(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-03
(45)【発行日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20240604BHJP
H04N 1/12 20060101ALI20240604BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20240604BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240604BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/12
H04N1/407 780
H04N1/00 002A
B41J29/393 101
B41J29/393 107
(21)【出願番号】P 2023085330
(22)【出願日】2023-05-24
(62)【分割の表示】P 2022191470の分割
【原出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出原 武典
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-357353(JP,A)
【文献】特開昭62-104365(JP,A)
【文献】特開2015-211445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/12
H04N 1/407
H04N 1/00
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像の色の濃淡を調整するための調整画像を用紙に形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって前記調整画像が形成された前記用紙に光を照射する光源と、
前記光源の前記光が照射された前記調整画像の情報を取得するセンサと、
前記光源を点灯および消灯させて前記光の照射を制御するものであって、前記用紙に形成された前記調整画像に対して前記光を照射すべく前記光源を点灯させる光源制御部と、
を備え、
前記画像形成部によって前記用紙に形成される前記調整画像は、用紙搬送方向に沿って形成される複数の調整画像であり、
前記光源制御部は、前記用紙搬送方向にお
ける前記用紙の後端より
先端側に形成された前記複数の調整画像に対して前記光を照射すべく前記光源を点灯させ、前記複数の調整画像のうち
最も前記後端側に位置する調整画像に対する前記光の照射を終了すると前記光源を消灯させ、
前記センサによって取得された前記複数の調整画像の情報に基づいて、前記画像形成部により形成される画像の色の濃淡が調整される、
画像処理装置。
【請求項2】
前記光源制御部は、前記用紙搬送方向において前記複数の調整画像が形成されていない領域に対しては前記光源を点灯させない、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の調整画像は、前記用紙搬送方向に沿って隣接して前記用紙に形成される調整画像群である、
請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の調整画像は、前記用紙の前記用紙搬送方向における一部の領域に形成される、
請求項1~3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の調整画像は、前記用紙搬送方向における前記用紙の先端寄りに位置する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記光源制御部は、前記用紙搬送方向に直交する方向において前記調整画像の情報を取得しない位置では前記光源を消灯させている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記光源制御部は、前記光源を点灯させてから前記用紙に形成された前記調整画像の情報を取得するまでに、前記光源が安定するまでの時間を含むように前記光源を点灯させる、
請求項1~6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像の色の濃淡を調整するための調整画像を用紙に形成する画像形成部と、前記画像形成部によって前記調整画像が形成された前記用紙に光を照射する光源と、前記光源の前記光が照射された前記調整画像の情報を取得するセンサと、前記光源を点灯および消灯させて前記光の照射を制御するものであって、前記用紙に形成された前記調整画像に対して前記光を照射すべく前記光源を点灯させる光源制御部と、を備えた画像処理装置の制御方法であって、
前記画像形成部が前記調整画像として用紙搬送方向に沿って複数の調整画像を前記用紙に形成する工程と、
前記光源制御部が、前記用紙搬送方向にお
ける前記用紙の後端より
先端側に形成された前記複数の調整画像に対して前記光を照射すべく前記光源を点灯させ、前記複数の調整画像のうち
最も前記後端側に位置する調整画像に対する前記光の照射を終了すると前記光源を消灯させる工程と、
前記センサによって取得された前記複数の調整画像の情報に基づいて、前記画像形成部により形成される画像の色の濃淡を調整する工程と、を含む
画像処理装置の制御方法。
【請求項9】
画像の色の濃淡を調整するための調整画像を用紙に形成する画像形成部と、前記画像形成部によって前記調整画像が形成された用紙に光を照射する光源と、前記光源の前記光が照射された前記調整画像の情報を取得するセンサと、前記光源を点灯および消灯させて前記光の照射を制御するものであって、前記用紙に形成された前記調整画像に対して前記光を照射すべく前記光源を点灯させる光源制御部と、を備えた画像処理装置で実行されるプログラムであって、
前記画像形成部が前記調整画像として用紙搬送方向に沿って複数の調整画像を前記用紙に形成する工程と、
前記光源制御部が、前記用紙搬送方向にお
ける前記用紙の後端より
先端側に形成された前記複数の調整画像に対して前記光を照射すべく前記光源を点灯させ、前記複数の調整画像のうち
最も前記後端側に位置する調整画像に対する前記光の照射を終了すると前記光源を消灯させる工程と、
前記センサによって取得された前記複数の調整画像の情報に基づいて、前記画像形成部により形成される画像の色の濃淡を調整する工程と、を含む
画像処理装置で実行されるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像調整用の調整画像が形成された用紙の読取画像から得られる情報に基づいて、用紙に形成される画像の色や画像の形成位置などを調整する画像検査装置、又は、画像検査部を備えた画像形成装置が知られている。そして、これらの画像処理装置においては、センサよりも寿命が短い光源が使用されることがある。この場合、センサの寿命が訪れる前に光源の寿命が訪れてしまうため、光源の寿命を延ばすための対策を講じる必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、それぞれ独立して点灯および消灯制御が可能な第1~第nブロックを主走査方向に沿って列状に設けた光源を、これから読み取りを行う原稿のサイズに対応する点灯パターンを示す情報に従って点灯制御する技術が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、光源の第1~第nブロックのうち、原稿サイズに対応する最低限のブロックのみを点灯制御して、原稿の読み取りを行うことができるため、その分光源の消費電力を節減でき、光源の寿命を延ばすことも可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、原稿サイズが小さい原稿の読み取り時であっても、原稿サイズに対応する最低限のブロックの光源は常に点灯する。したがって、原稿サイズに対応する最低限のブロックの光源の寿命は延ばすことができない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、調整画像の読み取り時に使用される光源の寿命をより延ばすことを可能とする画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を実現するために、本発明の一側面を反映した画像処理装置は、画像の色の濃淡を調整するための調整画像を用紙に形成する画像形成部と、画像形成部によって調整画像が形成された用紙に光を照射する光源と、光源の光が照射された調整画像の情報を取得するセンサと、光源を点灯および消灯させて光の照射を制御するものであって、用紙に形成された調整画像に対して光を照射すべく光源を点灯させる光源制御部と、を備える。そして、画像形成部によって用紙に形成される調整画像は、用紙搬送方向に沿って形成される複数の調整画像であり、光源制御部は、用紙搬送方向における用紙の後端より先端側に形成された複数の調整画像に対して光を照射すべく光源を点灯させ、複数の調整画像のうち最も前記後端側に位置する調整画像に対する光の照射を終了すると光源を消灯させ、センサによって取得された複数の調整画像の情報に基づいて、画像形成部により形成される画像の色の濃淡が調整される。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、光源制御部が、用紙搬送方向において用紙の後端より上流側に形成された複数の調整画像に対して光を照射すべく光源を点灯させ、複数の調整画像のうち最下流に位置する調整画像に対する光の照射を終了すると光源を消灯させる制御を行う。それゆえ、本発明によれば、調整画像の読み取り時に使用される光源の寿命をより延ばすことを可能とする画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びプログラムが提供される。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る調整画像情報の構成例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る調整画像の形成例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る光源制御部が制御例2の制御を実施する際に用いる光源点灯パターンの例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る主走査方向における光源の点灯又は消灯動作も制御される場合における光源点灯パターンの例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るセンサの読み取り方向における光源の点灯又は消灯タイミングの情報を含む、調整画像の例を示す図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る主走査方向における光源のランプの点灯位置を示す情報が付加された、調整画像の例を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る光源制御部の制御例3による制御の例を示す図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る光源制御部の制御例3による制御の例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係るセンサによる読み取りが不要な情報を含む調整画像が印字された用紙の例を示す図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係るセンサによる読み取りが不要な情報を含む調整画像の調整画像情報の例を示す図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る光源制御部が制御例5の制御を実施する際に用いる光源点灯パターンの例を示す図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置による画像読取制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第1の実施形態に係る調整画像の用紙搬送方向における長さを短くすることが可能なレイアウトで調整画像が形成された用紙の例を示す図である。
【
図16】従来の用紙における調整画像の形成位置が固定された場合における、主走査方向での光源のランプの点灯範囲の例を示す図である。
【
図17】本発明の2の実施形態に係る調整画像の形成位置を前回の画像検査の実施時とは異ならせた場合における調整画像の形成例、及び、主走査方向における光源のランプの点灯範囲の例を示す図である。
【
図18】本発明の2の実施形態に係る調整画像の形成位置を前回の画像検査の実施時とは異ならせた場合における調整画像の形成例、及び、主走査方向における光源のランプの点灯範囲の例を示す図である。
【
図19】本発明の2の実施形態に係る調整画像の形成位置を前回の画像検査の実施時とは異ならせた場合における調整画像の形成例、及び、主走査方向における光源のランプの点灯範囲の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置、画像読取制御方法及びプログラムについて、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素は、同一の符号を付し、構成要素の重複説明は省略する。
【0011】
[画像形成装置の構成]
まず、
図1を参照して、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置(画像処理装置の一例)の構成例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置1の概要構成図である。なお、
図1には、本発明の説明に必要と考える要素又はその関連要素を記載しており、本発明の画像形成装置は、
図1に示す例に限定されない。
【0012】
図1に示す画像形成装置1は、静電気を用いて画像の形成を行う電子写真方式によって用紙に画像を形成する画像形成装置である。画像形成装置1は、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を重ね合わせるタンデム形式によって、用紙Sh上にカラー画像を形成する。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置1は、給紙トレイ11、搬送路12、自動原稿給送装置(図示略)を有する画像入力部13、操作表示部14、及び、画像形成部40を備える。
【0014】
給紙トレイ11は、画像形成部40で画像形成が行われる用紙Shを収容する容器である。
図1には、給紙トレイ11が2段で構成される例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。給紙トレイの段数は1段であってもよく、3段以上であってもよい。給紙トレイ11から給紙された用紙Shは、搬送路12上を搬送される。
【0015】
搬送路12は、用紙Shを排紙トレイ15A又はパージトレイ15Bまで搬送する経路であり、搬送路12には、用紙Shを搬送するための複数の搬送ローラが設けられる。排紙トレイ15Aは、後述の画像検査部60(
図2参照)によって正常であると判定された用紙Shが排出されるトレイであり、パージトレイ15Bは、画像検査部60によって異常があると判定された用紙Shが排紙されるトレイである。
【0016】
画像入力部13は、自動原稿給送装置の原稿台上の原稿から画像を光学的に読み取り、読み取った画像をA/D変換して画像データ(スキャンデータ)を生成する。
【0017】
操作表示部14は、液晶パネル等からなる表示部、及び、タッチセンサ等からなる操作部で構成される。表示部及び操作部は、例えばタッチパネルとして一体に形成される。操作表示部14は、操作部に入力されたユーザーからの操作の内容を表す操作信号を生成し、該操作信号を後述の制御部10(
図2参照)に供給する。また、操作表示部14は、制御部10から供給される表示信号に基づいて、表示部に、ユーザーによる操作内容や設定情報等を表示する。なお、操作部をマウスやタブレットなどで構成し、表示部とは別体で構成することも可能である。
【0018】
画像形成部40は、Y、M、C及びKの各色のトナー画像を形成するための、4つの画像形成ユニット41Y,41M,41C及び41Kを備える。画像形成ユニット41Y,41M,41C及び41Kは、それぞれ、帯電部、露光部(いずれも不図示)、像担持体としての感光体ドラム42Y,42M,42C,42K、及び、現像部43Y,43M,43C,43Kを備える。
【0019】
現像部43Y,43M,43C,43Kは、感光体ドラム42Y,42M,42C,42Kの各表面(外周部)に、画像に応じた光を照射することにより、各感光ドラムの周上に静電潜像を形成させる。そして、現像部43Y,43M,43C,43Kは、該静電潜像に不図示の現像器から供給されたトナーを付着させることにより、感光体ドラム42Y,42M,42C,42K上にトナー画像を形成する。
【0020】
また、画像形成部40は、中間転写ベルト44、2次転写部45及び定着部46を備える。中間転写ベルト44は、感光体ドラム42Y,42M,42C,42Kに形成された画像が1次転写されるベルトである。2次転写部45は、中間転写ベルト44上に1次転写された各色のトナー画像を、搬送路12を搬送された用紙Shに2次転写するローラである。
【0021】
定着部46は、2次転写部45の用紙搬送方向の下流側に配置されて、画像形成部40から供給されるカラーのトナー画像が形成された用紙Shに対して、定着処理を施す。
【0022】
定着部46の下流には、画像読取部47が設けられる。画像読取部47は、光源471と、センサ472と、を含む。光源471は、搬送路12上を搬送される用紙Shに光を照射する。センサ472は、搬送路12上を搬送され、光源471によって照射された用紙Sh上の画像を一次元的に読み取り、時系列で出力することにより、読取画像を取得する。
【0023】
画像読取部47は、センサ472が読み取って得た読取画像の情報を、後述の制御部10を介して画像検査部60(
図2参照)に出力する。
【0024】
なお、本実施形態では、画像形成装置1が反転パス等の両面印字機構を有さず、画像検査装置2が用紙Shの片面のみを検査する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。本発明に係る画像形成装置を、両面印字機構を有する画像形成装置に適用してもよい。この場合、用紙Shの表面及び裏面の両面に印字された各画像を検査できるように、画像読取部47内のセンサ472(
図2参照)は、表面用と裏面用との2つが必要となる。
【0025】
また、本実施形態では、画像読取部47が画像形成装置1の内部に配置される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。画像読取部47は、例えば、画像形成装置1の後段に配置される画像検査装置の内部に設けられてもよい。
【0026】
[画像形成装置の制御系の構成]
次に、
図2を参照して、画像形成装置1の制御系の構成例について説明する。
図2は、画像形成装置1の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0027】
図2に示すように、画像形成装置1は、制御部10、画像入力部13、操作表示部14、記憶部16、通信I/F(Interface)部17、調整画像情報生成部20、調整画像データ生成部30、画像形成部40、画像読取部47、光源制御部50及び画像検査部60を備える。
【0028】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102及びRAM(Random Access Memory)103を備える。ROM102には、制御部10のCPU101が実行するプログラム又はプログラムの実行時に使用するデータ等が記憶される。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムを読み出すことにより、画像形成装置1を構成する各部の制御を行う。RAM103には、CPU101の演算処理の途中に発生した変数やパラメータなどが一時的に書き込まれる。
【0029】
記憶部16は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、記憶部16には、制御部10のCPU101がプログラムを実行する際に使用するパラメータや、プログラムを実行して得られたデータなどが記憶される。また、記憶部16には、調整画像情報161が記憶される。調整画像情報161は、後述する調整画像データ生成部30が調整画像データを生成する際に参照する情報であり、調整画像情報161には、調整画像としてのパッチ又は調整マーク等の、用紙Sh上における位置(座標)の情報や、サイズ、色、濃度の情報などが含まれる。
【0030】
パッチは、画像の色の濃淡や、スジ又は汚れ等の付着の有無を検査する際に用いられる調整画像であり、例えば、ブロック状や棒状の複数のパッチがマトリクス状に配置されて構成される。調整マークは、用紙Shの表裏調整を行う際に用いられる調整画像であり、調整マークには、例えば、トンボや、レジストレーションマーク、アイマークなどがある。調整画像情報161の構成例については、後述の
図3を参照して詳述する。
【0031】
通信I/F部17は、不図示のネットワーク又は専用線等を介して、ユーザーが操作する端末である端末装置(図示略)との間でデータを送受信するインターフェースである。通信I/F17として、例えばNIC(Network Interface Card)を用いることができる。
【0032】
調整画像情報生成部20は、調整画像を構成する各オブジェクトの種別や用紙Shにおける座標、サイズ等の情報を含む調整画像情報161を生成する。調整画像データ生成部30は、調整画像情報161に基づいて、調整画像のデータ(以下「調整画像データ」と称する)を生成する。画像形成部40は、不図示の端末装置から送信された印刷ジョブに含まれる画像データに基づく画像、又は、調整画像データ生成部30によって生成された調整画像データに基づく調整画像を、用紙Shに形成する。
【0033】
画像読取部47は、光源471及びセンサ472を含む。光源471は、例えばLED(Light Emitting Diode)等で構成され、搬送路12上を搬送される用紙Shを照射する。なお、光源471として、一つの走査線内に含まれる各画素の観測時刻を異ならせることが可能なアレイ型の光源が用いられてもよい。
【0034】
センサ472は、例えば、複数の検出素子(画素)が、用紙Shの搬送方向と直交する方向(用紙幅方向)に配列されたラインセンサで構成され、用紙Shに形成された画像を、複数の波長成分ごと、例えば、赤(R),緑(G),青(B)の3波長で取得する。センサ472の検出素子としては、CCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の撮像素子などを用いることができる。
【0035】
なお、画像読取部47に用いられるセンサは、上記の構成のものに限られるものではない。例えば、センサ472として、撮像素子が二次元に配置されたエリアセンサなどが用いられてもよい。
【0036】
光源制御部50は、画像読取部47のセンサ472による用紙Shの読み取り時における、用紙Shの搬送方向に対応する方向(センサ472の読み取り方向、画像形成部40の副走査方向)での光源471の点灯又は消灯動作を制御する。このとき、光源制御部50は、記憶部16に記憶された調整画像情報161に基づいて、光源471の点灯区間を規定する光源点灯パターンを生成し、該光源点灯パターンに基づいて、光源471を点灯又は消灯させる。
【0037】
具体的には、光源制御部50は、用紙Shにおいて調整画像が形成されている区間、すなわち、センサ472による調整画像の読み取りが必要である区間のみ、光源471を点灯させる制御を行う。光源制御部50による光源471の点灯又は消灯制御には、例えば、以下の制御(制御例1~制御例5)等がある。すなわち、光源制御部50は、以下の制御を可能とする光源点灯パターンを生成する。
【0038】
制御例1:光源制御部50が、用紙Shの表裏調整のための画像検査の実施時において、用紙Shの先端の検知時に光源471をON(点灯)させ、用紙Sh先端のエッジの検知に必要な時間として予め定められた所定の時間が経過後に、光源471をOFF(消灯)する。同様に、光源制御部50が、用紙Shの後端の検知時に光源471をONさせ、用紙Sh後端のエッジの検知に必要な時間として予め定められた所定の時間が経過後に、光源471をOFFする制御。
【0039】
制御例2:光源制御部50が、調整画像の副走査方向(画像読取部47のセンサ472による用紙Shの読み取り方向)における先端位置において、光源471をONし、該調整画像の後端位置において、光源471をOFFする制御。
【0040】
制御例3:用紙Sh上に複数の調整画像が形成される場合であって、複数の調整画像間の副走査方向における距離が、予め定められた所定の閾値距離以下である場合、光源制御部50が、調整画像同士の隙間の区間においても、光源471をOFFさせない制御。
【0041】
制御例4:調整画像情報161に示される調整画像の区分(属性)が、センサ472による調整画像の読み取りに先駆けて光源471の安定化を図る必要がある(光源安定化を要する)区分である場合、光源制御部50が、光源安定化に要する時間分だけ前倒しして光源471を点灯させる制御。光源安定化を要する区分には、調整画像が、色又は濃度の調整に用いられるパッチ(調整マーク)等がある。
【0042】
制御例5:光源制御部50が、用紙Shにおける、センサ472による読み取りを必要としない調整画像、例えば、画像形成装置のシリアル番号や画像検査の実施日、調整種類、ページ番号等の形成位置においては、光源471を点灯させない制御。
【0043】
なお、光源制御部50は、画像読取部47の光源471がアレイ型のランプで構成される場合には、副走査方向における光源471の点灯区間に加えて、主走査方向における光源471の発光位置を規定する光源点灯パターンを生成してもよい。
【0044】
また、本実施形態では、光源制御部50が、調整画像に合わせて光源点灯パターンを都度生成する例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。光源制御部50は、調整画像情報161に基づいて予め複数種類の光源点灯パターンを生成して記憶部16等に記憶させておき、該光源点灯パターンに基づいて光源471の点灯又は消灯動作を制御してもよい。
【0045】
画像検査部60は、画像読取部47で取得された読取画像の情報に基づいて、調整画像に含まれる調整マークの形成位置のズレの有無や、各パッチの濃度の濃淡、パッチにおける汚れ又はスジの有無などを検査する。そして、画像検査部60は検査結果を、制御部10を介して画像形成部40にフィードバックする。
【0046】
[調整画像情報]
次に、
図3を参照して、調整画像情報生成部20が生成する調整画像情報161について説明する。
図3は、調整画像情報161の構成例を示す図である。
図3に示すように、調整画像情報161は、「No」、「Obj Type」、「形状」、「X座標」、「Y座標」、「Xサイズ」、「Yサイズ」及び「カラー」の各項目を有する。
【0047】
「No」の項目には、調整画像情報161のそれぞれに連番で割り振られる通し番号が格納される。「Obj Type」には、「調整マーク」や「パッチ」などの、調整画像の種別(オブジェクトタイプ)が格納される。「形状」には、調整マークやパッチなどの調整画像を構成する各オブジェクトの形状の情報が格納される。「X座標」には、用紙ShのX座標における各オブジェクトの形成位置の情報が格納され、「Y座標」には、用紙ShのY座標における各オブジェクトの形成位置の情報が格納される。X座標及びY座標の原点は、例えば、用紙Shの左上端等に設定される。
【0048】
「Xサイズ」には、用紙ShのX方向(用紙幅方向、主走査方向)における各オブジェクトのサイズの情報が格納され、「Yサイズ」には、用紙ShのY方向(用紙搬送方向、副走査方向)における各オブジェクトのサイズの情報が格納される。X座標、Y座標、Xサイズ、Yサイズは、例えば、ドット数及びライン数や、mm又はインチ等の長さなどにより表される。
【0049】
「カラー」には、C,M,Y,Kの各色の階調によって示されるオブジェクトの色の情報が格納される。
【0050】
例えば、調整画像情報161のNo“1”には、種別が“調整マーク”であり、形状が“十字1”であり、X座標が“a”であり、Y座標が“b”であり、Xサイズが“A”であり、Yサイズが“B”であり、カラーが“C:0,M:0,Y:0,K:255”である調整画像の情報が格納されている。
【0051】
[調整画像情報161に基づく調整画像]
次に、
図4を参照して、調整画像情報161に基づいて生成される調整画像について説明する。
図4は、調整画像の形成例を示す図である。
【0052】
図4に示す例では、用紙Shの四隅に十字のトンボ(調整マーク)が形成されており、用紙Shの中央部には、縦4列×横5行の複数のパッチよりなるパッチ群が形成されている。例えば、用紙Shの左上端のトンボは、調整画像情報161のNo1において定義された調整画像である。調整画像情報161のNo1において定義されているとおり、用紙Shの左上端のトンボは、用紙Shの左上端の原点からX方向に“a”、Y方向に“b”進んだ位置を起点に形成され、そのX方向のサイズは“A”、Y方向のサイズは“B”である。
【0053】
また、例えば、パッチ群の左上端のパッチは、調整画像情報161のNo5において定義された調整画像である。調整画像情報161のNo5において定義されているとおり、左上端のパッチは、用紙Shの左上端の原点からX方向に“d”、Y方向に“e”進んだ位置を起点に形成され、そのX方向のサイズは“C”、Y方向のサイズは“D”である。また、カラーは“K”であり、階調は“255”である。
【0054】
[調整画像情報161に基づく光源の点灯パターン]
次に、
図5を参照して、調整画像情報161に基づき光源制御部50が生成する光源点灯パターンについて説明する。
図5は、光源制御部50が上述した制御例2の制御を実施する際に用いる光源点灯パターンの例を示す図である。光源制御部50は、制御例2において、調整画像の副走査方向における先端位置において光源471をONし、該調整画像の後端位置において、光源471をOFFする制御を行う。
【0055】
図5には、調整画像が形成された用紙Shを示し、その右側に、光源点灯パターンを示す。
図5に示す調整画像は、
図4に示した調整画像と同一であり、用紙Shの四隅に形成される4つのトンボ、及び、用紙Sh中央部に形成されるパッチ群を含む。光源点灯パターンの縦軸では、パルスのON又はOFFにより光源471のON又はOFFを示し、光源点灯パターンにおける縦軸は、用紙ShのY方向(副走査方向)と対応している。
【0056】
図5に光源点灯パターンにおいては、センサ472の読み取り方向における用紙Shの上端の2つのトンボの先端位置(用紙Shの上端からY方向に“b”進んだ位置)で光源471がONされ、その点灯は、トンボのY方向のサイズである“B”の区間分継続される。そして、パッチ群の形成位置に到達するまでの区間、すなわち、パッチ群の先端位置“e”から、トンボの先端位置“b”及びトンボの検出時における光源471の点灯区間“B”を減算した“e-b-B”の区間、光源471はOFFされる。
【0057】
続いて、パッチ群の先端位置“e”の到達時に光源471はONされ、その点灯は、パッチ群のY方向のサイズによって表される区間分継続される。すなわち、4行目のパッチ群の後端位置である“i”に、5行目(パッチ群の最後行)のパッチのY方向のサイズである“D”を加算した区間から、用紙Shの先端からパッチ群の先端までの距離である“e”を減算して得られる“i+D-e”の区間分、光源471はONされる。
【0058】
そして、パッチ群の後端の位置から、用紙Shの下端部のトンボの先端位置までの間の区間、すなわち、用紙Shの先端から、用紙Shの下端部のトンボの先端位置までの距離である“c”から、用紙Shの先端からパッチ群の先端までの距離である“(i+D)”を減算して得られる“c-(i+D)”の区間分、光源471はOFFされる。
【0059】
最後に、用紙Shの下端部のトンボの先端位置に到達後、トンボのY方向のサイズである“B”の区間分、光源471がONされ、“B”の区間の終了後、光源471はOFFされる。
【0060】
つまり、光源制御部50が制御例2の制御を行うことにより、トンボやパッチなどの調整画像が形成されている領域においてのみ、光源471が点灯するため、光源471の点灯時間を最小限に抑えることが可能となる。したがって、光源471の寿命をより延ばすことが可能となる。
【0061】
なお、光源471が、主走査方向におけるランプの点灯位置も制御可能なアレイ型のものである場合には、センサ472の読み取り方向(副走査方向)だけでなく、主走査方向における光源471の点灯又は消灯動作も制御されてもよい。
【0062】
ここで、
図6を参照して、主走査方向における光源471の点灯又は消灯動作も制御される場合における光源点灯パターンについて説明する。
図6は、主走査方向における光源471の点灯又は消灯動作も制御される場合における光源点灯パターンの例を示す図である。
【0063】
図6の左側には、調整画像が形成された用紙Sh、及び、センサ472の読み取り方向における光源点灯パターンを示し、右側には、主走査方向における光源点灯パターンを示す。主走査方向における光源点灯パターンでは、主走査方向を横軸とするパルスのON又はOFFにより、光源471の点灯又は消灯動作が示される。
【0064】
図6に示すように、センサ472の読み取り方向において光源471がONされるタイミングで、読み取り対象の調整画像の主走査方向における形成位置(範囲)と対応する位置にある光源471のランプのみが点灯される。例えば、用紙Shの上端の2つのトンボの読み取り中には、光源471における、主走査方向における2つのトンボの形成位置と対応する各区間のランプのみがONされ、それ以外の区間に対応する光源471のランプはOFFされる。
【0065】
つまり、主走査方向における左側のトンボの形成位置と対応する位置にある光源471のランプと、主走査方向における右側のトンボの形成位置と対応する位置にある光源471のランプと、が点灯される。主走査方向における左側のトンボの形成位置と対応する位置(区間)は、用紙Shの左端からX方向に“a”だけ進んだ位置を始点とし、左上側のトンボのX方向のサイズである“A”の距離だけ右方向に進んだ位置を終点とする区間である。また、主走査方向における右側のトンボの形成位置と対応する位置(区間)は、用紙Shの左端からX方向に“m”だけ進んだ位置を始点とし、右側のトンボのX方向のサイズである“A”の距離だけ右方向に進んだ位置を終点とする区間である。これらの区間における光源471のランプの点灯は、用紙Shの上側に配置された2つのトンボの読み取り終了時に終了する(OFFされる)。
【0066】
続いて、用紙Shの中央部に形成されたパッチ群の読み取り時には、主走査方向におけるパッチ群の形成位置と対応する区間の光源471のランプのみがONされ、それ以外の区間に対応する光源471のランプはOFFされる。具体的には、パッチ群の、副走査方向における先端位置から後端位置までの区間では、光源471において、主走査方向におけるパッチ群の形成位置と対応する各区間のランプのみがONされ、それ以外の区間に対応する光源471のランプはOFFされる。
【0067】
つまり、用紙Shの左端からX方向に“d”だけ進んだ位置を始点とし、パッチ群のX方向のサイズである“(l+C-d)”の距離だけ右方向に進んだ位置を終点とする区間において、これらの区間と対応する主走査方向における光源471のランプが点灯される。これらの区間における光源471のランプの点灯は、用紙Shの中央部に配置されたパッチ群の読み取り終了時に終了する(OFFされる)。
【0068】
さらに、用紙Shの下側の2つのトンボの読み取り中においても、上側のトンボの読み取り時と同様に、光源471における、主走査方向における2つのトンボの形成位置と対応する各区間のランプのみがONされ、それ以外の区間に対応する光源471のランプはOFFされる。
【0069】
そして、
図5又は
図6等に示したような光源点灯パターンに基づいて、光源制御部50は、光源471の点灯又は消灯制御を行う。調整画像情報161における座標又はサイズが、ドット数及びライン数で表現されている場合には、光源471の点灯タイミング及び点灯時間は、不図示のライン数カウンタによる計測値等に基づいて制御される。このとき、調整画像データにおける調整画像の解像度と、センサ472の読み取りの解像度とが異なる場合には、光源制御部50は、調整画像の解像度を、読み取り解像度に変換した上で、光源471の点灯又は消灯制御を行う。
【0070】
調整画像情報161における座標又はサイズが、mmやインチなどの長さによって表されている場合には、光源制御部50は、搬送速度及び長さの情報に基づいて、光源471の点灯又は消灯制御を行う。
【0071】
なお、
図5及び
図6に示した例においては、調整画像情報161に基づき生成された光源点灯パターンに基づいて、光源制御部50が光源471の点灯又は消灯動作を制御する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像形成部40が、光源471の点灯タイミングを示す情報を、調整画像に付加して用紙Shに形成し、画像読取部47のセンサ472が取得した読取画像から得られる点灯タイミングの情報に基づいて、光源制御部50が、光源471の点灯又は消灯動作を制御してもよい。
【0072】
図7は、センサ472の読み取り方向における光源471の点灯又は消灯タイミングの情報を含む、調整画像の例を示す図である。
図7には、点灯タイミング及び消灯タイミングを示す情報が、用紙Sh上に文字(左下がりの斜線が付加された白抜きの文字)で付加された例を示す。
【0073】
用紙Shの上端の付近には、“Y:b,Ys:B”の文字が記載されている。“Y”は、コロンの右側にある文字が、光源471の点灯を開始すべき位置(用紙Shの上端からの距離)を示す文字であることを示す符号である。“Ys”は、コロンの右側の文字が、点灯区間の長さを示す文字であることを示す符号である。つまり、“Y:b,Ys:B”の文字によって、用紙Shの上端から“b”だけ進んだ位置から、“B”の長さにより示される区間において、光源471を点灯することが指示される。
【0074】
“b”は、用紙Shの上端から、用紙Shの上側の2つのトンボの上端までの間の距離を示す値であり、“B”は、用紙Shの上側のトンボの副走査方向における長さを示す値である。したがって、“Y:b,Ys:B”の指示に基づいて光源471の点灯又は消灯動作が制御されることにより、センサ472によって、用紙Shの上側の2つのトンボが読み取られる。
【0075】
用紙Shの上側のトンボの読み取り終了位置付近には、“Y:e-b-B,Ys:i+D-e”の文字が記載されている。“e-b-B”は、用紙Shの上側のトンボの下端から、その下にあるパッチ群の上端までの距離を示す値であり、“i+D-e”は、パッチ群の副走査方向における長さを示す値である。したがって、“Y:e-b-B,Ys:i+D-e”の指示に基づいて光源471の点灯又は消灯動作が制御されることにより、センサ472によって、用紙Shの中央部に形成されたパッチ群が読み取られる。
【0076】
用紙Shの中央部のパッチ群の読み取り終了位置付近には、左から順に“Y:c-(i+D)”,“Ys:B”の文字が記載されている。“c-(i+D)”は、用紙Shの中央部のパッチ群の下端から、その下にある2つのトンボの上端までの距離を示す値であり、“B”は、トンボの副走査方向における長さを示す値である。したがって、“Y:c-(i+D),Ys:B”の指示に基づいて光源471の点灯又は消灯動作が制御されることにより、センサ472によって、用紙Shの下側に形成された2つのトンボが読み取られる。
【0077】
また、光源制御部50は、画像読取部47の光源471がアレイ型の光源で構成される場合には、主走査方向における光源471のランプの点灯位置(範囲)を示す情報が、調整画像に付加されてもよい。
【0078】
図8は、主走査方向における光源471のランプの点灯位置を示す情報が付加された、調整画像の例を示す図である。
図8においては、副走査方向における光源471の点灯タイミング及び点灯区間を示す情報が記載された位置の近傍に、右下がりの斜線が記された白抜きの長方形が記載されている。該長方形の横方向の長さは、主走査方向における光源471のランプの点灯範囲と対応している。
【0079】
光源制御部50は、“Y”の文字で示される光源471の点灯タイミングの到来時に、長方形の横方向の長さにより示される区間と対応する位置にある光源471のランプを、点灯させる制御を行う。このような制御が行われることにより、画像読取部47の光源471がアレイ型の光源で構成される場合における、主走査方向における光源471のランプにおいても、適切な位置における点灯又は消灯が実施されるようになる。
【0080】
[光源制御部による制御例3]
次に、
図9を参照して、光源制御部50の制御例3による制御について説明する。
図9は、光源制御部50の制御例3による制御の例を示す図である。制御例3では、光源制御部50は、用紙Sh上に複数の調整画像が形成される場合であって、複数の調整画像間の副走査方向における距離が、予め定められた所定の閾値距離以下である場合、調整画像同士の隙間の区間においても、光源471をOFFさせない制御を行う。
【0081】
図9には、用紙Shの上側に配置された2つのトンボ(第1の調整画像の一例)の各下端から、その下に配置されたパッチ群(第2の調整画像の一例)の上端までの間の距離Lが、予め定められた閾値距離Lth以下である例を示す。この場合、光源制御部50は、トンボの下端からその下に配置されたパッチ群の上端までの間の区間においても、光源471を消灯せずに、点灯を継続する。このような制御が行われることにより、短い区間内において光源471が消灯及び点灯する動作が行われなくなるため、センサ472が調整画像を安定的に読み取れるようになる。
【0082】
[光源制御部による制御例4]
次に、
図10を参照して、光源制御部50の制御例4による制御について説明する。
図10は、光源制御部50の制御例4による制御の例を示す図である。制御例4では、光源制御部50は、調整画像情報161に示される調整画像の区分が、光源安定化を要する区分である場合、光源安定化に要する時間分だけ前倒しして、光源471を点灯させる制御を行う。
【0083】
図10には、センサ472による読み取り方向(副走査方向)における、パッチ群の先端及び後端の位置を、一点鎖線で示す。用紙Shの上側に配置されたトンボのY方向のサイズ“B”と対応する区間においては、光源点灯パターンにおける点灯区間も、“B”の区間と対応している。一方、その下に形成されているパッチ群に対する光源点灯パターンにおいては、センサ472の読み取り方向におけるパッチ群の先端位置(用紙Shの先端から“e”だけ進んだ位置)よりも、図中において“t”で示す区間分早く光源471を点灯することが指示されている。この“t”は、光源471の安定化に必要な時間である。パッチ群(を構成する各パッチ)の区分(
図3に示す調整画像情報161の「Obj Type」)が、光源安定化を要する「調整マーク」であるためである。
【0084】
このような制御が行われることにより、色や濃度の調整に使用される調整マーク(パッチ)の読み取り前に、光源安定化に必要な分だけ前倒しで光源471が点灯されるため、光源471の光が安定した状態で、センサ472にパッチを読み取らせることができる。
【0085】
[光源制御部による制御例5]
次に、
図11~
図13を参照して、光源制御部50の制御例5による制御について説明する。
図11は、センサ472による読み取りが不要な情報を含む調整画像が印字された用紙Shの例を示す図である。
図12は、センサ472による読み取りが不要な情報を含む調整画像の調整画像情報161の例を示す図である。
図13は、光源制御部50が制御例5の制御を実施する際に用いる光源点灯パターンの例を示す図である。制御例5においては、光源制御部50は、用紙Shにおけるセンサ472による読み取りを必要としない調整画像の形成位置においては、光源471を消灯させる制御を行う。
【0086】
図11には、用紙Shの上から順に、2つのトンボ、パッチ群、調整画像の題名(名称)及びページ番号の4つの調整画像が形成された例を示す。そして、これらの調整画像のうち、用紙Shの下から2番目に「調整11番チャート」と記載された調整画像の題名と、一番下に「P1」と記載されたページ番号とは、画像読取部47のセンサ472が読み取る必要がない情報である。
【0087】
次に、
図12を参照して、これらの読み取りが必要とされない各調整画像の情報を含む調整画像情報161について説明する。
図12に示す調整画像情報161の「No」の“25”には、「Obj Type」が“題名”であり、「形状」は“11番”であり、「X座標」は“m”であり、「Y座標」は“n”であり、「Xサイズ」は“E”であり、「Yサイズ」は“F”であり、カラー及び階調は“C:0,M:0,Y:0,K:255”である調整画像の情報が記載されている。また、「No」の“26”には、「Obj Type」が“ページ”であり、「形状」は“P1”であり、「X座標」は“o”であり、「Y座標」は“p”であり、「Xサイズ」は“G”であり、「Yサイズ」は“H”であり、カラー及び階調は“C:0,M:0,Y:0,K:255”である調整画像の情報が記載されている。
【0088】
「No」の“25”及び“26”のように、「Obj Type」が「題名」や「ページ」などである場合、光源制御部50は、用紙Shにおけるこれらの調整画像の形成箇所においては、光源471を消灯する光源点灯パターンを生成する。
【0089】
次に、
図13を参照して、光源制御部50が制御例5の制御を実施する際に用いる光源点灯パターンの例について説明する。図の右側に記載した光源点灯パターンには、用紙Shの上側に配置された2つのトンボ、及び、その下に配置されたパッチ群の形成箇所においては、光源471が点灯されることが示されている。また、パッチ群の下に配置された「調整11番チャート」の文字、及び、その下の「P11」の文字の形成箇所においては、光源471が消灯されることが示されている。このような光源点灯パターンに基づいて、光源制御部50が光源471を点灯又は消灯することにより、センサ472による読み取りが不要な情報の形成箇所においては光源471が点灯しないため、光源471の点灯時間を節減することができ、その分、光源471の寿命を延ばすことができる。
【0090】
[画像形成装置による画像読取制御方法]
次に、
図14を参照して、画像形成装置1による画像読取制御方法について説明する。
図14は、画像形成装置1による画像読取制御方法の手順の例を示すフローチャートである。
図14には、光源制御部50が制御例2の制御を行う場合における処理手順の例を示す。
【0091】
まず、調整画像データ生成部30は、調整画像情報161に基づいて調整画像データを生成し、画像形成部40は、用紙Shに調整画像を形成する(ステップS1)。次いで、調整画像情報161に基づいて、光源制御部50が光源点灯パターンを生成する(ステップS2)。なお、光源制御部50による光源点灯パターンの生成は、ステップS1の処理の前に行われてもよい。
【0092】
次いで、光源制御部50は、センサ472による調整画像の読み取り時に、ステップS2で生成した光源点灯パターンに基づいて、光源471を点灯又は消灯させる(ステップS3)。次いで、画像検査部60は、画像読取部47(のセンサ472)で読み取られた読取画像を検査する(ステップS4)。
【0093】
上述した第1の実施形態では、光源制御部50は、用紙Sh上の調整画像の位置に関する情報を少なくとも含む調整画像情報161に基づいて、光源471の点灯区間を規定する光源点灯パターンを生成し、該光源点灯パターンに基づいて、光源471を点灯又は消灯させる。それゆえ、本実施形態によれば、センサ472による読み取りが必要な箇所(調整画像の形成されている箇所)においてのみ、光源471を点灯させることができるため、このような制御が行われない場合と比較して、光源471のランプの寿命をより長くすることができる。
【0094】
また、上述の実施形態では、光源制御部50が、用紙Shの表裏調整のための画像検査の実施時において、用紙Shの先端又は後端の検知時に光源471をON(点灯)させ、用紙Sh先端又は後端のエッジの検知に必要な時間として予め定められた所定の時間が経過後に、光源471をOFF(消灯)する制御(制御例1)を行う。これにより、用紙Shの表裏調整のために必要な用紙Shのエッジの検出処理の実行時にも、光源471が点灯されるため、用紙Shのエッジの検出処理を正確に行うことが可能となる。かつ、光源471の点灯時間を必要最小限の時間に留めることが可能となるため、光源471のランプの寿命を長くすることが可能となる。
【0095】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る画像処理装置、画像読取制御方法及びプログラムについて、図面を参照して説明する。本実施形態においても、画像処理装置を画像形成装置に適用する例を挙げる。画像形成装置の構成及び制御系の構成は、第1の実施形態に係る画像形成装置1(
図1、
図2参照)と同一であるため、ここではこれらの説明は省略する。
【0096】
本実施形態では、調整画像データ生成部30は、用紙Shの搬送方向(副走査方向)における調整画像の長さを短くすることが可能なレイアウトで調整画像を用紙Sh上に配置した、調整画像データを生成する。
図15は、調整画像の用紙搬送方向における長さを短くすることが可能なレイアウトで調整画像が形成された用紙Shの例を示す図である。
【0097】
図15に示す例では、「K:255」、「K:192」、「K128」、「K64」及び「K16」の、階調の異なる5つのパッチよりなるパッチ群が、用紙幅方向に2つ、及び、用紙搬送方向に2つ(計4つ)配置されている。調整画像データ生成部30がこのような配置を可能とする調整画像データを生成することにより、画像形成部40によって用紙Shに形成される調整画像の用紙搬送方向における長さを、例えば、
図4等に示される調整画像等の配置と比較して、より短くすることができる。これにより、用紙Shの搬送方向に対応する方向(センサ472の読み取り方向)における、光源471の点灯区間を短くすることができるため、その分、光源471のランプの寿命をより長くすることができる。
【0098】
また、第2の実施形態において、給紙トレイ11(
図1参照)に複数のサイズの用紙Shが格納されている場合、制御部10(
図2参照)が、用紙幅が最も広い用紙を選択し、調整画像データ生成部30は、用紙Shの搬送方向におけるにおける調整画像の長さを最も短くすることが可能なレイアウトで調整画像を用紙上に配置した、調整画像情報161を生成してもよい。このような制御が行われることにより、用紙Shの種類によっては、調整画像の用紙搬送方向における長さをより短くすることが可能となるため、光源471のランプの寿命をより長くすることが可能となる。
【0099】
また、第2の実施形態において、光源471がアレイ型のランプで構成される場合には、調整画像データ生成部30が、用紙Sh上に形成される調整画像の位置を毎回異ならせた調整画像データを生成し、光源制御部50が、調整データに基づく調整画像の形成箇所においてのみ光源471を点灯させる光源点灯パターンを生成してもよい。
【0100】
図16は、用紙Shにおける調整画像の形成位置が固定された場合における、主走査方向での光源471のランプの点灯範囲の例を示す図である。
図16に示すように、用紙Shにおける調整画像(パッチ群)の形成位置が、用紙幅方向における中央部分である場合、光源471のランプの主走査方向における点灯幅は、すなわち、用紙Shに形成されたパッチ群の用紙幅方向における幅と一致する。このとき、用紙Shにおけるパッチ群の形成位置が固定されていると、主走査方向における光源471のランプの点灯位置も、毎回同じ位置となってしまう。すなわち、その部分におけるランプの消費が、他の部分におけるそれよりも進んでしまう。
【0101】
したがって、パッチ画像の用紙幅方向における形成位置を、画像検査が行われる毎に(調整画像が形成される用紙Shが変わる毎に)異ならせることを可能とする調整画像データを、調整画像データ生成部30が生成し、光源制御部50が、調整画像データに基づく調整画像の形成箇所のみにおいて光源471を点灯させる光源点灯パターンを生成する。
【0102】
図17~
図19は、調整画像の形成位置を前回の画像検査の実施時とは異ならせた場合における調整画像の形成例及び主走査方向における光源471のランプの点灯範囲の例を示す図である。
【0103】
図17には、1回目の画像検査の実施時における調整画像の形成位置の例を示し、
図18には、2回目の画像検査の実施時における調整画像の形成位置の例を示し、
図19には、3回目の画像検査の実施時における調整画像の形成位置の例を示す。
【0104】
1回目の画像検査の実施時において、
図17に示すように用紙Shの左側の位置にパッチ群を配置した場合、2回目の画像検査の実施時においては、調整画像データ生成部30は、パッチ群の形成位置が1回目におけるそれと重ならないように、調整画像の形成位置を調整する。具体的には、調整画像データ生成部30は、
図18に示すように、用紙Shにおける調整画像の形成位置を、用紙Shの右側に変更する。
【0105】
そして、3回目の画像検査の実施時には、調整画像データ生成部30は、1回目と2回目とで主走査方向における調整画像の形成位置が重なる部分、すなわち、光源471のランプが2回とも発光した領域には、調整画像を配置しない。具体的には、調整画像データ生成部30は、
図19に示すように、光源471のランプが2回とも発光した領域は避けて、用紙Shの左端と右端とに分散させて、調整画像を配置した調整画像データを生成する。
【0106】
このような制御が行われることにより、主走査方向における光源471のランプの発光位置を均一化できるため、主走査方向に並ぶ光源471のすべてのランプの寿命を均一に延ばすことが可能となる。
【0107】
<各種変形例>
なお、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。例えば、次のような各種変形例も本発明に含まれる。
【0108】
例えば、上述した各実施形態では、本発明の画像処理装置を画像形成装置1に適用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、画像読取部と画像検査部とを備えた画像検査装置に、本発明の画像処理装置を適用してもよい。
【0109】
また、上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。上述した実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。また、
図2中に実線で示した制御線又は情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1…画像形成装置、2…画像検査装置、10…制御部、20…調整画像情報生成部、30…調整画像データ生成部、40…画像形成部、47…画像読取部、50…光源制御部、60…画像検査部、161…調整画像情報、471…光源、472…センサ