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特許7501138放射線画像撮影システム、プログラム及び画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】放射線画像撮影システム、プログラム及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240611BHJP
【FI】
A61B6/00 520M
A61B6/00 520Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020104928
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021194388
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 達也
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136299(JP,A)
【文献】国際公開第2015/011987(WO,A1)
【文献】特開2020-014801(JP,A)
【文献】特開2019-202019(JP,A)
【文献】特開2017-074452(JP,A)
【文献】特開2010-005252(JP,A)
【文献】特開2003-284713(JP,A)
【文献】特開2017-047103(JP,A)
【文献】特開2012-010772(JP,A)
【文献】特開2015-167613(JP,A)
【文献】特開2014-144118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像を撮像する放射線画像撮像部と、
前記被写体の少なくとも一部の領域の光学画像を撮像する光学画像撮像部と、
前記光学画像撮像部により撮像された前記光学画像に基づいて、前記被写体のポジショニングの良否を判定するポジショニング判定部と、
前記放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に画像処理を施す画像処理部と、
を備え、
前記画像処理部は、前記光学画像撮像部により撮像された光学画像に基づいて、前記放射線画像の画像処理条件を設定し、前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが良好と判定され、前記放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に対してのみ、前記設定した画像処理条件で画像処理を行い、
前記放射線画像撮像部は、前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが不良と判定された場合は放射線画像の撮像を行わないことを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記光学画像撮像部は、前記放射線源からの放射線が照射される前記被写体の領域の少なくとも一部の領域の光学画像を撮像し、
前記画像処理部は、前記光学画像を解析することにより前記放射線画像において撮像対象となっている前記被写体の部位を判定し、前記判定された部位に応じて前記画像処理条件を設定する請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記光学画像を解析することにより前記被写体の体格を判定し、前記判定された前記被写体の体格に応じて前記画像処理条件を設定する請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記光学画像を解析することにより前記被写体の特徴量を算出し、前記算出された特徴量に応じて前記画像処理条件を設定する請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記特徴量は、前記被写体の所定構造物の大きさ又は形を表す特徴量である請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記画像処理条件は、ダイナミックレンジ圧縮処理、コントラスト補正処理、濃度補正処理、LUT変換処理、周波数強調処理、散乱線補正処理、ノイズ抑制処理、画像のトリミング、画像のマスキング、画像の回転、画像の反転のうち少なくとも一つの画像処理条件である請求項1~5のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像を撮像する放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に画像処理を施すコンピューターを、
前記被写体の少なくとも一部の領域の光学画像を撮像する光学画像撮像部により撮像された光学画像に基づいて、前記被写体のポジショニングの良否を判定するポジショニング判定部、
前記光学画像撮像部により撮像された光学画像に基づいて、前記放射線画像の画像処理条件を設定し、前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが良好と判定され、前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが不良と判定された場合は放射線画像の撮像を行わず前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが良好と判定された場合に放射線画像を撮像する前記放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に対してのみ、前記設定した画像処理条件で画像処理を行う画像処理部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像を撮像する放射線画像撮像部により放射線画像を撮像する工程と、
被写体の少なくとも一部の領域の光学画像を撮像する工程と、
前記撮像された光学画像に基づいて、前記被写体のポジショニングの良否を判定する工程と、
前記撮像された光学画像に基づいて、前記放射線画像の画像処理条件を設定し、前記被写体のポジショニングが良好と判定され、前記放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に対してのみ、前記設定した画像処理条件で画像処理を行う工程と、
を含み、
前記放射線画像撮像部は、前記被写体のポジショニングが不良と判定された場合は放射線画像の撮像を行わないことを特徴とする、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システム、プログラム及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学画像を用いて、放射線撮影時のポジショニングや撮影条件を設定する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ウェブカメラのカメラ画像の外枠内に被写体の撮影部位が映り込んでいる場合に撮影を開始させる技術が記載されている。
また、特許文献2には、カメラ画像から放射線撮影に使用するカセッテを判別し、使用するカセッテを自動的にコンソールに設定する技術が記載されている。
また、特許文献3には、放射線が照射される被ばく領域の少なくとも一部を撮像した光学画像に基づいて、予め定められた変化が被ばく領域に生じたか否かを判断し、予め定められた変化が生じた場合に放射線発生を停止することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-24399号公報
【文献】特開2019-33828号公報
【文献】特開2008-206740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~3の技術では、放射線撮影に係る作業を簡素化したり、適切な撮影を行ったりすることができる。しかしながら、撮影された放射線画像に適切な画像処理を施すためには、コンソール等にて被写体に関する情報や処理パラメーター等をユーザーが設定する必要があった。
【0006】
本発明の課題は、放射線画像に適切な画像処理を行うためのユーザーの設定操作を省略又は簡便化することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の放射線画像撮影システムは、
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像を撮像する放射線画像撮像部と、
前記被写体の少なくとも一部の領域の光学画像を撮像する光学画像撮像部と、
前記光学画像撮像部により撮像された前記光学画像に基づいて、前記被写体のポジショニングの良否を判定するポジショニング判定部と、
前記放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に画像処理を施す画像処理部と、
を備え、
前記画像処理部は、前記光学画像撮像部により撮像された光学画像に基づいて、前記放射線画像の画像処理条件を設定し、前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが良好と判定され、前記放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に対してのみ、前記設定した画像処理条件で画像処理を行い、
前記放射線画像撮像部は、前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが不良と判定された場合は放射線画像の撮像を行わないことを特徴とする
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記光学画像撮像部は、前記放射線源からの放射線が照射される前記被写体の領域の少なくとも一部の領域の光学画像を撮像し、
前記画像処理部は、前記光学画像を解析することにより前記放射線画像において撮像対象となっている前記被写体の部位を判定し、前記判定された部位に応じて前記画像処理条件を設定する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記画像処理部は、前記光学画像を解析することにより前記被写体の体格を判定し、前記判定された前記被写体の体格に応じて前記画像処理条件を設定する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記画像処理部は、前記光学画像を解析することにより前記被写体の特徴量を算出し、前記算出された特徴量に応じて前記画像処理条件を設定する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記特徴量は、前記被写体の所定構造物の大きさ又は形を表す特徴量である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5のいずれか一項に記載の発明において、
前記画像処理条件は、ダイナミックレンジ圧縮処理、コントラスト補正処理、濃度補正処理、LUT変換処理、周波数強調処理、散乱線補正処理、ノイズ抑制処理、画像のトリミング、画像のマスキング、画像の回転、画像の反転のうち少なくとも一つの画像処理条件である。
【0013】
請求項7に記載の発明のプログラムは、
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像を撮像する放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に画像処理を施すコンピューターを、
前記被写体の少なくとも一部の領域の光学画像を撮像する光学画像撮像部により撮像された光学画像に基づいて、前記被写体のポジショニングの良否を判定するポジショニング判定部、
前記光学画像撮像部により撮像された光学画像に基づいて、前記放射線画像の画像処理条件を設定し、前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが良好と判定され、前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが不良と判定された場合は放射線画像の撮像を行わず前記ポジショニング判定部により前記被写体のポジショニングが良好と判定された場合に放射線画像を撮像する前記放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に対してのみ、前記設定した画像処理条件で画像処理を行う画像処理部、
として機能させる。
【0014】
請求項8に記載の発明の画像処理方法は、
放射線源から照射され被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像を撮像する放射線画像撮像部により放射線画像を撮像する工程と、
被写体の少なくとも一部の領域の光学画像を撮像する工程と、
前記撮像された光学画像に基づいて、前記被写体のポジショニングの良否を判定する工程と、
前記撮像された光学画像に基づいて、前記放射線画像の画像処理条件を設定し、前記被写体のポジショニングが良好と判定され、前記放射線画像撮像部により撮像された放射線画像に対してのみ、前記設定した画像処理条件で画像処理を行う工程と、
を含み、
前記放射線画像撮像部は、前記被写体のポジショニングが不良と判定された場合は放射線画像の撮像を行わないことを特徴とする
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、放射線画像に適切な画像処理を行うためのユーザーの設定操作を省略又は簡便化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態における放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
図2図1のコンソールの機能的構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態において図2の制御部により実行される放射線画像生成処理Aの流れを示すフローチャートである。
図4】第2の実施形態において図2の制御部により実行される放射線画像生成処理Bの流れを示すフローチャートである。
図5】第3の実施形態において図2の制御部により実行される放射線画像生成処理Cの流れを示すフローチャートである。
図6】第4の実施形態において図2の制御部により実行される第1の撮影処理Aの流れを示すフローチャートである。
図7】第4の実施形態において図2の制御部により実行される第2の撮影処理Aの流れを示すフローチャートである。
図8】第5の実施形態において図2の制御部により実行される第1の撮影処理Bの流れを示すフローチャートである。
図9】第5の実施形態において図2の制御部により実行される第2の撮影処理Bの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0018】
<第1の実施形態>
〔放射線画像撮影システム100の構成〕
まず、本発明の第1の実施形態の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100の全体構成例を示す図である。放射線画像撮影システム100は、被写体Hに放射線撮影を行い、得られた放射線画像に画像処理を施すシステムである。
【0019】
図1に示すように、放射線画像撮影システム100は、放射線照射装置1と、放射線検出装置2と、コンソール3と、光学カメラ4と、を備えて構成されている。コンソール3は、放射線照射装置1、放射線検出装置2及び光学カメラ4とデータ送受信可能に接続されて構成されている。
【0020】
放射線照射装置1は、被写体H(被検者)を挟んで放射線検出装置2と対向する位置に配置された放射線源11を備え、コンソール3の制御に従って、被写体Hに対し放射線(X線)を照射する。
【0021】
放射線検出装置2は、放射線源11から照射され被写体Hを透過した放射線を検出し、放射線画像を撮像する放射線画像撮像部であり、検出器保持部22、放射線検出器P等を備えて構成されている。放射線検出器Pは、FPD(Flat Panel Detector)等より構成される。放射線検出器Pは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線照射装置1から照射されて少なくとも被写体Hを透過した放射線(X線)をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリックス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。放射線検出器Pは、コンソール3から入力された画像読取条件に基づいて各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、各画素に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データ(放射線画像)を取得する。そして、放射線検出器Pは、取得した画像データをコンソール3に出力する。
【0022】
コンソール3は、放射線照射条件を放射線照射装置1に出力するとともに、画像読取条件を放射線検出装置2に出力し、放射線照射装置1による放射線照射及び放射線検出装置2による放射線画像の読み取り動作を制御する。また、コンソール3は、画像処理部として、撮影された放射線画像に画像処理を施す。
【0023】
コンソール3は、図2に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
【0024】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、コンソール3各部の動作や、放射線照射装置1及び放射線検出装置2の動作を集中制御する。
【0025】
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
また、記憶部32は、撮影により取得された放射線画像を患者情報(患者ID、患者名等)や検査情報(検査日、撮影部位等)に対応付けて記憶する。
【0026】
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。更に、操作部33には、放射線照射装置1に放射線撮影を指示するための曝射スイッチ等が備えられている。
【0027】
表示部34は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、操作部33からの入力指示やデータ等を表示する。
【0028】
通信部35は、放射線照射装置1、放射線検出装置2及び光学カメラ4とデータ送受信を行うためのインターフェースを有する。なお、コンソール3と放射線照射装置1、放射線検出装置2及び光学カメラ4との通信は、有線通信であっても無線通信であってもよい。
【0029】
光学カメラ4は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Device)カメラ、又は赤外線カメラ等により構成され、光学画像を撮像する光学画像撮像部である。本実施形態において、光学カメラ4は、放射線照射装置1の放射線源11の近傍に備えられ、コンソール3からの指示に従って、放射線源11から放射線が照射される領域の少なくとも一部の領域(基本的には放射線が照射される領域よりやや大きめの領域)の光学画像を撮像し、撮像した光学画像をコンソール3に送信する。
【0030】
〔放射線画像撮影システム100の動作〕
次に、放射線画像撮影システム100の動作について説明する。
放射線撮影を行うにあたり、撮影実施者は、まず、撮影準備を行う。すなわち、コンソール3の操作部33により患者情報等の入力を受け付け、被写体Hのポジショニングを行う。撮影準備が終了すると、撮影実施者は、操作部33により撮影開始を指示する。操作部33から撮影開始が指示されると、コンソール3は、図3に示す放射線画像生成処理Aを実行する。放射線画像生成処理Aは、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0031】
放射線画像生成処理Aにおいて、制御部31は、まず、光学カメラ4に撮像を行わせ、光学画像を取得する(ステップS1)。
すなわち、放射線源11から放射線が照射される領域の少なくとも一部の領域の光学画像を取得する。
【0032】
次いで、制御部31は、取得された光学画像を解析することにより、撮影部位を判定する(ステップS2)。
撮影部位は、放射線画像の撮像対象となっている部位である。
光学画像から撮影部位を判定する手法は、特に限定されない。例えば、放射線検査において撮影部位となり得る部位ごとの光学画像のテンプレート画像を予め用意しておき、光学カメラ4から取得された光学画像と各テンプレート画像とのテンプレートマッチングを行い、類似度が最も高かった部位を撮影部位として判定することができる。
【0033】
次いで、制御部31は、判定された撮影部位に基づいて、放射線画像の画像処理条件を設定する(ステップS3)。
例えば、各撮影部位と、当該撮影部位に応じた最適な画像処理条件(画像処理パラメーター)とを対応付けた変換テーブルを記憶部32に記憶しておき、制御部31は、この変換テーブルを用いて、ステップS3で判定された撮影部位に応じた画像処理条件を特定し、特定した画像処理条件を撮影される放射線画像の画像処理条件として設定する。ここで、撮影部位に応じて設定される画像処理条件としては、例えば、ダイナミックレンジ圧縮処理、コントラスト補正処理、濃度補正処理、LUT(Look Up Table)処理、周波数強調処理、散乱線補正処理、ノイズ抑制処理、画像のトリミング(例えば、手指骨と判定された場合は六切りサイズにトリミングする)、画像のマスキング、画像の回転、画像の反転(例えば胸部PAと判定された場合は画像を反転する)の少なくとも一つの画像処理条件が挙げられる。
【0034】
次いで、制御部31は、曝射スイッチの押下に応じて、放射線照射装置1及び放射線検出装置2に放射線撮影を行わせ、放射線画像を取得する(ステップS4)。
そして、取得された放射線画像に、ステップS3で設定された画像処理条件で画像処理を施し(ステップS5)、画像処理された放射線画像を患者情報や検査情報に対応付けて記憶部32に保存し(ステップS6)、放射線画像生成処理Aを終了する。
【0035】
上記放射線画像生成処理Aでは、光学画像に基づいて撮影部位を判別し、撮影部位に応じた画像処理条件を自動的に設定して放射線画像に画像処理を施すので、撮影部位や画像処理条件をユーザーが設定操作することなく、撮影部位に応じた適切な画像処理が可能となる。すなわち、放射線画像に適切な画像処理を行うためのユーザーの設定操作を省略又は簡便化することができる。
【0036】
なお、上記説明では、光学画像を解析することにより判定された撮影部位に基づいて放射線画像の画像処理条件を自動的に設定することとしたが、判定された撮影部位に基づいて撮影条件や画像読み取り条件を自動的に設定し、放射線撮影を行って放射線画像を取得することとしてもよい。
また、図3においては、画像処理条件の設定後に放射線画像を取得することとしたが、光学画像の解析と並行して放射線画像を取得してもよい。
【0037】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
放射線画像では、被写体Hの体格によって最適な画像処理条件が変わる。
そこで、第2の実施形態では、被写体Hを撮影した光学画像に基づいて被写体Hの体格を判定し、体格に応じた適切な画像処理を放射線画像に施す例について説明する。
【0038】
第2の実施形態において、光学カメラ4は、被写体Hの側面にそのレンズを向けて配置され、コンソール3の指示に応じて被写体Hの側面(被写体Hの側面の全体でも一部でもよい)の光学画像を取得してコンソール3に送信する。
その他の放射線画像撮影システム100の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第2の実施形態の動作について説明する。
【0039】
撮影準備が完了し、操作部33により撮影開始が指示されると、コンソール3は、図4に示す放射線画像生成処理Bを実行する。放射線画像生成処理Bは、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0040】
放射線画像生成処理Bにおいて、制御部31は、まず、光学カメラ4に撮像を行わせ、光学画像を取得する(ステップS11)。
すなわち、被写体Hの側面の光学画像を取得する。
【0041】
次いで、制御部31は、取得された光学画像を解析することにより、被写体Hの体格を判定する(ステップS12)。
例えば、制御部31は、特開2011-139761号公報に記載のように、被写体Hの側面が撮像された光学画像から被写体Hの輪郭を抽出し、抽出した輪郭から体厚を算出する。そして、算出した体厚を予め定められた複数の基準値と比較することにより、被写体Hの体格が、例えば、肥満型、標準、やせ型のいずれであるかを判定する。
【0042】
次いで、制御部31は、判定された体格に基づいて、放射線画像の画像処理条件を設定する(ステップS13)。
例えば、各体格と、当該体格に応じた最適な画像処理条件とを対応付けた変換テーブルを記憶部32に記憶しておき、制御部31は、この変換テーブルを用いて、ステップS12で判定された体格に応じた画像処理条件を特定し、特定した画像処理条件を撮影される放射線画像に適用する画像処理条件として設定する。ここで、体格に応じて設定される画像処理条件としては、例えば、ダイナミックレンジ圧縮処理、コントラスト補正処理、濃度補正処理、LUT(Look Up Table)処理、周波数強調処理、散乱線補正処理、ノイズ抑制処理、画像のトリミング、画像のマスキング、画像の回転、画像の反転の少なくとも一つの画像処理条件が挙げられる。
【0043】
次いで、制御部31は、曝射スイッチの押下に応じて、放射線照射装置1及び放射線検出装置2に放射線撮影を行わせ、放射線画像を取得する(ステップS14)。
そして、取得された放射線画像に、ステップS13で設定された画像処理条件で画像処理を施し(ステップS15)、画像処理された放射線画像を患者情報や検査情報に対応付けて記憶部32に保存し(ステップS16)、放射線画像生成処理Bを終了する。
【0044】
上記放射線画像生成処理Bでは、光学画像に基づいて、被写体Hの体格を判別し、体格に応じた画像処理条件を自動的に設定するので、被写体Hの体格や画像処理パラメーターをユーザーが設定する操作を行うことなく、体格に応じた適切な画像処理が可能となる。すなわち、放射線画像に適切な画像処理を行うためのユーザーの設定操作を省略又は簡便化することができる。
【0045】
なお、上記説明では、光学画像を解析することにより判定された体格に基づいて放射線画像の画像処理条件を自動的に設定することとしたが、判定された体格に基づいて撮影条件や画像読み取り条件を自動的に設定し、放射線撮影を行って放射線画像を取得することとしてもよい。
また、図4においては、画像処理条件の決定後に放射線画像を取得することとしたが、光学画像の解析と並行して放射線画像を取得してもよい。
【0046】
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態について説明する。
例えば、入院患者等に対しては、定期的に放射線画像を取得して病状の経過観察を行う場合がある。経過観察を行う場合、毎回の画像処理条件が異なると、その人の病状が変わったのか否かがわからず、適切な診断ができなくなる。
そこで、第3の実施形態では、放射線撮影時に被写体Hの光学画像を取得し、取得した光学画像に基づいて患者を判別し、その患者の過去に撮影された放射線画像(過去画像)に適用した画像処理条件を特定して今回取得する放射線画像に適用する例について説明する。
【0047】
第3の実施形態において、記憶部32には、撮影された放射線画像に対し、患者情報、検査情報、放射線画像撮影時に撮影された被写体の光学画像、当該光学画像から算出された特徴量、及び放射線画像に施された画像処理の画像処理条件が対応付けて記憶されている。
【0048】
また、光学カメラ4は、被写体Hの所定の構造物(例えば、顔や目)を含む光学画像を撮影可能な位置に配置され、コンソール3の指示に応じて被写体Hの所定の構造物を含む光学画像を取得してコンソール3に送信する。
【0049】
その他の放射線画像撮影システム100の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第3の実施形態の動作について説明する。
【0050】
撮影準備が完了し、操作部33から撮影開始が指示されると、コンソール3は、図5に示す放射線画像生成処理Cを実行する。放射線画像生成処理Cは、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0051】
放射線画像生成処理Cにおいて、制御部31は、まず、光学カメラ4に撮像を行わせ、光学画像を取得する(ステップS21)。
すなわち、被写体Hの所定の構造物(例えば、顔、目等)を含む光学画像を取得する。
【0052】
次いで、制御部31は、取得された光学画像を解析することにより、被写体Hの特徴量(画像特徴量)を算出する(ステップS22)。
ステップS22において、制御部31は、例えば、被写体Hの所定の構造物の大きさや形状を表す特徴量を算出する。例えば、特開2015-219879号公報に記載のように、公知の画像認識技術を用いて光学画像から顔領域を認識し、顔領域内の所定の構造物(目、鼻、口)を認識してその大きさや形状を表す特徴量を算出する。例えば、構造物に複数の特徴点を設定し、所定の特徴点間の距離等を大きさの特徴量として求める。また、各特徴点の位置や各特徴点間の距離等を形状の特徴量として求めることができる。あるいは、特開2012-29894号公報に記載のように、公知の瞳孔認証処理技術により瞳孔の特徴量を算出してもよい。また、複数の構造物の特徴量を算出してもよい。
【0053】
次いで、制御部31は、算出された特徴量に基づいて、放射線画像の画像処理条件を設定する(ステップS23)。
ステップS23では、算出された特徴量を記憶部32において過去の放射線画像(撮影部位が同じ)と対応付けて記憶されている特徴量(光学画像から算出された特徴量)と比較し、一致する特徴量が存在した場合に、その特徴量に対応付けられた過去の放射線画像に用いた画像処理条件を読み出して、今回撮影する放射線画像の画像処理条件として設定する。これにより、被写体H(同一患者)の過去の放射線画像に用いた画像処理条件と同じ画像処理条件を設定することができる。
なお、一致する特徴量が記憶部32に存在しない場合は、例えば、操作部33からユーザーが画像処理条件を設定してもよい。
【0054】
次いで、制御部31は、曝射スイッチの押下に応じて、放射線照射装置1及び放射線検出装置2に放射線撮影を行わせ、放射線画像を取得する(ステップS24)。
そして、取得された放射線画像に、ステップS23で設定された画像処理条件で画像処理を施し(ステップS25)、画像処理された放射線画像に、患者情報、検査情報、取得した光学画像、特徴量及び画像処理条件を対応付けて記憶部32に保存し(ステップS26)、放射線画像生成処理Cを終了する。
【0055】
上記放射線画像生成処理Cでは、光学画像から被写体Hの特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、被写体Hの過去の放射線画像に施した画像処理条件を特定して自動的に設定するので、被写体Hの過去の放射線画像に適用した画像処理条件をユーザーが特定して設定する操作を行うことなく、経過観察が可能な適切な画像処理を行うことが可能となる。すなわち、放射線画像に適切な画像処理を行うためのユーザーの設定操作を省略又は簡便化することができる。
【0056】
なお、上記説明では、光学画像を解析することにより算出された特徴量に基づいて放射線画像の画像処理条件を自動的に設定することとしたが、算出された特徴量に基づいて撮影条件や画像読み取り条件を自動的に設定し、放射線撮影を行って放射線画像を取得することとしてもよい。
また、図5においては、画像処理条件の決定後に放射線画像を取得することとしたが、光学画像の解析と並行して放射線画像を取得してもよい。
【0057】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
放射線撮影では、撮影実施者がポジショニングを行って撮影を行うが、体の表面を見ても体内の状態までわからないため、実際に放射線画像を取得すると診断に適さず再撮影となってしまう場合がある。
そこで、第4の実施形態では、放射線撮影時に取得した光学画像に基づいてポジショニングが良好か否か(診断に適したポジショニングであるか否か)を放射線撮影前に判定してポジショニング不良の場合にユーザーに通知する。
【0058】
第4の実施形態において、記憶部32には、入力された光学画像に基づいて機械学習により放射線撮影時のポジショニングの良否を判定するための機械学習プログラム、光学画像及びポジショニングの判定結果からなる学習用データに基づいて学習を行い、上記機械学習プログラムで用いる学習パラメーターを生成する学習パラメーター生成プログラムを始めとする各種プログラムが記憶されている。
また、記憶部32には、学習用データを蓄積記憶するための学習用データ記憶部及び学習パラメーターを記憶する学習パラメーター記憶部が設けられている。
また、光学カメラ4は、放射線照射装置1の放射線源11の近傍に備えられ、コンソール3からの指示に従って、放射線源11から放射線が照射される領域の光学画像を撮像し、撮像した光学画像をコンソール3に送信する。
その他の第4の実施形態における放射線画像撮影システム100の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第4の実施形態の動作について説明する。
【0059】
撮影準備が完了し、操作部33から撮影開始が指示されると、コンソール3は、学習パラメーター記憶部を参照し、学習パラメーターが記憶されていない場合、図6に示す第1の撮影処理Aを実行する。学習パラメーターが記憶されている場合、図7に示す第2の撮影処理Aを実行する。第1の撮影処理A、第2の撮影処理Aは、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0060】
(第1の撮影処理A)
まず、図6を参照して第1の撮影処理Aについて説明する。
第1の撮影処理Aにおいて、制御部31は、まず、光学カメラ4に撮像を行わせ、光学画像を取得する(ステップS31)。
【0061】
次いで、制御部31は、曝射スイッチの押下に応じて、放射線照射装置1及び放射線検出装置2に放射線撮影を行わせて放射線画像を取得し、記憶部32に記憶させる(ステップS32)。
【0062】
次いで、制御部31は、取得された放射線画像からポジショニングを判定する(ステップS33)。
例えば、制御部31は、取得された放射線画像を表示部34に表示させ、ユーザーによるポジショニング良否の入力を操作部33により受け付け、ポジショニング良否の入力に応じてポジショニングを判定する。または、制御部31は、放射線画像を解析して自動的にポジショニングを判定してもよい。例えば、撮影部位に応じた注目部位の検出処理を行い、注目部位が欠損なく含まれている場合に、ポジショニングが良好であると判定し、注目部位に欠損がある場合は、ポジショニング不良であると判定してもよい。
【0063】
次いで、制御部31は、ステップS31で取得した光学画像とポジショニングの判定結果を対応付けて学習用データとして記憶部32の学習用データ記憶部に記憶(追加)させる(ステップS34)。
【0064】
次いで、制御部31は、学習パラメーター生成プログラムに従って、学習用データ記憶部に記憶されている学習用データに基づいて学習を行い、入力された光学画像からポジショニングの良否を判定するための機械学習の学習パラメーターを生成する(ステップS35)。
機械学習としては、例えば、畳み込みニューラルネットワーク等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0065】
そして、制御部31は、生成された学習パラメーターを記憶部32に保存させ(ステップS36)、第1の撮影処理Aを終了する。
ステップS33で判定したポジショニング判定結果がポジショニング不良である場合、ユーザーは、操作部33により撮影を指示し、再撮影を行う。
【0066】
なお、ステップS34~ステップS36は、撮影部位ごとに行うことが好ましい。
また、ステップS35~S36の処理は、学習用データが所定数以上記憶されている場合に行うこととしてもよい。
【0067】
(第2の撮影処理A)
次に、図7を参照して第2の撮影処理Aについて説明する。
【0068】
第2の撮影処理Aにおいて、制御部31は、まず、光学カメラ4に撮像を行わせ、光学画像を取得する(ステップS41)。
【0069】
次いで、制御部31は、取得された光学画像を入力として、記憶部32の学習パラメーター記憶部に記憶されている学習パラメーターを用いて機械学習によりポジショニングの良否を判定する(ステップS42)。
【0070】
ポジショニングが不良であると判定した場合(ステップS43;YES)、制御部31は、ポジショニングが不良であることを通知し(ステップS44)、第2の撮影処理Aを終了する。
ステップS44において、制御部31は、例えば、表示部34に「ポジショニング不良です」等の通知を表示する。あるいは、コンソール3に音声出力部を備える構成とし、「ポジショニング不良です」等の通知メッセージを音声により出力することとしてもよい。
【0071】
一方、ポジショニング不良ではない(良好である)と判定した場合(ステップS43;NO)、制御部31は、曝射スイッチの押下に応じて、放射線照射装置1及び放射線検出装置2に放射線撮影を行わせて放射線画像を取得し、記憶部32に記憶させる(ステップS45)。
【0072】
次いで、制御部31は、取得された放射線画像からポジショニングを判定し、判定結果に基づいて学習パラメーターを更新し(ステップS46)、第2の撮影処理Aを終了する。
ステップS46において、制御部31は、図6のステップS33~S36と同様の処理を実行し、学習パラメーター記憶部に記憶されている学習パラメーターを更新する。
ステップS46で判定したポジショニング判定結果がポジショニング不良である場合、ユーザーは、操作部33により撮影を指示し、再撮影を行う。
【0073】
このように、第4の実施形態では、光学画像に基づいてポジショニングが良好か否か(診断に適したポジショニングであるか否か)を放射線撮影前に判定することができるので、再撮影による手間や患者の被ばくを低減することが可能となる。
【0074】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
放射線撮影では、撮影実施者がポジショニングを行って撮影を行うが、体の表面を見ても体内の状態までわからないため、実際に放射線画像を取得すると診断に適さず再撮影となってしまう場合がある。
そこで、第5の実施形態では、光学画像に基づいてポジショニングが良好か否か(診断に適したポジショニングであるか否か)を放射線撮影前に判定し、ポジショニング不良の場合はポジショニング調整量をユーザーに通知する。
【0075】
第5の実施形態において、記憶部32には、入力された光学画像に基づいて機械学習により放射線撮影時のポジショニングの良否を判定するとともに、ポジショニング不良の場合にはポジショニング調整量を推定するための機械学習プログラムや、光学画像、ポジショニングの判定結果及びポジショニング不良の場合のポジショニング調整量からなる学習用データに基づいて学習を行い、上記機械学習プログラムで用いる学習パラメーターを生成する学習パラメーター生成プログラムを始めとする各種プログラムが記憶されている。
また、記憶部32には、学習用データを蓄積記憶するための学習用データ記憶部及び学習パラメーターを記憶する学習パラメーター記憶部が設けられている。
また、光学カメラ4は、放射線照射装置1の放射線源11の近傍に備えられ、コンソール3からの指示に従って、放射線源11から放射線が照射される領域の光学画像を撮像し、撮像した光学画像をコンソール3に送信する。
その他の第5の実施形態における放射線画像撮影システム100の構成は、第1の実施形態で説明したものと同様であるので説明を援用し、以下、第5の実施形態の動作について説明する。
【0076】
撮影準備が完了し、操作部33から撮影開始が指示されると、コンソール3は、学習パラメーター記憶部を参照し、学習パラメーターが記憶されていない場合、図8に示す第1の撮影処理Bを実行する。学習パラメーターが記憶されている場合、図9に示す第2の撮影処理Bを実行する。第1の撮影処理B、第2の撮影処理Bは、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
【0077】
(第1の撮影処理B)
まず、図8を参照して第1の撮影処理Bについて説明する。
【0078】
第1の撮影処理Bにおいて、制御部31は、まず、光学カメラ4に撮像を行わせ、光学画像を取得する(ステップS51)。
【0079】
次いで、制御部31は、曝射スイッチの押下に応じて、放射線照射装置1及び放射線検出装置2に放射線撮影を行わせて放射線画像を取得し、記憶部32に記憶させる(ステップS52)。
【0080】
次いで、制御部31は、取得された放射線画像のポジショニング判定を行う(ステップS53)。
ステップS53の処理は、図6のステップS33で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0081】
次いで、制御部31は、ポジショニングの判定結果がポジショニング不良であるか否かを判断する(ステップS54)。
ポジショニング不良ではないと判断した場合(ステップS54;NO)、制御部31は、ステップS60に移行する。
【0082】
一方、ポジショニング不良であると判断した場合(ステップS54;YES)、制御部31は、再撮影を行う。
すなわち、制御部31は、光学カメラ4に撮像を行わせ、光学画像を取得する(ステップS55)。
次いで、制御部31は、曝射スイッチの押下に応じて、放射線照射装置1及び放射線検出装置2に放射線撮影を行わせて放射線画像を取得し、記憶部32に記憶させる(ステップS56)。
【0083】
次いで、制御部31は、取得された放射線画像のポジショニングの判定を行う(ステップS57)。
ステップS57の処理は、図6のステップS33で説明したものと同様であるので説明を援用する。
【0084】
次いで、制御部31は、ポジショニングの判定結果がポジショニング不良であるか否かを判断する(ステップS58)。
ポジショニング不良であると判断した場合(ステップS58;YES)、制御部31は、ステップS55に戻り、ステップS55~S58を繰り返し実行する。
【0085】
ポジショニング不良ではない(良好である)と判断した場合(ステップS58;NO)、制御部31は、ステップS51で取得されたポジショニング不良の光学画像と、ステップS55で取得されたポジショニング良好の光学画像とに基づいて、ポジショニング調整量を推定し(ステップS59)、ステップS60に移行する。
例えば、ポジショニング不良の光学画像とポジショニング良好の光学画像において、ローカルマッチング処理等を行って、ポジショニング不良の光学画像をポジショニング良好の光学画像に合わせるための移動量を算出し、移動量をポジショニング調整量として推定する(例えば、加野亜紀子、諸角町子著「胸部集団検診X線画像の経時差分処理の研究」、コニカミノルタテクノロジレポートVol.8(1995)参照)。
【0086】
ステップS60において、制御部31は、取得した光学画像、ポジショニング判定結果、さらにポジショニング判定結果がポジショニング不良である場合には、ポジショニング調整量を対応付けて学習用データとして記憶部32の学習用データ記憶部に記憶(追加)させる(ステップS60)。
【0087】
次いで、制御部31は、学習パラメーター生成プログラムに従って、学習用データ記憶部に記憶されている学習用データに基づいて学習を行い、入力された光学画像からポジショニングの良否の判定及びポジショニング不良の場合のポジショニング調整量の推定を行うための機械学習の学習パラメーターを生成する(ステップS61)。
機械学習としては、例えば、畳み込みニューラルネットワーク等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0088】
そして、制御部31は、生成された学習パラメーターを記憶部32に保存させ(ステップS62)、第1の撮影処理Bを終了する。
なお、ステップS60~S62は、撮影部位ごとに行うことが好ましい。
また、ステップS61~S62の処理は、学習用データが所定数以上記憶されている場合に行うこととしてもよい。
【0089】
(第2の撮影処理B)
次に、図9を参照して第2の撮影処理Bについて説明する。
【0090】
第2の撮影処理Bにおいて、制御部31は、まず、光学カメラ4に撮像を行わせ、光学画像を取得する(ステップS71)。
【0091】
次いで、制御部31は、取得された光学画像を入力として、記憶部32の学習パラメーター記憶部に記憶されている学習パラメーターを用いて機械学習によりポジショニングの良否を判定する(ステップS72)。
【0092】
ポジショニングが不良であると判定した場合(ステップS73;YES)、制御部31は、機械学習によりポジショニング調整量を推定し(ステップS74)、推定したポジショニング調整量を通知し(ステップS75)、第2の撮影処理Bを終了する。
ステップS75において、制御部31は、例えば、表示部34に「ポジショニング不良です。被写体を右に〇cm移動させてください。」等の通知を表示する。あるいは、コンソール3に音声出力部を備える構成とし、「ポジショニング不良です。被写体を右に〇cm移動させてください。」等の通知メッセージを音声により出力することとしてもよい。
【0093】
一方、ポジショニング不良ではない(良好である)と判定した場合(ステップS73;NO)、制御部31は、曝射スイッチの押下に応じて、放射線照射装置1及び放射線検出装置2に放射線撮影を行わせて放射線画像を取得し、記憶部32に記憶させる(ステップS76)。
【0094】
次いで、制御部31は、取得された放射線画像からポジショニングを判定し、判定結果に基づいて学習パラメーターを更新し(ステップS77)、第2の撮影処理Bを終了する。
ステップS77において、制御部31は、図8のステップS53~S62と同様の処理を実行し、学習パラメーター記憶部に記憶されている学習パラメーターを更新する。
なお、ステップS77で判定したポジショニング判定結果がポジショニング不良である場合、ユーザーは、操作部33により撮影を指示し、再撮影を行う。
【0095】
このように、第5の実施形態では、光学画像に基づいてポジショニングが良好か否か(診断に適したポジショニングであるか否か)を放射線撮影前に判定することができるので、再撮影による手間や患者の被ばくを防止することが可能となる。また、ポジショニング不良の場合はポジショニングの調整量をユーザーに通知することができるので、ユーザーはどのようにポジショニングを調整したらよいかを容易に把握することができ、ポジショニングの調整が容易になる。
【0096】
以上、第1~第5の実施形態について説明したが、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0097】
例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
【0098】
その他、放射線画像撮影システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0099】
100 放射線画像撮影システム
1 放射線照射装置
11 放射線源
2 放射線検出装置
P 放射線検出器
3 コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス
4 光学カメラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9