(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】部品供給装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
H05K13/02 B
(21)【出願番号】P 2024514593
(86)(22)【出願日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2023038399
【審査請求日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2022174031
(32)【優先日】2022-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
(72)【発明者】
【氏名】堀江 敦行
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/12875(WO,A1)
【文献】特開平09-312493(JP,A)
【文献】特開平07-212083(JP,A)
【文献】特開平05-299889(JP,A)
【文献】国際公開第2017/61042(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープに収納されている部品を部品取出し位置に搬送して部品搭載装置に供給する部品供給装置であって、
前記キャリアテープを搬送する搬送路および前記搬送路を挟むように設けられた2つのサイドカバーを有する本体部と、
前記本体部に着脱自在であり、前記搬送路の前記キャリアテープの上面を覆うテープカバーと、
前記テープカバーを前記キャリアテープに押さえ付けるテープカバー押さえ部と、を備え、
前記テープカバーは、前記キャリアテープの搬送方向に水平に交差する方向に沿って両側に突出した2つの突起部を有し、
前記2つのサイドカバーは、上部が開いた開放部から前記2つの突起部を係合させた状態で前記テープカバーを上下方向に変位自在に保持するテープカバー保持部を有する、部品供給装置。
【請求項2】
前記テープカバー保持部は、前記2つの突起部を上下方向に案内する縦長の2つの溝である、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記開放部に至る前記サイドカバーの上面に、前記テープカバーを前記本体部に装着する際に前記2つの突起部を前記テープカバー保持部に誘導するテープカバー誘導部をさらに備えた、請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記テープカバー押さえ部は、前記テープカバーの中間部を下方に押さえ付ける中押さえ部を含み、
前記中押さえ部は、前記テープカバーの上面を押さえ付ける押さえローラと、前記押さえローラを下方に押さえ付ける弾性部材と、を含む請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記2つの突起部は、前記テープカバーの中間部に配置され、
前記押さえローラは、前記2つの突起部よりも上流に配置されている、請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記テープカバー押さえ部は、更に、前記テープカバーの下流側端部を下方に押さえ付ける前押さえ部を含む、請求項4に記載の部品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープに収納されている部品を部品取出し位置に搬送して部品搭載装置に供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリアテープに収納されている部品を部品取出し位置に搬送して部品搭載装置に供給する部品供給装置がテープフィーダとして知られている。下記の特許文献1には、キャリアテープの搬送路を有する本体部における部品取出し位置の近傍にキャリアテープの上面を覆うテープカバーが備えられたテープフィーダが示されている。このテープフィーダが備えるテープカバーは、その長手方向の先端部に設けられたフック状の側壁部に支点ピンを係合させて取り付けられるようになっている。そして、バネで支点ピンを下方に押し下げてテープカバーをキャリアテープに付勢する構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
キャリアテープの搬送トラブルの対応やメンテナンスに対応する必要性から、テープカバーはテープフィーダに着脱可能に装着されている。しかしながら、特許文献1に示されたテープフィーダでは、テープカバーの着脱に時間がかかって作業効率がよくないという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、テープフィーダの本体部に対するテープカバーの着脱を容易に行うことができる部品供給装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の部品供給装置は、キャリアテープに収納されている部品を部品取出し位置に搬送して部品搭載装置に供給する部品供給装置である。部品供給装置は、前記キャリアテープを搬送する搬送路および前記搬送路を挟むように設けられた2つのサイドカバーを有する本体部と、前記本体部に着脱自在であり、前記搬送路の前記キャリアテープの上面を覆うテープカバーと、前記テープカバーを前記キャリアテープに押さえ付けるテープカバー押さえ部と、を備える。前記テープカバーは、前記キャリアテープの搬送方向に水平に交差する方向に沿って両側に突出した2つの突起部を有し、前記2つのサイドカバーは、上部が開いた開放部から前記2つの突起部を係合させた状態で前記テープカバーを上下方向に変位自在に保持するテープカバー保持部を有する。
【0007】
本発明によれば、テープフィーダの本体部に対するテープカバーの着脱を容易に行うことができる部品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが用いられる部品搭載装置の斜視図
【
図2】(а)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダを部品搭載装のフィーダベースとともに示す斜視図
【
図3】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが搬送するキャリアテープのカバーテープの先導部がカバーテープの一部である場合の説明図
【
図4】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが搬送するキャリアテープのカバーテープの先導部が補助テープの一部である場合の説明図
【
図5】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が備えるテープフィーダの斜視図
【
図6】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの側面図
【
図7】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備える本体部(テープカバーを取り外した状態)の一部の斜視図
【
図8】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダ(キャリアテープ非搬送時)の一部の側面図
【
図9】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダ(キャリアテープ搬送時)の一部の側面図
【
図10】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の拡大側面図
【
図11】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備えるテープカバーの斜視図
【
図12】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の斜視図
【
図13】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備えるテープカバーを本体部の一部とともに示す斜視図
【
図14】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側面図
【
図15】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備える前押さえ部の(a)押さえ板を取り外した状態の斜視図(b)押さえ板を取り付けた状態の斜視図
【
図16】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側面図
【
図17】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備えるテープカバーが動く方向を説明する図
【
図18】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備えるテープカバーを本体部に取り付ける様子を示す図
【
図19】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備える前押さえ部の押さえ板を台座部に取り付ける様子を示す図
【
図20】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側面図
【
図21】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側面図
【
図22】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側面図
【
図23】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側面図
【
図24】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側面図
【
図25】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの一部の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の一実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施の形態における部品供給装置としてのテープフィーダを備えた部品搭載装置1を示している。
【0010】
部品搭載装置1は基板KBに部品BHを搭載する装置であり、基台11上に基板搬送部12を備えている。基板搬送部12は基板KBを水平方向に搬送し、所定の作業位置に位置決めする。以下、説明の便宜上、基板搬送部12による基板KBの搬送方向をX方向、X方向と直交する水平方向をY方向、上下方向をZ方向とする。また、Y方向のうち、基台11の中央側に向く方向を「前方」と称し、その反対側に向く方向を「後方」と称する。
【0011】
図1において、基台11の上方には、搭載ヘッド13が設けられている。搭載ヘッド13は、図示しないヘッド移動機構によって水平方向に移動される。搭載ヘッド13は下方に延びた複数の部品保持ノズル14を備えている。
【0012】
図1において、基台11のY方向の端部には台車15が連結されている。台車15はフィーダベース21とリール保持部22を備えている。フィーダベース21にはテープフィーダ16が複数、X方向に並んで装着されている。
【0013】
図2(а),(b)において、フィーダベース21は、ブロック状の台部31と、台部31の前部に設けられて上方に延びた壁部32を有している。台部31の上面はフィーダ支持部33となっており、台部31の後面はフィーダ接続面34となっている。
【0014】
台部31には、テープフィーダ16が装着される装着スロット35がX方向に並んで設けられている。ひとつの装着スロット35は、
図2(а)に示すように、フィーダ支持部33にX方向に並んで設けられた一対のフィーダガイド41、壁部32を厚さ方向(Y方向)に貫通する貫通孔である上下の2つの位置決め孔42、フィーダ接続面34に設けられた装着穴44、電気ソケット45およびエアソケット46から構成される。
【0015】
フィーダガイド41は横方向(X方向)に並んで配置されて前後方向(Y方向)に延びたレール状の部材から成る。上下の2つの位置決め孔42はZ方向に並んで設けられている。装着穴44、電気ソケット45およびエアソケット46はZ方向に並んでおり、装着穴44は電気ソケット45の上方に位置している。エアソケット46は装着穴44と電気ソケット45の間に位置している。
【0016】
リール保持部22は、テープフィーダ16が搬送するキャリアテープCTが巻き付けられたリールRLを回転自在に保持する。
図3(a),(b)に示すように、キャリアテープCTには多数の部品収納ポケットPKが一列に並んで設けられており、部品収納ポケットPKの列と平行な位置には、多数の送り孔KHが一列に並んで設けられている。
【0017】
図3(a),(b)において、各部品収納ポケットPKには部品BHが1つずつ収納されており、キャリアテープCTの上面の部品収納ポケットPKを覆う位置には、カバーテープTTが貼り付けられている。すなわち部品BHは、カバーテープTTに覆われた状態でキャリアテープCTに収納された状態となっている。
【0018】
図3(a),(b)または
図4(a),(b)に示すように、カバーテープTTは、キャリアテープCTの先端STから突出させた先導部SDを有している。先導部SDは、
図3(a),(b)に示すように、カバーテープTTの先端部をキャリアテープCTの先端STから延ばした形態であってもよいし、
図4(a),(b)に示すように、カバーテープTTに貼り付けた補助テープHJの一部をキャリアテープCTの先端STから突出させた形態であってもよい。
【0019】
カバーテープTTの先端をキャリアテープCTの先端STから突出させた形態の場合には、先導部SDはキャリアテープCTの先端STから飛び出したカバーテープTTの一部(長さLの部分)から成る(
図3(a))。補助テープHJを用いた形態の場合には、先導部SDはキャリアテープCTの先端STから飛び出した補助テープHJの一部(長さLの部分)から成る(
図4(b))。
【0020】
図5(a),(b)および
図6において、テープフィーダ16は、フィーダベース21の装着スロット35に着脱自在に装着される本体部51を備えている。本体部51の前端には、前方に突出する2つの位置決めピン52が設けられている。
【0021】
図5(a),(b)および
図6において、テープフィーダ16の本体部51の後部には、下方に延出した下方延出部53が形成されている。下方延出部53の前面側には、被固定部54、コネクタ55およびエア接続部56がそれぞれ前方に突出して設けられている。
【0022】
テープフィーダ16を装着スロット35に装着する場合には、本体部51の下部に設けられた被係合部51K(
図6)をフィーダガイド41の間に挿入する(
図2(a)→
図2(b))。これにより2つの位置決めピン52が上下の2つの位置決め孔42に挿入され、被固定部54が装着穴44に嵌合する。また、コネクタ55が電気ソケット45に接続され、エア接続部56がエアソケット46に接続される。
【0023】
被固定部54が装着穴44に嵌合すると、被固定部54は台部31の内部に設けられた図示しない固定部と連結し、テープフィーダ16が台部31に固定される。コネクタ55が電気ソケット45に接続すると、テープフィーダ16は台部31と電気的および信号伝送的に接続される。エア接続部56がエアソケット46に接続すると、台部31を通じて基台11側からテープフィーダ16側へのエアの供給が可能となる。
【0024】
図6および
図7において、テープフィーダ16の本体部51はYZ面に沿って広がるとともにX方向に対向した2つのサイドカバー51Cを有している。これら2つのサイドカバー51Cによって挟まれる空間内には、キャリアテープCTが搬送される搬送路61が形成されている。すなわち本体部51のサイドカバー51Cは、キャリアテープCTを搬送する搬送路61を挟むように設けられている。
【0025】
図6において、搬送路61は本体部51の後端にキャリアテープ導入口61Aを有しており、本体部51の前端にキャリアテープ排出口61Bを有している。搬送路61の上面は、キャリアテープCTを下方から(キャリアテープCTの下面を)支持する搬送面61Mとなっている(
図7も参照)。
【0026】
図6において、本体部51内の前側上部には、キャリアテープCTを搬送するキャリアテープ搬送部62が設けられている。キャリアテープ搬送部62は、後方から前方に向けて並ぶ3つのスプロケット(導入スプロケット62A、位置決めスプロケット62Bおよび排出スプロケット62C)とスプロケット駆動モータ62Dから成る。
【0027】
図6において、導入スプロケット62A、位置決めスプロケット62Bおよび排出スプロケット62Cそれぞれの外周部には複数の送りピン62Pが設けられている。これら3つのスプロケットは、図示しないギア機構を介してスプロケット駆動モータ62Dによって同方向に回転される。3つのスプロケットが回転される方向は、それぞれのスプロケットの最も高い位置に位置する送りピン62Pが前方に移動する方向である。スプロケット駆動モータ62Dは、本体部51内に設けられた制御部63(
図6)によって動作が制御される。
【0028】
キャリアテープCTはリールRLから引き出され、その先端側(前述の先導部SDが形成されている側)がキャリアテープ導入口61Aから搬送路61内に挿入される。搬送路61内に挿入されたキャリアテープCTは、スプロケット駆動モータ62Dによって回転駆動される上記3つのスプロケット(導入スプロケット62A、位置決めスプロケット62Bおよび排出スプロケット62C)によって(すなわちキャリアテープ搬送部62によって)、前方(下流側)に搬送される。このときキャリアテープCTは導入スプロケット62A、位置決めスプロケット62B、排出スプロケット62Cの順で受け渡される。
【0029】
キャリアテープ搬送部62によって下流側に搬送されるキャリアテープCTは、本体部51の前上部に設けられた部品取出し開口16Kを通過する前に、その上流側に設けられたカバーテープ剥離部64(
図6)によってカバーテープTTが剥離される。カバーテープTTが剥離されたキャリアテープCTはそのまま下流側に進行し、部品取出し開口16Kを通過する時点において、部品収納ポケットPK内の部品BHはカバーテープTTが剥離されて露出状態となる。
【0030】
カバーテープ剥離部64によって剥離されたカバーテープTTは、本体部51内のカバーテープ剥離部64の上流側に設けられたカバーテープ排出路65(
図6)に排出されて回収される。部品BHがピックアップされたあとのキャリアテープCTは、キャリアテープ排出口61Bから排出される。
【0031】
部品取出し開口16Kは位置決めスプロケット62Bと排出スプロケット62Cの間に設けられており、部品取出し開口16Kの内部に設定された部品取出し位置16Tに、露出された部品BHが間欠的に次々と位置される。これにより搭載ヘッド13は、部品保持ノズル14によって、部品取出し開口16K(部品取出し位置16T)に位置した部品BHを吸着保持し、テープフィーダ16から取り出す(ピックアップする)ことが可能となる。
【0032】
このように本実施の形態において、キャリアテープ搬送部62は、カバーテープTTの先導部SDを先行させた状態でキャリアテープCTを搬送路61に沿って搬送して部品取出し位置16Tに部品BHを位置させるようになっている。
【0033】
図6において、本体部51の下方延出部53に設けられた前述のエア接続部56は、下方延出部53内に設けられたエア管66を通じて本体部51内の前上部に設けられたエア噴出部67に繋がっている。エア管66には、下方延出部53内に設けられたエア噴出制御バルブ68が介装されている。
【0034】
テープフィーダ16がフィーダベース21に装着されると、エア接続部56がフィーダベース21側のエアソケット46に接続される。エア接続部56がエアソケット46に接続された状態において、制御部63からエア噴出制御バルブ68を制御することにより、フィーダベース21側からエア管66を通じて供給されるエアを、エア噴出部67から噴出させることができる。
【0035】
図6、
図8、
図9および
図10(
図10は
図8中の領域ARの拡大図)に示すように、本体部51の前上部には、
図11に示すテープカバー70が設けられている。
図11に示すように、テープカバー70は、本実施の形態では1枚の板状部材から構成されている。テープカバー70は本体部51に対して着脱自在であり、本体部51に取り付けられた状態では、搬送路61のうち、少なくとも、位置決めスプロケット62Bの上方領域と、位置決めスプロケット62Bと排出スプロケット62Cの間に位置する部分の上方領域を覆うようになっている(
図8および
図9)。
【0036】
図12および
図13は、テープカバー70が本体部51に取り付けられた状態を示している。
図13から分かるように、テープフィーダ16の本体部51は、2つのサイドカバー51Cの間に、YZ面に沿って広がって延びてX方向に対向する2つのキャリアテープ支持部51Sを備えており、キャリアテープ支持部51Sの上縁が、前述の搬送面61Mになっている。
【0037】
このように、搬送面61Mが2つのキャリアテープ支持部51Sの上縁から成り、キャリアテープCTの両端部は2つのキャリアテープ支持部51Sの上縁によって下方から支持されるようになっている。このため、本実施の形態では、キャリアテープCTには下方に突出した部分のないタイプ(いわゆる紙テープタイプ)のものだけでなく、下方に突出したエンボス部を有するエンボスタイプのものも使用することが可能である。
【0038】
図11において、テープカバー70は、その中央部分を構成する第1テープ押さえ部71、第1テープ押さえ部71よりも上流側の部分を構成する第2テープ押さえ部72、第1テープ押さえ部71よりも下流側の部分を構成する第3テープ押さえ部73を備えている。第1テープ押さえ部71と第2テープ押さえ部72は連結部74によって連結されている。
【0039】
図11および
図13において、連結部74の側方(テープカバー70の幅方向、すなわちX方向の側方)には、第1テープ押さえ部71と第2テープ押さえ部72の間の隙間から成るカバーテープ通路75が形成されている。第3テープ押さえ部73には、前述の部品取出し開口16Kが形成されている(
図12も参照)。
【0040】
このように本実施の形態において、テープカバー70は、キャリアテープ搬送部62で搬送されるキャリアテープCTの上面を覆うとともに、部品取出し位置16Tに形成された部品取出し開口16Kと、部品取出し開口16Kから上流に離れた位置に形成された隙間から成るカバーテープ通路75を有する構成となっている。
【0041】
図11において、第1テープ押さえ部71の上流側の端部には上流側に突出した突出片71Hが形成されており、その突出片71Hのエッジ(すなわち第1テープ押さえ部71の上流側のエッジ)はストッパ76となっている(
図13も参照)。ストッパ76は後述するように、キャリアテープ搬送部62によって搬送されるキャリアテープCTが備えるカバーテープTTの先導部SDの進行をせき止めてその先導部SDをカバーテープ通路75から上方(テープカバー70の上面側であり、後述するカバーテープ引込み部111)に導く機能を有する。
【0042】
第2テープ押さえ部72は前述したように連結部74によって第1テープ押さえ部71の上流側に連結されている。第2テープ押さえ部72の下流側の端部はX方向に延びた直線形状を有しており、第1テープ押さえ部71の上流側のエッジであるストッパ76の上流側に、ストッパ76と所定間隔の隙間(カバーテープ通路75)を隔てて対向して位置している。
【0043】
図10、
図11、
図13および
図14(a)において、第2テープ押さえ部72の下流側部分は接触部77となっており、上流側部分は傾斜部78となっている。接触部77は搬送面61Mの上方を搬送面61Mと平行に延びており(
図14(a))、傾斜部78は、下面の搬送面61Mからの高さが上流側に向かって徐々に高くなる(搬送面61Mとの間の距離が上流から下流に向かって狭まる)テーパ面78Mとなっている。
【0044】
図14(a)において、搬送路61内にキャリアテープCTが挿入されていない状態では、第2テープ押さえ部72の下面は搬送面61Mに当接しておらず、第2テープ押さえ部72の下面と搬送面61Mとの間には大きさGPのギャップが形成されている。そして、そのギャップの大きさGPは、カバーテープTTの厚さよりは大きいが、キャリアテープCTの厚みTH(
図14(b))よりは小さい大きさとなっている。このため第2テープ押さえ部72は、接触部77と搬送面61Mとの間にキャリアテープCTが進入した場合には、そのキャリアテープCTの厚みによって、上方に押し上げられることになる(
図14(b))。
【0045】
すなわち本実施の形態において、テープカバー70の第2テープ押さえ部72は、カバーテープ通路75およびストッパ76よりも上流側にあって、キャリアテープCTによって押し上げられる上流側テープ押さえ部として機能するようになっている。なお、第2テープ押さえ部72は、その下面の少なくともカバーテープTTに当接する部分が搬送面61Mから上方に距離GPだけ離れていれば、他の部分は搬送面61Mに当接していてもよい。
【0046】
図11および
図10において、第3テープ押さえ部73の幅方向(X方向)の両端部は下方に折り曲げられた折曲げ部73Rとなっている。第3テープ押さえ部73はこのように幅方向の両端部に折曲げ部73Rが形成されているために上下方向の曲げ剛性が高くなって撓みにくく、部品取出し開口16K付近のキャリアテープCTをしっかりと搬送面61Mに押さえ付けることができるようになっている。一方、第3テープ押さえ部73の上流側に連接する第1テープ押さえ部71と、更にその上流側に連結部74を介して連接する第2テープ押さえ部72は第3テープ押さえ部73のような折曲げ部がないため、上下方向に容易に撓み得る。
【0047】
図11および
図13において、テープカバー70の第3テープ押さえ部73には、スプロケット回避孔73HがY方向に延びて設けられている。スプロケット回避孔73Hは、位置決めスプロケット62Bの送りピン62Pとテープカバー70との干渉を防止する機能を有する。
【0048】
また、
図11および
図13に示すように、テープカバー70の第3テープ押さえ部73の端部(下流側端部70F)には部品排出開口70Sが設けられている。部品排出開口70Sは、部品取出し開口16Kの下流側からテープカバー70の下流側縁までY方向にスリット状に延びた溝状の開口部である。部品排出開口70Sは、搭載ヘッド13が部品取出し開口16Kに供給される部品BHの取り出しに失敗してキャリアテープCTに残存する部品BHを確実に排出するために設けられている。すなわち部品排出開口70Sは、部品BHが立った姿勢で残存してその一部がキャリアテープCTの上面から突出するような場合でも、部品BHをテープカバー70と干渉させずにテープフィーダ16の外部に排出させるための部品BHの通り道として機能する。
【0049】
部品排出開口70SのキャリアテープCTの搬送方向に水平に交差する幅方向(X方向)の寸法は、部品取出し開口16Kの幅寸法よりも狭くなっており、部品取出し開口16Kと部品排出開口70Sとの接続部分には、角が削られてテーパ状になった誘い部70Tが形成されている。従って、部品取出し開口16Kと部品排出開口70Sとの接続部分は、キャリアテープCTの搬送方向の下流へ向かうに従って徐々に狭くなる。このような誘い部70Tを設けることにより、テープカバー70は、部品取出し開口16Kに落下した部品BHを誘い部70Tによって部品排出開口70Sに誘導し、部品BHがキャリアテープCTとテープカバー70の間に挟まることによる搬送トラブルを回避することができる。
【0050】
図11、
図12および
図13において、テープカバーのY方向の中間部には、テープカバー70の幅方向(X方向)に沿って両側に突出して延びた一対の突起部79が設けられている。すなわち本実施の形態において、テープカバー70は、キャリアテープCTの搬送方向に水平に交差する方向(X方向)に沿ってその中間部から両側に突出した突起部79を有する構成となっている。
【0051】
図7、
図10および
図12において、本体部51を構成する一対のサイドカバー51Cそれぞれの上縁には、縦長のU字状の溝から成る一対のガイド溝51Gが形成されている。一対のガイド溝51Gには、テープカバー70の上述の一対の突起部79が係合される(
図10および
図12)。ガイド溝51Gに係合された突起部79はガイド溝51G内で上下方向の移動が許容され、ガイド溝51Gに沿った上下移動が可能となる。
【0052】
すなわち本実施の形態において、前記テープカバー保持部としてガイド溝51Gは、テープカバー70の突起部79を上下方向に案内する縦長の溝であり、突起部79に係合するとともにテープカバー70を上下方向に変位自在に保持するテープカバー保持部となっている。
【0053】
図7および
図12において、一対のサイドカバー51Cそれぞれのガイド溝51Gの上端は上方に開放された開放部51Hとなっている。また、ガイド溝51Gの下流側に位置するサイドカバー51Cの上縁は、上流側に向けてなだらかに下降する傾斜面51Yとなっており、その下端部(上流側の端部)はガイド溝51Gの下流側の上縁に連接している(
図7、
図10および
図12)。
【0054】
テープカバー70の一対の突起部79をサイドカバー51Cの一対のガイド溝51Gに係合させる場合には、突起部79を傾斜面51Yに当接させた状態でテープカバー70全体を上流側に移動させる。これにより突起部79は傾斜面51Yに沿って上流側に移動(下降)し、傾斜面51Yが尽きたところでガイド溝51Gに落ち込み、ガイド溝51Gに係合される。
【0055】
このように本実施の形態において、本体部51を構成するサイドカバー51Cに設けられたガイド溝51Gの上部には、テープカバー70の突起部79を出し入れするために上部が開いた開放部51Hが形成されており、その開放部51Hに至るサイドカバー51Cの上縁から成る傾斜面51Yは、突起部79をガイド溝51Gに誘導するテープカバー誘導部となっている。また、本実施の形態において、サイドカバー51Cに形成されたガイド溝51Gは、係合させたテープカバー70の突起部79を上下方向に変位自在に保持するものとなっている。
【0056】
図8および
図9において、本体部51の前上部には、テープカバー押さえ部(前押さえ部81、中押さえ部82および後押さえ部83)が設けられている。テープカバー押さえ部は、搬送面61Mに向けてテープカバー70を付勢することにより、搬送面61M上を進行するキャリアテープCTをテープカバー70で押し付け、これによりキャリアテープCTを搬送面61M上に押さえ付ける機能を有する。
【0057】
前押さえ部81は、
図12および
図15(a),(b)に示すように、台座部81a、押さえ板81bおよび第1コイルばね81cを備えている(
図8および
図9も参照)。
図12および
図15(a),(b)に示すように、本体部51の先端部にはキャリアテープCTを下方向に案内するキャリアテープガイド51Dを備えた先端ブロック51Bが設けられており(
図8および
図9も参照)、台座部81aはこの先端ブロック51Bに装着されている。詳細には、台座部81aは、X方向(キャリアテープCTの搬送方向に水平に交差する方向)に延びて先端ブロック51Bに両端が支持された支持ピン81dによって、先端ブロック51Bに対して(すなわち本体部51に対して)揺動自在に取り付けられている。
【0058】
図15(a),(b)において、台座部81aの上部には、上方に延びてX方向に対向した一対の側壁部91が設けられている。これら一対の側壁部91の間にはX方向に延びた受け部92が設けられており、一対の側壁部91の一方には、片持ち状態でX方向に延びた押さえ爪93が設けられている。押さえ爪93は受け部92よりも上流側に位置している(
図15(a))。
【0059】
図12および
図15(a),(b)において、押さえ板81bは、Y方向に延びた板状の部材から成る。押さえ板81bは、
図15(a),(b)に示すように、Y方向に延びた長孔状の逃がし部94Hが形成された押さえ部94と、押さえ部94の下流側の部分から成る装着部95を備えている。装着部95の幅方向(X方向)の寸法は押さえ部94の幅方向寸法よりも小さくなっており、押さえ部94と装着部95の境に形成された段差部の下流側の端面は、押さえ部側位置決め面95Mとなっている(
図15(a))。
【0060】
図12および
図15(a),(b)において、第1コイルばね81cは、台座部81aと本体部51との間に設けられている(
図8および
図9も参照)。第1コイルばね81cは、台座部81aを本体部51に対して押し上げる方向に付勢している。
【0061】
図12および
図15(b)において、台座部81aに装着された状態の押さえ板81bは、装着部95が台座部81aの一対の側壁部91の間に位置している。そして、押さえ部側位置決め面95Mを、一方の側壁部91の下流側の端面である台座側位置決め面91M(
図15(a)に上流側から当接させている。受け部92は第1コイルばね81cによって上方に押し上げられており、押さえ板81bのY方向の中間部は、押さえ爪93の下面に下方から押し当てられた状態となっている(
図15(b))。
【0062】
台座部81aに装着された押さえ板81bは第1コイルばね81cによって台座部81aとともに支持ピン81dを中心に揺動し、押さえ板81bの上流側の端部である後端部94T(
図12および
図15(a),(b))は、テープカバー70の下流側端部70Fを下方に押圧する(
図8および
図9中に示す押圧力F1)。第3テープ押さえ部73は、搬送路61内に挿入されたキャリアテープCTがテープカバー70の下方に到達していない状態(「初期状態」と称する。
図8および
図10)では、前押さえ部81によって下方に付勢されて、下面を搬送面61Mに当接させている。
【0063】
このように本実施の形態において、テープカバー押さえ部としての前押さえ部81は、キャリアテープCTの搬送方向に水平に交差する揺動軸(X方向に延びた揺動軸)である支持ピン81dを中心に揺動する台座部81aと、台座部81aに着脱自在な押さえ板81bと、台座部81aを一方向(ここでは上方)に付勢して揺動させることにより台座部81aに装着された押さえ板81bをテープカバー70の下流側端部70Fの上面に押し付ける弾性部材としての第1コイルばね81cを備えたものとなっている。そして台座部81aは、押さえ板81bの下面を支持する受け部92と、受け部92に支持された押さえ板81bの上面を押さえる押さえ爪93とを備えており、前押さえ部81は、テープカバー70の下流側端部70Fを下方に押さえ付けるものとなっている。
【0064】
前述したように、テープカバー70における下流側端部70Fには、スリット状の部品排出開口70Sが形成されており、下流側端部70Fは二股に分かれた形状となっている。前押さえ部81の押さえ板81bは、その二股に分かれた形状の下流側端部70Fに跨るようにして当接しており、これら二股に分かれた部分は、ともに押さえ板81bによって下方に付勢された状態となっている。このためテープカバー70の下流側端部70Fは、部品排出開口70Sによって剛性が低くなっているが、本実施の形態の前押さえ部81は下流側端部70Fの上面から押さえるので、押さえ付ける力によって下流側端部70Fが変形してキャリアテープCTを安定して押さえ付けることができなくなるといった事態を回避している。これにより、テープカバー70の下流側端部70FにおいてキャリアテープCTを安定的に搬送することができる。
【0065】
このように本実施の形態において、テープカバー70は部品取出し開口16Kから連続して下流側端部70Fに形成された部品排出開口70Sを有しており、前押さえ部81の押さえ板81bは部品排出開口70Sを覆って設けられるようになっている。
【0066】
本実施の形態では、上述のように、押さえ板81bは台座部81aに対して着脱自在であるうえ、その後端部94Tは工具として使用可能な形状を有している。本実施の形態では、後端部94Tは
図15(a),(b)に示すように直線状に形成されている。このため押さえ板81bは、テープフィーダ16に使用する工具(例えば螺子回し)として使用することが可能である。すなわち本実施の形態において、押さえ板81bの端部は、テープフィーダ16に対して使用する工具として機能するようになっている。
【0067】
図8、
図9および
図10において、中押さえ部82は、テープカバー70の中間部の上面であって突起部79よりも上流側の位置に配置されている。中押さえ部82は、
図7にも示すように、ばね保持部82a、ねじりばね82bおよび押さえローラ82cを備えている。ばね保持部82aは、本体部51を構成する一対のサイドカバー51Cに両端を支持されてX方向に延びた軸状の部材から成る(
図7)。
【0068】
図7、
図10および
図12において、ねじりばね82bはそのコイル状の部分がばね保持部82aに挿通されている。ねじりばね82bは、上流側に延びた上流側延出部がサイドカバー51Cに固定されたピン(図示せず)に係止されることで、ばね保持部82aに保持された状態となっている。
【0069】
図7において、押さえローラ82cはX方向に延びたローラ部材から成り、両端部が2つのサイドカバー51Cに支持されている。詳細には、押さえローラ82cは、2つのサイドカバー51Cそれぞれに上下方向に延びて設けられた押さえローラ案内孔51N内に位置しており、テープカバー70の幅方向(X方向)に沿った軸線まわりに回転自在であるとともに、押さえローラ案内孔51Nにガイドされて上下移動自在になっている(
図10および
図12も参照)。
【0070】
すなわち本実施の形態において、押さえローラ82cは、テープカバー70の幅方向(キャリアテープCTの搬送方向に水平に交差する方向であり、X方向)に向いた回転軸を有するローラから成る。
【0071】
図10、
図12および
図13において、押さえローラ82cは、テープカバー70のY方向の中間部であって、部品取出し開口16Kとカバーテープ通路75とに挟まれた部分(詳細には、第1テープ押さえ部71における突起部79よりも上流側に)位置している。
図7に示すように、押さえローラ82cは、ねじりばね82bの下流側延出部によって下方に付勢されているため、テープカバー70の中間部(第1テープ押さえ部71)は、押さえローラ82cを介して、ねじりばね82bによって、搬送面61Mに押し付けられた状態となっている(
図8、
図9および
図10中に示す押圧力F2)。第2テープ押さえ部72は、搬送路61内に挿入されたキャリアテープCTがテープカバー70の下方に到達していない初期状態では、中押さえ部82によって下方に付勢されて、下面を搬送面61Mに当接させている(
図10)。
【0072】
このように本実施の形態において、中押さえ部82は、テープカバー70の中間部の上面であってキャリアテープCTの搬送方向に水平に交差する方向(X方向)に沿った部分を線状に押さえる押さえ部材としての押さえローラ82cと、押さえローラ82cを下方に押さえ付ける弾性部材としてのねじりばね82bを備えた構成となっている。そして、押さえローラ82cは、テープカバー70のY方向の中間部に配置された突起部79よりも上流に配置されており、テープカバー押さえ部としての中押さえ部82は、テープカバー70の中間部(突起部79の近く)を下方に押さえ付けるようになっている。
【0073】
上述したように、本実施の形態では、テープカバー70の下流側端部70F(
図7および
図10)が下方に押さえ付けられるだけでなく、テープカバー70のY方向の中間部(突起部79の近く)も下方に押さえ付けられている。このため本実施の形態におけるテープフィーダ16では、部品取出し位置16Tの近傍におけるキャリアテープCTを適度な押圧力で搬送面61Mに押し付けた状態で進行させることができ、部品取出し位置16Tにおける部品BHの位置決めを正確に行うことができる。ひいては、搭載ヘッド13による部品BHのピックアップミスの発生を防止することができる。
【0074】
図8、
図9および
図16において、後押さえ部83は、後押さえレバー101と第2コイルばね102を備えている。後押さえレバー101は本体部51の上部(詳細には導入スプロケット62Aの上方領域)をY方向に延びて設けられている。後押さえレバー101はY方向の中間部がX方向に延びたレバー揺動軸103によって支持されており、レバー揺動軸103から上流側に延びた上流側延出部101aと、下流側に延びた下流側延出部101bを有している(
図16)。
【0075】
図16において、後押さえレバー101の下流側延出部101bはその先端部が下方に屈曲して延びている。そして、その屈曲して伸びた部分の先端部であるレバー先端部101cは、第2テープ押さえ部72の上方に位置している。第2コイルばね102は後押さえレバー101の上流側延出部101aを上方、すなわち搬送面61Mから離れる方向へ付勢している。このため、後押さえレバー101のレバー先端部101cは、下方すなわち搬送面61Mに向かう方向に付勢されている。
【0076】
図16において、後押さえレバー101は本体部51に固定された規制ピン101Pによって回動範囲が規制されている。キャリアテープCTがテープカバー70の下方に到達していない初期状態では、レバー先端部101cはテープカバー70とは接触しておらず、傾斜部78の上面からキャリアテープCTの厚さ寸法よりも小さな間隔を隔てた位置に位置している(
図14(a))。
【0077】
前述したように、テープカバー70が有する一対の突起部79は、本体部51に設けられた縦長の溝である一対のガイド溝51G内に位置している。このためテープカバー70は一対の突起部79を支点として揺動自在であり(
図17中に示す矢印A参照)、かつ、上下方向に移動(昇降)可能である(
図17中に示す矢印B)。よって、キャリアテープCTの先端STがテープカバー70と搬送面61Mとの間に進入すると、テープカバー70はキャリアテープCTの厚みによって全体が持ち上げられ、前押さえ部81と中押さえ部82に加えて、後押さえ部83によっても下方に付勢された状態となる(後述)。
【0078】
この状態では、ガイド溝51Gに接する突起部79の上下方向の変位は小さく(キャリアテープCTの厚みTH相当)、テープカバー70の上流側端部70A(
図11および
図13)や下流側端部70FはキャリアテープCTの厚みTHに追従して上下方向に変位し易い。このため本実施の形態では、テープカバー70のスムーズな挙動を確保して、搬送中のキャリアテープCTを安定的に搬送面61Mに押さえ付けることができる。
【0079】
図14(b)に示すように、キャリアテープCTの先端STが接触部77の下方に到達してテープカバー70の第2テープ押さえ部72(詳細には接触部77)がキャリアテープCTによって持ち上げられると、第2テープ押さえ部72の傾斜部78はレバー先端部101cに当接する(
図14(a)→
図14(b))。その結果、第2テープ押さえ部72は、後押さえレバー101を介して、第2コイルばね102によって、キャリアテープCTに押し付けられる。
【0080】
このように本実施の形態において、後押さえ部83の後押さえレバー101は、キャリアテープCTの搬送方向に直交する水平な軸(レバー揺動軸103)を中心に揺動する部材であり、第2コイルばね102は、後押さえレバー101の一端をテープカバー70の上面に付勢するものとなっている。なお、キャリアテープCTがテープカバー70の下方に到達していない初期状態において、レバー先端部101cをテープカバー70に接触させずに上方に隔てている理由は、キャリアテープCTが第2テープ押さえ部72を持ち上げる際の抵抗を小さくするためであり、第2テープ押さえ部72を持ち上げる際にキャリアテープCTが座屈するのを防止するためである。
【0081】
テープカバー70を本体部51に取り付ける場合には、先ず、テープカバー70の上流側端部70Aが下流側端部70Fよりも低い姿勢となるように傾けた状態で、テープカバー70の上流側端部70Aを、搬送面61Mと押さえローラ82cの間に形成されている挿入空間82S(
図7および
図18)に挿入する(
図18中に示す矢印Y1)。作業者は、テープカバー70の上流側端部70Aを挿入空間82Sに挿入したら、テープカバー70の一対の突起部79を、本体部51に設けられた一対のガイド溝51Gに上方から(開放部51Hから)挿入する(
図18中に示す矢印Y2)。
【0082】
このとき作業者は、一対の突起部79それぞれを対応する傾斜面51Yに上方から当接させた状態でテープカバー70を上流側にスライドさせる。これにより各突起部79は傾斜面51Yを上流側に進みつつ下降し、傾斜面51Yの尽きるところでガイド溝51G内に落ち込んで挿入される。突起部79はガイド溝51Gに挿入されることで前後方向(Y方向)への移動が規制され、本体部51に対して位置決めされた状態となる。このため作業者は、テープカバー70を本体部51(サイドカバー51C)に容易に取り付けることができる。
【0083】
上記のようにしてテープカバー70が本体部51に対して位置決めされた状態では、テープカバー70のY方向の中間部(詳細には、一対の突起部79のやや上流側の位置)に、押さえローラ82cが上方から当接する。この状態では、テープカバー70は搬送面61Mに倣うような姿勢となり、テープカバー70の上流側端部70Aは、ほぼ水平な姿勢となる(
図19)。そして、作業者は、最後に、押さえ板81bを台座部81aに取り付ける。
【0084】
押さえ板81bを台座部81aに取り付けるには、作業者は先ず、台座部81aを下方に押圧して台座部81aを押さえ板81bの装着が可能な姿勢にする。作業者はその状態を維持し、押さえ板81bの装着部95を、その下流側の端部である前端部95T(
図15(a),(b))を上流側に向けて、押さえ爪93の下方の空間に挿入する(
図15(a)→
図15(b)。
図19中に示す矢印Y3)。
【0085】
これにより押さえ板81bの装着部95が受け部92の上方に達し、押さえ部側位置決め面95Mが台座側位置決め面91Mに上流側から当接したら(
図15(b))、作業者は、台座部81aの下方への押圧状態を解除する。これにより押さえ板81bは、第1コイルばね81cによって揺動する台座部81aの押さえ爪93によって後端部94Tを下げる方向に揺動し、テープカバー70の下流側端部70Fを下方に押さえる。このためテープカバー70の下流側端部70Fは、前押さえ部81によって、本体部51に押し下げられた状態となる。これによりテープカバー70の本体部51への装着が完了する(
図12)。
【0086】
このように本実施の形態におけるテープフィーダ16は、テープカバー70をキャリアテープCTに押さえ付けるテープカバー押さえ部が、テープカバー70の下流側端部を押さえる前押さえ部81を含んでいる。そして、その前押さえ部81が、本体部51に対して揺動自在な台座部81aと、台座部81aに着脱自在な押さえ板81bと、台座部81aを一方向(上方)に付勢する弾性部材としての第1コイルばね81cを備えた構成となっている。
【0087】
本実施の形態では、テープカバー70の一端側(上流側端部70A側)は本体部51側の挿入空間82Sに挿入されることで本体部51に取り付けられ、他端側(下流側端部70F)は第1コイルばね81cによって付勢されたレバー部材(押さえ板81b)で押さえることで本体部51に取り付けられる。このため本実施の形態では、テープカバー70の本体部51に対する着脱を容易に行うことができる。
【0088】
上記のようにしてテープカバー70が本体部51に取り付けられた状態で、テープカバー70と搬送面61Mとの間に上流側からキャリアテープCTが進入してくると、テープカバー70は先ず、キャリアテープCTの先端STの厚みによって、その上流側端部70A(第2テープ押さえ部72)が持ち上げられる。これによりテープカバー70はその全体が
図17の時計回り方向に揺動し、突起部79はガイド溝51G内でわずかに上昇する(
図14(a)→
図14(b))。
【0089】
キャリアテープCTが更に進行してキャリアテープCTの先端STがテープカバー70の突起部79の下方まで到達すると、その中間部がキャリアテープCTによって押し上げられて上昇し、搬送面61Mから離れる。キャリアテープCTが更に進行して下流側端部70Fの下方に到達すると、テープカバー70は
図17の反時計回り方向に揺動し、その第3テープ押さえ部73は搬送面61Mに対してほぼ平行な姿勢となる。テープカバー70は、キャリアテープ搬送部62によって部品取出し開口16KにキャリアテープCTの位置決めが行われている間はその姿勢を維持するが、キャリアテープCTの後端(図示せず)がテープカバー70の突起部79を通過すると、テープカバー70は上流側端部70Aを下げる方向、すなわち
図17の反時計回り方向に揺動する。そして、キャリアテープCTの後端がテープカバー70と搬送面61Mとの間から完全に抜けてしまうと、テープカバー70は
図17の時計回り方向に揺動しながら下降して、第2テープ押さえ部72と第3テープ押さえ部73がそれぞれ搬送面61Mに当接する状態に復帰する(
図10)。
【0090】
上述したように、本実施の形態におけるテープフィーダ16では、テープカバー70の中間部に設けられた一対の突起部79が、本体部51を構成するサイドカバー51Cに設けられた開放部51Hからテープカバー保持部としてのガイド溝51Gに係合されることで、本体部51(詳細にはサイドカバー51C)に対して上下方向に変位自在に保持されるようになっている。このような構成では、テープカバー70はその中間部の一対の突起部79がガイド溝51Gに係合してキャリアテープCTの搬送方向の位置決めがなされるとともに、上下方向に変位自在に保持されている。一方、テープカバー70の上流側端部70Aや下流側端部70FはキャリアテープCTの搬送方向の位置決めがなされていない自由端となっており、突起部79を中心に上下方向に変位可能である。このためテープカバー70は、キャリアテープCTの位置に応じた姿勢変更をスムーズに行うことができる。しかも、テープカバー70の中間部の上下方向の変位は上流側端部70Aや下流側端部70Fに比べて小さく、キャリアテープCTの厚みTH程度である。このため、キャリアテープCTが搬送されるときの摩擦によってテープカバー70が下流側に押されると、突起部79とガイド溝51Gの間で摩擦抵抗が生じるが、突起部79を含む中間部の上下方向の変位は小さいので、テープカバー70の姿勢変更は摩擦抵抗による影響をほとんど受けることなくスムーズに行われる。更に、突起部79を中心にしてテープカバー70が揺動可能なので、上流側端部70Aと下流側端部70Fも摩擦抵抗の影響をほとんど受けることなくスムーズに変位する。このため本実施の形態では、テープカバー70のスムーズな挙動を確保して、搬送中のキャリアテープCTを安定的に押さえ付けることができる。
【0091】
また、本実施の形態のテープカバー70は、特許文献1のようなカバーテープTTをキャリアテープCTから剥離する剥離刃(ブレード)を備えていないので、テープカバー70を下流側に押す力を小さくして突起部79とガイド溝51Gの摩擦抵抗を減らし、テープカバー70の上下方向移動によって生ずる摩耗による損傷を防止することができる。このため突起部79(すなわちテープカバー70における可動部)の摩耗に起因するガイド溝51Gに対する摺動不良や固着等の不具合が発生しにくい。
【0092】
図8、
図9、
図10および
図16において、部品取出し位置16Tの上流の位置には、カバーテープ引込み部111が設けられている。カバーテープ引込み部111は、キャリアテープCTから剥離されたカバーテープTTを上方へ引き込む機能を有する。
【0093】
図16において、カバーテープ引込み部111は、駆動ローラ111aと、駆動ローラ111aよりも小径で駆動ローラ111aよりも下流側に位置する従動ローラ111bから構成されている。駆動ローラ111aと従動ローラ111bは接触しており、駆動ローラ111aが
図16における反時計回りに回転すると、従動ローラ111bは駆動ローラ111aによって時計回りに回転させられる。
【0094】
駆動ローラ111aは、スプロケット駆動モータ62Dによって、図示しない伝達ギア機構を介して駆動される。このため、駆動ローラ111aはキャリアテープ搬送部62と同じタイミングで駆動される。カバーテープ引込み部111よって引き込まれたカバーテープTTは、前述したように、カバーテープ排出路65に排出されて、回収される。
【0095】
次に、テープフィーダ16による部品BHの供給動作について説明する。テープフィーダ16によってキャリアテープCTを搬送して部品BHを部品取出し位置16Tに供給する場合には、作業者は先ず、前述した手順によって、キャリアテープCTの先端から先導部SDが飛び出した状態にしたうえで、手作業によって、キャリアテープCTの先端STをキャリアテープ導入口61Aに挿入する。そして、キャリアテープCTの先端STの送り孔KHが導入スプロケット62Aの送りピン62Pに係合するまでキャリアテープCTを下流側に押し込む。
【0096】
キャリアテープCTがキャリアテープ導入口61Aから挿入されることによって、キャリアテープCTの先端ST近傍の送り孔KHが導入スプロケット62Aの送りピン62Pに係合すると、これが図示しないセンサによって検知される。制御部63は、キャリアテープCTの送り孔KHが導入スプロケット62Aの送りピン62Pに係合したことがセンサによって検知されたら、スプロケット駆動モータ62Dを作動させて、3つのスプロケット(導入スプロケット62A、位置決めスプロケット62Bおよび排出スプロケット62C)を回転させる。もしくは、作業者が、キャリアテープCTをキャリアテープ導入口61Aから挿入して送り孔KHを導入スプロケット62Aの送りピン62Pに係合させ、テープフィーダ16の操作スイッチを操作してスプロケット駆動モータ62Dを作動させて、3つのスプロケットを回転させる。これにより、キャリアテープ搬送部62によるキャリアテープCTの搬送が開始され、キャリアテープCTは搬送面61M上を下流側に進行する。なお、このときはテープカバー70の第2テープ押さえ部72と第3テープ押さえ部73は、搬送面61Mに当接した状態となっている(
図10)。
【0097】
搬送面61M上を下流側に進行するキャリアテープCTの先端STは、
図20に示すように、カバーテープTTの先導部SDを先頭にして、搬送面61Mと第2テープ押さえ72の接触部77の下面との間の空間内に進入する。キャリアテープCTが更に進行してカバーテープTTの先導部SDの先端である先導部先端SS(
図3(a)および
図4(b)も参照)が搬送面61M上のストッパ76に当接し、先導部SDがそれ以上下流側に進行することが妨げられたら、カバーテープTTの先導部先端SSはカバーテープ通路75を上方に通過して、第2テープ押さえ部72の(すなわちテープカバー70の)上側に突出する(
図21)。
【0098】
このように第1テープ押さえ部71が備えるストッパ76は、第1テープ押さえ部71が搬送面61Mに当接している状態において、上流側から進行してきたカバーテープTTの先導部先端SSが、第1テープ押さえ部71と搬送面61Mの間に進入しないようにせき止める機能を有する。
【0099】
制御部63は、上記のようにカバーテープTTの先導部先端SSがテープカバー70のカバーテープ通路75に達するタイミング(またはその直前のタイミング)でエア噴出制御バルブ68を制御し、エア噴出部67からエア107を上方に噴出させる(
図21)。エア噴出部67は、噴き出すエア107がカバーテープ通路75を下方から通過する位置に設けられており、エア噴出部67がエア107を噴き出すと、そのエア107はカバーテープ通路75内を下方から通り抜ける。
【0100】
このためカバーテープTTの先導部先端SSがカバーテープ通路75に達するタイミングでエア噴出部67からエア107が噴出されると、カバーテープTTの先導部先端SSはエア噴出部67から噴出されるエア107の流れに誘導されながら、カバーテープ通路75を上方に通過してテープカバー70の上方に突出する。そして、キャリアテープCTが下流側に進行するのに応じて上方に移動し、カバーテープ引込み部111を構成する駆動ローラ111aと従動ローラ111bの間に達する(
図22)。
【0101】
駆動ローラ111aと従動ローラ111bの間に達したカバーテープTTの先導部先端SSは、カバーテープ引込み部111によって(駆動ローラ111aと従動ローラ111bの相反回転によって)捕捉され、上方に引き上げられる(
図23)。
【0102】
上記のようにカバーテープTTの先導部SDがカバーテープ通路75を上方に通過したら、第2テープ押さえ部72のテーパ面78MにキャリアテープCTの先端STが当接する(
図21)。先端STがテーパ面78Mに当接したキャリアテープCTが更に下流側に進行すると、第2テープ押さえ部72はキャリアテープCTによって押し上げられる(
図21→
図22)。
【0103】
キャリアテープCTによって押し上げられた第2テープ押さえ部72は、連結部74を介して第1テープ押さえ部71を上方に引き上げる。このため第1テープ押さえ部71と搬送面61Mとの間には、キャリアテープCTが進行し得る間隔G(
図22)の隙間が形成され、第1テープ押さえ部71の上流側のエッジであるストッパ76も搬送面61Mから上昇する。第1テープ押さえ部71と搬送面61Mとの間に間隔Gの隙間が形成されたら、キャリアテープCTはその隙間内を下流側に進行する(
図22→
図23)。
【0104】
このように第2テープ押さえ部72は、前述のように、カバーテープ通路75よりも上流側にあってキャリアテープCTによって押し上げられる上流側テープ押さえ部であるとともに、キャリアテープCTに接触して変位する接触変位部となっており、連結部74は、接触変位部としての第2テープ押さえ部72の変位を第1テープ押さえ部71に伝達してストッパ76を変位させる伝達部となっている。そして、接触変位部としての第2テープ押さえ72と伝達部としての連結部74は、ストッパ76を搬送面61Mから上方に持ち上げる高さ変更部となっている。
【0105】
上記のように、キャリアテープCTによって第2テープ押さえ部72が押し上げられると、第2テープ押さえ部72の傾斜部78は後押さえ部83のレバー先端部101cに下方から当接し、そのレバー先端部101cを押し上げる。これにより後押さえ部83の第2コイルばね102は後押さえレバー101の上流側延出部101aによって押し縮められ、その反力として上流側延出部101aを上方に付勢する。このため第2テープ押さえ72(傾斜部78)は、後押さえレバー101を介し、第2コイルばね102によって、下方に付勢される(
図9および
図24中に示す押圧力F3)。
【0106】
このように本実施の形態において、後押さえ部83は、キャリアテープCTが搬送路61にない状態では後押さえレバー101はテープカバー70に非接触であり、キャリアテープCTによって上方に変位したテープカバー70(詳細には第2テープ押さえ部72)と接触したらこれを下方に押さえるようになっている。
【0107】
キャリアテープCTが第1テープ押さえ部71の下面と搬送面61Mとの間に形成された隙間内を下流側に進行すると、カバーテープ通路75を通過して上方に延びているカバーテープTTは更にカバーテープ引込み部111によって上方(カバーテープ排出路65内)に引き込まれていく(
図24→
図25)。
【0108】
このように本実施の形態において、カバーテープ引込み部111は、キャリアテープCTから剥離されたカバーテープTTを引き込むものとなっている。
【0109】
本実施の形態において、テープカバー70とカバーテープ引込み部111は、前述のカバーテープ剥離部64(
図8、
図9および
図10)を構成している。カバーテープ剥離部64は部品取出し位置16Tよりも上流に配置されており、キャリアテープCTの先端STから下流に延ばされたカバーテープTTの先導部SDを捕捉して引き込んで、カバーテープ排出路65に送り込む機能を有する。
【0110】
カバーテープ剥離部64によってカバーテープTTが剥離されたキャリアテープCTは、キャリアテープ搬送部62によって搬送路61上を下流側に搬送され、キャリアテープCTにおける最初の部品収納ポケットPKが部品取出し位置16Tに位置決めされる。これによりキャリアテープCTの位置決め工程が終了する。キャリアテープ搬送部62は、最初の部品収納ポケットPKが部品取出し位置16Tに位置決めするまでの動作(キャリアテープCTの位置決め工程)を停止することなく実行する。
【0111】
キャリアテープCTは位置決め工程の過程で、カバーテープTTがカバーテープ剥離部64によって剥離される。以後は、部品搭載装置1が備える搭載ヘッド13が部品BHを吸着して取り出す動作(ピックアップ動作)に伴って、キャリアテープ搬送部62によるピッチ送りが行われ、部品収納ポケットPKが部品取出し位置16Tに順次位置決めされる(キャリアテープ位置決め動作)。
【0112】
このように本実施の形態において、部品供給装置としてのテープフィーダ16は、キャリアテープCTの先端から飛び出した先導部SDを有するカバーテープTTをキャリアテープCTから剥離して、カバーテープTTに覆われた状態でキャリアテープCTに収納されていた部品BHを露出させ、露出した部品BHを部品取出し位置16Tに搬送して部品搭載装置1に供給する構成となっている。
【0113】
上記構成のテープフィーダ16を有する部品搭載装置1が基板KBに部品BHを搭載する部品搭載作業を行う場合には、先ず、基板搬送部12によって部品搭載装置1の外部から供給された基板KBを搬入し、所定の作業位置に位置決めする。基板KBが作業位置に位置決めされたら各テープフィーダ16は部品取出し開口16Kに部品BHを供給し、搭載ヘッド13は部品保持ノズル14によってテープフィーダ16の部品取出し位置16Tから部品BHを保持して取り出す。
【0114】
テープフィーダ16の部品取出し位置16Tから部品BHを取り出した搭載ヘッド13は基板KBの上方に移動し、基板KB上に定められた目標部品搭載位置に部品BHを搭載する。基板KBに搭載すべき部品BHを全て搭載したら、基板搬送部12によって基板KBを部品搭載装置1の外部に搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品搭載作業が終了する。
【0115】
以上説明したように、本実施の形態における部品供給装置(テープフィーダ16)では、キャリアテープCTの位置に応じてテープカバー70の姿勢が変化しても、テープカバー70のサイドカバー51Cに対する相対移動箇所は、一対の突起部79がガイド溝51Gに対して上下方向に微小量(キャリアテープCTの厚みTH程度)変位するのみであり、テープカバー70の長手方向の両端部は従来のように本体部51に対して摺動しない。このためテープカバー70のスムーズな挙動を確保して、搬送中のキャリアテープCTを安定的に押さえ付けることができる。また、一対の突起部79がガイド溝51Gに対して上下方向に摺動する際の変位量は極めて小さく、テープカバー70の上下方向移動によって生ずる摩耗による損傷を抑えることができる。このため突起部79(すなわちテープカバー70における可動部)の摩耗に起因するガイド溝51Gに対する摺動不良や固着等の不具合の発生を抑制することが可能である。
【0116】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、テープフィーダ16はキャリアテープCTの先端STから突出させたカバーテープTTの先導部SDをエアにより上方に吹き上げて捕捉し、これを引き上げることでキャリアテープCTから剥離する構成であったが、本発明が適用されるテープフィーダ16は、必ずしもこのような工程でカバーテープTTを剥離するものでなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
テープフィーダの本体部に対するテープカバーの着脱を容易に行うことができる部品供給装置を提供する。
【符号の説明】
【0118】
1 部品搭載装置
16 テープフィーダ(部品供給装置)
16T 部品取出し位置
51 本体部
51C サイドカバー
51G ガイド溝(テープカバー保持部)
51H 開放部
51Y 傾斜面(テープカバー誘導部)
61 搬送路
62A 導入スプロケット
62B 位置決めスプロケット
62C 排出スプロケット
70 テープカバー
70A 上流側端部
70F 下流側端部
71 第1テープ押さえ部
72 第2テープ押さえ部
73 第3テープ押さえ部
79 突起部
81 前押さえ部(テープカバー押さえ部)
82 中押さえ部(テープカバー押さえ部)
82b ねじりばね(弾性部材)
82c 押さえローラ
83 後押さえ部(テープカバー押さえ部)
101 後押さえレバー
102 第2コイルばね
111 カバーテープ引込み部
CT キャリアテープ
ST 先端
TT カバーテープ
SD 先導部
SS 先導部先端
BH 部品
【要約】
部品供給装置は、キャリアテープを搬送する搬送路および搬送路を挟むように設けられた2つのサイドカバーを有する本体部と、本体部に着脱自在であり、搬送路のキャリアテープの上面を覆うテープカバーと、テープカバーをキャリアテープに押さえ付けるテープカバー押さえ部を備える。テープカバーは、キャリアテープの搬送方向に水平に交差する方向に沿って両側に突出した2つの突起部を有し、2つのサイドカバーは、上部が開いた開放部から2つの突起部を係合させた状態でテープカバーを上下方向に変位自在に保持するテープカバー保持部としてのガイド溝を有する。