(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】情報表示物
(51)【国際特許分類】
G09F 1/02 20060101AFI20240614BHJP
G09F 19/12 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G09F1/02 D
G09F1/02 E
G09F19/12 Z
(21)【出願番号】P 2020044324
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2022-12-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山江 和幸
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-253583(JP,A)
【文献】特開2012-023524(JP,A)
【文献】特開2001-076249(JP,A)
【文献】特開2009-020601(JP,A)
【文献】実開昭48-042393(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 1/00-25/485
G09F 1/00- 3/20
G09F 7/00- 7/22
G09F 19/00
G06K 19/06
G06Q 30/02
G09B 21/00
A61B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2色で塗り分けられた表示領域を
複数有し、
前記表示領域は、色覚少数派に知覚される第1情報と、色覚多数派に知覚される第2情報とを含み、
前記第1情報は、前記第2情報とは異なり、かつ、前記色覚少数派に所定の行動を促す情報であり、
前記表示領域は、背景色である第1色と、前記第1色とは異なる第2色とを含む少なくとも2色で塗り分けられており、
前記表示領域は、前記第1色と前記第2色とで塗り分けられた二次元コードを表
し、
複数の前記表示領域の各々の前記第2色は、互いに異なる色である
情報表示物。
【請求項2】
2色のみで塗り分けられた表示領域を有し、
前記表示領域は、色覚少数派に知覚される第1情報と、色覚多数派に知覚される第2情報とを含み、
前記第1情報は、前記第2情報とは異なり、かつ、前記色覚少数派に所定の行動を促す情報であり、
前記表示領域は、背景色である第1色と、前記第1色とは異なる第2色と
の2色で塗り分けられており、
前記表示領域は、前記第1色と前記第2色とで塗り分けられた二次元コードを表す
情報表示物。
【請求項3】
前記第1色と前記第2色との色差は、前記色覚少数派が前記色覚多数派よりも識別しやすい色差である
請求項1
又は2に記載の情報表示物。
【請求項4】
複数の前記表示領域の各々の前記第1情報は、前記色覚少数派の色識別能力に応じて互いに異なる行動を促す情報である
請求項
1に記載の情報表示物。
【請求項5】
さらに、前記表示領域に近接して設けられた二次元コードを有する
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報表示物。
【請求項6】
前記二次元コードは、前記色覚少数派の色覚を補正する物品を紹介又は販売するWebサイトへのアクセス情報を含む
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報表示物。
【請求項7】
前記情報表示物は、印刷物である
請求項1~
6のいずれか1項に記載の情報表示物。
【請求項8】
前記情報表示物は、表示画面である
請求項1~
6のいずれか1項に記載の情報表示物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示物に関する。
【背景技術】
【0002】
社会には、他人とは異なる色覚を有する人が存在する。例えば、日本人男性の5%及び日本人女性の0.2%は、P(Protanope)型又はD(Deuteranope)型と呼ばれる色覚少数派である。従来、人の視覚に対する光の色の見え方を調整する光学フィルタが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、色覚少数派の色覚を色覚多数派の色覚に近づける色覚補正メガネなどが販売されている。しかしながら、色覚少数派である本人が、自身が色覚少数派であることにそもそも気づいていない場合が多い。
【0005】
そこで、本発明は、色覚少数派に自身の色覚に気づく機会を与えることができる情報表示物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報表示物は、少なくとも2色で塗り分けられた表示領域を有し、前記表示領域は、色覚少数派に知覚される第1情報と、色覚多数派に知覚される第2情報とを含み、前記第1情報は、前記第2情報とは異なり、かつ、前記色覚少数派に所定の行動を促す情報である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る情報表示物によれば、色覚少数派に自身の色覚に気づく機会を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報表示物の平面図である。
【
図2】
図2は、色覚少数派のユーザによる実施の形態に係る情報表示物の見え方を示す模式図である。
【
図3】
図3は、色覚少数派のユーザの行動を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る情報表示物のQRコードからアクセスできるWebサイトの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、色覚多数派のユーザによる実施の形態に係る情報表示物の見え方を示す模式図である。
【
図6】
図6は、色覚多数派のユーザの行動を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例1に係る情報表示物の平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例2に係る情報表示物の平面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態又はその変形例に係る情報表示物である印刷物の外観図である。
【
図10】
図10は、実施の形態又はその変形例に係る情報表示物である表示画面を有する表示装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の実施の形態に係る情報表示物について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0011】
また、本明細書において、直交などの要素間の関係性を示す用語、及び、楕円などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0012】
本明細書において、色覚多数派は、C型(Common:一般型)の色覚を有するグループであり、S錐体、M錐体、L錐体のいずれも有する。
【0013】
色覚少数派は、色覚多数派とは異なる色覚を有するグループである。つまり、色覚少数派は、C型以外の色覚を持つグループである。例えば、色覚少数派は、主にP型(1型)又はD型(2型)の色覚を持つグループである。P型色覚には、L錐体を持たない(P型強度)場合、及び、L錐体の分光感度がずれてM錐体に似通っている(P型弱度)場合が含まれる。D型色覚には、M錐体を持たない(D型強度)場合、及び、M錐体の分光感度がずれてL錐体に似通っている(D型弱度)場合が含まれる。P型又はD型の色覚少数派は、赤から緑の範囲の識別がつきにくい特性を有する。
【0014】
(実施の形態)
[情報表示物]
まず、本実施の形態に係る情報表示物の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報表示物1の平面図である。
【0015】
図1に示されるように、情報表示物1は、少なくとも2色で塗り分けられた表示領域10を有する。
図1では、表示領域10の範囲を破線で表している。表示領域10は、情報表示物1の表示面を平面視した場合の一部の領域である。あるいは、表示領域10は、情報表示物1の表示面の全領域であってもよい。
【0016】
本実施の形態では、表示領域10は、背景色である第1色と、第1色とは異なる第2色とを含む少なくとも2色で塗り分けられている。具体的には、表示領域10は、第1色と第2色との2色のみで塗り分けられている。
図1に示されるように、表示領域10は、第1色の1色のみで塗られた第1色領域11と、第2色の1色で塗られた第2色領域12とを含んでいる。
【0017】
第1色と第2色との色差は、色覚少数派が色覚多数派よりも識別しやすい色である。本実施の形態では、第1色と第2色との色差は、色覚少数派が識別可能で、色覚多数派が識別困難である。第1色と第2色との色差は、色覚少数派のみが識別可能であり、色覚多数派が識別できなくてもよい。
【0018】
例えば、第1色と第2色とは、色覚少数派にとっての混同色ではない。具体的には、第1色と第2色とは、xy色度図において、一の混同色線に直交する線上に位置し、かつ、MacAdamの色弁別楕円内に位置する色である。MacAdamの色弁別楕円は、色覚多数派が識別できない色差の範囲を示している。例えば、第2色は、第1色を楕円中心とするMacAdamの色弁別楕円内において、楕円中心よりも色弁別楕円の輪郭に近い位置、又は、輪郭上に位置している。
【0019】
図1に示される例では、表示領域10は、第1色と第2色とで塗り分けられた二次元コードの一例であるQRコード(登録商標)を表す。つまり、一般的な白黒のQRコードに当てはめた場合、第1色領域11は、背景の白色領域に相当し、第2色領域12は、コードを表す黒色領域に相当している。QRコードは、色覚少数派の色覚を補正する物品を紹介又は販売するWebサイトへのアクセス情報を含んでいる。
【0020】
表示領域10は、色覚少数派に知覚される第1情報と、色覚多数派に知覚される第2情報とを含んでいる。第1情報は、第2情報とは異なり、かつ、色覚少数派に所定の行動を促す情報である。簡単に言い換えると、色覚少数派と色覚多数派とでは、表示領域10の見え方が異なり、かつ、表示領域10から取得できる情報が異なっている。このため、色覚少数派と色覚多数派とでは、表示領域10を見た後に取りうる行動が異なる。具体的な見え方の差異及び見た後の行動については、以下で説明する。
【0021】
[色覚少数派の行動]
まず、色覚少数派の行動について、
図2~
図4を用いて説明する。
【0022】
図2は、色覚少数派のユーザU1による情報表示物1の見え方を示す模式図である。
図3は、色覚少数派のユーザU1の行動を示すフローチャートである。
【0023】
図3に示されるように、まず、色覚少数派のユーザU1が情報表示物1を見る(S10)。本実施の形態では、第1色と第2色との色差が色覚少数派にとって識別しやすい色になっているので、色覚少数派のユーザU1は、第1色領域11と第2色領域12との区別が行いやすい。このため、
図2に示されるように、ユーザU1は、表示領域10に描かれたQRコードを見ることができ、その存在を確認することができる(S12)。
【0024】
次に、ユーザU1は、QRコードを確認できるので、スマートフォンなどのカメラを備える携帯端末20を利用して、情報表示物1を撮影する(S14)。QRコードは、Webサイトへのアクセス情報を含んでいるので、ユーザU1は、Webサイトを閲覧する(S16)。
【0025】
図4は、本実施の形態に係る情報表示物1のQRコードからアクセスできるWebサイト21の一例を示す図である。
図4に示されるように、Webサイト21は、例えば携帯端末20のディスプレイに表示される。Webサイト21では、ユーザU1の色覚をユーザU1に知らせると同時に、色覚補正メガネ22の紹介又は販売が行われている。ユーザU1は、色覚補正メガネ22に対する理解を深めることができ、必要に応じて購入まで行うことができる(S18)。
【0026】
このように、情報表示物1は、色覚少数派のユーザU1にQRコードを知覚させることができる。つまり、情報表示物1の表示領域10は、色覚少数派が知覚できる第1情報として、QRコードを含んでいる。したがって、情報表示物1は、ユーザU1に対して、QRコードの撮影という行動を促すことができる。さらに、QRコードを介してアクセスできるWebサイト21を利用して、ユーザU1に対してユーザU1の色覚を気づかせることができ、また、色覚補正メガネ22の購入を促すことができる。
【0027】
[色覚多数派の行動]
次に、色覚多数派の行動について、
図5及び
図6を用いて説明する。
【0028】
図5は、色覚多数派のユーザU2による情報表示物1の見え方を示す模式図である。
図6は、色覚多数派のユーザU2の行動を示すフローチャートである。
【0029】
図6に示されるように、まず、色覚多数派のユーザU2が情報表示物1を見る(S20)。本実施の形態では、第1色と第2色との色差が色覚多数派には識別できないので、ユーザU2が情報表示物1を見たとしても、第1色領域11と第2色領域12とを区別することができない。したがって、
図5に示されるように、ユーザU2は、情報表示物1の表示領域10は単一の色で塗られた領域であると知覚する。つまり、ユーザU2は、QRコードを見ることができず、QRコードを認識することができない(S22)。
【0030】
このように、情報表示物1は、色覚多数派のユーザU2にはQRコードを知覚させない。情報表示物1の表示領域10は、色覚多数派が知覚できる第2情報として、領域が一色で塗られているという情報を含んでいる。したがって、情報表示物1は、ユーザU2には特段の行動を促すことができない。
【0031】
[変形例]
続いて、本実施の形態に係る情報表示物1の変形例について説明する。
【0032】
[変形例1]
まず、変形例1に係る情報表示物について、
図7を用いて説明する。
図7は、本変形例に係る情報表示物2の平面図である。
【0033】
図7に示されるように、情報表示物2は、表示領域10と、QRコード30とを有する。QRコード30は、表示領域10に近接して設けられている。近接とは、表示領域10とQRコード30との関連が容易に判別できる範囲である。例えば、QRコード30は、その少なくとも一部が、表示領域10を中心とする周囲の近接範囲内に含まれている。近接範囲内は、表示領域10の輪郭から一定距離の範囲である。一定距離は、例えば、表示領域10の最大幅以下の長さである。一定距離は、数cmであってもよく、1cm以下であってもよい。
【0034】
本変形例では、QRコード30は、色覚少数派及び色覚多数派のいずれのユーザにも識別可能である。つまり、QRコード30は、十分に色差が大きい2色を用いて形成されている。例えば、QRコード30は、白色の背景に、二次元に並んだ複数の黒色の正方形からなる。
【0035】
情報表示物2の表示領域10では、第1色を背景色として、第2色で文字が描かれている。つまり、本変形例では、第2色領域12は文字である。第1色と第2色との色差は、実施の形態と同様に色覚少数派が識別可能で、色覚多数派が識別困難であるので、色覚少数派は、文字を読み取ることができる。
【0036】
このため、色覚少数派のユーザU1は、表示領域10に第2色で描かれた文字に従って、QRコード30を撮影し、
図4に示されるWebサイト21に誘導される。このように、色覚少数派のユーザU1に促す行動の内容を文字の内容によって定めることができる。なお、第2色領域12は、図形であってもよく、記号であってもよい。
【0037】
また、QRコード30は、十分に大きな色差を有する2色で描かれているので、一般的なカメラを用いても容易に認識することができる。このため、QRコード30の読み取りミスなどを抑制することができ、色覚少数派のユーザU1をWebサイト21に誘導することができる。
【0038】
[変形例2]
次に、変形例2に係る情報表示物について、
図8を用いて説明する。
図8は、本変形例に係る情報表示物3の平面図である。
【0039】
図8に示されるように、情報表示物3は、複数の表示領域10a~10dを有する。複数の表示領域10a~10dはそれぞれ、少なくとも2色で塗り分けられている。本変形例では、表示領域10a~10dの各々において、背景色である第1色は互いに同じ色である。複数の表示領域10a~10dはそれぞれ、第1色で塗られた第1色領域11を有する。
図8に示されるように、各表示領域の第1色領域11は、背景領域13の一部である。背景領域13は、長方形の領域であり、第1色で塗られた領域の輪郭に略一致している。
【0040】
複数の表示領域10a~10dの各々の第2色は、互いに異なる色である。
図8に示されるように、表示領域10a~10dはそれぞれ、第2色領域12a~12dを含んでいる。第2色領域12a~12dはいずれも、同じ大きさの正方形である。なお、
図8では、第2色領域12a~12dの色の違いを網掛けの違いによって表しているが、実際には、第2色領域12a~12dはそれぞれ、互いに異なる単一の色で塗られた正方形である。第2色領域12a~12dは、円であってもよく、他の図形であってもよい。第2色領域12a~12dは、互いに異なる形状であってもよく、互いに異なる大きさであってもよい。
【0041】
複数の表示領域10a~10dの各々における第1色と第2色との色差は、互いに異なっている。本変形例では、第1色が共通であるので、複数の表示領域10a~10dの各々の第2色は、互いに異なっている。
【0042】
本変形例では、各表示領域の第1色と第2色との色差は、色覚少数派が色覚多数派よりも識別しにくい色差である。具体的には、各色差は、色覚少数派の色識別能力に応じて定められている。つまり、色覚少数派のユーザU1が表示領域10a~10dを見た場合、その色識別能力によっては、各表示領域の色差を識別できるときと、識別できないときとがある。これに対し、色覚多数派のユーザU2が表示領域10a~10dを見た場合、表示領域10a~10dのいずれの色差も識別することができる。
図8に示される例では、色覚少数派の色識別能力が色覚多数派に近づく程、表示領域10a~10dの順に各表示領域の色差が識別できるようになる。
【0043】
例えば、ユーザU1が、表示領域10a~10cの各々の第1色と第2色とを識別することができ、表示領域10dの第1色と第2色とを識別できない場合(つまり、
図8のように、表示領域10dの第1色領域11と第2色領域12との区別ができない場合)、ユーザU1の色識別能力は、色覚多数派に最も近い。つまり、このユーザU1に対する色覚補正の程度は弱くてよい。一方で、別の色覚少数派のユーザが、表示領域10aの第1色と第2色とを識別することができ、表示領域10b~10dの各々の第1色と第2色とを識別できない場合、当該ユーザの色識別能力は、ユーザU1よりも色覚多数派から離れている。つまり、このユーザに対する色覚補正の程度は強くする必要がある。
【0044】
このように、情報表示物3は、ユーザの色覚の程度の検査機能を有する。具体的には、情報表示物3は、どの表示領域の色差を識別できるかをユーザにチェックさせることで、ユーザに自身の色覚の程度を知らせることができる。
【0045】
本変形例では、
図8に示されるように、情報表示物3は、表示領域10a~10dの各々に近接して設けられたQRコード30a~30dを有する。QRコード30a~30dはそれぞれ、対応する表示領域の色差の識別に要求される色識別能力に応じて、異なるWebサイトへアクセスさせる。QRコード30a~30dの各々からアクセスされるWebサイトは、対応する色識別能力を色覚多数派に近づけるための色覚補正メガネを案内する商品サイトである。つまり、色覚の程度に応じて適切な色覚補正メガネをユーザに紹介又は販売することができる。
【0046】
このように、複数の表示領域10a~10dは、色覚少数派のユーザの色識別能力に応じて、当該ユーザに対して、異なるWebサイトへのアクセスを促すことができる。つまり、各表示領域において、色覚少数派が知覚できる第1情報は、色覚少数派の色識別能力に応じて互いに異なる行動を促す情報になっている。
【0047】
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る情報表示物1、2又は3は、少なくとも2色で塗り分けられた表示領域10又は10a~10dを有する。表示領域10又は10a~10dは、色覚少数派に知覚される第1情報と、色覚多数派に知覚される第2情報とを含む。第1情報は、第2情報とは異なり、かつ、色覚少数派に所定の行動を促す情報である。
【0048】
これにより、色覚少数派のユーザU1は、表示領域10を見た場合に、色覚多数派のユーザU2とは異なる行動を取りやすい。このため、色覚少数派のユーザU1は、自身が色覚多数派のユーザU2とは異なる行動を取っていることに気づくことによって、自身の色覚と他人の色覚との違いに気づきやすくなる。このように、情報表示物1、2又は3は、観測者メタメリズムを利用し、色覚少数派のユーザU1が自身の色覚に気づく機会を与えることができる。
【0049】
また、例えば、表示領域10又は10a~10dは、背景色である第1色と、第1色とは異なる第2色とを含む少なくとも2色で塗り分けられている。
【0050】
これにより、例えば、第2色で塗られた第2色領域12を文字、図形又は記号などにすることができる。このため、情報表示物1、2又は3を見るユーザに、文字、図形又は記号の意味を認識させることができる。
【0051】
また、例えば、情報表示物1又は2では、第1色と第2色との色差は、色覚少数派が色覚多数派よりも識別しやすい色差である。
【0052】
これにより、色覚多数派のユーザU2には色差を識別させずに、色覚少数派のユーザU1に色差を識別させることができる。このため、情報表示物1は、色覚少数派のユーザU1のみに、意味のある情報を伝え、色覚補正メガネ22の購入などの行動を促すことができる。
【0053】
また、例えば、情報表示物3は、複数の表示領域10a~10dを有する。複数の表示領域10a~10dの各々の第2色は、互いに異なる色である。
【0054】
これにより、表示領域毎に色差を異ならせることができるので、色識別能力の程度の判定に利用することができる。つまり、情報表示物3を色覚検査用途に利用することができる。
【0055】
また、例えば、情報表示物3では、複数の表示領域10a~10dの各々の第1情報は、色覚少数派の色識別能力に応じて互いに異なる行動を促す情報である。
【0056】
これにより、色識別能力に応じて異なる行動を促すことができるので、色識別能力の程度に応じた商品の紹介又は販売などを支援することができる。
【0057】
また、例えば、情報表示物1は、表示領域10は、第1色と第2色とで塗り分けられたQRコードを表す。
【0058】
これにより、ユーザにQRコードを撮影させるという行動を促すことができる。
【0059】
また、例えば、情報表示物2又は3は、さらに、表示領域10又は10a~10dに近接して設けられたQRコード30又は30a~30dを有する。
【0060】
これにより、例えば、表示領域に近接する位置に、十分に大きな色差を有する2色で描かれたQRコードを設けることができる。当該QRコードは、十分に大きさ色差を有する2色で描かれているので、一般的なカメラを用いても容易に認識することができる。
【0061】
また、例えば、QRコード30又は30a~30dは、色覚少数派の色覚を補正する物品を紹介又は販売するWebサイト21へのアクセス情報を含む。
【0062】
これにより、QRコードを利用して、例えば色覚補正メガネ22などの物品の紹介又は販売を支援することができる。つまり、色覚補正メガネ22の普及を支援することができる。
【0063】
また、例えば、表示領域10又は10a~10dは、2色のみで塗り分けられている。
【0064】
これにより、2色のみで簡単に表示領域10を形成することができる。第1色を背景色とし、第2色が塗られた第2色領域12の形状を調整することで、表示領域10には、所望の情報を容易に含ませることができる。
【0065】
情報表示物1、2又は3は、例えば、
図9に示されるように、印刷物40である。ここで、
図9は、実施の形態又はその変形例に係る情報表示物である印刷物40の外観図である。
【0066】
印刷物40は、例えば、表示領域10に第1色及び第2色が印刷された紙である。印刷物40は、例えばチラシなどの広告物である。
図9に示されるように、一般的なメガネの販売を目的とする広告の一部に、表示領域10が形成され、QRコード30が設けられている。
【0067】
印刷物40は、安価で製造可能であり、かつ、配布及び掲示も容易である。このため、より多くの人の目に触れさせることができ、色覚少数派のユーザに自身の色覚を気づかせる機会をより多く与えることができる。なお、印刷物40の媒体は、紙に限定されず、木の板、樹脂シート又はガラス板などであってもよい。印刷物40は、ユーザが持てる範囲の大きさであるが、電車などの公共交通機関、又は、駅などの公共施設の広告として設置されるように大きいサイズであってもよい。
【0068】
あるいは、情報表示物1、2又は3は、
図10に示されるように、表示画面42であってもよい。ここで、
図10は、実施の形態又はその変形例に係る情報表示物である表示画面42を有する表示装置41の外観図である。表示装置41は、例えば液晶ディスプレイ又は有機EL(Electroluminescence)表示装置などである。
【0069】
表示画面42は、表示領域10及びQRコード30を含む画像を表示する。表示画面42は、複数の画像を切り替えて表示してもよい。例えば、表示画面42は、
図8に示される表示領域10a~10dをそれぞれ、1つずつ一定期間ずつ表示してもよい。
【0070】
これにより、表示画面42は、表示内容を簡単に変更することができるので、例えば、色覚少数派の色識別能力の程度に応じて多数の表示領域を画像として表示することができる。このため、色覚少数派の色識別能力をより精度良く判別させることができる。
【0071】
(その他)
以上、本発明に係る情報表示物について、上記の実施の形態及びその変形例に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0072】
例えば、表示領域10に含まれる色の数は、3色以上であってもよい。つまり、表示領域10には、第1色及び第2色のいずれとも異なる第3色の1色のみで塗られた第3領域が含まれていてもよい。
【0073】
また、例えば、情報表示物1、2又は3が含む二次元コードは、QRコードでなくてもよい。例えば、情報表示物1、2又は3が含む二次元コードは、PDF417又はData Matrixなどであってもよい。
【0074】
あるいは、情報表示物1、2又は3は、二次元コードを含んでいなくてもよい。例えば、情報表示物1、2又は3は、色覚少数派についての知識の提供を行う団体、又は、色覚補正メガネの紹介を行う業者などの窓口に繋がる電話番号又は住所を含んでいてもよい。つまり、第1情報によって色覚少数派のユーザU1に促される行動は、QRコードの撮影でなくてもよく、電話番号に電話をかける行動又は住所に訪れる行動であってもよい。
【0075】
また、例えば、手を上げる、起立する、首をかしげるなどの身体を動かす指示を第2色の文字で表示領域10に含めてもよい。これにより、色覚少数派のユーザU1は、表示領域10から読み取った文字の指示に沿って身体を動かすことができる。一方で、色覚多数派のユーザU2は、文字を認識することができないので、指示に沿った動作を行うことができない。これにより、色覚少数派のユーザU1は、他人と異なる行動を取ったことに気づくことができる。このように、第1情報によって色覚少数派のユーザに促される行動は、身体を動かす行動であってもよい。
【0076】
また、例えば、情報表示物1、2又は3は、Webサイト又は窓口への誘導を行う情報を含んでいなくてもよい。例えば、情報表示物1~3の表示領域が含む第1情報は、色覚少数派のユーザに、色覚多数派とは異なる色覚を有することを通知するだけであってもよい。
【0077】
また、例えば、Webサイト21で紹介又は販売される物品は、色覚補正メガネに限らず、色覚補正用のコンタクトレンズ、ルーペ又はゴーグルなどであってもよい。あるいは、Webサイト21では、物品の紹介の代わりに、色覚補正の検査を行う機関(例えば、病院又はメガネの販売店舗)を紹介してもよい。
【0078】
また、例えば、本発明の一態様は、少なくとも2色で塗り分けられた表示領域を有する画像を生成する画像生成方法、又は、当該画像生成方法をコンピュータに実行させるプログラムとして実現されてもよい。当該画像生成方法では、表示領域は、色覚少数派に知覚される第1情報と、色覚多数派に知覚される第2情報とを含み、第1情報は、第2情報とは異なり、かつ、色覚少数派に所定の行動を促す情報である。
【0079】
例えば、当該プログラムは、情報表示物1、2又は3の表示内容を含む画像をコンピュータに実行させる。あるいは、本発明の一態様は、当該プログラムが記録された非一時的な記録媒体であってもよい。記録媒体は、例えば、光学ディスク、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリなどである。
【0080】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1、2、3 情報表示物
10、10a、10b、10c、10d 表示領域
11 第1色領域
12、12a、12b、12c、12d 第2色領域
21 Webサイト
30、30a、30b、30c、30d QRコード(二次元コード)
40 印刷物
42 表示画面
U1 色覚少数派のユーザ
U2 色覚多数派のユーザ