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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】空調制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/72 20180101AFI20240621BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20240621BHJP
   F24F 110/20 20180101ALN20240621BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240621BHJP
   F24F 110/70 20180101ALN20240621BHJP
【FI】
F24F11/72
F24F11/63
F24F110:20
F24F110:10
F24F110:70
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020197832
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086038
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
(72)【発明者】
【氏名】木下 剛
(72)【発明者】
【氏名】藤園 崇
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 純
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-089996(JP,A)
【文献】特開2017-101859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/72
F24F 11/63
F24F 110/20
F24F 110/10
F24F 110/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なった第1領域と第2領域に対する温度を制御する空気調和装置と、
前記第1領域の湿度を計測する第1湿度センサと、
前記第2領域の湿度を計測する第2湿度センサと、
前記第1湿度センサの出力する湿度計測値を時系列に並べた第1時系列湿度データと、前記第2湿度センサの出力する湿度計測値を時系列に並べた第2時系列湿度データとを蓄積する記憶装置と、
前記記憶装置に接続されて、前記空気調和装置の運転を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶した前記第1時系列湿度データと、前記第2時系列湿度データとをもとに、前記第1領域と前記第2領域の関連する生活パターンを導出し、導出した前記生活パターンをもとに、前記第1領域で発生した湿度変化に応じて、前記空気調和装置による前記第2領域の温度の制御を実行させる空調制御システム。
【請求項2】
互いに異なった第1領域と第2領域に対する温度を制御する空気調和装置と、
前記第1領域の温度を計測する第1温度センサと、
前記第2領域の温度を計測する第2温度センサと、
前記第1温度センサの出力する温度計測値を時系列に並べた第1時系列温度データと、前記第2温度センサの出力する温度計測値を時系列に並べた第2時系列温度データとを蓄積する記憶装置と、
前記記憶装置に接続されて、前記空気調和装置の運転を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶した前記第1時系列温度データと、前記第2時系列温度データとをもとに、前記第1領域と前記第2領域の関連する生活パターンを導出し、導出した前記生活パターンをもとに、前記第1領域で発生した温度変化に応じて、前記空気調和装置による前記第2領域の温度の制御を実行させる空調制御システム。
【請求項3】
互いに異なった第1領域と第2領域に対する温度を制御する空気調和装置と、
前記第1領域のCO濃度を計測する第1COセンサと、
前記第2領域のCO濃度を計測する第2COセンサと、
前記第1COセンサの出力するCO濃度計測値を時系列に並べた第1時系列CO濃度データと、前記第2COセンサの出力するCO濃度計測値を時系列に並べた第2時系列CO濃度データとを蓄積する記憶装置と、
前記記憶装置に接続されて、前記空気調和装置の運転を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶した前記第1時系列CO濃度データと、前記第2時系列CO濃度データとをもとに、前記第1領域と前記第2領域の関連する生活パターンを導出し、導出した前記生活パターンをもとに、前記第1領域で発生したCO濃度変化に応じて、前記空気調和装置による前記第2領域の温度の制御を実行させる空調制御システム。
【請求項4】
互いに異なった第1領域と第2領域に対する温度を制御する空気調和装置と、
前記第1領域の温度、湿度、CO濃度の少なくとも2つの環境計測値を検出する第1センサと、
前記第2領域の温度、湿度、CO濃度の少なくとも2つの環境計測値を検出する第2センサと、
前記第1センサの出力する環境計測値を時系列に並べた第1時系列環境計測値データと、前記第2センサの出力する環境計測値を時系列に並べた第2時系列環境計測値データとを蓄積する記憶装置と、
前記記憶装置に接続されて、前記空気調和装置の運転を制御する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記記憶装置に記憶した前記第1時系列環境計測値データと、前記第2時系列環境計測値データとをもとに、前記第1領域と前記第2領域の関連する生活パターンを導出し、導出した前記生活パターンをもとに、前記第1領域で発生した環境計測値の変化に応じて、前記空気調和装置による前記第2領域の温度の制御を実行させる空調制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空調制御技術に関し、特に施設の空調を制御する換気制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数個の居室を備えた高断熱・高気密家屋における空調システムでは、独立して設けられた少なくとも1つの空調室内の空調が制御され、空調された空気が空調室から各居室に搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第19/107163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脱衣所は、一般的に、入浴の際に使用されるが、1日の多くの時間において使用されない。このような部屋を1日中空調し続けることは無駄である。しかしながら、冬期の入浴前の脱衣所は一般的に寒いので、予め暖まっていると居住者の利便性が向上する。そのため、居住者の行動に応じた空調制御が求められる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みなされたものであり、その目的は、効率的に空調制御を実行する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の空調制御システムは、互いに異なった第1領域と第2領域に対する温度を制御する空気調和装置と、第1領域の湿度を計測する第1湿度センサと、第2領域の湿度を計測する第2湿度センサと、第1湿度センサの出力する湿度計測値を時系列に並べた第1時系列湿度データと、第2湿度センサの出力する湿度計測値を時系列に並べた第2時系列湿度データとを蓄積する記憶装置と、記憶装置に接続されて、空気調和装置の運転を制御する制御装置を備える。制御装置は、記憶装置に記憶した第1時系列湿度データと、第2時系列湿度データとをもとに、第1領域と第2領域の関連する生活パターンを導出し、導出した生活パターンをもとに、第1領域で発生した湿度変化に応じて、空気調和装置による第2領域の温度の制御を実行させる。
【0007】
本開示の別の態様もまた、空調制御システムである。この空調制御システムは、互いに異なった第1領域と第2領域に対する温度を制御する空気調和装置と、第1領域の温度を計測する第1温度センサと、第2領域の温度を計測する第2温度センサと、第1温度センサの出力する温度計測値を時系列に並べた第1時系列温度データと、第2温度センサの出力する温度計測値を時系列に並べた第2時系列温度データとを蓄積する記憶装置と、記憶装置に接続されて、空気調和装置の運転を制御する制御装置を備える。制御装置は、記憶装置に記憶した第1時系列温度データと、第2時系列温度データとをもとに、第1領域と第2領域の関連する生活パターンを導出し、導出した生活パターンをもとに、第1領域で発生した温度変化に応じて、空気調和装置による第2領域の温度の制御を実行させる。
【0008】
本開示のさらに別の態様もまた、空調制御システムである。この空調制御システムは、互いに異なった第1領域と第2領域に対する温度を制御する空気調和装置と、第1領域のCO濃度を計測する第1COセンサと、第2領域のCO濃度を計測する第2COセンサと、第1COセンサの出力するCO濃度計測値を時系列に並べた第1時系列CO濃度データと、第2COセンサの出力するCO濃度計測値を時系列に並べた第2時系列CO濃度データとを蓄積する記憶装置と、記憶装置に接続されて、空気調和装置の運転を制御する制御装置を備える。制御装置は、記憶装置に記憶した第1時系列CO濃度データと、第2時系列CO濃度データとをもとに、第1領域と第2領域の関連する生活パターンを導出し、導出した生活パターンをもとに、第1領域で発生したCO濃度変化に応じて、空気調和装置による第2領域の温度の制御を実行させる。
【0009】
本開示のさらに別の態様もまた、空調制御システムである。この空調制御システムは、互いに異なった第1領域と第2領域に対する温度を制御する空気調和装置と、第1領域の温度、湿度、CO濃度の少なくとも2つの環境計測値を検出する第1センサと、第2領域の温度、湿度、CO濃度の少なくとも2つの環境計測値を検出する第2センサと、第1センサの出力する環境計測値を時系列に並べた第1時系列環境計測値データと、第2センサの出力する環境計測値を時系列に並べた第2時系列環境計測値データとを蓄積する記憶装置と、記憶装置に接続されて、空気調和装置の運転を制御する制御装置を備える。制御装置は、記憶装置に記憶した第1時系列環境計測値データと、第2時系列環境計測値データとをもとに、第1領域と第2領域の関連する生活パターンを導出し、導出した生活パターンをもとに、第1領域で発生した環境計測値の変化に応じて、空気調和装置による第2領域の温度の制御を実行させる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、効率的に空調制御を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1に係る住宅の構成を示す図である。
図2図2(a)-(b)は、図1の制御装置における制御の概要を示す図である。
図3】実施例2に係る住宅の構成を示す図である。
図4】実施例2に係る住宅の別の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
本開示の実施例を具体的に説明する前に、実施例の概要を説明する。本実施例は、住宅等の施設に設けられ、施設に対する全館空調を実行する空調システムに関する。前述のごとく、効率的に空調制御を実行するために、居住者の行動に応じた空調制御が求められる。
本実施例に係る空調システムは、各部屋において計測した湿度計測値から居住者の行動パターンを予想し、移動先の部屋に対して、居住者の移動前から予め空調制御を実行する。以下の説明において、風量とは、単位時間、例えば1時間あたりの風量を示す。
【0014】
以下に説明する実施例は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。よって、以下の実施例で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。したがって、以下の実施例における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0015】
図1は、住宅100の構成を示す。住宅100には、換気装置20、空気調和装置30、制御装置40を含む空調システムが配置される。空調システムは換気制御システム、換気システム、全館空調システムとも呼ばれる。住宅100は、領域10と総称される第1領域10a、第2領域10bを含む。領域10は、例えば、部屋、リビングルーム、ダイニングルーム、キッチンである。住宅100に含まれる領域10の数は「2」に限定されず、住宅100は非住宅を含む施設であってもよい。
【0016】
住宅100の外壁には外気導入口(図示せず)が設置される。外気導入口から住宅100の内部に向かって外気風路50が延びる。外気風路50は外気導入ダクトとも呼ばれる。外気風路50は、換気装置20に接続される。換気装置20には、外気導入ファン(図示せず)が設置され、外気導入ファンの回転により、外気導入口から外気60が取り込まれ、外気60が外気風路50を通って換気装置20に流入される。外気風路50は、換気装置20からさらに延びて、第1循環風路54aに接続され、換気装置20からの外気60を第1循環風路54aに流入させる。
【0017】
換気装置20には、排気風路52も接続される。排気風路52は排気ダクトとも呼ばれる。排気風路52は、各領域10から換気装置20を経由して住宅100の外壁に向かって延びる。住宅100の外壁には排気口(図示せず)が設置され、排気口には排気風路52が接続される。換気装置20は、排気ファン(図示せず)の回転により、排気風路52を通って排気口から排気62を排出する。このように排気風路52は、第1領域10aと第2領域10bからの排気62を集合させ、1つの排気口から屋外へ排気62を排出する。その結果、換気装置20により、互いに異なった第1領域10aと第2領域10bに対する換気がなされ、領域10の内外の空気が入れかえられる。換気装置20において熱交換がなされてもよい。
【0018】
住宅100の内部には、各領域10から空気調和装置30に延びる第1循環風路54aと、空気調和装置30から各領域10に延びる第2循環風路54bとが設置される。第1循環風路54aは還気ダクトとも呼ばれ、第2循環風路54bは給気ダクトとも呼ばれる。第1循環風路54aと第2循環風路54bとを接続した風路は環状に構成される。第1循環風路54a、第2循環風路54bは循環風路54と総称される。第1循環風路54aには、各領域10からの還気64が流入される。前述のごとく、第1循環風路54aは外気風路50に接続されるので、還気64には外気60が混合される。
【0019】
空気調和装置30には、還気64と外気60の混合空気が第1循環風路54aから流入される。空気調和装置30のエアコンディショナ32は、還気64と外気60の混合空気に対して、空調を制御する。エアコンディショナ32は、空気の温度が設定された目標温度となるように、還気64と外気60の混合空気を冷却または加熱する。目標温度は、制御装置40により設定される。エアコンディショナ32は、加湿および除湿機能を有してもよい。
【0020】
エアコンディショナ32からの空気はHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air)34に流入される。HEPAフィルタ34は、エアフィルタであり、エアコンディショナ32において空調がなされた空気中からゴミ、塵埃などを取り除き、清浄された空気を出力する。HEPAフィルタ34を通過した空気は、空気調和装置30からの空気として、空気調和装置30に含まれる送風機(図示せず)により出力される。送風機の風量は後述の制御装置40により制御可能である。
【0021】
空気調和装置30が第1領域10aと第2領域10bにおける温度を制御するために、空気調和装置30には、第2循環風路54bが接続される。第2循環風路54bは第1領域10aと第2領域10bまで延びる。第1領域10aと第2領域10bのそれぞれには吹出口(図示せず)が設けられ、各吹出口は第2循環風路54bに接続される。空気調和装置30から出力される給気66は、第2循環風路54bを通って、吹出口から領域10に吹き出す。第1領域10aの吹出口には第1ダンパ12aが設置され、第2領域10bの吹出口には第2ダンパ12bが設置される。第1ダンパ12a、第2ダンパ12bはダンパ12と総称され、ダンパ12は開度を調節することによって、吹出口から領域10に吹き出される給気66の風量を調節する。第1ダンパ12aと第2ダンパ12bの開度の調節は制御装置40により制御される。
【0022】
第1領域10aと第2領域10bのそれぞれには吸込口(図示せず)が設けられ、各吸込口は第1循環風路54aに接続される。空気調和装置30の動作により、各領域10からの還気64は、吸込口から第1循環風路54aに流入する。これに続いて、還気64は、前述のごとく、第1循環風路54aを通って空気調和装置30に吸い込まれる。つまり、循環風路54は、空気調和装置30が領域10内の空気を吸い込んでHEPAフィルタ34によって浄化した後、領域10内に吹き出して循環させる。
【0023】
第1領域10aには第1湿度センサ76aが設置される。第1湿度センサ76aは、第1領域10aの湿度を検出するためのセンサである。第1湿度センサ76aは、無線通信等の通信機能を有し、検出した湿度(以下、「第1湿度計測値」という)を制御装置40に送信する。第2領域10bには第2湿度センサ76bが設置される。第2湿度センサ76bは、第2領域10bの湿度を検出するためのセンサである。第2湿度センサ76bは、無線通信等の通信機能を有し、検出した湿度(以下、「第2湿度計測値」という)を制御装置40に送信する。第1湿度センサ76a、第2湿度センサ76bは、湿度センサ76と総称され、第1湿度計測値、第2湿度計測値は湿度計測値と総称される。
【0024】
制御装置40は、空調システム全体を制御するシステムコントローラである。制御装置40は、IF部42、制御部44、記憶部46を含む。IF部42は、ダンパ12、換気装置20、空気調和装置30、湿度センサ76と、無線通信により通信可能に接続される。無線通信で接続されることにより、複雑な配線工事が不要になる。しかしながら、これらのうちの少なくとも一部が有線通信により通信可能に接続されてもよい。IF部42は、第1湿度センサ76aから第1湿度計測値を受信し、第2湿度センサ76bから第2湿度計測値を受信する。
【0025】
制御部44は、第1湿度計測値と第2湿度計測値を記憶部46に記憶させる。記憶部46は、第1湿度計測値を時系列に並べた第1時系列湿度データと、第2湿度計測値を時系列に並べた第2時系列湿度データとを蓄積する。制御部44は、記憶部46に記憶した第1時系列湿度データと、第2時系列湿度データとをもとに、第1領域10aと第2領域10bの関連する生活パターンを導出する。図2(a)-(b)は、制御装置40における制御の概要を示す。図2(a)は、第1時系列湿度データを示し、図2(b)は、第2時系列湿度データを示す。これらにおいて、横軸は時間を示し、縦軸は湿度を示す。第1領域10aがキッチンであり、第2領域10bが脱衣所である場合、時刻T1において調理により湿度が増加し、時刻T1よりも後の時刻T2において入浴により湿度が増加する。
【0026】
第1時系列湿度データと第2時系列湿度データとにおいて、時刻T1の近くの時刻T1’で第1湿度計測値が増加してから、時刻T2の近くの時刻T2’で第2湿度計測値が増加するパターンが複数日にわたり出現すると、制御部44は、これが生活パターンであると特定する。時刻T1’は、時刻T1から所定の範囲(以下、「第1範囲」という)に含まれる時刻であり、時刻T2’は、時刻T2から所定の範囲(以下、「第2範囲」という)に含まれる時刻である。その際、制御部44は、時刻T1に対する第1範囲に含まれる時間帯(以下、「トリガ時間帯」という)と、時刻T2と時刻T1との時間差(以下、「関連時間差」という)を特定する。ここで、関連時間差は、時刻T2と時刻T1との時間差をもとに導出した時間差、例えば、時刻T2と時刻T1との時間差を統計処理した時間差、統計処理した時間差から一定の値を減算した時間差などであってもよい。
【0027】
生活パターンの導出後、制御部44は、受けつけた第1湿度計測値がトリガ時間帯に含まれる場合に、生活パターンの発生を特定する。その際、制御部44は、増加を検出した時刻から関連時間だけ経過した時刻において、第2領域10bに対する空調制御を実行する。例えば、第2領域10bが脱衣所である場合、第2ダンパ12bを開けることによって、空気調和装置30によって暖められた給気66が第2領域10bに流入される。このように、制御部44は、導出した生活パターンをもとに、第1領域10aで発生した湿度変化に応じて第2領域10bの温度の制御を空気調和装置30に指示する。
【0028】
空調制御を実行するために、制御部44は、空気調和装置30の風量、ダンパ12の開度を指示するための制御信号をIF部42に出力する。IF部42は、制御信号を空気調和装置30、ダンパ12に送信する。湿度変化の要因は前述のものに限定されない。例えば、人の入室、洗濯等であってもよい。また、生活パターンの導出、生活パターンの発生の特定も前述のものに限定されず、ニューラルネットワーク等の機械学習が使用されてもよい。
【0029】
本開示における装置、システム、または方法の主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示における装置、システム、または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0030】
本実施例によれば、第1時系列湿度データと、第2時系列湿度データとをもとに導出した生活パターンをもとに、第1領域10aで発生した湿度変化に応じて、空気調和装置30による第2領域10bの温度の制御を実行させるので、第2領域10bの温度を適切に制御できる。また、第2領域10bの温度が適切に制御されるので、第2領域10bに居住者がいない場合に第2領域10bに対する温度の制御を停止できる。また、第2領域10bの温度が適切に制御されるので、第2領域10bに居住者が移動する前に第2領域10bの温度を制御できる。また、第2領域10bの温度が適切に制御されるので、効率的に空調制御を実行できる。
【0031】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示のある態様の空調制御システムは、互いに異なった第1領域(10a)と第2領域(10b)に対する温度を制御する空気調和装置(30)と、第1領域(10a)の湿度を計測する第1湿度センサ(76a)と、第2領域(10b)の湿度を計測する第2湿度センサ(76b)と、第1湿度センサ(76a)の出力する湿度計測値を時系列に並べた第1時系列湿度データと、第2湿度センサ(76b)の出力する湿度計測値を時系列に並べた第2時系列湿度データとを蓄積する記憶装置(46)と、記憶装置(46)に接続されて、空気調和装置(30)の運転を制御する制御装置(40)を備える。制御装置(40)は、記憶装置(46)に記憶した第1時系列湿度データと、第2時系列湿度データとをもとに、第1領域(10a)と第2領域(10b)の関連する生活パターンを導出し、導出した生活パターンをもとに、第1領域(10a)で発生した湿度変化に応じて、空気調和装置(30)による第2領域(10b)の温度の制御を実行させる。
【0032】
(実施例2)
次に実施例2を説明する。実施例2は、実施例1と同様に、施設に対する全館空調を実行する空調システムに関する。実施例1では、居住者の生活パターンの導出、発生の特定のために湿度計測値を使用する。一方、実施例では、居住者の生活パターンの導出、発生の特定のために温度計測値あるいはCO濃度計測値を使用する。以下では、実施例1との差異を中心に説明する。
【0033】
図3は、住宅100の構成を示す図である。図3は、図1と同様に示される。第1領域10aには第1温度センサ74aが設置される。第1温度センサ74aは、第1領域10aの温度を検出するためのセンサである。第1温度センサ74aは、無線通信等の通信機能を有し、検出した温度(以下、「第1温度計測値」という)を制御装置40に送信する。第2領域10bには第2温度センサ74bが設置される。第2温度センサ74bは、第2領域10bの温度を検出するためのセンサである。第2温度センサ74bは、無線通信等の通信機能を有し、検出した温度(以下、「第2温度計測値」という)を制御装置40に送信する。第1温度センサ74a、第2温度センサ74bは、温度センサ74と総称され、第1温度計測値、第2温度計測値は温度計測値と総称される。
【0034】
制御装置40のIF部42は、第1温度センサ74aから第1温度計測値を受信し、第2温度センサ74bから第2温度計測値を受信する。制御部44は、第1温度計測値と第2温度計測値を記憶部46に記憶させる。記憶部46は、温度計測値を時系列に並べた第1時系列温度データと、温度計測値を時系列に並べた第2時系列温度データとを蓄積する。制御部44は、記憶部46に記憶した第1時系列温度データと、第2時系列温度データとをもとに、第1領域10aと第2領域10bの関連する生活パターンを導出する。生活パターンの導出は実施例1と同様になされればよい。ここで、温度変化の要因は、例えば、人のいる場所の変化、窓の開閉である。
【0035】
生活パターンの導出後、制御部44は、受けつけた第1温度計測値がトリガ時間帯に含まれる場合に、生活パターンの発生を特定する。その際、制御部44は、増加を検出した時刻から関連時間だけ経過した時刻において、第2領域10bに対する空調制御を実行する。このように、制御部44は、導出した生活パターンをもとに、第1領域10aで発生した温度変化に応じて第2領域10bの温度の制御を空気調和装置30に指示する。
【0036】
図4は、住宅100の別の構成を示す。図4は、図1図3と同様に示される。第1領域10aには第1COセンサ72aが設置される。第1COセンサ72aは、第1領域10aのCO濃度を検出するためのセンサである。第1COセンサ72aは、無線通信等の通信機能を有し、検出したCO濃度(以下、「第1CO計測値」という)を制御装置40に送信する。第2領域10bには第2COセンサ72bが設置される。第2COセンサ72bは、第2領域10bのCO濃度を検出するためのセンサである。第2COセンサ72bは、無線通信等の通信機能を有し、検出したCO濃度(以下、「第2CO計測値」という)を制御装置40に送信する。第1COセンサ72a、第2COセンサ72bは、COセンサ72と総称され、第1CO計測値、第2CO計測値はCO計測値と総称される。
【0037】
制御装置40のIF部42は、第1COセンサ72aから第1CO計測値を受信し、第2COセンサ72bから第2CO計測値を受信する。制御部44は、第1CO計測値と第2CO計測値を記憶部46に記憶させる。記憶部46は、CO計測値を時系列に並べた第1時系列COデータと、CO計測値を時系列に並べた第2時系列COデータとを蓄積する。制御部44は、記憶部46に記憶した第1時系列COデータと、第2時系列COデータとをもとに、第1領域10aと第2領域10bの関連する生活パターンを導出する。生活パターンの導出は実施例1と同様になされればよい。
【0038】
生活パターンの導出後、制御部44は、受けつけた第1CO計測値がトリガ時間帯に含まれる場合に、生活パターンの発生を特定する。その際、制御部44は、増加を検出した時刻から関連時間だけ経過した時刻において、第2領域10bに対する空調制御を実行する。このように、制御部44は、導出した生活パターンをもとに、第1領域10aで発生したCO濃度変化に応じて第2領域10bの温度の制御を空気調和装置30に指示する。
【0039】
本実施例によれば、第1時系列温度データと、第2時系列温度データとをもとに導出した生活パターンをもとに、第1領域10aで発生した温度変化に応じて、空気調和装置30による第2領域10bの温度の制御を実行させるので、第2領域10bの温度を適切に制御できる。また、第1時系列COデータと、第2時系列COデータとをもとに導出した生活パターンをもとに、第1領域10aで発生したCO濃度変化に応じて、空気調和装置30による第2領域10bの温度の制御を実行させるので、第2領域10bの温度を適切に制御できる。
【0040】
本開示の一態様の概要は、次の通りである。本開示の別の態様もまた、空調制御システムである。この空調制御システムは、互いに異なった第1領域(10a)と第2領域(10b)に対する温度を制御する空気調和装置(30)と、第1領域(10a)の温度を計測する第1温度センサ(74a)と、第2領域(10b)の温度を計測する第2温度センサと、第1温度センサ(74a)の出力する温度計測値を時系列に並べた第1時系列温度データと、第2温度センサの出力する温度計測値を時系列に並べた第2時系列温度データとを蓄積する記憶装置(46)と、記憶装置(46)に接続されて、空気調和装置(30)の運転を制御する制御装置(40)を備える。制御装置(40)は、記憶装置(46)に記憶した第1時系列温度データと、第2時系列温度データとをもとに、第1領域(10a)と第2領域(10b)の関連する生活パターンを導出し、導出した生活パターンをもとに、第1領域(10a)で発生した温度変化に応じて、空気調和装置(30)による第2領域(10b)の温度の制御を実行させる。
【0041】
本開示のさらに別の態様もまた、空調制御システムである。この空調制御システムは、互いに異なった第1領域(10a)と第2領域(10b)に対する温度を制御する空気調和装置(30)と、第1領域(10a)のCO濃度を計測する第1CO2センサ(72a)と、第2領域(10b)のCO濃度を計測する第2COセンサと、第1CO2センサ(72a)の出力するCO濃度計測値を時系列に並べた第1時系列CO濃度データと、第2COセンサの出力するCO濃度計測値を時系列に並べた第2時系列CO濃度データとを蓄積する記憶装置(46)と、記憶装置(46)に接続されて、空気調和装置(30)の運転を制御する制御装置(40)を備える。制御装置(40)は、記憶装置(46)に記憶した第1時系列CO濃度データと、第2時系列CO濃度データとをもとに、第1領域(10a)と第2領域(10b)の関連する生活パターンを導出し、導出した生活パターンをもとに、第1領域(10a)で発生したCO濃度変化に応じて、空気調和装置(30)による第2領域(10b)の温度の制御を実行させる。
【0042】
本開示のさらに別の態様もまた、空調制御システムである。この空調制御システムは、互いに異なった第1領域(10a)と第2領域(10b)に対する温度を制御する空気調和装置(30)と、第1領域(10a)の温度、湿度、CO濃度の少なくとも2つの環境計測値を検出する第1センサと、第2領域(10b)の温度、湿度、CO濃度の少なくとも2つの環境計測値を検出する第2センサと、第1センサの出力する環境計測値を時系列に並べた第1時系列環境計測値データと、第2センサの出力する環境計測値を時系列に並べた第2時系列環境計測値データとを蓄積する記憶装置(46)と、記憶装置(46)に接続されて、空気調和装置(30)の運転を制御する制御装置(40)を備える。制御装置(40)は、記憶装置(46)に記憶した第1時系列環境計測値データと、第2時系列環境計測値データとをもとに、第1領域(10a)と第2領域(10b)の関連する生活パターンを導出し、導出した生活パターンをもとに、第1領域(10a)で発生した環境計測値の変化に応じて、空気調和装置(30)による第2領域(10b)の温度の制御を実行させる。
【0043】
以上、本開示を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0044】
実施例1、2における制御装置40は、湿度、温度、CO濃度のうちのいずれかをもとに、生活パターンを導出し、生活パターンの発生を特定している。しかしながらこれに限らず例えば、温度、湿度、CO濃度の少なくとも2つの環境計測値を使用してもよい。本変形例によれば、処理精度を向上できる。
【0045】
実施例1、2における記憶部46は制御装置40に含まれる。しかしながらこれに限らず例えば、記憶部46は記憶装置として制御装置40に接続されてもよい。本変形例によれば、構成の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0046】
10 領域、 12 ダンパ、 20 換気装置、 30 空気調和装置、 32 エアコンディショナ、 34 HEPAフィルタ、 40 制御装置、 42 IF部、 44 制御部、 46 記憶部、 50 外気風路、 52 排気風路、 54 循環風路、 60 外気、 62 排気、 64 還気、 66 給気、 72 COセンサ、 74 温度センサ、 76 湿度センサ、 100 住宅。
図1
図2
図3
図4