(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】店舗支援方法、プログラム及び店舗支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20240607BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20240607BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q30/06
(21)【出願番号】P 2020071913
(22)【出願日】2020-04-13
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 貴大
(72)【発明者】
【氏名】淺井 康汰
(72)【発明者】
【氏名】安田 昭博
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-185221(JP,A)
【文献】特開2002-342539(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0340550(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06Q 30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の店舗である対象店舗の営業に必要な資源に関する資源情報を取得する取得処理と、
前記対象店舗の運営の形態に関する情報であって前記対象店舗に推奨し得る推奨情報を、前記資源情報に基づいて求めて出力する出力処理と、
前記推奨情報に従って前記対象店舗が運営された場合の前記対象店舗の経営に関する経営指標を予測する経営予測処理と、を有する、
店舗支援方法。
【請求項2】
前記対象店舗外から取得される情報であって前記対象店舗の経営に影響する外的要因に関する要因情報を取得する要因取得処理を更に有し、
前記推奨情報には、前記資源情報に加えて前記要因情報が反映される、
請求項1に記載の店舗支援方法。
【請求項3】
前記対象店舗の経営に関する経営指標の予測結果を含む経営予測情報を取得する予測取得処理を更に有し、
前記推奨情報には、前記資源情報に加えて前記経営予測情報が反映される、
請求項1又は2に記載の店舗支援方法。
【請求項4】
前記経営指標の予測結果に基づいて前記推奨情報を更新する更新処理と、を更に有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の店舗支援方法。
【請求項5】
前記経営予測処理では、前記対象店舗外から取得される情報であって前記対象店舗の経営に影響する外的要因に関する要因情報を用いて、前記経営指標を予測する、
請求項4に記載の店舗支援方法。
【請求項6】
前記対象店舗に係る制約条件に関する制約情報を設定する設定処理を更に有し、
前記推奨情報には、前記資源情報に加えて前記制約情報が反映される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の店舗支援方法。
【請求項7】
前記制約情報は、前記対象店舗の作業者に関する作業者情報についての条件を含む、
請求項6に記載の店舗支援方法。
【請求項8】
前記推奨情報は、前記対象店舗において営業を行う営業エリアに関する運営の形態を示す営業エリア情報を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の店舗支援方法。
【請求項9】
前記推奨情報は、前記対象店舗において営業を行う営業時間に関する運営の形態を示す営業時間情報を含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の店舗支援方法。
【請求項10】
前記推奨情報に合わせて、前記対象店舗の作業者に対する作業の割り当てを行う作業割当処理を更に有する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の店舗支援方法。
【請求項11】
特定の店舗である対象店舗の経営に関する経営指標の予測結果を含む経営予測情報を取得する予測取得処理と、
前記対象店舗の運営の形態に関する情報であって前記対象店舗に推奨し得る推奨情報を
、前記経営予測情報に基づいて求めて出力する出力処理と、
前記推奨情報に従って前記対象店舗が運営された場合の前記対象店舗の経営に関する経営指標を予測する経営予測処理と、を有する、
店舗支援方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の店舗支援方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
特定の店舗である対象店舗の営業に必要な資源に関する資源情報を取得する取得部と、
前記対象店舗の運営の形態に関する情報であって前記対象店舗に推奨し得る推奨情報を、前記資源情報に基づいて求めて出力する出力部と、
前記推奨情報に従って前記対象店舗が運営された場合の前記対象店舗の経営に関する経営指標を予測する経営予測部と、を備える、
店舗支援システム。
【請求項14】
特定の店舗である対象店舗の経営に関する経営指標の予測結果を含む経営予測情報を取得する予測取得部と、
前記対象店舗の運営の形態に関する情報であって前記対象店舗に推奨し得る推奨情報を、前記経営予測情報に基づいて求めて出力する出力部と、
前記推奨情報に従って前記対象店舗が運営された場合の前記対象店舗の経営に関する経営指標を予測する経営予測部と、を備える、
店舗支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に店舗支援方法、プログラム及び店舗支援システムに関し、より詳細には、特定の店舗である対象店舗の運営を支援する店舗支援方法、プログラム及び店舗支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、店舗情報管理装置と、複数の店舗業務端末と、を備えた店舗システムが記載されている。
【0003】
この店舗システムにおいては、店舗業務端末ごとに作業開始時刻、作業終了時刻及び各端末への送信時刻を作業指示情報として、予め店舗情報管理装置に登録している。店舗情報管理装置は、タイマ装置の持つ時刻と、各店舗業務端末への送信時刻との一致判定処理を行い、一致した作業指示情報について作業指示情報を抽出し、作業指示送信ファイルを作成し店舗業務端末へ送信する。各店舗業務端末では、受信した作業指示送信ファイルに基づき、作業指示内容の画面表示を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載のシステムでは、例えば、繁忙期等において、作業指示を受ける作業者(店員)の数が足りない等、対象店舗の営業に必要な資源が不足することで、対象店舗の運営に支障が生じる可能性がある。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、対象店舗の運営に支障が生じにくい、店舗支援方法、プログラム及び店舗支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る店舗支援方法は、取得処理と、出力処理と、経営予測処理と、を有する。前記取得処理では、資源情報を取得する。前記資源情報は、対象店舗の営業に必要な資源に関する情報である。前記対象店舗は、特定の店舗である。前記出力処理では、推奨情報を、前記資源情報に基づいて求めて出力する。前記推奨情報は、前記対象店舗の運営の形態に関する情報であって、前記対象店舗に推奨し得る情報である。前記経営予測処理では、前記推奨情報に従って前記対象店舗が運営された場合の前記対象店舗の経営に関する経営指標を予測する。
【0008】
本開示の一態様に係る店舗支援方法は、予測取得処理と、出力処理と、経営予測処理と、を有する。前記予測取得処理では、経営予測情報を取得する。前記経営予測情報は、対象店舗の経営に関する経営指標の予測結果を含む情報である。前記対象店舗は、特定の店舗である。前記出力処理では、推奨情報を、前記経営予測情報に基づいて求めて出力する。前記推奨情報は、前記対象店舗の運営の形態に関する情報であって、前記対象店舗に推奨し得る情報である。前記経営予測処理では、前記推奨情報に従って前記対象店舗が運営された場合の前記対象店舗の経営に関する経営指標を予測する。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記店舗支援方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0010】
本開示の一態様に係る店舗支援システムは、取得部と、出力部と、経営予測部と、を有する。前記取得部は、資源情報を取得する。前記資源情報は、対象店舗の営業に必要な資源に関する情報である。前記対象店舗は、特定の店舗である。前記出力部は、推奨情報を、前記資源情報に基づいて求めて出力する。前記推奨情報は、前記対象店舗の運営の形態に関する情報であって、前記対象店舗に推奨し得る情報である。前記経営予測部は、前記推奨情報に従って前記対象店舗が運営された場合の前記対象店舗の経営に関する経営指標を予測する。
【0011】
本開示の一態様に係る店舗支援システムは、予測取得部と、出力部と、経営予測部と、を有する。前記予測取得部は、経営予測情報を取得する。前記経営予測情報は、対象店舗の経営に関する経営指標の予測結果を含む情報である。前記対象店舗は、特定の店舗である。前記出力部は、推奨情報を、前記経営予測情報に基づいて求めて出力する。前記推奨情報は、前記対象店舗の運営の形態に関する情報であって、前記対象店舗に推奨し得る情報である。前記経営予測部は、前記推奨情報に従って前記対象店舗が運営された場合の前記対象店舗の経営に関する経営指標を予測する。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、対象店舗の運営に支障が生じにくい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る店舗支援システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る店舗支援方法の適用例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、同上の店舗支援方法の基本シーケンスの一例のフローチャートである。
【
図4】
図4は、同上の店舗支援方法の更新処理の一例の説明図である。
【
図5】
図5A及び
図5Bは、同上の店舗支援方法が適用される対象店舗の営業エリアを変更する例を示す概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る店舗支援システムの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
以下、本実施形態に係る店舗支援方法、プログラム及び店舗支援システム1(
図1参照)について、
図1~
図5Bを参照して説明する。
【0015】
(1)概要
本実施形態に係る店舗支援方法は、
図1及び
図2に示すように、対象店舗A1の運営を支援する方法である。ここでいう対象店舗A1は、複数の店舗A10(
図1参照)のうち、店舗支援方法による支援の対象となる店舗A10である。本実施形態では、店舗支援方法が、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、百貨店、ドラッグストア、衣料品店、家電量販店又はホームセンター等の小売店の対象店舗A1に導入される場合を例として説明する。
【0016】
本実施形態に係る店舗支援方法は、この種の対象店舗A1に関して、対象店舗A1の運営の形態に関する提案を行うことにより、対象店舗A1の運営を支援する。本開示でいう「運営の形態」は、対象店舗A1の運営に係る種々の形態であって、例えば、営業エリア及び営業時間等を含む。つまり、少なくとも対象店舗A1においては、運営の形態は固定的ではなく、運営の形態を変更する余地がある。そのため、本実施形態に係る店舗支援方法では、このような運営の形態を対象店舗A1に対して提案することにより、対象店舗A1の運営に支障が生じにくくする。つまり、対象店舗A1の現状に見合った適切な運営の形態の提案があれば、対象店舗A1においては、例えば、営業エリア又は営業時間等の運営の形態を変更しやすくなり、対象店舗A1の運営に支障が生じにくくなる。
【0017】
ところで、本実施形態に係る店舗支援方法は、上述したような運営の形態の提案に際して、対象店舗A1の営業に必要な資源に関する資源情報D1(
図2参照)を用いている。本開示でいう「資源」は、対象店舗A1の営業に必要な資源であって、例えば、人員及び物品等を含む。資源としての人員は、対象店舗A1の営業に関連する作業を実行する「作業者」であって、一例として、対象店舗A1の店員(アルバイト及びパートタイマを含む)、配送業者、清掃業者及びメンテナンス業者等を含む。また、資源としての物品は、一例として、対象店舗A1で販売される商品を含む。さらに、資源としての物品は、例えば、レジ(register)、複合機又は什器等の対象店舗A1に設置される設備、レジ袋、レジロール紙、買物かご、清掃用具、キャンペーン等で配布されるノベルティグッズ、並びに商品の販売促進に用いるポップ及びチラシ等を含む。
【0018】
対象店舗A1の営業に用いられる資源が不足することがあれば、対象店舗A1での営業に支障をきたす可能性がある。具体的には、例えば、資源としての店員が不足していると、顧客のレジ待ちの時間が長くなったり、対象店舗A1の清掃が行き届かなかったりと、対象店舗A1での営業に支障をきたす可能性がある。同様に、例えば、資源としての商品が不足していると、顧客が所望する商品を購入できなかったり、商品を販売できないことで機会損失が生じたりと、対象店舗A1での営業に支障をきたす可能性がある。
【0019】
そこで、本実施形態に係る店舗支援方法では、このような対象店舗A1の営業に必要な資源に関する資源情報D1に基づいて、対象店舗A1に対して運営の形態を提案することにより、対象店舗A1での営業に支障が生じにくくする。つまり、店舗支援方法によれば、現状の資源に見合った運営の形態を対象店舗A1に提案可能となるので、対象店舗A1の営業に用いられる資源について不足が生じにくくなり、対象店舗A1での営業に支障が生じにくくなる。
【0020】
すなわち、本実施形態に係る店舗支援方法は、取得処理と、出力処理と、を有している。取得処理では、資源情報D1を取得する。資源情報D1は、対象店舗A1の営業に必要な資源に関する情報である。対象店舗A1は、特定の店舗A10である。出力処理では、推奨情報D10(
図2参照)を、資源情報D1に基づいて求めて出力する。推奨情報D10は、対象店舗A1の運営の形態に関する情報であって、対象店舗A1に推奨し得る情報である。
【0021】
このように、店舗支援方法によれば、資源情報D1に基づいて、対象店舗A1に対して運営の形態を提案することにより、対象店舗A1での営業に支障が生じにくくすることができる。要するに、対象店舗A1の現状に見合った適切な運営の形態の提案があれば、対象店舗A1においては、例えば、営業エリア又は営業時間等の運営の形態を柔軟に変更しやすくなり、対象店舗A1の営業に用いられる資源について不足が生じにくくなる。つまり、店舗支援方法によれば、例えば、対象店舗A1における営業エリア又は営業時間等の運営の形態を調整することで、有限の資源でありながらも、対象店舗A1での営業に支障が生じにくい、という利点がある。結果的に、店舗支援方法によれば、限られた資源の中で、対象店舗A1の経営に関する指標(経営指標)の最大化を図りやすくなる。
【0022】
また、本実施形態に係る店舗支援方法は、一例として、店舗支援システム1にて実行される。言い換えれば、店舗支援システム1は、上述した店舗支援方法を具現化するための一態様である。つまり、店舗支援システム1は、対象店舗A1の運営の形態に関する提案を行うことにより、対象店舗A1の運営を支援する。本実施形態に係る店舗支援システム1は、取得部11と、出力部12と、を備えている。取得部11は、資源情報D1を取得する。資源情報D1は、対象店舗A1の営業に必要な資源に関する情報である。対象店舗A1は、特定の店舗A10である。出力部12は、推奨情報D10を、資源情報D1に基づいて求めて出力する。推奨情報D10は、対象店舗A1の運営の形態に関する情報であって、対象店舗A1に推奨し得る情報である。
【0023】
ここにおいて、本実施形態に係る店舗支援システム1は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。言い換えれば、本実施形態に係る店舗支援方法は、コンピュータシステム(店舗支援システム1)上で用いられる。つまり、店舗支援方法は、プログラムでも具現化可能である。本実施形態に係るプログラムは、本実施形態に係る店舗支援方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0024】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る店舗支援方法、プログラム及び店舗支援システム1について詳しく説明する。
【0025】
(2.1)前提
本実施形態では、店舗支援方法が適用される対象店舗A1は、コーポレートチェーン(レギュラーチェーン)又はフランチャイズチェーンのようにチェーン展開されている複数の対象店舗A1の1つであることと仮定する。つまり、店舗支援方法にて運営の形態に関する提案がされる対象店舗A1は、チェーン展開されている複数の店舗A10のいずれかの店舗A10である。特に、本実施形態では一例として、対象店舗A1がコンビニエンスストアである場合について説明する。この種の対象店舗A1には、対象店舗A1の管理を行うオーナB1(
図1参照)と、対象店舗A1に雇用されている店員C1(
図1参照)と、が対応付けられている。
【0026】
本開示でいう「運営の形態」は、上述したように、対象店舗A1の運営に係る種々の形態であって、例えば、営業エリア及び営業時間等を含む。ここで、少なくとも対象店舗A1においては、営業エリア又は営業時間等の運営の形態は、固定的ではなく、変更する余地がある。「運営の形態」は、営業エリア及び営業時間の他、例えば、販売商品カテゴリ、設備の稼働状況、及び有人店舗か無人店舗か等を含む。
【0027】
ここでいう「営業エリア」は、対象店舗A1において営業を行うエリアであって、例えば、対象店舗A1がコンビニエンスストアである場合に、イートインスペース又はトイレ等の用途別に区画されるエリアのうち、営業用に開放されるエリアを意味する。営業用に開放されるエリアは、具体的には、営業用に店員C1又は顧客C2(
図5A参照)に対して利用可能に開放されるエリアである。
【0028】
さらに、対象店舗A1内に、陳列している商品の種別ごとに複数のエリア、例えば、書籍の販売エリア、日用品の販売エリア又は医薬品の販売エリア等が存在する場合には、これらのエリアのうち、営業用に開放されるエリアも「営業エリア」に含まれる。対象店舗A1が配達等のサービスを行う場合には、サービスの提供エリアも「営業エリア」に含まれる。
【0029】
ここでいう「営業時間」は、対象店舗A1において営業を行う時間であって、例えば、6時から23時までというように開店時刻及び閉店時刻の組み合わせ、又は24時間営業か否か等で表される。さらに、対象店舗A1の営業を行う時間を日、曜日、週、月又は季節単位で定めた場合、例えば、平日のみ営業等の規定も「営業時間」に含まれる。
【0030】
また、ここでいう「販売商品カテゴリ」は、対象店舗A1で販売される商品のカテゴリであって、例えば、酒類、書籍、日用品又は医薬品等のカテゴリで表される。ここでいう「設備の稼働状況」は、対象店舗A1に設置されている設備の稼働状況であって、例えば、マルチコピー機又は現金自動預け払い機等の設備を稼働させるか否かである。ここでいう「有人店舗」は、対象店舗A1において顧客C2の応対をする作業者(店員C1)が存在する形態であって、反対に「無人店舗」は、対象店舗A1において顧客C2の応対をする作業者(店員C1)が存在しない形態である。
【0031】
本実施形態では一例として、対象店舗A1においては、少なくとも営業エリア及び営業時間の2つが、運営の形態として変更可能である場合について説明する。すなわち、本実施形態に係る店舗支援方法では、少なくとも営業エリア及び営業時間の2種類の「運営の形態」に関して、推奨情報D10により対象店舗A1に提案することが可能である。
【0032】
また、本実施形態に係る店舗支援方法では、対象期間について、対象店舗A1の運営の形態を提案する。本開示でいう「対象期間」は、店舗支援方法での対象店舗A1の運営の形態の提案の対象となる期間である。本実施形態では一例として、対象期間は、現在に対して将来に設定される期間であって、例えば、1日単位、1週間単位又は1か月単位等、任意の単位で設定される。具体的には、例えば、来週(翌週)の月曜日から金曜日までの5日間等のように、将来の任意の期間が対象期間として設定される。
【0033】
また、本開示でいう「資源」は、上述したように、対象店舗A1の営業に必要な資源であり、例えば、人員及び物品等を含む。本実施形態では一例として、「資源」は、少なくとも対象店舗A1の営業に必要な「人員」を含むこととする。より詳細には、本実施形態のように、対象店舗A1がコンビニエンスストアである場合においては、対象店舗A1で雇用されている店員C1が、「資源」に含まれる。本実施形態に係る店舗支援方法では、このような「資源」に関する資源情報D1に基づいて、対象店舗A1の運営の形態に関する推奨情報D10を求める。
【0034】
また、本開示でいう「店舗」は、不動産(施設)としての店舗A10だけでなく、組織としての店舗A10を含むこともある。例えば、組織としての対象店舗A1には、対象店舗A1の管理者(オーナB1)、対象店舗A1で雇用されている店員C1が含まれてもよい。一例として、「対象店舗A1に推奨し得る」という場合に、推奨先は、不動産としての対象店舗A1に限らず、対象店舗A1のオーナB1等を指すこともある。
【0035】
また、本開示でいう「作業」は、対象店舗A1において発生する作業であって、対象店舗A1の人員(店員C1)に業務として課され、人員によって実行される種々の作業を意味する。一般的に、このような「作業」は、タスク(task)とも呼ばれ、対象店舗A1の営業に関連する作業である。対象店舗A1がコンビニエンスストアであれば、作業の一例として、商品の陳列、棚卸、トイレ清掃、レジ対応、ホットスナック対応、電気ポットの湯の補充、ホットスナックの補充(作り置き)、ごみ袋の交換、商品の品出し及び消耗品の補充等がある。さらに、対象店舗A1の内部で実行される作業だけでなく、例えば、対象店舗A1の周辺道路の清掃等の、対象店舗A1の外部で実行される作業も、「作業」に含まれる。
【0036】
また、本開示でいう「経営指標」は、対象店舗A1の経営に関する指標であって、例えば、対象店舗A1の売上高に関する情報である。この種の経営指標の具体例としては、対象店舗A1における、売上高(総売上高)、商品カテゴリごとの売上高、客単価、LTV(Life Time Value)の平均値、利益(粗利及び営業利益等を含む)、又は客数等がある。
【0037】
ここでいう「客数」は、対象店舗A1を利用して対価を支払った顧客C2の数(利用客数)であってもよいし、対象店舗A1に来ただけの顧客C2も含めた顧客C2の数(来客数)であってもよい。さらに、利用客数のカウントの仕方としては、1人の顧客C2が複数回、例えば2回に分けて会計した場合に、客数を「2」とカウントしてもよいし、客数を「1」とカウントしてもよい。ここでいう「LTV(Life Time Value)」は、顧客C2が、サービスに対する対価として所定期間(Life Time)に支払う対価を意味する。ここでいう「利益」は、対象店舗A1における売上に関係する利益全般を意味し、例えば、粗利(売上総利益)、営業利益、経営利益、税引前当期純利益、及び税引後当期純利益等を含む。
【0038】
また、本実施形態においては一例として、店舗A10の数が、10000店以上である場合を想定する。以下では、これら複数(多数)の店舗A10のうちの1つが、店舗支援方法による支援の対象となる対象店舗A1である場合について説明するが、実際には、複数の店舗A10がそれぞれ対象店舗A1となり得る。すなわち、店舗支援方法は、複数の店舗A10のそれぞれを支援の対象とし得るが、以下では、説明を簡単にするため、対象店舗A1が1つである場合を例に説明する。
【0039】
(2.2)店舗支援システムの構成
次に、本実施形態に係る店舗支援システム1の構成について、
図1を参照して説明する。
【0040】
店舗支援システム1は、上述したように、対象店舗A1の運営の形態に関する提案を行うことで、対象店舗A1の運営を支援するシステムである。本実施形態では、上述したように、対象店舗A1は、チェーン展開されている複数の店舗A10のいずれかの店舗A10である。
【0041】
本実施形態では一例として、店舗支援システム1は、チェーン本部A2に設置されたサーバ装置である。チェーン本部A2は、少なくとも対象店舗A1を管轄する組織(施設)である。
【0042】
また、本実施形態では、店舗支援システム1は、インターネット等のネットワークNT1に接続されている。ネットワークNT1には、対象店舗A1のオーナB1が使用する情報端末31等が接続可能である。情報端末31は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等である。情報端末31の各々は、例えば、通信事業者が提供する携帯電話網(キャリア網)又は公衆無線LAN(Local Area Network)等を介してネットワークNT1に接続されてもよい。さらに、ネットワークNT1には、後述するPOS(Point Of Sales)システム32及び外部サーバ33等が接続されている。
【0043】
これにより、店舗支援システム1は、ネットワークNT1を介して、少なくも情報端末31、POSシステム32及び外部サーバ33等と通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワークNT1若しくは中継器等を介して間接的に、信号を授受できることを意味する。さらに、本実施形態では、例えば、情報端末31とPOSシステム32との間でも、相互に通信可能に構成されている。
【0044】
対象店舗A1には、POSシステム32が設置されている。POSシステム32は、1つの対象店舗A1に複数設けられていてもよい。本実施形態では、POSシステム32は、ID-POSデータを取り扱うことが可能な、いわゆる「ID-POS」である。ここでいう「ID-POSデータ」は、POSデータに顧客C2の識別情報(ID:identification)としての「顧客ID」が付加されたデータである。この種のPOSシステム32(ID-POS)は、顧客C2が買物を行う際に顧客C2の認証を行うことで、顧客C2の識別情報(顧客ID)を取得する。顧客C2の認証は、一例として、会員カード、ポイントカード又はクレジットカード等の各種カード等で実現されてもよいし、顧客C2の携帯情報端末との通信、又は生体認証(顔認証を含む)等によって実現されてもよい。また、対象店舗A1には、POSシステム32に加えて又は代えて、ストアコンピュータ等が設置されていてもよい。POSシステム32の代わりにストアコンピュータが設置されている場合には、店舗支援システム1は、ネットワークNT1を介して、ストアコンピュータと通信可能に構成される。
【0045】
このようなPOSシステム32によれば、少なくとも対象店舗A1における商品の購買履歴を実績データとして、ネットワークNT1経由で、店舗支援システム1に送信することが可能である。特に、本実施形態では、POSシステム32は、ID-POSデータを取り扱うことが可能であるため、例えば、会計が行われる度に、購入された商品の情報を、顧客C2の識別情報(顧客ID)と対応付けた状態で購買履歴として出力できる。
【0046】
外部サーバ33は、少なくとも要因情報D2(
図2参照)を管理するシステムである。本実施形態では、外部サーバ33は、対象店舗A1でもチェーン本部A2でもない第三者が管理する施設に設置されている。外部サーバ33にて管理される要因情報D2は、対象店舗A1外から取得される情報であって、対象店舗A1の経営に影響する外的要因に関する情報である。要因情報D2は、例えば、対象店舗A1周辺でのイベント(スポーツ又はコンサート等)の開催状況、気象条件(天候を含む)及び交通状況(通行止め等)等の客観的な情報である。このように、要因情報D2は、対象店舗A1の経営に影響する外的要因に関する情報ではありながらも、対象店舗A1においては操作不能(制御不能)な、対象店舗A1外から取得される客観的な情報である。
【0047】
本実施形態では、店舗支援システム1は、上述したように取得部11及び出力部12を備えている。本実施形態では、店舗支援システム1は、取得部11及び出力部12に加えて、要因取得部13、予測取得部14、経営予測部15、更新部16、設定部17、受付部18、作業割当部19、通信部20及びデータ格納部21を更に備えている。つまり、店舗支援システム1は、取得部11、出力部12、要因取得部13、予測取得部14、経営予測部15、更新部16、設定部17、受付部18、作業割当部19、通信部20及びデータ格納部21を備える。本実施形態では、店舗支援システム1は、上述したように、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステム(ここではサーバ装置)を主構成とする。店舗支援システム1のうち、通信部20及びデータ格納部21以外の機能(取得部11、出力部12、要因取得部13、予測取得部14、経営予測部15、更新部16等)は、1以上のプロセッサがプログラムを実行することによって具現化される。
【0048】
取得部11は、上述したように、対象店舗A1の営業に必要な資源に関する資源情報D1を取得する取得処理を実行する。本実施形態では、「資源」は、少なくとも対象店舗A1の営業に必要な人員、つまり対象店舗A1で雇用されている店員C1を含むので、取得部11は、資源としての店員C1に関する資源情報D1を取得する。取得部11は、主として対象店舗A1の情報端末31及びPOSシステム32から、資源情報D1を取得する。
【0049】
ここで、取得部11は、対象店舗A1の運営の形態の提案の対象となる対象期間について、資源情報D1を取得する。本実施形態では、上述したように、対象期間は、現在に対して将来に設定される期間であるので、取得部11は、現在に対して将来に設定される対象期間について、資源に関する資源情報D1を取得する。一例として、来週(翌週)の月曜日から金曜日までの5日間が対象期間である場合、来週の月曜日から金曜日までの5日間が対象期間に確保(準備)可能な資源に関する情報が、資源情報D1として取得部11にて取得される。
【0050】
出力部12は、上述したように、推奨情報D10を、資源情報D1に基づいて求めて出力する出力処理を実行する。推奨情報D10は、対象店舗A1の運営の形態に関する情報であって、対象店舗A1に推奨し得る情報である。すなわち、出力部12にて出力される推奨情報D10によれば、対象店舗A1に推奨し得る運営の形態が特定可能である。出力部12が行う出力の態様には、例えば、データの出力(店舗支援システム1内での出力を含む)、送信、表示、音声出力、非一時的記録媒体への記録(書き込み)及び印刷(プリントアウト)等が含まれる。
【0051】
詳しくは後述するが、本実施形態では、出力部12は、資源情報D1だけでなく、要因情報D2及び経営予測情報D3(
図2参照)にも基づいて、推奨情報D10を求める。そのため、推奨情報D10には、資源情報D1に加えて、要因情報D2が反映される。さらに、推奨情報D10には、資源情報D1に加えて、経営予測情報D3が反映される。また、本実施形態では、出力部12は、資源情報D1だけでなく、制約情報D4(
図2参照)にも基づいて、推奨情報D10を求める。そのため、推奨情報D10には、資源情報D1に加えて、制約情報D4が反映される。
【0052】
要因取得部13は、要因情報D2を取得する要因取得処理を実行する。要因情報D2は、対象店舗A1外から取得される情報であって、対象店舗A1の経営に影響する外的要因に関する情報である。本実施形態では、上述したように、要因情報D2は外部サーバ33にて管理されているので、要因取得部13は、主として外部サーバ33から、要因情報D2を取得する。要因情報D2は、上述したように、出力部12にて推奨情報D10を求める際に用いられ、結果的に、推奨情報D10に反映される。ここで、要因取得部13は、対象店舗A1の運営の形態の提案の対象となる対象期間について、要因情報D2を取得する。
【0053】
予測取得部14は、経営予測情報D3を取得する予測取得処理を実行する。経営予測情報D3は、対象店舗A1の経営に関する経営指標の予測結果を含む情報である。本実施形態では、経営予測情報D3は経営予測部15にて生成されるので、予測取得部14は、主として経営予測部15から、経営予測情報D3を取得する。経営予測情報D3は、上述したように、出力部12にて推奨情報D10を求める際に用いられ、結果的に、推奨情報D10に反映される。ここで、予測取得部14は、対象店舗A1の運営の形態の提案の対象となる対象期間について、経営予測情報D3を取得する。
【0054】
経営予測部15は、経営指標を予測する経営予測処理を実行する。本実施形態では、経営予測部15は、推奨情報D10に従って対象店舗A1が運営された場合の対象店舗A1の経営に関する経営指標を予測する。「経営指標」は、上述したように、対象店舗A1の経営に関する指標であって、例えば、対象店舗A1の売上高に関し、具体例として、売上高(総売上高)、商品カテゴリごとの売上高、客単価、LTVの平均値、利益、又は客数等を含む。本実施形態では、経営予測部15は、学習済みモデルを用いて、対象期間における、対象店舗A1の経営指標を推定(予測)する。経営予測部15は、経営指標の予測結果を含む経営予測情報D3を生成する。
【0055】
経営予測処理で予測される経営指標は、対象店舗A1ごとに予測されてもよいし、複数の対象店舗A1について一括して予測されてもよい。本実施形態では一例として、経営予測処理において対象店舗A1ごとに、経営指標が予測されて経営予測情報D3が生成される。
【0056】
本開示でいう「推定」は、おしはかって定める(決める)ことを意味し、特に、人があれこれ考えて決めることに限らず、ある事実に基づいて何らかの決定を行うこと全般を含む。そのため、例えば、コンピュータシステムに対して入力情報が入力された場合に、コンピュータシステムが、入力情報に基づいて演算を行って何らかの情報を出力情報として出力していれば、コンピュータシステムで出力情報が「推定」されたことになる。すなわち、経営予測部15であれば、資源情報D1及び要因情報D2等が入力され、これらの情報に基づいて、対象期間における対象店舗A1の経営指標を推定(予測)することになる。
【0057】
更新部16は、経営指標の予測結果に基づいて推奨情報D10を更新する更新処理を実行する。すなわち、更新部16は、経営予測部15で予測された経営指標(経営予測情報D3)に基づいて、推奨情報D10の更新を行う。特に、本実施形態では、経営予測部15は、上述したように、推奨情報D10に従って対象店舗A1が運営された場合の対象店舗A1の経営に関する経営指標を予測する。したがって、更新部16は、ある推奨情報D10が適用された場合に予測される経営指標に基づいて、この推奨情報D10を更新することになる。
【0058】
設定部17は、制約情報D4を設定する設定処理を実行する。制約情報D4は、対象店舗A1に係る制約条件に関する情報である。本実施形態では、制約情報D4は、一例として、対象店舗A1のオーナB1が情報端末31にて入力する。そのため、設定部17は、主として情報端末31にて入力された制約情報D4を、対象店舗A1の制約情報D4として設定する。具体的には、設定部17は、対象店舗A1ごとに、データ格納部21に制約情報D4を記録(登録)することによって、制約情報D4を設定する。
【0059】
受付部18は、人による情報(データ)の入力を受け付ける受付処理を実行する。受付部18での入力の受付けの態様としては、例えば、店舗支援システム1のユーザインタフェースに対する直接的な情報の入力の受付け、及び情報端末31等に対する間接的な情報の入力の受付け等を含む。一例として、受付処理では、直接的に、又はストアコンピュータ等を介して間接的に、情報端末31と通信部20にて通信することで、情報端末31に対する間接的な制約情報D4の入力を受け付けることができる。
【0060】
作業割当部19は、推奨情報D10に合わせて、対象店舗A1の作業者(店員C1)に対する作業の割り当てを行う作業割当処理を実行する。すなわち、対象店舗A1の運営の形態に関する推奨情報D10が決まれば、作業者(店員C1)に対しては、その運営の形態に合わせた作業の割り当てをすることが好ましい。本実施形態では、作業割当部19は、対象店舗A1において発生する種々の作業(タスク)の指示を各作業者(店員C1)に通知することにより、作業の割り当てを行う。作業割当部19が行う通知の態様には、例えば、データの出力、送信、表示、音声出力、非一時的記録媒体への記録書き込み)及び印刷(プリントアウト)等が含まれる。本実施形態では一例として、作業割当部19は、店員C1が使用する店員端末に対して、直接的に、又はストアコンピュータ等を介して間接的に、作業指示情報を配信(送信)することにより、作業の指示を作業者(店員C1)に通知することとする。
【0061】
通信部20は、直接的、又は他のネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、ネットワークNT1に接続されている。通信部20は、ネットワークNT1に接続されているシステム又は端末との通信機能を有している。これにより、通信部20は、ネットワークNT1に接続されている情報端末31、POSシステム32及び外部サーバ33等との間で、通信可能に構成される。これにより、通信部20は、ネットワークNT1に接続されている複数(多数)のシステム又は端末から様々なデータを収集可能である。一例として、通信部20は、対象店舗A1に設置された各種センサ(カメラを含む)の検知結果、及びPOSシステム32等から、様々なデータを収集する。
【0062】
データ格納部21は、例えば、設定部17で設定された制約情報D4、及び通信部20で収集された様々なデータ等を格納する。また、データ格納部21は、取得部11、出力部12、要因取得部13、予測取得部14、経営予測部15、更新部16、設定部17、受付部18及び作業割当部19等での演算に必要な情報等を更に格納(記憶)する。さらに、データ格納部21は、後述する売上予測処理で用いられる学習済みモデルについても格納する。データ格納部21は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)のような書き換え可能な不揮発性メモリを含む。
【0063】
以上説明した店舗支援システム1の各部の動作の詳細については、「(2.3)店舗支援方法」の欄で説明する。
【0064】
また、店舗支援システム1は、上記構成に加えて、ユーザインタフェース等を更に備えていてもよい。ただし、ユーザインタフェース等は、店舗支援システム1に必須の構成ではない。
【0065】
ユーザインタフェースは、例えば、タッチパネルディスプレイを含み、ユーザの操作の受け付けと、ユーザへの情報の提示(表示)を行う。ユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに限らず、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、メカニカルなスイッチ、又はジェスチャセンサ等の入力装置を有していてもよい。また、ユーザインタフェースは、タッチパネルディスプレイに代えて、又はタッチパネルディスプレイと共に、音声入出力部を有していてもよい。
【0066】
(2.3)店舗支援方法
以下、本実施形態に係る店舗支援方法について、
図2~
図5Bを参照してより詳細に説明する。ここでは、店舗支援方法が店舗支援システム1にて実行される場合を例とする。
【0067】
以下では一例として、ある対象店舗A1について、ある週の金曜日の現時点で、来週(翌週)の月曜日から金曜日までの5日間を対象期間として、店舗支援方法により、対象期間における対象店舗A1の運営の形態を提案する場合を想定して説明する。「現時点」は一例として、「2020年2月14日」であることとし、この場合の対象期間は「2020年2月17日」から「2020年2月21日」までの5日間となる。特に、
図2に例示するケースでは、店舗支援方法は、対象店舗A1における運営の形態に含まれる平日(月曜日から金曜日まで)の「営業時間」の変更を提案する場合を想定している。つまり、
図2の例では、平日の「営業時間」について、現時点(2020年2月14日)では「24時間営業」であるのに対して、対象期間においては「6時から23時」にすることを推奨情報D10にて提案する。ここでいう「24時間営業」は、対象店舗A1が0時から24時までの24時間、つまり終日にわたって営業する運営の形態を意味する。ただし、これらの条件は、あくまで店舗支援方法を説明するための一つの具体例に過ぎず、店舗支援方法の適用範囲を制限する趣旨ではない。
【0068】
以下では、店舗支援方法について、「基本シーケンス」と、「経営予測処理」と、「更新処理」と、「営業エリアの変更例」と、の4項目に分けて説明する。「基本シーケンス」の項では、推奨情報D10の生成から出力までの処理全体について説明する。「経営予測処理」の項では経営予測情報D3の推定(予測)に係る処理について説明し、「更新処理」の項では推奨情報D10の更新に係る処理について説明し、「営業エリアの変更例」の項では運営の形態として「営業エリア」を変更する具体例について説明する。
【0069】
また、以下の説明において、例えば、チェーン本部A2と対象店舗A1との間でやり取りされるデータ(情報)は、実際には、店舗支援システム1と、オーナB1が使用する情報端末31又はPOSシステム32との間で送受信されている。より詳細には、個々の情報端末31等には、専用のアプリケーションソフト(プログラム)がインストールされており、このアプリケーションソフトを起動することにより、店舗支援システム1等との間でデータ(情報)の送受信が行われる。
【0070】
言い換えれば、本実施形態に係る店舗支援方法は、コンピュータシステムのグラフィカルユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)上で用いられる。つまり、店舗支援方法は、コンピュータシステムを主構成とする情報端末31又はPOSシステム32にて、特定の操作画面を表示し、この操作画面上にてオーナB1又は店員C1等の操作を受け付ける。これにより、以下に説明するような、例えば、チェーン本部A2と対象店舗A1との間でのデータ(情報)のやり取りが、実現される。
【0071】
(2.3.1)基本シーケンス
本実施形態に係る店舗支援方法は、基本的には、
図2に示すように、資源情報D1に基づいて、対象店舗A1に対して運営の形態を推奨情報D10として提案する。つまり、店舗支援システム1としては、出力部12にて、対象店舗A1の営業に必要な資源に関する資源情報D1に基づいて、対象店舗A1の運営の形態に関する推奨情報D10を求めて出力する出力処理を実行する。
【0072】
また、本実施形態では、上述したように、出力処理では、資源情報D1だけでなく、要因情報D2、経営予測情報D3及び制約情報D4にも基づいて、推奨情報D10を求める。そのため、このような出力処理にて求まる推奨情報D10は、資源情報D1に加えて、要因情報D2、経営予測情報D3及び制約情報D4が反映されることになる。
【0073】
図2の例では、資源情報D1、要因情報D2、経営予測情報D3及び制約情報D4の4つの情報に基づいて、対象店舗A1の運営の形態として平日の「営業時間」を推奨情報D10にて提案する様子を、概念的に表している。
図2に例示するように、資源情報D1、要因情報D2、経営予測情報D3及び制約情報D4から導出される推奨情報D10によれば、対象店舗A1に推奨し得る運営の形態として、平日の「営業時間」について「6時から23時」にすることが提案される。これにより、対象店舗A1では、推奨情報D10を受けて、平日の「営業時間」について、現時点では「24時間営業」であるのに対して、対象期間においては「6時から23時」にすることが推奨される。
【0074】
このように、本実施形態では、推奨情報D10は、営業時間情報を含んでいる。営業時間情報は、対象店舗A1において営業を行う営業時間に関する運営の形態を示す情報である。具体的には、上記の例では、開店時刻が「6時」、閉店時刻が「23時」であることとして、開店時刻及び閉店時刻の組み合わせが営業時間情報として、推奨情報D10に含まれる。
【0075】
出力部12は、求めた推奨情報D10を、例えば、チェーン本部A2から対象店舗A1に出力(送信)される。具体的には、推奨情報D10は、一例として、店舗支援システム1の通信部20から、対象店舗A1のオーナB1が使用する情報端末31に送信されることにより、対象店舗A1に出力される。これにより、対象店舗A1のオーナB1が、推奨情報D10を参照して、対象期間における対象店舗A1の運営の形態を決定することが可能である。ただし、この場合に、推奨情報D10で推奨される運営の形態を採用するか否かは、例えば、オーナB1の裁量であって、推奨情報D10で推奨される運営の形態を採用しなくてもよい。つまり、上記の例においては、平日の「営業時間」について、「6時から23時」にすることを推奨する推奨情報D10を受けた対象店舗A1であっても、オーナB1の判断により、現時点の「24時間営業」を継続的に採用してもよい。
【0076】
さらに、本実施形態に係る店舗支援方法は、作業割当部19にて、推奨情報D10に合わせて、対象店舗A1の作業者(店員C1)に対する作業の割り当てを行う。このとき、作業割当部19が行う作業の割り当ての態様には、例えば、データの出力、送信、表示、音声出力、非一時的記録媒体への記録書き込み)及び印刷(プリントアウト)等が含まれる。本実施形態では一例として、作業割当部19は、店員C1が使用する店員端末に対して、作業指示を配信(送信)することにより、作業を作業者(店員C1)に割り当てる。
【0077】
図3は、本実施形態に係る店舗支援方法の基本シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【0078】
すなわち、本実施形態に係る店舗支援方法は、まず取得部11にて、対象店舗A1の営業に必要な資源に関する資源情報D1を取得する取得処理を実行する(S1)。このとき取得される資源情報D1は、対象店舗A1の運営の形態の提案の対象となる「対象期間」、つまり「2020年2月17日」から「2020年2月21日」までの5日間についての、資源情報D1である。具体的には、取得部11は、例えば、オーナB1の情報端末31等から、対象期間における対象店舗A1の営業に必要な「資源」である人員(店員C1)のシフトを、資源情報D1として少なくとも取得する。ここでいう「シフト」は、対象店舗A1で雇用されている店員C1ごとの勤務時間割である。
【0079】
次に、店舗支援方法は、要因取得部13にて、要因情報D2を取得する要因取得処理を実行する(S2)。要因情報D2は、上述したように、対象店舗A1の経営に影響する外的要因に関する情報ではありながらも、対象店舗A1においては操作不能(制御不能)な、対象店舗A1外から取得される客観的な情報である。具体的には、要因取得部13は、外部サーバ33から、対象期間における、対象店舗A1周辺でのイベントの開催状況、気象条件及び交通状況等の情報を、要因情報D2として取得する。
【0080】
次に、店舗支援方法は、予測取得部14にて、経営予測情報D3を取得する予測取得処理を実行する(S3)。経営予測情報D3は、上述したように、対象店舗A1の経営に関する経営指標の予測結果を含む情報である。具体的には、予測取得部14は、経営予測部15から、対象期間における、対象店舗A1の売上高(総売上高)等の予測結果からなる情報を、経営予測情報D3として取得する。
【0081】
次に、店舗支援方法は、対象店舗A1について制約情報D4が設定されているか否かを判断する(S4)。制約情報D4が設定されている場合には(S4:Yes)、店舗支援方法は、制約情報を取得する制約取得処理を実行する(S5)。制約情報D4は、上述したように、対象店舗A1に係る制約条件に関する情報である。具体的には、制約取得処理では、データ格納部21から、対象店舗A1について設定(登録)されている制約情報D4を取得する。制約情報D4が設定されていなければ(S4:No)、制約取得処理(S5)をスキップする。
【0082】
ここにおいて、制約情報D4は、オーナB1等が主観的に設定可能な制約条件であって、対象店舗A1として受容可能なリスク及び/又はコスト等を規定する情報である。つまり、対象店舗A1として受容可能な売上高及び客数等の最低値等が、制約情報D4にて規定される。一例として、対象店舗A1の前年同月の売上高を、対象店舗A1として受容可能な売上高の最低値として、制約情報D4にて規定することも可能である。
【0083】
本実施形態では、制約情報D4は、対象店舗A1の作業者(店員C1)に関する作業者情報についての条件を含む。ここでいう「作業者情報」は、対象店舗A1の店員C1に関する種々の情報を含み、一例として、店員C1の労働時間、人件費、作業負荷及び作業スキルに係る情報を含む。「作業スキル」は、融通の対象としての資源である店員C1に関して、作業の実行に要求されるスキルである。一例として、「作業スキル」は、店員C1に関して、初心者、レギュラ又はリーダ等で段階的に表される。あるいは、例えば、レジ対応の可否、棚卸の可否、又はホットスナックの補充の可否等のように、具体的に作業の可否によって「作業スキル」が表される。このような作業者情報についての条件として、制約情報D4は、例えば、店員C1の労働時間の上限値が5時間、作業負荷の上限値が「50」、といった条件を含む。このような制約情報D4によれば、例えば、作業者(店員C1)に対する負担が大きくなりすぎることによる、作業者のモチベーションの低下を抑制しやすい。
【0084】
さらに、制約情報D4は、対象店舗A1のコア営業時間及び/又はコア営業エリア等を規定する情報を含み得る。コア営業時間は、対象エリアA1が営業する上でコアとなる営業時間(時間帯)であって、対象店舗A1の営業時間は、コア営業時間を必ず含むこととする。コア営業エリアは、対象エリアA1が営業する上でコアとなる営業エリアであって、対象店舗A1の営業エリアは、コア営業エリアを必ず含むこととする。コア営業時間及びコア営業エリアが規定されることは、対象店舗A1の営業が社会的に期待される最低限の営業時間及び営業エリアを担保し、対象店舗A1の社会的な信用及び印象を守ることになるため、対象店舗A1として需要可能なリスクの規定につながる。つまり、社会的には、コア営業時間及びコア営業エリアが規定されれば、対象店舗A1で販売されている飲食料品及び日用品等が、この時間、このエリアで入手し得るという期待が担保される。
【0085】
次に、店舗支援方法は、出力部12にて、推奨情報D10を導出し(S6)、導出した推奨情報D10を出力する出力処理を実行する(S7)。推奨情報D10は、一例として、店舗支援システム1の通信部20から、対象店舗A1のオーナB1が使用する情報端末31に送信されることにより、対象店舗A1に出力される。このとき、出力部12では、処理S1~S3で取得された資源情報D1、要因情報D2及び経営予測情報D3に基づいて、推奨情報D10を導出する。また、処理S5で制約情報D4を取得している場合には、出力部12では、資源情報D1、要因情報D2、経営予測情報D3及び制約情報D4に基づいて、推奨情報D10を導出する。
【0086】
一例として、対象店舗A1において、資源情報D1で表される対象期間における、深夜時間帯の店員C1の人数が、対象店舗A1周辺でのイベントの開催状況、気象条件及び交通状況等の要因情報D2から推定される来客数に照らして、不足していると仮定する。さらに、経営予測情報D3に含まれている対象期間における深夜時間帯の売上高の予測結果が、資源情報D1から求まる人件費に比較して十分ではないと仮定する。さらに、制約情報D4にて定められている店員C1の作業負荷の上限値に照らすと、対象店舗A1においては、深夜時間帯(23時から6時)は営業しないことが推奨されたと仮定する。このような場合に、「営業時間」について「6時から23時」にすることを推奨する推奨情報D10が生成される。
【0087】
次に、店舗支援方法は、運営パラメータの修正を受付部18にて受け付けたか否かを判断する(S8)。ここでいう「運営パラメータ」は、対象店舗A1の運営の形態に係る具体的なパラメータであって、例えば、運営の形態が「営業時間」であれば、開店時刻及び閉店時刻のそれぞれの値が「運営パラメータ」となる。すなわち、処理S7にて、推奨情報D10が出力された後、対象店舗A1のオーナB1は、推奨情報D10中の運営パラメータの修正を希望する場合には、情報端末31を操作して運営パラメータの修正を行う。運営パラメータの修正があれば(S8:Yes)、店舗支援方法では、推奨情報D10に運営パラメータの修正を反映することによって(S9)、運営パラメータを確定する(S10)。運営パラメータの修正がなければ(S8:No)、店舗支援方法では、処理S9をスキップして、運営パラメータを確定する(S10)。
【0088】
また、
図3に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は削除されてもよい。
【0089】
(2.3.2)経営予測処理
次に、経営予測情報D3の推定(予測)に係る経営予測処理について説明する。
【0090】
本実施形態では、経営予測情報D3を生成するための「経営予測処理」は、経営予測部15にて実行される処理である。ここで、経営予測処理では、機械学習された学習済みモデルを利用して、対象店舗A1の経営指標が予測される。
【0091】
すなわち、経営予測部15は、同一チェーンに属する(加盟する)多数の店舗A10の実績データにて機械学習された学習済みモデルを利用して、対象店舗A1の経営指標の予測を行う。具体的には、経営予測部15は、学習済みモデルを用いて、例えば要因情報D2及び運営情報を入力とし、経営予測情報D3を推定する。
【0092】
運営情報は、対象店舗A1の運営状況に関する情報であって、例えば、品揃え(商品構成)に関する情報、具体的には、商品カテゴリごとの、SKU(Stock Keeping Unit)数又はアイテム数等の情報を含む。さらに、運営情報は、例えば、対象店舗A1における購買傾向に関する情報、対象店舗A1の周辺環境、並びに対象店舗A1の立地及び間取り等に関する情報を含み得る。対象店舗A1の周辺環境の具体例としては、対象店舗A1から一定範囲(商圏)内における、総人口、年齢層別の人口、昼夜間の人口比、オフィス数、従業員数、駅の数、又は駅の利用者数等がある。また、対象店舗A1の周辺環境の具体例としては、対象店舗A1から一定範囲(商圏)内における、対象店舗A1の競合店の数及び種別、又は、競技場若しくはコンサートホール等の集客効果のある施設の数及び種別等もある。対象店舗A1の立地及び間取りの具体例としては、駐車場の有無、駐輪場の有無、駐車場台数、敷地面積、イートインスペースの有無、看板有無、又は幹線道路に面しているか否か等がある。
【0093】
一方、学習済みモデルの生成に用いられる実績データは、学習対象期間における、店舗A10の売上高、客単価、LTVの平均値、又は利益等に関連する情報である。学習対象期間は、現在に対して過去に設定される期間であって、例えば、1日単位、1週間単位又は1か月単位等、任意の単位で設定される。ここで、学習済みモデルの生成には、1以上の店舗A10の実績データが用いられる。学習済みモデルの生成には、複数の店舗A10の実績データが用いられることが好ましく、より好ましくは、同一チェーンに属する全店舗等の多数の店舗A10の実績データが用いられる。
【0094】
経営予測処理では、このような学習済みモデルを用いて、対象店舗A1の経営指標に関する経営予測情報D3が生成される。経営予測処理では店舗A10ごとに経営予測情報D3が生成されるので、経営予測処理では、少なくともある対象店舗A1の要因情報D2及び運営情報を入力とし、学習済みモデルを用いて、この対象店舗A1の経営指標を予測する。
【0095】
需要予測処理に用いられる運営情報は、対象店舗A1に設置された各種センサ(カメラを含む)の検知結果、及びストアコンピュータ又はPOSシステム32等から、通信部20が収集する情報により特定可能である。また、学習済みモデルの生成(機械学習)に用いられる実績データについても、各対象店舗A1のストアコンピュータ又はPOSシステム32等から、通信部20が適宜収集可能である。
【0096】
特に、本実施形態においては、経営予測処理では、要因情報D2を用いて、経営指標を予測する。要因情報D2は、対象店舗A1外から取得される情報であって対象店舗A1の経営に影響する外的要因に関する情報である。すなわち、経営予測処理では、例えば、対象店舗A1周辺でのイベントの開催状況、気象条件及び交通状況等のように、時々刻々と変化し得る情報でありながら、対象店舗A1の経営に影響する外的要因を考慮して、経営指標を予測する。したがって、経営予測処理での経営指標の予測精度の向上を図ることができる。
【0097】
また、本実施形態においては、経営予測処理では、推奨情報D10に従って対象店舗A1が運営された場合の、経営指標を予測する。つまり、推奨情報D10に従って対象店舗A1が運営されたと仮定した場合の、対象店舗A1の経営に関する経営指標が、経営予測処理にて予測される。推奨情報D10は、対象店舗A1の運営の形態に関する情報であるところ、対象店舗A1の運営の形態が変われば、予測される対象店舗A1の経営指標も変化する。一例として、対象店舗A1の営業時間が短くなれば、一般的には、予測される対象店舗A1の売上高も低くなる。そこで、本実施形態では、推奨情報D10が表す運営の形態を対象店舗A1が採用したと仮定した場合の、対象店舗A1の経営指標を予測する。その結果、経営予測処理での経営指標の予測精度の向上を図ることができる。厳密には、オーナB1等による運営パラメータの修正があった場合には、修正後の推奨情報D10、つまり確定した運営パラメータに基づいて、対象店舗A1の経営指標が予測される。
【0098】
ところで、例えば、コンビニエンスストアのように、店舗支援方法が適用され得る店舗A10の数が、100店以上、1000店以上、又は10000店以上といった多数になり得る場合、学習済みモデルを用いた経営指標の予測は特に有用である。
【0099】
すなわち、通常、多数の店舗A10は個々別々の条件の下で営業しているのであって、これら多数の店舗A10にわたる膨大な量の情報を、ある特定の対象店舗A1向けに反映するには、人の処理能力を遥かに上回る演算等が必要となり、人では到底実現し得ない。しかも、これらの多数の店舗A10の運営及び経営に関する情報は、時間経過に伴って(例えば季節ごとに)随時変動するところ、多数の店舗A10の最新の情報を考慮して需要予測をアップデートすることなど、人では到底なし得ない。さらに、このような膨大かつ変動する情報を処理する処理は、人は勿論のこと、一般的な情報処理装置であっても困難である。
【0100】
本実施形態に係る店舗支援方法では、経営予測処理で使用される学習済みモデルの機械学習に、多数の店舗A10に関する情報(実績データ等)が用いられるのであって、上述したような膨大かつ変動する情報であっても処理し得る。むしろ、機械学習においては、訓練データのデータ量が多いほどに、生成される学習済みモデルの精度の向上が期待できるので、多数の店舗A10の情報を訓練データとして用いることは好都合である。このように、多数の店舗A10を展開し得る業態においては、本実施形態に係る店舗支援方法は特に有用である。
【0101】
(2.3.3)更新処理
次に、推奨情報D10の更新に係る処理について説明する。
図4は、本実施形態に係る店舗支援方法の更新処理の全体像を模式的に表す概略図である。
【0102】
すなわち、
図4に示すように、資源情報D1、要因情報D2、経営予測情報D3及び制約情報D4の4つの情報に基づいて、推奨情報D10が生成される(矢印F1~F4)。推奨情報D10の生成については「(2.3.1)基本シーケンス」で説明した通りである。
【0103】
そして、生成された推奨情報D10は、オーナB1等による運営パラメータの修正を適宜受けて(矢印F5)、運営パラメータD11が確定する。確定した運営パラメータD11は、経営予測部15に入力される(矢印F6)。「(2.3.2)経営予測処理」で説明したように、経営予測部15は、運営パラメータD11に加えて、要因情報D2(矢印F7)も用いて、経営指標を予測して経営予測情報D3を生成する(矢印F8)。このとき、経営予測部15は、推奨情報D10に従って対象店舗A1が運営された場合の、対象店舗A1の経営に関する経営指標を予測する。厳密には、オーナB1等による運営パラメータの修正があった場合には、修正後の推奨情報D10に従って対象店舗A1が運営されたと仮定した場合の、対象店舗A1の経営に関する経営指標が予測される。
【0104】
このようにして生成された経営予測情報D3は、例えば、オーナB1が使用する情報端末31に送信される(矢印F9)。これにより、オーナB1は、情報端末31にて、推奨情報D10に従って対象店舗A1が運営されたと仮定した場合の、対象店舗A1の経営に関する経営指標を確認することが可能となる。そして、オーナB1は、経営指標を確認した上で、運営パラメータを修正してもよいし、制約情報D4を設定してもよい(矢印F10)。
【0105】
そして、上述した一連の処理によれば、推奨情報D10を出発点にして、新たに経営予測情報D3が生成される。また、推奨情報D10を出発点にして、新たに制約情報D4が生成されることもある。そのため、新たに生成された経営予測情報D3(及び制約情報D4)に基づいて、推奨情報D10が生成可能となる。このように、推奨情報D10は、固定的な情報ではなく、推奨情報D10に基づいて生成された情報(経営予測情報D3)がフィードバックされることで、随時更新されることになる。推奨情報D10の更新の周期は、例えば、数分、1時間、3時間、6時間、24時間、1週間、1カ月又は1年等、適宜選択される。
【0106】
(2.3.4)営業エリアの変更例
次に、対象店舗A1の運営の形態として「営業エリア」を変更する具体例について、
図5A及び
図5Bを参照して説明する。
【0107】
図5A及び
図5Bは、対象店舗A1の見取り図であって、セルフ精算装置及びサービス提供端末等の、対象店舗A1に設置されている各種の設備を模式的に表している。また、
図5A及び
図5Bにおける斜線領域は、顧客C2目線において、閉鎖されたエリア、つまり進入又はアクセスが禁止されたエリアを意味している。つまり、対象店舗A1において、
図5A及び
図5Bの斜線領域以外の領域が、顧客C2に開放された「営業エリア」である。
【0108】
図5A及び
図5Bの例では、対象店舗A1の内部は、バックヤードA101、カウンタエリアA102、トイレA103、イートインスペースA104(グローサラントエリア)及びショッピングエリアA105を含む、複数の小エリアに区画されている。
【0109】
図5Aは、営業エリアが、対象店舗A1内におけるバックヤードA101以外の全域である状況を表している。つまり、カウンタエリアA102、トイレA103、イートインスペースA104及びショッピングエリアA105が全て、営業エリアとして顧客C2に開放される運営の形態では、
図5Aに示すように、顧客C2は、対象店舗A1内の全てのサービスを利用できる。このとき、カウンタエリアA102も営業エリアとして開放されているので、顧客C2は、カウンタエリアA102内の店員C1の接客を受けることができ、対象店舗A1の運営の形態は「有人店舗」となる。
【0110】
一方、
図5Bは、対象店舗A1内におけるショッピングエリアA105のみが、営業エリアとして顧客C2に開放される状況を表している。つまり、バックヤードA101に加えて、カウンタエリアA102、トイレA103及びイートインスペースA104が全て、顧客C2目線では閉鎖され、営業エリアから外されている。このとき、カウンタエリアA102も閉鎖されているので、顧客C2は、カウンタエリアA102内の店員C1の接客を受けることができず、対象店舗A1の運営の形態は「無人店舗」となる。
【0111】
図5A及び
図5Bに示すような営業エリアの変更は、例えば、対象店舗A1内に設定された複数の小エリアの各々の入口のシャッタの開閉等によって実現可能である。ただし、シャッタ等は必須でなく、シャッタ等が無くても、例えば、張り紙等により顧客C2に認知させるだけでもよい。
【0112】
本実施形態では、推奨情報D10は、営業エリア情報を含んでいる。営業エリア情報は、対象店舗A1において営業を行う営業エリアに関する運営の形態を示す情報である。具体的には、上記の例では、カウンタエリアA102、トイレA103及びイートインスペースA104の各々について、顧客C2に開放される営業エリアに含めるか否かの指示が営業エリア情報として、推奨情報D10に含まれる。つまり、例えば、
図5Bに示す営業エリアを、対象店舗A1の運営の形態として推奨する場合には、ショッピングエリアA105のみが営業エリアであることを示す営業エリア情報が、推奨情報D10に含まれることになる。
【0113】
また、推奨情報D10は、営業エリア情報として、営業エリアの中でも、例えば、店員C1が商品の陳列、棚卸及び清掃等の作業を行うための作業エリアとなるエリアに関する情報を含んでいてもよい。つまり、営業エリアには、顧客C2には開放せず、店員C1には開放するような、作業エリアとしての性質を有するエリアが含まれてもよく、このような作業エリアに関する運営の形態を示す情報を、推奨情報D10が営業エリア情報として含んでいてもよい。一例として、ショッピングエリアA105の一部が作業エリアであることを示す営業エリア情報が、推奨情報D10に含まれ得る。これにより、顧客C2対応等のための資源(店員C1)の必要量を抑えながら、対象店舗A1の作業に資源(店員C1)を充てて、効率的な対象店舗A1の営業が可能となる。
【0114】
作業エリアと同様の考え方は営業時間にも適用可能である。すなわち、推奨情報D10は、営業時間情報として、営業時間の中でも、例えば、店員C1が商品の陳列、棚卸及び清掃等の作業を行うための作業時間となる時間帯に関する情報を含んでいてもよい。つまり、営業時間には、顧客C2には開放せず、店員C1には開放するような、作業時間としての性質を有する時間帯が含まれてもよく、このような作業時間に関する運営の形態を示す情報を、推奨情報D10が営業時間情報として含んでいてもよい。一例として、対象店舗A1が顧客C2に開放される時間帯の前後の各1時間が作業時間であることを示す営業時間情報が、推奨情報D10に含まれ得る。
【0115】
また、営業時間の変更と、営業エリアの変更とは、1つの推奨情報D10により一緒に提案されてもよい。
【0116】
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、本開示で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態1に係る店舗支援方法と同様の機能は、店舗支援システム1、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るプログラムは、実施形態1に係る店舗支援方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0117】
また、実施形態1では、店舗支援方法として、取得処理及び出力処理を最小限の処理とするように説明したが、これに限らず、店舗支援方法は、予測取得処理及び出力処理を最小限の処理としてもよい。すなわち、店舗支援方法は、資源情報D1を取得する取得処理に代えて、経営指標の予測結果を含む経営予測情報D3を取得する予測取得処理を採用してもよい。この場合、出力処理においても、推奨情報D10を、資源情報D1に代えて、経営予測情報D3に基づいて求めることになる。
【0118】
要するに、実施形態1の第1変形例に係る店舗支援方法は、予測取得処理と、出力処理と、を有する。予測取得処理では、経営予測情報D3を取得する。経営予測情報D3は、対象店舗A1の経営に関する経営指標の予測結果を含む情報である。対象店舗A1は、特定の店舗A10である。出力処理では、推奨情報D10を、経営予測情報D3に基づいて求めて出力する。推奨情報D10は、対象店舗A1の運営の形態に関する情報であって、対象店舗A1に推奨し得る情報である。
【0119】
また、実施形態1の第1変形例に係る店舗支援方法については、一例として、第1変形例に係る店舗支援システム1にて実行される。実施形態1の第1変形例に係る店舗支援システム1は、予測取得部14と、出力部12と、を備えている。予測取得部14は、経営予測情報D3を取得する。経営予測情報D3は、特定の店舗である対象店舗A1の経営に関する経営指標の予測結果を含む情報である。対象店舗A1は、特定の店舗A10である。出力部12は、推奨情報D10を、経営予測情報D3に基づいて求めて出力する。推奨情報D10は、対象店舗A1の運営の形態に関する情報であって、対象店舗A1に推奨し得る情報である。
【0120】
実施形態1の第1変形例に係る店舗支援方法と同様の機能は、店舗支援システム1に限らず、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0121】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0122】
本開示における店舗支援システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における店舗支援システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0123】
また、店舗支援システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは店舗支援システム1に必須の構成ではない。店舗支援システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、店舗支援システム1の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよいし、店舗支援システム1の機能は、クラウド(又はサーバ)及びエッジに分散して実現されてもよい。
【0124】
一例として、店舗支援システム1の機能が、各対象店舗A1のストアコンピュータに分散して設けられている場合、チェーン本部A2を介さずとも、各対象店舗A1間で、推奨情報D10の出力が可能となる。
【0125】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている店舗支援システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、チェーン本部A2に設置されたサーバ装置と情報端末31とに分散されている店舗支援システム1の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0126】
また、店舗支援システム1の用途はコンビニエンスストアに限らず、コンビニエンスストア以外の対象店舗A1に店舗支援システム1が導入されていてもよい。
【0127】
また、対象店舗A1での商品の販売形態は、実施形態1のように、複数の商品が店内に陳列された状態で販売される形態に限らない。例えば、対象店舗A1が、修理店又は保険代理店等のように、サービスを提供するような業態である場合には、商品の販売は行われない。さらに、複数の商品が店内に陳列された状態で販売される形態であっても、例えば、セルフレジ(Self-checkout)等を用いることにより、顧客C2が店員C1を介さずに精算を行う販売形態であってもよい。
【0128】
また、需要予測のための学習済みモデルの生成に用いられる訓練データは、1以上の店舗A10についての実績データを含んでいればよい。ここで、訓練データが抽出される1以上の店舗A10は、対象店舗A1を含んでいてもよいし、対象店舗A1を含まなくてもよい。つまり、前者の場合、対象店舗A1を含む1以上の店舗A10から抽出される訓練データを用いて、学習済みモデルが生成されることになる。
【0129】
また、経営予測部15が、学習済みモデルを用いて対象店舗A1の経営指標の予測を行う経営予測処理において、要因情報D2及び運営情報を入力とすることは必須ではない。一例として、経営予測部15は、単に日時情報(カレンダ情報を含む)を入力として経営指標の予測を実行してもよい。この場合、例えば、過去の実績(傾向)から、金曜日は売上が相対的に高く、土曜日及び日曜日は売上が相対的に低い等の簡易な経営指標の予測が可能である。
【0130】
また、経営予測処理では、機械学習された学習済みモデルを利用することは必須ではない。例えば、経営予測処理においては、単に、対象店舗A1の過去の実績(履歴)に基づく統計処理等に基づいて、対象店舗A1の経営指標が予測されてよい。
【0131】
また、実施形態1において店舗支援システム1で行っている一部の処理については、人が行ってもよい。一例として、経営指標の予測結果に基づいて推奨情報D10を更新する更新処理については、更新部16に代えて、人が行ってもよい。
【0132】
また、実施形態1では、外部サーバ33は、対象店舗A1でもチェーン本部A2でもない第三者が管理する施設に設置されているが、この構成に限らない。すなわち、外部サーバ33は、外的要因に関する要因情報D2を管理していればよく、第三者が管理する施設に限らず、例えば、チェーン本部A2等に設置されていてもよい。この場合でも、要因取得部13は、対象店舗A1外から取得される情報であって外的要因に関する要因情報D2を、外部サーバ33から取得することになる。さらに、外部サーバ33は、単体のサーバ装置に限らず、例えば、複数のサーバ装置で実現されてもよいし、クラウド(クラウドコンピューティング)等のサーバ装置以外の外部システムで実現されてもよい。
【0133】
また、店舗支援方法での対象店舗A1の運営の形態の提案の対象となる「対象期間」は、現在に対して将来に設定される期間に限らない。すなわち、「対象期間」は、現在、又は現在に対して過去に設定される期間であってもよい。対象期間が現在である場合、店舗支援方法では、現在、対象店舗A1について推奨し得る運営の形態を推奨情報D10として出力する。対象期間が現在又は過去の期間であれば、対象店舗A1についての推奨が現在又は過去にさかのぼって行われるので、例えば、対象店舗A1のオーナB1は、対象店舗A1の運営の形態の評価(振り返り)及び分析を行うことができる。そのため、対象店舗A1のオーナB1は、例えば、店員C1の増減、又は、店舗A10の新規出店、撤退若しくは改装等の、中長期的な資源の見直しの参考として、推奨情報D10を用いることができる。一例として、推奨情報D10として、ある営業エリアの縮小が繰り返し推奨される場合、この営業エリアをリニューアルして別のサービスに利用する等、運営の見直しに役立てることができる。さらに、対象期間が、現在、又は現在に対して過去に設定される期間である場合、取得部11は、現在、又は現在に対して過去に設定される対象期間について、資源に関する資源情報D1を取得する。
【0134】
また、資源情報D1で表される「資源」は、人員(店員C1)に限らず、物品であってもよいし、電力、ガス又は水道水等のライフラインを通して供給される資源を含んでいてもよい。資源は、有体物に限らず、権利(チケットの販売権等)又は電力等の無対物であってもよい。
【0135】
また、実施形態1では、資源情報D1にて表される現状の資源に見合った運営の形態を対象店舗A1に提案する態様について説明したが、この例に限らず、資源の補充又は削減等の調整を行った上で、運営の形態を対象店舗A1に提案してもよい。
【0136】
(実施形態2)
本実施形態に係る店舗支援方法は、
図6に示すように、推奨情報D10に従って店舗設備34を制御する点で、実施形態1に係る店舗支援方法と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0137】
本実施形態では、ネットワークNT1には、店舗設備34が、直接的に、又はストアコンピュータ等を介して間接的に接続されている。これにより、本実施形態に係る店舗支援システム1Aは、ネットワークNT1を介して、情報端末31、POSシステム32及び外部サーバ33に加えて、店舗設備34とも通信可能である。
【0138】
図6の例では、対象店舗A1には、1台以上の店舗設備34が設置されている。店舗設備34は、対象店舗A1において、店員C1及び顧客C2の利用に供する種々の設備(機器、装置及びシステムを含む)であって、可搬型の設備及び据え置き型の設備を含む。店舗設備34の例としては、デジタルサイネージ、照明装置、マルチコピー機、自動扉、シャッタ、現金自動預け払い機又は給湯ポット等の設備がある。店舗設備34は、上述したように、直接的に、又はストアコンピュータ等を介して間接的に、ネットワークNT1に接続されているため、ネットワークNT1経由で、店舗支援システム1Aと通信可能である。
【0139】
本実施形態では、出力部12は、推奨情報D10を出力することで、対象店舗A1の店舗設備34を推奨情報D10に従って制御する。店舗設備34の制御は、出力部12が直接的に行ってもよいし、例えば、対象店舗A1のストアコンピュータ等を介して出力部12が間接的に行ってもよい。後者の場合、出力部12は、対象店舗A1のストアコンピュータ等に推奨情報D10を出力(送信)することで、ストアコンピュータ等に店舗設備34を制御させることになる。すなわち、本実施形態に係る店舗支援システム1Aでは、出力部12は、推奨情報D10の出力の一態様として、推奨情報D10に従った店舗設備34の制御を行う。言い換えれば、推奨情報D10に従った店舗設備34の制御もまた、情報端末31への推奨情報D10の出力(送信)等と同様に、店舗支援方法における出力処理の一態様である。
【0140】
具体的には、出力部12は、推奨情報D10で表される対象店舗A1の運営の形態に合わせて店舗設備34が作動するように、推奨情報D10に従って店舗設備34を制御する。
【0141】
一例として、推奨情報D10にて、対象店舗A1における運営の形態に含まれる平日の「営業時間」の変更を提案する場合、出力部12は、変更後の「営業時間」に合わせてデジタルサイネージからなる店舗設備34が作動するように店舗設備34を制御する。例えば、平日の「営業時間」について、現時点では「24時間営業」であるのに対して、対象期間においては「6時から23時」にすることを推奨情報D10にて提案する場合を想定する。この場合、出力部12は、対象期間において、デジタルサイネージからなる店舗設備34が「営業時間」として「6時から23時」であることを表示するように、推奨情報D10に従って店舗設備34を制御する。さらに、この場合に、出力部12は、対象期間において、「6時から23時」という営業時間に合わせて、照明装置、マルチコピー機、自動扉、シャッタ、現金自動預け払い機又は給湯ポット等の、デジタルサイネージ以外の店舗設備34を制御してもよい。
【0142】
他の例として、推奨情報D10にて、対象店舗A1における運営の形態に含まれる「営業エリア」の変更を提案する場合、出力部12は、変更後の「営業エリア」に合わせて照明設備及びシャッタからなる店舗設備34が作動するように店舗設備34を制御する。例えば、20時以降の「営業エリア」について、現時点ではイートインスペースA104が「開放」であるのに対して、対象期間においてはイートインスペースA104を「閉鎖」することを推奨情報D10にて提案する場合を想定する。この場合、出力部12は、対象期間において、20時以降はイートインスペースA104の照明設備が消灯し、イートインスペースA104の入口のシャッタが閉まるように、推奨情報D10に従って照明設備及びシャッタからなる店舗設備34を制御する。さらに、この場合に、出力部12は、対象期間において、営業エリアに合わせて、デジタルサイネージ、マルチコピー機、自動扉、現金自動預け払い機又は給湯ポット等の、照明設備及びシャッタ以外の店舗設備34を制御してもよい。
【0143】
実施形態2の変形例として、店舗設備34の制御に用いる推奨情報D10は、修正後の推奨情報D10、つまり、オーナB1等によって修正された運営パラメータD11であってもよい。要するに、出力部12は、オーナB1等によって修正された運営パラメータD11に従って、店舗設備34を制御してもよい。
【0144】
実施形態2で説明した種々の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0145】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る店舗支援方法は、取得処理と、出力処理と、を有する。取得処理では、資源情報(D1)を取得する。資源情報(D1)は、対象店舗(A1)の営業に必要な資源に関する情報である。対象店舗(A1)は、特定の店舗(A10)である。出力処理では、推奨情報(D10)を、資源情報(D1)に基づいて求めて出力する。推奨情報(D10)は、対象店舗(A1)の運営の形態に関する情報であって、対象店舗(A1)に推奨し得る情報である。
【0146】
この態様によれば、資源情報(D1)に基づいて、対象店舗(A1)に対して運営の形態を提案することにより、対象店舗(A1)での営業に支障が生じにくくすることができる。要するに、対象店舗(A1)の現状に見合った適切な運営の形態の提案があれば、対象店舗(A1)においては、営業エリア又は営業時間等の運営の形態を柔軟に変更しやすくなり、対象店舗(A1)の営業に用いられる資源について不足が生じにくくなる。つまり、店舗支援方法によれば、例えば、対象店舗(A1)における営業エリア又は営業時間等の運営の形態を調整することで、有限の資源でありながらも、対象店舗(A1)での営業に支障が生じにくい、という利点がある。
【0147】
第2の態様に係る店舗支援方法では、第1の態様において、要因取得処理を更に有する。要因取得処理では、対象店舗(A1)外から取得される情報であって対象店舗(A1)の経営に影響する外的要因に関する要因情報(D2)を取得する。推奨情報(D10)には、資源情報(D1)に加えて要因情報(D2)が反映される。
【0148】
この態様によれば、外的要因を考慮した、より適切な運営の形態の提案が可能となる。
【0149】
第3の態様に係る店舗支援方法では、第1又は2の態様において、予測取得処理を更に有する。予測取得処理では、対象店舗(A1)の経営に関する経営指標の予測結果を含む経営予測情報(D3)を取得する。推奨情報(D10)には、資源情報(D1)に加えて経営予測情報(D3)が反映される。
【0150】
この態様によれば、経営指標の予測結果を考慮した、より適切な運営の形態の提案が可能となる。
【0151】
第4の態様に係る店舗支援方法では、第1~3のいずれかの態様において、経営予測処理と、更新処理と、を更に有する。経営予測処理では、推奨情報(D10)に従って対象店舗(A1)が運営された場合の対象店舗(A1)の経営に関する経営指標を予測する。更新処理では、経営指標の予測結果に基づいて推奨情報(D10)を更新する。
【0152】
この態様によれば、推奨情報(D10)を適宜更新して、より適切な運営の形態の提案が可能となる。
【0153】
第5の態様に係る店舗支援方法は、第4の態様において、経営予測処理では、対象店舗(A1)外から取得される情報であって対象店舗(A1)の経営に影響する外的要因に関する要因情報(D2)を用いて、経営指標を予測する。
【0154】
この態様によれば、外的要因が考慮されることで、経営指標の予測精度の向上を図ることができる。
【0155】
第6の態様に係る店舗支援方法では、第1~5のいずれかの態様において、設定処理を更に有する。設定処理では、対象店舗(A1)に係る制約条件に関する制約情報(D4)を設定する。推奨情報(D10)には、資源情報(D1)に加えて制約情報(D4)が反映される。
【0156】
この態様によれば、制約条件を考慮した、より適切な運営の形態の提案が可能となる。
【0157】
第7の態様に係る店舗支援方法では、第6の態様において、制約情報(D4)は、対象店舗(A1)の作業者(店員C1)に関する作業者情報についての条件を含む。
【0158】
この態様によれば、作業者に関する制約条件を考慮した、より適切な運営の形態の提案が可能となる。
【0159】
第8の態様に係る店舗支援方法では、第1~7のいずれかの態様において、推奨情報(D10)は、対象店舗(A1)において営業を行う営業エリアに関する運営の形態を示す営業エリア情報を含む。
【0160】
この態様によれば、対象店舗(A1)の経営への影響が比較的大きい営業エリアについて、適切な提案が可能となる。
【0161】
第9の態様に係る店舗支援方法では、第1~8のいずれかの態様において、推奨情報(D10)は、対象店舗(A1)において営業を行う営業時間に関する運営の形態を示す営業時間情報を含む。
【0162】
この態様によれば、対象店舗(A1)の経営への影響が比較的大きい営業時間について、適切な提案が可能となる。
【0163】
第10の態様に係る店舗支援方法では、第1~9のいずれかの態様において、作業割当処理を更に有する。作業割当処理では、推奨情報(D10)に合わせて、対象店舗(A1)の作業者(店員C1)に対する作業の割り当てを行う。
【0164】
この態様によれば、提案する運営の形態に合わせた、作業の割り当てが可能となる。
【0165】
第11の態様に係る店舗支援方法は、予測取得処理と、出力処理と、を有する。予測取得処理では、経営予測情報(D3)を取得する。経営予測情報(D3)は、対象店舗(A1)の経営に関する経営指標の予測結果を含む情報である。対象店舗(A1)は、特定の店舗である。出力処理では、推奨情報(D10)を、経営予測情報(D3)に基づいて求めて出力する。推奨情報(D10)は、対象店舗(A1)の運営の形態に関する情報であって、対象店舗(A1)に推奨し得る情報である。
【0166】
この態様によれば、対象店舗(A1)での営業に支障が生じにくい、という利点がある。
【0167】
第12の態様に係るプログラムは、第1~11のいずれかの態様に係る店舗支援方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0168】
この態様によれば、対象店舗(A1)での営業に支障が生じにくい、という利点がある。
【0169】
第13の態様に係る店舗支援システム(1,1A)は、取得部(11)と、出力部(12)と、を有する。取得部(11)は、資源情報(D1)を取得する。資源情報(D1)は、対象店舗(A1)の営業に必要な資源に関する情報である。対象店舗(A1)は、特定の店舗である。出力部(12)は、推奨情報(D10)を、資源情報(D1)に基づいて求めて出力する。推奨情報(D10)は、対象店舗(A1)の運営の形態に関する情報であって、対象店舗(A1)に推奨し得る情報である。
【0170】
この態様によれば、対象店舗(A1)での営業に支障が生じにくい、という利点がある。
【0171】
第14の態様に係る店舗支援システム(1,1A)は、予測取得部(14)と、出力部(12)と、を有する。予測取得部(14)は、経営予測情報(D3)を取得する。経営予測情報(D3)は、対象店舗(A1)の経営に関する経営指標の予測結果を含む情報である。対象店舗(A1)は、特定の店舗である。出力部(12)は、推奨情報(D10)を、経営予測情報(D3)に基づいて求めて出力する。推奨情報(D10)は、対象店舗(A1)の運営の形態に関する情報であって、対象店舗(A1)に推奨し得る情報である。
【0172】
この態様によれば、対象店舗(A1)での営業に支障が生じにくい、という利点がある。
【0173】
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係る店舗支援方法の種々の態様(変形例を含む)は、店舗支援システム(1,1A)、プログラム及びプログラムを記録した非一時的記録媒体にて具現化可能である。
【0174】
第2~10の態様に係る構成については、店舗支援方法に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0175】
1,1A 店舗支援システム
11 取得部
12 出力部
14 予測取得部
A1 対象店舗
A10 店舗
C1 店員(作業者)
D1 資源情報
D2 要因情報
D3 経営予測情報
D4 制約情報
D10 推奨情報