(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】部品装着装置およびトレイフィーダ
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240621BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/02 A
(21)【出願番号】P 2020127995
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 智昭
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-024387(JP,A)
【文献】特開2018-160561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、
前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、
前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、
を備え
、
前記一対のパレット誘導部材は、前記一対のガイド部材に取り付けられている、部品装着装置。
【請求項2】
部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、
前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、
前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、
を備え、
前記一対のパレット誘導部材は、前記マガジンに取り付けられている、部品装着装置。
【請求項3】
部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、
前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、
前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、
を備え、
前記一対のパレット誘導部材同士の間隔を調整可能である、部品装着装置。
【請求項4】
部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、
前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、
前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、
を備え、
前記一対のパレット誘導部材は、それぞれシリンダによって前記パレットの挿抜口の幅方向に移動自在であり、前記パレットを前記マガジンに戻す際、前記一対のパレット誘導部材同士の間隔が前記マガジンから前記パレットを引き出す際よりも広がるように前記シリンダを作動させる、部品装着装置。
【請求項5】
前記一対のパレット誘導部材の前記マガジン側の端部領域のパレット誘導面は前記マガジン側に向かって広がるように延びている、請求項1
~4のいずれかに記載の部品装着装置。
【請求項6】
前記一対のパレット誘導部材の前記パレットテーブル側の端部領域は前記パレットテーブル側に向かって広がるように延びている、請求項1
~4のいずれかに記載の部品装着装置。
【請求項7】
前記一対のパレット誘導部材の前記マガジン側の端部同士の距離は、前記マガジンにおける前記パレットの挿抜口の幅方向の寸法よりも大きい、請求項1~
4のいずれかに記載の部品装着装置。
【請求項8】
前記一対のパレット誘導部材は樹脂から構成されている、請求項1~
4のいずれかに記載の部品装着装置。
【請求項9】
部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、
前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、
前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、
を備え
、
前記一対のパレット誘導部材は、前記一対のガイド部材に取り付けられている、トレイフィーダ。
【請求項10】
部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、
前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、
前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、
を備え、
前記一対のパレット誘導部材は、前記マガジンに取り付けられている、トレイフィーダ。
【請求項11】
部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、
前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、
前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、
を備え、
前記一対のパレット誘導部材同士の間隔を調整可能である、トレイフィーダ。
【請求項12】
部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、
前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、
前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、
前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、
を備え、
前記一対のパレット誘導部材は、それぞれシリンダによって前記パレットの挿抜口の幅方向に移動自在であり、前記パレットを前記マガジンに戻す際、前記一対のパレット誘導部材同士の間隔が前記マガジンから前記パレットを引き出す際よりも広がるように前記シリンダを作動させる、トレイフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給用のトレイを保持したパレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する部品装着装置およびこの部品装着装置における部品供給部として用いられるトレイフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品供給部から供給される部品をピックアップして基板に装着する部品装着装置が知られている。このような部品装着装置における部品供給部として用いられるトレイフィーダは、部品供給用のトレイを保持したパレットをマガジンから引き出してパレットテーブルに載置することで、部品を供給する構成になっている。
【0003】
このような部品装着装置のトレイフィーダでは、マガジンから引き出したパレットがパレットテーブル上の所定の位置に正確に位置決めされる必要がある。このためパレットテーブル上には、引き出されたパレットの移動方向と平行なパレットの2つの側面をガイドする一対のガイド部材が設けられている。また、マガジンから引き出したパレットがガイド部材に衝突したりすることなく、マガジンとパレットテーブルとの間のパレットの移動がスムーズに行われようにするため、一対のガイド部材の端部同士を近接方向および離間方向に駆動できるようにしたものも知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、ガイド部材そのものを駆動するため構成が大掛かりであり、コストが高くなるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、安価な構成でマガジンとパレットテーブルとの間のパレットの移動をスムーズに行わせることができる部品装着装置およびトレイフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品装着装置は、部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、を備え、前記一対のパレット誘導部材は、前記一対のガイド部材に取り付けられている。
本発明の他の部品装着装置は、部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、を備え、前記一対のパレット誘導部材は、前記マガジンに取り付けられている。
本発明の他の部品装着装置は、部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、を備え、前記一対のパレット誘導部材同士の間隔を調整可能である。
本発明の他の部品装着装置は、部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットから供給される部品をピックアップして基板に装着する装着ヘッドと、前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、を備え、前記一対のパレット誘導部材は、それぞれシリンダによって前記パレットの挿抜口の幅方向に移動自在であり、前記パレットを前記マガジンに戻す際、前記一対のパレット誘導部材同士の間隔が前記マガジンから前記パレットを引き出す際よりも広がるように前記シリンダを作動させる。
【0008】
本発明のトレイフィーダは、部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、を備え、前記一対のパレット誘導部材は、前記一対のガイド部材に取り付けられている。
本発明の他のトレイフィーダは、部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、を備え、前記一対のパレット誘導部材は、前記マガジンに取り付けられている。
本発明の他のトレイフィーダは、部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、を備え、前記一対のパレット誘導部材同士の間隔を調整可能である。
本発明の他のトレイフィーダは、部品供給用のトレイを保持したパレットが収納されるマガジンと、前記マガジンから前記パレットを引き出すパレット引出手段と、前記パレット引出手段によって引き出された前記パレットが載置されるパレットテーブルと、前記パレットテーブルに設けられ、前記パレット引出手段によって前記マガジンから引き出された前記パレットの移動方向に平行な2つの側面それぞれをガイドする一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材と前記マガジンの間に位置し、前記マガジンから引き出された前記パレットを前記一対のガイド部材の間に誘導する一対のパレット誘導部材と、を備え、前記一対のパレット誘導部材は、それぞれシリンダによって前記パレットの挿抜口の幅方向に移動自在であり、前記パレットを前記マガジンに戻す際、前記一対のパレット誘導部材同士の間隔が前記マガジンから前記パレットを引き出す際よりも広がるように前記シリンダを作動させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安価な構成でマガジンとパレットテーブルとの間のパレットの移動をスムーズに行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1における部品装着装置の要部の斜視図
【
図2】本発明の実施の形態1における部品装着装置が備えるトレイフィーダの要部の斜視図
【
図3】(a)(b)本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダの要部の斜視図
【
図4】本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダの一部の平面図
【
図5】本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダの一部の(a)斜視図(b)分解斜視図
【
図6】本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダがパレット引出手段の係合部をパレットの被係合部に係合させた状態を示す平面図
【
図7】本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダのマガジンからパレットを引き出してパレットテーブルに載置した状態を示す平面図
【
図8】本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダのマガジンからパレットを引き出している状態を示す部分拡大平面図
【
図9】本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダのマガジンからパレットを引き出している状態を示す部分拡大平面図
【
図10】本発明の実施の形態1におけるトレイフィーダのマガジンにパレットを戻している状態を示す図
【
図11】本発明の実施の形態2におけるトレイフィーダの要部の斜視図
【
図12】本発明の実施の形態2におけるトレイフィーダのマガジンに対するパレット誘導ガイドの取り付け状態を示す斜視図
【
図13】実施の形態2におけるトレイフィーダの一部の平面図
【
図14】実施の形態3におけるトレイフィーダの要部の斜視図
【
図15】本発明の実施の形態3におけるトレイフィーダの一部の(a)斜視図(b)分解斜視図
【
図16】本発明の実施の形態3におけるトレイフィーダの一部の平面図
【
図17】本発明の実施の形態3におけるトレイフィーダのマガジンからパレットを引き出している状態を示す図
【
図18】本発明の実施の形態3におけるトレイフィーダのマガジンにパレットを戻している状態を示す図
【
図19】(a)(b)本発明の実施の形態4におけるトレイフィーダのマガジンからパレットを引き出す手順を説明する平面図
【
図20】(a)(b)本発明の実施の形態4におけるトレイフィーダのマガジンからパレットを引き出す手順を説明する平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における部品装着装置1を示している。部品装着装置1は部品供給用のトレイTRから部品BHをピックアップして基板KBに装着する装置である。部品装着装置1は、搬送コンベア11、トレイフィーダ12A、装着ヘッド13およびヘッド移動機構14を備えている。
【0012】
図1において、搬送コンベア11は水平方向に延びて設けられている。搬送コンベア11は、上流工程から送られてきた基板KBを受け取って搬送し、所定の作業位置に位置決めする。
【0013】
トレイフィーダ12Aは部品装着装置1における部品供給装置として機能するものであり、搬送コンベア11の側方に設けられている。以下、説明の便宜上、搬送コンベア11が延びる方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平方向をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。また、搬送コンベア11から見てトレイフィーダ12Aが設置されている側を奥側と称し、これとは反対の側を手前側と称する。
【0014】
トレイフィーダ12Aは、
図2にも示すように、トレイTRを保持した複数のパレットPLを収納するマガジン21と、マガジン21からパレットPLを引き出すパレット引出手段22と、パレット引出手段22によって引き出されたパレットPLが載置されるパレットテーブル23を備えている。マガジン21は、その下部がマガジンホルダ21Hによって保持されている。
【0015】
図1および
図2において、マガジン21は、内部に上下に並んだ複数のスロット21Sを備えている。各スロット21SにはトレイTRを保持したパレットPLが1枚ずつ挿入されている。すなわちマガジン21はその内部において、複数のパレットPLを1枚ずつ、上下方向に一定間隔をおいて収納するものとなっている。マガジン21の手前側(搬送コンベア11側)の開口は、パレットPLの挿抜口(パレット挿抜口21K)となっている。
【0016】
図1および
図2において、パレットPLは皿形状を有しており、トレイTRはパレットPLの上面に保持されている。部品BHはトレイTR内に整列状態で収納されている。各パレットPLの手前側の端部には、X軸方向に対向して配置された一対の被係合ブロックBLが設けられている。
【0017】
図2において、パレットテーブル23はマガジン21の手前側に設けられており、パレット引出手段22はパレットテーブル23上に設けられている。パレット引出手段22は、X軸方向に延びたロッド状の係合部22Rを備えている。パレット引出手段22は、パレットテーブル23に内蔵されたパレット引出機構24によってY軸方向に移動される。
【0018】
図2において、パレット引出機構24は、モータ24aと、モータ24aの作動によってY軸方向に走行するタイミングベルト24bを備えている。パレットテーブル23には上面に開口してY軸方向に延びた開口部23Hが設けられており、パレット引出手段22は開口部23Hを通してタイミングベルト24bに連結されている。このためモータ24aを作動させてタイミングベルト24bをY軸方向に走行させることで、パレット引出手段22をパレットテーブル23上で奥側(マガジン21に近づく側)と手前側(マガジン21から遠ざかる側)とに移動させることができる。なお、モータ24aの作動の制御(すなわちパレット引出手段22の移動動作)は、部品装着装置1が備える制御装置(図示せず)が行う。
【0019】
マガジン21は、トレイフィーダ12Aが備えるマガジン昇降機構21M(
図2)によって昇降される。マガジン昇降機構21Mは、マガジン21内から引き出そうとするパレットPLが収納されているスロット21Sの高さがパレットテーブル23の上面の高さと一致するように、マガジン21を昇降させる(
図3(a),(b)参照)。マガジン昇降機構21Mの作動制御は、上述の制御装置が行う。
【0020】
図2および
図3(a),(b)に示すように、パレットテーブル23の上面には、X軸方向に対向して配置された一対のガイド部材25がそれぞれY軸方向に延びて設けられている。一対のガイド部材25は、互いに対向する面であるガイド面25Mによって、パレット引出機構24によってパレットテーブル23上に引き出されたパレットPLの移動方向(Y軸方向)に平行な2つの側面SMをガイドする。
【0021】
図2において、一対のガイド部材25それぞれの先端部(マガジン21に向く側の端部)には、パレット誘導部材30が取り付けられている。各パレット誘導部材30は、ここでは板金から製造されている。各パレット誘導部材30は、
図4および
図5(a),(b)に示すように、手前側に向かって延びた水平な基部31を有しており、基部31が2つの螺子32によってガイド部材25の先端部に取り付けられている。
【0022】
図5(a),(b)において、基部31にはX軸方向に延びた2つの長孔31HがY軸方向に並んで設けられており、2つの螺子32はこれら2つの長孔31Hをそれぞれ挿通してガイド部材25に取り付けられている。このため各パレット誘導部材30は、長孔31H内において螺子32を締め付ける位置を変えることによって、ガイド部材25に対するX軸方向の取り付け位置を変更することができる。
【0023】
図4および
図5(a),(b)において、一対のガイド部材25に取り付けられた一対のパレット誘導部材30は、ガイド部材25の先端部から奥側(マガジン21に向かう側)に向かって間隔を狭めるように斜めに延びたテーパ面であるテーブル側誘導面33と、テーブル側誘導面33の奥側の端部からパレットPLの挿抜方向(Y軸方向)に平行に奥側に向かって延びた中間誘導面34と、中間誘導面34の奥側の端部から更に奥側に向かって間隔を広げるように斜めに延びたテーパ面であるマガジン側誘導面35を備えている。
【0024】
このように実施の形態1において、一対のパレット誘導部材30は、マガジン21側の端部領域のパレット誘導面(マガジン側誘導面35)がマガジン21側(奥側)に向かって広がるように延び、パレットテーブル23側の端部領域のパレット誘導面(テーブル側誘導面33)がパレットテーブル23側(手前側)に向かって広がるように延びた形状を有するものとなっている。
【0025】
図4に示すように、一対のパレット誘導部材30のマガジン側誘導面35の先端部(マガジン21側の端部)同士の距離(マガジン側端部間距離L1)は、マガジン21のパレット挿抜口21Kの幅方向(X軸方向)の寸法L0よりも大きい値に設定されている。また、一対のパレット誘導部材30の中間誘導面34同士の距離(中間誘導面間距離L2)は、一対のガイド部材25のガイド面25M同士の距離(ガイド面間距離L3)よりも小さい値に設定されている。
【0026】
各パレット誘導部材30は、前述したように、ガイド部材25に対するX軸方向の取り付け位置を変更することができる。このため、一対のパレット誘導部材30同士の間隔を、パレットPLの幅方向寸法W(
図4)等に応じて所望に調整することが可能である。
【0027】
このような構成のトレイフィーダ12Aにおいて、マガジン21内に収納されているパレットPLを引き出してパレットテーブル23上に載置させる場合には、先ず、パレット引出機構24によってパレット引出手段22をパレットテーブル23上で奥側(マガジン21に近づく側)に移動させて(
図6中に示す矢印A)、パレット引出手段22の両端部をパレットPLが備える2つの被係合ブロックBLに係合させる(
図6)。パレット引出手段22の両端部がパレットPLの被係合ブロックBLに係合したら、パレット引出手段22を手前側に(マガジン21から遠ざかる側)に移動させ(
図7中に示す矢印B)、パレットPLをマガジン21から引き出して、パレットテーブル23上に載置させる(
図7)。
【0028】
図1において、装着ヘッド13は下端に部品BHを吸着する吸着ノズル13Nを備えている。装着ヘッド13は、複数の吸着ノズル13Nそれぞれの下端に部品BHを吸着させる力を発生させて、トレイTR内に収納されている部品BHを吸着ノズル13Nに吸着させる。ヘッド移動機構14は、パレットテーブル23上のパレットPLと搬送コンベア11によって位置決めされた基板KBとの間で装着ヘッド13を移動させる。
【0029】
装着ヘッド13は、パレットPLがパレットテーブル23に載置されている状態でヘッド移動機構14によって水平方向に移動され、トレイフィーダ12Aが供給する部品BHを吸着ノズル13Nにより吸着した後、その吸着した部品BHを基板KBに装着する動作を繰り返し行う。これにより基板KBの各所に部品BHが次々と装着されていく。
【0030】
実施の形態1では、上記のようにしてパレット引出手段22によってパレットPLがマガジン21から引き出されてパレットテーブル23上に載置される際(
図8中に示す矢印C)、パレットPLは、その手前側の2つ角部(手前側角部EK1)が、一対のパレット誘導部材30の間(詳細には一対のマガジン側誘導面35の間)に進入する(
図8)。ここで、前述したように、マガジン側端部間距離L1はパレット挿抜口21Kの幅方向の寸法L0よりも大きく、一対のマガジン側誘導面35の間隔はパレットテーブル23に近づくにつれて徐々に狭まるようになっている。このため、手前側に移動するパレットPLの手前側角部EK1がマガジン側誘導面35に当接したとしても、その手前側角部EK1は当接したマガジン側誘導面35のテーパ形状に誘導されて2つのパレット誘導部材30の中央部側へ移動するので、パレットPLはその全体が一対のパレット誘導部材30の間に進入する。
【0031】
ここで、前述したように、パレット誘導部材30は板金から製造されていて表面が滑らかなテーパ形状となっているので、パレットPLの手前側角部EK1が当接したとしても、パレットPLが損傷することを防止できる。なお、パレット誘導部材30をエンジニアリングプラスチックやフッ素樹脂などの樹脂とすることで、擦れによる金属粉の発生を防止することができる。
【0032】
パレットPLが一対のパレット誘導部材30の間に進入したら、パレットPLは2つの側面SMが一対のパレット誘導部材30の中間誘導面34にガイドされて、一対のガイド部材25に対するX方向の位置ずれがない状態で、パレットテーブル23上を手前側に進む(
図9中に示す矢印D)。そして、パレットPLの手前側の端部がパレットテーブル23上に乗り上げた後は、パレットPLの2つの側面SMが一対のガイド部材25のガイド面25Mにガイドされた状態で、手前側に進む(
図9)。このためパレットPLは、一対のガイド部材25によって、パレットテーブル23に対する横方向(X軸方向)の位置ずれが防止された状態で、パレットテーブル23上の所定の位置に正確に位置決めされる。
【0033】
パレットテーブル23に載置されたパレットPLをマガジン21内に戻す場合には、パレット引出機構24によってパレット引出手段22を奥側(マガジン21に近づく側)へ移動させて、パレットPLをマガジン21のスロット21S内に押し込む。このときパレットPLは、一対のパレット誘導部材30によって誘導されて奥側へ移動する(
図10中に示す矢印E)。
【0034】
ここで、前述したように、一対のテーブル側誘導面33の間隔は、マガジン21側に近づくにつれて徐々に狭まるようになっている。このため、パレットPLの奥側(パレットテーブル23から見た奥側)の2つの角部(奥側角部EK2)の一方が2つのテーブル側誘導面33の一方に当接したとしても、その奥側角部EK2は当接したテーブル側誘導面33のテーパ形状に誘導されて2つのパレット誘導部材30の中央部側へ移動するので、パレットPLはその全体が一対のパレット誘導部材30の間に進入し、そのままマガジン21内に戻される。
【0035】
このように、実施の形態1における部品装着装置1のトレイフィーダ12Aでは、一対のガイド部材25とマガジン21との間(パレットテーブル23とマガジン21との間)に位置する一対のパレット誘導部材30によって、マガジン21から引き出されたパレットPLが一対のガイド部材25の間にスムーズに移動するようになっている。このパレット誘導部材30はガイド部材25を駆動してパレットテーブル23上で移動させるような大掛かりな装置ではない(例えば、板金から製造できる)ので、安価な構成で、マガジン21とパレットテーブル23との間のパレットPLの移動をスムーズに行わせることができる。しかも、マガジン21のパレット挿抜口21Kの幅方向(X軸方向)の寸法L0がばらついたとしても、パレット誘導部材30のマガジン側端部間距離L1を大きくしておくことでマガジン側誘導面35の効果により必ず位置決めすることが可能となる。つまり、マガジン21のパレット挿抜口21Kの幅方向の寸法L0に対する許容値が大きくなるので、マガジン21の寸法に対する制約を緩くすることができる。つまり、これも安価にできる理由の一つである。
【0036】
なお、ここでは、固定されたパレットテーブル23に対してマガジン21を昇降させることによって、引き出そうとするパレットPLをパレットテーブル23の高さに位置させる構成であったが、マガジン21が固定され、パレットテーブル23を昇降させることによって、引き出そうとするパレットPLをパレットテーブル23の高さに位置するようになっていてもよい。
【0037】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2における部品装着装置が実施の形態1における部品装着装置1と異なるところは、トレイフィーダ(符号を「12B」とする)におけるパレット誘導部材(符号を「40」とする)の構成のみである。
図11に示すように、実施の形態2におけるトレイフィーダ12Bでは、一対のパレット誘導部材40は、マガジン21の手前側の縁部に設けられている。
【0038】
図12において、実施の形態2における一対のパレット誘導部材40はそれぞれ、マガジン21が備える上下に並んだ全てのスロット21Sに対応するように、上下方向に延びた形状を有している。各パレット誘導部材40は、ここでは板金から製造されている。各パレット誘導部材40は、
図12に示すように、X軸方向に張り出した形状の基部41を備えており、基部41の上下の2箇所が、2つの螺子42によってマガジン21の手前側の縁部のX軸方向の両側に取り付けられている。
【0039】
図12において、基部41にはX軸方向に延びた2つの長孔41HがZ軸方向に並んで設けられており、2つの螺子42はこれら2つの長孔41Hをそれぞれ挿通してマガジン21に取り付けられている。このため各パレット誘導部材40は、長孔41H内において螺子42を締め付ける位置を変えることによって、マガジン21に対するX軸方向の取り付け位置を変更することができる。
【0040】
図12および
図13において、マガジン21に取り付けられた一対のパレット誘導部材40は、マガジン21の手前側の縁部から手前側(パレットテーブル23側)に向かって間隔を狭めるように斜めに延びたテーパ面であるマガジン側誘導面43と、マガジン側誘導面43の手前側の端部からパレットPLの挿抜方向(Y軸方向)に平行に手前側に向かって延びた中間誘導面44と、中間誘導面44の手前側の端部から更に手前側に向かって間隔を広げるように斜めに延びたテーパ面であるテーブル側誘導面45を備えている。
【0041】
このように実施の形態2において、一対のパレット誘導部材40は、マガジン21側の端部領域のパレット誘導面(マガジン側誘導面43)がマガジン21側(奥側)に向かって広がるように延び、パレットテーブル23側の端部領域のパレット誘導面(テーブル側誘導面45)がパレットテーブル23側(手前側)に向かって広がるように延びた形状を有するものとなっている。
【0042】
図13に示すように、一対のパレット誘導部材40のマガジン側誘導面43の基端部(マガジン21側の端部)同士の距離(マガジン側端部間距離L1)は、マガジン21のパレット挿抜口21Kの幅方向の寸法L0よりも大きい値に設定されている。また、一対のパレット誘導部材40の中間誘導面44同士の距離(中間誘導面間距離L2)は、一対のガイド部材25のガイド面25M同士の距離(ガイド面間距離L3)よりも小さい値に設定されている。更に、一対のパレット誘導部材40の手前側の端部(パレットテーブル23側の端部)同士の距離(テーブル側端部間距離L4)は、ガイド面間距離L3よりも大きい値に設定されている。
【0043】
各パレット誘導部材40は、前述したように、マガジン21に対するX軸方向の取り付け位置を変更することができる。このため、一対のパレット誘導部材40同士の間隔を、パレットPLの幅方向寸法W(
図13)等に応じて所望に調整することが可能である。
【0044】
実施の形態2では、パレット引出手段22によってパレットPLがマガジン21から引き出されてパレットテーブル23上に載置される際、パレットPLは、2つの手前側角部EK1が、一対のパレット誘導部材40の間(詳細には一対のマガジン側誘導面43の間)に進入する。ここで、前述したように、マガジン側端部間距離L1はパレット挿抜口21Kの幅方向の寸法L0よりも大きく、一対のマガジン側誘導面43の間隔はパレットテーブル23に近づくにつれて徐々に狭まるようになっている。このため、手前側に移動するパレットPLの一方の手前側角部EK1が一方のマガジン側誘導面43に当接したとしても、その手前側角部EK1は当接したマガジン側誘導面43のテーパ形状に誘導されて2つのパレット誘導部材40の中央部側へ移動するので、パレットPLはその全体が一対のパレット誘導部材40の間に進入する。
【0045】
一対のパレット誘導部材40の間に進入したパレットPLは、実施の形態1の場合と同様に、その2つの側面SMが一対のパレット誘導部材40の中間誘導面44にガイドされて、一対のガイド部材25に対するX方向の位置ずれがない状態で、パレットテーブル23上を手前側に進む。そしてその後、一対のガイド部材25によって、パレットテーブル23に対する横方向(X軸方向)の位置ずれが防止された状態で、パレットテーブル23上の所定の位置に正確に位置決めされる。
【0046】
ここで、前述したように、パレット誘導部材40は板金から製造されていて表面が滑らかなテーパ形状となっているので、パレットPLの手前側角部EK1が当接したとしても、パレットPLが損傷することを防止できる。なお、パレット誘導部材40をエンジニアリングプラスチックやフッ素樹脂などの樹脂とすることで、擦れによる金属粉の発生を防止することができる。また、実施の形態2では、パレット誘導部材40は、マガジン21の手前側の端部に設けられているとして説明したが、パレット誘導部材40はマガジン21を保持しているマガジンホルダ21Hから延伸したブラケットに取り付けてもよい。
【0047】
パレットテーブル23に載置されたパレットPLをマガジン21内に戻す場合には、パレット引出機構24によってパレット引出手段22を奥側(マガジン21に近づく側)へ移動させて、パレットPLをマガジン21のスロット21S内に押し込む。このときパレットPLは、一対のパレット誘導部材40によって誘導されて奥側へ移動する。
【0048】
ここで、前述したように、テーブル側端部間距離L4はガイド面間距離L3よりも大きい値に設定されており、また、一対のテーブル側誘導面45同士の間隔は、マガジン21側に近づくにつれて徐々に狭まるようになっている。このため、パレットPLの2つの奥側角部EK2の一方が2つのテーブル側誘導面45の一方に当接したとしても、その奥側角部EK2は当接したテーブル側誘導面45のテーパ形状に誘導されて2つのパレット誘導部材40の中央部側へ移動するので、パレットPLはその全体が一対のパレット誘導部材40の間に進入し、そのままマガジン21内に戻される。
【0049】
このように、実施の形態2における部品装着装置1のトレイフィーダ12Bでは、一対のガイド部材25とマガジン21との間(パレットテーブル23とマガジン21との間)に位置する一対のパレット誘導部材40によって、マガジン21から引き出されたパレットPLが一対のガイド部材25の間にスムーズに移動するようになっている。そして、このパレット誘導部材40はガイド部材25を駆動してパレットテーブル23上で移動させるような大掛かりな装置ではない(例えば、板金から製造できる)ので、実施の形態1の場合と同様、安価な構成で、マガジン21とパレットテーブル23との間のパレットPLの移動をスムーズに行わせることができる。
【0050】
なお、実施の形態2においても、マガジン21が固定され、パレットテーブル23を昇降させることによって、引き出そうとするパレットPLをパレットテーブル23の高さに位置させる構成になっていてもよい。
【0051】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3における部品装着装置が実施の形態1における部品装着装置1と異なるところは、トレイフィーダ(符号を「12C」とする)におけるパレット誘導部材(符号を「50」とする)の構成のみである。
図14に示すように、実施の形態3のトレイフィーダ12Cでは、一対のパレット誘導部材50は、実施の形態1の場合と同様に、一対のガイド部材25それぞれのマガジン21側の端部に取り付けられている。
【0052】
図15(a),(b)において、ガイド部材25のマガジン21側の端部には、複数の螺子51によって取り付けられた基部52によって支持されるシリンダ(間隔変更シリンダ53)が設けられており、パレット誘導部材50はその間隔変更シリンダ53に取り付けられている。このため、一対のパレット誘導部材50は、2つの間隔変更シリンダ53によって、パレット挿抜口21Kの幅方向(X軸方向)に移動させることが可能である。
【0053】
図15(a),(b)において、一対のパレット誘導部材50は、それぞれのY軸方向の中間部におけるパレット誘導面である中間誘導面54と、中間誘導面54の奥側(マガジン21側)の端部から奥側に向かって間隔を狭めるように斜めに延びたテーパ面であるマガジン側誘導面55と、中間誘導面54の手前側(パレットテーブル23側)の端部から手前側に向かって間隔を狭めるように斜めに延びたテーパ面であるテーブル側誘導面56とを備えている。
【0054】
このように実施の形態3において、一対のパレット誘導部材50は、マガジン21側の端部領域のパレット誘導面(マガジン側誘導面55)がマガジン21側(奥側)に向かって広がるように延び、パレットテーブル23側の端部領域のパレット誘導面(テーブル側誘導面56)がパレットテーブル23側(手前側)に向かって広がるように延びた形状を有するものとなっている。
【0055】
実施の形態3では、
図16に示すように、一対のパレット誘導部材50のマガジン21側の端部同士の距離(マガジン側端部間距離L1)が、マガジン21のパレット挿抜口21Kの幅方向の寸法L0よりも大きくなるように、かつ、一対の中間誘導面54同士の距離(中間誘導面間距離L2)が、ガイド面間距離L3よりも小さくなるように、その位置が設定される。このような一対のパレット誘導部材50の位置の設定は、各パレット誘導部材50に対応した間隔変更シリンダ53を作動させることによって行う。
【0056】
実施の形態3では、パレット引出手段22によってパレットPLがマガジン21から引き出されてパレットテーブル23上に載置される際(
図17中に示す矢印F)、パレットPLは、その2つの手前側角部EK1が、一対のパレット誘導部材50の間(詳細には一対のマガジン側誘導面55の間)に進入する(
図17)。ここで、前述したように、マガジン側端部間距離L1はパレット挿抜口21Kの幅方向の寸法L0よりも大きく、一対のマガジン側誘導面55の間隔はパレットテーブル23に近づくにつれて徐々に狭まるようになっている。このため、手前側に移動するパレットPLの手前側角部EK1がマガジン側誘導面55に当接したとしても、その手前側角部EK1は当接したマガジン側誘導面55のテーパ形状に誘導されて2つのパレット誘導部材50の中間部の側へ移動するので、パレットPLはその全体が一対のパレット誘導部材50の間に進入する。
【0057】
パレットテーブル23に載置されたパレットPLをマガジン21に戻す場合には、パレット引出機構24によってパレット引出手段22を奥側(マガジン21に近づく側)へ移動させて(
図18中に示す矢印G)、パレットPLをマガジン21のスロット21Sに押し込む。このときパレットPLは、一対のパレット誘導部材50によって誘導されて奥側へ移動する。
【0058】
ここで、前述したように、一対のパレット誘導部材50のテーブル側端部間距離L4はガイド面間距離L3よりも大きい値に設定されており、また、一対のテーブル側誘導面56同士の間隔は、マガジン21側に近づくにつれて徐々に狭まるようになっている。このため、パレットPLの2つの奥側角部EK2の一方が2つのテーブル側誘導面56の一方に当接したとしても、その奥側角部EK2は当接したテーブル側誘導面56のテーパ形状に誘導されて2つのパレット誘導部材50の中央部側へ移動するので、パレットPLはその全体が一対のパレット誘導部材50の間に進入し、そのままマガジン21内に戻される。
【0059】
このように、実施の形態3おける部品装着装置1のトレイフィーダ12Cでは、一対のガイド部材25とマガジン21との間(パレットテーブル23とマガジン21との間)に位置する一対のパレット誘導部材50によって、マガジン21から引き出されたパレットPLが一対のガイド部材25の間にスムーズに移動するようになっている。そして、このパレット誘導部材50(間隔変更シリンダ53を含む)はガイド部材25を駆動してパレットテーブル23上で移動させるような大掛かりな装置ではないので、実施の形態1の場合と同様、安価な構成で、マガジン21とパレットテーブル23との間のパレットPLの移動をスムーズに行わせることができる。
【0060】
実施の形態3では、パレットPLをマガジン21に戻す際、一対のパレット誘導部材50同士の間隔がマガジン21からパレットPLを引き出す際よりも広がるように間隔変更シリンダ53が作動されるようにしてもよい。パレットPLをマガジン21に戻す際にはパレット誘導部材50は必要ない(なくてもよい)ので、パレットPLをマガジン21に戻す際、一対のパレット誘導部材50同士の間隔を広げるようにすることで、パレットPLの奥側角部EK2がパレット誘導部材50に当接するのを防止することができる。
【0061】
なお、実施の形態3においても、マガジン21が固定され、パレットテーブル23を昇降させることによって、引き出そうとするパレットPLをパレットテーブル23の高さに位置させる構成になっていてもよい。
【0062】
また、一対のパレット誘導部材50をパレット挿抜口21Kの幅方向に移動させる間隔変更シリンダ53は、上述の例では一対のガイド部材25に取り付けられるようになっていたが、間隔変更シリンダ53は、マガジン21に取り付けられているのであってもよい。この場合、一対のパレット誘導部材50を、実施の形態2で示したような、マガジン21が備える上下に並んだ全てのスロット21Sに対応するように上下方向に延びた形状のものとするか、間隔変更シリンダ53を上下方向に移動自在な構成とする。
【0063】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4における部品装着装置が実施の形態1における部品装着装置1と異なるところは、
図19(a)に示すように、トレイフィーダ(符号を「12D」とする)が、マガジン21の奥側に押出シリンダ60を備えているところである。押出シリンダ60はピストンロッド61を手前側に向けており、パレット引出機構24が引き出そうとするパレットPLをピストンロッド61によって、マガジン21の奥側から手前側へ向けて押圧し(
図19(b)中に示す矢印H)、マガジン21のパレット挿抜口21KからパレットPLの手前側の一部が突出させるようになっている。
【0064】
押出シリンダ60がパレットPLを押圧することによって、そのパレットPLの手前側の一部がパレット挿抜口21Kから突出したら(
図19(b))、パレット引出機構24がパレット引出手段22を奥側(マガジン21側)に移動させて(
図20(a)中に示す矢印J)、係合部22Rの両端部をパレット挿抜口21Kから前方に突出したパレットPLの一対の被係合ブロックBLに係合させる(
図20(a))。そして、係合部22Rを手前側に引き寄せることによって(
図20(b)中に示す矢印K)、パレットPLをパレットテーブル23に載置させる(
図20(b))。
【0065】
実施の形態4では、
図19(a)から分かるように、パレット引出機構24がパレット引出手段22を奥側に移動させて係合部22Rの両端部をパレットPLの一対の被係合ブロックBLに係合させる際のパレット引出手段22の移動量(パレット引出手段22のパレットテーブル23からの奥側への突出量)を小さくすることができ、係合部22RをパレットPLの被係合ブロックBLに係合させ易くすることができる。
【0066】
このような構成の実施の形態4におけるトレイフィーダ12Dにおいても、実施の形態1の場合と同様の効果を得ることができる。なお、このような構成をとる場合、マガジン21が固定されていてパレットテーブル23と押出シリンダ60を昇降させる構成であってもよいが、パレットテーブル23と押出シリンダ60が固定されていてマガジン21を昇降させる構成である方が、機構が簡単となるので好ましい。
【0067】
以上説明したように、実施の形態1~4における部品装着装置1のトレイフィーダ12A,12B,12C,12Dでは、一対のガイド部材25とマガジン21との間(パレットテーブル23とマガジン21との間)に位置する一対のパレット誘導部材(30,40または50)によって、マガジン21から引き出されたパレットPLが一対のガイド部材25の間にスムーズに移動するようになっている。このパレット誘導部材(30,40または50)はガイド部材25を駆動してパレットテーブル23上で移動させるような大掛かりな装置ではないので、安価な構成で、マガジン21とパレットテーブル23との間のパレットPLの移動をスムーズに行わせることができる。
【0068】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態1~4のパレット誘導部材30,40,50はいずれも奥側の(マガジン21側の)端部が奥側に向かって広がる形状のテーパ面を有するとともに、手前側(マガジン21とは反対側、すなわちパレットテーブル23側)の端部が手前側に向かって広がる形状のテーパ面を有するものとなっていたが、中間誘導面間距離L2がガイド面間距離L3に比べて十分に大きいなど、マガジン21に戻そうとするパレットPLの奥側角部EK2が一対のパレット誘導部材(30,40または50)に当接することがない事情があるのであれば、手前側の端部が手前側に向かって広がる形状のテーパ面は必ずしも有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
安価な構成でマガジンとパレットテーブルとの間のパレットの移動をスムーズに行わせることができる部品装着装置およびトレイフィーダを提供する。
【符号の説明】
【0070】
1 部品装着装置
12A,12B,12C,12D トレイフィーダ
13 装着ヘッド
21 マガジン
21K パレット挿抜口(挿抜口)
22 パレット引出手段
23 パレットテーブル
25 ガイド部材
30 パレット誘導部材
33 テーブル側誘導面(パレット誘導面)
35 マガジン側誘導面(パレット誘導面)
40 パレット誘導部材
43 マガジン側誘導面(パレット誘導面)
45 テーブル側誘導面(パレット誘導面)
50 パレット誘導部材
53 間隔変更シリンダ(シリンダ)
55 マガジン側誘導面(パレット誘導面)
56 テーブル側誘導面(パレット誘導面)
PL パレット
TR トレイ
SM 側面
L0 寸法
L1 マガジン側端部間距離(距離)
BH 部品
KB 基板