IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本コントロールシステム株式会社の特許一覧

特許7506870マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム
<>
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図1
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図2
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図3
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図4
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図5
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図6
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図7
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図8
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図9
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図10
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図11
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図12
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図13
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図14
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図15
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図16
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図17
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図18
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図19
  • 特許-マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム 図20
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】マスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240620BHJP
   G03F 1/70 20120101ALI20240620BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01L21/30 541M
G03F1/70
G03F7/20 504
G03F7/20 521
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020069815
(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公開番号】P2021166271
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-03
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594150176
【氏名又は名称】日本コントロールシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】角田 大
(72)【発明者】
【氏名】堀間 康章
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-129479(JP,A)
【文献】特開2016-082150(JP,A)
【文献】特開2000-182921(JP,A)
【文献】特開2015-109099(JP,A)
【文献】特開2008-065246(JP,A)
【文献】特開2015-125162(JP,A)
【文献】特開平06-214376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 1/00-1/86
G03F 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンの全ての頂点又は全ての辺のそれぞれについて、当該頂点又は辺に対応付けて、前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する前記マスクパターンの当該頂点又は辺の除去についての影響度を取得して、各頂点又は辺のうち取得した影響度が最も小さい頂点又は辺を優先的に除去することにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備える、マスク情報調整装置。
【請求項2】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備え、
前記処理部は、前記マスクパターンの各頂点又は辺について、当該頂点又は辺を削除することによる前記マスクパターンの面積の変化量に対応する値を前記影響度として取得する、マスク情報調整装置。
【請求項3】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備え、
前記処理部は、前記マスクパターンを構成する一の辺について、当該辺と、当該辺に隣接する隣接辺を含む半直線であって当該辺と共有する頂点とは異なる頂点を基点とする半直線とで形成される三角形の面積を前記影響度として取得する、マスク情報調整装置。
【請求項4】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備え、
前記処理部は、前記マスクパターンを構成する一の辺を除去する場合において、当該辺に隣接する隣接辺をそれぞれ含む半直線であって当該辺と共有する頂点とは異なる頂点を基点とする半直線同士の交点を、当該辺の除去後のマスクパターンにおける頂点とする、マスク情報調整装置。
【請求項5】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備え、
前記処理部は、前記マスクパターンを構成する一の頂点について、当該頂点を共有する2つの辺と、当該2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ当該頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形ではない場合に、当該四角形の面積を前記影響度として取得する、マスク情報調整装置。
【請求項6】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備え、
前記処理部は、前記マスクパターンを構成する一の頂点を除去する場合において、当該頂点を共有する2つの辺と、当該2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ当該頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形ではない場合に、当該半直線同士の交点を除去後のマスクパターンにおける頂点とする、マスク情報調整装置。
【請求項7】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備え、
前記処理部は、前記マスクパターンを構成する一の頂点について、当該頂点を共有する2つの辺と、当該2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ当該頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形である場合に、当該頂点を共有する2つの辺と2つの前記隣接頂点同士を結ぶ線分とで形成される三角形の面積を前記影響度として取得する、マスク情報調整装置。
【請求項8】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備え、
前記処理部は、前記マスクパターンを構成する一の頂点を除去する場合において、当該頂点を共有する2つの辺と、当該2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ当該頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形である場合に、前記2本の半直線のうち一方にある第一の点と他方にある第二の点とを除去後のマスクパターンにおける頂点とし、
前記第一の点と前記第二の点とは、前記第一の点と前記第二の点とを結ぶ線分と、前記隣接頂点同士を結ぶ線分と、前記2本の半直線とで形成される四角形の面積と、当該頂点を共有する2つの辺と2つの前記隣接頂点同士を結ぶ線分とで形成される三角形の面積とが等しくなる位置にある、マスク情報調整装置。
【請求項9】
前記処理部は、前記マスクパターンの一の頂点又は辺の除去を行い、一の頂点又は辺の除去を行った後の前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を取得し、予め定められた終了条件を満たさない場合に、取得したそれぞれの影響度に基づいてさらに前記マスクパターンの一の頂点又は辺の除去を行い、予め定められた終了条件を満たす場合に、前記マスクパターンの単純化を終了する、請求項1から8のいずれかに記載のマスク情報調整装置。
【請求項10】
前記処理部は、一の頂点又は辺の除去を行った後の前記マスクパターンについて前記影響度を取得した後で、取得したそれぞれの影響度と所定の閾値とを比較し、比較結果が前記終了条件を満たす場合に前記マスクパターンの単純化を終了する、請求項9に記載のマスク情報調整装置。
【請求項11】
前記対象情報取得部は、目標とする露光パターンに対応する目標マスクパターンを取得し、取得した前記目標マスクパターンに基づいて、前記調整前マスク情報を取得する、請求項1から10のいずれかに記載のマスク情報調整装置。
【請求項12】
前記出力部により出力された前記調整後マスク情報に基づいてマスクデータ準備を実行する準備部をさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載のマスク情報調整装置。
【請求項13】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスクデータ調整方法であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得ステップと、
前記マスクパターンの全ての頂点又は全ての辺のそれぞれについて、当該頂点又は辺に対応付けて、前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する前記マスクパターンの当該頂点又は辺の除去についての影響度を取得して、各頂点又は辺のうち取得した影響度が最も小さい頂点又は辺を優先的に除去することにより前記マスクパターンを単純化する処理ステップと、
前記処理ステップにより単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力ステップとを備える、マスクデータ調整方法。
【請求項14】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスクデータ調整方法であって、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得ステップと、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理ステップと、
前記処理ステップにより単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力ステップとを備え、
前記処理ステップは、前記マスクパターンの各頂点又は辺について、当該頂点又は辺を削除することによる前記マスクパターンの面積の変化量に対応する値を前記影響度として取得する、マスクデータ調整方法。
【請求項15】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するコンピュータを、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンの全ての頂点又は全ての辺のそれぞれについて、当該頂点又は辺に対応付けて、前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する前記マスクパターンの当該頂点又は辺の除去についての影響度を取得して、各頂点又は辺のうち取得した影響度が最も小さい頂点又は辺を優先的に除去することにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部として機能させるための、プログラム。
【請求項16】
フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するコンピュータを、
多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、
前記マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、前記マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は辺に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより前記マスクパターンを単純化する処理部と、
前記処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部として機能させ、
前記処理部は、前記マスクパターンの各頂点又は辺について、当該頂点又は辺を削除することによる前記マスクパターンの面積の変化量に対応する値を前記影響度として取得する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスクの製造に用いるマスク情報を出力するマスク情報調整装置、マスクデータ調整方法、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスの露光工程においては、フォトマスクが用いられる。フォトマスクは、以下のようにして作成される。すなわち、ブランクスと呼ばれるマスク基板にレジストを塗布する。そして、レジストに電子ビームでパターニングを行う。その後、現像、エッチング、ストリッピングの各工程を経て、フォトマスクが作成される。
【0003】
ところで、近年のプロセスルールの微細化の進展に伴って、露光工程において、光の波長より小さい(細かい)パターンを有する部分などが、マスクパターン通りには解像しないという問題がある。露光工程において結果的に理想的な露光パターンが得られるようにするためには、このような問題の対応策をとることが必要である。対応策として、例えば、OPC(光近接効果補正)技術を適用したり、ILT(Inverse Lithograph Technology)を行ったりするなどしてフォトマスクのマスクパターンを生成することが考えられる(例えば、下記特許文献1参照)。
【0004】
なお、ILTは、露光系を含むプロセス全体をモデル式とし、マスクパターンを変数として、モデル式から得られるウェハパターンが設計パターンに一致するように方程式を解くことで、理想的なマスクパターンを導出するものである。例えばILTにより得られたマスクパターンは、滑らかな曲線の集合となる。
【0005】
ところで、プロセスルールの微細化に対応してマスクパターンの最適化を進めると、マスクパターンが複雑化する。また、上述のILTなどを利用した場合、その結果として得られるマスクパターンは、滑らかな閉曲線を含むものとなる。フォトマスクを製造するためのシステムにおいては、このような曲線を含むマスクパターンをそのまま取り扱うことができない場合がある。このような場合においては、滑らかな閉曲線を多角形に近似してシステムで利用可能とする必要がある。高精度な露光パターンを得るためには、近似の精度を高める必要がある。複雑な形状を有する多角形のマスクパターンや、近似の精度が高められたマスクパターンでは頂点の数が多くなる。そのため、マスクパターンの頂点の数が多くなると、マスク情報のデータサイズは大きくなる。
【0006】
マスク情報のデータサイズが大きいと、製造フローに様々な悪影響が及ぶ。マスク情報を取り扱う拠点間や装置間でのマスク情報の転送には、データサイズに比例する時間がかかる。また、フラクチャリング、MPC(Mask Process Correction)などを含むマスクデータ準備の処理時間は、データサイズに依存する。フォトマスクを描画する描画装置や、フォトマスクの検査装置は、マスク情報を参照しながら処理を実行する。そのため、データサイズが大きすぎるマスク情報を用いると、フォトマスクを製造するためのシステムのスループットが悪化する可能性がある。
【0007】
マスク情報のデータサイズを小さくするために、例えば、下記非特許文献1に記載されているような、Ramar-Dougrass-Peukerアルゴリズムなどを利用して、多角形の単純化を行うことが考えられる。また、例えば、下記非特許文献2には、OPCを行う際にグリッドサイズを最適化することでデータ量を減らすことができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特表2014-530494号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】Urs Ramar "An iterative procedure for the polygonal approximation of plane curves" Computer Graphics and Image Processing, Volume 1, Issue 3, November 1972, Pages 244-256 doi://10.1016/S0146-664X(72)80017-0
【文献】Monica Laurel Kempsell, Eric Hendrickx, Alexander V. Tritchkov, Kyohei Sakajiri, Kenichi Yasui, Susuki Yoshitake, Yuri Granik, Geert Vandenberghe, and Bruce W. Smith "Inverse lithography for 45-nm-node contact holes at 1.35 numerical aperture," Journal of Micro/Nanolithography, MEMS, and MOEMS 8(4), 043001 (1 October 2009). doi://10.1117/1.3263702
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の非特許文献1に記載されているような単純化方法では、人間の視覚において、形状が維持されていると判断できるような単純化を実現できる。しかしながら、この方法では、入力となる多角形をなす辺の位置や角度は厳密に維持されない。この方法は、あくまで「人間の視覚において」妥当に単純化されて見えるようにすることを目的としていて、図形の位置や角度に対してはあまり注意を払っていない。この結果、作られるマスクの性能はOPC等を行ったことにより期待されるものに対して明らかに劣化する。このような、2次元図形を単純化する他の公知のアルゴリズムの多くでは、人間の視覚にとって妥当であるかどうかを基準として構築されているものであり、高精度な露光パターンを得ることとマスク情報のデータサイズを小さくすることとを両立させることができない。
【0011】
また、上述の非特許文献2に記載されているような構成においても、高精度な露光パターンを得ることとマスク情報のデータサイズを小さくすることとを両立させることは困難である。
【0012】
このように、従来においては、高精度な露光パターンを得ることができるマスク情報のデータサイズが大きくなるという課題があった。マスク情報のデータサイズは小さいほうが望ましいが、通常考えられる方法で曲線のデータ粒度を粗くすると作られるフォトマスクの性能が悪化するというようなトレードオフがある。このトレードオフを解消しデータサイズと精度を両立させるためのマスクパターンの単純化処理が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本第一の発明のマスク情報調整装置は、フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するマスク情報調整装置であって、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を頂点又は点に対応付けて取得して、取得した影響度に関する所定の条件が満たされるか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことによりマスクパターンを単純化する処理部と、処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部とを備える、マスク情報調整装置である。
【0014】
かかる構成により、露光パターンに大きな影響が及ばないようにしてマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0015】
また、本第二の発明のマスク情報調整装置は、第一の発明に対して、処理部は、マスクパターンの全ての頂点又は全ての辺のそれぞれについての影響度を取得して、取得した影響度が最も小さい頂点又は点の除去を行う、マスク情報調整装置である。
【0016】
かかる構成により、露光パターンに与える影響をより小さくしつつ、マスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0017】
また、本第三の発明のマスク情報調整装置は、第一又は二の発明に対して、処理部は、マスクパターンの一の頂点又は辺の除去を行い、一の頂点又は辺の除去を行った後のマスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を取得し、予め定められた終了条件を満たさない場合に、取得したそれぞれの影響度に基づいてさらにマスクパターンの一の頂点又は辺の除去を行い、予め定められた終了条件を満たす場合に、マスクパターンの単純化を終了する、マスク情報調整装置である。
【0018】
かかる構成により、除去を行った後のマスクパターンについてさらに影響度の取得と頂点又は辺の除去を行うので、効果的にマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0019】
また、本第四の発明のマスク情報調整装置は、第三の発明に対して、処理部は、一の頂点又は辺の除去を行った後のマスクパターンについて影響度を取得した後で、取得したそれぞれの影響度と所定の閾値とを比較し、比較結果が終了条件を満たす場合にマスクパターンの単純化を終了する、マスク情報調整装置である。
【0020】
かかる構成により、露光パターンに大きな影響が及ばないように、効果的にマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0021】
また、本第五の発明のマスク情報調整装置は、第一から四のいずれかの発明に対して、処理部は、マスクパターンの各頂点又は辺について、頂点又は辺を削除することによるマスクパターンの面積の変化量に対応する値を影響度として取得する、マスク情報調整装置である。
【0022】
かかる構成により、マスクパターンの単純化が露光パターンに与える影響が小さくなるようにしてマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0023】
また、本第六の発明のマスク情報調整装置は、第一から五のいずれかの発明に対して、処理部は、マスクパターンを構成する一の辺について、辺と、辺に隣接する隣接辺を含む半直線であって辺と共有する頂点とは異なる頂点を基点とする半直線とで形成される三角形の面積を影響度として取得する、マスク情報調整装置である。
【0024】
かかる構成により、マスクパターンの単純化が露光パターンに与える影響が小さくなるようにしてマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0025】
また、本第七の発明のマスク情報調整装置は、第一から六のいずれかの発明に対して、処理部は、マスクパターンを構成する一の辺を除去する場合において、辺に隣接する隣接辺をそれぞれ含む半直線であって辺と共有する頂点とは異なる頂点を基点とする半直線同士の交点を、辺の除去後のマスクパターンにおける頂点とする、マスク情報調整装置である。
【0026】
かかる構成により、露光パターンに大きな影響が及ばないように、効果的にマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0027】
また、本第八の発明のマスク情報調整装置は、第一から七のいずれかの発明に対して、処理部は、マスクパターンを構成する一の頂点について、頂点を共有する2つの辺と、2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形ではない場合に、四角形の面積を影響度として取得する、マスク情報調整装置である。
【0028】
かかる構成により、マスクパターンの単純化が露光パターンに与える影響が小さくなるようにしてマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0029】
また、本第九の発明のマスク情報調整装置は、第一から八のいずれかの発明に対して、処理部は、マスクパターンを構成する一の頂点を除去する場合において、頂点を共有する2つの辺と、2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形ではない場合に、半直線同士の交点を除去後のマスクパターンにおける頂点とする、マスク情報調整装置である。
【0030】
かかる構成により、露光パターンに大きな影響が及ばないように、効果的にマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0031】
また、本第十の発明のマスク情報調整装置は、第一から九のいずれかの発明に対して、処理部は、マスクパターンを構成する一の頂点について、頂点を共有する2つの辺と、2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形である場合に、当該頂点を共有する2つの辺と2つの隣接頂点同士を結ぶ線分とで形成される三角形の面積を影響度として取得する、マスク情報調整装置である。
【0032】
かかる構成により、マスクパターンの単純化が露光パターンに与える影響が小さくなるようにしてマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0033】
また、本第十一の発明のマスク情報調整装置は、第一から十のいずれかの発明に対して、処理部は、マスクパターンを構成する一の頂点を除去する場合において、頂点を共有する2つの辺と、2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形である場合に、2本の半直線のうち一方にある第一の点と他方にある第二の点とを除去後のマスクパターンにおける頂点とし、第一の点と第二の点とは、第一の点と第二の点とを結ぶ線分と、隣接頂点同士を結ぶ線分と、2本の半直線とで形成される四角形の面積と、当該頂点を共有する2つの辺と2つの隣接頂点同士を結ぶ線分とで形成される三角形の面積とが等しくなる位置にある、マスク情報調整装置である。
【0034】
かかる構成により、露光パターンに大きな影響が及ばないように、効果的にマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0035】
また、本第十二の発明のマスク情報調整装置は、第一から十一のいずれかの発明に対して、調整前マスク情報は、OPC(光近接効果補正)により生成されたマスクパターンを含む、マスク情報調整装置である。
【0036】
かかる構成により、高精度な露光パターンが得られるマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0037】
また、本第十三の発明のマスク情報調整装置は、第一から十二のいずれかの発明に対して、対象情報取得部は、目標とする露光パターンに対応する目標マスクパターンを取得し、取得した目標マスクパターンに基づいて、調整前マスク情報を取得する、マスク情報調整装置である。
【0038】
かかる構成により、高精度な露光パターンが得られるマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【0039】
また、本第十四の発明のマスク情報調整装置は、第一から十二のいずれかの発明に対して、出力部により出力された調整後マスク情報に基づいてマスクデータ準備を実行する準備部をさらに備える、マスク情報調整装置である。
【0040】
かかる構成により、データサイズが比較的小さい調整後マスク情報が用いられるので、フォトマスクの製造効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0041】
本発明によるマスク情報調整装置によれば、露光パターンに大きな影響が及ばないようにしてマスク情報のデータサイズを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本実施の形態におけるフォトマスク製造システムの概略構成を示す図
図2】同マスク情報調整装置のブロック図
図3】同フォトマスク製造システムのブロック図
図4】同マスク情報調整装置における一の辺についての影響度の取得及び当該辺の除去について説明する第1の図
図5】同マスク情報調整装置における一の辺についての影響度の取得及び当該辺の除去について説明する第2の図
図6】同マスク情報調整装置における一の辺についての影響度の取得及び当該辺の除去について説明する第3の図
図7】同マスク情報調整装置における一の頂点についての影響度の取得及び当該頂点の除去について説明する第1の図
図8】同マスク情報調整装置における一の頂点についての影響度の取得及び当該頂点の除去について説明する第2の図
図9】同マスク情報調整装置における一の頂点についての影響度の取得及び当該頂点の除去について説明する第3の図
図10】同マスク情報設計装置の動作の一例を示すフローチャート
図11】同マスク情報調整装置の動作の一例を示すフローチャート
図12】同マスク情報調整装置の単純化処理の一例を示すフローチャート
図13】同マスク情報変換装置の動作の一例を示すフローチャート
図14】同マスク情報調整装置の単純化処理の一例を示す第1の図
図15】同マスク情報調整装置の単純化処理の一例を示す第2の図
図16】同マスク情報調整装置の単純化処理の一例を示す第3の図
図17】同マスク情報調整装置の単純化処理の一例を示す第4の図
図18】同マスク情報調整装置の単純化処理の結果に関するグラフ
図19】上記実施の形態におけるコンピュータシステムの概観図
図20】同コンピュータシステムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、マスク情報調整装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0044】
なお、以下において用いる用語は、一般的には次のように定義される。なお、これらの用語の語義は常にここに示されるように解釈されるべきではなく、例えば以下において個別に説明されている場合にはその説明も踏まえて解釈されるべきである。
【0045】
取得とは、ユーザ等により入力された事項を取得することを含んでいてもよいし、自装置又は他の装置に記憶されている情報(予め記憶されている情報であってもよいし当該装置において情報処理が行われることにより生成された情報であってもよい)を取得することを含んでいてもよい。
【0046】
情報を出力するとは、ディスプレイへの表示、プロジェクタを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0047】
情報の受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、他の装置等から有線もしくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念である。
【0048】
(実施の形態)
【0049】
本実施の形態の概要を説明する。本実施の形態において、マスク情報調整装置1は、フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するものである。マスク情報調整装置1は、多角形の調整前マスクパターンについて頂点又は辺の除去についての影響度を取得して、取得した影響度が所定の条件を満たすか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより調整前マスクパターンを単純化し、単純化後の調整後マスクパターンを含む調整後マスク情報を出力するように構成されている。
【0050】
なお、本実施の形態において、影響度は、例えば、各頂点又は辺を削除することにより変化する面積に対応する値とすることができる。より具体的には、例えば、一の辺についての影響度は、当該辺と、当該辺に隣接する隣接辺を含む半直線であって当該辺と共有する頂点とは異なる頂点を基点とする半直線とで形成される三角形の面積することができる。また、例えば、一の頂点についての影響度は、当該頂点を共有する2つの辺と、2本の半直線とで形成される四角形が凹四角形ではない場合に、当該四角形の面積に対応する値とすることができる。また、例えば、一の頂点についての影響度は、上記四角形が凹四角形である場合に、当該頂点を共有する2つの辺と2つの隣接頂点同士を結ぶ線分とで形成される三角形の面積に対応する値とすることができる。
【0051】
また、本実施の形態において、一の辺を除去する場合においては、上記の半直線同士の交点を除去後のマスクパターンにおける頂点とすることができる。また、一の頂点を除去する場合において、四角形が凹四角形ではない場合には、上記の半直線同士の交点を除去後のマスクパターンにおける頂点とすることができる。他方、一の頂点を除去する場合において、四角形が凹四角形である場合には、2本の半直線のうち一方にある第一の点と他方にある第二の点とを除去後のマスクパターンにおける頂点とすることができる。
【0052】
さらに、本実施の形態において、調整前マスク情報は、例えばOPCにより生成された調整前マスクパターン、すなわち目標とする露光パターンに対応するマスクパターンを含んでいてもよい。換言すると、マスク情報調整装置1は、例えば、OPCなどにより最適化されたマスクパターンに対応する多角形の調整前マスクパターン(OPCにより最適化されたものそのものであってもよいし、ILTなどにより得られた曲線のマスクパターンを多角形に近似したものであってもよい)を含む調整前マスク情報を取得して、単純化を行うように構成されていてもよい。
【0053】
以下、このように構成されたマスク情報調整装置1を含むフォトマスク製造システム900の構成について説明する。
【0054】
図1は、本実施の形態におけるフォトマスク製造システム900の概略構成を示す図である。
【0055】
図1に示されるように、本実施の形態において、フォトマスク製造システム900は、マスク情報調整装置1、マスク情報設計装置200、マスク情報変換装置300、及びマスク描画装置501を備える。フォトマスク製造システム900は、フォトマスクの製造に用いられる。各装置は、例えばLANやインターネットなどのネットワークを介して通信可能に接続されているが、これに限られない。
【0056】
マスク情報設計装置200は、集積回路の論理設計、物理設計が行われた後に用いられる。マスク情報設計装置200は、集積回路の物理設計データに基づいて、フォトマスクを製造するためのマスク情報を生成し、出力する。出力されるマスク情報を、ここでは調整前マスク情報と呼ぶ。なお、集積回路の物理設計データ(回路パターン)は、フォトマスク製造システム900により製造されるフォトマスクを用いた露光工程において実現される理想的な露光パターンであるということができる。マスク情報設計装置200は、例えば、OPCやILTなどの手法により、理想的な露光パターンを得られるように最適化されたマスクパターンを生成する。そして、生成したマスクパターン又はそれに対応するマスクパターンである、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を出力する。なお、最適化の程度は問わない。また、本実施の形態において、マスク情報設計装置200からは曲線で構成されたマスクパターンを含むマスク情報が出力され、マスク情報調整装置1にて多角形化されたマスクパターンを含む調整前マスク情報に変換されるようにしてもよい。
【0057】
本実施の形態において、マスク情報調整装置1は、マスク情報設計装置200から送信された調整前マスク情報を取得する。そして、マスク情報調整装置1は、調整前マスク情報のマスクパターンについて単純化処理を行い、単純化されたマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する。単純化により、多角形のマスクパターンの頂点の総数は減少したものとなる。
【0058】
マスク情報変換装置300は、マスク情報調整装置1から送信された調整後マスク情報を取得する。そして、マスク情報変換装置300は、調整後マスク情報に基づいて、マスクデータ準備(MDP)を実行する。マスクデータ準備では、例えば、マスクのレイアウトや、データ作成、及び後の工程で利用可能となるようにデータ形式の変換等が行われる。そして、マスク情報変換装置300は、マスクデータ準備を経て生成したマスク描画データを出力する。
【0059】
マスク描画装置501は、マスク製造プロセスに含まれる装置である。マスク描画装置501は、公知の構成を有するものであり、マスク情報変換装置300から送信されたマスク描画データに従って、マスク用原板に単純化されたマスクパターンなどをビームで描画する。その後、マスク製造プロセスにおいて、現像、エッチング、及びストリッピングなどの各工程を経て、フォトマスクが製造される。
【0060】
図2は、同マスク情報調整装置1のブロック図である。図3は、同フォトマスク製造システム900のブロック図である。
【0061】
図2に示されるように、マスク情報調整装置1は、格納部110、受信部120、受付部130、処理部140、出力部160、及び送信部170を備える。マスク情報調整装置1は、例えば一般的な構成を有するサーバ装置であるが、これに限られず、他の形態の電子計算機であってもよいし、複数の装置が互いに接続されて実現される装置であってもよい。
【0062】
格納部110は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。格納部110には、種々の情報やプログラム等が記憶されている。本実施の形態において、格納部110において記憶されているプログラムにおいて、後述の単純化処理において用いられ、マスクパターンの辺又は頂点を除去するか否かに関する所定の条件(除去条件ということがある)が規定されている。また、同様に、所定の終了条件が規定されている。終了条件は、後述のように処理部140が処理を実行する際に用いられる条件であり、本実施の形態においては、例えば、各頂点又は辺について取得した影響度と所定の閾値との比較結果に関するものである。なお、終了条件は、例えば、いずれかの頂点又は辺の除去を予め決められた回数だけ行ったこと(いずれかの頂点又は辺の除去に関する処理のループ回数が所定回数(N)に達したこと)など、影響度以外の要因に関して定められたものであってもよい。
【0063】
受信部120は、他の装置から送信された情報を受信する。受信部120は、受信した情報を、例えば、格納部110に保存する。本実施の形態において、例えば、マスク情報設計装置200から送信された調整前マスク情報を受信する。
【0064】
受付部130は、マスク情報調整装置1に接続された図示しない入力手段を用いて入力された情報を受け付ける。受付部130は、受け付けた情報を、例えば、格納部110に保存する。なお、入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるもの等、何でもよい。受付部130は、マスク情報調整装置1に接続された読み取り装置(例えば、コードリーダなど)を用いて行われた入力操作(例えば、装置により読み取られた情報も含む)により入力された情報を受け付けてもよい。
【0065】
処理部140は、対象情報取得部141、影響度取得部143、及び除去部145を備える。処理部140は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、以下のように処理部140の各部が行う処理である。
【0066】
対象情報取得部141は、格納部110に保存されている、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する。調整前マスク情報に含まれる多角形のマスクパターンが、単純化の処理対象となる。なお、マスク情報調整装置1がマスク情報設計装置200から曲線のマスクパターンを含むマスク情報を取得したとき、対象情報取得部141は、当該曲線のマスクパターンを多角形のマスクパターンに近似する処理を実行することにより、処理対象となるマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得するように構成されていてもよい。
【0067】
影響度取得部143は、本実施の形態において、以下のように、処理対象となる多角形のマスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を取得する。影響度取得部143は、各影響度を、頂点又は辺に対応付けて取得する。具体的には、それぞれの頂点や辺を識別する識別子と、取得した影響度とを対応付けて格納部110に記憶させることにより、各影響度の取得を行うことができるが、これ以外にも種々の方法を採用しうる。
【0068】
なお、本実施の形態において、影響度とは、当該マスクパターンに対応するフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響を示す度合いを表すものである。影響度の取得については後述する。
【0069】
除去部145は、影響度取得部143により取得されたそれぞれの影響度に基づいて、頂点又は辺の除去を行う。本実施の形態においては、除去部145は、影響度取得部143により取得されたそれぞれの影響度に関する所定の除去条件を満たすか否かを判断する。そして、除去部145は、除去条件を満たすか否かの判断結果に応じて各頂点又は辺の除去を行うことにより、マスクパターンを単純化する。また、除去部145は、影響度取得部143により取得されたそれぞれの影響度に基づいて、所定の終了条件が満たされるか否かを判断する。除去部145は、所定の終了条件が満たされる場合には、各頂点又は辺の除去を行わず、マスクパターンの単純化を終了する。
【0070】
ここで、本実施の形態において、取得した影響度に関する所定の除去条件とは、各頂点又は辺についての影響度と、他の頂点又は辺についての影響度との関係に関する条件であるということができる。具体的には、例えば、各頂点又は辺について取得された影響度のうち、最も影響度が小さいことを、当該頂点又は辺が除去される条件とすることができる。換言すると、他のいずれかの頂点又は辺の影響度よりも、当該頂点又は辺の影響度が大きいことが、当該頂点又は辺が除去対象として選定されない条件ということができる。なお、最も影響度が小さい2以上の所定数の頂点又は辺が一度に除去される対象として選定されるように除去条件が設定されていてもよい。
【0071】
また、本実施の形態において、取得した各影響度が、いずれも、所定の閾値よりも大きい状態において、所定の終了条件が満たされると判断される。すなわち、各頂点又は辺について取得した影響度と所定の閾値とを比較した場合において、いずれの頂点及び点についての影響度も所定の閾値より大きいことが、所定の終了条件であるといえる。
【0072】
なお、除去条件に終了条件が含まれると解釈してもよいし、除去条件と終了条件とが異なる条件であると解釈してもよい。
【0073】
より具体的には、処理部140は、本実施の形態において、以下のように処理を行う。すなわち、影響度取得部143は、処理対象となる多角形のマスクパターンについて、全ての頂点又は全ての辺のそれぞれについての影響度を取得する。除去部145は、各頂点又は辺について取得した影響度と所定の閾値との比較結果が所定の終了条件を満たすか否かを判断する。終了条件を満たさない場合、除去部145は、取得した影響度が最も小さい頂点又は点、すなわち除去条件を満たす頂点又は点の除去を行う。これにより、除去を行った後のマスクパターンが生成される。そうすると、影響度取得部143は、除去を行った後のマスクパターンについて、全ての頂点又は全ての辺のそれぞれについての影響度を取得する。そして、除去部145は、終了条件に関する判断を行って、終了条件を満たさない場合には、取得した影響度が最も小さい頂点又は点、すなわち除去条件を満たす頂点又は点の除去を行う。これにより、さらに除去を行った後のマスクパターンが生成される。このように、処理部140により、終了条件が満たされるまで、全ての頂点又は全ての辺のそれぞれについての影響度の取得と、一の頂点又は辺の除去とが、繰り返して行われる。
【0074】
以上をまとめると、本実施の形態において、処理部140は、マスクパターンの一の頂点又は辺の除去を行い、一の頂点又は辺の除去を行った後のマスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を取得する。処理部140は、予め定められた終了条件を満たさない場合に、取得したそれぞれの影響度が除去条件を満たすか否かに応じてさらにマスクパターンの一の頂点又は辺の除去を行う。他方、処理部140は、終了条件を満たす場合に、マスクパターンの単純化を終了する。より具体的には、処理部140は、一の頂点又は辺の除去を行った後のマスクパターンについて影響度を取得した後で、取得したそれぞれの影響度と所定の閾値とを比較する。処理部140は、比較結果が所定の終了条件を満たす場合にはマスクパターンの単純化を終了する。
【0075】
出力部160は、送信部170等を用いて他の装置に情報を送信することにより情報を出力する。なお、出力方法はこれに限られず、例えばマスク情報調整装置1に設けられたディスプレイデバイスに情報を表示することなどにより情報を出力してもよい。また、マスク情報調整装置1内にて処理部140により処理が行われるように、格納部110などに情報を記憶するように構成されていてもよい。なお、出力部160は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えてもよい。出力部160は、出力デバイスのドライバーソフト又は、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現されうる。
【0076】
本実施の形態において、出力部160は、処理部140により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する。
【0077】
送信部170は、情報を、ネットワーク等を介してマスク情報調整装置1を構成する他の装置に送信する。送信部170は、例えば、マスク情報変換装置300やその他の装置に対して出力される情報の送信を行う。
【0078】
次に、マスク情報設計装置200及びマスク情報変換装置300の構成について説明する。
【0079】
マスク情報設計装置200やマスク情報変換装置300は、例えば一般的な構成を有するサーバ装置であるが、これに限られず、他の形態の電子計算機であってもよいし、複数の装置が互いに接続されて実現される装置であってもよい。マスク情報設計装置200やマスク情報変換装置300は、ネットワークに接続可能であり、ネットワークに接続されている他の装置との間での通信を行えるように構成されている。
【0080】
図3に示されるように、マスク情報設計装置200は、第二格納部210、第二処理部240、及び第二送信部270を備える。第二格納部210には、種々の情報やプログラム等が記憶されている。
【0081】
第二処理部240は、目標露光パターン取得部241、マスクパターン生成部243、及びマスクパターン変換部245を備える。以下に示すように、本実施の形態において、第二処理部240は、目標とする露光パターンに対応する目標マスクパターンを取得する。第二処理部240は、取得した目標マスクパターンに基づいて、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する。
【0082】
目標露光パターン取得部241は、フォトマスク製造システム900により製造されるフォトマスクを用いて得られることが期待される露光パターンを表す情報を取得する。換言すると、目標露光パターン取得部241は、目標とする露光パターンを表す情報を取得する。本実施の形態において、目標とする露光パターンは、設計された回路パターン(フォトマスクを用いた半導体素子製造プロセス)と同一であるが、これに限られない。
【0083】
マスクパターン生成部243は、目標露光パターン取得部241により取得された目標とする露光パターンに基づいて、目標とする露光パターンに対応する目標マスクパターンを生成する。本実施の形態においては、目標マスクパターンは、目標とする露光パターンが得られるように、公知のOPC技術を用いて最適化された、理想的なマスクパターンである。具体的には、例えば、マスクパターン生成部243は、公知のILTの手法を用いて、目標とする露光パターンに対応する理想的なマスクパターンを生成する。このような理想的なマスクパターンは、曲線を含むものである。
【0084】
マスクパターン変換部245は、マスクパターン生成部243により生成された目標マスクパターンを多角形のマスクパターンに変換する。これにより、第二処理部240は、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する。多角形のマスクパターンは、目標とする露光パターンに対応するように近似された、比較的多くの頂点及び辺を有するものである。
【0085】
第二送信部270は、情報を、ネットワーク等を介してマスク情報調整装置1を構成する他の装置に送信する。本実施の形態において、第二送信部270は、マスクパターン変換部245により変換された多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を、マスク情報調整装置1に送信する。
【0086】
マスク情報変換装置300は、第三格納部310、第三受信部320、第三処理部340、及び第三送信部370を備える。第三格納部310には、種々の情報やプログラム等が記憶されている。
【0087】
第三受信部320は、マスク情報調整装置1から送信された調整後マスク情報などの情報を、ネットワークを介して受信する。第三受信部320は、受信した情報を、例えば第三格納部310に蓄積し、第三処理部340などの処理に用いることができるようにする。
【0088】
第三処理部340は、準備部341を備える。第三処理部340は、各種の処理を行う。
【0089】
準備部341は、マスク情報調整装置1で出力された調整後マスク情報に基づいて、上述のようなマスクデータ準備を実行する。これにより、例えば、マスク描画データなどが生成される。
【0090】
第三送信部370は、マスクデータ準備により生成されたマスク描画データを、マスク描画装置501に送信する。これにより、マスク描画装置501において、単純化されたマスクパターンに対応する形状にビームを照射可能になる。
【0091】
なお、上述の処理部140や、第二処理部240や、第三処理部340は、通常、MPUやメモリ等から実現されうる。処理部140や、第二処理部240や、第三処理部340の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
【0092】
また、受信部120や第三受信部320は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されてもよい。
【0093】
また、送信部170や、第二送信部270や、第三送信部370は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されてもよい。
【0094】
マスク情報調整装置1、マスク情報設計装置200、及びマスク情報変換装置300は、それぞれ、1つのサーバにより構成されていてもよいし、互いに連携して動作する複数のサーバにより構成されていてもよいし、その他の機器に内蔵された電子計算機等であってもよい。なお、サーバは、いわゆるクラウドサーバでも、ASPサーバ等でもよく、その種類は問わないことは言うまでもない。
【0095】
ここで、本実施の形態において、影響度取得部143は、マスクパターンの各頂点又は辺について、頂点又は辺を削除することによるマスクパターンの面積の変化量に対応する値を影響度として取得するといえる。具体的には、マスクパターンを構成する一の辺についての影響度及びマスクパターンを構成する一の頂点についての影響度は、それぞれ、以下のようにして取得される。
【0096】
本実施の形態において、影響度取得部143は、マスクパターンを構成する一の辺について、辺と、辺に隣接する隣接辺を含む半直線であって辺と共有する頂点とは異なる頂点を基点とする半直線とで形成される三角形の面積を、影響度として取得する。
【0097】
図4は、同マスク情報調整装置1における一の辺についての影響度の取得及び当該辺の除去について説明する第1の図である。
【0098】
図4においては、多角形のマスクパターンの一部をなす一連の頂点が示されている。一連の頂点を、L-P-Q-Rと名付ける。ここで、破線で示された辺PQに着目する場合、辺PQと、半直線QRと、半直線PLとで形成される三角形PQMの面積(図においてハッチングを付して示す部位の面積)が、影響度として取得される。ここで、半直線QR及び半直線PLは、辺PQに隣接する隣接辺LP、隣接辺QRをそれぞれ含み、かつ、辺PQと共有する頂点P,Qとは異なる頂点L,Rをそれぞれ基点とするものである。ここで、三角形PQMの頂点Mは、隣接辺LPを延長した半直線PL、隣接辺QRを延長した半直線QRとの交点である。
【0099】
なお、このような辺PQが除去される場合、除去後のマスクパターンの当該部分は、半直線PLと、半直線QRと、頂点Mとで構成される形状となる。除去部145は、マスクパターンを構成する一の辺PQを除去する場合において、辺PQに隣接する隣接辺LP、隣接辺QRをそれぞれ含み辺PQと共有する頂点P,Qとは異なる頂点L,Rをそれぞれ基点とする半直線QRと半直線PLとの交点Mを、辺PQの除去後のマスクパターンにおける頂点とする。これにより、除去後のマスクパターンの当該部分の一連の頂点は、L-M-Rとなるといえる。
【0100】
図5は、同マスク情報調整装置1における一の辺についての影響度の取得及び当該辺の除去について説明する第2の図である。
【0101】
図5に示されるような一連の頂点L-P-Q-Rと繋がる形状を有する部位においても、辺PQについての影響度の取得や当該辺の除去については、上述と同様に説明することができる。すなわち、この場合においても、三角形PQMの面積が辺PQについての影響度として取得される。また、辺PQが除去される場合、除去後のマスクパターンの当該部分の一連の頂点は、L-M-Rとなる。
【0102】
図6は、同マスク情報調整装置1における一の辺についての影響度の取得及び当該辺の除去について説明する第3の図である。
【0103】
なお、マスクパターンの形状によっては、図6に示されるような場合も生じうる。すなわち、一連の頂点L-P-Q-Rがあり、辺PQに着目する場合において、辺PQに隣接する一方の隣接辺LPを含み辺PQと共有する頂点Pとは異なる頂点Lを基点とする半直線PLと、辺PQに隣接する他方の隣接辺QRを含み辺PQと共有する頂点Qとは異なる頂点Rを基点とする半直線QRとが、交わらない場合がある。このように、辺PQと、半直線QRと、半直線PLとで三角形が形成されない場合、影響度は無限大となると解釈すればよい。すなわち、このような場合、辺PQが除去対象となることはない。
【0104】
また、本実施の形態において、影響度取得部143は、マスクパターンを構成する一の頂点についての影響度を、当該頂点を共有する2つの辺と、2つの辺のそれぞれに隣接する隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線とで形成される四角形(以下、単に、頂点に対応する注目四角形という)が凹四角形(1内角の大きさが180度を超えるような頂点を持つ四角形)であるか否かに応じて取得する。すなわち、影響度取得部143は、当該頂点に対応する注目四角形が凹四角形ではない場合に、注目四角形の面積を影響度として取得する。他方、影響度取得部143は、当該頂点に対応する注目四角形が凹四角形である場合には、当該頂点を共有する2つの辺と2つの隣接頂点同士を結ぶ線分とで形成される三角形の面積を影響度として取得する。
【0105】
なお、注目四角形が凹四角形ではないことは、注目四角形の2つの対角線同士が交わることと同じであるといえる。すなわち、影響度取得部143は、注目四角形の2つの対角線同士が交わるか否かに応じて、当該頂点について影響度を取得するということができる。
【0106】
また、一の頂点について、隣接辺を含む2本の半直線であってそれぞれ頂点に隣接する隣接頂点とは異なる頂点を基点とする2本の半直線同士が交わらない場合がある。このような場合には、注目四角形が形成されない。このように、2本の半直線同士が交わらずに注目四角形が形成されない場合、影響度は無限大となると解釈すればよい。すなわち、このような場合、当該頂点が除去対象となることはない。
【0107】
図7は、同マスク情報調整装置1における一の頂点についての影響度の取得及び当該頂点の除去について説明する第1の図である。
【0108】
図7においては、多角形のマスクパターンの一部をなす一連の頂点が示されている。一連の頂点を、K-L-P-Q-Rと名付ける。ここで、頂点Pに着目する。この場合、頂点Pに隣接する頂点L及び頂点Qを隣接頂点と呼ぶ。頂点Pに対応する注目四角形は、頂点Pを共有する辺PL及び辺PQと(破線で示す)、辺PLに隣接する隣接辺KLを含み隣接頂点Lとは異なる頂点Kを基点とする半直線LKと、辺PQに隣接する隣接辺QRを含み隣接頂点Qとは異なる頂点Rを基点とする半直線QRとで形成される四角形PQML(図においてハッチングを付して示す)となる。ここで、注目四角形PQMLの頂点Mは、半直線LKと半直線QRとの交点である。
【0109】
図7に示される場合においては、注目四角形PQMLは凹四角形ではない。すなわち、注目四角形PQMLの対角線PMと対角線QLとが交わる。そのため、注目四角形PQMLの面積が、影響度として取得される。
【0110】
なお、このような頂点Pが除去される場合、除去後のマスクパターンの当該部分は、半直線LKと、半直線QRと、頂点Mとで構成される形状となる。すなわち、除去部145は、マスクパターンを構成する一の頂点Pを除去する場合において、注目四角形PQMLが凹四角形ではない場合に、半直線LKと半直線QRの交点Mを除去後のマスクパターンにおける頂点とする。これにより、除去後のマスクパターンの当該部分の一連の頂点は、K-M-Rとなるといえる。
【0111】
図8は、同マスク情報調整装置1における一の頂点についての影響度の取得及び当該頂点の除去について説明する第2の図である。
【0112】
図8に示されるような一連の頂点K-L-P-Q-Rと続く形状を有する部位においても、頂点Pについての影響度の取得や当該辺の除去については、上述と同様に説明することができる。すなわち、この場合においても、注目四角形である四角形PQMLは凹四角形ではない。そのため、注目四角形PQMLの面積が頂点Pについて影響度として取得される。また、頂点Pが除去される場合、除去後のマスクパターンの当該部分の一連の頂点は、K-M-Rとなる。
【0113】
図9は、同マスク情報調整装置1における一の頂点についての影響度の取得及び当該頂点の除去について説明する第3の図である。
【0114】
図9において示されるような、多角形のマスクパターンの一部をなす一連の頂点K-L-P-Q-Rにおいて、頂点Pに着目する。この場合、四角形PQMLが注目四角形となる。図9において示される注目四角形PQMLは凹四角形である。すなわち、注目四角形PQMLの対角線PMと対角線QLとは交わらない。このように注目四角形PQMLが凹四角形である場合には、頂点Pを含む辺PL及び辺PQと、2つの隣接頂点L,Q同士を結ぶ線分LQとで形成される三角形PQLの面積(図においてハッチングを付して示す部位の面積)が影響度として取得される。
【0115】
なお、本実施の形態において、除去部145は、このようなマスクパターンを構成する一の頂点Pを除去する場合に、除去後のマスクパターンの当該部分において、2本の半直線のうち一方の半直線LKにある第一の点L’と、他方の半直線QRにある第二の点Q’とを除去後のマスクパターンにおける頂点とすることが好ましい。この場合、除去後のマスクパターンの当該部分の一連の頂点は、K-L’-Q’-Rとなるようにすればよい。この場合において、第一の点L’と第二の点Q’とのそれぞれの位置は、第一の点L’と第二の点Q’とを結ぶ線分L’Q’と、隣接頂点L,Q同士を結ぶ線分LQと、半直線LK及び半直線QRと、で形成される四角形LL’Q’Qの面積と、三角形PQLの面積とが等しくなるように設定されるのが好ましい。このように第一の点L’と第二の点Q’とを除去後のマスクパターンにおける頂点とすることにより、頂点除去の影響を小さくすることができる。
【0116】
なお、除去部145は、このようなマスクパターンを構成する一の頂点Pを除去する場合において、注目四角形PQMLは凹四角形である場合に、頂点Pの除去後のマスクパターンの当該部分の一連の頂点がK-L-Q-Rとなるようにしてもよい。
【0117】
なお、図9に示されるように注目四角形PQMLが凹四角形である場合において、頂点P、頂点Mから直線LQに降ろした垂線の交点をそれぞれS,Tとする。頂点S、Tが線分LQ上に存在しない場合には、頂点Pの除去が行われない。また、線分MTが線分PSよりも短い場合も、頂点Pの除去が行われない。このような場合には、影響度は無限大となると解釈すればよい。
【0118】
以下に、マスク情報設計装置200、マスク情報調整装置1、及びマスク情報変換装置300において行われる処理の流れの一例について説明する。
【0119】
図10は、同マスク情報設計装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
【0120】
(ステップS11)目標露光パターン取得部241は、目標とする目標露光パターンを表す情報を取得する。
【0121】
(ステップS12)マスクパターン生成部243は、OPC等を行うことにより、目標露光パターンに対応する目標マスクパターンを取得する。
【0122】
(ステップS13)マスクパターン変換部245は、取得されたマスクパターンを多角形のマスクパターンに変換する。これにより、第二処理部240は、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する。
【0123】
(ステップS14)第二送信部270は、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を出力する。すなわち、第二送信部270は、調整前マスク情報を、マスク情報調整装置1に送信する。
【0124】
図11は、同マスク情報調整装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0125】
(ステップS31)対象情報取得部141は、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する。調整前マスク情報は、例えば、受信部120により受信され、格納部110に記憶されている。
【0126】
(ステップS32)影響度取得部143は、処理対象となる多角形のマスクパターンのそれぞれの頂点又は辺についての影響度を取得する。上述のように、影響度の取得方法は、頂点についての影響度と辺についての影響度とで異なり、また、頂点についての影響度の取得方法は、注目四角形が凹四角形であるか否かにより異なるが、ここでの説明は省略する。なお、影響度取得部143は、ステップS32を行う回数が2回目以降である場合、前回影響度を取得した場合からマスクパターンの形状の変化に伴って影響度が変化する頂点又は辺についての影響度のみを取得するようにしてもよいし、ステップS32を行う度に全部の頂点又は辺についての影響度を取得するようにしてもよい。
【0127】
(ステップS33)除去部145は、各頂点又は辺について取得した影響度と所定の閾値とを比較する。
【0128】
(ステップS34)除去部145は、比較結果が所定の終了条件を満たすか否かを判断する。本実施の形態においては、除去部145は、いずれの頂点及び点についての影響度も所定の閾値より大きいか、否か(所定の閾値よりも小さい影響度の頂点又は点があるか)を判断する。比較結果が所定の終了条件を満たすと判断された場合には、ステップS36にすすむ。そうでない場合には、ステップS35に進む。
【0129】
(ステップS35)除去部145は、単純化処理を行う。単純化処理の流れについては、後述する。その後、ステップS32に戻る。
【0130】
(ステップS36)出力部160は、処理部140により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する。これにより、調整後マスク情報がマスク情報変換装置300に送信される。
【0131】
図12は、同マスク情報調整装置1の単純化処理の一例を示すフローチャートである。
【0132】
(ステップS101)除去部145は、処理対象となっているマスクパターンについて、影響度が最も小さいものが頂点についての影響度であるか否かを判断する。最も小さい影響度が頂点のものである場合には、ステップS102に進む。そうでない場合すなわち辺についての影響度が最も小さい場合には、ステップS105に進む。
【0133】
(ステップS102)除去部145は、影響度が最も小さい頂点を除去するための処理を開始する。すなわち、除去部145は、まず、影響度が最も小さい頂点についての注目四角形が凹四角形であるか否かを判断する。注目四角形が凹四角形である場合には、ステップS103に進む。そうでない場合には、ステップS104に進む。
【0134】
(ステップS103)除去部145は、上述のように、2本の半直線のうち一方にある第一の点と他方にある第二の点とを頂点とし、影響度が最も小さい頂点を除去したマスクパターンを生成する。
【0135】
(ステップS104)他方、除去部145は、上述のように、2本の半直線同士の交点を頂点とし、影響度が最も小さい頂点を除去したマスクパターンを生成する。
【0136】
このようにして影響度が最も小さい頂点の除去が行われると、図11の処理に戻る。
【0137】
(ステップS105)除去部145は、影響度が最も小さい辺を除去するための処理を行う。すなわち、除去部145は、影響度が最も小さい辺に隣接する隣接辺をそれぞれ含む半直線であって当該辺と共有する頂点とは異なる頂点を基点とする半直線同士の交点を頂点とし、影響度が最も小さい辺を除去したマスクパターンを生成する。
【0138】
このようにして影響度が最も小さい辺の除去が行われると、図11の処理に戻る。
【0139】
図13は、同マスク情報変換装置300の動作の一例を示すフローチャートである。
【0140】
(ステップS71)第三処理部340は、調整後マスク情報を取得する。調整後マスク情報は、例えば、第三受信部320により受信され、第三格納部310に記憶されている。
【0141】
(ステップS72)準備部341は、調整後マスク情報に基づいて、マスクデータ準備を実行する。
【0142】
(ステップS73)第三送信部370は、マスクデータ準備により生成されたマスク描画データを、マスク描画装置501に送信する。
【0143】
このような処理が行われると、マスク描画データを用いて、マスク描画装置501による工程が開始可能となる。
【0144】
以下に、本実施の形態に係る方法によるマスクパターンの単純化例について説明する。
【0145】
図14は、同マスク情報調整装置1の単純化処理の一例を示す第1の図である。
【0146】
まず、マスクパターン(例示のため、1つのポリゴンが示されている)におけるすべての辺と頂点についての影響度が計算される。図14において、マスクパターンの各頂点と各辺とについて取得された影響度が、一例として、当該頂点又は辺の傍に示されている。
【0147】
次に、マスクパターン中のすべての辺と頂点の中で、最も影響度が小さいもの、すなわち辺a(影響度=1.7)が除去される。辺aの周辺の頂点及び辺について、それぞれ、図に示すように呼ぶ。
【0148】
図15は、同マスク情報調整装置1の単純化処理の一例を示す第2の図である。
【0149】
図15においては、図14における辺aの周辺部が拡大して示されている。辺aが除去される場合、半直線egと半直線bdとの交点Mが、新たな頂点となる。この結果、辺aとその両隣の頂点b及び頂点eは消滅する。
【0150】
図16は、同マスク情報調整装置1の単純化処理の一例を示す第3の図である。
【0151】
図16に示されるように、このように元の辺aが頂点b及び頂点eと共に除去された場合、半直線egと半直線bdとの交点が、新たな頂点a’となる。頂点a’と頂点dとを結ぶ線分a’dを辺c’と表し、頂点a’と頂点gとを結ぶ線分a’gを辺f’と表す。このように除去後のマスクパターンの形状が変化すると、除去前の辺c及び辺fと、その先にある頂点d及び頂点gの影響度が変化する。この変化した影響度が再度取得された状態が、図16に示されている。
【0152】
このような除去後のマスクパターンにおいては、影響度が最小となるのは、辺h(影響度=2.0)となる。この場合、辺hが除去され、除去後の周辺の影響度が再度取得される。このように、本実施の形態においては、影響度が小さいものから順に、除去と周辺影響度の再取得とが繰り返される。そして、マスクパターン中の辺又は頂点についての影響度がすべて一定値以上になったとき、単純化処理が終了する。
【0153】
図17は、同マスク情報調整装置1の単純化処理の一例を示す第4の図である。
【0154】
図17においては、すべての辺及び頂点についての影響度が、4以上となった状態が示されている。終了条件としてマスクパターン中の辺又は頂点についての影響度がすべて4以上になることが設定されている場合には、このような状態で単純化処理が終了し、マスク情報変換装置300におけるマスクデータ準備工程に移ることとなる。
【0155】
以上説明したように、本実施の形態においては、滑らかな曲線を近似した多角形のマスクパターンなどの複雑な多角形のマスクパターンを含むマスク情報について、高精度な露光パターンを得ることができるようにしながら、計算負荷が小さい方法でマスク情報のデータサイズを小さくすることができる。
【0156】
以下に、本実施の形態における単純化処理を行ったマスクパターンと、従来例のマスクパターンとのそれぞれについて、製造されるフォトマスクの製造に関するシミュレーション結果を示す。以下の従来例においては、既存の特定のOPCソフトウェアにより頂点数削減処理を行った結果が用いられている。この従来例における頂点数削減処理においては、一定領域ごとに頂点の間引きが行われる。
【0157】
図18は、同マスク情報調整装置1の単純化処理の結果に関するグラフである。
【0158】
図18において示されるグラフは、縦軸をEPEとし、横軸を単純化処理後の頂点数としたものである。上段は本実施の形態における単純化処理を行ったものについてのグラフであり、下段は従来例のグラフである。各グラフの最も右側のプロット(約80Mpt)は、単純化処理や頂点数削減処理を行わなかった場合のものである。各グラフでは、調整前のマスクパターンと調整後のマスクパターンとの比較から、マスク全体の平均EPE(Edge Placement Error)を求めた結果が示されている。両グラフを比較すると、本実施の形態における単純化処理を行った場合には、頂点数の全域において、EPEの値が小さいことが見て取れる。
【0159】
なお、マスク情報調整装置1や、フォトマスク製造システム900のその他の装置の構成は、上記の実施の形態に限られない。すなわち、マスク情報調整装置1の構成が他の装置に含まれていたり、他の装置の構成がマスク情報調整装置1に含まれていたりしてもよい。例えば、マスク情報調整装置1は、出力部160により出力された調整後マスク情報に基づいて、マスクデータ準備を実行する準備部341をさらに備えており、マスク情報調整装置1がMPC/MDP処理等も行うことができるようにしてもよい。この場合、上述のマスク情報変換装置300がマスク情報調整装置1の構成を含んでいると解釈することも可能である。また、例えば、マスク情報調整装置1は、OPCを行ったり単純化前の多角形のマスクパターンを生成したりするマスクパターン生成部243やマスクパターン変換部245等をさらに備えており、マスク情報調整装置1が、高精度の露光パターンを得ることができデータサイズが小さいマスク情報を生成することができるように構成されていてもよい。この場合、上述のマスク情報設計装置200がマスク情報調整装置1の構成を含んでいると解釈することも可能である。
【0160】
例えば、OPCの後処理としてマスク情報調整装置1を用いる場合には、以下のような利点がある。すなわち、ILT処理の実施によって、プログラム内部でなめらかな曲線を得られたとする。ここで通常の多角形近似を十分な精度で行った後、本実施の形態による単純化処理を施すと、最終的なマスクの性能を損なうことなく、少ないデータ量でILT所望のマスクパターンを出力することができる。少ないデータ量により、各種のデータ転送を短時間で行うことができるようになる。そのあとのMPCを含むマスクデータ準備系への負荷は軽くなるし、さらにそのあとのマスク描画装置501へのデータ転送も短時間で行うことができる。フォトマスク製造システム900の全体を通して、データ処理のスループットを向上させることができる。
【0161】
また、例えば、データ処理工程としてOPC実行した後に、当該設備において連続的にMPC/MDPを行うパイプライン方式を採用するようにしてもよい。このようにOPC-MPC/MDPパイプライン処理の中間処理としてマスク情報調整装置1を用いる場合においても、上述と同様に、MPC/MDP処理、及びマスク描画装置501への転送を短時間で行うことができる。
【0162】
また、例えば、OPCが十分な近似度で多角形群を出力した場合、後段のMPC/MDP処理の前に本実施の形態の単純化処理を行うようにしてもよい。このようにMPC/MDPの前処理としてマスク情報調整装置1を用いる場合においても、上述と同様に、MPC/MDP処理にかかる時間が、単純化を行わない場合に比べて短縮される。またMDP処理後のデータの描画機への転送も短時間で行われるようになる。なお、このようにする場合において、MPC/MDP処理への入力は、OPCの出力である必要はない。滑らかな曲線を表現しようとする任意のパターンに対して、本実施の形態に係る単純化処理の効果が期待できる。例えばフォトニックデバイスのパターンについて本実施の形態に係る単純化処理を用いることができる。
【0163】
なお、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現してもよい。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布してもよい。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布してもよい。なお、本実施の形態における、マスク情報調整装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、フォトマスクの製造に用いるマスク情報を調整するコンピュータを、多角形のマスクパターンを含む調整前マスク情報を取得する対象情報取得部と、マスクパターンに対応してフォトマスクを用いて生成される露光パターンに対する、マスクパターンのそれぞれの頂点又は辺の除去についての影響度を当該頂点又は点に対応付けて取得して、取得したそれぞれの影響度が所定の条件を満たすか否かに応じて各頂点又は辺の除去を行うことによりマスクパターンを単純化する処理部と、処理部により単純化された後のマスクパターンを含む調整後マスク情報を出力する出力部として機能させるための、プログラムである。
【0164】
(その他)
【0165】
図19は、上記実施の形態におけるコンピュータシステム800の概観図である。図20は、同コンピュータシステム800のブロック図である。
【0166】
これらの図においては、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した実施の形態のマスク情報調整装置1等を実現するコンピュータの構成が示されている。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現されうる。
【0167】
コンピュータシステム800は、CD-ROMドライブを含むコンピュータ801と、キーボード802と、マウス803と、モニタ804とを含む。
【0168】
コンピュータ801は、CD-ROMドライブ8012に加えて、MPU8013と、CD-ROMドライブ8012等に接続されたバス8014と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM8015と、MPU8013に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶するとともに一時記憶空間を提供するためのRAM8016と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するためのハードディスク8017とを含む。ここでは、図示しないが、コンピュータ801は、さらに、LANへの接続を提供するネットワークカードを含んでもよい。
【0169】
コンピュータシステム800に、上述した実施の形態の情報処理装置等の機能を実行させるプログラムは、CD-ROM8101に記憶されて、CD-ROMドライブ8012に挿入され、さらにハードディスク8017に転送されてもよい。これに代えて、プログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ801に送信され、ハードディスク8017に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM8016にロードされる。プログラムは、CD-ROM8101またはネットワークから直接、ロードされてもよい。
【0170】
プログラムは、コンピュータ801に、上述した実施の形態の情報処理装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティープログラム等を、必ずしも含まなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいればよい。コンピュータシステム800がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0171】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0172】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0173】
また、上記実施の形態において、一の装置に存在する2以上の構成要素は、物理的に一の媒体で実現されてもよい。
【0174】
また、上記実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい(この場合、分散処理を行う複数の装置により構成されるシステム全体を1つの「装置」として把握することが可能である)。
【0175】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、又は、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0176】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、又は長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、又は、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、又は、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0177】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、又は、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0178】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0179】
上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0180】
以上のように、本発明にかかるマスク情報調整装置は、露光パターンに大きな影響が及ばないようにしてマスク情報のデータサイズを低減することができるという効果を有し、マスク情報調整装置等として有用である。
【符号の説明】
【0181】
1 マスク情報調整装置
110 格納部
120 受信部
130 受付部
140 処理部
141 対象情報取得部
143 影響度取得部
145 除去部
160 出力部
170 送信部
200 マスク情報設計装置
210 第二格納部
240 第二処理部
241 目標露光パターン取得部
243 マスクパターン生成部
245 マスクパターン変換部
270 第二送信部
300 マスク情報変換装置
310 第三格納部
320 第三受信部
340 第三処理部
341 準備部
370 第三送信部
501 マスク描画装置
900 フォトマスク製造システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20