(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
F24F1/0007 401D
F24F1/0007 401A
F24F13/20
(21)【出願番号】P 2020139741
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中山 尚也
(72)【発明者】
【氏名】大寄 慶
(72)【発明者】
【氏名】浅羽 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 桂志
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-275274(JP,A)
【文献】特開2009-139080(JP,A)
【文献】特開2006-145049(JP,A)
【文献】特開2011-047587(JP,A)
【文献】特開2009-210202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0010811(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付け固定する据付板と、前記据付板に引っ掛け固定する室内機とを備え、前記据付板の下部には前記室内機の台枠固定部を設けて当該台枠固定部に前記室内機の台枠側に突出する固定補助部材を装着し、且つ、前記室内機の台枠は上部に前記据付板への引っ掛け部を設けるとともに、下部に前記据付板の前記台枠固定部と合致する係合部を設け、前記据付板に装着した固定補助部材に前記台枠の反壁面側から台枠固定部材をビス止めして前記台枠固定部材を
前記係合部に係当させることにより台枠下部の反壁面側への動きを規制し台枠を固定し
、前記台枠固定部材は断面略階段状に形成して前記据付板の前記固定補助部材への装着部となる取り付け固定部と台枠の動きを規制する台枠動き規制部とを設け、前記台枠動き規制部には補強リブを設けた空気調和機。
【請求項2】
据付板の固定補助部材にネジ穴を設けるとともに、台枠固定部材には長孔を設け、この長孔から前記ネジ穴にビスをねじ込んで台枠固定部材を固定保持部材に締結し台枠下部を固定した請求項1記載の空気調和機。
【請求項3】
台枠固定部材の締結固定部にはその階段状両側部を側壁で連結した構成とした
請求項2記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、室内機と室外機からなる空気調和機に関するもので、特に室内機の取り付け構成に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、室内機と室外機からなる空気調和機の室内機取り付け構成を開示している。この空気調和機の室内機は、壁面に据付板を取り付け固定し、この据付板の上縁に室内機の台枠上端を引っ掛けて固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記据付板に引っ掛け固定した室内機の台枠下部と壁面との間に発生しがちな隙間を防止して室内機の設置品質を向上させた空気調和機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における空気調和機は、壁面に取り付け固定する据付板と、前記据付板に引っ掛け固定する室内機とを備え、前記据付板の下部には前記室内機の台枠固定部を設けて当該台枠固定部に前記室内機の台枠側に突出する固定補助部材を装着し、且つ、前記室内機の台枠は上部に前記据付板への引っ掛け部を設けるとともに、下部に前記据付板の前記台枠固定部と合致する係合部を設け、前記据付板に装着した固定補助部材に前記台枠の反壁面側から台枠固定部材をビス止めして前記台枠固定部材を前記台枠下部の係合部に係当させることにより台枠下部の反壁面側への動きを規制し台枠を固定した構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本開示における空気調和機は、室内機の台枠下部が台枠固定部材によって反壁面側への動きを規制される形で固定されるので、台枠下部に反壁面側方向への外力、すなわち台枠下部が壁面から離反しようとする方向に外力が加わったとしても、台枠下部と壁面との間に隙間が発生するのを防止することができる。よって、壁面に取り付けた室内機の設置品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における空気調和機の室内機と据付板を示す斜視図
【
図2】実施の形態1における空気調和機の室内機の台枠を壁面側から見た背面斜視図
【
図3】実施の形態1における空気調和機の据付板に対する室内機台枠の取り付け固定部を示す要部拡大斜視図
【
図4】実施の形態1における空気調和機の据付板に対する室内機台枠の取り付け固定部を示す要部拡大断面図
【
図5A】実施の形態1における空気調和機の室内機を据付板に固定する台枠固定部材を反壁面側(前方側)から見た斜視図
【
図5B】実施の形態1における空気調和機の室内機を据付板に固定する台枠固定部材を壁面側(後方側)から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、特許文献1に開示されているように、室内機は壁面に取り付け固定した据付板の上縁に台枠上端を引っ掛けて固定している。しかしながら、台枠下部はフリーな状態となっているため、冷媒配管や排水ホース等の引き回しによって加わる反壁面側(前方)方向への外力により台枠下部と壁面との間に隙間が生じる、という課題があった。
【0009】
発明者らはこのような課題を発見し、その課題を解決するため本開示の主題を構成するに至った。
【0010】
そこで本開示は、冷媒配管等の引き回しによって反壁面側方向への外力が加わっても台枠下部と壁面との間に隙間が生じない空気調和機を提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図5を用いて、実施の形態1を説明する。
【0014】
[1-1.構成]
本実施の形態の空気調和機は、室内機と室外機とが冷媒配管で接続して構成されている。そして、室内機は室内の壁面に取り付けて使用されるが、その室内機はあらかじめ壁面に取り付け固定した据付板に固定することによって壁面に取り付け固定される。
【0015】
図1は室内機1と据付板2を示し、室内機1を固定保持する金属製の据付板2は、任意の位置、例えば四隅付近を壁面にビス止め等によって取り付け固定され、上縁部には引っ掛け受け部3、下部両側近傍部分には室内機1の台枠固定部4が設けられている。そして、台枠固定部4は
図3、
図4に示すように、段押し部5を有する開口6が形成されている。
【0016】
また、上記台枠固定部4の開口6には壁面側となる据付板2の裏面から室内機固定用の固定補助部材7が嵌め込み固定してある。この固定補助部材7は前記開口6の開口幅と略同じ幅を持つ樹脂の柱状体からなり、左右両側部にネジ穴8(
図3参照)を有するとともに、壁面側となる後端部にはフランジ部9(
図4参照)を備え、このフランジ部9を前記据付板2の開口6周縁の段押し部5に嵌め込んで固定されている。
【0017】
一方、上記据付板2に取り付け固定する室内機1の樹脂製の台枠10には、
図2に示す如くその上縁部に引っ掛け部11が形成されており、且つ、据付板2の台枠固定部4と合致する下部両側部分に係合部12が形成されている。係合部12は係合用開口13と係合用当接部14が設けられている。
【0018】
15は前記室内機1の台枠10下部の係合部12を据付板2の台枠固定部4に固定する樹脂製の台枠固定部材で、
図4に示すように据付板2の固定補助部材7へ締結する締結固定部16と台枠10の係合部12に設けた係合用当接部14に係当して当該係合用当接部14、すなわち台枠10が反壁面側(前方側)へ移動するのを規制する台枠動き規制部17とが断面階段状に形成されている。締結固定部16には据付板2の長手方向(横方向)に延びる長孔18が形成され、その階段状両側部を側壁19で連結した形となっている。そして、上記長孔18よりビス20を固定補助部材7のネジ穴8にねじ込んで台枠固定部材15を固定補助部材7、すなわち据付板2の台枠固定部4に取り付け固定している。又、前記台枠動き規制部17はその階段状中央部に補強リブ21が形成されており、台枠10の係合部12に設けた係合用当接部14に当接して反壁面側への移動を強力に規制している。
【0019】
[1-2.動作]
以上のように構成された空気調和機について、以下その空気調和機の壁面への取付けとともにその作用効果を説明する。
【0020】
まず、据付板2に固定補助部材7を取り付ける。これは据付板2の台枠固定部4に設けた開口6に壁面側(裏面側)から固定補助部材7を嵌め込み、そのフランジ部9を段押し部5に嵌合させて取り付ける。この状態で据付板2を壁面にビス等で取り付け固定する。
【0021】
次に、室内機1の台枠10に設けた引っ掛け部11を据付板2の引っ掛け受け部3に引っ掛けて台枠10下部を据付板2側に押し付ける。これにより、
図4に示す如く台枠10の下部開口縁10aと係合部12の係合部端縁12aとの間に据付板2の下端フランジ部2aが嵌まり込み、据付板2の台枠固定部4と台枠10の係合部12が合致する形となる。
【0022】
この状態で台枠10の反壁面側(前方側)から据付板2の固定補助部材7に台枠固定部材15を押し当て、台枠固定部材15の長孔18から固定補助部材7のネジ穴8にビス20をねじ込んで台枠固定部材15を固定補助部材7に締結する。
【0023】
これにより、台枠固定部材15の台枠動き規制部17壁面側(後面側)に設けた凸部15bが台枠10の係合部12前方端の係合用当接部14の下部に入り込む。その結果、台枠固定部材15の台枠動き規制部17が台枠10下部の係合部12に設けた係合用当接部14に係当し、当該係合用当接部14を壁面側に押し付けるような形となって台枠10下部、すなわち室内機1下部を固定する。
【0024】
以上により室内機1は壁面に固定される。そして、上記のように固定した室内機1の台枠10下部は、台枠固定部材15の台枠動き規制部17が台枠10下部の係合部12に設けた係合用当接部14に係当し、台枠10下部が壁面から離反しないように規制して押し付け固定する。
【0025】
ここで、上記室内機1を固定する台枠固定部材15はビス止めするための孔が長孔18となっているので、据付板2に対する室内機1の位置を左右に調整して取り付け固定することができる。
【0026】
また、上記台枠固定部材15の台枠動き規制部17は補強リブ21を備えているので、剛性が高い。よって、冷媒配管の引き回し等によって大きな外力が加わっても、これに抗して室内機1の台枠10下部が壁面から離れるのを防止、つまり壁面と台枠10との間に隙間が生じるのを確実かつ強力に防止する。
【0027】
更に、上記台枠固定部材15の締結固定部16はその階段状両側部を側壁19で連結しているので、当該部分の剛性も高まり、締結固定部16にかかる室内機1の重量に抗して室内機1を確実に固定保持することができる。
【0028】
また、この例では台枠固定部材15の階段状最下部に設けた屈曲部15a(
図3、
図4参照)が台枠10下部の係合部12に設けた係合用開口13に嵌まり込んで据付板2に対する台枠10、すなわち室内機1の左右方向への動きも規制する。
【0029】
[1-3.効果等]
以上のように、本開示の空気調和機は、壁面に取り付け固定する据付板2と、前記据付板2に引っ掛け固定する室内機1とを備え、前記据付板2の下部には前記室内機1の台枠固定部4を設けて当該台枠固定部4に前記室内機1の台枠側に突出する固定補助部材7を装着し、且つ、前記室内機1の台枠10は上部に前記据付板2への引っ掛け部11を設けるとともに、下部に前記据付板2の前記台枠固定部4と合致する係合部12を設け、前記据付板2に装着した固定補助部材7に前記台枠10の反壁面側から台枠固定部材15をビス止めして前記台枠固定部材15を前記台枠下部の係合部12に係当させることにより台枠下部の反壁面側への動きを規制し固定した構成としている。
【0030】
これにより、室内機1の台枠下部は台枠固定部材15によって反壁面側への動きが規制される形で固定されるので、台枠下部に反壁面側方向への外力が加わったとしても台枠下部と壁面との間に隙間が発生するのを防止することができる。よって、壁面に取り付けた室内機1の設置品質(見栄え等の外観)を向上させることができる。
【0031】
また、本開示の空気調和機では、据付板2の固定補助部材7にネジ穴8を設けるとともに、台枠固定部材15には長孔18を設け、この長孔18から前記ネジ穴8にビス20をねじ込んで台枠固定部材15を固定補助部材7に締結し台枠下部を固定した構成としている。
【0032】
これにより、据付板2の固定補助部材7への台枠固定部材15の取付けがビス20をねじ込むだけの簡単な作業で行えるとともに、台枠固定部材15の孔を長孔18としたことによって固定補助部材7に対する台枠固定部材15の位置、すなわち据付板2に対する室内機1の位置を左右に調整して取り付け固定することができ、作業性が向上する。
【0033】
また、本開示の空気調和機では、台枠固定部材15を断面略階段状に形成して据付板2の固定補助部材7への装着部となる締結固定部16と台枠10の動きを規制する台枠動き規制部17とを設け、前記台枠動き規制部17には補強リブ21を設けた構成としている。
【0034】
これにより、台枠動き規制部17の剛性が向上し、冷媒配管の引き回し等によって外力が加わっても変形することなく壁面と台枠10との間に隙間が生じるのを確実かつ強力に防止することができる。
【0035】
また、本開示の空気調和機では、上記台枠固定部材15の締結固定部16にはその階段状両側部を側壁19で連結した構成としている。
【0036】
これにより、台枠固定部材15の締結固定部16の剛性も高まり、締結固定部16にかかる室内機1の重量に抗して室内機1を確実に固定保持することができ、信頼性の高いものとなる。
【0037】
以上、本発明に係る空気調和機について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本開示の空気調和機は、室内機と壁面との間に生じがちな隙間の発生を防止することができ、壁面に取り付けた室内機の設置品質を向上させることができる。よって、壁面取付けタイプの空気調和機に幅広く適用することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 室内機
2 据付板
3 引っ掛け受け部
4 台枠固定部
5 段押し部
6 開口
7 固定補助部材
8 ネジ穴
9 フランジ部
10 台枠
11 引っ掛け部
12 係合部
13 係合用開口
14 係合用当接部
15 台枠固定部材
16 締結固定部
17 台枠動き規制部
18 長孔
19 側壁
20 ビス
21 補強リブ