(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理システム、及び、制御装置
(51)【国際特許分類】
B62D 6/00 20060101AFI20240621BHJP
B62D 101/00 20060101ALN20240621BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20240621BHJP
【FI】
B62D6/00
B62D101:00
B62D113:00
(21)【出願番号】P 2021567355
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2020047115
(87)【国際公開番号】W WO2021132005
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2019234700
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】胡 貝尓
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一真
(72)【発明者】
【氏名】大山 慎史
(72)【発明者】
【氏名】穴吹 元嗣
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-91609(JP,A)
【文献】特開2018-89996(JP,A)
【文献】特開2003-276631(JP,A)
【文献】特開2001-80533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00,30/00-60/00
B62D 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される情報処理方法であって、
移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得し、
前記移動体の重さを取得し、
前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ及び前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記第1搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成し、
前記予測舵角中心値を示す情報を前記移動体へ出力する
情報処理方法。
【請求項2】
前記予測舵角中心値は、前記移動体の前記第1搬送物情報に対応する走行における舵角中心の初期値として設定される
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記搬送物情報に含まれる少なくとも前記搬送物の配置は、前記移動体の予約情報であり、
前記予測舵角中心値を示す情報は、前記予約情報の確定後に生成される
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記搬送物情報に含まれる前記搬送物の配置及び重さの少なくとも1つは、前記移動体に備えられる重量センサの出力データを用いて生成される
請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記搬送物情報に含まれる前記搬送物の配置及び重さの少なくとも1つは、前記移動体に備えられる撮像センサの出力データに基づく前記搬送物の検出結果を用いて生成される
請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記検出結果は、前記搬送物の識別結果を含み、
前記搬送物情報に含まれる前記搬送物の配置及び重さの少なくとも1つは、識別された前記搬送物の属性情報を用いて生成される
請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記モデルは、事前定義されたベースモデルを用いて生成される
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記モデルは、前記第2搬送物情報と前記移動体の重さとから算出された前記移動体の重心位置、前記舵角中心値、及び、前記ベースモデルを用いて生成される
請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記モデルは、前記第2搬送物情報、及び、前記移動体の重さを訓練データとし前記舵角中心値をリファレンスデータとして機械学習を用いて生成される
請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記モデルは、前記搬送物の属性情報をさらに含む前記訓練データを用いて生成される
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記モデルは、前記移動体の外部環境情報をさらに含む前記訓練データを用いて生成される
請求項9又は10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得する第1取得部と、
前記移動体の重さを取得する第2取得部と、
前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ及び前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記第1搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成する生成部と、
前記予測舵角中心値を示す情報を前記移動体へ出力する出力部とを備える
情報処理システム。
【請求項13】
移動体に搭載される制御装置であって、
前記移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得する第1取得部と、
前記移動体の重さを取得する第2取得部と、
前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ、及び、前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成する生成部と、
前記予測舵角中心値を前記移動体の舵角中心値として設定する設定部とを備える
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体についての情報処理方法、情報処理システム、及び、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動運転車における種々の検討が行われている。例えば、自動運転車の重心の位置に応じた走行制御を行うために、自動運転車の舵角を推定する装置の検討が行われている。特許文献1には、ステアリング角センサを含む複数のセンサの誤差を推定し、補正する装置が開示されている。また、特許文献2には、走行中の操舵角の出現頻度から舵角中立点からのずれ量である零点補正値を推定し零点補正値を用いて舵角値を補正する操舵角検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6383907号公報
【文献】特開2017-105294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2の装置では、移動体の舵角の基準値(以下、舵角中心)の設定には時間がかかる。例えば、特許文献1では、車両に搭載されるステアリング角センサを含む複数のセンサの出力値を入力として当該出力値の誤差が推定される。また特許文献2では、走行中に検出された操舵角を蓄積し、蓄積された複数の操舵角から最頻値又は平均値が舵角中心として算出される。このように、舵角中心の推定は、収束するまでに時間を要する。
【0005】
そこで、本開示は、移動体の舵角中心の設定にかかる時間を削減することができる情報処理方法、情報処理システム、及び、制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得し、前記移動体の重さを取得し、前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ及び前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記第1搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成し、前記予測舵角中心値を示す情報を前記移動体へ出力する。
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得する第1取得部と、前記移動体の重さを取得する第2取得部と、前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ及び前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記第1搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成する生成部と、前記予測舵角中心値を示す情報を前記移動体へ出力する出力部とを備える。
【0008】
本開示の一態様に係る制御装置は、移動体に搭載される制御装置であって、前記移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得する第1取得部と、前記移動体の重さを取得する第2取得部と、前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ、及び、前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成する生成部と、前記予測舵角中心値を前記移動体の舵角中心値として設定する設定部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る情報処理方法等によれば、移動体の舵角中心の設定にかかる時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る予約情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る車両情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る走行情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態に係るモデリング処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、車両の重心位置のズレ量の算出を説明するための第1図である。
【
図7B】
図7Bは、車両の重心位置のズレ量の算出を説明するための第2図である。
【
図7C】
図7Cは、車両の重心位置のズレ量の算出を説明するための第3図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る予測処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る動的推定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施の形態に係るカルマンフィルタの動作を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例1に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施の形態の変形例1に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施の形態の変形例2に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施の形態の変形例2に係るユーザ情報の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施の形態の変形例2に係る環境情報の一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施の形態の変形例2に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、実施の形態の変形例3に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図18】
図18は、実施の形態の変形例3に係る判定処理を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、実施の形態の変形例3に係る動的推定処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、実施の形態の変形例4に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図21】
図21は、実施の形態の変形例4に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、実施の形態の変形例5に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図23】
図23は、実施の形態の変形例5に係る情報処理システムの動作を示すフローチャートである。
【
図24】
図24は、その他の実施の形態に係る情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータにより実行される情報処理方法であって、移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得し、前記移動体の重さを取得し、前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ及び前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記第1搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成し、前記予測舵角中心値を示す情報を前記移動体へ出力する。
【0012】
これにより、過去の搬送物情報等を用いて生成されたモデルを用いて、予測舵角中心値を生成することができる。すなわち、移動体は、走行中に検出された操舵角等のセンシングデータを蓄積しなくても舵角中心値を設定することができる。よって、情報処理方法によれば、移動体の舵角中心の設定にかかる時間を削減することができる。なお、過去の搬送物情報を用いて予測舵角中心値が生成されるため、実際に搬送物が乗せられた状態の移動体における舵角中心値に近い値を推定することができる。そのため、予測舵角中心値の正確性の低下を抑制しながら(言い換えると、正確性を維持しながら)、移動体の舵角中心の設定にかかる時間を削減することができる。
【0013】
また、例えば、前記予測舵角中心値は、前記移動体の前記第1搬送物情報に対応する走行における舵角中心の初期値として設定されてもよい。
【0014】
これにより、移動体の走行前に予測舵角中心値を設定することができる。移動体は、当該予測舵角中心値に応じて操舵角を制御することで、発車直後から操舵角を正確に制御することができる。
【0015】
また、例えば、前記搬送物情報に含まれる少なくとも前記搬送物の配置は、前記移動体の予約情報であり、前記予測舵角中心値を示す情報は、前記予約情報の確定後に生成されてもよい。予約情報は、移動体を利用する乗客の予約情報又は移動体に搭載される荷物の予約情報であってよい。
【0016】
これにより、確定した移動体の予約情報を用いて予測舵角中心値を生成することができる。予約情報は、走行前に確定されるので、走行前に予測舵角中心値を生成することができる。
【0017】
また、例えば、前記搬送物情報に含まれる前記搬送物の配置及び重さの少なくとも1つは、前記移動体に備えられる重量センサの出力データを用いて生成されてもよい。
【0018】
これにより、実際に移動体に乗せられた搬送物の配置又は重さを重量センサの出力データから取得することができるので、より正確に移動体の予測舵角中心値を生成することができる。
【0019】
また、例えば、前記搬送物情報に含まれる前記搬送物の配置及び重さの少なくとも1つは、前記移動体に備えられる撮像センサの出力データに基づく前記搬送物の検出結果を用いて生成されてもよい。
【0020】
これにより、実際に移動体に乗せられた搬送物の配置又は重さを撮影画像から取得することができるので、より正確に移動体の予測舵角中心値を生成することができる。
【0021】
また、例えば、前記検出結果は、前記搬送物の識別結果を含み、前記搬送物情報に含まれる前記搬送物の配置及び重さの少なくとも1つは、識別された前記搬送物の属性情報を用いて生成されてもよい。
【0022】
これにより、搬送物ごとの属性情報を用いて、搬送物の配置又は重さを生成することができるので、さらに正確に予測舵角中心値を生成することができる。
【0023】
また、例えば、前記モデルは、事前定義されたベースモデルを用いて生成されてもよい。
【0024】
これにより、予めベースモデルが決定されているので、当該ベースモデルに所定の情報を入力するだけでモデルを生成することができる。つまり、比較的容易にモデルを生成することができる。
【0025】
また、例えば、前記モデルは、前記第2搬送物情報と前記移動体の重さとから算出された前記移動体の重心位置、前記舵角中心値、及び、前記ベースモデルを用いて生成されてもよい。
【0026】
これにより、搬送物情報及び移動体の重さから算出可能な移動体の重心位置及び舵角中心値を用いて、モデルを生成することができる。
【0027】
また、例えば、前記モデルは、前記第2搬送物情報、及び、前記移動体の重さを訓練データとし前記舵角中心値をリファレンスデータとして機械学習を用いて生成されてもよい。
【0028】
これにより、予め設計される数理モデルよりも予測精度の向上が期待されるモデルを生成することができる。
【0029】
また、例えば、前記モデルは、前記搬送物の属性情報をさらに含む前記訓練データを用いて生成されてもよい。
【0030】
これにより、搬送物の属性情報を考慮したモデルが生成されるので、さらに予測精度が向上されたモデルを生成することができる。
【0031】
また、例えば、前記モデルは、前記移動体の外部環境情報をさらに含む前記訓練データを用いて生成されてもよい。
【0032】
これにより、移動体の外部の環境情報を考慮したモデルが生成されるので、より一層予測精度が向上されたモデルを生成することができる。
【0033】
また、本開示の一態様に係る情報処理システムは、移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得する第1取得部と、前記移動体の重さを取得する第2取得部と、前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ及び前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記第1搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成する生成部と、前記予測舵角中心値を示す情報を前記移動体へ出力する出力部とを備える。また、本開示の一態様に係る制御装置は、例えば、移動体に搭載される制御装置であって、前記移動体における搬送物の配置と重さとを含む搬送物情報である第1搬送物情報を取得する第1取得部と、前記移動体の重さを取得する第2取得部と、前記第1搬送物情報よりも過去の前記搬送物情報である第2搬送物情報、前記移動体の重さ、及び、前記移動体の舵角中心値を用いて生成されたモデルに、取得された前記搬送物情報及び前記移動体の重さを入力して予測舵角中心値を示す情報を生成する生成部と、前記予測舵角中心値を前記移動体の舵角中心値として設定する設定部とを備える。
【0034】
これにより、上記情報処理方法と同様の効果を奏する。
【0035】
さらに、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0036】
以下、本開示の一態様に係る情報処理方法、情報処理システム、及び、制御装置の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、数値、形状、構成要素、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また全ての実施の形態において、各々の内容を組み合わせることもできる。
【0037】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0038】
また、本明細書において、数値及び数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0039】
(実施の形態)
以下、本実施の形態に係る情報処理方法等について、
図1~
図10を参照しながら説明する。
【0040】
[1.情報処理システムの構成]
まずは、本実施の形態に係る情報処理システム1の構成について、
図1~
図4を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る情報処理システム1の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
図1に示すように、情報処理システム1は、予測装置10と、車両20とを備える。予測装置10と車両20とは、ネットワーク(図示しない)を介して通信可能に接続されている。情報処理システム1は、車両20の舵角中心値を予測する予測システムである。車両20は、搬送物として乗客を搬送する。
【0042】
予測装置10は、車両20の舵角中心値を予測するための処理を実行する。予測装置10は、例えば、車両20の予約情報(後述する
図2参照)を用いて、車両20の舵角中心値を予測する。予測装置10は、例えば、サーバ装置により実現される。
【0043】
予測装置10は、通信部11と、モデリング部12と、第1予測部13と、情報管理部14とを有する。
【0044】
通信部11は、予測装置10が車両20と通信する。通信部11は、例えば通信回路(通信モジュール)により実現される。通信部11は、第1予測部13が生成した舵角中心値を示す情報を、ネットワーク(図示しない)を介して車両20に出力し、車両20からセンサ部23の検出結果などを取得する。このように、通信部11は、第1予測部13が生成した舵角中心値を示す情報を車両20へ出力する出力部として機能する。また、通信部11は、走行情報14cを車両20から取得してもよい。なお、以降において、第1予測部13が予測した舵角中心値を予測舵角中心値とも記載する。また、予測舵角中心値を生成すること(すなわち舵角中心値を予測すること)を、予測舵角中心値を予測するとも記載する。
【0045】
また、通信部11は、外部の装置からネットワークを介して車両20の予約情報14a、車両情報14bなどの各種情報を取得する。通信部11を介して取得された各種情報は、情報管理部14に格納される。外部の装置は、予測装置10と通信可能に接続された装置であれば特に限定されないが、例えば、乗客が所持するスマートフォンであってもよいし、スマートスピーカ、パーソナルコンピュータ、又はクラウドサーバであってもよい。このように、通信部11は、予約情報14aを取得する第1取得部として機能し、かつ、車両情報14bを取得する第2取得部として機能する。予約情報14aは、乗客情報のうちの少なくとも乗客の配置の一例である。なお、予約情報14aには、乗客情報のうちの乗客の重さが含まれてもよい。本実施の形態では、予約情報14aに、乗客情報のうちの乗客の配置及び重さが含まれる。なお、乗客情報は、搬送物情報の一例である。
【0046】
モデリング部12は、情報管理部14に格納されている各種情報に基づいて、第1予測部13が車両20の予測舵角中心値を予測するためのモデル14dを生成する。モデリング部12は、例えば、事前に定義されたベースモデルを用いてモデル14dを生成する。本実施の形態では、モデリング部12は、過去の予約情報14a、車両20の重さ、及び、過去の予約情報14aに基づく車両20の走行時の舵角中心推定値を用いてモデル14dを生成する。モデリング部12は、過去の予約情報14a及び車両20の重さから算出される重心位置と舵角中心との関係をモデリングする。なお、ベースモデルは、例えば、情報管理部14に格納されている。
【0047】
本実施の形態では、ベースモデルが線形回帰モデルであり、モデリング部12は、回帰分析によりモデル14dを生成する。モデリング部12は、生成したモデル14dを情報管理部14に格納する。モデリング部12は、過去の予約情報14aを用いてモデル14dを生成する。これにより、モデリング部12は、車両20の走行前に車両20の予測舵角中心値を予測するためのモデル14dを生成することが可能となる。
【0048】
また、モデリング部12は、車両20ごとにモデル14dを生成してもよい。モデリング部12は、例えば、車両20を識別するための車両ID(例えば、
図2参照)ごとにモデル14dを生成してもよい。
【0049】
なお、モデリング部12におけるモデル14dの生成は、後述する。また、過去の予約情報14aは、過去に予約内容に基づいて車両20による移動(走行)が行われた予約情報を意味する。例えば、予約情報14aに基づく移動が行われており、かつ、その移動のときの走行状態が取得されている予約情報14aが過去の予約情報14aである。走行状態は、少なくとも舵角中心推定値又は舵角中心推定値を算出可能な情報を含む。過去の予約情報14aは、第2乗客情報の一例である。第2乗客情報は、過去の乗客情報であり、例えば、現時点で当該乗客情報による車両20の移動が実行された乗客情報である。また、第2乗客情報は、第2搬送物情報の一例である。
【0050】
第1予測部13は、モデリング部12が生成したモデル14dを用いて、車両20の予測舵角中心値を予測する。具体的には、第1予測部13は、通信部11を介して取得した現在の予約情報14a及び車両20の重さをモデル14dに入力して、車両20の予測舵角中心値を示す情報を生成する。第1予測部13は、例えば、現在の予約情報14aの確定後に、車両20の予測舵角中心値を予測する。言い換えると、車両20の予測舵角中心値は、現在の予約情報14aの確定後に予測される。また、第1予測部13は、例えば、現在の予約情報14aの取得後、当該予約情報14aに基づく走行が開始されるまでに車両20の予測舵角中心値を予測してもよい。予約情報14aに基づく走行が開始されるとは、乗客情報に対応する走行が開始されることとして、例えば、当該予約情報14aに含まれる「時刻」が到来し、「乗車位置」に乗客が座った状態で車両20が移動を開始することを意味する。なお、第1予測部13は、予測舵角中心値を示す情報を生成する生成部の一例であり、現在の予約情報14aは、予約内容に基づいて車両20による移動が行われていない予約情報14aであり、第1乗客情報の一例である。また、第1乗客情報は、第1搬送物情報の一例である。
【0051】
なお、第1予測部13は、例えば、予約内容に基づいて車両20による移動が開始される前に、予測舵角中心値を予測し、予測した予測舵角中心値を示す情報を車両20に出力してもよい。第1予測部13は、車両20の走行前にモデリング部12により生成されたモデル14dを用いて、予測舵角中心値を予測することで車両20が発車する前に当該予測舵角中心値を示す情報を車両20に出力することができる。なお、以降において、車両20が発車する前に予測することを、事前に予測するとも記載する。
【0052】
なお、第1予測部13は、予測舵角中心値を事前に予測することに限定されない。第1予測部13は、車両20の発車後に予測舵角中心値を予測し車両20に出力してもよい。この場合、第1予測部13は、車両20の発車直後に予測舵角中心値を予測し車両20に出力するとよい。
【0053】
第1予測部13は、予測した予測舵角中心値を、通信部11を介して車両20に出力する。
【0054】
情報管理部14は、通信部11を介して取得された各種情報、及び、第1予測部13が予測舵角中心値を予測するためのモデル14dなどを格納する。具体的には、情報管理部14は、予約情報14aと、車両情報14bと、走行情報14cと、モデル14dとを格納する。
【0055】
予約情報14aは、ユーザが車両20を予約したときの予約内容を含む。予約情報14aは、例えば、
図2に示すように、「車両ID」、「時刻」、「出発地」、「目的地」、及び、「乗車位置」を含む。
図2は、本実施の形態に係る予約情報14aの一例を示す図である。なお、
図2は、車両20が4人乗り車両である場合の予約情報14aを示す。
【0056】
「車両ID」は、ユーザが予約した車両20を特定するための識別情報である。「車両ID」は、車両20を特定するための数値・記号などであってもよいし、車種名であってもよい。
【0057】
「時刻」は、車両20を利用する日にち又は時刻を示す。
【0058】
「出発地」及び「目的地」は、乗客が車両20に乗車する位置及び降車する位置を示す。
【0059】
「乗車位置」は、車両20に乗車する乗客の車両20内の配置を示す。席A~席Dは、車両20内の席を示している。「車両ID」が002である場合を例に説明すると、乗客は全部で2人であり、具体的には、乗客であるユーザ1は席Dに座り、かつ、乗客であるユーザ2は席Bに座ることが予約されている。例えば、ユーザ1は、前部座席左側の席Dに座る乗客であり、ユーザ2は、後部座席左側の席Bに座る乗客である。また、「乗車位置」には、例えば、ユーザごとの重さを特定するための情報が含まれる。重さを特定するための情報は、ユーザの体重そのものであってもよいし、ユーザの年齢、性別など体重を推定可能な情報であってもよい。
【0060】
このように、予約情報14aは、車両20における乗客の配置と重さとを含む。なお、予約情報14aに乗客の重さが含まれない場合は、予め設定された乗客の重さが用いられてもよい。また、乗客の重さは、上述のような重さを特定するための情報を用いて算出されることにより、乗客情報として取得されてもよい。
【0061】
また、情報管理部14は、予測装置10が備える各処理部(例えば、モデリング部12及び第1予測部13)が実行するプログラム及びプログラムの実行に用いる情報等を格納していてもよい。プログラムの実行に用いる情報には、例えば、ベースモデルが含まれる。情報管理部14は、例えば、半導体メモリなどの記憶装置により実現される。
【0062】
車両情報14bは、車両20の重心位置を算出するための情報を含む。車両情報14bは、例えば、
図3に示すように、「車両ID」、「車重」、「車重重心から前輪車軸までの距離」、「車重重心から後輪車軸までの距離」、「車重重心から左輪中心までの距離」、及び、「車重重心から右輪中心までの距離」を含む。
図3は、本実施の形態に係る車両情報14bの一例を示す図である。
【0063】
「車両ID」は、ユーザが予約した車両20を特定するための識別情報である。車両情報14bにおける「車両ID」は、例えば、同一の車両20においては、予約情報14aにおける「車両ID」と同じIDが設定される。これにより、モデリング部12は、予約情報14aにより予約された車両20に適したモデル14dを生成するための情報を車両情報14bから取得することができる。
【0064】
「車重」は、車両20自体の重さを示す。つまり、「車重」は、人が乗車していないときの車両20の重さを示す。
【0065】
「車重重心から前輪車軸までの距離」は、人が乗車していないときの車両20の車重中心から前輪車軸までの距離を示す。「車重重心から後輪車軸までの距離」は、人が乗車していないときの車両20の車重中心から後輪車軸までの距離を示す。「車重重心から左輪中心までの距離」は、人が乗車していないときの車両20の車重中心から左輪中心までの距離を示す。「車重重心から右輪中心までの距離」は、人が乗車していないときの車両20の車重中心から右輪中心までの距離を示す。なお、左輪中心は、左側に配置されているタイヤを結ぶ直線であり、具体的には左前輪と左後輪とを含む直線である。右輪中心は、右側に配置されているタイヤを結ぶ直線であり、具体的には右前輪と右後輪とを含む直線である。
【0066】
なお、車両情報14bは、車両20の重心位置を示す情報を含んでいてもよい。
【0067】
車両情報14bは、例えば、通信部11を介して外部の装置から取得されてもよいし、車両20が車両情報14bを格納している場合は、車両20から取得されてもよい。
【0068】
走行情報14cは、予約情報14aに基づいて車両20が走行したときの車両20の走行履歴を示す情報を含む。走行情報14cは、例えば、車両20に搭載される各種センサのセンシング結果に基づいて生成される。走行情報14cは、例えば、
図4に示すように、「車両ID」、「時刻」、「車速」、「操舵角」、「舵角中心推定値」、及び、「直線走行判定結果」を含む。
図4は、本実施の形態に係る走行情報14cの一例を示す図である。
【0069】
「車両ID」は、センシング結果が取得された車両20を特定するための識別情報である。走行情報14cにおける「車両ID」は、例えば、予約情報14aにおける「車両ID」と同じIDが設定される。これにより、モデリング部12は、現在の予約情報14aにより予約された車両20に適したモデル14dを生成するための情報を走行情報14cから取得することができる。
【0070】
「時刻」は、車両20の走行中にセンサ部23によりセンシングされた時刻を示す。センサ部23は、例えば、1秒間隔でセンシングを行う例を示しているが、これに限定されない。また、センサ部23が有する各種センサのそれぞれが1秒間隔でセンシングを行う例を示しているが、これに限定されない。
【0071】
「車速」は、車両20の時刻ごとの速度を示す。「車速」は、例えば、車速センサ23cのセンシング結果である。
【0072】
「操舵角」は、車両20の時刻ごとの操舵角を示す。「操舵角」は、例えば、舵角センサ23bのセンシング結果である。
【0073】
「舵角中心推定値」は、車両20において時刻ごとに算出された舵角中心の推定値を示す。「舵角中心推定値」は、例えば、動的推定部22aの推定結果を示す。
【0074】
「直線走行判定結果」は、車両20の時刻ごとの、直進しているか否かの判定結果を示す。「直線走行判定結果」は、例えば、直進しているか否かの判定を行う判定部(
図1において図示しない)を情報処理システム1が備える場合に含まれる。なお、「直線走行判定結果」は、走行情報14cに含まれていなくてもよい。
【0075】
走行情報14cは、例えば、通信部11を介して車両20から取得される。走行情報14cは、予約情報14aに基づく車両20の走行中に逐次取得されてもよいし、予約情報14aに基づく車両20の走行後に取得されてもよい。走行情報14cは、当該走行情報14cを取得したときの予約情報14aと対応付けて格納される。言い換えると、情報管理部14は、予約情報14aと当該予約情報14aに基づく車両20の走行時に取得された走行情報14cとを紐付けて格納する。
【0076】
図1を再び参照して、モデル14dは、モデリング部12により生成された、車両20の予測舵角中心値を予測するための数理モデルである。モデル14dは、例えば、車両20ごとに生成されてもよい。この場合、情報管理部14は、車両IDと、当該車両IDに対応する車両20に適したモデル14dとを対応付けて格納してもよい。これにより、第1予測部13は、予約情報14aに含まれる車両IDから当該車両IDに応じたモデル14dを情報管理部14から取得することができる。
【0077】
車両20は、ユーザが乗車する移動体の一例である。車両20は、運転者の操作を必要とせずに、車両の運転を制御する自動運転車が想定される。しかし、車両20は、自動運転又は手動運転の何れかに切り替えて走行することが可能な車両であってもよく、手動運転のみが可能な車両であってもよい。手動運転のみが可能な車両の場合は、予測舵角中心値は、手動運転をサポートする運転支援処理に利用される。
【0078】
車両20は、通信部21と、車両制御部22と、センサ部23とを有する。
【0079】
通信部21は、車両20が予測装置10と通信する。通信部11は、例えば通信回路(通信モジュール)により実現される。通信部21は、ネットワーク(図示しない)を介して予測舵角中心値を予測装置10から取得し、センサ部23のセンシング結果などを予測装置10に出力する。
【0080】
車両制御部22は、車両20の走行を制御する。本実施の形態では、車両制御部22は、予測装置10から取得した予測舵角中心値に基づいて、車両20の操舵を制御する。車両制御部22は、動的推定部22aと操舵制御部22bとを有する。なお、車両制御部22は、操舵以外に加速及び減速等も制御する。
【0081】
動的推定部22aは、車両20の走行中の舵角中心値を推定する。言い換えると、動的推定部22aは、舵角中心推定値を生成する。動的推定部22aは、予測装置10から取得した予測舵角中心値を車両20の舵角中心値として設定する。動的推定部22aは、例えば、当該予測舵角中心値を走行前の車両20の舵角中心の初期値として設定し、車両20の走行中の舵角中心値を推定する。動的推定部22aは、例えば、カルマンフィルタ処理により車両20の走行中の舵角中心値を推定する。舵角中心値は、基準値との差分などの相対値で表現されてもよく、絶対値として表現されてもよい。動的推定部22aの処理については、後述する。なお、動的推定部22aは、設定部の一例である。
【0082】
操舵制御部22bは、動的推定部22aの推定結果に基づいて、車両20の操舵を制御する。操舵制御部22bは、例えば、動的推定部22aの推定結果に基づいて、操舵用モータを駆動させることで、車体に対する車輪(例えば、前輪)の角度を変化させる。操舵制御部22bは、さらに、アクセルの踏み込み度合い、ブレーキの踏み込み度合い、車速、角速度などに基づいて、車輪の角度を変化させる。
【0083】
また、車両制御部22は、センサ部23から取得した検出結果を、通信部21を介して予測装置10に出力してもよい。
【0084】
センサ部23は、車両20の走行状態を検出する。センサ部23は、走行中の車両20の状態を検出可能な1以上のセンサを有しており、例えば、ジャイロセンサ23aと、舵角センサ23bと、車速センサ23cとを有する。
【0085】
ジャイロセンサ23aは、少なくとも鉛直軸周り(ヨー方向であり、例えば、後述する
図7AのZ軸方向周り)の回転に応じた角速度、すなわち車両20の左右方向への回転(旋回)に応じた角速度を検出するセンサである。ジャイロセンサ23aは、例えば、車両20の異なる方向を軸とした3軸であって鉛直軸を含む3軸周りそれぞれの回転における角速度を検出するセンサであってもよい。
【0086】
舵角センサ23bは、ステアリング角を検出するセンサである。
【0087】
車速センサ23cは、車両20の車速を検出するセンサである。車速センサ23cは、例えば、車軸の単位時間当たりの回転数を検出し、検出した回転数に基づいて車両20の車速を取得してもよい。
【0088】
センサ部23が有する各種センサは、検出した検出結果を車両制御部22に出力する。なお、各種センサは、同期して検出を行ってもよいし、センサごとに所定時間間隔ごとに検出を行ってもよい。
【0089】
また、センサ部23は、車両20の走行状態を検出するための上記以外のセンサを有していてもよい。センサ部23は、例えば、車両20の内外を撮影するカメラ、車両20の加速度を検出する加速度センサ、車両20の位置を検出するGPS(Global Positioning System)受信部などを有していてもよい。
【0090】
上記のように、本実施の形態に係る情報処理システム1は、過去の予約情報14a等を用いて車両20の予測舵角中心値を予測するためのモデル14dを生成するモデリング部12と、モデリング部12が生成したモデル14dと、現在の予約情報14a及び車両情報14bとを用いて車両20の予測舵角中心値を予測する第1予測部13と、予測した予測舵角中心値を車両20に出力する通信部11とを備える。
【0091】
これにより、情報処理システム1は、過去の予約情報14a等を用いて生成されたモデル14dを用いて、予測舵角中心値を生成することができる。そして、予測舵角中心値が通信部11を介して車両20に出力されることで、車両20は、取得した予測舵角中心値を用いて舵角中心値を推定することができる。車両20は、例えば、走行中に検出された操舵角を蓄積しなくても予測舵角中心値を用いて舵角中心値を推定することができる。よって、情報処理方法によれば、車両20の舵角中心を推定するまでの時間を短縮することができる。
【0092】
また、車両20の動的推定部22aは、例えば、予測舵角中心値を自車両の第1乗客情報に対応する走行における、走行前の舵角中心の初期値として設定してもよい。
【0093】
これにより、動的推定部22aは、自車両の走行開始前に舵角中心値を予測することができるので、発車直後の運行車速を向上させることができる。例えば、動的推定部22aは、発車直後からリアルタイムに舵角中心を推定することができる。
【0094】
[2.情報処理システムの動作]
次に、上記のような情報処理システム1の動作について、
図5~
図10を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係る情報処理システム1の動作を示すフローチャートである。
【0095】
図5に示すように、情報処理システム1は、まずモデリング処理を行う(S10)。モデリング処理は、車両20の予測舵角中心値を予測するモデル14dを生成するための処理である。そして、情報処理システム1は、予約情報14aが確定すると、予測処理を行う(S20)。予測処理は、現在の予約情報14aが取得された後に実行される処理であり、モデル14dと、現在の予約情報14a、及び、車両情報14bとを用いて、車両20の予測舵角中心値を予測する処理である。例えば、予約処理は、モデル14dと、ユーザの乗車位置及び重さと、車両20の重さとを用いて、車両20の予測舵角中心値を予測する。そして、情報処理システム1は、予測舵角中心値が予測された後、車両20が走行を開始すると、動的推定処理を行う(S30)。動的推定処理は、例えば、ステップS20で予測された予測舵角中心値を初期値として、走行中の車両20の舵角中心値を推定する処理である。動的推定処理では、例えば、車両20が走行している間、繰り返し舵角中心値が推定される。
【0096】
なお、ステップS20の処理が行われるタイミングは、例えば、モデリング処理が行われた後、予約情報14aに基づく走行が行われるまでの間であれは特に限定されない。
【0097】
次に、モデリング処理、予測処理、及び、動的推定処理について、
図6~
図10を参照しながら説明する。まずは、モデリング処理について、
図6~
図7Cを参照しながら説明する。
図6は、本実施の形態に係るモデリング処理(S10)の詳細を示すフローチャートである。
図6に示す処理は、例えば、モデリング部12により実行される。
【0098】
図6に示すように、モデリング処理(S10)では、モデリング部12は、情報管理部14から各種データを読み込む(S11)。モデリング部12は、例えば、過去の予約情報14a、車両情報14b、及び、走行情報14cを情報管理部14から読み出す。
【0099】
次に、モデリング部12は、読み出した各種データのサンプル数が第1閾値より多いか否かを判定する(S12)。モデリング部12は、ステップS12において、モデル14dを生成できる程度のサンプル数のデータがあるか否かを判定する。第1閾値は、モデリング部12がモデル14dを生成できるサンプル数であれば、特に限定されない。サンプル数は、それぞれが紐付けられた予約情報14a及び走行情報14cを1セットとすると、1つの車両IDに対する予約情報14a及び走行情報14cのセット数として定義されてもよい。また、サンプル数は、1つの車両IDに対する走行情報14cが取得された累計時間であってもよい。モデリング部12は、走行情報14cが取得された累計時間が所定時間よりも多い場合、サンプル数が第1閾値より多いと判定してもよい。モデリング部12は、ステップS12の判定を行うことで、様々なケースの走行情報14cを用いてモデル14dを生成することができる。
【0100】
モデリング部12は、サンプル数が第1閾値より多いと判定する(S12でYes)と、重心位置を算出する(S13)。モデリング部12は、過去の予約情報14aと、車両情報14bとを用いて、乗客が乗車した状態の車両20(以下、乗車時の車両20)の重心位置を算出する。具体的には、モデリング部12は、乗客の乗車位置及び重さと、車両20の重心位置及び重さとを用いて、乗車時の車両20の重心位置を算出する。
【0101】
ここで、乗車時の車両20の重心位置の算出について、
図7A~
図7Cを参照しながら説明する。
図7Aは、乗車時の車両20の重心位置の算出を説明するための第1図であり、車両20を上方から見たときの模式図である。
図7Bは、乗車時の車両20の重心位置の算出を説明するための第2図であり、車両20を後方から見たときの模式図である。
図7Cは、乗車時の車両20の重心位置の算出を説明するための第3図であり、車両20を側方から見たときの模式図である。
【0102】
図7A~
図7Cでは、車両20の、前輪24a及び24bと後輪24c及び24dとを図示している。Y軸が車両20の前後方向であり、X軸が車両20の左右方向であり、Z軸が車両20の高さ方向を示している。
【0103】
また、
図7A~
図7Cを用いて、前部座席及び後部座席の左側に乗客が乗車しているときの車両20の重心位置を算出する場合について説明する。車両中心w1は、人が乗車していない状態での車両20の重心位置を示す。乗客重心w2は、前部座席左側に乗車している乗客(例えば、
図2に示すユーザ1)の重心位置を示す。乗客重心w3は、後部座席左側に乗車している乗客(例えば、
図2に示すユーザ2)の重心位置を示す。
【0104】
図7A~
図7Cに示すように、乗客重心w2、乗客重心w3はそれぞれ、車両中心w1を原点としたXY平面において、(lx2,ly2)、(lx3,ly3)と表現される。
【0105】
また、車両20の重量をm1、前部座席左側に乗車している乗客の重さ(重量)をm2、後部座席左側に乗車している乗客の重さ(重量)をm3とすると、2人の乗客が乗車時の車両20の重心位置(lx,ly)は、以下の式1及び式2により算出される。
【0106】
lx=(lx2×m2+lx3×m3)/(m1+m2+m3) (式1)
ly=(ly2×m2+ly3×m3)/(m1+m2+m3) (式2)
【0107】
モデリング部12は、車両20における過去の予約情報14aごとに、式1及び式2を用いて、上記の重心位置(lx,ly)を算出する。これにより、例えば、同じ車両IDの車両20において、複数の重心位置(lx,ly)が算出される。
【0108】
図6を再び参照して、モデリング部12は、算出した重心位置(lx,ly)及び取得した舵角中心推定値を用いて回帰分析処理を行うことでモデル14dを生成する(S14)。モデリング部12は、算出した重心位置lxをx軸、重心位置lyをy軸、そのときの舵角中心値δをz軸として、xyz座標上に複数の点(点群)をプロットし、最小二乗法を用いて、平面フィッティングを行うことで、以下の式3の係数であるa、b、cを算出する。つまり、重心位置lx、lyと舵角中心値δとがモデル14dを生成するための入力情報として用いられる。
【0109】
a×lx+b×ly+c=δ (式3)
【0110】
舵角中心値δには、例えば、走行情報14cの舵角中心推定値の値を用いる。これにより、モデリング部12は、例えば、車両IDごとに当該車両IDの車両20に適した係数a、b、cを算出することができる。このように回帰分析(例えば、線形回帰分析)により係数a、b、cを算出することは、モデル14dを生成することの一例である。また、式3は、事前に定義されたベースモデルの一例である。ステップS14は、モデル14dを生成するステップであり、事前定義されたベースモデルを用いてモデル14dが生成される。
【0111】
このように、モデル14dは、例えば、過去の予約情報14aと車両情報14bとから算出された車両20の重心位置(lx,ly)、舵角中心推定値、及び、ベースモデルを用いて生成される。
【0112】
次に、モデリング部12は、回帰分析が収束するか否かを判定する(S15)。モデリング部12は、例えば、最小二乗法の誤差が一定値以下であるか否かを判定することで、回帰分析が収束するか否かを判定する。例えば、モデリング部12は、点群の各々と係数a、b、cで規定される平面との距離の2条を合計した値が所定値以下であるか否かを判定する。所定値は、予め設定される。
【0113】
モデリング部12は、回帰分析が収束する場合(S15でYes)、ステップS14で生成したモデル14dを情報管理部14に格納する(S16)。言い換えると、モデリング部12は、式3に示す係数a、b、cを情報管理部14に格納する。
【0114】
また、モデリング部12は、サンプル数が第1閾値以下である場合(S12でNo)、及び、回帰分析が収束しない場合(S15でNo)、ステップS11に戻り処理を継続する。
【0115】
なお、モデリング部12による係数a、b、cを算出する方法は、最小二乗法を用いることに限定されず、既存のいかなる方法が用いられてもよい。また、ベースモデルは、式3に示すモデルに限定されず、回帰分析に用いられるいかなるモデルが用いられてもよい。
【0116】
続いて、予測処理について、
図8を参照しながら説明する。
図8は、本実施の形態に係る予測処理(S20)の詳細を示すフローチャートである。
図8に示す処理は、例えば、第1予測部13により実行される。
図8に示す処理は、現在の予約情報14aが通信部11を介して取得された後に実行される。
【0117】
図8に示すように、予測処理(S20)では、第1予測部13は、情報管理部14からモデル14dを読み込み(S21)、モデル14dが存在するか否かを判定する(S22)。第1予測部13は、例えば、車両20に適したモデル14dが存在するか否かを判定する。具体的には、第1予測部13は、例えば、所定の車両IDの車両20のモデル14dが存在するか否かを判定する。所定の車両IDは、例えば、通信部11を介して取得された現在の予約情報14aに含まれる車両IDである。つまり、所定の車両IDは、これから予測舵角中心値を予測する対象となる車両20の車両IDである。
【0118】
第1予測部13は、モデル14dが存在すると(S22でYes)、当該モデル14dを情報管理部14から読み出す。具体的には、ベースモデルである式3における係数a、b、cを情報管理部14から読み出す。
【0119】
次に、第1予測部13は、予約情報14aを読み込む(S23)。第1予測部13は、例えば、現在の予約情報14aを情報管理部14から読み出す。ステップS23は、車両20における乗客の配置と乗客の重さとを取得するために行われる。ステップS23は、第1乗客情報を取得することの一例である。
【0120】
次に、第1予測部13は、車両情報14bを読み込む(S24)。第1予測部13は、例えば、現在の予約情報14aに含まれる車両IDの車両情報14bを情報管理部14から読み出す。ステップS24は、車両20の重さを取得するために行われる。ステップS24は、車両20の重さを取得することの一例である。
【0121】
次に、第1予測部13は、読み出したモデル14dを用いて、車両20の予測舵角中心値を予測する(S25)。第1予測部13は、現在の予約情報14aと式1及び2とに基づいて、重心位置(lx,ly)を算出し、算出した重心位置(lx,ly)を式3に代入する。これにより、舵角中心値δが算出される。ステップS25で算出される舵角中心値δは、予測舵角中心値の一例である。また、ステップS25は、予測舵角中心値を生成することの一例である。
【0122】
次に、第1予測部13は、ステップS25で予測した予測舵角中心値が所定範囲内であるか否かを判定する(S26)。所定範囲は、例えば、予測舵角中心値が現実的に取り得る値の範囲内であるか否かを判定できる範囲であればよく、予め設定される。第1予測部13は、予測舵角中心値が所定範囲内である場合(S26でYes)、予測した予測舵角中心値を車両20に出力する(S27)。第1予測部13は、例えば、現在の予約情報14aに含まれる車両IDで特定される車両20にステップS25で予測した操舵中心の予測舵角中心値を出力する。ステップS27は、予測舵角中心値を示す情報を車両20へ出力することの一例である。
【0123】
また、第1予測部13は、モデル14dが存在しない場合(S22でNo)、及び、予測舵角中心値が所定範囲外である場合(S26でNo)、ステップS21に戻り処理を継続する。
【0124】
なお、第1予測部13は、現在の予約情報14aにおける車両20の走行が行われる前に予測処理(S20)を実行するとよい。第1予測部13は、例えば、現在の予約情報14aの「時刻」に基づいて、当該「時刻」を経過する前に予測処理(S20)を実行してもよい。
【0125】
続いて、動的推定処理について、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9は、本実施の形態に係る動的推定処理(S30)の詳細を示すフローチャートである。
図9に示す処理は、例えば、車両20の動的推定部22aにより実行される。
図9に示す処理は、車両20が予測装置10から予測舵角中心値を取得した後に実行される。
【0126】
図9に示すように、動的推定処理(S30)では、動的推定部22aは、予測装置10から取得し車両20が備える記憶装置(図示しない)に記憶されている操舵中心の予測舵角中心値を当該記憶装置から読み込み(S31)、予測舵角中心値が存在するか否かを判定する(S32)。動的推定部22aは、予測舵角中心値が存在する場合(S32でYes)、予測舵角中心値を読み出し、読み出した予測舵角中心値を動的推定処理の初期値として設定する(S33)。動的推定部22aは、予測舵角中心値が複数存在する場合、最新の予測舵角中心値を動的推定処理の初期値として設定する。また、動的推定部22aは、予測舵角中心値が存在しない場合(S32でNo)、ステップS31に戻り処理を継続する。
【0127】
次に、動的推定部22aは、各種センサの検出結果から車両20が走行開始したか否かを判定する(S34)。動的推定部22aは、例えば、車速センサ23cの検出結果から車両20が走行開始したか否かを判定する。そして、動的推定部22aは、車両20が走行開始した場合(S34でYes)、車両20の走行中の舵角中心値をリアルタイムで推定するために、カルマンフィルタの動作を開始する(S35)。つまり、動的推定部22aは、カルマンフィルタを用いた推定処理により、自車両の走行中の舵角中心値を推定する。カルマンフィルタの動作については、後述する。また、動的推定部22aは、車両20が走行開始していない場合(S34でNo)、ステップS34に戻り処理を継続する。
【0128】
次に、動的推定部22aは、推定分散(分散値)が第2閾値より小さいか否かを判定する(S36)。動的推定部22aは、カルマンフィルタを用いて推定した舵角中心値の分散(分散値)を算出し、算出した分散値が第2閾値より小さいか否かを判定する。当該分散値は、後述する式13により算出される分散値Pに対応する。そして、動的推定部22aは、分散値Pが第2閾値より小さい場合(S36でYes)、推定した舵角中心値を操舵制御に反映する(S37)。具体的には、動的推定部22aは、推定した舵角中心値を操舵制御部22bに出力する。操舵制御部22bは、動的推定部22aが推定した舵角中心値を用いて、自車両の舵角の制御を行う。
【0129】
ここで、カルマンフィルタの動作などについては、
図10を参照しながら説明する。
図10は、本実施の形態に係る拡張カルマンフィルタの動作を説明するための図である。なお、本実施の形態に係る拡張カルマンフィルタは、操舵角のバイアス(舵角バイアスδb)を推定するフィルタである。
【0130】
図10に示すように、動的推定部22aは、例えば、第2予測部22a1と、観測更新部22a2と、演算部22a3とを有する。
【0131】
第2予測部22a1は、舵角センサ23bからの舵角δと車速センサ23cからの進行方向の車速vxとに基づいて、車両20の状態を予測する。第2予測部22a1は、例えば、予測値を
【数1】
、車両20の状態をxとすると、以下の式4を用いて予測を行う。
【0132】
【0133】
なお、本実施の形態では、制御入力がないので、式4において制御入力の項を省略している。式4に示すように、本実施の形態では、制御入力の項がないので、単純な計算で次の情報を予測することができる。
【0134】
ここで、予測値
【数3】
を予測する予測モデルは、以下の式5で表され、状態xは、以下の式6で表される。
【0135】
【数4】
は車両20の加速度を示し、δは舵角センサ23bが検出した舵角を示し、δbは舵角バイアスを示す。例えば、予測装置10の第1予測部13により予測された予測舵角中心値が舵角バイアスδbの初期値として用いられる。
【0136】
【0137】
なお、ヨーレートをγとすると、観測値zは、以下の式7により算出される。
【0138】
【0139】
また、第2予測部22a1は、合わせて式7に示す分散値(推定分散値)
【数8】
を算出する。具体的には、分散値
【数9】
は、予測モデルのヤコビアンをF、分散値をP、プロセスノイズをQとすると、以下の式8により算出される。
【0140】
【0141】
ここで、予測モデルのヤコビアンFは、例えば、以下の式9により規定される。
【0142】
【0143】
また、分散値Pは、例えば観測更新部22a2により逐次更新される。プロセスノイズQは、予め取得されている。
【0144】
第2予測部22a1は、予測した状態
【数12】
及び分散値
【数13】
を観測更新部22a2に出力する。
【0145】
観測更新部22a2は、取得した状態
【数14】
及び分散値
【数15】
を用いて、カルマンゲインKを算出する。観測更新部22a2は、例えば、以下の式10を用いて、カルマンゲインKを算出する。
【0146】
【0147】
ここで、Rは、観測誤差の分散値である。また、Hは観測モデル(後述する
【数17】
)のヤコビアンであり、例えば、以下の式11により規定される。
【0148】
【0149】
ここで、Lは、前輪の車軸と後輪の車軸との間の長さL(
図7Aを参照)である。
【0150】
次に、観測更新部22a2は、観測値zを用いて、状態x及び分散値Pを更新する。推定値xは、以下の式12により算出され、分散値Pは以下の式13により算出される。
【0151】
【0152】
ここで、h(x)は観測モデルであり、以下の式14により算出される。
【0153】
【0154】
また、式14の3行目の数式は、舵角δとヨーレートγとの関係に基づく数式であり、観測モデルh(x)とヨーレートγとを結びつける。
【0155】
また、式12に示す
【数22】
の計算は、予測値と実際のヨーレートγとの差分を推定することに相当する。
【0156】
そして、演算部22a3は、舵角δと舵角バイアスδbとを演算することで、舵角中心値を推定し推定した舵角中心値を操舵制御部22bに出力する。演算は、例えば、加算であるが、重み付け加算などであってもよい。また、演算は、減算、乗算、除算などであってもよい。
【0157】
また、第2予測部22a1は、観測更新部22a2が推定した推定値x及び分散値Pをもとに、次の時刻における予測を行う。このような処理が繰り返し実行される。
【0158】
(実施の形態の変形例1)
以下、本変形例に係る情報処理システム1aついて、
図11及び
図12を参照しながら説明する。
図11は、本変形例に係る情報処理システム1aの機能構成を示すブロック図である。本変形例に係る情報処理システム1aは、主に、予測装置10aが検出部115を有する点、及び、車両20aのセンサ部123が人検出センサ123dを有する点において、実施の形態に係る情報処理システム1と相違する。以下、本変形例に係る情報処理システム1aについて、実施の形態に係る情報処理システム1との相違点を中心に説明する。また、本変形例において、実施の形態に係る情報処理システム1と同一または類似の構成については、情報処理システム1と同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0159】
図11に示すように、情報処理システム1aは、予測装置10aと、車両20aとを有する。予測装置10aは、実施の形態の予測装置10に加えて検出部115を有する。また、車両20aは、実施の形態のセンサ部23に替えて、人検出センサ123dを有するセンサ部123を有する。実施の形態では、現在の予約情報14aを用いて予測舵角中心値を予測したが、実際に当該予約情報14aに基づく移動を行う場合に、当該予約情報14aの乗車位置通りに乗客が着座しないことがある。そこで、本変形例では、情報処理システム1aは、実際に当該予約情報14aに基づく移動を行うときに、実際の乗客の乗車位置に応じて予測舵角中心値を予測する。
【0160】
人検出センサ123dは、車両20に乗車した乗客を検出する。人検出センサ123dは、車両20に乗車した乗客の位置を検出することができれば特に限定されないが、例えば、重量センサ、撮像センサなどにより実現される。本変形例では、人検出センサ123dは、各座席に設けられた圧力センサである。人検出センサ123dは、検出した圧力値を、通信部21を介して予測装置10aに出力する。圧力値は、出力データの一例である。また、人検出センサ123dは、車両20に乗せられた搬送物を検出する搬送物検出センサの一例である。
【0161】
検出部115は、車両20aから取得した出力データを用いて、乗客の配置を生成する。具体的には、検出部115は、車両20aから取得した圧力値に基づいて、車両20aの座席のそれぞれについて乗客が着座しているか否かを判定する。また、検出部115は、車両20aから取得した出力データを用いて、乗客の重さを生成する。具体的には、検出部115は、車両20aから取得した圧力値に基づいて、車両20aの座席のそれぞれについて着座している乗客の重さを算出する。なお、人検出センサ123dがカメラである場合、検出部115は、画像解析により乗客が着座しているか否かを判定してもよい。
【0162】
第1予測部13は、現在の予約情報14aと検出部115の判定結果とに差異がある場合、つまり当該予約情報14aの乗車位置と実際の乗車位置とが異なる場合、再度予測舵角中心値の予測を行う。第1予測部13は、予測舵角中心値を変更するとも言える。
【0163】
なお、第1予測部13は、人検出センサ123dから圧力値を取得する場合、現在の予約情報14aを用いて予測舵角中心値を推定する処理を行わなくてもよい。第1予測部13は、検出部115の判定結果を第1乗客情報として、予測舵角中心値を推定してもよい。言い換えると、第1乗客情報は、車両20に備えられる人検出センサ123dの出力データを用いて生成されてもよい。
【0164】
以上のように、本変形例に係る情報処理システム1aは、人検出センサ123dを有する車両20aと、人検出センサ123dの検出結果に基づいて乗客を検出する検出部115とを有する。そして、第1予測部13は、検出部115の判定結果を用いて予測舵角中心値を予測する。
【0165】
これにより、情報処理システム1aは、車両20における実際の乗車位置に応じた予測舵角中心値を予測することができる。情報処理システム1aは、例えば、現在の予約情報14aが取得できていない、又は、現在の予約情報14aに座席の情報が含まれていない場合であっても、予測舵角中心値を予測することができる。
【0166】
次に、上記のような情報処理システム1aの動作について、
図12を参照しながら説明する。
図12は、本変形例に係る情報処理システム1aの動作を示すフローチャートである。
図12に示す処理は、例えば、
図5に示すステップS20とステップS30との間に行われるが、例えば、ステップS23の替わりに実行されてもよい。また、
図12では、予測装置10aは、人検出センサ123dから圧力値を取得し、情報管理部14に当該圧力値が記憶されているものとする。
【0167】
図12に示すように、検出部115は、情報管理部14から圧力値を読み込み(S41)、圧力値が第3閾値より大きいか否かを判定する(S42)。第3閾値は、座席に乗客が着座していることが判定できる値であればよい。検出部115は、圧力値が第3閾値より大きい場合(S42でYes)、その座席には人(乗客)が着座しているとして車両20内の着座情報を更新する(S43)。また、検出部115は、圧力値が第3閾値以下である場合(S42でNo)、その座席には人(乗客)が着座していないとして着座情報を更新する(S44)。
【0168】
次に、検出部115は、全席においてステップS42の判定をしたか否かを判定する(S45)。検出部115は、全席においてステップS42の判定を行った場合(S45でYes)、ステップS46に進み、全席においてステップS42の判定を行っていない場合(S45でNo)、ステップS41に戻り次に座席に対する処理を行う。
【0169】
検出部115は、現在の予約情報14aが存在する場合は、現在の予約情報14aの乗車位置と着座情報に基づく実際の乗車位置とに相違があるか否かを判定する(S46)。乗車位置に相違があるとは、乗車位置が異なること、乗車人数が異なることなどが挙げられる。また、人検出センサ123dがカメラであり、検出部115が画像解析から乗車する人を特定する場合、検出部115は、特定された人が現在の予約情報14aに含まれる人であるか否かを判定してもよい。検出部115は、判定結果を第1予測部13に出力する。
【0170】
第1予測部13は、現在の予約情報14aの乗車位置と着座情報に基づく実際の乗車位置とに相違があることを示す判定結果を取得すると、着座情報を用いて、予測舵角中心値の予測を再度行う(S47)。つまり、第1予測部13は、実際の乗客の乗車位置を用いて、予測舵角中心値の予測を行う。予測舵角中心値の予測の処理は、予測処理(S20)と同様であり説明を省略する。第1予測部13は、再度予測した予測舵角中心値を車両20aに出力する。なお、現在の予約情報14aが存在しない場合は、ステップS46の処理なしに、ステップS47の処理が実行される。
【0171】
これにより、車両20aは、実際の乗車状況(例えば、乗車位置)に応じた予測舵角中心値を取得することができるので、実際の乗車状況に応じた舵角の制御を行うことができる。
【0172】
なお、本変形例では、現在の予約情報14aを用いて予測舵角中心値を予測した上でさらに、人検出センサ123dの出力データに応じて予測舵角中心値を変更する例について説明したが、これに限定されない。予測装置10aは、人検出センサ123dの出力データを取得する場合、現在の予約情報14aを用いて予測舵角中心値を予測しなくてもよい。言い換えると、予測装置10aは、人検出センサ123dの出力データを用いて、予測舵角中心値を予測してもよい。
【0173】
(実施の形態の変形例2)
以下、本変形例に係る情報処理システム1bついて、
図13~
図16を参照しながら説明する。
図13は、本変形例に係る情報処理システム1bの機能構成を示すブロック図である。本変形例に係る情報処理システム1bは、主に、予測装置10bのモデリング部212が機械学習モデルを生成する点において、実施の形態に係る情報処理システム1と相違する。以下、本変形例に係る情報処理システム1bについて、実施の形態に係る情報処理システム1との相違点を中心に説明する。また、本変形例において、実施の形態に係る情報処理システム1と同一または類似の構成については、情報処理システム1と同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0174】
図13に示すように、情報処理システム1bは、予測装置10bと車両20とを備える。予測装置10bは、通信部11と、モデリング部212と、第1予測部13と、情報管理部214とを有する。
【0175】
モデリング部212は、機械学習モデルであるモデル214dを生成する。モデリング部212は、乗客の配置及び重さと車両20の重さとを入力とし、そのときの予測舵角中心値を出力するモデル214dを生成する。モデル214dは、例えば、ニューラルネットワーク型の学習モデルであるが、これに限定されない。
【0176】
第1予測部13は、現在の予約情報14aを取得すると、モデル214dを読み込み、読み込んだモデル214dに当該予約情報14aに含まれる乗客の配置及び重さと車両20の重さとを入力することで得られる予測舵角中心値を車両20に出力する。
【0177】
情報管理部214は、実施の形態の情報管理部14に加えて、モデル214dを生成するための各種情報をさらに格納する。情報管理部214は、例えば、さらにユーザ情報214e及び環境情報214fを格納する。
【0178】
ユーザ情報214eは、乗客の属性情報を含む。ユーザ情報214eは、例えば、
図14に示す「名前」、「ID」、「性別」、「年齢」、及び、「出身地」を含む。
図14は、本変形例に係るユーザ情報214eの一例を示す図である。なお、「性別」、「年齢」、及び、「出身地」は、乗客の属性情報の一例である。例えば、乗客の属性情報は、乗客の身体的特徴に関係する可能性がある情報を含む。
【0179】
「名前」は、乗客の名前を示し、例えば、呼称であってもよい。
【0180】
「ID」は、乗客を識別するための識別情報であり、例えば、乗客ごとに設定された識別番号である。
【0181】
「性別」は、乗客の性別を示す。
【0182】
「年齢」は、乗客の年齢を示す。「年齢」は、具体的な数値であってもよいし、年代であってもよい。
【0183】
「出身地」は、乗客の出身地を示す。
【0184】
ユーザ情報214eでは、例えば、複数の車両20の各々(
図14中では、車両1~車両4の各々)に上記項目が設定される。「車両1」を例に説明すると、Aさん、Fさん、Nさんのそれぞれにおいて、上記項目の情報が格納されている。Aさん、Fさん、Nさんは、過去に「車両1」に乗車した又は「車両1」を予約した人であってもよいし、これから予約する予定の人であってもよい。このような情報は、事前に登録される。
【0185】
また、ユーザ情報214eは、さらに乗客の体重を推定するための他の情報を含んでいてもよい。ユーザ情報214eは、例えば、身長を含んでいてもよいし、体型を含んでいてもよいし、体重そのものを含んでいてもよい。
【0186】
環境情報214fは、車両20の外部の環境に関する情報を含む。環境情報214fは、例えば、
図15に示すように、「気温」、「湿度」、「路面状況」、「風向」、及び、「風速」を含む。
図15は、本変形例に係る環境情報214fの一例を示す図である。
【0187】
「気温」及び「湿度」は、車両20が走行する周囲の気温及び湿度を示す。
【0188】
「路面状況」は、車両20が走行する路面の状況を示す。
【0189】
「風向」及び「風速」は、車両20が走行する周囲の風向及び風速を示す。
【0190】
予測装置10bは、現在の予約情報14aにおける「出発地」及び「目的地」から計画される走行経路を取得すると、当該走行経路周辺の環境情報を、環境情報を管理するサーバ装置などから取得してもよい。なお、環境情報214fは、外部環境情報の一例である。
【0191】
以上のように、本変形例に係る情報処理システム1bは、機械学習によりモデル214dを生成するモデリング部212を有する。
【0192】
これにより、情報処理システム1bは、最小二乗法の代わりに機械学習モデル(モデル214d)を用いることで、より精度よく予測舵角中心値を予測することができる。情報処理システム1bは、機械学習モデルを生成する際に、ユーザ情報214e及び環境情報214fを用いることで、さらに精度よく予測舵角中心値を予測することができるモデル214dを生成することができる。また、情報処理システム1bは、機械学習モデルの車両20に対する依存を低減するため、機械学習モデルで車両20の重心位置を推定し、重心位置と舵角中心値との関係を最小二乗法を用いて算出してもよい。
【0193】
次に、上記のような情報処理システム1bの動作について、
図16を参照しながら説明する。
図16は、本変形例に係る情報処理システム1bの動作を示すフローチャートである。
図16に示す処理は、モデリング処理(S10a)であり、例えば、
図4に示すステップS10の替わりにステップS10aが実行される。
【0194】
図16に示すように、モデリング部212は、情報管理部214からモデル214dを生成するための各種データを読み込む(S51)。モデリング部212は、例えば、過去の予約情報14a、車両情報14b、走行情報14c、ユーザ情報214e、及び、環境情報214fの少なくとも1つを、モデル214dを生成するための訓練用データとして読み出す。例えば、訓練用データは、乗客のユーザ情報214eを含んでいてもよい。つまり、訓練用データは、乗客の属性情報を含んでいてもよい。また、例えば、訓練用データは、車両20の外部の環境情報214fを含んでいてもよい。モデリング部212は、例えば、過去の予約情報14a、車両情報14b、走行情報14c、ユーザ情報214e、及び、環境情報214fの全てを訓練用データとして読み出してもよい。
【0195】
次に、モデリング部212は、読み出した各種データのサンプル数が第4閾値より多いか否かを判定する(S52)。モデリング部212は、ステップS52において、モデル214dを生成できる程度のサンプル数のデータがあるか否かを判定する。第4閾値は、モデリング部212がモデル214dを生成できるサンプル数であれば、特に限定されない。モデリング部212は、ステップS52の判定を行うことで、様々なケースの各種データを用いてモデル214dを生成することができる。
【0196】
モデリング部212は、サンプル数が第4閾値より多い場合(S52でYes)、舵角中心の推定値を算出する(S53)。ステップS53の処理は、ステップS13の処理と同様であり説明を省略する。また、モデリング部212は、サンプル数が第4閾値以下である場合(S52でNo)、ステップS51に戻り処理を継続する。
【0197】
モデリング部212によるモデル214dの構築には、種々の方法を用いることができる。本実施の形態では、モデリング部212は、複数の弱学習器を組み合わせてモデル214dを構築するアンサンブル学習法であって、1つの弱学習器の学習結果を参考にして次の弱学習器を学習しつつ、損失関数の勾配を利用した勾配ブースティング法によって、モデル214dを構築する(S54及びS55)。損失関数は、予測値と、正しい値(言い換えるとリファレンス値)との差分を出力する関数である。
【0198】
なお、モデル214dの構築は、上記の方法に限定されず、例えば、バンキングなどのアンサンブル学習であってもよいし、その他であってもよい。
【0199】
このように、モデル214dは、例えば、過去の予約情報14aと車両情報14bとを訓練データとし、舵角中心値をリファレンスデータとして機械学習を用いて生成される。
【0200】
次に、モデリング部212は、生成したモデル214dが収束するか否かを判定する(S56)。モデリング部212は、モデル214dが収束する場合(S56でYes)、生成したモデル214dを情報管理部214に格納する(S57)。また、モデリング部212は、モデル214dが収束しない場合(S56でNo)、ステップS51に戻り処理を継続する。
【0201】
(実施の形態の変形例3)
以下、本変形例に係る情報処理システム1cついて、
図17~
図19を参照しながら説明する。
図17は、本変形例に係る情報処理システム1cの機能構成を示すブロック図である。本変形例に係る情報処理システム1cは、主に、車両20cが判定部325を備える点において、実施の形態に係る情報処理システム1と相違する。以下、本変形例に係る情報処理システム1cについて、実施の形態に係る情報処理システム1との相違点を中心に説明する。また、本変形例において、実施の形態に係る情報処理システム1と同一または類似の構成については、情報処理システム1と同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0202】
図17に示すように、情報処理システム1cは、予測装置10と車両20cとを備える。車両20cは、実施の形態の車両20に加えて、車両20cが直進しているか否かを判定する判定部325を有する。これは、動的推定処理は、車両20cが直進しているときに行う方が、車両20cが回転しているときに行うより推定精度がよいと考えられるためである。
【0203】
車両20cは、実施の形態の車両20に加えて、センサ部23の出力データに基づいて、車両20が直進しているか否かを判定する判定部325を有する。また、車両20cは、動的推定部22aに替えて動的推定部322aを有する。
【0204】
判定部325は、例えば、ジャイロセンサ23aの出力データであるヨーレートを用いて、車両20cが直進しているか否かを判定する。
【0205】
動的推定部322aは、判定部325の判定結果に基づいて、動的推定処理を実行する。具体的には、動的推定部322aは、自車両が直進している場合に動的推定処理を実行する。動的推定部322aは、例えば、自車両が直進している場合のみ、動的推定処理を実行する。言い換えると、動的推定部322aは、自車両が回転している場合に動的推定処理を実行しない。
【0206】
以上のように、本変形例に係る情報処理システム1cは、自車両が直進しているか否かを判定する判定部325を備える。そして、動的推定部322aは、判定部325が自車両を直進していると判定しているときに動的推定処理を実行する。
【0207】
これにより、情報処理システム1cは、直進走行時のみ舵角中心の動的推定を行うことができるので、推定精度を向上させることができる。
【0208】
次に、上記のような情報処理システム1cの動作について、
図18及び
図19を参照しながら説明する。
図18は、本変形例に係る判定処理を示すフローチャートである。
図18では、ジャイロセンサ23aの出力データであるジャイロセンサ値が車両20cの記憶装置(図示しない)に逐次記憶されているものとする。ジャイロセンサ値は、例えば、ヨーレートである。
【0209】
図18に示すように、判定部325は、ジャイロセンサ値を読み込む(S61)。判定部325は、例えば、最新のヨーレートを記憶装置から読み出す。そして、判定部325は、ヨーレートの絶対値が第5閾値より大きいか否かを判定する(S62)。第5閾値は、自車両が直進しているか否かを判定できる値であれば、特に限定されない。
【0210】
判定部325は、ヨーレートの絶対値が第5閾値より大きい場合(S62でYes)、自車両が直進していない、つまり自車両が回転していると判定し(S63)、ヨーレートの絶対値が第5閾値以下である場合(S62でNo)、自車両が直進していると判定する(S64)。そして、判定部325は、判定結果を動的推定部322aに出力する(S65)。
【0211】
判定部325は、
図18に示す動作を所定時間間隔で行ってもよいし、逐次行ってもよい。
【0212】
次に、動的推定部322aの動作について、
図19を参照しながら説明する。
図19は、本変形例に係る動的推定処理(S30a)の詳細を示すフローチャートである。
【0213】
図19に示すように、本変形例の動的推定処理(S30a)は、実施の形態の動的推定処理(S30)に加えて、ステップS71及びS72を含む。
【0214】
動的推定部322aは、判定部325から判定結果を取得する(S71)と、判定結果に基づいて自車両が直進しているか否かを判定する(S72)。動的推定部322aは、判定結果に自車両が直進していることを示す情報が含まれる場合、つまり自車両が直進している場合(S72でYes)、ステップS31以降の処理を実行する。また、動的推定部322aは、判定結果に自車両が直進していないことを示す情報が含まれる場合、つまり自車両が直進していない場合(S72でNo)、ステップS71に戻り処理を継続する。つまり、ステップS72でNoである場合、動的推定処理における推定処理は実行されない。
【0215】
(実施の形態の変形例4)
以下、本変形例に係る情報処理システム1dついて、
図20及び
図21を参照しながら説明する。
図20は、本変形例に係る情報処理システム1dの機能構成を示すブロック図である。本変形例に係る情報処理システム1dは、主に、車両20dのセンサ部423がカメラ423eを有する点、及び、カメラ423eが撮像した画像に基づいて乗客に関する推定を行う乗客推定部416を有する点において、実施の形態に係る情報処理システム1と相違する。以下、本変形例に係る情報処理システム1dについて、実施の形態に係る情報処理システム1との相違点を中心に説明する。また、本変形例において、実施の形態に係る情報処理システム1と同一または類似の構成については、情報処理システム1と同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0216】
図20に示すように、情報処理システム1dは、予測装置10dと車両20dとを備える。本変形例に係る情報処理システム1dは、予測装置10dの乗客推定部416が画像から乗客の重量及び重心位置を推定し、モデリング部12がさらに推定結果414gを用いて車両20dの重心位置を推定する。
【0217】
車両20dは、カメラ423eを含むセンサ部423を有する。カメラ423eは、車両20dの車内の様子を撮像する。カメラ423eは、車両20dに乗車した乗客の重量と重心位置とを取得可能な画像を撮像する。カメラ423eは、複数設けられてもよい。車両20dは、カメラ423eが撮像した画像を予測装置10dに出力する。
【0218】
予測装置10dは、カメラ423eが撮像した画像に基づいて乗客の重量と重心位置とを推定する乗客推定部416と、さらに乗客推定部416の推定結果414gを格納する情報管理部414とを有する。
【0219】
乗客推定部416は、カメラ423eが撮像した画像の画像解析を行うことにより、乗客の重量と乗客の重心位置とを推定する。乗客推定部416は、例えば、乗客ごとに当該乗客の重量と重心位置とを推定する。重量及び重心位置の推定は、既存のいかなる技術が用いられてもよい。重心位置の推定は、例えば、画像から乗客の姿勢を推定し、推定した姿勢を用いて行われてもよい。
【0220】
情報管理部414には、複数の推定結果414gが蓄積される。推定結果414gは、当該推定結果414gが取得されたときの走行情報14cと対応付けて格納されていてもよい。
【0221】
モデリング部12は、モデリング処理において、乗客推定部416の推定結果414gを用いて、車両20dの重心位置を推定する。
【0222】
以上のように、本変形例に係る情報処理システム1dは、自車両の車内を撮像するカメラ423eと、カメラ423eが撮像した画像の画像解析を行うことで、車両20dに乗車する乗客の重量と重心位置とを推定する乗客推定部416とを備える。
【0223】
これにより、情報処理システム1dは、乗客の重量と重心位置とを正確に取得することができるので、車両20dの重心位置の推定精度を向上させることができる。また、モデリング部12は、過去の予約情報14aを取得していない場合であっても、車両20dの重心位置を推定することができる。この場合、推定結果414gは、検出結果の一例である。また、乗客情報は、推定結果414gを用いて生成される。第1乗客情報は、例えば、車両20に備えられるカメラ423eの出力データ(画像データ)に基づく、乗客の現在の推定結果414gを用いて生成され、第2乗客情報は、例えば、過去に取得された出力データに基づく、乗客の過去の推定結果414gを用いて生成される。
【0224】
次に、上記のような情報処理システム1dの動作について、
図21を参照しながら説明する。
図21は、本変形例に係る判定処理を示すフローチャートである。
【0225】
図21に示すように、乗客推定部416は、カメラ423eが撮像した画像データを取得する(S81)。乗客推定部416は、情報管理部414から画像データを読み出してもよい。次に、乗客推定部416は、取得した画像データにおいて、人を検出したか否かを判定する(S82)。乗客推定部416は、画像データを画像解析することにより画像に人が写っているか否かを判定する。言い換えると、乗客推定部416は、画像データを画像解析することにより、車両20dに乗客が乗車しているか否かを判定する。
【0226】
乗客推定部416は、人を検出した場合(S82でYes)、当該人の重量及び重心位置を推定する(S83)。つまり、乗客推定部416は、乗客の重量及び重心位置を推定する。そして、乗客推定部416は、推定した推定結果414gを情報管理部414に格納する(S84)。また、乗客推定部416は、人を検出しない場合(S82でNo)、ステップS81に戻り処理を継続する。
【0227】
なお、乗客推定部416は、ステップS82において複数の人を検出した場合、複数の人の各々においてステップS83の処理を実行する。
【0228】
なお、予測装置10dは、現在の予約情報14aを用いて予測舵角中心値を予測した上でさらにカメラ423eの画像データに応じて、予測舵角中心値を変更する処理を行ってもよい。また、予測装置10dは、カメラ423eから画像データを取得する場合、現在の予約情報14aを用いて予測舵角中心値を予測しなくてもよい。言い換えると、予測装置10dは、カメラ423eからの画像データを用いて、予測舵角中心値を予測してもよい。カメラ423eの画像データは、乗客の配置及び乗客の重さに関する情報を含む。
【0229】
(実施の形態の変形例5)
以下、本変形例に係る情報処理システム1eついて、
図22及び
図23を参照しながら説明する。
図22は、本変形例に係る情報処理システム1eの機能構成を示すブロック図である。本変形例に係る情報処理システム1eは、主に、予測装置10eが乗客推定部416に替えて認証部517を有する点において、実施の形態の変形例4に係る情報処理システム1dと相違する。以下、本変形例に係る情報処理システム1eについて、実施の形態の変形例4に係る情報処理システム1dとの相違点を中心に説明する。また、本変形例において、実施の形態の変形例4に係る情報処理システム1dと同一または類似の構成については、情報処理システム1dと同一の符号を付し、説明を省略または簡略化する。
【0230】
図22に示すように、情報処理システム1eは、予測装置10eと車両20dとを備える。本変形例に係る情報処理システム1eは、予測装置10eの認証部517が画像の認証結果から乗客個人を特定し、特定された個人に関する情報を情報管理部514から取得する。
【0231】
認証部517は、カメラ423eが撮像した画像の顔認証を行うことで個人を特定し、認証結果をモデリング部12及び第1予測部13に出力する。認証部517は、例えば、認証情報517hと画像データとを比較することで、個人を特定する。また、認証部517は、認証結果を情報管理部514に格納してもよい。なお、個人を特定する方法は、顔認証に限定されない。認証結果は、乗客の識別結果の一例である。また、識別結果は、カメラ423eの画像データに基づく乗客の検出結果に含まれる。
【0232】
モデリング部12は、認証結果に基づいて乗客に対応する情報を取得し、取得した情報を用いて、車両20dの重心位置を推定する。モデリング部12は、推定した重心位置を用いてモデル14dを生成する。乗客に対応する情報は、例えば、ユーザ情報214eであってもよい。なお、モデリング部12は、例えば、認証結果に基づいて特定された乗客のユーザ情報214eを用いて生成された第2乗客情報を用いて、モデル14dを生成してもよい。具体的には、モデリング部12は、認証結果に基づいて特定された乗客のユーザ情報214eに含まれる属性情報を用いて乗客情報を生成する。モデリング部12は、属性情報に含まれる「年齢」、「性別」等の情報から、乗客の配置又は重さを推定する。例えば、識別された乗客が高齢者である場合は、シルバーシートに着座すると推定される。モデリング部12は、生成した乗客情報を用いて、車両20dの重心位置を推定する。推定された重心位置を用いてモデル14dが生成される。
【0233】
第1予測部13は、認証結果に基づいて乗客に対応する情報を取得し、取得した情報を用いて、車両20dの重心位置を推定する。第1予測部13は、推定した重心位置を用いて推定舵角中心値を予測する。第1予測部13は、例えば、認証結果に基づいて取得される乗客の重さを用いて、予測舵角中心値を予測する。なお、第1予測部13は、例えば、認証結果に基づいて特定された乗客のユーザ情報214eを用いて生成された第1乗客情報を用いて、重心位置を推定し予測舵角中心値を予測してもよい。具体的には、第1予測部13は、認証結果に基づいて特定された乗客のユーザ情報214eに含まれる属性情報を用いて乗客情報を生成する。属性情報に基づく乗客情報の生成処理は上述の処理と同様である。第1予測部13は、生成した乗客情報を用いて、車両20dの重心位置を推定する。推定された重心位置がモデル14dに入力されることにより、予測舵角中心値が予測される。
【0234】
情報管理部514は、認証部517が乗客を特定するために認証情報517hを格納する。認証情報517hは、例えば、登録済みのユーザの顔の画像であってもよいし、ユーザの顔の特徴を示す情報であってもよい。
【0235】
以上のように、本変形例に係る情報処理システム1eは、自車両の車内を撮像するカメラ423eと、カメラ423eが撮像した画像の認証処理を行うことで、車両20dに乗車する乗客を特定する認証部517とを備える。
【0236】
これにより、情報処理システム1eは、車両20dに乗車している人を特定することができる。モデリング部12は、例えば、当該特定された人のユーザ情報214eを情報管理部514から取得することで、車両20dに乗車している人に関する情報を正確に取得することができる。よって、モデリング部12は、車両20dの重心位置の推定精度、つまり生成するモデル14dの推定精度を向上させることができる。また、第1予測部13は、例えば、当該特定された人のユーザ情報214eを情報管理部514から取得することで、車両20dに乗車している人に関する情報を正確に取得することができる。よって、第1予測部13は、車両20dの予測舵角中心値の予測精度を向上させることができる。
【0237】
次に、上記のような情報処理システム1eの動作について、
図23を参照しながら説明する。
図23は、本変形例に係る判定処理を示すフローチャートである。
【0238】
図23に示すように、認証部517は、カメラ423eが撮像した画像データを取得する(S91)。認証部517は、情報管理部514から画像データを読み出してもよい。次に、認証部517は、取得した画像データの解析結果と、情報管理部514に記憶されている認証情報517hとを比較し(S92)、登録済みのユーザであるか否かを判定する(S93)。
【0239】
認証部517は、登録済みのユーザである場合(S93でYes)、当該ユーザに対応するユーザ情報214eがあるか否かを判定する(S94)。認証部517は、当該ユーザに対応するユーザ情報214eがある場合(S94でYes)、ユーザ情報214eを取得し(S95)、取得したユーザ情報214eをモデリング部12及び第1予測部13の少なくとも一方に出力する(S95)。本変形例では、認証部517は、ユーザ情報214eをモデリング部12及び第1予測部13の両方に出力する。
【0240】
また、認証部517は、当該ユーザに対応するユーザ情報214eがない場合(S94でNo)、登録済みであるユーザのIDをモデリング部12及び第1予測部13の少なくとも一方に出力する(S97)。これにより、認証部517は、以降に取得された各種データを、既存のユーザIDに紐付けて情報管理部514に格納することができる。
【0241】
また、認証部517は、登録済みのユーザでない場合(S93でNo)、当該ユーザを新規ユーザとして登録する(S98)。認証部517は、例えば、ステップS98において、当該ユーザのユーザIDを新たに設定する。そして、認証部517は、設定したユーザIDをモデリング部12及び第1予測部13の少なくとも一方に出力する(S99)。これにより、認証部517は、以降に取得された各種データを、新たに登録したユーザIDに紐付けて情報管理部514に格納することができる。
【0242】
(その他の実施の形態)
以上、本開示について実施の形態及び変形例(以降において、実施の形態等とも記載する)に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態等に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態等に施したものや、異なる実施の形態等における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0243】
例えば、上記実施の形態等では、予測装置と車両とは、別体である例について説明したが、これに限定されない。例えば、予測装置は、車両に搭載されていてもよい。この場合、
図24に示すように、予測装置は、車両の予測部として機能する。
図24は、その他の実施の形態に係る情報処理システム1fの機能構成を示すブロック図である。
【0244】
図24に示すように、情報処理システム1fは、車両20fを備える。車両20fは、予測部10fと、通信部21と、車両制御部22と、センサ部23とを備える。また、第1予測部13と、通信部21と、動的推定部22aとで制御装置600が構成される。つまり、制御装置600は、車両20に搭載される。
【0245】
また、上記実施の形態等では、予約情報は、乗客の乗車位置を含む例を説明したが、さらに乗客ごとの体重などを含んでいてもよい。また、予約情報は、さらに乗客が持参する荷物の重さに関する情報を含んでいてもよい。
【0246】
また、上記実施の形態等では、搬送物が乗客である例を説明したが、搬送物は移動体に搭載される荷物であってもよい。
【0247】
また、上記実施の形態等では、予約情報は乗客の予約情報である例を説明したが、予約情報は移動体に搭載される荷物の予約情報であってもよい。荷物の予約情報は、少なくとも荷物の移動体内での搭載場所、及び荷物の重さを含む。なお、荷物の予約情報は、荷物の集荷時間、配送時間、集荷場所、及び配送場所などの配送計画情報、及び荷物の種別などの情報を含んでもよい。例えば、荷物の重さの代わりに、荷物の種別から荷物の重さが推定又は特定されてもよい。
【0248】
また、上記実施の形態の変形例1では、検出結果は乗客の検出結果である例を説明したが、検出結果は移動体に搭載される荷物の検出結果であってもよい。荷物の検出結果は、車両20に搭載された荷物の位置、重さ等の検出結果を含んでいてもよい。
【0249】
また、上記実施の形態の変形例2では、属性情報は乗客の属性情報である例を説明したが、属性情報は移動体に搭載される荷物の属性情報であってもよい。荷物の属性情報は、車両20に搭載される荷物の「商品名」、「商品番号(例えば、商品コード)」、「生産日」、及び、「生産地」の少なくとも1つを含む。例えば、荷物の属性情報は、荷物の物理的特徴に関係する可能性がある情報を含んでいてもよい。
【0250】
また、上記実施の形態の変形例5では、識別結果は、乗客の識別結果である例を説明したが、識別結果は移動体に搭載される荷物の識別結果であってもよい。荷物の表面等に当該荷物を識別するための識別コード(例えば、QRコード(登録商標)等)が付されている場合、認証部は、カメラが撮像した画像の識別コードから得られる情報と、情報管理部に格納された認証部が荷物を特定するための情報とに基づいて、搭載された荷物を特定する。特定された結果は、識別結果の一例である。
【0251】
また、上記実施の形態等に係る情報処理システムの全部又は一部は、クラウドサーバによって実現されてもよいし、移動体内に搭載されたエッジ機器として実現されてもよい。例えば、上記実施の形態等に係る予測装置は、移動体が自動運転車である場合、当該自動運転車に搭載される自動運転装置の一部として実現されてもよい。
【0252】
また、上記実施の形態等において説明された複数の処理の順序は一例である。複数の処理の順序は、変更されてもよいし、複数の処理は、並行して実行されてもよい。また、複数の処理の一部は、実行されなくてもよい。
【0253】
また、上記実施の形態等で説明した各構成要素は、ソフトウェアとして実現されても良いし、典型的には、集積回路であるLSIとして実現されてもよい。これらは、個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmablegate Array)又は、LSI内部の回路セルの接続若しくは設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。更には、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて構成要素の集積化を行ってもよい。
【0254】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを1つの機能ブロックとして実現したり、1つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0255】
また、情報処理システムが備える予測装置は、単一の装置として実現されてもよいし、複数の装置によって実現されてもよい。例えば、予測装置の各処理部は、2以上のサーバ装置で実現されてもよい。情報処理システムが複数のサーバ装置によって実現される場合、情報処理システムが備える構成要素は、複数のサーバ装置にどのように振り分けられてもよい。また、複数のサーバ装置間の通信方法は、特に限定されない。また、情報処理システムの各構成要素間の通信方法は、特に限定されない。
【0256】
また、上記実施の形態等で説明した車両が有する構成要素の少なくとも一部は、予測装置が有していてもよい。例えば、動的推定部は、予測装置が有していてもよい。
【0257】
さらに、本開示の技術は上記プログラムであってもよいし、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。例えば、上記プログラム及び上記プログラムからなるデジタル信号は、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものであってもよい。また、上記プログラム及び上記プログラムからなるデジタル信号は、記録媒体に記録して移送されることにより、又はネットワーク等を経由して移送されることにより、独立した他のコンピュータシステムにより実行されてもよい。
【0258】
また、各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本開示は、移動体を運用するシステムに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0260】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f 情報処理システム
10、10a、10b、10d、10e 予測装置
10f 予測部
11、21 通信部(第1取得部、第2取得部、出力部)
12、212 モデリング部
13 第1予測部(生成部)
14、214、414、514 情報管理部
14a 予約情報
14b 車両情報
14c 走行情報
14d、214d モデル
20、20a、20c、20d、20f 車両(移動体)
22 車両制御部
22a 動的推定部(設定部)
22a1 第2予測部
22a2 観測更新部
22a3 演算部
22b 操舵制御部
23、123、423 センサ部
23a ジャイロセンサ
23b 舵角センサ
23c 車速センサ
115 検出部
123d 人検出センサ
214e ユーザ情報
214f 環境情報
325 判定部
414 情報管理部
414g 推定結果
416 乗客推定部
423e カメラ
517 認証部
517h 認証情報
600 制御装置
a、b、c 係数
lx、ly 重心位置
m1 車両重量
m2、m3 乗客重量
w1 車両中心
w2、w3 乗客重心
δ 舵角中心値