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特許7499475検査支援装置、検査支援システム、検査支援ネットワークシステム、検査支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】検査支援装置、検査支援システム、検査支援ネットワークシステム、検査支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240607BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2022544585
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 JP2021030806
(87)【国際公開番号】W WO2022045066
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2020141165
(32)【優先日】2020-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】是澤 康平
【審査官】池田 聡史
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-048673(JP,A)
【文献】特開2017-107420(JP,A)
【文献】特開2018-045356(JP,A)
【文献】特開2013-073561(JP,A)
【文献】特開2011-198251(JP,A)
【文献】特開2010-157233(JP,A)
【文献】特開2019-066368(JP,A)
【文献】国際公開第2020/110766(WO,A1)
【文献】特開2014-159981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査の対象である対象空間の状態を記録する検査支援装置であって、
前記対象空間の図面である空間図面のデータを取得する図面取得部と、
前記対象空間の少なくとも一部である実撮影領域を撮影した撮影画像のデータを取得する画像取得部と、
前記空間図面において前記実撮影領域に対応する領域を図面撮影領域として設定する領域設定部と、
前記空間図面、前記撮影画像、及び前記図面撮影領域の各データを対応付けて保持するデータ保持部と、
前記実撮影領域に予め決められた判定条件を満たす小領域が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする小領域判定部と、を備え
前記データ保持部は、前記小領域情報を保持する
検査支援装置。
【請求項2】
前記領域設定部は、ユーザによって設定された前記空間図面内の領域を、前記図面撮影領域とする
請求項1の検査支援装置。
【請求項3】
前記データ保持部は、前記図面撮影領域のデータとして、前記空間図面における前記図面撮影領域の範囲及び撮影方向のデータを保持する
請求項1又は2の検査支援装置。
【請求項4】
前記小領域判定部は、前記撮影画像のデータを入力として前記撮影画像から前記小領域が写っている領域を抽出するアルゴリズムであって、機械学習によって予め作成された学習モデルを用いて、前記実撮影領域に前記小領域が存在するか否かを判定する
請求項1乃至3のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項5】
前記小領域判定部は、前記撮影画像内に予め決められた特徴を有する領域が存在することを、前記判定条件に含める
請求項1乃至4のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項6】
前記小領域判定部は、ユーザによって前記撮影画像に画像内設定領域が設定されていることを、前記判定条件に含める
請求項1乃至5のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項7】
前記データ保持部は、前記撮影画像に前記小領域情報を対応付けて保持する
請求項1乃至6のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項8】
前記小領域に関する情報を関連情報として取得する関連情報取得部を更に備え、
前記データ保持部は、前記関連情報を前記小領域情報に対応付けて保持する
請求項1乃至7のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項9】
前記小領域判定部は、前記撮影画像において前記小領域に対応する領域を画像内検出領域とし、前記画像内検出領域の位置情報を前記小領域情報に含める
請求項1乃至8のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項10】
前記画像内検出領域の位置情報は、前記撮影画像の座標で表される
請求項9の検査支援装置。
【請求項11】
ユーザの操作によって、前記撮影画像における前記画像内検出領域の位置の変更、及び前記撮影画像における前記画像内検出領域の削除の少なくとも一方を行う画像変更部を更に備える
請求項9又は10の検査支援装置。
【請求項12】
前記撮影画像の前記画像内検出領域にマーカを配置した1つのマーカ画像を作成して、前記マーカ画像を表示部に表示させる表示制御部を更に備える
請求項9乃至11のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項13】
前記画像内検出領域に対応する位置にマーカを配置した副画像を作成し、前記撮影画像に前記副画像を重ねて表示部に表示させる表示制御部を更に備える
請求項9乃至11のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項14】
前記図面撮影領域、及び前記画像内検出領域に基づいて、前記空間図面において前記画像内検出領域に対応する位置を、図面内検出位置として求める位置変換部を更に備える
請求項9乃至13のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項15】
前記空間図面における前記図面内検出位置を変更する図面変更部を更に備え、
前記図面変更部は、ユーザに選択された前記図面内検出位置のいずれかを、前記ユーザに指定された前記空間図面内の位置へ移動させる
請求項14の検査支援装置。
【請求項16】
前記画像内検出領域及び前記図面内検出位置の少なくとも一方に番号を付与する番号付与部を更に備える
請求項14又は15の検査支援装置。
【請求項17】
前記番号付与部は、前記番号の修正に関する修正情報を受け取ると、前記修正情報に基づいて、前記小領域に付与する番号を修正する
請求項16の検査支援装置。
【請求項18】
前記小領域判定部は、ユーザによって前記図面内検出位置が設定されたことを、前記判定条件に含める
請求項14乃至17のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項19】
サーバ装置との間で通信することができる通信部を更に備える
請求項1乃至18のいずれか1つの検査支援装置。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか1つの検査支援装置と、
前記空間図面及び前記撮影画像を表示する表示部と、を備える
検査支援システム。
【請求項21】
請求項19の検査支援装置と、
前記サーバ装置と、を備え、
前記サーバ装置は、
前記検査支援装置から受信した前記データを保持するサーバ側データ保持部と、
前記データを用いた演算処理を行うデータ演算部と、を備える
検査支援ネットワークシステム。
【請求項22】
前記データ演算部は、前記サーバ側データ保持部が保持している前記データに基づいて、前記検査の結果を作成する
請求項21の検査支援ネットワークシステム。
【請求項23】
検査の対象である対象空間の状態を記録する検査支援装置により実行される検査支援方法であって、
前記検査支援装置により、前記対象空間の図面である空間図面のデータを取得する図面取得ステップと、
前記検査支援装置により、前記対象空間の少なくとも一部である実撮影領域を撮影した撮影画像のデータを取得する画像取得ステップと、
前記検査支援装置により、前記空間図面において前記実撮影領域に対応する領域を図面撮影領域として設定する領域設定ステップと、
前記検査支援装置により、前記空間図面、前記撮影画像、及び前記図面撮影領域の各データを対応付けて保持するデータ保持ステップと、
前記検査支援装置により、前記実撮影領域に予め決められた判定条件を満たす小領域が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする小領域判定ステップと、を備え、
前記データ保持ステップは、前記小領域情報を保持する
検査支援方法。
【請求項24】
コンピュータシステムに請求項23の検査支援方法を実行させる
プログラム。
【請求項25】
検査の対象である対象空間の状態を記録する検査支援装置であって
前記対象空間の図面である空間図面のデータを取得する図面取得部と、
前記対象空間の少なくとも一部である実撮影領域を撮影した撮影画像のデータを取得する画像取得部と、
前記空間図面において前記実撮影領域に対応する領域を図面撮影領域として設定する領域設定部と、
前記撮影画像のデータを、前記撮影画像から予め決められた判定条件を満たす小領域が写っている領域を抽出するために機械学習によって予め作成された学習モデルに入力することで、前記実撮影領域に前記小領域が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする小領域判定部と、
前記空間図面、前記撮影画像、前記図面撮影領域、及び前記小領域情報の各データを対応付けて保持するデータ保持部と、を備える
検査支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、検査支援装置、検査支援システム、検査支援ネットワークシステム、検査支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビル建設などの工事における施工検査業務を支援するシステムとして、特許文献1の検査システムが提案されている。
【0003】
特許文献1の検査システムは、検査対象の撮影ポイントを入力する撮影ポイント入力部、及び検査対象を被写体とした画像を撮影可能な撮影部とを備えて、検査対象と検査結果と撮影ポイントと検査写真とを対応づけた検査結果データを記憶部に記憶する。この検査システムは、検査者が撮影ポイントの入力、検査写真の撮影、検査写真と撮影ポイントの関連づけを現場で入力できる。
【0004】
特許文献1の検査システムは、画像から検査対象の異常箇所を検出しても、検査対象の図面に異常箇所を対応付ける手間がかかっていた。すなわち、特許文献1の検査システムは、検査対象(対象空間)の撮影画像を検査対象の図面(空間図面)に対応付けるために、手間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-8764号公報
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、検査の対象である対象空間の少なくとも一部を撮影した撮影画像を、対象空間の空間図面内に容易に対応付けることができる検査支援装置、検査支援システム、検査支援ネットワークシステム、検査支援方法、及びプログラムを提供することにある。
【0007】
本開示の一態様に係る検査支援装置は、検査の対象である対象空間の状態を記録する。前記検査支援装置は、図面取得部と、画像取得部と、領域設定部と、データ保持部と、小領域判定部と、を備える。前記図面取得部は、前記対象空間の図面である空間図面のデータを取得する。前記画像取得部は、前記対象空間の少なくとも一部である実撮影領域を撮影した撮影画像のデータを取得する。前記領域設定部は、前記空間図面において前記実撮影領域に対応する領域を図面撮影領域として設定する。前記データ保持部は、前記空間図面、前記撮影画像、及び前記図面撮影領域の各データを対応付けて保持する。前記小領域判定部は、前記実撮影領域に予め決められた判定条件を満たす小領域が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする。前記データ保持部は、前記小領域情報を保持する。
【0008】
本開示の一態様に係る検査支援システムは、上述の検査支援装置と、前記空間図面及び前記撮影画像を表示する表示部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る検査支援ネットワークシステムは、上述の検査支援装置と、サーバ装置と、を備える。前記サーバ装置は、前記検査支援装置から受信した前記データを保持するサーバ側データ保持部と、前記データを用いた演算処理を行うデータ演算部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る検査支援方法は、検査の対象である対象空間の状態を記録する検査支援装置により実行される。前記検査支援方法は、図面取得ステップと、画像取得ステップと、領域設定ステップと、データ保持ステップと、小領域判定ステップと、を備える。前記図面取得ステップは、前記検査支援装置により、前記対象空間の図面である空間図面のデータを取得する。前記画像取得ステップは、前記検査支援装置により、前記対象空間の少なくとも一部である実撮影領域を撮影した撮影画像のデータを取得する。前記領域設定ステップは、前記検査支援装置により、前記空間図面において前記実撮影領域に対応する領域を図面撮影領域として設定する。前記データ保持ステップは、前記検査支援装置により、前記空間図面、前記撮影画像、及び前記図面撮影領域の各データを対応付けて保持する。前記小領域判定ステップは、前記検査支援装置により、前記実撮影領域に予め決められた判定条件を満たす小領域が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする。前記データ保持ステップは、前記小領域情報を保持する。
【0011】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに上述の検査支援方法を実行させる。
【0012】
本開示の一態様に係る検査支援装置は、検査の対象である対象空間の状態を記録する。前記検査支援装置は、図面取得部と、画像取得部と、領域設定部と、小領域判定部と、データ保持部と、を備える。前記図面取得部は、前記対象空間の図面である空間図面のデータを取得する。前記画像取得部は、前記対象空間の少なくとも一部である実撮影領域を撮影した撮影画像のデータを取得する。前記領域設定部は、前記空間図面において前記実撮影領域に対応する領域を図面撮影領域として設定する。前記小領域判定部は、前記撮影画像のデータを、前記撮影画像から予め決められた判定条件を満たす小領域が写っている領域を抽出するために機械学習によって予め作成された学習モデルに入力することで、前記実撮影領域に前記小領域が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする。前記データ保持部は、前記空間図面、前記撮影画像、前記図面撮影領域、及び前記小領域情報の各データを対応付けて保持する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態の検査支援装置を備える検査支援システムを示すブロック図である。
図2図2は、同上の検査支援装置における空間図面を示す平面図である。
図3図3は、同上の検査支援装置を用いたユーザの検査を説明するための斜視図である。
図4図4は、同上の検査支援装置を用いたユーザの検査を説明するための別の斜視図である。
図5図5は、同上の検査支援装置による撮影画像を示す図である。
図6図6は、同上の検査支援装置による撮影画像を表示した表示画面を示す図である。
図7図7は、同上の検査支援装置によるマーカ画像を表示した表示画面を示す図である。
図8図8は、同上の検査支援装置による領域設定画像を表示した表示画面を示す図である。
図9図9は、同上の検査支援装置による図面内検出画像を表示した表示画面を示す図である。
図10図10は、同上の検査支援装置による関連情報設定画像を表示した表示画面を示す図である。
図11図11は、同上の検査支援装置によるマーカ画像の変更処理を説明するための図である。
図12図12は、同上の検査支援装置によるマーカ画像における画像内検出領域の移動処理を説明するための図である。
図13図13は、同上の検査支援装置によるマーカ画像における画像内検出領域の移動処理を説明するための図である。
図14図14は、同上の検査支援装置によるマーカ画像における画像内検出領域の削除処理を説明するための図である。
図15図15は、同上の検査支援装置によるマーカ画像における画像内検出領域の削除処理を説明するための図である。
図16図16は、同上の検査支援装置による空間図面の変更処理を説明するための図である。
図17図17は、同上の検査支援装置による空間図面の別の変更処理を説明するための図である。
図18図18は、同上の検査支援装置を備える検査支援ネットワークシステムの構成を示すブロック図である。
図19図19は、同上の検査支援ネットワークシステムによる帳票データを示す図である。
図20図20は、同上の検査支援装置による検査支援方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施形態は、一般に検査支援装置、検査支援システム、検査支援ネットワークシステム、検査支援方法、及びプログラムに関する。より詳細に、以下の実施形態は、検査の対象(検査対象)である対象空間の状態を記録する検査支援装置、検査支援システム、検査支援ネットワークシステム、検査支援方法、及びプログラムに関する。対象空間は、施工中又は施工後の建造物(例えば集合住宅、戸建住宅、オフィスビル、病院、工場、及び商業施設など)の内部空間又は外部空間である。但し、建造物は、特定の建造物に限定されない。また、以下に説明する実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0015】
(1)検査支援システムの概要
図1は、検査支援装置2を備える検査支援システム1の構成を示す。検査支援システム1及び検査支援装置2は、検査の対象である対象空間TS1の状態を記録する。対象空間TS1は、施工中又は施工後の建造物の内部空間又は外部空間であり、検査者は、対象空間TS1における不具合箇所(異常箇所)の有無を検査する。不具合箇所は、対象空間TS1において施工上の不備、欠損、欠陥、又は不良とみなされる箇所であり、例えば壁、床、及び天井の各表面の傷、汚れ、及び割れ、部材の取付ミス、並びに設備の不具合などである。なお、建造物は、集合住宅、戸建住宅、オフィスビル、病院、工場、及び商業施設などであるが、特定の建造物に限定されない。
【0016】
検査支援システム1は、コンピュータシステムを有するタブレット端末10で構成され、検査支援装置2、及び表示部4aを備える。また、検査支援システム1は、撮像部3を更に備えることが好ましい。検査者などのユーザは、タブレット端末10を携行することで、対象空間TS1で検査支援システム1を用いることができる。
【0017】
タブレット端末10のコンピュータシステムでは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサがメモリに記憶されている検査支援方法のプログラムを読み出して実行することによって、検査支援装置2の一部又は全部の機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0018】
検査支援装置2は、図面取得部2d、画像取得部2e、領域設定部2f、及びデータ保持部2gを備える。図面取得部2dは、対象空間TS1の図面である空間図面D1(図2参照)のデータを取得する。画像取得部2eは、対象空間TS1の少なくとも一部を実撮影領域R1(図4参照)として撮影した撮影画像G1(図5参照)のデータを取得する。領域設定部2fは、空間図面D1において実撮影領域R1に対応する領域を図面撮影領域V1(図8参照)とする。データ保持部2gは、空間図面D1、撮影画像G1、及び図面撮影領域V1の各データを対応付けて保持する。
【0019】
検査支援システム1は、撮像部3を更に備える。撮像部3は、カラー又はモノクロの画像(静止画像)を撮影するカメラとして機能する。撮像部3は、撮影画像G1のデータを検査支援装置2へ出力する。
【0020】
検査支援システム1は、タッチパネルディスプレイ4を更に備える。タッチパネルディスプレイ4は、表示部4a及び操作部4bとして機能する。表示部4aは、LCD(Liquid Crystal Display)、又はOLED(Organic Light Emitting Diode)などを用いたディスプレイである。操作部4bは、表示部4aの表面に加えられたユーザの指又はペンなどによる操作を検知し、検知結果を操作情報として検査支援装置2に出力する機能を有する。操作部4bが検知するユーザ操作は、例えばタップ、ダブルタップ、ロングタップ、ドラッグ、スワイプ、フリック、ピンチイン、及びピンチアウトなどである。
【0021】
上述の検査支援システム1及び検査支援装置2では、データ保持部2gが空間図面D1、撮影画像G1、及び図面撮影領域V1の各データを対応付けて保持する。この結果、検査支援システム1及び検査支援装置2は、データ保持部2gを参照することで、検査の対象である対象空間TS1の少なくとも一部を撮影した撮影画像G1を、対象空間TS1の空間図面D1内に容易に対応付けることができる。また、検査支援システム1及び検査支援装置2は、空間図面D1、撮影画像G1、及び図面撮影領域V1の各データによって、対象空間TS1の状態を記録することができる。
【0022】
(2)検査支援装置
図1に示すように、検査支援装置2は、図面取得部2d、画像取得部2e、領域設定部2f、及びデータ保持部2gを備える。検査支援装置2は、通信部2a、表示制御部2b、操作情報取得部2c、小領域判定部2h、関連情報取得部2i、画像変更部2j、位置変換部2k、図面変更部2m、及び番号付与部2nを更に備えることが好ましい。
【0023】
通信部2aは、インターネットを含むネットワークNT1に接続し、ネットワークNT1上の機器と通信を行い、信号の送信及び受信を行う通信インタフェースの機能を有する。ネットワークNT1には、サーバ装置51及び外部端末52が接続しており、通信部2aは、サーバ装置51及び外部端末52と通信を行うことができる。
【0024】
表示制御部2bは、表示部4aに表示する画面を制御する。
【0025】
操作情報取得部2cは、操作部4bに対するユーザ操作に応じた操作情報を、操作部4bから取得する。検査支援装置2の各部及び撮像部3は、操作情報取得部2cが取得した操作情報に応じた動作を実行する。
【0026】
(2.1)データ取得
図面取得部2dは、通信部2aを介して、サーバ装置51(又は他のサーバ装置)から、対象空間TS1の図面のデータとして図2に示すような空間図面D1のデータを取得する。図面取得部2dは、取得した空間図面D1のデータをデータ保持部2gに格納する。本実施形態において、対象空間TS1は集合住宅の住戸であり、空間図面D1は住戸の間取図である。空間図面D1には、対象空間TS1の壁、柱、仕切り、扉、及び窓などが所定の縮尺で描かれ、住宅設備(シンク、浴槽、便器、洗面台、コンセントなど)の各記号が、実際の位置に対応するように配置されている。空間図面D1は、設計会社などで作成されたCAD(Computer Aided Design)図面であり、CAD端末などからサーバ装置51(又は他のサーバ装置)にアップロードされている。なお、図2は、空間図面の一例を示す。
【0027】
そして図3に示すように、ユーザH1は、対象空間TS1の検査を行い、対象空間TS1における不具合箇所にマスキングテープ9を貼っていく。図3では、ユーザH1は、対象空間TS1の壁W1の検査を行い、壁W1に傷、汚れ、及び割れなどの不具合があれば、不具合箇所に矩形状のマスキングテープ9を貼っていく。このとき、不具合内容の種別(傷、汚れ、及び割れなど)毎に、マスキングテープ9の色、貼り方などを異ならせてもよい。なお、ユーザH1は、マスキングテープ9の端を折った状態で壁W1に貼ることで、検査後にマスキングテープ9を剥しやすくしておくことが好ましい。
【0028】
ユーザH1は、図4に示すように、確認された壁W1の不具合箇所のそれぞれにマスキングテープ9を貼った後、撮像部3によって壁W1を正面から撮影する。撮像部3による対象空間TS1内の撮影範囲を実撮影領域R1とすると、実撮影領域R1には壁W1が含まれ、壁W1の表面の6箇所にそれぞれマスキングテープ9が貼られている。以降、6箇所の各マスキングテープ9を区別するときには、6箇所の各マスキングテープ9をそれぞれ、マスキングテープ91~96と称す。撮像部3は、実撮影領域R1における壁W1を正面から撮影した撮影画像G1(図5参照)のデータを生成し、撮影画像G1のデータを空間図面D1のデータに対応付けてデータ保持部2gに格納する。撮影画像G1では、図5に示すように、壁W1が写っている領域Q(W1)内には、マスキングテープ91~96がそれぞれ写っている領域Q91~Q96が存在する。なお、撮像部3による撮影時には、壁W1に撮影用の光を照射する照明器具を設置しておくことが好ましい。
【0029】
データ保持部2gは、空間図面D1及び撮影画像G1などの各データを記憶する記憶装置を備える。データ保持部2gは、記憶装置として、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、又はフラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有することが好ましい。
【0030】
表示制御部2bは、データ保持部2gに記憶されている空間図面D1及び撮影画像G1を含む各データを、個別に又は2つ以上のデータをまとめて表示部4aに表示させることができる。
【0031】
(2.2)小領域判定
ユーザH1は、表示部4aに撮影画像G1を含む撮影画面B1(図6参照)を表示させて、小領域判定部2hに小領域判定処理を実行させる。小領域判定部2hは、小領域判定処理として、実撮影領域R1に予め決められた判定条件を満たす小領域が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする。本実施形態の小領域は、上述のマスキングテープ9である。すなわち、小領域判定部2hは、小領域判定処理として、実撮影領域R1にマスキングテープ9が存在するか否かを判定する。データ保持部2gは、小領域判定部2hの判定結果である小領域情報を撮影画像G1に対応付けて保持する。
【0032】
具体的に、小領域判定部2hは、撮影画像G1内に予め決められた特徴を有する領域が存在することを、判定条件に含めることが好ましい。この場合、小領域判定部2hは、撮影画像G1にパターン認識処理を施すことで、マスキングテープ9が写っている領域の特徴が撮影画像G1に含まれているか否かを判別する。パターン認識処理の一例では、ディープラーニングなどの機械学習によって、撮影画像のデータを入力として、撮影画像からマスキングテープ9が写っている領域を抽出するアルゴリズムを学習モデルとして予め作成しておく。そして、小領域判定部2hは、機械学習によって作成された学習モデルを用いて、小領域判定処理を行う。本実施形態の小領域判定部2hは、図6に示すように、撮影画像G1においてマスキングテープ91~96が写っている領域Q91~Q96を検出し、領域Q91~Q96の各々を画像内検出領域とする。以降、小領域判定部2hが抽出した領域Q91~Q96の各々を、画像内検出領域Q91~Q96と称す。なお、小領域判定部2hは、機械学習による学習モデルを用いずに、撮影画像からマスキングテープ9が写っている領域を抽出してもよい。
【0033】
そして、小領域判定部2hが撮影画像G1から画像内検出領域Q91~Q96を検出すると、表示制御部2bはマーカ表示処理を行う。表示制御部2bは、図7に示すように、撮影画像G1の画像内検出領域Q91~Q96にマーカM91~M96をそれぞれ配置する画像処理を実行する。図7のマーカM91~M96は、画像内検出領域Q91~Q96のそれぞれを囲む矩形状の枠(矩形枠)である。なお、マーカの形状は、矩形枠に限定されず、円環、及び三角形状の他の形状であってもよい。
【0034】
さらに、番号付与部2nは、小領域であるマスキングテープ9(91~96)に番号を付与する。具体的に、番号付与部2nは、マスキングテープ9(91~96)にそれぞれ対応する画像内検出領域Q91~Q96に、「1」~「6」の番号をそれぞれ割り当てる。番号付与部2nは、割り当てた番号に関する情報を番号情報として、撮影画像G1の画像内検出領域Q91~Q96又はマーカM91~M96にそれぞれ対応付けてデータ保持部2gに格納する。表示制御部2bは、撮影画像G1内の画像内検出領域Q91~Q96の各近傍にそれぞれの番号の表示を追加する。なお、図7では、番号付与部2nによって割り当てられた各番号を丸付きの数字で表している。
【0035】
この結果、画像内検出領域Q91~Q96の各番号(小領域であるマスキングテープ91~96の各番号)、及びマーカM91~M96が撮影画像G1に追加された1つのマーカ画像G11が作成される。マーカ画像G11は、撮影画像G1に、マーカM91~M96、及び画像内検出領域Q91~Q96の各番号を配置した画像である。
【0036】
また、番号付与部2nは、番号の修正に関する修正情報を受け取ると、修正情報に基づいて、画像内検出領域Q91~Q96に付与する番号を修正することが好ましい。修正情報は、操作部4bに対するユーザH1の操作によって生成され、ユーザH1の操作によって番号を修正できる。例えば、複数の画像内検出領域に同じ番号を付与してもよい(1つの番号に複数の画像内検出領域を紐づける)。例えば、壁W1の3箇所のそれぞれに汚れがあり、3箇所の小領域が互いに近接している場合、3箇所の小領域に対応する3つの画像内検出領域に同じ番号を割り当てる。
【0037】
また、小領域判定部2hは、撮影画像G1における画像内検出領域Q91~Q96の各位置を検出し、画像内検出領域Q91~Q96の各位置を表す位置情報を、撮影画像G1の座標を用いて作成する。小領域判定部2hは、画像内検出領域Q91~Q96の各位置情報を小領域情報に含める。撮影画像G1の座標は、互いに直交するX座標及びY座標で表される。したがって、画像内検出領域Q91の位置情報は(X1、Y1)で表される。画像内検出領域Q92の位置情報は(X2、Y2)で表される。画像内検出領域Q93の位置情報は(X3、Y3)で表される。画像内検出領域Q94の位置情報は(X4、Y4)で表される。画像内検出領域Q95の位置情報は(X5、Y5)で表される。画像内検出領域Q96の位置情報は(X6、Y6)で表される。
【0038】
表示制御部2bは、検出数通知画像G2及び位置情報通知画像G3を生成し、図7に示す検出画面B2を表示部4aに表示することができる。検出画面B2は、マーカ画像G11に検出数通知画像G2及び位置情報通知画像G3を重ねた画面である。検出数通知画像G2は、小領域判定部2hが検出した画像内検出領域Q91~Q96の数(図7では6点)を表示する。位置情報通知画像G3は、画像内検出領域Q91~Q96の各位置情報を表示する。
【0039】
なお、画像内検出領域Q91~Q96の各位置情報は、撮影画像G1内の1点を定義する位置情報に限定されず、撮影画像G1内の2点(例えば矩形の4つの頂点のうち対角線上の2つの頂点)を定義する位置情報であってもよい。また、画像内検出領域Q91~Q96の各位置情報は、円の中心の座標と円の半径とを定義した情報、又は矩形の中心の座標と矩形の対角線長とを定義した情報であってもよい。
【0040】
また、不具合内容の種別(傷、汚れ、及び割れなど)毎に、マスキングテープ9の色、貼り方などが異なる場合、小領域判定部2hは、パターン認識処理によってマスキングテープ9の色、貼り方などを区別する。この場合、小領域判定部2hは、マスキングテープ9の色、貼り方などに基づいて、画像内検出領域Q91~Q96における不具合内容の種別を区別できる。表示制御部2bは、不具合内容の種別毎にマーカの形状及び色の少なくとも一方を異ならせる。
【0041】
(2.3)図面撮影領域の設定
領域設定部2fは、小領域判定処理の後、ユーザH1の操作によって図面撮影領域V1の設定処理を実行する。図面撮影領域V1は、実撮影領域R1に対応する空間図面D1内の領域である。
【0042】
図面撮影領域V1の設定処理が開始されると、表示制御部2bは、図8の領域設定画面B3を表示部4aに表示させる。領域設定画面B3の左半分には空間図面D1が配置され、領域設定画面B3の右半分にはマーカ画像G11が配置されている。ユーザH1は、操作部4bを操作して、領域設定画面B3の空間図面D1内に図面撮影領域V1(図8参照)を設定する。ユーザH1は、領域設定画面B3の空間図面D1に指又はペンを接触させて、図面撮影領域V1の範囲を描画領域V11として設定する。描画領域V11の形状は、矩形、台形、線分、及び円形などのいずれであってもよい。また、ユーザH1は、領域設定画面B3の空間図面D1に指又はペンを接触させて、図面撮影領域V1の撮影方向を矢印V12として設定する。本実施形態では、描画領域V11は、空間図面D1において壁W1の一部に対応する領域であり、矢印V12は、壁W1を正面から見た方向になる。
【0043】
領域設定部2fは、描画領域V11及び矢印V12のデータを図面撮影領域V1のデータとし、図面撮影領域V1のデータを、空間図面D1及び撮影画像G1の各データに対応付けてデータ保持部2gに格納する。このとき、データ保持部2gは、図面撮影領域V1のデータとして、空間図面D1における図面撮影領域V1の範囲及び撮影方向のデータを保持している。したがって、検査支援装置2は、検査の対象である対象空間TS1の少なくとも一部を撮影した撮影画像G1を、対象空間TS1の空間図面D1内に容易に対応付けることができる。
【0044】
また、図面撮影領域V1が実撮影領域R1に完全に一致していない場合、領域設定部2fは、マーカ画像G11の一部分を切り出すトリミング処理を行ってもよい。すなわち、マーカ画像G11にトリミング処理を施すことによって、図面撮影領域V1を疑似的に実撮影領域R1により一致させることができる。トリミング処理は、ユーザH1による操作部4bの操作によって実行される構成、及び図面撮影領域V1とマーカ画像G11とを比較して自動で実行される構成のいずれでもよい。
【0045】
(2.4)位置変換
位置変換部2kは、図面撮影領域V1及び画像内検出領域Q91~Q96に基づき、空間図面D1において画像内検出領域Q91~Q96に対応する位置を、図面内検出位置P91~P96(図9参照)として求める。
【0046】
位置変換部2kは、図面内検出位置P91~P96を求めると、図9の図面内検出画面B4を表示部4aに表示させる。図面内検出画面B4の左半分には空間図面D1が配置され、図面内検出画面B4の右半分にはマーカ画像G11が配置されている。位置変換部2kは、マーカ画像G11における画像内検出領域Q91~Q96の各位置情報(撮影画像G1の座標系における位置)を空間図面D1の座標系に座標変換することで、図面内検出位置P91~P96を求める。番号付与部2nによって割り当てられた画像内検出領域Q91~Q96の各番号は、図面内検出位置P91~P96にもそれぞれ割り当てられる。図面内検出画面B4の空間図面D1では、図面内検出位置P91~P96の各番号が、図面内検出位置P91~P96の各位置に対応付けられている。なお、図9では、番号付与部2nによって割り当てられた各番号を丸付きの数字で表している。
【0047】
(2.5)関連情報
関連情報取得部2iは、マスキングテープ9(小領域)に関する情報を関連情報として取得する。データ保持部2gは、関連情報を小領域情報に対応付けて保持する。
【0048】
具体的に、関連情報取得部2iは、番号付与部2nによって割り当てられた各番号に対して、関連情報を設定する。番号付与部2nによって割り当てられた各番号は、画像内検出領域Q91~Q96及び図面内検出位置P91~P96にそれぞれ対応している。すなわち、番号付与部2nによって割り当てられた各番号は、実撮影領域R1に存在するマスキングテープ91~96(小領域)にそれぞれ対応している。そこで、関連情報取得部2iは、番号付与部2nによって割り当てられた各番号に対して関連情報を設定することで、マスキングテープ9(小領域)のそれぞれに対して関連情報を設定できる。
【0049】
図10は、番号「2」の小領域(マスキングテープ92)に対して関連情報を設定する関連情報設定画面B5を示す。ユーザH1がマーカ画像G11の画像内検出領域Q92又は空間図面D1の図面内検出位置P92を選択する操作を行うことで、関連情報取得部2iは、関連情報設定画面B5を表示部4aに表示させる。関連情報設定画面B5の左半分には空間図面D1が配置されている。関連情報設定画面B5の右半分の上部にはマーカ画像G11が配置され、関連情報設定画面B5の右半分の下部には関連情報入力領域G5が配置されている。関連情報入力領域G5は、実撮影領域R1が属する部屋の名称を入力する「部屋」、マスキングテープ92(小領域)が存在する部位を入力する「部位」、不具合の内容を入力する「内容」、不具合の改修を担当する会社又は人の名称を入力する「担当」、及び不具合を解消するための具体的な対応を入力する「対応」の各項目を有する。ユーザH1は、操作部4bの操作、又はタブレット端末10が有するマイクロホンを用いた音声入力によって、関連情報入力領域G5の入力を行う。関連情報取得部2iは、関連情報入力領域G5に入力された内容を、番号「2」の小領域(マスキングテープ92)の関連情報とし、番号「2」に対応付けてデータ保持部2gに格納する。
【0050】
(2.6)画像変更
画像変更部2jは、表示部4aに表示されているマーカ画像に変更を施す機能を有する。画像変更部2jは、変更内容を小領域情報(位置情報を含む)に反映させる。
【0051】
図11の表示部4aは、マーカ画像G11aを含むマーカ画面B6aを表示している。マーカ画像G11aは、壁W1が写っている領域Q(W1)内に画像内検出領域Q91、Q92を有する撮影画像G1aに、マーカM91、M92を追加した画像である。マーカM91は画像内検出領域Q91を囲み、マーカM92は画像内検出領域Q92を囲んでいる。画像変更部2jは、ユーザH1による操作部4bの操作(例えばロングタップ又はダブルタップ)によって、領域Q(W1)内に画像内設定領域Qaを追加することができる。領域Q(W1)の画像内設定領域Qaは、実撮影領域R1の壁W1においてマスキングテープ9が貼られていない箇所に対応する。すなわち、画像変更部2jは、小領域判定部2hが画像内検出領域を検出していないマーカ画像G11a内の箇所に、画像内検出領域に相当する画像内設定領域Qaを追加することができる。番号付与部2nは、画像内設定領域Qaに新たな番号を付与し、番号情報を更新する。したがって、検査支援装置2は、マスキングテープ9の貼り忘れ、又は小領域判定部2hの検出ミスなどが生じても、ユーザH1の操作によって修正できる。
【0052】
このとき、小領域判定部2hは、ユーザH1によって撮影画像G1aに画像内設定領域Qaが設定されたことを、判定条件に含めることが好ましい。この場合、小領域判定部2hは、撮影画像G1aにおける画像内設定領域Qaの位置情報を小領域情報に含める。したがって、検査支援装置2は、追加された画像内設定領域Qaの情報も小領域情報に反映させることができる。
【0053】
図12の表示部4aは、マーカ画像G11bを含むマーカ画面B6bを表示している。マーカ画像G11bは、撮影画像G1bに、マーカM91、M92を追加した画像である。撮影画像G1bでは、マスキングテープ91、92がそれぞれ写っている領域Q91、Q92、及びコンセント(outlet)が写っている領域Qbが存在している。しかしながら、小領域判定部2hは、マスキングテープ91が写っている領域Q91を画像内検出領域として検出せず、コンセントが写っている領域Qbを誤って画像内検出領域として検出している。すなわち、小領域判定部2hは、コンセントが写っている領域Qbをマスキングテープ9が写っている領域であると誤判定している。この結果、図12のマーカ画像G11bでは、領域Qbは画像内検出領域としてマーカM91に囲まれ、領域Q92は画像内検出領域としてマーカM92に囲まれているが、領域Q91はマーカに囲まれていない。
【0054】
そこで、図13に示すように、画像変更部2jは、ユーザH1による操作部4bの操作(例えばドラッグ操作OP1)によって、マーカM91をユーザH1に指定された位置にまで移動させることができる。
【0055】
図13では、マーカM91は、領域Qbを囲む位置から領域Q91を囲む位置にまで移動している。この結果、領域Q91が画像内検出領域となり、領域Qbは画像内検出領域から除外される。図13のマーカ画像G11bでは、領域Q91は画像内検出領域としてマーカM91に囲まれ、領域Q92は画像内検出領域としてマーカM92に囲まれているが、領域Qbはマーカに囲まれていない。
【0056】
このように、画像変更部2jは、マーカ画像G11bにおいて、小領域判定部2hが画像内検出領域を検出してない箇所にマーカを移動させることで、画像内検出領域の位置を変更できる。すなわち、画像変更部2jは、ユーザH1の操作によって、撮影画像G1bにおける画像内検出領域の位置を変更する。したがって、検査支援装置2は、小領域判定部2hの検出ミスなどが生じても、ユーザH1の操作によって修正できる。
【0057】
また、番号付与部2nは、領域Qbに割り当てていた番号をマーカM91内の領域Q91に振り替える。すなわち、領域Q91に画像内検出領域の番号が割り当てられ、領域Qbには画像内検出領域の番号が割り当てられていない状態になる。
【0058】
次に、図14の表示部4aは、マーカ画像G11cを含むマーカ画面B6cを表示している。マーカ画像G11cは、撮影画像G1cに、マーカM91、M92を追加した画像である。撮影画像G1cでは、マスキングテープ92が写っている領域Q92、及びコンセントが写っている領域Qbが存在している。しかしながら、小領域判定部2hは、コンセントが写っている領域Qbを誤って画像内検出領域として検出している。すなわち、小領域判定部2hは、コンセントが写っている領域Qbをマスキングテープ9が写っている領域であると誤判定している。この結果、図14のマーカ画像G11cでは、領域Qbは画像内検出領域としてマーカM91に囲まれている。
【0059】
そこで、図15に示すように、画像変更部2jは、ユーザH1による操作部4bの操作(例えば、マーカM91のロングタップ又はダブルタップ)によって、マーカM91を削除することができる。この結果、領域Qbは画像内検出領域から除外される。
【0060】
このように、画像変更部2jは、ユーザH1の操作によって、撮影画像G1bにおける画像内検出領域を削除する。したがって、検査支援装置2は、小領域判定部2hの検出ミスなどが生じても、ユーザH1の操作によって修正できる。
【0061】
なお、小領域判定部2hが誤判定する対象には、コンセント以外に、スイッチ、壁紙の柄、影などの他の要素も含まれる。
【0062】
(2.7)図面変更
図面変更部2mは、表示部4aに表示されている空間図面D1内の図面内検出位置を変更する機能を有する。図面変更部2mは、変更内容を小領域情報(位置情報を含む)に反映させる。
【0063】
図16の表示部4aは、図面内検出画面B4aを表示している。図面内検出画面B4aの空間図面D1では、図面内検出位置P91~P96の各番号が、図面内検出位置P91~P96の各位置に対応付けられている。しかしながら、図面内検出位置P91の位置が実際のマスキングテープ91の貼付位置からずれている。そこで、画像変更部2jは、ユーザH1による操作部4bの操作(例えばドラッグ)によって、図面内検出位置P91をユーザH1に指定された位置にまで移動させることができる。図16では、移動後の図面内検出位置P91を図面内検出位置Paとして表している。したがって、検査支援装置2は、位置変換部2kの変換ミスなどが生じても、ユーザH1の操作によって修正できる。
【0064】
また、図17の表示部4aは、図面内検出画面B4bを表示している。画像変更部2jは、ユーザH1による操作部4bの操作(例えばロングタップ又はダブルタップ)によって、図面内検出画面B4bの空間図面D1に新たな図面内検出位置P97を追加することができる。番号付与部2nは、図面内検出位置P97に新たな番号を付与し、番号情報を更新する。したがって、検査支援装置2は、マスキングテープ9の貼り忘れ、又は位置変換部2kの変換ミスなどが生じても、ユーザH1の操作によって修正できる。
【0065】
そして、小領域判定部2hは、ユーザH1によって空間図面D1に図面内検出位置P97が設定されたことを、判定条件に含めることが好ましい。この場合、小領域判定部2hは、空間図面D1における図面内検出位置P97の位置情報を小領域情報に含める。したがって、検査支援装置2は、図面内検出位置P97の情報も小領域情報に反映させることができる。
【0066】
(3)検査支援ネットワークシステム
以下、図18を用いて、検査支援ネットワークシステム5について説明する。
【0067】
検査支援ネットワークシステム5は、検査支援装置2、及びサーバ装置51を備える。検査支援ネットワークシステム5は、外部端末52を更に備えることが好ましい。検査支援装置2、サーバ装置51、及び外部端末52は、インターネットを含むネットワークNT1を介して、互いに通信可能に構成されている。
【0068】
検査支援装置2の通信部2aは、データ保持部2gに保持されて、互いに対応付けられている空間図面D1、撮影画像G1、小領域情報(位置情報を含む)、番号情報、関連情報、及び図面撮影領域V1の各データをサーバ装置51へ送信する。
【0069】
サーバ装置51は、サーバ側データ保持部51a、及びデータ演算部51bを備える。サーバ装置51は、検査支援装置2から各データを取得する。サーバ装置51は、検査支援装置2から取得した各データをサーバ側データ保持部51aに格納する。データ演算部51bは、サーバ側データ保持部51aが保持している各データに基づいて、対象空間TS1の検査結果を、予め決められたフォーマットの帳票データF1として作成する。帳票データF1は、図19に示すように、番号付与部2nが付与した番号に対応付けて、対象空間TS1において不具合箇所が存在する部屋及び部位、不具合の内容、不具合改修の担当、具体的な対応などを記載している。サーバ装置51は、帳票データF1を、図面内検出画面B4のデータなどと併せて、外部端末52へ送信する。
【0070】
外部端末52は、対象空間TS1の施工を請け負っている施工会社及び設計会社などが管理するパーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンなどである。外部端末52は、サーバ装置51から受け取った帳票データF1及び図面内検出画面B4などを画面に表示することで、施工会社及び設計会社などの担当者に対象空間TS1の検査結果を通知する。担当者は、通知された帳票データF1及び図面内検出画面B4などに基づいて、担当する不具合箇所の改修を行う。
【0071】
(4)検査支援方法
上述の検査支援装置2による検査支援方法をまとめると、図20のフローチャートで表される。
【0072】
検査支援方法は、図面取得ステップS1と、画像取得ステップS2と、領域設定ステップS3と、データ保持ステップS4と、を備える。図面取得ステップS1は、対象空間TS1の図面である空間図面D1のデータを取得する。画像取得ステップS2は、対象空間TS1の少なくとも一部である実撮影領域R1を撮影した撮影画像G1のデータを取得する。領域設定ステップS3は、空間図面D1において実撮影領域R1に対応する領域を図面撮影領域V1として設定する。データ保持ステップS4は、空間図面D1、撮影画像G1、及び図面撮影領域V1の各データを対応付けて保持する。
【0073】
(5)変形例
上述のマーカ画像G11(図7参照)は、1つの画像データで構成されている。しかし、表示制御部2bは、画像内検出領域Q91~Q96にそれぞれ対応する位置にマーカM91~M96を配置した副画像を作成し、撮影画像G1に副画像を重ねて表示部4aに表示させてもよい。この場合、マーカ画像は、撮影画像G1のデータと、副画像のデータとの2つの画像データで構成される。
【0074】
また、小領域は、マスキングテープ9以外であってもよい。小領域判定部2hは、例えばマスキングテープ9を貼っていない傷、汚れ、割れなどの領域を小領域として認識してもよい。
【0075】
また、検査支援システム1の構成は、パーソナルコンピュータのように、検査支援装置2、撮像部3、表示部4a、及び操作部4bを2つ以上の装置に分散させた構成であってもよい。
【0076】
また、検査支援装置2の少なくとも一部は、クラウドコンピューティング技術によって実現されてもよい。
【0077】
(6)まとめ
上述の実施形態に係る第1の態様の検査支援装置(2)は、検査の対象である対象空間(TS1)の状態を記録する検査支援装置である。検査支援装置(2)は、図面取得部(2d)と、画像取得部(2e)と、領域設定部(2f)と、データ保持部(2g)と、を備える。図面取得部(2d)は、対象空間(TS1)の図面である空間図面(D1)のデータを取得する。画像取得部(2e)は、対象空間(TS1)の少なくとも一部である実撮影領域(R1)を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)のデータを取得する。領域設定部(2f)は、空間図面(D1)において実撮影領域(R1)に対応する領域を図面撮影領域(V1)として設定する。データ保持部(2g)は、空間図面(D1)、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)、及び図面撮影領域(V1)の各データを対応付けて保持する。
【0078】
上述の検査支援装置(2)は、検査の対象である対象空間(TS1)の少なくとも一部を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)を、対象空間(TS1)の空間図面(D1)内に容易に対応付けることができる。
【0079】
上述の実施形態に係る第2の態様の検査支援装置(2)では、第1の態様において、領域設定部(2f)は、ユーザ(H1)によって設定された空間図面(D1)内の領域を、図面撮影領域(V1)とすることが好ましい。
【0080】
上述の検査支援装置(2)は、ユーザ(H1)の操作によって、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)を、対象空間(TS1)の空間図面(D1)内に容易に対応付けることができる。
【0081】
上述の実施形態に係る第3の態様の検査支援装置(2)では、第1又は第2の態様において、データ保持部(2g)は、図面撮影領域(V1)のデータとして、空間図面(D1)における図面撮影領域(V1)の範囲及び撮影方向のデータを保持することが好ましい。
【0082】
上述の検査支援装置(2)は、空間図面(D1)に対する撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)の対応付けを容易に行うことができる。
【0083】
上述の実施形態に係る第4の態様の検査支援装置(2)は、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、小領域判定部(2h)を更に備えることが好ましい。小領域判定部(2h)は、実撮影領域(R1)に予め決められた判定条件を満たす小領域(9)が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする。データ保持部(2g)は、小領域情報を保持する。
【0084】
上述の検査支援装置(2)は、対象空間(TS1)における不具合箇所の有無を判定することができる。
【0085】
上述の実施形態に係る第5の態様の検査支援装置(2)では、第4の態様において、小領域判定部(2h)は、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)のデータを入力として撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)から小領域(9)が写っている領域を抽出するアルゴリズムであって、機械学習によって予め作成された学習モデルを用いて、実撮影領域(R1)に小領域(9)が存在するか否かを判定することが好ましい。
【0086】
上述の検査支援装置(2)は、対象空間(TS1)における不具合箇所を自動で検出することができる。
【0087】
上述の実施形態に係る第6の態様の検査支援装置(2)では、第4又は5の態様において、小領域判定部(2h)は、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)内に予め決められた特徴を有する領域が存在することを、判定条件に含めることが好ましい。
【0088】
上述の検査支援装置(2)は、対象空間(TS1)における不具合箇所を自動で検出することができる。
【0089】
上述の実施形態に係る第7の態様の検査支援装置(2)では、第4乃至第6の態様のいずれか1つにおいて、小領域判定部(2h)は、ユーザ(H1)によって撮影画像(G1a)に画像内設定領域(Qa)が設定されていることを、判定条件に含めることが好ましい。
【0090】
上述の検査支援装置(2)は、対象空間(TS1)における不具合箇所の判定結果を、ユーザ(H1)の操作によって修正できる。
【0091】
上述の実施形態に係る第8の態様の検査支援装置(2)では、第4乃至第7の態様のいずれか1つにおいて、データ保持部(2g)は、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)に小領域情報を対応付けて保持することが好ましい。
【0092】
上述の検査支援装置(2)は、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)に不具合箇所の情報を付加することができる。
【0093】
上述の実施形態に係る第9の態様の検査支援装置(2)は、第4乃至第8の態様のいずれか1つにおいて、小領域(9)に関する情報を関連情報として取得する関連情報取得部(2i)を更に備えることが好ましい。データ保持部(2g)は、関連情報を小領域情報に対応付けて保持する。
【0094】
上述の検査支援装置(2)は、不具合箇所に関する情報を検査結果に反映させることができる。
【0095】
上述の実施形態に係る第10の態様の検査支援装置(2)では、第4乃至第9の態様のいずれか1つにおいて、小領域判定部(2h)は、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)において小領域(9)に対応する領域を画像内検出領域(Q91~Q96)とし、画像内検出領域(Q91~Q96)の位置情報を小領域情報に含めることが好ましい。
【0096】
上述の検査支援装置(2)は、不具合箇所の位置情報を検査結果に反映させることができる。
【0097】
上述の実施形態に係る第11の態様の検査支援装置(2)では、第10の態様において、画像内検出領域(Q91~Q96)の位置情報は、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)の座標で表されることが好ましい。
【0098】
上述の検査支援装置(2)は、不具合箇所の位置情報を撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)に反映させることができる。
【0099】
上述の実施形態に係る第12の態様の検査支援装置(2)は、第10又は第11の態様において、ユーザ(H1)の操作によって、撮影画像(G1b)における画像内検出領域の位置の変更、及び撮影画像(G1c)における画像内検出領域の削除の少なくとも一方を行う画像変更部(2j)を更に備えることが好ましい。
【0100】
上述の検査支援装置(2)は、小領域判定部(2h)の検出ミスなどが生じても、ユーザ(H1)の操作によって修正できる。
【0101】
上述の実施形態に係る第13の態様の検査支援装置(2)は、第10乃至第12の態様のいずれか1つにおいて、表示制御部(2b)を更に備えることが好ましい。表示制御部(2b)は、撮影画像(G1)の画像内検出領域(Q91~Q96)にマーカ(M91~M96)を配置した1つのマーカ画像(G11、G11a、G11b、G11c)を作成して、マーカ画像(G11、G11a、G11b、G11c)を表示部(4a)に表示させる。
【0102】
上述の検査支援装置(2)は、不具合箇所をマーカ(M91~M96)で示すマーカ画像(G11、G11a、G11b、G11c)を作成できる。
【0103】
上述の実施形態に係る第14の態様の検査支援装置(2)は、第10乃至第12の態様のいずれか1つにおいて、表示制御部(2b)を更に備えることが好ましい。表示制御部(2b)は、画像内検出領域(Q91~Q96)に対応する位置にマーカ(M91~M96)を配置した副画像を作成し、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)に副画像を重ねて表示部(4a)に表示させる。
【0104】
上述の検査支援装置(2)は、不具合箇所をマーカ(M91~M96)で示すマーカ画像(G11、G11a、G11b、G11c)を作成できる。
【0105】
上述の実施形態に係る第15の態様の検査支援装置(2)は、第10乃至第14の態様のいずれか1つにおいて、位置変換部(2k)を更に備えることが好ましい。位置変換部(2k)は、図面撮影領域(V1)、及び画像内検出領域(Q91~Q96)に基づいて、空間図面(D1)において画像内検出領域(Q91~Q96)に対応する位置を、図面内検出位置(P91~P96)として求める。
【0106】
上述の検査支援装置(2)は、空間図面(D1)に不具合箇所を反映させることができる。
【0107】
上述の実施形態に係る第16の態様の検査支援装置(2)は、第15の態様において、空間図面(D1)における図面内検出位置(P91~P96)を変更する図面変更部(2m)を更に備えることが好ましい。図面変更部(2m)は、ユーザ(H1)に選択された図面内検出位置(P91~P96)のいずれかを、ユーザ(H1)に指定された空間図面(D1)内の位置へ移動させる。
【0108】
上述の検査支援装置(2)は、位置変換部(2k)の変換ミスなどが生じても、ユーザ(H1)の操作によって修正できる。
【0109】
上述の実施形態に係る第17の態様の検査支援装置(2)は、第15又は第16の態様において、画像内検出領域(Q91~Q96)及び図面内検出位置(P91~P96)の少なくとも一方に番号を付与する番号付与部(2n)を更に備えることが好ましい。
【0110】
上述の検査支援装置(2)は、複数の不具合箇所の区別を容易にすることができる。
【0111】
上述の実施形態に係る第18の態様の検査支援装置(2)では、第17の態様において、番号付与部(2n)は、番号の修正に関する修正情報を受け取ると、修正情報に基づいて、小領域(9)に付与する番号を修正することが好ましい。
【0112】
上述の検査支援装置(2)は、不具合箇所と番号との対応付けを柔軟に行うことができる。
【0113】
上述の実施形態に係る第19の態様の検査支援装置(2)では、第15乃至第18の態様のいずれか1つにおいて、小領域判定部(2h)は、ユーザ(H1)によって図面内検出位置(P91~P96)が設定されたことを、判定条件に含めることが好ましい。
【0114】
上述の検査支援装置(2)は、対象空間(TS1)における不具合箇所の判定結果を、ユーザ(H1)の操作によって修正できる。
【0115】
上述の実施形態に係る第20の態様の検査支援装置(2)は、第1乃至第19の態様のいずれか1つにおいて、サーバ装置(51)との間で通信することができる通信部(2a)を更に備えることが好ましい。
【0116】
上述の検査支援装置(2)は、データの演算処理に必要なリソースを抑えることができる。
【0117】
上述の実施形態に係る第21の態様の検査支援システム(1)は、第1乃至第20の態様のいずれか1つの検査支援装置(2)と、空間図面(D1)及び撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)を表示する表示部(4a)と、を備える。
【0118】
上述の検査支援システム(1)は、検査の対象である対象空間(TS1)の少なくとも一部を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)を、対象空間(TS1)の空間図面(D1)内に容易に対応付けることができる。
【0119】
上述の実施形態に係る第22の態様の検査支援ネットワークシステム(5)は、第20の態様の検査支援装置(2)と、サーバ装置(51)と、を備える。サーバ装置(51)は、検査支援装置(2)から受信したデータを保持するサーバ側データ保持部(51a)と、データを用いた演算処理を行うデータ演算部(51b)と、を備える。
【0120】
上述の検査支援ネットワークシステム(5)は、検査の対象である対象空間(TS1)の少なくとも一部を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)を、対象空間(TS1)の空間図面(D1)内に容易に対応付けることができる。
【0121】
上述の実施形態に係る第23の態様の検査支援ネットワークシステム(5)では、第22の態様において、データ演算部(51b)は、サーバ側データ保持部(51a)が保持しているデータに基づいて、前記検査の結果を作成することが好ましい。
【0122】
上述の検査支援ネットワークシステム(5)は、データの演算処理に必要な検査支援装置(2)のリソースを抑えることができる。
【0123】
上述の実施形態に係る第24の態様の検査支援方法は、検査の対象である対象空間(TS1)の状態を記録する検査支援方法である。検査支援方法は、図面取得ステップ(S1と、画像取得ステップ(S2)と、領域設定ステップ(S3)と、データ保持ステップ(S4)と、を備える。図面取得ステップ(S1)は、対象空間(TS1)の図面である空間図面(D1)のデータを取得する。画像取得ステップ(S2)は、対象空間(TS1)の少なくとも一部である実撮影領域(R1)を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)のデータを取得する。領域設定ステップ(S3)は、空間図面(D1)において実撮影領域(R1)に対応する領域を図面撮影領域(V1)として設定する。データ保持ステップ(S4)は、空間図面(D1)、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)、及び図面撮影領域(V1)の各データを対応付けて保持する。
【0124】
上述の検査支援方法は、検査の対象である対象空間(TS1)の少なくとも一部を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)を、対象空間(TS1)の空間図面(D1)内に容易に対応付けることができる。
【0125】
上述の実施形態に係る第25の態様のプログラムは、コンピュータシステムに第24の態様の検査支援方法を実行させる。
【0126】
上述のプログラムは、検査の対象である対象空間(TS1)の少なくとも一部を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)を、対象空間(TS1)の空間図面(D1)内に容易に対応付けることができる。
【0127】
上述の実施形態に係る第26の態様の検査支援装置(2)は、検査の対象である対象空間(TS1)の状態を記録する検査支援装置である。検査支援装置(2)は、図面取得部(2d)と、画像取得部(2e)と、領域設定部(2f)と、小領域判定部(2h)と、データ保持部(2g)と、を備える。図面取得部(2d)は、対象空間(TS1)の図面である空間図面(D1)のデータを取得する。画像取得部(2e)は、対象空間(TS1)の少なくとも一部である実撮影領域(R1)を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)のデータを取得する。領域設定部(2f)は、空間図面(D1)において実撮影領域(R1)に対応する領域を図面撮影領域(V1)として設定する。小領域判定部(2h)は、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)のデータを、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)から予め決められた判定条件を満たす小領域(9)が写っている領域を抽出するために機械学習によって予め作成された学習モデルに入力することで、実撮影領域(R1)に小領域(9)が存在するか否かを判定し、当該判定結果を小領域情報とする。データ保持部(2g)は、空間図面(D1)、撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)、図面撮影領域(V1)、及び小領域情報の各データを対応付けて保持する。
【0128】
上述の検査支援装置(2)は、検査の対象である対象空間(TS1)の少なくとも一部を撮影した撮影画像(G1、G1a、G1b、G1c)を、対象空間(TS1)の空間図面(D1)内に容易に対応付けることができる。
【符号の説明】
【0129】
1 検査支援システム
2 検査支援装置
2a 通信部
2b 表示制御部
2d 図面取得部
2e 画像取得部
2f 領域設定部
2g データ保持部
2h 小領域判定部
2i 関連情報取得部
2j 画像変更部
2k 位置変換部
2m 図面変更部
2n 番号付与部
4a 表示部
5 検査支援ネットワークシステム
51 サーバ装置
51a サーバ側データ保持部
51b データ演算部
9 マスキングテープ(小領域)
TS1 対象空間
D1 空間図面
R1 実撮影領域
G1、G1a、G1b、G1c 撮影画像
G11、G11a、G11b、G11c マーカ画像
V1 図面撮影領域
H1 ユーザ
Qa 画像内設定領域
Q91~Q96 画像内検出領域
M91~M96 マーカ
P91~P96 図面内検出位置
S1 図面取得ステップ
S2 画像取得ステップ
S3 領域設定ステップ
S4 データ保持ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20