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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】光源装置および投写型表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240621BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240621BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N5/74 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020120354
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2022017670
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝明
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-078906(JP,A)
【文献】特開2019-040177(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169187(WO,A1)
【文献】特開2012-137608(JP,A)
【文献】特開2013-057850(JP,A)
【文献】特開2012-118220(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0100639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 ー 21/64
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
青、緑、赤色のレーザー光源と、
前記青、緑、赤色のレーザー光源からのレーザー光を合成するダイクロイックミラーと、
ガラス基板上に、青、緑、赤色のレーザー光の波長帯域の光を透過し、それ以外の可視光波長帯域の光を反射する光学薄膜層と、青色レーザー光で励起発光し、かつ、青、緑、赤色のレーザー光を拡散する拡散蛍光層を形成した拡散蛍光板とを備えた光源装置。
【請求項2】
前記拡散蛍光板の拡散蛍光層は、黄色の蛍光体を備えた請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記拡散蛍光板の拡散蛍光層は、青色レーザー光で励起発光しない拡散体を備えた請求項1記載の光源装置。
【請求項4】
前記拡散蛍光板は回転制御可能な円形基板である請求項1記載の光源装置。
【請求項5】
前記青、緑、赤色のレーザー光源は半導体レーザーである請求項1記載の光源装置。
【請求項6】
光源と、前記光源からの光を集光し被照明領域に照明する照明光学系と、映像信号に応じて画像を形成する画像形成素子と、前記画像形成素子で形成された画像を拡大投写する投写レンズを備え、前記光源が請求項1記載の光源装置である投写型表示装置。
【請求項7】
前記画像形成素子がミラー偏向型のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)である請求項6記載の投写型表示装置。
【請求項8】
前記画像形成素子が液晶パネルである請求項6記載の投写型表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成素子に形成される画像を照明光で照射し、投写レンズによりスクリーン上に拡大投写する投写型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ミラー偏向型のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)や液晶パネルの画像形成素子を用いた投写型表示装置の光源として、長寿命である半導体レーザーや発光ダイオードの固体光源を用いた光源装置が多数開示されている。その中で、青、緑、赤色のレーザー光源を用いた広色域で高効率な光源装置が開示されている。従来の固体光源を用いた光源装置は、青色、緑色、赤色のレーザー光源と、レーザー光源からの集光光を合成する小型なダイクロイックミラーと、透過型の回転拡散板と回転拡散板の前に配置した拡散板により、スペックルノイズと微小な輝度むらを解消しつつ、小型な光源装置を構成するものである(特許文献参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-40177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光源装置の構成において、複数の回転可能な拡散板では、スペックルノイズの解消には不十分であった。また、レーザー光を用いた光源装置では、スクリーン上にレーザー光源の微小な発光サイズと発光数に起因する微小な輝度むらを生じるという問題を抱えている。さらに、青色レーザー光源に対して、緑、赤色のレーザー光源は、光出力と発光効率が低い。このため、光源装置の高輝度化には多数のレーザー光源が必要となり、光源装置が大型化するという問題がある。
【0005】
したがって、青、緑、赤の固体光源を用いて、スペックルノイズや微小な輝度むらを解消しつつ、広色域で小型な光源装置と、その光源装置を用いた投写型表示装置を構成することが課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の光源装置は青、緑、赤色のレーザー光源と、青、緑、赤色のレーザー光源からのレーザー光を合成するダイクロイックミラーと、ガラス基板上に、青、緑、赤色のレーザー光の波長帯域の光を透過し、それ以外の可視光波長帯域の光を反射する光学薄膜層と、青色レーザー光で励起発光し、かつ、青、緑、赤色のレーザー光を拡散する拡散蛍光層を形成した拡散蛍光板とを、備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、動的な拡散蛍光板により、拡散された青、緑、赤のレーザー光源光とスペックルノイズがない蛍光光とを、効率よく、同一光軸上で合成する。このため、スペックルノイズや微小な輝度むらを解消しつつ、広色域で色域調整が可能な小型光源装置が構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施の形態1における光源装置の構成図
図2】実施の形態1における拡散蛍光板の断面構成図
図3】光学薄膜層の分光特性を示す図
図4】光学薄膜層の入射角に対する透過率特性を示す図
図5】蛍光スペクトル特性を示す図
図6】本開示の実施の形態2における投写型表示装置の構成図
図7】本開示の実施の形態3における投写型表示装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本開示を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は本開示の実施の形態1にかかる光源装置42の構成図である。
【0011】
光源装置42は、青色レーザー光源22と、緑色レーザー光源26と、赤色レーザー光源30とを備える。
【0012】
青色レーザー光源22は、複数の青色半導体レーザー素子を配置した青色半導体レーザー基板20とコリメートレンズアレイ21からなる。緑色レーザー光源26は、複数の緑色半導体レーザー素子を配置した緑色半導体レーザー基板24とコリメートレンズアレイ25からなる。赤色レーザー光源30は、複数の赤色半導体レーザー素子を配置した赤色半導体レーザー基板28とコリメートレンズアレイ29からなる。
【0013】
光源装置42は、さらに、放熱板23、27、31、青反射のダイクロイックミラー32、33、赤反射のダイクロイックミラー34、コンデンサレンズ35、拡散板36、及びガラス基板37、光学薄膜層38、拡散蛍光層39、モーター40から構成される拡散蛍光板41を備える。図中には、レーザー光源から出射する光の進行方向を示している。
【0014】
青色レーザー光源22は、16個(4×4)の青色半導体レーザー素子を一定の間隔で2次元状に配置した青色半導体レーザー基板20とコリメートレンズアレイ21で構成される。青色半導体レーザー基板20は、465±8nmの波長帯域で青の色光を発光し、直線偏光を出射する。青色半導体レーザー基板20を出射した光は対応するコリメートレンズアレイ21により、それぞれ集光され平行な光束に変換される。放熱板23は青色半導体レーザー基板20を冷却するためのものである。
【0015】
緑色レーザー光源26は、24個(4×6)の緑色半導体レーザー素子を一定の間隔で2次元状に配置した緑色半導体レーザー基板24とコリメートレンズアレイ25で構成される。緑色半導体レーザー基板24は、525±8nm波長帯域で緑の色光を発光し、直線偏光を出射する。緑色半導体レーザー基板24を出射した光は、対応するコリメートレンズアレイ25により、それぞれ集光され平行な光束に変換される。放熱板27は緑色半導体レーザー基板24を冷却するものである。
【0016】
赤色レーザー光源30は、24個(4×6)の赤色半導体レーザー素子を一定の間隔で2次元状に配置した赤色半導体レーザー基板28とコリメートレンズアレイ29で構成される。赤色半導体レーザー基板28は、640±8nmの波長帯域で赤の色光を発光し、直線偏光を出射する。赤色半導体レーザー基板28を出射した光は対応するコリメートレンズアレイ29により、それぞれ集光され平行な光束に変換される。放熱板31は赤色半導体レーザー基板28を冷却するためのものである。
【0017】
青色レーザー光源22からのレーザー光は青反射のダイクロイックミラー32、33で反射され、赤反射のダイクロイックミラー34を透過する。
【0018】
緑色レーザー光源26からのレーザー光は青反射のダイクロイックミラー32、33と赤反射のダイクロイックミラー34をそれぞれ透過する。
【0019】
赤色レーザー光源30からのレーザー光は青反射のダイクロイックミラー32を透過し、赤反射のダイクロイックミラー34で反射する。
【0020】
青反射のダイクロイックミラー32、33は、入射角が45度となる配置で、赤、緑色レーザー光を、それぞれ95%以上で透過し、青色レーザー光を97%以上で反射する特性である。透過率が50%となる半値波長はS偏光で490nmとしている。
【0021】
赤反射のダイクロイックミラー34は、入射角が45度となる配置で、青、緑色レーザー光を、それぞれ95%以上で透過し、赤色レーザー光を97%以上で反射する特性である。透過率が50%となる半値波長はS偏光で585nmとしている。
【0022】
青反射のダイクロイックミラー32、33と赤反射のダイクロイックミラー34で合成された青、緑、赤色のレーザー光は、コンデンサレンズ35に入射し、拡散板36を透過した後、拡散蛍光板41に集光される。集光する光は、光強度がピーク強度に対して13.5%となる直径をスポット径と定義すると、スポット径が2~3mmのスポット光に重畳される。拡散板36はそのスポット光の径が所望の径となるよう光を拡散させている。拡散板36はガラス基板上に形成された微細なマイクロレンズをアレイ状に形成して拡散面を構成したものであり、入射する光を拡散する。拡散光の最大強度の50%となる半値角度幅である拡散角度は略3度と小さい。
【0023】
拡散蛍光板41は光学薄膜層38と拡散蛍光層39を形成したガラス基板37と中央部にモーター40を備えた回転制御可能な円形基板である。
【0024】
図2に、拡散蛍光板の一部の断面構成を示す。拡散蛍光板41の光学薄膜層38は青、緑、赤色のレーザー光を透過し、それ以外の可視光を反射する特性の誘電体膜であり、ガラス基板37上に形成される。さらに光学薄膜層38上には拡散蛍光層39が形成される。拡散蛍光層39は、シリコーン系のバインダ層50に蛍光体51を分散、充填させている。バインダ層50の屈折率は1.46、蛍光体の屈折率は1.83である。蛍光体51は、青色レーザー光により励起され、緑、赤成分を含んだ黄色光を発光するCe付活YAG系黄色蛍光体である。この蛍光体の結晶母体の代表的な化学組織はY3Al5O12である。光学薄膜層38と拡散蛍光層39は円環状に形成している。拡散蛍光板41は回転させることにより、励起光による拡散蛍光層の温度上昇を抑制し、蛍光変換効率を安定に維持することができる。
【0025】
拡散蛍光板41に入射する青色レーザー光は、光学薄膜層38を透過し、拡散蛍光層39に分散された蛍光体を励起し、蛍光発光する。一部の青色レーザー光は励起に寄与せず、バインダ層50と蛍光体51の屈折率差により、拡散される。拡散した光の一部は拡散蛍光層39を出射し、一部は入射光側の光学薄膜層38で反射した後、拡散蛍光層39を出射する。また、一部は拡散蛍光板の入射光側に出射する。入射する青色レーザー光の光強度の50%は励起、蛍光変換され、光強度の50%は蛍光変換されないレーザー光となるよう、拡散蛍光層39の厚みと、蛍光体の充填率を決めている。出射する蛍光の指向性は、ほぼ完全拡散であり、その様相を図中に示している。
【0026】
一方、拡散蛍光板41に入射する緑色、赤色のレーザー光は、光学薄膜層38を透過し、拡散蛍光層39で励起されずに、バインダ層50と蛍光体51の屈折率差により、拡散される。拡散蛍光層39で拡散された一部の光は拡散蛍光層39を出射し、一部の光は入射光側の光学薄膜層38で反射した後、拡散蛍光層39を出射する。出射する拡散光の指向性は、蛍光よりも拡がりが小さく、その半値全幅である拡散角度は約20度である。その様相を図中に示している。拡散角度は拡散蛍光層39の厚みと蛍光体51の充填率で決めることができる。
【0027】
拡散蛍光板41は、回転することにより、レーザー光に起因するスクリーン上でのランダムな干渉パターンが時間的、空間的に高速変動して、スペックルノイズを解消することができる。また、レーザー光源の微小な発光サイズと発光数に起因する微小な輝度むらも低減することができる。このようにして、拡散蛍光層からは、励起発光した黄色蛍光と拡散した青、緑、赤色のレーザー光が出射する。青、緑、赤色のレーザー光は、スペックルノイズがない蛍光光と合成されるため、スペックルノイズが解消された、広色域の光となる。
【0028】
拡散蛍光層39に充填する蛍光体51を大幅に低減し、その代替粒子として、バインダ層50よりも高い屈折率であって、青色レーザー光で励起発光しない、例えば、屈折率が2.3のTiO2粒子などの拡散体を充填して用いてもよい。この場合は、蛍光成分が大幅に少なくなり、拡散度合が大きくなったレーザー光成分が多くなる。このため、スペックルノイズは増大するも、青、緑、赤色レーザー光の発光波長近傍の色域まで広色域化できる。蛍光体と拡散体の充填率と、その厚みにより、緑色と赤色の色域が調整できる。蛍光体を配置せず、拡散体のみとした場合には、青、緑、赤色レーザー光の発光波長の色域まで広色域化できる。
【0029】
図3に、光学薄膜層の分光特性を示す。光学薄膜層38への入射角度が0度の場合の分光透過率を示している。青、緑、赤色のレーザー光の波長帯域での透過率は94%以上となる特性である。透過率が50%となる半値波長は、440nm、485nm、505nm、545nm、620nm、660nmである。青、緑、赤色のレーザー光の波長帯域以外で、490~500nm、548~617nm、664~700nmでの透過率は10%以下となる特性である。図2の特性は、ガラス基板上に、TiO2などの高屈折率材料と、SiO2などの低屈折率材料を交互に55層の光学薄膜を形成して設計した事例である。
【0030】
図4に、光学薄膜層の入射角に対する透過率特性を示す。465nm、525nm、640nmでのP偏光とS偏光の平均光の透過率を示している。入射角が大きくなると、図3に示す特性が短波長側にシフトする。入射角が0から20度までは、各レーザー光の波長465nm、525nm、640nmでの透過率は96%以上である。入射角が30度以上で50度までは、緑、赤色のレーザー光の波長525nm、640nmの透過率は10%以下で、反射率は90%以上となる。
【0031】
図3図4より、拡散蛍光層で拡散されて、光学薄膜層への入射角が30度以上となる緑、赤色のレーザー光は、光学薄膜で90%以上の反射率で反射した後、拡散蛍光層を出射する。このように、光学薄膜層の透過率の入射角依存を利用し、出射する緑、赤色のレーザー光の効率を高くすることができる。
【0032】
図5に、蛍光スペクトルの特性を示す。拡散蛍光層の出射光側に出射する蛍光は、図5の分光特性で出射する。一方、拡散蛍光層の光学薄膜層側に励起発光した光は、青、緑、赤色のレーザー光の波長帯域の光は透過し、非有効光となるが、それ以外は反射して、拡散蛍光層を出射する。
【0033】
青、緑、赤色のレーザー光と蛍光光は、光学薄膜層と拡散蛍光層を備えた拡散蛍光板により、レーザー光と蛍光が同一光軸上で合成され、白色光を出射する。光源装置を出射する青、緑、赤のレーザー光の光束と蛍光光の光束は、同等となるように構成している。この場合、色域は色域規格DCIをおおよそ包含する。さらに、広色域化したい場合には、拡散蛍光層の厚みと蛍光体や拡散粒子の充填率を変えて、蛍光発光を抑制した拡散蛍光板を用いればよい。
【0034】
緑色レーザー光源と赤色レーザー光源、青色レーザー光源は、それぞれ24個、24個、16個の半導体レーザー素子を配置した構成を示したが、高輝度化のため、それぞれ、より多数の半導体レーザー素子を用いて構成してもよい。
【0035】
青色半導体レーザー基板の発光波長を、励起発光効率が高い455nmの半導体レーザーを用いてもよい。また、455nmと465nmの半導体レーザー素子の両方を用いてもよい。
【0036】
動的な拡散蛍光板として、回転拡散蛍光板を示したが、拡散面を揺動させる揺動拡散蛍光板であってもよい。
【0037】
以上のように、本開示の光源装置は、光学薄膜層と拡散蛍光層を備えた動的な拡散蛍光板により、青、緑、赤のレーザー光源光とスペックルノイズがない蛍光光とを、効率よく、同一光軸上で合成する。このため、スペックルノイズや微小な輝度むらを解消しつつ、広色域で小型な光源装置が構成できる。
(実施の形態2)
図6は、本開示の実施の形態2を示す第1の投写型表示装置である。画像形成素子として、3つのDMDを用いている。光源装置は本開示の実施の形態1で示す光源装置42である。
【0038】
第1の投写型表示装置は、さらに、コンデンサレンズ130、131、反射ミラー132、135、ロッド133、リレーレンズ134、フィールドレンズ136、全反射プリズム137、空気層138、青反射のダイクロイックミラー140と、赤反射のダイクロイックミラー141とを形成した3つのプリズムから構成されるカラープリズム139、DMD142、143、144、投写レンズ145を備える。
【0039】
光源装置42から出射するレーザー光と蛍光光の合成光は、コンデンサレンズ130、131で集光され、反射ミラー132で反射した後、ロッド133へ集光する。ロッド133への入射光はロッド内部で複数回反射することにより、光強度分布が均一化され出射する。ロッド133からの出射光はリレーレンズ134により集光され、反射ミラー135で反射した後、フィールドレンズ136を透過し、全反射プリズム137に入射する。全反射プリズム137は2つのプリズムから構成され、互いのプリズムの近接面には薄い空気層138を形成している。空気層138は臨界角以上の角度で入射する光を全反射する。フィールドレンズ136からの光は全反射プリズム137の全反射面で反射されて、カラープリズム139に入射する。カラープリズム139は3つのプリズムからなり、それぞれのプリズムの近接面には青反射のダイクロイックミラー140と赤反射のダイクロイックミラー141が形成されている。カラープリズム139の青反射のダイクロイックミラー140と赤反射のダイクロイックミラー141により、青、赤、緑の色光に分離され、それぞれDMD142、143、144に入射する。DMD142、143、144は映像信号に応じてマイクロミラーを偏向させ、投写レンズ145に入射する光と、投写レンズ145の有効外へ進む光とに反射させる。ここで、DMDのマイクロミラーは被照明領域の一例であり、ロッド133、リレーレンズ134、反射ミラー135、フィールドレンズ136は照明光学系を構成する。DMD142、143、144により反射された光は、再度カラープリズム139を透過する。カラープリズム139を透過する過程で、分離された青、赤、緑の各色光は合成され、全反射プリズム137に入射する。全反射プリズム137に入射した光は空気層138に臨界角以下で入射するため、透過して、投写レンズ145に入射する。このようにして、DMD142、143、144により形成された画像光がスクリーン(図示せず)上に拡大投写される。
【0040】
青、緑、赤の各レーザー光の光束と蛍光光束は、略同等の光束となるように構成している。色域は色域規格DCIをおおよそ包含する。
【0041】
画像形成手段にDMDを用いているため、液晶を用いた画像形成手段と比べて、耐光性、耐熱性が高い投写型表示装置が構成できる。さらに、3つのDMDを用いているため、色再現が良好で、明るく高精細な投写画像を得ることができる。
【0042】
以上のように、本開示の第1の投写型表示装置は、本開示の第1の実施例に示す光源装置を用いる。このため、スペックルノイズや微小な輝度むらを解消しつつ、広色域で小型な投写型表示装置が構成できる。
(実施の形態3)
図7は、本開示の実施の形態3の第2の投写型表示装置である。画像形成素子として、TNモードもしくはVAモードであって、画素領域に薄膜トランジスタを形成したアクティブマトリクス方式の透過型の液晶パネルを用いている。光源装置は本開示の実施の形態1で示す光源装置42である。
【0043】
第2の投写型表示装置は、また、コンデンサレンズ198、反射ミラー199、第1のレンズアレイ板200、第2のレンズアレイ板201、偏光変換素子202、重畳用レンズ203、青反射のダイクロイックミラー204、緑反射のダイクロイックミラー205は、反射ミラー206、207、208、リレーレンズ209、210、フィールドレンズ211、212、213、入射側偏光板214、215、216、液晶パネル217、218、219、出射側偏光板220、221、222、赤反射のダイクロイックミラーと青反射のダイクロイックミラーから構成される色合成プリズム223、投写レンズ224である。
【0044】
光源装置42から出射するレーザー光と蛍光光の合成光は、複数のレンズ素子から構成される第1のレンズアレイ板200に入射する。第1のレンズアレイ板200に入射した光束は多数の光束に分割される。分割された多数の光束は、複数のレンズから構成される第2のレンズアレイ板201に収束する。第1のレンズアレイ板200のレンズ素子は、液晶パネル217,218、219と相似形の開口形状である。第2のレンズアレイ板201のレンズ素子は第1のレンズアレイ板200と液晶パネル217、218、219とが略共役関係となるようにその焦点距離を決めている。第2のレンズアレイ板201からの分割された光は、偏光変換素子202に入射する。偏光変換素子202は、偏光分離プリズムと1/2波長板により構成される。偏光変換素子202は、入射するP偏光およびランダム偏光の光をS偏光に変換し、入射するS偏光の光はS偏光で出射させる。偏光変換素子202を出射した光は重畳用レンズ203に入射する。重畳用レンズ203は第2のレンズアレイ板201の各レンズ素子からの出射した光を液晶パネル217、218、219上に重畳照明するためのレンズである。第1および第2のレンズアレイ板200、201と、重畳用レンズ203を照明光学系としている。重畳用レンズ203からの光は、色分離手段である青反射のダイクロイックミラー204、緑反射のダイクロイックミラー205により、青、緑、赤の色光に分離される。緑の色光はフィールドレンズ211、入射側偏光板214を透過して、液晶パネル217に入射する。青の色光は反射ミラー206で反射した後、フィールドレンズ212、入射側偏光板215を透過して液晶パネル218に入射する。赤の色光はリレーレンズ209、210や反射ミラー207、208を透過屈折および反射して、フィールドレンズ213、入射側偏光板216を透過して、液晶パネル219に入射する。3枚の液晶パネル217、218、219は映像信号に応じた画素への印加電圧の制御により入射する光の偏光状態を変化させ、それぞれの液晶パネル217、218、219の両側に透過軸を直交するように配置したそれぞれの入射側偏光板214、215、216および出射側偏光板220、221、222を組み合わせて光を変調し、緑、青、赤の画像を形成する。出射側偏光板220、221、222を透過した各色光は色合成プリズム223により、赤、青の各色光がそれぞれ赤反射のダイクロイックミラー、青反射のダイクロイックミラーによって反射し、緑の色光と合成され、投写レンズ224に入射する。投写レンズ224に入射した光は、スクリーン(図示せず)上に拡大投写される。
【0045】
青、緑、赤の各レーザー光の光束と蛍光光束は、略同等の光束となるように構成している。色域は色域規格DCIをおおよそ包含する。
【0046】
画像形成手段には、時分割方式ではなく偏光を利用する3枚の液晶パネルを用いているため、カラーブレイキングがなく色再現が良好で、明るく高精細な投写画像を得ることができる。また、3つのDMD素子を用いた場合よりも、全反射プリズムが不要で、色合成用のプリズムが45度入射の小型プリズムになるため、投写型表示装置が小型に構成できる。
【0047】
以上のように、本開示の第2の投写型表示装置は、本開示の第1の実施例に示す光源装置を用いる。このため、スペックルノイズや微小な輝度むらを解消しつつ、広色域で小型な投写型表示装置が構成できる。
【0048】
画像形成手段として、透過型の液晶パネルを用いたが、反射型の液晶パネルを用いて構成してもよい。反射型の液晶パネルを用いることにより、より小型で高精細な投写型表示装置が構成できる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示は、画像形成手段を用いた投写型表示装置の光源装置に関するものである。
【符号の説明】
【0050】
20 青色半導体レーザー基板
21、25、29 コリメートレンズアレイ
22 青色レーザー光源
23、27、31 放熱板
24 緑色半導体レーザー基板
26 緑色レーザー光源
28 赤色半導体レーザー基板
30 赤色レーザー光源
32、33、140、204 青反射のダイクロイックミラー
34、141 赤反射のダイクロイックミラー
35、130、131、198 コンデンサレンズ
36 拡散板
37 ガラス基板
38 光学薄膜層
39 拡散蛍光層
40 モーター
41 拡散蛍光板
42 光源装置
50 バインダ層
51 蛍光体
132、135、199、206、207、208 反射ミラー
133 ロッド
134、209、210 リレーレンズ
136、211、212、213 フィールドレンズ
137 全反射プリズム
138 空気層
139 カラープリズム
142、143、144 DMD
145、224 投写レンズ
200 第1のレンズアレイ板
201 第2のレンズアレイ板
202 偏光変換素子
203 重畳用レンズ
205 緑反射のダイクロイックミラー
214、215、216 入射側偏光板
217、218、219 液晶パネル
220、221、222 出射側偏光板
223 色合成プリズム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7