(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】コンパクト容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240620BHJP
B65D 43/22 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A45D33/00 610K
B65D43/22 100
(21)【出願番号】P 2021029364
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-245165(JP,A)
【文献】実開平06-058808(JP,U)
【文献】実開昭59-048311(JP,U)
【文献】実開昭55-062225(JP,U)
【文献】特開2010-155024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0034080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00 - 33/38
B65D 43/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、該容器本体に被さる蓋体と、該容器本体と該蓋体の後端部同士を連結して該蓋体を開閉可能に支持するヒンジ部と、を備えるコンパクト容器において、
前記容器本体及び前記蓋体の何れか一方の前端部に、一の磁極が該容器本体及び該蓋体の何れか他方に向けられ
、他の磁極が前記一の磁極とは反対方向に向いた状態で設けられる第一磁石を備え、
前記容器本体及び前記蓋体の何れか他方の前端部に、
水平な中心軸を中心に揺動可能に支持されるとともに第二磁石を有する揺動体を備え、
前記第二磁石は、平板状であって、厚み方向の一方が前記一の磁極と異極の磁極を持ち、厚み方向の他方が前記一の磁極と同極の磁極持つとともに、前記異極の磁極及び前記同極の磁極は、前記厚み方向に直交する方向の端部をそれぞれ備え、
前記揺動体は、前
記異極の磁極の
前記端部及び
前記同極の磁極の
前記端部が
前記一の磁極に向けられて前記容器本体に対して前記蓋体が閉じる第一位置と、
前記同極の磁極
における厚み方向の面が
前記一の磁極に向けられて該容器本体に対して該蓋体が開く第二位置との間で揺動するコンパクト容器。
【請求項2】
前記容器本体及び前記蓋体の何れか他方は、該容器本体及び該蓋体の何れか一方と前記揺動体との間に位置して該揺動体を覆う庇部を有する、請求項1に記載のコンパクト容器。
【請求項3】
前記容器本体及び前記蓋体の何れか他方は、前記揺動体が前記第二位置に移動した際に該揺動体に係合する一方、該容器本体に対して該蓋体を閉じると該揺動体との係合が解除される係合部を有する、請求項1又は2に記載のコンパクト容器。
【請求項4】
前記容器本体及び前記蓋体の何れか一方の前端部に、前記容器本体に対して前記蓋体を閉じた際に該容器本体及び該蓋体の何れか他方に当接する凸部を備える、請求項1~3の何れか一項に記載のコンパクト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば粉体の化粧料を固形化したプレストパウダーの如き固形内容物を携帯する際に使用される容器として、固形内容物を収めた中皿が収容される容器本体と、容器本体に被さって容器本体を閉塞する蓋体と、容器本体と蓋体の後端部同士を連結して蓋体を開閉可能に支持するヒンジ部とを備えるコンパクト容器が既知である。
【0003】
このようなコンパクト容器は、容器の前側(ヒンジ部の逆側)に、蓋体を閉じた状態で維持するためのフック構造が設けられている(例えば特許文献1参照)。フック構造は一般に、容器本体に設けた爪状の係止部と蓋体に設けた爪状の係止部が係合しあうことで蓋体を閉じた状態とし、容器本体に設けたフックピースを押し込むことで2つの係止部の係合が解除されるように構成されている。
【0004】
また特許文献2のように、係止部同士が係合するフック構造に代えて、磁石によって蓋体を閉じた状態にする機構も提案されている。特許文献2の機構は、磁石を備える押しボタンを容器本体に設けるとともに蓋体にも磁石を設け、2つの磁石が引き合う力を利用して蓋体を閉じた状態で維持するものである。この機構では、押しボタンを押せば容器本体側の磁石の位置がずれるため、2つの磁石が反発して蓋体を開くことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-154098号公報
【文献】実開平6-76108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで上述したフック構造は、2つの係止部が係合する際に衝撃音(係合時に“パチン”と発せられる音)が生じることから高級感が損なわれると感じることがある。また、押し込まれるフックピースが進退移動する際の空間が必要になるため、内容物等を収容するための有効スペースが狭くなる(或いは有効スペースを確保するため容器本体が大きくなる)という問題を抱えている。一方、磁石を用いた機構ではこのような衝撃音は生じないものの、フックピースと同じように押しボタンが移動するため、上記の問題が依然として残っている。
【0007】
本発明はこのような問題点を解決することを課題とするものであって、蓋体を閉めた際の衝撃音を生じさせず、また従来に比して内容物等を収容するための有効スペースを広げることができるコンパクト容器を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容器本体と、該容器本体に被さる蓋体と、該容器本体と該蓋体の後端部同士を連結して該蓋体を開閉可能に支持するヒンジ部と、を備えるコンパクト容器において、前記容器本体及び前記蓋体の何れか一方の前端部に、一の磁極が該容器本体及び該蓋体の何れか他方に向けられ、他の磁極が前記一の磁極とは反対方向に向いた状態で設けられる第一磁石を備え、前記容器本体及び前記蓋体の何れか他方の前端部に、水平な中心軸を中心に揺動可能に支持されるとともに第二磁石を有する揺動体を備え、前記第二磁石は、平板状であって、厚み方向の一方が前記一の磁極と異極の磁極を持ち、厚み方向の他方が前記一の磁極と同極の磁極持つとともに、前記異極の磁極及び前記同極の磁極は、前記厚み方向に直交する方向の端部をそれぞれ備え、前記揺動体は、前記異極の磁極の前記端部及び前記同極の磁極の前記端部が前記一の磁極に向けられて前記容器本体に対して前記蓋体が閉じる第一位置と、前記同極の磁極における厚み方向の面が前記一の磁極に向けられて該容器本体に対して該蓋体が開く第二位置との間で揺動するコンパクト容器である。
【0009】
前記容器本体及び前記蓋体の何れか他方は、該容器本体及び該蓋体の何れか一方と前記揺動体との間に位置して該揺動体を覆う庇部を有することが好ましい。
【0010】
前記容器本体及び前記蓋体の何れか他方は、前記揺動体が前記第二位置に移動した際に該揺動体に係合する一方、該容器本体に対して該蓋体を閉じると該揺動体との係合が解除される係合部を有することが好ましい。
【0011】
前記容器本体及び前記蓋体の何れか一方の前端部に、前記容器本体に対して前記蓋体を閉じた際に該容器本体及び該蓋体の何れか他方に当接する凸部を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコンパクト容器によれば、揺動体が第一位置に揺動した状態で蓋体を閉じることができ、また揺動体を第二位置に揺動させると蓋体を開くことができる。また磁石を利用しているため、上述したフック構造のように蓋体を閉めた際に衝撃音が生じることがない。そして揺動体は、揺動軸を中心に揺動するだけであって、従来のようにフックピース等が進退移動するための空間は不要であるため、内容物等を収容するための有効スペースを広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るコンパクト容器の一実施形態を示す、(a)は蓋体を開いた状態での平面図であり、(b)は蓋体を閉じた状態での正面図である。
【
図2】
図1に係るコンパクト容器に関して蓋体を閉じた状態を示す、(a)は
図1のA-Aに沿う断面図及び部分拡大断面図であり、(b)は
図1のB-Bに沿う部分拡大断面図である。
【
図3】
図1に係るコンパクト容器に関し、揺動体を第二位置に揺動させた状態を示す断面図及び部分拡大断面図である。
【
図4】(a)は開いた蓋体を押圧する状態を示した部分拡大断面図であり、(b)は第二位置の揺動体が第一位置に揺動して蓋体が閉じる状態を示した部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明に係るコンパクト容器の一実施形態について説明する。なお、本明細書等における「上」、「下」とは、基本的には容器本体1が水平面に載置される状態での向き(
図2(a)に示す向き)である。また「前」は、揺動体8を設けた側であり、「後」とは、その逆側である。また「左」、「右」とは、前方から後方に向かって見る際の左右方向である。
【0015】
図1、
図2は、本発明に係るコンパクト容器の一実施形態を示している。本実施形態のコンパクト容器100は、粉体の化粧料を固形化したプレストパウダーの如き固形内容物を携帯する際に使用される。コンパクト容器100は、容器本体1と、蓋体2(蓋体本体3と、鏡4と、第一磁石5で構成される)と、ヒンジ部6(軸体7と、後述する容器側軸穴1b、及び蓋体側軸穴3bで構成される)と、揺動体8(ケース9と、第二磁石10で構成される)を備えている。コンパクト容器100を構成する各部材は、第一磁石5と第二磁石10を除いて基本的に合成樹脂で形成されるが、他の素材(例えば軸体7は金属で形成し、鏡4はガラスで形成する等)で形成してもよい。
【0016】
容器本体1は、
図1、
図2に示すように概略的に有底筒状になるものであって、平面視で矩形状をなすように形作られている。容器本体1における後端部の中央には、
支持部1aが設けられている。
支持部1aの左右両側には、円形の容器側軸穴1bが設けられている。容器側軸穴1bには、円柱状になる軸体7が挿通される
。
【0017】
容器本体1の前後方向中央部には、2つの収容凹部1cが設けられている。本実施形態では、左側の収容凹部1cに、有底筒状をなしていて内側に固形内容物が収められる中皿11が収容される。また右側の収容凹部1cには、パフ等の塗布具が収容される。
【0018】
容器本体1の前端部の中央には、
図2(a)に示すように、上下方向に延在する前側壁部1dと、前側壁部1dの上端部に連結して後方から前方に向けて延在する庇部1eと、前側壁部1dの下端部に連結して後方から前方に向けて延在する下側壁部1fが設けられている。
図2(a)の部分拡大図に示すように下側壁部1fの前端部は、下側壁部1fを下方に向けて凹ませて凹状になっている。またこの凹状になる部位の後側部は、上下方向に延在し、前側部は上方に向けて突出している。ここで、上下方向に延在する部位を垂直壁部1gと称し、上方に向けて突出する部位を係合部1hと称する。前側壁部1d、庇部1e、及び下側壁部1fによって、容器本体1の前端部の中央には、上方が閉鎖されるとともに前方と下方が開放された空間1jが区画される。
【0019】
また容器本体1は、空間1jの左右両側において、
図2(b)に示すように前方が開口するU字状の溝部1kを備えている。溝部1kの内側面(溝部1kにおける上側に位置する面と下側に位置する面)には、膨出部1mが設けられている。
【0020】
蓋体本体3は、これを閉めた際に容器本体1の上面を覆うように形作られている。蓋体本体3は、
図1に示すように、
支持部1a
が収まる
切欠き部3aを備えている。
切欠き部3aの左右方向端部には、軸体7が挿通される円形の蓋体側軸穴3bが設けられている。なお、上述した容器側軸穴1bと蓋体側軸穴3bの何れか一方は、軸体7を保持するものであり、何れか他方は、軸体7に対して摺動するものであって、これにより蓋体本体3は、容器本体1に対して揺動可能に支持されている。
【0021】
蓋体本体3の裏面(蓋体本体3を閉じたときの下面)には、
図2(a)に示すように、蓋体本体3に取り付けられる鏡4が収まる凹部3cが設けられている。蓋体本体3の前端部中央には、第一磁石5が保持される凹状の保持部3dが設けられている。また蓋体本体3の前端部中央における裏面には、
図1、
図3(a)に示すように、この裏面から突出する凸部3eが設けられている。
【0022】
第一磁石5は、本実施形態では図示したように平板状に形成されている。第一磁石5は、蓋体本体3を閉じたときに一の磁極が下方を向く状態で、保持部3dに取り付けられる。本実施形態の第一磁石5は、
図2(a)の部分拡大図に示すようにS極が下方を向く状態で取り付けられている。
【0023】
そして揺動体8におけるケース9は、
図1、
図2に示すように、ケース9の左右方向中央(幅方向中央)に位置する操作部9aと、操作部9aの両端部に設けられた円柱状の軸部9bを備えている。なお、以下の説明において軸部9bの中心軸を中心軸Cと称する。
【0024】
図2(a)に示すように操作部9aは、横断面形状において、中心軸Cを基準として後方においては、上側は中心軸Cを中心として円弧状に延在していて、下側は円弧状になる部分に滑らかにつながるとともに傾斜しながら前方に向けて延在している。また中心軸Cを基準として前方においては、上側は上述した円弧状になる部分から前方に向けて水平方向に延在し(以下、この部位を上側水平部9cと称する)、前側は上方から下方に向かうにつれて後方へ凹むように湾曲しながら延在し、下側は下方に向けて突出し(以下、この部位を下側突起部9dと称する)、その後は後方に向けて水平方向に延在して、上述した傾斜する部分につながっている。
【0025】
また操作部9aには、下方から上方に向かうにつれて前方に傾きながら延在する切欠き部9eが設けられている。切欠き部9eの内側面には、膨出部9fが設けられている。
【0026】
第二磁石10は、本実施形態では平板状に形成されている。第二磁石10は、
図2(a)に示すように厚み方向の一方が一の磁極(例えばN極)を持ち、厚み方向の他方が他の磁極(例えばS極)を持つものである。
【0027】
そして第二磁石10を、
図2(a)に示すようにN極が前方を向く状態で切欠き部9eに挿入すると、第二磁石10は膨出部9fによって抜け止めされた状態でケース9に保持される。ケース9に第二磁石10を取り付けた揺動体8は、
図2(b)に示した溝部1kに軸部9bを挿入することによって容器本体1に支持され、軸部9bは、膨出部1mによって抜け止めされる。このように容器本体1に支持された状態においては、揺動体8を、
図2(a)に示すように上側水平部9cが庇部1eに当接する位置(以下、第一位置と称する)と、
図3に示すように下側突起部9dが垂直壁部1gに当接する位置(以下、第二位置と称する)との間で揺動させることができる。
【0028】
このような形態になるコンパクト容器100は、
図2(a)に示す状態において、第一磁石5のS極は下方に向けられている。また第二磁石10は、N極の端部とS極の端部が第一磁石5に向けられている。なお第二磁石10におけるN極の端部は、図示したように第一磁石5のS極における前後方向中央部の直下に位置し、第二磁石10におけるS極の端部は、第一磁石5のS極における前後方向後端部の直下に位置している。すなわち、第一磁石5のS極からの磁束は、第二磁石10におけるN極の端部の方がS極の端部よりも大きくなる。この状態において、第一磁石5には第二磁石10のN極からの吸引力が作用するため、容器本体1に対して蓋体2を閉じた状態にすることができる。ここで第二磁石10のS極は、第一磁石5からの反発力を受けるため、揺動体8は、
図2(a)に示す矢印の向きに揺動しようとする。しかし上側水平部9cが庇部1eに当接するため、揺動体8は第一位置で留まることになる。このため、蓋体2を閉じた状態のままにすることができる。
【0029】
蓋体2を開くにあたっては、
図3に示した矢印Xのように揺動体8の前方下端部を押圧する。これにより揺動体8は、反時計回りに揺動し、下側突起部9dが垂直壁部1gに当接する第二位置で停止する。本実施形態の揺動体8は、中心軸Cを中心として第一位置から第二位置まで約45°揺動する。また第二位置において下側突起部9dは、係合部1hによって軽く係合している。この状態において第二磁石10のS極は、
図3において仮想線で示した閉じた状態の蓋体2における第一磁石5のS極に対向する。このため第一磁石5には、第二磁石10からの反発力が作用するため、容器本体1に対して蓋体2の前端部を浮き上がらせることができる。なお、この状態において揺動体8は、下側突起部9dが係合部1hに係合していて第二位置で停止しているため、蓋体2を浮き上がらせた状態のままにしておくことができる。その後は容器本体1を手で押さえつつ、浮き上がった蓋体2をもう一方の手で持ち上げることにより、蓋体2を全開状態にすることができる。
【0030】
そして開いた蓋体2を閉めるには、
図4(a)に示す矢印Yのように蓋体2を下方に向けて押し下げる。すなわち、蓋体2が下方に移動するにつれ、第一磁石5のS極が第二磁石10のS極に近づくため、第一磁石5が及ぼす第二磁石10への反発力は次第に大きくなる。なお、下側突起部9dは係合部1hに軽く係合しているものの、第一磁石5からの反発力が大きくなると、下側突起部9dと係合部1hとの係合が解除されて、揺動体8は、
図4(b)に示す第一位置まで揺動する。すなわち本実施形態のコンパクト容器100では、開いた蓋体2を閉じた状態にするにあたって揺動体8を揺動させる必要はなく、蓋体2を押し下げるだけで済むため、使い勝手に優れる。
【0031】
このように本実施形態のコンパクト容器100によれば、蓋体2を簡単な操作で開閉することができる。また蓋体2を閉めた際、従来のフック構造のような衝撃音が発生することがない。また本実施形態の蓋体2は、
図1、
図3(a)に示すように凸部3eを備えていて、蓋体2を閉じた際に容器本体1に当たる部位が狭くなっているため、蓋体2を閉じる際の接触音を低減させることができる。更に本実施形態のコンパクト容器100によれば、従来のフックピース等が必要としていた進退移動するための空間も不要であるため、容器本体1の有効スペースを従来に比して広げることができる。また、フックピース等を設けた従来のコンパクト容器の場合、蓋体を開くとフックピース及び進退移動するための空間が視認され、見栄えの点で難があったが、本実施形態では、庇部1eによって揺動体8が隠れるため見栄えの点でも優れている。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0033】
例えば本実施形態では、
図2(a)に示す状態で、第一磁石5はS極が下方を向くようにして蓋体本体3に取り付けられ、第二磁石10はN極が前方を向く状態でケース9に取り付けられていたが、両者の向きを逆にして、第一磁石5はN極が下方を向くようにして蓋体本体3に取り付けられ、第二磁石10はS極が前方を向く状態でケース9に取り付けられるようにしてもよい。また、容器本体1に第二磁石10を備える揺動体8を設け、蓋体2に第一磁石5を設けたが、揺動体8を蓋体2に設け、容器本体1に第一磁石5を設けてもよい。そして
図1、
図3(a)に示した凸部3eは、蓋体2に替えて容器本体1に設けてもよい。また揺動体8は、本実施形態のように約45°の範囲で揺動するものに限られず、これより小さい範囲で揺動するようにしてもよいし、これより大きい範囲で揺動するようにしてもよい。なお、揺動体8が揺動する範囲が大きすぎると(例えば揺動体8が一回転する程度までになると)、蓋体2を開くにあたって揺動体8を大きく動かさなければならない。一方、揺動体8が揺動する範囲が小さすぎると、揺動体8に軽く触れただけで蓋体2が開いてしまうおそれがある。このため、揺動体8の操作性をより優れた状態にするには、揺動体8の揺動範囲は本実施形態程度に設定することが好ましい。
【符号の説明】
【0034】
1:容器本体
1a:切欠き部
1b:容器側軸穴
1c:収容凹部
1d:前側壁部
1e:庇部
1f:下側壁部
1g:垂直壁部
1h:係合部
1j:空間
1k:溝部
1m:膨出部
2:蓋体
3:蓋体本体
3a:支持部
3b:蓋体側軸穴
3c:凹部
3d:保持部
3e:凸部
4:鏡
5:第一磁石
6:ヒンジ部
7:軸体
8:揺動体
9:ケース
9a:操作部
9b:軸部
9c:上側水平部
9d:下側突起部
9e:切欠き部
9f:膨出部
10:第二磁石
11:中皿
100:コンパクト容器
C:中心軸