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特許7497687画像形成装置、制御プログラム、および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御プログラム、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/01 20060101AFI20240604BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240604BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
G03G21/00 384
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021009435
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113303
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 徹
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-132896(JP,A)
【文献】特開2019-035841(JP,A)
【文献】特開2009-119741(JP,A)
【文献】特開平09-281855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/01
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被転写体と接離可能な感光体をそれぞれ備える複数の作像ユニットのうち、前記被転写体と前記感光体とを当接させた前記作像ユニットで前記感光体上に作像したトナー画像を前記被転写体上で重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置であって、
前記画像形成に用いる前記作像ユニットを変更する際、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットについて前記トナー画像の濃度補正を実行し、下流側に配置された前記作像ユニットが変更されない前記作像ユニットについては前記濃度補正を実行しない制御部を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度補正を実行したときの、濃度補正後の前記作像ユニットの前記トナー画像の濃度に関する設定条件と、前記作像ユニットの下流側に配置された各作像ユニットの前記被転写体との接離の状態を示す下流側接離情報とを関連付けて、前記作像ユニットごとに記憶する記憶部をさらに有し、
前記制御部は、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットの前記下流側接離情報と、記憶された前記下流側接離情報とが一致する場合、一致する前記下流側接離情報に関連付けされた前記設定条件を、前記作像ユニットに設定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットの前記下流側接離情報と、記憶された前記下流側接離情報とが一致する場合であっても、前記下流側に配置された前記作像ユニットに含まれる現像剤および前記感光体の少なくとも一方が交換された場合は、一致しないと判断する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記濃度補正を行った時刻を前記作像ユニットごとにさらに記憶し、
前記制御部は、前記濃度補正を行った時刻から所定時間以上経過している前記作像ユニットには、記憶された前記設定条件を設定しない、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記濃度補正を行ったときの温度および湿度の少なくとも一方を前記作像ユニットごとにさらに記憶し、
前記制御部は、記憶された前記温度および前記湿度の少なくとも一方が、前記記憶部に記憶された値に対して所定の閾値以上変化している前記作像ユニットには、記憶された前記設定条件を設定しない、請求項2~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記下流側接離情報は、前記作像ユニットごとの、それぞれの下流側に配置されたすべての前記作像ユニットの接離の状態を示す、請求項2~5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
被転写体と接離可能な感光体をそれぞれ備える複数の作像ユニットのうち、前記被転写体と前記感光体とを当接させた前記作像ユニットで前記感光体上に作像した画像を前記被転写体上で重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置の制御プログラムであって、
前記画像形成に用いる前記画像を作像する前記作像ユニットを変更する際、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットについて濃度補正を行い、下流側に配置された前記作像ユニットが変更されない前記作像ユニットについては前記濃度補正を行わない手順をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【請求項8】
被転写体と接離可能な感光体をそれぞれ備える複数の作像ユニットのうち、前記被転写体と前記感光体とを当接させた前記作像ユニットで前記感光体上に作像した画像を前記被転写体上で重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成に用いる前記画像を作像する前記作像ユニットを変更する際、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットについて濃度補正を行い、下流側に配置された前記作像ユニットが変更されない前記作像ユニットについては前記濃度補正を行わない段階を有する制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、制御プログラム、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、例えば、帯電させた感光体を露光することで形成した静電潜像をトナーで現像して感光体表面にトナー画像を形成し、トナー画像を中間転写体へ転写した後、中間転写体から用紙へ転写する。その後、用紙上のトナー画像を加熱および加圧する定着処理を行うことで、用紙に画像を形成する。
【0003】
感光体をそれぞれ中間転写体に圧着させて、複数の感光体上にそれぞれ形成したトナー画像を、中間転写体上で重ね合わせて転写することでカラーのトナー画像を形成できる。しかし、上流の感光体から中間転写体へ転写されたトナー画像が、中間転写体に圧着された下流の感光体を通過する際、圧着による接触や電気力の影響を受けてトナー画像のトナーが下流の感光体に付着するという逆転写が生じる。逆転写により、上流の感光体から中間転写体へ転写されたトナー量が減少する。そのため、上流の感光体で現像されるトナー量を調整して、下流の感光体と中間転写体との圧着状態によらずに上流の感光体から中間転写体へ転写されたトナー量を維持する必要がある。
【0004】
しかし、上述のトナー量の調整においては、下流の感光体の中間転写体との圧着状態のすべてのパターンで、補正用のトナーパッチを形成し、トナー量を測定して、現像時の感光体上のトナー量の制御パラメーターを補正する必要がある。そのため、時間がかかり、かつトナーパッチ形成によるトナー消費量が増大する。
【0005】
下記先行技術文献には、次の先行技術が開示されている。5つの画像形成部のすべてを用いて中間転写ベルト上に画像濃度調整用のトナーパッチを形成しトナーパッチのトナー付着量を検出し、検出したトナー付着量に基づいて、5色モード時の現像装置における画像濃度条件を決定する。最下流の画像形成部以外のいずれか1つの特定画像形成部を用いて、当該特定画像形成部よりも下流側の画像形成部を中間転写ベルトから離間させて画像濃度条件補正用のトナーパッチを形成してトナー付着量を検出する。画像濃度調整用のトナーパッチの付着量と、画像濃度条件補正用のトナーパッチのトナー付着量とから各画像形成部での逆転写率を算出する。そして、各画像形成部での逆転写率を用いて、5色モード時の画像濃度条件を補正し、他の画像形成モードの画像濃度条件を決定する。これにより、画像濃度条件決定制御にかかる時間を低減できるとともに、画像形成モード間での出力画像の画像濃度や色味の違いの発生を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-119724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記先行技術は、5色モード時以外のモード時の中間転写ベルトへのトナー付着量は、逆転写率に基づく推定であるため、画像の濃度や色味等の画像形成精度が低い可能性があるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものである。すなわち、トナー量の制御パラメーターの補正に要する時間およびトナー量を低減できるとともに、画像形成精度の低下を抑制できる画像形成装置、制御プログラム、および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0010】
(1)被転写体と接離可能な感光体をそれぞれ備える複数の作像ユニットのうち、前記被転写体と前記感光体とを当接させた前記作像ユニットで前記感光体上に作像したトナー画像を前記被転写体上で重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置であって、前記画像形成に用いる前記作像ユニットを変更する際、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットについて前記トナー画像の濃度補正を実行し、下流側に配置された前記作像ユニットが変更されない前記作像ユニットについては前記濃度補正を実行しない制御部を有する画像形成装置。
【0011】
(2)前記濃度補正を実行したときの、濃度補正後の前記作像ユニットの前記トナー画像の濃度に関する設定条件と、前記作像ユニットの下流側に配置された各作像ユニットの前記被転写体との接離の状態を示す下流側接離情報とを関連付けて、前記作像ユニットごとに記憶する記憶部をさらに有し、前記制御部は、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットの前記下流側接離情報と、記憶された前記下流側接離情報とが一致する場合、一致する前記下流側接離情報に関連付けされた前記設定条件を、前記作像ユニットに設定する、上記(1)に記載の画像形成装置。
【0012】
(3)前記制御部は、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットの前記下流側接離情報と、記憶された前記下流側接離情報とが一致する場合であっても、前記下流側に配置された前記作像ユニットに含まれる現像剤および前記感光体の少なくとも一方が交換された場合は、一致しないと判断する、上記(2)に記載の画像形成装置。
【0013】
(4)前記記憶部は、前記濃度補正を行った時刻を前記作像ユニットごとにさらに記憶し、前記制御部は、前記濃度補正を行った時刻から所定時間以上経過している前記作像ユニットには、記憶された前記設定条件を設定しない、上記(2)または(3)に記載の画像形成装置
(5)前記記憶部は、前記濃度補正を行ったときの温度および湿度の少なくとも一方を前記作像ユニットごとにさらに記憶し、前記制御部は、記憶された前記温度および前記湿度の少なくとも一方が、前記記憶部に記憶された値に対して所定の閾値以上変化している前記作像ユニットには、記憶された前記設定条件を設定しない、上記(2)~(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0014】
(6)前記下流側接離情報は、前記作像ユニットごとの、それぞれの下流側に配置されたすべての前記作像ユニットの接離の状態を示す、上記(2)~(5)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0015】
(7)被転写体と接離可能な感光体をそれぞれ備える複数の作像ユニットのうち、前記被転写体と前記感光体とを当接させた前記作像ユニットで前記感光体上に作像した画像を前記被転写体上で重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置の制御プログラムであって、前記画像形成に用いる前記画像を作像する前記作像ユニットを変更する際、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットについて濃度補正を行い、下流側に配置された前記作像ユニットが変更されない前記作像ユニットについては前記濃度補正を行わない手順をコンピューターに実行させるための制御プログラム。
【0016】
(8)被転写体と接離可能な感光体をそれぞれ備える複数の作像ユニットのうち、前記被転写体と前記感光体とを当接させた前記作像ユニットで前記感光体上に作像した画像を前記被転写体上で重ね合わせて画像形成を行う画像形成装置の制御方法であって、前記画像形成に用いる前記画像を作像する前記作像ユニットを変更する際、下流側に配置された前記作像ユニットが変更される前記作像ユニットについて濃度補正を行い、下流側に配置された前記作像ユニットが変更されない前記作像ユニットについては前記濃度補正を行わない段階を有する制御方法。
【発明の効果】
【0017】
画像を作像する作像ユニットを変更する際、下流側の作像ユニットが変更される作像ユニットについてトナー画像の濃度補正を実行し、下流側の作像ユニットが変更されない作像ユニットについては濃度補正を実行しない。これにより、トナー量の制御パラメーターの補正に要する時間およびトナー量を低減できるとともに、画像形成精度の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図3】作像ユニットの要部の構成図である。
図4】逆転写について説明するための説明図である。
図5】現像DCとトナー濃度との対応関係を示すグラフである。
図6】各感光体ドラムの中間転写ベルトに対する接離の変更前後を示す説明図である。
図7A】いずれかの作像ユニットに対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
図7B】いずれかの作像ユニットに対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
図7C】いずれかの作像ユニットに対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
図7D】いずれかの作像ユニットに対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
図7E】いずれかの作像ユニットに対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
図7F】いずれかの作像ユニットに対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
図7G】いずれかの作像ユニットに対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
図7H】いずれかの作像ユニットに対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
図8】画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0020】
図1は、画像形成装置100の構成を示す概略図である。図2は、画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
【0021】
画像形成装置100は、制御部110、記憶部120、通信部130、操作表示部140、画像読取部150、画像制御部160、画像形成部170、およびトナー濃度検出部180を備える。これらの構成要素は、バス190により互いに通信可能に連結されている。画像形成装置100は、MFP(MultiFunction Peripheral)により構成され得る。制御部110、記憶部120、および画像制御部160はコンピューターを構成する。
【0022】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)および各種メモリを備えており、プログラムに従って上記各部の制御や各種の演算処理を行う。制御部110の作用の詳細については後述する。
【0023】
記憶部120は、SDD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disc Drive)等により構成され、各種プログラムおよび各種データを記憶する。
【0024】
通信部130は、画像形成装置100と外部機器との間で通信を行うためのインターフェースである。通信部130として、イーサネット(登録商標)、SATA、IEEE1394等の規格によるネットワークインターフェースが用いられる。また、通信部130として、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の無線通信インターフェース等の各種ローカル接続インターフェース等が用いられる。
【0025】
操作表示部140は、タッチパネル、テンキー、スタートボタン、およびストップボタン等を備えており、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。
【0026】
画像読取部150は、蛍光ランプ等の光源およびCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサー等の撮像素子を有する。画像読取部150は、所定の読み取り位置にセットされた原稿に光源から光を当て、その反射光を撮像素子で光電変換して、その電気信号から画像データを生成する。
【0027】
画像制御部160は、通信部130により受信された印刷ジョブ等に含まれる印刷データのレイアウト処理およびラスタライズ処理を行い、ビットマップ形式の画像データを生成する。
【0028】
印刷ジョブとは、画像形成装置100に対する印刷命令の総称であり、印刷データおよび印刷設定が含まれる。印刷データとは、印刷の対象である文書のデータであり、印刷データには、例えば、イメージデータ、ベクタデータ、テキストデータといった各種データが含まれ得る。具体的には、印刷データは、PDL(Page Description Language)データ、PDF(Portable Document Format)データまたはTIFF(Tagged Image File Format)データであり得る。印刷設定とは、用紙900への画像形成に関する設定であり、例えば、ページ数、印刷部数、紙種、カラーまたはモノクロの選択、およびページ割付等の各種設定が含まれる。
【0029】
画像形成部170は、作像部40、定着部50、給紙部60、および用紙搬送部70を含む。
【0030】
作像部40は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の各色のトナーに対応した作像ユニット41(41Y、41M、41C、41K)を備える。以下、各作像ユニット41を区別する場合にのみ、作像ユニット41にY、M、C、K等の文字を付記する。作像部40は、さらに、特色であるS1、S2の各色のトナーに対応した作像ユニット41S1、41S2を備え得る。特色であるS1、S2を表現するために、例えば作像ユニット41S1、41S2のいずれか一方は、光沢感や透明感を表現するためのクリアトナーを備え、他方は白色の画像を形成するためのホワイトトナーを備える。作像ユニット41は、現像器411、光書込部413、帯電部412、感光体ドラム414、および1次転写ローラー415を備える(図3等参照)。感光体ドラム414は感光体を構成する。なお、現像器411、光書込部413、帯電部412、および感光体ドラム414は一組として交換可能に備えられ得る。各作像ユニット41により、画像データに基づいて、帯電、露光、および現像のプロセスを経て感光体ドラム414上にトナー像T(図4参照)が形成される。感光体ドラム414上に形成されたトナー像Tは、1次転写ローラー415に印加される転写電圧による静電気力により、中間転写ベルト42上に順次重ねられて1次転写される。これにより、中間転写ベルト42上にカラーのトナー像Tが保持される。中間転写ベルト42上のカラーのトナー像Tは、2次転写ローラー43により用紙900上に2次転写される。中間転写ベルト42および用紙900は被転写体を構成する。
【0031】
作像ユニット41についてさらに詳細に説明する。
【0032】
図3は、作像ユニット41の要部の構成図である。図3において、矢印は感光体ドラム414の回転方向を示している。
【0033】
帯電部412は、帯電グリッド電圧を、帯電グリッドを介して感光体ドラム414に印加することで、感光体ドラム414の表面を帯電する。光書込部413は、レーザーダイオードによる走査露光により感光体ドラム414上に潜像を形成することで露光をする。現像器411は、現像スリーブ411Aを回転させながら現像スリーブ411Aに現像DC電圧(以下、「現像DC」とも称する)を印加し、現像スリーブ411Aの表面にトナーを付着させる。これにより、現像スリーブ411Aに付着されたトナーが感光体ドラム414上の潜像に転移することで潜像がトナー像Tとして現像される。現像DCは、用紙900上の画像のトナー量を調整可能な制御パラメーターであり、濃度に関する設定条件を構成する。なお、感光体ドラム414上の潜像が形成された領域の電位であるVi電位、現像スリーブ411Aと感光体ドラム414の回転速度の比である現像θ、および露光量等も濃度に関する設定条件を構成する。以下、説明を簡単にするために、濃度に関する設定条件は現像DCであるものとして説明する。
【0034】
各作像ユニット41の感光体ドラム414は、1次転写ローラー415に中間転写ベルト42を介して圧着される。これにより、感光体ドラム414が中間転写ベルト42に当接(圧着)される。例えば、1次転写ローラー415を移動させることで、感光体ドラム414と1次転写ローラー415とを中間転写ベルト42を介して接離(当接および離間)させ得る。感光体ドラム414が中間転写ベルト42に当接した状態になることで、1次転写ローラー415からの静電気力により、感光体ドラム414から中間転写ベルト42へトナー像が転写される。
【0035】
感光体ドラム414は、中空の円筒状の本体部(基体)と、感光層を有する像担持体であり、所定の速度で回転するように構成されている。本体部(基体)は、例えば、アルミニウム等の金属から構成される。感光層は、例えば、有機光導電体(Organic Photo Conductor:OPC)を含むポリカーボネイト等の樹脂から構成される。
【0036】
中間転写ベルト42は、体積抵抗率が1.0×10~1.0×10Ω・cm程度で、表面抵抗率が1.0×1010~1.0×1012Ω/□程度の半導電性の無端状(シームレス)の樹脂ベルトが用いられる。樹脂ベルトとしては、変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散した厚さ0.05~0.5mmの半導電性の樹脂フィルムを用いることができる。中間転写ベルト42としては、この他に、シリコーンゴム或いはウレタンゴム等に導電材料を分散した厚さ0.5~2.0mmの半導電性ゴムベルトを使用することもできる。中間転写ベルト42はテンションローラー36等を含む複数のローラー部材により巻回され、鉛直方向に回動可能に支持されている。
【0037】
1次転写ローラー415は、例えば金属シャフトとその周りを覆うシリコーンやウレタン等の発泡ゴムを用いたローラー状の導電性部材からなり、中間転写ベルト42を挟んで各色の感光体ドラム414にそれぞれ対向して設けられ、中間転写ベルト42の背面を押圧して感光体ドラム414との間に転写域を形成する。1次転写ローラー415には定電圧制御によりトナーと反対極性の転写電圧が印加され、転写域に形成される転写電界の静電気力によって、感光体ドラム414上のトナー像が中間転写ベルト42上に転写される。
【0038】
定着部50は、定着ローラー51aおよび加圧ローラー52を含み、定着ローラー51aと加圧ローラー52とが互いに圧接されることで、定着ローラー51aと加圧ローラー52との間で定着ニップを形成する。定着部50は、定着ニップに搬送された用紙900を、定着ニップで加熱および加圧するとともに定着ローラー51aと加圧ローラー52とを回転させることで、用紙900上のトナー像を用紙900の表面に溶融定着する。
【0039】
給紙部60は、複数の給紙トレイ61、62を有し、給紙トレイ61、62に収容された用紙900を1枚ずつ下流側の搬送経路に送り出す。
【0040】
用紙搬送部70は、用紙900を搬送するための複数の搬送ローラーを有し、作像部40、定着部50、および給紙部60の各部間で用紙900を搬送する。複数の搬送ローラーには、用紙900の傾きを矯正するためのレジストローラー71や、用紙900に所定量のループを形成するためのループローラー72が含まれる。
【0041】
用紙搬送部70は、画像形成された用紙900を排紙トレイ90に排紙する。
【0042】
トナー濃度検出部180は、中間転写ベルト42上のトナー像Tの濃度(単位面積当たりのトナーの付着量、以下「トナー濃度」とも称する)を検出する。トナー濃度検出部180は、例えばIDCセンサーを用いて構成され得る。トナー濃度検出部180は、トナー像T(例えば、後述する濃度補正を行うときはトナーパッチ)により反射される光の量をIDCセンサーで検知し、トナー濃度に換算することでトナー濃度を検出する。トナー濃度検出部180は、IDCセンサー以外の反射型センサー、色検知センサー等の公知のセンサーにより構成されてもよい。
【0043】
制御部110の作用について説明する。
【0044】
制御部110は、画像データの色に基づいて、複数の感光体ドラム414のうち画像形成に必要な感光体ドラム414を中間転写ベルト42に当接させる。制御部110は、中間転写ベルト42に感光体ドラム414を当接させた作像ユニット41において、感光体ドラム414上に作像したトナー像(画像)を中間転写ベルト42へ1次転写することによって中間転写ベルト42上でトナー像を重ね合わせる。中間転写ベルト42上で重ね合わされたトナー像は、2次転写ローラー45により用紙900上に2次転写される。
【0045】
図4は逆転写について説明するための説明図である。図4において、矢印は各感光体ドラム414の回転方向を示している。図4Aは、感光体ドラム414の回転軸方向から見た図である。図4Bは、感光体ドラム414の回転軸方向に垂直な方向から見た図である。
【0046】
図4に示すように、感光体ドラム4141から中間転写ベルト42へ転写されたトナー像Tの一部のトナーT2が、感光体ドラム4141の下流側の感光体ドラム4142と中間転写ベルト42とが当接していることで、感光体ドラム4142に再付着する逆転写が発生する。逆転写により、感光体ドラム4141から中間転写ベルト42へ転写されたトナー像TのトナーがトナーT1となり、トナー量が減少する。
【0047】
図5は、現像DCとトナー濃度との対応関係を示すグラフである。グラフの横軸は現像DCを示し、縦軸はトナー濃度を示している。トナー濃度は、C色のトナーパッチのトナー濃度であり、トナー濃度検出部180により検出された検出結果である。なお、図5の例においては、YMCの作像ユニット41Y、41M、41Cについては、それらの感光体ドラム414が同時に中間転写ベルト42に対し接離する構成の画像形成装置100を前提としている。以下の説明においては、説明を簡単にするために、特記した場合を除き、各感光体ドラム414は、別個独立に中間転写ベルト42に対し接離可能であるものとして説明する。
【0048】
図5に示すように、トナー濃度を一定にするためには、YMCおよびKの感光体ドラム414を中間転写ベルト42に当接させた場合と、YMC、K、およびS1の感光体ドラム414を中間転写ベルト42に当接させた場合とで現像DCを変える必要がある。より具体的には、例えば、C色のトナーパッチを中間転写ベルト42へ転写したC色の感光体ドラム414の下流の感光体ドラム414の、中間転写ベルト42に対する接離の状態を変えた場合は、現像DCを変える必要がある。図5の例では、S1の感光体ドラム414の中間転写ベルト42への当接による逆転写によりトナー濃度検出部180で検出されるC色のトナー濃度が減少する。従って、S1の感光体ドラム414を中間転写ベルト42に当接させた場合の現像DCを、離間させた場合より高く設定して、C色の感光体ドラム414のトナーの付着量を増加させる必要がある。
【0049】
図6は、各感光体ドラム414の中間転写ベルト42に対する接離の変更前後を示す説明図である。
【0050】
図6の例においては、接離の変更前はS1色の感光体ドラム414S1を中間転写ベルト42から離間させており、変更後はS1色の感光体ドラム414S1を中間転写ベルト42に当接させている。また、1次転写ローラー415を移動させることで、感光体ドラム414S1を中間転写ベルト42に対し接離させている。なお、図6の例と異なり、作像ユニット41をそれぞれ移動させることで、感光体ドラム414を中間転写ベルト42に対しそれぞれ接離させてもよい。
【0051】
制御部110は、画像形成に用いる作像ユニット41を変更する際(少なくともいずれかの作像ユニット41が変更される際)、下流側に配置された作像ユニット41が変更される作像ユニット41について濃度補正を実行し、下流側に配置された作像ユニット41が変更されない作像ユニット41については濃度補正を実行しない。すなわち、制御部110は、下流側の作像ユニット41が変更される作像ユニット41についてのみ濃度補正を実行する。作像ユニット41の変更(以下、単に「変更」とも称する)には、作像ユニット41の感光体ドラム414の中間転写ベルト42に対する接離の変更(画像形成に使用する作像ユニット41の変更)、および作像ユニット41の交換(作像ユニット41の一部(トナー等の材料や部品を含む)の交換を含む)が含まれる。作像ユニット41について濃度補正を実行することには、当該作像ユニットに対する現像DCの補正を実行することが含まれる。具体的には、作像ユニット41について濃度補正を実行することには、例えば次のことが含まれる。当該作像ユニットにより補正用のトナーパッチを中間転写ベルト42上に形成し、最下流の作像ユニット41を通過したトナーパッチのトナー濃度をトナー濃度検出部180により検出する。そして、検出されたトナー濃度に基づいて、補正用のトナーパッチの画像データによるトナー濃度(画像の色)と一致させるための現像DCを算出して設定する。下流側に配置された作像ユニット41が変更される作像ユニット41について濃度補正を実行するのは、下流側の作像ユニット41において逆転写が発生するため、下流側の作像ユニット41の変更により逆転写するトナーの量が変化するからである。
【0052】
このように、下流側の作像ユニット41が変更される作像ユニット41についてのみ濃度補正を実行することで、作像ユニット41の濃度補正に要する時間およびトナー量を低減できる。さらに、下流側の作像ユニット41が変更される作像ユニット41について濃度補正を実行することで、画像形成装置100の画像形成精度を担保できる。
【0053】
制御部110は、作像ユニット41について濃度補正を実行したときの、補正後の現像DCと、当該作像ユニット41の下流側の各作像ユニットの中間転写ベルト42との接離の状態を示す下流側接離情報とを関連付けて、作像ユニット41ごとに記憶部120に記憶させる。下流側接離情報は、各作像ユニット41の、それぞれの下流側のすべての作像ユニット41の接離の状態を示す情報であり得る。下流側接離情報は、各作像ユニット41の、それぞれの下流側の一部の作像ユニット41の接離の状態を示す情報であってもよい。具体的には、下流側接離情報は、例えば、各作像ユニット41の、それぞれ下流側で隣接する一つの作像ユニット41の接離の状態であってもよい。制御部110は、印刷ジョブに基づく画像形成において、最後に実行された印刷ジョブの実行後に下流側の作像ユニット41が変更される作像ユニット41の下流側接離情報と、記憶された下流側接離情報とが一致する場合、一致する下流側接離情報に関連付けされた現像DCを、作像ユニット41に設定する。
【0054】
制御部110は、最後に実行された印刷ジョブの実行後に下流側の作像ユニット41が変更される作像ユニット41の下流側接離情報と、記憶された下流側接離情報とが一致する場合であっても、下流側に配置された作像ユニット41に含まれる現像剤および感光体ドラム414の少なくとも一方が交換された場合は、一致しないと判断し得る。この場合、制御部110は、下流側の作像ユニット41が変更される作像ユニット41について濃度補正を実行する。
【0055】
制御部110は、濃度補正を行った時刻を作像ユニット41ごとにさらに記憶部120に記憶させる。制御部110は、濃度補正を行った時刻から所定時間以上経過している作像ユニット41には、記憶された現像DCを設定しない。所定時間は、画像形成精度の観点から実験等により適当に設定され得る。所定時間は、例えば8時間とし得る。
【0056】
制御部110は、温湿度計(図示せず)により、濃度補正を行ったときの温度および湿度の少なくとも一方を作像ユニットごとに記憶部120に記憶させ得る。制御部110は、記憶された温度および湿度の少なくとも一方が、記憶部120に記憶された値に対して所定の閾値以上変化している作像ユニット41には、記憶された現像DCを設定しない。所定の閾値は、画像形成精度の観点から実験等により適当に設定され得る。
【0057】
図7A図7Hは、いずれかの作像ユニット41に対して濃度補正が実行される場合の例を示す図である。各図において、白丸は感光体ドラム414を中間転写ベルト42に当接させてトナー像Tを中間転写ベルト42へ転写させる作像ユニット41を示している。黒丸は感光体ドラム414を中間転写ベルト42に当接させてトナー像Tを中間転写ベルト42へ転写させる作像ユニット41であって、濃度補正が必要な作像ユニット41を示している。
【0058】
図7Aは、上流色の追加により、画像形成に用いる作像ユニット41が変更されるときに濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
【0059】
図7Aの例においては、上流色としてS1色が追加されることで、作像ユニット41S1の感光体ドラム414が中間転写ベルト42から離間された状態から当接されるという変更がなされている。すなわち、作像ユニット41S1が増加ユニットとして追加されている。この場合、S1色の作像ユニット41S1については、設定されるべき現像DCが未決定であるため、濃度補正を実行し得る。一方、Y、M、C、Kの作像ユニット41Y、41M、41C、41Kについては濃度補正を実行する必要はなく、画像形成に用いる作像ユニット41が変更される直前に実行された印刷ジョブの実行時に設定されていた現像DCの設定値をそのまま用いる。これは、Y、M、C、Kの作像ユニット41Y、41M、41C、41Kについては、下流側の作像ユニット41が変更されないからである。なお、作像ユニット41Y、41M、41C、41Kについては、上流側の作像ユニット41S1は変更されるが、これらの作像ユニット41Y、41M、41C、41Kにより形成されたトナー像が上流側の作像ユニット41S1で逆転写が発生することはないので、上流側の作像ユニット41S1の変更による画像への影響は無視できる。
【0060】
図7Bは、下流色の追加により、画像形成に用いる作像ユニット41が変更されるときに濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
【0061】
図7Bの例においては、下流色としてS2が追加されることで、作像ユニット41S2の感光体ドラム414が中間転写ベルト42から離間された状態から当接されるという変更がなされている。すなわち、作像ユニット41S2が増加ユニットとして追加されている。この場合、S2の作像ユニット41S2については、設定されるべき現像DCが未決定であるため、濃度補正を実行し得る。さらに、Y、M、C、Kの作像ユニット41Y、41M、41C、41Kについても、下流側の作像ユニット41S2が追加される変更がされるため濃度補正を実行する。
【0062】
図7Cは、上流色および下流色の追加により、画像形成に用いる作像ユニット41が変更されるときに濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
【0063】
図7Cの例においては、上流色としてY、M、Cが追加され、かつ下流色としてS2が追加されることで、作像ユニット41S2、41Y、41M、41Cの各感光体ドラム414が中間転写ベルト42から離間された状態から当接されるという変更がなされている。すなわち、複数の作像ユニット41S2、41Y、41M、41Cが増加ユニットとして追加されている。この場合、Y、M、C、S2の作像ユニット41Y、41M、41C、41S2については、設定されるべき現像DCが未決定であるため、濃度補正を実行し得る。さらに、Kの作像ユニット41Kについても、下流側の作像ユニット41S2が追加される変更がされるため濃度補正を実行する。
【0064】
図7Dは、下流色の追加および上流色の削減により、画像形成に用いる作像ユニット41が変更されるときに濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
【0065】
図7Dの例においては、下流色としてS2が追加されることで、作像ユニット41S2の感光体ドラム414が中間転写ベルト42から離間された状態から当接されるという変更がなされている。さらに、上流色のS1が削減されることで、作像ユニット41S1の感光体ドラム414が中間転写ベルト42に当接された状態から離間されるという変更がなされている。すなわち、作像ユニット41S2が増加ユニットとして追加され、かつ作像ユニット41S1が減少ユニットとして削減されている。この場合、S2の作像ユニット41S2については、設定されるべき現像DCが未決定であるため、濃度補正を実行し得る。さらに、Y、M、C、Kの作像ユニット41Y、41M、41C、41Kについても、下流側の作像ユニット41S2が追加される変更がされるため濃度補正を実行する。
【0066】
図7Eは、下流色の削減により、画像形成に用いる作像ユニット41が変更されるときに濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
【0067】
図7Eの例においては、下流色のS2が削減されることで、作像ユニット41S2の感光体ドラム414が中間転写ベルト42に当接された状態から離間されるという変更がなされている。すなわち、作像ユニット41S2が減少ユニットとして削減されている。この場合、Y、M、C、Kの作像ユニット41Y、41M、41C、41Kについて、下流側の作像ユニット41S2が削減される変更がされるため濃度補正を実行する。
【0068】
図7Fは、最上流色と最下流色以外の削減により、画像形成に用いる作像ユニット41が変更されるときに濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
【0069】
図7Fの例においては、最上流色であるS1と最下流色であるK以外のY、M、Cが削減されることで、作像ユニット41Y、41M、41Cの各感光体ドラム414が中間転写ベルト42に当接された状態から離間されるという変更がなされている。すなわち、作像ユニット41Y、41M、41Cが減少ユニットとして削減されている。この場合、S1の作像ユニット41S1について、下流側の作像ユニット41Y、41M、41Cが削減される変更がされるため濃度補正を実行する。一方、Kの作像ユニット41Kについては、下流側の作像ユニット41S2の変更がされていないため濃度補正を実行しない。
【0070】
図7Gは、最上流色と最下流色の間への色の追加により、画像形成に用いる作像ユニット41が変更されるときに濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
【0071】
図7Gの例においては、最上流色であるS1と最下流色であるKの間にY、M、Cが追加されることで、作像ユニット41Y、41M、41Cの各感光体ドラム414が中間転写ベルト42から離間された状態から当接されるという変更がなされている。すなわち、作像ユニット41Y、41M、41Cが増加ユニットとして追加されている。この場合、S1の作像ユニット41S1について、下流側の作像ユニット41Y、41M、41Cが追加される変更がされるため濃度補正を実行する。一方、Kの作像ユニット41Kについては、下流側の作像ユニット41S2の変更がされていないため濃度補正を実行しない。
【0072】
図7Hは、一部の色の現像剤の交換により、画像形成に用いる作像ユニット41が変更されるときに濃度補正が実行される場合の例を示す図である。
【0073】
図7Hの例においては、Cの作像ユニット41Cの一部である現像剤(例えば、トナーカートリッジ)が交換されるという変更がなされている。この場合、Cの作像ユニット41S2については、現像剤の交換により、現像剤の製造バラツキの影響で画像形成精度が低下する可能性があるので濃度補正を実行し得る。S1、Y、Mの作像ユニット41S1、41Y、41Mについても、下流側の作像ユニット41Cが変更されるため濃度補正を実行する。Kの作像ユニット41Kについては濃度補正を実行する必要はなく、最後に実行された印刷ジョブの実行時に設定されていた現像DCの設定値をそのまま用いる。
【0074】
画像形成装置100の動作について説明する。
【0075】
図8は、画像形成装置100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、制御部110により、記憶部120に記憶されたプログラムに従い実行され得る。
【0076】
制御部110は、印刷ジョブを取得したかどうか判断する(S101)。制御部110は、例えば、通信部130により印刷ジョブが受信されたことにより、印刷ジョブを取得したと判断し得る。
【0077】
制御部110は、下流色からステップS103~S106による判断等を実行する(S102)。例えば、下流色(下流の作像ユニット41の色)から上流色(上流の作像ユニット41の色)の順でS2、K、C、M、Y、S1である場合、この順番で上記判断等を実行する。
【0078】
制御部110は、ステップS102において判断等の対象とされたn色について印刷ジョブで使用されるかどうか判断する(S103)。制御部110は、n色が使用されないと判断した場合は(S103:NO)、n色の作像ユニット41より1つ上流の作像ユニット41の色を判断等の対象であるn色として、ステップS103~S106を実行する(S102)。
【0079】
制御部110は、ステップS103において、n色が使用されると判断した場合は(S103:YES)、n色の作像ユニット41の変更があるかどうか判断する(S104)。制御部110は、n色の作像ユニット41の変更があると判断した場合は(S104:YES)、n色の濃度補正を予約する(S106)。
【0080】
制御部110は、n色の作像ユニット41の変更がないと判断した場合は(S104:NO)、n色の下流色について濃度補正の予約がされているか判断する(S105)。制御部110は、n色の下流色について濃度補正の予約がされていないと判断した場合は(S105:NO)、n色の作像ユニット41より1つ上流の作像ユニット41の色を判断等の対象であるn色として、ステップS103~S106を実行する(S102)。
【0081】
制御部110は、ステップS105において、n色の下流色について濃度補正の予約がされていると判断した場合は(S105:YES)、n色について濃度補正を予約する(S106)。
【0082】
制御部110は、画像形成装置100が備えるすべての作像ユニット41の色についてステップS102~ステップS107を実行した後、ステップS108に移行して処理を実行する。
【0083】
制御部110は、補正の予約がされた色の中で、最後(前回)の補正の時刻から所定時間経過した色があるかどうか判断する(S108)。制御部110は、最後の補正の時刻から所定時間経過した色があると判断した場合は(S108:YES)、その色について濃度補正を実行する(S111)。
【0084】
制御部110は、最後の補正の時刻から所定時間経過した色がないと判断した場合は(S108:NO)、補正の予約がされた色の中で、最後の濃度補正時から湿度が所定の閾値以上変化している色があるかどうか判断する(S109)。制御部110は、最後の濃度補正時から湿度が所定の閾値以上変化している色があると判断した場合は(S109:YES)、その色について濃度補正を実行する(S111)。
【0085】
制御部110は、最後の補正時から湿度が所定の閾値以上変化している色がないと判断した場合は(S109:YES)、記憶部120に記憶された現像DCの中から、濃度補正が予約された色と同じ色で、下流側接離情報が一致するものを抽出し、抽出した現像DCを濃度補正後の現像DCとして決定する(S110)。制御部110は、記憶部120に記憶された現像DCの中に、濃度補正が予約された色と同じ色で、下流側接離情報が一致するものがない場合は、当該濃度補正が予約された色について濃度補正を実行する。
【0086】
本発明の実施形態は以下の効果を奏する。
【0087】
画像を作像する作像ユニットを変更する際、下流側の作像ユニットが変更される作像ユニットについてトナー画像の濃度補正を実行し、下流側の作像ユニットが変更されない作像ユニットについては濃度補正を実行しない。これにより、トナー量の制御パラメーターの補正に要する時間およびトナー量を低減できるとともに、画像形成精度の低下を抑制できる。
【0088】
さらに、濃度補正を実行したときの、濃度補正後の作像ユニットのトナー画像の濃度に関する設定条件と、作像ユニットの下流側に配置された各作像ユニットの被転写体との接離の状態を示す下流側接離情報とを関連付けて、作像ユニットごとに記憶する。そして、下流側に配置された作像ユニットが変更される作像ユニットの下流側接離情報と、記憶された下流側接離情報とが一致する場合、一致する下流側接離情報に関連付けされた設定条件を、作像ユニットに設定する。これにより、トナー量の制御パラメーターの補正に要する時間およびトナー量をさらに低減できる。
【0089】
さらに、下流側に配置された作像ユニットが変更される作像ユニットの下流側接離情報と、記憶された下流側接離情報とが一致する場合であっても、下流側に配置された作像ユニットに含まれる現像剤および感光体の少なくとも一方が交換された場合は、一致しないと判断する。これにより、現像剤や感光体のバラツキや経時変化等による画像形成精度の低下を抑制できる。
【0090】
さらに、濃度補正を行った時刻を作像ユニットごとに記憶し、濃度補正を行った時刻から所定時間以上経過している作像ユニットには、記憶された設定条件を設定しない。これにより、さらにトナーの経時変化等による画像形成精度の低下を抑制できる。
【0091】
さらに、濃度補正を行ったときの温度および湿度の少なくとも一方を作像ユニットごとに記憶し、記憶された温度および湿度の少なくとも一方が、記憶された値に対して所定の閾値以上変化している作像ユニットには、記憶された設定条件を設定しない。これにより、さらに温湿度の変動による画像形成精度の低下を抑制できる。
【0092】
さらに、下流側接離情報を、作像ユニットごとの、それぞれの下流側に配置されたすべての作像ユニットの接離の状態を示すものとする。これにより、画像形成精度の低下をさらに効果的に抑制できる。
【0093】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。
【0094】
例えば、実施形態においては、被転写体として中間転写ベルトを例に説明したが、被転写体は、各感光体ドラムから直接トナー像が転写される用紙等であってもよい。
【0095】
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路等のハードウェアに置き換えて実行され得る。
【符号の説明】
【0096】
41 作像ユニット、
411 現像器、
412 帯電部、
413 光書込部、
414 感光体ドラム、
415 1次転写ローラー、
42 中間転写ベルト、
100 画像形成装置、
110 制御部、
120 記憶部、
130 通信部、
140 操作表示部、
150 画像読取部、
160 画像制御部、
170 画像形成部、
180 トナー濃度検出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8