IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】配電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J1/00 304E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022545543
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2021027128
(87)【国際公開番号】W WO2022044627
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2022-10-24
(31)【優先権主張番号】P 2020142684
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】大堀 貴大
(72)【発明者】
【氏名】木寺 和憲
(72)【発明者】
【氏名】古賀 達雄
(72)【発明者】
【氏名】大島 和哉
(72)【発明者】
【氏名】金森 圭太
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-120479(JP,A)
【文献】特表2019-531954(JP,A)
【文献】特開2013-187935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷が接続可能な接続部を1つ以上含む配電網と、
前記配電網に電力を供給可能な複数の電源と、を備え、
前記配電網には、前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源から電力が供給され、
前記複数の電源は、それぞれ隣り合う電源との間に前記接続部が位置するように間隔を空けて配置されており、前記間隔は複数であって、
前記複数の間隔の各々は、前記複数の間隔の平均値の0.5倍以上2倍以下である、
配電システム。
【請求項2】
前記配電網は、2以上の給電路に分岐する分岐点を有しており、
前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源は、前記分岐点に配置されている、
請求項1に記載の配電システム。
【請求項3】
前記分岐点は複数であって、
前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源は、前記複数の分岐点のうちの最も分岐数の多い分岐点に配置されている、
請求項2に記載の配電システム。
【請求項4】
前記配電網は、開放端を有しており、
前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源は、前記開放端に配置されている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項5】
前記配電網は、少なくとも環状に構成された環状網を有しており、
前記複数の電源のうちの少なくとも2以上の電源は、間隔を空けて前記環状網に配置されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項6】
前記複数の電源のうちの少なくとも2つの電源は、前記配電網を平面視で見た場合に、前記配電網と交差する基準線を挟んで対称に配置されている、
請求項1~のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項7】
負荷が接続可能な接続部を1つ以上含む配電網と、
前記配電網に電力を供給可能な複数の電源と、を備え、
前記配電網には、前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源から電力が供給され、
前記複数の電源は、それぞれ隣り合う電源との間に前記接続部が位置するように間隔を空けて配置されており、
前記複数の電源から前記配電網に供給する総出力電力に応じて、前記複数の電源から前記配電網に電力を供給する1以上の電源を選択する第1選択部を更に備える、
電システム。
【請求項8】
前記複数の電源は、電力変換器であって、
前記第1選択部は、前記複数の電源から最も変換効率の良い電源を、前記配電網に電力を供給する電源として選択する、
請求項に記載の配電システム。
【請求項9】
負荷が接続可能な接続部を1つ以上含む配電網と、
前記配電網に電力を供給可能な複数の電源と、を備え、
前記配電網には、前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源から電力が供給され、
前記複数の電源は、それぞれ隣り合う電源との間に前記接続部が位置するように間隔を空けて配置されており、
前記負荷の位置に応じて、前記複数の電源から前記配電網に電力を供給する1以上の電源を選択する第2選択部を更に備える、
電システム。
【請求項10】
前記配電網は、2以上の給電路に分岐する分岐点を有しており、
前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源は、前記分岐点に配置されている、
請求項7~9のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項11】
前記分岐点は複数であって、
前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源は、前記複数の分岐点のうちの最も分岐数の多い分岐点に配置されている、
請求項10に記載の配電システム。
【請求項12】
前記配電網は、開放端を有しており、
前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源は、前記開放端に配置されている、
請求項7~11のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項13】
前記配電網は、少なくとも環状に構成された環状網を有しており、
前記複数の電源のうちの少なくとも2以上の電源は、間隔を空けて前記環状網に配置されている、
請求項7~12のいずれか1項に記載の配電システム。
【請求項14】
前記複数の電源のうちの少なくとも2つの電源は、前記配電網を平面視で見た場合に、前記配電網と交差する基準線を挟んで対称に配置されている、
請求項7~13のいずれか1項に記載の配電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、負荷へ電力を供給する分散電源システムが開示されている。この分散電源システムは、複数の発電装置で発電された電力が入力される電源装置を備える。電源装置は、発電装置ごとに、電源回路と、蓄電池と、インバータと、を備えている。電源回路は、発電装置で発電された電力から所定の電圧の電力を生成する。蓄電池は、電源回路から得られる電力が充電され、充電された電力が放電される。インバータは、電源回路及び蓄電池から得られる電力を交流電力に変換し、変換された電力を負荷が接続された電力線に出力する。そして、この分散電源システムでは、複数の蓄電池のそれぞれの状態に従って、負荷へ供給される電力を複数のインバータに分担させて出力させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-220352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電源から負荷に印加される電圧の降下を低減しやすい配電システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る配電システムは、負荷が接続可能な接続部を1つ以上含む配電網と、前記配電網に電力を供給可能な複数の電源と、を備える。前記配電網には、前記複数の電源のうちの少なくとも1つの電源から電力が供給される。前記複数の電源は、それぞれ隣り合う電源との間に前記接続部が位置するように間隔を空けて配置されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の配電システムは、電源から負荷に印加される電圧の降下を低減しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態に係る配電システムの構成を示す概要図である。
図2A図2Aは、実施の形態に係る配電システムの第1構成例を示す概要図である。
図2B図2Bは、実施の形態に係る配電システムの第2構成例を示す概要図である。
図2C図2Cは、実施の形態に係る配電システムの第3構成例を示す概要図である。
図2D図2Dは、実施の形態に係る配電システムの第4構成例を示す概要図である。
図3A図3Aは、実施の形態に係る配電システムの第5構成例を示す概要図である。
図3B図3Bは、実施の形態に係る配電システムの第6構成例を示す概要図である。
図3C図3Cは、実施の形態に係る配電システムの第7構成例を示す概要図である。
図3D図3Dは、実施の形態に係る配電システムの第8構成例を示す概要図である。
図4図4は、電源の変換効率の特性を示す図である。
図5図5は、比較例の配電システムの構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0009】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0010】
(実施の形態)
[構成]
実施の形態に係る配電システム100の構成について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態に係る配電システム100の構成を示す概要図である。配電システム100は、配電網2と、複数(図1に示す例では、3つ)の電源1と、を備えている。実施の形態では、各電源1は直流電力を出力する。したがって、実施の形態では、配電網2は、いわゆるDC(Direct Current)配電網である。
【0011】
図1に示す配電網2は、4本の給電路3を含むように構成されている。4本の給電路3は、いずれも平面視で(つまり、各給電路3を含む平面と直交する方向から見た場合で)直線状である。4本の給電路3は、各々の一端が1つの分岐点P1に接続されている。このため、いずれかの給電路3に電源1から電力が供給されると、他の給電路3にも分岐点P1を介して電力が供給される。
【0012】
各給電路3は、電源1の出力側の正極に接続される正側給電路と、電源1の出力側の負極に接続される負側給電路と、の一対の電路により構成されている。したがって、実施の形態では、分岐点P1は、複数の給電路3の各々の正側給電路の接続点、及び複数の給電路3の各々の負側給電路の接続点の2点の組み合わせである。なお、配電網2は、1つの分岐点P1だけでなく、複数の分岐点P1を有していてもよい。また、配電網2は、分岐点P1を有していなくてもよい。つまり、配電網2は、1本の給電路3のみで構成される態様を含み得る。
【0013】
各給電路3は、例えばダクトレールにより構成されており、1以上の負荷4が接続可能である。つまり、各給電路3においては、1以上の負荷4を自由な位置に配置することが可能である。言い換えれば、各給電路3は、1以上の負荷4が接続される接続部30である。このため、配電網2は、負荷4が接続可能な接続部30を1つ以上含んでいる、と言える。もちろん、各給電路3は、1以上の負荷4が接続可能な場所があらかじめ定められている態様であってもよい。実施の形態では、各給電路3は、施設の天井に配置されているが、施設の床、壁、又は什器等に配置されていてもよい。
【0014】
電源1は、配電網2に電力を供給可能である。実施の形態では、電源1は、AC/DCコンバータを備えた電力変換器である。電源1は、電力系統6から出力される交流電力を直流電力に変換し、変換した直流電力を電源1が接続された給電路3へ出力する。当該給電路3へ出力された直流電力は、他の給電路3にも出力される。なお、実施の形態において、電源1は、直流電力を出力する態様であればよく、太陽光電池等の分散型電源若しくは蓄電池等の電源、又はこれらの電源と電力変換器(例えば、DC/DCコンバータ回路を備えた電力変換器)との組み合わせであってもよい。
【0015】
負荷4は、給電路3(接続部30)に接続されることにより、電源1から当該給電路3を介して供給される電力を受けて駆動する。実施の形態では、負荷4は照明器具であるが、例えばスピーカ、カメラ、センサ、又はUSB PD(Power Delivery)等であってもよい。つまり、負荷4は、電力を受けて駆動する態様であれば、照明器具以外の機器であってもよい。また、実施の形態では、各給電路3に接続されている負荷4は全て照明器具であって1種類であるが、各給電路3に接続される負荷4の種類は複数であってもよい。例えば、各給電路3には、照明器具と、スピーカと、カメラと、センサと、USB PDと、が接続されていてもよい。これらの機器は、1つの給電路3に全て接続されていてもよいし、複数の給電路3に分かれて接続されていてもよい。
【0016】
図1に示す配電システム100では、3つの電源1は、4本の給電路3のうちの3本の給電路3の開放端E1にそれぞれ配置されている。ここでいう開放端E1とは、給電路3の一端であって、他の給電路3に接続されていない端をいう。つまり、図1に示す配電システム100では、配電網2は、開放端E1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、開放端E1に配置されている。
【0017】
図1に示す配電システム100では、3つの電源1のうち後述するコントローラ5の選択部50により選択された電源1が、配電網2に電力を供給する。つまり、配電網2には、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1から電力が供給される。図1に示す配電システム100では、3つの電源1は、いずれも出力電圧と定格出力が同じである。したがって、いずれの電源1が選択された場合でも、同じ出力電圧と定格出力の電源1から配電網2に電力が供給されることになる。ここでいう「同じ」は、完全に同じであることを含む他、殆ど一致することを含む。つまり、複数の電源1の各々の出力電圧と定格出力には、互いに数%程度の誤差があることが許容される。
【0018】
そして、図1に示す配電システム100では、3つの電源1は、互いに1本以上の給電路3を挟むように配置されている。既に述べたように、給電路3は、接続部30に相当する。したがって、複数の電源1は、それぞれ隣り合う電源1との間に接続部30が位置するように間隔G1を空けて配置されている。つまり、複数の電源1は、配電網2の1箇所に集中して接続されるように配置されているのではなく、配電網2の複数箇所に分散して接続されるように配置されている。
【0019】
例えば、図1に示す配電システム100において、3つの電源1をそれぞれ「第1電源11」、「第2電源12」、「第3電源13」と仮定する。そして、第1電源11に接続されている給電路3を「第1給電路31」、第2電源12に接続されている給電路3を「第2給電路32」、第3電源13に接続されている給電路3を「第3給電路33」と仮定する。この場合、第1電源11と第2電源12との間には第1給電路31及び第2給電路32が位置し、その間隔G1は、第1給電路31及び第2給電路32の配線長の和に相当する。また、第2電源12と第3電源13との間には第2給電路32及び第3給電路33が位置し、その間隔G1は、第2給電路32及び第3給電路33の配線長の和に相当する。また、第1電源11と第3電源13との間には第1給電路31及び第3給電路33が位置し、その間隔G1は、第1給電路31及び第3給電路33の配線長の和に相当する。なお、図1では、一例として、第1電源11と第3電源13との間の間隔G1についてのみ図示している。
【0020】
[配電システムの構成例]
図1に示す配電システム100の構成は、一例に過ぎない。以下、実施の形態に係る配電システム100の構成例を列挙する。なお、以下に列挙する構成例は一例であって、実施の形態に係る配電システム100は、以下に列挙する構成例とは異なる構成であってもよい。また、以下に列挙する構成例においては、複数の電源1の各々の出力電圧は同じである必要があるが、定格出力は、同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。また、以下に列挙する構成例においては、複数の電源1のうちの任意の2つの電源1の間隔G1についてのみ図示している。
【0021】
図2Aは、実施の形態に係る配電システム100の第1構成例を示す概要図である。第1構成例では、配電システム100は、1本の給電路3からなる配電網2と、2つの電源1と、を備えている。給電路3は、平面視で直線状である。そして、2つの電源1は、1本の給電路3の両端、言い換えれば1本の給電路3の一方の開放端E1と、他方の開放端E1と、にそれぞれ配置されている。
【0022】
つまり、第1構成例では、配電網2は、開放端E1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、開放端E1に配置されている。また、第1構成例では、2つの電源1は、1本の給電路3の中心を通る直線L11に関して線対称に配置されている。つまり、第1構成例では、複数の電源1のうちの少なくとも2つの電源1は、配電網2を平面視で見た場合に、配電網2と交差する直線L11(基準線BL1)を挟んで対称に配置されている。
【0023】
図2Bは、実施の形態に係る配電システム100の第2構成例を示す概要図である。第2構成例では、配電システム100は、4本の給電路3からなる配電網2と、4つの電源1と、を備えている。4本の給電路3は、いずれも平面視で直線状である。これら4本の給電路3は、互いに接続されることで、平面視で矩形状の配電網2を構成している。つまり、第2構成例では、配電網2は、環状網20である。そして、4つの電源1は、隣り合う給電路3同士が接続される計4つの接続点にそれぞれ配置されている。このため、第2構成例では、4つの電源1は、環状網20において等間隔に配置されている。
【0024】
つまり、第2構成例では、配電網2は、少なくとも環状に構成された環状網20を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも2以上の電源1は、間隔G1を空けて環状網20に配置されている。また、第2構成例では、いずれの給電路3においても、給電路3の中心を通る直線L12に関して線対称となるように2つの電源1が配置されている。つまり、第2構成例では、複数の電源1のうちの少なくとも2つの電源1は、配電網2を平面視で見た場合に、配電網2と交差する直線L12(基準線BL1)を挟んで対称に配置されている。
【0025】
図2Cは、実施の形態に係る配電システム100の第3構成例を示す概要図である。第3構成例では、配電システム100は、5本の給電路3からなる配電網2と、3つの電源1と、を備えている。5本の給電路3は、いずれも平面視で直線状である。これら5本の給電路3は、互いに接続されることで、平面視で櫛形状の配電網2を構成している。そして、3つの電源1は、3本の給電路3が互いに接続される分岐点P1と、残りの2本の給電路3の開放端E1と、にそれぞれ配置されている。
【0026】
つまり、第3構成例では、配電網2は、2以上の給電路3に分岐する分岐点P1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、分岐点P1に配置されている。また、第3構成例では、配電網2は、開放端E1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、開放端E1に配置されている。
【0027】
図2Dは、実施の形態に係る配電システム100の第4構成例を示す概要図である。第4構成例では、配電システム100は、4本の給電路3からなる配電網2と、5つの直流電源1と、を備えている。4本の給電路3は、いずれも平面視で直線状である。これら4本の給電路3は、互いに接続されることで、平面視で十字状の配電網2を構成している。そして、5つの電源1は、4本の給電路3の各々が有する計4つの開放端E1と、4本の給電路3が接続される分岐点P1と、にそれぞれ配置されている。
【0028】
つまり、第4構成例では、配電網2は、2以上の給電路3に分岐する分岐点P1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、分岐点P1に配置されている。また、第4構成例では、配電網2は、開放端E1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、開放端E1に配置されている。さらに、第4構成例では、また、いずれの給電路3においても、給電路3の中心を通る直線L13に関して線対称となるように2つの電源1が配置されている。つまり、第4構成例では、複数の電源1のうちの少なくとも2つの電源1は、配電網2を平面視で見た場合に、配電網2と交差する直線L13(基準線BL1)を挟んで対称に配置されている。
【0029】
図3Aは、実施の形態に係る配電システム100の第5構成例を示す概要図である。第5構成例では、配電システム100は、10本の給電路3からなる配電網2と、2つの電源1と、を備えている。10本の給電路3は、いずれも平面視で直線状である。10本の給電路3のうちの外側に位置する8本の給電路3は、互いに接続されることで、平面視で矩形状の環状網20を構成している。また、残りの2本の給電路3は、環状網20を3分割するように、環状網20に接続されている。そして、2つの電源1は、環状網20の4つの角のうち一方の対角線L21上に位置する2つの角にそれぞれ配置されている。このため、第5構成例では、2つの電源1は、環状網20において等間隔に配置されている。また、2つの電源1は、他方の対角線L22に関して線対称になるように配置されている、と言える。
【0030】
つまり、第5構成例では、配電網2は、少なくとも環状に構成された環状網20を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも2以上の電源1は、間隔G1を空けて環状網20に配置されている。また、第5構成例では、複数の電源1のうちの少なくとも2つの電源1は、配電網2を平面視で見た場合に、配電網2と交差する対角線L22(基準線BL1)を挟んで対称に配置されている。
【0031】
図3Bは、実施の形態に係る配電システム100の第6構成例を示す概要図である。第6構成例では、配電システム100は、24本の給電路3からなる配電網2と、2つの電源1と、を備えている。24本の給電路3は、いずれも平面視で直線状である。24本の給電路3は、平面視で矩形状の9つの環状網20を構成するように、格子状に互いに接続されている。そして、2つの電源1は、中央に位置する環状網20の4つの角のうち一方の対角線L23上に位置する2つの角にそれぞれ配置されている。このため、第6構成例では、2つの電源1は、環状網20において等間隔に配置されている。また、2つの電源1は、他方の対角線L24に関して線対称となるように配置されている、と言える。さらに、2つの電源1は、いずれも4本の給電路3が接続される分岐点P1に配置されており、この分岐点P1は、配電網2において最も分岐数(つまり、接続されている給電路3の数)が多い。
【0032】
つまり、第6構成例では、配電網2は、少なくとも環状に構成された環状網20を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも2以上の電源1は、間隔G1を空けて環状網20に配置されている。また、第6構成例では、複数の電源1のうちの少なくとも2つの電源1は、配電網2を平面視で見た場合に、配電網2と交差する対角線L24(基準線BL1)を挟んで対称に配置されている。また、第6構成例では、配電網2は、2以上の給電路3に分岐する分岐点P1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、分岐点P1に配置されている。さらに、第6構成例では、分岐点P1は複数である。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、複数の分岐点P1のうちの最も分岐数の多い分岐点P1に配置されている。
【0033】
図3Cは、実施の形態に係る配電システム100の第7構成例を示す概要図である。第7構成例では、配電システム100は、11本の給電路3からなる配電網2と、3つの電源1と、を備えている。11本の給電路3は、いずれも平面視で直線状である。11本の給電路3のうちの8本の給電路3は、互いに接続されることで、平面視で矩形状の2つの環状網20を構成している。残りの3本の給電路3は、これら2つの環状網20から外方に向かって延びるように、これら2つの環状網20に接続されている。そして、3つの電源1は、2つの環状網20のうちの一方(図3Cにおける下側)の環状網20の4つの角のうち一方の対角線L25上に位置する2つの角と、この環状網20の下辺を構成する給電路3の中央と、にそれぞれ配置されている。このため、第7構成例では、3つの電源1は、環状網20において間隔G1を空けて配置されている。また、3つの電源1は、いずれも分岐点P1に配置されており、この分岐点P1は、配電網2において最も分岐数(つまり、接続されている給電路3の数)が多い。
【0034】
つまり、第7構成例では、配電網2は、少なくとも環状に構成された環状網20を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも2以上の電源1は、間隔G1を空けて環状網20に配置されている。また、第7構成例では、配電網2は、2以上の給電路3に分岐する分岐点P1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、分岐点P1に配置されている。さらに、第7構成例では、分岐点P1は複数である。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、複数の分岐点P1のうちの最も分岐数の多い分岐点P1に配置されている。
【0035】
図3Dは、実施の形態に係る配電システム100の第8構成例を示す概要図である。第8構成例では、配電システム100は、16本の給電路3からなる配電網2と、3つの電源1と、を備えている。16本の給電路3は、いずれも平面視で直線状である。16本の給電路3のうち8本の給電路3は、互いに接続されることで、平面視で矩形状の環状網20を構成している。残りの8本の給電路3は、互いに接続されることで、環状網20の中心で交差する平面視で十字状の十字網21を構成している。そして、3つの電源1は、十字網21を構成する2本の線のうちの一方の線(図3Dにおける左右方向の線)において等間隔に配置されている。ここで、3つの電源1のうちの2つの電源1は、環状網20において間隔G1を空けて配置されている。また、3つの電源1は、いずれも隣り合う2つの電源1が給電路3の中心を通る直線L14に関して線対称となるように配置されている。さらに、3つの電源1は、いずれも分岐点P1に配置されており、この分岐点P1は、配電網2において最も分岐数(つまり、接続されている給電路3の数)が多い。
【0036】
つまり、第8構成例では、配電網2は、少なくとも環状に構成された環状網20を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも2以上の電源1は、間隔G1を空けて環状網20に配置されている。また、第8構成例では、複数の電源1のうちの少なくとも2つの電源1は、配電網2を平面視で見た場合に、配電網2と交差する直線L14(基準線BL1)を挟んで対称に配置されている。また、第8構成例では、配電網2は、2以上の給電路3に分岐する分岐点P1を有している。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、分岐点P1に配置されている。さらに、第8構成例では、分岐点P1は複数である。そして、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、複数の分岐点P1のうちの最も分岐数の多い分岐点P1に配置されている。
【0037】
[コントローラ]
実施の形態に係る配電システム100は、複数の電源1を個別に制御する電源制御機能を有するコントローラ5を備えている。コントローラ5は、選択部50を備えている。コントローラ5は、例えばマイコン、又は、マイコンを備える装置である。マイコンは、プログラムが格納されたROM及びRAM、プログラムを実行するプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)、タイマ、A/D変換器、並びに、D/A変換器等を有する半導体集積回路等である。電源制御機能及び選択部50は、プロセッサが上記プログラムを実行することにより実現される。
【0038】
選択部50は、複数の電源1から配電網2に電力を供給する1以上の電源1を選択する。つまり、実施の形態では、全ての電源1から配電網2に電力が供給されるのではなく、選択部50により選択された1以上の電源1から配電網2に電力が供給される。もちろん、全ての電源1から配電網2に電力が供給されてもよい。
【0039】
以下、選択部50による1以上の電源1の選択例を列挙する。なお、選択部50が以下のいずれかの選択例に従って1以上の電源1を選択する前においては、配電網2には、全ての電源1から電力が供給されている、と仮定する。ここで、1以上の電源1を選択する前において、全ての電源1から電力を供給する理由は、配電網2に必要となる電力を検出するためである。なお、配電網2に必要となる電力を事前に選択部50が把握することが可能であれば、1以上の電源1を選択する前に、全ての電源1から電力を供給する必要はない。例えば、選択部50が全ての負荷4と有線又は無線で通信を行い、駆動する負荷4と、負荷4の駆動に必要となる電力を事前に検出することができれば、配電網2に必要となる電力を事前に選択部50が把握することが可能である。また、以下のいずれの選択例においても、選択されていない1以上の電源1からは、配電網2に電力が供給されない。
【0040】
第1選択例は、選択部50が「第1選択部」として機能する場合の一例である。すなわち、第1選択例では、選択部(第1選択部)50は、複数の電源1から配電網2に供給する総出力電力に応じて、複数の電源1から配電網2に電力を供給する1以上の電源1を選択する。第1選択例では、コントローラ5は、配電網2に接続されている1以上の電源1と有線又は無線で通信することにより、1以上の電源1にて計測された出力電力を定期的に取得する。出力電力を取得する周期は、例えば、各電源1が出力電力を計測する周期に相当する。これにより、コントローラ5は、配電網2での全ての電源1の出力電力を取得する。
【0041】
また、第1選択例では、コントローラ5は、通信により複数の電源1の各々の定格出力を把握することが可能である。
【0042】
そして、選択部50は、取得した全ての電源1の総出力電力に応じて、複数の電源1から1以上の電源1を選択する。例えば、複数の電源1の各々の定格出力が同じ200Wである、と仮定する。この場合、選択部50は、取得した全ての電源1の総出力電力が100Wであれば1つの電源1を選択し、300Wであれば2つの電源1を選択し、500Wであれば3つの電源1を選択する。
【0043】
また、例えば、複数の電源1の定格出力が互いに異なっており、定格出力が200Wの電源1と、定格出力が400Wの電源1と、定格出力が600Wの電源1と、が存在する、と仮定する。この場合、選択部50は、取得した全ての電源1の総出力電力が100Wであれば定格出力が200W、400W、及び600Wの電源1からいずれか1つを選択し、300Wであれば定格出力が400W及び600Wの電源1からいずれか1つを選択し、500Wであれば定格出力が600Wの電源1を選択する。
【0044】
ここで、実施の形態では、既に述べたように、複数の電源1は、いずれもAC/DCコンバータ(つまり、電力変換器)である。この場合、第1選択例において、選択部(第1選択部)50は、複数の電源1から最も変換効率の良い電源1を、配電網2に電力を供給する電源1として選択してもよい。
【0045】
以下、この態様について図4を用いて説明する。図4は、電源1の変換効率の特性を示す図である。図4において、縦軸は電源1の変換効率を、横軸は電源1の出力電力を表している。図4において、実線は定格出力が比較的大きい電源1の変換効率の特性を表しており、点線は定格出力が比較的小さい電源1の変換効率の特性を表している。いずれの電源1も、定格出力よりも少し小さい出力電力を供給する際に、変換効率がピークを迎えるような特性となっている。図4に示すように、定格出力が比較的大きい電源1は、出力電力(全ての負荷4の消費電力)が比較的大きい第1領域A1においては変換効率が大きいが、出力電力が比較的小さい第2領域A2においては変換効率が小さくなり、損失が増大してしまう。一方、定格出力が比較的小さい電源1は、第2領域A2においても変換効率が大きいため、損失の増大を抑制することが可能である。
【0046】
そこで、選択部(第1選択部)50は、全ての電源1の総出力電力に応じて、複数の電源1から最も変換効率の良い電源1を、配電網2に電力を供給する電源1として選択するのが好ましい。例えば、定格出力が200Wの電源1と、定格出力が600Wの電源1と、が存在する、と仮定する。この場合、選択部50は、取得した全ての電源1の総出力電力が100Wであれば、定格出力が200Wの電源1を選択する。
【0047】
第2選択例は、選択部50が「第2選択部」として機能する場合の一例である。すなわち、第2選択例では、選択部(第2選択部)50は、負荷4の位置に応じて、複数の電源1から配電網2に電力を供給する1以上の電源1を選択する。第2選択例では、コントローラ5は、配電網2に接続されている1以上の負荷4と有線又は無線で通信することにより、1以上の負荷4から位置情報を取得する。位置情報を取得するタイミングは、例えば、負荷4の電源がオンになったタイミングである。位置情報は、例えば、配電システム100が配置される施設における位置(座標)を表す情報である。負荷4の位置情報は、例えばBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等を用いたLPS(Local Positioning System)を用いて、取得することが可能である。
【0048】
また、第2選択例では、コントローラ5は、配電網2に接続されている1以上の電源1と有線又は無線で通信することにより、1以上の電源1から位置情報を取得する。例えば、複数の電源1の各々の位置は、上記のLPSを用いて取得することにより、コントローラ5のメモリに記憶される。
【0049】
そして、選択部50は、取得した負荷4の位置情報に応じて、複数の電源1から1以上の電源1を選択する。具体的には、選択部50は、複数の電源1から、負荷4の位置に最も近い位置にある電源1を選択する。例えば、電源がオンとなった負荷4が複数存在する場合、選択部50は、複数の負荷4の各々からの距離の和が最も小さくなる電源1を選択する。なお、選択した電源1のみでは配電網2に供給される電力に不足が生じる場合、選択部50は、負荷4の位置に次に近い位置にある電源1を更に選択すればよい。
【0050】
第3選択例は、選択部50が「第1選択部」及び「第2選択部」の両方として機能する場合の一例である。第3選択例では、選択部50は、まず、取得した負荷4の位置情報に応じて、複数の電源1から1つの電源1を選択する。そのうえで、全ての電源1から配電網2に電力を供給した際に取得した総出力電力と、選択済みの電源1の定格出力を比較する。比較の結果、選択した電源1のみでは配電網2に供給される電力に不足が生じる場合、選択部50は、取得した全ての電源1の総出力電力のうちの選択した電源1のみでは不足する電力に応じて、複数の電源1から1以上の電源1を選択する。つまり、第3選択例では、選択部50は、まず第2選択部として機能し、その後、配電網2に供給される電力に不足が生じる場合には、第1選択部として機能する。
【0051】
以下、第3選択例での動作の一例について配電網2の第3構成例(図2C)を用いて説明する。第3構成例において、定格出力が50Wの電源1(ここでは、「電源α」という)が分岐点P1に配置されている、と仮定する。また、定格出力が80Wの電源1(ここでは、「電源β」という)が最も左側に位置する給電路3の開放端E1に配置されており、定格出力が60Wの電源1(ここでは、「電源γ」という)が最も右側に位置する給電路3の開放端E1に配置されている、と仮定する。さらに、中央に位置する給電路3の中程に負荷4が接続されており、当該負荷4の電源オン時の消費電力が120Wである、と仮定する。
【0052】
この場合、選択部50は、まず、複数の電源α、β、γのうちから負荷4に最も近い位置にある電源αを選択する。そのうえで、全ての電源1から配電網2に電力を供給した際に取得した総出力電力(ここでは、120W)と、選択済みの電源αの定格出力(ここでは、50W)を比較する。比較の結果、電源αのみでは、配電網2に供給される電力が70W(=120W-50W)不足しているため、選択部50は、取得した全ての電源1の総出力電力のうちの不足分(ここでは、70W)に応じて、残りの電源β、γから電源βを選択する。これにより、配電網2に供給される電力が負荷4の消費電力を上回る。
【0053】
[利点]
以下、実施の形態に係る配電システム100の利点について、比較例の配電システム200との比較を交えて説明する。図5は、比較例の配電システム200の構成を示す概要図である。比較例の配電システム200は、電源1を1つしか備えていない点で、実施の形態に係る配電システム100と相違する。
【0054】
比較例の配電システム200では、給電路3(接続部30)に接続される負荷4が電源1から遠ければ遠い程、当該負荷4と電源1との間の距離、つまり配線長が長くなる。したがって、比較例の配電システム200では、負荷4が電源1から遠ければ遠い程、配線長に依存する給電路3の抵抗による電圧降下が大きくなってしまう、という問題がある。例えば、図5に示す例では、中央の給電路3において、最も電源1から遠い位置にある負荷4に印加される電圧は、配線長に起因する電圧降下により、最も電源1に近い位置にある負荷4に印加される電圧よりも無視できない程度に小さくなる。
【0055】
これに対して、実施の形態に係る配電システム100では、複数の電源1は、それぞれ隣り合う電源1との間に給電路3(接続部30)が位置するように間隔G1を空けて配置されている。つまり、実施の形態に係る配電システム100では、複数の電源1は、配電網2の1箇所に集中して接続されるように配置されているのではなく、配電網2の複数箇所に分散して接続されるように配置されている。このため、実施の形態に係る配電システム100では、複数の電源1から1以上の電源1を適切に選択することにより、比較例の配電システム200と比較して、給電路3(接続部30)に接続される負荷4と電源1との間の距離を短くすることができる。その結果、実施の形態に係る配電システム100では、電源1から負荷4に印加される電圧の降下を低減しやすい、という利点がある。
【0056】
(その他の実施形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。以下、実施の形態の変形例について列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【0057】
実施の形態では、複数の電源1の各々は、給電路3を挟むように配置されているが、これに限らない。例えば、複数の電源1のうちの1以上の電源1は、給電路3の中程に配置されていてもよい。この場合でも、隣り合う電源1の間に1以上の接続部30(給電路3の一部)が位置することになる。
【0058】
実施の形態において、隣り合う電源1の間の間隔G1が複数存在する場合に、これらの間隔G1は互いに等しくなくてもよい。つまり、これらの間隔G1は、互いに異なっていてもよい。例えば、環状網20に3つの電源1が配置されている場合、隣り合う電源1の間の間隔G1は3つ存在することになるが、これらの間隔G1は互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。複数の間隔G1が互いに異なっている場合、これらの間隔G1は、いずれも全ての間隔G1の平均値を基準とした範囲内に収まっているのが好ましい。つまり、間隔G1は複数であって、複数の間隔G1の各々は、複数の間隔G1の平均値の0.5倍以上2倍以下であるのが好ましい。
【0059】
実施の形態では、給電路3は、例えば図1に示すように平面視で直線状であるが、これに限らない。例えば、給電路3は、平面視で折れ線状である等して一部が折れ曲がった形状であってもよいし、平面視で波線状である等して一部が湾曲した形状であってもよい。
【0060】
実施の形態では、環状網20は、図2B図3B図3Dに示すように平面視で矩形状であるが、これに限らない。例えば、環状網20は、平面視で円形状であってもよいし、多角形状であってもよい。つまり、環状網20は、開放端E1を有しておらず、閉ループを構成していればよい。
【0061】
実施の形態では、配電網2はDC配電網であるが、これに限らない。例えば、配電網2は、交流電力が供給されるAC配電網であってもよい。この場合、各電源1は、交流電力を出力する態様であればよい。例えば、各電源1は、DC/ACコンバータを備えた電力変換器である。
【0062】
実施の形態では、配電システム100はコントローラ5を備えているが、これに限らない。例えば、配電システム100においては、コントローラ5を備える代わりに、複数の電源1のうちの1つの電源1がコントローラ5としての機能を有していてもよい。この態様では、コントローラ5は不要である。また、この態様では、コントローラ5としての機能を有する電源1がマスター、それ以外の電源1がスレーブとなって、マスターとスレーブとの間で有線又は無線により通信可能な構成となっている。そして、マスターである電源1は、スレーブである電源1に対して指示することにより、コントローラ5として自身を含めた全ての電源1を個別に制御する。
【0063】
(まとめ)
以上述べたように、配電システム100は、負荷4が接続可能な接続部30を1つ以上含む配電網2と、配電網2に電力を供給可能な複数の電源1と、を備える。配電網2には、複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1から電力が供給される。複数の電源1は、それぞれ隣り合う電源1との間に接続部30が位置するように間隔G1を空けて配置されている。
【0064】
このような配電システム100によれば、複数の電源1が配電網2の1箇所に集中して接続されるように配置されるのではなく、配電網2の複数箇所に分散して接続されるように配置される。したがって、このような配電システム100によれば、接続部30に接続される負荷4と電源1との間の距離を短くしやすく、結果として電源1から負荷4に印加される電圧の降下を低減しやすい、という利点がある。
【0065】
また、例えば、配電システム100では、配電網2は、2以上の給電路3に分岐する分岐点P1を有している。複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、分岐点P1に配置されている。
【0066】
このような配電システム100によれば、電源1から負荷4に印加される電圧の降下を低減しやすいという効果を奏しつつ、必要な電源1の数を低減しやすい、という利点がある。
【0067】
また、例えば、配電システム100では、分岐点P1は複数である。複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、複数の分岐点P1のうちの最も分岐数の多い分岐点P1に配置されている。
【0068】
このような配電システム100によれば、電源1から負荷4に印加される電圧の降下を低減しやすいという効果を奏しつつ、必要な電源1の数を更に低減しやすい、という利点がある。
【0069】
また、例えば、配電システム100では、配電網2は、開放端E1を有している。複数の電源1のうちの少なくとも1つの電源1は、開放端E1に配置されている。
【0070】
このような配電システム100によれば、電源1が1つしかない場合に電源1から最も離れた位置となりやすい開放端E1に電源1が配置されることで、接続部30に接続される負荷4と電源1との間の距離を短くしやすい、という利点がある。
【0071】
また、例えば、配電システム100では、配電網2は、少なくとも環状に構成された環状網20を有している。複数の電源1のうちの少なくとも2以上の電源1は、間隔G1を空けて環状網20に配置されている。
【0072】
このような配電システム100によれば、環状網20に電源1が1つしか配置されていない場合と比較して、接続部30に接続されている負荷4と電源1との間の距離を短くしやすい、という利点がある。
【0073】
また、例えば、配電システム100では、間隔G1は複数であって、複数の間隔G1の各々は、複数の間隔G1の平均値の0.5倍以上2倍以下である。
【0074】
このような配電システム100によれば、複数の電源1が等間隔に配置される場合と比較して、電源1の位置の自由度を確保しつつ、接続部30に接続されている負荷4と電源1との間の距離を短くしやすい、という利点がある。
【0075】
また、例えば、配電システム100では、複数の電源1のうちの少なくとも2つの電源1は、配電網2を平面視で見た場合に、配電網2と交差する基準線BL1を挟んで対称に配置されている。
【0076】
このような配電システム100によれば、複数の電源1が配電網2に無作為に配置される場合と比較して、接続部30に接続されている負荷4と電源1との間の距離を短くしやすい、という利点がある。
【0077】
また、例えば、配電システム100は、複数の電源1から配電網2に供給する総出力電力に応じて、複数の電源1から配電網2に電力を供給する1以上の電源1を選択する選択部(第1選択部)50を更に備える。
【0078】
このような配電システム100によれば、全ての電源1を稼働させて配電網2に電力を供給する場合と比較して、損失を減らすことができる、という利点がある。
【0079】
また、例えば、配電システム100では、複数の電源1は、電力変換器である。選択部(第1選択部)50は、複数の電源1から最も変換効率の良い電源1を、配電網2に電力を供給する電源1として選択する。
【0080】
このような配電システム100によれば、変換効率の悪い電源1を選択する場合と比較して、電源1での損失を更に低減しやすい、という利点がある。
【0081】
また、例えば、配電システム100は、負荷4の位置に応じて、複数の電源1から配電網2に電力を供給する1以上の電源1を選択する選択部(第2選択部)50を更に備える。
【0082】
このような配電システム100によれば、負荷4と電源1との間の距離が極力短くなるように電源1を選択することができ、結果として電源1から負荷4に印加される電圧の降下を低減しやすい、という利点がある。
【符号の説明】
【0083】
100 配電システム
1 電源(電力変換器)
2 配電網
20 環状網
3 給電路
30 接続部
4 負荷
50 選択部(第1選択部、第2選択部)
BL1 基準線
E1 開放端
G1 間隔
P1 分岐点
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5