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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】ウェアラブルセンシングデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240621BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20240621BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20240621BHJP
   G01H 11/06 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A41D19/015 610Z
A41D13/08 101
G01H11/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023514546
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2022013499
(87)【国際公開番号】W WO2022220033
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2021067344
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】上田 武志
(72)【発明者】
【氏名】中尾 克
(72)【発明者】
【氏名】田坂 啓
(72)【発明者】
【氏名】真木 晋弘
(72)【発明者】
【氏名】岩本 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】国本 浩
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-82443(JP,A)
【文献】特開2009-181796(JP,A)
【文献】特開2008-226506(JP,A)
【文献】特開平3-297080(JP,A)
【文献】特表2017-529133(JP,A)
【文献】特開2017-148220(JP,A)
【文献】特開2015-83073(JP,A)
【文献】特開2019-207827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A41D 19/015
A41D 13/08
G01H 11/06
A63B 69/00
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに装着される衣類と、
センサを備え、前記衣類に取り付けられるセンサユニットと、を有し、
前記センサユニットは、本体部と、前記本体部を挟むように設けられて、前記衣類に固定される第1および第2のブラケット部と、前記本体部と前記第1および前記第2のブラケット部とをそれぞれ連結する第1および第2のヒンジ部とを備え、
前記センサユニットの前記第1および前記第2のブラケット部が前記衣類上に設けられた第1および第2のセンサ取り付け部にそれぞれ取り付けられる、ウェアラブルセンシングデバイス。
【請求項2】
前記第1および前記第2のヒンジ部が、弾性材料から作製され、
前記第1および前記第2のヒンジ部が弾性変形した状態で、前記第1のブラケット部が前記第1のセンサ取り付け部に取り付けられるとともに、前記第2のブラケット部が前記第2のセンサ取り付け部に取り付けられる、
請求項1に記載のウェアラブルセンシングデバイス。
【請求項3】
前記衣類が、前記センサユニットの前記本体部と対向する部分に、前記ユーザの皮膚を露出させてその皮膚と前記本体部とを接触させる貫通穴を備える、
請求項1に記載のウェアラブルセンシングデバイス。
【請求項4】
前記衣類が、前記センサユニットの前記本体部と対向する部分に、前記センサユニットの前記本体部と係合するとともに前記ユーザの皮膚と接触する介在部材を備える、
請求項1に記載のウェアラブルセンシングデバイス。
【請求項5】
前記センサユニットの前記本体部における前記ユーザの皮膚に対向する接触面が、凹面状である、
請求項1に記載のウェアラブルセンシングデバイス。
【請求項6】
前記衣類が手袋であって、
前記センサユニットが、前記手袋の親指部分に取り付けられる、
請求項1に記載のウェアラブルセンシングデバイス。
【請求項7】
前記センサが、振動センサまたはマイクである、
請求項1に記載のウェアラブルセンシングデバイス。
【請求項8】
ユーザの衣類に取り付けられるセンサユニットであって、
センサと、
前記センサを搭載する本体部と、
前記本体部を挟むように設けられて、前記衣類に着脱可能に固定される第1および第2のブラケット部と、
前記本体部と前記第1および前記第2のブラケット部それぞれとを連結する第1および第2のヒンジ部とを備える、
センサユニット。
【請求項9】
前記第1および前記第2のヒンジ部が、弾性材料から作製され、
前記第1および前記第2のヒンジ部が弾性変形した状態で、前記第1のブラケット部が前記衣類に取り付けられるとともに、前記第2のブラケット部が前記衣類に取り付けられる、
請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項10】
前記センサユニットの前記本体部における前記ユーザの皮膚に対向する接触面が、凹面状である、
請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項11】
前記センサが、振動センサまたはマイクである、
請求項8に記載のセンサユニット。
【請求項12】
請求項8に記載のセンサユニットが取り付けられる衣類であって、
間隔をあけて設けられ、前記センサユニットの第1および第2のブラケット部と着脱可能に取り付けられる第1および第2のセンサ取り付け部を備える、
衣類。
【請求項13】
前記センサユニットの前記本体部と対向する部分に、前記ユーザの皮膚を露出させてその皮膚と前記本体部とを接触させる貫通穴を備える、
請求項12に記載の衣類。
【請求項14】
前記センサユニットの前記本体部と対向する部分に、前記センサユニットの前記本体部と接触するとともに前記ユーザの皮膚と接触する介在部材を備える、
請求項12に記載の衣類。
【請求項15】
前記衣類が手袋であって、
前記第1および前記第2のセンサ取り付け部が、前記手袋の親指部分に設けられている、
請求項12に記載の衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェアラブルセンシングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、コネクタの嵌合作業を行う作業者に装着された一方の手袋に振動検出部を設け、振動検出部によって検出された振動に基づいてコネクタの嵌合結果の良否判定を行う装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-221971号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された装置の場合、作業者によって振動の検出精度が異なる。具体的には、作業者の手の大きさの違いにより、手袋を介在する振動検出部と作業者の手の接触具合が異なるので、手から振動検出部に伝わる振動に違いが生じる。
【0005】
そこで、本開示は、センサを備えるウェアラブルセンシングデバイスにおいて、ユーザの違いによるセンシング精度のバラツキを抑制することを課題とする。
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様によれば、ウェアラブルセンシングデバイスは、ユーザに装着される衣類と、センサを備え、前記衣類に取り付けられるセンサユニットと、を有する。前記センサユニットは、本体部と、前記本体部を挟むように設けられて、前記衣類に固定される第1および第2のブラケット部と、前記本体部と前記第1および前記第2のブラケット部とをそれぞれ連結する第1および第2のヒンジ部とを備える。前記センサユニットの前記第1および前記第2のブラケット部が前記衣類上に設けられた第1および第2のセンサ取り付け部にそれぞれ取り付けられる。
【0007】
また、本開示の別態様によれば、ユーザの衣類に取り付けられるセンサユニットは、センサと、前記センサを搭載する本体部と、前記本体部を挟むように設けられて、前記衣類に着脱可能に固定される第1および第2のブラケット部と、前記本体部と前記第1および前記第2のブラケット部とをそれぞれ連結する第1および第2のヒンジ部とを備える。
【0008】
さらに、本開示の異なる態様によれば、前記センサユニットが取り付けられる衣類は、間隔をあけて設けられ、前記センサユニットの第1および第2のブラケットと着脱可能に取り付けられる第1および第2のセンサ取り付け部を備える。
【0009】
本開示によれば、センサを備えるウェアラブルセンシングデバイスにおいて、ユーザの違いによるセンシング精度のバラツキを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1に係る作業判定装置の概略的構成図
図2】センサユニットが取り外された状態のウェアラブルセンシングデバイスを示す図
図3】センサユニットの上方斜視図
図4】センサユニットの下方斜視図
図5】センサユニットの分解斜視図
図6】ウェアラブルセンシングデバイスの等価回路図
図7A】センサユニットが手袋に固定される直前の状態を示す部分断面図
図7B】センサユニットが手袋に固定された状態を示す部分断面図
図8】作業者に装着された状態の通信モジュールを示す図
図9】本開示の実施の形態2に係るウェアラブルセンシングデバイスにおける、センサユニットが手袋に固定される直前の状態を示す部分断面図
図10】本開示の実施の形態3に係るウェアラブルセンシングデバイスにおける、センサユニットが手袋に固定された状態の部分断面図
図11】本開示の実施の形態4に係るウェアラブルセンシングデバイスにおける、センサユニットが手袋に固定された状態の部分断面図
図12】本開示の実施の形態5にかかるウェアラブルセンシングデバイスにおける、作業者に装着された状態の通信モジュールを示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するものであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本開示の実施の形態1に係る作業判定装置の概略的構成図である。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態1に係る作業判定装置10は、作業者の手作業によって発生する現象を検出するウェアラブルセンシングデバイス20と、ウェアラブルセンシングデバイス20の検出結果に基づいて作業者の手作業の結果の良否を判定する演算装置80とを含んでいる。なお、本実施の形態1の場合、手作業は、作業者が両手を用いて行う作業であって、その作業によって振動が発生する作業である。例えば、手作業は、自動車のハーネスコネクタを嵌合する嵌合作業であって、その嵌合結果が判定される。
【0015】
図1に示すように、ウェアラブルセンシングデバイス20は、作業者の左手に装着される左手用の手袋22Lと、右手に装着される右手用の手袋22Rと、手袋22Lに取り付けられるセンサユニット24Lと、手袋22Rに取り付けられるセンサユニット24Rと、センサユニット24Lと電気的に接続する通信モジュール25Lと、センサユニット24Rと電気的に接続する通信モジュール25Rとを有する。なお、図1においては、手袋22L、22Rの甲側部分が示されている。
【0016】
演算装置80は、ウェアラブルセンシングデバイス20に対する外部装置であって、例えばPCである。演算装置80は、ウェアラブルセンシングデバイス20の通信モジュール25L、25Rと通信する通信デバイス82と、CPUなどのプロセッサ84と、プロセッサ84を動作させるプログラムなどを記憶するHDD、SSDなどの記憶デバイス86と、出力デバイスであるディスプレイ88とを有する。
【0017】
まず、ウェアラブルセンシングデバイス20の構成について説明する。なお、ウェアラブルセンシングデバイス20において、作業者の左手に装着される構成要素と右手に装着される構成要素は、実質的に同一である。したがって、左手に装着されるウェアラブルセンシングデバイス20の構成要素を説明し、右手に装着されるウェアラブルセンシングデバイス20の構成要素の説明は省略する。
【0018】
図2は、センサユニットが取り外された状態のウェアラブルセンシングデバイスを示す図である。また、図3はセンサユニットの上方斜視図であって、図4はセンサユニットの下方斜視図である。さらに、図5は、センサユニットの分解斜視図である。そして、図6は、ウェアラブルセンシングデバイスの等価回路図である。
【0019】
図2に示すように、手袋22Lとセンサユニット24Lは、詳細は後述するが、互いに着脱可能に構成されている。本実施の形態1の場合、センサユニット24Lは、手袋22Lの親指が挿入される部分(親指部分)の根元部分に取り付けられる。これにより、センサユニット24Lは、手作業によって発生して作業者の左手親指に伝播した振動を検出する。なお、本開示においてセンサユニットが取り付けられる箇所は親指部分の根元部分に限られない。つまり、他の指が挿入される部分の根元部分または先端部分に取り付けられても良い。また、手の甲部分にセンサユニットが取り付けられても良い。ただし、親指部分の根元部分に取り付けた場合は、当該箇所はより良好に振動その他のセンシングデータを検出することができる。よって、他の箇所に取り付ける場合よりもより良好にセンシングをすることができるという利点がある。
【0020】
図3および図4に示すように、センサユニット24Lは、本体部24aと、手袋22Lに固定される第1および第2のブラケット部24b、24cと、本体部24aと第1および第2のブラケット部24b、24cとをそれぞれ連結する第1および第2のヒンジ部24d、24eとを備える。
【0021】
図3および図4に示すように、センサユニット24Lの本体部24aは、第1のブラケット部24bと第2のブラケット部24cとの間に配置される。なお、詳細は後述するが、本体部24aは手袋22Lには固定されず、第1のブラケット部24bと第2のブラケット部24cが手袋22Lに固定される。
【0022】
図5に示すように、本実施の形態1の場合、本体部24aには、手作業によって発生して作業者の左手親指に伝播した振動を検出する振動センサ26が搭載されている。振動センサ26は、例えば静電容量センサであって、検出した振動に対応する電気信号を出力する。本実施の形態1の場合、センサユニット24Lの本体部24aは、上側ハウジング28と、上側ハウジング28と係合する下側ハウジング30とから構成されている。上側ハウジング28と下側ハウジング30とによって形成された空間に、振動センサ26が配置されている。
【0023】
上側ハウジング28と下側ハウジング30は、例えばABS、PCなどの比較的に硬い樹脂材料から作製されている。また、下側ハウジング30の外側面には、図4に示すように、手袋22Lを介して作業者の皮膚に対向する接触面30aが形成されている。振動センサ26は、図5に示すように、接触面30aに対して反対側の下側ハウジング30の内側面の部分30bに、接着シール32を介して貼り付けられている。
【0024】
図5に示すように、本実施の形態1の場合、本体部24aには、振動センサ26に電気的に接続された回路基板34が搭載されている。回路基板34には、図6に示す増幅回路ACを構成する抵抗やコンデンサなどの複数の回路要素が実装されている。増幅回路ACは、振動センサ26と通信モジュール25Lとを電気的に接続する。それにより、増幅回路ACは、通信モジュール25L内のバッテリ(図示せず)の電力を用いて振動センサ26を駆動するとともに、振動センサ26から出力された電気信号を増幅して通信モジュール25Lに出力する。
【0025】
また、回路基板34は、電極36、38に電気的に接続されている。電極36、38は、センサユニット24Lの第1および第2のブラケット部24b、24cに設けられている。本実施の形態1の場合、図5に示すように、センサユニット24Lは、本体部24a(上側ハウジング28および下側ハウジング30)を挟んで支持する上側ストリップ40および下側ストリップ42を含んでいる。
【0026】
上側ストリップ40と下側ストリップ42は、例えばエラストマなどの比較的に柔らかい弾性材料から作製されている。なお、上側ハウジング28と上側ストリップ40とを二色成型によって作成してもよく、同様に、下側ハウジング30と下側ストリップ42とを二色成型によって作成してもよい。
【0027】
図5に示すように、上側ストリップ40の一方の円形状端40aと下側ストリップ42の一方の円形状端42aとの間に電極36が配置されている。すなわち、図4に示すように、第1のブラケット部24bが、上側ストリップ40の一方の円形状端40aと下側ストリップ42の一方の円形状端42aとから構成されている。また、上側ストリップ40の他方の円形状端40bと下側ストリップ42の他方の円形状端42bとの間に電極38が配置されている。すなわち、第2のブラケット部24cが、上側ストリップ40の他方の円形状端40bと下側ストリップ42の他方の円形状端42bとから構成されている。
【0028】
図5に示すように、上側ストリップ40には、2つの薄肉部40c、40dが形成されている。また、下側ストリップ42にも、2つの薄肉部42c、42dが形成されている。上側ストリップ40の一方の薄肉部40cと下側ストリップ42の一方の薄肉部42cとが対向することにより、センサユニット24Lの第1のヒンジ部24dが構成されている。また、上側ストリップ40の他方の薄肉部40dと下側ストリップ42の他方の薄肉部42dとが対向することにより、センサユニット24Lの第2のヒンジ部24eが構成されている。
【0029】
さらに、下側ストリップ42には、下側ハウジング30の接触面30aを露出させるための貫通穴42eが形成されている。
【0030】
図5に示すように、センサユニット24Lはまた、電極36に対して電気的に接続する第1のセンサ側接続端子44と、電極38に対して電気的に接続する第2のセンサ側接続端子46とを備える。図4に示すように、第1のセンサ側接続端子44は第1のブラケット部24bに設けられ、第2のセンサ側接続端子46は第2のブラケット部24cに設けられている。これらの第1および第2のセンサ側接続端子44、46と電気的に接続する接続端子が手袋22Lに設けられている。
【0031】
図7Aは、センサユニットが手袋に固定される直前の状態を示す部分断面図である。また、図7Bは、センサユニットが手袋に固定された状態を示す部分断面図である。なお、図7Aおよび図7Bにおいて、二点鎖線は、作業者の親指を示している。
【0032】
図7Aおよび図7Bに示すように、手袋22Lには、センサユニット24Lの第1のブラケット部24bに設けられた第1のセンサ側接続端子44と電気的に接続する第1の手袋側接続端子48が設けられている。また、手袋22Lには、第2のブラケット部24cに設けられた第2のセンサ側接続端子46と電気的に接続する第2の手袋側接続端子50が設けられている。
【0033】
第1の手袋側接続端子48と第2の手袋側接続端子50は、図2および図7Aに示すように、手袋22Lの装着時に作業者の親指がそれらの間に位置するように、手袋22Lの親指部分の根元部分の側面に設けられている。すなわち、センサユニット24Lの本体部24aと対向する手袋22Lの部分を挟むように、第1の手袋側接続端子48と第2の手袋側接続端子50とが手袋22Lに設けられている。
【0034】
また、図7Aおよび図7Bに示すように、第1のセンサ側接続端子44と第1の手袋側接続端子48は、互いに対して着脱可能に係合するように構成されている。すなわち、第1の手袋側接続端子48は、第1のセンサ側接続端子44が設けられたセンサユニット24Lの第1のブラケット部24bが取り付けられる第1のセンサ取り付け部として機能する。
【0035】
本実施の形態1の場合、第1のセンサ側接続端子44と第1の手袋側接続端子48は、金属材料などの導電性材料から作製された第1のスナップボタン52である。例えば、第1のスナップボタン52の雄側ボタン部が第1のセンサ側接続端子44であって、雌側ボタン部が第1の手袋側接続端子48である。したがって、第1のセンサ側接続端子44と第1の手袋側接続端子48は、電気的に接続するとともに、着脱可能に互いに係合する。なお、第1のセンサ側接続端子44が第1のスナップボタン52の雌側ボタン部であって、第1の手袋側接続端子48が雄側ボタン部であってもよい。
【0036】
同様に、図7Aおよび図7Bに示すように、第2のセンサ側接続端子46と第2の手袋側接続端子50は、互いに対して着脱可能に係合するように構成されている。すなわち、第2の手袋側接続端子50は、第2のセンサ側接続端子46が設けられたセンサユニット24Lの第2のブラケット部24cが取り付けられる第2のセンサ取り付け部として機能する。
【0037】
本実施の形態1の場合、第2のセンサ側接続端子46と第2の手袋側接続端子50は、金属材料から作製された第2のスナップボタン54である。例えば、第2のスナップボタン54の雄側ボタン部が第2のセンサ側接続端子46であって、雌側ボタン部が第2の手袋側接続端子50である。したがって、第2のセンサ側接続端子46と第2の手袋側接続端子50は、電気的に接続するとともに、着脱可能に互いに係合する。なお、第2のセンサ側接続端子46が第2のスナップボタン54の雌側ボタン部であって、第2の手袋側接続端子50が雄側ボタン部であってもよい。
【0038】
さらに、本実施の形態1の場合、図7Aおよび図7Bに示すように、第1のスナップボタン52と第2のスナップボタン54とが異なる。本実施の形態の場合、それぞれの大きさが異なる。具体的には、第1および第2のスナップボタン52、54が、一方の雄側ボタン部が他方の雌側ボタン部に係合不可能に、互いに異なる。すなわち、第1のセンサ側接続端子44が第2の手袋側接続端子50に対して係合不可能であり、第2のセンサ側接続端子46が第1の手袋側接続端子48に対して係合不可能である。これにより、センサユニット24Lと手袋22Lとの電気的な接続が正常に行われ、図6に示す増幅回路ACが正常に動作することができる。言い換えると、作業者は、センサユニット24Lを迷うことなく容易に手袋22Lに取り付けることができ、またセンサユニット24Lを容易に手袋22Lから取り外すことができる。第1および第2のスナップボタン52、54が、一方の雄側ボタン部が他方の雌側ボタン部に係合不可能にする方法は、それぞれの大きさを異ならせる以外の方法を採用しても良い。例えば、それぞれのボタン部に磁性を持たせてボタンの結合を促進させる場合において、第1および第2のスナップボタン52、54が、一方の雄側ボタン部が他方の雌側ボタン部に係合不可能にするために磁性を衣類側、センサユニット側のそれぞれにおいて異ならせても良い。また、センサ側接続端子と手袋側接続端子がスナップボタン以外の固定手段で接続される場合においても、同様の工夫を行うことでセンサユニット24Lを迷うことなく容易に手袋22Lに取り付けることができる。例えばまた、センサ側接続端子と手袋側接続端子が面ファスナ等で固定される場合は、面ファスナの雄雌を本開示のスナップボタンと同様に互い違いになるように、用いても良い。
【0039】
図7Bに示すように、センサユニット24Lは、その第1および第2のヒンジ部24d、24eが弾性変形、すなわち引っ張り変形した状態で手袋22Lに取り付けられる。具体的には、第1および第2のヒンジ部24d、24eが弾性変形した状態で、第1のブラケット部24b(その第1のセンサ側接続端子44)が第1の手袋側接続端子48に取り付けられるとともに、第2のブラケット部24c(その第2のセンサ側接続端子46)が第2の手袋側接続端子50に取り付けられる。
【0040】
このようにセンサユニット24Lを手袋22Lに取り付けると、第1および第2のヒンジ部24d、24eの復元力により、本体部24aを手袋22L(すなわち手袋22Lを装着する作業者の親指)に向かって付勢する付勢力Pが発生する。この付勢力Pにより、本体部24aの接触面30aが、手袋22Lを介して作業者の皮膚に密着する。その結果、手作業によって発生して作業者の手を伝播する振動が、ロスなくセンサユニット24Lの本体部24aの接触面30aに伝達される。そして、センサユニット24Lの振動センサ26に、接触面30aを介して振動が到達する。
【0041】
また、このようなセンサユニット24Lの手袋22Lへの取り付けによれば、作業者の違い、本実施の形態1の場合には作業者の手の親指の大きさの違いによるセンシング精度のバラツキを抑制すことができる。具体的には、手の親指の大きさが異なっていても、第1および第2のヒンジ部24d、24eにより、センサユニット24Lの接触面30aは作業者の手の親指の皮膚に密着することができる。その結果、作業者が異なっていても、同条件で振動を検出することができ、同条件で作業の良否判定を行うことができる。
【0042】
なお、接触面30aと作業者の皮膚との密着性をより高めるために、本実施の形態1の場合、図7Aおよび図7Bに示すように、センサユニット24Lの接触面30aは、凹面状である。具体的には、作業者の親指が延在する方向視で、すなわち第1のブラケット部24bと第2のブラケット部24cとの対向方向に対して直交する方向(図面の垂直方向)視で、接触面30aは凹面状である。これにより、作業者の手の親指に接触面30aがより密着し、振動センサ26により小さい損失で振動が到達する。
【0043】
振動センサ26への振動伝達経路に関して、本実施の形態1の場合、第1のブラケット部24bと第2のブラケット部24cとを介する振動センサ26への振動の伝達は抑制されている。具体的には、第1のヒンジ部24dと第2のヒンジ部24e(すなわち上側ストリップ40および下側ストリップ42)が弾性材料から作製されているので、これらが振動を吸収するダンパーとして機能する。
【0044】
振動センサ26の検出結果(検出した振動に対応する信号)は、回路基板34と、係合状態の第1のセンサ側接続端子44および第1の手袋側接続端子48(第1のスナップボタン52)と、係合状態の第2のセンサ側接続端子46および第2の手袋側接続端子50(第2のスナップボタン54)を介して、通信モジュール25Lに送信される。そして、通信モジュール25Lは、振動センサ26からの検出結果を演算装置80に送信する。
【0045】
図8は、作業者に装着された状態の通信モジュールを示す図である。
【0046】
図8に示すように、本実施の形態1の場合、通信モジュール25Lは、手袋22Lに設けられておらず、作業者の腕W1に装着される。そのために、通信モジュール25Lとセンサユニット24Lとを電気的に接続する導線60、62が手袋22Lに設けられている。
【0047】
導線60、62は、例えば、導電糸、被覆された金属細線、またはストリップ状の金属薄板などであって、手袋22Lの甲側部分に一体的に設けられている。図2に示すように、一方の導線60の一端は第1の手袋側接続端子48に接続され、他端は手袋22Lの開口縁部に設けられたコネクタ64に接続されている。他方の導線62の一端は第2の手袋側接続端子50に接続され、他端はコネクタ66に接続されている。図8に示すように、コネクタ64、66に通信モジュール25Lが接続される。
【0048】
本実施の形態1の場合、通信モジュール25Lは、伸縮可能なバンド68を介して作業者の腕W1に装着される。また、通信モジュール25Lは、作業者が着る導電性作業服Sに対してグランド接続している。なお、ここで言う「導電性作業服」は、導電性材料から作製され、直接的にまたは導電性靴を介して接地される作業服を言う。
【0049】
具体的には、図6に示すように、通信モジュール25Lは、グランドに接続されている。本実施の形態1の場合、図8に示すように、通信モジュール25Lは、導電性作業服Sに対して電気的に接続するグランド接続部25aを備える。それにより、通信モジュール25L、すなわちウェアラブルセンシングデバイス20は、導電性作業服Sを介して接地される。その結果、ウェアラブルセンシングデバイス20は、ノイズの混入や静電気の発生などによるセンシング精度の低下が抑制される。
【0050】
なお、本実施の形態1の場合、図8に示すように、通信モジュール25Lは、作業者の腕W1にバンド68を介して装着されたとき、導電性作業服Sの長袖によって覆われる。この長袖により、通信モジュール25Lは保護される。なお、この場合、グランド接続部25aは、例えば、導電性作業服Sに対向して接触する、通信モジュール25Lの筺体の表面に設けられた電極であってもよい。
【0051】
通信モジュール25Lは、図1に示すように、手袋22Lに取り付けられたセンサユニット24Lの振動センサ26の検出結果を演算装置80に送信する。同様に、通信モジュール25Rが、手袋22Rに取り付けられたセンサユニット24Rの振動センサ26の検出結果を演算装置80に送信する。なお、通信モジュール25L、25Rの一方が検出結果を他方に送信し、通信モジュール25L、25Rの他方が、手袋22Lの振動センサ26の検出結果と手袋22Rの振動センサ26の検出結果の両方をまとめて演算装置80に送信してもよい。
【0052】
演算装置80は、その通信デバイス82を介して、ウェアラブルセンシングデバイス20からの信号、すなわち、センサユニット24L、24Rそれぞれの振動センサ26の検出結果を受け取る。
【0053】
演算装置80のプロセッサ84は、記憶デバイス86に記憶されているプログラムにしたがって、作業者の手作業の結果の良否判定を実行する。例えば、作業者のハーネスコネクタの嵌合作業によって2つのハーネスコネクタが正常に嵌合したか否かが判定される。
【0054】
具体的には、プロセッサ84は、プログラムにしたがい、左手用の手袋22Lに取り付けられているセンサユニット24Lの振動センサ26の検出結果と、右手用の手袋22Rに取り付けられているセンサユニット24Rの振動センサ26の検出結果の両方に基づいて、作業者の手作業の結果の良否判定を実行する。
【0055】
例えば、プロセッサ84は、左手側の振動センサ26によって検出された振動と右手側の振動センサ26によって検出された振動との間の差が所定の範囲である場合に、作業者の手作業の結果を正常と判定する。例えば、2つの振動の差として、2つの振動波形それぞれのピーク値の差、2つの振動波形の位相のずれなどが、基準振動波形に対する類似度の差などが挙げられる。
【0056】
例えば、2つのハーネスコネクタを嵌合する手作業の場合、左手に一方のハーネスコネクタが保持され、右手に他方のハーネスコネクタが保持される。2つのハーネスコネクタの違いにより、一方のハーネスコネクタから左手に伝わる振動と他方のハーネスコネクタから右手に伝わる振動とに違いが生じる。このような左手と右手を伝播する振動の違いを利用することにより、ハーネスコネクタの嵌合結果の良否判定を実行することができる。なお、2つの振動の差が所定の範囲外である場合、プロセッサ84は、作業者の手作業の結果を異常と判定する。例えば、ハーネスコネクタが正常に嵌合していない場合、左手および右手の少なくとも一方の振動センサ26が故障している場合などに、異常と判定される。
【0057】
このように両手それぞれに取り付けられた2つ振動センサ26の検出結果の両方を用いることにより、片手に1つの振動センサを取り付けてその1つの振動センサの検出結果のみを用いる場合に比べて、作業者の手作業の結果の良否判定を高精度に行うことができる。また、作業者の手を伝播する振動に基づくため、騒音が大きい作業現場であっても、手作業の結果の良否判定を高精度に行うことができる。
【0058】
また、両手それぞれに取り付けられた2つ振動センサ26の検出結果の両方を用いると次のような判定も可能になるという利点がある。すなわち、左右の手それぞれにセンサユニット24L、24Rを配置する場合は、作業者の利き手などの影響によって左右それぞれのセンサユニット24L、24Rが検出する振動の理想とする挙動がそれぞれ異なる場合がある。例えば、センサユニット24Rに期待される検出結果がA(右利き特有の右手からの出力又は雄端子を保持する際の出力)であり、センサユニット24Lに期待される検出結果がB(右利き特有の左手からの出力又は雌端子を保持する際の出力)という場合である。このような場合、センサユニット24Rの検出結果がA、センサユニット24Lの検出結果がBという場合のみならず、センサユニット24Rの検出結果がB、センサユニット24Lの検出結果がAという場合も正常に嵌合が行われたと判定することで、作業者の利き手(または作業対象物の持ち方の癖)に基づく、検出結果の反転が起きた場合であっても正確に嵌合を検出することができる。
【0059】
また、両手それぞれに取り付けられた2つ振動センサ26の検出結果の両方を用いる別の利点として、両手の作業が必須の作業において、片方のセンサからしか信号がない場合にアラートを出すことで、判定の信頼性を向上させる処理を実行させることができる点も挙げられる。
【0060】
プロセッサ84は、作業者の手作業の結果の良否判定を実行した後、プログラムにしたがってその良否判定の結果を出力デバイスであるディスプレイ88に表示する。ディスプレイ88に表示された良否判定の結果を確認することにより、作業者は、手作業の結果を知ることができる。なお、出力デバイスはスピーカーであってもよい。この場合、良否判定の結果が正常である場合の通知音と異常である場合の通知音が異なる。
【0061】
(実施の形態2)
本実施の形態2は、センサユニットの手袋への取り付け方法について、上述の実施の形態1と異なる。この異なる点について説明する。
【0062】
図9は、本開示の実施の形態2に係るウェアラブルセンシングデバイスにおける、センサユニットが手袋に固定される直前の状態を示す部分断面図である。
【0063】
図9に示すように、センサユニット124Lは、その第1のブラケット部124bに第1のセンサ側接続端子144を備える。その第1のセンサ側接続端子144に対して電気的に接続されて互いに着脱可能に係合する第1の手袋側接続端子148が手袋122Lに設けられている。本実施の形態2の場合、第1のセンサ側接続端子144と第1の手袋側接続端子148は、第1のスナップボタン152である。
【0064】
同様に、センサユニット124Lは、その第2のブラケット部124cに第2のセンサ側接続端子146を備える。その第2のセンサ側接続端子146に対して電気的に接続されて互いに着脱可能に係合する第2の手袋側接続端子150が手袋122Lに設けられている。本実施の形態2の場合、第2のセンサ側接続端子146と第2の手袋側接続端子150は、第2のスナップボタン154である。
【0065】
本実施の形態2の場合、第1のスナップボタン152と第2のスナップボタン154は同一である。しかしながら、第1のセンサ側接続端子144が第1のスナップボタン152の雌側ボタン部であって、第2のセンサ側接続端子146が第2のスナップボタン154の雄側ボタン部である。したがって、作業者は、センサユニット124Lを手袋122Lに迷うことなく容易に取り付けることができる。
【0066】
(実施の形態3)
本実施の形態3は、センサユニットの接触面と作業者の皮膚との接触方法について、上述の実施の形態1と異なる。この異なる点について説明する。なお、本実施の形態3に係るセンサユニットは、上述の実施の形態1のセンサユニットと実質的に同一である。
【0067】
図10は、本開示の実施の形態3に係るウェアラブルセンシングデバイスにおける、センサユニットが手袋に固定された状態の部分断面図である。
【0068】
図10に示すように、本実施の形態3の場合、手袋222Lは、センサユニット24Lが手袋222Lに取り付けられた状態のときにセンサユニット24Lの本体部24aの接触面30aと対向する部分に、介在部材268を有する。介在部材268は、作業者の左手の親指の皮膚(二点鎖線)に接触する接触面268aと、センサユニット24Lの接触面30aと係合(面接触)する係合面268bとを備える。
【0069】
また、介在部材268は、手袋222Lに比べて硬く、作業者の皮膚の音響インピーダンスと本体部24aの音響インピーダンスとの間の音響インピーダンスを備える、例えば樹脂部材である。
【0070】
このような介在部材268を介することにより、作業者の皮膚からセンサユニット24Lの接触面30aに、より小さいロスで振動が伝わる。その結果、センサユニット24Lの振動検出精度が向上する。
【0071】
(実施の形態4)
本実施の形態4は、センサユニットの接触面と作業者の皮膚との接触方法について、上述の実施の形態1と異なる。この異なる点について説明する。なお、本実施の形態4に係るセンサユニットは、上述の実施の形態1のセンサユニットと実質的に同一である。
【0072】
図11は、本開示の実施の形態4に係るウェアラブルセンシングデバイスにおける、センサユニットが手袋に固定された状態の部分断面図である。
【0073】
図11に示すように、本実施の形態4の場合、手袋322Lは、センサユニット24Lが手袋322Lに取り付けられた状態のときにセンサユニット24Lの本体部24aの接触面30aと対向する部分に、貫通穴322aを備える。この貫通穴322aを介して、作業者の左手の親指の皮膚(二点鎖線)が、本体部24aの接触面30aに直接的に接触する。
【0074】
このような貫通穴322aの存在により、作業者の皮膚からセンサユニット24Lの接触面30aに、振動が直接的に伝わる。その結果、センサユニット24Lの振動検出精度が向上する。
【0075】
(実施の形態5)
本実施の形態5は、ウェアラブルセンシングデバイスの通信モジュールの作業者への装着方法について、上述の実施の形態1と異なる。なお、本実施の形態5に係る手袋およびセンサユニットは、上述の実施の形態1の手袋およびセンサユニットと実質的に同一である。
【0076】
図12は、本開示の実施の形態5にかかるウェアラブルセンシングデバイスにおける、作業者に装着された状態の通信モジュールを示す図である。
【0077】
図12に示すように、本実施の形態5の場合、通信モジュール425Lは、導電性作業服Sの長袖の上に装着される。この場合、通信モジュール425Lは、導電性作業服Sの長袖の上から作業者の腕W1に巻かれる導電性バンド468を介して、作業者に装着される。また、導電性バンド468が、導電性作業服Sに対して電気的に接続するグランド接続部として機能する。それにより、通信モジュール425L、すなわちウェアラブルセンシングデバイスは導電性作業服Sを介して接地される。その結果、ウェアラブルセンシングデバイスは、ノイズの混入や静電気の発生などによるセンシング精度の低下が抑制される。
【0078】
以上、上述の実施の形態1~5を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態はこれらに限らない。
【0079】
例えば、上述の実施の形態1の場合、作業者の手作業によって発生する振動を検出するウェアラブルセンシングデバイス20のセンサは振動センサ26である。振動センサ26は、作業者の手の指を伝播する振動を検出する。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。
【0080】
作業者の手作業によって発生する振動を検出するデバイスは、マイクであってもよい。この場合、センサユニットにマイクが搭載され、マイクは、作業者の手作業によって発生した振動を空気を介して検出する、すなわち発生音を検出する。
【0081】
この場合、例えば、左手用の手袋に振動センサが設けられ、右手用の手袋にマイクが設けられる。演算装置は、振動センサの検出結果とマイクの検出結果の両方に基づいて、作業者の手作業の結果を良否判定する。例えば、演算装置は、振動センサの振動波形とマイクの音波形それぞれをスペクトル解析し、共通の周波数成分を検出する。マイク及び振動センサの両方で検出された共通の周波数成分は、嵌合動作から生じた振動が有する周波数成分である可能性が高い。一方でマイク及び振動センサの一方で検出された周波数成分はマイクが主に拾う環境音ノイズや振動センサが主に拾う衣服のこすれ振動の影響が混入している可能性が高い。そのため、その共通の周波数成分の位相差やピーク値の差に基づいて、手作業の結果の良否判定を行うとより正確に嵌合判定を行うことができる。
【0082】
また、上述の実施の形態1の場合、図1に示すように、手作業の結果の良否判定は、作業者から離れたPCなどの演算装置80によって実行される。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、作業者の腕に装着される腕時計型の演算装置によって手作業の結果の良否判定が実行されてもよい。この場合、電子機器の一例である通信モジュールなどの無線通信手段を省略することができる。すなわち、ウェアラブルセンシングデバイスに電気的に接続される電子機器として、通信モジュールの代わりに腕時計型の演算装置が選択される。
【0083】
さらに、上述の実施の形態1の場合、図7Aおよび図7Bに示すように、センサユニット24L(24R)は、第1および第2のスナップボタン52、54を介して手袋22L(22R)に取り付けられている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。センサユニット(すなわちセンサ)が、手袋に対して、電気的に接続可能であって且つ着脱可能に互いに係合可能なデバイスを介して取り付けられればよい。例えば、面ファスナを介して、センサユニットが手袋に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0084】
さらにまた、上述の実施の形態1~5の場合、ウェアラブルセンシングデバイスはセンサユニット(センサ)が取り付けられた手袋であるが、本開示の実施の形態はこれに限らない。ユーザに装着される衣類(アクセサリを含む)、例えば、リストバンド、時計(腕時計)、アームカバー、マスク、ネックウォーマーなどにセンサが取り付けられたウェアラブルセンシングデバイスであってもよい。なお、ウェラブルセンシングデバイスは、センサユニット(センサ)と、センサに接続される電子機器のみの最小構成であってもよい。この場合、センサが任意の衣類に着脱可能に構成される。つまり、第1および第2の手袋側接続端子48、50、148、150は、衣類側接続端子の一例である。
【0085】
加えて、上述の実施の形態1の場合、図7Aおよび図7Bに示すように、センサユニット24Lの第1のヒンジ部24dと第2のヒンジ部24eは、弾性材料から作製され、弾性変形することによりヒンジとして機能する。しかしながら、本開示の実施の形態は、これに限らない。第1のヒンジ部および第2のヒンジ部は、例えばトーションバネ、トルクヒンジであってもよい。
【0086】
すなわち、本開示の一実施の形態は、広義には、ユーザに装着される衣類と、センサを備え、前記衣類に取り付けられるセンサユニットと、を有し、前記センサユニットは、本体部と、前記本体部を挟むように設けられて、前記衣類に固定される第1および第2のブラケット部と、前記本体部と前記第1および前記第2のブラケット部とをそれぞれ連結する第1および第2のヒンジ部とを備え、前記センサユニットの前記第1および前記第2のブラケット部が前記衣類上に設けられた第1および第2のセンサ取り付け部にそれぞれ取り付けられる、ウェアラブルセンシングデバイスである。
【0087】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0088】
また、前述の実施形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示は、センサを備える衣服、すなわちウェアラブルセンシングデバイスに適用可能である。
【符号の説明】
【0090】
20 ウェアラブルセンシングデバイス
22L、22R、122L、222L、322L 手袋
24L、24R、124L センサユニット
24a 本体部
24b、124b 第1のブラケット部
24c、124c 第2のブラケット部
24d 第1のヒンジ部
24e 第2のヒンジ部
26 振動センサ
30a、268a 接触面
42e 貫通穴
48、148 第1の手袋側接続端子
50、150 第2の手袋側接続端子
268 介在部材
322a 貫通穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12