(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】ファンホイール
(51)【国際特許分類】
F04D 29/36 20060101AFI20240531BHJP
【FI】
F04D29/36 A
(21)【出願番号】P 2022520754
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2020025503
(87)【国際公開番号】W WO2021121648
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】102019134887.0
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522133646
【氏名又は名称】アイイー アセッツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘーゲレ,カール
(72)【発明者】
【氏名】レッヒラー,マークス
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05152668(US,A)
【文献】特開昭61-232303(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106014491(CN,A)
【文献】実開昭55-110794(JP,U)
【文献】特開昭60-116898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンホイール(1)であって、
中央ハブ(4)であって、前記
中央ハブ(4)が駆動
シャフトに対して中央で支持され、か
つ駆動部(8)と同軸で回転自在である、
中央ハブ(4)と、
その周面上で前記
中央ハブ(4)から放射状に延在するファンブレード(2)であって、前記ファンブレード(2)の角度半径方向位置の調整のために前記中
央ハブ(4)に対する限定された範囲にわたってそれらの軸(5)を中心に回転自在であるように、前記中央ハブ(4)において
円錐形のピニオン(13)
を介して支持され、
前記中央ハブ(4)は、前記ファンホイール(1)の回転軸(3)に対して中央に位置するガイドピン(6)で回転可能に支持される中央の調節リング(10)を収容し、前記中央ハブ(4)および前記中央の調節リング(10)は、軸受リング(9)を介して前記ガイドピン(6)で回転可能に支持され、前記ファンブレード(2)は、脚端部(11)で前記中央の調節リング(10)と動作可能に係合する、ファンブレード(2)と、
円錐形状ピニオン(13)と係合して前記中央ハブ(4)上に回転可能に配置され、かつ遊星駆動部(18)を介して前記駆動シャフトに動作可能に接続される中央の調節リング(10)であって、フランジ接続部(7)を含む前記ガイドピン(6)は、前記駆動シャフトに動作可能に接続される、中央の調節リング(10)と、
前記中央の調節リング(10)に取り付けられた遊星キャリア(19)を含む遊星駆動部(18)であって、
前記遊星キャリア(19)は、それと共に回転するために前記中央ハブ(4)上に支持される非複合遊星ギヤ(21)と動作可能に係合してギヤ構造を有する単一の中空ホイール(23)からなる中空ホイール構成を有し、前記遊星ギヤ(21)は、前記ファンホイール(1)の前記中央ハブ(4)の側方に隣接して配置された太陽ホイール(22)を囲んで動作可能に係合し、前記遊星キャリア(19)は、非円構造(24)によって前記駆動シャフトと動作可能に回転接続しており、前記中央の調節リング(10)は、前記中央の調節リング(10)に対する前記中央ハブ(4)の停止部によって画定された回転可能性内で前記中空ホイール(23)を介して前記駆動シャフトに対して回転可能である、遊星駆動部(18)と、
を含む、ファンホイール(1)。
【請求項2】
角度的に制限された回転駆動接続部は、前記中央の調節リング(10)内の停止部によって画定された環状のガイドトラック(15)および前記駆動シャフトに固定され、それぞれの停止部によって画定された前記環状のガイドトラック(15)内に延在する停止ボルト(16)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のファンホイール。
【請求項3】
前記ファンブレード(2)は、前記ファンブレード(2)の前記脚端部(11)にピニオン(13)が設けられた、マイター・ホイール伝動装置を介して前記中央の調節リング(10)と係合され、および、前記中央の調節リング(10)の上に設けられたギヤリング(14)によって係合されることを特徴とする、請求項1に記載のファンホイール。
【請求項4】
前記駆動シャフトに対する前記ファンブレード(2)の位置は、制御および/または感知モードにおいて作動する制御および/またはセンサー装置(27)を介して、調節可能であることを特徴とする、請求項1に記載のファンホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ファンホイールのハブから放射状に延在するファンブレードを備えたファンホイールは、当該技術分野において知られている。それらは、主に、気流を生成することによって熱交換器の表面を冷却し、および清潔にするために、使用される。
【背景技術】
【0002】
ファンホイールの動作方向の反転によって気流を逆向きにすることができる構成があるが、また、放射状のファンブレードがファンホイールのハブにおいて回転自在に支持され、それにより対向方向の気流を生成する位置に放射状のファンブレードを旋回することができる構成もある。気流の反転がファンホイールの走行方向を反転することによって提供される場合、このことは、駆動部の駆動方向、例えば、電気駆動モーターの回転運動の方向を反転することによって、または、駆動モーターとファンホイールとの間に逆転ギヤ駆動装置を挿入することによって、提供される。
【0003】
さらに、ファンのハブにおいて回転自在に支持される放射状のファンブレードを備えたファンホイールは、ファンブレードの角度を変えることによって、気流の大きさと流れの方向を制御する可能性を提供し、各駆動モーターの入力電力および/または回転数の変化とは無関係に、発生する気流の強さおよび/または方向を、流れの方向が反転するまで制御することができる。例えば、熱交換器表面上の気流は、送気流から吸気流まで変更され得る。
【0004】
しかしながら、これらの可能性は、特に、ファンホイールのハブに回転自在に支持される放射状のファンブレードを備えたファンホイールに関して、ファンブレードの角度を対向方向まで調節するには、ファンブレードが対向する端点の間で抑制されることなく回転できるよう、ファンブレード間に一定の距離が必要であるという点で、制約を受ける。また、ファンブレード軸を中心とするファンブレードの調節は、駆動ピニオンを介してファンブレードのフットピンをアングル駆動する形の駆動装置によって提供され、前記フットピンは、ファンブレードの数に応じて大きな直径を有するギヤリングとの係合にあることも、考慮する必要がある。
【0005】
このことは、小さな直径のピニオンと大きな直径のギヤリングとの間で大きなトランスミッション比をもたらし、結果として、ファンブレードの角度を調節するために利用可能な短時間内にギヤリングがファンブレード角度を調節するために、大きな駆動力を必要とする。
【0006】
ドイツ特許出願DE102018106454 A1は、中央駆動部に対して回転自在な同軸ハブを用いて対向方向に駆動し、および停止位置間の一定範囲にわたって調節可能である、ファンホイールの設計を開示する。ハブには、その円周にて、放射状のファンブレードが設けられ、当該ファンブレードは、ファンブレードの角度位置を調節するためのギヤ装置によって停止位置間で回転自在であるように、前記ハブにおいて支持される。ギヤ装置は、ピニオンを含み、当該ピニオンは、ファンブレードの回転軸と同軸でファンブレードに載置され、および、ハブ駆動部と同軸の駆動ギヤ構造と係合し、その結果、アングルドライブを形成する。しかし、このことは、駆動ギヤ構造の、それぞれのファンブレード・ピニオンに対する大きなトランスミッション比を結果的にもたらし、つまり、駆動ギヤ構造の、停止位置によって範囲を定められた、ハブに対する回転範囲内でのトランスミッションは、速くなる傾向にある。このことから、結果的に、対向する気流方向の間で、特にファンホイールの回転軸に垂直に延在するファンブレードの遷移平面における調節と加速の力が、相応に大きなものになる。
【0007】
結果として生じる高い調節と加速の力は、相対的に高い構成要素負荷を生じさせ、特に、対向する送気方向への遷移のためにファンブレードを調節する時間をできるだけ短くするために、トランスミッション支持要素に高強度の構造を必要とする。
【0008】
本発明は、ファンホイールのファンブレードを1つの流れ方向の位置から反対の流れ方向の位置へとより有利な動作条件で反転させ、それにより、短い反転時間を達成し、および、トランスミッション支持構造の構成要素に対する応力を低減させることを目的とする。
【0009】
本発明によると、回転停止位置間で角度が制限された駆動部に対するハブの回転自在性に対して、重ねられ、およびそれゆえ並列的な、角度が制限されない回転自在性が、ハブと駆動部との間にある。このように、駆動部とハブとの対向方向の回転運動は、ハブに対して角度的に制限された駆動部の停止位置と、駆動部に対して角度的に無制限で連続的なアングル状の支持部とを伴って、実現され得る。このことは、特に、駆動部と、ファンブレードを運ぶハブと、ファンブレード軸を中心として回転自在なファンブレードとの接続において、中間のトランスミッション比を提供する遊星駆動部を介して達成される。そのような配置により、ファンブレードと駆動部との接続部、および駆動部とハブとの接続部のそれぞれの駆動要素は、比較的低い費用で製造されるように設計され得る。
【0010】
本発明によると、特定の実施形態では、ハブから放射状に延在し、およびハブによって回転自在に支持されるファンブレードを提供することは、中心ハブを介した中心支持部を備えた駆動式ファンホイールが、調節リングを介してファンブレードを角度調節するために好都合であり、ここで前記調節リングは、ファンホイールの回転の中心軸と同軸であり、かつファンブレードの脚端部に沿って延在する。この調節リングは、重ねられた駆動構造を介してファンブレードに接続され、ここで第1の駆動構造は、停止位置によって限界が定められた、ハブに対するある角度範囲内で、ファンブレードの角度位置をファンホイール駆動部から独立して制御するためのものであり、および、ファン駆動構造の停止位置によって限界が定められた調節範囲内の第2の駆動構造は、無制限の回転を可能にするためのものである。
【0011】
本発明に関して、特に、ハブに統合された遊星駆動部の形で、駆動支持部と駆動接続部に制限のない回転角度を持たせること、および、ひいてはハブに中央開口部を持たせることは、ファンホイールのためのサポートピンを収容するために、好都合でもある。そのようなサポートピンは、ファンホイールを駆動するための駆動ユニットの軸の延長の形で適切に延在し、それにより、駆動ユニットの支持的接続ための、およびファンホイールへのサポートピンへの接続のための、よい条件が確立される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明およびその特定の特徴は、以下で、添付の図面を参照して、より詳細に述べられる。
【0013】
【
図1】駆動部によって中央で支持され、および駆動部に接続される、ファンホイールの正面図であり、ここでファンホイールは、ファンブレードを含み、ファンブレードは、ハブから放射状に延在し、およびハブにおいてブレード軸を中心として回転自在に支持される。
【
図2】
図1の線A-Aに沿って取得されるファンホイールの軸断面図である。
【
図3】
図2の線B-Bに沿って取得されるファンホイールの断面図であり、ハブ領域を示す。
【
図4】図
1の線
A-Aに沿って取得される拡大断面図であり、ハブを駆動するための駆動接続部を備えたハブ領域、およびファンブレード角度の調節のためにハブにおいて相対的に支持されるファンブレードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面では、ファンホイールは、数字(1)によって指示される。それは、ファンホイール(1)の回転軸(3)を中心として回転自在である中央ハブ(4)において支持された、放射状のファンブレード(2)を有する。ファンホイール(1)は、回転軸(3)を中心として、ガイドピン(6)により回転自在に支持される。ガイドピン(6)は、ファンホイール(1)の駆動ユニット(8)、特に駆動シャフトなどへの、フランジ接続部(7)の部分を形成する。
【0015】
特に
図4の拡大表示に見られるように、ハブ(4)は、軸受リング(9)を介してガイドピン(6)の上で回転自在に支持される、中央の調節リング(10)を収容し、および、ファンブレード(2)は、ファンブレードの脚端部(11)にて形成されたトランスミッション構造(12)を介して、それらの脚端部(11)にて円錐形のピニオン(13)によってハブ(4)と係合しており、前記ピニオン(13)は、調節リング(10)の側面において環状ギヤリング(14)と係合している。このことは、ピニオンとのプレートギヤ係合を含む、アングルドライブを形成する。
【0016】
ファンホイール(1)の、ハブ(4)を介して駆動ユニット(8)まで延在する駆動接続部は、ファンホイール(1)の回転に対して、および、ハブに支持されたファンブレード(2)の、ファンホイール(1)の特定の角度位置に対する、ブレード軸(5)を中心とする角度位置に対して、重ねられたかたちで作動する2つの駆動経路によって形成される。これらの駆動経路のうち第1のものは、停止位置によって設定された制限内の所定の角度にわたり駆動部によって駆動されるファンホイール(1)の回転動作のために提供され、および、第2の重ねられた経路は、駆動ユニット(8)に対するファンホイール(1)の停止位置範囲内のファンホイール(1)の角度位置に対して作動し、ファンブレード軸(5)を中心とするファンブレード(2)のそれぞれの角度位置を決定する。このように、ファンブレード(2)の角度位置は、第2の駆動経路が第1の駆動経路に重なることによって設定される。
【0017】
このことは、ファンブレード(2)の脚端部を収容するハブ(4)の放射状の外側領域の角度位置が、調節リング(10)に対して範囲を定められる設計によって達成され、つまり、調節範囲は、停止位置によって限界が定められ、ここでホイールリング(10)は環状のガイドトラック(15)を有し、位置が固定された停止ボルト(16)が環状のガイドトラック(15)の中へと延在して、調節範囲をガイドトラックの長さに制限する。
【0018】
そのような、または異なる種類の第1の駆動経路と並列で、第1駆動経路の自由作動範囲内で、駆動ユニット(8)に対する調節リング(10)の回転支持部を形成する第2の駆動経路(17)がある。この回転支持部は、制御リング(10)の調節範囲を介して駆動ユニット(8)まで延在する駆動接続部の形をとり、調節可動性が制限されない。本発明によると、遊星キャリア(19)は、例えば、六角形の部材などの非円構造(24)によって、回転のための駆動部と接続され、および遊星ギヤ(21)を支持するためにベアリングピン(20)を備える。遊星ギヤ(21)は、フランジ接続部(7)および従って駆動ユニット(8)にも接続されて共に回転する太陽ホイール(22)と、これもまた非円構造を介して、係合されている。遊星キャリア(19)のまわりに延在する中空ホイール(23)は、ハブ(4)上で支持され、それとともに回転する。このように、調節リング(10)は、遊星駆動部(18)を介して、ハブ(4)の、停止位置で定められた調節リング(10)に対する回転自在性の範囲内で、ファンブレードの角度を調節するように、駆動ユニット(8)に対して回転自在である。遊星駆動部(18)をロックすることによって、ブレード軸(5)を中心とするファンブレード(2)の回転位置は、調節リング(10)のそれぞれの運動範囲領域内で固定される。遊星駆動部(18)の固定は、本発明によると、特定の望ましい気流量のためにファンホイールを制御することをも容易にする。
【0019】
上に記載された本発明の典型的な実施形態に関して、ファンブレードの角度位置を調節し、および場合によっては固定するために、補足的に、ファンホイール(1)のハブ(4)の回転位置を感知する制御装置(25)を付加的に提供することは好都合であり得る。これは、ハブ(4)に接続されて共に回転するホイール、例えば、リブ付きのホイール(26)などによって提供することができ、それを介して、ファンブレード(2)の対応する角度位置は、光学的または機械的なセンサー装置を使って、例えば、駆動ユニット(8)に固定された複滑車を使って、決定することができ、および、前記角度位置は、空気流量についての制御信号に変換される。
【0020】
さらに、そのようなセンサー装置は、例えば、ファンホイールの望ましい体積流量にファンホイールを調節するために、制御複滑車の形で、能動的制御装置としても使用され得る。前記センサーおよび/または制御装置(27)により、必要な気流量に対応する個々の場合の設定位置を要求することができ、つまり、ファンホイールのブレードは、それぞれの位置に調節することができる。所望の場合、このことは、遠隔操作のために使用されてもよい。
【0021】
全体として、本明細書においてファンホイールが提供され、該ファンホイールは、駆動部を介して、駆動ハブの調節リングと、調節リング駆動接続部と、ブレード軸を中心として回転自在であるようにハブにおいて支持されるファンブレードとを備え、ファンホイールの駆動部から始まり調節リングに対して重ねられたかたちにおいて作動する駆動接続部を介して、ファンブレードの角度の調節を可能にする。ファンホイールのブレードの調節のために、ファンホイールには、ハブに接続され、それと共に回転する、ファンブレードの回転位置制御装置および/または検出装置が設けられる場合がある。