(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】情報端末、インターホンシステム、サーバシステム、ゲートウェイ装置、処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 9/00 20060101AFI20240614BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240614BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
H04M9/00 D
G08B17/00 Z
G08B25/04 Z
(21)【出願番号】P 2020026655
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛史
(72)【発明者】
【氏名】冠野 欣也
(72)【発明者】
【氏名】桑野 剛
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-204866(JP,A)
【文献】特開2002-044079(JP,A)
【文献】国際公開第2005/099168(WO,A1)
【文献】特開2014-116766(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106452764(CN,A)
【文献】特開2016-143893(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106339236(CN,A)
【文献】特開平10-207362(JP,A)
【文献】特開平06-162372(JP,A)
【文献】特開2016-181765(JP,A)
【文献】国際公開第2012/043008(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 9/00- 9/10
G08B17/00
23/00-31/00
G06F 8/00- 8/38
8/60- 8/77
9/44- 9/445
9/451
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施設が集合した集合施設に導入されて、インターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末であって、
サーバシステムと通信し、前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する
第1ソフトウェアを更新するための
第1更新プログラムを含む更新情報を、前記サーバシステムから受信する通信部と、
前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが前記更新情報に含まれている場合、前記更新情報に基づいて、前記特定機能の動作に変更が生じないように
前記第2更新プログラムの実行をスキップして、前記
第1更新プログラムを実行して前記
第1ソフトウェアを更新する更新部と、
を備える、
情報端末。
【請求項2】
前記特定機能は、前記集合施設における防災に関する防災機能である、
請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記通信部は、所定の単位で分割された形態の前記
第1更新プログラムを受信する、
請求項1又は2に記載の情報端末。
【請求項4】
前記所定の単位は、前記複数の機能に対応する機能単位である、
請求項3に記載の情報端末。
【請求項5】
前記複数の機能を処理する複数の処理部を更に備え、
前記所定の単位は、前記複数の処理部に対応する処理部単位である、
請求項3に記載の情報端末。
【請求項6】
前記他機能は、前記インターホン機能に加えて、前記通信部の通信に関する通信機能を含み、
前記
第1更新プログラムは、前記通信機能における暗号化方式とセキュリティ証明書との少なくとも一方に関するプログラムを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報端末。
【請求項7】
書き換え装置と電気的に接続される接続部を更に備え、
前記特定機能に関連する
前記第2ソフトウェアは、前記接続部に接続された前記書き換え装置を介して更新される、
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報端末。
【請求項8】
前記更新部は、前記第2更新プログラムに、更新禁止を示す禁止フラグが付与されている場合、前記第2更新プログラムの実行をスキップする、
請求項1~7のいずれか1項に記載の情報端末。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の情報端末と、
前記情報端末と通信するインターホン装置と、
を備える、
インターホンシステム。
【請求項10】
複数の施設が集合した集合施設に導入されてインターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末と通信する、サーバ側通信部と、
前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報を生成する生成部と、
を備え、
前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが、前記生成部で生成されて前記更新情報に含まれている場合、前記更新情報を前記サーバ側通信部より前記情報端末に送信して、前記更新情報に基づいて、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムの実行をスキップさせて、前記第1更新プログラムを実行させる、
サーバシステム。
【請求項11】
複数の施設が集合した集合施設に導入されるゲートウェイ装置であって、
前記集合施設に導入されてインターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末と通信する、第1通信部と、
サーバシステムと通信し、前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報を、前記サーバシステムから受信する、第2通信部と、
を備え、
前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが、前記第2通信部で受信した前記更新情報に含まれている場合、前記更新情報を前記第1通信部より前記情報端末へ送信して、前記更新情報に基づいて、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムの実行をスキップさせて、前記第1更新プログラムを実行させる、
ゲートウェイ装置。
【請求項12】
複数の施設が集合した集合施設に導入されるゲートウェイ装置であって、
前記集合施設に導入されてインターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末と通信する、第1通信部と、
サーバシステムと通信し、前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報を、前記サーバシステムから受信する、第2通信部と、
を備え、
前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが、前記第2通信部で受信した前記更新情報に含まれている場合、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムを含めずに前記更新情報を前記第1通信部より前記情報端末へ送信して、前記更新情報に基づいて、前記第1更新プログラムを実行させる、
ゲートウェイ装置。
【請求項13】
複数の施設が集合した集合施設に導入されてインターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末における、ソフトウェアの更新に関する処理方法であって、
前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報の作成又は取得を行う第1ステップと、
前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが前記更新情報に含まれている場合、前記更新情報に基づいて、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムの実行をスキップして、前記第1更新プログラムを実行させる第2ステップと、
を含む、
処理方法。
【請求項14】
1以上のプロセッサに請求項13に記載の処理方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、情報端末、インターホンシステム、サーバシステム、ゲートウェイ装置、処理方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、例えばインターホン通話に関するインターホン機能を有した情報端末、当該情報端末を備えるインターホンシステムに関する。また詳細には、本開示は、当該情報端末と通信するサーバシステム、当該情報端末とサーバシステムとの通信を行うためのゲートウェイ装置、当該情報端末におけるソフトウェアの更新に関する処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、マルチメディア機能を付加して例えば共同住宅の各住戸に設けられる住宅情報盤が記載されている。この住宅情報盤は、各住戸内の火災又はガス漏れ等の防災情報に関する警報を行う警報装置部と、警報装置部に着脱可能に設けられて各種情報の送受信を行う情報端末部とを備えている。この特許文献1によれば、防災システムの根幹、すなわち防災システムの一部をなす警報装置部はそのままとして、検定取得や消防署の承認等の手間なく情報通信システムの部分(情報端末部)のみを、システム更新することができる点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の住宅情報盤では、警報装置部にも、防災機能(特定機能)以外の機能(インターホン機能)が存在している。そのようなインターホン機能について、機能更新を行いにくい可能性がある。特に、機能更新により、防災機能の動作の妨げとなる可能性もある。また、警報装置部に対して、情報端末部の一部又は全部の機能を併せ持たせたい要望もあり、その場合にも、機能更新を行いにくい可能性がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、機能更新に関する改善を図ることができる、情報端末、インターホンシステム、サーバシステム、ゲートウェイ装置、処理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の情報端末は、複数の施設が集合した集合施設に導入される。前記情報端末は、インターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有する。前記情報端末は、通信部と、更新部と、を備える。前記通信部は、サーバシステムと通信し、前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報を、前記サーバシステムから受信する。前記更新部は、前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが前記更新情報に含まれている場合、前記更新情報に基づいて、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムの実行をスキップして、前記第1更新プログラムを実行して前記第1ソフトウェアを更新する。
【0007】
本開示の一態様のインターホンシステムは、上記の情報端末と、前記情報端末と通信するインターホン装置と、を備える。
【0008】
本開示の一態様のサーバシステムは、サーバ側通信部と、生成部と、を備える。前記サーバ側通信部は、複数の施設が集合した集合施設に導入されてインターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末と通信する。前記生成部は、前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報を生成する。前記サーバシステムは、前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが、前記生成部で生成されて前記更新情報に含まれている場合、前記更新情報を前記サーバ側通信部より前記情報端末に送信して、前記更新情報に基づいて、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムの実行をスキップさせて、前記更新プログラムを実行させる。
【0009】
本開示の一態様のゲートウェイ装置は、複数の施設が集合した集合施設に導入される。前記ゲートウェイ装置は、第1通信部と、第2通信部と、を備える。前記第1通信部は、前記集合施設に導入されてインターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末と通信する。前記第2通信部は、サーバシステムと通信し、前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報を、前記サーバシステムから受信する。前記ゲートウェイ装置は、前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが、前記第2通信部で受信した前記更新情報に含まれている場合、前記更新情報を前記第1通信部より前記情報端末へ送信して、前記更新情報に基づいて、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムの実行をスキップさせて、前記第1更新プログラムを実行させる。
本開示の別の一態様のゲートウェイ装置は、複数の施設が集合した集合施設に導入される。前記ゲートウェイ装置は、第1通信部と、第2通信部と、を備える。前記第1通信部は、前記集合施設に導入されてインターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末と通信する。前記第2通信部は、サーバシステムと通信し、前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報を、前記サーバシステムから受信する。前記ゲートウェイ装置は、前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが、前記第2通信部で受信した前記更新情報に含まれている場合、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムを含めずに前記更新情報を前記第1通信部より前記情報端末へ送信して、前記更新情報に基づいて、前記第1更新プログラムを実行させる。
【0010】
本開示の一態様の処理方法は、複数の施設が集合した集合施設に導入される情報端末における、ソフトウェアの更新に関する処理方法である。前記情報端末は、インターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、前記特定機能を除く少なくとも前記インターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有する。前記処理方法は、第1ステップと、第2ステップと、を含む。前記第1ステップにて、前記複数の機能のうち少なくとも前記他機能に関連する第1ソフトウェアを更新するための第1更新プログラムを含む更新情報の作成又は取得を行う。前記第2ステップにて、前記第1更新プログラム以外に、前記特定機能に関連する第2ソフトウェアを更新するための第2更新プログラムが前記更新情報に含まれている場合、前記更新情報に基づいて、前記特定機能の動作に変更が生じないように前記第2更新プログラムの実行をスキップして、前記第1更新プログラムを実行させる。
【0011】
本開示の一態様のプログラムは、1以上のプロセッサに上記処理方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、機能更新に関する改善を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る情報端末及びゲートウェイ装置を備えるインターホンシステム、並びにサーバシステムの全体構成を示す概念図である。
【
図2】
図2Aは、同上の情報端末のブロック構成図である。
図2Bは、同上のゲートウェイ装置のブロック構成図である。
図2Cは、同上のサーバシステムのブロック構成図である。
【
図3】
図3は、同上のインターホンシステムにおける動作例1を説明するためのシーケンス図である。
【
図4】
図4は、同上のインターホンシステムにおける動作例2を説明するためのシーケンス図である。
【
図5】
図5は、同上のインターホンシステムにおける動作例3を説明するためのシーケンス図である。
【
図6】
図6は、同上のインターホンシステムにおける動作例4を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
本実施形態に係る情報端末10は、
図1に示すように、複数の施設5が集合した集合施設2に導入される。本開示の「集合施設」は、マンション等の集合住宅を想定する。しかし、本開示の「集合施設」は、住宅に限定されず、非住宅の集合施設でもよい。以下では一例として、情報端末10は、各施設5に相当する専有部23(例えば各住戸)に設置される住宅情報盤A1(
図1参照)を想定する。情報端末10(住宅情報盤A1)は、複数の機能を有している。複数の機能は、特定機能と1以上の他機能とを含む。特定機能は、インターホン通話に関するインターホン機能とは異なる機能である。他機能は、特定機能を除く少なくともインターホン機能を含む機能である。ここでいう特定機能とは、一例として、集合施設2における防災に関する防災機能である。以下では、「防災」の対象が火災であり、「防災機能」が火災警報機能であることを想定する。しかし、「防災」の対象は、火災に限定されず、ガス漏れ、CO(不完全燃焼)、又は水漏れ等であってもよい。
【0016】
ここで情報端末10は、
図2Aに示すように、通信部(第1通信部101、第2通信部102)と更新部C11とを備えている。通信部は、サーバシステム4(
図1参照)と通信し、複数の機能のうち少なくとも他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を、サーバシステム4から受信する。言い換えると、更新情報は、他機能に関連するソフトウェア用の更新プログラムのみを含む場合もあれば、他機能に加えて特定機能に関連するソフトウェア用の更新プログラムも含む場合もある。
【0017】
そして、更新部C11は、更新情報に基づいて、特定機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行してソフトウェアを更新するように構成される。ここでいう「特定機能の動作の変更」とは、特定機能の動作に関する仕様変更、及び、特定機能が実行中においてその動作が中断したり停止したりすることも含む。
【0018】
この構成によれば、情報端末10が更新部C11を備えることで、特定機能が実行中においてその動作の妨げとなりにくくなり、また特定機能の動作に関する仕様が変更されてしまうことも低減できる。結果的に、機能更新に関する改善を図ることができる。
【0019】
また本実施形態に係るインターホンシステム1は、
図1に示すように、情報端末10と、情報端末10と通信するインターホン装置6と、を備えている。ここでは各専有部23の居室子機12、及びロビー(集合玄関)に設置されるロビーインターホン13が、インターホン装置6に相当する。この構成においても、機能更新に関する改善を図ることが可能なインターホンシステム1を提供できる。
【0020】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る情報端末10、及び情報端末10を備えるインターホンシステム1の全体構成について、
図1~
図6を参照しながら詳しく説明する。
【0021】
(2.1)施設
インターホンシステム1が適用される集合施設2は、複数の施設5の集合体であって、1つの建物内に複数の施設5が含まれているような建造物を意味する。本開示の「施設」は、居住用途で用いられる住宅施設、並びに店舗(テナント)、オフィス、福祉施設、教育施設、病院及び工場等の非住宅施設を含む。非住宅施設には、飲食店、遊技場、ホテル、旅館、幼稚園、保育所及び公民館等も含む。つまり、集合施設2は、マンション等の集合住宅であってもよいし、オフィスビル等の非住宅の施設であってもよい。さらに、集合施設2は、例えば、低層階が店舗で高層階が住戸というように、住宅施設と非住宅施設とが混在する態様の施設も含んでもよい。
【0022】
本実施形態では一例として、集合施設2が、複数の住戸を含む集合住宅(マンション等)である場合を想定する。集合住宅においては、ロビー(集合玄関)、駐車場、キッズルーム、又は、ごみ収集場等が共用部22(
図1参照)となり、複数の住戸のそれぞれが専有部23(
図1参照)となる。また1つの集合施設2は、複数の棟を含んでもよい。
【0023】
本実施形態では一例として、集合施設2は、1つの管理室21と、1つの共用部22と、複数の専有部23と、MDF(Main Distribution Frame)室24とを含むものとする。なお、管理室21は、集合施設2(又は1以上の棟)を管理するための設備(例えば、管理室親機14等)が設置されており、管理人が、入居者の不在時における来訪者の受付け等の管理業務を行うための場所である。管理室21は、管理事務所及び管理人室等を含む。
【0024】
(2.2)インターホンシステム
まずインターホンシステム1の構成について
図1を参照して説明する。
図1では、集合施設2に含まれる複数の棟のうち、1つの棟に構築されたインターホンシステム1のみを図示している。またそれぞれ住戸からなる複数の専有部23については同様の装置(居室親機としての機能をする住宅情報盤A1、及び居室子機12等)が導入される。ただし、
図1では、1つの専有部23(住戸)についてのみ導入される装置を示し、それ以外の専有部23については導入される装置の図示を省略する。また以下では、各専有部23が、施設5に相当するものとするが、管理室21、共用部22、及びMDF室24も施設5に相当してもよい。
【0025】
インターホンシステム1は、
図1に示すように、居室親機としての機能をする住宅情報盤A1(情報端末10)を備えている。言い換えると、住宅情報盤A1は、インターホン通話に関するインターホン機能を有している。住宅情報盤A1は、各専有部23(住戸)に導入(設置)される。また住宅情報盤A1は、インターホン機能以外にも、火災を検知した場合に火災警報を実行するための防災機能(特定機能)を有している。その他にも、住宅情報盤A1は、不審者の侵入を検知した場合に警報を実行するための防犯機能、各種の生活情報を提示する機能、外部(例えばサーバシステム4)と通信するための通信機能等を有している。要するに、住宅情報盤A1は、複数の機能を有している。以下では、複数の機能のうち、防災機能(特定機能)以外の機能(つまりインターホン機能も含む)をまとめて「他機能」と呼ぶことがある。なお、住宅情報盤A1(情報端末10)の構成の詳細については後述する。
【0026】
またインターホンシステム1は、
図1に示すように、住宅情報盤A1(情報端末10)と通信するインターホン装置6を更に備えている。ただし、上述の通り、居室子機12及びロビーインターホン13が、インターホン装置6に相当する。つまり、インターホンシステム1は、複数の居室子機12と、ロビーインターホン13とを更に備えている。居室子機12は、例えば玄関子機であり、住宅情報盤A1と電気的に接続される。つまり、複数の専有部23を有する集合施設2において、インターホンシステム1は、住宅情報盤A1(居室親機)及び居室子機12を複数台ずつ備えることになる。
【0027】
ロビーインターホン13は、例えば、共用部22の1つである集合玄関(ロビー)に設置されている。ロビーインターホン13は、後述する制御装置8及び扉221と電気的に接続される。
【0028】
またインターホンシステム1は、
図1に示すように、各専有部23の住宅情報盤A1(情報端末10)とインターホン回線(幹線L1)を介して接続されて、住宅情報盤A1の通信(通話を含む)を制御する制御装置8を更に備えている。制御装置8は、例えば、共用部22の1つである集合玄関(ロビー)に設置されている。
【0029】
またインターホンシステム1は、管理室21の室内空間に設置されている管理室親機14を更に備え、制御装置8は、
図1に示すように、幹線L1を介して、管理室親機14とも接続され、管理室親機14の通信(通話を含む)を制御する。インターホンシステム1は、管理室21に設置されるものとして、管理室親機14と互いに通信(通話を含む)可能な管理室子機、及び通信アダプタ等を更に備える。管理室子機は、管理室21の玄関の外に設置される玄関子機であり、管理室親機14と電気的に接続される。
【0030】
またインターホンシステム1は、
図1に示すように、ゲートウェイ装置7を更に備えている。すなわち、ゲートウェイ装置7は、集合施設2に導入される。ここでは、ゲートウェイ装置7は、集合施設2内のMDF室24に、ルータB1及びHUB装置15と共に、設置されている。
【0031】
ここで制御装置8について簡単に説明する。制御装置8は、基本動作として、ロビーインターホン13から送信される通信信号(呼出信号、音声信号、及び映像信号等)を中継して、住宅情報盤A1に送信させる。ロビーインターホン13から送信される通信信号には、送信先となる住宅情報盤A1を特定するための情報(例えばアドレス等)が含まれている。また制御装置8は、基本動作として、複数の住宅情報盤A1の各々から送信される通信信号(音声信号及び映像信号等)を中継して、ロビーインターホン13に送信させる。同様に制御装置8は、複数の住宅情報盤A1の各々と管理室親機14との間の通信信号の中継、及び、管理室親機14とロビーインターホン13との間の通信信号の中継も行う。
【0032】
さらに本実施形態の制御装置8は、ゲートウェイ装置7から住宅情報盤A1(情報端末10)に対して配信される更新プログラムを受信し、配信対象の情報端末10に対して送信するように構成される。つまり、制御装置8は、更新プログラムを幹線L1に送出して、更新プログラムの配信の中継を行う。なお、ゲートウェイ装置7から配信される更新プログラムの詳細は、後述する。
【0033】
また本実施形態では、火災感知器17(
図1参照)又はガス感知器等が、各専有部23に設置されている。これらの感知器は、住宅情報盤A1と通信可能に構成されて、火災等の異常の発生を検知すると、住宅情報盤A1に報知信号を送信することによって異常の発生を報知する。
【0034】
住宅情報盤A1(居室親機)は、各専有部23(住戸)の室内空間に設置されている。居室子機12は、住宅情報盤A1と電気的に接続されており、例えば、各専有部23の玄関の外に設置される玄関子機である。つまり、住宅情報盤A1(居室親機)と居室子機12とは、互いに通信(通話を含む)可能に構成されている。居室子機12は、撮像部(カメラ)を有しており、居室子機12の撮像部で撮影された来訪者の画像を住宅情報盤A1にて表示することができる。
【0035】
ロビー(共用部22)の扉221(又は扉221に設けられた電気錠)は、ロビーインターホン13と電気的に接続されている。インターホンシステム1では、ロビーインターホン13にて、扉221の開閉又は施解錠を制御することが可能である。ロビーインターホン13は、例えば、集合施設2のロビー等の共用部22において、扉221の外側(集合施設2の外部と通じる側)に設置されている。
【0036】
そして、複数台の住宅情報盤A1(居室親機)、管理室親機14、及びロビーインターホン13は、いずれも制御装置8に対して電気的に接続されている。そのため、各住宅情報盤A1と管理室親機14とロビーインターホン13とは、制御装置8を介して互いに通信(通話を含む)可能である。すなわち、各住宅情報盤A1とロビーインターホン13とは互いに通信可能である。また各住宅情報盤A1と管理室親機14とは互いに通信可能である。さらに、ロビーインターホン13と管理室親機14とは互いに通信可能である。
【0037】
ロビーインターホン13は、各住宅情報盤A1又は管理室親機14を呼び出すための呼出信号を、各住宅情報盤A1又は管理室親機14に送信する。さらに、ロビーインターホン13は、撮像部(カメラ)を有しており、ロビーインターホン13の撮像部で撮影された来訪者の画像は、各住宅情報盤A1又は管理室親機14に送信される。これにより、ロビーインターホン13の撮像部で撮影された来訪者の画像は、各住宅情報盤A1又は管理室親機14にて表示可能となる。
【0038】
ここでインターホンシステム1は、集合施設2内でローカルネットワークを構成するのみならず、MDF室24内のゲートウェイ装置7、HUB装置15、及びルータB1等を介して、インターネット等の集合施設2の外部のネットワークNT1にも接続される。具体的には、制御装置8は、ゲートウェイ装置7に接続されている。ゲートウェイ装置7は、HUB装置15、及びルータB1等を介して、ネットワークNT1に接続されている。
【0039】
このようにインターホンシステム1では、ゲートウェイ装置7が集合施設2の外部のネットワークNT1に接続可能である。そのため、インターホンシステム1は、例えば、ネットワークNT1を介して外部のサーバシステム4等と通信を行い、サーバシステム4から情報を取得したりサーバシステム4へ情報を出力したりすることが可能である。以下では、制御装置8、ゲートウェイ装置7、HUB装置15、ルータB1、及びサーバシステム4における通信経路を、「第1通信経路RT1」(
図1参照)と呼ぶことがある。
【0040】
サーバシステム4は、例えば、1又は複数の集合施設2を管理する管理会社又は警備会社等によって運用され得る。
図1の例では、サーバシステム4は、1台のサーバ装置から構成されているが、2台以上のサーバ装置から構成されてよい。
【0041】
またインターホンシステム1では、各専有部23の住宅情報盤A1は、直接(つまり制御装置8及びゲートウェイ装置7を介さずに)ネットワークNT1に接続可能である。具体的には、各住宅情報盤A1は、その専有部23に設置されるHUB装置16、及びルータB2等を介して、ネットワークNT1に接続されている。したがって、各住宅情報盤A1は、制御装置8及びゲートウェイ装置7を介さずに、サーバシステム4から情報を取得したりサーバシステム4へ情報を出力したりすることも可能である。以下では、各住宅情報盤A1、HUB装置16、ルータB2、及びサーバシステム4における通信経路を、「第2通信経路RT2」(
図1参照)と呼ぶことがある。
【0042】
なお、管理室親機14も、管理室21に設置されるHUB装置及びルータ等を介して、(制御装置8及びゲートウェイ装置7を介さずに)ネットワークNT1に接続可能であってもよい。管理室親機14も、制御装置8及びゲートウェイ装置7を介さずに、サーバシステム4から情報を取得したりサーバシステム4へ情報を出力したりすることも可能であってよい。
【0043】
(2.3)住宅情報盤(情報端末)
次に住宅情報盤A1(情報端末10)の構成について
図1及び
図2Aを参照しながら詳細に説明する。各住宅情報盤A1(情報端末10)は、上述の通り、複数の施設5(ここでは専有部23)が集合した集合施設2における各施設5に導入される。
【0044】
住宅情報盤A1は、
図2Aに示すように、第1通信部101(通信部)と、第2通信部102(通信部)と、第3通信部103と、制御部C1とを備えている。また住宅情報盤A1は、操作部104と、表示部105と、記憶部106と、スピーカ107と、マイクロホン108と、接続部11とを更に備えている。
【0045】
第1通信部101は、HUB装置16を介してルータB2と通信するための通信インタフェースである。第1通信部101は、例えばLANケーブルによりHUB装置16と電気的に接続されている。HUB装置16との通信方式は、有線に限定されず、無線でもよい。第1通信部101は、HUB装置16及びルータB2を介して、所定の空間領域(例えば専有部23)内に存在する端末T1との間で双方向に通信可能に構成されている。端末T1は、例えば、専有部23のユーザ(ここでは居住者)が所有するスマートフォン又はタブレット端末等の携帯端末を想定するが、据置型の端末でもよい。
【0046】
またルータB2は、上述の通り、インターネット等のネットワークNT1に接続されている(
図1の第2通信経路RT2参照)。第1通信部101は、HUB装置16及びルータB2を介して、ネットワークNT1に接続されているサーバシステム4との間で双方向に通信可能に構成されている。
【0047】
第2通信部102は、制御装置8と通信するための通信インタフェースである。第2通信部102は、幹線L1及び分岐線L2を介して、制御装置8と電気的に接続されている。第2通信部102は、制御装置8を介して、ロビーインターホン13との間で双方向に通信可能に構成されている。
【0048】
第3通信部103は、居室子機12と通信するための通信インタフェースである。第3通信部103は、接続線L3を介して、居室子機12と電気的に接続されている。第3通信部103は、居室子機12との間で双方向に通信可能に構成されている。
【0049】
ところで、本実施形態の通信部(第1通信部101、第2通信部102)は、サーバシステム4と通信する。そして、通信部は、自機(住宅情報盤A1)が有する複数の機能のうち、少なくとも「他機能」に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を、サーバシステム4から受信する。なお、上述の通り、更新情報は、他機能に加えて、防災機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムも含み得る。また本実施形態では、更新情報を受信する経路は、第1通信経路RT1及び第2通信経路RT2の2経路存在する。
【0050】
インターホンシステム1が第1通信経路RT1を通じて更新情報を受信する場合、住宅情報盤A1は、住宅情報盤A1の通信を制御する制御装置8を介して、サーバシステム4と通信する、といえる。この場合、第2通信部102が、自機内のソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を、制御装置8を介して、サーバシステム4から受信する。つまり、第2通信部102は、集合施設2の共有に係る幹線L1(インターホン回線)経由で、更新情報を受信する。
【0051】
一方、インターホンシステム1が第2通信経路RT2を通じて更新情報を受信する場合、住宅情報盤A1は、制御装置8を介さずに直接サーバシステム4と通信する、といえる。この場合、第1通信部101が、自機内のソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を、制御装置8を介さずに直接サーバシステム4から受信する。
【0052】
表示部105は、例えばタッチパネルディスプレイから構成されている。したがって、表示部105は、種々の情報を表示(出力)する機能に加えて、操作入力を受け付ける操作部としての機能も有している。
【0053】
表示部105は、第2通信部102がロビーインターホン13から受信した映像、及び、第3通信部103が居室子機12から受信した映像を、表示するように構成されている。また表示部105は、火災警報に関する警報情報、及び、各種の生活情報(コンテンツ情報)を表示するように構成されている。またユーザは、表示部105へのタッチ操作を通じて種々の設定及び操作(通話音や呼出音の音量設定、撮像部で撮像された過去の映像の再生、映像の録画に関する操作等)を行うことができる。
【0054】
操作部104は、タッチパネルディスプレイである表示部105の周辺において、種々の入力ボタン(通話の開始ボタン及び通話の終了ボタン等)を有している。
【0055】
スピーカ107及びマイクロホン108は、通話部を構成する。第2通信部102又は第3通信部103にて受信したデジタルの音声信号が、アナログの音声信号に変換(復調)され、当該音声信号がスピーカ107から出力される。また、マイクロホン108にて集音された音声は、マイクロホン108から第2通信部102又は第3通信部103に入力され、ロビーインターホン13、居室子機12又は管理室親機14へ送信される。
【0056】
住宅情報盤A1は、来訪者がロビーインターホン13の操作部を操作、又は居室子機12の呼出ボタンを押操作することで呼出信号を受け取ると、スピーカ107からユーザ(居住者)を呼び出すための呼出音を鳴動させる。
【0057】
記憶部106は、データを書き換え可能なメモリであって、不揮発性メモリであることが好ましい。記憶部106は、例えば、ロビーインターホン13及び居室子機12の撮像部で撮像した映像を記憶する。また、記憶部106は、制御装置8から受け取った各種の通知情報、並びにサーバシステム4から受け取ったコンテンツ情報等を記憶する。また記憶部106は、対応する専有部23の居住者である1又は複数のユーザが携帯する端末T1を識別するための識別情報(アドレス等)を記憶する。記憶部106は、この他にも各種の設定情報を記憶する。
【0058】
さらに記憶部106は、第1通信経路RT1又は第2通信経路RT2を通じて、受信する「更新プログラム」を一時的に記憶する。
【0059】
制御部C1は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。制御部C1では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部C1の各部の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0060】
制御部C1は、第1通信部101、第2通信部102、第3通信部103、操作部104、表示部105、記憶部106、スピーカ107、及びマイクロホン108等を制御する。また制御部C1は、更新部C11と処理部C12とを有している。つまり制御部C1は、更新部C11としての機能、及び処理部C12としての機能を有している。
【0061】
更新部C11は、更新プログラムを実行して、ソフトウェアを更新する。特にここでは更新部C11は、更新情報に基づいて、防災機能(特定機能)の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行してソフトウェアを更新するように構成される。防災機能の詳細については後述する。ここでは、通信部(第1通信部101、第2通信部102)は、所定の単位で分割された形態の更新プログラムを受信する。ここでは一例として、所定の単位は、複数の機能に対応する機能単位である。
【0062】
処理部C12は、複数の機能を処理するように構成される。複数の機能は、上述の通り、防災機能(ここでは火災警報機能)、及び他機能を含む。他機能は、インターホン機能、各種のコンテンツ情報を提示するアプリケーション機能、外部サーバ(例えばサーバシステム4)と通信するための通信機能、及び防犯機能等を含み得る。言い換えると、他機能は、インターホン機能に加えて、通信部(第1通信部101、第2通信部102)の通信に関する通信機能を含む。処理部C12は、自機(住宅情報盤A1)にインストールされているソフトウェア、つまり、例えば制御部C1のメモリに記録されていて1のソフトウェアを構成する1又は複数のプログラムを実行することで、当該ソフトウェアが提供する機能を実行する。
【0063】
[防災機能]
ここで防災機能(火災警報機能)について説明する。集合施設2には、火災警報システムが導入されている。火災警報システムは、例えば、1又は複数の火災感知器17(
図1参照)、発信機(警報装置)、及び受信機18(
図1参照:P型受信機)等を含む。
【0064】
火災警報システムは、専有部23又は共用部22に設置されている火災感知器17にて火災を検知すると、或いは発信機の押しボタンが押されると、移報信号(検知信号)を送信する。火災警報システムの受信機18は、例えば、信号線L4を介して管理室親機14に接続されている。受信機18は、信号線L4等を介して送信されてくる検知信号を受信し、警報音を自機のスピーカより出力する。また受信機18は、集合施設2内の複数の発信機を通じて警報音を連動発報する。
【0065】
また各専有部23の火災感知器17は、火災を検知すると、当該火災感知器17が接続されている住宅情報盤A1に検知信号を送信する。検知信号を受信した住宅情報盤A1(処理部C12)は、防災機能に対応するソフトウェアを実行処理し、火災警報の動作を行う。ここでいう「火災警報の動作」とは、専有部23の外部(例えば管理室親機14)への火災の発生を報知する動作、自機のスピーカ107から警報音を発報する動作、及び自機の表示部105に火災の発生の旨を表示する動作等を含む。さらに「火災警報の動作」は、自機と接続されている居室子機12のスピーカから警報音を発報させる動作も含む。
【0066】
また別の専有部23又は共用部22で火災の発生が検知されると、住宅情報盤A1は、例えば受信機18からその旨を受信し、自機のスピーカ107から警報音を発報し、自機の表示部105に火災の発生の旨を表示し、居室子機12から警報音を発報させる。これらの動作も「火災警報の動作」に含まれる。
【0067】
なお、制御装置8は、検知信号を受信した住宅情報盤A1から検知信号に関する信号を受信すると、サーバ(例えば警備会社のサーバで、サーバシステム4でもよい)に対して火災の発生を通報する。
【0068】
また各居室子機12においても試験用の釦を押したり、居室子機12に組み込んである中継器に外部試験機を接続して試験信号を送信したりすることで、火災の発生を検知した場合と同等の動作の試験を、その居室子機12に接続されている住宅情報盤A1に実行させることができる。これらの動作試験も「火災警報の動作」に含まれる。
【0069】
[インターホン機能]
次に他機能の1つであるインターホン機能について簡単に説明する。インターホン機能は、インターホン通話に関する機能である。
【0070】
処理部C12は、インターホン機能に対応するソフトウェアを実行処理し、居室親機としての基本動作を行う。具体的には、処理部C12は、音声処理、映像処理、及び呼出処理等を実行する。つまり、ここでいう「インターホン通話に関する機能」とは、単に通話(音声信号の送受信)自体の機能だけでなく、映像や呼出に関する機能も含む。
【0071】
音声処理は、上述の通り、デジタルの音声信号をアナログの音声信号に変換(復調)し、スピーカ107から出力させる処理、マイクロホン108にて収音された音声信号を取り込む処理等を含む。また音声処理は、音声信号に対するノイズ除去、及びエコー除去等の処理も含む。
【0072】
映像処理は、ロビーインターホン13又は居室子機12の撮像部で撮影された来訪者の映像情報(動画又は静止画等)を表示部105に表示させたり記憶部106に録画したりする処理である。映像処理は、映像情報に対する歪み補正、拡大又は縮小、トリミング等の処理も含む。
【0073】
呼出処理は、ロビーインターホン13、居室子機12又は管理室親機14にて呼出操作が実行された場合に、スピーカ107から呼出音を鳴動させる処理等を含む。呼出処理は、呼出に応じてユーザが操作部104又は表示部105に対して操作入力を行った際に、その操作入力に対応する処理等(例えば通話を開始する処理)も含む。
【0074】
また住宅情報盤A1は、ロビーインターホン13、居室子機12又は管理室親機14にて呼出操作が実行された場合に、その呼出を専有部23のユーザの端末T1に転送可能となっている。端末T1には、住宅情報盤A1との通信を実現するための専用のアプリケーションソフトが予めインストールされている。要するに、専有部23のユーザは、端末T1を用いて呼出に応じて、端末T1の表示部に表示される来訪者(又は管理人等)の映像を見ながら来訪者と通話が行える。このような転送機能も、インターホン機能の1つである。
【0075】
[その他の機能]
次にインターホン機能以外の他機能(アプリケーション機能、通信機能、フォント機能、及び防犯機能)について簡単に説明する。なお、ここで挙げる他機能は単なる一例であって、これらに限定されない。
【0076】
アプリケーション機能は、天気予報、及び気象警報等の生活情報を外部のサーバ(サーバシステム4でもよい)から受信して、表示部105からプッシュ通知等により通知したり、ユーザの端末T1に転送したりする機能を含む。アプリケーション機能は、住宅情報盤A1が上述した「火災警報の動作」を実行すると、その旨を、ユーザの端末T1に通知する機能を含む。またアプリケーション機能は、共用部22等に設置されている宅配ボックスに荷物が着荷すると、その旨を表示部105から通知したりユーザの端末T1に転送したりする機能を含む。またアプリケーション機能は、管理人又は管理会社からの連絡事項(例えば火災感知器の点検日の日程に関する連絡等)を、管理室親機14又はサーバシステム4から受信して、表示部105から通知したりユーザの端末T1に転送したりする機能を含む。
【0077】
通信機能は、第1通信部101において、インターネット等のネットワークNT1上でデータの送受信を行う際に、途中の経路で第三者に悪用されないよう、所定の規則に従いデータの暗号化(変換)と復号を行う機能を含む。また通信機能は、第1通信部101において、ネットワークNT1を介して、サーバシステム4と通信する際に、セキュリティ証明書(サーバ証明書)を提示させて確認する機能を含む。住宅情報盤A1は、セキュリティ証明書を通じて、これから接続するサーバ(ここでは例えばサーバシステム4)が信頼できるサーバかどうかの確認を行う。そして、ここでは、上述した更新情報における更新プログラムは、通信機能における暗号化方式とセキュリティ証明書との少なくとも一方に関するプログラムを含み得る。
【0078】
フォント機能は、例えば、アプリケーション機能等の実行時に、表示部105(転送先となる端末T1の表示部も含む)への文字列データ及び記号データ等の表示形態を指定するための機能である。具体的には、フォント機能は、フォントの種類(日本語、英語、中国語、及び韓国語等の種類)、フォントサイズ、及び配置(左端揃え、中央揃え等)を指定する機能である。
【0079】
防犯機能は、集合施設2に導入される防犯システムと連携する機能を含む。防犯システムは、住宅情報盤A1と電気的に接続される1又は複数の防犯センサを含み、住宅情報盤A1は、防犯センサから不審者を検知した信号を受信すると、警報音を鳴動させたり管理室親機14に通知したりする。住宅情報盤A1とは別に専有部23内の各種の電気機器を監視、管理するHEMS(Home Energy Management System)のコントローラが設けられている場合、住宅情報盤A1は、当該コントローラと電気的に接続されて、当該コントローラを介して、防犯センサから不審者を検知した信号を受信してもよい。
【0080】
特に防犯機能は、操作部104への操作入力に応じて、外出モード及び在宅モード等を選択する機能を含む。例えば、居住者が外出する際に、操作部104を操作して外出モードに設定することで、住宅情報盤A1は、防犯警戒を実施する。住宅情報盤A1は、外出中に専有部23の玄関ドア又は窓が開けられたり破壊されたりした場合、警報音を鳴動させて管理室親機14に通知し、同時にユーザの端末T1に通知する。住宅情報盤A1は、窓又はドアが開けられた場合、その発生場所及び発生時刻等を履歴情報として記憶部106に記憶させる。居住者は、表示部105を通じて、その履歴情報を確認できる。また居住者が外出前に外出モードに切り替えることで、住宅情報盤A1は、一定時間が経過した後に、その時点での専有部23の玄関ドア及び窓の施解錠の状態を、ユーザの端末T1に通知する。居住者が帰宅して在宅モードに切り替えることで、防犯警戒を解除する。
【0081】
ところで、火災警報の動作を実行する住宅情報盤A1は、更新ソフトウェアがウィルス等による攻撃を受けた場合、又は更新ソフトウェアに不具合が内在する場合には、防災機能が阻害される恐れがあり、またソフトウェア更新中には警報動作が正常に行われない懸念がある。したがって、本実施形態では、住宅情報盤A1が受信する更新情報には、防災機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムが含まれていない。
【0082】
また仮に防災機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムが、受信した更新情報に含まれていても、更新部C11は、当該更新プログラムを実行しないように構成されている。例えば、更新部C11は、受信した更新情報において、更新禁止を示す禁止フラグ「1」が更新プログラムに付与されているか否かを確認し、禁止フラグ「1」が付与されていれば、その更新プログラムの実行をスキップしてデータを破棄する。つまり、更新部C11は、防災機能(特定機能)の動作に関する仕様に変更が生じないように構成されている。
【0083】
一方、防災機能以外の他機能については、ユーザ(居住者)の利便性を考慮すると、住宅情報盤A1の買い替えを必要とせずに、ユーザへのサービスの提供形態を最新の状態へ変更したい場合がある。またインターホンシステム1が適用される集合施設2の通信システム構成等によっては、必要となるセキュリティ証明書や暗号化方式、或いはユーザから要求される機能仕様も多岐にわたるものである。住宅情報盤A1が製造されて出荷される段階で、全てのセキュリティ証明書や暗号化方式、機能仕様を網羅して対応可能となるようにソフトウェア、及び設定データを住宅情報盤A1に組み込むことは、制御部C1の記憶容量が必要以上に大きくなり得る。
【0084】
そこで、上述の通り、住宅情報盤A1は、防災機能以外の他機能については更新可能となっている。すなわち、更新部C11は、受信した更新情報において、更新禁止を示す禁止フラグ「1」が付与されていない更新プログラムについては、その更新プログラムを実行する。この場合、他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムには、禁止フラグ「1」が付与されていない。ただし、住宅情報盤A1は、火災警報の動作に関する実行を最優先させる必要がある。そこで、住宅情報盤A1では、他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムの実行は、火災警報の動作の実行の妨げとならないように行われる。つまり、更新部C11は、防災機能(特定機能)が実行中において、その動作に変更が生じないように構成されている。結果的に、火災警報の動作が他機能に関連するソフトウェアの更新と重複してしまって、防災が一時的に非監視状態となってしまったり、火災警報の発報が遅延したり、最悪の場合失報したりするといった事態が抑制され得る。
【0085】
ただし、例えば新商品の住宅情報盤A1を製造する場合、旧商品の住宅情報盤A1における防災機能を更新したい場合がある。そこで、住宅情報盤A1の接続部11は、書き換え装置W1と電気的に接続されるように構成される。接続部11は、例えば、書き換え装置W1の接続コネクタが接続される接続ポートである。防災機能(特定機能)に関連するソフトウェアは、接続部11に接続された書き換え装置W1を介して更新される。書き換え装置W1は、例えばROMライタを想定する。接続部11は、第三者に悪用されて防災機能が更新されないように、住宅情報盤A1の筐体から露出していないことが望ましい。
【0086】
(2.4)ゲートウェイ装置
次にゲートウェイ装置7の構成について
図1及び
図2Bを参照しながら詳細に説明する。
【0087】
ゲートウェイ装置7は、サーバシステム4と集合施設2における各施設5に導入される情報端末10との通信接続を、情報端末10の通信を制御する制御装置8を介して行うように構成される。
【0088】
ゲートウェイ装置7は、
図2Bに示すように、第1通信部71と、第2通信部72と、制御部C2と、記憶部74とを備えている。
【0089】
第1通信部71は、防災機能(特定機能)と他機能とを含む複数の機能を有した住宅情報盤A1(情報端末10)と通信するための通信インタフェースである。第1通信部71は、例えばLANケーブルにより制御装置8と電気的に接続されている。制御装置8との通信方式は、有線に限定されず、無線でもよい。第1通信部71は、制御装置8及び幹線L1を介して、各専有部23の住宅情報盤A1、管理室親機14、及びロビーインターホン13の各々と双方向に通信可能に構成されている。つまり、第1通信部71は、制御装置8を介して、情報端末10と通信する。
【0090】
第2通信部72は、サーバシステム4と通信するための通信インタフェースである。第2通信部72は、例えばLANケーブルによりHUB装置15と電気的に接続されている。HUB装置15との通信方式は、有線に限定されず、無線でもよい。第2通信部72は、HUB装置15、ルータB1、及びネットワークNT1を介して、サーバシステム4と双方向に通信可能に構成されている。第2通信部72は、サーバシステム4と通信し、情報端末10のソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報をサーバシステム4から受信する。特に第2通信部72は、複数の機能のうち少なくとも他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を、サーバシステム4から受信する。
【0091】
記憶部74は、データを書き換え可能なメモリであって、不揮発性メモリであることが好ましい。記憶部74は、通信先を識別するための識別情報(アドレス等)を記憶する。また記憶部74は、各専有部23の住宅情報盤A1、管理室親機14、及びロビーインターホン13の各々から受信する種々の情報を記憶する。また記憶部74は、サーバシステム4から受信する種々の情報(更新情報等)を記憶する。
【0092】
制御部C2は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。制御部C2では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部C2の各部の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0093】
制御部C2は、第1通信部71、第2通信部72、及び記憶部74等を制御する。また制御部C2は、処理部73と管理部75とを有している。つまり制御部C1は、処理部73としての機能、及び管理部75としての機能を有している。
【0094】
処理部73は、サーバシステム4から受信した更新プログラムを記憶部74に記憶させる。そして、本実施形態の処理部73は、第1通信部71より、記憶部74に記憶された更新プログラムを住宅情報盤A1(情報端末10)に配信するように構成される。
【0095】
更新プログラムの配信対象は、全ての専有部23の住宅情報盤A1である場合もあれば、一部の住宅情報盤A1のみの場合もある。特に、更新プログラムは、各住宅情報盤A1における状況を考慮せずに、全ての専有部23の住宅情報盤A1に対して一斉に配信されてもよいが、ここでは、各住宅情報盤A1の状況を考慮して配信されるものとする。ここでいう「各住宅情報盤A1における状況」とは、各機能に関する設定状況、動作状況、及び、電源状況の少なくとも1つを含み得る。つまり一例として、処理部73は、更新プログラムの配信対象が複数の専有部23(施設5)における複数の情報端末10である場合、第1通信部71より、複数の情報端末10に対して個別に更新プログラムを配信する。ここでいう「個別に配信」とは、以下に示すように、更新プログラムを送信するか否かを住宅情報盤A1ごとに選別することと、配信するタイミングを「一斉」ではなくずらすことと、を含む。
【0096】
[設定状況]
先ず、処理部73が各機能に関する設定状況を考慮する場合について説明する。住宅情報盤A1は、「他機能」のうちの一部の機能について、ユーザの要望又は住宅情報盤A1の設置環境等に応じて、使用不可の状態に設定されている場合がある。例えば、他機能のアプリケーション機能が、専有部23内のある電気機器を利用した機能である場合、その電気機器がユーザの専有部23内に導入されていない、若しくは、ユーザがその電気機器を使うことがなければ、そのような機能は不要となり得る。そして、当該機能に関連するソフトウェアの更新を行う必要がない可能性がある。
【0097】
そこで処理部73は、各専有部23の住宅情報盤A1から、他機能における各機能について更新不要か否かを示す設定情報を取得し、記憶部74に記憶させている。処理部73は、記憶部74に記憶される設定情報に基づき、どの住宅情報盤A1が、サーバシステム4から受信した更新プログラムの配信対象となるかを決定する。
【0098】
[動作状況]
次に、処理部73が各住宅情報盤A1の動作状況を考慮する場合について説明する。住宅情報盤A1は、各専有部23で動作状況は異なる。例えば、ある専有部23の住宅情報盤Aがロビーインターホン13から呼出信号を受信して呼出音を鳴動中、又はユーザがロビーインターホン13側の来訪者と通話中であれば、住宅情報盤A1は、インターホン機能を実行状態となる。以下、この状態を「インターホン機能の使用中」と呼ぶ。もし仮にインターホン機能の使用中に、更新プログラムの受信を開始したりソフトウェアの更新を開始したりすると、呼出音の鳴動、来訪者との通話、来訪者の映像確認等の妨げとなり得る。特に更新対象のソフトウェアが、インターホン機能に関連するものであれば、現在実行中のインターホン機能が不正常となる可能性がある。もちろん、インターホン機能以外の他機能を実行中であっても、更新プログラムの受信及びソフトウェアの更新が、同様にその実行の妨げとなり得る。
【0099】
そこで処理部73は、動作情報から情報端末10の状況を判断し、その状況に基づき、更新プログラムの配信を制御するように構成される。具体的には、住宅情報盤A1(情報端末10)は、「インターホン機能の使用中」となると、その旨を示す動作情報をゲートウェイ装置7に送信する。結果的に、ゲートウェイ装置7は、常時、各住宅情報盤A1のインターホン機能の使用状況を把握可能となっている。もちろん、各住宅情報盤A1は、インターホン機能以外の機能が使用中となっても動作情報を送信してもよい。
【0100】
また処理部73は、更新情報を受信したタイミングで、更新プログラムの配信対象の現在の動作状況を確認するための要求信号を第1通信部71から配信対象に送信してもよい。住宅情報盤A1は、ゲートウェイ装置7から要求信号を受信すると、現在の動作に関する動作情報を含む動作状況信号を、第2通信部102からゲートウェイ装置7に送信してもよい。
【0101】
そして、処理部73は、受信した動作情報に基づき、その配信対象について現在のタイミングで更新プログラムを配信するべきか否かを決定する。処理部73は、配信対象が、他機能のうち、現在、更新プログラムの配信よりも優先させるべき機能を非実行であると判断すると、その配信対象への配信を開始する。一方、処理部73は、配信対象が、他機能のうち、現在、更新プログラムの配信よりも優先させるべき機能を実行中であると判断すると、当該機能の実行が終了するまで、その配信対象への配信を保留にする。つまり、第1通信部71は、情報端末10の動作に関する動作情報を取得し、処理部73は、動作情報に基づいて、第1通信部71より、更新プログラムを情報端末10に配信する。
【0102】
また例えば、ゲートウェイ装置7が、ある配信対象の住宅情報盤A1に更新プログラムを送信中において、その住宅情報盤A1で呼出音の鳴動や通話等のインターホン機能の実行が開始される場合がある(割り込みの発生)。住宅情報盤A1は、更新プログラムの受信中に、他機能の実行が開始されたことを示す動作情報を含む動作状況信号を、ゲートウェイ装置7に送信する。この場合、処理部73は、その配信対象への更新プログラムの配信を一時的に中断し(中止でもよい)、当該機能の実行が終了するまで、その配信対象への配信を保留にする。
【0103】
このように本実施形態では、処理部73は、動作情報から、情報端末10が特定の操作に基づいて動作を実行中であると判定すると、情報端末10に対する更新プログラムの配信を、中止又は中断する。ここでいう「特定の操作」は、住宅情報盤A1への操作(例えば通話に関する操作)に加えて、ロビーインターホン13への操作(例えば呼出に関する操作)、及び管理室親機14への操作(例えば呼出に関する操作)等を含む。
【0104】
[電源状況]
次に、処理部73が各住宅情報盤A1の電源状態(電源状況)を考慮する場合について説明する。住宅情報盤A1は、消防法の制約により、基本的には常時電源が入っている(オン状態)であることが前提とされる。すなわち、例えばユーザ(居住者)が長期的に外出する場合、専有部23内に設置されている分電盤の分岐ブレーカを落とすことがある。この場合、専有部23内のルータB2及びHUB装置16等は、電源がオフ状態になる可能性がある。その結果、更新情報を受信する経路として、第2通信経路RT2を使用できない可能性がある。
【0105】
一方、住宅情報盤A1は、分電盤内において専用の分岐ブレーカを通じて電力供給を受けるように構成されている。その結果、ユーザが、外出時に、ルータB2及びHUB装置16等と同様に、誤って住宅情報盤A1の電力供給を止めてしまう可能性を抑制している。ただし、何らかの事情によって電源がオフ状態である住宅情報盤A1が存在する場合がある。例えば、住宅情報盤A1は、専有部23内に設置済みである一方で、新しい入居者が未だ専有部23に入居していない場合、住宅情報盤A1の電源がオフ状態である可能性もある。この場合、更新プログラムの配信を行っても、住宅情報盤A1で受信できない場合がある。
【0106】
また集合施設2では、ゲートウェイ装置7等のような共用部22及びMDF室24に設置される設備機器の電源は、各専有部23における電気機器の電源とは別の電力系統となっている場合がある。特に共用部22及びMDF室24には、停電が発生してもバックアップできるように非常用電源が備わっている。したがって、ゲートウェイ装置7等は、停電等が発生したとしても、非常用電源から電力供給を受けて動作可能である。
【0107】
要するに、第2通信経路RT2からの更新プログラムの配信は、専有部23内における電気機器(住宅情報盤A1も含む)の電源状態によっては正常に行えない可能性がある。しかし、第1通信経路RT1を介して幹線L1からの更新プログラムの配信は、電源状態の影響を受けにくい。言い換えると、第1通信経路RT1を介して幹線L1からの更新プログラムの配信の方が、第2通信経路RT2からの配信に比べて、ソフトウェアの更新を効率良く行える可能性が高い。
【0108】
そこで、第1通信部71は、住宅情報盤A1(情報端末10)の電源状態に関する電源情報を取得する。処理部73は、電源情報(以下、「第1電源情報」と呼ぶ)に基づき、電源がオフの状態である住宅情報盤A1に対して更新プログラムの配信を中止又は中断し、電源がオンの状態である住宅情報盤A1に対して更新プログラムの配信を行う。つまり、ゲートウェイ装置7は、各住宅情報盤A1(情報端末10)の電源状態を監視する。第1電源情報は、幹線L1及び制御装置8を介して、各住宅情報盤A1から送信される。例えば、ゲートウェイ装置7は、住宅情報盤A1に確認信号を送信し、応答が無ければ、電源がオフの状態であるという第1電源情報を受けたと見なしてもよい。
【0109】
またゲートウェイ装置7は、各住宅情報盤A1に対する電力供給状態を監視して、電力が非供給状態にある住宅情報盤A1に対して更新プログラムの配信を中止又は中断し、電力が供給状態にある住宅情報盤A1に対して更新プログラムの配信を行ってもよい。
【0110】
第1電源情報の送信元は、住宅情報盤A1に限定されず、専有部23内にHEMSのコントローラが設置されている場合、住宅情報盤A1における消費電力量を監視するHEMSのコントローラであってもよい。
【0111】
このように電源がオンの状態である住宅情報盤A1に対して更新プログラムの配信を行うことで、更新プログラムの通信に関する信頼性をより向上できる。
【0112】
また第1通信部71は、住宅情報盤A1(情報端末10)の電源情報以外にも、専有部23内のルータB2及びHUB装置16等に関する電源状態に関する電源情報(以下、「第2電源情報」と呼ぶ)も取得する。第2電源情報は、ルータB2及びHUB装置16等を監視する住宅情報盤A1から送信される。処理部73は、第2電源情報に基づき、ルータB2及びHUB装置16の少なくとも一方の電源がオフ状態であるか否かを判定する。処理部73は、上記の少なくとも一方の電源がオフ状態であると判定すると、その専有部23については、第2通信経路RT2を使用できない可能性があるため、第1通信経路RT1を使用してゲートウェイ装置7が、更新プログラムの配信を行う。
【0113】
言い換えると、処理部73は、第1通信経路RT1及び第2通信経路RT2のうちどちらの経路を用いて住宅情報盤A1に更新プログラムの受信を行わせるべきか、住宅情報盤A1ごとに判定してもよい。判定基準は、上述の通り、電源状態に基づいてもよいし、それ以外の情報(例えば幹線L1の通信状況等)に基づいてもよい。ゲートウェイ装置7は、その判定結果に基づいて、制御装置8及び幹線L1を介して、住宅情報盤A1に指示信号を送信する。第1通信経路RT1を使用してゲートウェイ装置7が更新プログラムの配信を行う住宅情報盤A1には、指示信号の送信を省略し、そのまま配信を開始してもよい。一方、第2通信経路RT2を使用して住宅情報盤A1に直接更新プログラムの受信を行わせるべきと判定した場合には、住宅情報盤A1に指示信号を送信することが望ましい。さらにこの判定機能は、ゲートウェイ装置7ではなくて、サーバシステム4に設けられてもよい。この場合、サーバシステム4は、第1通信経路RT1又は第2通信経路RT2を通じて、各専有部23から第1電源情報及び第2電源情報を収集する。
【0114】
ところで、処理部73は、もしサーバシステム4から受信した更新プログラムに、防災機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムが含まれている場合、その更新プログラムを破棄して、それ以外の更新プログラムについて配信対象を決定する。処理部73は、その更新プログラムのモジュール名称(ファイル名称)又はそのコード情報から、防災機能用の更新プログラムであるか否かを判断してもよいし、禁止フラグ「1」が既に付与されている場合には、禁止フラグに基づいて判断してもよい。禁止フラグ「1」の付与は、ゲートウェイ装置7で行ってもよい。禁止フラグ「1」がインターホンシステム1の側で既に付与されている、又はゲートウェイ装置7が禁止フラグ「1」の付与を行う場合、防災機能用の更新プログラムは、他機能用の更新プログラムと合わせて配信されて、住宅情報盤A1の側で破棄されてもよい。
【0115】
要するに、禁止フラグ「1」の付与は、本開示のインターホンシステム1において必須ではなく、また付与は、サーバシステム4でも行ってもよいし、ゲートウェイ装置7で行ってもよい。また防災機能用の更新プログラムの破棄は、ゲートウェイ装置7で行ってもよいし、住宅情報盤A1で行ってもよい。当然ながら、サーバシステム4は、防災機能用の更新プログラムを含まない形態で、更新情報を送信してもよい。
【0116】
このようにゲートウェイ装置7は、第2通信部72で受信した更新情報を、第1通信部71より情報端末10へ送信して、更新情報に基づいて、特定機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行させる。
【0117】
ところで、制御部C2の管理部75は、情報端末10に対する更新プログラムの配信を管理するように構成される。具体的には、管理部75は、配信対象である各住宅情報盤A1から、更新プログラムの受信を完了した旨を示す受信完了信号を受信するように構成される。逆に言えば、各住宅情報盤A1は、更新プログラムに関する複数のファイルデータについて、どこまでのファイルデータについて受信完了したかを示す受信完了信号を配信側のゲートウェイ装置7に通知するように構成される。受信完了信号は、例えば、各ファイルデータの受信が完了する度に送信される。管理部75は、受信完了信号に基づき、全てのファイルデータの受信が完了したと判定すると、受信完了信号の送信元である住宅情報盤A1について配信完了フラグを立てる。処理部73は、配信対象である全ての住宅情報盤A1に配信完了フラグが立ったことを確認してから、記憶部74に記憶された更新プログラムのデータを破棄(削除)する。言い換えると、処理部73は、複数の施設5における複数の情報端末10のうち、更新プログラムの配信対象となる全ての情報端末10に対して更新プログラムの配信が完了するまで、記憶部74に記憶された更新プログラムを記憶部74に維持させる。
【0118】
ここでいう「配信の完了」は、上述したように配信対象である全ての住宅情報盤Aにおいて全てのファイルデータの受信が完了されることに限定されない。言い換えると、各住宅情報盤Aから受信完了信号を受信する構成は必須ではない。例えば、処理部73は、一方的に配信対象である全ての住宅情報盤A1に送信が完了した時点で、配信が完了したと判断して、記憶部74に記憶された一連の更新プログラムのデータを破棄してもよい。
【0119】
(2.5)サーバシステム
次にサーバシステム4の構成について
図1及び
図2Cを参照しながら詳細に説明する。
【0120】
サーバシステム4は、少なくとも1又は複数の集合施設2(
図1では1つのみ図示)に送信するための更新プログラムを一括管理する。サーバシステム4は、更新プログラム以外にも、各種ソフトウェアのプログラムも管理する。サーバシステム4は、
図2Cに示すように、サーバ側通信部41と、制御部C3と、記憶部43と、を備えている。
【0121】
サーバ側通信部41は、集合施設2の側の機器と通信するための通信インタフェースである。サーバ側通信部41は、情報端末10と通信するように構成される。またサーバ側通信部41は、ゲートウェイ装置7と通信するように構成される。
【0122】
具体的には、サーバ側通信部41は、ネットワークNT1、ルータB1、及びHUB装置15を介して、ゲートウェイ装置7と通信する。またサーバ側通信部41は、ネットワークNT1、ルータB2、及びHUB装置16を介して、情報端末10と通信する。
【0123】
記憶部43は、データを書き換え可能なメモリであって、不揮発性メモリであることが好ましい。記憶部43は、通信先を識別するための識別情報(アドレス等)を記憶する。また記憶部43は、各専有部23の住宅情報盤A1、管理室親機14、及びロビーインターホン13の各々から受信する種々の情報を記憶する。また記憶部43は、ゲートウェイ装置7から受信する種々の情報(更新情報等)を記憶する。特に記憶部43は、集合施設2に配信するための更新プログラムについて、例えばモジュール単位(
図1参照)で記憶する。
【0124】
制御部C3は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。制御部C3では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、制御部C3の各部の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0125】
制御部C3は、サーバ側通信部41及び記憶部43等を制御する。また制御部C3は、生成部42(
図2C参照)を有している。つまり制御部C1は、生成部42としての機能を有している。
【0126】
生成部42は、更新プログラムを含む更新情報を生成するように構成され、サーバシステム4は、生成部42で生成された更新情報を、サーバ側通信部41よりゲートウェイ装置7に送信して、配信対象の情報端末10に、更新プログラムを実行させる。つまり、この場合、更新情報は、第1通信経路RT1を用いて、集合施設2の側に送信される。
【0127】
本実施形態では特に、生成部42は、複数の機能のうち少なくとも「他機能」に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を生成する。そして、サーバシステム4は、生成部42で生成された更新情報を、サーバ側通信部41より情報端末10に送信して、更新情報に基づいて、防災機能(特定機能)の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行させる。つまり、この場合、更新情報は、第2通信経路RT2を用いて、集合施設2の側に送信される。
【0128】
ここでは生成部42は、更新プログラムをシステム外部から取得し、取得した更新プログラムを用いて更新情報を生成するが、更新プログラム自体を生成してもよい。
【0129】
ここで本実施形態のサーバシステム4は、上述の通り、更新プログラムについてモジュール単位で管理する。具体的には、サーバシステム4は、住宅情報盤A1(情報端末10)が有する複数の機能について、機能単位で分割された複数のモジュールM1(
図1参照)を記憶部43に記憶させて管理する。ここでいう「モジュール」とは、更新プログラムを含むファイルのことである。複数のモジュールM1は、一例として、(セキュリティ)証明書モジュール、暗号化モジュール、アプリモジュール、フォントモジュール、防災モジュール、及び通話モジュールを含む。
【0130】
証明書モジュールは、通信機能におけるセキュリティ証明書に関連するソフトウェア用の最新バージョンの更新プログラムを含む。暗号化モジュールは、通信機能における暗号化方式に関連するソフトウェア用の最新バージョンの更新プログラムを含む。アプリモジュールは、アプリケーション機能に関連するソフトウェア用の最新バージョンの更新プログラムを含む。フォントモジュールは、フォント機能に関連するソフトウェア用の最新バージョンの更新プログラムを含む。防災モジュールは、防災機能に関連するソフトウェア用の最新バージョンの更新プログラムを含む。通話モジュールは、インターホン機能に関連するソフトウェア用の更新プログラムを含む。なお、各モジュールM1は、最新バージョンの更新プログラムだけでなく、対応する機能に関連するソフトウェアの全実行プログラム、及び古いバージョンの更新プログラム等も含んでもよい。
【0131】
サーバシステム4は、特定トリガーに応じて、上述した複数のモジュールM1の単位で、つまり1又は複数のモジュールM1を更新情報に含めて、第1通信経路RT1又は第2通信経路RT2を通じて送信する。ここでは一例として、「特定トリガー」は、あるモジュールM1における更新プログラムのバージョンがアップしたこと、とする。
【0132】
サーバシステム4は、バージョンアップした更新プログラムのモジュールM1のみを更新情報に含めて送信する。ここでは一例として、サーバシステム4は、防災機能用の更新プログラムについては、送信対象から除外する。結果的に、住宅情報盤A1又はゲートウェイ装置7の側で、防災機能用の更新プログラムだけを選り分ける必要がなくなる。
【0133】
ただし、サーバシステム4は、防災機能用の更新プログラムについて禁止フラグ「1」を付与して、全ての複数のモジュールM1を含めて更新情報を送信してもよい。この場合、住宅情報盤A1又はゲートウェイ装置7の側で、禁止フラグ「1」の付与がある更新プログラムは、実行又は配信せずに破棄される。
【0134】
なお、サーバシステム4は、例えば、定期的に1又は複数のモジュールM1を更新情報に含めて、1又は複数の集合施設2の側に自動的に送信してもよい。つまり、「特定トリガー」は、特定の日時(例えば毎日0時、又は月の末日の0時等)の到来でもよい。
【0135】
或いは「特定トリガー」は、集合施設2の側(住宅情報盤A1又はゲートウェイ装置7)から、更新プログラムの送信を要求する更新情報要求信号を受信すること、でもよい。更新情報要求信号は、集合施設2の側から定期的に自動送信されるものでもよいし、ユーザ(居住者又は管理室21の管理人)による手動操作に応じて送信されるものでもよい。
【0136】
(2.6)動作の説明
以下、インターホンシステム1の動作について、第1通信経路RT1を用いた更新プログラムの配信(動作例1及び動作例2)と、第2通信経路RT2を用いた更新プログラムの配信(動作例3及び動作例4)とに分けて説明する。ただし、以下に説明する一連の動作手順は単なる一例であって、特に限定されるものではない。また以下では一例として、集合施設2には、複数の専有部23として、101号室~500号室まで存在することを想定する。そして、101号室の住宅情報盤A1を「第1住宅情報盤A11」と呼び、102号室の住宅情報盤A1を「第2住宅情報盤A12」と呼び、最後の500号室の住宅情報盤A1を「第3住宅情報盤A13」と呼ぶ(
図3~
図5参照)。
【0137】
またここではゲートウェイ装置7は、「住宅情報盤A1における状況」として、設定状況、動作状況、及び電源状況のうち、動作状況(インターホン機能の使用状況)を考慮する場合を挙げて説明する。
【0138】
[動作例1]
まず第1通信経路RT1を用いた更新プログラムの配信について、
図3を参照しながら説明する。
【0139】
サーバシステム4は、防災機能用の更新プログラムを除外した上で、バージョンアップされた更新プログラムをモジュール単位で含む更新情報を生成して(ステップS1)、ゲートウェイ装置7に送信する(ステップS2)。
【0140】
ゲートウェイ装置7は、第1通信経路RT1を介して、更新情報を受信すると、一度記憶部74に記憶し、例えば全ての住戸(101号室~500号室)を配信対象として、更新プログラムの配信処理を開始する(ステップS3)。ただし、102号室の第2住宅情報盤A12が、更新情報を受信した時刻t1より手前に時刻において、例えば、ロビーインターホン13との通話処理が開始されて、「インターホン機能の使用中」に切り替わったとする。第2住宅情報盤A12は、時刻t0に、「インターホン機能の使用中」である旨を示す動作情報をゲートウェイ装置7に送信する(ステップS4)。ゲートウェイ装置7は、第2住宅情報盤A12から制御装置8を介して動作情報を受信し、その結果、第2住宅情報盤A12で「インターホン機能の使用中」であることを把握する。
【0141】
まずゲートウェイ装置7は、配信処理において、制御装置8及び幹線L1を介して、101号室の第1住宅情報盤A11に、更新プログラムを送信する(ステップS5)。
【0142】
次にゲートウェイ装置7は、102号室の第2住宅情報盤A12では「インターホン機能の使用中」であるため、第2住宅情報盤A12への更新プログラムの送信をスキップして、103号室以降の住宅情報盤A1への送信を順次行う。一方、各住宅情報盤A1は、更新プログラムの受信(ダウンロード)を完了すると、受信完了信号をゲートウェイ装置7に送信し、当該更新プログラムを実行して対応する機能に関連するソフトウェアの更新を行う。なお、各住宅情報盤A1は、ソフトウェアの更新を行った旨を、表示部105又は端末T1より、ユーザ(居住者)に通知することが望ましい。
【0143】
そして、ゲートウェイ装置7は、最後の500号室の第3住宅情報盤A13への送信(ステップS6)が終わると、送信をスキップした1又は複数の住宅情報盤A1(ここでは第2住宅情報盤A12のみ)について動作状況を確認した上で更新プログラムを送信する。ここでは、ゲートウェイ装置7は、第2住宅情報盤A12で「インターホン機能の使用中」が解除されるまで待機する。
【0144】
第2住宅情報盤A12は、ロビーインターホン13との通話処理を終えると、時刻t2に、「インターホン機能の使用中」が解除された旨を示す動作情報をゲートウェイ装置7に送信する(ステップS7)。ゲートウェイ装置7は、上記の動作情報を受信すると、第2住宅情報盤A12に、更新プログラムを送信する(ステップS8)。
【0145】
ゲートウェイ装置7は、配信完了フラグを確認し、全ての住宅情報盤A1から受信完了信号を受信したと判断すると、更新プログラムの配信処理を終了する(ステップS9)。またゲートウェイ装置7は、配信済みの更新プログラムを記憶部74から削除する。つまり、ゲートウェイ装置7は、更新プログラムの配信対象となる全ての住宅情報盤A1に対して更新プログラムの配信が完了するまで、記憶部74に記憶された更新プログラムを記憶部74に維持させる。そのため、ソフトウェアの更新漏れとなる住宅情報盤A1が発生してしまう可能性を低減できる。
【0146】
なお、ゲートウェイ装置7は、更新プログラムの配信が完了した旨をサーバシステム4に通知することが望ましい。
【0147】
[動作例2]
次に第1通信経路RT1を用いた更新プログラムの配信において、ある住宅情報盤A1に対して更新プログラムを送信している最中に、その住宅情報盤A1で、通話処理が開始された場合(割り込みの発生)について、
図4を参照しながら説明する。なお、
図4では、101号室の第1住宅情報盤A11で割り込みが発生した場合を想定する。また上記の[動作例1]と共通する箇所については、適宜に省略して簡潔に説明する。
【0148】
サーバシステム4は、更新情報を生成して(ステップS11)、ゲートウェイ装置7に送信する(ステップS12)。
【0149】
ゲートウェイ装置7は、第1通信経路RT1を介して、更新情報を受信すると、更新プログラムの配信処理を開始する(ステップS13)。ゲートウェイ装置7は、配信処理において、101号室の第1住宅情報盤A11に、更新プログラムを送信する(ステップS14)。
【0150】
ここで第1住宅情報盤A11へ更新プログラムを送信中(更新プログラムのダウンロード中)において、時刻t11に第1住宅情報盤A11で通話処理が発生し、「インターホン機能の使用中」に切り替わったとする。第1住宅情報盤A11は、「インターホン機能の使用中」である旨を示す動作情報をゲートウェイ装置7に送信する(ステップS15)。ゲートウェイ装置7は、動作情報を受信すると、第1住宅情報盤A11への更新プログラムの送信を一時的に中断する(ステップS16)。例えば、ゲートウェイ装置7は、更新プログラムに関する20個のファイルデータのうち、1~10番目のファイルデータまで送信が完了し、11番目のファイルデータの送信中に通話処理が発生した場合、11番目以降のファイルデータの送信を中断する。
【0151】
ゲートウェイ装置7は、101号室の第1住宅情報盤A11では「インターホン機能の使用中」であるため、先に102号室の第2住宅情報盤A12への送信(ステップS17)及びそれ以降の住宅情報盤A1への送信を順次行う。そして、ゲートウェイ装置7は、最後の500号室の第3住宅情報盤A13への送信(ステップS18)が終わると、送信を中断した第1住宅情報盤A11について動作状況を確認した上で更新プログラムを送信する。第1住宅情報盤A11は、ロビーインターホン13との通話処理を終えると、時刻t12に、「インターホン機能の使用中」が解除された旨を示す動作情報をゲートウェイ装置7に送信する(ステップS19)。ゲートウェイ装置7は、上記の動作情報を受信すると、第1住宅情報盤A11への更新プログラムの送信を再開する(ステップS20)。つまり、11番目以降のファイルデータの送信を開始する。
【0152】
そして、ゲートウェイ装置7は、配信完了フラグを確認し、全ての住宅情報盤A1から受信完了信号を受信したと判断すると、更新プログラムの配信処理を終了する(ステップS21)。
【0153】
動作例1及び2で説明したように、ゲートウェイ装置7(の処理部73)は、住宅情報盤A1の動作に関する動作情報を取得し、動作情報に基づいて、更新プログラムを配信する。そのため、更新プログラムの配信が住宅情報盤A1の動作に干渉してしまう可能性を低減できる。特にゲートウェイ装置7は、動作情報から住宅情報盤A1の状況を判断し、その状況に基づき、更新プログラムの配信を制御する。そのため、更新プログラムの配信が住宅情報盤A1の動作に干渉してしまう可能性を更に低減できる。
【0154】
またゲートウェイ装置7(の処理部73)は、動作情報から、住宅情報盤A1が特定の操作に基づいて動作を実行中であると判定すると、住宅情報盤A1に対する更新プログラムの配信を中止又は中断する。そのため、住宅情報盤A1の動作を優先させつつ、更新プログラムの通信に関する信頼性をより向上できる。
【0155】
[動作例3]
次に第2通信経路RT2を用いた更新プログラムの配信について、
図5を参照しながら説明する。
【0156】
サーバシステム4は、防災機能用の更新プログラムを除外した上で、バージョンアップされた更新プログラムをモジュール単位で含む更新情報を生成する(ステップS31)。そして、サーバシステム4は、例えば、集合施設2における101号室~500号室の全ての住宅情報盤A1に対して、更新プログラムがバージョンアップされたことを通知する通知信号を一斉に送信する(ステップS32)。
【0157】
各住宅情報盤A1は、通知信号を受信すると、自機の都合の良いタイミングを見計らって、サーバシステム4に対して更新情報の送信を要求する更新情報要求信号を送信し、更新プログラムのダウンロードを開始する。つまり、各住宅情報盤A1は、通知信号を受信した時点で、「インターホン機能の使用中」であれば、「インターホン機能の使用中」が解除されるまで、ダウンロードの開始を行わずに待機する。
【0158】
具体的には、第2住宅情報盤A12を除く住宅情報盤A1は、通知信号を受信した時点で、インターホン機能を使用中ではないため、直ちに更新情報要求信号を送信し(ステップS33)、更新プログラムのダウンロードを開始する(ステップS34)。
【0159】
一方、第2住宅情報盤A12は、通知信号を受信した時刻t31より手前の時刻t30において、例えば、ロビーインターホン13との通話処理が開始されて、「インターホン機能の使用中」に切り替わったとする。その結果、第2住宅情報盤A12は、「インターホン機能の使用中」が解除されるまで待機し、解除された時刻t32に、更新情報要求信号を送信し(ステップS35)、更新プログラムのダウンロードを開始する(ステップS36)。
【0160】
各住宅情報盤A1は、更新プログラムの受信(ダウンロード)を完了すると、受信完了信号をサーバシステム4に送信し、当該更新プログラムを実行して対応する機能に関連するソフトウェアの更新を行う。なお、各住宅情報盤A1は、ソフトウェアの更新を行った旨を、表示部105又は端末T1より、ユーザ(居住者)に通知することが望ましい。
【0161】
[動作例4]
次に第2通信経路RT2を用いた更新プログラムの配信について、ある住宅情報盤A1に対して更新プログラムを送信している最中に、その住宅情報盤A1で、通話処理が開始された場合(割り込みの発生)について、
図6を参照しながら説明する。なお、
図6では、101号室の第1住宅情報盤A11で割り込みが発生した場合を想定する。また上記の[動作例3]と共通する箇所については、適宜簡潔に説明する。
【0162】
サーバシステム4は、防災機能用の更新プログラムを除外した上で、バージョンアップされた更新プログラムをモジュール単位で含む更新情報を生成する(ステップS41)。そして、サーバシステム4は、例えば、集合施設2における101号室~500号室の全ての住宅情報盤A1に対して、更新プログラムがバージョンアップされたことを通知する通知信号を一斉に送信する(ステップS42)。
【0163】
各住宅情報盤A1は、通知信号を受信すると、自機の都合の良いタイミングを見計らって、サーバシステム4に対して更新情報の送信を要求する更新情報要求信号を送信し、ダウンロードを開始する。
【0164】
ここで全ての住宅情報盤A1は、通知信号を受信した時点で、インターホン機能を使用中ではないため、直ちに更新情報要求信号を送信し(ステップS43)、更新プログラムのダウンロードを開始する(ステップS44)。
【0165】
ただし、第1住宅情報盤A11は、更新プログラムのダウンロード中において、時刻t41にロビーインターホン13との通話処理が発生し、「インターホン機能の使用中」に切り替わったとする。第1住宅情報盤A11は、「インターホン機能の使用中」である旨を示す動作情報をサーバシステム4に送信する(ステップS45)。サーバシステム4は、動作情報を受信すると、第1住宅情報盤A11への更新プログラムの送信を一時的に中断する(ステップS46)。サーバシステム4は、更新プログラムに関する20個のファイルデータのうち、1~10番目のファイルデータまで送信が完了し、11番目のファイルデータの送信中に通話処理が発生したとすると、11番目以降のファイルデータの送信を中断する。
【0166】
第1住宅情報盤A11は、時刻t42にロビーインターホン13との通話処理を終えると「インターホン機能の使用中」が解除された旨を示す動作情報をサーバシステム4に送信する(ステップS47)。サーバシステム4は、上記の動作情報を受信すると、第1住宅情報盤A11への更新プログラムの送信を再開する(ステップS48)。つまり、11番目以降のファイルデータの送信を開始する。
【0167】
動作例1及び2では、ゲートウェイ装置7が、更新プログラムの配信制御を行う主体となっていた。動作例3及び4では、サーバシステム4が、ゲートウェイ装置7の代わりに、更新プログラムの配信制御を行うことで、ゲートウェイ装置7における配信制御の負荷を低減できる。
【0168】
[利点]
このように本実施形態では、情報端末10の更新部C11は、更新情報に基づいて、防災機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行してソフトウェアを更新する。したがって、防災機能が実行中においてその動作の妨げとなりにくくなる。結果的に、機能更新に関する改善を図ることができる。またインターホンシステム1は、そのような情報端末10を備えているため、機能更新に関する改善を図ることが可能なインターホンシステム1を提供できる。
【0169】
また情報端末10の第1通信部101及び第2通信部102は、所定の単位で分割された形態の更新プログラムを受信するため、更に特定機能の動作に変更が生じないようにソフトウェアを更新しやすくなる。特に所定の単位は、複数の機能に対応する機能単位であるため、ある機能に関するソフトウェアを更新中に、当該機能以外の機能が実行中においてその動作の妨げとなりにくくなり、機能更新について更に改善される。
【0170】
他機能は、インターホン機能に加えて通信機能を含み、更新プログラムは、通信機能における暗号化方式とセキュリティ証明書との少なくとも一方に関するプログラムを含むため、通信機能に関する機能更新も行いやすくなる。結果的に、通信に関する信頼性の向上が図りやすくなる。
【0171】
また情報端末10が、書き換え装置W1と電気的に接続される接続部11を更に備えているため、防災機能についても更新する手段を提供できる。
【0172】
また本実施形態では、サーバシステム4は、生成部42で生成された更新情報を、サーバ側通信部41より情報端末10に送信して、更新情報に基づいて、特定機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行させる。そのため、機能更新に関する改善を図ることが可能なサーバシステム4を提供できる。
【0173】
さらに本実施形態では、ゲートウェイ装置7は、第2通信部72で受信した更新情報を、第1通信部71より情報端末10へ送信して、更新情報に基づいて、特定機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行させる。そのため、機能更新に関する改善を図ることが可能なゲートウェイ装置7を提供できる。
【0174】
ところで、本実施形態では、情報端末10の第2通信部102は、集合施設2の共有に係る幹線L1経由で、更新情報を受信するように構成されている。したがって、各施設5(住戸)の状況によって各種情報の送受信が適切に行われない可能性が比較的低い。例えば、第2通信経路RT2を用いる場合に比べて、その可能性は低い。結果的に、更新プログラムの通信に関する信頼性の向上を図ることができる。またインターホンシステム1は、そのようなゲートウェイ装置7を備えているため、更新プログラムの通信に関する信頼性の向上を図ることが可能なインターホンシステム1を提供できる。さらに本実施形態では、制御装置8が、ゲートウェイ装置7から情報端末10に対して配信される更新プログラムを受信し、配信対象の情報端末10に対して送信するため、更新プログラムの通信に関する信頼性をより向上できる。
【0175】
また本実施形態では、ゲートウェイ装置7の処理部73は、第1通信部71より、記憶部74に記憶された更新プログラムを、制御装置8を介して情報端末10に配信する。したがって、更新プログラムの通信に関する信頼性の向上を図ることができる。
【0176】
また処理部73は、更新プログラムの配信対象が複数の情報端末10である場合、複数の情報端末10に対して個別に更新プログラムを配信する。そのため、例えば複数の情報端末10に対して区別なく更新プログラムを一斉に配信する場合に比べて、更新プログラムの通信に関する信頼性をより向上できる。特に、処理部73は、情報端末10の動作に関する動作情報に基づいて、更新プログラムを配信するため、更新プログラムの配信が情報端末10の動作に干渉してしまう可能性を低減できる。
【0177】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る情報端末10、サーバシステム4、及びゲートウェイ装置7と同様の機能は、これらの処理方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0178】
具体的には、一の態様に係る処理方法は、集合施設2に導入されて防災機能(特定機能)と、防災機能を除く少なくともインターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末10における、ソフトウェアの更新に関する処理方法である。処理方法は、第1ステップと、第2ステップと、を含む。第1ステップにて、複数の機能のうち少なくとも他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報の作成又は取得を行う。第2ステップにて、更新情報に基づいて、防災機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行させる。
【0179】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0180】
本開示における情報端末10、サーバシステム4、及びゲートウェイ装置7は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における情報端末10、サーバシステム4、及びゲートウェイ装置7としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0181】
また、情報端末10、サーバシステム4、及びゲートウェイ装置7の各々における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。情報端末10、サーバシステム4、及びゲートウェイ装置7の各々の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、情報端末10、サーバシステム4、及びゲートウェイ装置7の各々における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、情報端末10、サーバシステム4、及びゲートウェイ装置7の各々の少なくとも一部の機能、例えば、情報端末10の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0182】
基本例では、ゲートウェイ装置7と制御装置8とは、別々の装置として構成されている。しかし、これらは一の装置として構成されて、共用部22又はMDF室24のいずれかに設置されてもよい。
【0183】
基本例では、情報端末10は、各専有部23の、インターホン機能を有した住宅情報盤A1であることを想定した。しかし、本開示における情報端末10は、住宅情報盤A1に限定されない。情報端末10は、ロビーインターホン13又は管理室親機14でもよい。つまり、インターホンシステム1において、更新プログラムの配信対象は、住宅情報盤A1、ロビーインターホン13及び管理室親機14であってもよい。さらに情報端末10は、例えば、インターホン機能を有していないHEMSのコントローラでもよい。
【0184】
基本例では、特定機能は、消防法の制約に準拠して、防災機能であることを想定した。しかし、特定機能は、防災機能に限定されない。例えば、各国の法令等において後から機能更新の実施が望ましくない機能があれば、情報端末10は、その機能を特定機能として取り扱うように構成されてよい。
【0185】
基本例では、サーバシステム4が、機能単位で分割された複数のモジュールM1(
図1参照)を記憶部43に記憶させて管理する。したがって、基本例では、ゲートウェイ装置7及び情報端末10は、機能単位で分割された形態の更新プログラムを受信する。しかし、ゲートウェイ装置7又は情報端末10が、更新プログラムを機能単位で分割する機能を有してもよい。
【0186】
ところで、情報端末10は、複数の機能を処理する複数の処理部C12を備え、所定の単位は、複数の処理部C12に対応する処理部単位であってもよい。つまり、基本例では、1つの処理部C12が、複数の機能を実行するものである。これに対して処理部C12を複数設けることで、複数の機能が並列的に処理可能であってもよい。この場合、情報端末10の第1通信部101及び第2通信部102は、処理部単位で分割された形態の更新プログラムを受信することになる。この構成であれば、ある機能に関するソフトウェアを更新中に、当該機能以外の機能が実行中においてその動作の妨げとなりにくくなり、機能更新について更に改善される。
【0187】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る情報端末(10)は、複数の施設(5)が集合した集合施設(2)に導入される。情報端末(10)は、インターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、特定機能を除く少なくともインターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有する。情報端末(10)は、通信部(101、102)と、更新部(C11)と、を備える。通信部(101、102)は、サーバシステム(4)と通信し、複数の機能のうち少なくとも他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を、サーバシステム(4)から受信する。更新部(C11)は、更新情報に基づいて、特定機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行してソフトウェアを更新する。第1の態様によれば、特定機能が実行中においてその動作の妨げとなりにくくなり、また特定機能の動作に関する仕様が変更されてしまうことも低減できる。結果的に、機能更新に関する改善を図ることができる。
【0188】
第2の態様に係る情報端末(10)に関して、第1の態様において、特定機能は、集合施設(2)における防災に関する防災機能である。第2の態様によれば、防災機能が実行中においてその動作の妨げとなりにくくなる。
【0189】
第3の態様に係る情報端末(10)に関して、第1の態様又は第2の態様において、通信部(101、102)は、所定の単位で分割された形態の更新プログラムを受信する。第3の態様によれば、更に特定機能の動作に変更が生じないようにソフトウェアを更新しやすくなる。
【0190】
第4の態様に係る情報端末(10)に関して、第3の態様において、所定の単位は、複数の機能に対応する機能単位である。第4の態様によれば、ある機能に関するソフトウェアを更新中に、当該機能以外の機能が実行中においてその動作の妨げとなりにくくなり、機能更新について更に改善される。
【0191】
第5の態様に係る情報端末(10)は、第3の態様において、複数の機能を処理する複数の処理部(C12)を更に備える。所定の単位は、複数の処理部(C12)に対応する処理部単位である。第5の態様によれば、ある機能に関するソフトウェアを更新中に、当該機能以外の機能が実行中においてその動作の妨げとなりにくくなり、機能更新について更に改善される。
【0192】
第6の態様に係る情報端末(10)に関して、第1の態様~第5の態様のいずれか1つにおいて、他機能は、インターホン機能に加えて、通信部(101、102)の通信に関する通信機能を含む。更新プログラムは、通信機能における暗号化方式とセキュリティ証明書との少なくとも一方に関するプログラムを含む。第6の態様によれば、通信機能に関する機能更新も行いやすくなる。結果的に、通信に関する信頼性の向上が図りやすくなる。
【0193】
第7の態様に係る情報端末(10)は、第1の態様~第6の態様のいずれか1つにおいて、書き換え装置(W1)と電気的に接続される接続部(11)を更に備える。特定機能に関連するソフトウェアは、接続部(11)に接続された書き換え装置(W1)を介して更新される。第7の態様によれば、特定機能についても更新する手段を提供できる。
【0194】
第8の態様に係るインターホンシステム(1)は、第1の態様~第7の態様のいずれか1つにおける情報端末(10)と、情報端末(10)と通信するインターホン装置(6)と、を備える。第8の態様によれば、機能更新に関する改善を図ることが可能なインターホンシステム(1)を提供できる。
【0195】
第9の態様に係るサーバシステム(4)は、サーバ側通信部(41)と、生成部(42)と、を備える。サーバ側通信部(41)は、複数の施設(5)が集合した集合施設(2)に導入される情報端末(10)と通信する。情報端末(10)は、インターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、特定機能を除く少なくともインターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有する。生成部(42)は、複数の機能のうち少なくとも他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を生成する。サーバシステム(4)は、生成部(42)で生成された更新情報を、サーバ側通信部(41)より情報端末(10)に送信して、更新情報に基づいて、特定機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行させる。第9の態様によれば、機能更新に関する改善を図ることが可能なサーバシステム(4)を提供できる。
【0196】
第10の態様に係るゲートウェイ装置(7)は、複数の施設(5)が集合した集合施設(2)に導入される。ゲートウェイ装置(7)は、第1通信部(71)と、第2通信部(72)と、を備える。第1通信部(71)は、集合施設(2)に導入されてインターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、特定機能を除く少なくともインターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有した情報端末(10)と通信する。第2通信部(72)は、サーバシステム(4)と通信し、複数の機能のうち少なくとも他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報を、サーバシステム(4)から受信する。ゲートウェイ装置(7)は、第2通信部(72)で受信した更新情報を、第1通信部(71)より情報端末(10)へ送信して、更新情報に基づいて、特定機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行させる。第10の態様によれば、機能更新に関する改善を図ることが可能なゲートウェイ装置(7)を提供できる。
【0197】
第11の態様に係る処理方法は、複数の施設(5)が集合した集合施設(2)に導入される情報端末(10)における、ソフトウェアの更新に関する処理方法である。情報端末(10)は、インターホン通話に関するインターホン機能とは異なる特定機能と、特定機能を除く少なくともインターホン機能を含む他機能と、を含む複数の機能を有する。処理方法は、第1ステップと、第2ステップと、を含む。第1ステップにて、複数の機能のうち少なくとも他機能に関連するソフトウェアを更新するための更新プログラムを含む更新情報の作成又は取得を行う。第2ステップにて、更新情報に基づいて、特定機能の動作に変更が生じないように、更新プログラムを実行させる。第11の態様によれば、機能更新に関する改善を図ることが可能な処理方法を提供できる。
【0198】
第12の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第11の態様における処理方法を実行させるためのプログラムである。第12の態様によれば、機能更新に関する改善を図ることが可能な機能を提供できる。
【0199】
第2~第7の態様に係る構成については、情報端末(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0200】
1 インターホンシステム
2 集合施設
4 サーバシステム
41 サーバ側通信部
42 生成部
5 施設
10 情報端末
101 第1通信部(通信部)
102 第2通信部(通信部)
C11 更新部
C12 処理部
11 接続部
6 インターホン装置
7 ゲートウェイ装置
71 第1通信部
72 第2通信部
W1 書き換え装置