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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】スピーカーユニットおよびイヤホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
H04R1/10 104E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020204311
(22)【出願日】2020-12-09
(65)【公開番号】P2022091463
(43)【公開日】2022-06-21
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小長谷 賢
(72)【発明者】
【氏名】村松 孝一
【審査官】渡部 幸和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/218042(WO,A1)
【文献】特開2015-109542(JP,A)
【文献】国際公開第2019/069568(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/114864(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤホンの筐体内に組み込まれるスピーカーユニットであって、
筒状のフレームと、
音を発する振動板と、
前記振動板に設けられたコイルの配線が接続される基板と、
を備え、
前記フレームの内側に空間が形成され、
前記振動板および前記基板は、前記フレームの内側に前記空間を挟んで配置され、
前記フレームは内側に、前記空間を形成する第1の仕切りと第2の仕切りとを有し、
前記第1の仕切りは、前記振動板に通じる第1の穴を有し、
前記第2の仕切りは、当該スピーカーユニットの外部に通じる第2の穴を有し、
前記第1の穴および前記第2の穴は、制動部材によって塞がれる、
スピーカーユニット。
【請求項2】
前記配線は、前記空間の外側を通り前記基板に接続される、
請求項1に記載のスピーカーユニット。
【請求項3】
前記フレームは、第1のフレームと第2のフレームとから構成され、
前記第1の仕切りは、前記第1のフレームに形成され、
前記第2の仕切りは、前記第2のフレームに形成され、
前記基板は、前記第2の仕切りに固定される、
請求項に記載のスピーカーユニット。
【請求項4】
前記フレームは、1つの部材で形成される、
請求項に記載のスピーカーユニット。
【請求項5】
前記振動板の前記コイルが設けられた側とは反対側の面は、前記イヤホンに形成される音導管とは反対側を向く、
請求項1からのいずれか一項に記載のスピーカーユニット。
【請求項6】
イヤホンであって、
筐体と、
前記筐体内に組み込まれるスピーカーユニットと、
を備え、
前記スピーカーユニットは、
筒状のフレームと、
音を発する振動板と、
前記振動板に設けられたコイルの配線が接続される基板と、
を備え、
前記フレームの内側に空間が形成され、
前記振動板および前記基板は、前記フレームの内側に前記空間を挟んで配置され、
前記フレームは内側に、前記空間を形成する第1の仕切りと第2の仕切りとを有し、
前記第1の仕切りは、前記振動板に通じる第1の穴を有し、
前記第2の仕切りは、当該スピーカーユニットの外部に通じる第2の穴を有し、
前記第1の穴および前記第2の穴は、制動部材によって塞がれる、
イヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スピーカーユニットおよびイヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングの一部を着脱交換できるイヤホンが開示される。特許文献1のイヤホンは、ハウジングの一部の着脱交換により、ハウジング内の空間容積を変更し、音質の調整を可能にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-283398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のイヤホンでは、音質調整するための空間に、例えば、基板や配線が配置され、基板の半田量や配線のたわみ具合によって空間の容積にバラツキが生じる。このため、個々のイヤホンにおいて、音質のバラツキが生じるという問題がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、音質のバラツキを抑制するスピーカーユニットおよびイヤホンの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例は、イヤホンの筐体内に組み込まれるスピーカーユニットであって、筒状のフレームと、音を発する振動板と、前記振動板に設けられたコイルの配線が接続される基板と、を備え、前記フレームの内側に空間が形成され、前記振動板および前記基板は、前記フレームの内側に前記空間を挟んで配置される。
【0007】
本開示の一実施例は、イヤホンであって、筐体と、前記筐体内に組み込まれるスピーカーユニットと、を備え、前記スピーカーユニットは、筒状のフレームと、音を発する振動板と、前記振動板に設けられたコイルの配線が接続される基板と、を備え、前記フレームの内側に空間が形成され、前記振動板および前記基板は、前記フレームの内側に前記空間を挟んで配置される。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施例によれば、スピーカーユニットおよびイヤホンの音質のバラツキを抑制できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態に係るスピーカーユニットを備えたイヤホンの一部断面図
図2】スピーカーユニットの前方斜視図
図3】スピーカーユニットの後方分解斜視図
図4】スピーカーユニットの前方斜視断面図
図5】スピーカーユニットの後方斜視図
図6】スピーカーユニットの後方斜視断面図
図7】スピーカーユニットの断面図
図8】第2の実施の形態に係るスピーカーユニットの断面図
図9】第3の実施の形態に係るスピーカーユニットを備えたイヤホンの一部断面図
図10】スピーカーユニットの断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0013】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るスピーカーユニット3を備えたイヤホン1の一部断面図である。図1に示すように、イヤホン1は、筐体2と、スピーカーユニット3と、を有する。
【0015】
図1の矢印A1は、イヤホン1の耳への挿入方向を示す。図1の矢印A2に示す筐体2の窪んだ部分には、イヤーピース(図示せず)が嵌め込まれる。
【0016】
スピーカーユニット3は、音を発する装置である。スピーカーユニット3は、筐体2内に組み込まれる。図1に示す点線枠A3で囲まれた部分が、スピーカーユニット3である。スピーカーユニット3は、円柱状の形状を有する(図2を参照)。スピーカーユニット3は、ドライバと称されてもよい。
【0017】
筐体2は、音導管2aを有する。スピーカーユニット3から発せられる音は、音導管2aを伝わり、イヤーピースへと放出される。
【0018】
スピーカーユニット3は、例えば、音楽再生機器や補聴器といった電子機器からの、音声信号を入力する基板18を有する(図3および図5に示す基板18を参照)。基板18は、ランド31を有する(図5のランド31を参照)。ランド31には、半田によって配線(図示せず)が接続される。配線は、筐体2内に形成された空間S1内で、例えば、空間S1に配置された無線伝送用電子基板(図示せず)に接続され、例えば、前述の電子機器に無線接続される。
【0019】
なお、配線は、筐体2内に形成された空間S1通り、例えば、イヤホン1の図1の矢印A4に示す部分から、イヤホン1の外に引き出されてもよい。イヤホン1の外に引き出された配線は、例えば、前述の電子機器に接続される。
【0020】
図2は、スピーカーユニット3の前方斜視図である。図2において、図1と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。図2に示すように、スピーカーユニット3は、フレーム10と、カバー13と、配線14と、を有する。図2の矢印A11が示す方向を、スピーカーユニット3の前方(イヤホン1の音導管2a側)とする。
【0021】
フレーム10は、フレーム11と、フレーム12とに分かれる(図3を参照)。フレーム11,12は、筒状の形状を有する。カバー13は、フレーム11の前方に配置される。カバー13の中央部には、穴13aが形成される。カバー13の穴13aは、イヤホン1の音導管2aに通じる。
【0022】
フレーム11の内側には、後述する振動板が配置される。カバー13の穴13aからは、振動板から発せられる音が出力される。穴13aから発せられた音は、音導管2aへ放出される。
【0023】
フレーム11,12は、周面に直線状の切り欠き11a,12aを有する。配線14は、フレーム11,12の切り欠き11a,12a部分に配置される。
【0024】
図3は、スピーカーユニット3の後方分解斜視図である。図3において、図1および図2と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。図3に示すように、スピーカーユニット3は、ヨーク15と、制動部材16,17と、基板18と、を有する。
【0025】
ヨーク15は、フレーム11の内側に収容される。ヨーク15は、凸形状を有する(図4図6および図7のヨーク15を参照)。ヨーク15は、磁性材料で形成される。
【0026】
ヨーク15は、中央部に穴15aが形成される。穴15aは、後述する振動板に通じ、振動板によって振動した空気(音)が伝わる。
【0027】
制動部材16,17は、メッシュ状または多孔質の板状の部材である。制動部材16,17は、例えば、化学繊維で形成された不織布で形成されてもよい。制動部材16,17は、穴15aから出力される音の振動を制動(抑制)する。
【0028】
制動部材16は、ヨーク15に接着され、穴15aを塞ぐ。制動部材16は、例えば、両面テープによって、ヨーク15に接着されてもよい。
【0029】
フレーム12は、中央部に穴12bが形成される。穴12bは、制動部材16に通じ、ヨーク15の穴15aおよび制動部材16を通過した音が伝わる。
【0030】
制動部材17は、フレーム12の後方側の面(矢印A11とは反対側の面)に接着され、穴12bを塞ぐ。制動部材17は、例えば、両面テープによって、フレーム12に接着されてもよい。
【0031】
基板18は、中央部に穴が形成される。基板18の穴の径は、制動部材17の径より大きい。基板18は、制動部材17と重ならないようにフレーム12に接着される。すなわち、基板18は、基板18の穴に、制動部材17が収まるようにフレーム12に接着される。基板18は、例えば、両面テープまたは接着剤によって、フレーム12に接着されてもよい。
【0032】
フレーム11から伸びる配線14の端は、基板18のランド31(図5のランド31を参照)に半田付けされる。
【0033】
図4は、スピーカーユニット3の前方斜視断面図である。図4において、図1図3と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。図4に示すように、スピーカーユニット3は、振動板21と、コイル22と、マグネット23と、ポールピース24と、接着部材25,26と、を有する。
【0034】
振動板21は、円形状を有し、縁がフレーム11の内側に固定される。振動板21は、カバー13と、ポールピース24との間に配置される。
【0035】
コイル22は、筒状の形状を有する。コイル22は、振動板21の後方側の面(矢印A11とは反対側の面)に固定される。コイル22は、凸形状のヨーク15の、窄まった部分の外側周面を囲むように配置される。
【0036】
コイル22からは、配線14が引き出される。コイル22から引き出された配線14は、振動板21を通って、フレーム11の切り欠き11a(図2を参照)およびフレーム12の切り欠き12a(図2を参照)を通り、スピーカーユニット3の後方へと引き出され、基板18のランド31(図5のランド31を参照)に半田付けされる。
【0037】
マグネット23は、筒状の形状を有する。マグネット23の内径は、コイル22の外径より大きく、コイル22の外側周面を囲むように配置される。従って、コイル22は、マグネット23の内側と、ヨーク15の窄まった部分の外側との間に配置される。
【0038】
ポールピース24は、円形状の板状の部材であって、中央部に穴を有する。ポールピース24の穴には、コイル22およびヨーク15の窄まった部分が通る。ポールピース24は、磁性材料で形成される。
【0039】
ポールピース24の穴の径は、コイル22の外径より大きく、コイル22の外側周面を囲むように配置される。また、ポールピース24は、振動板21と、マグネット23との間に配置される。
【0040】
接着部材25は、円形状を有し、中央部に穴を有する。接着部材25の穴は、ヨーク15の穴15aの径より大きい。接着部材25は、ヨーク15の穴15aを塞がないよう、ヨーク15に接着される。接着部材25は、例えば、両面テープである。接着部材25は、制動部材16をヨーク15に接着する。
【0041】
接着部材26は、円形状を有し、中央部に穴を有する。接着部材26の穴は、フレーム12の穴12bの径より大きい。接着部材26は、フレーム12の穴12bを塞がないよう、フレーム12接着される。接着部材26は、例えば、両面テープである。接着部材26は、制動部材17をフレーム12に接着する。
【0042】
図5は、スピーカーユニット3の後方斜視図である。図6は、スピーカーユニット3の後方斜視断面図である。図5および図6において、図1図4と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。
【0043】
基板18は、例えば、4つのランド31を有する。コイル22から引き出され、振動板21、フレーム11の切り欠き11a、およびフレーム12の切り欠き12aを通過する2本の配線14は、4つのランド31のうちの2つランド31に半田付けされる。
【0044】
残り2つのランド31には、例えば、図1で説明した筐体2の空間S1を通る配線が接続される。なお、ランド31の数は、4つに限られない。
【0045】
図7は、スピーカーユニット3の断面図である。図7において、図1図6と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。
【0046】
図7に示すように(図4および図6も参照)、ヨーク15は、凸形状を有する。ヨーク15は、図7に示すように、凸形状の底を形成する円板状の底部41と、底部41からスピーカーユニット3の前方(振動板21の方向)に向かって伸びる筒状の側部42と、を有する。底部41および側部42は、中央部に穴15aを有する。
【0047】
図7に示すように(図4および図6も参照)、フレーム12は、凹形状を有する。フレーム12は、図7に示すように、凹形状の底を形成する円板状の底部43と、底部43からスピーカーユニット3の前方(振動板21の方向)に向かって伸びる筒状の側部44と、を有する。底部43は、中央部に穴12bを有する。
【0048】
凹形状のフレーム12は、側部44の上端(振動板21方向側の端部)が、凸形状のヨーク15の底部41に接着される。これにより、スピーカーユニット3は、フレーム11,12の内側に空間S2が形成される(例えば、図7の点線枠A21を参照)。
【0049】
空間S2は、制動部材16およびヨーク15の穴15aを介して、振動板21に通じる。また、空間S2は、制動部材17を介して、スピーカーユニット3の外部に通じる。振動板21から発せられた音は、空間S2の容積および制動部材16,17の特性(例えば、空気(音)の通しやすさ)によって、例えば、音質を決定する音圧の周波数特性が制御される。
【0050】
ここで、仮に、基板18および配線14が空間S2内に配置された場合、個々のスピーカーユニット3において、音質にばらつきが生じる場合がある。例えば、基板18の半田量、配線14の空間S2内でのたわみ具合、または、空間S2内から空間S2外へ配線14を引き出すための穴を密閉する接着剤の量によって、空間S2の容積にばらつきが生じる場合がある。このため、基板18および配線14が空間S2内に配置された場合、個々のスピーカーユニット3において、音質にばらつきが生じる場合がある。
【0051】
これに対し、本件のスピーカーユニット3では、振動板21および基板18は、筒状のフレーム11,12の中心軸に沿って、空間S2を挟んで配置される。これにより、スピーカーユニット3は、音質を調整するための空間S2内に、基板18が配置されない。また、コイル22と基板18とを結ぶ配線14も、空間S2の外に配置できる。これにより、スピーカーユニット3およびスピーカーユニット3を組み込んだイヤホン1は、音質のばらつきを抑制できる。
【0052】
以上説明したように、イヤホン1の筐体内に組み込まれるスピーカーユニット3は、筒状のフレーム10と、音を発する振動板21と、振動板21に設けられたコイル22の配線が接続される基板18と、を備える。フレーム10は内側に、音の音質を調整するための空間S2が形成され、振動板21および基板18は、フレーム10の内側に、空間S2を挟んで配置される。
【0053】
これにより、スピーカーユニット3は個々において、音質を調整するための空間S2の容積を一定にすることができ、音質のばらつきを抑制できる。また、スピーカーユニット3を組み込んだイヤホン1も音質のばらつきを抑制できる。
【0054】
また、フレーム10のフレーム12とフレーム11とは、別部材(別体)の部品である。これにより、例えば、空間S2を有さないスピーカーユニットを、容易に、空間S2を有するスピーカーユニット3に変更できる。
【0055】
例えば、図7に示したスピーカーユニット3とは別に、ヨーク15の底部41に、基板18が固定されたスピーカーユニット(以下、既成スピーカーユニットと称する)が存在する。この場合、既成スピーカーユニットのヨーク15の底部41に、フレーム12を固定する。そして、底部41に固定されたフレーム12に基板18を固定する。これにより、容易に、既成スピーカーユニットを、空間S2を有するスピーカーユニット3に変更できる。
【0056】
なお、ヨーク15の底部41とフレーム12の底部43とは、フレーム10の内側に空間S2を形成する仕切りとなる。ヨーク15の底部41は、第1の仕切りと称されてもよい。フレーム12の底部43は、第2の仕切りと称されてもよい。
【0057】
(変形例1)
制動部材17は、フレーム12の、スピーカーユニット3の後方側の面に接着されたが、これに限られない。制動部材17は、フレーム12の、スピーカーユニット3の前方側の面に接着されてもよい。
【0058】
(変形例2)
ヨーク15およびマグネット23の形状および配置は、上記に限られない。例えば、コイル22の内側に、円柱状のマグネットが配置され、コイル22の外側に、コイル22を囲む凹形状のヨークが配置されてもよい。
【0059】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、フレーム10のフレーム11とフレーム12とは、別体の部品であったが、一体の部品であってもよい。フレーム11とフレーム12とを一体部品とした場合、スピーカーユニットは部品点数を減らすことができ、コスト低減を図ることができる。
【0060】
図8は、第2の実施の形態に係るスピーカーユニット50の断面図である。図8において、図7と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。図8に示すように、スピーカーユニット50は、フレーム51を有する。
【0061】
フレーム51は、凹形状を有する。フレーム51は、凹形状の底を形成する円板状の底部52と、底部52からスピーカーユニット50の前方(振動板21の方向)に向かって伸びる筒状の側部53と、を有する。底部52は、中央部が円形状に凹み、円形状に凹んだ部分の中央部に穴54を有する。
【0062】
底部52の中央部の円形状に凹んだ部分の径は、ヨーク15の底部41の径より小さく、ヨーク15に形成された穴15aの径より大きい。これにより、ヨーク15がフレーム51の内側に挿入されると、ヨーク15の底部41と、フレーム51の底部52の中央部の凹み部分とによって、空間S3が形成される(例えば、図8の点線枠A31を参照)。
【0063】
ヨーク15をフレーム51の内側に挿入する前に、制動部材16をヨーク15の底部41に、接着部材25で接着する。そして、制動部材16を接着したヨーク15をフレーム51の内側に挿入する。
【0064】
基板18は、フレーム51の底部52の、振動板21とは反対側の面に固定される。
【0065】
以上説明したように、フレーム51は、1つの部材で形成されてもよい。これにより、スピーカーユニット50は、部品点数が減り、コストが低減される。
【0066】
なお、ヨーク15の底部41とフレーム51の底部52とは、フレーム51の内側に空間S3を形成する仕切りとなる。ヨーク15の底部41は、第1の仕切りと称されてもよい。フレーム51の底部52は、第2の仕切りと称されてもよい。
【0067】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態では、振動板の向きが逆向きとなる。例えば、図7において、振動板21は、コイル22が取り付けられていない面(前面)が音導管2a側を向いたが、第3の実施の形態では、振動板21の前面が音導管2aとは反対側を向く。
【0068】
図9は、第3の実施の形態に係るスピーカーユニット60を備えたイヤホン1の一部断面図である。図9において、図1と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。図9に示す点線枠A41で囲まれた部分が、スピーカーユニット60である。スピーカーユニット60は、基板73を有する。基板73は、ランド73aを有する(図10のランド73aを参照)。
【0069】
図10は、スピーカーユニット60の断面図である。図10に示すように、スピーカーユニット60は、フレーム61,62,63と、ヨーク64と、マグネット65と、ポールピース66と、振動板67と、コイル68と、制動部材69,71と、接着部材70,72と、基板73と、配線74と、を有する。図10の矢印A51が示す方向を、スピーカーユニット60の前方(イヤホン1の音導管2a側)とする。
【0070】
フレーム61は、筒状の形状を有する。フレーム62は、筒状の形状を有し、内側の中央部に仕切りを有する。フレーム62の仕切りの中央部には、穴62aが形成される。フレーム62は、フレーム61の、スピーカーユニット60の後方側(図10の矢印A51とは反対側)に配置される。
【0071】
フレーム63は、凹形状を有し、底部の中央部に穴63aを有する。フレーム63は、フレーム62の、スピーカーユニット60の後方側に配置される。
【0072】
ヨーク64は、凹形状を有し、底部の中央部に穴64aを有する。
【0073】
マグネット65は、円柱状の形状を有する。マグネット65は、中央部に穴65aを有する。
【0074】
ポールピース66は、円板状の部材であって、中央部に穴66aを有する。
【0075】
マグネット65は、ヨーク64の凹んだ部分に収容される。マグネット65の、ヨーク64の底部とは反対側の面には、ポールピース66が配置される。ヨーク64の穴64aと、マグネット65の穴65aと、ポールピース66の穴66aとは、つながって1つの穴を形成し、音導管2aに通じる。
【0076】
振動板67は、円形状を有し、縁がフレーム61の内側に固定される。振動板67は、ポールピース66と、フレーム62の仕切りとの間に配置される。
【0077】
コイル68は、筒状の形状を有する。コイル68は、振動板67の後方側の面(矢印A51とは反対側の面)に固定される。
【0078】
コイル68の内径は、マグネット65の外径およびポールピース66の外径より大きい。また、コイル68の外径は、ヨーク64の凹んだ部分の径より小さい。コイル68は、マグネット65およびポールピース66を覆うように配置され、また、ヨーク64とマグネット65との隙間に配置される。
【0079】
コイル68からは、配線74が引き出される。コイル68から引き出された配線74は、フレーム62およびフレーム63の外周を通り、基板73のランド73aに半田付けされる。
【0080】
制動部材69,71は、メッシュ状または多孔質の板状の部材である。制動部材69,71は、例えば、化学繊維で形成された不織布で形成されてもよい。制動部材69,71は、フレーム62の穴62aから伝わる音の振動を制動(抑制)する。
【0081】
制動部材69は、フレーム62の穴62aを塞ぐようにフレーム62に接着される。制動部材69は、接着部材70によって、フレーム62の、スピーカーユニット60の後方側の面に接着される。接着部材70は、フレーム62の穴62aを塞がないように、中央部に穴を有する。接着部材70は、例えば、両面テープである。
【0082】
制動部材71は、フレーム63の穴63aを塞ぐようにフレーム63に接着される。制動部材71は、接着部材72によって、フレーム63の、スピーカーユニット60の前方側の面に接着される。接着部材72は、フレーム63の穴63aを塞がないように、中央部に穴を有する。接着部材72は、例えば、両面テープである。
【0083】
基板73は、中央部に穴が形成される。基板73の穴の径は、フレーム63の穴63aの径より大きい。基板73は、基板73の穴が、フレーム63の穴63aと重ならないようにフレーム63に接着される。基板73は、例えば、両面テープまたは接着剤によって、フレーム63に接着されてもよい。コイル68から伸びる配線74は、基板73のランド73aに半田付けされる。
【0084】
スピーカーユニット60は、フレーム62,63によって、空間S4が形成される(例えば、図10の点線枠A52を参照)。例えば、スピーカーユニット60は、筒状のフレーム62の内側に形成された仕切りと、凹み形状のフレーム63の底部とによって、空間S4が形成される。
【0085】
空間S4は、制動部材69およびフレーム62の穴62aを介して、振動板67に通じる。また、空間S4は、制動部材71を介して、スピーカーユニット60の外部に通じる。振動板67から発せられた音は、空間S4の容積および制動部材69,71の特性(例えば、空気(音)の通しやすさ)によって、例えば、音質を決定する音圧の周波数特性が制御される。
【0086】
振動板67および基板73は、筒状のフレーム11~63の中心軸に沿って、空間S4を挟んで配置される。これにより、スピーカーユニット60は、音質を調整するための空間S4内に、基板18が配置されない。また、コイル68と基板73とを結ぶ配線74も、空間S4の外に配置できる。これにより、スピーカーユニット60およびスピーカーユニット60を組み込んだイヤホン1は、音質のばらつきを抑制できる。
【0087】
以上説明したように、イヤホン1の筐体内に組み込まれるスピーカーユニット60は、筒状のフレーム61~63と、音を発する振動板67と、振動板67に設けられたコイル68の配線が接続される基板73と、を備える。フレーム61~63は内側に、音の音質を調整するための空間S4が形成され、振動板67および基板73は、フレーム61~63の内側に、空間S4を挟んで配置される。振動板67のコイル68が設けられる側とは反対側の面は、イヤホン1の音導管2aとは反対側を向く。
【0088】
これにより、スピーカーユニット60は、振動板21の前面が音導管2aとは反対側を向く場合でも、音質を調整するための空間S4の容積を一定にすることができ、音質のばらつきを抑制できる。また、スピーカーユニット60を組み込んだイヤホン1も音質のばらつきを抑制できる。
【0089】
なお、筒状のフレーム62の内側に形成された仕切りと、凹み形状のフレーム63の底部とは、スピーカーユニット60の内側に空間S4を形成する仕切りとなる。
【0090】
(変形例1)
制動部材69は、フレーム62の内側に形成された仕切りの、矢印A51とは反対側の面に接着されたが、これに限られない。制動部材69は、フレーム62の、フレーム62の内側に形成された仕切りの、矢印A51側の面に接着されてもよい。
【0091】
制動部材71は、凹み形状のフレーム63の底部の、矢印A51とは反対側の面に接着されたが、これに限られない。制動部材71は、凹み形状のフレーム63の底部の、矢印A51側の面に接着されてもよい。
【0092】
(変形例2)
ヨーク64およびマグネット65の形状および配置は、上記に限られない。例えば、コイル68の内側に、凸形状のヨークが配置されてもよい。そして、コイル22の外側に、筒形状のマグネットが配置されてもよい。
【0093】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0094】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例または修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示に係るスピーカーユニットは、イヤホンの筐体内に組み込まれ、音楽再生機器や補聴器といった電子機器の音声再生に利用できる。
【符号の説明】
【0096】
1 イヤホン
2 筐体
2a 音導管
3,50,60 スピーカーユニット
11,12,51,61,62,63 フレーム
11a,12a 切り欠き
12b,15a,54 穴
13 カバー
14,74 配線
15,64 ヨーク
16,17,69,71 制動部材
18,73 基板
21,67 振動板
22,68 コイル
23,65 マグネット
24,66 ポールピース
25,26,70,72 接着部材
31 ランド
41,43,52 底部
42,44,53 側部
S1,S2,S3,S4 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10