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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】部品装着装置および部品装着システム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020090998
(22)【出願日】2020-05-26
(65)【公開番号】P2021190449
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 健之
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/063763(WO,A1)
【文献】特開2007-012929(JP,A)
【文献】国際公開第2014/141427(WO,A1)
【文献】特開昭61-175516(JP,A)
【文献】特開平08-032297(JP,A)
【文献】特開2014-003153(JP,A)
【文献】特開2007-234790(JP,A)
【文献】特開平11-261297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に装着する部品装着装置であって、
部品を保持して基板の装着位置に装着する部品装着部と、
前記部品装着部の動作を制御する制御部と、
前記装着位置に関する位置情報および前記基板の反りに関する基板情報を取得する情報取得部と、
前記位置情報および前記基板情報に基づいて、第1動作による部品の装着の可否を判断する装着判断部と、を備え、
前記装着判断部は、前記部品の前記装着位置における前記基板の勾配が所定範囲内である場合、前記第1動作による前記部品の装着が可能と判断し、
前記装着判断部によって前記第1動作による前記部品の装着が可能と判断された場合、前記制御部は前記第1動作によって前記部品を装着するように前記部品装着部を制御し、
前記装着判断部によって前記第1動作による前記部品の装着が不可能と判断された場合、前記制御部は前記第1動作と異なる第2動作によって前記部品を装着するように前記部品装着部を制御し、
前記第1動作は、前記部品装着部が保持する部品を水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作を含み、
前記第2動作は、前記アーチモーション動作を含まない、部品装着装置。
【請求項2】
前記部品装着装置は、複数の部品を基板に装着し、
前記装着判断部は、前記複数の部品の装着位置毎に、前記基板情報に基づいて前記第1動作による前記部品の装着の可否を判断する、請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
前記装着判断部は、さらに部品の装着位置に前記部品を移動させる平面視における経路に基づいて、前記第1動作による前記部品の装着の可否を判断する、請求項1または2に記載の部品装着装置。
【請求項4】
部品装着システムであって、
請求項1からのいずれか1項に記載の部品装着装置と、
前記基板の反りを計測する基板反り計測装置と、を備える、部品装着システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を基板に装着する部品装着装置および部品装着システムに関する。
【背景技術】
【0002】
部品装着装置は、テープフィーダなどの部品供給装置から部品を取り出して保持し、保持した部品を基板の装着位置に装着する部品装着部を備えている。部品装着部は、部品を保持するノズルを上下方向に昇降させる装着ヘッドと、装着ヘッドを水平方向に移動させる装着ヘッド移動機構を備えて構成されている。部品装着装置には、部品装着時に部品装着部が保持する部品を水平方向と上下方向に並行して移動させるアーチモーション動作を実行することで、装着時間を短縮するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の部品装着装置(部品実装機)では、アーチモーション動作によって斜め方向に下降する部品が基板に装着済みの隣接部品に干渉しないように、高さの低い部品から順次装着するなど干渉が発生しない装着順序を予め決定し、決定された順序に従って部品を装着することでアーチモーション動作に起因する部品の干渉を回避して実装品質を維持しつつ、実装効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-245537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、装着順序を決定する際に部品を装着する基板の反りを考慮していないため、予め決定した装着順序で部品を装着しても基板の反りに起因して装着済みの隣接部品に干渉することがあり、高い実装品質と高い実装効率を両立させるためにはさらなる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる部品装着装置および部品装着システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品装着装置は、部品を基板に装着する部品装着装置であって、部品を保持して基板の装着位置に装着する部品装着部と、前記部品装着部の動作を制御する制御部と、前記装着位置に関する位置情報および前記基板の反りに関する基板情報を取得する情報取得部と、前記位置情報および前記基板情報に基づいて、第1動作による部品の装着の可否を判断する装着判断部と、を備え、前記装着判断部は、前記部品の前記装着位置における前記基板の勾配が所定範囲内である場合、前記第1動作による前記部品の装着が可能と判断し、前記装着判断部によって前記第1動作による前記部品の装着が可能と判断された場合、前記制御部は前記第1動作によって前記部品を装着するように前記部品装着部を制御し、前記装着判断部によって前記第1動作による前記部品の装着が不可能と判断された場合、前記制御部は前記第1動作と異なる第2動作によって前記部品を装着するように前記部品装着部を制御し、前記第1動作は、前記部品装着部が保持する部品を水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作を含み、前記第2動作は、前記アーチモーション動作を含まない
【0010】
本発明の部品装着システムは、部品装着システムであって、請求項1からのいずれか1項に記載の部品装着装置と、前記基板の反りを計測する基板反り計測装置と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態の部品装着システムの構成説明図
図2】本発明の一実施の形態の部品装着装置の構成説明図
図3】本発明の一実施の形態の部品装着装置の機能説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品装着装置により基板の反りを計測するために基板に設定される計測位置の例の説明図
図5】本発明の一実施の形態の部品装着システムの構成を示すブロック図
図6】本発明の一実施の形態の部品装着システムで使用される位置情報の例を示す図
図7】本発明の一実施の形態の部品装着装置により部品が装着された基板の例を示す図
図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の部品装着装置における第1動作による部品装着の例の工程説明図
図9】(a)(b)(c)(d)本発明の一実施の形態の部品装着装置における第2動作による部品装着の例の工程説明図
図10】本発明の一実施の形態の部品装着システムにおける(a)アーチモーション段階情報の例を示す図(b)アーチモーション段階を説明する図
図11】本発明の一実施の形態の部品装着装置においてアーチモーション動作を含む装着動作で反りがある基板に部品を装着する際に隣接部品と干渉する例を説明する図
図12】本発明の一実施の形態の部品装着システムで使用される(a)第1動作判断情報の例を示す図(b)アーチモーション時間決定情報の例を示す図(c)アーチモーション段階決定情報の例を示す図(d)精密近接目標高さ決定情報の例を示す図
図13】本発明の一実施の形態の部品装着装置による部品の装着動作において(a)移動経路に隣接部品がある例の説明図(b)移動経路に隣接部品がない例の説明図
図14】本発明の第1実施形態の部品装着方法のフロー図
図15】本発明の第2実施形態の部品装着方法のフロー図
図16】本発明の第3実施形態の部品装着方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品装着システム、部品装着装置、基板反り計測装置、管理装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図2における上下方向)が示される。図3、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図3における上下方向)が示される。Z方向は、部品装着装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。
【0017】
まず図1を参照して、部品装着システム1の構成を説明する。部品装着システム1は、基板に部品を装着して実装基板を生産する機能を有している。部品装着システム1は、複数の部品装着装置M1~M3を連結して構成されている。部品装着装置M1~M3は、通信ネットワーク2を介して管理装置3に接続されている。管理装置3は、部品装着システム1による実装基板の生産を総括管理し、部品装着装置M1~M3が基板に部品を装着する部品装着作業を支援する。なお、部品装着システム1が備える部品装着装置M1~M3は3台に限定されることなく、1台、2台でも、4台以上であってもよい。
【0018】
次に図2図3を参照して、部品装着装置M1~M3の構成を説明する。部品装着装置M1~M3は同様の構成であり、ここでは部品装着装置M1について説明する。部品装着装置M1において、基台4の中央には、基板搬送機構5がX方向に設置されている。基板搬送機構5は、上流側から搬入された部品装着対象となる基板6をX方向へ搬送し、以下に説明する装着ヘッドによる装着作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品装着作業が完了した基板6を下流側に搬出する。
【0019】
図2において、基板搬送機構5の両側方(前後)には、それぞれ部品供給部7が設置されている。両側の部品供給部7にX方向に並列してテープフィーダ8が装着されている。テープフィーダ8は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部7の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、装着ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。
【0020】
基台4の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル9が配置されている。Y軸テーブル9には、同様にリニア機構を備えたビーム10がY方向に移動自在に結合されている。ビーム10には、装着ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。装着ヘッド11は、複数(ここでは4基)の保持ヘッド12を備えた多連型ヘッドである。
【0021】
図3において、それぞれの保持ヘッド12の下端部には吸着面13aに部品Dを吸着して保持する吸着ノズル13が装着されている。各保持ヘッド12は、吸着ノズル13を上下方向(垂直方向)に昇降させるノズル昇降機構14と、吸着ノズル13を垂直軸(Z軸)回りにθ回転させるノズル回転機構(図示省略)を備えている。保持ヘッド12は、吸着ノズル13をノズル回転機構で所定の回転角度に回転させ、ノズル昇降機構14でZ方向の所定の実装高さに下降させて(矢印a)、吸着ノズル13に保持する部品Dを基板6の上面6aに実装する。
【0022】
図2図3において、Y軸テーブル9およびビーム10は、装着ヘッド11を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる装着ヘッド移動機構15を構成する。装着ヘッド移動機構15およびノズル昇降機構14を備える装着ヘッド11は、部品供給部7から部品Dを取り出して基板6の装着位置に装着する部品装着作業を実行する部品装着部16を構成する。すなわち、部品装着部16は、保持する部品Dを水平方向と垂直方向に移動させる機能を有している。部品装着作業において部品装着部16は、部品供給部7から装着ヘッド11が備える各吸着ノズル13で所定の部品Dをそれぞれピックアップし、各吸着ノズル13が保持する部品Dを基板6の装着位置に所定の回転角度で装着する一連のターンを繰り返す。
【0023】
なお、装着ヘッド11が備える保持ヘッド12の数は、4基に限定されることはない。また、装着ヘッド11は、複数の吸着ノズル13を同心円状に配置したロータリー型ヘッドであってもよい。また、装着ヘッド11が部品Dを保持する方法は、吸着ノズル13による真空吸着に限定されることはなく、チャックで部品Dを把持する方法などであってもよい。
【0024】
ここで図3を参照して、基板搬送機構5の詳細な構成について説明する。基板搬送機構5は、X方向に延伸する一対の板状部材17の内側に、一対の搬送コンベア18が設置されている。搬送コンベア18は、図示省略するモータで駆動される搬送ベルトによって、基板6の両端を下方から支持してX方向に搬送する。一対の板状部材17の上端には、それぞれ搬送コンベア18の上方に張り出す押え板19(図2も参照)が設置されている。押え板19の下面と搬送コンベア18の上面との間隔は、搬送コンベア18によって搬送される基板6の厚さより広くなっている。
【0025】
装着作業位置に搬送される基板6の下方には、シリンダ20によって昇降する(矢印b)下受け部材21(図2も参照)が設置されている。基板搬送機構5は、基板6を装着作業位置に位置決めし、下受け部材21を上昇させて基板6を搬送コンベア18から持ち上げて基板6の両縁部を押え板19の下面で上から押さえ込むことによって、基板6を装着作業位置に保持する(図3に示す状態)。基板搬送機構5は、基板6を搬送する際は、下受け部材21を基板6の下面と干渉しない位置まで下降させる。
【0026】
図2図3において、ビーム10には、ビーム10の下面側に位置して装着ヘッド11とともに一体的に移動する基板認識カメラ22が装着されている。装着ヘッド11が移動することにより、基板認識カメラ22は基板搬送機構5の装着作業位置に位置決めされた基板6の上方に移動して、基板6に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板6の位置を認識する。
【0027】
部品供給部7と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ23が設置されている。部品認識カメラ23は、部品供給部7から部品Dを取り出した装着ヘッド11が部品認識カメラ23の上方に位置した際に、吸着ノズル13に保持された部品Dを下方から撮像する。装着ヘッド11による部品Dの基板6への部品装着作業では、基板認識カメラ22による基板6の認識結果と部品認識カメラ23による部品Dの認識結果とを加味して補正が行われる。
【0028】
図2において、部品装着装置M1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル24が設置されている。タッチパネル24は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示されるボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品装着装置M1の操作を行う。
【0029】
図2図3において、装着ヘッド11の一側方には、装着ヘッド移動機構15によって装着ヘッド11と一体的に移動するレーザ変位センサなどの高さセンサSが設置されている。高さセンサSは、レーザ光を下方に向けて投射するレーザ光源と、レーザ光源が投射したレーザ光の反射光を受光する受光素子を含んで構成される。高さセンサSは、高さ計測制御部33(図5参照)により制御されており、レーザ光の投射・受光を行い、三角測量の原理で計測対象までの距離を導出する。高さセンサSは、基板6が基板搬送機構5によって装着作業位置に保持された状態において、基板6の上面6aまでの距離Hsを計測する。
【0030】
図4に示すように、基板6の上面6aには、基板6の反りを算出するために基板6の上面6aまでの距離Hsを計測する複数の計測位置An(n=1,2,・・・9)が設定されている。装着ヘッド移動機構15(Y軸テーブル9およびビーム10)によって計測位置Anの上方に移動した高さセンサSは、計測位置Anに向けてレーザ光を投射して基板6の上面6aまでの距離Hsを計測する。
【0031】
図11において、高さセンサSによって計測された複数の計測位置Anにおける基板6の上面6aまでの距離Hsを、反りがない基板6の上面6aまでの基準距離Hs0と比較することで、計測対象の基板6の反りが計測(算出)される。以下、計測された距離Hsと基準距離Hs0から算出された、反りがない基板6の上面6aを基準とする計測対象の基板6の上面6aの高さ位置を基板6の高さΔhと称する。
【0032】
次に図5を参照して、部品装着システム1の構成について説明する。部品装着システム1は、部品装着装置M1~M3および管理装置3を備えている。部品装着装置M1~M3は同様の構成であり、ここでは部品装着装置M1について説明する。部品装着装置M1が備える装着制御装置30には、基板搬送機構5、下受け部材21を昇降させるシリンダ20、部品供給部7に装着されたテープフィーダ8、部品装着部16を構成するノズル昇降機構14および装着ヘッド移動機構15、基板認識カメラ22、部品認識カメラ23、タッチパネル24、高さセンサSが接続されている。
【0033】
装着制御装置30は、搬送制御部31、装着制御部32、高さ計測制御部33、基板反りモデル抽出部34、装着位置高さ算出部35、情報取得部36、装着判断部37、動作決定部38、装着通信部39、装着記憶部40を備えている。装着記憶部40は記憶装置であり、位置情報41、部品情報42、基板情報43、判断情報44、装着動作情報45、装着情報46などを記憶している。装着通信部39は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して他の部品装着装置M2,M3、管理装置3との間でデータの送受信を行う。
【0034】
図5において、管理装置3は、管理処理部50、管理記憶部51、表示部52、入力部53、管理通信部54などを備えている。表示部52は液晶パネルなどの表示装置であり、各種データ、操作画面などを表示する。入力部53は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時に用いられる。管理通信部54は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品装着装置M1~M3との間でデータの送受信を行う。
【0035】
搬送制御部31は、装着記憶部40に記憶される各種情報に基づいて基板搬送機構5およびシリンダ20を制御し、基板6を搬送させ、装着作業位置に位置決めして保持させる。装着制御部32は、装着記憶部40に記憶される各種情報に基づいてテープフィーダ8、部品装着部16、基板認識カメラ22、および部品認識カメラ23を制御し、テープフィーダ8が供給する部品Dを装着作業位置に保持される基板6の装着位置に装着させる部品装着作業を実行する。すなわち、装着制御部32は、部品装着部16の動作を制御する制御部である。
【0036】
図5において、高さ計測制御部33は、装着記憶部40に記憶される各種情報に基づいて装着ヘッド移動機構15および高さセンサSを制御して、基板6の上面6aに設定された計測位置Anにおける基板6の高さΔhを計測させる。計測された計測位置Anにおける基板6の高さΔhは、基板情報43として装着記憶部40に記憶される。基板反りモデル抽出部34は、計測された計測位置Anにおける基板6の高さΔhに基づいて、基板6の上面6aの形状を近似した曲面モデルを抽出する。曲面モデルは、例えば、X座標とY座標を変数とする2次の多項式として計算される。
【0037】
抽出された曲面モデル(多項式の係数など)は、基板情報43として装着記憶部40に記憶される。すなわち、装着記憶部40は、基板6の反りに関する基板情報43(曲面モデル)を記憶する。このように、高さ計測制御部33、装着ヘッド移動機構15、高さセンサS、基板反りモデル抽出部34は、基板6の反りを計測する基板反り計測装置を構成する。すなわち、部品装着システム1は、部品装着装置M1~M3と基板反り計測装置を備えている。なお、基板反り計測装置は部品装着装置M1~M3の一機能として構成する形態に限定されることはなく、部品装着システム1は部品装着装置M1~Mとは別の基板反り計測装置を備えていてもよい。
【0038】
図5において、位置情報41には、部品Dを基板6に装着する装着位置に関する情報が含まれている。ここで、図6図7を参照して位置情報41の例について説明する。図7は、図6に示す位置情報41に基づいて部品Dが装着された基板6の一部を示している。図6において、位置情報41には、装着位置番号60、装着位置座標61、部品名62、AM動作63、AM実行時間64、装着動作番号65などの情報が含まれている。装着位置番号60は、基板6における部品Dの装着位置Pを特定する情報である。図6には、装着位置番号60が「P01」~「P10」の装着位置Pの情報が示されている。以下、装着位置番号60が「P01」の装着位置Pを、単に「装着位置P01」などと称する(図7も参照)。
【0039】
図6において、装着位置座標61は、部品Dの装着位置Pの装着座標(XY座標)と装着方向(θ方向)を含む情報である。部品名62は、その装着位置番号60の装着位置Pに装着される部品Dの種類を特定する情報である。図6では、装着位置P01、P03~P05、P07~P10には部品名62が「E」の部品Dが、装着位置P02には部品名62が「F」の部品Dが、装着位置P06には部品名62が「G」の部品Dが指定されている。以下、部品名62が「E」の部品Dを、単に「部品E」などと称する(図7も参照)。
【0040】
AM動作63には、部品装着部16が保持する部品Dを水平方向(XY方向)と垂直方向(Z方向)に並行して移動させるアーチモーション動作を含む装着動作で部品Dを装着するか(Y)、アーチモーション動作を含まない装着動作で部品Dを装着するか(N)が指定されている。すなわちAM動作63が「Y」の装着位置Pには後述するアーチモーション動作を含む第1動作で、AM動作63が「N」の装着位置Pには後述するアーチモーション動作を含まない第2動作で部品Dが装着される。
【0041】
ここで図8図9を参照して、第1動作と第2動作について説明する。図8(a)~(c)は、基板6に装着済みの部品D1に隣接する装着位置Pに、部品装着部16が備える吸着ノズル13に保持した部品D2を第1動作で装着する工程を示している。図8(a)において、部品装着部16は、装着位置Pの上方の所定の近接位置Qまでの高速移動区間を、保持している部品D2を高速で水平方向に移動させる(矢印c1)。
【0042】
図8(b)において、部品装着部16は、近接位置Qから装着位置Pの真上で部品D2の底面の高さ位置が基板6の上面6aから精密近接目標高さh0になる着地前位置Rまでの精密接近区間を、保持している部品D2をアーチモーション動作で移動させる(矢印c2)。すなわち装着制御部32は、部品装着部16の装着ヘッド移動機構15とノズル昇降機構14を同時に作動させ、吸着ノズル13が保持している部品D2を水平方向と垂直方向に並行して移動(斜め方向に下降)させて、部品D2を精密近接目標高さh0まで下降させる。精密接近区間での移動速度は、例えば、高速移動区間での移動速度と同等である。あるいは、精密接近区間での移動速度は、高速移動区間での移動速度よりも遅くなるように設定してもよい。この場合、装着精度を向上させることができる。
【0043】
図8(c)において、部品装着部16は、部品D2の底面が着地前位置Rから装着位置Pに着地するまでの着地区間を、保持している部品D2を垂直方向に下降させる(矢印c3)。その後、真空吸着を停止して部品D2を吸着ノズル13から分離させ、部品装着部16が吸着ノズル13を上方に上昇させることで、部品D2が基板6に装着される。第1動作では、精密接近区間をアーチモーション動作により部品D2を移動させることで、装着時間を短縮することができる。
【0044】
図9(a)~(d)は、基板6に装着済みの部品D1に隣接する装着位置Pに、部品装着部16が備える吸着ノズル13に保持した部品D2を第2動作で装着する工程を示している。図9(a)において、高速移動区間において部品装着部16が保持している部品D2を近接位置Qまで高速で水平方向に移動させる(矢印d1)ところは第1動作と同様である。第2動作では、精密接近区間において部品装着部16がアーチモーション動作を含まずに、保持する部品D2を着地前位置Rまで移動させるところが第1動作と異なる。
【0045】
すなわち、精密接近区間において部品装着部16は、保持する部品D2を水平方向に装着位置Pの真上まで移動させる(図9(b)の矢印d2)。次いで部品装着部16は、保持する部品D2を垂直方向に着地前位置Rまで下降させる(図9(c)の矢印d3)。図9(d)において、着地区間において部品装着部16が保持する部品D2を垂直方向に下降させて基板6に着地させる(矢印d4)ところは第1動作と同様である。第2動作は、精密接近区間における部品D2の移動距離が第1動作より長くなるため装着時間が第1動作より長くなる一方で、基板6に装着済みの隣接部品D1との干渉を回避することができる利点がある。
【0046】
図6において、AM実行時間64は、後述する部品Dの装着動作におけるアーチモーション動作の実行時間の長さである。装着動作番号65は、後述するアーチモーション動作の実行時間が異なる予め設定された複数の装着動作(アーチモーション段階)を特定する番号である。以下、「アーチモーション動作の実行時間」を単に「アーチモーション時間」と称する。
【0047】
ここで図10を参照して、アーチモーション段階の例について説明する。図10(a)は、装着動作情報45に記憶されているアーチモーション段階情報の例を示している。アーチモーション段階情報には、装着動作番号66、AM実行時間67などの情報が含まれている。装着動作番号66は、アーチモーション段階を特定する番号である。AM実行時間67は、部品Dの装着動作におけるアーチモーション時間の長さである。位置情報41と装着動作情報45は、装着動作番号65と装着動作番号66に指定された番号で関連付けされる。
【0048】
この例では、アーチモーション段階情報には、装着動作番号66が「1」~「6」で、アーチモーション時間が「50ms」~「0ms」の6段階のアーチモーション段階が含まれている。すなわち、アーチモーション時間が10ms刻みで異なる装着動作が設定されている。以下、装着動作情報45に含まれる装着動作番号66が「1」の装着動作を、単に「装着動作1」などと称する。
【0049】
図10(b)は、装着動作1~6を模式的に説明する図である。縦軸は、装着作業位置に保持されている反りがない基板6の上面6aを基準とする部品装着部16が保持している部品Dの底面の高さhを示している。横軸は、装着動作1~6により装着位置Pまで移送される部品Dの水平方向(XY方向)の位置を模式的に示している。部品装着部16は、装着動作1~6のいずれも、近接位置Qまでの高速移動区間において部品Dを高速移動高さh2で水平方向に高速で移動させる。部品装着部16は、装着動作1では近接位置Qから着地前位置Rまでの精密近接区間において部品Dを近接位置Qから着地前位置Rまで全てアーチモーション動作で斜めに下降させる。装着動作1のアーチモーション時間は50msである。
【0050】
部品装着部16は、装着動作2~5では精密近接区間においてアーチモーション時間が設定された時間となるように、順に水平方向に移動させ、アーチモーション動作で斜めに下降させ、垂直方向に下降させる。部品装着部16は、装着動作6では精密近接区間において、水平方向に移動させた後、垂直方向に下降させる。装着動作6のアーチモーション時間は0msである。すなわち、装着動作6は、アーチモーション動作を含まない第2動作である。部品装着部16は、装着動作1~6のいずれも、着地前位置Rからの着地区間において部品Dを装着位置Pまで垂直方向に下降させる。
【0051】
図6において、位置情報41には、初期値として全ての装着位置PでAM動作63として「Y」が指定され、AM実行時間64として「50ms」が指定され、装着動作番号65として「1」(装着動作1)が指定されている。なお、位置情報41には、AM動作63、AM実行時間64、装着動作番号65の全てが含まれている必要はなく、少なくともいずれかが含まれていればよい。また、AM動作63、AM実行時間64、装着動作番号65を、位置情報41とは別の情報(ファイル)として装着記憶部40に記憶させ、装着位置番号60により位置情報41と関連付けるようにしてもよい。
【0052】
図5において、部品情報42には、基板6に装着される部品Dの部品名62毎に、部品Dのサイズ(縦、横、高さ)、電気的特性などが含まれている。装着位置高さ算出部35は、基板情報43に記憶されている曲面モデルと位置情報41に記憶されている装着位置座標61に基づいて、部品Dの装着位置Pにおける曲面モデルが抽出された基板6の上面6aの高さΔhを算出する。また、装着位置高さ算出部35は、部品Dの装着位置Pにおける基板6の上面6aの勾配Grを算出する。なお、装着位置高さ算出部35は、装着位置P毎に基板6の高さΔhまたは勾配Grを算出する。算出された基板6の高さΔhおよび勾配Grは、基板情報43として装着記憶部40に記憶される。
【0053】
ここで図11を参照して、装着位置高さ算出部35により算出される基板6の上面6aの高さΔhおよび勾配Grについて説明する。図11は、上方に反りがある基板6の一部を示している。2点鎖線は、反りがない基板6を装着作業位置に保持した場合の基板6の上面6aの高さ位置を示している。装着位置Pにおける基板6の高さΔhは、反りがない場合の基板6の上面6aからの高さである。基板6の勾配Grは、水平方向の距離ΔLに対する垂直方向の高さ変動ΔHの比率であり、勾配Gr=高さ変動ΔH/距離ΔLで表される。勾配Grの絶対値が大きいほど基板6の反りが大きい。
【0054】
基板6に反りがある場合、装着制御部32は、反りにより変化した基板6の高さΔhに基づいて補正して、部品D2を装着位置Pに装着する。すなわち、装着動作における着地前位置Rの精密近接目標高さh0を高さΔhで補正し、部品D2を基板6に着地させる高さを高さΔhに補正する。このように装着制御部32は基板6の反りに応じて装着動作を補正する。しかしながら、基板6の反り具合、隣接部品D1の高さ、装着位置Pからの距離との関係では、アーチモーション動作で移動中(矢印e)に、部品D2が装着済みの隣接部品D1に干渉(接触)することがある(円f)。
【0055】
図5において、装着判断部37は、基板6に反りがある場合にアーチモーション動作を含む第1動作による部品Dの装着の可否を判断する。すなわち、装着判断部37は、第1動作による部品D2の装着において、アーチモーション動作中の部品D2が隣接部品D1に干渉しないか否かを判断する。情報取得部36は、装着判断部37が装着の可否判断に必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部36は、装着記憶部40から位置情報41、部品情報42、基板情報43、判断情報44に含まれる第1動作判断情報を取得する。なお、部品装着装置M1~M3が自身で基板6の反りを計測しない場合は、情報取得部36は、上流側の装置が計測等した基板情報43を取得する。
【0056】
ここで図12(a)を参照して、判断情報44に含まれる第1動作判断情報の例について説明する。第1動作判断情報は、装着位置Pにおける基板6の高さΔhが-Δh1≦Δh≦Δh1の範囲では第1動作で、Δh<-Δh1またはΔh>Δh1の範囲では第2動作で部品Dを装着することを規定している。すなわち、装着判断部37は、部品Dの装着位置Pにおける基板6の高さΔhが所定範囲内(-Δh1≦Δh≦Δh1)である場合、第1動作による部品Dの装着が可能と判断する。装着判断部37は、判断結果に基づいて位置情報41のAM動作63を更新して、装着情報46として装着記憶部40に記憶させる。
【0057】
装着制御部32(制御部)は、装着判断部37によって第1動作による部品Dの装着が可能と判断された場合、第1動作によって部品Dを装着するように部品装着部16を制御する(図8参照)。また、装着制御部32は、装着判断部37によって第1動作による部品Dの装着が不可能と判断された場合、第1動作と異なる第2動作によって部品Dを装着するように部品装着部16を制御する(図9参照)。このように、基板6の反りが大きい装着位置Pへの装着ではアーチモーション動作を含まない装着動作にすることで、装着中に部品Dが装着済みの隣接部品Dに干渉することが回避できる。これによって、高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0058】
なお、図12(a)には、基板6の高さΔhに基づく第1動作判断情報を示しているが、第1動作判断情報は基板6の勾配Grに基づいて規定されていてもよい。すなわち、装着判断部37は、部品Dの装着位置Pにおける基板6の勾配Grが所定範囲内である場合、第1動作による部品Dの装着が可能と判断する。このように、装着判断部37は、部品Dの装着位置Pにおける基板6の高さΔhまたは勾配Grに関する基板情報43が所定条件を満たすか否かに基づいて、部品Dの装着位置P毎に第1動作による部品Dの装着の可否を判断する。
【0059】
図5において、動作決定部38は、基板6に反りに応じて部品Dの装着動作におけるアーチモーション時間(アーチモーション動作の実行時間)を決定する。情報取得部36は、動作決定部38がアーチモーション時間を決定するのに必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部36は、装着記憶部40から位置情報41、部品情報42、基板情報43、判断情報44に含まれるアーチモーション時間決定情報を取得する。
【0060】
ここで図12(b)を参照して、判断情報44に含まれるアーチモーション時間決定情報について説明する。アーチモーション時間決定情報は、装着位置Pにおける基板6の高さΔhとアーチモーション時間Taの関係を規定している。この例では、アーチモーション時間Taは、基板6の高さΔhがゼロの場合の50msから、基板6の高さΔhが-Δh5またはΔh5の場合の0msまで線形に減少する関係により規定されている。
【0061】
なお、図12(b)には、アーチモーション時間決定情報として基板6の高さΔhとアーチモーション時間Taの関係を示したが、アーチモーション時間決定情報は基板6の勾配Grとアーチモーション時間Taの関係で規定してもよい。すなわち、動作決定部38は、基板6の高さΔhの絶対値が小さいほど、または基板6の勾配Grの絶対値が小さいほど、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)を長くする。
【0062】
このように、動作決定部38は、装着高さ算出部35が算出した部品の装着位置における基板6の高さΔhまたは勾配Gr、もしくは基板情報43に含まれる基板6の高さΔhまたは勾配Gr、および判断情報44に含まれるアーチモーション時間決定情報に基づいて、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)を決定する。動作決定部38は、決定したアーチモーション時間Taに基づいて位置情報41のAM実行時間64を更新して、装着情報46として装着記憶部40に記憶させる。装着制御部32は、動作決定部38が決定したアーチモーション時間Taに基づいて、部品装着部16による装着動作を制御する。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0063】
図5において、動作決定部38は、他の実施形態として、基板6に反りに応じて予め設定されたアーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)が異なる複数の装着動作(アーチモーション段階)の中から部品の装着動作1~6を選択する。この場合、情報取得部36は、装着記憶部40から位置情報41、部品情報42、基板情報43、判断情報44に含まれるアーチモーション段階決定情報を取得する。
【0064】
ここで図12(c)を参照して、判断情報44に含まれるアーチモーション段階決定情報について説明する。アーチモーション段階決定情報は、装着位置Pにおける基板6の高さΔhとアーチモーション段階(装着動作1~6)の関係を規定している。この例では、アーチモーション段階は基板6の高さΔhに応じて段階的に指定されている。すなわち、基板6の高さΔhが-Δh1≦Δh≦Δh1の範囲ではアーチモーション時間Taが50msの装着動作1が指定されている。また、-Δh2≦Δh<-Δh1またはΔh1<Δh≦Δh2の範囲ではアーチモーション時間Taが40msの装着動作2が指定されるように、6段階の装着動作1~6が指定されている。
【0065】
なお、図12(c)には、アーチモーション段階決定情報として基板6の高さΔhとアーチモーション段階(装着動作1~6)の関係を示したが、アーチモーション段階決定情報は基板6の勾配Grとアーチモーション段階の関係で規定してもよい。すなわち、動作決定部38は、基板6の高さΔhの絶対値が小さいほど、または基板6の勾配Grの絶対値が小さいほど、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)が長いアーチモーション段階(装着動作1~6)を選択する。
【0066】
動作決定部38は、決定したアーチモーション段階(装着動作1~6)に基づいて位置情報41の装着動作番号65を更新して、装着情報46として装着記憶部40に記憶させる。装着制御部32は、動作決定部38が決定した装着動作1~6に基づいて、部品装着部16による装着動作を制御する。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0067】
図5において、動作決定部38は、他の実施形態として、基板6に反りに応じて部品Dの装着動作における着地前位置Rの精密近接目標高さh0を決定する。すなわち、動作決定部38は、部品装着部16が保持する部品Dをアーチモーション動作で斜め方向に下降させる際の、アーチモーション動作の終了時の部品Dの目標高さ(精密近接目標高さh0)を装着位置Pの基板6の反りに応じて決定する。この場合、情報取得部36は、装着記憶部40から位置情報41、部品情報42、基板情報43、判断情報44に含まれる精密近接目標高さ決定情報を取得する。
【0068】
ここで図12(d)を参照して、判断情報44に含まれる精密近接目標高さ決定情報について説明する。精密近接目標高さ決定情報は、装着位置Pにおける基板6の高さΔhと精密近接目標高さh0の関係を規定している。この例では、精密近接目標高さh0は、基板6の高さΔhがゼロの場合のh0.maxから、基板6の高さΔhが-Δh5またはΔh5の場合のh0.minまで線形に減少する関係により規定されている。例えば、h0.maxとして図10(b)に示す高速移動高さh2が、h0.minとして図10(b)に示す基板6に反りがない場合の精密近接目標高さh0である高さh1が設定される。
【0069】
なお、図12(d)には、精密近接目標高さ決定情報として基板6の高さΔhと精密近接目標高さh0の関係を示したが、精密近接目標高さ決定情報は基板6の勾配Grと精密近接目標高さh0の関係で規定してもよい。すなわち、動作決定部38は、基板6の高さΔhの絶対値が小さいほど、または基板6の勾配Grの絶対値が小さいほど、精密近接目標高さh0(アーチモーション動作の終了時の部品の目標高さ)を低くする。装着制御部32は、動作決定部38が決定した精密近接目標高さh0に基づいて、部品装着部16による装着動作を制御する。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0070】
次に図13を参照して、装着判断部37による、部品Dの装着位置Pに部品Dを移動させる平面視における経路(移動経路)に基づく、第1動作による部品Dの装着の可否の判断について説明する。図13(a)、図13(b)は、所定範囲以上(Δh<-Δh1、Δh>Δh1など)に反りがある基板6の反り領域gの装着位置P06に部品D5を装着する状況を模式的に表している。装着位置P06に隣接する装着位置P02には隣接部品D3が装着済みである。
【0071】
図13(a)では、部品装着部16は装着位置P01に部品D4を装着した後に、装着位置P06に部品D5を装着する。部品装着部16が保持する部品D5を装着位置P06に移動させる移動経路i1には、装着済みの隣接部品D3がある。この場合、部品D5が隣接部品D3と干渉(接触)する可能性がある。そこで、装着判断部37は、反り領域gにある装着位置P06への第1動作による部品D5の装着は不可と判断する。すなわち、部品D5は、第2動作で装着位置P01に装着される。
【0072】
図13(b)では、部品装着部16は装着位置P09に部品D6を装着した後に、装着位置P06に部品D5を装着する。部品装着部16が保持する部品D5を装着位置P06に移動させる移動経路i2には、装着済みの隣接部品がない。そこで、装着判断部37は、反り領域gにある装着位置P06への第1動作による部品D5の装着は可能と判断する。なお上記の例では、装着判断部37は直前に装着した部品D4,D6の装着位置P01,P09に基づいて移動経路i1,i2を探索しているが、移動経路i1,i2の探索方法は部品Dの装着順に基づく方法に限定されることはない。例えば、移動経路i1,i2を装着情報46で規定してもよい。
【0073】
同様に、動作決定部38は、部品Dの装着位置Pに部品Dを移動させる平面視における経路(移動経路)に基づいて、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)、アーチモーション段階(装着動作1~6)、もしくは精密近接目標高さh0(アーチモーション動作の終了時の部品の目標高さ)を決定する。すなわち、図13(a)に示すように移動経路i1に装着済みの隣接部品D3がある場合、動作決定部38は、装着位置P06の基板6の高さΔhまたは勾配Grに基づいて、アーチモーション時間Taなどを決定する。また、図13(b)に示すように移動経路i2に装着済みの隣接部品がない場合、動作決定部38は、アーチモーション時間Taなどを反りがない基板6と同じ値に決定する。
【0074】
次に図14のフローに沿って、図13を参照しながら部品D5を基板6に装着する部品装着方法について説明する。まず、高さセンサSは、部品装着作業の対象となる基板6の上面6aに設定された計測位置Anの基板6の高さΔhを計測する(ST1:高さ計測工程)。次いで基板反りモデル抽出部34は、計測された計測位置Anの基板6の高さΔhに基づいて、基板6の上面6aの形状を近似した曲面モデルを抽出する(ST2:基板反りモデル抽出工程)。抽出された曲面モデルは、基板情報43として装着記憶部40に記憶される。次いで情報取得部36は、位置情報41、部品情報42、基板情報43、判断情報44に含まれる第1動作判断情報(図12(a)参照)を取得する(ST3:情報取得工程)。
【0075】
次いで部品装着部16は、テープフィーダ8が供給する部品Dを取り出して保持する(ST4:部品保持工程)。次いで装着位置高さ算出部35は、装着位置P06の基板6の高さΔhまたは勾配Grを算出する(ST5:基板反り算出工程)。次いで装着判断部37は、算出された基板6の高さΔhまたは勾配Grが所定範囲内であるか否かを判断する(ST6:判断工程)。例えば、装着判断部37は、基板6の高さΔhが-Δh1≦Δh≦Δh1の範囲か否かを判断する(図12(a)参照)。
【0076】
図14において、基板6の高さΔhまたは勾配Grが所定範囲内の場合(ST6においてYes)、装着制御部32は、第1動作によって装着位置P06に部品D5を装着するように部品装着部16を制御する(ST7:第1動作部品装着工程)(図8参照)。基板6の高さΔhまたは勾配Grが所定範囲内でない場合(ST6においてNo)、装着制御部32は、装着位置P06への部品Dの移動経路i1,i2に装着済みの隣接部品D3が有るか無いかを判断する(ST8:隣接部品判断工程)。
【0077】
図13(b)の例のように移動経路i2に隣接部品が無い場合(ST8においてNo)、第1動作部品装着工程(ST7)により部品D5が装着される。図13(a)の例のように移動経路i1に隣接部品D3が有る場合(ST8においてYes)、装着制御部32は、第2動作によって部品D5を装着するように部品装着部16を制御する(ST9:第2動作部品装着工程)(図9参照)。
【0078】
図14において、第1動作部品装着工程(ST7)または第2動作部品装着工程(ST9)により部品D5を装着した後、部品装着部16が他の部品Dを保持している場合は(ST10においてNo)、基板反り算出工程(ST5)に戻って他の部品Dの部品装着が実行される(ST5~ST9)。
【0079】
部品装着部16が保持している部品Dがない場合は(ST10においてYes)、基板6への部品Dの装着が完了したか否かが判断される(ST11)。未装着の部品Dがある場合(ST11においてNo)、部品保持工程(ST4)に戻って他の部品Dを保持して部品装着が実行される(ST4~ST9)。未装着の部品Dがない場合(ST11においてYes)、基板6への部品装着作業は完了し、次の基板6に対する部品装着が行われる。
【0080】
このように、図14に示す部品装着方法(以下、「部品装着方法の第1実施形態」と称する。)は、部品D5の装着位置P06に関する位置情報41および基板6の反りに関する基板情報43に基づいて、部品D5を装着位置P06に装着する際に部品D5を水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作を含むか否か(第1動作による部品装着の可否)を判断する。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0081】
次に図15のフローに沿って、図13を参照しながら部品D5を基板6に装着する部品装着方法の第2実施形態について説明する。部品装着方法の第2実施形態は、装着判断部37が第1動作による部品装着の可否を判断する代わりに、動作決定部38がアーチモーション時間Taを決定するところが部品装着方法の第1実施形態とは異なる。以下、部品装着方法の第1実施形態と同じ工程には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0082】
図15において、まず、高さ計測工程(ST1)、基板反りモデル抽出工程(ST2)、情報取得工程(ST3)が実行される。情報取得工程(ST3)において情報取得部36は、位置情報41、部品情報42、基板情報43、判断情報44に含まれるアーチモーション時間決定情報(図12(b)参照)を取得する。次いで部品保持工程(ST4)、基板反り算出工程(ST5)、隣接部品判断工程(ST8)が実行される。
【0083】
図13(b)の例のように移動経路i2に隣接部品が無い場合(ST8においてNo)、動作決定部38は、アーチモーション時間Taを反りがない基板6と同じ値に設定する(ST21:アーチモーション時間最大値設定工程)。すなわち、アーチモーション時間Taを最大値に設定する。図13(a)の例のように移動経路i1に隣接部品D3が有る場合(ST8においてYes)、動作決定部38は、装着位置P06の基板6の高さΔhまたは勾配Gr、アーチモーション時間決定情報に基づいて、部品D5を装着位置P06に装着する際のアーチモーション時間Taを算出する(ST22:アーチモーション時間算出工程)。
【0084】
図15において、次いで装着制御部32は、アーチモーション時間最大値設定工程(ST21)またはアーチモーション時間算出工程(ST22)により設定されたアーチモーション時間Taに基づいて部品D5を装着位置P06に装着するように部品装着部16を制御する(ST23:部品装着工程)。次いで部品装着部16が他の部品Dを保持している場合は(ST10においてNo)、基板反り算出工程(ST5)に戻って他の部品Dの部品装着が実行される(ST5、ST8、ST21~ST23)。
【0085】
部品装着部16が保持している部品Dがない場合は(ST10においてYes)、基板6への部品Dの装着が完了したか否かが判断される(ST11)。未装着の部品Dがある場合(ST11においてNo)、部品保持工程(ST4)に戻って他の部品Dを保持して部品装着が実行される(ST4~ST5、ST8、ST21~ST23)。未装着の部品Dがない場合(ST11においてYes)、基板6への部品装着作業は完了し、次の基板6に対する部品装着が行われる。
【0086】
このように、部品装着方法の第2実施形態では、部品D5の装着位置P06に関する位置情報41および基板6の反りに関する基板情報43に基づいて、部品D5を装着位置P06に装着する際に部品D5を水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作の動作時間(アーチモーション時間Ta)を決定する。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。なお、動作決定部38は、アーチモーション時間Taの代わりにアーチモーション段階(装着動作1~6)、または精密近接目標高さh0(アーチモーション動作の終了時の部品の目標高さ)を決定するようにしてもよい。
【0087】
上記説明したように、本実施の形態の部品装着装置M1~M3は、部品Dを保持して基板6の装着位置Pに装着する部品装着部16と、部品装着部16の動作を制御する装着制御部32と、装着位置Pに関する位置情報41および基板6の反りに関する基板情報43を取得する情報取得部36と、位置情報41および基板情報43に基づいて、第1動作による部品Dの装着の可否を判断する装着判断部37と、を備える。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0088】
また、他の実施の形態の部品装着装置M1~M3は、部品Dを保持して基板6の装着位置Pに装着する部品装着部16と、部品装着部16の動作を制御する装着制御部32と、装着位置Pに関する位置情報41および基板6の反りに関する基板情報43を取得する情報取得部36と、位置情報41および基板情報43に基づいて、部品Dの装着動作における部品装着部16が保持する部品Dを水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作の実行時間(アーチモーション時間Ta)を決定する動作決定部38と、を備える。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0089】
また、他の実施の形態の部品装着装置M1~M3は、部品Dを保持して基板6の装着位置Pに装着する部品装着部16と、部品装着部16の動作を制御する装着制御部32と、装着位置Pに関する位置情報41および基板6の反りに関する基板情報43を取得する情報取得部36と、位置情報41および基板情報43に基づいて、部品Dの装着動作における部品装着部16が保持する部品Dを水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作の終了時の部品Dの目標高さ(精密近接目標高さh0)を決定する動作決定部38と、を備える。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0090】
次に図5を参照して、部品Dを基板6に装着する部品装着装置M1~M3および基板6の反りを計測する基板反り計測装置を含む生産ラインを管理する管理装置3について説明する。ここでは、管理装置3が備える機能のうち、部品装着作業の対象となる基板6の反りに応じて部品装着装置M1~M3が基板6に部品Dを装着する装着動作に関する装着情報51aを作成(変更)する機能について説明する。管理記憶部51には、装着情報51aの他、装着記憶部40に記憶される位置情報41、部品情報42、判断情報44と同様の情報が記憶されている。
【0091】
管理通信部54(通信部)は、部品装着装置M1~M3および基板反り計測装置(基板6の反りを計測した部品装着装置M1~M3)と通信する。管理通信部54は、部品装着作業の対象となる基板6の反りを計測した基板反り計測装置から基板6の反りに関する基板情報43を取得する。管理処理部50が備える装着情報変更部50aは、部品Dの装着位置Pに関する位置情報41および基板情報43に基づいて、基板反り計測装置が計測した基板6に部品Dを装着するための装着情報51aを変更(または作成)する。
【0092】
具体的には、装着情報変更部50aは、装着判断部37と同様に、装着動作にアーチモーション動作を含むか否か(第1動作による部品装着の可否)を決定し、装着情報51aに含まれるAM動作63を変更する。または、装着情報変更部50aは、動作決定部38と同様に、装着動作に含まれるアーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)、アーチモーション段階(装着動作1~6)、もしくは精密近接目標高さh0(アーチモーション動作の終了時の部品の目標高さ)を決定し、装着情報51aに含まれるAM実行時間64または装着動作番号65を変更する。その後、管理通信部54は、変更された装着情報51aを部品装着装置M1~M3に送信する。部品装着装置M1~M3では、送信された装着情報51aに基づいて、部品Dが装着される。
【0093】
このように、管理装置3は、管理通信部54と、部品装着装置M1~M3が基板6に部品Dを装着する装着動作に関する装着情報51aを変更する装着情報変更部50aと、を備えている。そして、管理通信部54は、基板反り計測装置から基板情報43を取得し、装着情報変更部50aは、位置情報41および基板情報43に基づいて、基板反り計測装置が計測した基板6に部品Dを装着するための装着情報51aを変更し、管理通信部54は、変更された装着情報51aを部品装着装置M1~M3に送信する。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【0094】
次に図16のフローに沿って、部品Dを基板6に装着する部品装着方法の第3実施形態について説明する。部品装着方法の第3実施形態では、部品装着装置M1~M3が基板6に部品Dを装着する装着動作に関する装着情報51aを管理装置3が作成するところが部品装着方法の第1実施形態および第2実施形態とは異なる。まず、基板反り計測装置において高さ計測工程(ST1)、基板反りモデル抽出工程(ST2)が実行される。次いで管理装置3の管理通信部54によって、基板反り計測装置から基板情報43が取得される(ST31)。次いで位置情報41、部品情報42、判断情報44が取得される(ST32)。
【0095】
次いで管理装置3において基板6の高さΔhまたは勾配Grが算出され(ST33)、装着情報変更部50aによって装着情報51aが変更(作成)される(ST34)。次いで管理通信部54によって装着情報51aが部品装着装置M1~M3に送信される(ST35)。次いで部品装着装置M1~M3において装着情報51aに基づいて部品装着作業が実行される(ST36)。これによって、反りがある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の部品装着装置、部品装着システム、部品装着方法、ならびに管理装置は、高い実装品質と高い実装効率を両立させることができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 部品装着システム
6 基板
16 部品装着部
D~G、D1~D6 部品
Gr 勾配
h0 精密近接目標高さ(アーチモーション動作の終了時の部品の目標高さ)
i1、i2 移動経路(平面視における経路)
M1~M3 部品装着装置
P、P01~P10 装着位置
Ta アーチモーション時間(アーチモーション動作の実行時間)
Δh 高さ
図1
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図16