(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】隊列走行システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
G08G1/00 X
(21)【出願番号】P 2020130781
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 元紀
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/097821(WO,A1)
【文献】米国特許第9014902(US,B1)
【文献】特開2019-003540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G05D 1/00-1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の移動体を隊列編成した状態で走行させる隊列走行システムであって、
追従走行を実行することによって隊列走行する複数の移動体と、
前記隊列走行中、前記移動体の追従走行を一時停止させる追従一時停止条件が成立すると、追従走行を一時停止させて前記移動体の移動を制限するための追従一時停止信号を前記移動体に出力する追従一時停止信号出力部と、
前記追従一時停止条件の成立によって追従走行を一時停止された移動体の追従走行を再開させる追従再開条件が成立すると、移動体の追従走行を再開させて前記隊列走行を可能にするための追従再開信号を前記移動体に出力する追従再開信号出力部と、を有し、
前記移動体それぞれは、走行のための動力源を備え、前記動力源を用いて走行する動力走行モードと前記動力源を用いずに外力によって走行する外力走行モードとに変更可能であって、前記動力走行モードであるときに追従走行を行
い、
前記移動体それぞれが、ユーザが前記動力走行モードから前記外力走行モードに変更するまたはその逆に変更するための走行モード手動変更部を備え、
隊列走行中、親機の移動体は、前記走行モード手動変更部を介して前記動力走行モードから前記外力走行モードに変更されると前記追従一時停止条件が成立し、前記追従一時停止信号を出力する、隊列走行システム。
【請求項2】
前記移動体を、親機として設定する親機設定部と、
前記移動体を、前記親機に対応付けされた子機として設定する子機設定部と、を有し、
子機の移動体は、親機の移動体に追従走行する、請求項1に記載の隊列走行システム。
【請求項3】
前記移動体それぞれは、
他の移動体を検出する移動体検出装置、および、
前記移動体検出装置の検出結果に基づいて、前記動力源を用いて追従走行を実行する制御装置、を備える、請求項2に記載の隊列走行システム。
【請求項4】
前記移動体それぞれは、
前記追従一時停止信号出力部、
前記追従再開信号出力部、
前記親機設定部、
前記子機設定部、
前記追従一時停止信号および前記追従再開信号を送受信可能な通信装置、を備える、請求項3に記載の隊列走行システム。
【請求項5】
前記移動体それぞれは、前記動力源を用いて移動する移動体をユーザが操縦する操縦部を備え、
前記動力走行モードに、ユーザの操作によるマニュアル走行モードが含まれる、請求項1に記載の隊列走行システム。
【請求項6】
前記移動体それぞれは、
前記追従一時停止信号を受信すると前記動力走行モードでの移動が制限され、
前記追従再開信号を受信すると前記動力走行モードでの移動の制限が解除されるように構成されている、請求項1または5に記載の隊列走行システム。
【請求項7】
前記移動体それぞれが、車輪と、前記車輪を制動する電磁ブレーキとを有し、
前記動力走行モードの場合、電磁ブレーキが有効化され、
前記外力走行モードの場合、電磁ブレーキが無効化され、前記車輪が自由回転可能な状態で維持される、請求項1から6のいずれか一項に記載の隊列走行システム。
【請求項8】
前記外力走行モードに変更されて前記追従一時停止信号を出力した親機の移動体は、前記走行モード手動変更部を介して前記外力走行モードから前記動力走行モードに変更されると前記追従再開条件が成立し、前記追従再開信号を出力する、請求項
1に記載の隊列走行システム。
【請求項9】
前記移動体それぞれは、障害物を検出する障害物センサを備え、
隊列走行中、1台の移動体の前記障害物センサが障害物を検出すると前記追従一時停止条件が成立し、前記1台の移動体が、前記追従一時停止信号を出力する、請求項4から
7のいずれか一項に記載の隊列走行システム。
【請求項10】
障害物の検出によって前記追従一時停止信号を出力した前記1台の移動体は、前記障害物センサがその障害物を検出しなくなると前記追従再開条件が成立し、前記追従再開信号を出力する、請求項
9に記載の隊列走行システム。
【請求項11】
前記移動体それぞれは、異常状態の発生を検出する異常発生検出部を備え、
隊列走行中、1台の移動体の前記異常発生検出部が異常状態の発生を検出すると前記追従一時停止条件が成立し、前記異常状態を検出した前記異常発生検出部を備える移動体が、前記追従一時停止信号を出力する、請求項4から
10のいずれか一項に記載の隊列走行システム。
【請求項12】
前記移動体それぞれは、前記異常状態の解消を確認したユーザが異常解消の入力を行うための異常解消入力部を備え、
前記異常解消入力部へのユーザ入力が行われると前記追従再開条件が成立し、前記ユーザ入力が行われた前記異常解消入力部を備える移動体が、前記追従再開信号を出力する、請求項
11に記載の隊列走行システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の移動体を隊列走行させる隊列走行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の移動体を隊列走行させる方法が開示されている。特許文献1の場合、親機の移動体に対して子機の移動体が追従走行することにより、複数の移動体が隊列走行を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一度編成した複数の移動体の隊列を一時的に解散し、その後にその隊列を再編したい場合がある。
【0005】
例えば、複数の移動体が、隊列編成状態で移動できない箇所がある。例えば、隊列編成状態の複数の移動体をエレベータによって1階から2階に移動させる場合、そのエレベータが1台の移動体しか搭載できない場合がある。この場合、複数の移動体の隊列を一時的に解散し、移動体を1台ずつ2階に移動させた後、隊列を再編する必要がある。そのとき、親機や子機の設定、子機それぞれの追従走行の停止および再開などの作業に手間がかかる場合がある。
【0006】
そこで、本開示は、追従走行を行うことによって複数の移動体が隊列走行を行う場合に、その隊列の一時的な解散とその後の再編を容易に行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、
複数の移動体を隊列編成した状態で走行させる隊列走行シスムであって、
追従走行を実行することによって隊列走行する複数の移動体と、
前記隊列走行中、前記移動体の追従走行を一時停止させる追従一時停止条件が成立すると、追従走行を一時停止させて前記移動体の移動を制限するための追従一時停止信号を前記移動体に出力する追従一時停止信号出力部と、
前記追従一時停止条件の成立によって追従走行を一時停止された移動体の追従走行を再開させる追従再開条件が成立すると、移動体の追従走行を再開させて前記隊列走行を可能にするための追従再開信号を前記移動体に出力する追従再開信号出力部と、を有する、隊列走行システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、追従走行を行うことによって複数の移動体が隊列走行を行う場合に、その隊列の一時的な解散とその後の再編を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る隊列走行システムの構成図
【
図4】移動体の隊列の設定処理の流れの一例を示すフローチャート
【
図5】隊列を設定するために配置された複数の移動体を示す図
【
図6】移動体の隊列の解散処理の流れの一例を示すフローチャート
【
図7】隊列を一時的に解散する必要がある事例を示す図
【
図8】移動体の隊列の一時解散処理の流れの一例を示すフローチャート
【
図9】隊列走行中に障害物を検出したときの処理の流れの一例を示すフローチャート
【
図10】隊列走行中に異常の発生を検出したときの処理の流れの一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0011】
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
以下に、本開示の実施の形態に係る隊列走行システムについて
図1~
図10を参照して説明する。
【0013】
図1は、本開示の一実施の形態に係る隊列走行システムの構成図である。また、
図2は、隊列走行中の複数の移動体を示す図である。
【0014】
図1および
図2に示すように、本実施の形態に係る隊列走行システムは、複数の移動体10を隊列編成した状態で走行させるシステムである。また、本実施の形態に係る隊列走行システムが隊列走行させる移動体10は、いわゆる電動車いすである。
【0015】
本実施の形態の場合、複数の移動体10を隊列走行させる隊列走行システムを構成する構成要素は、移動体10に組み込まれている。
【0016】
本実施の形態の場合、移動体10は、本体12と、本体12に取り付けられた前輪14と、本体12に取り付けられた後輪16と、後輪16を回転駆動する動力源としてのモータ18と、モータ18を制御する、例えばCPUなどの制御装置20を有する。
【0017】
本実施の形態の場合、移動体10はまた、操縦スティック22と、電磁ブレーキ24と、マーカセンサ26と、障害物センサ28と、通信装置30と、記憶装置32と、入出力デバイス34とを有する。
【0018】
本実施の形態の場合、移動体10はさらに、複数の走行モードで走行するように構成されている。
【0019】
【0020】
図3に示すように、移動体10の走行モードは、まず、モータ18が後輪16を回転駆動することによって走行する動力走行モードと、モータ18を用いずに外力、例えばユーザの手押しによって走行する外力走行モードとに分類される。また、動力走行モードは、ユーザ(搭乗者)が、操縦スティック22を操作することによって走行するマニュアル走行モードと、複数の移動体10と隊列を編成して走行する隊列走行モードとに分類される。
【0021】
マニュアル走行モードにおいて、操縦スティック22は、移動体10に搭乗したユーザもしくは移動体10の隣接から操作を行う操作担当者がその移動体10を操縦するためのものである。操縦スティック22に対する操作内容に対応する操作信号が制御装置20に送信される。制御装置20は、その操作信号に基づいて左右の後輪16それぞれに連結されたモータ18を制御するとともに、電磁ブレーキ24を制御する。電磁ブレーキ24は、後輪16を制動する(その回転を選択的に制限する)。
【0022】
マーカセンサ26は、隊列走行モードにおいて、前方を走行する別の移動体10を追従するために使用される。具体的には、マーカセンサ26は、移動体10の前方に設けられ、前方を走行する別の移動体10の後側に設けられたマーカ36を検出する。また、マーカセンサ26は、マーカ36を検出していることを示すマーカ検出信号を制御装置20に送信する。制御装置20は、マーカ検出信号に基づいて、マーカセンサ26がマーカ36を検出し続けるように、モータ18および電磁ブレーキ24を制御する。これにより、移動体10は、前方の移動体10に対して一定の距離を保ちつつ追従走行を実行することができる。
【0023】
障害物センサ28は、移動体10の前側に設けられ、その移動体10の前方に出現した障害物を検出する。障害物センサ28は、障害物を検出すると障害物検出信号を制御装置20に送信する。制御装置20は、障害物検出信号を受信すると、移動体の走行を停止させるために、モータ18を停止させるとともに電磁ブレーキ24によって後輪16の回転を停止させる。
【0024】
通信装置30は、他の移動体10および入出力デバイス34と無線通信するための装置である。
【0025】
記憶装置32は、移動体10の情報(例えば、個体識別番号など)やCPUなどの処理装置を制御装置20として機能させるためのプログラムなどを記憶する装置である。
【0026】
入出力デバイス34は、ユーザが移動体10に対して様々な入力(選択入力、設定入力など)を行うためのデバイスであって、本実施の形態の場合、移動体10それぞれに設けられている。また、入出力デバイス34は、移動体10に関する情報をユーザに出力するデバイスでもある。そのために、入出力デバイス34は、例えばタッチスクリーンを備える。
【0027】
また、本実施の形態の場合、入出力デバイス34は、移動体10の本体12から分離した携帯可能なデバイスであって、通信装置30を介して、移動体10の本体12に搭載された制御装置20と通信する。なお、これに代わって、入出力デバイス34は、移動体10の本体12に分離不可能に組み込まれてもよい。
【0028】
入出力デバイス34はまた、例えば携帯端末である。例えば、移動体10の製造会社のホームぺージから携帯端末に移動体用アプリケーションソフトウエアをダウンロードしてインストールすることにより、携帯端末が入出力デバイス34として機能する。
【0029】
入出力デバイス34はさらに、移動体10の走行モードをユーザが選択するための走行モード選択部34aと、隊列走行モードにおける隊列をユーザが設定するため隊列設定部34bとを備える。
【0030】
入出力デバイス34の走行モード選択部34aは、上述したマニュアル走行モードおよび隊列走行モードの中からユーザが所望する走行モードを選択するためのものである。例えば、走行モード選択部34aは、入出力デバイス34のタッチスクリーンに、マニュアル走行モード選択ボタンと隊列走行モード選択ボタンとを表示する。ユーザがいずれか1つのボタンにタッチすると、走行モード選択部34aは、タッチされたボタンに対応する走行モードに変更するための信号を、移動体10の本体12の制御装置20に送信する。これにより、ユーザが選択した走行モードが実行される。
【0031】
なお、本実施の形態の場合、
図3に示すように、動力走行モード(マニュアル走行モードおよび隊列走行モード)以外に、外力走行モードが存在する。動力走行モードから外力走行モードへの変更またはその逆の変更は、移動体10の本体12の設けられた走行モード変更レバー38を介して行われる。
【0032】
走行モード変更レバー38は、動力走行モードから外力走行モードへの変更またはその逆の変更をユーザの手動で行うためのレバーである。
【0033】
走行モード変更レバー38がONのとき、動力走行モード(マニュアル走行モードおよび隊列走行モード)が可能であって、電磁ブレーキ24が、有効化され、それにより後輪16に対する制動動作を実行可能な状態にされる。また、移動体10が停止しているとき、電磁ブレーキ24は、後輪16の回転を制限する。すなわち、動力走行モードのとき、移動体10は外力での走行が制限されている。
【0034】
走行モード変更レバー38がOFFのとき、外力走行モードが可能であって、モータ18への通電が制限される。また、電磁ブレーキ24が、後輪16との連結が解除され(無効化され)、それにより後輪16に対する制動動作を実行不可能な状態にされる。その結果、後輪16は自由回転可能な状態で維持される。すなわち、外力走行モードのとき、移動体10は外力での走行が可能になる。
【0035】
入出力デバイス34の説明に戻り、隊列設定部34bは、隊列走行モードで隊列走行するときの移動体10の隊列をユーザが設定するためのものである。
【0036】
本実施の形態の場合、移動体10の隊列は、1台の親機とその親機に対応付けされた少なくとも1台の子機とから構成される。その子機の移動体が親機の移動体に追従走行することにより、複数の移動体10が隊列を編成した状態で走行する。
【0037】
図2に示す一例の隊列の場合、ユーザ(搭乗者)P1の操縦によって走行する親機の移動体10Aに対して子機の移動体10Bが追従走行する。また、子機の移動体10Cは、子機の移動体10Bに対して追従走行する、すなわち子機の移動体10Bを介して、間接的に親機10Aに対して追従走行する。さらに子機10Dの移動体10は、子機10Cの移動体10に対して追従走行する、すなわち子機の移動体10B、10Cを介して、間接的に親機10Aに対して追従走行する。これにより、子機10B~10Dのユーザ(搭乗者)P2~P4は、操縦することなく、移動することができる。なお、子機の移動体10B~10Dは、ユーザが搭乗していなくても、親機の移動体10Aに対して追従走行を行うことができる。
【0038】
入出力デバイス34の隊列設定部34bを介してユーザによって行われる隊列設定の一例について説明する。
【0039】
図4は、移動体の隊列の設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0040】
まず、ユーザは、複数の移動体10において、親機にする移動体10Aと、子機にする移動体10B~10Dとを決定する。
【0041】
ステップS100において、ユーザは、親機にする移動体を、適当な位置に配置する。ここで言う適当な位置は、親機にする移動体の後方に子機にする移動体を並べることができる位置を言う。
【0042】
ステップS101において、ユーザは、親機にする移動体10Aの入出力デバイス34の走行モード選択部34aを介して、隊列走行モードを選択する。これにより、移動体10Aの走行モードが隊列走行モードに変更される。
【0043】
ステップS102において、ユーザは子機にする移動体10B~10Dを、親機にする移動体10Aの後方に配置する。
【0044】
図5は、隊列を設定するために配置された複数の移動体を示す図である。
【0045】
図5に示すように、親機にする移動体10Aの後方に子機にする移動体10Bが配置される。その移動体10Bの後方に、子機にする移動体10Cが配置される。そして、その移動体10Cの後方に、子機にする移動体10Dが配置される。
【0046】
なお、ステップS100およびステップ102での移動体10A~10Dの配置は、マニュアル走行モードで実行してもよいし、外力走行モードで実行してもよい。すなわちユーザが搭乗して移動体10を操縦することによって行ってもよいし、ユーザが手押しすることによって行ってもよい。
【0047】
また、親機にする移動体10Aの後方に配置される子機にする移動体10Bは、そのマーカセンサ26の検出範囲DR内に移動体10Aのマーカ36が存在するように配置される。同様に、移動体10Bが移動体10Cの後方に配置され、移動体10Dが移動体10Cの後方に配置される。
【0048】
ステップS103において、ユーザは、子機にする移動体10B~10Dそれぞれの入出力デバイス34の走行モード選択部34aを介して、隊列走行モードを選択する。これにより、移動体10B~10Dの走行モードが隊列走行モードに変更される。
【0049】
ステップS104において、ユーザは、親機にする移動体10Aの入出力デバイス34の隊列設定部34bを介して、移動体10Aを親機に設定する。例えば、隊列設定部34bは、入出力デバイス34のタッチスクリーンに親機設定ボタンを表示する。その親機設定ボタンをユーザがタッチすることにより、移動体10Aが親機に決定される。
【0050】
ステップS104で親機に設定された移動体10A(その制御装置20)は、ステップS105において、搭載する通信装置30を介して、親機宣言信号を出力する。なお、親機宣言信号には、移動体を識別するための識別番号などの情報が含まれている。
【0051】
ステップS106において、子機にする移動体10B~10Dは、親機宣言信号を受信する。
【0052】
ステップS107において、ユーザは、親機宣言信号を受信した子機にする移動体10B~10Dを、それらの入出力デバイス34の隊列設定部34bを介して、親機宣言信号を出力した親機の移動体10Aに対応付けされた子機に設定する。例えば、隊列設定部34bは、入出力デバイス34のタッチスクリーンに親機宣言信号を出力した移動体10Aの情報(例えば識別番号など)を示すアイコンを表示する。ユーザがそのアイコンにタッチすると、移動体10B~移動体10Dが子機に決定される。
【0053】
ステップS107で子機に設定された移動体10B~10Dは、ステップS108において、追従走行を開始する。すなわち、移動体10B~10Dそれぞれのマーカセンサ26が、前方に位置する追従対象の移動体のマーカ36の検出を開始する。
【0054】
ステップS107で子機に設定された移動体10B~10D(それらの制御装置20)それぞれは、ステップS109において、搭載する通信装置30を介して、子機宣言信号を親機の移動体10Aに送信する。なお、子機宣言信号には、移動体を識別するための識別番号などの情報が含まれている。
【0055】
ステップS109で子機宣言信号を親機の移動体10Aに送信した子機の移動体10B~10Dそれぞれ(それらの制御装置20)は、ステップS110において、親機の移動体10Aの情報を記憶装置32に保存する。
【0056】
ステップS111において、親機の移動体10Aは、ステップS109で子機の移動体10B~10Dそれぞれから送信された子機宣言信号を受信する。
【0057】
ステップS111で子機宣言信号を受信した親機の移動体10A(その制御装置20)は、ステップS112において、それらの子機宣言信号を送信した子機の移動体10B~10Dそれぞれの情報を記憶装置32に保存する。
【0058】
そして、ステップS113において、親機の移動体10A(その制御装置20)は、その入出力デバイス34を介して、親機の移動体10Aと子機の移動体10B~10Dを含む隊列の編成が完了したことをユーザに通知する。
【0059】
このような隊列設定により、親機の移動体10Aは、対応付けされた子機の移動体10B~10Dの情報を保持する。同様に、子機の移動体10B~10Dそれぞれは、親機の移動体10Aの情報を保持する。例えば、隊列走行モードの実行中、親機の移動体10Aと子機の移動体10B~10Dそれぞれが相互通信することにより、隊列が維持されていることを確認することができる。
【0060】
このようにして設定された隊列は、親機の移動体10Aの入出力デバイス34を介して解散されるまで維持される。
【0061】
図6は、移動体の隊列の解散処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
本実施の形態の場合、隊列の解散は、親機の移動体10Aの入出力デバイス34のみで実行することができる。
【0063】
図6に示すように、ステップS200において、ユーザが、親機の移動体10Aの入出力デバイス34を介して、隊列解散を指示する。例えば、入出力デバイス34の隊列設定部34bが、入出力デバイス34のタッチスクリーンに隊列解散ボタンを表示する。ユーザがその隊列解散ボタンにタッチすると、隊列解散処理が開始される。
【0064】
ステップS200で隊列解散処理が開始されると、ステップS201において、親機の移動体10A(その制御装置20)は、通信装置30を介して子機の移動体10B~10Dそれぞれに対して隊列解散要求信号を送信する。
【0065】
ステップS202において、子機の移動体10B~10Dそれぞれは、ステップS201で親機の移動体10Aが送信した隊列解散要求信号を受信する。
【0066】
ステップS202で隊列解散要求信号を受信した子機の移動体10B~10Dそれぞれは、ステップS203において、追従走行を終了する。すなわち、それぞれのマーカセンサ26が、前方の移動体のマーカ36の検出を終了する。
【0067】
ステップS204において、子機の移動体10B~10Dそれぞれ(それらの制御装置20)は、解散処理完了信号を親機の移動体10Aに対して送信する。
【0068】
そして、ステップS205において、子機の移動体10B~10Dそれぞれ(それらの制御装置20)は、記憶装置32に記憶されている親機の移動体10Aの情報を削除する。これにより、子機の移動体10B~10Dそれぞれと親機の移動体10Aとの対応関係が解消される。その後、ステップS206において、子機の移動体10B~10Dそれぞれの走行モードが、隊列走行モードからマニュアル走行モードに変更される。
【0069】
ステップS207において、親機の移動体10Aは、ステップS204で子機の移動体10B~10Dそれぞれから送信された解散処理完了信号を受信する。
【0070】
ステップS208において、親機の移動体10A(その制御装置20)は、記憶装置32に記憶されている子機の移動体10B~10Dの情報を削除する。
【0071】
ステップS209において、親機の移動体10Aの入出力デバイス34は、ユーザに対して隊列解散が完了したことを通知する。
【0072】
そして、ステップS210において、親機の移動体10Aの走行モードが、隊列走行モードからマニュアル走行モードに変更される。
【0073】
これまでは、複数の移動体10の隊列を設定する方法と、その隊列を解散する方法を例示した。ここからは、隊列を一時的に解散する方法について説明する。
【0074】
図4および
図6のフローチャートに示す隊列設定処理および隊列解散処理にしたがって、隊列を設定し、その隊列を解散し、また隊列を再設定することは、ユーザにとって手間である。設定と解散を繰り返して行う必要がある場合、特に、ユーザにとって手間である。
【0075】
図7は、隊列を一時的に解散する必要がある事例を示す図である。
【0076】
図7に示すように、例えば、移動体10A~10Dの隊列が、異なるフロア間を移動する、例えば1階から2階に移動する必要があって、エレベータELには1台の移動体のみが搭乗可能である場合、その隊列を解散する必要がある。
【0077】
この場合、隊列を解散し、まず、1台目の移動体10AをエレベータELを介して1階から2階に移動させる。次に、2台目の移動体10B、3台目の移動体10C、4台目の移動体10Dを同様に1階から2階に移動させる。全ての移動体10A~10Dが2階に移動した後、隊列(親機および子機)を再設定する。
【0078】
このとき、
図4および
図6のフローチャートに示す隊列設定処理および隊列解散処理を行うことは、ユーザにとっては手間である。
【0079】
その対処として、本実施の形態に係る隊列走行システムは、移動体の隊列を一時的に解散可能に構成されている。
【0080】
図8は、移動体の隊列の一時解散処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0081】
図8に示すように、隊列の一時解散処理は、ステップS300において、隊列走行モードの実行中に、ユーザが走行モード変更レバー38を介して外力走行モードに手動変更することによって開始される。
【0082】
ステップS300で外力走行モードに手動変更された親機の移動体10A(その制御装置20)は、ステップS301において、追従走行を一時的に停止させるための追従一時停止信号を子機の移動体10B~10Dそれぞれに対して、通信装置30を介して送信する。すなわち、本実施の形態の場合、親機の移動体10Aの制御装置20が、隊列走行システムにおいて追従一時停止信号を出力する追従一時停止信号出力部として機能する。
【0083】
ステップS302において、ユーザが、親機の移動体10Aを手押しで目的の位置に移動させる。
図7に示す例の場合、ユーザは、エレベータELによって親機の移動体10Aを1階から2階に移動させる。
【0084】
ユーザは、親機の移動体10Aを目的の位置に移動させると、ステップS303において、走行モード変更レバー38を介して外力走行モードから隊列走行モードに変更する。
【0085】
ステップS304において、子機の移動体10B~10Dそれぞれは、ステップS301で親機の移動体10Aから送信された追従一時停止信号を受信する。
【0086】
ステップS304で追従一時停止信号を受信した子機の移動体10B~10Dそれぞれは、ステップS305において、動力走行モードでの走行が制限される。すなわち、隊列走行モードでの走行(追従走行)およびマニュアル走行モードでの走行が制限され、子機の移動体10B~10Dは停止する。その結果、追従走行が一時停止される。
【0087】
ステップS306において、ユーザが、子機の移動体10B~10Dそれぞれの走行モードを、走行モード変更レバー38を介して隊列走行モードから外力走行モードに手動変更する。
【0088】
ステップS307において、ユーザが、子機の移動体10B~10Dそれぞれを手押しして親機の移動体10Aの後方に並んだ状態で配置する。
図7に示す例の場合、ユーザは、エレベータELによって子機の移動体10B~10Dを一台ずつ1階から2階に移動させ、2階で待機する親機の移動体10Aの後方に配置する。
【0089】
ステップS308において、ユーザは、親機の移動体10Aの後方に並べられた子機の移動体10B~10Dそれぞれの走行モードを、走行モード変更レバー38を介して外力走行モードから隊列変更モードに手動変更する。なお、ステップS305で動力走行モードでの走行が制限されているために、子機の移動体10A~10Dはまだ移動できない状態である。
【0090】
ステップS308で隊列走行モードに変更された子機の移動体10B~10Dそれぞれは、ステップS309において、追従対象を検出する。すなわち、子機の移動体10B~10Dそれぞれのマーカセンサ26が、前方の移動体のマーカ36の検出を開始する。これにより、追従走行を再開する準備が整う。
【0091】
ステップS310において、子機の移動体10B~10Dそれぞれ(それらの制御装置20)が、追従走行を再開する準備が整ったとして、追従準備完了信号を親機の移動体10Aに対して、通信装置30を介して送信する。
【0092】
ステップS311において、親機の移動体10Aは、ステップS310で子機の移動体10B~10Dそれぞれから送信された追従準備完了信号を受信する。
【0093】
ステップS312において、親機の移動体10A(その制御装置20)は、隊列設定処理において記憶装置32に保存された子機の移動体の情報に基づいて、隊列に含まれる子機の移動体全てからの追従準備完了信号を受信したことを確認する、すなわち子機の移動体の存在を確認する。
【0094】
なお、隊列に含まれる子機の移動体全てから追従再開信号が送られたことを確認できない場合、すなわち子機の移動体の所在が不明である場合、親機の移動体10Aの入出力デバイス34が、所在が不明の子機の移動体の情報をユーザに通知する。
【0095】
ステップS312で子機の移動体10B~1D全ての存在を確認すると、ステップ313において、親機の移動体10A(その制御装置20)が、追従走行を再開させる追従走行再開信号を子機の移動体10B~10Dそれぞれに対して、通信装置30を介して送信する。すなわち、本実施の形態の場合、親機の移動体10Aの制御装置20が、隊列走行システムにおいて追従再開信号を出力する追従再開信号出力部として機能する。
【0096】
ステップS314において、子機の移動体10B~10Dそれぞれは、ステップS313で親機の移動体10Aから送信された追従再開信号を受信する。
【0097】
ステップS314で追従再開信号を受信することにより、子機の移動体10B~10Dそれぞれは、ステップS315において、ステップS305で実行された動力走行モードでの走行の制限が解除される。これにより、子機の移動体10B~10Dそれぞれは、隊列モードでの走行、すなわち追従走行が可能になる。
【0098】
そして、ステップS316において、親機の移動体10Aの入出力デバイス34が、ユーザに対して隊列再編が完了したことを通知する。
【0099】
このような隊列の一時解散処理によれば、子機の移動体10B~10Dそれぞれの追従走行の停止や再開を容易に行うことができる。また、本実施の形態の場合、親機の移動体10Aが子機の移動体10B~10Dの情報を保持するとともに子機の移動体10B~10Dそれぞれが親機の移動体10Aの情報を保持しているため、親機および子機の再設定を必要としない。また、本実施の形態の場合、親機の移動体10Aの入出力デバイス34および子機の移動体10B~10Dそれぞれの入出力デバイス34を使用しなくても済む。その結果、ユーザは、隊列を一時的に解散し、その一時的に解散した隊列を再編する作業を容易に、すなわち短時間かつ簡単に実施することができる。
【0100】
なお、上述した追従一時停止信号や追従再開信号は、本実施の形態の場合、隊列を一時的に解散する場合以外にも使用される。すなわち、移動体の追従走行を一時的に停止させる条件(追従一時停止条件)が成立する状況が、いくつかある。同様に、追従走行を一時停止された移動体の追従走行を再開させる条件(追従再開条件)が成立する状況も、いくつかある。
【0101】
例えば、
図1に示すように、移動体10には、前方の障害物を検出する障害物センサ28が搭載されている。隊列走行中、複数の移動体10において、1台の移動体10の障害物センサ28が障害物を検出すると、追従一時停止条件が成立する。
【0102】
図9は、隊列走行中に障害物を検出したときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0103】
隊列走行中、いずれの移動体10A~10Dにおいても、その前方に、例えば歩行者などの障害物が出現する可能性がある。そのため、
図9に示す処理は、障害物を検出した障害物センサ28を搭載する移動体から始まる。
【0104】
まず、ステップS400において、隊列走行中の複数の移動体10A~10Dの中の1台に搭載された障害物センサ28が障害物を検出する。
【0105】
ステップS401において、検出した障害物との衝突を回避するために、障害物を検出した移動体は、走行を停止する。
【0106】
ステップS402において、障害物を検出した移動体(その制御装置20)は、追従一時停止信号を他の移動体に送信する。
【0107】
ステップS403において、他の移動体は、障害物を検出した移動体からの追従一時停止信号を受信する。
【0108】
ステップS404において、ステップS403で追従一時停止信号を受信した他の移動体は、動力走行モードでの走行が制限され、走行停止する。
【0109】
障害物を検出した移動体の前方に存在する障害物が移動すると、ステップS405において、その移動体の障害物センサ28は障害物が非検出の状態になる。すなわち、追従再開条件が成立する。
【0110】
障害物センサ28が障害物非検出状態になると、ステップS406において、障害物を検出した移動体(その制御装置20)は、追従再開信号を他の移動体に送信する。
【0111】
ステップS407において、他の移動体は、障害物を検出した移動体からの追従再開信号を受信する。
【0112】
他の移動体は、ステップS408において、ステップS404で実行された動力走行モードでの走行の制限が解除される。これにより、他の移動体は、隊列モードでの走行、すなわち追従走行が可能になる。
【0113】
また例えば、移動体に異常が生じたときにも追従一時停止条件が成立し、その異常が解消したときに追従再開条件が成立する。なお、ここで言う移動体の異常とは、動力源(モータ18)や車輪(前輪14、後輪16)に生じる走行に関する異常、マーカセンサ26や障害物センサ28に生じるセンシングに関する異常、通信装置30に生じる通信に関する異常などがある。
【0114】
このような異常状態を検出するために、移動体は異常発生検出部を備える。走行に関する異常については、例えば、走行速度を検出する速度センサ(図示せず)と、モータ18を制御する制御装置20とが異常発生検出部として機能する。すなわち、モータ18に流れる制御電流と速度センサが検出する走行速度との対応関係が変化した場合、モータ18から後輪16までの駆動伝達経路に異常が発生していることがわかる。また、センシングに関する異常については、例えば、制御装置20が異常発生検出部として機能する。すなわちマーカセンサ26や障害物センサ28からの検出信号を制御装置20が受信できない場合、センサに異常が発生していることがわかる。通信に関する異常については、移動体間で定期的に通信を行うことにより検出することができる。例えば、ある移動体からの信号は受信できないが他の移動体からの信号を受信できる場合、そのある移動体に通信に関する異常が発生していることがわかる。なお、このように通信に関する異常は、その異常が生じた移動体とは別の移動体が検出する(異常発生検出部として機能する)。
【0115】
図10は、隊列走行中に異常の発生を検出したときの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0116】
まず、ステップS500において、隊列走行中の1台が異常の発生を検出する。
【0117】
ステップS501において、異常の発生を検出した移動体は、走行を停止する。
【0118】
ステップS502において、異常の発生を検出した移動体(その制御装置20)は、追従一時停止信号を他の移動体に送信する。
【0119】
ステップS503において、他の移動体は、異常の発生を検出した移動体からの追従一時停止信号を受信する。
【0120】
ステップS504において、ステップS503で追従一時停止信号を受信した他の移動体は、動力走行モードでの走行が制限され、走行停止する。
【0121】
ユーザによって異常が解消されると、ステップS505において、異常の発生を検出した移動体の入出力デバイス(異常解消入力部)34に対して、異常の解消を確認したユーザによる異常解消のユーザ入力が行われる。すなわち、追従再開条件が成立する。
【0122】
なお、これに代わって、異常解消のユーザ入力は、異常の発生を検出した移動体とは別の移動体の入出力デバイス34に対して行われてもよい。
【0123】
ステップS505で異常解消の入力がユーザによって行われると、ステップS506において、異常発生検出の移動体(その制御装置20)は、追従再開信号を他の移動体に送信する。
【0124】
ステップS507において、他の移動体は、異常の発生を検出した移動体からの追従再開信号を受信する。
【0125】
他の移動体は、ステップS508において、ステップS504で実行された動力走行モードでの走行の制限が解除される。これにより、他の移動体は、隊列モードでの走行、すなわち追従走行が可能になる。
【0126】
なお、異常が解消できない場合、その異常が生じた移動体は、隊列から取り除く必要がある。その場合、隊列解消が行われ、残りの移動体を含む隊列が新たに設定される。
【0127】
以上のような本実施の形態によれば、追従走行を行うことによって複数の移動体10が隊列走行を行う場合に、その隊列の一時的な解散とその後の再編を容易に行うことができる。
【0128】
以上、上述の実施の形態を挙げて本開示を説明したが、本開示の実施の形態はこれに限定されない。
【0129】
例えば、上述の実施の形態の場合、
図2に示すように、複数の移動体は、一列縦隊で隊列走行する。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。複数の移動体は、例えば、二列縦隊で隊列走行してもよい。
【0130】
また、上述の実施の形態の場合、
図4に示すように、親機設定は、親機の移動体の入出力デバイスで行われ、子機設定は、子機の移動体の入出力デバイスで行われている。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、複数の移動体に対して、1つの共用の入出力デバイスが用意されてもよい。この場合、共用の入出力デバイスが、複数の移動体それぞれの制御装置と通信を行い、親機や子機の設定、隊列解消などのために使用される。
【0131】
さらに、上述の実施の形態の場合、追従一時停止信号や追従再開信号は、移動体が出力している。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、上述したように、複数の移動体に対して1つの共用の入出力デバイスが用意される場合、その共用の入出力デバイスが、追従一時停止信号や追従再開信号を出力してもよい。この場合、移動体において追従一時停止条件や追従再開条件が成立すると(外力走行モードへの手動変更、障害物検出、異常発生検出など)、その移動体は条件が成立したことを共用の入出力デバイスに通知する。その通知に基づいて、共用の入出力デバイスが追従一時停止信号や追従再開信号を出力する。この場合、移動体間の通信が必要なくなる、または移動体間の通信の回数が減少する。
【0132】
さらにまた、上述の実施の形態の場合、移動体の追従走行は、
図1に示すように、本体12の前側に搭載されたマーカセンサ26が、前方の移動体の本体12の後側に搭載されたマーカ36を検出することによって行われる。しかしながら、本開示の実施の形態は、追従走行の方法を問わない。例えば、前方の移動体とその移動体を追従する後方の移動体が相互通信を行うことにより、追従走行が行われてもよい。例えば、前方の移動体の走行方向や移動速度などの走行情報を通信によって取得し、その取得した走行情報に基づいて後方の移動体が走行してもよい。
【0133】
加えて、上述の実施の形態の場合、移動体は、隊列走行を先導する親機として、また、親機に対して追従走行を行う子機として機能することが可能である。しかしながら、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、複数の移動体の中に、隊列走行を先導するための専用機としての親機用移動体と、親機用移動体に対して追従走行を行うための専用機としての子機用移動体とが含まれてもよい。したがって、複数の移動体は、同一の構成を備えるものに限らない。
【0134】
さらに加えて、上述の実施の形態の場合、移動体は、ユーザが搭乗して操縦可能な電動車いすであったが、本開示の実施の形態はこれに限らない。例えば、移動体は、人間以外の物体を搬送する搬送ロボットであってもよい。
【0135】
すなわち、本開示の実施の形態は、広義には、複数の移動体を隊列編成した状態で走行させる隊列走行シスムであって、追従走行を実行することによって隊列走行する複数の移動体と、前記隊列走行中、前記移動体の追従走行を一時停止させる追従一時停止条件が成立すると、追従走行を一時停止させて前記移動体の移動を制限するための追従一時停止信号を前記移動体に出力する追従一時停止信号出力部と、前記追従一時停止条件の成立によって追従走行を一時停止された移動体の追従走行を再開させる追従再開条件が成立すると、移動体の追従走行を再開させて前記隊列走行を可能にするための追従再開信号を前記移動体に出力する追従再開信号出力部と、を有する。
【0136】
以上のように、本開示における技術の例示として、複数の実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
【0137】
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0138】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本開示は、追従走行によって隊列走行を行う移動体に適用可能である。
【符号の説明】
【0140】
10 移動体
20 制御装置