8Cに示すように、本実施の形態では、逆位相孔62に繋がる第2の後テンプル部26の内部空間に内部配線67がむき出しとならないようにするための隔壁68が設けられている。なお、図中では、第1部品26iに隔壁68が設けられている様子が示されている。隔壁68は、第2の後テンプル部26の図示しない第2部品の内壁面に接触することで、逆位相孔62に繋がる第2の後テンプル部26の内部空間と、内部配線67が配置されるための空間とを隔てている。
【0165】
このように、隔壁68によって隔てられた空間に内部配線67が配置され、内部配線67によって内部配線41cと配線71とが電気的に接続されている。これにより、出音器61によって出力された逆位相波は、当該内部配線67による音響抵抗を受けにくく、高音質な音を出力可能なHMD100が実現される。
【0166】
図9に示すように、HMD100をユーザ99が装着した場合、ユーザ99の耳96は、正位相孔63の後方かつ下方である。したがって、正位相孔63から取り出された正位相波は、正位相孔63の孔軸方向に沿ってユーザ99の耳96に容易に到達する。一方で、逆位相孔62から取り出された逆位相波は、ユーザ99の耳96とは異なる方向に向かって進み、ユーザ99の耳96には届きにくくなっている。このようにして、HMD100では、正位相波と逆位相波とを別々に取り出して、ユーザ99に、コンテンツに合わせて再生される音を知覚させることができる。
【0167】
なお、第1の後テンプル部16は、大型の振動板を収容可能なように、出音器61が配置される箇所が他部に比べて拡大されている。この拡大箇所を設けることによって、ユーザ99が第1のテンプル部15を係止すべき箇所が明確になる効果も生じる。また、以上に説明した、正位相波と逆位相波とは、互いに入れ替えられて構成されてもよい。つまり、出音器61の正位相波を出力する面と逆位相波を出力する面とが入れ替えられ、正位相孔63に代えて逆位相孔が、逆位相孔62に代えて正位相孔がそれぞれ設けられてもよい。
【0168】
[保持機構]
図10は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの保持機構について説明する上面図である。
図10では、HMD100をZ軸方向プラス側から見た上面図が示されている。ここで、
図10に示すHMD100では、保持部材65が図示されている。
【0169】
本実施の形態におけるHMD100では、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の重量がHMD100全体の重量の大半を占めている。このとき、ユーザ99の耳96に係止するのみの構成では、使用条件によっては、HMD100の前方側の重量に引っ張られるようにして、HMD100が脱落してしまう場合がある。そこで、
図10に示す例では、このような場合にもHMD100の脱落が抑制される構成を示している。
【0170】
具体的には、HMD100では、第1の後テンプル部16と第2の後テンプル部26との距離を近づけるように互いを引っ張り合う保持部材65を接続可能な保持機構16a及び保持機構26aが設けられている。
【0171】
保持機構16aは、第1の後テンプル部16の端部であって、第1の鏡筒10側とは反対側の端部に形成された傘状の突起物である。保持部材65は、長尺形状のゴム状部材であり、一端部及び他端部に複数の孔が設けられている。保持機構16aには、保持部材65の一端部の孔が接続される。保持部材65の孔は、突起物の傘部分を通って、柄部分に係止されることで保持機構16aに接続される。これにより、傘部分に引っ掛るので、柄部分から保持部材65の孔が外れにくくなっている。
【0172】
保持機構26aは、第2の後テンプル部26の端部であって、第2の鏡筒20側とは反対側の端部に形成された傘状の突起物である。保持機構26aには、保持部材65の他端部の孔が接続される。保持部材65の孔は、突起物の傘部分を通って、柄部分に係止されることで保持機構26aに接続される。これにより、傘部分に引っ掛るので、柄部分から保持部材65の孔が外れにくくなっている。
【0173】
保持部材65は、一端部及び他端部に形成された孔を介して保持機構16a及び保持機構26aを互いに引き寄せるように作用する。この際、保持部材65のゴム状の性質によって、より大きな力が加えられた際には、保持機構16a及び保持機構26aを引き離すことが可能となる。これにより、保持機構16aと保持機構26aとが適度に引き寄せられる。保持機構16a及び保持機構26aが引き寄せられることで、第1の後テンプル部16と第2の後テンプル部26とが互いに引き寄せられる。この結果、第1の後テンプル部16、保持部材65、及び、第2の後テンプル部26によって、HMD100がユーザ99の後頭部に保持されるため、上記したようなHMD100の脱落が抑制される。
【0174】
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態における表示装置(HMD100)は、第1の画像を表示するための第1の表示部を底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像を表示するための第2の表示部を底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に長尺の支持部材41であって、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を並び方向に貫通することで、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の少なくとも一方を並び方向に沿って移動可能に支持する支持部材41と、を備える。
【0175】
このようなHMD100は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を貫通された支持部材41によって支持することができる。支持部材41を保持するのみで第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を同時に保持することができる。ここで、支持部材41は第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を貫通支持しているので、支持部材41は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間のみでなく、並び方向における外側にまで及んでいる。したがって、支持部材41を、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向における外側から保持することができる。このように、支持部材41を容易に保持でき、かつ、容易に保持された支持部材によって、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が同時に保持される。また、このとき、第1の鏡筒及び第2の鏡筒20の少なくとも一方は、並び方向に沿って支持部材41上を移動することができる。このため、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間の距離を変化させることができる。これにより、ユーザ99に合わせて、第1の鏡筒10に対する第2の鏡筒20の位置、又は、第2の鏡筒20に対する第1の鏡筒10の位置を調整することができる。よって、上記の効果を併せ持つ、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0176】
また、本実施の形態におけるHMD100は、例えば、第1の画像を表示するための第1の表示部を底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像を表示するための第2の表示部を底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に長尺の支持部材41であって、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を並び方向に貫通することで、少なくとも第1の鏡筒10を並び方向に沿って移動可能に支持する支持部材41と、を備え、第1の鏡筒10は、支持部材41が貫通する第1の鏡筒10に設けられた第1の貫通孔11aの内側面に向けて、並び方向に交差する方向から支持部材41を押圧する押圧機構を有し、押圧機構は、支持部材41を押圧する際の押圧力を調整可能な調整部を有する。
【0177】
支持部材41への支持において、第1の鏡筒10が支持部材41に対して並び方向に沿う軸回りに回転し、第2の鏡筒20が支持部材41に対して並び方向に沿う軸回りに回転した場合に、第1の鏡筒10の筒軸と第2の鏡筒20の筒軸とのねじれが生じ得る。上記の構成によれば、第1の鏡筒10の支持部材41に対する回転、及び、第2の鏡筒20の支持部材41に対する回転が強固に抑制されるため、筒軸同士のねじれが強固に抑制され、画像をより適切に表示することができる。
【0178】
また、HMD100を製造する際に、支持部材41と第1の鏡筒10の第1の貫通孔11a及び第2の鏡筒20の第2の貫通孔21aとの設計の精密度を緩和することができる。すなわち、支持部材41の並び方向に直交する断面形状よりも、第1の貫通孔11a及び第2の貫通孔21aの対応する断面形状が大きければ、ネジ部材43によって締結可能な所定の範囲内で、大きさのふれ幅を許容することができる。このため、所定の範囲内の製造誤差が生じる場合でも適切なHMD100を構成することができる。つまり、製造誤差によってロスされる部材の数を減少させ、より低コストにHMD100を製造することができる。本形態によれば、このように、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0179】
また、例えば、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20とに接続される調整部材32であって、調整部材32と第1の鏡筒10との相対位置及び調整部材32と第2の鏡筒20との相対位置の少なくとも一方を変更することにより、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との並び方向における距離を調整する調整部材32をさらに備えてもよい。
【0180】
これによれば、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間の距離を、調整するための調整部材32を操作するのみで実施できる。より簡易にユーザ99に合わせて、第1の鏡筒10に対する第2の鏡筒20の位置、又は、第2の鏡筒20に対する第1の鏡筒10の位置を調整することができる。また、調整部材32が支持部材41とは別に第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を接続するため、第1の鏡筒10の筒軸と第2の鏡筒20の筒軸とのねじれが抑制され、画像をより適切に表示することができる。よって、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0181】
また、例えば、支持部材41の並び方向における両端部のそれぞれに接続されたテンプル部(第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25)をさらに備え、第1の鏡筒10は、超音波を検知する第1の収音器53及び第2の収音器54を有し、第2の鏡筒は、超音波を検知する第3の収音器及び第4の収音器を有し、テンプル部のそれぞれは、超音波を検知する第5の収音器55及び第6の収音器をそれぞれ有してもよい。
【0182】
これによれば、HMD100の設置空間の制約内で、効率よく超音波の発信器の位置を特定することが可能な収音器の配置を実現できる。よって、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0183】
また、例えば、支持部材41の並び方向における両端部のそれぞれに接続されたテンプル部(第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25)をさらに備え、テンプル部のそれぞれは、支持部材41に接続された側の端部に設けられ、画像を撮像する第1の撮像器51及び第2の撮像器をそれぞれ有してもよい。
【0184】
これによれば、HMD100の設置空間の制約内で、効率よくHMD100の姿勢を検知することが可能な撮像器の配置を実現できる。よって、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0185】
また、例えば、支持部材41に対して、並び方向における調整部材32の相対位置を固定する固定部材41lをさらに備えてもよい。
【0186】
これによれば、支持部材41と調整部材32との、並び方向における相対位置を固定することができる。支持部材41を介して第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20をユーザ99に保持する場合、支持部材41に対して、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が移動してしまうと、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間の距離が適切であっても、ユーザ99の目95の位置にそれぞれの鏡筒の位置が合わないことが起こり得る。上記の構成によれば、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間の距離を調整したときに、調整部材32ごと、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が支持部材41上を移動することが抑制される。つまり、支持部材41を介して第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20をユーザ99に保持しても、適切な位置でそれぞれの鏡筒を保持することができる。よって、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0187】
また、本実施の形態におけるHMD100は、例えば、第1の画像を表示するための第1の表示部を底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像を表示するための第2の表示部を底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を支持する支持部材41と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の開口端のそれぞれに設けられた筒形状を有するアイキャップ(第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24)と、を備え、アイキャップには、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の筒軸方向、ならびに、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に交差する交差方向に沿ってアイキャップの筒形状の内外を連通する2以上の通気路14fが形成されている。
【0188】
このようなHMD100は、2以上の通気路14fの一部の通気路14fを介してユーザ99の頭部と各鏡筒との間に形成される空間から外部へと空気を排出し、かつ、他部の通気路14fを介して外部から空気を供給することができる。このように空気が循環されることで、上記の空間内で湿度が上昇することを抑制し、表示部との間のレンズなどの光学系に曇りが発生することを抑制できる。よって、曇りの発生を抑制して、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0189】
また、例えば、アイキャップ(第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24)は、第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20に取り付けられる部分を含む第1部材14iと、第1部材14iのうちの第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20と反対側の表面14dに貼り付けられる第2部材14iiとからなり、通気路14fは、第1部材14iの表面14dに形成され、交差方向に沿って延びる溝14eと、第2部材14iiが第1部材14iに貼り付けられた際に溝14eの一部を塞ぐ蓋部と、によって形成される、アイキャップの筒形状の内外を交差方向に連通する孔であってもよい。
【0190】
これによれば、アイキャップの接触性を向上するとともに、通気路14fをより明確に確保することが可能となる。よって、曇りの発生の抑制効果が向上された、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0191】
また、本実施の形態におけるHMD100は、例えば、第1の画像を表示するための第1の表示部を底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像を表示するための第2の表示部を底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を支持する支持部材41と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のそれぞれに対応して設けられ、音を出力する出音器61を有するテンプル部(第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25)と、を備える。
【0192】
このようなHMD100は、HMD100のみで、表示されるコンテンツに合わせて再生される音を出音することができる。HMD100では、音の出音をユーザ99の耳96に近い位置に配置されるテンプル部において行うことができるので、低出力でも十分に聴取可能となる。このため、出音に係る消費電力を抑制することが可能となる。よって、画像と音とを出力可能な、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0193】
また、例えば、テンプル部(第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25)のそれぞれは、出音器を内蔵し、出音器61が発生した正位相波をテンプル部の外部に取り出す正位相孔63と、出音器61が発生した逆位相波をテンプル部の外部に取り出す逆位相孔62であって、正位相孔63とは離間して配置された逆位相孔62と、を有してもよい。
【0194】
これによれば、正位相波と逆位相波との干渉を抑制することができる。正位相波と逆位相波とが干渉する場合、互いの振幅を減少させ、出音された音をユーザ99が適切に聴取できないことが生じ得る。上記の構成により、正位相波と逆位相波との干渉を抑制し、ユーザ99が適切に聴取可能な音を出音できるHMD100を実現することができる。よって、適切に聴取可能な音を出音できる、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0195】
また、本実施の形態におけるHMD100は、例えば、第1の画像を表示するための第1の表示部を底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像を表示するための第2の表示部を底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を支持する支持部材41と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のそれぞれに対応して設けられ、対応する第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20側と反対側の端部に、保持部材65に接続可能な保持機構16a及び26aを有するテンプル部(第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25)と、を備える。
【0196】
比較的重量のある鏡筒部分に対して、テンプル部によるユーザ99の耳96への係止では対応できないような方法でHMD100が使用される場合がある。上記のようなHMD100は、第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25を保持部材65によって互いに接続することで、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を一貫する支持部材41とともに環形状を形成できる。この環形状の内側にユーザ99の頭部が配置されるので、ユーザ99の頭部が環から離脱しにくくなる。すなわち、HMD100がユーザ99の頭部から脱落しにくくなる。また、保持部材65がゴム状部材で形成されていれば、環形状がユーザ99の頭部の形状に合わせて拡縮するので、より装着性の高いHMD100が実現できる。よって、より適切に構成されたHMD100が実現できる。
【0197】
また、例えば、さらに、第1の収音器53、第2の収音器54、第3の収音器、第4の収音器、第5の収音器55、及び、第6の収音器のうち、2つ以上の収音器Mcで検知された超音波と、2つ以上の収音器Mc同士の位置関係とに基づいて、2つ以上の収音器Mcに対する当該超音波を発する発信器(第1超音波送信部370等)の相対位置を推定する位置推定部81を備えてもよい。
【0198】
これによれば、6つの収音器Mcの中から選択される2つ以上の収音器Mcによって、超音波を発する発信器の相対位置を推定することができる。
【0199】
また、例えば、位置推定部81は、2つ以上の収音器Mc同士の位置関係を校正し、2つ以上の収音器Mcで検知された超音波と、2つ以上の収音器Mc同士の校正後の位置関係とに基づいて、2つ以上の収音器Mcに対する発信器(第1超音波送信部370等)の相対位置を推定してもよい。
【0200】
これによれば、2つ以上の収音器Mc同士の位置関係に基づく発信器(第1超音波送信部370等)の相対位置の推定において、2つ以上の収音器Mc同士の位置関係を校正したうえで、校正後の位置関係に基づく推定を行うことができる。特に、HMD100では、収音器Mcの一部が搭載された第1の鏡筒10と収音器Mcの他の一部が搭載された第2の鏡筒20と、支持部材41の両端に接続され、収音器Mcのさらに他の一部が搭載されたテンプル部(第1のテンプル部15及び第2のテンプル部25)との相対位置が、支持部材41に沿う第1の鏡筒10の移動に伴って変化するため、位置が変化した後の第1の鏡筒10、第2の鏡筒20、及び、テンプル部における収音器Mcの位置関係を校正したうえで、校正後の位置関係に基づく推定を行うことで、第1の鏡筒10、第2の鏡筒20、及び、テンプル部の相対位置に関係なくより正確な発信器の相対位置を推定することができる。
【0201】
また、例えば、位置推定部81は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の少なくとも一方を並び方向に沿って移動させた際の移動量に基づいて、2つ以上の収音器Mc同士の位置関係を校正してもよい。
【0202】
これによれば、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を移動させた際の移動量から、位置が変化した後の第1の鏡筒10、第2の鏡筒20、及び、テンプル部における収音器Mcの位置関係を校正し、校正後の位置関係に基づくより正確な発信器の相対位置を推定することができる。
【0203】
また、例えば、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20とに接続される調整部材32であって、調整部材32と第1の鏡筒10との相対位置及び調整部材32と第2の鏡筒20との相対位置の少なくとも一方を変更することにより、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との並び方向における距離を調整する調整部材32をさらに備え、移動量は、調整部材32による第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との並び方向における距離の調整量から決定されてもよい。
【0204】
これによれば、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の相対位置を、調整部材32を用いた互いの距離の調整によって変化させることができる。つまり、調整部材32を用いた調整量に伴って、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が移動する。そして、調整部材32における調整量を、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の移動量に換算することができる。このようにして得られた移動量から、位置が変化した後の第1の鏡筒10、第2の鏡筒20、及び、テンプル部における収音器Mcの位置関係を校正し、校正後の位置関係に基づくより正確な発信器の相対位置を推定することができる。
【0205】
また、例えば、位置推定部81は、校正用の発信器から発せられる校正用超音波を検知して推定した校正用の発信器の相対位置に基づいて、2つ以上の収音器Mc同士の位置関係を校正してもよい。
【0206】
これによれば、校正用の発信器を用いて2つ以上の収音器Mc同士の位置関係を校正することができる。
【0207】
また、例えば、テンプル部のそれぞれは、支持部材41に接続された側の端部に設けられ、画像を撮像する撮像器Cm(第1の撮像器51及び第2の撮像器)をそれぞれ有し、校正用の発信器から発せられる校正用超音波を検知して推定した校正用の発信器の相対位置を、撮像器Cmによって撮像された画像に基づく校正用の発信器の位置によって補正し、補正後の校正用の発信器の相対位置に基づいて、2つ以上の収音器同士の位置関係を校正してもよい。
【0208】
これによれば、撮像器Cmによって撮像された画像に基づく校正用の発信器の位置によって、推定した校正用の発信器の相対位置を補正することができる。つまり、より正確な補正後の校正用の発信器の相対位置に基づいて2つ以上の収音器Mc同士の位置関係を校正することができる。
【0209】
また、例えば、位置推定部81は、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との並び方向における距離が第1距離から第1距離と異なる第2距離に変更されたことをトリガとして、2つ以上の収音器Mc同士の位置関係を校正してもよい。
【0210】
これによれば、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との並び方向における距離が変更されたタイミング、すなわち、2つ以上の収音器Mcの相対位置が変化したタイミングで、校正を行うことができる。
【0211】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態等について説明したが、本開示は、上記実施の形態等に限定されるものではない。
【0212】
また、上記実施の形態等においてHMDを構成する構成要素について例示したが、HMDが備える構成要素の各機能は、HMDを構成する複数の部分にどのように振り分けられてもよい。
【0213】
また、上記に説明した、コネクタボックス、アイキャップ、内蔵型出音器、及び、保持機構の構成は、基本構成の欄に示したHMDに限らず、どのようなHMDに対しても有効な構成である。例えば、
図11は、他の実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイである。
【0214】
図11に示すHMD100zでは、第1の鏡筒10zに直接的に第1のテンプル部15zが接続され、第2の鏡筒20zに直接的に第2のテンプル部25zが接続されている。そして、HMD100zでは、第1の鏡筒10z及び第2の鏡筒20zが非貫通型の支持部材41zによって互いに支持されている。本図のようなHMD100zであっても、上記のコネクタボックス、アイキャップ、内蔵型出音器、及び、保持機構の少なくとも1つの構成を適用することで、より適切に構成されたHMDを実現することが可能となる。
【0215】
その他、実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態等における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0216】
本開示は、ヘッドマウントディスプレイ等の装着型の表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0217】
10、10z 第1の鏡筒
11 第1の主部
11a 第1の貫通孔
12 第1の副部
13 第1のパネル
14 第1のアイキャップ
14a 挿入部
14b キャップ部
14c 開口
14d 表面
14e 溝
14f 通気路
14i 第1部材
14ii 第2部材
15、15z 第1のテンプル部
16 第1の後テンプル部
16a、26a 保持機構
16i、26i、41a 第1部品
16ii、41b 第2部品
17 第1のヒンジ部
18 第1の前テンプル部
19、29 カバー
20、20z 第2の鏡筒
21 第2の主部
21a 第2の貫通孔
22 第2の副部
23 第2のパネル
24 第2のアイキャップ
25、25z 第2のテンプル部
26 第2の後テンプル部
27 第2のヒンジ部
28 第2の前テンプル部
30 表示部
31 調整機構
32 調整部材
32a つまみ部材
33、34 ネジ部
35、36 ネジ穴
38 駆動回路
38a 処理部
39 表示パネル
40 凸レンズ
41、41z 支持部材
41c 内部配線
41l 固定部材
42 フレーム
42a フレーム貫通孔
42b ネジ孔
43 ネジ部材
44 圧力分散プレート
45 スライダー
45a 凹部
45b、45c 凸部
46、47 部材
48、49 調整孔
51 第1の撮像器
52 赤外線光源
53 第1の収音器
54 第2の収音器
55 第5の収音器
61 出音器
62 逆位相孔
63 正位相孔
63i 半孔
63ii 半孔
65 保持部材
67 内部配線
68 隔壁
69 肉厚部
69a 傾斜面
71 配線
72 コネクタボックス
73a 音量増大操作ボタン
73b 電源操作ボタン
73c 音量減少操作ボタン
74 オーディオジャック
74a オーディオプラグ
75 コネクタ
75a プラグ
81 位置推定部
82 移動量取得部
91 電源
92 信号処理回路
95 目
96 耳
99 ユーザ
100 HMD(表示装置)
150、280、340、440 記憶部
160、270、350、450 通信部
170、360、460 操作用入力部
180 超音波受信部
190 画像表示部
200 制御部
290 CPU
300 右側操作端末
370 第1超音波送信部
380 第2超音波送信部
390 第3超音波送信部
400 左側操作端末
470 第4超音波送信部
480 第5超音波送信部
490 第6超音波送信部
1801 パルス出力部
1802 第1収音器
1803 第2収音器
1804 第3収音器
1805 第4収音器
1806 第5収音器
1807 第6収音器
1901 表示駆動部
1902 表示素子
1903 レンズ
2901 表示制御部
2902 操作認識部
2903 位置検出部
2904 超音波制御部
Cm 撮像器
Mc 収音器