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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】行動観察システム及びその行動観察方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20240621BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240621BHJP
【FI】
G06Q30/0201
G06T7/00 660A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020051697
(22)【出願日】2020-03-23
(65)【公開番号】P2021149856
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】注連 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】村松 武宗
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】古田 邦夫
【審査官】齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-054588(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181499(WO,A1)
【文献】特開2019-020986(JP,A)
【文献】特開2016-045654(JP,A)
【文献】セブン-イレブン 日本初の顔認証決済とAI活用による省人化 先端技術の導入で、新たなマーケットを開拓,月刊コンビニ,日本,株式会社アール・アイ・シー,2019年02月24日,第22巻,第2号,p.7-13
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の施設を含む複合施設の利用者からなるグループの行動を観察する行動観察システムであって、
前記複合施設の登録者として登録される前記利用者の登録用の顔画像を取得する登録管理装置と、
前記複数の施設にそれぞれ配置され、前記グループを撮影することにより、グループ画像を生成する複数の撮影装置と、
前記グループ画像から取得される前記利用者の認証用の顔画像および前記登録用の顔画像に基づき、顔認証の処理を実行する顔認証装置と、
前記顔認証の処理の結果に基づき、前記利用者が前記各施設で購入した商品または利用したサービスの決済処理をそれぞれ実行する決済装置と、
前記複合施設における前記グループの移動履歴の情報を生成する移動情報生成装置と、
を備え、
前記移動情報生成装置は、前記決済処理が行われた複数の前記施設に関する情報に基づき前記移動履歴の情報を生成する、行動観察システム。
【請求項2】
前記移動履歴の情報を表示する表示装置を更に備えた、請求項1に記載の行動観察システム。
【請求項3】
前記グループ画像に基づき、前記グループをその性質の違いによって区別するためのグループ区分を判定するグループ判定装置を更に備え、
前記移動履歴の情報は、前記グループ区分と共に前記表示装置に表示される、請求項2に記載の行動観察システム。
【請求項4】
前記移動履歴の情報には、所定の時刻または時間帯における前記グループの位置情報が含まれる、請求項2または請求項3のいずれかに記載の行動観察システム。
【請求項5】
前記移動履歴の情報には、前記グループに属する1以上の前記利用者の前記各施設における決済情報が含まれる、請求項1から請求項4のいずれかに記載の行動観察システム。
【請求項6】
前記表示装置は、前記移動履歴の情報として、前記グループの移動履歴を含む前記複合施設のマップ画面を表示する、請求項2に記載の行動観察システム。
【請求項7】
複数の施設を含む複合施設の利用者からなるグループの行動を観察するサーバを備える行動観察システムの行動観察方法であって、
前記サーバは、
a)前記複合施設の登録者として登録される前記利用者の登録用の顔画像を取得し、
b)前記複数の施設にそれぞれ配置された撮影装置により、前記グループを撮影することにより、グループ画像を生成し、
c)前記グループ画像から取得される前記利用者の認証用の顔画像および前記登録用の顔画像に基づき、顔認証の処理を実行し、
d)前記顔認証の処理の結果に基づき、前記利用者が前記各施設で購入した商品または利用したサービスの決済処理をそれぞれ実行し、
e)前記複合施設における前記グループの移動履歴の情報を生成し、
f)前記移動履歴の情報は、前記決済処理が行われた複数の前記施設に関する情報に基づき生成される、
行動観察システムの行動観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の施設を含む複合施設の利用者からなるグループの行動を観察する行動観察システム及び行動観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グループ及びそのグループに属する個人に対する情報提供などを目的として、グループに属する人物の顔画像からグループ区分(またはグループの属性)を判定する技術が開発されている。
【0003】
例えば、撮像手段を介して人物の顔画像を取得し、取得した顔画像が複数個あった場合に人物の数を取得し、取得した顔画像から特徴量を取得し、その特徴量に基づいて人物の属性を取得し、それら人物の属性と人物の数とから人物の属するグループ属性を決定する情報提供装置が知られている(特許文献1参照)。この従来の情報提供装置は、そのグループ属性に応じて提供すべき提供情報を決定し、その決定した提供情報をその人物に向けて出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-227158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような情報提供装置が、統合型リゾートのような複合施設を利用する複数のグループの構成員(その少なくとも一部)に情報を配信する場合、そのグループ及びその構成員の行動(例えば、移動状況や店舗等の利用状況)を把握できれば、より効果的な情報配信を実現できる可能性がある。
【0006】
また、そのような行動を適切に把握できれば、グループで行動する複合施設の利用者に提供されるサービスの向上にも役立つ可能性がある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、複合施設におけるグループ及びその構成員の行動を把握するための手段や方法については一切開示されていない。
【0008】
そこで、本開示は、複合施設の利用者からなるグループの行動を適切に把握できる行動観察システム及び行動観察方法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の行動観察システムは、複数の施設を含む複合施設の利用者からなるグループの行動を観察する行動観察システムであって、前記複合施設の登録者として登録される前記利用者の登録用の顔画像を取得する登録管理装置と、前記複数の施設にそれぞれ配置され、前記グループを撮影することにより、グループ画像を生成する複数の撮影装置と、前記グループ画像から取得される前記利用者の認証用の顔画像および前記登録用の顔画像に基づき、顔認証の処理を実行する顔認証装置と、前記顔認証の処理の結果に基づき、前記利用者が前記各施設で購入した商品または利用したサービスの決済処理をそれぞれ実行する決済装置と、前記複合施設における前記グループの移動履歴の情報を生成する移動情報生成装置と、を備え、前記移動情報生成装置は、前記決済処理が行われた複数の前記施設に関する情報に基づき前記移動履歴の情報を生成する、構成とする。
【0010】
本開示の行動観察方法は、複数の施設を含む複合施設の利用者からなるグループの行動を観察するサーバを備える行動観察システムの行動観察方法であって、前記サーバは、a)前記複合施設の登録者として登録される前記利用者の登録用の顔画像を取得し、b)前記複数の施設にそれぞれ配置された撮影装置により、前記グループを撮影することにより、グループ画像を生成し、c)前記グループ画像から取得される前記利用者の認証用の顔画像および前記登録用の顔画像に基づき、顔認証の処理を実行し、d)前記顔認証の処理の結果に基づき、前記利用者が前記各施設で購入した商品または利用したサービスの決済処理をそれぞれ実行し、e)前記複合施設における前記グループの移動履歴の情報を生成し、f)前記移動履歴の情報は、前記決済処理が行われた複数の前記施設に関する情報に基づき生成される、構成とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、複合施設の利用者からなるグループの行動を適切に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る施設管理システムの全体構成図
図2】利用者の顔認証の処理の対象となるイベントの例を示す説明図
図3】顔認証機1の概略構成を示すブロック図
図4】管理端末2の概略構成を示すブロック図
図5】登録装置5の概略構成を示すブロック図
図6】顔管理サーバ8の概略構成を示すブロック図
図7】顔照合サーバ9の概略構成を示すブロック図
図8】外部装置の概略構成を示すブロック図
図9】グループ管理サーバ4の概略構成を示すブロック図
図10】グループ区分の一例を示す説明図
図11】複数のグループからなるより大きなグループを示す説明図
図12】グループリストの一例を示す説明図
図13】グループが訪問した施設の履歴の一例を示す説明図
図14】グループが訪問した施設の履歴の一例を示す説明図
図15】顔画像抽出処理の概要を示す説明図
図16】登録装置5に表示される登録画面の一例を示す説明図
図17】利用者に関する登録処理の手順を示すシーケンス図
図18】利用者に関する顔認証の処理の第1の例を示す説明図
図19】利用者に関する顔認証の処理の第2の例を示す説明図
図20】顔認証機1に表示される認証画面の一例を示す説明図
図21】利用者に関する顔認証の処理の第3の例を示す説明図
図22】登録者に対する情報配信処理の例を示す説明図
図23】個別の利用者に対する情報配信(比較例)とグループ管理サーバ4による情報配信との比較を示す説明図
図24】グループ行動情報の生成処理の例を示す説明図
図25】グループの行動を観察するための画面表示処理の例を示す説明図
図26】グループ行動の表示画面の例を示す説明図
図27】グループ行動の表示画面の例を示す説明図
図28】グループ行動の表示画面の例を示す説明図
図29】グループ行動の表示画面の例を示す説明図
図30】グループ行動の表示画面の例を示す説明図
図31】複数のグループを大グループとして設定するグループ統合処理の例を示す説明図
図32】人脈チャート作成処理の例を示す説明図
図33】人脈チャートの例を示す説明図
図34】登録情報の管理用画面の一例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記課題を解決するためになされた第1の発明は、複数の施設を含む複合施設の利用者からなるグループの行動を観察する行動観察システムであって、前記複合施設の登録者として登録される前記利用者の登録用の顔画像を取得する登録管理装置と、前記複数の施設にそれぞれ配置され、前記グループを撮影することにより、グループ画像を生成する複数の撮影装置と、前記グループ画像から取得される前記利用者の認証用の顔画像および前記登録用の顔画像に基づき、顔認証の処理を実行する顔認証装置と、前記顔認証の処理の結果に基づき、前記利用者が前記各施設で購入した商品または利用したサービスの決済処理をそれぞれ実行する決済装置と、前記複合施設における前記グループの移動履歴の情報を生成する移動情報生成装置と、を備え、前記移動情報生成装置は、前記決済処理が行われた複数の前記施設に関する情報に基づき前記移動履歴の情報を生成する、構成とする。
【0014】
これによると、グループに属する利用者の各施設における決済処理の情報に基づき、グループの移動履歴の情報を生成するため、複合施設の利用者からなるグループの行動を適切に把握できる。
【0015】
また、第2の発明は、前記移動履歴の情報を表示する表示装置を更に備えた、構成とする。
【0016】
これによると、行動観察システムの管理者は、複合施設の利用者からなるグループの行動を容易に把握できる。
【0017】
また、第3の発明は、前記グループ画像に基づき、前記グループをその性質の違いによって区別するためのグループ区分を判定するグループ判定装置を更に備え、前記移動履歴の情報は、前記グループ区分と共に前記表示装置に表示される、構成とする。
【0018】
これによると、複合施設の利用者からなるグループの行動を、グループの性質の違いに基づき適切に把握できる。
【0019】
また、第4の発明は、前記移動履歴の情報には、所定の時刻または時間帯における前記グループの位置情報が含まれる、構成とする。
【0020】
これによると、複合施設の利用者からなるグループの行動を、所定の時刻または時間帯におけるグループの移動履歴に基づき適切に把握できる。
【0021】
また、第5の発明は、前記移動履歴の情報には、前記グループに属する1以上の前記利用者の前記各施設における決済情報が含まれる、構成とする。
【0022】
これによると、複合施設の利用者からなるグループの行動を、各施設における1以上の利用者の決済情報に基づき適切に把握できる。
【0023】
また、第6の発明は、前記表示装置は、前記移動履歴の情報として、前記グループの移動履歴を含む前記複合施設のマップ画面を表示する、構成とする。
【0024】
これによると、行動観察システムの管理者は、複合施設の利用者からなるグループの行動を、表示装置に表示されたマップ画面によって容易に把握できる。
【0025】
また、第7の発明は、複数の施設を含む複合施設の利用者からなるグループの行動を観察するサーバを備える行動観察システムの行動観察方法であって、前記サーバは、a)前記複合施設の登録者として登録される前記利用者の登録用の顔画像を取得し、b)前記複数の施設にそれぞれ配置された撮影装置により、前記グループを撮影することにより、グループ画像を生成し、c)前記グループ画像から取得される前記利用者の認証用の顔画像および前記登録用の顔画像に基づき、顔認証の処理を実行し、d)前記顔認証の処理の結果に基づき、前記利用者が前記各施設で購入した商品または利用したサービスの決済処理をそれぞれ実行し、e)前記複合施設における前記グループの移動履歴の情報を生成し、f)前記移動履歴の情報は、前記決済処理が行われた複数の前記施設に関する情報に基づき生成される、構成とする。
【0026】
これによると、グループに属する利用者の各施設における決済処理の情報に基づき、グループの移動履歴の情報を生成するため、複合施設の利用者からなるグループの行動を適切に把握できる。
【0027】
以下、本開示の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る施設管理システムの全体構成図である。
【0029】
この施設管理システムは、顔認証機1と、管理端末2と、顔認証サーバ3(顔認証装置、登録管理装置)と、グループ管理サーバ4(グループ判定装置、情報配信装置、移動情報生成装置)と、登録装置5と、施設ディスプレイ6(表示装置)と、施設カメラ7(撮影装置)と、を備える。顔認証サーバ3は、顔管理サーバ8と、顔照合サーバ9と、を備えている。それらの各構成要素は、施設管理システムに複数設けられ得る。
【0030】
施設管理システムは、複合施設の利用者(特に、複数の利用者からなるグループ)に対して有益な情報を提供する情報配信システムとして機能し得る。また、施設管理システムは、複合施設における利用者の行動(特に、利用者からなるグループの行動)を観察するための行動観察システムとしても機能し得る。
【0031】
複合施設は、例えば統合型リゾートである。複合施設には、会議施設、展示施設、魅力増進施設(劇場、演芸場、音楽堂、競技場、映画館、博物館、美術館、レストランなど)、送客施設(駅、駐車場など)、宿泊施設およびアミューズメント施設などが含まれ得る。また、複合施設は、任意のエリア(例えば、地方自治体のエリア)に設けられた複数の公共施設や商業施設の集合であってもよい。
【0032】
顔認証機1、管理端末2、グループ管理サーバ4、登録装置5、施設ディスプレイ6、施設カメラ7、顔管理サーバ8および顔照合サーバ9は、インターネットなどのネットワークを介して相互に通信可能に接続されている。また、グループ管理サーバ4、登録装置5、及び顔管理サーバ8等は、複合施設の利用者の携帯端末10と、ネットワークを介して通信可能である。携帯端末10には、スマートフォン及びタブレット端末などが含まれる。
【0033】
顔認証機1は、複合施設のエリアの出入口、ならびに複合施設を構成する各施設の建物の出入口や部屋の出入口など、顔認証が必要とされる複数の場所にそれぞれ設置される。登録装置5は、複合施設の来訪者等の受付を行う受付カウンタなどに配置される。顔照合サーバ9は、顔認証機1の台数などに応じて所要の数が設けられる。
【0034】
顔認証機1は、顔認証用のカメラ11(撮影装置)を備えており、このカメラ11により、複合施設の利用者(複合施設への来訪者)が写る撮影画像を取得する。この撮影画像には、グループで行動する複数の利用者が写るグループ画像が含まれる。複合施設の適所には、複数の施設カメラ7が設置されている。各施設カメラ7は、顔認証用のカメラ11と同様に利用者の撮影画像を取得することができる。例えば、顔認証用のカメラ11には一方向性のカメラが用いられ、各施設カメラ7には全方位カメラが用いられる。
【0035】
また、顔認証機1は、顔認証用のディスプレイ12を有している。ディスプレイ12は、顔照合サーバ9から取得した顔認証結果を表示する。この表示により、利用者は顔認証結果を把握することができる。
【0036】
管理端末2は、PCで構成され、施設管理システムの管理者によって操作される。管理端末2のディスプレイ32(表示装置)には、管理者が施設管理システムを管理するための各種情報が表示される。また、複合施設の適所には、複数の施設ディスプレイ6が設置されている。各施設ディスプレイ6は、管理端末2からの指令に応じて、利用者向けの情報または複合施設のスタッフ向けの情報を表示することができる。
【0037】
管理端末2には、管理アプリケーションがインストールされている。この管理アプリケーションは、顔認証機1、グループ管理サーバ4、登録装置5、施設ディスプレイ6、施設カメラ7、顔管理サーバ8、及び顔照合サーバ9の各動作を管理するために用いられる。管理者は、管理アプリケーションにより、種々の管理業務を行うことができる。なお、管理アプリケーションはWebアプリケーションとして実装される。
【0038】
グループ管理サーバ4は、複合施設においてグループで行動する利用者を管理する。具体的には、グループ管理サーバ4は、顔認証サーバ3等と協働することにより、複合施設におけるグループの行動の観察や、グループの構成員(グループに属する1以上の利用者)に対して情報配信などを行う。
【0039】
登録装置5は、利用者の顔認証の処理に用いられる情報(以下、登録者情報という。)を取得する。登録者情報には、各利用者の登録用の顔画像や、その顔画像以外の利用者の登録情報が含まれ得る。複合施設の利用者は、施設管理システムに登録者情報を登録することにより、複合施設の登録者(登録済みの利用者)として扱われる。登録者は、複合施設の正規の利用者であり、顔認証に基づくセキュリティゲートの通過や、顔認証に基づく決済処理などを行うことができる。
【0040】
登録情報には、利用者の氏名のように永続的に利用者を特定可能な情報が含まれ得る。また、登録情報には、利用者を特定可能な一時的な情報が含まれ得る。そのような一時的な情報には、複合施設の利用者に一時的に付与される登録者番号や、複合施設内で登録者が使用する会議室(面談が可能な任意のスペースを含む)の番号や、宿泊施設等で登録者が滞在する部屋の番号などが含まれる。
【0041】
また、登録情報には、複合施設の利用方法について利用者の意思を確認するための情報も含まれ得る。そのような情報には、携帯端末10等への情報配信を利用者が希望するか否かの情報などが含まれる。
【0042】
利用者は、複合施設を利用するためのアプリ(アプリケーションプログラム)18を自身の携帯端末10にインストールすることができる。アプリ18は、上述の登録装置5の代わりに、利用者から登録者情報を取得する機能を有する。つまり、携帯端末10は、登録装置5として機能し得る。以下では、主として登録装置5について説明するが、携帯端末10が登録装置5として機能する場合もそれと同様である。
【0043】
顔管理サーバ8は、各登録者の情報(個人情報を含む)を取得し、それらを一元管理する。具体的には、顔管理サーバ8は、各登録者について、登録用の顔画像のデータおよび登録情報を関連付けて蓄積し、それらを管理する。顔管理サーバ8は、登録用の顔画像および登録情報を、利用者の登録時に登録装置5(または携帯端末10)から取得する。また、顔管理サーバ8は、登録用の顔画像および登録情報に含まれる少なくとも一部の情報を管理端末2(すなわち、施設管理システムの管理者)から取得してもよい。
【0044】
顔照合サーバ9は、顔認証時に、1以上の顔認証の対象者の認証用の顔画像のデータを顔認証機1から取得して、その顔画像のデータから対象者の顔特徴量データを生成して、その対象者の顔特徴量データと、自装置に保管された登録者の顔特徴量データとを比較することによる顔照合を行って、対象者が登録者か否かを判定する顔認証を行う。
【0045】
また、顔照合サーバ9は、顔認証に先だって、利用者の登録時に、利用者の登録用の顔画像のデータを顔管理サーバ8(または登録装置5)から取得して、その顔画像のデータから利用者の顔特徴量データを生成して、自装置に保管する。場合によっては、顔照合サーバ9は、利用者の撮影画像を管理端末2(すなわち、管理者)から取得して、その撮影画像から顔画像のデータを取得することもできる。
【0046】
なお、本実施形態では、顔管理サーバ8と顔照合サーバ9とを、それぞれ物理的に異なる情報処理装置内に存在するものとしたが、それらは単一の情報処理装置内に存在してもよい。さらに、顔管理サーバ8及び顔照合サーバ9の少なくとも一方と、後に詳述するグループ管理サーバ4とが、単一の情報処理装置内に存在してもよい。
【0047】
また、本実施形態では、管理端末2と顔管理サーバ8とを設けるようにしたが、管理端末2と顔管理サーバ8とを単一の情報処理装置で構成することができる。例えば顔管理サーバ8に管理アプリケーションをインストールすることで、顔管理サーバ8が管理端末2を兼用することができる。
【0048】
また、本実施形態では、複合施設の利用者の顔認証の処理において顔特徴量照合を行うようにしたが、顔照合は、顔特徴量照合に限定されず、機械学習などを適用した照合方法を採用してもよい。さらに、本実施形態は、顔認証以外の生体認証にも適用することができる。
【0049】
次に、施設管理システムを適用した複合施設において、利用者の顔認証の処理の対象となるイベントの例について説明する。図2は、複合施設において発生するイベントの例を示す説明図である。
【0050】
図2に示すように、複合施設の利用者からなるグループ100は、受付に配置された登録装置5により、施設管理システムへの登録(すなわち、顔認証の処理に用いられる情報の登録)の操作を行うことができる。登録の操作を完了した利用者は、複合施設において登録者100Aとして扱われる。また、所定期間内に複合施設を再訪した登録済みの利用者についても登録者100Aとして扱われる。複合施設では、全ての利用者が登録を行うこと(すなわち、登録者であること)は必須ではない。ただし、複合施設では、複数の利用者からなるグループ100内に少なくとも1人の登録者100Aが含まれるように、利用者に登録を促すとよい。なお、グループ100は、通常は複数のグループ構成員から構成されるが、単独の利用者も含み得る。
【0051】
複合施設では、複合施設内でのグループ100(登録者100Aを含む)の行為によって発生する様々なイベント(図2中の2点鎖線内を参照)ごとに顔認証が実行される。
【0052】
例えば、登録者100Aが、複合施設内での利用者の通行を管理するセキュリティゲート前で顔認証を受けることにより、グループ100は、当該セキュリティゲートを通過することが可能となる。セキュリティゲートには、ゲート装置(外部装置16)と連携する(すなわち、扉部の開閉状態を制御する)顔認証機1を設置することができる。
【0053】
また例えば、登録者100Aが、宿泊施設内の客室前において顔認証を受けることにより、グループ100は、当該客室への入室が可能となる。客室前には、客室のドアを施錠するロック装置と連携する(すなわち、ドアの施錠またはその解除を制御する)顔認証機1を配置することができる。
【0054】
また例えば、登録者100Aが、複合施設内のレストラン内において顔認証を受けることにより、グループ100は、当該レストランの利用料金の決済処理(顔認証による自動決済)を行うことができる。レストランには、グループ100に属する各利用者の顔を撮影可能なカメラ11が設置され、顔認証機1は、レストランでの利用料金の支払いに用いられる決済装置(図示せず)と連携する。
【0055】
また例えば、登録者100Aは、複合施設内のジムにおいて顔認証を受けることにより、当該ジムの利用料金の決済処理を行うことができる。ジムには、登録者100Aの顔を撮影可能なカメラ11が設置され、顔認証機1は、ジムでの利用料金の支払いに用いられる決済装置(図示せず)と連携する。なお、グループ100に属する他の利用者(未登録者)は、登録者100Aと共にジムを利用することにより、その決済処理を一括して行うことができる。
【0056】
なお、複合施設内で発生するイベントには、上述の例に限らず、例えば、複合施設の駐車場における利用料金の決済処理や、複合施設内の宿泊施設におけるランドリーサービスの利用料金の決済処理や、複合施設内の浴場の利用料金の決済処理などの種々の事象が含まれ得る。
【0057】
次に、顔認証機1の概略構成について説明する。図3は、顔認証機1の概略構成を示すブロック図である。
【0058】
顔認証機1は、カメラ11と、ディスプレイ12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15と、制御信号送信部17と、を備えている。
【0059】
カメラ11は、所定の撮影エリアを常時撮影し、撮影エリアに利用者からなるグループが入るとそのグループが撮影され、顔認証の対象者を含む撮影画像(グループ画像)を取得することができる。なお、省電力化のため、人感センサ(図示せず)を設けて、人の到来を検知してカメラ11が起動するようにしてもよい。
【0060】
ディスプレイ12は、顔認証の進行状況や顔認証結果を表示し、顔認証を受けるグループは、それらを確認することができる。なお、ディスプレイ12には、認証結果を出力する出力部としてスピーカーを設けて、顔認証結果を音声で通知するようにしてもよい。また、ディスプレイ12は、顔認証機1の設置場所によっては(例えば、セキュリティゲートに顔認証機1を設置する場合)、省略することができる。
【0061】
通信部13は、ネットワークを介して顔照合サーバ9と通信を行う。本実施形態では、撮影画像(顔画像)データを顔照合サーバ9に送信する。また、顔照合サーバ9から利用者の認証結果を受信する。また、通信部13は、ネットワークを介してグループ管理サーバ4及び顔管理サーバ8と通信を行う。
【0062】
記憶部14は、撮影画像(顔画像)のデータ、制御部15を構成するプロセッサで実行される制御プログラムなどを記憶する。
【0063】
制御部15は、顔画像抽出部22と、顔照合要求部23と、認証結果通知部24と、認証結果調整部25と、を備えている。この制御部15は、プロセッサで構成され、制御部15の各部は、記憶部14に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0064】
顔画像抽出部22は、カメラ11からグループの撮影画像を取得して、その撮影画像から1以上の人物の顔を検知して、検知した顔のサイズがそれぞれ適正であるかを判定し、撮影画像から顔領域を切り出して、1以上の利用者の顔画像のデータを取得することができる。なお、顔画像データは、顔領域の画像のみのデータでもよいが、撮影画像(所定の撮影エリアの画像)のデータと、その撮影画像のデータ上の顔領域の位置情報(顔枠情報)との組み合わせとしてもよい。
【0065】
顔照合要求部23は、撮影画像に含まれる各利用者について、顔照合サーバ9に顔照合のリクエストを通信部13によって送信する。
【0066】
認証結果通知部24は、通信部13によって顔照合サーバ9から取得した顔認証結果をディスプレイ12に表示することにより、顔認証結果をグループに通知する。
【0067】
認証結果調整部25は、顔照合サーバ9から取得した利用者の顔照合結果に基づき外部装置16と連携するための制御を行う。外部装置16としては、例えば、複合施設における登録者の通行を管理するゲート装置、複合施設におけるホテルの客室や所定エリアへの入退室を管理するドアのロック装置、及び登録者が複合施設内で受けたサービスや購入品等に対する支払いを行うための決済装置などを用いることができる(図2参照)。決済装置は、登録者のクレジットカード等の情報に基づき、後払いの決済処理を行うことができる。認証結果調整部25は、決済装置から各登録者の決済処理結果を取得することができる。決済処理結果には、各施設における商品の購入及びサービスの利用に対する支払い金額(消費額)に関する情報が含まれる。
【0068】
顔認証機1と外部装置16とは、通信ケーブル等によって直接接続されるか、公知のネットワークを介して通信可能に接続される。認証結果調整部25は、接続アプリケーションで構成されることにより、利用者の顔照合結果を、外部装置16を含む外部システムのサーバ等に通知することができる。
【0069】
制御信号送信部17は、外部装置16に対し、その動作を制御するための制御信号を送信する。
【0070】
次に、管理端末2について説明する。図4は、管理端末2の概略構成を示すブロック図である。
【0071】
管理端末2は、通信部31と、ディスプレイ32と、入力デバイス33と、記憶部34と、制御部35と、を備えている。
【0072】
通信部31は、ネットワークを介して顔管理サーバ8と通信を行う。本実施形態では、顔管理サーバ8から画面情報などを受信し、これに応じた管理者の操作情報などを顔管理サーバ8に送信する。また、通信部31は、ネットワークを介してグループ管理サーバ4と通信を行う。
【0073】
ディスプレイ32は、各種の画面を表示する。入力デバイス33は、マウスやキーボードなどであり、ディスプレイ32に表示された画面の操作を行う。
【0074】
記憶部34は、制御部35を構成するプロセッサで実行されるプログラム(管理アプリケーション)などを記憶する。
【0075】
制御部35は、GUI制御部38を備えている。この制御部35は、プロセッサで構成され、制御部35の各部は、記憶部34に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0076】
GUI制御部38は、顔管理サーバ8およびグループ管理サーバ4から配信される各種情報に関する画面をディスプレイ32に表示する。また、入力デバイス33を用いた管理者の入力操作に応じて、入力情報を取得するとともに画面制御を行う。本実施形態では、GUI制御部38は、複合施設における利用者の行動(特に、利用者からなるグループの行動)を観察する画面に関する表示入力制御を行う。また、GUI制御部38は、登録者の管理に関連する画面、具体的には、利用者の情報に関する登録(個別登録、一括登録)、参照、更新および削除に関連する画面に関する表示入力制御を行う。
【0077】
次に、登録装置5の概略構成について説明する。図5は、登録装置5の概略構成を示すブロック図である。
【0078】
登録装置5は、入力デバイス40と、顔撮影用のカメラ41と、ディスプレイ42と、通信部43と、記憶部44と、制御部45と、を備えている。
【0079】
入力デバイス40は、キーボードなどから構成される。入力デバイス40は、タッチパネルとしてディスプレイ42と一体に設けられてもよい。利用者(または受付者)は、入力デバイス40によって利用者の登録情報の入力を行うことができる。
【0080】
顔撮影用のカメラ41は、例えば複合施設の受付に訪れた利用者の顔を撮影することにより、利用者の撮影画像を取得することができる。
【0081】
また、登録装置5には、利用者が所持する情報記録媒体(例えば、RFIDタグ)から利用者の登録情報を無線通信によって読み取り可能な情報読取装置(例えば、RFIDリーダ)を設けることも可能である。
【0082】
ディスプレイ42は、利用者に対して登録者情報の登録手順を示す登録画面(図16(A)-(F)参照)を表示することができる。また、ディスプレイ42にスピーカーを付設することにより、登録手順等を利用者に音声で案内するようにしてもよい。また、ディスプレイ42をタッチパネルにより構成することで、利用者がタッチ操作により入力した情報を取得することが可能となる。
【0083】
通信部43は、ネットワークを介して顔管理サーバ8と通信を行う。本実施形態では、顔画像データおよび登録情報を顔管理サーバ8に送信する。
【0084】
記憶部44は、登録者の撮影画像(顔画像)のデータ、登録者の特定情報、及び制御部45を構成するプロセッサで実行される制御プログラムなどを記憶する。
【0085】
制御部45は、顔画像抽出部46と、登録情報取得部47と、登録要求部48と、GUI制御部49と、を備えている。この制御部45は、プロセッサで構成され、制御部45の各部は、記憶部44に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0086】
顔画像抽出部46は、顔撮影用のカメラ41から利用者(登録対象者)の撮影画像を取得し、その撮影画像から人物の顔を検知し、利用者の顔画像が適切に取得されたか否かを判定することができる。また、取得された顔画像が適切でない場合には、顔画像抽出部46は、利用者に再撮影を促すメッセージをディスプレイ42に表示させることができる。なお、顔画像抽出部46は、上述の顔認証機1の顔画像抽出部22と同様の機能を有してもよい。
【0087】
登録情報取得部47は、入力デバイス40からの入力された登録情報を取得する。
【0088】
登録要求部48は、顔管理サーバ8に対し、利用者の登録のリクエストを通信部43によって送信する。
【0089】
GUI制御部49は、顔管理サーバ8から配信される利用者に対する各種の案内画面をディスプレイ42に表示する。また、入力デバイス40を用いた利用者の入力操作に応じて、入力情報を取得するとともに画面制御を行う。
【0090】
次に、顔管理サーバ8の概略構成について説明する。図6は、顔管理サーバ8の概略構成を示すブロック図である。
【0091】
顔管理サーバ8は、通信部51と、記憶部52と、制御部53と、を備えている。
【0092】
通信部51は、ネットワークを介して管理端末2と通信を行う。また、通信部51は、ネットワークを介して顔認証機1と通信を行う。また、通信部51は、グループ管理サーバ4と通信を行う。また、通信部51は、登録装置5と通信を行う。また、通信部51は、顔照合サーバ9と通信を行う。また、通信部51は、登録装置5の代わりに、アプリ18がインストールされた携帯端末10と通信を行うこともできる。
【0093】
記憶部52は、顔情報データベース、制御部53を構成するプロセッサで実行される制御プログラムなどを記憶する。
【0094】
顔情報データベースには、各登録者(登録された各利用者)に関する情報として、登録用の顔画像が蓄積される。また、顔情報データベースには、各登録者の登録情報が登録用の顔画像に関連付けられて蓄積される。なお、登録用の顔画像および登録情報は、プライバシー保護のために暗号化された状態で記憶してもよい。さらに、顔情報データベースには、登録用の顔画像および登録情報の一部を、匿名化した情報で置き換えた状態で記憶してもよい。
【0095】
制御部53は、登録者管理部62と、顔照合サーバ管理部65と、顔情報管理部66と、データベース管理部67と、を備えている。この制御部53は、プロセッサで構成され、制御部53の各部は、記憶部52に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。制御部53の各部は、WebAPI(Web Application Programming Interface)として構成される。
【0096】
登録者管理部62は、各登録者の登録用の顔画像および登録情報などの登録者情報を管理し、管理端末2からの要求に応じて、登録者情報に関する必要な処理を行う。本実施形態では、管理端末2から、各登録者に関する登録、参照、更新および削除の要求が行われ、登録者管理部62は、その要求に応じて必要な処理を行う。
【0097】
顔照合サーバ管理部65は、顔照合サーバ9に関する情報を管理し、管理端末2からの要求に応じて、顔照合サーバ9に関する必要な処理を行う。
【0098】
顔情報管理部66は、自装置に保管された登録者情報(顔画像、登録情報など)と、顔照合サーバ9に保管された登録者の顔情報(登録者の顔特徴量データ)とが整合した状態に維持されるように、顔情報の同期を行う。
【0099】
データベース管理部67は、自装置に設けられたデータベースを管理し、データベースのバックアップおよびレストアを行う。
【0100】
次に、顔照合サーバ9の概略構成について説明する。図7は、顔照合サーバ9の概略構成を示すブロック図である。
【0101】
顔照合サーバ9は、通信部71と、記憶部72と、制御部73と、を備えている。
【0102】
通信部71は、ネットワークを介して顔認証機1と通信を行う。本実施形態では、顔認証機1から撮影画像(顔画像)データなどを受信する。また、利用者の認証結果などを顔認証機1に送信する。また、通信部71は、ネットワークを介して顔管理サーバ8と通信を行う。本実施形態では、各種の処理のリクエストなどを顔管理サーバ8から受信し、それに応じたレスポンスなどを顔管理サーバ8に送信する。また、通信部71は、ネットワークを介してグループ管理サーバ4と通信を行う。
【0103】
記憶部72は、顔照合データベース、登録者と特徴量との間の関連付け情報、制御部73を構成するプロセッサで実行される制御プログラムなどを記憶する。顔照合データベースには、登録者に関する情報として、登録者の顔特徴量データなどが登録される。
【0104】
制御部73は、画像品質チェック部82と、顔画像抽出部83と、顔特徴量生成部84と、顔特徴量照合部86と、データベース管理部88と、位置情報取得部89と、決済情報取得部90と、を備えている。この制御部73は、プロセッサで構成され、制御部73の各部は、記憶部72に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。制御部73の各部は、WebAPIとして構成される。
【0105】
画像品質チェック部82は、撮影画像内の顔領域の画像が所定の品質を満足しているか否かを判定する。具体的には、対象となる画像から、マスクの着用の有無およびサングラスの着用の有無を検知し、また、顔認証適合度(顔の向きや表情による評価値)を算出する。
【0106】
顔画像抽出部83は、利用者の登録時に、登録装置5によって取得された利用者(グループ)の撮影画像から顔画像を抽出する。このとき必要に応じて、顔画像抽出部83は、撮影画像から人物の顔を検知し、検知した顔のサイズが適正であるかを判定し、撮影画像から顔領域を切り出して、人物の顔画像を取得する。なお、顔画像抽出部83は、顔認証時に、顔認証機1によって取得された利用者の撮影画像から顔画像を抽出することもできる。
【0107】
顔特徴量生成部84は、利用者の登録時および顔認証時に、登録用の顔画像および認証用の顔画像のデータから顔特徴点を検出して顔特徴量データをそれぞれ生成する。
【0108】
顔特徴量照合部86は、顔認証時に、顔認証機1から取得した認証用の顔画像のデータから生成した認証対象者の顔特徴量データと、自装置に保管された登録者(登録済みの利用者)の顔特徴量データとを比較して、認証対象者が登録者か否かを判定する。このとき、認証用の顔画像に複数の認証対象者の顔が含まれる場合には、顔特徴量照合部86は、各認証対象者が登録者か否かをそれぞれ判定する。
【0109】
なお、顔特徴量照合部86では、認証対象者と登録者との類似度(照合スコア)を算出する。この類似度を所定のしきい値と比較することで、顔認証の成否を判定することができる。この成否の判定結果を照合結果として顔認証機1に通知する他に、類似度の高い登録者に関する人物IDや類似度を照合結果として顔認証機1に通知するようにしてもよい。
【0110】
データベース管理部88は、自装置に設けられたデータベースを管理し、データベースのバックアップおよびレストアを行う。
【0111】
位置情報取得部89は、撮影画像の撮影位置(例えばカメラ11または施設カメラ7の位置)及び撮影時刻の情報を取得する。位置情報取得部89は、その撮影画像の撮影位置を、その撮影画像に含まれる登録者の撮影時刻における位置(当該登録者が属するグループの撮影時刻における位置)として取得する。各登録者の撮影時刻における位置の情報は、記憶部72に記憶される。
【0112】
決済情報取得部90は、登録者の決済情報として、顔認証機1から決済装置(外部装置16)による決済処理結果を取得することができる。決済情報は、記憶部72に記憶される。
【0113】
なお、本実施形態では、顔照合サーバ9の主たる機能として、顔画像抽出、顔特徴量生成、顔特徴量照合、登録者の位置情報の取得、及び登録者の決済情報の取得の各機能を備えているが、これらの機能を互いに独立した別の情報処理装置で構成することができる。例えば、顔画像抽出の機能を、他の顔特徴量生成および顔特徴量照合などの機能とは独立した別の情報処理装置で構成するようにしてもよい。
【0114】
次に、外部装置16の概略構成について説明する。図8は、外部装置16の概略構成を示すブロック図である。
【0115】
外部装置16は、制御信号受信部91と、駆動部92と、電源部93と、制御部94と、を備えている。
【0116】
制御信号受信部91は、顔認証機1の制御信号送信部17から送信された制御信号(外部装置16と連携する顔認証機1からの動作指令)を受信する。
【0117】
駆動部92は、顔認証機1からの制御信号に基づき、制御部94によって制御される。例えば、外部装置16がゲート装置である場合、駆動部92は、ゲート装置の扉部を開放(または閉鎖)するための動力を供給する。また、外部装置16がドアのロック装置である場合、駆動部92は、ロック装置の施錠(または施錠を解除)するための動力を供給する。なお、外部装置16が駆動される部位を備えない決済装置である場合には、駆動部92を省略することが可能である。
【0118】
電源部93は、外部装置16の各部に電力を供給する。また、電源部93は、顔認証機1の給電部97に電気的に接続され、当該給電部97に対しても電力を供給することが可能である。給電部97は、顔認証機1の各部に電力を供給する。また、LANケーブルを介して顔認証機1の給電部97と接続されることにより、PoE給電によって給電部97に電力を供給することができる。
【0119】
また、電源部93は、施設内全般の電力供給ラインとは独立した無停電電源装置(または非常用電源)から電力供給を受けることが可能である。これにより、例えば外部装置16としてのゲート装置は、施設内で停電が発生した場合でも、通常の動作を行うことが可能となり、施設のセキュリティを維持できるという利点がある。
【0120】
制御部94は、外部装置16の各部の動作を制御する。また、制御部94は、外部装置16として必要な処理を実行することができる。制御部94は、プロセッサで構成され、図示しない記憶部(メモリ)に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0121】
次に、グループ管理サーバ4の概略構成について説明する。図9は、グループ管理サーバ4の概略構成を示すブロック図である。図10は、グループ区分の一例を示す説明図である。図11は、複数のグループからなるより大きなグループを示す説明図である。図12は、グループリストの一例を示す説明図である。図13は、グループが訪問した施設の履歴の一例を示す説明図である。図14は、グループが訪問した施設の履歴の一例を示す説明図である。
【0122】
グループ管理サーバ4は、通信部101と、記憶部102と、制御部103と、を備えている。
【0123】
通信部101は、ネットワークを介して管理端末2と通信を行う。本実施形態では、通信部101は、グループ行動情報を管理端末2に送信する。また、通信部101は、ネットワークを介して携帯端末10と通信を行う。本実施形態では、通信部101は、複合施設の利用に関するグループ向けの情報を携帯端末10に送信する。また、通信部101は、ネットワークを介してカメラ11と通信を行う。本実施形態では、通信部101は、カメラ11から撮影画像を受信する。なお、通信部101は、カメラ11の代わりに、施設カメラ7(図1参照)から撮影画像を受信してもよい。また、通信部101は、ネットワークを介して顔照合サーバ9と通信を行う。本実施形態では、通信部101は、顔照合サーバ9から撮影画像に登録者が含まれるか否かの判定情報を受信する。また、通信部101は、ネットワークを介して顔管理サーバ8と通信を行う。本実施形態では、通信部101は、顔管理サーバ8から撮影画像に含まれる登録者の登録情報を受信する。また、通信部101は、外部のSNSサーバ104と通信を行う。SNSサーバ104は、ソーシャルネットワーキングサービスを提供する機能を有する。
【0124】
記憶部102は、グループ区分情報、グループリスト情報、グループ画像、グループ特定情報、グループ行動情報、関連グループ情報、及び配信用情報などを記憶する。グループ特定情報には、グループを特定するための情報(例えば、グループに属する登録者の識別情報)が含まれる。関連グループ情報には、複数のグループを関連づける情報が含まれる。配信用情報には、複合施設またはそれに含まれる1以上の施設の利用に関する各種情報(商品情報、サービス情報、クーポン情報、イベント情報、及びマップ情報など)が含まれる。
【0125】
制御部103は、グループ判定部111と、グループ区分部112と、特定人物抽出部113と、グループリスト作成部114と、グループ行動集計部115と、情報配信部116と、を備えている。この制御部103は、プロセッサで構成され、制御部103の各部は、記憶部102に記憶されたプログラムをプロセッサで実行することで実現される。
【0126】
グループ判定部111は、カメラ11からの撮影画像の被写体に複数の利用者からなるグループが含まれるか否かを判定する。
【0127】
グループ区分部112は、撮影画像の被写体にグループが含まれる場合、記憶部102に記憶されたグループ区分情報にしたがってグループ区分を判定する。グループ区分は、グループをその性質の違いによって区別するために、管理者によって適宜設定される。グループ区分には、図10に示すように、大人グループ、カップル、子連れファミリー、子供グループ、及び一人などが含まれる。それらのグループ区分は、大人グループ(20代、30代)及び大人グループ(40代以降)のように、グループを構成する利用者の年齢により更に詳細に区分けされ得る。
【0128】
特定人物抽出部113は、撮影画像の被写体にグループが含まれる場合、顔照合サーバ9の顔認証結果に基づき、そのグループに含まれる登録者を抽出する。また、特定人物抽出部113は、複数のグループから同一の登録者を抽出した場合、その同一の登録者が属する複数のグループをより大きなグループ(以下、「大グループ」という。)として設定する。
【0129】
例えば図11(A)に示すように、複数のグループX、Y、Zを含む団体客121は、空港では案内者Tの案内にしたがって1つのグループとして行動を共にする。一方、図11(B)に示すように、団体客121は、空港から複合施設に到着すると、各グループX、Y、Zで個別に行動を開始する。このとき、案内者Tは、各グループX、Y、Zの間を移動しながら行動するため、特定人物抽出部113は、撮影時刻の異なる複数のグループの撮影画像に基づき、案内者TをグループX、Y、Zのいずれにも属する登録者として抽出する場合がある。このように、特定人物抽出部113は、複数のグループX、Y、Zから同一の登録者(ここでは、案内者T)を抽出した場合、その複数のグループをX、Y、Zを大グループWとして設定する。これにより、施設管理システムでは、グループ行動に関するデータの集計などにおいて、グループX、Y、Zが1つのグループWとして扱われ得る。なお、複数のグループから抽出する同一の登録者は複数人いてもよい。複数人に対応することで、グループX、Yに同一の登録者がいて、グループY、Zに同一の登録者がいたような場面でもグループX、Y、Zを大グループWとして設定することができる。
【0130】
グループリスト作成部114は、撮影画像の被写体にグループが含まれる場合、そのグループの構成員を示すグループリストを作成する。グループリストには、図12に示すように、グループ(図中のグループa-cを参照)の構成員(未登録の利用者および登録者)に関する情報(ここでは、年齢層、性別)が含まれる。また、グループリストには、グループ区分部112によって決定された各グループ区分の情報が含まれる。例えば、グループaには、小学生、40代の男、40代の女で構成されており、グループ区分は5(図10中の子連れファミリー(小学生以下)に相当)である。また、グループリストには、グループの構成員が登録者であるか否かの情報が含まれる。例えば、グループaには、40代の男および40代の女の登録者が含まれ、グループbには、20代の男および30代の男の登録者が含まれる。さらに、グループリストには、登録者が複合施設の利用に関する情報配信を希望するか否かの情報が含まれ得る。例えば、グループbの30代の男の登録者には、情報配信を希望しないことを示す識別子が付加されている。グループ構成員の年齢層や性別は、顔認証技術を用いて識別するが、顔認証によって登録された人物であると判明した際は、登録された情報を優先する。画像から識別した情報と登録された情報を用いてグループリストを作成する。
【0131】
グループ行動集計部115は、各グループの行動に関する各種データを集計する。集計結果は、グループ行動情報として記憶部102に記憶される。また、グループ行動集計部115は、管理端末2からのリクエストに応じて各種データの集計結果を管理端末2に送信する。
【0132】
グループ行動情報には、複合施設における複数の施設間または各施設内でのグループ(グループに属する登録者)の移動履歴に関する情報が含まれる。その移動履歴に関する情報には、図13に示すように、各グループ(ここでは、グループa)が訪れた各施設の識別子(ここでは、A、D、H)や、それらの施設を訪れた日付及び時刻が含まれる。移動履歴に関する情報には、時刻の代わりに、時間帯が含まれてもよい。
【0133】
また、移動履歴に関する情報には、各グループがそれぞれ訪れた各施設の位置情報(緯度・経度や、複合施設のマップにおける座標)が更に含まれてもよい。移動履歴に関する情報の取得には、それらの施設における入場情報もしくは決済情報によって特定され得る。つまり、各グループの移動履歴は、各グループ(グループに属する登録者)による入場処理もしくは決済処理が行われた各施設の位置情報に基づき生成され得る。移動履歴に関する情報には、入場情報もしくは決済情報(例えば、各施設における消費額)が含まれてもよい。また、移動履歴に関する情報には、複数の施設間を移動中の各グループの位置情報(例えば、所定周期で設定された複数の時刻における携帯端末10のGPS機能に基づく位置)が含まれてもよい。また、各グループの移動履歴は、グループ区分に基づき生成され得る(すなわち、グループ区分の情報を含む)。
【0134】
また、決済情報には、図14に示すように、各グループ(ここでは、グループa、b)に属する登録者による各施設(ここでは、施設A-C)での決済金額が含まれる。グループaでは、登録者である40代の男性および40代の女性に関する消費額(決済金額)が含まれる。また、グループbでは、登録者である20代の男性および20代の女性に消費額が含まれる。決済情報には、各グループ単位での消費額の合計が含まれてもよい。
【0135】
情報配信部116は、記憶部102に記憶された配信用情報に基づき、グループ区分に応じたグループ向けの情報を生成することができる。あるいは、情報配信部116は、記憶部102に予め記憶されたグループ区分に応じて決定された1以上の配信用情報を、グループ向けの情報として選択してもよい。例えば、グループ向けの情報として飲食店の情報が提供される場合、情報配信部116は、過去の実績において、対象のグループ区分に属するグループの利用率が高い飲食店に関する情報を生成または選択する。
【0136】
なお、情報配信部116は、撮影画像の撮影位置の情報(例えばカメラ11または施設カメラ7の位置の情報)を取得し、その撮影位置に応じてグループ向けの情報を生成または選択することができる。また、情報配信部116は、グループ区分に応じて決定された1以上の施設に関する情報を、グループ向けの情報として生成または選択することができる。この場合、情報配信部116は、その1以上の施設を、同じグループ区分に属する他の複数のグループによる各施設の利用状況の情報に応じて決定できる。各施設の利用状況の情報には、利用人数(利用者の数)や、利用時間帯の情報が含まれる。つまり、情報配信部116は、各施設の利用状況の情報に基づき、情報配信の時刻に対応する時間帯において、利用人数がより大きい1以上の施設に関する情報を、グループ向けの情報として生成または選択することができる。
【0137】
情報配信部116は、グループ向けの情報を登録者の携帯端末10に対して配信する。このグループ向けの情報の配信処理は、携帯端末10のアプリ18の情報配信機能を利用して行われる。
【0138】
次に、顔画像抽出処理について説明する。図15は、顔画像抽出処理の概要を示す説明図である。
【0139】
上述のように、顔認証機1の顔画像抽出部22において、顔画像抽出処理、すなわち、顔検知、顔サイズチェック、顔切出しの各処理により、利用者の撮影画像データから顔画像データを生成する処理が行われる。この顔画像抽出処理は、顔照合サーバ9の顔画像抽出部83でも同様に行われる。
【0140】
利用者の登録時には、登録装置5から顔管理サーバ8を介して顔照合サーバ9に利用者の撮影画像のデータが送られることで、顔照合サーバ9の顔画像抽出部83で顔画像抽出処理を行う。場合によっては、管理端末2から顔管理サーバ8を介して顔照合サーバ9に利用者の撮影画像のデータが送られるようにしてもよい。
【0141】
一方、顔認証時には、顔認証機1でのみ顔画像抽出処理を行い、顔照合サーバ9では顔画像抽出処理を行わないようにするとよい。この場合、顔認証機1に高精度な顔検知の機能を与える。また、顔認証機1ではカメラ11で撮影エリアを常時撮影し、顔が検知されたタイミングで撮影画像データ及び顔枠情報を顔照合サーバ9に送るようにする。これにより、顔画像抽出処理の負荷が複数の顔認証機1に分散され、顔照合サーバ9の負荷を軽減することができる。また、顔認証機1及び顔照合サーバ9の間の通信量の削減を図ることができるため、ネットワークの負荷を軽減することができる。そして、顔認証機1は、顔認証の応答を高速に行うことができるため、次々に現れる対象者の顔認証を効率よく行うことができる。
【0142】
次に、登録装置5における利用者による登録操作について説明する。図16は、登録装置5に表示される登録画面の一例を示す説明図である。
【0143】
利用者は、複合施設の利用を開始するにあたり(あるいは、登録後の所定期間内に複合施設を再訪しなかった場合に)、登録装置5によって認証用の登録操作を行うことができる。本実施形態では、利用者は、登録装置5のディスプレイ42(ここでは、タッチパネル)に表示された案内画面にしたがって、登録操作を行うことができる。なお、以下で説明する認証用の登録操作の一部(ボタンの押下など)については、利用者の同意を得た受付者が行ってもよい。
【0144】
登録装置5のディスプレイ42には、登録開始ボタン131が表示された初期画面が表示される(図16(A)参照)。そこで、利用者が登録開始ボタン131を押下(タッチ)すると、施設管理システムにおける個人情報の取扱いに関する説明と、その同意を利用者に求める画面が表示される(図16(B)参照)。
【0145】
利用者は、図16(B)の画面において、同意ボタン132を押下することにより、施設管理システムにおける個人情報の取扱いに同意することができる。これにより、登録装置5では、当該利用者の登録者情報の取得が開始される。そこで、ディスプレイ42には、利用者の特定に用いられる登録情報を取得する方法を示す画面が表示される(図16(C)参照)。なお、利用者は、中止ボタン133を押下することにより、登録操作を中止することができる。なお、同意を利用者に求める画面は、利用者によって同意が必要でない場合があり、省略することができる。また、後述のOKボタン135、撮影ボタン137、登録ボタン141の操作をもって同意に代えてもよい。また、登録装置5の利用前の所定の手続きをもって同意を得るようにしてもよい。
【0146】
図16(C)に示す例では、利用者の登録情報を入力する画面が表示される。ここでは、登録情報として、利用者の氏名、パスワード(PW)、メールアドレス、複合施設の利用に関する情報配信のサービスを希望するか否かの選択、クレジットカード番号、クレジットカードの有効期限などが入力される。そこで、登録情報の入力を終えた利用者がOKボタン135を押下すると登録情報の入力が完了する。
【0147】
続いて、登録装置5には、利用者の登録用の顔画像を撮影する方法(顔撮影用カメラ41の撮影エリア内に利用者の顔を位置させるための案内)を示す画面が表示される(図16(D)参照)。このとき、登録装置5では、撮影エリアに対応する撮影枠136を点滅させることにより、利用者に顔の位置合わせを促すことができる。撮影枠136内には、顔撮影用カメラ41によって撮影されたライブ画像(リアルタイムの動画像)が表示される。そこで、利用者が、自身の顔を撮影枠内に位置させて撮影ボタン137を押下すると、登録装置5による利用者の顔の撮影が実行される。このとき、登録装置5では、撮影ボタン137の押下時にシャッター音を発生させることができる。なお、利用者は、中止ボタン138を押下することにより、顔の撮影を中止することができる。
【0148】
続いて、登録装置5には、撮影された顔画像を利用者が確認するための画面が表示される(図16(E)参照)。この画面には、撮影された顔画像(静止画像)が表示されており、利用者は、撮影された顔画像に問題がないと判断した場合には、登録ボタン141を押下する。一方、利用者は、撮影された顔画像に問題があると判断した場合には、再撮影ボタン142を押下することができる。これにより、登録装置5には、図16(D)に示した画面が表示され、顔の再撮影が可能となる。なお、利用者は、中止ボタン143を押下することにより、顔の撮影を中止することができる。
【0149】
顔の撮影が終了すると、取得された顔画像および登録情報が顔管理サーバ8に送信される。これにより、顔管理サーバ8では、利用者に関する登録処理(図17参照)が実行される。顔管理サーバ8の登録処理が正常に終了すると、登録装置5には、登録が終了した旨を示す画面が表示される(図16(F)参照)。そこで、利用者が終了ボタン145を押下することにより、登録装置5における登録操作が終了する。
【0150】
登録操作が終了した後は、登録装置5は、記憶部44に記憶した顔画像や登録情報を削除することができる。これにより、不特定の者が利用する登録装置5に個人情報が長期的に保存されることが回避され、利用者の個人情報をより安全に管理することが可能となる。
【0151】
なお、上述の登録装置5による利用者の登録に代えて、管理者は、利用者の登録用の顔画像のファイルを予め準備した上で、管理端末2を用いて利用者に関する登録を行うことができる。また、管理者は、登録装置5による登録を補完するために、登録装置5によって登録された登録者情報の修正や新たな情報の追加を管理端末2から行うこともできる。
【0152】
次に、上述の利用者の登録操作に応じて実行される利用者に関する登録処理について説明する。図17は、利用者に関する登録処理の手順を示すシーケンス図である。
【0153】
顔管理サーバ8では、上述のように登録装置5において利用者の登録操作が行われると、図17に示すように、当該利用者に関する登録処理を開始する。このとき、顔管理サーバ8は、登録装置5から利用者の操作情報とともに顔の撮影画像(登録用の顔画像)や登録情報を受け取る。この登録処理では、まず、顔管理サーバ8は、顔照合サーバ9に顔画像抽出のリクエストを送る。このリクエストには、登録装置5から取得した利用者の顔の撮影画像が含まれる。
【0154】
顔照合サーバ9では、顔管理サーバ8からの顔画像抽出のリクエストを受け取ると、顔画像抽出処理を行う。この顔画像抽出処理では、顔管理サーバ8から取得した利用者の顔の撮影画像に対して顔検知、および顔切出しなどの処理を行い、利用者の顔画像を抽出する。そして、顔画像抽出のレスポンスを顔管理サーバ8に送る。このレスポンスには、利用者の顔画像が含まれる。
【0155】
顔管理サーバ8では、顔画像抽出のレスポンスを顔照合サーバ9から受け取ると、顔照合サーバ9に顔登録のリクエストを送る。このリクエストには、顔照合サーバ9から取得した利用者の顔画像を含めることができる。
【0156】
なお、顔管理サーバ8では、上述の顔照合サーバ9に対する顔画像抽出のリクエストを省略し、登録装置5から操作情報とともに取得した利用者の顔の撮影画像を顔照合サーバ9に対する顔登録のリクエストに付加してもよい。
【0157】
顔照合サーバ9では、顔管理サーバ8からの顔登録のリクエストを受け取ると、顔登録処理を行う。この顔登録処理では、利用者の顔画像から顔特徴量を生成して、その顔特徴量をデータベースに登録する。このとき、利用者の顔特徴量に関連付けて顔登録IDを付与する。そして、顔登録のレスポンスを顔管理サーバ8に送る。このレスポンスには、顔登録が正常に終了したか否かを表す結果と顔登録IDとが含まれる。なお、顔特徴量のデータベースへの登録の完了に伴い、顔照合サーバ9における利用者の顔画像は削除される。
【0158】
顔管理サーバ8では、顔登録のレスポンスを顔照合サーバ9から受け取り、処理が正常に終了している場合には、利用者に関する登録処理を行う。この登録処理では、登録装置5から取得した利用者の顔画像を顔情報データベースに登録する。また、顔管理サーバ8では、顔照合サーバ9から取得した利用者の登録情報を顔画像と関連付けて顔情報データベースに登録する。また、顔管理サーバ8では、顔照合サーバ9で発行された顔登録IDを利用者の情報として顔情報データベースに登録する。
【0159】
次に、顔認証機1における利用者の顔認証の処理について説明する。図18は、利用者に関する顔認証の処理の第1の例を示す説明図である。ここでは、顔認証機1と連携する外部装置16として、利用者の通行を管理するゲート装置(セキュリティゲート)を用いる例を示している。
【0160】
顔認証機1では、カメラ11の撮影画像から1以上の人物の顔を検知して顔画像を取得すると、各人物に関する顔照合のリクエストを顔照合サーバ9に送信する。この顔照合のリクエストには、要求元の顔認証機1の機器IDと、顔認証の対象者の顔画像(認証用の顔画像)のデータと、顔枠情報と、照合条件とが含まれる。
【0161】
顔照合サーバ9は、その顔照合のリクエストを受信すると、まず、顔特徴量生成部84によって、顔認証機1から取得した各対象者の顔画像から対象者の顔特徴量を生成する。次に、顔照合サーバ9は、顔特徴量照合部86において、対象者の顔特徴量と、顔照合データベースに登録された利用者の顔特徴量とを照合する。顔照合処理が終了すると、顔照合サーバ9は、顔照合のレスポンスを要求元の顔認証機1に送信する。この顔照合のレスポンスには、照合結果(成功、失敗)と、照合スコアと、利用者コードとが含まれる。
【0162】
顔特徴量照合部86では、顔認証の対象者と登録された利用者との間の類似度を表す照合スコアを算出し、この照合スコアが所定の基準値以上となる場合に、顔認証の対象者を登録された利用者本人とみなし、顔照合が成功したことを表す照合結果を生成する。一方、全ての利用者について照合スコアが基準値以上とならない場合には、顔認証の対象者が登録された利用者ではないと判定して、顔照合が失敗したことを表す照合結果を生成する。
【0163】
なお、顔照合サーバ9で行われる顔照合の処理条件(顔照合のパラメータ)を照合のリクエストに付加するようにしてもよい。これにより、顔照合サーバ9で行われる顔照合の処理内容を顔認証機1から指示することができる。例えば、顔照合の処理条件として、照合スコアに関する閾値を指定して、照合スコアが所定の閾値以上となる照合結果をレスポンスに含めるようにする。また、顔照合の処理条件として、照合結果数を指定して、照合スコアが高い方から所定数の照合結果をレスポンスに含めるようにする。
【0164】
また、顔認証機1は、顔照合サーバ9から顔認証の成功を示す顔照合のレスポンスを受信すると、連携するゲート装置に対し、その扉部の開閉制御信号を送信する。つまり、顔認証機1は、顔照合のレスポンスを扉部の開閉制御信号に変換し、これにより、連携するゲート装置の扉部の動作を制御する制御装置(ゲート開閉制御装置)として機能する。これにより、ゲート装置は、駆動部92によって扉部を開放(すなわち、利用者の通行を許可)する動作を行う。なお、顔認証機1は、制御信号(開閉制御信号)の送信の完了にともない、記憶部14に記憶した利用者の顔画像を削除する。ここで、顔照合のレスポンスを扉部の開閉制御信号に変換する構成としたが、外部システムとして構築された入退管理システムによってゲート装置の扉部の開閉制御が行われている場合には、その入退管理システムに対して顔認証結果がゲート装置の開閉制御に反映されるように制御信号を送信する。
【0165】
図19は、利用者に関する顔認証の処理の第2の例を示す説明図である。図20は、顔認証機1に表示される認証画面(認証時の画面)の一例を示す説明図である。ここでは、顔認証機1と連携する外部装置16として、ホテルの客室のドアに設けられたロック装置を用いる例を示している。なお、顔認証処理の第2の例に関し、上述の第1の例と同様の事項については詳細な説明を省略する。
【0166】
顔認証機1は、例えば、客室に面した廊下の壁等に設置される。顔認証機1は、人感センサ等によって人の接近を感知(すなわち、利用者を検知)すると、ディスプレイ12に認証画面の待機画面(初期画面)を表示する(図20(A)参照)。ここで、ディスプレイ12に表示される認証画面(通知画面)は、カメラ11による所定の撮影エリアを撮影したライブ画像(リアルタイムの動画像)を表示する画像表示エリア151と、顔認証処理の進行状況を示す情報を表示する情報表示エリア152とを含む。
【0167】
その後、顔認証機1は、カメラ11の撮影画像から1以上の人物の顔を検知して顔画像を取得すると、各人物に関する顔照合のリクエストを顔照合サーバ9に送信する。このとき、情報表示エリア152には、利用者の認証が進行中であることを示す文字153および図形154が表示される(図20(B)参照)。なお、情報表示エリア152では、文字153および図形154の一方の表示を省略してもよい。また、ディスプレイを備えていない顔認証機1の場合には、例えば、LEDランプを用い、認証中はLEDを点滅させ、認証の成功時にLEDを点灯するようにして、顔認証の進行状況を通知するようにしても良い。また、LEDの表示色で顔認証の進行状況を通知するようにしても良い。また、利用者の顔認証の成否によってLEDの表示色を変更するようにしても良い。
【0168】
顔照合サーバ9は、その顔照合のリクエストを受信すると、上述の第1の例と同様に、顔特徴量を生成し、顔照合処理を実行する。顔照合処理が終了すると、顔照合サーバ9は、顔照合のレスポンスを要求元の顔認証機1に送信する。
【0169】
また、顔認証機1は、顔照合サーバ9から顔認証の成功を示す顔照合のレスポンスを受信すると、認証画面の情報表示エリア152に、利用者の認証が完了したことを示す文字157および図形158を表示する(図20(C)参照)。これと同時に、顔認証機1は、連携するドアのロック装置に対し、制御信号(ドアのロックを解除する命令)を送信する。つまり、顔認証機1は、連携するロック装置の動作を制御する制御装置として機能する。これにより、ロック装置は、ロックを解除(すなわち、登録者の入室を許可)する動作を行う。なお、顔認証機1は、制御信号の送信の完了にともない、記憶部14に記憶した利用者の顔画像を削除する。
【0170】
顔認証機1は、上述のゲート装置やドアのロック装置のように機械的動作をともなうことなく、情報処理のみを行う外部装置と連携させることも可能である。図21は、利用者に関する顔認証の処理の第3の例を示す説明図である。
【0171】
ここでは、顔認証機1と連携する外部装置16として、決済装置を用いる例を示している。なお、顔認証の処理の第3の例に関し、上述の第1または第2の例と同様の事項については詳細な説明を省略する。
【0172】
この顔認証の処理の第3の例では、顔認証機1は、顔照合サーバ9から顔認証の成功を示す顔照合のレスポンスを受信すると、連携する決済装置に対し、制御信号を送信する。これにより、決済装置では、該当する登録者が購入した商品や、利用したサービス(例えば、レストランでの食事の提供)に対する利用料金のデータと認証された利用者とを紐付ける決済処理を実行する。その結果、当該利用料金が当該利用者に対する請求金額(例えば、クレジットカードによる請求金額)のデータに加算される。なお、決済装置は、決済処理の結果を顔認証サーバ3に送信する。
【0173】
図22は、グループ管理サーバ4による登録者に対する情報配信処理の例を示す説明図である。図23は、個別の利用者に対する情報配信(比較例)とグループ管理サーバ4による情報配信との比較を示す説明図である。
【0174】
グループ管理サーバ4は、管理端末2からの指示を受けると、グループ画像(カメラ11の撮影画像)を取得し、当該グループに属する各人物の顔照合のリクエストを顔照合サーバ9に送信する。
【0175】
顔照合サーバ9は、その顔照合のリクエストを受信すると、図19に示した例と同様に、顔特徴量を生成し、顔照合処理を実行する。顔照合処理が終了すると、顔照合サーバ9は、顔照合のレスポンスを顔認証機1に送信する。
【0176】
グループ管理サーバ4は、顔照合のレスポンスに基づき、当該グループに1以上の登録者が含まれている場合、グループリスト情報における対応するグループ構成員をそれぞれ抽出し、そのグループ構成員が登録者であることを示す識別子を付加する。
【0177】
続いて、グループ管理サーバ4は、当該グループのグループ区分に応じてグループ向け情報を生成(または選択)する。これと同時に、グループ管理サーバ4は、顔管理サーバ8に対して、情報配信の可否のリクエストを送信する。このリクエストは、当該グループに属する登録者が情報配信を希望するか否かを問い合わせるものである。
【0178】
顔管理サーバ8は、その情報配信の可否のリクエストを受信すると、対象の登録者について、その登録情報に基づき情報配信を希望するか否かを確認し、その結果を含む情報配信の可否のレスポンスをグループ管理サーバ4に送信する。
【0179】
グループ管理サーバ4は、顔管理サーバ8から受信した情報配信の可否のレスポンスに基づき、情報配信を希望する各登録者の携帯端末10にのみグループ向け情報を送信する。当該グループに情報配信を希望する複数の登録者が含まれる場合には、グループ管理サーバ4は、予め定められた当該グループに属する登録者の代表の携帯端末10にのみグループ向け情報を送信してもよい。
【0180】
ここで、例えば図23に示すように、グループ構成員(1)-(6)の3世代の家族からなるグループに対して飲食店に関する情報を配信する例を示す。グループ構成員(1)-(3)は登録者である。グループ構成員(4)-(6)は、未登録の利用者であるか、または携帯端末10を有していない(アプリ非活用である)。
【0181】
グループ構成員(1)-(6)に対して個別に飲食店に関する情報を配信する場合((A)参照)、例えば、グループ構成員(1)(40代の男性)にはバーカウンタに案内するための情報、グループ構成員(2)(40代の女性)にはカジュアルフレンチのレストランに案内するための情報、グループ構成員(3)(女子中学生)にはファミリーレストランに案内するための情報がそれぞれ配信される。登録者(4)-(6)には情報配信は行われない。
【0182】
一方、グループ管理サーバ4は、グループ構成員に対してグループ単位で(すなわち、グループ区分に応じて)飲食店に関する情報を配信するため((B)参照)、グループ構成員(1)-(3)の携帯端末10には、高級寿司店で提供されている家族向けの特別コースを案内するための情報が配信される。このように、グループ管理サーバ4は、グループで行動する利用者に、所望の情報をタイムリーに提供することができる。また、情報配信を受けたグループが、その情報を利用する可能性も高まる。
【0183】
図24は、グループ管理サーバ4によるグループ行動情報の生成処理の例を示す説明図である。
【0184】
グループ管理サーバ4は、管理端末2からの指示を受けると、図22の場合と同様に、顔照合サーバ9との間で顔照合のリクエストおよび顔照合のレスポンスの送受信を行う。また、グループ管理サーバ4は、顔照合のレスポンスに基づき、当該グループに1以上の登録者が含まれている場合、グループリスト情報において、対応する人物が登録者であることを示す識別子を付加する。
【0185】
続いて、グループ管理サーバ4は、当該グループにおいて観察対象となる(ここでは、位置情報および決済情報の取得を必要とする)登録者を選択する。このとき、グループ管理サーバ4は、各グループ構成員の年齢や性別に基づき、当該グループ内の1以上の登録者を選択することができる。その後、グループ管理サーバ4は、選択した登録者に関する位置情報および決済情報のリクエストを顔照合サーバ9に送信する。
【0186】
顔照合サーバ9は、その位置情報および決済情報のリクエストを受信すると、対象となる登録者の位置情報および決済情報を検索する。続いて、顔照合サーバ9は、その検索結果を位置情報および決済情報のレスポンスとしてグループ管理サーバ4に送信する。
【0187】
グループ管理サーバ4は、位置情報および決済情報のレスポンスを、対象のグループに紐付けられたグループ行動情報として記録する(すなわち、グループ行動情報を生成または更新する)。
【0188】
図25は、管理端末2においてグループの行動を観察するための画面表示処理の例を示す説明図である。図26図27図28図29、及び図30は、それぞれグループ行動の表示画面の例を示す説明図である。
【0189】
管理端末2は、管理者の操作に基づき(あるいは予め設定された所定の周期で)、グループ行動に関する集計データのリクエストをグループ管理サーバ4に送信する。
【0190】
グループ管理サーバ4は、その集計データのリクエストを受信すると、そのリクエストに応じてデータを集計する。グループ管理サーバ4は、その集計結果をグループ行動に関する集計データのレスポンスとして管理端末2に送信する。このとき、グループ管理サーバ4は、新たにデータの集計を行うことなく、記憶部102にすでに記憶されているグループ行動情報の一部をグループ行動に関する集計データのレスポンスとして管理端末2に送信してもよい。
【0191】
管理端末2は、そのグループ行動に関する集計データのレスポンスを受信すると、ディスプレイ32にグループ行動の表示画面を表示する。
【0192】
図26に示すように、グループ行動の表示画面には、複合施設の利用状況を示すマップ161が含まれる。マップ161には、複合施設を構成する各施設(図中の施設区分表示欄162に含まれる施設A-Jを参照)のアイコンと、そのアイコン付近に表示された各施設A-Jの利用者の数(滞在数)の分布を示す円グラフ163が含まれる。各円グラフ163には、各グループ区分(グループ区分表示欄164参照)に対応するグループの構成員の人数の割合が示されている。また、円グラフ163のサイズは、各施設A-Jを利用中の利用者の数の大小に応じて設定される。なお、グループ区分には、単独の利用者(一人)も含まれる。
【0193】
また、グループ行動の表示画面には、グループ別の施設利用状況の表示欄165が含まれる。この施設利用状況の表示欄165には、グループ区分ごとの各施設A-Jの利用者の数の分布を示す棒グラフが含まれる。
【0194】
また、グループ行動の表示画面には、タイムスケール設定欄167、居住国設定欄168、及び消費額設定欄169が含まれる。管理者は、タイムスケール設定欄167において、マップ161や、施設利用状況の表示欄165に表示するデータの時間的範囲を設定することができる。管理者は、カレンダー171において所望の日付を設定し、また、スライダ172の操作により所望の時刻(または時間帯)を設定することができる。なお、管理者は、時間的範囲(日付及び時刻の少なくとも一方)の設定を解除することも可能である。
【0195】
例えば図27に示すように、管理者がスライダ172を操作することにより時刻を変更すると、その時刻に応じてマップ161の円グラフ163や、施設利用状況の表示欄165の各棒グラフが変化する。これにより、管理者は、所望の日時における複合施設のグループの行動を観察することができる。
【0196】
また、管理者は、居住国設定欄168において、観察するグループの構成員の国籍を設定することができる。
【0197】
また、管理者は、消費額設定欄169において、観察するグループの消費額の範囲(消費額の下限および上限の少なくとも一方)を設定することができる。例えば、グループの消費額は、登録者であるグループ構成員の決済金額の合計である。
【0198】
例えば図28に示すように、管理者がスライダ173を操作することにより消費額の範囲を変更すると、その消費額の範囲に応じてマップ161の円グラフ163や、施設利用状況の表示欄165の各棒グラフが変化する。これにより、管理者は、複合施設における消費額に応じたグループの行動を観察することができる。
【0199】
管理者は、図29に示すように、マップ161における施設A-Jのいずれか(ここでは、施設I)を押下することにより、その施設におけるグループの消費額の詳細を示すポップアップ画面175を表示させることができる。このポップアップ画面には、所定のグループに属する登録者の消費額が表示される。このように、管理者は、各グループにおける消費額の内訳(ここでは、登録者である各グループ構成員の消費額)を把握することができる。
【0200】
また、管理者は、ポップアップ画面175における移動表示ボタン178を押下することにより、図30に示すように、当該グループの移動の履歴をマップ161に表示することができる。ここでは、マップ161内の破線の矢印により、当該グループが、施設B(ラグジュアリーホテル)から施設E(遊園地)に移動し、さらに、施設Eから施設C(高級寿司店)に移動したことが示されている。なお、管理者は、移動表示ボタン178の操作に限らず、グループ行動の表示画面に別途表示されたグループ一覧から所望のグループを選択することにより、当該グループの移動の履歴をマップ161内に表示させることができる。また、グループの移動の履歴の表示は、マップ161における表示に限らず、例えば、図13に示したようなグループが訪問した施設の履歴を示す表であってもよい。
【0201】
図30では、グループの移動先を選択することで、グループがその移動先での決済金額を確認することができるが、グループによる核施設での決済金額一覧が表示されてもよい。例えば図14のようにグループの各施設における決済金額の表を表示する。また、決済金額以外にも、そのグループに関連する情報の一覧が表示されるようにしてもよい。このような表示にすることで、そのグループの詳細な情報を分析することができ、グループの行動を容易に把握することができる。
【0202】
図31は、複数のグループを大グループとして設定するグループ統合処理の例を示す説明図である。
【0203】
グループ管理サーバ4は、管理端末2からの指示を受けると、図22の場合と同様に、顔照合サーバ9との間で顔照合のリクエストおよび顔照合のレスポンスの送受信を行う。また、グループ管理サーバ4は、顔照合のレスポンスに基づき、当該グループに1以上の登録者が含まれている場合、グループリスト情報において、対応する人物が登録者であることを示す識別子を付加する。
【0204】
続いて、グループ管理サーバ4は、グループリスト情報において、複数のグループから同一の登録者が属する複数のグループを抽出する。その後、グループ管理サーバ4は、それら抽出した複数のグループを大グループとして設定する。
【0205】
図32は、グループ管理サーバ4による人脈チャート作成処理の例を示す説明図である。図33は、人脈チャートの例を示す説明図である。
【0206】
グループ管理サーバ4は、管理端末2からの指示を受けると、図22の場合と同様に、顔照合サーバ9との間で顔照合のリクエストおよび顔照合のレスポンスの送受信を行う。また、グループ管理サーバ4は、顔照合のレスポンスに基づき、当該グループに1以上の登録者が含まれている場合、グループリスト情報において、対応する人物が登録者であることを示す識別子を付加する。
【0207】
次に、グループ管理サーバ4は、対象のグループに含まれる1以上の登録者を抽出する。続いて、グループ管理サーバ4は、その抽出した各登録者に関するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)情報のリクエストをSNSサーバ104に送信する。
【0208】
SNSサーバ104は、そのSNS情報のリクエストを受信すると、対象となる各登録者と他のSNSユーザとの繋がりを検索する。続いて、SNSサーバ104は、他のSNSユーザとの繋がりの検索結果をSNS情報のレスポンスとしてグループ管理サーバ4に送信する。
【0209】
グループ管理サーバ4は、SNS情報のレスポンスに基づき人脈チャートを作成する。このとき、グループ管理サーバ4は、SNSユーザである登録者と他のSNSユーザとの繋がりを人脈として認識する。管理者は、例えば図33に示すように、管理端末2のディスプレイ32に人脈チャートを表示することができる。図33では、二点鎖線で囲まれた、グループ画像に対する顔認証結果から同じグループに属すると判定された登録者181、182及び利用者(非登録者)183に関する人脈チャートが示されている。このとき、太線での繋がりは、グループ画像に対する顔認証結果からグループであると判定された繋がりであり、細線がSNS上での繋がりを示している。
【0210】
また、このグループには、SNSユーザである利用者(非登録者)183も属している。この利用者183と登録者182とは、グループ画像に対する顔認証結果から同じグループに属すると判定され関係づけられる。また、登録者182のSNSに関する人脈の中から利用者(非登録者)183を見つけた場合は、利用者(非登録者)183にSNSアカウントを紐づけて保存する。これにより、施設管理システムにおいて、撮影画像から同じグループに属すると判定された構成員181-183の間の関係がより明確となる。また、利用者(非登録者)183についての情報についても見つけることができる。
【0211】
また、管理者は、図33において、登録者181、182は、共に人物185と繋がりがあることを把握できる。また、施設管理システムでは、将来的に人物185が複合施設を利用する際には、登録者181、182に配信した情報と同一または類似の内容の情報を人物185に対して配信することができる。
【0212】
また、破線で囲まれた、別のグループ画像に対する顔認証結果から同じグループに属すると判定された登録者186及び利用者(非登録者)187についての繋がりも、SNS情報を活用することで見つけ出すことができる。つまり、顔認証のグルーピングだけでは見つからなかった、グループとグループとの繋がりを見つけることができる。
【0213】
図34は、管理端末2に表示される登録情報の管理用画面の一例を示す説明図である。
【0214】
管理者は、登録情報を管理する際に、図34に示す登録者の管理用画面を管理端末2のディスプレイ32に表示することができる。
【0215】
図34に示す登録者の管理用画面は、登録者に関する認証用の顔画像および登録情報の登録、参照、更新、削除および検索の操作を管理者が行うためのものである。登録者の管理用画面に入力された情報(画像を含む)には、登録装置5によって取得された情報が含まれる。
【0216】
登録者の管理用画面には、操作選択エリア191および利用者情報エリア192が含まれる。
【0217】
操作選択エリア191において、管理者は、実行する項目(情報の登録、参照、更新、削除、および検索など)を選択することができる。
【0218】
利用者情報エリア192には、登録者の顔画像および姓名や、顔認証に使用される情報が含まれる。ここでは、利用者情報エリア192には、顔画像表示部201、姓名入力部202、被認証者(登録者)ID入力部203、識別ID入力部204、付加情報入力部207、有効化日入力部208、及び無効化日入力部209が含まれる。
【0219】
顔画像表示部201には、登録者の顔画像が表示される。管理者は、削除ボタン211を押下することにより、顔画像表示部201の顔画像を削除することが可能である。管理者は、登録装置5によって顔画像を取得できなかった場合に、画像選択ボタン212を押下することにより、準備した顔画像(画像ファイル)を表示対象として選択することができる。或いは、管理者は、画像選択ボタン212によって選択した顔画像を、登録装置5によって取得された顔画像に代えて顔画像表示部201に表示させることもできる。
【0220】
姓名入力部202には、利用者の姓名が入力される。被認証者ID入力部203には、登録者ID(例えば、免許証番号、マイナンバーなど)が入力される。識別ID入力部204では、登録者を識別可能なID(例えば、利用者の登録順に割り当てられる一連かつ一意の番号)が入力される。付加情報入力部207では、付加情報を入力することができる。有効化日入力部208には、当該人物の顔照合を有効にすることができる日付が入力される。無効化日入力部209には、顔照合を無効にすることができる日付が入力される。これら有効化日および無効化日の設定により、複数の利用者に対するサービスを一斉に開始したり終了したりすることができる。
【0221】
また、本実施形態では、登録者に対する情報配信処理、グループ行動情報の生成処理、複数のグループを大グループとして設定するグループ統合処理及び人脈チャート作成処理について、管理端末2からの指示があった際に処理する旨記載したが、時刻での設定や、グループの変化を検知した際に処理する等、管理端末2からの指示に限らない。
【0222】
本実施形態では、登録者に対する情報配信処理、グループ行動情報の生成処理、複数のグループを大グループとして設定するグループ統合処理及び人脈チャート作成処理について、処理毎にグループ画像を取得し、グループリストへの情報付加を行っていたが、事前にグループリストを作成し、そのグループリストの情報を利用する形でもよい。具体的には、各施設が集まっている複合施設の建物に入るための最初のゲート装置でグループ画像を取得し、グループリストを作成する。その後、複合施設内にある各施設では、グループ画像は取得せず、顔決済等で撮影される個人を撮影した画像を活用して、その個人が所属するグループが同じ行動をしていると仮定してグループの行動履歴を保存する等が考えられる。こうすることで、各施設でグループ画像を撮影するためのカメラを設置する必要がなくなり、一人用のゲート装置や顔決済端末等の情報からグループの行動を追跡することができる。他にも、複合施設内をエリアごとに区切り、そのエリアへの入退の際に通過するゲート装置を活用してグループの行動を追跡してもよい。具体的には、遊園地エリア、レストランエリア、カジノエリアというようなエリアを設けて、エリアの出入口のゲート装置の画像を活用してグループを追跡する。こうすることで、複合施設内のどのエリアでグループが行動したのかを把握することができ、グループの嗜好を分析することができる。
【0223】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。また、上記の実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0224】
本開示に係る行動観察システム及び行動観察方法は、複合施設の利用者からなるグループの行動を適切に把握できる効果を有し、複数の施設を含む複合施設の利用者からなるグループの行動を観察する行動観察システム及び行動観察方法などとして有用である。
【符号の説明】
【0225】
1 :顔認証機
2 :管理端末
3 :顔認証サーバ
4 :登録装置
5 :顔管理サーバ
6 :顔照合サーバ
10 :利用者
11 :カメラ(顔画像取得部)
12 :ディスプレイ(表示部)
15 :制御部(プロセッサ)
16 :外部装置
25 :認証結果調整部(履歴情報生成部)
41A :顔撮影用カメラ(個人情報取得部)
41B :情報取得用カメラ(個人情報取得部)
42 :ディスプレイ(表示部)
45 :制御部(プロセッサ)
62 :利用者管理部
64 :機器管理部
90 :画像生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図33
図34