(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】冷蔵庫のヒンジ構造
(51)【国際特許分類】
F25D 23/02 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
F25D23/02 301E
(21)【出願番号】P 2020190324
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乾 雄人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 匡彦
(72)【発明者】
【氏名】岡部 健一
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-521106(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108286862(CN,A)
【文献】特開平09-229548(JP,A)
【文献】特開昭59-056069(JP,A)
【文献】特開平08-296952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に対して扉を開閉自在に支持する冷蔵庫のヒンジ構造において、
前記本体の上下に取付けられるヒンジ部材と、
前記ヒンジ部材に設けられる第1のガイドピンおよび第2のガイドピンと、
前記扉の上下に取付けられるガイド部材と、
前記ガイド部材に設けられ、前記第1のガイドピンおよび前記第2のガイドピンが係合されるガイド溝と、を備え、
前記ガイド溝は、円弧状に形成された少なくとも2つのガイド部を備え、前記第1のガイドピンおよび前記第2のガイドピンの前記扉が開閉動作する際の仮想回転中心を移動させながら規制する1つのガイド溝で構成されており、
前記扉は、前記ガイド溝が前記第1のガイドピンおよび前記第2のガイドピンに規制されて開閉動作され、
前記仮想回転中心は、前記扉が閉じた状態で、前記扉より前面側に位置していることを特徴とする冷蔵庫のヒンジ構造。
【請求項2】
前記仮想回転中心は、前記第1のガイドピンの位置および前記第2のガイドピンの位置における前記ガイド溝に対する垂線の交点であり、
前記仮想回転中心は、前記扉の前面側であって前記扉の一側部に位置していることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫のヒンジ構造。
【請求項3】
前記ガイド部材は、上部ガイド部材と下部ガイド部材とから構成され、前記ヒンジ部材は、上部ヒンジ部材と下部ヒンジ部材とから構成され、
前記下部ガイド部材は、
前記下部ヒンジ部材に係合可能なストッパー用のラッチ部を一体成形して構成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫のヒンジ構造。
【請求項4】
前記下部ヒンジ部材に当接して前記扉の開放を制限するストッパーを有し、前記ストッパーは、前記下部ガイド部材と共に前記扉の下部に取り付けられることを特徴とする
請求項3に記載の冷蔵庫のヒンジ構造。
【請求項5】
前記扉には、前記ヒンジ部材および前記ガイド部材の前面側をカバーするカバー壁が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の冷蔵庫のヒンジ構造。
【請求項6】
前記ヒンジ部材には、前記扉が開いた際に前記カバー壁の端部を受け入れる切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の冷蔵庫のヒンジ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫のヒンジ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、冷蔵庫のヒンジ構造を開示する。このヒンジ構造は、扉に案内ブロックが設けられ、ヒンジ本体に回転軸が設けられ、案内ブロックに回転軸溝が設けられ、ヒンジ本体の構造によって、扉の重力および摩擦力がヒンジ本体の第1のプレート本体および第2のプレート本体に分配され、摩耗を減らし、冷蔵庫の扉の使用寿命を延長することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、冷蔵庫を壁に近接して設置した場合でも、扉を開動作させることができる冷蔵庫のヒンジ構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷蔵庫のヒンジ構造は、本体に対して扉を開閉自在に支持する冷蔵庫のヒンジ構造において、前記本体の上下に取付けられるヒンジ部材と、前記ヒンジ部材に設けられる第1のガイドピンおよび第2のガイドピンと、前記扉の上下に取付けられるガイド部材と、前記ガイド部材に設けられ、前記第1のガイドピンおよび前記第2のガイドピンが係合されるガイド溝と、を備え、前記ガイド溝は、円弧状に形成された少なくとも2つのガイド部を備え、前記第1のガイドピンおよび前記第2のガイドピンの前記扉が開閉動作する際の仮想回転中心を移動させながら規制する1つのガイド溝で構成されており、前記扉は、前記ガイド溝が前記第1のガイドピンおよび前記第2のガイドピンに規制されて開閉動作され、前記仮想回転中心は、前記扉が閉じた状態で、前記扉より前面側に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷蔵庫のヒンジ構造は、扉を開動作させる際に、冷蔵庫を壁に近接して設置した場合でも、扉を開動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施の形態1の冷蔵庫のヒンジ構造を示す分解斜視図
【
図4】実施の形態1の上部ヒンジ構造を示す分解斜視図
【
図6】実施の形態1の下部ガイド構造を示す分解斜視図
【
図7】実施の形態1の上部ガイド溝と上部ガイドピンの動作を示す説明図
【
図8】実施の形態1の下部ガイド溝と下部ガイドピンの動作を示す説明図
【
図9】実施の形態2の下部ガイド構造を示す分解斜視図
【
図11】実施の形態2の下部ガイド溝と下部ガイドピンの動作を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
冷蔵庫を設置場所の壁に近接して設置した場合に、回転軸による回転中心が扉の内側にあると、扉を開くと、扉の前面角部が冷蔵庫の本体より側方にはみ出してしまい扉を開くことができないという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで本開示は、冷蔵庫を壁に近接して設置した場合でも、扉を開動作させることができる冷蔵庫のヒンジ構造を提供する。
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図7を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
[1-1-1.冷蔵庫の構成]
図1は、本発明に係るヒンジ構造が適用される冷蔵庫の概略を示す斜視図である。
図2は、冷蔵庫の概略を示すヒンジ構造部分の分解斜視図である。
図1に示すように、冷蔵庫1は、箱型の本体10を備えている。本体10の前面には、扉11がヒンジ構造12により開閉自在に設けられている。本実施の形態においては、扉11は、2枚の扉11で構成され、それぞれが観音開き可能に取付けられている。
【0011】
[1-1-1.ヒンジ構造12の構成]
図3は、上部のヒンジ構造12を示す斜視図である。
図4は、上部のヒンジ構造12を示す分解斜視図である。
図5は、下部のヒンジ構造12を示す斜視図である。
図6は、下部のヒンジ構造12を示す分解斜視図である。
なお、扉11のヒンジ構造12は、左右対称であるため、以下の説明では、正面から見て右側に位置する扉11のヒンジ構造12についてのみ説明する。
【0012】
図3および
図4に示すように、本体10の両側の上部には、平板状の上部ヒンジ部材20が取付けられている。
上部ヒンジ部材20は、本体10に固定される基部21と、基部21の前端部から扉11の上部に重なる位置まで延在するピン支持部22と、本体10の端部側の側辺を切欠いてなる上部切欠き部23と、を備えている。
ピン支持部22の下面には、第1の上部ガイドピン24と第2の上部ガイドピン25が下方に突出するように設けられている。第1の上部ガイドピン24と第2の上部ガイドピン25とは、所定間隔を持って配置されており、第1の上部ガイドピン24の中心と第2の上部ガイドピン25の中心とを結ぶ線は、扉11の前面に対して所定角度を持つように傾斜して配置されている。
【0013】
扉11の上部一側には、扉11の一側面側の一部および後面側を切欠いてなる上部ヒンジ取付凹部13が形成されている。これにより、扉11の前面側には、上部カバー壁14が形成されている。扉11の上部ヒンジ取付凹部13には、開口15が形成されている。
上部ヒンジ取付凹部13には、開口15を塞ぐように上部ガイド部材30が取付けられている。
より具体的には、扉11は、前面を形成する前面板11aと、前面板11aの外枠を形成する扉キャップ11bと、内板11cと、これらで囲まれた内部に有する断熱材(図示しない)とで形成されており、扉11の上部一側の扉キャップ11bの側面側および後面側を切欠いてなる上部ヒンジ取付凹部13が形成されていて、その上部ヒンジ取付凹部13に形成された開口15を塞ぐように上部ガイド部材30が取り付けられている。
【0014】
上部ガイド部材30は、開口15を塞ぐ平板部31と、平板部31の下面側に突出する上部ガイド凹部32と、平板部31の角部に形成された位置決め部33とを備えている。上部ガイド部材30は、位置決め部33を介して図示しないねじを扉11に螺入させることで、扉11に固定される。
また、上部ガイド凹部32は、底面部32aを有し、扉11内に断熱材(図示しない)が充填された時に、底面部32aによって上部ガイド凹部32内に断熱材が入り込まないように形成されている。
また、上記のように上部ガイド部材30は、キャップ11bと別体形成としたが一体形成してもよい。
【0015】
上部ガイド凹部32の内側には、平板部31に開口する上部ガイド溝34が形成されている。上部ガイド溝34は、本実施の形態においては、扉11の前面側から後方に向かって延びる円弧状に形成されたる第1の上部ガイド部35と、第1の上部ガイド部35より曲率半径の小さい円弧状に形成された第2の上部ガイド部36と、第2の上部ガイド部36の後方に連結する円弧状の第3の上部ガイド部37と、を備えている。これにより、上部ガイド溝34は、平面視において、略J字状に形成されている。
また、上部ガイド溝34の開口部には、平板部31から上方に向かって形成されたリブ状突起38が備えられ、上部ガイド溝34の全周に形成されている。
上部ガイド溝34には、第1の上部ガイドピン24および第2の上部ガイドピン25が係合されており、扉11の開閉時のリブ状突起38が上部ヒンジ部材20と摺動する構成となっている。
扉11を閉じた状態から開く際に、設置場所の側壁方向への飛び出しを抑制するために、第1の上部ガイド部35を形成し、さらに扉11を90度まで開放できるように第2の上部ガイド部36を形成している。
さらに、扉11の開放角度を90°以上、具体的には約120°開くために、第2の上部ガイドピン25が位置する第3の上部ガイド部37を形成している。
【0016】
図5および
図6に示すように、本体10の両側の下部には、下部ヒンジ部材40が取付けられている。
下部ヒンジ部材40は、平板状の基部41と、基部41の後端から下方に延在するフランジ部42と、下部切欠き部45とを備えている。
下部ヒンジ部材40は、フランジ部42を本体10の前面にねじなどにより締め付けることで、本体10に固定されている。
下部ヒンジ部材40の基部41には、第1の下部ガイドピン43および第2の下部ガイドピン44が上方に突出するように設けられている。第1の下部ガイドピン43および第2の下部ガイドピン44は、平面視において、第1の上部ガイドピン24および第2の上部ガイドピン25に重なる位置に設けられている。
【0017】
扉11の下部一側には、扉11の一側および後面側を切欠いてなる下部ヒンジ取付凹部16が形成されている。これにより、扉11の前面側には、下部カバー壁17が形成されている。
扉11の下部ヒンジ取付凹部16には、下部開口(図示せず)が形成されている。下部ヒンジ取付凹部16には、下部開口を塞ぐように下部ガイド部材50が取付けられている。
下部ガイド部材50は、下部開口を塞ぐ平板部51と、平板部51の上面側に突出する下部ガイド凹部52と、平板部51の角部に形成された位置決め部53とを備えている。下部ガイド部材50は、位置決め部53を介して図示しないねじなどにより扉11に固定される。
【0018】
より具体的には、上部ガイド部材30と同様に、扉11の下部一側の扉キャップ11bの側面側および後面側を切欠いてなる下部ヒンジ取付凹部16が形成されていて、その下部ヒンジ取付凹部16に形成された下部開口(図示せず)を塞ぐように下部ガイド部材50が取り付けられている。
また、下部ガイド凹部52は、底面部52aを有し、扉11内に断熱材(図示しない)が充填された時に、底面部52aによって、断熱材が下部ガイド凹部52内に入り込まないように形成されている。
また、上記のように下部ガイド部材50はキャップ11bと別体形成としたが一体形成してもよい。
【0019】
下部ガイド凹部52の内側には、平板部51に開口する下部ガイド溝54が形成されている。下部ガイド溝54は、本実施の形態においては、扉11の前面側から後方に向かって円弧状に延在する第1の下部ガイド部55と、第1の下部ガイド部55より曲率半径が小さい円弧状に形成された第2の下部ガイド部55と、第2の下部ガイド部56の後方に連結する円弧状の第3の下部ガイド部57と、を備えている。これにより、下部ガイド溝54は、平面視において、略J字状に形成されており、下部ガイド溝54は、平面視において、上部ガイド溝34と重なる位置に形成されている。
また、下部ガイド溝54の開口部には、平板部51から下方に向かって形成されたリブ状突起58が備えられ、下部ガイド溝54の全周に形成されている。
また、第1の下部ガイドピン43と第2の下部ガイドピン44のそれぞれの基部からガイドピンの全周に突出した第1のフランジ部43aと第2のフランジ部44aが形成されている。
下部ガイド溝54には、第1の下部ガイドピン43および第2の下部ガイドピン44が係合されており、下部ガイド溝54の開口部全周に形成されたリブ状突起58が第1の下部ガイドピン43の第1のフランジ部43aおよび第2の下部ガイドピン44の第2のフランジ部44aと摺動する構成となっている。
【0020】
[1-2.動作]
以上のように構成された冷蔵庫1のヒンジ構造12について、その動作を以下説明する。
図7は、上部ガイド溝34と、上部ガイドピン24,25との動作を示す説明図である。
図7(a)は、扉11が閉じた状態を示している。この状態では、第1の上部ガイドピン24は、上部ガイド溝34の前端部に位置しており、第2の上部ガイドピン25は、上部ガイド溝34の後方に位置している。
このとき、仮想回転中心Oは、扉11の前面側であって扉11の一側部に位置している。
【0021】
ここで、仮想回転中心Oは、第1の上部ガイドピン24の位置および第2の上部ガイドピン25の位置における上部ガイド溝34に対する垂線の交点である。
図7(a)の場合は、仮想回転中心Oは、扉11の前面板11aの前側であって扉11の一側部に位置している状態で、扉11を開動作させると、扉11が仮想回転中心Oを軸に開動作が開始される。
【0022】
一般に、扉11を1軸で開閉動作させると、扉11は、その1軸を中心に移動することなく回動するので、この軸よりも前側に位置する扉11の前面側角部11dが本体10の側面より外方にはみ出してしまう。そのため、冷蔵庫1を壁に密接させて設置すると、扉11を開くことができなくなってしまう。
しかしながら、本実施の形態においては、仮想回転中心Oが扉11の前面板11aの前側であって扉11の一側部に位置しているため、扉11を開動作させた場合に、扉11の前面側角部11dは、本体10の側面からはみ出すことがない。これにより、冷蔵庫1が壁に近接して設置された場合でも、扉11を開動作させることが可能となる。
【0023】
図7(b)に示すように、さらに扉11を開動作させると、第1の上部ガイドピン24が上部ガイド溝34の第1の上部ガイド部35の中間に位置するとともに、第2の上部ガイドピン25が上部ガイド溝34の第2の上部ガイド部36に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、扉11のほぼ前面であって扉11の一側部から内側に位置している。このように、扉11の開動作に伴い、第1の上部ガイドピン24および第2の上部ガイドピン25と上部ガイド溝34との位置関係が変わっていくので、それに伴い、仮想回転中心Oの位置も扉11の内側方向に移動していく。
【0024】
扉11を約90°開いた状態では、
図7(c)に示すように、第1の上部ガイドピン24が上部ガイド溝34の第2の上部ガイド部36に位置するとともに、第2の上部ガイドピン25が上部ガイド溝34の第3の上部ガイド部37に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、さらに扉11の一側部から内側に位置することになるが、扉11が開いた状態であるため、扉11の一側角部(前面側角部)11dが本体10の側方にはみ出すことはない。
【0025】
図7(d)に示すように、本実施の形態においては、扉11はさらに約120°まで、開くことができ、この状態で、第1の上部ガイドピン24は、
図7(c)とほぼ同じ場所に位置しており、第2の上部ガイドピン25が上部ガイド溝34の第3の上部ガイド部37の最奥部に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、第1の上部ガイドピン24に一致する。
【0026】
このように、本実施の形態においては、第1の上部ガイド部35を曲率半径の大きな円弧状に形成し、第2の上部ガイド部36を曲率半径の小さい円弧状に形成し、さらに第3の上部ガイド部37を形成することで、仮想回転中心Oを移動させながら、扉11の開閉動作を行うことができる。
なお、扉11が開いた際に、扉11の上部カバー壁14の端部が、上部ヒンジ部材20の上部切欠き部23に位置することになるため、扉11が上部ヒンジ部材20に当たってしまうことがない。
【0027】
また、扉11の自重および扉11への食品収納によって、特に、下部ヒンジ部材40には大きな荷重がかかる。このような場合でも、下部ガイド溝54のリブ状突起58が第1の下部ガイドピン43の第1のフランジ部43aおよび第2の下部ガイドピン44の第2のフランジ部44aと摺動しながら扉11の開閉動作となるので、開閉時の摩擦力が小さくなり、利用者の開扉力を低減することができる。
本実施の形態の場合、第3の上部ガイド部37の曲率半径は、第2の上部ガイド部36の曲率半径よりも大きく、第1の上部ガイド部35の曲率半径よりも小さく構成されている。
また、第1の上部ガイド部35、第2の上部ガイド部36そして第3の上部ガイド部37のそれぞれの曲率半径の大小関係は、扉11の壁厚、すなわち扉キャップ11bの厚み(
図7の紙面上下方向)によって変更することができ、扉キャップ11bの厚みが大きいと、第2の上部ガイド部36の曲率半径を大きくして第1の上部ガイド部35の曲率半径に近づけることができる。
【0028】
さらに、扉キャップ11bの厚みを大きくすることで、第1の上部ガイド部35と第2の上部ガイド部36との曲率半径を同一にでき、仮想回転中心Oも同じ側にあるので、第1の上部ガイド部35と第2の上部ガイド部36とを1つの上部ガイド部とすることができ、これに接続される第3の上部ガイド部37とで上部ガイド溝34を構成することができる。
したがって、曲率半径が異なる2つの上部ガイド部で上部ガイド溝34が構成されるので、扉11をよりスムーズ回動させることができる。
【0029】
また、第2の上部ガイド部36を円弧状としたが湾曲形状でもよく、また、扉キャップ11bの厚さが大きければ、複数個の直線形状をつないで形成してもよい。
また、第1の上部ガイド部35を直線形状、第2の上部ガイド部36および第3の上部ガイド部37を円弧状形状に構成してもよい。
また、
図7では上部ガイド溝34は3つの異なる曲率半径を有する円弧状のガイド部で形成したが、4つ以上の異なる円弧状のガイド部で形成してもよい。
これによって、扉キャップ11bの厚さが小さい場合でも上部ガイド溝34を形成することができる。
したがって、扉キャップ11bの厚さの大小に関係なく、上部ガイド溝34を形成することができ、冷蔵庫1を壁に近接して設置した場合でも、扉11の開動作をスムーズに行うことができる。
【0030】
次に、下部ガイド溝54と、下部ガイドピン43,44との動作について説明する。
図8は、下部ガイド溝54と、下部ガイドピン43,44との関係を示す説明図である。
図8(a)は、扉11が閉じた状態を示している。この状態では、第1の下部ガイドピン43は、下部ガイド溝54の前端部に位置しており、第2の下部ガイドピン44は、下部ガイド溝54の後方に位置している。
このとき、仮想回転中心Oは、扉11の前面側であって扉11の一側部に位置している。
ここで、仮想回転中心Oは、第1の下部ガイドピン43の位置および第2の下部ガイドピン44の位置における下部ガイド溝54に対する垂線の交点である。
【0031】
図8(a)の場合は、仮想回転中心Oは、扉11の前面板11aの前側であって扉11の一側部に位置している状態で、扉11を開動作させると、扉11が仮想回転中心Oを軸に開動作が開始される。
下部ガイド溝54と下部ガイドピン43,44との場合でも、上部ガイド溝34と上部ガイドピン24,25との場合と同様に、冷蔵庫1が壁に近接して設置された場合でも、扉11を開動作させることが可能となる。
【0032】
図8(b)に示すように、さらに扉11を開動作させると、第1の下部ガイドピン43が下部ガイド溝54の第1の下部ガイド部55の中間に位置するとともに、第2の下部ガイドピン44が下部ガイド溝54の第2の下部ガイド部56に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、扉11のほぼ前面であって扉11の一側部から内側に位置している。このように、扉11の開動作に伴い、第1の下部ガイドピン43および第2の下部ガイドピン44と下部ガイド溝54との位置関係が変わっていくので、それに伴い、仮想回転中心Oの位置も扉11の内側方向に移動していく。
【0033】
扉11を約90°開いた状態では、
図8(c)に示すように、第1の下部ガイドピン43が下部ガイド溝54の第2の下部ガイド部56に位置するとともに、第2の下部ガイドピン44が下部ガイド溝54の第3の下部ガイド部57に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、さらに扉11の一側部から内側に位置することになるが、扉11が開いた状態であるため、扉11の一側角部11dがはみ出すことはない。
【0034】
図8(d)に示すように、本実施の形態においては、扉11はさらに約120°まで、開くことができ、この状態で、第1の下部ガイドピン43は、
図8(c)とほぼ同じ場所に位置しており、第2の下部ガイドピン44が下部ガイド溝54の第3の下部ガイド部57の最奥部に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、第1の下部ガイドピン43に一致する。
【0035】
このように、下部ガイド溝54と下部ガイドピン43,44との場合でも、上部ガイド溝34と上部ガイドピン24,25との場合と同様に、第1の下部ガイド部55を曲率半径の大きな円弧状に形成し、第2の下部ガイド部56を曲率半径の小さい円弧状に形成し、さらに第3の上部ガイド部37を円弧状に形成することで、仮想回転中心Oを移動させながら、扉11の開閉動作を行うことができる。
なお、扉11が開いた際に、扉11の下部カバー壁17の端部が、下部ヒンジ部材40の下部切欠き部45に位置することになるため、扉11が下部ヒンジ部材40に当たってしまうことがない。
【0036】
また、本実施の形態の場合、下部ガイド部について説明すると、第3の下部ガイド部57の曲率半径は、第2の下部ガイド部56の曲率半径よりも大きく、第1の下部ガイド部55の曲率半径よりも小さく構成されている。
また、第1の下部ガイド部55、第2の下部ガイド部56、そして第3の下部ガイド部57のそれぞれの曲率半径の大小関係は、扉11の壁厚、すなわち扉キャップ11bの厚み(
図8の紙面上下方向)によって変更することができ、扉キャップ11bの厚みが大きいと、第2の下部ガイド部56の曲率半径を大きくして第1の下部ガイド部55の曲率半径に近づけることができる。
【0037】
さらに、扉キャップ11bの厚みを大きくすることで、第1の下部ガイド部55と第2の下部ガイド部56との曲率半径を同一にでき、仮想回転中心Oも同じ側にあるので、第1の下部ガイド部55と第2の下部ガイド部56とを1つの下部ガイド部とすることができ、これに接続される第3の下部ガイド部57とで下部ガイド溝54を構成することができる。
したがって、曲率半径が異なる2つの下部ガイド部で下部ガイド溝54が構成されるので、扉11をよりスムーズ回動させることができる。
【0038】
また、第2の下部ガイド部56を円弧状としたが湾曲形状でもよく、また、扉キャップ11bの厚さが大きければ、複数個の直線形状をつないで形成してもよい。
また、第1の下部ガイド部55を直線形状、第2の下部ガイド部56および第3の下部ガイド部57を円弧形状に構成してもよい。
また、
図8では下部ガイド溝54は3つの異なる曲率半径を有する円弧状のガイド部で形成したが、4つ以上の異なる円弧状のガイド部で形成してもよい。
これによって、扉キャップ11bの厚さが小さい場合でも下部ガイド溝54を形成することができる。
したがって、扉キャップ11bの厚さの大小に関係なく、下部ガイド溝54を形成することができ、冷蔵庫1を壁に近接して設置した場合でも、扉11の開動作をスムーズに行うことができる。
上記のように、下部ガイド部について説明したが、上部ガイド部についても同様に形成される。
【0039】
[1-3.効果等]
以上述べたように、本実施の形態においては、本体10の上下に取付けられる上部ヒンジ部材20および下部ヒンジ部材40(ヒンジ部材)と、上部ヒンジ部材20および下部ヒンジ部材40に設けられる第1のガイドピン24、43および第2のガイドピン25,44と、扉11の上下に取付けられる上部ガイド部材30および下部ガイド部材50(ガイド部材)と、上部ガイド部材30および下部ガイド部材50に設けられ、第1のガイドピン24、43および第2のガイドピン25,44が係合される上部ガイド溝34および下部ガイド溝54(ガイド溝)と、を備え、扉11は、上部ガイド溝34および下部ガイド溝54が第1のガイドピン24、43および第2のガイドピン25,44に規制されて開閉動作され、第1のガイドピン24、43および第2のガイドピン25,44の扉11が開閉動作する際の仮想回転中心Oは、扉11が閉じた状態で、扉11より前面側に位置している。
【0040】
これにより、第1のガイドピン24、43および第2のガイドピン25,44の扉11が開閉動作する際の仮想回転中心Oは、扉11が閉じた状態で、扉11より前面側に位置しているので、扉11を開動作させる際に、扉11の前面角部11dが本体10の側方にはみ出してしまうことを抑制することができる。そのため、冷蔵庫1を壁に近接して設置した場合でも、扉11を開動作させることができる。
【0041】
また、本実施の形態においては、上部ガイド溝34および下部ガイド溝54(ガイド溝)は、円弧状に形成された少なくとも2つのガイド部を備え、仮想回転中心Oを移動させながら規制する1つのガイド溝で構成されている。
【0042】
これにより、少なくとも2つの円弧状のガイド部を接続した1つのガイド溝内を2つのガイドピンが位置しながら、扉11を回動させて、仮想回転中心Oを移動させながら、扉11の開閉動作を行うことができる。そのため、1つのガイド溝で、扉11が開閉動作する際の仮想回転中心Oを扉11が閉じた状態で、扉11より前面側に位置しているので、冷蔵庫1を側壁に近接して設置した場合でも、扉11を開動作させることができる。
【0043】
また、本実施の形態においては、扉11には、本体10に設けられる上部ヒンジ部材20および下部ヒンジ部材40(ヒンジ部材)および上部ガイド部材30および下部ガイド部材50(ガイド部材)の前面側が扉11の正面に利用者が立った時に見えないようにカバーする上部カバー壁14および下部カバー壁17(カバー壁)が形成されている。
【0044】
これにより、上部カバー壁14および下部カバー壁17により、上部ヒンジ部材20、下部ヒンジ部材40、上部ガイド部材30および下部ガイド部材50の前面側を扉11の正面から見えないようにカバーして、隠すことができる。そのため、扉11の前面側から上部ヒンジ部材20、下部ヒンジ部材40、上部ガイド部材30および下部ガイド部材50が見えなくなり、外観上の見栄えを向上させることができる。
【0045】
また、本実施の形態においては、上部ヒンジ部材20および下部ヒンジ部材40(ヒンジ部材)には、扉11が開いた際に上部カバー壁14および下部カバー壁17(カバー壁)の端部を受け入れる上部切欠き部23および下部切欠き部45(切欠き部)が形成されている。
これにより、扉11を開いた際に、上部カバー壁14および下部カバー壁17の端部が上部切欠き部23および下部切欠き部45に入り込む。そのため、扉11の開動作を円滑に行うことができる。
【0046】
(実施の形態2)
[2-1.構成]
次に、本発明の実施の形態2は、下部ガイド部材60とストッパー機能を有するラッチ部69を一体に形成した構成について説明する。
上部ガイド部材と上部ヒンジ部材との関係、およびヒンジ部材が前方から見えないようにカバーで隠す構成については、実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
図9および
図10に示すように、扉11の下部には下部ヒンジ部材70が取り付けられている。
また扉11の下部には、下部ヒンジ部材70に当接して扉11の開放を制限するストッパー80が取り付けられている。
【0047】
下部ヒンジ部材70は、平板状の基部71と、基部71の後端から下方に延在するフランジ部72と、下部切欠き部75と、後述する下部ガイド部材60に一体成形されたラッチ部69を係止するラッチ係止部76とを備えている。
下部ヒンジ部材70は、フランジ部72を本体10の前面にねじなどにより締め付けることで、本体10に固定されている。
下部ヒンジ部材70の基部71には、第1の下部ガイドピン73および第2の下部ガイドピン74が上方に突出するように設けられている。第1の下部ガイドピン73および第2の下部ガイドピン74は、平面視において、実施の形態1で説明した、第1の上部ガイドピン24および第2の上部ガイドピン25に重なる位置に設けられている。
また、第1の下部ガイドピン73と第2の下部ガイドピン74のそれぞれの基部からガイドピンの全周に突出形成した第1のフランジ部73aと第2のフランジ部74aとが形成されている。
【0048】
また、
図9で、扉11のキャップ11bには、段差収納部11eが形成され、下部ガイド部材60の平板部61と下部ガイド凹部62とを収納しており、段差収納部11eの形状は下部ガイド部材60の位置決めとなっている。
下部ガイド部材60は平板部61と、平板部61の上面側に突出する下部ガイド凹部62と、キャップ11bの段差収納部11eにビスなどで固定する固定部63と、ストッパー用のラッチ部69とが一体成形されている。
段差収納部11eには、下部ガイド部材60とストッパー80とが上下に重なって固定部63を介して固定されている。
【0049】
また、
図11で、下部ガイド凹部62の内側には、平板部61に開口する下部ガイド溝64が形成されている。下部ガイド溝64は、本実施の形態においては、扉11の前面側から後方に向かって円弧状に延在する第1の下部ガイド部65と、第1の下部ガイド部65より曲率半径が小さい円弧状に形成された第2の下部ガイド部66と、第2の下部ガイド部66の後方に連結する円弧状の第3の下部ガイド部67と、を備えている。
これにより、下部ガイド溝64は、平面視において、略J字状に形成されており、下部ガイド溝64は、平面視において、実施の形態1で説明した上部ガイド溝34と重なる位置に形成されている。
【0050】
また、下部ガイド溝64の開口部には、平板部61から下方に向かって形成されたリブ状突起68が備えられ、下部ガイド溝64の全周に形成されている。
下部ガイド溝64には、第1の下部ガイドピン73および第2の下部ガイドピン74が係合されており、下部ガイド溝64の開口部全周に形成されたリブ状突起68が第1の下部ガイドピン73の第1のフランジ部73aおよび第2の下部ガイドピン74の第2のフランジ部74aと摺動する構成となっている。
【0051】
[2-2.動作]
次に、下部ガイド溝64と、下部ガイドピン73,74との動作について説明する。
図11は、下部ガイド溝64と、下部ガイドピン73,74との関係を示す説明図である。
図11(a)は、扉11が閉じた状態を示している。この状態では、第1の下部ガイドピン73は、下部ガイド溝64の前端部に位置しており、第2の下部ガイドピン74は、下部ガイド溝64の後方に位置している。
このとき、仮想回転中心Oは、扉11の前面側であって扉11の一側部に位置している。
【0052】
ここで、仮想回転中心Oは、第1の下部ガイドピン73の位置および第2の下部ガイドピン74の位置における下部ガイド溝64に対する垂線の交点である。
図11(a)の場合は、仮想回転中心Oは、扉11の前面板11aの前側であって扉11の一側部に位置している状態で、扉11を開動作させると、扉11が仮想回転中心Oを軸に開動作が開始される。
下部ガイドピン73と74はどちらも第1の下部ガイド部65に位置している。
【0053】
また、
図11(a)の扉11を閉じた状態で、ラッチ部69はラッチ係止部76に係合した状態を維持して扉11が開かないようにストッパー作用を構成している。また扉11と本体10との間をガスケット90でシールした状態を維持することができる。
下部ガイド溝64と下部ガイドピン73,74との場合でも、実施の形態1の下部ガイド溝54と下部ガイドピン43、44の場合と同様に、冷蔵庫1が壁に近接して設置された場合でも、扉11を開動作させることが可能となる。
【0054】
図11(b)に示すように、さらに扉11を開動作させると、ラッチ部69はラッチ係止部76から外れ、また第1の下部ガイドピン73が下部ガイド溝64の第1の下部ガイド部65の中間に位置するとともに、第2の下部ガイドピン74が下部ガイド溝64の第2の下部ガイド部66に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、扉11のほぼ前面であって扉11の一側部から内側に位置している。このように、扉11の開動作に伴い、第1の下部ガイドピン73および第2の下部ガイドピン74と下部ガイド溝64との位置関係が変わっていくので、それに伴い、仮想回転中心Oの位置も扉11の内側方向へ移動していく。
【0055】
扉11を約90°開いた状態では、
図11(c)に示すように、第1の下部ガイドピン73が下部ガイド溝64の第2の下部ガイド部66に位置するとともに、第2の下部ガイドピン74が下部ガイド溝64の第3の下部ガイド部67に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、さらに扉11の一側部から内側に位置することになるが、扉11が開いた状態であるため、扉11の一側角部11dがはみ出すことはない。
【0056】
図11(d)に示すように、本実施の形態においては、扉11は閉じた状態から120°まで開いたときに、ストッパー80が下部ヒンジ部材70のストッパー当接部75に当たって扉11の開放を制限される。この状態で、第1の下部ガイドピン73は、
図11(c)とほぼ同じ場所に位置しており、第2の下部ガイドピン74が下部ガイド溝64の第3の下部ガイド部57の最奥部に位置される。
このときの仮想回転中心Oは、第1の下部ガイドピン73に一致する。
【0057】
このように、下部ガイド溝64と下部ガイドピン73,74との場合でも、実施の形態1の下部ガイド溝54と下部ガイドピン43、44の場合と同様に、第1の下部ガイド部65を曲率半径の大きな円弧状に形成し、第2の下部ガイド部66を曲率半径の小さい円弧状に形成し、さらに第3の下部ガイド部67を円弧状に形成することで、仮想回転中心Oを移動させながら、扉11の開閉動作を行うことができる。
なお、扉11を開いた際に、ストッパー80がストッパー当接部75に当たって扉11の開放が120度以上開かないように制限されるため、扉11の端部が下部ヒンジ部材70に当たってしまうことがない。
【0058】
[2-3.効果等]
以上述べたように、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、第1の下部ガイドピンおよび第2の下部ガイドピンの扉11が開閉動作する際の仮想回転中心Oを、扉が閉じた状態で、扉11よりも前面側に位置させることができ、扉11を開動作させる際に、扉11の前面角部11dが本体10の側方にはみ出してしまうことを抑制することができる。そのため、冷蔵庫1を壁に近接して設置した場合でも、扉11を開動作させることができる。
【0059】
また、上部ガイド溝34および下部ガイド溝64(ガイド溝)は、円弧状に形成された少なくとも2つのガイド部を備え、仮想回転中心Oを移動させながら規制する1つのガイド溝で構成されている。
これにより、少なくとも2つの円弧状のガイド部を接続した1つのガイド溝内を2つのガイドピンが位置しながら、扉11を回動させて、仮想回転中心Oを移動させながら、扉11の開閉動作を行うことができる。そのため、1つのガイド溝で、扉11が開閉動作する際の仮想回転中心Oを扉11が閉じた状態で、扉11より前面側に位置しているので、冷蔵庫1を側壁に近接して設置した場合でも、扉11を開動作させることができる。
【0060】
また、下部ガイド部材60は、下部ヒンジ部材70に係合可能なストッパー用のラッチ部69を一体成形で構成されているため、扉11の閉状態を維持することができる。
また、下部ヒンジ部材70に当接して扉11の開放を制限するストッパー80を有し、ストッパー80は下部ガイド部材60と共に扉11の下部に取り付けられる。そのため、扉11の開放角度を制限することができ、ストッパー80の取付け作業性を向上することができる。
なお、上記実施の形態1、2では観音開き式の冷蔵庫で示したが、片開き式の冷蔵庫の扉に同様の上部ヒンジ部材と上部ガイド部材、および下部ヒンジ部材と下部ガイド部材を備えた場合であっても同様の効果を有する。
【0061】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1から実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1から実施の形態2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本開示は、室内の壁に近接して設置した場合でも、扉を開動作させることができる冷蔵庫や電子レンジ、その他の扉を開閉動作させる家電製品に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 冷蔵庫
10 本体
11 扉
11a 前面板
11b 扉キャップ
11c 内板
11d 前面側角部
11e 段差収納部
12 ヒンジ構造
13 上部ヒンジ取付凹部
14 上部カバー壁
16 下部ヒンジ取付凹部
17 下部カバー壁
20 上部ヒンジ部材
23 上部切欠き部
24 第1の上部ガイドピン
25 第2の上部ガイドピン
30 上部ガイド部材
31 平板部
32 上部ガイド凹部
34 上部ガイド溝
34a 第1の上部ガイド溝
34b 第2の上部ガイド溝
35 第1の上部ガイド部
36 第2の上部ガイド部
37 第3の上部ガイド部
40 下部ヒンジ部材
41 基部
42 フランジ部
43 第1の下部ガイドピン
44 第2の下部ガイドピン
45 下部切欠き部
50 下部ガイド部材
51 平板部
52 下部ガイド凹部
53 位置決め部
54 下部ガイド溝
55 第1の下部ガイド部
56 第2の下部ガイド部
57 湾曲部
O 仮想回転中心