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  • 特許-注出容器 図1
  • 特許-注出容器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】注出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/06 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
B65D83/06 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020215499
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022101108
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-519450(JP,A)
【文献】特開2015-048114(JP,A)
【文献】特開2017-197255(JP,A)
【文献】特開2014-036796(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部を有するスクイズ可能な容器本体と、前記容器本体の口部に取り付けられた注出口を有するキャップ本体と、を備えており、
前記容器本体は、当該容器本体に対するスクイズによって伸張可能な伸縮部を有しており、前記伸縮部は、前記容器本体の肩部に隣接する当該容器本体の胴部の一部に形成されている、注出容器。
【請求項2】
前記容器本体は、当該容器本体の胴部にくびれ部を有している、請求項に記載された注出容器。
【請求項3】
前記伸縮部は、前記胴部の一部を、当該容器本体の軸線方向に繰り返し折り曲げた蛇腹部である、請求項1又は2に記載された注出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注出容器には、容器本体に対するスクイズ(圧搾)によって、当該容器本体に充填された粉体状の内容物をキャップの注出口から取り出せるようにしたボトルがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-151348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、粉体状の内容物が固化したときには、ボトルをスクイズすることによって、当該内容物をほぐす場合がある。ところが、上記従来の注出容器は、キャップを閉めたままスクイズすると内圧が上昇してしまう。このため、内容物のほぐしを目的にスクイズすることが難しい場合がある。また、固化した内容物を細かくほぐそうとして強くスクイズすると、キャップが内圧上昇により開封され、前記内容物が飛び出してしまうことが懸念される。このため、上記従来の注出容器には、キャップを開けたまま、内容物が飛び出さないように、容器本体を注意深くスクイズすることによって内容物をほぐすなど、固化した内容物を取り出すまでの操作が煩雑であった。
【0005】
本発明の目的は、内容物のスクイズによるほぐしを、キャップを閉めた状態で容易に行うことができる、注出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る注出容器は、口部を有するスクイズ可能な容器本体と、前記容器本体の口部に取り付けられた注出口を有するキャップ本体と、を備えており、前記容器本体は、当該容器本体に対するスクイズによって伸張可能な伸縮部を有している。
【0007】
本発明に係る注出容器において、前記伸縮部は、前記容器本体の口部の側に配置されていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る注出容器において、前記容器本体は、当該容器本体の胴部にくびれ部を有していることが好ましい。
【0009】
本発明に係る注出容器において、前記伸縮部は、前記容器本体のうちの当該容器本体の一部を、当該容器本体の軸線方向に繰り返し折り曲げた蛇腹部とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内容物のスクイズによるほぐしを、キャップを閉めた状態で容易に行うことができる、注出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る注出容器を概略的に一部断面で示す図である。
図2図1の注出容器の内容物をほぐすときの動作の一例を概略的に説明する図である。
図3図1の注出容器の内容物をほぐすときの動作の他の例を概略的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、注出容器について説明をする。なお、以下の説明において、軸線Oは、注出容器の中心軸線である。また、以下の説明において、軸線Oに延在する方向を軸線方向といい、軸線Oの周りに延在する方向を周方向という。さらに、以下の説明において、軸線Oに対して直交する方向を径方向という。
【0013】
図1中、符号1は、本発明の一実施形態に係る、注出容器である。注出容器1は、口部21を有するスクイズ可能な容器本体2と、注出口A1を有し容器本体2の口部21に取り付けられたキャップ本体4と、を備えている。容器本体2は、当該容器本体2に対するスクイズによって伸張可能な伸縮部3を有している。
【0014】
本実施形態において、容器本体2は、軸線Oに延在するボトル形状の容器本体である。容器本体2の内側には、内容物Mの収容空間Sが形成されている。具体的には、容器本体2は、収容空間Sに通じる開口部A2が形成された口部21と、口部21に連なる肩部22と、肩部22に連なる胴部23と、胴部23に連なる底部24とを有している。底部24は、胴部23を閉塞している。本実施形態において、容器本体2は、底部24によって自立させることができる。ただし、本発明によれば、容器本体2は、底部24によって自立しない形状とすることができる。例えば、容器本体2は、チューブ形状とすることができる。
【0015】
本実施形態において、容器本体2は、例えば、胴部23をスクイズ可能である。こうした容器本体2は、例えば、合成樹脂によって形成することができる。容器本体2の具体例としては、低密度ポリエチレンを使用することにより、押出ブローにより成形された、薄肉のボトル形状容器が挙げられる。ただし、これは例示であって、容器本体2の形状、材料及び製法は、上述のとおり、特に限定されるものではない。また、本実施形態において、容器本体2は、当該容器本体2の胴部23にくびれ部23aを有している。くびれ部23aは、胴部23のうちの、径方向内側に凹んだ部分である。本実施形態において、くびれ部23aは、軸線Oの周りを全周にわたって形成されている。
【0016】
本実施形態において、キャップ本体4は、容器本体2の口部21に着脱可能に取り付けられている。本実施形態において、キャップ本体4は、容器本体2の口部21に対してねじ付けられている。ただし、キャップ本体4は、容器本体2の口部21に対して取り外せないように取り付けることもできる。すなわち、本発明において、キャップ本体4の取り付け方は特に限定されない。キャップ本体4の注出口A1は、容器本体2の収容空間Sに通じている。これによって、収容空間Sに充填された内容物Mは、注出口A1を通して取り出すことができる。
【0017】
本実施形態において、注出容器1はさらに、蓋体5を備えている。蓋体5は、キャップ本体4に対して着脱可能に嵌合させることができる。本実施形態において、蓋体5は、ヒンジ6を介してキャップ本体4に連結されている。ただし、蓋体5は、キャップ本体4に対して着脱可能にとりつけられていればよい。例えば、蓋体5は、キャップ本体4に対してねじ付けることができる。したがって、キャップ本体4に対する蓋体5の取付方法は、本実施形態に限定されるものではない。
【0018】
伸縮部3は、容器本体2の口部21の側又は底部24の側に配置することができる。図1を参照すれば、本実施形態において、伸縮部3は、容器本体2の口部21の側に配置されている。
【0019】
また、本実施形態において、伸縮部3は、容器本体2のうちの当該容器本体の一部を、当該容器本体2の軸線方向に繰り返し折り曲げた蛇腹部である。図1を参照すれば、本実施形態において、伸縮部3は、肩部22に隣接する胴部23の一部を軸線方向に繰り返し折り曲げることによって形成されている。これによって、伸縮部3は、軸線方向に伸縮させることができる。
【0020】
次に、注出容器1の動作について説明する。なお、図1を参照すれば、伸縮部3の軸線方向長さLは、初期状態において、L=L0である。
【0021】
(通常の内容物Mの取出し)
使用者は通常、蓋体5を開いた後、容器本体2の胴部23をスクイズすることによって、注出口A1から内容物Mを、粉状物(又は「粒状物」)M1として取り出すことができる。
【0022】
(内容物Mが固化した場合の取出し)
内容物Mが容器本体2内で固化した場合、使用者は、蓋体5を閉じたまま、胴部23をスクイズする。
【0023】
図2には、内容物Mをほぐすときの動作の一例を概略的に示す。この例では、使用者は、くびれ部23aを強く圧し潰す。これによって、図示にように、固化した内容物M2を粉状物M1にすることができる。このとき、容器本体2の内圧(収容空間Sの圧力)は上昇するが、この圧力上昇分は、伸縮部3が軸線方向に伸張することによって吸収される。図2を参照すれば、伸縮部3の軸線方向長さLは、L=L1(>L0)である。これによって、使用者は、容器本体2の内圧上昇に伴う、蓋体5の予期しない開放、内容物Mの飛散を考慮することなく、内容物Mをほぐすことができる。
【0024】
図3には、内容物Mをほぐすときの動作の他の例を概略的に示す。この例では、使用者は、くびれ部23a以外の部分を強く圧し潰す。これによって、図示のように、固化した内容物M2を粉状物M1にすることができる。このときも、容器本体2の内圧は上昇するが、この圧力上昇分は、伸縮部3が軸線方向に伸張することによって吸収される。図3を参照すれば、伸縮部3の軸線方向長さLは、L=L2(>L1)である。これによって、使用者は、容器本体2の内圧上昇に伴う、蓋体5の予期しない開放、内容物Mの飛散を考慮することなく、内容物Mを粒状物M1にほぐすことができる。
【0025】
内容物Mのほぐしが終了すると、使用者は通常のときと同様、蓋体5を開いた後、容器本体2の胴部23をスクイズすることによって、注出口A1から内容物Mを、粉状物M1として取り出すことができる。なお、本実施形態において、容器本体2のスクイズを解除すれば、伸縮部3は、自己の復元力によって、初期の大きさ(初期の軸線方向長さ)に収縮する。これによって、注出容器1は、繰り返し使用することができる。
【0026】
すなわち、注出容器1によれば、容器本体2に形成した伸縮部3を軸線方向に伸張させることによって収容空間Sの容量を増大させ、これによって、容器本体2をスクイズしたときの収容空間Sの内圧上昇分を吸収することができる。これによって、注出容器1によれば、蓋体5を開くことなく、内容物Mのほぐしを行うことができる。
【0027】
したがって、注出容器1によれば、内容物Mのスクイズによるほぐしを、キャップを閉めた状態で容易に行うことができる、注出容器を提供することができる。
【0028】
また、本実施形態において、伸縮部3は、容器本体2の口部21側側に配置されている。この場合、内容物Mのほぐしが終了した後、内容物Mを素早く取り出すことができる。
【0029】
また、本実施形態において、容器本体2は、胴部23にくびれ部23aを有している。この場合、胴部23のくびれ部23aに指を当てれば、当該胴部23のスクイズを容易に行うことができる。これによって、内容物Mのほぐし及び当該内容物Mの取出しをより容易に行うことができる。
【0030】
また、本実施形態において、伸縮部3は、容器本体2のうちの当該容器本体2の一部を、当該容器本体2の軸線方向に繰り返し折り曲げた部分である。この場合、容器本体2を軸直方向に拡大させることなく、容器本体2の内圧上昇を吸収することができる。
【0031】
なお、伸縮部3の伸張量は、スクイズによって想定される内圧上昇分に設定することができる。前記内圧上昇分の具体例としては、使用者が容器本体2の胴部23を指でつまんで、当該胴部23が完全に接触するまで当該胴部23を圧し潰したときに生じ得る収容空間S内の圧力上昇分である。この場合、内容物Mのほぐしをより容易に行うことができる。ただし、伸縮部3の伸縮量は、内圧上昇分のみによって設定されるものではない。本発明によれば、伸縮部3の伸縮量は、内容物Mの種類、収容空間Sの容量、容器本体2の材質などによって、適宜、設定することができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態に係る定量噴出容器について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。
【0033】
伸縮部3は、胴部23の任意の位置に形成することができる。さらに、伸縮部3は、胴部23以外にも、容器本体2の任意の位置に形成することができる。伸縮部3は、容器本体2の肩部22、胴部23及び底部24の少なくともいずれかに形成することができる。
【0034】
また、伸縮部3は、容器本体2のうちの当該容器本体2の一部を、当該容器本体2の周方向に繰り返し折り曲げた蛇腹部とすることができる。この場合、容器本体2に形成した伸縮部3を周方向に伸張させることによって収容空間Sの容量を増大させ、これによって、容器本体2をスクイズしたときの収容空間Sの内圧上昇分を吸収することができる。これによって、注出容器1によれば、蓋体5を開くことなく、内容物Mのほぐしを行うことができる。この場合、容器本体2を軸線方向に拡大させることなく、容器本体2の内圧上昇を吸収することができる。
【0035】
また、上記実施形態において、容器本体2に充填される内容物Mは、粉状物(又は粒状物)として説明したが、当該内容物Mとしては、例えば、時系列的に固化し得る内容物であって、ほぐしによって分散させることができるものあれば、粉状物(又は粒状物)に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0036】
1:注出容器, 2:容器本体, 21:口部, 22:肩部, 23:胴部, 23a:くびれ部, 24:底部, 3:伸縮部, 4:キャップ本体, 5:蓋体, 6:ヒンジ, A1:注出口, M:内容物, M1:粉状内容物, M2:固化した内容物, S:収容空間
図1
図2
図3