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特許7507388電力システムの運転方法、および電力システムの制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】電力システムの運転方法、および電力システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20240621BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240621BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240621BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240621BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240621BHJP
   H01M 8/043 20160101ALI20240621BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20240621BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240621BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20240621BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20240621BHJP
【FI】
H02J3/00 170
H02J3/00 130
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J3/46
H02J7/35 K
H01M8/043
H01M8/00 A
H01M8/00 Z
H01M8/04537
H01M8/04858
H01M8/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2024505176
(86)(22)【出願日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 JP2023034120
【審査請求日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2022176014
(32)【優先日】2022-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 崇志
(72)【発明者】
【氏名】清水 敦志
(72)【発明者】
【氏名】福岡 将
(72)【発明者】
【氏名】井口 裕亮
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/038994(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/141039(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/004849(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 3/46
H02J 7/35
H01M 8/043
H01M 8/00
H01M 8/04537
H01M 8/04858
H01M 8/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムの出力の実績値との差分を補うように前記第1の期間より後の第2の期間における燃料電池システムの出力を計画するステップと、
前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、
前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも大きい場合、蓄電池システムに充電させるステップと、
前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、
前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも小さい場合、電力需要量を満たすように前記蓄電池システムに放電させるステップとを備え、
前記第1の期間は、前記第2の期間の直前の期間であり、
前記第2の期間は、前記第1の期間よりも長く、かつ前記計画された燃料電池システムの出力は前記第2の期間において一定である、
電力システムの運転方法。
【請求項2】
前記第1の期間における電力需要量の実績値と前記太陽光発電システムの出力の実績値との差分の中央値となるよう前記第2の期間における前記燃料電池システムの出力を計画する、請求項1記載の電力システムの運転方法。
【請求項3】
前記第1の期間における電力需要量の実績値と前記太陽光発電システムの出力の実績値との差分の平均値となるよう前記第2の期間における前記燃料電池システムの出力を計画する、請求項1記載の電力システムの運転方法。
【請求項4】
第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムの出力の実績値を記憶する記憶器と、
前記第1の期間における電力需要量の実績値と前記太陽光発電システムの出力の実績値との差分を補うように前記第1の期間より後の第2の期間における燃料電池システムの出力を計画し、
前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、
前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも大きい場合、蓄電池システムに充電させ、
前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、
前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも小さい場合、電力需要量を満たすように前記蓄電池システムに放電させる制御器とを備え、
前記第1の期間は、前記第2の期間の直前の期間であり、
前記第2の期間は、前記第1の期間よりも長く、かつ前記計画された燃料電池システムの出力は前記第2の期間において一定である、
電力システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力を供給する電力システムの運転方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力を供給する電力供給システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電力供給システムは、自然エネルギー発電装置である太陽光発電装置から供給される電力を調整するパワーコンディショナ装置と、蓄電池と、水素製造装置と、燃料電池とを備える。そして、電力供給システムは、施設に対して、太陽光発電装置、蓄電池および燃料電池によって得られる電力を施設に供給し、さらに、余剰電力を蓄電池または水素製造装置に供給する。また、電力供給システムは、太陽光発電装置の発電量を予測し、その予測された発電量である予測値などに基づいて、蓄電池によって充放電される電力の量と、水素製造装置に供給される電力の量と、燃料電池から供給される電力の量とを決定する。これにより、施設の需要を満たす電力を継続して供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/013751号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の太陽光発電装置、蓄電池及び燃料電池を備える電力供給システム、すなわち電力システムの運転方法では、太陽発電装置の発電量の予測値を用いずに、電力供給システムが、施設の電力需要を満たす方法について検討されていない。
【0005】
そこで、本開示は、太陽光発電装置、蓄電池及び燃料電池を備える電力システムにおいて、太陽発電装置の発電量の予測値を用いずに、電力システムが、電力需要家の電力需要を満たす電力システムの運転方法などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電力システムの運転方法は、第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムの出力の実績値との差分を補うように前記第1の期間より後の第2の期間における燃料電池システムの出力を計画するステップと、前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも大きい場合、蓄電池システムに充電させるステップと、前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも小さい場合、電力需要量を満たすように前記蓄電池システムに放電させるステップとを備え、前記第1の期間は、前記第2の期間の直前の期間であり、前記第2の期間は、前記第1の期間よりも長く、かつ前記計画された燃料電池システムの出力は前記第2の期間において一定である。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の電力システムの運転方法は、太陽光発電装置、蓄電池及び燃料電池を備える電力システムにおいて、太陽発電装置の発電量の予測値を用いずに、電力システムが、電力需要家の電力需要を満たすことができる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された構成によってそれぞれ提供されるが、その利点および効果を得るために必ずしも全ての構成が提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態における電力システムと、その電力システムの制御装置とを含む全システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施の形態における制御装置によって計画される燃料電池発電装置の出力を説明するための図である。
図3図3は、実施の形態における制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施の形態における制御装置によって制御される燃料電池発電装置の発電電力および蓄電池装置の充放電電力の一例を示す図である。
図5図5は、実施の形態におけるデータ取得部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態における燃料電池出力算出部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態における蓄電池出力算出部の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、実施の形態における第3制御器の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施の形態における制御装置の運転モードによって得られる効果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様に係る電力システムの運転方法は、第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムの出力の実績値との差分を補うように前記第1の期間より後の第2の期間における燃料電池システムの出力を計画するステップと、前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも大きい場合、蓄電池システムに充電させるステップと、前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも小さい場合、電力需要量を満たすように前記蓄電池システムに放電させるステップとを備え、前記第1の期間は、前記第2の期間の直前の期間であり、前記第2の期間は、前記第1の期間よりも長く、かつ前記計画された燃料電池システムの出力は前記第2の期間において一定である。なお、電力システムは、例えば、太陽光発電システム、燃料電池システムおよび蓄電池システムを含む。太陽光発電システムは、太陽光発電装置を含み、燃料電池システムは、燃料電池を含み、蓄電池システムは、蓄電池を含む。また、電力需要量は、例えば、電力需要家が備える負荷の消費電力であって、太陽光発電システムおよび燃料電池システムのそれぞれの出力は、例えば、発電電力である。
【0012】
これにより、第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムの出力の実績値との差分を補うように蓄電池システムの出力が計画される場合に比べ、電力システムの電力で電力需要量をより満たすことが可能になる。これは、蓄電池システムの方が燃料電池システムよりも負荷追従性に優れる一方で、燃料電池システムの方が、電力の貯蔵容量が蓄電池システムより大きいことが背景にある。この背景に鑑み、本態様では、第2の期間における電力需要量と太陽光発電量との差分に対して燃料電池システムが計画通りにベース電源として電力を補い、かつ補えきれない一時的な差分に対して負荷追従性に優れた蓄電池システムの電力でこれを補う。これにより、燃料電池システム及び蓄電池システムの上記長所と短所を互いに補う形となり、負荷の電力需要を電力システムの電力でより満たすことが可能になる。つまり、本態様により、負荷の電力需要を満たすための電力系統からの買電が低減される。
【0013】
また、第2の期間よりも長い第1の期間における実績値を用いて、第2の期間における燃料電池システムの出力を計画する場合に比べ、第2の期間における負荷の電力需要量と太陽光発電システムの出力との差分に対する燃料電池システムの出力のずれが抑制される。これは、第2の期間よりも長い第1の期間における実績値を用いて、第2の期間における燃料電池システムの出力を計画する場合に比べ、第2の期間により近い期間の実績値のみを考慮して燃料電池システムの出力の計画が行われることになるからである。さらに、その第1の期間よりも長い第2の期間において燃料電池システムの出力が一定に維持されるため、燃料電池システムの劣化を抑制することができる。
【0014】
また、前記第1の期間における電力需要量の実績値と前記太陽光発電システムの出力の実績値との差分の中央値となるよう前記第2の期間における前記燃料電池システムの出力を計画してもよい。
【0015】
例えば、第1の期間内の複数の時点のそれぞれにおける差分が算出されて、第2の期間における燃料電池システムの出力が、それらの差分の中央値に設定される。これにより、第1の期間の実績値が第2の期間でも継続されるような状況では、第2の期間における電力需要量と太陽光発電システムの出力との差分を、その燃料電池システムの出力で適切に補うことができる。その結果、蓄電池システムの充放電を抑えることができる。
【0016】
また、前記第1の期間における電力需要量の実績値と前記太陽光発電システムの出力の実績値との差分の平均値となるよう前記第2の期間における前記燃料電池システムの出力を計画してもよい。
【0017】
例えば、第1の期間内の複数の時点のそれぞれにおける差分が算出されて、第2の期間における燃料電池システムの出力が、それらの差分の平均値に設定される。これにより、第1の期間の実績値が第2の期間でも継続されるような状況では、第2の期間における電力需要量と太陽光発電システムの出力との差分を、その燃料電池システムの出力で適切に補うことができる。その結果、蓄電池システムの充放電を抑えることができる。
【0018】
また、本開示の一態様に係る電力システムの制御装置は、第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムの出力の実績値を記憶する記憶器と、前記第1の期間における電力需要量の実績値と前記太陽光発電システムの出力の実績値との差分を補うように前記第1の期間より後の第2の期間における燃料電池システムの出力を計画し、前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも大きい場合、蓄電池システムに充電させ、前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも小さい場合、電力需要量を満たすように前記蓄電池システムに放電させる制御器とを備え、前記第1の期間は、前記第2の期間の直前の期間であり、前記第2の期間は、前記第1の期間よりも長く、かつ前記計画された燃料電池システムの出力は前記第2の期間において一定である。
【0019】
これにより、上述の電力システムの運転方法と同様の作用効果を奏することができる。
【0020】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0021】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0022】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0023】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態における電力システムと、その電力システムの制御装置とを含む全システムの構成例を示す図である。なお、図1では、電力線は実線で示され、通信線は破線で示されている。
【0024】
本実施の形態における電力システム200は、電力系統100および負荷301に電力線を介して接続されている。そして、電力システム200は、負荷301に対して電力を供給する。また、電力系統100は、系統電力を供給する機能を有し、電力線を介して負荷301に接続されている。なお、系統電力は、商用電力とも呼ばれ、例えば50Hzまたは60Hzの交流電力である。したがって、負荷301の消費電力に対して、電力システム200から供給される電力が不足する場合には、電力系統100は、負荷301に対して不足分の電力を供給する。一方、負荷301の消費電力に対して、電力システム200から供給される電力が余る場合には、その余った電力は、電力系統100に引き取られる、つまり、その余った電力は逆潮流電力として売電される。なお、本実施の形態における負荷301は、電力を消費する1つ以上の機器、装置、デバイスなどからなる。また、負荷301の消費電力は、電力需要量とも呼ばれる。また、負荷301は、工場、施設等の電力需要家が備える。
【0025】
電力システム200は、太陽光発電システムa、燃料電池システムb、および蓄電池システムcを備える。太陽光発電システムaは、第1制御器210、太陽光発電装置211、第1PCS(Power Conditioning System)212、および第1電力計213を備える。
【0026】
太陽光発電装置211は、例えば1つ以上の太陽光発電ユニットを有し、光電変換によって太陽光を電力に変換して出力する。太陽光発電ユニットは、例えば、太陽光発電パネルである。なお、太陽光発電装置211は、以下、単に、太陽電池とも呼ばれる。第1PCS212は、太陽光発電装置211から出力される電力を系統電力と同質の電力に変換して出力する。第1電力計213は、太陽光発電装置211から第1PCS212を介して出力される電力、すなわち系統電力を計測し、その計測された電力を示す信号を制御装置10に出力する。第1制御器210は、太陽光発電装置211および第1PCS212を制御する。例えば、第1制御器210は、制御装置10からの指令に応じて、太陽光発電装置211および第1PCS212を制御する。
【0027】
燃料電池システムbは、第2制御器220、燃料電池発電装置221、第2PCS222、および第2電力計223を備える。
【0028】
燃料電池発電装置221は、例えば1つ以上の燃料電池ユニットを有し、水素と酸素とを化学反応させて発電する。発電に利用される水素源は、例えば、水素貯蔵器または水素インフラである。燃料電池ユニットは、例えば、燃料電池スタック装置である。なお、燃料電池発電装置221は、以下、単に、燃料電池とも呼ばれる。第2PCS222は、燃料電池発電装置221の発電によって出力される電力を系統電力と同質の電力に変換して出力する。第2電力計223は、燃料電池発電装置221から第2PCS222を介して出力される電力、すなわち系統電力を計測し、その計測された電力を示す信号を制御装置10に出力する。第2制御器220は、燃料電池発電装置221および第2PCS222を制御する。例えば、第2制御器220は、制御装置10からの指令に応じて、燃料電池発電装置221および第2PCS222から出力される電力を調整する。
【0029】
蓄電池システムcは、第3制御器230、蓄電池装置231、第3PCS232、および第3電力計233を備える。
【0030】
蓄電池装置231は、例えば1つ以上の蓄電池ユニットを有し、充電または放電を行う。蓄電池ユニットは、例えば、蓄電池パックである。なお、蓄電池装置231は、以下、単に、蓄電池とも呼ばれる。第3PCS232は、蓄電池装置231の放電によって出力される電力を系統電力と同質の電力に変換して出力する。あるいは、第3PCS232は、系統電力を変換して蓄電池装置231に充電する。第3電力計233は、蓄電池装置231から第3PCS232を介して出力される電力、すなわち系統電力を計測し、その計測された電力を示す信号を制御装置10に出力する。また、第3電力計233は、太陽光発電装置211または燃料電池発電装置221から出力され、蓄電池装置231に充電される電力を計測し、その計測された電力を示す信号を制御装置10に出力する。第3制御器230は、蓄電池装置231および第3PCS232を制御する。例えば、第3制御器230は、制御装置10からの指令に応じて、蓄電池装置231から放電される電力、または蓄電池装置231に充電される電力を調整する。
【0031】
本実施の形態における制御装置10は、電力システム200の制御装置であって、第4電力計303と、電力システム200と、データベース20とのそれぞれに通信線を介して接続されている。つまり、制御装置10は、第4電力計303、電力システム200、およびデータベース20のそれぞれと、通信線を介して通信する。なお、本実施の形態において、通信線を介して通知、送信、指令、取得または受信される電力は、電力そのものではく、電力の大きさ、例えばワット数などを示すデータである。また、第4電力計303は、負荷301の消費電力を計測する。
【0032】
このような制御装置10は、第1電力計213、第2電力計223、第3電力計233、および第4電力計303のそれぞれから、その電力計によって計測される電力を示す信号を、サンプリング周期ごとに受信する。そして、制御装置10は、それらの信号によって示されている電力を、データベース20に書き込む。なお、サンプリング周期の具体的な一例は、30秒または1分などであるが、これらの時間に限定されるものではない。
【0033】
データベース20は、電力の値などを記録するための記録媒体である。なお、その記録媒体は、ハードディスクドライブ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。なお、本実施の形態では、データベース20は、制御装置10に備えられていないが、制御装置10に備えられていてもよい。
【0034】
図2は、制御装置10によって計画される燃料電池発電装置221の出力を説明するための図である。具体的には、図2のグラフは、各時刻における電力を模式的に示す。グラフの横軸は、時刻を示し、縦軸は電力(kW)を示す。
【0035】
本実施の形態における制御装置10は、図2のグラフに示すように、例えば時刻「12:00」の計画時点において、制御期間T2における燃料電池発電装置221の出力、すなわち燃料電池発電装置221の発電電力FCを計画する。なお、制御期間T2は、第2の期間とも呼ばれる。具体的な一例では、制御期間T2は、計画時点の時刻「12:00」から時刻「13:00」までの1時間である。
【0036】
より具体的には、制御装置10は、計画時点より後のサンプリング期間T1における負荷301の消費電力Dと太陽光発電装置211の発電電力PVとを、データベース20から読み出す。つまり、制御装置10は、サンプリング期間T1において上述のサンプリング周期ごとに得られた負荷301の過去の消費電力Dと太陽光発電装置211の過去の発電電力PVとを読み出す。そして、制御装置10は、サンプリング期間T1における負荷301の消費電力Dと太陽光発電装置211の発電電力PVとの差分を補うように、制御期間T2における燃料電池発電装置221の発電電力FCを計画する。なお、サンプリング期間T1は、第1の期間とも呼ばれる。具体的な一例では、サンプリング周期が1分であるときには、制御期間T2に対応するサンプリング期間T1は、時刻「11:44」から時刻「11:59」までの15分間である。この場合、サンプリング期間T1において15個の差分が得られる。なお、サンプリング周期が30秒であるときには、制御期間T2に対応するサンプリング期間T1は、時刻「11:44:30」から時刻「11:59:30」までの15分間であってもよい。この場合、サンプリング期間T1では、30個の差分が得られる。
【0037】
そして、制御装置10は、その計画された燃料電池発電装置221の発電電力FCが制御期間T2において出力されるように、第2制御器220を介して燃料電池発電装置221および第2PCS222を制御する。
【0038】
さらに、制御装置10は、燃料電池発電装置221が制御期間T2において計画された発電電力FCを発電しているときには、第3制御器230を介して蓄電池装置231および第3PCS232を制御する。具体的には、制御装置10は、太陽光発電装置211の発電電力PVと燃料電池発電装置221の発電電力FCの和が、負荷301の消費電力Dよりも大きい場合、蓄電池装置231に充電させる。一方、制御装置10は、その和が消費電力Dよりも小さい場合、消費電力Dを満たすように蓄電池装置231に放電させる。
【0039】
なお、負荷301の消費電力Dは、第4電力計303によって計測される電力である。また、太陽光発電装置211の発電電力PVは、太陽光発電装置211から第1PCS212を介して出力される電力であって、第1電力計213によって計測される。このような太陽光発電装置211の発電電力PVは、太陽光発電システムaまたは太陽光発電装置211の出力であるとも言える。同様に、燃料電池発電装置221の発電電力FCは、燃料電池発電装置221から第2PCS222を介して出力される電力であって、第2電力計223によって計測される電力である。このような燃料電池発電装置221の発電電力FCは、燃料電池システムbまたは燃料電池発電装置221の出力であるとも言える。
【0040】
このように、本実施の形態では、サンプリング期間T1である第1の期間は、制御期間T2である第2の期間の直前の期間である。また、第2の期間は、第1の期間よりも長く、かつ計画する燃料電池システムbの出力は第2の期間において一定である。なお、燃料電池システムbの出力は、燃料電池発電装置221の発電電力FCに相当する。ここで、第2の期間の直前の期間とは、本実施の形態では、下記の開始時点から終了時点までの期間である。つまり、その終了時点は、データベース20に記録されている複数の電力のそれぞれの計測時点のうち、上述の計画時点から見て最近の計測時点である。そして、開始時点は、その終了時点からサンプリング期間T1の時間、例えば15分だけ遡った時点である。しかし、その第2の期間の直前の期間である第1の期間は、一例であって、本実施の形態に限定されない。例えば、第1の期間の開始時点は、第2の期間の開始時点である計画時点から第2の期間だけ遡った時点以降であってもよい。第1の期間は、換言すれば、第2の期間の開始時点よりも前で、かつ第2の期間の開始時点よりも第2の期間前以降の期間であれば、任意でよい。また、第1の期間は、第2の期間よりも短ければ、15分に限らず、30分などであってもよい。換言すれば、第1の期間は、第2の期間の1/2以下の期間であってもよい。
【0041】
また、本実施の形態における制御装置10による電力システム200の運転方法では、上述のように、負荷301の過去の消費電力Dである実績値と、太陽光発電装置211の過去の発電電力PVである実績値との差分に基づいて、制御期間T2における燃料電池発電装置221の出力が計画される。そして、その計画どおりに燃料電池発電装置221が出力する。したがって、本実施の形態における運転方法では、燃料電池発電装置221の出力の方が蓄電池装置231の出力よりも優先される。そのため、本実施の形態における運転方法は、燃料電池優先適用モードまたは水素優先適用モードとも呼ばれる。このような運転方法が適用されるのは、燃料電池発電装置221の水素源が、例えば、水素貯蔵器または水素インフラであるとき、蓄電池装置231に比べ大きな出力容量が確保可能であるからである。
【0042】
図3は、制御装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。なお、図3では、説明を簡単にするために、第1PCS212、第2PCS222、および第3PCS232は、省略されている。また、図3では、各構成要素間の通信関係を分かり易くするために、通信線が実線で示され、電力線は破線で示されている。
【0043】
本実施の形態における制御装置10は、データ取得部11と、燃料電池出力算出部12と、蓄電池出力算出部13とを備える。
【0044】
データ取得部11は、第4電力計303、第1電力計213、第2電力計223、および第3電力計233から4つの電力を示す信号を、上述のサンプリング周期ごとに取得する。そして、データ取得部11は、その4つの電力のそれぞれの数値を実績値としてデータベース20に書き込む。4つの電力は、負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVと、燃料電池発電装置221の発電電力FCと、蓄電池装置231の放電電力Bdまたは充電電力Bcである。その放電電力Bdおよび充電電力Bcは、充放電電力SBと総称される。
【0045】
なお、本実施の形態における蓄電池装置231の放電電力Bdは、蓄電池装置231から第3PCS232を介して放電される電力であって、第3電力計233によって計測される電力である。同様に、本実施の形態における蓄電池装置231の充電電力Bcは、太陽光発電装置211または燃料電池発電装置221などから第3PCS232を介して蓄電池装置231に充電される電力であって、第3電力計233によって計測される電力である。
【0046】
燃料電池出力算出部12は、計画時点の直近にあるサンプリング期間T1における負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVとをデータベース20から読み出す。そして、燃料電池出力算出部12は、その消費電力Dおよび発電電力PVを用いて、制御期間T2における燃料電池発電装置221の発電電力FCを算出する。これにより、発電電力FCが計画される。つまり、本実施の形態における燃料電池出力算出部12は、サンプリング期間T1である第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムaの出力の実績値との差分を補うようにその第1の期間より後の制御期間T2である第2の期間における燃料電池システムbの出力、すなわち発電電力FCを計画する。なお、太陽光発電システムaの出力は、太陽光発電装置211の発電電力PVに相当する。燃料電池出力算出部12は、その発電電力FCの発電を第2制御器220に通信線を介して指令する。第2制御器220は、その燃料電池出力算出部12からの指令にしたがって、燃料電池発電装置221および第2PCS222を制御する。
【0047】
蓄電池出力算出部13は、上述の制御期間T2において計画された発電電力FCを燃料電池発電装置221が発電しているときには、蓄電池指令周期ごとに、最新の3つの電力をデータベース20から読み出す。3つの電力は、負荷301の消費電力D、太陽光発電装置211の発電電力PV、および燃料電池発電装置221の発電電力FCである。なお、蓄電池指令周期の具体的な一例は、1分である。そして、蓄電池出力算出部13は、その読み出された3つの電力に基づいて、蓄電池装置231が放電または充電すべき電力を算出する。蓄電池出力算出部13は、その算出された電力を第3制御器230に通信線を介して指令する。つまり、蓄電池出力算出部13は、その算出された電力を示す放電電力指令値Bd’または充電電力指令値Bc’を、第3制御器230に出力する。第3制御器230は、その蓄電池出力算出部13からの指令にしたがって、蓄電池装置231および第3PCS232を制御する。
【0048】
図4は、制御装置10によって制御される燃料電池発電装置221の発電電力FCおよび蓄電池装置231の充放電電力SBの一例を示す図である。図4の(a)は、負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVとの時間変化を模式的に示すグラフである。図4の(b)は、燃料電池発電装置221の発電電力FCの時間変化を模式的に示すグラフである。図4の(c)は、蓄電池装置231の充放電電力SBの時間変化を模式的に示すグラフである。なお、これらのグラフの横軸は時刻を示し、縦軸は電力を示す。
【0049】
例えば、負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVとは、図4の(a)に示すように、時刻「00:00」から時刻「24:00」までの間で変化する。ここで、制御装置10の燃料電池出力算出部12は、計画時点である時刻ta1に、時刻ta1以降の制御期間T2における燃料電池発電装置221の発電電力FCを計画する。このとき、燃料電池出力算出部12は、図4の(d)に示すように、サンプリング期間T1における負荷301の消費電力Dが、太陽光発電装置211の発電電力PVと、燃料電池発電装置221の発電電力FCとの和に等しくなるように、その発電電力FCを算出する。この算出された発電電力FCが、時刻ta1以降の制御期間T2における燃料電池発電装置221の発電電力FCとして計画される。これにより、制御期間T2における逆潮流電力および買電、すなわち余剰電力および不足電力を抑制することができる。
【0050】
燃料電池出力算出部12は、このような発電電力FCの算出を、制御期間T2を一周期として用いて繰り返し実行し、発電電力FCが算出されるごとに、その発電電力FCの発電を第2制御器220に指令する。その結果、図4の(b)に示すように、第2制御器220は、発電電力FCが発電されるように燃料電池発電装置221を制御する。ここで、燃料電池発電装置221には、定格出力と最低出力とがある。例えば、定格出力は500kWであり、最低出力は150kWである。したがって、第2制御器220は、燃料電池出力算出部12から指令された発電電力FCが定格出力を超える場合には、その定格出力の発電を燃料電池発電装置221に実行させてもよい。そして、第2制御器220は、燃料電池出力算出部12から指令された発電電力FCが最低出力を下回る場合には、その最低出力の発電を燃料電池発電装置221に実行させてもよい。
【0051】
そして、蓄電池出力算出部13は、上述の蓄電池指令周期ごとに、蓄電池装置231の充放電電力SBを算出する。このとき、蓄電池出力算出部13は、図4の(e)に示すように、太陽光発電装置211の最新の発電電力PVと、燃料電池発電装置221の最新の発電電力FCと、蓄電池装置231の充放電電力SBとの和が、最新の負荷301の消費電力Dに等しくなるように、その充放電電力SBを算出する。さらに、蓄電池出力算出部13は、その充放電電力SBの放電または充電を第3制御器230に指令する。つまり、蓄電池出力算出部13は、放電電力指令値Bd’または充電電力指令値Bc’を第3制御器230に出力する。その結果、図4の(c)に示すように、第3制御器230は、充放電電力SBの放電または充電が行われるように蓄電池装置231を制御する。これにより、制御期間T2における瞬時の逆潮流電力および買電、すなわち瞬時の余剰電力および不足電力を抑制することができる。
【0052】
つまり、本実施の形態における蓄電池出力算出部13は、制御期間T2である第2の期間において計画された出力で燃料電池システムbが発電しているとき、太陽光発電システムaの出力と燃料電池システムbの出力の和が電力需要量よりも大きい場合、蓄電池システムcに充電させる。一方、蓄電池出力算出部13は、制御期間T2である第2の期間において計画された出力で燃料電池システムbが発電しているとき、太陽光発電システムaの出力と燃料電池システムbの出力の和が電力需要量よりも小さい場合、電力需要量を満たすように蓄電池システムcに放電させる。なお、蓄電池システムcの充電および放電は、蓄電池装置231の充電および放電に相当する。
【0053】
なお、図4における時刻ta2から時刻ta3までの期間では、太陽光発電装置211の発電電力PVが大きいにもかかわらず、燃料電池発電装置221の発電電力FCを最低出力よりも下げることができない。そのため、発電電力PVの余剰分が大きな充電電力Bcとして蓄電池装置231に充電される。一方、時刻ta4から時刻ta5までの期間では、太陽光発電装置211の発電電力PVが小さいにもかかわらず、燃料電池発電装置221の発電電力FCを定格出力よりも上げることができない。そのため、発電電力PVまたは発電電力FCの不足分が大きな放電電力Bdとして蓄電池装置231から放電される。
【0054】
このような本実施の形態における制御装置10は、記憶器と制御器とを備える装置であると言える。記憶器は、燃料電池出力算出部12によって読み出された、サンプリング期間T1における負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVとを記憶する記録媒体である。なお、その記録媒体は、ハードディスクドライブ、RAM、ROM、または半導体メモリなどである。また、その記録媒体は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。つまり、記憶器は、第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムaの出力の実績値を記憶する。また、制御器は、燃料電池出力算出部12と蓄電池出力算出部13とのそれぞれの機能を有する。つまり、制御器は、燃料電池出力算出部12として機能することによって、上述の差分を補うように第2の期間における燃料電池システムbの出力を計画する。さらに、制御器は、上述の蓄電池出力算出部13として機能することによって、蓄電池システムcに充電および放電させる。
【0055】
なお、本実施の形態における制御装置10は、上述のようにデータベース20を備えていてもよい。この場合、記憶器は、データベース20として用いられてもよい。
【0056】
また、制御装置10に備えられるデータ取得部11および制御器などの各構成要素は、専用のハードウェアまたは回路として構成されていてもよい。また、各構成要素は、ソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。つまり、各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。また、制御装置10は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0057】
図5は、データ取得部11の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0058】
データ取得部11は、サンプリング周期ごとに、ステップS1~S4およびS6の処理を実行する。つまり、データ取得部11は、第4電力計303から負荷301の消費電力Dを示す信号を取得する(ステップS1)。さらに、データ取得部11は、第1電力計213から太陽光発電装置211の発電電力PVを示す信号を取得する(ステップS2)。さらに、データ取得部11は、第2電力計223から燃料電池発電装置221の発電電力FCを示す信号を取得する(ステップS3)。さらに、データ取得部11は、第3電力計233から蓄電池装置231の放電電力Bdまたは充電電力Bcを示す信号を取得する(ステップS4)。
【0059】
次に、データ取得部11は、ステップS1で取得された信号によって示される負荷301の消費電力Dと、ステップS2~S4において取得された信号によって示される3電池の電力とをデータベース20に書き込む(ステップS6)。なお、3電池の電力は、太陽光発電装置211の発電電力PVと、燃料電池発電装置221の発電電力FCと、蓄電池装置231の放電電力Bdまたは充電電力Bcとである。
【0060】
図6は、燃料電池出力算出部12の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0061】
燃料電池出力算出部12は、計画時点の直近のサンプリング期間T1内における複数の計測時点のそれぞれの、負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVとを、データベース20から読み出す(ステップS11)。
【0062】
次に、燃料電池出力算出部12は、その複数の計測時点のそれぞれについて、その計測時点における負荷301の消費電力Dと太陽光発電装置211の発電電力PVとの差分を算出する。つまり、燃料電池出力算出部12は、複数の計測時点のそれぞれで、その計測時点における消費電力Dから、その計測時点における発電電力PVを減算することによって、その計測時点における差分を算出する。そして、燃料電池出力算出部12は、複数の計測時点のそれぞれの差分の中央値を差分値1として算出する(ステップS12)。なお、本実施の形態では、複数の計測時点のそれぞれの差分の中央値は、差分値1の一例であって、差分値1は、それらの差分の平均値であってもよい。
【0063】
つまり、本実施の形態における燃料電池出力算出部12は、第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムaの出力の実績値との差分の中央値となるよう第2の期間における燃料電池システムbの出力を計画する。または、燃料電池出力算出部12は、第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムaの出力の実績値との差分の平均値となるよう第2の期間における燃料電池システムbの出力を計画する。
【0064】
そして、燃料電池出力算出部12は、差分値1が正の値であるか否かを判定する(ステップS13)。ここで、燃料電池出力算出部12は、差分値1が正の値であると判定すると(ステップS13のYES)、燃料電池発電装置221の発電電力FCを差分値1に設定する(ステップS14)。一方、燃料電池出力算出部12は、差分値1が正の値でないと判定すると(ステップS13のNO)、燃料電池発電装置221の発電電力FCを0に設定する(ステップS15)。つまり、差分値1が正の値でないときには、太陽光発電装置211の発電電力PVは、負荷301の消費電力D以上であって、負荷301への供給電力は不足していないため、燃料電池発電装置221の発電電力FCは0に設定される。言い換えれば、燃料電池発電装置221が出力しないように発電電力FCが設定される。
【0065】
燃料電池出力算出部12は、ステップS14またはS15で設定された発電電力FCの発電を第2制御器220に指令する(ステップS16)。このような指令を受けた第2制御器220は、燃料電池発電装置221および第2PCS222を制御する。その結果、燃料電池発電装置221から第2PCS222を介して、ステップS14またはS15で設定された発電電力FCが出力される。
【0066】
そして、燃料電池出力算出部12は、ステップS16の指令が行われてから制御期間T2が経過したか否かを判定する(ステップS17)。ここで、燃料電池出力算出部12は、制御期間T2が経過していないと判定すると(ステップS17のNO)、ステップS17の処理を繰り返し実行する。一方、燃料電池出力算出部12は、制御期間T2が経過したと判定すると(ステップS17のYES)、ステップS11の処理を繰り返し実行する。これにより、ステップS11~S17の処理が制御期間T2ごとに繰り返し実行される。
【0067】
図7は、蓄電池出力算出部13の処理動作の一例を示すフローチャートである。
【0068】
蓄電池出力算出部13は、上述の蓄電池指令周期ごとに、ステップS21~S27の処理を実行する。具体的には、蓄電池出力算出部13は、最新の3つの電力をデータベース20から読み込む(ステップS21)。3つの電力は、負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVと、燃料電池発電装置221の発電電力FCとである。そして、蓄電池出力算出部13は、その読み込まれた負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVおよび燃料電池発電装置221の発電電力FCとの差分を差分値2として算出する(ステップS22)。つまり、蓄電池出力算出部13は、「差分値2=D-PV-FC」によって、言い換えれば、発電電力PVおよび発電電力FCを消費電力Dから減算することによって、差分値2を算出する。
【0069】
次に、蓄電池出力算出部13は、差分値2が正の値であるか否かを判定する(ステップS23)。ここで、蓄電池出力算出部13は、差分値2が正の値であると判定すると(ステップS23のYES)、蓄電池装置231の放電電力指令値Bd’を差分値2に設定する(ステップS24)。そして、蓄電池出力算出部13は、その放電電力指令値Bd’の放電を第3制御器230に指令する(ステップS25)。
【0070】
一方、蓄電池出力算出部13は、差分値2が正の値でないと判定すると(ステップS23のNO)、蓄電池装置231の充電電力指令値Bc’を差分値2の絶対値に設定する(ステップS26)。そして、蓄電池出力算出部13は、その充電電力指令値Bc’の充電を第3制御器230に指令する(ステップS27)。
【0071】
図8は、第3制御器230の処理動作の一例を示すフローチャートである。具体的には、図8のフローチャートは、図7のフローチャートのステップS25またはS27の指令が行われた後に、第3制御器230によって行われる処理動作の一例を示す。
【0072】
第3制御器230は、蓄電池出力算出部13からの指令を受けると、その指令、すなわち指令値が放電電力指令値Bd’か充電電力指令値Bc’かを判定する(ステップS31)。ここで、第3制御器230は、指令値が放電電力指令値Bd’であると判定すると(ステップS31のBd’)、蓄電池装置231のSOC(State Of Charge)がSOC下限値よりも上であるか否かを判定する(ステップS32)。なお、蓄電池装置231のSOCは、蓄電池SOCとも呼ばれる。また、SOC下限値は、予め定められた値であって、例えば第3制御器230に記憶されている。また、蓄電池SOCがSOC下限値よりも上とは、蓄電池SOCがSOC下限値よりも大きいことを意味する。つまり、ステップS32では、蓄電池SOCがSOC下限値よりも大きいか否かが判定される。
【0073】
そして、第3制御器230は、蓄電池SOCがSOC下限値よりも上であると判定すると(ステップS32のYES)、さらに、放電電力指令値Bd’が蓄電池装置231の定格出力を超えているか否かを判定する(ステップS33)。ここで、第3制御器230は、放電電力指令値Bd’が定格出力を超えていないと判定すると(ステップS33のNO)、蓄電池装置231の放電電力Bdが差分値2となるように、その蓄電池装置231および第3PCS232を制御する(ステップS34)。なお、蓄電池装置231の放電電力Bdは、蓄電池装置231から第3PCS232を介して放電される電力である。つまり、蓄電池装置231は、第3PCS232を介して差分値2の放電を行う。
【0074】
一方、第3制御器230は、放電電力指令値Bd’が定格出力を超えていると判定すると(ステップS33のYES)、蓄電池装置231の放電電力Bdが定格出力となるように、その蓄電池装置231および第3PCS232を制御する(ステップS35)。つまり、蓄電池装置231は、第3PCS232を介して定格出力の放電を行う。また、第3制御器230は、蓄電池SOCがSOC下限値よりも上でないと判定すると(ステップS32のNO)、蓄電池装置231の放電電力Bdが0となるように、その蓄電池装置231および第3PCS232を制御する(ステップS36)。つまり、蓄電池装置231は放電しない。
【0075】
また、ステップS31において、指令値が充電電力指令値Bc’であると判定されると(ステップS31のBc’)、第3制御器230は、蓄電池SOCがSOC上限値よりも下であるか否かを判定する(ステップS37)。なお、SOC上限値は、予め定められた値であって、例えば第3制御器230に記憶されている。また、蓄電池SOCがSOC上限値よりも下とは、蓄電池SOCがSOC上限値よりも小さいことを意味する。つまり、ステップS37では、蓄電池SOCがSOC上限値よりも小さいか否かが判定される。
【0076】
そして、第3制御器230は、蓄電池SOCがSOC上限値よりも下であると判定すると(ステップS37のYES)、さらに、充電電力指令値Bc’が蓄電池装置231の定格出力を超えているか否かを判定する(ステップS38)。ここで、第3制御器230は、充電電力指令値Bc’が定格出力を超えていないと判定すると(ステップS38のNO)、蓄電池装置231の充電電力Bcが差分値2の絶対値となるように、その蓄電池装置231および第3PCS232を制御する(ステップS39)。なお、蓄電池装置231の充電電力Bcは、第3PCS232を介して蓄電池装置231に充電される電力である。つまり、蓄電池装置231は、差分値2の絶対値だけ充電を行う。
【0077】
一方、第3制御器230は、充電電力指令値Bc’が定格出力を超えていると判定すると(ステップS38のYES)、蓄電池装置231の充電電力Bcが定格出力となるように、その蓄電池装置231および第3PCS232を制御する(ステップS40)。つまり、蓄電池装置231は、定格出力の充電を行う。また、第3制御器230は、蓄電池SOCがSOC上限値よりも下でないと判定すると(ステップS37のNO)、蓄電池装置231の充電電力Bcが0となるように、その蓄電池装置231および第3PCS232を制御する(ステップS41)。つまり、蓄電池装置231は充電しない。
【0078】
なお、蓄電池装置231が複数の蓄電池ユニットから構成されている場合には、第3制御器230は、その蓄電池ユニットごとに、図8のフローチャートに含まれる各ステップを実行してもよい。この場合、個々の蓄電池ユニットに用いられる放電電力指令値Bd’および充電電力指令値Bc’は、蓄電池装置231の全体の指令値を、その蓄電池装置231に含まれる蓄電池ユニットの個数で除算することによって得られる値であってもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、第3制御器230が、充電電力指令値Bc’および放電電力指令値Bd’に基づいて、蓄電池装置231の放電電力Bdおよび充電電力Bcを制御する機能を有する。しかし、制御装置10の蓄電池出力算出部13が、その機能も兼ね備えてもよい。つまり、蓄電池出力算出部13が、図8に示すフローチャートに含まれる各ステップを実行してもよい。この場合、データ取得部11は、負荷301の消費電力D、太陽光発電装置211の発電電力PVなどと同じタイミングで、蓄電池SOCを第3制御器230から取得してデータベース20に格納する。そして、蓄電池出力算出部13は、図7のステップS21において、さらに最新の蓄電池SOCをデータベース20から読み出し、その読み出された蓄電池SOCを図8のステップS32およびS37で用いる。一方、第3制御器230は、蓄電池出力算出部13によるステップS34~S36およびS39~S41の処理で決定される放電電力Bdおよび充電電力Bcにしたがって、蓄電池装置231および第3PCS232を制御する。
【0080】
図9は、本実施の形態における制御装置10の運転モードによって得られる効果の一例を示す図である。図9では、制御装置10の運転モードによって得られる効果が、比較例の運転モードと比較して示されている。
【0081】
比較例の運転モードでは、過去1年間における各時間帯で、負荷301の消費電力Dと、太陽光発電装置211の発電電力PVとの差分の平均値が算出される。そして、その平均値がその時間帯の燃料電池発電装置221の発電電力FCとして計画される。例えば、過去の1月1日から12月31日までの1年間における、0時台、1時台、2時台、・・・のそれぞれの時間帯で、上述の差分の平均値が算出される。つまり、各時間帯では365点の差分の平均値が算出される。そして、例えば、0時台の平均値が、現時点以降における0時台の燃料電池発電装置221の発電電力FCとして計画される。
【0082】
このような比較例の運転モードでは、年間のオンサイト自給率は、63.3%であり、年間の系統電力量率は、36.7%である。オンサイト自給率は、負荷301の全消費電力量に対する、電力システム200から供給されて負荷301で消費された電力量の割合である。系統電力量率は、負荷301の全消費電力量に対する、電力系統100から供給されて負荷301で消費された電力量の割合である。
【0083】
一方、本実施の形態における制御装置10の運転モードでは、年間のオンサイト自給率として100%を得ることができ、かつ、年間の系統電力量率として0%を得ることができる。つまり、第2の期間における負荷301の消費電力Dである電力需要量に対して供給される電力の余剰および不足の低減を効果的に図ることができる。言い換えれば、いわゆる自家発電自家消費を実現することができる。
【0084】
なお、このオンサイト自給率100%および系統電力量率0%は、電力システム200が以下の構成である場合に得られた数値である。つまり、その構成では、太陽光発電装置211は、1800台の太陽光発電パネルを備え、太陽光発電装置211全体の最大出力は500kWである。燃料電池発電装置221は、100台の水素燃料電池を備え、燃料電池発電装置221全体の最大出力または定格出力は500kWである。なお、水素燃料電池は、燃料電池スタック装置とも呼ばれる。また、燃料電池発電装置221の制御範囲は、定格出力から0kWまでの範囲である。なお、個々の水素燃料電池の最大出力は5kWである。そして、制御期間T2は1時間である。蓄電池装置231の最大出力または定格出力は300kWであり、蓄電池装置231の容量は1000kWhである。
【0085】
以上のように、本実施の形態では、サンプリング期間T1である第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムaの出力の実績値との差分を補うように第1の期間より後の制御期間T2である第2の期間における燃料電池システムbの出力が計画される。さらに、第2の期間において計画された出力で燃料電池システムbが発電しているとき、太陽光発電システムaの出力と燃料電池システムbの出力の和が電力需要量よりも大きい場合、蓄電池システムcによって充電が行われる。一方、第2の期間において計画された出力で燃料電池システムbが発電しているとき、太陽光発電システムaの出力と燃料電池システムbの出力の和が電力需要量よりも小さい場合、電力需要量を満たすように蓄電池システムcによって放電が行われる。
【0086】
これにより、サンプリング期間T1である第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムaの出力の実績値との差分を補うように蓄電池システムcの出力が計画される場合に比べ、電力システム200の電力で電力需要量をより満たすことが可能になる。これは、蓄電池システムcの方が燃料電池システムbよりも負荷追従性に優れる一方で、燃料電池システムbの方が、電力の貯蔵容量が蓄電池システムcより大きいことが背景にある。この背景に鑑み、本実施の形態では、制御期間T2である第2の期間における電力需要量と太陽光発電量との差分に対して燃料電池システムbが計画通りにベース電源として電力を補い、かつ補えきれない一時的な差分に対して負荷追従性に優れた蓄電池システムcの電力でこれを補う。これにより、燃料電池システムb及び蓄電池システムcの上記長所と短所を互いに補う形となり、負荷の電力需要量を電力システム200の電力でより満たすことが可能になる。つまり、本実施の形態により、負荷の電力需要を満たすための電力系統100からの買電が低減される。
【0087】
また、本実施の形態では、図2に示すように、サンプリング期間T1のような短い期間における実績値を用いて、その後の制御期間T2のような長い期間における燃料電池発電装置221の出力が計画される。
【0088】
これにより、第2の期間よりも長い第1の期間における実績値を用いて、第2の期間における燃料電池システムの出力を計画する場合に比べ、第2の期間における負荷の電力需要量と太陽光発電システムaの出力との差分に対する燃料電池システムの出力のずれが抑制される。これは、第2の期間よりも長い第1の期間における実績値を用いて、第2の期間における燃料電池システムbの出力を計画する場合に比べ、第2の期間により近い期間の実績値のみを考慮して燃料電池システムbの出力の計画が行われることになるからである。さらに、その長い期間における燃料電池発電装置221の出力が一定に維持されるため、燃料電池発電装置221の劣化を抑制することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、図6のステップS12のように、差分の中央値が用いられるため、第1の期間の実績値が第2の期間でも継続されるような状況では、第2の期間における電力需要量と太陽光発電装置211の出力との差分を、その燃料電池発電装置221の出力で適切に補うことができる。その結果、蓄電池装置231の充放電を抑えることができる。
【0090】
あるいは、本実施の形態では、図6のステップS12において、差分の中央値の代わりに差分の平均値が用いられても、第2の期間における電力需要量と太陽光発電装置211の出力との差分を、その燃料電池発電装置221の出力で適切に補うことができる。その結果、蓄電池装置231の充放電を抑えることができる。
【0091】
以上、本開示の電力システム200の運転方法および制御装置10ついて、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、その実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも本開示に含まれてもよい。
【0092】
例えば、上記実施の形態では、制御装置10は、データベース20、電力システム200、および第4電力計303と通信線を介して通信するが、その通信は、有線通信に限らず、無線通信であってもよい。無線通信は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、または特定小電力無線で行われてもよい。
【0093】
なお、上記実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。ここで、上記実施の形態の制御装置10および電力システム200などを実現するソフトウェアは、図5図8のそれぞれに示すフローチャートの各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムである。
【0094】
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0095】
(1)上記の少なくとも1つの装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。そのRAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、上記の少なくとも1つの装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0096】
(2)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0097】
(3)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部または全部は、その装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカードまたはモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。ICカードまたはモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカードまたはモジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0098】
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0099】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
【0100】
また、本開示は、コンピュータプログラムまたはデジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0101】
また、プログラムまたはデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、またはプログラムまたはデジタル信号をネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本開示の電力システムの運転方法は、例えば、太陽光発電システム、燃料電池システムおよび蓄電池システムなどを制御する装置またはシステムなどに適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 制御装置
11 データ取得部
12 燃料電池出力算出部
13 蓄電池出力算出部
20 データベース
100 電力系統
200 電力システム
210 第1制御器
211 太陽光発電装置
212 第1PCS
213 第1電力計
220 第2制御器
221 燃料電池発電装置
222 第2PCS
223 第2電力計
230 第3制御器
231 蓄電池装置
232 第3PCS
233 第3電力計
301 負荷
303 第4電力計
a 太陽光発電システム
b 燃料電池システム
c 蓄電池システム
T1 サンプリング期間(第1の期間)
T2 制御期間(第2の期間)
【要約】
本開示の電力システムの運転方法は、第1の期間における電力需要量の実績値と太陽光発電システムの出力の実績値との差分を補うように前記第1の期間より後の第2の期間における燃料電池システムの出力を計画するステップと、前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも大きい場合、蓄電池システムに充電させるステップと、前記第2の期間において計画された出力で前記燃料電池システムが発電しているとき、前記太陽光発電システムの出力と前記燃料電池システムの出力の和が電力需要量よりも小さい場合、電力需要量を満たすように前記蓄電池システムに放電させるステップとを備え、前記第1の期間は、前記第2の期間の直前の期間であり、前記第2の期間は、前記第1の期間よりも長く、かつ前記計画された燃料電池システムの出力は前記第2の期間において一定である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9