(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 8/00 20060101AFI20240607BHJP
F21S 9/02 20060101ALI20240607BHJP
F21V 3/00 20150101ALI20240607BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20240607BHJP
F21V 3/06 20180101ALI20240607BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240607BHJP
F21W 111/027 20060101ALN20240607BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240607BHJP
【FI】
F21S8/00 100
F21S9/02 110
F21V3/00 330
F21V3/02 400
F21V3/06 110
F21V23/00 115
F21W111:027
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019179576
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片野田 寛治
(72)【発明者】
【氏名】辻 裕也
(72)【発明者】
【氏名】中村 恭平
(72)【発明者】
【氏名】橋本 智成
(72)【発明者】
【氏名】河野 誠
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-112745(JP,A)
【文献】特開2012-034237(JP,A)
【文献】特開2014-020846(JP,A)
【文献】特開2011-243463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/00
F21S 9/02
F21V 3/00
F21V 3/02
F21V 3/06
F21V 23/00
F21W 111/027
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と、
前記器具本体の前面に配置される光源と、
前記器具本体の前面に配置され、電波を媒体として周囲の状況を検出するセンサ装置と、
前記器具本体の前方から見て前記器具本体の前記前面を覆うカバーと、
を備え、
前記センサ装置は、前記カバーを通して前記電波を送受信し、
前記カバーは、前記電波を透過する材料で形成されており、
前記電波が透過する方向に沿った前記カバーの厚みは、少なくとも前記電波の周波数及び前記材料の比誘電率を含むパラメータに基づいて算出した値を含む範囲内の値に設定されており、
前記範囲は、前記カバーを透過する際の前記電波の波長の8分の3以上、かつ、前記波長の8分の5以下の範囲
内において前記電波の波長の2分の1を除いた範囲である、
照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明器具に関し、より詳細には、周囲の状況に応じて光源の点灯制御を行う照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として特許文献1記載の照明器具を例示する。特許文献1記載の照明器具(以下、従来例という。)は、光源と、人などの移動体を検知する電波センサと、電波センサから入力される検知信号に応じて光源を点灯・消灯する制御ユニットとを備える。従来例は、さらに、光源、電波センサ及び制御ユニットを保持する器具本体と、器具本体の前面に配置されている光源及び電波センサを覆うように器具本体に取り付けられたカバーとを備える。光源は、左右方向に長い平板状のLED(Light Emitting Diode)モジュールである。
【0003】
従来例は、光源とともに電波センサをカバーで覆うことにより、電波センサが露出する場合に比べて、外観上の見栄えをよくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来例の構成では、電波センサ(センサ装置)の検出感度の低下を抑制するため、移動体に反射した電波が、カバーの表面で反射する電波によって弱められにくくする必要があった。
【0006】
本開示の目的は、外観上の見栄えの向上を図りつつセンサ装置の検出感度の低下を抑制することができる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る照明器具は、器具本体と、前記器具本体の前面に配置される光源と、前記器具本体の前面に配置され、電波を媒体として周囲の状況を検出するセンサ装置とを備える。前記照明器具は、前記器具本体の前方から見て前記器具本体の前記前面を覆うカバーを備える。前記センサ装置は、前記カバーを通して前記電波を送受信する。前記カバーは、前記電波を透過する材料で形成されている。前記電波が透過する方向に沿った前記カバーの厚みは、少なくとも前記電波の周波数及び前記材料の比誘電率を含むパラメータに基づいて算出した値を含む範囲内の値に設定されている。前記範囲は、前記カバーを透過する際の前記電波の波長の8分の3以上、かつ、前記波長の8分の5以下の範囲内において前記電波の波長の2分の1を除いた範囲である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の照明器具は、外観上の見栄えの向上を図りつつセンサ装置の検出感度の低下を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、本開示の実施形態に係る照明器具の前面図である。
図1Bは、同上の照明器具の下面図である。
図1Cは、同上の照明器具の左側面図である。
【
図2】
図2は、同上の照明器具の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の照明器具の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の照明器具における常用光源ユニットの前面図である。
【
図5】
図5は、同上の常用光源ユニットの上面図である。
【
図6】
図6は、同上の常用光源ユニットの下面図である。
【
図7】
図7は、同上の常用光源ユニットの後面図である。
【
図8】
図8は、同上の常用光源ユニットの一部省略した前面図である。
【
図10】
図10は、同上の照明器具におけるカバー本体の厚みとカバー本体を形成する材料の比誘電率との関係図である。
【
図11】
図11は、同上の照明器具におけるカバーエンドの斜視図である。
【
図12】
図12は、同上の照明器具における非常用光源ユニットの分解斜視図である。
【
図13】
図13は、同上の非常用光源ユニットの下面図である。
【
図14】
図14は、同上の非常用光源ユニットの前面図である。
【
図15】
図15は、同上の非常用光源ユニットの上面図である。
【
図16】
図16は、同上の非常用光源ユニットの後面図である。
【
図17】
図17は、同上の非常用光源ユニットの一部省略した右側面図である。
【
図18】
図18は、同上の非常用光源ユニットの左側面図である。
【
図19】
図19は、同上の非常用光源ユニットの右側面図である。
【
図20】
図20は、同上の非常用光源ユニットの断面図である。
【
図21】
図21は、同上の非常用光源ユニットにおける要部の斜視図である。
【
図22】
図22は、同上の非常用光源ユニットにおける要部の断面図である。
【
図23】
図23は、同上の照明器具の一部を破断した側面図である。
【
図25】
図25Aは、同上の照明器具の第2器具本体を外した状態の上面図である。
図25Bは、同上の照明器具の第2器具本体を外した状態の右側面図である。
【
図26】
図26Aは、同上の照明器具の第2器具本体を外し、かつ、常用照明ユニットを第1器具本体に対して回転させた状態の上面図である。
図26Bは、同上の照明器具の第2器具本体を外し、かつ常用照明ユニットを第1器具本体に対して回転させた状態の右側面図である。
【
図27】
図27Aは、同上の照明器具の第2器具本体を外した状態の上面図である。
図27Bは、同上の照明器具の第2器具本体を外した状態の右側面図である。
【
図28】
図28は、同上の照明器具の一部省略した断面図である。
【
図29】
図29は、同上の照明器具の一部省略した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る照明器具について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
本開示の実施形態に係る照明器具(以下、照明器具と略す。)X1は、例えば、建物の避難経路となる階段の踊り場の壁に設置される、いわゆる階段通路誘導灯である。ただし、本開示の実施形態に係る照明器具は階段通路誘導灯に限定されない。以下の説明では、特に断りのない限り、
図2に矢印で示す向きにおいて照明器具X1の前後、上下、左右の各方向を規定する。すなわち、鉛直方向を照明器具X1の上下方向とし、壁の法線方向を照明器具の前後方向とし、壁に正対したときの左右方向を照明器具X1の左右方向とする。
【0012】
照明器具X1は、
図1-
図3に示すように、器具本体1及び常用照明ユニット9を備える。常用照明ユニット9は、カバー2、常用光源ユニット3及びセンサ装置5を備える。以下、それぞれの構成要素について詳細に説明する。
【0013】
[1.常用光源ユニット3]
常用光源ユニット3は、二つの第1LEDモジュール30、二つのレンズブロック31、取付板32及び常用点灯装置33を有する(
図2、
図4-
図8参照)。
【0014】
[1-1.第1LEDモジュール30]
二つの第1LEDモジュール30はそれぞれ、長尺の長方形状に形成されている基板300と、基板300の表面(前面)に実装されている複数のLED301とを有する(
図8参照)。基板300の長手方向の第1端部3001には、四つのLED301A、301B、301C及び301Dがマトリクス状に並べて実装されている(
図4及び
図8参照)。また、基板300の長手方向の第2端部3002には、四つのLED301がマトリクス状に並べて実装されている。そして、基板300の第1端部3001及び第2端部3002を除く部分には、残りの複数のLED301が一定の間隔を空けて一列に並ぶように実装されている。
【0015】
[1-2.レンズブロック31]
二つのレンズブロック31はそれぞれ、
図4-
図7に示すように、ベース部310と、第1レンズ312と、第2レンズ313と、第3レンズ314とを有している。ベース部310は、長尺の長方形状に形成されている。第1レンズ312は、ベース部310の長手方向の第1端(取付部320の長手方向の中央に近い方の端)に設けられている。第2レンズ313は、ベース部310の長手方向の第2端(取付部320の長手方向の両端)に設けられている。第3レンズ314は、ベース部310の第1端と第2端の間に設けられている。
【0016】
第1レンズ312及び第2レンズ313は、おおむね非球面平凸レンズとして構成されている。また、第3レンズ314は、おおむね非球面シリンドリカルレンズとして構成されている。第3レンズ314は、入射した光を幅方向(上下方向)に広げるような配光特性を有している。一方、第1レンズ312及び第2レンズ313は、入射した光を幅方向(上下方向)だけでなく長さ方向(左右方向)に広げるような配光特性を有している。
【0017】
ベース部310、第1レンズ312、第2レンズ313及び第3レンズ314は、ポリカーボネート樹脂などの透光性を有する合成樹脂によって一体に形成されている。ここで、ベース部310の第1端には円形のねじ挿通孔が複数(二つ)設けられている。また、ベース部310の第1端を除く部分において、ベース部310の短手方向(上下方向)の両端のそれぞれに長円形のねじ挿通孔3102が複数設けられている(
図4及び
図8参照)。
【0018】
[1-3.取付板32]
取付板32は、二つの第1LEDモジュール30が取り付けられる取付部320と、カバー2が固定される一対の固定片321と、器具本体1に取り付けるための一対の取付片324とを有する(
図4-
図8参照)。
【0019】
取付部320は、長方形の平板状に形成されている。取付部320の長手方向の中央に、四角形状の窓孔322が設けられている(
図4参照)。窓孔322は、取付部320を厚み方向(前後方向)に貫通している。
【0020】
一対の固定片321はそれぞれ、長方形の平板状に形成されている。各固定片321は、取付部320の上端縁と下端縁から一つずつ後方に向かって突出している(
図5-
図7及び
図9参照)。各固定片321の長手方向(左右方向)の中央及び両端のそれぞれにねじ孔323が一つずつ設けられている(
図5-
図6参照)。なお、取付部320と一対の固定片321は、一枚の金属板が打ち抜き加工及び曲げ加工されることによって一体に形成されている。
【0021】
一対の取付片324はそれぞれ、取付部320の長手方向の第1端及び第2端から後方に突出している(
図2、
図5-
図6参照)。各取付片324は、長方形状の溝3240と、二つのねじ穴3241を有している(
図2参照)。また、各取付片324の後端部分は、上下方向から見てL字状に曲げられている(
図5-
図6参照)。さらに、各取付片324のL字状に曲げられた部分の先端(後端)にはねじ孔が設けられている。そして、このねじ孔にねじ325がねじ込まれている。ねじ325の先端は、取付部320の長手方向に沿って取付片324の外側(取付部320の窓孔322から離れる側)に飛び出している。なお、一対の取付片324はそれぞれ、取付部320と別体に形成されて取付部320にねじ止めされている。ただし、一対の取付片324はそれぞれ、取付部320と一体に形成されても構わない。
【0022】
[1-4.常用点灯装置33]
常用点灯装置33は、系統電源などの常用電源PS(
図24参照)から供給される交流電力を直流電力に電力変換し、当該直流電力を第1LEDモジュール30に供給して第1LEDモジュール30を点灯させるように構成される。常用点灯装置33は、金属製のケース330を有する(
図5-
図7参照)。ケース330にはプリント回路が収容されている。プリント回路は、電力変換を行う電力変換回路、第1LEDモジュール30に供給する直流電流を定電流化する定電流回路などを構成している。
【0023】
[1-5.常用光源ユニット3の組立て]
二つの第1LEDモジュール30及び二つのレンズブロック31はそれぞれ、取付板32の取付部320の前面に取り付けられる。レンズブロック31のベース部310に設けられた複数のねじ挿通孔3102にそれぞれ固定ねじ315が1本ずつ挿通される(
図4及び
図8参照)。これら複数本の固定ねじ315のそれぞれが、ベース部310に設けられている複数のねじ孔に一本ずつねじ込まれることにより、レンズブロック31が取付部320に固定される。一方、第1LEDモジュール30は、レンズブロック31が取付部320に固定される際、取付部320とレンズブロック31のベース部310に挟まれることで取付部320に取り付けられる(
図8参照)。
【0024】
ここで、基板300の第1端部3001に実装されている四つのLED301A、301B、301C及び301Dは、前方から見て、レンズブロック31の第1レンズ312と重なっている(
図8参照)。また、基板300の第2端部3002に実装されている四つのLED301は、前方から見て、レンズブロック31の第2レンズ313と重なっている(
図8参照)。さらに、基板300の第1端部3001及び第2端部3002を除く部分に実装されている残りの複数のLED301は、前方から見て、レンズブロック31の第3レンズ314と重なっている(
図4及び
図8参照)。つまり、基板300の第1端部3001に実装されている四つのLED301A-301Dから放射される照明光の配光特性は、第1レンズ312によって制御される。また、基板300の第2端部3002に実装されている四つのLED301から放射される照明光の配光特性は、第2レンズ313によって制御される。さらに、基板300の第1端部3001及び第2端部3002を除く部分に実装されている残りの複数のLED301から放射される照明光の配光特性は、第3レンズ314によって制御される。
【0025】
[2.センサ装置5]
センサ装置5は、周囲の状況として人の存在を検出する。例えば、センサ装置5は、ドップラー効果を利用した電波式センサである。センサ装置5は、送信アンテナからマイクロ波帯(24GHz帯)の無変調連続波の電波(送信波)を送信し、物体に反射した電波(反射波)を受信アンテナで受信する。送信波が移動体で反射した場合、ドップラー効果によって送信波と反射波の間に移動体の移動速度に応じた周波数差が生じる。センサ装置5は、前記周波数差に基づいて移動体(主に階段を昇降する人であるが、人によって開閉される階段室の扉も含まれる。)の存在を検出する。センサ装置5は、移動体の存在を検出しているとき、後述する制御装置60に対して検出信号を出力する。ただし、センサ装置5は、周波数変調された送信波を送信アンテナから送信させ、受信アンテナで受信する受信波と送信波を乗算して位相検波することにより、送信波を反射した物体までの距離を測距して人の存在を検出してもよい。
【0026】
センサ装置5は、送信アンテナ、受信アンテナ及び信号処理回路を含むセンサ回路と、センサ回路を収容する外郭50とを有する(
図4-
図6及び
図9参照)。センサ回路は、送信アンテナ、受信アンテナ及び信号処理回路が1枚のプリント配線板に実装されたプリント回路で構成される。外郭50は、例えばポリスチレン(polystyrene)、ポリプロピレン(polypropylene)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)等の合成樹脂材料によって直方体状に形成されている。センサ回路は、送信アンテナ及び受信アンテナを外郭50の前面501(
図4参照)に対向させるように外郭50内に収容されている。つまり、送信アンテナから送信される電波は、外郭50の前面501を通して放射される。同様に、物体に反射した電波(反射波)は、外郭50の前面501を通して受信アンテナに受信される。
【0027】
センサ装置5は、取付台52を介して常用光源ユニット3の取付板32に取り付けられる(
図5-
図7及び
図9参照)。取付台52は、前面が開放された箱体521と、箱体521の左側面及び右側面から突出する一対の固定突片522とを有する。箱体521の底壁に一対の孔5210が貫通している(
図5及び
図7参照)。センサ装置5の外郭50は、外郭50の後端から後方に突出する一対の引掛片523を備えている。
【0028】
しかして、センサ装置5は、外郭50の一対の引掛片523を取付台52の底壁の一対の孔に一つずつ挿通し、底壁における孔の縁に引掛片523を引っ掛けることにより、取付台52の底壁に取り付けられる(
図5、
図7及び
図9参照)。
【0029】
取付台52は、一対の固定突片522を取付板32の取付部320にねじ止めすることで取付板32に取り付けられる(
図7参照)。なお、一対の固定突片522はそれぞれ、取付部320の後面における窓孔322の左右両隣にねじ止めされる。したがって、取付台52に取り付けられたセンサ装置5は、外郭50の前端部分を取付板32の窓孔322を通して取付部320の前方へ突出させる(
図2、
図4及び
図9参照)。その結果、センサ装置5は、金属製の取付板32に遮られることなく、電波を送受信することができる。また、センサ装置5の前面(外郭50の前面501)は、壁面の法線方向(水平方向)に対して傾き角θだけ下方に傾くように取付部320に取り付けられる(
図9参照)。なお、この傾き角θは、例えば、23°から24°程度が好ましい。
【0030】
[3.カバー2]
カバー2は、カバー本体20と一対のカバーエンド22を有する(
図2及び
図3参照)。カバー本体20は、前壁200、上側壁201及び下側壁202を有して後面及び左右の両側面が開口した長尺の角とい状に形成されている。前壁200は、左右方向を長手方向とする長尺の長方形状に形成されている。上側壁201は、長尺の長方形状に形成されて前壁200の長手方向に沿った上端から後方に突出している。下側壁202は、長尺の長方形状に形成されて前壁200の長手方向に沿った下端から後方に突出している。カバー本体20は、透光性を有する合成樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylate:PMMA)などの成形体で構成されている。
【0031】
カバー本体20の上側壁201の後端及び下側壁202の後端のそれぞれに、長穴状のねじ挿通穴205が三つずつ設けられている(
図2参照)。これらのねじ挿通穴205のそれぞれに取付ねじ23が一本ずつ挿通される。そして、一対の固定片321のそれぞれに設けられている複数のねじ穴3210に取付ねじ23が一本ずつねじ込まれることにより、カバー本体20が取付板32に取り付けられる(
図3参照)。カバー本体20が取付板32に取り付けられた状態では、カバー本体20の後面が取付板32によって塞がれる。
【0032】
一対のカバーエンド22はそれぞれ、同一の形状及び寸法に形成されている。カバーエンド22は、
図11に示すように、カバーエンド本体220、側壁221、第1引掛部222及び第2引掛部223を有する。なお、カバーエンド本体220、側壁221、第1引掛部222及び第2引掛部223は、例えば、90%以上の光反射率を有する合成樹脂の成形体として一体に形成されることが好ましい。
【0033】
カバーエンド本体220は、長方形の平板状に形成されている。側壁221は、カバーエンド本体220の二つの長辺(上端と下端)及び一つの短辺(前端)から側方に突出している。
【0034】
第1引掛部222は、横片2220と縦片2221を有する。横片2220及び縦片2221はそれぞれ、長手方向の長さが互いに等しい矩形の平板状に形成されている。横片2220は、カバーエンド本体220の内底面における中央から上端及び下端の側壁221と平行するように突出している。縦片2221は、横片2220の先端から横片2220の上下両側に突出している。しかして、第1引掛部222は、カバーエンド本体220の長手方向(前後方向)から見て、丁字状に形成されている。
【0035】
一対の第2引掛部223はそれぞれ、長尺の台形状に形成されている。一対の第2引掛部223は、第1引掛部222を挟んで互いに対向するようにカバーエンド本体220の内底面から突出している。各第1引掛部222は、カバーエンド本体220の後端から前端に向かって、カバーエンド本体220の内底面からの突出量を徐々に増やすように傾斜する傾斜部2230を有する。また、各第1引掛部222における傾斜部2230の前方に、半円形状の凹部2231を有する。さらに、各第1引掛部222の前端部分には、カバーエンド本体220の厚み方向(左右方向)に突出する突部2232が設けられている。
【0036】
これら一対のカバーエンド22は、後述するように器具本体1に着脱可能に取り付けられてカバー本体20の左右両側面を塞ぐように構成されている(
図1C参照)。そして、二つの第1LEDモジュール30から放射される照明光は、カバー本体20を透過して空間(階段室の踊り場及び階段など)に照射される。ただし、二つの第1LEDモジュール30から放射される照明光の一部は、一対のカバーエンド22に反射した後、カバー本体20を透過して空間に照射される。
【0037】
[4.器具本体1]
器具本体1は、
図2に示すように、第1器具本体16と第2器具本体17を有する。第2器具本体17は、第1器具本体16に対して着脱可能に結合される。そして、第1器具本体16と第2器具本体17が結合されることによって、前面が開口した長尺箱状の器具本体1が構成される。
【0038】
[4-1.第1器具本体16]
第1器具本体16は、背板160、底板161及び一対の支持板162を有している(
図2参照)。ただし、背板160、底板161及び一対の支持板162は、一枚の金属板が曲げ加工されることで一体に形成されている。背板160と底板161はそれぞれ、互いに長さの等しい長尺の矩形平板状に形成されている。底板161は、背板160の長手方向に沿った一端(下端)から前方へ突出している。また、背板160の長手方向に沿った他端(上端)から前方へ補強片1610が突出している。ただし、補強片1610の長さは、背板160の長さよりも短くされている。つまり、背板160の上端における左側の端部には補強片1610が設けられていない(
図2参照)。
【0039】
各支持板162は、矩形の平板状に形成されている。各支持板162は、第1溝1621、第2溝1622及び第3溝1623を有している(
図2参照)。第1溝1621は、各支持板162の上端から上下方向のほぼ中央に至る直線状に形成されている。第2溝1622は、第1溝1621の下端から後方に延びる直線状に形成されている。第3溝1623は、第1溝1621の下端から斜め上前方に延びる直線状に形成されている。また、各支持板162における第1溝1621、第2溝1622及び第3溝1623の下方に円形のねじ挿通穴1624が貫通している。
【0040】
背板160は、
図2に示すように、二つの丸孔1600と、四つの長穴1601が設けられている。二つの丸孔1600には、常用電源から常用電力が供給される電源線、及び建物に設置されている自動火災報知設備から自火報連動信号を受信するための信号線が挿通される。また、四つの長穴1601のうちの少なくとも左右両側の二つの長穴1601にアンカーボルトが挿通される。アンカーボルトは、階段室の踊り場の壁(コンクリート壁)に埋め込まれている。長穴1601に挿通されたアンカーボルトにナットが締め付けられることにより、第1器具本体16が壁に固定される。
【0041】
また、背板160の前面に固定部材163が取り付けられる(
図2参照)。固定部材163は、矩形平板状の第1固定板1631と、第1固定板1631の長手方向に沿った一端(上端)から前方へ突出する平板状の第2固定板1632とを有する。
【0042】
第1固定板1631は、背板160に固定される。また、第1固定板1631の前面の右端に複数の端子台14、15が取り付けられる。さらに、第1固定板1631の前面の左端にスイッチブロック8が取り付けられる。第2固定板1632の下面に回路ブロック6が取り付けられる。なお、第1器具本体16の左端に非常用電源7が収められる。ただし、回路ブロック6、非常用電源7及びスイッチブロック8については後述する。
【0043】
底板161の長手方向の中央に第1窓1611が設けられ、底板161の左端に第2窓1612が設けられている(
図1B参照)。第1窓1611及び第2窓1612はそれぞれ、長手方向を底板161の長手方向(左右方向)に一致させた長尺の角穴状に形成されている(
図1B参照)。
【0044】
[4-2.第2器具本体17]
第2器具本体17は、天板170と、一対の側板171と、天板170と一対の側板171を連結する連結板172とを有している(
図2-
図3参照)。ただし、天板170と一対の側板171と連結板172は、一枚の金属板が曲げ加工されることで一体に形成されている。
【0045】
天板170は、長尺の矩形平板状に形成されている。連結板172は、逆U字状に形成されている。連結板172は、天板170の長手方向に沿った後端から下向きに突出している。
【0046】
一対の側板171はそれぞれ、四角形状に形成されている。一対の側板171は、連結板172の長手方向の両端(左端及び右端)から前方に突出している。各側板171は、縦溝1711、横溝1712、一対の突起1713及びねじ挿通穴1714を有している(
図2-
図3参照)。縦溝1711は、各側板171の下端から上下方向の中央まで直線状に延びている。横溝1712は、各側板171の前端から前後方向の中央まで直線状に延びている。一対の突起1713はそれぞれ、半円筒状に形成されている。一対の突起1713は、側板171の外側の側面における中央部において、上下方向と平行し、かつ、直線上に並ぶように各側板171と一体に形成されている。ねじ挿通穴1714は、縦溝1711と下側の突起1713の間の位置に設けられている。
【0047】
[5.非常用光源ユニット4]
非常用光源ユニット4は、
図12-
図17に示すように、二つの第2LEDモジュール40、二つの導光体43、二つの放熱板44、パネル46、ホルダ47、取付枠48を有している。
【0048】
[5-1.第2LEDモジュール40]
二つの第2LEDモジュール40はそれぞれ、チップ・オン・ボード(Chip on Board)型の照明用白色LEDである。二つの第2LEDモジュール40はそれぞれ、ホルダ47に支持される。
【0049】
[5-2.放熱板44]
二つの放熱板44は、熱の良導体である金属材料(例えば、アルミ又はアルミ合金)によって、互いに同一の形状及び寸法に形成されている。各放熱板44は、平板状の第1固定片441と、第1固定片441の下端から階段状に突出する第2固定片442とを有している(
図12参照)。第1固定片441は、角穴からなる三つの引掛穴443と、丸孔からなる三つの位置決め穴444とを有している。三つの引掛穴443は、第1固定片441の上部において前後方向に直線状に並ぶように第1固定片441を厚み方向(左右方向)に貫通している。三つの位置決め穴444は、第1固定片441の引掛穴443から下側の部位において三角形の頂点に位置するように第1固定片441を厚み方向に貫通している。なお、第2固定片442の先端部分には、二つのねじ挿通穴4420が貫通している。
【0050】
[5-3.導光体43]
一対の導光体43はそれぞれ、石英ガラス又はケイ酸塩ガラスなどの無機ガラスによって角すい台状に形成されている。なお、各導光体43の斜面(上面)には、複数の溝が各導光体43の軸方向(長手方向)に沿って等間隔に並ぶように形成されることが好ましい。なお、各導光体43は、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂などの透光性を有する合成樹脂材料で形成されても構わない。
【0051】
[5-4.パネル46]
パネル46は、透光性を有する不燃材料、例えば、石英ガラス又はケイ酸塩ガラスなどの無機ガラスによって長方形の平板状に形成されている(
図12参照)。なお、パネル46の下面における周縁にシール部材460が密着される。
【0052】
[5-5 ホルダ47]
ホルダ47は、二つのLED支持部470、導光体支持部471、パネル収容部472、第1反射部473及び第2反射部474を有している。
【0053】
[5-5-1 LED支持部470]
二つのLED支持部470はそれぞれ、第2LEDモジュール40を一つずつ支持する。各LED支持部470は、第2LEDモジュール40を収容する凹所4700を備えている(
図12及び
図17参照)。凹所4700の側面には、三角状の複数の突起4701が間隔を空けて突出している(
図17参照)。第2LEDモジュール40は、複数の突起4701を押し潰すようにして凹所4700に圧入されることによって、凹所4700に収容された状態に維持される。
【0054】
各LED支持部470において、凹所4700の底面には、第2LEDモジュール40から放射される照明光を通過させるための開口部4704が貫通している(
図12参照)。さらに、各LED支持部470の凹所4700に、たわみ片4705が形成されている(
図17参照)。たわみ片4705は、直方体状に形成されている。たわみ片4705は、長手方向の一端部(後端部)においてLED支持部470に片持ち支持されている。しかして、たわみ片4705の先端部は、開口部4704内において、LED支持部470の厚み方向(左右方向)に沿って変位可能である。
【0055】
また、各LED支持部470には、二つの引掛爪4702と、二つの突起4703が設けられている(
図17参照)。二つの引掛爪4702はそれぞれ、放熱板44の第1固定片441に設けられた三つの引掛穴443のうちの二つの引掛穴443に挿通された状態で、第1固定片441における引掛穴443の周囲に引っ掛かるように構成されている(
図18-
図19参照)。また、二つの突起4703はそれぞれ、第1固定片441に設けられた三つの位置決め穴444のうちの二つの位置決め穴444に挿通された後に熱かしめされる。しかして、各LED支持部470は、二つの引掛爪4702と二つの突起4703によって第1固定片441に固定される。ただし、第1固定片441と第2LEDモジュール40の間には熱伝導シート400が挟み込まれる(
図20参照)。つまり、第2LEDモジュール40は、熱伝導シート400を介して放熱板44と熱的に結合される。
【0056】
[5-5-2 導光体支持部471]
導光体支持部471は、二つの収容凹部4710と、橋架部4711と、二つの突部4712とを有する(
図12及び
図20参照)。
【0057】
二つの収容凹部4710はそれぞれ、長尺の角とい状に形成されている。また、二つの収容凹部4710は、直線状に並ぶように一体に形成されている。各収容凹部4710の長手方向の第1端がLED支持部470と結合している。各収容凹部4710の内部の空間は、LED支持部470の凹所4700の開口部4704とつながっている。また、各収容凹部4710の底面は、長手方向に沿って開口部4704から離れるに連れて、収容凹部4710の開口面(下面)に近付くように傾斜している(
図20参照)。
【0058】
橋架部4711は、直方体状に形成されている。橋架部4711は、二つの収容凹部4710のそれぞれの長手方向の第2端において、各収容凹部4710を幅方向にまたいでいる(
図20参照)。
【0059】
二つの突部4712はそれぞれ、直方体状に形成されている。各突部4712は、橋架部4711の内側面(二つの収容凹部4710の底面と対向する面)及び各収容凹部4710の内側面から突出している(
図20参照)。
【0060】
導光体43は、LED支持部470の開口部4704から収容凹部4710内に挿入される。このとき、導光体43は、導光体43の先端面が導光体支持部471の突部4712に当たる位置で止まる(
図20参照)。導光体43の斜面の後端部に爪430が設けられている(
図21及び
図22参照)。LED支持部470のたわみ片4705は、導光体43が収容凹部4710に挿入される過程において、爪430に押されてたわむ。そして、導光体43の先端面が突部4712に当たると、たわみ片4705の先端が爪430を乗り越えて元の状態(たわんでいない状態)に復帰する。その結果、導光体43は、たわみ片4705の先端が爪430に引っ掛かることによって、収容凹部4710の収容された状態で導光体支持部471に支持される(
図21及び
図22参照)。
【0061】
[5-5-3 第1反射部473及び第2反射部474]
第1反射部473及び第2反射部474はそれぞれ、長尺の矩形平板状に形成されている(
図12参照)。第1反射部473の長手方向に沿った一方の縁は、二つの収容凹部4710の長手方向に沿った一方の縁とつながっている。第1反射部473の長手方向に沿った他方の縁は、第2反射部474の長手方向に沿った一方の縁とつながっている(
図9参照)。第1反射部473及び第2反射部474のそれぞれの表面(下面)は、例えば、白色に着色されることによって反射率が高められている。
【0062】
[5-5-4 パネル収容部472]
パネル収容部472は、二つの収容凹部4710、第1反射部473及び第2反射部474を囲むように矩形の枠状に形成されている(
図12参照)。
【0063】
[5-6 取付枠48]
取付枠48は、枠体480、二つの第1固定板481、第2固定板482及び二つの補強板483を有している(
図12-
図17参照)。なお、枠体480、第1固定板481、第2固定板482及び二つの補強板483は、一枚の金属板によって一体に形成されている。
【0064】
枠体480は、中央に窓4800を有して長尺の矩形枠状に形成されている。枠体480の長手方向に沿った両端のそれぞれから補強板483が一つずつ曲げ起こされている。つまり、二つの補強板483は、枠体480を補強して機械的強度を向上させている。なお、二つの補強板483のそれぞれの長手方向の両端は、枠体480の長手方向の両端から枠体480の長手方向に沿って枠体480の外に突出している。
【0065】
二つの第1固定板481はそれぞれ、平板部4810と一対の脚部4811とを有している(
図12及び
図13参照)。平板部4810は矩形平板状に形成されている。一対の脚部4811はそれぞれ、矩形平板状に形成され、平板部4810の長手方向の両端と一つずつつながっている。一対の脚部4811は、平板部4810に対して傾いている。各脚部4811の先端は、二つの補強板483のそれぞれの長手方向の端とつながっている。
【0066】
第2固定板482は、二つの補強板483のうちの後側の補強板483の上縁から上向きに突出している(
図16参照)。第2固定板482の長手方向(左右方向)の両端に円形のねじ挿通穴4820が設けられている。
【0067】
二つの第1固定板481のそれぞれの平板部4810に、放熱板44の第2固定片442が一つずつねじ止めされることにより、二つの放熱板44を介してホルダ47が取付枠48に取り付けられる。ここで、ホルダ47が取付枠48に取り付けられると、ホルダ47のパネル収容部472に収容されているパネル46が、取付枠48の枠体480の窓4800と対向する。ただし、枠体480とパネル46の間の隙間が矩形枠状のシール部材460によってシールされる(
図20参照)。
【0068】
[5-7 非常用光源ユニット4の取付構造]
非常用光源ユニット4は、取付枠48の第2固定板482を固定部材163の第1固定板1631の前面にねじ止めすることにより、固定部材163を介して第1器具本体16(器具本体1)に取り付けられる(
図2及び
図9参照)。ここで、非常用光源ユニット4が第1器具本体16に取り付けられると、第1器具本体16の底板161の第1窓1611と取付枠48の枠体480の窓4800が上下方向に重なる。その結果、パネル46を透過した照明光が第1窓1611を通して器具本体1の外(踊り場の床面など)に照射される。
【0069】
[6.非常用電源7]
非常用電源7は、例えば、複数本の蓄電池と、これら複数本の蓄電池を収容した電池ケース70を有する(
図2参照)。複数本の蓄電池はそれぞれ、例えば、乾電池型のニッケル水素蓄電池である。電池ケース70は、合成樹脂などの電気絶縁性を有する材料で筒状に形成されている。非常用電源7は、例えば、器具本体1の左端に収容される(
図2参照)。
【0070】
[7.スイッチブロック8]
スイッチブロック8は、合成樹脂製のハウジング80内に回路基板を収容して構成されている(
図2参照)。当該回路基板には、二つの押しボタンスイッチ、モニタランプ、赤外線受光素子などが実装されている。モニタランプは、例えば、緑色光を放射するLEDチップを有している。赤外線受光素子は、赤外線を通信媒体とする制御信号を受信(受光)し、受信した制御信号から送信フレームを復調するように構成されている。この制御信号は、定期点検の作業を行う作業者に操作されるリモートコントローラから送信される。
【0071】
ハウジング80は、合成樹脂材料によって箱状に形成されている。ハウジング80の下面に四つの孔が開口している。これら四つの孔のうちの二つの孔に操作部材が一つずつはめ込まれている。これら二つの操作部材は、ハウジング80の下面に対して押し込み可能となるようにハウジング80に支持されている。したがって、一方の操作部材が押し込まれると一方の押しボタンスイッチがオンされ、他方の操作部材が押し込まれると他方の押しボタンスイッチがオンされる。また、残り二つの孔に、モニタランプと赤外線受光素子がそれぞれ一対一で対向している。つまり、モニタランプから放射される緑色光が一方の孔を通してハウジング80の外に出射される。また、リモートコントローラから送信される制御信号が他方の孔を通して赤外線受光素子で受信(受光)される。
【0072】
スイッチブロック8は、器具本体1内において非常用電源7の右隣に収容される。ただし、スイッチブロック8は、第1器具本体16の底板161に設けられている第2窓1612からハウジング80の下面(二つの操作部材及び二つの孔)を器具本体1の外に露出させる(
図1B参照)。
【0073】
[8.回路ブロック6]
回路ブロック6は、
図24に示すように、制御装置60、充電装置61及び非常用点灯装置62を備える。充電装置61は、系統電源などの常用電源PSから供給される常用電力(交流電力)を直流電力に電力変換し、電力変換した直流電力で非常用電源7を充電する。非常用点灯装置62は、制御装置60からの指示に従い、充電装置61を介して非常用電源7から供給される非常用電力(直流電力)で非常用光源ユニット4の二つの第2LEDモジュール40を点灯させる。
【0074】
制御装置60は、例えば、マイクロコントローラを有している。制御装置60は、常用点灯装置33に入力する電圧を二つの抵抗器R1、R2で分圧して検出することによって常用電源PSが停電しているか否かを判断する。制御装置60は、常用電源PSが停電していないと判断すれば、充電装置61に非常用電源7を充電させ、かつ、常用点灯装置33に常用光源ユニット3の二つの第1LEDモジュール30を点灯させる。また、制御装置60は、充電装置61に非常用電源7を充電させている間、スイッチブロック8のモニタランプを点灯させる。一方、制御装置60は、常用電源PSが停電していると判断すれば、充電装置61に非常用電源7の充電を中止させ、かつ、非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4の二つの第2LEDモジュール40を点灯させる。
【0075】
また、制御装置60は、センサ装置5から検出信号が入力されていない場合、常用点灯装置33を制御して二つの第1LEDモジュール30に供給する電流を定格値の約半分とする。一方、制御装置60は、センサ装置5から検出信号が入力されている場合、常用点灯装置33を制御して二つの第1LEDモジュール30に供給する電流を定格値とする。なお、制御装置60は、センサ装置5から検出信号が入力されなくなった時点から所定時間が経過するまでは常用点灯装置33を制御して二つの第1LEDモジュール30に供給する電流を定格値に維持することが好ましい。
【0076】
さらに、制御装置60は、スイッチブロック8の二つの押しボタンスイッチのいずれかがオンしたとき、充電装置61に非常用電源7の充電を中止させ、かつ、非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4の二つの第2LEDモジュール40を点灯させる。ただし、制御装置60は、一方の押しボタンスイッチがオンしている間だけ非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4の二つの第2LEDモジュール40を点灯させる。制御装置60は、他方の押しボタンスイッチがオンされると自己点検を開始し、所定時間(30分又は60分)が経過するまで非常用点灯装置62に非常用光源ユニット4の二つの第2LEDモジュール40を点灯させる。なお、制御装置60は、スイッチブロック8の赤外線受光素子が制御信号を受信した場合も前記自己点検を開始する。
【0077】
回路ブロック6は、金属製のケース63を有する(
図2参照)。ケース63内にプリント回路板が収容されている。プリント回路板は、制御装置60、充電装置61及び非常用点灯装置62を構成している。回路ブロック6は、器具本体1内における非常用光源ユニット4の左隣に収容される(
図2参照)。回路ブロック6のケース63は、第2固定板1632の下面にねじ止めによって固定される。
【0078】
[9.照明器具X1の施工手順]
上述のように構成される照明器具X1は、以下に説明する手順で踊り場の壁に設置される(
図25-
図29参照)。
【0079】
まず、設置作業を行う作業者は、壁に埋め込まれている二本のアンカーボルトを第1器具本体16の背板160の長穴1601に通し、これら二本のアンカーボルトにナットを締め付けて第1器具本体16を壁に固定する。それから、作業者は、第1器具本体16の丸孔1600に挿通した電源線を端子台14の一次側の端子に電気的に接続する。
【0080】
続いて、作業者は、常用照明ユニット9を第1器具本体16に取り付ける。まず、作業者は、常用光源ユニット3の取付板32に取り付けられている2本のねじ325の先端を、第1器具本体16の二つの支持板162の第1溝1621のそれぞれの上端から挿入し、第1溝1621の下端まで移動させる(
図25B参照)。さらに、作業者は、2本のねじ325の先端を、第3溝1623の下端からそれぞれの上端まで移動させる(
図26B参照)。このとき、常用照明ユニット9は、カバー本体20の下側壁202において、第1器具本体16の底板161の前端と接触している部分を回転軸として回転する。その結果、カバー本体20の上側壁201の後端と第1器具本体16の背板160の上端との間隔D1が広がる(
図25A及び
図26A参照)。そして、作業者は、カバー本体20の上側壁201の後端と第1器具本体16の背板160の上端の隙間(開口)から手を入れて常用光源ユニット3の常用点灯装置33の入力端子と、端子台14の二次側の端子を電線で電気的に接続する。その後、作業者は、常用照明ユニット9を逆方向に回転させ、2本のねじ325の先端を第3溝1623の上端からそれぞれの下端まで移動させる(
図25B参照)。さらに、作業者は、2本のねじ325の先端が第3溝1623の下端から第2溝1622の後端に達するまで常用照明ユニット9を後方に移動させる(
図27B参照)。
【0081】
続いて、作業者は、第1器具本体16に第2器具本体17を結合させる。まず、作業者は、第2器具本体17の二つの側板171の縦溝1711に、2本のねじ325の先端をそれぞれ一つずつ挿入し、各ねじ325の先端が縦溝1711の上端に達するまで第2器具本体17を下向きに移動させる。次に、作業者は、各側板171のねじ挿通穴1714、及び第1器具本体16の支持板162のねじ挿通穴1624にねじ18を挿通する(
図2及び
図3参照)。さらに、作業者は、二つのねじ挿通穴1714、1624に挿通したねじ18を、常用光源ユニット3の取付板32の取付片324が有するねじ穴3241にねじ込む。その結果、第1器具本体16、第2器具本体17及び常用光源ユニット3の取付板32が2本のねじ18によって固定される。
【0082】
最後に、作業者は、一対のカバーエンド22を器具本体1に取り付ける。まず、作業者は、カバーエンド22を器具本体1の側面に沿って後方へ移動させ、カバーエンド本体220の第1引掛部222の横片2220を、器具本体1の前方から、第2器具本体17の側板171の横溝1712に挿入する。このとき、第1引掛部222の縦片2221は、常用光源ユニット3の取付片324の溝3240に挿入される(
図28参照)。そして、作業者がカバーエンド22を更に後方へ移動させると、第2器具本体17の側板171の一対の突起1713が、カバーエンド22の一対の第2引掛部223の凹部2231にはまる(
図28-
図29参照)。これにより、一対のカバーエンド22がそれぞれ、器具本体1の長手方向の両端に一つずつ取り付けられる。
【0083】
以上の手順で照明器具X1が壁に設置される。
【0084】
[10.非常用電源7の交換手順]
次に、照明器具X1の非常用電源7を交換する際の手順を説明する。まず、交換作業を行う作業者は、カバーエンド22を器具本体1の前方へ引っ張り、取付片324の溝3240から第2器具本体17の側板171の突起1713を離し、器具本体1からカバーエンド22を取り外す。
【0085】
続いて、作業者は、ねじ18を外した後、第2器具本体17を第1器具本体16から取り外す。それから、作業者は、2本のねじ325の先端を第3溝1623の下端からそれぞれの上端まで移動させるように常用照明ユニット9を回転させる(
図26B参照)。そして、作業者は、常用照明ユニット9のカバー本体20の上側壁201の後端と第1器具本体16の背板160の上端の隙間(開口)から手を入れて非常用電源7を取り出し、新しい非常用電源7を第1器具本体16内に収容する。その後、作業者は、常用照明ユニット9を逆方向に回転させ、2本のねじ325の先端を第3溝1623の上端からそれぞれの下端まで移動させる(
図25B参照)。さらに、作業者は、2本のねじ325の先端が第3溝1623の下端から第2溝1622の後端に達するまで常用照明ユニット9を後方に移動させる(
図27B参照)。
【0086】
最後に、作業者は、一対のカバーエンド22を器具本体1に取り付ける。以上の手順で非常用電源7の交換作業が完了する。
【0087】
[11.実施形態に係る照明器具X1の特徴]
以下、照明器具X1の特徴について、更に詳しく説明する。
【0088】
センサ装置5から送信される電波は、その一部がカバー本体20の表面(後面)で反射してセンサ装置5に戻り、残りがカバー本体20を透過した後に移動体(人)に反射してセンサ装置5に戻ってくる。このようにカバー本体20の表面で反射して戻る電波(反射波)は、検出の対象である移動体(人)に反射した電波ではなく、センサ装置5にとっては不要な電波である。ここで、カバー本体20の入射面(後面)で反射する電波を第1反射波と呼び、カバー本体20を透過して移動体に反射した後に再度カバー本体20を透過して戻る電波を第2反射波と呼ぶことにする。第1反射波と第2反射波の位相差が電波の波長の整数倍に等しければ、第2反射波が第1反射波に弱められることなく、センサ装置5で受信される。したがって、カバー本体20の厚みD2(
図9参照)は、カバー本体20を透過する際の電波の波長λdの半分(λd/2)の整数倍に等しいことが好ましい。反対に、第1反射波と第2反射波の位相差が電波の半波長の奇数倍に等しければ、第2反射波が第1反射波に弱められてしまう。したがって、カバー本体20の厚みD2は、カバー本体20を透過する際の電波の波長λdの4分の1(λd/4)の奇数倍に等しくないことが好ましい。
【0089】
そこで、照明器具X1では、カバー本体20の厚みD2を、電波の波長λdの8分の3以上、かつ、8分の5以下の範囲の値に設定している。例えば、センサ装置5から送信される電波の周波数foが24GHz、カバー本体20を形成する材料(例えば、アクリル樹脂)の比誘電率εrが2.5とすると、カバー本体20を透過する際の電波の波長λdは、下記の式1で求められる。
【0090】
λd=(c/fo)/√εr=(3.0×108/24×109)/√2.5≒7.9[mm]…(式1)
したがって、カバー本体20の厚みD2は、3λd/8(≒3.0mm)以上、かつ、5λd/8(≒4.9mm)以下の値、例えば、3.2mmに設定されることが好ましい。ただし、カバー本体20の厚みD2は、3.2mmに限定されるものではない。カバー本体20の厚みD2は、カバー本体20を形成する材料の種類、及びカバー本体20に必要とされる機械的強度などの条件に応じた値に設定されることが好ましい。
【0091】
なお、カバー本体20を形成する材料がポリカーボネート樹脂の場合、ポリカーボネート樹脂の比誘電率εrが2.7となる。この場合、カバー本体20を通過する際の電波の波長λdは、式1のεrに2.7を代入して7.6mmと求められる。したがって、カバー本体20の厚みD2は、3λd/8(≒2.8mm)以上、かつ、5λd/8(≒4.8mm)以下の値(例えば、3.2mm)に設定されることが好ましい。
【0092】
ここで、電波の周波数を24GHzとした場合において、カバー本体20を形成する材料の比誘電率εrとカバー本体20の厚みD2の関係を
図10に示す。
図10において、実線L11、L12及びL13はそれぞれ、式1から算出される波長λdの2分の1倍、1倍及び2分の3倍の長さ(厚みD2)を示している。また、
図10において、破線L21、L22及びL23はそれぞれ、式1から算出される波長λdの4分の1倍、4分の3倍及び4分の5倍の長さ(厚みD2)を示している。つまり、カバー本体20の厚みD2は、カバー本体20を形成する材料の比誘電率εrに応じて、実線L11、L12及びL13のいずれかと重なる値に設定されることが好ましい。あるいは、カバー本体20の厚みD2は、破線L21、L22及びL23よりも実線L11、L12、L13に近い値に設定されても構わない。
【0093】
また、特許文献1に開示されているように、センタ装置5とカバー本体20の最短距離D3(
図9参照)を電波の波長λdの2倍以上とすることにより、第2反射波が第1反射波で弱められにくくなる。ゆえに、照明器具X1では、センサ装置5とカバー本体20の最短距離D3を、電波の波長λdの2倍(7.9mm×2=15.8mm)以上の距離(例えば、30.7mm)とすることが好ましい。
【0094】
しかして、照明器具X1は、器具本体1の前方から見て器具本体1の前面を覆うカバー2でセンサ装置5を隠している。さらに、照明器具X1は、カバー2(カバー本体20)の厚みD2を、少なくとも電波の周波数及びカバー2の材料の比誘電率を含むパラメータに基づいて算出した値を含む範囲内の値に設定している。その結果、照明器具X1は、外観上の見栄えの向上を図りつつセンサ装置5の検出感度の低下を抑制することができる。
【0095】
[12.その他]
上述した照明器具X1において、カバー2は、第1LEDモジュール30とセンサ装置5の前方、上方、下方、左方及び右方を覆うように構成されているが、少なくとも第1LEDモジュール30とセンサ装置5の前方を覆うように構成されればよい。また、照明器具X1は、照明光を透過しないカバーで第1LEDモジュール30とセンサ装置5の前方、左方及び右方を覆い、第1LEDモジュール30の上方及び下方に照明光を照射するように構成されても構わない。
【0096】
[13.まとめ]
上述のように本開示の第1の態様に係る照明器具(X1)は、器具本体(1)と、器具本体(1)の前面に配置される光源(常用光源ユニット3)と、器具本体(1)の前面に配置され、電波を媒体として周囲の状況を検出するセンサ装置(5)とを備える。第1の態様に係る照明器具(X1)は、器具本体(1)の前方から見て器具本体(1)の前面を覆うカバー(2)を備える。センサ装置(5)は、カバー(2)を通して電波を送受信する。カバー(2)は、電波を透過する材料で形成されている。電波が透過する方向に沿ったカバー(カバー本体20)の厚み(D2)は、少なくとも電波の周波数及び材料の比誘電率を含むパラメータに基づいて算出した値を含む範囲内の値に設定されている。
【0097】
第1の態様に係る照明器具(X1)は、器具本体(1)の前方から見て器具本体(1)の前面を覆うカバー(2)でセンサ装置(5)を隠している。さらに、第1の態様に係る照明器具(X1)は、カバー(カバー本体20)の厚み(D2)を、少なくとも電波の周波数及びカバー(カバー本体20)の材料の比誘電率を含むパラメータに基づいて算出した値を含む範囲内の値に設定している。その結果、第1の態様に係る照明器具(X1)は、外観上の見栄えの向上を図りつつセンサ装置(5)の検出感度の低下を抑制することができる。
【0098】
本開示の第2の態様に係る照明器具(X1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明器具(X1)において、(カバー本体20の厚みD2の)範囲は、カバー(カバー本体20)を透過する際の電波の半波長の整数倍を含む範囲であることが好ましい。
【0099】
第2の態様に係る照明器具(X1)は、検出対象に反射して戻る電波が、カバーに反射して戻る電波によって弱められにくくなるので、センサ装置(5)の検出感度の低下を更に抑制することができる。
【0100】
本開示の第3の態様に係る照明器具(X1)は、第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明器具(X1)において、(カバー本体20の厚みD2の)範囲は、カバー(カバー本体20)を透過する際の電波の波長の8分の3以上、かつ、波長の8分の5以下の範囲であることが好ましい。
【0101】
第3の態様に係る照明器具(X1)は、検出対象に反射して戻る電波が、カバーに反射して戻る電波によって更に弱められにくくなるので、センサ装置(5)の検出感度の低下を更に抑制することができる。
【符号の説明】
【0102】
X1 照明器具
1 器具本体
2 カバー
3 常用光源ユニット(光源)
5 センサ装置
20 カバー本体(カバー)
D2 カバー本体の厚み