IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7499471覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム
<>
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図1
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図2
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図3
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図4
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図5
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図6
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図7
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図8
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図9
  • 特許-覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/00 20060101AFI20240607BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A61M21/00 B
A61B5/16 130
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020113585
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022012052
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 喜昭
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-215934(JP,A)
【文献】特開2006-174967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 21/00
A61B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示制御部と応答取得部と覚醒確認部とを備える覚醒促進システムで用いられる覚醒促進方法であって、
前記表示制御部が、表示部に、睡眠からの覚醒後のユーザの動体視力試験用の試験画像を表示させる表示制御ステップと、
前記応答取得部が、入力部に、前記試験画像に対する前記ユーザの応答を取得させる応答取得ステップと、
前記覚醒確認部が、前記ユーザの睡眠からの覚醒を確認する覚醒確認ステップと、
を含み、
前記表示制御ステップは、前記覚醒確認ステップの次に実行される、
覚醒促進方法。
【請求項2】
前記覚醒確認ステップは、前記ユーザへの特定の行動の要求を含む、
請求項1の覚醒促進方法。
【請求項3】
前記覚醒確認部が、前記ユーザの睡眠からの覚醒を誘導する覚醒誘導ステップを含み、
前記覚醒確認ステップは、前記覚醒誘導ステップの次に実行される、
請求項1又は2の覚醒促進方法。
【請求項4】
前記表示制御ステップと前記応答取得ステップとを含む試験ステップを複数回実行する繰り返しステップを含み、
次回の試験ステップの表示制御ステップでは、前記表示制御部が、前回の試験ステップの表示制御ステップとは動体視力試験の難易度が同じか異なる試験画像を表示する、
請求項1~3のいずれか一つの覚醒促進方法。
【請求項5】
前記次回の試験ステップの表示制御ステップでは、前記表示制御部が、前記前回の試験ステップの応答取得ステップで取得された前記応答が適切であることを確認し、前記前回の試験ステップの表示制御ステップよりも動体視力試験の難易度が高いか同じ試験画像を表示する、
請求項4の覚醒促進方法。
【請求項6】
前記次回の試験ステップの表示制御ステップでは、前記表示制御部が、前記前回の試験ステップの応答取得ステップで取得された前記応答が不適切であることを確認し、前記前回の試験ステップの表示制御ステップよりも動体視力試験の難易度が低いか同じ試験画像を表示する、
請求項4の覚醒促進方法。
【請求項7】
最初の試験ステップの表示制御ステップでは、前記表示制御部が、前記ユーザに対応するユーザ情報に基づく動体視力試験の難易度の試験画像を表示する、
請求項4~6のいずれか一つの覚醒促進方法。
【請求項8】
前記覚醒促進システムは、評価部を更に備え、
前記覚醒促進方法は、
前記評価部が、睡眠からの覚醒後のユーザの動体視力試験用の試験画像に対する前記ユーザの応答に基づいて、前記ユーザの動体視力の評価をする評価ステップを含む、
請求項1~7のいずれか一つの覚醒促進方法。
【請求項9】
前記評価ステップでは、前記評価部が、複数の前記試験画像に対する前記ユーザの複数の前記応答に基づいて、前記ユーザの動体視力の評価をし、
前記複数の試験画像は、動体視力試験の難易度が異なる2以上の試験画像を含む、
請求項8の覚醒促進方法。
【請求項10】
前記複数の試験画像は順番に表示され、
次回の試験画像の動体視力試験の難易度は、前回の試験画像に対する前記ユーザの応答に基づいて決定され、
前記評価ステップでは、前記評価部が、最後の試験画像に対する前記ユーザの応答に基づいて、前記ユーザの動体視力を決定する、
請求項9の覚醒促進方法。
【請求項11】
1以上のプロセッサに、請求項1~10のいずれか一つの覚醒促進方法を実行させる、
プログラム。
【請求項12】
表示部に、睡眠からの覚醒後のユーザの動体視力試験用の試験画像を表示させる表示制御部と、
入力部に、前記試験画像に対する前記ユーザの応答を取得させる応答取得部と、
前記ユーザの睡眠からの覚醒を確認する覚醒確認部と、
を備え、
前記表示制御部による前記試験画像の表示は、前記覚醒確認部による前記覚醒の確認の処理の次に実行される、
覚醒促進システム。
【請求項13】
前記覚醒確認部による確認の処理は、前記ユーザへの特定の行動の要求を含む、
請求項12の覚醒促進システム。
【請求項14】
前記ユーザの睡眠からの覚醒を誘導する覚醒誘導部を含み、
前記覚醒確認部による前記覚醒の確認の処理は、前記覚醒誘導部による前記覚醒の誘導の処理の次に実行される、
請求項12又は13の覚醒促進システム。
【請求項15】
前記表示制御部の動作と前記応答取得部の動作とが複数回実行され、
次回の表示制御部の動作では、前回の表示制御部の動作における動体視力試験の難易度が同じか異なる試験画像を表示する、
請求項12~14のいずれか一つの覚醒促進システム。
【請求項16】
前記次回の表示制御部の動作では、前記前回の応答取得部で取得された前記応答が適切であることを確認し、前記前回の表示制御部の動作で表示される試験画像よりも動体視力試験の難易度が高いか同じ試験画像を表示する、
請求項15の覚醒促進システム。
【請求項17】
前記次回の表示制御部の動作では、前記前回の応答取得部で取得された前記応答が不適切であることを確認し、前記前回の表示制御部の動作で表示される試験画像よりも動体視力試験の難易度が低いか同じ試験画像を表示する、
請求項15の覚醒促進システム。
【請求項18】
最初の表示制御部の動作では、前記ユーザに対応するユーザ情報に基づく動体視力試験の難易度の試験画像を表示する、
請求項15~17のいずれか一つの覚醒促進システム。
【請求項19】
睡眠からの覚醒後のユーザの動体視力試験用の試験画像に対する前記ユーザの応答に基づいて、前記ユーザの動体視力の評価をする評価部を更に備える、
請求項12~18のいずれか一つの覚醒促進システム。
【請求項20】
前記評価部は、複数の前記試験画像に対する前記ユーザの複数の前記応答に基づいて、前記ユーザの動体視力の評価をし、
前記複数の試験画像は、動体視力試験の難易度が異なる2以上の試験画像を含む、
請求項19の覚醒促進システム。
【請求項21】
前記複数の試験画像は順番に表示され、
次回の試験画像の動体視力試験の難易度は、前回の試験画像に対する前記ユーザの応答に基づいて決定され、
前記評価部は、最後の試験画像に対する前記ユーザの応答に基づいて、前記ユーザの動体視力を決定する、
請求項20の覚醒促進システム。
【請求項22】
ユーザの睡眠環境を制御する睡眠制御システムと、
請求項12~21のいずれか一つの覚醒促進システムと、
を備える、
睡眠管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システムに関する。本開示は、特に、ユーザの睡眠からの覚醒に関する覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び、睡眠管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、仮眠の回復値を増加させるためのシステム及び方法を開示する。特許文献1のシステムは、感覚刺激によって仮眠中の被験者における睡眠徐波(及び/又はEEGを使用して推定される徐波活動)を増強させる及び/又は維持することによって、仮眠の回復値を増加させるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-500968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムは、仮眠の回復値(仮眠の質)を高めることができる。しかしながら、仮眠の質が高くても、ユーザは仮眠(睡眠)後に直ぐに目覚めることができない場合が多い。
【0005】
課題は、睡眠から覚醒したユーザの覚醒度を高めることができる、覚醒促進方法、プログラム、覚醒促進システム、及び睡眠管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る一態様は、表示制御部と応答取得部と覚醒確認部とを備える覚醒促進システムで用いられる覚醒促進方法であって、前記表示制御部が、表示部に、睡眠からの覚醒後のユーザの動体視力試験用の試験画像を表示させる表示制御ステップと、前記応答取得部が、入力部に、前記試験画像に対する前記ユーザの応答を取得させる応答取得ステップと、前記覚醒確認部が、前記ユーザの睡眠からの覚醒を確認する覚醒確認ステップと、を含む。前記表示制御ステップは、前記覚醒確認ステップの次に実行される。
【0007】
本開示に係る一態様は、プログラムであって、1以上のプロセッサに、前記覚醒促進方法を実行させるための、プログラムである。
【0008】
本開示に係る一態様は、覚醒促進システムであって、表示部に、睡眠からの覚醒後のユーザの動体視力試験用の試験画像を表示させる表示制御部と、入力部に、前記試験画像に対する前記ユーザの応答を取得させる応答取得部と、前記ユーザの睡眠からの覚醒を確認する覚醒確認部と、を備える。前記表示制御部は、前記覚醒確認部の次に実行される。
【0009】
本開示に係る一態様は、睡眠管理システムであって、ユーザの睡眠環境を制御する睡眠制御システムと、前記覚醒促進システムと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の態様によれば、睡眠から覚醒したユーザの覚醒度を高めることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態の睡眠管理方法のフローチャートである。
図2図2は、前記睡眠管理方法で実行される覚醒促進方法の一部分のフローチャートである。
図3図3は、前記覚醒促進方法の残りの部分のフローチャートである。
図4図4は、前記睡眠管理方法を実施する睡眠管理システムのブロック図である。
図5図5は、前記睡眠管理システムの説明図である。
図6図6は、前記睡眠管理システムの説明図である。
図7図7は、前記覚醒促進方法で表示される試験画像の一例の図である。
図8図8は、前記覚醒促進方法で表示される試験画像の一例の図である。
図9図9は、前記覚醒促進方法で表示される試験画像の一例の図である。
図10図10は、変形例の睡眠管理システムの制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態
(1-1)概要
図1は、本実施形態の睡眠管理方法のフローチャートを示す。睡眠管理方法は、所定空間でのユーザの睡眠の管理に用いられる。
【0013】
所定空間は、施設、及び、移動体内の空間を含み得る。施設は、戸建て住宅や集合住宅等の住宅や、住宅以外の建物であってもよいし、住宅と非住宅(例えば商業施設)との複合施設であってもよい。施設は、1以上の建物だけではなく、建物とその建物が存在する敷地とを含んでいてもよい。施設の例としては、空港、駅や港等の交通機関の施設、工業施設(工場、倉庫等)、商業施設(ショッピングモール等)、宿泊施設(リゾートホテル等)、アミューズメント施設、MICE施設、統合型リゾート(Integrated Resort)施設が挙げられる。アミューズメント施設は、テーマパーク、遊園地、運動施設(競技場、水泳場、スケートリンク等)、コンサートホール、劇場、映画館、美術館を含み得る。統合型リゾートは、カジノのほかホテルや劇場、国際会議場や展示会場などのMICE施設、ショッピングモール等が集まった複合的な施設である。
【0014】
移動体の例としては、自動車、自転車、電車、飛行機、船舶等の乗り物が挙げられる。
【0015】
本実施形態では、睡眠は、業務の効率化、ストレスの減少、又は、眠気の低減等のためにユーザが活動中にとる一時的(短期的)な睡眠(本実施形態では、「仮眠」ともいう)を想定している。ただし、睡眠は、短期的な睡眠に限らず、ユーザが寝具で横になるような長期的な睡眠も含み得る。
【0016】
本実施形態の睡眠管理方法は、ユーザの睡眠への導入のための睡眠導入処理(S11~S19)、ユーザの睡眠からの覚醒のための覚醒処理(S20~S22)、及び、ユーザの覚醒度を向上させる覚醒促進処理S23を含む。
【0017】
本開示において、「覚醒度」は目が覚めている度合いを示す指標である。覚醒度の値が低いほどユーザが眠いと感じていることを示す。一例として、覚醒度は、ユーザの心拍数が少ないほど低い値を示すとして定義され得る。覚醒度は、ユーザの呼吸数が少ない又は吸排気量が低いほど低い値を示すとして定義され得る。覚醒度は、ユーザの末端部の体表面温度が深部体温に近いほど低い値を示すとして定義され得る。覚醒度は、ユーザの末端部の血流量が多くなるほど低い値を示すとして定義され得る。覚醒度は、ユーザの血圧が低下するほど低い値を示す、又はユーザの脈波伝播速度が低下するほど低い値を示すとして定義され得る。
【0018】
覚醒促進処理S23では、図2及び図3のフローチャートで示す覚醒促進方法が実行される。覚醒促進方法は、表示制御ステップ(S42~S44)と、応答取得ステップ(S45)と、を含む。表示制御ステップ(S42~S44)は、表示部361(図4参照)に、睡眠からの覚醒後のユーザH20(図6参照)の動体視力試験用の試験画像(P11~P13、図7図9参照)を表示させること(S43)を含む。応答取得ステップ(S45)は、入力部37(図4参照)に、試験画像に対するユーザH20の応答を取得させることを含む。
【0019】
本実施形態の覚醒促進方法では、睡眠からの覚醒後のユーザH20に、動体視力試験用の試験画像に対する応答の入力をさせる。そのため、ユーザH20は、動体視力試験用の試験画像を見て、緊張感をもって自発的な行動を行うことになる。これによって、睡眠から覚醒したユーザH20の覚醒度を高めることができる。
【0020】
(1-2)詳細
以下、本実施形態の覚醒促進方法及び覚醒促進方法を含む睡眠管理方法について、図面を参照して更に詳細に説明する。本実施形態の覚醒促進方法及び睡眠管理方法は、図4に示す睡眠管理システム10で実行される。
【0021】
睡眠管理システム10は、制御システム20と、睡眠システム30と、を含む。
【0022】
睡眠システム30は、ユーザH20の睡眠への導入のための睡眠導入処理(S11~S19)、ユーザH20の睡眠からの覚醒のための覚醒処理(S20~S22)、及び、ユーザH20の覚醒度を向上させる覚醒促進処理を実行するために用いられる。睡眠システム30は、図5及び図6に示す仮眠室100に設置される。仮眠室100は、ユーザH20が睡眠をとるための部屋である。以下では、ユーザH20は運送業者の従業員であり、運転の前に仮眠室100で睡眠をとることを想定している。仮眠室100内には、ユーザH20が座る椅子200が設置されている。椅子200は、座部210と、背もたれ220と、手置き230と、足置き240と、を有する。
【0023】
睡眠システム30は、図4に示すように、空調システム31と、照明システム32と、電子錠システム33と、識別システム34と、ヒータシステム35と、出力部36と、入力部37と、を備える。
【0024】
空調システム31は、仮眠室100内の空気環境の調整のためのシステムである。空気環境の調整は、温度と湿度との少なくとも一方の調整を含む。空調システム31は、空気調和機、空気清浄機、加湿器、除湿器、換気扇、サーキュレータを含み得る。
【0025】
照明システム32は、仮眠室100内の照明環境の調整のためのシステムである。照明環境の調整は、調光と調色との少なくとも一方を含む。照明システム32は、シーリングライト、ダウンライト、ウォールウォッシャ等の照明器具を含み得る。
【0026】
電子錠システム33は、仮眠室100への入室及び仮眠室100からの退室を制限するためのシステムである。電子錠システム33は、仮眠室100のドア110の施錠/開錠のための電子錠を含む。
【0027】
識別システム34は、仮眠室100の使用をするユーザH20の識別のためのシステムである。識別システム34は、ICカードリーダ等の非接触式の識別情報読み取り装置を含み得る。識別システム34は、仮眠室100の外において、ドア110の近傍に設置される。本実施形態では、ユーザH20は、ユーザH20の識別情報を記憶したICカード(IDカード)を所持し、仮眠室100の使用時にはICカードを識別システム34にかざすことで、識別システム34は、ユーザH20の識別情報を取得する。
【0028】
ヒータシステム35は、ユーザH20の身体を温めるためのシステムである。ヒータシステム35は、仮眠室100内の椅子200に設置される。本実施形態では、ヒータシステム35は、ユーザH20の手を温めるためのパームヒータ351と、ユーザH20の足を温めるためのフットヒータ352と、を含む。パームヒータ351は、手置き230に配置される。フットヒータ352は、足置き240に配置される。パームヒータ351及びフットヒータ352は、従来周知のヒータであってよい。
【0029】
出力部36は、睡眠管理システム10からユーザH20に情報を提示するためのシステムである。出力部36は、表示部361と、音声出力部362と、を含む。表示部361は、睡眠管理システム10からユーザH20に視覚的に情報を提示する。表示部361は、画像表示装置を含む。画像表示装置は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置である。表示部361は、仮眠室100において、椅子200の正面に設置される。音声出力部362は、睡眠管理システム10からユーザH20に聴覚的に情報を提示する。音声出力部362は、1以上のスピーカを含み得る。
【0030】
入力部37は、睡眠管理システム10にユーザH20から情報を入力するためのシステムである。入力部37は、音声入力部371を含む。音声入力部371は、睡眠管理システム10にユーザH20から聴覚的に情報を入力する。音声入力部371は、1以上のマイクロフォンを含み得る。
【0031】
制御システム20は、ユーザH20とは別のユーザH10によって、睡眠システム30の制御及び管理のために用いられる。ユーザH10は、ユーザH20の管理をする役割を持つことを想定している。制御システム20は、仮眠室100の外に設置される。
【0032】
制御システム20は、図4に示すように、入出力部21と、通信部22と、記憶部23と、処理部24と、を備える。本実施形態では、制御システム20は、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ等)により実現されている。制御システム20は、スマートフォン及びタブレット端末等の携帯情報端末で実現され得る。
【0033】
入出力部21は、制御システム20への情報の入力、及び、制御システム20からの情報の出力のための入出力インタフェースを構成する。入出力インタフェースを通じて、制御システム20には、種々の情報が入出力可能である。入出力部21は、制御システム20の操作の入力装置を備え得る。入力装置は、キーボード、ポインティングデバイス、メカニカルスイッチ、及びタッチパッドを含み得る。入出力部21は、情報を表示するための画像表示装置を備え得る。画像表示装置は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置である。なお、タッチパッドと画像表示装置とでタッチパネルが構成されてもよい。
【0034】
通信部22は、通信インタフェースである。通信部22は、通信ネットワークに接続可能であり、通信ネットワークを通じた通信を行う機能を有する。通信部22は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。通信部22は、睡眠システム30に通信可能に接続される。これによって、制御システム20は、睡眠システム30と通信可能である。なお、通信ネットワークは、インターネットを含み得る。通信ネットワークは、単一の通信プロトコルに準拠したネットワークだけではなく、異なる通信プロトコルに準拠した複数のネットワークで構成され得る。通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。図4では簡略化されているが、通信ネットワークは、リピータハブ、スイッチングハブ、ブリッジ、ゲートウェイ、ルータ等のデータ通信機器を含み得る。
【0035】
記憶部23は、処理部24が利用する情報を記憶するために用いられる。処理部24が利用する情報は、例えば、ユーザ情報D11を含む。ユーザ情報D11は、ユーザH20の識別情報と、ユーザH20の動体視力の評価の結果(例えば、動体視力レベル)とを含む。また、ユーザ情報D11は、ユーザH20の名前、及び、仮眠室100の利用状況(利用実績)を含み得る。記憶部23は、複数のユーザH20のユーザ情報D11を記憶してもよい。記憶部23は、1以上の記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0036】
処理部24は、制御システム20の動作を制御する制御回路である。処理部24は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。つまり、1以上のプロセッサが1以上のメモリに記憶された1以上のプログラム(アプリケーション)を実行することで、処理部24として機能する。プログラムは、ここでは処理部24のメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0037】
処理部24は、図4に示すように、睡眠制御部F11と、覚醒確認部F12と、表示制御部F13と、応答取得部F14と、提示部F15と、評価部F16と、更新部F17と、を有している。図4において、睡眠制御部F11と、覚醒確認部F12と、表示制御部F13と、応答取得部F14と、提示部F15と、評価部F16と、更新部F17とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部24によって実現される機能を示している。
【0038】
睡眠制御部F11は、ユーザH20の睡眠環境を制御する睡眠制御システムとしての役割を持つ。睡眠制御部F11は、睡眠システム30によって、ユーザH20の睡眠環境を制御する。本実施形態では、睡眠制御部F11は、睡眠システム30を利用して、ユーザH20の睡眠への導入のための睡眠導入処理(S11~S19)、及び、ユーザH20の睡眠からの覚醒のための覚醒処理(S20~S22)を実行する。睡眠制御部F11は、ユーザH20の睡眠環境を、睡眠導入処理ではユーザH20の睡眠に適した状態とし、覚醒処理ではユーザH20の覚醒に適した状態とする。
【0039】
睡眠制御部F11は、睡眠システム30の空調システム31により仮眠室100の空気環境をユーザH20の睡眠に適した快適な状態とする。例えば、睡眠制御部F11は、空調システム31により仮眠室100の温度をユーザH20の睡眠に適した温度とする。
【0040】
睡眠制御部F11は、睡眠システム30の照明システム32により仮眠室100の照明環境をユーザH20の睡眠及び覚醒に適した状態とする。例えば、睡眠制御部F11は、ユーザH20の睡眠の際には照明システム32により仮眠室100を暗くする。睡眠制御部F11は、ユーザH20の覚醒の際には照明システム32により仮眠室100を明るくする。
【0041】
睡眠制御部F11は、睡眠システム30の電子錠システム33及び識別システム34により仮眠室100の入退室管理を行う。睡眠制御部F11は、識別システム34により取得したユーザH20の識別情報に基づいて、電子錠システム33によるドア110の施錠/開錠を制御する。一例として、仮眠室100の使用に予約が必要である場合を想定する。本実施形態では、ユーザH10が仮眠室100の利用の管理をする。ユーザH10は、仮眠をとらせるユーザH20の識別情報と予約時間とを、入出力部21により制御システム20に入力する。睡眠制御部F11は、予約時間において、識別システム34により取得した識別情報が、予約時間に対応するユーザH20の識別情報に一致する場合、電子錠システム33によってドア110を開錠する。
【0042】
睡眠制御部F11は、睡眠システム30のヒータシステム35により仮眠室100の椅子200をユーザH20の睡眠及び覚醒に適した状態とする。例えば、睡眠制御部F11は、ユーザH20の睡眠の際にはヒータシステム35のパームヒータ351及びフットヒータ352をオンする。これによって、椅子200の手置き部230に置かれたユーザH20の手を温める。椅子200の足置き部240に置かれたユーザH20の足を温める。睡眠制御部F11は、ユーザH20の覚醒の際にはヒータシステム35のパームヒータ351及びフットヒータ352をオフする。これによって、椅子200の手置き部230に置かれたユーザH20の手の温めを終了する。椅子200の足置き部240に置かれたユーザH20の足の温めを終了する。
【0043】
覚醒確認部F12と、表示制御部F13と、応答取得部F14と、提示部F15とは、ユーザH20の覚醒を促進させる覚醒促進システムとしての役割を持つ。本実施形態では、覚醒確認部F12と、表示制御部F13と、応答取得部F14と、提示部F15とは、睡眠システム30(特に出力部36及び入力部37)を利用して、ユーザH20の覚醒度を向上させる覚醒促進処理を実行する。特に、表示制御部F13及び応答取得部F14は、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験を実施し、これによって、ユーザH20の覚醒度の向上を図る。
【0044】
覚醒確認部F12は、覚醒誘導ステップ(S31)と、覚醒確認ステップ(S32)とを実行する。覚醒誘導ステップ(S31)は、ユーザH20の睡眠からの覚醒を誘導することを含む。覚醒誘導ステップ(S31)では、覚醒確認部F12は、出力部36により、ユーザH20に睡眠からの覚醒を促す刺激を与える。刺激の一例としては、出力部36の音声出力部362からの目覚まし用のアラームが挙げられる。覚醒確認部F12は、最初は目覚まし用のアラームの音量を小さくし、徐々に音量を大きくする。これによって、ユーザH20を穏やかな状態で覚醒させることが可能となる。目覚まし用のアラームは例えば10秒間継続される。覚醒確認ステップ(S32)は、ユーザH20の睡眠からの覚醒を確認することを含む。覚醒確認ステップ(S32)は、ユーザH20への特定の行動の要求を含む。覚醒確認ステップ(S32)では、覚醒確認部F12は、出力部36により、ユーザH20に睡眠からの覚醒を確認するメッセージを提示する。この場合、特定の行動は、メッセージへの応答である。ユーザH20の覚醒後には動体視力試験を実施するため、メッセージの一例としては、「○○さん、動体視力チェックをします。OKですか?」というメッセージが挙げられる。「〇〇」は例えばユーザH20の氏名である。メッセージは、本実施形態では、音声出力部362から出力される音声メッセージである。覚醒確認部F12は、メッセージの提示の後から所定の待機時間、入力部37(音声入力部371)により、ユーザH20からの応答を受け付ける。待機時間は、例えば10秒である。待機時間の経過前に、ユーザH20からの応答が得られなければ、覚醒確認部F12は、再度、出力部36により、ユーザH20に睡眠からの覚醒を促す刺激を与える。所定回数(例えば2回)刺激を与えても、メッセージに対してユーザH20からの応答が得られなければ、覚醒確認部F12は、異常の発生を、入出力部21により通知する。これによって、仮眠室100の外のユーザH10は、仮眠室100の中のユーザH20に異常が発生していることを知ることができる。
【0045】
表示制御部F13は、案内ステップ(S41)と、表示制御ステップ(S42~S44)とを実行する。案内ステップ(S41)では、表示制御部F13は、動体視力試験を案内する案内画面を表示部361に表示させる。案内画面は、動体視力試験を行うことを示すメッセージと、ユーザH20の前回の動体視力試験の結果(前回の動体視力レベル)とを表示する。案内画面では、動体視力試験の説明を表示してよい。案内ステップ(S41)では、表示制御部F13は、案内画面に表示する内容を、音声出力部362により出力してよい。これによって、視覚的な刺激と聴覚的な刺激をユーザH20に与えることができるから、ユーザH20の覚醒度の向上に寄与する。表示制御ステップ(S42~S44)は、動体視力試験を開始することを通知する開始画面を表示部361に表示させること(S42)を含む。開始画面は、動体視力試験のレベル(難易度)と、動体視力試験の開始までのカウントダウンとを表示する。表示制御部F13は、開始画面に表示する内容を、音声出力部362により出力してよい。表示制御ステップ(S42~S44)は、表示部361に、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像を表示させること(S43)を含む。本実施形態では、表示制御部F13は、試験画像を含む試験画面を表示部361に表示させる。本実施形態では、試験画像は、動画像であって、複数の対象物が一列になって一方向(例えば右から左)に移動する。表示制御ステップ(S42~S44)は、試験画像の表示後に、試験画像に関する質問を含む回答画面を表示部361に表示させる。例えば、回答画面は、「〇番目の対象物は何か?」という質問を含む。表示制御部F13は、回答画面に表示する内容を、音声出力部362により出力してよい。試験画像に関する質問に対するユーザH20の応答(回答)の正誤に基づいて動体視力試験が可能である。動体視力試験の難易度は、複数の対象物の数、複数の対象物の大きさ、複数の対象物の区別のし易さ、複数の対象物の移動速度、選択肢の提示等により調整される。また、両端の対象物は、中央の対象物よりも記憶に残り易い傾向にある。例えば、3つの対象物が表示される場合、「2番目の対象物は何か?」」という質問を採用することで、「1番目の対象物は何か?」及び「3番目の対象物は何か?」よりも動体視力試験の難易度を高めることができる。
【0046】
試験画像の例としては、図7図9に示す試験画像P11~P13が挙げられる。試験画像P11は、動画像であって、3つの対象物C11~C13が一列になって右から左へ移動する。対象物C11は、蝶である。対象物C12は、イノシシである。対象物C13は、フラミンゴである。試験画像P12は、動画像であって、3つの対象物C21~C23が一列になって右から左へ移動する。対象物C21は、犬である。対象物C22は、猫である。対象物C23は、パンダである。試験画像P13は、動画像であって、3つの対象物C31~C33が一列になって右から左へ移動する。対象物C31は、ゾウである。対象物C32は、ウシである。対象物C33は、飛行機である。
【0047】
応答取得部F14は、応答取得ステップ(S45)を実行する。応答取得ステップ(S45)は、入力部37に、試験画像P11~P13に対するユーザH20の応答を取得させることを含む。応答取得部F14は、試験画像の表示後の質問の提示の後(つまり、回答画面の表示後)から所定の回答時間、入力部37(音声入力部371)により、ユーザH20からの応答を受け付ける。応答取得部F14は、取得された応答が適切であるかどうかを判断する。例えば、表示制御部F13が、表示制御ステップ(S42~S44)において、試験画像P11に関し、「2番目の対象物は何か?」という質問をしたとする。この場合に、ユーザH20の応答が、「イノシシ」であれば、応答が適切であると判断される。ユーザH20の応答が「蝶」又は「フラミンゴ」あるいは回答時間の経過前までに応答が得られなかった場合、応答が不適切であると判断される。
【0048】
表示制御ステップ(S42~S44)と応答取得ステップ(S45)とが、動体視力試験を行う試験ステップ(S42~S45)を構成する。本実施形態では、試験ステップ(S42~S45)は繰り返し実行される。つまり、覚醒促進処理は、表示制御ステップ(S42~S44)と応答取得ステップ(S45)とを含む試験ステップ(S42~S45)を複数回実行する繰り返しステップを含む。本実施形態では、試験ステップ(S42~S45)は2回実行される。
【0049】
次回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)は、前回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)とは動体視力試験の難易度が同じか異なる試験画像P11~P13を表示する。表示制御部F13は、前回の動体視力試験の結果に基づいて、次の動体視力試験の難易度を決定する。表示制御部F13は、前回の試験ステップ(S42~S45)の応答取得ステップ(S45)で取得された応答が適切であるかどうか(つまり前回の動体視力試験の結果)に基づいて、次の動体視力試験の難易度を決定する。表示制御部F13は、応答が適切であれば、次の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)において、前回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)よりも動体視力試験の難易度が高いか同じ試験画像を表示する。つまり、次回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)は、前記前回の試験ステップ(S42~S45)の応答取得ステップ(S45)で取得された応答が適切であることを確認し、前回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)よりも動体視力試験の難易度が高いか同じ試験画像を表示する。表示制御部F13は、応答が不適切であれば、次の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)において、前回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)よりも動体視力試験の難易度が低いか同じ試験画像を表示する。つまり、次回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)は、前記前回の試験ステップ(S42~S45)の応答取得ステップ(S45)で取得された応答が不適切であることを確認し、前回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)よりも動体視力試験の難易度が低いか同じ試験画像を表示する。
【0050】
ここで、最初の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)は、ユーザH20に対応するユーザ情報D11に基づく動体視力試験の難易度の試験画像P11~P13を表示する。つまり、表示制御部F13は、最初の試験ステップ(S42~S45)では、記憶部23のユーザ情報D11からユーザH20の動体視力の評価の結果を取得し、動体視力の評価の結果に応じた難易度の試験画像P11~P13を表示部361に表示させる。
【0051】
提示部F15は、睡眠からの覚醒後のユーザ(H20)の動体視力試験の結果を提示する提示ステップ(S47,S48,S51,S52)を実行する。提示部F15は、試験画像に対するユーザH20の応答が適切であると判断されれば、正解画面を表示部361に表示させる(S47,S48)。正解画面は、「正解です」という趣旨のメッセージを含む。提示部F15は、試験画像に対するユーザH20の応答が不適切であると判断されれば、不正解画面を表示部361に表示させる(S51,S52)。不正解画面は、「不正解です」という趣旨のメッセージを含む。上述したように、覚醒促進処理では、試験ステップ(S42~S45)が複数回実行される。最後の試験ステップ以外の試験ステップに関して、正解画面又は不正解画面は、次の動体視力試験の難易度を示すメッセージを含む。一方、最後の試験ステップに関して、正解画面又は不正解画面は、ユーザH20の動体視力の評価の結果を含む。ユーザH20の動体視力の評価の結果は、評価部F16により与えられる。
【0052】
評価部F16と、更新部F17とは、ユーザH20の覚醒度の評価をする覚醒評価システム202としての役割を持つ。同じユーザH20に関しては、覚醒度が低いほど動体視力の評価の結果が低くなる傾向にある。よって、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力の評価の結果は、ユーザH20の覚醒度の評価に利用でき得る。本実施形態では、覚醒評価システム202を覚醒促進システム201とは別としているが、覚醒促進システム201は覚醒評価システム202を含んでもよい。
【0053】
評価部F16は、評価ステップ(S48,S52)を実行する。評価ステップ(S48,S52)は、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像P11~P13に対するユーザH20の応答に基づいて、ユーザH20の動体視力の評価をする。ユーザH20が所定の難易度の動体視力試験に適切な応答をした場合には、ユーザH20の動体視力は少なくとも所定の難易度に対応するレベル以上であると評価できる。例えば、ユーザH20がレベル5の難易度の動体視力試験に適切な応答をした場合には、ユーザH20の動体視力は少なくともレベル5以上であると評価できる。上述したように、覚醒促進処理では、試験ステップ(S42~S45)が複数回実行される。そのため、評価部F16(評価ステップ(S48,S52))は、複数の試験画像P11~P13に対するユーザH20の複数の応答に基づいて、ユーザH20の動体視力の評価をする。本実施形態では、試験画像に対するユーザH20の応答に応じて動体視力試験の難易度が変更され得る。よって、複数の試験画像P11~P13は、動体視力試験の難易度が異なる2以上の試験画像P11~P13を含む。試験ステップが繰り返し実行されることで、複数の試験画像(P11~P13)は順番に表示され、次回の試験画像の動体視力試験の難易度は、前回の試験画像に対するユーザH20の応答に基づいて決定される。そのため、評価部F16(評価ステップ(S48,S52))は、最後の試験画像に対するユーザH20の応答に基づいて、ユーザH20の動体視力を決定する。評価部F16で決定されたユーザH20の動体視力の評価の結果は、提示部F15によって提示される。
【0054】
更新部F17は、評価部F16(評価ステップ(S48,S52))でのユーザH20の動体視力の評価の結果に基づいて、ユーザ情報D11の更新をする。より詳細には、更新部F17は、ユーザ情報D11のユーザH20の動体視力の評価の結果を更新する。これによって、ユーザH20が次に仮眠室100を利用する際に、ユーザH20の最新の動体視力の評価の結果を利用して、動体視力試験の難易度を設定することが可能となる。
【0055】
(1-3)動作
以下、本実施形態の睡眠管理システム10の動作について図1図3のフローチャートを参照して説明する。以下では、ユーザH10は、仮眠をとらせるユーザH20の識別情報と予約時間とを、入出力部21により制御システム20に入力する。
【0056】
まず、睡眠制御部F11の動作、つまり、睡眠導入処理及び覚醒処理について図1のフローチャートを参照して説明する。
【0057】
予約時間の開始時刻の規定時間前になると(S11;YES)、睡眠制御部F11は、空調システム31を動作させる(S12)。これによって、仮眠室100の温度をユーザH20の睡眠に適切な温度に調整される。規定時間は特に限定されないが、例えば10分である。
【0058】
この後に、ユーザH20は仮眠室100の入室時にはICカードを識別システム34にかざす。識別システム34は、ユーザH20の識別情報を取得する。睡眠制御部F11は、識別システム34により取得した識別情報が、予約時間に対応するユーザH20の識別情報に一致する場合(S13;YES)、電子錠システム33によってドア110を開錠する(S14)。表示制御部F13は、識別システム34により取得した識別情報に基づき、記憶部23からユーザ情報D11を取得し、これによって後の動体視力試験の難易度の設定を行う(S15)。更に、睡眠制御部F11は、照明システム32をオンして仮眠室100内を明るくする(S16)。また、睡眠制御部F11は、ヒータシステム35をオンしてユーザH20の身体を温める準備をする(S17)。
【0059】
ドア110が開錠された後、ユーザH20はドア110から仮眠室100に入り、椅子200に座る。これによって、ユーザH20は睡眠の準備をする。この時点ですでにヒータシステム35がオンになっているので、ユーザH20の着座後、直ちに、ユーザH20の手足がヒータシステム35で暖められる。これによって、ユーザH20が短時間で睡眠状態に入りやすくなる。
【0060】
ドア110の開錠から所定時間が経過すると(S18;YES)、睡眠制御部F11は、照明システム32により仮眠室100内を暗くする(S19)。これによって、ユーザH20が短時間で睡眠状態に入りやすくなる。なお、所定時間は、例えば3分である。
【0061】
ドア110の開錠から睡眠時間が経過すると(S20;YES)、睡眠制御部F11は、照明システム32により仮眠室100内を明るくする(S21)。これによって、ユーザH20が短時間で睡眠から覚醒させやすくなる。なお、睡眠時間は、例えば25分である。また、睡眠制御部F11は、ヒータシステム35をオフしてユーザH20の身体の温めを終了する(S22)。
【0062】
この後に、覚醒促進処理が実行される(S23)。
【0063】
覚醒促進処理が終了すると(S24;YES)、睡眠制御部F11は、入出力部21により覚醒促進処理が完了したことをユーザH10に通知する(S25)。
【0064】
ユーザH20は睡眠から覚醒した後、ドア110から仮眠室100の外に出る。ユーザH20は仮眠室100の退室時にはICカードを識別システム34にかざす。
【0065】
睡眠制御部F11は、覚醒促進処理の後に、識別システム34からユーザH20の識別情報を取得したかどうかによって、ユーザH20が退室したかどうかを判断する(S26)する。睡眠制御部F11は、ユーザH20の退室を確認すると(S26;YES)、照明システム32をオフし(S27)、空調システム31をオフする(S28)。
【0066】
この後に、睡眠制御部F11は、入出力部21により仮眠室100の使用が終了したことをユーザH10に通知してよい。
【0067】
次に、覚醒促進処理(S23)について図2及び図3のフローチャートを参照して説明する。
【0068】
まず、覚醒確認部F12は、出力部36により、ユーザH20に睡眠からの覚醒を促す刺激を与える(S31)。刺激の一例としては、出力部36の音声出力部362からの目覚まし用のアラームが挙げられる。次に、覚醒確認部F12は、出力部36により、ユーザH20に睡眠からの覚醒を確認する音声メッセージを出力する。音声メッセージは、「○○さん、動体視力チェックをします。OKですか?」というメッセージである。
【0069】
覚醒確認部F12は、音声メッセージの提示の後から所定の待機時間(例えば10秒)、入力部37(音声入力部371)により、ユーザH20からの応答を受け付ける(S33)。ユーザH20からの応答が得られない場合に(S33;NO)、刺激が1回目であれば(S34;NO)、覚醒確認部F12は、出力部36により、刺激を与える(S31)。ユーザH20からの応答が得られない場合に(S33;NO)、刺激が2回目であれば(S34;YES)、覚醒確認部F12は、異常の発生を、入出力部21により通知する(S35)。これによって、覚醒促進処理は終了する。
【0070】
ユーザH20からの応答が得られれば(S33;YES)、表示制御部F13は、表示部361により案内画面を表示し、更に、案内画面の内容を音声出力部362により出力する(S41)。一例として、案内画面には、「仮眠後の動体視力チェックを行います」、「〇〇さんは、前回、「レベル5でした」」、「今から、前方の空間を3つの対象物が、連なって移動します。「2番目に通った対象物の名前」を、番号で、答えてください」という内容のテキストが表示される。
【0071】
ここで、ユーザH20は、睡眠からの覚醒後に、照明システム32で仮眠室100内が明るくなっている状態で、表示部361による視覚的な刺激と、音声出力部362による聴覚的な刺激を受けることになる。表示部361による視覚的な刺激は、照明システム32からの光よりも明るい光である。音声出力部362による聴覚的な刺激は、ユーザH20の氏名や動体視力試験の通知を含む。そのため、ユーザH20の覚醒度の高めることができる。
【0072】
この後、表示制御部F13は、動体視力試験を開始することを通知する開始画面を表示部361に表示させ、開始画面に表示する内容を音声出力部362により出力する(S42)。開始画面は、動体視力試験のレベル(難易度)と、動体視力試験の開始までのカウントダウンとを表示する。最初の動体視力試験の際には、動体視力試験のレベルは、ユーザ情報から取得される前回の動体視力試験の評価の結果によって定まる。一例として、開始画面には、「〇〇さん、先ずは、前回の「レベル5」でスタートします」という内容のテキストが表示される。
【0073】
表示制御部F13は、表示部361に、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像を含む試験画面を表示させる(S43)。一例として、試験画像P11を含む試験画面が表示される。
【0074】
表示制御部F13は、試験画像の表示後に、試験画像に関する質問を含む回答画面を表示部361に表示させ、回答画面に表示する内容を音声出力部362により出力する(S45)。一例として、回答画面には、「〇〇さん、「2番目に通った対象物は?番号でお答えください」というテキストと、「1 蝶」、「2 イノシシ」、「3 フラミンゴ」という選択肢が表示される。
【0075】
応答取得部F14は、試験画像の表示後の質問の提示の後(つまり、回答画面の表示後)から所定の回答時間、入力部37(音声入力部371)により、ユーザH20からの応答を受け付ける(S45)。
【0076】
試験画像に対するユーザH20の応答が適切であれば(S45;YES)、動体視力試験が1回目か2回目かどうかが判定される(S46)。動体視力試験が1回目であれば(S46;NO)、提示部F15は、正解画面を表示部361に表示させる(S47)。正解画面は、「〇〇さん 「レベル5」正解です」という趣旨のメッセージを含む。このように、ユーザH20の名前を表示、音声出力することで、個人特定の回答動作であることを認識させることができ、適度な緊張感、喜び、高揚感を与えることができる。1回目の動体視力試験が正解であれば、表示制御部F13は、2回目の動体視力試験では、1回目よりも動体視力試験の難易度が高い試験画像を表示する。正解画面は、次回の動体視力試験の難易度の告知のメッセージを含む。例えば、正解画面は、「次に、「レベル6」に挑戦してください」というメッセージを含む。
【0077】
この後には、2回目の動体視力試験が実施される。表示制御部F13は、動体視力試験を開始することを通知する開始画面を表示部361に表示させ、開始画面に表示する内容を音声出力部362により出力する(S42)。開始画面は、動体視力試験のレベル(難易度)と、動体視力試験の開始までのカウントダウンとを表示する。2回目の動体視力試験の際には、動体視力試験のレベルは、1回目の動体視力試験の評価の結果によって定まる。一例として、開始画面には、「〇〇さん、「レベル6」、スタートします」という内容のテキストが表示される。
【0078】
表示制御部F13は、表示部361に、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像を含む試験画面を表示させる(S43)。一例として、試験画像P12を含む試験画面が表示される。
【0079】
表示制御部F13は、試験画像の表示後に、試験画像に関する質問を含む回答画面を表示部361に表示させ、回答画面に表示する内容を音声出力部362により出力する(S45)。一例として、回答画面には、「〇〇さん、「2番目に通った対象物は?番号でお答えください」というテキストと、「1 イヌ」、「2 ネコ」、「3 パンダ」という選択肢が表示される。
【0080】
応答取得部F14は、試験画像の表示後の質問の提示の後(つまり、回答画面の表示後)から所定の回答時間、入力部37(音声入力部371)により、ユーザH20からの応答を受け付ける(S45)。
【0081】
2回目にレベル6の難易度の動体視力試験を行った結果、試験画像に対するユーザH20の応答が適切であれば(S45;YES、S46;YES)、提示部F15は、正解画面を表示部361に表示させる(S48)。正解画面は、「〇〇さん 「レベル6」正解です」という趣旨のメッセージを含む。2回の動体視力試験が終了すると、評価部F16は、最後の試験画像に対するユーザH20の応答(2回目の動体視力試験でのユーザH20の応答)に基づいて、ユーザH20の動体視力を決定する。ここではレベル6の動体視力試験に正解しているから、ユーザH20の動体視力レベルがレベル6と評価される。この場合、正解画面は、次回の仮眠時の動体視力試験の難易度の告知のメッセージを含む。例えば、正解画面は、「次回は、「レベル6」から、スタートします」というメッセージを含む。更新部F17は、評価部F16でのユーザH20の動体視力の評価の結果に基づいて、ユーザ情報D11の更新をし、これによって、次回の仮眠時の動体視力試験の難易度が設定される(S49)。
【0082】
一方、2回目にレベル6の難易度の動体視力試験を行った結果、試験画像に対するユーザH20の応答が不適切であれば(S45;NO、S50;YES)、提示部F15は、不正解画面を表示部361に表示させる(S52)。不正解画面は、「〇〇さん 「レベル6」不正解です」という趣旨のメッセージを含む。2回の動体視力試験が終了すると、評価部F16は、最後の試験画像に対するユーザH20の応答(2回目の動体視力試験でのユーザH20の応答)に基づいて、ユーザH20の動体視力を決定する。ここではレベル6の動体視力試験に正解していないから、ユーザH20の動体視力レベルがレベル5と評価される。この場合、不正解画面は、次回の仮眠時の動体視力試験の難易度の告知のメッセージを含む。例えば、正解画面は、「次回は、「レベル5」から、スタートします」というメッセージを含む。更新部F17は、評価部F16でのユーザH20の動体視力の評価の結果に基づいて、ユーザ情報D11の更新をし、これによって、次回の仮眠時の動体視力試験の難易度が設定される(S53)。
【0083】
一方、1回目にレベル5の難易度の動体視力試験を行った結果、試験画像に対するユーザH20の応答が不適切であれば(S45;NO)、動体視力試験が1回目か2回目かどうかが判定される(S50)。動体視力試験が1回目であれば(S50;NO)、提示部F15は、不正解画面を表示部361に表示させる(S51)。不正解画面は、「〇〇さん 「レベル5」不正解です」という趣旨のメッセージを含む。このように、ユーザH20の名前を表示、音声出力することで、個人特定の回答動作であることを認識させることができ、適度な緊張感、目標を与えることができる。1回目の動体視力試験が不正解であれば、表示制御部F13は、2回目の動体視力試験では、1回目よりも動体視力試験の難易度が低い試験画像を表示する。不正解画面は、次回の動体視力試験の難易度の告知のメッセージを含む。例えば、不正解画面は、「次に、「レベル4」に挑戦してください」というメッセージを含む。
【0084】
この後には、2回目の動体視力試験が実施される。表示制御部F13は、動体視力試験を開始することを通知する開始画面を表示部361に表示させ、開始画面に表示する内容を音声出力部362により出力する(S42)。開始画面は、動体視力試験のレベル(難易度)と、動体視力試験の開始までのカウントダウンとを表示する。2回目の動体視力試験の際には、動体視力試験のレベルは、1回目の動体視力試験の評価の結果によって定まる。一例として、開始画面には、「〇〇さん、「レベル4」、スタートします」という内容のテキストが表示される。
【0085】
表示制御部F13は、表示部361に、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像を含む試験画面を表示させる(S43)。一例として、試験画像P13を含む試験画面が表示される。
【0086】
表示制御部F13は、試験画像の表示後に、試験画像に関する質問を含む回答画面を表示部361に表示させ、回答画面に表示する内容を音声出力部362により出力する(S45)。一例として、回答画面には、「〇〇さん、「2番目に通った対象物は?番号でお答えください」というテキストと、「1 ゾウ」、「2 ウシ」、「3 飛行機」という選択肢が表示される。
【0087】
応答取得部F14は、試験画像の表示後の質問の提示の後(つまり、回答画面の表示後)から所定の回答時間、入力部37(音声入力部371)により、ユーザH20からの応答を受け付ける(S45)。
【0088】
2回目にレベル4の難易度の動体視力試験を行った結果、試験画像に対するユーザH20の応答が適切であれば(S45;YES、S46;YES)、提示部F15は、正解画面を表示部361に表示させる(S48)。正解画面は、「〇〇さん 「レベル4」正解です」という趣旨のメッセージを含む。2回の動体視力試験が終了すると、評価部F16は、最後の試験画像に対するユーザH20の応答(2回目の動体視力試験でのユーザH20の応答)に基づいて、ユーザH20の動体視力を決定する。ここではレベル4の動体視力試験に正解しているから、ユーザH20の動体視力レベルがレベル4と評価される。この場合、正解画面は、次回の仮眠時の動体視力試験の難易度の告知のメッセージを含む。例えば、正解画面は、「次回は、「レベル4」から、スタートします」というメッセージを含む。更新部F17は、評価部F16でのユーザH20の動体視力の評価の結果に基づいて、ユーザ情報D11の更新をし、これによって、次回の仮眠時の動体視力試験の難易度が設定される(S49)。
【0089】
一方、2回目にレベル4の難易度の動体視力試験を行った結果、試験画像に対するユーザH20の応答が不適切であれば(S45;NO、S50;YES)、提示部F15は、不正解画面を表示部361に表示させる(S52)。不正解画面は、「〇〇さん 「レベル4」不正解です」という趣旨のメッセージを含む。2回の動体視力試験が終了すると、評価部F16は、最後の試験画像に対するユーザH20の応答(2回目の動体視力試験でのユーザH20の応答)に基づいて、ユーザH20の動体視力を決定する。ここではレベル4の動体視力試験に正解していないから、ユーザH20の動体視力レベルがレベル3と評価される。この場合、不正解画面は、次回の仮眠時の動体視力試験の難易度の告知のメッセージを含む。例えば、正解画面は、「次回は、「レベル3」から、スタートします」というメッセージを含む。更新部F17は、評価部F16でのユーザH20の動体視力の評価の結果に基づいて、ユーザ情報D11の更新をし、これによって、次回の仮眠時の動体視力試験の難易度が設定される(S53)。
【0090】
本実施形態では、睡眠からの覚醒後のユーザH20に、自らの回答行動(能動行動)を求める。回答行動は、自分又は組織運営のために必要な動体視力試験であるから、適度の緊張感をもって回答行動をすることができ、ユーザH20の覚醒度を速やかに高めることができる。更に、1回目の動体視力試験用の試験画像に対するユーザH20の応答に基づいて、1回目とは動体視力試験の難易度が異なる試験画像を表示させる。そのため、ユーザH20に適度な緊張感を与えることができ、動体視力試験の評価の信頼性を高めることができる。
【0091】
(1-4)まとめ
以上述べたように、覚醒促進システム201は、表示制御部F13と、応答取得部F14と、を備える。表示制御部F13は、表示部361に、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像P11~P13を表示させる。応答取得部F14は、入力部37に、試験画像P11~P13に対するユーザH20の応答を取得させる。この覚醒促進システム201によれば、睡眠から覚醒したユーザH20の覚醒度を高めることができる。
【0092】
換言すれば、覚醒促進システム201は、図3に示すような方法(覚醒促進方法)を実行しているといえる。本実施形態の覚醒促進方法は、表示制御ステップ(S42~S44)と、応答取得ステップ(S45)と、を備える。表示制御ステップ(S42~S44)は、表示部361に、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像P11~P13を表示させる。応答取得ステップ(S45)は、入力部37に、試験画像P11~P13に対するユーザH20の応答を取得させる。この覚醒促進方法によれば、覚醒促進システム201と同様に、睡眠から覚醒したユーザH20の覚醒度を高めることができる。
【0093】
覚醒促進システム201は、コンピュータシステムを利用して実現されている。つまり、覚醒促進システム201が実行する方法(覚醒促進方法)は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、1以上のプロセッサに、覚醒促進方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。このようなプログラムによれば、覚醒促進システム201と同様に、睡眠から覚醒したユーザH20の覚醒度を高めることができる。
【0094】
また、本実施形態の睡眠管理システム10は、ユーザH20の睡眠環境を制御する睡眠制御システム(睡眠制御部F11)と、覚醒促進システム201と、を備える。この睡眠管理システム10によれば、覚醒促進システム201と同様に、睡眠から覚醒したユーザ(H20)の覚醒度を高めることができる。
【0095】
(2)変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の課題を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0096】
上記実施形態では、制御システム20は、パーソナルコンピュータ(デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ等)により実現されているが、端末装置(情報端末)により実現されていてもよいし、端末装置とサーバとの組み合わせにより実現されてもよい。図10は、変形例の睡眠管理システムに用いられる制御システム20Aを示す。制御システム20Aは、端末装置40と、サーバ50とで構成されている。
【0097】
端末装置40は、入力部41と、出力部42と、通信部43と、処理部44と、を備える。端末装置は、スマートフォン及びタブレット端末等の携帯情報端末で実現される。
【0098】
入力部41は、端末装置40にユーザH20から情報を入力するためのシステムである。入力部41は、操作入力部411と、音声入力部412と、を含む。操作入力部411は、端末装置40への操作の入力装置を備え得る。入力装置は、キーボード、ポインティングデバイス、メカニカルスイッチ、及びタッチパッドを含み得る。音声入力部412は、端末装置40にユーザH20から聴覚的に情報を入力する。音声入力部412は、1以上のマイクロフォンを含み得る。
【0099】
出力部42は、端末装置40からユーザH20に情報を提示するためのシステムである。出力部42は、表示部421と、音声出力部422と、を含む。表示部421は、端末装置40からユーザH20に視覚的に情報を提示する。表示部421は、画像表示装置を含む。画像表示装置は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の薄型のディスプレイ装置である。音声出力部422は、端末装置40からユーザH20に聴覚的に情報を提示する。音声出力部422は、1以上のスピーカを含み得る。
【0100】
通信部43は、通信インタフェースである。通信部43は、通信ネットワークに接続可能であり、通信ネットワークを通じた通信を行う機能を有する。通信部43は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。通信部43は、サーバ50に通信可能に接続される。
【0101】
処理部44は、端末装置40の動作を制御する制御回路である。処理部44は、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。処理部44は、覚醒確認部F12と、表示制御部F13と、応答取得部F14と、提示部F15と、を有している。図10において、覚醒確認部F12と、表示制御部F13と、応答取得部F14と、提示部F15とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部44によって実現される機能を示している。
【0102】
サーバ50は、通信部51と、記憶部52と、処理部53と、を備える。
【0103】
通信部51は、通信インタフェースである。通信部51は、通信ネットワークに接続可能であり、通信ネットワークを通じた通信を行う機能を有する。通信部51は、所定の通信プロトコルに準拠している。所定の通信プロトコルは、周知の様々な有線及び無線通信規格から選択され得る。通信部51は、端末装置40に通信可能に接続される。
【0104】
記憶部52は、処理部53が利用する情報を記憶するために用いられる。処理部53が利用する情報は、例えば、ユーザ情報D11を含む。記憶部52は、1以上の記憶装置を含む。記憶装置は、例えば、RAM、EEPROMである。
【0105】
処理部53は、サーバ50の動作を制御する制御回路である。処理部53、例えば、1以上のプロセッサ(マイクロプロセッサ)と1以上のメモリとを含むコンピュータシステムにより実現され得る。処理部53は、睡眠制御部F11と、評価部F16と、更新部F17と、を有している。図10において、睡眠制御部F11と、評価部F16と、更新部F17とは実体のある構成を示しているわけではなく、処理部53によって実現される機能を示している。
【0106】
制御システム20Aは、上記実施形態の制御システム20と同様の役割を果たすことができる。制御システム20Aでは、表示制御部F13は、表示部421に、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像P11~P13を表示させてよい。応答取得部F14は、入力部41に、試験画像P11~P13に対するユーザH20の応答を取得させる。この場合、ユーザH20は好きな場所を仮眠室100として利用することが可能となる。
【0107】
一変形例では、睡眠管理システム10は、必ずしも、空調システム31、照明システム32、電子錠システム33と、識別システム34と、ヒータシステム35と、を備えている必要はない。
【0108】
一変形例では、制御システム20は、必ずしも、睡眠制御部F11と、覚醒確認部F12と、提示部F15と、評価部F16と、更新部F17と、を有している必要はない。
【0109】
一変形例では、表示制御部F13は、案内ステップ(S41)を実行する必要はない。表示制御ステップ(S42~S44)は、表示部361に、睡眠からの覚醒後のユーザH20の動体視力試験用の試験画像を表示させること(S43)を含んでいればよい。
【0110】
一変形例では、試験画像は、図7図9に示す試験画像P11~P13に限定されない。試験画像に用いる対象物は、動物や乗り物に限らず、ユーザH20の好みに応じて変更されてもよい。例えば、ユーザH20が昆虫に興味を持っている場合には、昆虫を対象物に利用してよい。ユーザH20が城に興味を持っている場合には、城を対象物に利用してよい。ユーザH20が興味を持っている対象物を利用することで、ユーザH20が楽しく動体視力試験を受けることができる。試験画像に用いる対象物は、動体視力試験の難易度毎に固定ではなく、ランダムに変えてもよい。
【0111】
一変形例では、試験画像は、動体視力の訓練や測定等に利用される画像であればよく、タッチパネルを利用してディスプレイに表示される的をタッチする等のゲームを利用することもできる。
【0112】
一変形例では、表示部361での表示の内容を、音声出力部362から出力することは必須ではない。
【0113】
一変形例では、試験ステップは、1回だけ実行されてもよいし、3回以上実行されてもよい。
【0114】
一変形例では、睡眠管理システム10は、複数の仮眠室100を管理するように構成されていてもよい。つまり、睡眠管理システム10は、複数の睡眠システム30を備えてもよい。
【0115】
本開示における睡眠管理システム10及び覚醒促進システム201は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における睡眠管理システム10及び覚醒促進システム201としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0116】
睡眠管理システム10又は覚醒促進システム201における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは睡眠管理システム10又は覚醒促進システム201に必須の構成ではなく、睡眠管理システム10又は覚醒促進システム201の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、睡眠管理システム10又は覚醒促進システム201は、端末装置とサーバとによって実現されてもよい(図10参照)。さらに、睡眠管理システム10又は覚醒促進システム201の少なくとも一部の機能、例えば、処理部24の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0117】
(3)態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
【0118】
第1の態様は、覚醒促進方法であって、表示制御ステップ(S42~S44)と、応答取得ステップ(S45)と、を含む。前記表示制御ステップ(S42~S44)は、表示部(361,421)に、睡眠からの覚醒後のユーザ(H20)の動体視力試験用の試験画像(P11~P13)を表示させることを含む。前記応答取得ステップ(S45)は、入力部(37,41)に、前記試験画像(P11~P13)に対する前記ユーザ(H20)の応答を取得させることを含む。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)の覚醒度を高めることができる。
【0119】
第2の態様は、第1の態様に基づく覚醒促進方法である。第2の態様では、前記覚醒促進方法は、前記ユーザ(H20)の睡眠からの覚醒を確認する覚醒確認ステップ(S32)を含む。前記表示制御ステップ(S42~S44)は、前記覚醒確認ステップ(S32)の次に実行される。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)に試験画像(P11~P13)を見せることができる可能性を向上できる。
【0120】
第3の態様は、第2の態様に基づく覚醒促進方法である。第3の態様では、前記覚醒確認ステップ(S32)は、前記ユーザ(H20)への特定の行動の要求を含む。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)に試験画像(P11~P13)を見せることができる可能性を向上できる。
【0121】
第4の態様は、第2又は第3の態様に基づく覚醒促進方法である。第4の態様では、前記覚醒促進方法は、前記ユーザ(H20)の睡眠からの覚醒を誘導する覚醒誘導ステップ(S31)を含む。前記覚醒確認ステップ(S32)は、前記覚醒誘導ステップ(S31)の次に実行される。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)に試験画像(P11~P13)を見せることができる可能性を向上できる。
【0122】
第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか一つに基づく覚醒促進方法である。第5の態様では、前記覚醒促進方法は、前記表示制御ステップ(S42~S44)と前記応答取得ステップ(S45)とを含む試験ステップ(S42~S45)を複数回実行する繰り返しステップを含む。次回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)は、前回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)とは動体視力試験の難易度が同じか異なる試験画像(P11~P13)を表示する。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)に適した試験画像を表示できて、ユーザ(H20)の覚醒度を更に高めることができる。
【0123】
第6の態様は、第5の態様に基づく覚醒促進方法である。第6の態様では、前記次回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)は、前記前回の試験ステップ(S42~S45)の応答取得ステップ(S45)で取得された前記応答が適切であることを確認し、前回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)よりも動体視力試験の難易度が高いか同じ試験画像(P11~P13)を表示する。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)に適した試験画像を表示できて、ユーザ(H20)の覚醒度を更に高めることができる。
【0124】
第7の態様は、第5の態様に基づく覚醒促進方法である。第7の態様では、前記次回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)は、前記前回の試験ステップ(S42~S45)の応答取得ステップ(S45)で取得された前記応答が不適切であることを確認し、前回の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)よりも動体視力試験の難易度が低いか同じ試験画像(P11~P13)を表示する。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)に適した試験画像を表示できて、ユーザ(H20)の覚醒度を更に高めることができる。
【0125】
第8の態様は、第5~第7の態様のいずれか一つに基づく覚醒促進方法である。第8の態様では、最初の試験ステップ(S42~S45)の表示制御ステップ(S42~S44)は、前記ユーザ(H20)に対応するユーザ情報(D11)に基づく動体視力試験の難易度の試験画像(P11~P13)を表示する。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)に適した試験画像を表示できて、ユーザ(H20)の覚醒度を更に高めることができる。
【0126】
第9の態様は、第1~第8の態様のいずれか一つに基づく覚醒促進方法である。第9の態様では、前記覚醒促進方法は、睡眠からの覚醒後のユーザ(H20)の動体視力試験用の試験画像(P11~P13)に対する前記ユーザ(H20)の応答に基づいて、前記ユーザ(H20)の動体視力の評価をする評価ステップ(S48,S52)を含む。この態様によれば、睡眠からの覚醒後のユーザ(H20)の動体視力の評価が可能となる。
【0127】
第10の態様は、第9の態様に基づく覚醒促進方法である。第10の態様では、前記評価ステップ(S48,S52)は、複数の前記試験画像(P11~P13)に対する前記ユーザ(H20)の複数の前記応答に基づいて、前記ユーザ(H20)の動体視力の評価をする。前記複数の試験画像(P11~P13)は、動体視力試験の難易度が異なる2以上の試験画像(P11~P13)を含む。この態様によれば、睡眠からの覚醒後のユーザ(H20)の動体視力の評価の精度の向上が図れる。
【0128】
第11の態様は、第10の態様に基づく覚醒促進方法である。第11の態様では、前記複数の試験画像(P11~P13)は順番に表示される。次回の試験画像の動体視力試験の難易度は、前回の試験画像に対する前記ユーザ(H20)の応答に基づいて決定される。前記評価ステップ(S48,S52)は、最後の試験画像に対する前記ユーザ(H20)の応答に基づいて、前記ユーザ(H20)の動体視力を決定する。この態様によれば、睡眠からの覚醒後のユーザ(H20)の動体視力の評価の精度の向上が図れる。
【0129】
第12の態様は、プログラムであって、1以上のプロセッサに、第1~第11の態様のいずれか一つの覚醒促進方法を実行させる、プログラムである。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)の覚醒度を高めることができる。
【0130】
第13の態様は、覚醒促進システム(201)であって、表示制御部(F13)と、応答取得部(F14)と、を備える。前記表示制御部(F13)は、表示部(361,421)に、睡眠からの覚醒後のユーザ(H20)の動体視力試験用の試験画像(P11~P13)を表示させる。前記応答取得部(F14)は、入力部(37,41)に、前記試験画像(P11~P13)に対する前記ユーザ(H20)の応答を取得させる。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)の覚醒度を高めることができる。
【0131】
第14の態様は、睡眠管理システム(10)であって、ユーザ(H20)の睡眠環境を制御する睡眠制御システム(F11)と、第13の態様の覚醒促進システム(201)と、を備える。この態様によれば、睡眠から覚醒したユーザ(H20)の覚醒度を高めることができる。
【0132】
なお、第2~第11の態様は、第13及び第14の態様にも適宜変更して適用することが可能である。
【符号の説明】
【0133】
10 睡眠管理システム
201 覚醒促進システム
F11 睡眠制御部(睡眠制御システム)
F13 表示制御部
F14 応答取得部
361 表示部
37 入力部
41 入力部
421 表示部
P11~P13 試験画像
D11 ユーザ情報
H20 ユーザ
S31 覚醒誘導ステップ
S32 覚醒確認ステップ
S42~S44 表示制御ステップ
S45 応答取得ステップ
S48,S52 評価ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10