(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】戸体
(51)【国際特許分類】
E06B 7/28 20060101AFI20240621BHJP
【FI】
E06B7/28 C
(21)【出願番号】P 2023071060
(22)【出願日】2023-04-24
(62)【分割の表示】P 2018245911の分割
【原出願日】2018-12-27
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】西部 亘正
(72)【発明者】
【氏名】小関 学
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-105829(JP,A)
【文献】実開平4-11896(JP,U)
【文献】特開平7-293138(JP,A)
【文献】特開2010-185235(JP,A)
【文献】特開平10-46919(JP,A)
【文献】特開平9-78958(JP,A)
【文献】特開昭63-318093(JP,A)
【文献】特開2007-217873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/28
H05B 37/02
F21V 23/00
F21V 33/00
F21S 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側と他側とを仕切る戸体であって、
前記一側と前記他側とにおいて点灯及び消灯可能であり、前記戸体の戸先框において、前記一側と前記他側とにおいて光を放出可能な照明部と、
前記照明部の点灯及び消灯の制御を行う制御部と、
前記一側と前記他側とのそれぞれの側において人の存在を検知する人感センサと、を備え、
前記戸先框は、室外側の照明部収容凹部と室内側の照明部収容凹部とを区画する区画壁を構成し、
前記制御部は、前記人感センサによって、前記一側と前記他側との少なくとも一方の側において前記戸体に人が接近してきたことが検知されたときに、前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行う戸体。
【請求項2】
前記制御部は、前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行った後に、前記人感センサによって、前記照明部を点灯させた側において人の存在が検知されなくなってから所定時間経過後に前記照明部を消灯させる制御を照明部に対して行う請求項1に記載の戸体。
【請求項3】
前記戸体が閉じた状態を検知可能な開閉センサを備え、
前記制御部は、前記開閉センサによって、前記戸体が開いた状態から閉じた状態になったときに、一時的に前記照明部を
明るく照明する請求項1又は請求項2に記載の戸体。
【請求項4】
前記制御部は、前記開閉センサによって前記戸体が開いた状態から閉じた状態になったときには、前記人感センサによって前記戸体に人が接近してきたことが検知されたときよりも前記照明部を明るく点灯させる請求項3に記載の戸体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明部を備える戸体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建材に照明を組み込む技術は存在し、人体検知センサ等のセンサに基づいて、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有する照明部の照明の制御を行う照明ユニットが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されている照明ユニットでは、室外のドア上部において、人体感知センサと、照明としてのLEDを配置し、人体検知センサによる人体の検知に基づき、光源の点灯及び消灯を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載された照明ユニットにおいては、戸体の開き方等について検知しておらず、人が近づいたら一定量の光量で光るだけである。このため、たとえば室内において、光量の制御等も含めて点灯及び消灯の制御を行いたい等の場合には、上記公報の装置を適用して用いることはできない。また、室外側のみにLEDが配置されている構成であるため、室内側における点灯はできない。
【0005】
本発明は、室内側および室外側において光量も含めて点灯及び消灯の制御を行うことが可能な照明部を有する戸体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一側と他側とを仕切る戸体(例えば、後述の戸体1)であって、前記一側と前記他側とにおいてそれぞれ独立して点灯及び消灯可能であり、前記一側と前記他側とにおいてそれぞれ独立して光を放出可能な照明部(例えば、後述の照明部50)と、前記照明部の点灯及び消灯の制御を行う制御部(例えば、後述の制御部1051)と、前記一側と前記他側とのそれぞれの側において人の存在を検知する人感センサ(例えば、後述の人感センサ102)と、を備え、前記制御部は、前記人感センサによって、前記一側と前記他側との少なくとも一方の側において前記戸体に人が接近してきたことが検知されたときに、前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行う戸体に関する。
【0007】
また、前記制御部は、前記照明部を点灯させる制御を前記照明部に対して行った後に、前記人感センサによって、前記照明部を点灯させた側において人の存在が検知されなくなってから所定時間経過後に前記照明部を消灯させる制御を照明部に対して行うことが好ましい。
【0008】
また、前記戸体が閉じた状態を検知可能な開閉センサ(例えば、後述のリードスイッチ101)を備え、前記制御部は、前記開閉センサによって、前記戸体が開いた状態から閉じた状態になろうとするときに、一時的に前記照明部を明るく照明することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、室内側および室外側において光量も含めて点灯及び消灯の制御を行うことが可能な照明部を有する戸体を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態による戸体を示す正面図である。
【
図2】第1実施形態による戸体を示す拡大分解斜視図である。
【
図3】第1実施形態による戸体を示す拡大断面図である。
【
図4】
図1の二点鎖線Aで囲った部分の拡大図である。
【
図5】第1実施形態による戸体の照明部により照明を行う制御のための構成を示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態による戸体におけるセンサ等の位置を説明するための説明図である。
【
図7】第1実施形態による戸体の照明部により照明を行う基本的な制御を示すフローチャートである。
【
図8】第1実施形態による戸体の開閉をリードスイッチにより検知したときの制御を示すフローチャートである。
【
図9】第1実施形態による戸体におけるタイマ割り込みの制御を示すフローチャートである。
【
図10】第1実施形態による戸体において人感センサにより人を検知したときの制御を示すフローチャートである。
【
図11】第1実施形態による戸体において上下方向における人感センサによる人の検知を説明するための説明図である。
【
図12】第1実施形態による戸体において水平方向における人感センサによる人の検知を説明するための説明図である。
【
図13】第1実施形態による戸体におけるLEDの点灯及び消灯の様子を説明するための説明図である。
【
図14】第2実施形態による戸体を示す拡大断面図である。
【
図15】第3実施形態による戸体を示す拡大断面図である。
【
図16】第4実施形態による戸体を示す拡大断面図である。
【
図17】第5実施形態による戸体を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、建物に形成された躯体開口部の内部に設けられ、開閉可能な戸体1を本発明の第1実施形態として説明する。
【0012】
図1は、戸体1を示す正面図である。
図2は、戸体1を示す拡大分解斜視図である。
図3は、戸体1を示す拡大断面図である。
図4は、
図1の二点鎖線Aで囲った部分の拡大図である。
【0013】
戸体1は、図示しない枠体において移動可能な引き戸である。
戸体1は、框体40と、框体40の内部に嵌め込まれるガラスパネル45と、を備える。框体40は、上框41と、下框42と、戸尻框43と、戸先框44と、を框組みすることで構成される。
【0014】
戸先框44は、アルミニウムを押し出し成型することによって形成され、戸体1において戸先側に配置されており、戸先框44には、把手としてのハンドル441が固定されて設けられている。また、戸先框44には、照明部50(
図3等参照)が設けられている。
【0015】
具体的には、室外側と室内側とを結ぶ方向(
図3の上下方向)における戸先框44の中央部は、戸尻方向へ向って開口するガラスパネル支持凹部443が形成されている。ガラスパネル支持凹部443には、ガラスパネル45の戸先側の端部が、バックアップ材451を介して挿入されて支持されている。
【0016】
ガラスパネル支持凹部443の室外側及び室内側には、戸先側(
図3の左方向)へ向って開口する照明部収容凹部445が形成されている。照明部収容凹部445の戸先側には、アルミニウムを押し出し成型することによって形成されたカバー材446が、照明部収容凹部445を覆うように設けられ戸先框44に固定されている。
【0017】
戸先框44の室外側の壁部4405と、カバー材446の室外側の壁部4461との間、戸先框44の室内側の壁部4406と、カバー材446の室内側の壁部4462との間には、それぞれ隙間4401、4402が形成されている。隙間4401、4402は、それぞれ戸先框44の上端部から下端部に至るまで形成されている。カバー材446により覆われた照明部収容凹部445における、隙間4401、4402の内側には、アクリル板53が貼り付けられて固定されている。アクリル板53は、乳白色を有しており、隙間4401、4402の上端部から下端部に至るまで延びて設けられている。アクリル板53の戸尻側の端部は、壁部4405、壁部4405の内側に形成された段部に当接し、アクリル板53の戸先側の端部は、カバー材446の戸先側壁部4463の内面に当接している。アクリル板53に代えてガラス板が用いられてもよい。
【0018】
戸先框44の戸尻側の壁部4407の内面には、発光素子としてのLED51(発光ダイオード)を有するLED照明基板52が固定されている。LED51は、LED照明基板52上、即ち、LED照明基板52の戸先側の面上に固定されており、照明部収容凹部445に配置されている。LED照明基板52は、戸先框44の壁部4405、4406の上端部から下端部に至るまで一直線状に複数設けられており、後述の制御部1051による制御により、予め設定された点灯方法により、複数のLED51を一直線状に点灯させることが可能である。
【0019】
2つのLED51の中央位置における戸先框44の部分は、ガラスパネル支持凹部443を形成し、室外側の照明部収容凹部445と室内側の照明部収容凹部445とを区画する区画壁4409を構成する。
【0020】
照明部収容凹部445を取り囲んで形成している壁部4405の内面、壁部4406の内面、壁部4407の内面、カバー材446の壁部4461の内面、壁部4462の内面、戸先側壁部4463の内面は、LED照明基板52上のLED51に対向する対向面を構成しており、LED51の光が効果的に反射する白色に塗装されている。
【0021】
アクリル板53、及び、LED51を有するLED照明基板52は、照明部50を構成する。LED51の発光による光は、前述のように白色に塗装されたLED51の対向面により反射されてアクリル板53に入射する。アクリル板53に入射した光は、隙間4401、4402から、戸体1の一側としての室外側と、戸体1の他側としての室内側と、において光を放出可能である。
【0022】
また、戸体1は、
図5に示すように、リードスイッチ101と、人感センサ102と、電源(電池)104と、制御基板105と、を備えている。
図5は、戸体1の照明部50により照明を行う制御のための構成を示すブロック図である。
図6は、戸体1におけるセンサ等の位置を説明するための説明図である。
図6に示すように、リードスイッチ101は、上框41における戸先側の部分に設けられており、戸体1が開かれているか否かを検知する。
人感センサ102は、戸先框44の上下方向における中央部と上端部との間の部分に設けられており、戸体1の室外側と室内側とのそれぞれにおける戸体1の近傍に人がいるか否かを検知する。具体的には、人感センサ102は、
図4に示すように、戸体1の室外側と室内側とのそれぞれの戸先框44の壁部4405、壁部4406に形成された孔の内部にそれぞれ設けられており、孔を通して、戸体1の近傍に人がいるか否かを検知する。
【0023】
電源104は、乾電池等を有し、上框41の戸尻寄りの部分に設けられており、電源104上の制御部1051(CPU)等に直流の電気を供給する。
制御基板105は、上框41における戸尻框43と戸先框44との略中央部分に設けられており、制御基板105には制御部1051としてのCPUと、LED51を駆動するためのLEDドライバーが記憶されている記憶装置1052と、電源104からの電圧を降圧するDC/DCコンバータ1053とが設けられている。制御部1051には、リードスイッチ101と、人感センサ102と、LED51とが電気的に接続されている。制御部1051は、リードスイッチ101、及び、人感センサ102からの検知信号に基づいて、LED51の点灯及び消灯の制御を行う。
【0024】
次に、制御部1051によるLED51の点灯及び消灯の制御について説明する。
図7は、戸体1の照明部50により照明を行う基本的な制御を示すフローチャートである。
図8は、戸体1の開閉をリードスイッチ101により検知したときの制御を示すフローチャートである。
図9は、戸体1におけるタイマ割り込みの制御を示すフローチャートである。
図10は、戸体1において人感センサ102により人を検知したときの制御を示すフローチャートである。
図11は、戸体1において上下方向における人感センサ102による人の検知を説明するための説明図である。
図12は、戸体1において水平方向における人感センサ102による人の検知を説明するための説明図である。
図13は、戸体1におけるLED51の点灯及び消灯の様子を説明するための説明図である。
【0025】
先ず、基本的な制御について説明する。基本的な制御においては、
図13に示すように、制御部1501は、LEDを徐々に明るくなるように点灯させ、最も明るく点灯させた後に消灯させる制御を、LEDに対して行う。
図7に示すように、ステップS101において、制御部1051は、室外側又は室内側において戸体1の近傍に人がいるか否かを判断する。室外側又は室内側において戸体1の近傍に人がいると制御部1051が判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS102へ進む。室外側又は室内側において戸体1の近傍に人がいないと制御部1051が判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS101へ戻る。
【0026】
ここで、人感センサ102の検知に基づく、戸体1の近傍に人がいるか否かの制御部1051による判断は、
図12において二点鎖線で示す範囲内において、戸体1に対して接近してきたか否かを判断することにより行う。即ち、1m程度以上の身長を有する人(子供以上の人間)が、
図12に示す二点鎖線の範囲において、戸体1に対して2m以内の位置に至り、更に、戸体1に対して1.5m以内の位置に至るまで戸体1に接近してきた場合に、制御部1051は、戸体1の近傍に人がいると判断する。従って、戸体1に近い戸体1の下側の位置であって、
図11に示す二点鎖線よりも下側の戸体1寄りの位置においては検知しないため、子犬等の小動物が戸体1に接近した場合には、人感センサ102には検知されない。
【0027】
ステップS102において、制御部1051は、PWM制御による20%の輝度で、LED51を点灯させる。そして制御部1051による処理は、ステップS103へ進む。
【0028】
ステップS103において、制御部1051は、PWM制御により1秒間遅延を発生させて1%輝度を増加させる。そして制御部1051による処理は、ステップS104へ進む。
【0029】
ステップS104において、制御部1051は、PWM制御による60%の輝度で、LED51を点灯している状態になっているか否かを判断する。PWM制御による60%の輝度で、LED51を点灯している状態になっていると制御部1051が判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は終了する。未だPWM制御による60%の輝度で、LED51を点灯している状態になっていないと制御部1051が判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS103へ戻る。以上が、制御部1051による基本的な制御である。
【0030】
次に、戸体1の開閉をリードスイッチ101により検知したときの制御について説明する。この制御は、戸体1が開かれた状態から戸体1が閉められることより、又は、戸体1が閉じられた状態から戸体1が開かれることより、リードスイッチ101がOFFからONへ、又は、ONからOFFへ切り換るときの制御である。
図8に示すように、ステップS201において、制御部1051は、リードスイッチ101による検知があるか否か、すなわち、リードスイッチ101がOFFからONへ、又は、ONからOFFへ切り換ったことの検知があるか否かを判断する。リードスイッチ101による検知がある場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS202へ進む。リードスイッチ101による検知がない場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS201へ戻る。
【0031】
ステップS202において、制御部1051は、PWM制御により1秒間遅延を発生させて1%輝度を増加させる。そして制御部1051による処理は、ステップS203へ進む。
【0032】
ステップS203おいて、制御部1051は、PWM制御による80%の輝度で、LED51を点灯している状態になっているか否かを判断する。PWM制御による80%の輝度で、LED51を点灯している状態になっていると制御部1051が判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は終了する。未だPWM制御による80%の輝度で、LED51を点灯している状態になっていないと制御部1051が判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS202へ戻る。以上が、戸体1の開閉をリードスイッチ101により検知したときの制御である。
【0033】
次に、戸体1におけるタイマ-割り込みの制御について説明する。タイマ-割り込みの制御においては、
図13に示すように、制御部1501は、LEDを徐々に明るくなるように点灯させ、最も明るく点灯させた後に消灯させる制御のうちの、LEDが最も明るく点灯した後に消灯させるまでの制御を、LEDに対して行う。タイマ-割り込みの制御は、前述の基本的な制御によりLEDが点灯した状態で戸体1が開かれた後に所定時間(例えば、2秒)経過後に割り込みが入りスタートする。
図9に示すように、ステップS301において、制御部1051は、LED51が点灯している状態か否かを判断する。LED51が点灯している状態であると判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS302へ進む。LED51が点灯していない状態であると判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS301へ戻る。
【0034】
ステップS302において、制御部1051は、T1を0に初期化して、T1のタイマーカウントをスタートさせる。そして制御部1051による処理は、ステップS303へ進む。
【0035】
ステップS303おいて、制御部1051は、タイマーカウントが2000ms以上になったか否かを判断する。タイマーカウントが2000ms以上になったと判断した場合には(YES)、制御部1051による処理はステップS304へ進む。未だタイマーカウントが2000ms以上になっていないと判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS303へ戻る。
【0036】
ステップS304において、制御部1051は、PWM制御による0%の輝度となるように、即ち、全てのLED51を消灯するように電源104に対して制御を行う。そして制御部1051による処理は終了する。以上が、戸体1におけるタイマ-割り込みの制御である。
【0037】
次に、戸体1において人感センサ102により人を検知したときの制御を説明する。この制御は、
図12に示す二点鎖線の範囲内において戸体1に対して人Pが接近してきた場合ではなく、人Pが戸体1に沿って移動してきて、突然
図12に示す二点鎖線の範囲内に入ったときに制御部1051が行う制御である。
ステップS401において、制御部1051は、戸体1から人Pまでの距離が2m以内か否かを判断する。戸体1から人Pまでの距離が2m以内であると判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS402へ進む。戸体1から人Pまでの距離が2mを超えると判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS401へ戻る。
【0038】
ここで、人感センサ102の検知に基づく制御部1051による判断は、
図12において二点鎖線で示す範囲外(二点鎖線で示す範囲の右側)から二点鎖線で示す範囲に入ってきたか否かを判断することにより行う。即ち、1m程度以上の身長を有する人(子供以上の人間)が、戸体1に沿って移動してきて、戸体1に対して所定の距離(ステップS401では2m)以内の位置において二点鎖線で示す範囲に入ってきた場合に、制御部1051は、戸体1の近傍に人がいると判断する。従って、戸体1に近い戸体1の下側の位置であって、
図11に示す二点鎖線よりも戸体1寄りの位置においては検知しないため、子犬等の小動物が戸体1に接近した場合には、人感センサ102には検知されない。
また、戸体1に沿って戸体1の近傍を戸体1の戸尻側から戸先側へ移動してきた人については、所定時間(例えば1秒程度)人の検出が持続した場合にのみ、制御部1051は戸体1の近傍に人がいると判断する。この判断については、屋外側、屋内側における人感センサ102の検知に基づく制御部1051による判断について同様である。また、後述のステップS402においても同様である。
【0039】
ステップS402において、制御部1051は、戸体1から人Pまでの距離が1.5m以内か否かを判断する。戸体1から人Pまでの距離が1.5m以内であると判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS403へ進む。戸体1から人Pまでの距離が1.5mを超えると判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS404へ進む。
【0040】
ステップS402において、制御部1051は、T2を0に初期化して、T2のタイマーカウントをスタートさせる。そして制御部1051による処理は、ステップS405へ進む。
【0041】
ステップS405おいて、制御部1051は、タイマーカウントが1000ms以上になったか否かを判断する。タイマーカウントが1000ms以上になったと判断した場合には(YES)、制御部1051による処理はステップS407へ進む。未だタイマーカウントが1000ms以上になっていないと判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は、ステップS405へ戻る。
【0042】
ステップS407において、制御部1051は、戸体1から人Pまでの距離が1.5m以内か否かを判断する。戸体1から人Pまでの距離が1.5m以内であると判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS408へ進む。戸体1から人Pまでの距離が1.5mを超えると判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は終了する。
【0043】
また、ステップS404において、制御部1051は、距離の検知を開始する。即ち、戸体1から人Pまでの距離Sが2.0mにおける距離の検知を開始する。そして制御部1051による処理は、ステップS406へ進む。
【0044】
ステップS406において、制御部1051は、戸体1から人Pまでの距離が1.5m以内か否かを判断する。戸体1から人Pまでの距離が1.5m以内であると判断した場合には(YES)、制御部1051による処理は、ステップS408へ進む。戸体1から人Pまでの距離が1.5mを超えると判断した場合には(NO)、制御部1051による処理は終了する。
【0045】
ステップS408において、制御部1051は、PWM制御による20%の輝度で、LED51を点灯させる。そして制御部1051による処理は終了する。
以上が、戸体1において人感センサ102により人を検知したときの制御である。
【0046】
以上説明した実施形態によれば、以下のような効果を奏する。
本実施形態では、一側としての室外側と他側としての室内側とを仕切る戸体1は、室外側と室内側とにそれぞれ光を放出可能な照明部50を備え、照明部50は、室外側に光を照射可能な一側発光素子としてのLED51と、室内側に光を照射可能な他側発光素子としてのLED51と、一側発光素子としてのLED51からの光が室内側に放出されないようにするとともに、他側発光素子としてのLED51からの光が室外側に放出されないように、一側発光素子としてのLED51と他側発光素子としてのLED51とを収容する発光素子収容部としての戸先框44を備える。
【0047】
これにより、室外側、室内側の一方のみにLED51の光を放出することが可能となり、室外側と室内側とを個別に点灯、消灯をコントロールすることが可能となる。即ち、室外側と室内側との両方を点灯又は消灯したり、室外側と室内側とのいずれか一方を点灯させ、他方を消灯したりすることが可能となる。また、このように点灯、消灯をコントロールすることが可能とする構成を比較的簡単な構成で、デザイン性の高い框の細い戸体構造を実現することが可能となる。
【0048】
また、発光素子収容部を構成する戸先框44は、一側としての室外側に形成された一側室としての室外側の照明部収容凹部445と、他側としての室内側に形成された他側室としての室内側の照明部収容凹部445を区画する区画壁4409を構成する。そして1つのLED51は室外側の照明部収容凹部445に収容され、他のLED51は室内側の照明部収容凹部445に収容されている。これにより、室外側の照明部収容凹部445のLED51の光が室内側に放出されたり、室内側の照明部収容凹部445のLED51の光が室外側に放出されたりすることを防止することが可能となる。
【0049】
また、発光素子収容部は、収容部本体としての戸先框44と、収容部本体と共に一側室及び他側室を形成するカバー材446と、を備え、LED51に対向するカバー材の対向面は、白色に塗装されている。これによりLED51からの光を、効果的にアクリル板53及び隙間4401を通して室外側、室内側へ放出することが可能となる。
【0050】
また、LED51を収容する発光素子収容部は、一側室としての室外側の照明部収容凹部445の外部にLED51の光を放出するための一側光透過部材と、室内側の照明部収容凹部445の外部にLED51の光を放出するための他側光透過部材とを有し、一側光透過部材、他側光透過部材は、それぞれアクリル板53又はガラス板により構成される。これにより、LED51の光を、効果的に広げて、室外側、室内側にそれぞれ適度に放出することが可能となる。
【0051】
また、LED51を収容する発光素子収容部は、戸体1を構成するガラスパネル45の周縁部を支持する。これにより、ガラスパネル45の周縁部を支持する戸先框44を、LED51を収容する発光素子収容部として利用することで、デザイン性の高い框の細い戸体構造を実現することが可能となる。
【0052】
また、本実施形態においては、一側としての室外側と他側としての室内側とを仕切る戸体1は、室外側と室内側とにおいてそれぞれ独立して点灯及び消灯可能であり、室外側と室内側とにおいてそれぞれ独立して光を放出可能な照明部50と、照明部50の点灯及び消灯の制御を行う制御部1051と、室外側と室内側とのそれぞれの側において人の存在を検知する人感センサ102と、を備え、制御部1051は、人感センサ102によって、室外側と室内側との少なくとも一方の側において戸体1に人が接近してきたことが検知されたときに、照明部50を点灯させる制御を照明部50に対して行う。これにより、室外側、室内側の一方のみ、又は、両方において、光量の制御等も含めて点灯及び消灯の制御を行うことが可能となる。
【0053】
従って、例えば、室外側である廊下側におい人が戸体1に接近してきた場合には、室外側においてはLED51が点灯することが要求されるが、室内側において睡眠している人がいる場合には、室内側においてはLED51が点灯しないことが好ましいが、このような要求に対しても光量の制御等も含めて点灯及び消灯の制御を行うことが可能となる。この結果、照明制御を調整することができ、自然な照明演出を行うことができる。
【0054】
また、制御部1051は、照明部50を点灯させる制御を照明部50に対して行った後に、人感センサ102によって、照明部50を点灯させた側において人の存在が検知されなくなってから所定時間経過後に照明部50を消灯させる制御を照明部50に対して行う。これにより、人が戸体1の近傍にいないにもかかわらず、LED51が無駄に点灯し続けることを防止することが可能となる。
【0055】
また、戸体1が閉じた状態を検知可能な開閉センサとしてのリードスイッチ101を備え、制御部1051は、リードスイッチ101によって、戸体1が開いた状態から閉じた状態になろうとするときに、一時的に照明部50を明るく照明する。これにより、暗い室内において、戸体1が閉じるタイミングを人に認識させることが可能となり、勢いよく戸体1を閉じることを抑えるように人に意識をさせることが可能となる。
【0056】
次に、第2本実施形態による戸体1Aについて説明する。
図14は、戸体1Aを示す拡大断面図である。
戸体1Aは、ガラスパネル45を有しておらず、戸尻芯材43と戸先芯材44との中間の部分に戸先寄り中間部芯材47と戸尻寄り中間部芯材48とを有している。戸先寄り中間部芯材47と戸尻寄り中間部芯材48との間には、H字形状を有する区画壁63が設けられている。区画壁63の室外側には、
図14に示すように、断面形状がC字形状に形成され開口616を有する室外側室形成部61と、断面形状がC字形状に形成され開口626を有する室内側室形成部62とが設けられている。
【0057】
室外側室形成部61の底壁6101には、LED51が実装されたLED照明基板52が固定されている。同様に、室内側室形成部62の底壁6201には、LED51が実装されたLED照明基板52が固定されている。
【0058】
次に、第3本実施形態による戸体1Bについて説明する。
図15は、戸体1Bを示す拡大断面図である。
戸体1Bは、ガラスパネル45を有しておらず、ガラスパネル支持凹部443を有していない戸先芯材44Bの戸先側に、H字形状を有する区画壁63が設けられている。区画壁63の室外側には、
図15に示すように、上方向に開口し断面が
図15に示すようにコの字形状の室外側室形成部61によって室外側室6301が形成され、また、区画壁63の室内側には、下方向に開口し断面が
図15に示すようにコの字形状の室内側室形成部62によって室内側室6302が形成されている。
【0059】
室外側室6301内であって室外側室形成部61の中央には、LED51が実装されたLED照明基板52が固定されている。同様に、室内側室6302内であって室内側室形成部62の中央には、LED51が実装されたLED照明基板52が固定されている。室外側室形成部61の開口、室内側室形成部62の開口には、当該開口を塞ぐようにしてアクリル板53Bが、戸先芯材44Bの室外側の端面、室内側の端面とそれぞれ面一の位置関係で嵌め込まれている。
【0060】
次に、第4本実施形態による戸体1Cについて説明する。
図16は、戸体1Cを示す拡大断面図である。
戸体1Cにおいては、下框42Cに照明部を構成するLED51が設けられている。具体的には、下框42Cには、下方向へ開口する凹部が室外側寄りの部分と室内側寄りの部分とにそれぞれ形成されており、凹部の上部には、下方向に開口し断面が
図16に示すようにコの字形状の室外側室形成部61、室内側室形成部62がそれぞれ固定されている。凹部の下端部の開口には、開口を塞ぐようにしてアクリル板53Cが固定されて嵌め込まれている。
【0061】
室外側室形成部61、室内側室形成部62の上壁の下面には、LED51が実装されたLED照明基板52が固定されている。室外側のアクリル板53Cと室内側のアクリル板53Cとの間の下框42Cの部分は、室外側でLED51が収納された室外側の室と、室内側でLED51が収納された室内側の室とを区画する区画壁4201Cを構成する。以上の構成により、LED51の発光による光は、室外側、室内側のそれぞれにおいて、下框42Cと図示しない下枠との間の僅かな隙間から、室外側、室内側のそれぞれにおいて放出される。
【0062】
次に、第5本実施形態による戸体1Dについて説明する。
図17は、戸体1Dを示す拡大断面図である。
戸体1Dにおいては、第4実施形態と同様に、下框42Dに照明部を構成するLED51が設けられている。具体的には、下框42Dには、下方向へ開口する凹部が形成されている。室外側と室内側とを結ぶ方向における凹部の中央位置に、上方向に開口するコの字形状の区画壁4201Dが設けられており、その両側には、下方向に開口し断面が
図17に示すようにコの字形状の室外側室形成部61、室内側室形成部62がそれぞれ固定されている。
【0063】
室外側室形成部61、室内側室形成部62の下端部には、開口を塞ぐようにしてアクリル板53Dが固定されて嵌め込まれている。アクリル板53Dは、室外側、室内側から視認可能に下框42Dにおいて最も下側の位置にあり、アクリル板53Dの下側の面は、区画壁4201Dの下端面と面一の位置関係にある。以上の構成により、LED51の発光による光は、室外側、室内側のそれぞれにおいて、第4実施形態による戸体1Cよりも明るく放出される。
【0064】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、戸体1は、屋内に配置される引き戸により構成されたか、引き戸に限定されない。例えば、戸体は、屋外と屋内とを仕切る扉(例えば、引き戸により構成される玄関ドア等)により構成されてもよい。
また、アクリル板53は乳白色を有していたが、これに限定されず、他の色を有していてもよい。また、アクリル板53に代えてアクリル板53と同一形状のガラス板を用いてもよいし、他の半透明な樹脂板を用いてもよいし、和紙等を用いてもよい。
【0065】
また、室外側と室内側とにLED51の光を放出する構成については、本実施形態における構成に限定されない。
【0066】
また、室外側と室内側とにおけるLED51の点灯、消灯の制御は、本実施形態における制御部1051による制御に限定されない。
例えば、人感センサ102による検知に基づき、(1)室外側、室内側において戸体の近傍に人がいる場合にのみLED51を点灯させるか、(2)室外側、室内側の両方においてLED51を点灯させることが可能であることを前提として、RTC(リアルタイムクロック)による時刻により、上述の(1)、(2)の制御を行えばよい。または、照度センサを備える構成として、室外側、室内側のいずれかについて照度の低い側(暗い側)については、LED51に対して光を弱く発光させるように制御させたり、発光しないように制御させたりしてもよい。又は、これらの設定を選択的に行うことができるように、制虚部は制御可能であってもよい。
また、照明部50は、室外側と室内側との両方にLED51を有していたが、これに限定されない。例えば、照明部50は、室内側のみLED51を有していて、室外側はLED51を有していなくてもよい。
また、隙間4401、4402は、それぞれ戸先框44の上端部から下端部に至るまで形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、隙間4401、4402に代えて小さな貫通孔が複数形成されたパンチングが用いられてもよく、また、導光管が用いられてもよい。
また、照明部は戸先框や戸尻芯材43と戸先芯材44との中間の部分に設けられていたが、これに限定されない。例えば、照明部は下框や上框に設けられ、これらの部分が光るよう構成されていてもよい。
また、本実施形態では、上框41に電源(電池)104と、制御基板105と、を備えていたが、これに限定されない。例えば、電源(電池)104、制御基板105は、縦框や下框に設けられていてもよい。また、戸体は、電池を備える構成に限定されない。例えば、戸体は、電池に代えて、電気配線を有して、当該電気配線を通して電気が戸体に供給されてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…戸体
44…戸先框
45…ガラスパネル
50…照明部
51…LED
53…アクリル板
101…リードスイッチ
102…人感センサ
445…照明部収容凹部
446…カバー材
1051…制御部
4409…区画壁