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特許7503632液体タシメルテオン製剤及びそれを使用する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】液体タシメルテオン製剤及びそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/343 20060101AFI20240613BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240613BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240613BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240613BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240613BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240613BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240613BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
A61K31/343
A61P25/18
A61P25/08
A61P25/14
A61P25/20
A61P9/00
A61K9/10
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/42
A61K47/22
A61K47/20
A61K47/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022535961
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2020064555
(87)【国際公開番号】W WO2021119456
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】63/119,488
(32)【優先日】2020-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/972,902
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/947,774
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】313006588
【氏名又は名称】バンダ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】VANDA PHARMACEUTICALS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パドケ、ディーパック
(72)【発明者】
【氏名】ポリメロプロス、ミハエル
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0136050(US,A1)
【文献】特表2001-505916(JP,A)
【文献】特表2017-526693(JP,A)
【文献】医薬品添加物事典 2007,株式会社薬事日報社,2007年07月25日,第166頁,第226頁,第286頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.35mL~10mLの体積を有する1つ又は複数の単位用量が、前記1つ又は複数の単位用量が投与される対象の個体を処置するのに有効な量のタシメルテオンを含むような濃度の、タシメルテオンの均質な水性懸濁物;
微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを、
10~30mg/mL、又は
10~20mg/mL、又は
20mg/mL
の濃度で含む懸濁剤;
矯味剤;
不透明性付与剤;及び
界面活性剤
を含む医薬組成物であって、
周囲環境条件で前記組成物が150cps以下の粘度及び1超~1.5の比重を有し、
前記タシメルテオンが、
1~6mg/mL、又は
2~5mg/mL、又は
1mg/mL、又は
4mg/mL
の濃度で存在する、
前記医薬組成物。
【請求項2】
前記懸濁剤が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びカルボキシプロピルメチルセルロースナトリウム(CPMC)からなる群から選択される少なくとも1種のセルロース系懸濁剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記不透明性付与剤がマンニトールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記矯味剤が、単糖、二糖、及び高甘味度甘味料からなる群から選択される甘味料である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記甘味料がスクロースである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
総固形分含量が500mg/mL未満である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記高甘味度甘味料が、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、アドバンテーム、及びシクラメート(cyclamate)か
らなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ノニオン性界面活性剤がポリソルベート80である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリソルベート80が0.5~5mg/mL、1~3mg/mL、1~2mg/mL、又は1mg/mLの量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
1~6mg/mLのタシメルテオン、
5~40mg/mLの微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、
100~400mg/mLのマンニトール、
200~400mg/mLのスクロース、
1~10mg/mLのNaCl、及び
酸化防止剤、
保存料、及び
香味料
を含む、タシメルテオンの均質な水性懸濁物。
【請求項12】
1~6mg/mLのタシメルテオン、
10~20mg/mLの微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、
100~200mg/mLのマンニトール、
250~350mg/mLのスクロース、
2~8mg/mLのNaCl、及び
酸化防止剤、
保存料、及び
香味料
を含む、タシメルテオンの均質な水性懸濁物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タシメルテオン(米国特許5,856,529、クレーム7を参照のこと)、つまりトランス-N-[[2-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-4-イル)シクロプロパン-1-イル]メチル]プロパンアミド、の液体懸濁物を含む薬学的に洗練された製剤を提供する。タシメルテオンは、HETLIOZ(登録商標)の活性成分であり、HETLIOZ(登録商標)は、非24時間睡眠覚醒障害(Non-24)での使用が承認された薬であり、固体経口投与形態、つまり、20mgのタシメルテオンを含むカプセルの形態で商業的に入手可能である。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、共係属している2019年12月13日に出願された米国仮特許出願番号62/947,774、2020年2月11日に出願された米国仮特許出願番号62/972,902、及び2020年11月30日に出願された米国仮特許出願番号63/119,488からの優先権を主張し、これら米国仮特許出願それぞれの内容は、当該内容が完全に記載された場合と同様に、その全体が参照により本開示に取り込まれる。
【0003】
患者への投与に適した、特に液体製剤としての投与に適した薬の薬学的に洗練された懸濁物の調製は、数々の挑戦を提示する。そのうち典型的なものとしては、物理的安定性
内容物の均一性、沈殿、ケーキング、再懸濁性、結晶成長、及び望ましくない味若しくは臭いがありうる。Alok K. Kulshreshtha、Onkar N. Singh、及びG. Michael Wall(編)「Pharmaceutical Suspensions: From Formulation Development to Manufacturing」を参照のこと。患者への投与、特に小児患者への投与に適したタシメルテオンの薬学的に洗練された液体懸濁物の調製は、タシメルテオンのまずい味、適切な体積の液体での有効な単位用量を測りそして投与するのに適した粘度を達成する必要性、液体タシメルテオン製剤の化学的安定性、液体媒体(liquid vehicle)中におけるその溶解速度及び溶解度、並びにタシメルテオン懸濁物として調製された液体製剤の不透明性といった因子により特に複雑となる。タシメルテオンの薬学的に洗練された製剤を達成するためには、このような複雑な因子のそれぞれに対してうまく対処し、同時に得られる製剤が容易に製造可能であることを担保する必要がある。
【0004】
これまで、米国特許5,856,529(例えば、第17欄)は、タシメルテオン等の薬の医薬的組成物は経口投与に適した製剤として調製することが可能であることを報告しており、前記製剤としては、シロップ又は水性液体懸濁物を調製するために用いられる液体キャリアを含む組成物であって、該液体キャリア中で懸濁剤、乳化剤、湿潤剤、及び保存料、並びに香味料及び/又は着色剤といった従来の添加剤が用いられ得る組成物が含まれる。
【0005】
【化1】

タシメルテオン
【0006】
当業界において別に知られているように、タシメルテオンは約78℃の融点(DSC)を有する白色~オフホワイトの粉末として調製することができる。これは95%エタノール、メタノール、アセトニトリル、酢酸エチル、イソプロパノール、ポリエチレングリコール(PEG-300及びPEG-400)に高度に可溶であるが、水への溶解性は低い。水中におけるタシメルテオンの飽和溶液の元来のpHは8.5であり、その水溶解性はpHによって大きくは影響されない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に記載の発明は、水性懸濁物(aqueous suspension)の状態でタシメルテオンを含む薬学的に洗練された液体組成物であって、この医薬組成物の所定体積(例えば、0.35~10mL)がその中に懸濁されている有効成分の単位容量を提供し、それによって、個体に投与された1又は複数のこのような単位容量が、医薬の投与の目的としての疾患又は症状を治療又は予防するのに有効な量のタシメルテオンを提供する、前記液体組成物を提供する。
【0008】
本発明の医薬組成物は、1種又は複数種の懸濁剤及び1種又は複数種の矯味剤(taste masking agent)を含んでもよい、タシメルテオンの均質な水性懸濁物を提供する。一例として、そのような組成物は、懸濁剤としてセルロース系懸濁剤を含んでもよい。懸濁剤の一般的な粘度は、周囲環境条件(ambient condition)で、約150センチポワズ(cps)又はこれ未満である。
【0009】
上記の医薬組成物は、周囲環境条件で1超~約1.5の比重を有するように調合されてもよい。加えて、そのような製剤は、1種又は複数種の不透明性付与剤(opacity imparting agents)、及びノニオン性界面活性剤等の1種又は複数種の界面活性剤を追加で含んでもよい。ノニオン性界面活性剤は例えばポリソルベート80である。
【0010】
上記の医薬組成物は、本組成物中で有用な懸濁剤がメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシプロピルメチルセルロースナトリウム(CPMC)、又はカルボキシメチルセルロースナトリウム及び微結晶セルロース、のうちの1種又は複数種である、医薬組成物であってもよい。例として、本発明の医薬組成物は、懸濁剤が微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロース、又はそれらの塩であって、前記医薬組成物が不透明性付与剤、甘味料、及び抗酸化剤を含むものであってもよい。あるいは、前記懸濁剤は微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムであってもよい。例えば、懸濁剤は、(1)微結晶セルロースの粒子のうち60%の粒径が(そのD60が)0.2μm未満である微結晶セルロース及び(2)カルボキシメチルセルロースナトリウムであってもよい。
【0011】
上記の医薬組成物は、懸濁剤がAvicel(登録商標)RC-591微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムであってもよい医薬組成物であってもよい。
【0012】
本発明の医薬組成物の一例は、マンニトールである不透明性付与剤を含む医薬組成物である。
【0013】
上記の医薬組成物は、矯味剤が甘味料である医薬組成物であってもよい。該甘味料は、単糖若しくは二糖、及び高甘味度甘味料、例えばステビア、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウム(Ace-K)、サッカリン、アドバンテーム、又はシクラメート(cyclamate)を含んでいてもよい。より具体的には、前記単糖又は二糖はスクロースであって、総固形分量は500mg/mL未満である。例として、マンニトールの濃度は200mg/mL未満であってもよく、スクロースの濃度は300mg/mL未満であってもよく、例えば、マンニトールの濃度は100mg/mL以下であってもよく、スクロースの濃度は200mg/mL以下であってもよく、そして総固形分量は350mg/mL以下であってもよい。
【0014】
上記に従って、これらのタシメルテオン含有組成物は、
(1)0.5~5mg/mLの濃度、例えば1~3mg/mLの濃度(あるいはより好ましくは1~2mg/mLあるいは最も好ましくは約1mg/mL)で存在する、ポリソルベート80であるノニオン性界面活性剤;上記の医薬組成物は、タシメルテオンが1~6mg/mL、2~5mg/mL、1mg/mL、又は4mg/mLで存在する医薬組成物を包含しうる。
(2)1~6mg/mL又は2~5mg/mL又は1mg/mL又は4mg/mLで存在するタシメルテオン、並びに、(1)0~30mg/mL又は10~20mg/mL又は20mg/mLの濃度で存在する、微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである懸濁剤
(3)不透明性付与剤(opacity imparting agent)として、(1)200mg/mL以下又は(2)200mg/mL未満又は(3)50~100mg/mL又は(4)100mg/mLの濃度で存在するマンニトール;甘味料として、(1)300mg/mL以下又は(2)300mg/mL未満又は(3)150~250mg/mL又は(4)200mg/mLの濃度で存在するスクロース;高甘味度甘味料;ノニオン性界面活性剤として、(1)1~5mg/mL又は(2)1~3mg/mL又は(3)2mg/mLの濃度で存在するポリソルベート;抗酸化剤、塩化ナトリウム、及び香味料
を含んでいてもよい。
【0015】
上記の組成物は、標的pHレベルを示すように調合してもよい。好ましくは、これらの組成物は4.0±0.5の目標pHを達成するように調合される。加えて、上記仕様で調合された組成物は、以下のリリース仕様を示すように目標付けされる。
(1)安定性:1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月の連続(successive)期間にわたる(1)5±3℃、(2)25±2℃(相対湿度は60±5%)、及び(3)40±2℃(相対湿度は75±5%)のうちのそれぞれでの保存の後に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた総不純物量が、既知の不純物については1.5重量%以下、0.5重量%以下であり、未特定の不純物については0.2重量%以下である。
(2)粘度:(周囲環境条件(ambient conditions)において)5~30センチポワズ(cPあるいはcps)、例えば、約20cps
(3)比重:1.1~1.3mg/mL
(4)pH:4.0~5.0
(5)粒径分布:D90=100~150μm、D50=50~70μm、及びD10=15~40μm
(6)溶解:1規定HCl中における(毎分50回転(rpm)での)パドリングを15分行った後に90%以上
【0016】
「粒径分布」に関する上記の説明は、サンプル中における、表示された物理的なサイド(stated physical side)よりも大きい、小さい、又は等しい直径を有する粒子のパーセント割合を示したものであり、例えば、D50=50~70μmは、同一バッチ中の粒子群における50%での直径が50~70μmの直径を有しているサンプルを指している。本開示において、粒径分布とは、本開示に記載の医薬製剤中に懸濁されたタシメルテオン粒子について行われる測定を指す。このような粒径測定はレーザー回折技術を用いて行うことができ、例えば、Malvern Mastersizer 2000又はMalvern Mastersizer 3000を用いるレーザー光散乱検出が挙げられる。
【0017】
本発明の別の態様は処置を必要とする患者におけるスミス・マゲニス症候群(SMS)を処置する方法を提供し、該方法は、前記患者の体重(body mass)を測定すること;前記患者の体重が28kg以下である場合、0.7mg/kgに等しいタシメルテオンの第1の用量を1日1回前記患者に投与すること;又は、前記患者の体重が28kg超である場合、20mgに等しいタシメルテオンの第2の用量を1日1回前記患者に投与すること、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のこれら及びその他の特徴は、本発明の種々の実施形態及び態様を描写する添付の図面と併せて読解される、本発明の種々の態様についての以下の詳細な説明からより容易に理解される。
図1】患者の体重(body mass)の関数としてタシメルテオンの液体製剤の有効用量のグラフを示す。
図2】本発明の実施形態に係るタシメルテオンの液体製剤の投与における種々のステップの図解表示を示す。
【0019】
なお、図面は縮尺通りではない、図面は、本発明の典型的な態様のみを描写することを意図しており、したがって、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきでない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
タシメルテオンの薬学的に洗練された液体製剤を調製することはいくつもの困難を提示するものであり、これらのそれぞれは以下に記載の組成物において対処されている。
【0021】

タシメルテオンの水中における溶解度は約1mg/mLである。しかし、製剤添加物(formulation excipients)の存在下では、この薬剤はほとんどの懸濁製剤において実質的に不溶である可能性が高い。とはいえ、微量(trace amount)が溶解し、製剤に苦味を与える。この苦みはマスクし難い。したがって、以下の製剤手法が味を改善すると考えられる。
● 甘味料/矯味剤としての、スクロースと、スクラロースと、塩化ナトリウムとの組み合わせの含有。
● 親水性ポリマーであるAvicel(登録商標)RC-591を懸濁剤として含有する。この親水性ポリマーは、水が存在すると水和して膨潤する。このポリマーを適切に水和及び分散するにはいくらかの量の水が必要であり、これに加えて、アスコルビン酸及び安息香酸ナトリウムを溶解させるのに追加量の水が必要である。この結果、スクロースを溶解させるのに利用可能な水の量は制限される。このため、200mg/mLのスクロースが、溶解させ得る最大量として同定された。
●スクロースの濃度を200mg/mL超に増加させることはできないため、1mg/mLでスクラロースも甘味料として含有される。これにより味はより甘くなり、このことは苦味をよりよくマスクするのを助ける。
●加えて、塩化ナトリウムを含むことは苦味をマスクし、また、5mg/mLの濃度において全体的な味も改善する。
【0022】
粘度
タシメルテオン薬剤物質粒子を振とうの際に均一に懸濁した状態に維持するため、適切な増粘剤(viscosity building agent)及びその至適濃度を特定する必要がある。
メチルセルロースA15C、メチルセルロースA4M、及びAvicel(登録商標)RC-591(微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム)が懸濁剤として有用である。両グレードのメチルセルロースは、完全水和はしていないポリマー粒子を含む懸濁物を製造し、これらの粘度は高めであり、このことはこれらの溶解速度に悪影響を与えてきた。
【0023】
ホモジナイゼーション無しでの6mg/mL濃度のAvicel(登録商標)RC-591は、急速な溶解、保存された懸濁ボトルの緩やかな振とうの際の完全な再分散、及び十分な含有量均一性といった、望ましい物理化学的特性を与える。
【0024】
化学的安定性
タシメルテオンは酸化的分解を受けやすく、3種の分解産物が生じるため、製剤中に酸化防止剤を必要とする。
亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸ナトリウム等の酸化防止剤が最初に考えられたが、子供においてアレルギー反応を起こすおそれがある。
【0025】
アスコルビン酸は優先的に酸化を受け、それによりタシメルテオンの酸化を防ぐが、保存において、特に、40℃/相対湿度75%での3ヶ月超の保存において、懸濁物に黄色を与える。40℃/相対湿度75%での3ヶ月超の保存は、室温で保存される製品の加速保存条件である(室温/25℃/相対湿度60%での長期保存を妥当なものとするには、40℃/相対湿度75%において6ヶ月にわたる十分な(satisfactory)安定性が必要である)。40℃/相対湿度75%での3ヶ月の保存後における白色/オフホワイトから黄色への色変化のため、5℃で懸濁物を保存することが必要である。5℃での保存については、加速保存条件は25℃/相対湿度60%であり、この保存条件における6ヶ月までの十分な(satisfactory)安定性についてのデータが入手可能である(つまり、色変化は、白色/オフホワイトからかすかな黄色への変化である)
【0026】
溶解
プロトタイプの懸濁物製剤の初期溶解速度は急速であった(つまり、HETLIOZ(登録商標)カプセル製剤と類似していた)が、保存サンプルについては保存中に溶解はよりゆっくりになった。
ポリソルベート80を界面活性剤/溶解促進剤として評価したところ、初期溶解プロファイルを向上することが見出された。しかし、保存すると、ポリソルベート80を含むいくつかのプロトタイプの製剤はより遅い溶解を示した。
【0027】
(4mg/mLのタシメルテオン、200mg/mLのスクロース、100mg/mLのマンニトール、20mg/mLのAvicel(登録商標)RC-591、5mg/mLのチェリーフレーバー、3mg/mLのアスコルビン酸、3mg/mLの安息香酸ナトリウム、1mg/mLのスクラロース、及び1mLにするために適量の精製水を含む)1種類のプロトタイプ製剤のみが、懸濁物の外見、タシメルテオンアッセイ、溶解、不純物/分解産物、及び再分散性について良好な(satisfactory)結果を与える。この良好な安定性の結果に基づいて、この製剤を臨床研究で用いるために選択した。
【0028】
不透明性
懸濁物中におけるタシメルテオンの濃度は4mg/mLに過ぎないため、懸濁物の外見はそこそこ(rather)半透明(translucent)であり、懸濁物様にはほど遠い。このため、100mg/mLのマンニトールを不透明性付与剤として用いる。
マンニトールの水に対する溶解度は約200mg/mLであるが、溶解あるいは水和する、スクロース、アスコルビン酸、安息香酸ナトリウム、及びAvicel(登録商標)RC591の存在のため、製剤中における溶解度はずっと低いものである可能性が高い。このことは、製剤中におけるマンニトールの溶解度を制限し、マンニトールは未溶解の粒子として残存し、懸濁物に不透明性を付与する。マンニトールのうち少量は懸濁物製剤に溶解して、総体的な甘みを増加させる可能性が高い。
【0029】
製造プロセス
製剤は精製水バッチ量に溶解あるいは分散されたいくつかの成分を含むため、複数の製剤成分のうちの別個の部分(portions)を調製した(つまり、スクロースは熱水に溶解させた(部分1);タシメルテオン、安息香酸ナトリウム、アスコルビン酸、スクラロース、ポリソルベート80、及びマンニトールは溶解/分散させ、ホモジナイズした(部分2);並びに、Avicel(登録商標)RC-591はホモジナイズ無しに単に撹拌することによって水中に分散させた(部分3))。それから、これら3つの部分を混合して最終的な均一な懸濁物を得る。
【0030】
Avicel(登録商標)RC-591ポリマー分散物は、ホモジナイズ無しに、ポリマーをバッチの水量のうちの一部の中で単に撹拌することによって調製する。ポリマー分散物はホモジナイズされると、過度に粘性となり、このことは溶解速度に悪影響を与える。
【0031】
タシメルテオンの低い融点(約70℃)のため、この薬剤を溶解するのを防ぐために、懸濁物の温度を50℃~55℃の範囲に維持することが必要である。
経口投与で使用するためのタシメルテオンの液体医薬製剤を調製するには、活性成分が均質な溶解状態のままでいることを担保するために、望ましくないほど多量の溶媒が必要となりうる。このことは、製剤中の活性成分の水溶解度が限られている状況では特に言える。許容不能な濃度(level)の溶媒が必要とされる可能性に対処するために、本発明は、1又は複数の単位用量のタシメルテオンを至適体積(例えば、10mLの液体懸濁物に対して0.35mL)に収容することを可能とする水性液体懸濁物として製剤化されたタシメルテオンを含む医薬組成物を提供する。より具体的には、本発明の一実施形態は、単位用量1つが、薬が投与される対象の個体を処置するのに有効なタシメルテオン量を含むことを可能とする。
【0032】
このような懸濁物は、水中でタシメルテオンを懸濁剤と混合することで調製される。均質であり得る-つまりタシメルテオンが均一に分散している-懸濁物であって、高度に安定であり得る懸濁物が調製される。これらのタシメルテオン液体懸濁物は、微細化され、懸濁物内に分散可能なタシメルテオンを用いている。さらに、懸濁されたタシメルテオンは、製剤の水性媒体(aqueous vehicle)中で実質的に溶解していない(例えば、少なくとも50%超、又は75%超、又は90%超が溶解していない)。
【0033】
例示的な実施形態では、タシメルテオンは医薬組成物の振とう又は撹拌の際に、均質に、又はほぼ均質に、分散される。医薬組成物は、スプーン、カップ、シリンジ、ストロー、薬用スポイト(pharmaceutical dropper)、等々による経口投与のため移す(port)ことができ、また、例えば小児患者、高齢患者、若しくは障害者の患者の中に見られるような丸薬(pill)若しくはカプセルを飲み込むのが困難な個体の場合も含め、容易に飲み込むことができるように、十分に低い粘度を有する
【0034】
例示的な実施形態では、上記のように、本発明の液体懸濁物中におけるタシメルテオンの濃度は1~6mg/mLである。このような実施形態には、2~5mg/mL、又は約4mg/mL(例えば、3.5~4.5mg/mL)、又は約1mg/mL(例えば、0.5~1.5mg/mL)である濃度が含まれる。
【0035】
例示的な実施形態では、液体媒体(liquid vehicle)は、懸濁剤及び矯味剤を含む水溶液である。懸濁剤は、粘度を増加させ沈降を遅くするために懸濁物に添加される物質である。こうした剤の例としては、セルロース系懸濁剤、粘土(例えば、ベントナイト及びシリケートが挙げられる)、多糖ガム(キサンタンガム、アカシア、又はアラビアゴム、及びトラガカントが挙げられる)、その他の多糖類(寒天及びカラギーナンが挙げられる)、合成ポリマー(カルボマー、ポリビニルピロリドン若しくはPVP、及び、PVP-酢酸ビニル若しくはPVP-VAなどのPVP共重合体が挙げられる)、並びにゼラチンが挙げられる。医薬組成物中の懸濁剤は、1~5%の濃度範囲で存在する場合に一般に効果的である。
【0036】
セルロース系懸濁剤は、他のタイプの懸濁剤と比較して、医薬組成物に改善した特性を与えることができる。これらには、より良い安定性、減少した沈降、あるいはより良い均質性が含まれる。セルロース系懸濁剤の例は、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシプロピルメチルセルロースナトリウム(CPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び粉末化セルロースである。特に有利な性質を有する医薬組成物は、Methylcellulose A15C ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて得ることができ、また、Avicel(登録商標)RC-591微結晶セルロース+カルボキシメチルセルロースナトリウムを用いても得ることができる。
【0037】
一つの例示的な実施形態では、懸濁剤は、微結晶セルロース(MCC)及びカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)の微結晶を含む圧縮(compact)粉体粒子を含む。前記粉体粒子は、例えば、粒径D60が0.2μm未満の微結晶の粒子を含み、直径30μmの粒子が直径約0.1μmのMCC+CMC微結晶をおよそ6億個含むように粒子が十分に圧縮されている(compact)、Avicel(登録商標)RC-591 MCC+CMCナトリウム(ペンシルベニア州フィラデルフィアのFMC Corporation)として上市されている製品である。その他のMCC+CMC懸濁剤としては、VivaPur(登録商標)MCG MCC+CMCナトリウム(ドイツ、ローゼンブルグのJRS Pharma)として上市されている製品がある。
【0038】
矯味剤としては、糖類(saccharide)、マンニトール及びソルビトール等のポリオール、並びに、例えばサッカリン及びアスパルテームといった合成甘味料、等の甘味料が挙げられる。タシメルテオンの味をマスクするため、及び特に子供に対して懸濁物をより口当たり良くするために、香味料あるいはフラボラント(例えばイチゴ風味付け)を添加することもできる。
【0039】
水溶液中におけるその他の製剤添加剤(excipient)としては、不透明性付与剤、着色剤、界面活性剤(特に、湿潤剤として働くノニオン性界面活性剤)、甘味料、酸化防止剤、及び保存料を挙げることができる。これら及びその他のタイプの剤は、任意に(optionally)、医薬組成物中のタシメルテオンの安定性及び均質性、並びにより一般的に懸濁物の安定性及び均質性、に貢献し、また、任意に(optionally)、懸濁物の味及び外見の許容可能性に貢献(例えば香味料及び着色剤)する。
【0040】
高甘味度甘味料は、スクロースより数倍甘い化合物であり、例えば、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウム(Ace-K)、サッカリン、及びアドバンテームが挙げられる。
【0041】
不透明化剤又はオパシファイアーとしても知られる不透明性付与剤としては、半透明性を低下させて懸濁物様の外見を与える、医薬的に許容可能な不溶性(又は難溶性)粒子状固体が挙げられる。
任意に(optionally)、製剤のpHを調製するために製剤に剤が含有される。このような剤は、例えば、酸、塩基、又は緩衝剤であり、水酸化ナトリウム、リン酸、又はクエン酸が挙げられる。
【0042】
異なるカテゴリーの剤が、それらが製剤中で果たす機能により特定されているが、種々の製剤添加剤(excipient)は医薬組成物中で複数の役割を果たす場合がある。加えて、本開示において開示された医薬組成物は、本明細書に開示された特定の粒径に限定される必要は無い。
【0043】
医薬組成物中で活性成分として用いられるタシメルテオンは、例えば、固体経口投与形態、例えばカプセル、を調製するために用いられるタシメルテオン活性成分の調製について知られているのと同じ化学及び製造方法を用いて調製される。例えば、米国特許出願公開2009/0105333及びPCT出願公開WO2015/123389を参照のこと。許容可能な粒径は、これらの刊行物に記載の粒径を含み、これは例えば、D50が100μm未満、例えばD50が20~40μm又は30~50μmである。タシメルテオン活性成分についての他の例示的粒径仕様は、特に、
10 ≦ 30μm
50 ≦ 100μm
90 ≦ 200μm
又は、
10 ≦ 15μm
50 ≦ 45μm
90 ≦ 105μm.
が挙げられる。
【0044】
上記の粒径測定は、例えば、Malvern Mastercizerを用いたレーザー光散乱検出等のレーザー回折を用いて行うことができる。
そのような機器を用いた例示的な粒径分析では、10mgのポリソルベート80及び1gのタシメルテオンを1Lの蒸留水中で混合することで分散物が調製され、それから0.2μmのフィルタでろ過される。サンプラーアクセサリー(Hydro 2000S(A)モジュール)に分散剤を充填してバックグラウンド測定を得た。それから、約15mLの分散剤中に分散された80~90mgのサンプルを、約15%(例えば10%~20%)の吸光(obscuration)が得られるまで、サンプラーアクセサリーにゆっくり添加する。測定を始める前に、このサンプルを約2000rpmで約5秒間再循環させる。2つのサンプルランを行い、平均結果を計算してD90、D50、及び/又はD10の値を得る。
【0045】
本開示において開示された懸濁物を調製するために、タシメルテオン及びその他の水に難溶性の成分(例えば、アスコルビン酸又は安息香酸ナトリウム)以外の全ての成分を精製水に溶解させてもよく、任意に(optionally)前もって窒素で30分間スパージ(sparge)しておいてもよい。タシメルテオン及びその他の水難溶性成分、例えばマンニトール、を篩通し、例えば40メッシュスクリーンに篩通しして、1つ又は複数の分散相を形成し、それからその他の製剤成分の溶液中に分散してもよい。タシメルテオンを含む分散相は、好ましくは、タシメルテオン融解温度(約71℃)より十分下に、例えば35℃未満に、維持される。最終的な水性懸濁物は、例えば、50mL又は100mLのコハク(amber)色のポリエチレンテレフタレート(PET)瓶に充填されてもよく、また、瓶を閉める前に任意に(optionally)窒素でパージされてもよい。
【0046】
セルロース系懸濁剤(メチルセルロースA15C)、不透明性付与剤、増粘剤/甘味料、高甘味度甘味料、香味料、酸化防止剤、及び保存料を含むタシメルテオンの水性懸濁物、例えば後述するもの、は、クロスポビドン+ポビドン(クロスポビドンXL-10+ポビドンK30)、増粘剤/甘味料、高甘味度甘味料、香味料、酸化防止剤、及び保存料を用いたものよりも向上した粘度及び沈降プロファイルを有しうる。粘度測定は、例えば、各水性懸濁物が調製されてから2時間後及び24時間後にBrookfield粘度計DV-III Ultraを用いて測定することができる。PVP及びPVP/VAを懸濁剤として含む例示的な医薬組成物を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1の組成物は許容可能な安定性を示している。セルロース系懸濁剤を含む組成物は増加した粘度及び減少した沈降等の向上した性質を有する。例示的な組成物を表2に示す。
【表2】
【0049】
ソルビトールの代わりにスクロースを含み、かつ塩化ナトリウムを含む組成物は、向上した味及び減少した苦味(又は灼熱感)を有しうる。
【0050】
10~30mg/mLの、特に20mg/mLの、微結晶セルロース+カルボキシメチルセルロース(CMC)ナトリウム懸濁剤は向上した安定性及び物理的外観(均質性)を与えうる。
マンニトールは不透明性付与剤として有用であり、例えば100~300mg/mLで用いられた場合にそうである。100~200mg/mLの範囲、特に100mg/mL、は向上した溶解及び粘度をもたらし、これは特に300mg/mLから200mg/mLへとスクロースを減少させることと組み合わせた場合に言える。
タシメルテオンの溶解は、US Pharmacopeia (USP<711>)に従って判定することができ、例えば、
装置: 装置2(パドル)
容器サイズ/タイプ: 1000mL、透明ガラス、丸底
回転速度: 50rpm
試験温度: 37±0.5℃
溶解媒体: 0.1N HCl
サンプル取得体積(Pull Volume): 5mL
交換: 無し
シンカー: 無し
カニューラ: ステンレス鋼
フィルター: Whatman GF/F 0.7μm孔径、シリンジフィルター
廃棄(discard)体積: 2mL
【0051】
10~15分における溶解は、一般に、50%以上、例えば70%以上、例えば90%以上、である。
【0052】
短期安定性試験を、(1)5±3℃、(2)25±2℃(相対湿度は60±5%)、及び40±2℃(相対湿度は75±5%)の保存条件で1~3ヶ月間行うことができる。こうした条件では、医薬的に許容可能な組成物についてのHPLCで求めた総不純物は、例えば、既知の不純物については2.0重量%以下若しくは0.5重量%以下であり、未特定の不純物については0.2重量%以下である。
【0053】
粘度測定は、例えば、Brookfield粘度計DV-III Ultraを用いて、各水性懸濁液が調製されてから2時間後及び24時間後に行うことができる。粘度の値は、一般に、周囲環境条件(つまり、約18℃~約24℃、例えば約20℃、及び約1気圧)で約150cps以下であってよいが、ある実施形態における粘度レベルは5~100cps、例えば5~50cps又は5~20cpsである。
【0054】
懸濁液の比重(相対密度)は、典型的には、周囲環境条件において1mg/mL超かつ約1.5mg/mL以下であり、例えば1.1~1.3mg/mLである。
良好な(satisfactory)pHは一般にpH3~pH7の範囲であり、例えばpH4~pH5又はpH4.0~pH4.5である。
【0055】
粒径について、改善した結果は、D90≦150μm、例えば100~150μm;D50≦80μm、例えば50~70μm;D10≦50μm、例えば15~40μm、を含む粒径と共に得られる。
【0056】
したがって、一つの実施形態では、本発明の製剤は商品流通のためのリリースについての少なくとも以下の仕様を満たす。
安定性:(1)5±3℃、(2)25±2℃(相対湿度は60±5%)、及び40±2℃(相対湿度は75±5%)の保存条件での1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月の保存後の総不純物(HPLC)は、既知の不純物について1.5重量%以下、0.5重量%以下であり、未特定の不純物については0.2重量%以下である。
粘度: 5~30cps、例えば20cps(周囲環境条件)
比重: 1.1~1.3mg/mL
pH: 4.0~5.0
粒径: D90=100~150μm、D50=50~70μm、及びD10=15~40μm
溶解: 1N HCl中における50rpmでの15分のパドリングの後で90%以上
【0057】
上記のように、代替的な懸濁剤は多糖ガムを含む。例えば、キサンタンガムを用いて、例えば1~25mg/mL、好ましくは1~5mg/mLで用いて、有望な結果が得られている。懸濁剤としての多糖ガム及び不透明性付与剤としての二酸化チタンを含む例示的な組成物が表3に与えられる。
【0058】
【表3】
【0059】
用量決定(dosing)及び投与
スミス・マゲニス症候群(SMS)は、軽度の頭蓋顔面及び骨格の異常の明瞭なパターン、過度の発話/言語発達遅滞、精神運動及び発達の遅滞、並びに著しい神経行動学的表現型(常同症、自傷行動、及び攻撃行動)により特徴付けられる、希少で、臨床的に認識可能な症候群である。SMS及びタシメルテオンによるその処置は、例えば、参照により本開示に取り込まれるPCT公開番号WO2016/036619に記載されている。
【0060】
SMSの1つの一般的症状は、慢性的に破壊された睡眠パターンであり、これは全ての年代に見られる。SMSを含め、異常の処置におけるタシメルテオンの効能を判定するための試験において、経口投与用(20mgカプセル又は4mg/mL懸濁物)製剤及び静脈投与用(0.4mg/mL)製剤を、3~17歳の小児患者に対し、就寝時間の前に1日1回投与した。
【0061】
処置効能は、夜間の睡眠の改善(つまり、減少した、睡眠時間を中断するような夜間行動;改善した睡眠効率;減少した、入眠のばらつき;減少した、朝の起床のばらつき;及び/又は、改善した睡眠の質)、減少した昼間の眠気、減少した行動上の問題(つまり、減少した攻撃行動、減少した不機嫌(temper tantrums)、減少した多動、及び/又は減少した注意力欠如)、により評価した。
【0062】
驚くべきことに、一貫して有効なタシメルテオン用量は、28kg以下の体重(body mass)の患者については体重に比例する(0.7mg/kg)が、体重が28kg超の患者については20mgであることが分かった。つまり、28kg超の体重の子供における見かけのクリアランスは一定であり、大人におけるクリアランスと類似するものであった。この結果は予想されないものであったが、一貫しており、患者の年齢及び性別を含むその他の変数とは独立したものであった。
【0063】
図1は、患者の体重の関数としてのタシメルテオンの有効用量(見かけのクリアランスとして測定される。この逆は、全身曝露(systemic exposure)である)のグラフを示す。見て取れるように、有効用量は体重28kgまでは体重に比例(0.7mg/kg)するが、その後は、対応する有効用量は20mgと一定である。
【0064】
このような用量決定(dosing)は、本開示に記載のタシメルテオンを含む液体製剤のいずれにも、あるいはこのような用量決定レジメンに沿った投与に適したその他任意の製剤にも適用可能である。例えば、前記液体製剤は、体重28kg以下の患者に0.7mg/kgの一日用量を投与するため、また、体重28kg超の患者に20mgの一日用量を投与するために用いることができる。あるいは、本発明に係る液体製剤は、体重28kg以下の患者に0.7mg/kgの一日用量を投与するために用いられてよく、そして、カプセル、タブレット、若しくは静脈投与用製剤といったその他のタシメルテオン製剤が28kg超の体重の患者に20mgの一日用量を投与するために用いられてもよい。
【0065】
図2は、本発明の実施形態に係るタシメルテオンの液体製剤の投与に適した方法の種々のステップについての一連の図解である。パネルAにおいて、上記の製剤等のタシメルテオンの液体製剤を入れた瓶を、使用前に15秒以上(例えば、約30秒以上)よく振とうする。上で説明した利益を達成し、タシメルテオンの一貫した正確な用量決定(dosing)を可能にするよう、タシメルテオンを含め製剤中の成分が十分に混合することを担保するために、このステップは重要であることが示されている。
【0066】
パネルB及びパネルCのそれぞれにおいては、振とうの後に瓶のキャップが外され、瓶の首部に瓶アダプターを挿入する。当業者が理解するであろうように、瓶アダプターの使用は重要でもなければ必要でもないが、以下に記載するように、本発明の実施形態に係るタシメルテオンの液体製剤も含め全てのタイプの液体製剤の投与においてシリンジを使用する上で、しばしば有用である。
【0067】
パネルD及びパネルEのそれぞれにおいては、シリンジが瓶アダプターの開口部に挿入され、所定量の液体製剤をシリンジに抜き出すことができるように、瓶及び挿入されたシリンジの両方がひっくり返される。抜き出された用量は、それから、経口で、シリンジから直接、あるいはその他の態様で患者(図示はされていない)に投与されてもよい。ステップFでは、再度使用される時まで、キャップが瓶に再配置される。
【0068】
本発明のさらなる例示的な実施形態が以下のクレームセットに記載される。上に例示した製剤及び方法と同様に、それらは例示的であることを意図したものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、そのような例示的実施形態の変形例(modifications)及び派生例(variations)を含む。
本願発明の例示的な態様を以下に記載する。
<1>
0.35mL~10mLの体積を有する1つ又は複数の単位用量が、前記1つ又は複数の単位用量が投与される対象の個体を処置するのに有効な量のタシメルテオンを含むような濃度の、タシメルテオンの均質な水性懸濁物;
懸濁剤;
矯味剤;
不透明性付与剤;及び
界面活性剤
を含む医薬組成物であって、
周囲環境条件で前記組成物が150cps以下の粘度及び1超~1.5の比重を有する、
前記医薬組成物。
<2>
前記懸濁剤が、少なくとも1種のセルロース系懸濁剤を含む、<1>に記載の組成物。
<3>
前記少なくとも1種のセルロース系懸濁剤が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシプロピルメチルセルロースナトリウム(CPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び微結晶セルロースからなる群から選択される、<2>に記載の組成物。
<4>
前記少なくとも1種のセルロース系懸濁剤が、微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、<3>に記載の組成物。
<5>
前記微結晶セルロースが、0.2μm未満のD 60 を有する、<4>に記載の組成物。
<6>
前記不透明性付与剤が、不溶性粒子状固体及び難溶性粒子状固体からなる群から選択される、<1>に記載の組成物。
<7>
前記不透明性付与剤がマンニトールである、<1>に記載の組成物。
<8>
前記矯味剤が、単糖、二糖、及び高甘味度甘味料からなる群から選択される甘味料である、<1>に記載の組成物。
<9>
前記甘味料がスクロースである、<8>に記載の組成物。
<10>
総固形分含量が500mg/mL未満である、<9>に記載の組成物。
<11>
前記高甘味度甘味料が、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、アドバンテーム、及びシクラメート(cyclamate)か
らなる群から選択される、<8>に記載の組成物。
<12>
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、<1>に記載の組成物。
<13>
前記ノニオン性界面活性剤がポリソルベート80である、<12>に記載の組成物。
<14>
前記ポリソルベート80が0.5~5mg/mLの量で存在する、<13>に記載の組成物。
<15>
前記ポリソルベート80が1~3mg/mLの量で存在する、<14>に記載の組成物。
<16>
前記ポリソルベート80が1~2mg/mLの量で存在する、<15>に記載の組成物。
<17>
前記ポリソルベート80が約1mg/mLの量で存在する、<16>に記載の組成物。
<18>
前記タシメルテオンが1~6mg/mLの濃度で存在する、又は
前記タシメルテオンが2~5mg/mLの濃度で存在する、又は
前記タシメルテオンが1mg/mLの濃度で存在する、又は
前記タシメルテオンが4mg/mLの濃度で存在する、
<1>~<17>のうちいずれか一つに記載の組成物。
<19>
前記タシメルテオンが
1~6mg/mL、又は
2~5mg/mL、又は
1mg/mL、又は
4mg/mL
の濃度で存在し、
前記懸濁剤が微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムであって、
10~30mg/mL、又は
10~20mg/mL、又は
20mg/mL
の濃度で存在する、
<1>に記載の組成物。
<20>
前記不透明性付与剤としてマンニトールを
200mg/mL以下、又は
200mg/mL未満、又は
50~100mg/mL、又は
100mg/mL
の濃度で、
前記矯味剤としてスクロースを
300mg/mL以下、又は
300mg/mL未満、又は
150~250mg/mL、又は
200mg/mL
の濃度で、
高甘味度甘味料、
前記界面活性剤としてポリソルベート80を
1~5mg/mL、又は
1~3mg/mL、又は
2mg/mL
の濃度で、
酸化防止剤、
塩化ナトリウム、及び
香味料
を含む、<19>に記載の組成物。
<21>
4.0±0.5のpHを有する、<1>~<20>のうちいずれか一つに記載の組成物。
<22>
以下のリリース仕様を満たす、<1>~<21>のうちいずれか一つに記載の組成物:
安定性:1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月にわたる5±3℃、25±2℃/相対湿度60±5%、及び40±2℃/相対湿度75±5%での保存の後に、総不純物量(HPLC)が、既知の不純物については1.5重量%以下、0.5重量%以下、未特定の不純物については0.2重量%以下;
粘度:5~30cps、例えば、約20cps(周囲環境条件(ambient conditions))
比重:1.1~1.3mg/mL
pH:4.0~5.0
粒径分布:D 90 =100~150μm、D 50 =50~70μm、及びD 10 =15~40μm
溶解:1規定HCl中における50rpmでのパドリングを15分行った後に90以上。
<23>
タシメルテオン及び懸濁剤を含み、さらに、
糖アルコール、
甘味料、
矯味剤、
香味料、
保存料、
ノニオン性界面活性剤、及び
酸化防止剤
のうちの1つ又は複数を含む、
タシメルテオンの均質な水性懸濁物。
<24>
C5又はC6の糖アルコール、例えばC6糖アルコール、あるいは具体的にはマンニトール、である糖アルコールを含む、<23>に記載の組成物。
<25>
前記マンニトールが、
50~500mg/mL、
50~300mg/mL、
100~200mg/mL、又は
100mg/mL
の濃度で存在する、<24>に記載の組成物。
<26>
例えばC6の単糖又は二糖、具体的にはスクロース、等のC5又はC6の糖である糖を含む、<23>に記載の組成物。
<27>
前記糖が
100~400mg/mL、
150~350mg/mL、又は
300mg/mL
の濃度で存在する、<25>又は<26>に記載の組成物。
<28>
さらに塩化ナトリウムを含む、<23>~<27>のうちいずれか一つに記載の組成物。
<29>
前記NaClが
1~10mg/mL、
3~8mg/mL、又は
5mg/mL
の濃度で存在する、<28>に記載の組成物。
<30>
高甘味度甘味料等の砂糖代用品をさらに含む、<23>~<29>のうちいずれか一つに記載の組成物。
<31>
前記タシメルテオンの粒径が、
90 <200μm、
50 <100、
10 <50μm;又は
90 =100~150μm、
50 =50~100μm、
10 =5~50μm;又は
90 <150μm、
50 <75μm、
10 <35μm;又は
90 =100~135μm、
50 =50~75μm、
10 =20~35μm
である、<23~30>のうちいずれか一つに記載の組成物。
<32>
1~6mg/mLのタシメルテオン、
1~15mg/mLのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、
200~400mg/mLのマンニトール、
50~200mg/mLのソルビトール、及び
酸化防止剤、
保存料、
高甘味度甘味料、及び
香味料
を含む、<23>に記載の組成物。
<33>
1~6mg/mLのタシメルテオン、
5~40mg/mLの微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、
100~400mg/mLのマンニトール、
200~400mg/mLのスクロース、
1~10mg/mLのNaCl、及び
酸化防止剤、
保存料、及び
香味料
を含む、<23>に記載の組成物。
<34>
1~6mg/mLのタシメルテオン、
10~20mg/mLの微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウム、
100~200mg/mLのマンニトール、
250~350mg/mLのスクロース、
2~8mg/mLのNaCl、及び
酸化防止剤、
保存料、及び
香味料
を含む、<23>に記載の組成物。
<35>
4.0±0.5のpHを有する、<1>~<34>のうちいずれか一つに記載の組成物。
<36>
以下のリリース仕様のうち1つ又は複数を満たす、<23>~<35>のうちいずれか一つに記載の組成物:
安定性:1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月にわたる5±3℃、25±2℃/相対湿度60±5%、及び40±2℃/相対湿度75±5%での保存の後に、総不純物量(HPLC)が、既知の不純物については1.5重量%以下、未特定の不純物については0.2重量%以下;
粘度:5~30cps、例えば、5~20cps(周囲環境条件(ambient conditions))
比重:1.1~1.3mg/mL
pH:4.0~5.0
粒径分布:D 90 =100~150μm、D 50 =50~70μm、及びD 10 =15~40μm
溶解:1規定HCl中における50rpmでのパドリングを15分行った後に90以上。
<37>
患者の体重(body mass)を測定すること、及び
前記患者の体重が28kg以下の場合は前記患者に0.7mg/kgに等しいタシメルテオンの第1の用量を1日1回投与すること、あるいは
前記患者の体重が28kg超の場合は前記患者に20mgに等しいタシメルテオンの第2の用量を1日1回投与すること
を含む、処置を必要とする患者におけるスミス・マゲニス症候群(SMS)を処置する方法。
<38>
前記タシメルテオンの第1の用量が液体製剤で投与される、<37>に記載の方法。
<39>
前記液体製剤が、
タシメルテオンの均質な水性懸濁物、
懸濁剤、
矯味剤、
不透明性付与剤、及び
界面活性剤
を含み、
周囲環境条件で前記組成物が150cps以下の粘度及び1超~1.5の比重を有する、
<38>に記載の方法。
<40>
前記懸濁剤が、少なくとも1種のセルロース系懸濁剤を含む、<39>に記載の方法。
<41>
前記少なくとも1種のセルロース系懸濁剤が、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシプロピルメチルセルロースナトリウム(CPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び微結晶セルロースからなる群から選択される、<40>に記載の方法。
<42>
前記少なくとも1種のセルロース系懸濁剤が、微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムを含む、<41>に記載の方法。
<43>
前記微結晶セルロースが、0.2μm未満のD 60 を有する、<42>に記載の方法。
<44>
前記不透明性付与剤が、不溶性粒子状固体及び難溶性粒子状固体からなる群から選択される、<39>に記載の方法。
<45>
前記不透明性付与剤がマンニトールである、<39>に記載の方法。
<46>
前記矯味剤が、単糖、二糖、及び高甘味度甘味料からなる群から選択される甘味料である、<39>に記載の方法。
<47>
前記甘味料がスクロースである、<46>に記載の方法。
<48>
総固形分含量が500mg/mL未満である、<47>に記載の方法。
<49>
前記高甘味度甘味料が、ステビア、アスパルテーム、スクラロース、ネオテーム、アセスルファムカリウム、サッカリン、アドバンテーム、及びシクラメート(cyclamate)か
らなる群から選択される、<46>に記載の方法。
<50>
前記界面活性剤がノニオン性界面活性剤である、<39>に記載の方法。
<51>
前記ノニオン性界面活性剤がポリソルベート80である、<50>に記載の方法。
<52>
前記ポリソルベート80が0.5~5mg/mLの量で存在する、<51>に記載の方法。
<53>
前記ポリソルベート80が1~3mg/mLの量で存在する、<52>に記載の方法。
<54>
前記ポリソルベート80が1~2mg/mLの量で存在する、<53>に記載の方法。
<55>
前記ポリソルベート80が約1mg/mLの量で存在する、<54>に記載の方法。
<56>
前記タシメルテオンが前記液体製剤中に
1~6mg/mL、又は
2~5mg/mL、又は
1mg/mL、又は
4mg/mL
の濃度で存在する、<38>~<55>のうちいずれか一つに記載の方法。
<57>
前記懸濁剤が微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムであって、
10~30mg/mL、又は
10~20mg/mL、又は
20mg/mL
の濃度で存在する、<56>に記載の方法。
<58>
前記液体製剤は、
前記不透明性付与剤としてマンニトールを
200mg/mL以下、又は
200mg/mL未満、又は
50~100mg/mL、又は
100mg/mL
の濃度で、
前記矯味剤としてスクロースを
300mg/mL以下、又は
300mg/mL未満、又は
150~250mg/mL、又は
200mg/mL
の濃度で、
高甘味度甘味料、
前記界面活性剤としてポリソルベート80を
1~5mg/mL、又は
1~3mg/mL、又は
2mg/mL
の濃度で、
酸化防止剤、
塩化ナトリウム、及び
香味料
を含む、<57>に記載の方法。
<59>
前記液体製剤が4.0±0.5のpHを有する、<38>~<58>のうちいずれか一つに記載の方法。
<60>
前記液体製剤は以下のリリース仕様を満たす、<38>~<59>のうちいずれか一つに記載の方法:
安定性:1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月にわたる5±3℃、25±2℃/相対湿度60±5%、及び40±2℃/相対湿度75±5%での保存の後に、総不純物量(HPLC)が、既知の不純物については1.5重量%以下、0.5重量%以下、未特定の不純物については0.2重量%以下;
粘度:5~30cps、例えば、約20cps(周囲環境条件(ambient conditions))
比重:1.1~1.3mg/mL
pH:4.0~5.0
粒径分布:D 90 =100~150μm、D 50 =50~70μm、及びD 10 =15~40μm
溶解:1規定HCl中における50rpmでのパドリングを15分行った後に90以上。
<61>
前記患者に投与する前に前記液体製剤を15秒以上振とうすることをさらに含む、<38>~<60>のうちいずれか一つに記載の方法。
<62>
前記患者に投与する前に前記液体製剤を15秒以上振とうすることは、前記患者に投与する前に前記液体製剤を30秒以上振とうすることを含む、<61>に記載の方法。
図1
図2