(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20240614BHJP
D06F 58/02 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
D06F39/08 311C
D06F58/02 F
(21)【出願番号】P 2021068561
(22)【出願日】2021-04-14
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】小西 朗登
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】中井 厚仁
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-187449(JP,A)
【文献】特開2012-075601(JP,A)
【文献】特開2007-143611(JP,A)
【文献】特開2005-124763(JP,A)
【文献】特開2011-136075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0024295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容する内槽と、
空気を除湿して加熱するヒートポンプ装置と、
前記内槽と前記ヒートポンプ装置とを接続した循環流路と、
空気の流れを発生させる送風部と、を備え、
前記ヒートポンプ装置は、
前記循環流路に接続される空気入口及び空気出口と、前記空気入口と前記空気出口との間で延びる空気流路と、を形成するケースと、
前記空気流路に配置され、空気を除湿する第1熱交換器と、
前記空気流路において、前記第1熱交換器の下流側に配置され、空気を加熱する第2熱交換器と、
前記第1熱交換器の上流面に洗浄水を供給する洗浄部と、を備え、
前記ケースは、
空気の流れ方向と交差する方向に前記空気流路
と並ぶ側方の領域
と、
前記側方の領域に、前記ケース内で生じた水を外部に排水するための排水口
と、
前記空気流路と前記側方の領域とを隔離する側壁
と、を有し、
前記側壁
には、前記第1熱交換器の上流において、前記第1熱交換器の前記上流面を流れた洗浄水を前記側方の領域へ導くための第1開口
が設けられている、衣類乾燥機。
【請求項2】
前記ケースは、
前記側方の領域において、前記第1開口と前記排水口との間に延びる第1排水流路と、
前記第1熱交換器の上流において、前記第1熱交換器の前記上流面を流れた洗浄水を前記第1開口に導く第2排水流路と、
前記第1熱交換器の下方において、前記第1熱交換器で生じた除湿水を前記第1排水流路に導く第3排水流路と、を形成して、
前記第3排水流路と前記第1排水流路とは、前記第1開口の下流で合流する、請求項1に記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記ケースは、前記第1熱交換器を下方から支持するように突出して、前記第3排水流路を形成する第1支持リブをさらに有し、
前記側壁は、前記第1支持リブの端部に対向する位置において、前記第1排水流路に通ずる第2開口を形成する、請求項2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記ケースは、前記第1熱交換器と前記第2熱交換器との間で下方から突出する仕切用リブをさらに有し、
前記第1支持リブと前記仕切用リブとの間に、隙間空間が形成される、請求項3に記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
前記隙間空間において、前記ケースの内底面は、前記第2開口に向かって下降した段構造を有する、請求項4に記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
前記仕切用リブの高さは、前記第1支持リブの高さより高い、請求項4または5に記載の衣類乾燥機。
【請求項7】
前記段構造は、前記第2開口から離れている、請求項5に記載の衣類乾燥機。
【請求項8】
前記ケースの内底面は、前記第2熱交換器を下方から支持するように突出する第2支持リブをさらに有し、
前記第2支持リブは、前記第2熱交換器の下方において、前記第1排水流路に通ずる第4排水流路を形成し、
前記第3排水流路の傾斜は、前記第4排水流路の傾斜より大きい、請求項2から7のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項9】
前記第1開口は、前記空気入口及び前記空気出口より小さい、請求項1から8のいずれか一項に記載の衣類乾燥機。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の衣類乾燥機と、
前記内槽に洗濯水を供給する給水部と、
前記内槽内の洗濯水を排水する排水部と、
洗濯および乾燥運転を制御する制御部と、を備える洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ヒートポンプ装置において、除湿用熱交換器に付着した異物を除去する散水手段を設けた衣類乾燥機が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された衣類乾燥機は、散水手段によって、除湿用熱交換器に付着した異物を洗い流し、洗い流した後の洗浄水や、除湿用熱交換器で生じる除湿水を、排水路を通じてヒートポンプ装置の外部に排水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の衣類乾燥機において、ヒートポンプ装置の排水機能の向上といった点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあって、ヒートポンプ装置の排水機能を向上させた衣類乾燥機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の衣類乾燥機は、衣類を収容する内槽と、空気を除湿して加熱するヒートポンプ装置と、内槽とヒートポンプ装置とを接続した循環流路と、を備え、ヒートポンプ装置は、循環流路に接続される空気入口及び空気出口と、空気入口と空気出口との間で延びる空気流路と、を形成するケースと、空気流路に配置され、空気を除湿する第1熱交換器と、空気流路において、第1熱交換器の下流側に配置され、空気を加熱する第2熱交換器と、第1熱交換器の上流面に洗浄水を供給する洗浄部と、を備え、ケースは、空気流路の側方の領域に、ケース内で生じた水を外部に排水するための排水口を形成し、空気流路と側方の領域とを隔離する側壁をさらに有し、側壁は、第1熱交換器の上流において、第1熱交換器の上流面を流れた洗浄水を側方の領域へ導くための第1開口を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ヒートポンプ装置の排水機能を向上させた衣類乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示に係る実施形態の衣類乾燥機の模式断面図
【
図3】
図2と異なる方向から見たヒートポンプ装置の斜視図
【
図7A】
図6のA-A線に沿ったケースの斜視断面図
【
図7B】
図6のB-B線に沿ったケースの斜視断面図
【
図10】
図9と異なる方向から見た隙間に沿ったケースの斜視断面図
【
図11】本開示に係る実施形態の衣類乾燥機の模式システム図
【
図12】空気の流れを示した従来の衣類乾燥機用ヒートポンプ装置の上面図
【
図13】空気の流れを示したヒートポンプ装置の上面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
本開示の実施形態に係る衣類乾燥機について説明する。
【0011】
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施形態の衣類乾燥機1を示す模式断面図である。本実施形態の衣類乾燥機1は、洗濯機能を有する洗濯乾燥機(いわゆるドラム式洗濯機)である。
図1に示すよう、衣類乾燥機1は、本体2と、外槽3と、内槽4と、駆動部5と、ヒートポンプ装置6と、循環流路8と、送風ファン9と、給水弁10と、排水弁11と、制御部12と、を備える。
【0012】
<本体>
本体2は、衣類乾燥機1の外観を形成する部材である。本体2の前面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な扉21と、が設けられている。
【0013】
<外槽>
外槽3は、本体2の内部に設けられ、洗濯水を溜める機能を有する大略円筒状の部材である。外槽3は、サスペンション30によって弾性支持され、洗濯、脱水時の振動をサスペンション30によって吸収する。外槽3は、本体2の開口20に面する位置に開口31を有し、ベローズ32によって、本体2の開口20と密閉されて連結される。外槽3にはさらに複数の開口33、34、35が設けられる。開口33、34は循環流路8に接続される開口であり、開口35は外槽3の水を外部に排水するための排水口である。
【0014】
<内槽>
内槽4は、外槽3の内側において回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物15を収容する大略円筒状の部材である。内槽4には多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は内槽4と外槽3とを連通させ、洗濯水が内槽4から外槽3に移動することを可能にする。内槽4はさらに、本体2の開口20及び開口31に面する位置に、開口41を有する。
【0015】
<駆動部>
駆動部5は、内槽4を回転駆動させる部材である。駆動部5は例えば、内槽4を回転させるモータを有する。
【0016】
<ヒートポンプ装置>
ヒートポンプ装置6は、循環流路8を流れる空気を除湿して加熱するための装置である。ヒートポンプ装置6は、本体2の上部に設けられる。ヒートポンプ装置6は、外槽3からの空気が流入する空気入口60と、除湿して加熱した空気を排出する空気出口61と、を形成する。空気入口60は上流側で外槽3の開口33に接続し、空気出口61は下流側で外槽3の開口34に接続する。
【0017】
ヒートポンプ装置6は、ケース62と、圧縮機63と、絞り機構64と、第1熱交換器65と、第2熱交換器66と、フィルタ67と、洗浄部68と、冷媒配管69とを備える。ヒートポンプ装置6の各構成要素については、後で詳述する。
【0018】
<循環流路>
循環流路8は、本体2の内部に設けられ、外槽3とヒートポンプ装置6の間で空気を循環させる流路である。循環流路8は、外槽3とヒートポンプ装置6とを接続する流路として、第1循環流路81と、第2循環流路82とを備える。第1循環流路81は、外槽3の開口33と空気入口60とを接続する流路である。第2循環流路82は、空気出口61と外槽3の開口34とを接続する流路である。循環流路8は複数の貫通孔40を通じて内槽4にも接続される。
【0019】
<送風ファン>
送風ファン9は、循環流路8に空気の流れを発生されるファンである。送風ファン9の運転によって、循環流路8を循環する空気の流れを発生させる(矢印A参照)。
【0020】
<給水弁>
給水弁10は、外槽3に、及び選択的に後述する洗浄部68に水を供給するための弁である。給水弁10は、本体2の上部に設けられる。
【0021】
<排水弁>
排水弁11は、外槽3に溜められた水を外槽3の開口35を通じて選択的に排水するための弁である。排水弁11は、本体2の下部に設けられる。
【0022】
<制御部>
制御部12は、衣類乾燥機1の運転を制御する部材である。制御部12は、駆動部5、ヒートポンプ装置6の圧縮機63、送風ファン9、給水弁10、及び排水弁11等の衣類乾燥機1の構成要素を制御する。制御部12は、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0023】
続いて、ヒートポンプ装置6の構成要素について、
図2から
図4を参照しながら説明する。
図2及び
図3は、ヒートポンプ装置6の斜視図であり、
図4は、ヒートポンプ装置6の上面図である。
【0024】
<ケース>
ケース62は、ヒートポンプ装置6を構成する熱交換器65、66等の部材を収容する部材である。ケース62は例えば、樹脂で形成される。ケース62は上方が開口しており、図示しない蓋部によって閉められる。
図2から
図4では、説明の便宜上、蓋部および洗浄部68の図示を省略する。
【0025】
図2から
図4に示すように、ケース62には、
図1に示した空気入口60と空気出口61とが形成される。空気入口60と空気出口61との間には空気流路R0が形成される。空気流路R0は、熱交換器65、66を通過するようにX方向に延びる。
【0026】
ケース62内には、圧縮機63と、絞り機構64(
図4)と、第1熱交換器65と、第2熱交換器66と、フィルタ67と、冷媒配管69とが収容される。
【0027】
<圧縮機>
圧縮機63は、冷媒配管69を流れる冷媒を圧縮するための部材である。圧縮機63は、第1熱交換器65から流入する冷媒を圧縮することで冷媒の温度を上昇させて、第2熱交換器66へ送る。
【0028】
<絞り機構>
絞り機構64は、冷媒配管69を流れる冷媒を減圧するための部材である。絞り機構64は、第2熱交換器66から流入する冷媒を減圧することで冷媒の温度を下降させて、第1熱交換器65へ送る。
【0029】
<第1熱交換器>
第1熱交換器65は、空気流路R0を流れる空気A0を除湿するための熱交換器(除湿用熱交換器)である。第1熱交換器65は、第1熱交換器65を通過する空気A0を冷却することで、空気A0に含まれる水分を凝縮させて空気A0を除湿する。第1熱交換器65の表面65A、65Bには除湿水が付着して下方に流れる。除湿水の流れについては、後で詳述する。第1熱交換器65は、複数の薄い金属板で構成されるフィンと、フィンの面に直交して貫通する伝熱管と、を備えてもよい。
【0030】
<第2熱交換器>
第2熱交換器66は、第1熱交換器65の下流側に設けられ、第1熱交換器65で除湿した空気A0を加熱するための熱交換器(加熱用熱交換器)である。第2熱交換器66は、第1熱交換器65と同様に、複数のフィンと、フィンを貫通する伝熱管と、を備えてもよい。
【0031】
<フィルタ>
フィルタ67は、空気入口60から空気流路R0に流入する空気A0からリント、ほこり、髪の毛等の異物を捕捉して除去するための部材である。フィルタ67は、第1熱交換器65の上流側において、空気入口60と対向する位置に配置される。空気A0に含まれる異物にはフィルタ67を通過する異物も存在し、一部の異物はフィルタ67の下流にある第1熱交換器65の上流面65Aに付着する。
【0032】
<洗浄部>
図2から
図4では図示を省略しているが、
図1に示す洗浄部68は、フィルタ67を通過して第1熱交換器65に付着した異物を除去するための洗浄水を供給する部材である。洗浄部68は、給水弁10を通じて供給される洗浄水(例えば水道水)を第1熱交換器65の上流面65Aの上部に向けて散水して供給する。
【0033】
<冷媒配管>
図2から
図4に戻ると、冷媒配管69は、熱交換用の冷媒を流す配管であって、圧縮機63と、絞り機構64と、第1熱交換器65と、第2熱交換器66とを接続する。冷媒配管69を流れる冷媒は、圧縮機63、第2熱交換器66、絞り機構64、第1熱交換器65の順に循環する。
【0034】
続いて、ヒートポンプ装置6のケース62の構造について、
図5A、
図5B及び
図6を参照しながらより詳細に説明する。
図5Aは、ケース62の斜視図であり、
図5Bは、
図5Aの一部の拡大図であり、
図6は、ケース62の上面図である。
【0035】
図5A及び
図6に示すように、ケース62の内部には、空気流路R0と、空気流路R0の側方において領域R1とが形成される。空気流路R0と領域R1とはY方向に並ぶ。空気流路R0と領域R1との間には、側壁71が形成される。
【0036】
図6に示すように、ケース62は、領域R1を構成する面として、内底面B1を有する。内底面B1は、後述の第1排水流路W1と、第1排水流路W1に接続される排水口72とを形成する。排水口72は、ケース62において生じた洗浄水及び除湿水を、ケース62から排水するための開口である。排水口72は、管状部材72aの一端に接続され、管状部材72aの他端は、外槽3を介して排水弁11に接続される(
図1)。
【0037】
ケース62は、空気流路R0を構成する面として、内底面B2、B3、B4を有する。空気流路R0の上流側から順に、内底面B2、B3、B4が並ぶ。内底面B2は、第1熱交換器65(
図2から
図4)の上流に位置する面であり、内底面B3は、第1熱交換器65の直下に位置する面であり、内底面B4は、第2熱交換器66(
図2から
図4)の直下に位置する面である。内底面B2、B3、B4は、それぞれ、後述の排水流路W2、W3、W4を形成する。
【0038】
空気流路R0と領域R1の間に位置する側壁71は、第1熱交換器65及び第2熱交換器66の端面P1、P2(
図2、
図3)を支持する壁部である。側壁71と、第1熱交換器65及び第2熱交換器66の端面とによって、空気流路R0と領域R1とが隔離される。
【0039】
図5Aに示すように、側壁71は、第1部分71Aと、第1部分71Aの上流に位置する第2部分71Bと、第1部分71Aの下流に位置する第3部分71Cとを有する。
【0040】
第1部分71Aは、1枚板によって形成され、下部に開口73を形成する部分である。開口73は、空気流路R0と、領域R1とを連通させる貫通孔であり、第2排水流路W2を領域R1に接続する。第2部分71Bは、第1部分71Aより厚みを有して、側壁71の強度を向上させる部分である。第2部分71Bは、内部に空洞を形成してもよい。第3部分71Cは、第1熱交換器65の端面P1(
図2、
図3)を横から支持する枠として機能する部分である。第3部分71Cに隣接する位置には、空気流路R0と、領域R1とを連通させる開口77及び開口79が形成される。開口77は第3排水流路W3を領域R1に接続し、開口79は第4排水流路W4を領域R1に接続する。空気流路R0の上流側から順に、開口73、77、79が並ぶ。開口73、77、79はいずれも、空気入口60及び空気出口61より小さい開口面積を有する。
【0041】
開口73は、
図5Bに示すように、台形形状を有する。開口73の下流側の辺の高さH1は、開口73の上流側の辺の高さH2より小さい。高さH1が高さH2より小さいため、開口73を通過する空気の流れを加速させて圧力を減少させることができる。
【0042】
また、開口73が一枚板構造を有する第1部分71Aによって形成され、第1部分71Aは簡単な構造を有し、さらに開口77、79の上部が開放されているため、ケース62を容易に形成することができる。例えば、射出成形によって、ケース62を容易に製造できる。
【0043】
続いて、それぞれの排水流路W1~W4について、
図6から
図8を参照しながら説明する。
図7Aは、
図6のA-A線に沿ったケース62の斜視断面図である。
図7Bは、
図6のB-B線に沿ったケース62の斜視断面図である。
図8は、ケース62の一部の拡大図である。
【0044】
図6に示すように、第1排水流路W1は、領域R1を流れる水を、排水口72を通じてケース62から排水するための流路である。
図7Aに示すように、第1排水流路W1は、開口73と排水口72との間にX方向に延びる。第1排水流路W1は、排水口72に向かって下方に傾斜され、水が流れる向きを規定する。
【0045】
さらに、第1排水流路W1には、内底面B1から突出する複数の突起74が形成される。第1排水流路W1にリント等の異物を含む水が流れると、異物を突起74によって捕捉できる。
【0046】
図6に示すように、第2排水流路W2は、洗浄部68の散水によって第1熱交換器65の上流面65A(
図4)から流れ落ちた洗浄水を第1排水流路W1、すなわち領域R1に流入させるための流路である。第2排水流路W2は、第1熱交換器65が設置される場所の上流側に設けられ、第1熱交換器65の長手方向(Y方向)に延びる。第2排水流路W2は、開口73を介して第1排水流路W1に接続される。
図7A、
図7Bに示すように、第2排水流路W2は、開口73に向かって下方に傾斜され、水が流れる向きを規定する。第2排水流路W2は、開口73に向かって複数の角度によって傾斜されてもよい。
【0047】
さらに、第2排水流路W2には、内底面B2から突出する複数の突起75が形成される。突起75は、突起74と同様に、異物を捕捉する。
【0048】
図6に示すように、第3排水流路W3は、空気流路R0を流れる空気との熱交換によって第1熱交換器65(
図4)の表面に生じた除湿水を第1排水流路W1に流入させるための流路である。第3排水流路W3は、第1熱交換器65の長手方向(Y方向)に延び、開口77を介して第1排水流路W1に接続される。
図7A、
図7Bに示すように、第3排水流路W3は、開口77に向かって下方に傾斜され、水が流れる向きを規定する。
【0049】
第2排水流路W2と第3排水流路W3の間には、下方から第1熱交換器65を支持する支持リブ76が設けられる。支持リブ76は、第1熱交換器65を内底面B3から離すように内底面B3から突出して、第1熱交換器65の外周に沿って形成される枠状部材である。支持リブ76によって、第2排水流路W2と第3排水流路W3が隔離される。
【0050】
図6に示すように、第4排水流路W4は、第2熱交換器66の直下に設けられる流路であり、第1熱交換器65から飛散して第2熱交換器66(
図4)に付着した除湿水を第1排水流路W1に流入させる。第4排水流路W4は、第2熱交換器66の長手方向(Y方向)に延び、開口79を介して第1排水流路W1に接続される。
図7A、
図7Bに示すように、第4排水流路W4は、開口79に向かって下方に傾斜され、水が流れる向きを規定する。
【0051】
本実施形態では、第3排水流路W3の傾斜の方が、第4排水流路W4の傾斜よりも大きい。このため、開口77の下端D1は、開口79の下端D2よりも低い位置にある。
【0052】
第3排水流路W3と第4排水流路W4との間には、下方から第2熱交換器66を支持する支持リブ78が設けられる。支持リブ78は、第2熱交換器66を内底面B4から離すように、内底面B4から突出して、第2熱交換器66の外周に沿って形成される枠状部材である。支持リブ78によって、第3排水流路W3と第4排水流路W4とが隔離される。
【0053】
図7Bに示すように、ケース62は、支持リブ76と支持リブ78との間に仕切用リブ85をさらに形成する。仕切用リブ85は、ケース62の内底面から立ち上がり、第1熱交換器65と第2熱交換器66とを隔てる板状部材である。仕切用リブ85はさらに、第1熱交換器65を支持する支持リブ76上に滞留した除湿水が飛散して第2熱交換器66に付着することを防止するように機能する。
図8に示すように、仕切用リブ85の高さH4は、支持リブ76の高さH3より高い。
【0054】
さらに、
図7B及び
図8に示すように、支持リブ76と、仕切用リブ85との間には、隙間W5が形成される。隙間W5は、支持リブ76の周辺に流れ落ちる除湿水を第1排水流路W1に案内するための流路を形成する。支持リブ76が第1熱交換器65を支持するために略水平に延びるのに対し、隙間W5の底面が下方に傾斜することで、支持リブ76の周辺で生じる除湿水を第1排水流路W1に案内することができる。これにより、除湿水が支持リブ76上に滞留することを抑制して、除湿水が第2熱交換器66に飛散して付着することをさらに防止する。
【0055】
図9は、隙間W5に沿ったケース62の斜視断面図である。
図10は、
図9と異なる方向から見た隙間W5に沿ったケース62の斜視断面図である。
図9は、上流側から見た隙間W5を示し、
図10は、下流側から見た隙間W5を示している。
【0056】
図9及び
図10に示すように、隙間W5を構成するケース62の内底面B5は、段差86によって、第3排水流路W3の内底面B3に接続される。
【0057】
図9に示すように、隙間W5の内底面B5は、Y方向に沿って、開口77に向かって下方に傾斜される。内底面B5は、開口77に到達する前に、内底面B3に接続される。
図10に示すように、隙間W5は第3排水流路W3に合流して、第1排水流路W1に合流する。内底面B5と内底面B3との間には、段差86が形成される。段差86によって、内底面B3が内底面B5より低くなっており、開口77の面積が広くなっている。本実施形態では、段差86は、Z方向に沿って、開口77と対向する。一方で、段差86は、Z方向に対して傾斜されてもよい。
【0058】
ここで、排水流路W1~W4及び隙間W5において生じる洗浄水及び除湿水の流れについて、
図6を参照しながら説明する。
【0059】
<洗浄水の流れ>
洗浄水は、洗浄部68(
図1)によって第1熱交換器65の上流面65A(
図4)の上部に供給される。洗浄水は、第1熱交換器65の長手方向(Y方向)のいずれかの位置において、上流面65Aを伝って、内底面B2に向かって、第2排水流路W2に流れ落ちる。洗浄水の流れによって、上流面65Aに付着したリント等の異物は上流面65Aから除去され、洗浄水と共に流れ落ちる。これにより、異物の付着による風量の低下、除湿効率の低下、及び乾燥機能の低下を防止することができる。
【0060】
第2排水流路W2の傾斜によって、洗浄水は、矢印K2に沿って、第2排水流路W2から開口73に向かって流れる。洗浄水が第2排水流路W2に流れると、洗浄水に含まれる異物の一部は、突起75に引っ掛かって捕捉され、第2排水流路W2に留まる。
【0061】
洗浄水は、開口73を通じて、第1排水流路W1に流入して、第1排水流路W1の傾斜によって、矢印K1に沿って、排水口72に向かって流れる。洗浄水が第1排水流路W1に流れると、突起75に捕捉されなかった異物が突起74に引っ掛かって捕捉され、第1排水流路W1に留まる。このような構成によって、リント等の異物が排水口72に詰まることを防止し、ケース62の排水性を向上させることができる。
【0062】
<除湿水の流れ>
除湿水は、空気との熱交換によって第1熱交換器65の表面に生じ、第1熱交換器65の長手方向(Y方向)のいずれかの位置において、第1熱交換器65を伝って、内底面B3に向かって、第3排水流路W3に流れ落ちる。
【0063】
また、第1熱交換器65の下流面65B(
図4)を伝う除湿水は、支持リブ76上に滞留せず、内底面B5に向かって、隙間W5に流れ落ちる。W5に流れ落ちた除湿水は、内底面B5の傾斜によって、矢印K5に沿って、第3排水流路W3に向かって流れて、段差86によってさらに下方(Z方向)に落とされた後、第3排水流路W3に合流する。
【0064】
第3排水流路W3の傾斜によって、除湿水は、矢印K3に沿って、第3排水流路W3から開口77に向かって流れる。除湿水は、開口77を通じて、第1排水流路W1に流入して、第1排水流路W1で洗浄水と合流する。除湿水は、洗浄水と同様に、排水口72に向かって流れるとともに、突起74によって異物が捕捉される。
【0065】
一方で、第1熱交換器65を伝う除湿水の一部は、第2熱交換器66に向かう空気A0によって、仕切用リブ85を超えて、第1熱交換器65から第2熱交換器66に飛散する場合がある。第2熱交換器66に飛び散って付着した除湿水は、第2熱交換器66を伝って、内底面B4に向かって、第4排水流路W4に流れ落ちる。
【0066】
第4排水流路W4の傾斜によって、除湿水は、矢印K4に沿って、第4排水流路W4から開口79に向かって流れる。除湿水は、開口79を通じて、第1排水流路W1に流入して、第1排水流路W1で洗浄水と合流する。
【0067】
<動作>
以上のような構成において、次に衣類乾燥機1の動作の一例について、
図11を参照しながら説明する。
図11は、通常時における衣類乾燥機1の模式システム図である。通常時とは、第1熱交換器65において、リント等の異物の蓄積による目詰まり生じていない状態をいう。
【0068】
衣類乾燥機1の動作は、洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程と、乾燥工程と、内部洗浄工程とを備える。制御部12は、各工程を逐次制御する。
【0069】
洗い工程では、内槽4に洗濯物15を入れて、排水弁11(
図1)を閉じた状態で、外槽3に所定の水位に達するまで給水を行う。駆動部5によって、内槽4を回転させて洗濯物15の洗い工程を実行する。洗い工程後のすすぎ工程でも、洗い工程と同様に外槽3に給水を行い、内槽4を回転させて洗濯物15のすすぎを行う。脱水工程では、排水弁11を開いて本体2の外部へ洗濯水を排水した後、駆動部5によって、洗濯物15の入った内槽4を高速回転して脱水する。
【0070】
続いて、乾燥工程では、制御部12が圧縮機63及び送風ファン9を運転させて、洗濯物15の乾燥を行う。
【0071】
圧縮機63が運転すると、
図11に示すように、冷媒が圧縮され、圧力により、矢印Bで示すように、冷媒は冷媒配管69内を、圧縮機63、第2熱交換器66、絞り機構64、及び第1熱交換器65の順で循環する。第2熱交換器66において、圧縮により高温になった冷媒と空気A0との熱交換によって、冷媒は冷却され、空気A0は加熱される。絞り機構64において、冷媒は減圧によりさらに冷却され、第1熱交換器65において、低温になった冷媒と空気A0との熱交換によって、冷媒は加熱され、空気A0は冷却される。
【0072】
圧縮機63が運転すると、送風ファン9も運転して、内槽4における空気A0の循環を発生させる。
【0073】
内槽4における空気A0は、内槽4を回転させて上下に撹拌させた洗濯物15の隙間を通るときに、洗濯物15から水分を奪う。空気A0は、湿った状態で、外槽3の開口33及び第1循環流路81を通じて、空気入口60からヒートポンプ装置6に流入する。湿った空気A0は、フィルタ67を通過した後、第1熱交換器65を通過することで、顕熱と潜熱とが奪われて、低温の空気A0から除湿水が分離され、除湿される。低温の空気A0は、第2熱交換器66によって、加熱され、乾燥した温風となり、空気出口61及び第2循環流路82を通じて、開口34から外槽3及び内槽4に再度流入する。上記の動作を繰り返し、空気A0を循環させ、内槽4の湿った空気A0を乾燥及び加熱して内槽4に戻すことにより、洗濯物15の乾燥が進行される。
【0074】
また、乾燥が進行すると、空気A0が持つ熱量が増加する。空気A0の熱量を減らすために、第1循環流路81と外気とを接続する弁22を開き、第1循環流路81に外気を導入してもよい。また、外気に接続された開口24を通じて、第1循環流路81から空気A0を排出してもよい。このような構成によって、空気A0持つ熱量を減らすことができ、空気が冷媒を加熱して、圧縮機63に過剰な負荷が加わることを防止できる。
【0075】
乾燥工程が終了すると、内部洗浄工程が実行される。内部洗浄工程では、ケース62において空気A0が流れていない状態で、給水弁10を開き、洗浄部68に洗浄水を供給することにより、第1熱交換器65の上流面65Aに付着したリント等の異物の洗い落としが行われる。洗浄水は、上述のように、第2排水流路W2及び第1排水流路W1を通じて、ヒートポンプ装置6及び本体2の外部へと排水される。
【0076】
しかしながら、内部洗浄工程において、第1熱交換器65の上流面65Aに付着したリント等の異物を完全に除去することは困難である。内部洗浄工程で除去されない異物は、第1熱交換器65の上流面65Aに残留する。残留した異物が蓄積すると、第1熱交換器65の目詰まりが発生した異常状態となり、第1熱交換器65の空気抵抗が増加して、第1熱交換器65を通過する空気A0の流れが妨害される。
【0077】
ここで、第1熱交換器65の空気抵抗が増加した場合の乾燥工程における、ヒートポンプ装置6における空気の流れについて、
図12から
図14を参照しながら説明する。
図12は、空気の流れを示した従来の衣類乾燥機用ヒートポンプ装置の上面図である。
図13は、空気の流れを示したヒートポンプ装置6の上面図である。
図14は、ヒートポンプ装置6の斜視断面図である。
【0078】
図12に示すように、従来のヒートポンプ装置106の構成において、第2排水流路W12は、第1排水流路W11に直接接続されるのではなく、開口173を通じて、第3排水流路W13に接続される。開口173は、空気流路R10と領域R11との間の側壁171ではなく、第1熱交換器165の下方において、第1熱交換器165の上流面165Aを支持する支持リブ176に形成される。このような構成において、空気流路R10に流入する空気A1は、開口173を通じて第3排水流路W13に流入する。第3排水流路W13に流入した空気A1は、矢印K13に沿って流れる除湿水を巻き上げて、ヒートポンプ装置6の排水機能を低下させる。
【0079】
これに対して、本開示のヒートポンプ装置6においては、側壁71に開口73が形成される。
【0080】
図13及び
図14に示すように、第1熱交換器65の空気抵抗が増加すると、一部の空気A2は第1熱交換器65を通過せずに、第1熱交換器65の上流の側壁71に設けられた開口73を通過して領域R1に流入する。従来構成のように、第3排水流路W3に直接流入できるような開口は形成されていないため、空気A2は開口73を通じて領域R1へ迂回する。
【0081】
開口73から領域R1に流入した空気A2は、送風ファン9の回転がもたらすケース62内の圧力勾配によって、開口77、79を通じて、領域R1から空気流路R0に合流する。従来構成と異なり、空気A2は第3排水流路W3に直接流入せず、領域R1に流入してから第3排水流路W3に流入するため、空気A2は風速が弱まった状態で第3排水流路W3に流入する。また、空気A2は第3排水流路W3を流れる水に対して交差する方向ではなく、第3排水流路W3の流れ方向に沿って逆向きに流れるため、第3排水流路W3を流れる水による空気A2への抵抗も大きくなる。これにより、第3排水流路W3を流れる除湿水が空気A2によって巻き上げられにくくなるため、第1排水流路W1へより多くの除湿水を案内することができ、ヒートポンプ装置6の排水機能を向上させることができる。
【0082】
また、開口77を通じて空気流路R0に合流する空気A2の流れに着目すると、開口77の下端D1(
図7A)を低い位置に形成しているため、空気A2は、第2熱交換器66に向かって、隙間W5を通じて上方に流れる。
【0083】
一方で、隙間W5には、第1熱交換器65の下流面65Bを伝って流れ落ちた除湿水が流れている。支持リブ76と仕切用リブ85との間に隙間を形成しない場合は、支持リブ76上に除湿水が滞留して、空気A2に巻き上げられると第2熱交換器66へ飛散しやすくなる。これに対して、隙間W5を設けて支持リブ76よりも低い位置に除湿水を落とすことで、支持リブ76上における除湿水の滞留を抑制できる。また、隙間W5に流れる除湿水を、開口77付近の段差86によって、さらに低い位置に落とすことで、除湿水は、開口77から第2熱交換器66に向かって上方に流れる空気A2と離される。これにより、支持リブ76付近及び隙間W5における除湿水の巻き上げを抑制することができるため、第1排水流路W1にさらに多くの除湿水を案内することができる。
【0084】
従来構成と比較して、本開示の構成は、第1熱交換器65の空気抵抗が増加した場合において、特に第1熱交換器65付近における空気による除湿水の巻き上げを抑制し、ヒートポンプ装置6の排水機能を向上させることができる。
【0085】
[効果]
実施の形態1に係る衣類乾燥機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0086】
上述したように、本実施形態の衣類乾燥機1は、衣類を収容する内槽4と、空気を除湿して加熱するヒートポンプ装置6と、内槽4とヒートポンプ装置6とを接続した循環流路8と、を備える。ヒートポンプ装置6は、ケース62と、空気を除湿する第1熱交換器65と、空気を加熱する第2熱交換器66と、洗浄部68と、を備える。ケース62は、循環流路8に接続される空気入口60及び空気出口61と、空気入口60と空気出口61との間で延びる空気流路R0と、を形成する。第1熱交換器65と、第2熱交換器66とは空気流路R0に配置され、第2熱交換器66は第1熱交換器65の下流側に配置される。洗浄部は、第1熱交換器65の上流面65Aに洗浄水を供給する。ケース62は、空気流路R0の領域R1(側方の領域)に、ケース62内で生じた水を外部に排水するための排水口72を形成し、空気流路R0と領域R1とを隔離する側壁71をさらに有する。側壁71は、第1熱交換器65の上流において、第1熱交換器65の上流面65Aを流れた洗浄水を領域R1へ導くための開口73(第1開口)を形成する。
【0087】
このような構成により、第1熱交換器65の空気抵抗が増加した場合でも、空気A2は第1熱交換器65の下方に流入せず、開口73から流出して領域R1に迂回して、空気A2の風力が弱まる。また、領域R1から空気流路R0に合流する空気A2は、排水口72に向かって流れる除湿水の流れに交差して当たることを抑制できる。そのため、第1熱交換器65で生じる除湿水の巻き上げを防止して、ヒートポンプ装置6のケース62の排水性を向上させることができる。
【0088】
本実施形態の衣類乾燥機1において、ケース62は、第1排水流路W1と、第2排水流路W2と、第3排水流路W3と、を形成する。第1排水流路W1は、領域R1において、開口73と排水口72との間に延びる。第2排水流路W2は、第1熱交換器65の上流において、第1熱交換器65の上流面65Aを流れた洗浄水を開口73に導く。第3排水流路W3は、第1熱交換器65の下方において、第1熱交換器65で生じた除湿水を第1排水流路W1に導く。第3排水流路W3と第1排水流路W1とは、開口73の下流で合流する。
【0089】
このような構成により、第3排水流路W3における除湿水の巻き上げを抑制できる。
【0090】
また、本実施形態の衣類乾燥機1において、ケース62は、第1熱交換器65を下方から支持するように突出して、第3排水流路W3を形成する支持リブ76(第1支持リブ)をさらに有する。側壁71は、支持リブ76の端部に対向する位置において、第1排水流路W1に通ずる開口77(第2開口)を形成する。
【0091】
このような構成により、開口73から領域R1に流れた空気A2が、開口77を通じて第3排水流路W3に流入する場合に、第3排水流路W3における除湿水の巻き上げを抑制できる。
【0092】
また、本実施形態の衣類乾燥機1において、ケース62は、第1熱交換器65と第2熱交換器66との間で下方から突出する仕切用リブ85をさらに有する。支持リブ76と仕切用リブ85との間に、隙間W5(隙間空間)が形成される。
【0093】
このような構成により、隙間W5に除湿水を落とすことで、支持リブ76上における除湿水の滞留及び巻き上げ、さらに支持リブ76上から第2熱交換器66への飛散を抑制することができる。
【0094】
また、本実施形態の衣類乾燥機1において、隙間W5において、ケース62の内底面B5は、開口77に向かって下降した段差86(段構造)を有する。
【0095】
このような構成により、隙間W5における除湿水を段差86によってさらに低い位置に落とすことで、除湿水は、開口77から第2熱交換器66に向かって上方に流れる空気A2と離される。よって、隙間W5における除湿水の巻き上げを抑制できる。
【0096】
また、本実施形態の衣類乾燥機1において、仕切用リブ85の高さH4は、支持リブ76の高さH4より高い。
【0097】
このような構成により、仮に巻き上げによって支持リブ76から仕切用リブ85に向かって除湿水が飛散しても、仕切用リブ85によって除湿水を遮り、第2熱交換器66に付着しにくくすることができる。
【0098】
また、本実施形態の衣類乾燥機1において、段差86は、開口77から離れている。
【0099】
このような構成により、開口77から段差86に向かう空気A2の流速を抑えて、空気A2による除湿水の巻き上げを抑制できる。
【0100】
また、本実施形態の衣類乾燥機1において、ケース62の内底面B4は、第2熱交換器66を下方から支持するように突出する支持リブ78(第2支持リブ)をさらに有する。支持リブ78は、第2熱交換器66の下方において、第1排水流路W1に通ずる第4排水流路W4を形成する。第3排水流路W3の傾斜は、第4排水流路W4の傾斜より大きい。
【0101】
このような構成により、除湿水を第3排水流路W3から効率的に排水できる。
【0102】
また、本実施形態の衣類乾燥機1において、開口73は、空気入口60及び空気出口61より小さい。
【0103】
このような構成により、開口73の空気抵抗が大きく、通常時において、空気A0は優先的に空気入口60から空気出口61に流れて、開口73に向かう流れを抑制できる。
【0104】
また、本実施形態の衣類乾燥機1は、内槽4に洗濯水を供給する給水弁10(給水部)と、内槽4の洗濯水を排水する排水弁11(排水部)と、洗濯および乾燥運転を制御する制御部12と、をさらに備える洗濯機である。
【0105】
このような構成により、洗濯機として機能する衣類乾燥機1において、ヒートポンプ装置6の排水機能を向上させることができる。
【0106】
なお、実施形態において、衣類乾燥機1が洗濯機能を備えるドラム式洗濯器である場合について説明したが、このような場合に限らない。洗濯機能を有しない単なる衣類乾燥機等、空気を除湿して加熱するヒートポンプ装置を有するものであれば、任意の衣類乾燥機であってもよい。
【0107】
なお、ヒートポンプ装置6が本体2の上部に配置される例について説明したが、このような場合に限らない。ヒートポンプ装置6は、本体2の内部であれば、本体2の下部等の任意の位置に配置されてもよい。
【0108】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示の衣類乾燥機は、衣類乾燥機用のヒートポンプ装置の排水機能を向上させることができるため、家庭用の衣類乾燥機、業務用の衣類乾燥機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用のドラム式洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0110】
1 衣類乾燥機
2 本体
3 外槽
4 内槽
5 駆動部
6 ヒートポンプ装置
8 循環流路
9 送風ファン
10 給水弁
11 排水弁
12 制御部
60 空気入口
61 空気出口
62 ケース
63 圧縮機
64 絞り機構
65 第1熱交換器
66 第2熱交換器
67 フィルタ
68 洗浄部
69 冷媒配管
71 側壁
72 排水口
73 開口
74 突起
75 突起
76 支持リブ
77 開口
78 支持リブ
79 開口
85 仕切用リブ
86 段差
R0 空気流路
R1 領域
B1、B2、B3、B4、B5 内底面
W1、W2、W3、W4 排水流路
W5 隙間