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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】熱交換形換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20240621BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F24F7/08 101G
F24F7/08 101L
F24F7/08 101J
F24F7/007 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020125011
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2022021451
(43)【公開日】2022-02-03
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】広川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】平木 雅人
(72)【発明者】
【氏名】池田 智大
(72)【発明者】
【氏名】清本 訓央
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-317143(JP,A)
【文献】特開2010-101507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 7/007
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気風路と、
排気風路と、
前記給気風路に空気を搬送するための給気送風機と、
前記排気風路に空気を搬送するための排気送風機と、
前記給気風路を通る空気と前記排気風路を通る空気との間で熱交換するための熱交換素子と、
前記給気送風機のモータの温度を測定するための給気用モータ温度測定部と、
前記排気送風機のモータの温度を測定するための排気用モータ温度測定部と、
ダンパーの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記排気風路は、
前記熱交換素子を通過する第一排気風路と、
前記熱交換素子を通過しない第二排気風路と、
前記排気風路を前記第一排気風路と前記第二排気風路とに分岐するための前記ダンパーと、を備え、
前記給気送風機および前記排気送風機は、
ファンと、
該ファンを回動可能に軸支するモータと、を備え、
前記給気送風機のファンは、
前記給気風路の空気が通る空間側に配置され、
前記排気送風機のファンは、
前記排気風路の空気が通る空間側に配置され、
前記給気送風機および前記排気送風機のモータの少なくとも一部は、
前記第二排気風路の空気が通る空間側に配置され、
前記制御部は、
前記給気用モータ温度測定部により測定された給気用モータ温度と前記排気用モータ温度測定部により測定された排気用モータ温度とに基づき、前記第二排気風路の開口部の開口面積を前記ダンパーによって制御し、
前記給気用モータ温度および前記排気用モータ温度の少なくとも一方が所定温度より大
きい場合に、前記所定温度を越えない場合と比べて前記第二排気風路の開口部の開口面積を大きくするように前記ダンパーの動作を制御する熱交換形換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換形換気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の気密性・断熱性の向上により、冷暖房時の換気による熱ロスの低減を目的として、給気流と排気流との間で熱交換を行うための熱交換素子を搭載した熱交換形換気装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、従来の熱交換形換気装置について、図5を参照しながら説明する。
【0004】
図5に示すように、熱交換形換気装置800は、装置の外郭を形成する本体箱体810を有しており、本体箱体810を形成する側面(四面)のうちの対向する側面の一方には、室内側吸込口820および室内側吹出口840が設けられ、また、この対向する側面の他方には、室外側吸込口830および室外側吹出口850が設けられている。本体箱体810は、対向する側面の一方が室内側に向けられ、対向する側面の他方が室外側に向けられるように設置される。
【0005】
本体箱体810内部には、室内側吸込口820から吸い込まれた室内の空気が、室外側吹出口850から室外へ排気される排気風路860(室内側吸込口820および室外側吹出口850を含む)と、室外側吸込口830から吸い込まれた室外の空気が、室内側吹出口840から室内へ給気される給気風路870(室外側吸込口830および室内側吹出口840を含む)とが形成されている。排気風路860における室外側吹出口850の近傍には、排気風路860の排気流を形成するための羽根881と、羽根881を駆動するための電動機882とから構成される排気用送風機880が設けられている。羽根881は、羽根ケーシング883の一端部に覆われており、羽根ケーシング883の他端部が、室外側吹出口850に取り付けられることによって、羽根ケーシング883内部を流れる空気が、室外側吹出口850から排気されるようになっている。また、給気風路870においても、室内側吹出口840の近傍に、給気風路870の給気流を形成するための羽根891と、羽根891を駆動するための電動機892とから構成される給気用送風機890が設けられている。給気用送風機890においても、羽根891は、羽根ケーシング893の一端部に覆われ、羽根ケーシング893の他端部が室内側吹出口840に取り付けられて、給気流が、室内側吹出口840から室内へ給気されるようになっている。
【0006】
本体箱体810には、排気風路860上と給気風路870上に熱交換器900が設けられており、室内側吸込口820および室内側吹出口840と、室外側吸込口830および室外側吹出口850との間に、熱交換器900が配置され、この熱交換器900によって、給気流と排気流との間で熱交換が行われる。なお、本体箱体810において、室内側吸込口820および室内側吹出口840並びに室外側吸込口830および室外側吹出口850が設けられた側面以外の側面には、開口910が設けられており、開口910から熱交換器900が挿脱可能となっている。開口910は、熱交換器900が本体箱体810に取り付けられた後、メンテナンスカバー920によって閉じられる。
【0007】
次に、熱交換形換気装置800内の給気および排気の流れについて説明する。排気風路860内を流れる室内の空気は、ダクト(図示せず)を介して室内側吸込口820から矢印Aのように吸い込まれ、熱交換器900を通過した後、矢印Bのように羽根ケーシング883に入り、排気用送風機880によって、矢印Cのように室外側吹出口850から室外に排気される。また、給気風路870内を流れる室外の空気は、ダクト(図示せず)を介して室外側吸込口830から矢印Dのように吸い込まれ、室内の空気と交差するように、熱交換器900を通過する。その際、前述の如く、給気流と排気流との間で熱交換が行われることにより、排気熱を回収するため、冷暖房負荷を軽減することができる。熱交換器900を通過した後、矢印Eのように羽根ケーシング893に入り、給気用送風機890によって、矢印Fのように室内側吹出口840からダクト(図示せず)を介して室内に給気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-163551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の熱交換形換気装置においては、運転中の送風機の電動機を冷却するために、電動機は給気風路および排気風路の空気が通る空間側に配置される。これは、電動機の運転に伴う軸受け用ベアリング等の部品の昇温によって、可動部に塗布された潤滑油が熱で流出し、電動機の耐用年数が短くなることを抑制することを目的としている。
【0010】
しかし、給気風路および排気風路に電動機が配置されると、給気風路および排気風路を通る空気と電動機との間で熱交換が行われる。熱交換後の給気風路および排気風路を通る空気は、電動機から受熱することで温度が上昇する。そのため、例えば給気風路を通る空気においては、温度上昇によって目的とする温度よりも高い温度の空気を室内空間に供給し、使用者に不快感を与える可能性がある。
【0011】
そこで、本発明は上記従来の課題を解決するものであり、送風機の電動機を冷却しつつ、給気風路を通る空気が電動機の熱によって温度上昇することを防ぎ、使用者に不快感を与える可能性を抑制した熱交換形換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして、この目的を達成するために、本発明に係る熱交換形換気装置は、給気風路と、排気風路と、給気風路に空気を搬送するための給気送風機と、排気風路に空気を搬送するための排気送風機と、給気風路を通る空気と排気風路を通る空気との間で熱交換するための熱交換素子と、給気送風機のモータの温度を測定するための給気用モータ温度測定部と、排気送風機のモータの温度を測定するための排気用モータ温度測定部と、ダンパーの動作を制御する制御部と、を備え、排気風路は、熱交換素子を通過する第一排気風路と、熱交換素子を通過しない第二排気風路と、排気風路を第一排気風路と第二排気風路とに分岐するためのダンパーと、を備え、給気送風機および排気送風機は、ファンと、該ファンを回動可能に軸支するモータと、を備え、給気送風機のファンは、給気風路の空気が通る空間側に配置され、排気送風機のファンは、第一排気風路の空気が通る空間側に配置され、給気送風機および排気送風機のモータの少なくとも一部は、第二排気風路の空気が通る空間側に配置されたものであり、制御部は、給気用モータ温度測定部により測定された給気用モータ温度と排気用モータ温度測定部により測定された排気用モータ温度とに基づき、第二排気風路の開口部の開口面積をダンパーによって制御し、給気用モータ温度および排気用モータ温度の少なくとも一方が所定温度より大きい場合に、所定温度を越えない場合と比べて第二排気風路の開口部の開口面積を大きくするようにダンパーの動作を制御するこれにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、送風機の電動機を冷却しつつ、給気風路を通る空気が電動機によって温度上昇することを防ぎ、使用者に不快感を与える可能性を抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施の形態に係る熱交換形換気装置を示す概略構成図である。
図2図2は、図1の熱交換形換気装置の給気風路および排気風路を概略的に示す上面断面図である。
図3図3は、図1の熱交換形換気装置の制御部を概略的に示すブロック図である。
図4図4は、図1の熱交換形換気装置のダンパーの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、従来の熱交換形換気装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面も参照して説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0016】
また、第一、第二などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0017】
本発明に係る熱交換形換気装置は、家屋の壁面などに設置され、屋外の空気を屋内へ搬送する給気機能と、屋内の空気を屋外へ搬送する排気機能を備える。
【0018】
図1図2を用いて、熱交換形換気装置200の構成について説明する。図1は、熱交換形換気装置200を示す概略構成図である。図2は、熱交換形換気装置200の給気風路および排気風路を概略的に示す上面断面図である。
【0019】
熱交換形換気装置200は、給気風路10と、排気風路20と、屋外側給気口40と、屋内側給気口50と、屋内側排気口60と、屋外側排気口70と、給気送風機80と、排気送風機90と、熱交換素子110と、第一温度センサ120と、第二温度センサ130と、制御部140を備える。
【0020】
給気風路10は、屋外の空気を屋内へ搬送するための風路である。
【0021】
排気風路20は、屋内の空気を屋外へ搬送するための風路である。排気風路20は、第一排気風路21と、第二排気風路22と、ダンパー100を備える。
【0022】
第一排気風路21は、屋内の空気を屋外へ搬送するための風路である。第一排気風路21は、熱交換素子110を通過する。
【0023】
第二排気風路22は、屋内の空気を屋外へ搬送するための風路である。第二排気風路22は、熱交換素子110を通過しない。
【0024】
ダンパー100は、排気風路20上に配置されており、排気風路20を第一排気風路21と、第二排気風路22とに分岐する。その方法として、第一排気風路21および第二排気風路22の風路開口面積を調整する。すなわち、ダンパー100は、第一排気風路21を通る空気の量と第二排気風路22を通る空気の量を調整するための風量調整板である。ダンパー100は、板状であり、一端がダンパー回転軸101に固定されることで回動可能に軸支されている。
【0025】
ダンパー100の回転角度は、ダンパー回転角度Degで表すことができる。例えば、Deg=0°の場合、第一排気風路21の開口率は100%、第二排気風路22の開口率は0%である。すなわち、第一排気風路21にのみ空気が通る。また、例えば、Deg=90°の場合、第一排気風路21の開口率は0%、第二排気風路22の開口率は100%である。すなわち、第二排気風路22にのみ空気が通る。また、例えば、ダンパー回転角度Degを0~90°の間とすることにより、第一排気風路21および第二排気風路22の両方に対する空気搬送および空気搬送量を任意に調整することが可能となる。なお、ダンパー100は、第一排気風路21および第二排気風路22に対する空気搬送および空気搬送量を任意に調整できれば良いので、ダンパー100の可動範囲は、例示する0~90°の範囲に限定されるものではない。
【0026】
屋外側給気口40は、屋外の空気を熱交換形換気装置200へ吸込むための吸込口である。屋外側給気口40は、給気風路10の一部を構成する。屋外側給気口40は、図示しないダクトと接続して屋外と連通する。
【0027】
屋内側給気口50は、屋外側給気口40から熱交換形換気装置200へ吸い込まれた空気を屋内へ吹出すための吹出口である。屋内側給気口50は、給気風路10の一部を構成する。屋内側給気口50は、図示しないダクトと接続してリビング等の屋内居住空間と連通する。
【0028】
屋内側排気口60は、屋内の空気を熱交換形換気装置200へ吸込むための吸込口である。屋内側排気口60は、排気風路20の一部を構成する。屋内側排気口60は、図示しないダクトと接続してリビング等の屋内居住空間と連通する。
【0029】
屋外側排気口70は、屋内側排気口60から熱交換形換気装置200へ吸い込まれた空気を屋外へ吹出すための吹出口である。屋外側排気口70は、排気風路20の一部を構成する。屋外側排気口70は、図示しないダクトと接続して屋外と連通する。
【0030】
給気送風機80は、給気風路10に給気流を発生する。給気送風機80は、給気用ファン81と、給気用モータ82を備える。
【0031】
給気用ファン81は、回転することにより空気を昇圧して気流を発生する。給気用ファン81は、給気風路10の空気が通る空間側に配置される。給気用ファン81としては、例えばシロッコファン(遠心羽根車)が挙げられる。
【0032】
給気用モータ82は、給気用ファン81を回転するための電動機である。給気用モータ82は、図示しない回転軸に給気用ファン81を軸支している。給気用モータ82は、第二排気風路22の空気が通る空間側に配置される。なお、給気用モータ82は、その一部が第二排気風路22の空気が通る空間側に配置されていればよい。例えば、給気用モータ82から発生する電気的な異音が外部に伝播するのを抑制するため、給気用モータ82の一部を遮音材で囲ってもよい。給気用モータ82の種類としては、例えばDCモータ(Direct Current Motor=直流モータ)が挙げられる。また、DCモータを駆動する方式としては、例えばPWM(Pulse Width Modulation=パルス幅変調)制御が挙げられる。
【0033】
PWM制御は、パルス波のデューティー(Duty)比を変化させて変調する変調方法である。デューティー比とは、周期的なパルス波を出した時の周期とパルス幅の比を指す。給気用モータ82は、パルス幅の時間だけ通電して回転する。そして、デューティー比を変えることにより、給気用モータ82の出力を任意に制御することができる。
【0034】
排気送風機90は、排気風路20に排気流を発生する。排気送風機90は、排気用ファン91と、排気用モータ92を備える。
【0035】
排気用ファン91は、回転することにより空気を昇圧して気流を発生する。排気用ファン91は、排気風路20の空気が通る空間側に配置される。排気用ファン91としては、例えばシロッコファン(遠心羽根車)が挙げられる。
【0036】
排気用モータ92は、排気用ファン91を回転するための電動機である。排気用モータ92は、図示しない回転軸に排気用ファン91を軸支している。排気用モータ92は、第二排気風路22の空気が通る空間側に配置される。なお、排気用モータ92は、その一部が第二排気風路22の空気が通る空間側に配置されていればよい。例えば、排気用モータ92から発生する電気的な異音が外部に伝播するのを抑制するため、排気用モータ92の一部を遮音材で囲ってもよい。排気用モータ92の種類としては、例えばDCモータ(Direct Current Motor=直流モータ)が挙げられる。また、DCモータを駆動する方式としては、例えばPWM(Pulse Width Modulation=パルス幅変調)制御が挙げられる。
【0037】
PWM制御は、パルス波のデューティー(Duty)比を変化させて変調する変調方法である。デューティー比とは、周期的なパルス波を出した時の周期とパルス幅の比を指す。排気用モータ92は、パルス幅の時間だけ通電して回転する。そして、デューティー比を変えることにより、排気用モータ92の出力を任意に制御することができる。
【0038】
熱交換素子110は、給気流と排気流との間で熱エネルギーの交換を行う。熱交換素子110は、給気風路10と第一排気風路21の一部を構成する。
【0039】
第一温度センサ120は、給気用モータ82の温度を測定するセンサ(給気用モータ温度測定部)である。第一温度センサ120は、図2に示すように、給気用モータ82の外郭に、図示しないネジや接着剤等により配置される。しかし、この例に限らず、第一温度センサ120は、給気用モータ82を構成する巻線など、給気用モータ82の内部に配置してもよい。
【0040】
第二温度センサ130は、排気用モータ92の温度を測定するセンサ(排気用モータ温度測定部)である。第二温度センサ130は、図2に示すように、排気用モータ92の外郭に、図示しないネジや接着剤等により配置される。しかし、この例に限らず、第二温度センサ130は、排気用モータ92を構成する巻線など、排気用モータ92の内部に配置してもよい。
【0041】
制御部140は、給気用モータ82と、排気用モータ92と、ダンパー100の動作を制御する。制御部140は、図3も用いて説明する。図3は、制御部140を概略的に示すブロック図である。図3に示す各機能ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0042】
制御部140は、図1に示すように、熱交換形換気装置200の外郭上面に設けられる。しかし、この例に限らず、熱交換形換気装置200の内部に設けてもよいし、熱交換形換気装置200を遠隔操作するための遠隔操作端末等、熱交換形換気装置200から独立して設けてもよい。
【0043】
制御部140は、図示しない有線または無線の伝送路を介して、給気用モータ82、排気用モータ92およびダンパー100と制御情報を送受信する。
【0044】
制御部140は、図示しない有線または無線の伝送路を介して、第一温度センサ120と第二温度センサ130から温度情報を受信する。
【0045】
制御部140は、第一情報取得部140aと、第二情報取得部140bと、判定部140cと、第一動作制御部140dと、第二動作制御部140eと、第三動作制御部140fを備える。
【0046】
第一情報取得部140aは、第一温度センサ120から給気用モータ温度T1を取得する。
【0047】
第二情報取得部140bは、第二温度センサ130から排気用モータ温度T2を取得する。
【0048】
判定部140cは、給気用モータ温度T1および排気用モータ温度T2の少なくとも一方が所定温度Tを越えるか否かを判定する。
【0049】
第一動作制御部140dは、給気用モータ82の運転を制御する。
【0050】
第二動作制御部140eは、排気用モータ92の運転を制御する。
【0051】
第三動作制御部140fは、ダンパー100の回転を制御する。
【0052】
以上が、熱交換形換気装置200の構成である。
【0053】
次に、このように構成された熱交換形換気装置200の動作の一例を説明する。以下に説明する動作は、ユーザーの所定の操作がされたタイミングまたは予め設定されたタイミングで開始される。
【0054】
図4を参照して、熱交換形換気装置200の動作S210を説明する。図4は、動作S210を示すフローチャートである。
【0055】
動作S210は、判定部140cによって給気用モータ温度T1および排気用モータ温度T2の少なくとも一方が所定温度Tを越えたか否かを判定し、判定部140cの判定結果に基づきダンパー100の回転を制御する動作である。
【0056】
制御部140は、判定部140cが給気用モータ温度T1および排気用モータ温度T2の少なくとも一方が所定温度Tを越えたと判定した場合に、所定温度Tを越えない場合と比べて第二排気風路22の開口面積を大きくするようにダンパー100の回転を制御する。
【0057】
動作S210が開始されると、制御部140は、ダンパー回転角度DegをDeg=0°とする(ステップS211)。続いて制御部140は、整数nをn=0とする(ステップS212)。続いて制御部140は、第一温度センサ120から給気用モータ温度T1を取得する(ステップS213)。続いて制御部140は、第二温度センサ130から排気用モータ温度T2を取得する(ステップS214)。
【0058】
次に、判定部140cは、ステップS213およびステップS214で取得した給気用モータ温度T1および排気用モータ温度T2のうち少なくとも一方が所定温度Tを越えるか否かを判定する(ステップS215)。給気用モータ温度T1および排気用モータ温度T2が所定温度Tを超えない場合(ステップS215のN)、制御部140は、動作S210を終了する。
【0059】
給気用モータ温度T1および排気用モータ温度T2のうち少なくとも一方が所定温度Tを超える場合(ステップS215のY)、制御部140は、整数nをn+1とする(ステップS216)。続いて制御部140は、ダンパー回転角度DegをDeg=10°×nとする(ステップS217)。
【0060】
制御部140は、ステップS217を実行したあとはステップS213に戻り、ステップS213~S217を繰り返す。つまり、ステップS213~S217を繰り返すたびに整数nは、n=1,2,3,4,・・・・となる。また、ステップS213~S217を繰り返すたびにダンパー回転角度Degは、Deg=0°,10°,20°,30°,40°,・・・となる。
【0061】
なお、ステップS213~S217の繰り返しは、例えば10分間など、所定の時間間隔を設けて実行する。
【0062】
なお、実施例ではダンパー回転角度DegをDeg=10°×nとしたが、定数は5°や1°等の正数に設定してもよい。
【0063】
なお、動作S210における所定温度Tは、モータの動作保証温度等により任意に設定できる。
【0064】
上述の動作S210は、あくまでも一例であって、種々の変形が可能である。以上が、動作S210の説明である。
【0065】
次に、熱交換形換気装置200の特徴を説明する。
【0066】
熱交換形換気装置200は、給気風路10と、排気風路20と、給気風路10に空気を搬送するための給気送風機80と、排気風路20に空気を搬送するための排気送風機90と、給気風路10を通る空気と排気風路20を通る空気との間で熱交換するための熱交換素子110と、を備える。排気風路20は、熱交換素子110を通過する第一排気風路21と、熱交換素子110を通過しない第二排気風路22と、排気風路20を第一排気風路21と第二排気風路22とに分岐するためのダンパー100と、を備える。給気送風機80および排気送風機90は、ファンと、該ファンを回動可能に軸支するモータと、を備え、給気用ファン81は、給気風路10の空気が通る空間側に配置され、排気用ファン91は、排気風路20の空気が通る空間側に配置され、給気送風機80および排気送風機90のモータの少なくとも一部を第二排気風路22の空気が通る空間側に配置する。これにより、熱交換素子110を通る空気は、給気用モータ82および排気用モータ92との接触によって、給気用モータ82および排気用モータ92から受熱することはない。そのため、例えば熱交換後の給気流が給気用モータ82と接触することで意図しない温度上昇が発生し、目的の温度より高い温度となって屋内へ供給され、使用者に不快感を与える可能性を抑制することができる。さらに、給気用モータ82および排気用モータ92は、第二排気風路22を通る空気によって冷却されるので、過度な昇温によってモータを構成するベアリング等から潤滑油が流出してモータの寿命が短くなることを抑制することができる。また、ダンパー100により、第一排気風路21へ搬送する空気の量と第二排気風路22へ搬送する空気の量が調整可能となるので、熱交換効率を優先する場合とモータの昇温抑制を優先する場合との選択が可能となる効果も期待できる。
【0067】
また、熱交換形換気装置200は、給気送風機80のモータの温度を測定するための給気用モータ温度測定部(第一温度センサ120)と、排気送風機90のモータの温度を測定するための排気用モータ温度測定部(第二温度センサ130)と、ダンパー100の動作を制御する制御部140と、を備える。制御部140は、給気用モータ温度測定部により測定された給気用モータ温度T1と排気用モータ温度測定部により測定された排気用モータ温度T2とに基づき、第二排気風路22の開口部の開口面積をダンパー100によって制御し、給気用モータ温度T1および排気用モータ温度T2の少なくとも一方が所定温度Tより大きい場合に、所定温度Tを越えない場合と比べて第二排気風路22の開口部の開口面積を大きくするようにダンパー100の動作を制御する。これにより、例えば所定温度Tをモータの使用上限温度とした場合、モータの温度が使用上限温度を超えないように制御可能となるので、モータの寿命が短くなることを効果的に抑制する効果が期待できる。
【0068】
以上、本発明に係る熱交換形換気装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本発明の範囲内に含まれる。
【0069】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施例と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施例と重複する説明を適宜省略し、実施例と相違する構成について重点的に説明する。
【0070】
[変形例]
実施例の説明では、熱交換形換気装置200は、給気用モータ82と排気用モータ92の二種類を備えたが、給排気用のモータを一種類備えた構成としてもよい。
【0071】
すなわち、熱交換形換気装置200は、給気風路10と、排気風路20と、給気風路10および排気風路20に空気を搬送するための送風機と、給気風路10を通る空気と排気風路20を通る空気との間で熱交換するための熱交換素子110と、を備え、排気風路20は、熱交換素子110を通過する第一排気風路21と、熱交換素子110を通過しない第二排気風路22と、排気風路20を第一排気風路21と第二排気風路22とに分岐するためのダンパー100と、を備え、送風機は、給気用ファン81と、排気用ファン91と、給気用ファン81および排気用ファン91を回動するためのモータと、を備え、給気用ファン81は、給気風路10の空気が通る空間側に配置され、排気用ファン91は、排気風路20の空気が通る空間側に配置され、モータの少なくとも一部を第二排気風路22の空気が通る空間側に配置する構成であってもよい。この場合、給気用ファン81の回転方向と排気用ファン91の回転方向は、公知技術の歯車等を組み合わせることで制御可能である。
【0072】
実施例の説明では、第二排気風路22には給気用モータ82と排気用モータ92を配置したが、配置する発熱体はこれらに限られない。例えば、熱交換形換気装置200にコンプレッサー方式の冷凍サイクルによる除湿機能を搭載する場合には、圧縮機を第二排気風路22に配置した構成としてもよい。
【0073】
これらの変形例は、実施例と同様の作用効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る熱交換形換気装置は、熱交換後の空気の意図しない温度上昇を抑制するとともに、モータの過度な昇温によって、モータの寿命低下を抑制することができるので、熱交換形換気装置として有用である。
【符号の説明】
【0075】
10 給気風路
20 排気風路
21 第一排気風路
22 第二排気風路
40 屋外側給気口
50 屋内側給気口
60 屋内側排気口
70 屋外側排気口
80 給気送風機
81 給気用ファン
82 給気用モータ
90 排気送風機
91 排気用ファン
92 排気用モータ
100 ダンパー
101 ダンパー回転軸
110 熱交換素子
120 第一温度センサ
130 第二温度センサ
140 制御部
140a 第一情報取得部
140b 第二情報取得部
140c 判定部
140d 第一動作制御部
140e 第二動作制御部
140f 第三動作制御部
200 熱交換形換気装置
Deg ダンパー回転角度
T 所定温度
T1 給気用モータ温度
T2 排気用モータ温度
図1
図2
図3
図4
図5