(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-24
(45)【発行日】2024-07-02
(54)【発明の名称】感放射線性組成物、硬化膜の製造方法、半導体素子及び表示素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/032 20060101AFI20240625BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240625BHJP
G03F 7/075 20060101ALI20240625BHJP
G03F 7/033 20060101ALI20240625BHJP
G03F 7/023 20060101ALI20240625BHJP
C08G 59/02 20060101ALI20240625BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240625BHJP
C08K 5/544 20060101ALI20240625BHJP
C08F 220/32 20060101ALI20240625BHJP
C08L 101/08 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G03F7/032 501
G03F7/004 501
G03F7/075 501
G03F7/033
G03F7/023
C08G59/02
C08L63/00 Z
C08K5/544
C08F220/32
C08L101/08
(21)【出願番号】P 2021076160
(22)【出願日】2021-04-28
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2020080634
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100122390
【氏名又は名称】廣田 美穂
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【氏名又は名称】日野 京子
(72)【発明者】
【氏名】本田 晃久
(72)【発明者】
【氏名】中西 拓也
(72)【発明者】
【氏名】倉田 亮平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智香
(72)【発明者】
【氏名】三村 時生
(72)【発明者】
【氏名】八代 隆郎
【審査官】高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-201003(JP,A)
【文献】特開2019-066829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/032
G03F 7/004
G03F 7/075
G03F 7/033
G03F 7/023
C08G 59/02
C08L 63/00
C08K 5/544
C08F 220/32
C08L 101/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシラニル基を有する第1構造単位と、カルボキシ基を有する第2構造単位とを含む重合体成分と、
感光剤と、
アミン系化合物、イミダゾール系化合物及びイソシアネート系化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、
溶剤と、を含有し、
前記第1構造単位の含有割合が、前記重合体成分を構成する全構造単位に対して、20質量%を超え65質量%以下であり、
前記第2構造単位の含有割合が、前記重合体成分を構成する全構造単位に対して、5質量%を超え25質量%以下であり、
前記溶剤は、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項dHが10.0以上である高dH溶媒を、前記溶剤の全量に対して20質量%以上含む、
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項2】
前記溶剤は、沸点が160℃以下である低沸点溶媒を、前記溶剤の全量に対して50質量%よりも多く含む、請求項1に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項3】
前記高dH溶媒は、沸点が200℃以下である、請求項1又は2に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項4】
前記高dH溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、ヘキシレングリコール、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、ブタノール、3-メトキシ-1-ブタノール、2-メチルブタノール、3-メチルブタノール、2-エチルブタノール、イソブチルアルコール、ペンタノール、2-メチルペンタノール、シクロヘキサノール、ダイアセトンアルコール、ベンジルアルコール及びフルフリルアルコールよりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか一項に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項5】
前記アミン系化合物はシランカップリング剤である、請求項1~4のいずれか一項に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項6】
前記イソシアネート系化合物はシランカップリング剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項7】
前記重合体成分は、オキセタニル基を有する構造単位をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項8】
フェノール性水酸基を有する化合物[D]をさらに含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項9】
前記化合物[D]の含有割合が、前記重合体成分100質量部に対して1質量部以上である、請求項8に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項10】
前記化合物[D]の含有割合が、前記感光剤と前記化合物[D]との総量に対して1~60質量%である、請求項8又は9に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項11】
前記化合物[D]の分子量は700以下である、請求項8~10のいずれか一項に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項12】
前記化合物[D]は、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物、下記式(6)で表される化合物、及び下記式(d-31)~式(d-35)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8~11のいずれか一項に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【化1】
(式(2)中、R
4は水素原子又はメチル基であり、R
5~R
7は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基である。a1、a3及びa5は、それぞれ独立して0~2の整数であり、a2、a4及びa6は、それぞれ独立して1~3の整数である。a7は0又は1である。)
【化2】
(式(3)中、R
8~R
10は、それぞれ独立してフッ素原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。R
11及びR
12は、それぞれ独立してメチレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基又はペルフルオロプロパン-2,2-ジイル基である。b1、b3、b5及びb6は、それぞれ独立して0~2の整数であり、b2及びb4は、それぞれ独立して0~3の整数である。ただし、b2+b4+b6≧2を満たす。b7は0~3の整数である。)
【化3】
(式(4)中、R
13及びR
14は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、R
15~R
19は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基である。c1、c3、c5、c7及びc9は、それぞれ独立して0~2の整数であり、c2、c4、c6及びc8は、それぞれ独立して1~3の整数であり、c10は1又は2である。)
【化4】
(式(5)中、R
20及びR
21は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、X
2は、カルボニル基、-CH(COCH
3)-又は-CH=CH-CO-CH
2-CO-CH=CH-である。d1及びd3は、それぞれ独立して0~2の整数であり、d2及びd4は、それぞれ独立して1~3の整数である。)
【化5】
(式(6)中、R
22は炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はメチルビニル基である。e1は0~2の整数である。)
【化6】
【請求項13】
前記感光剤は、フェノール性水酸基を有する化合物とオルソナフトキノンジアジド化合物との縮合物を含み、
前記化合物[D]の含有割合が、前記化合物[D]と前記縮合物との総量に対して1~60質量%である、請求項8~12のいずれか一項に記載の
ポジ型感放射線性組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の
ポジ型感放射線性組成物を塗布する塗布工程を含む、硬化膜の製造方法。
【請求項15】
前記塗布工程により塗布した
ポジ型感放射線性組成物を減圧乾燥する減圧乾燥工程をさらに含む、請求項14に記載の硬化膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感放射線性組成物、硬化膜の製造方法、半導体素子及び表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や表示素子には、層間絶縁膜やスペーサー、保護膜等の硬化膜が設けられている。これらの硬化膜を形成する材料としては一般に、エポキシ基を側鎖に有する重合体と感光剤とを含有する感放射線性組成物が用いられ、エポキシ基の硬化反応を利用して硬化膜が形成される(例えば、特許文献1や特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-330180号公報
【文献】特開2013-122576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
重合体が有するエポキシ基の硬化反応を利用して硬化膜を得る場合、感放射線性組成物の保管中に硬化反応が進行し、保存安定性が低下することが懸念される。また、感放射線性組成物としては、優れた保存安定性を備えつつ、耐薬品性に優れた硬化膜を形成できることが求められる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、保存安定性に優れ、かつ耐薬品性に優れた硬化膜を形成することができる感放射線性組成物を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の感放射線性組成物、硬化膜の製造方法、半導体素子及び表示素子が提供される。
【0007】
[1] オキシラニル基を有する第1構造単位と、カルボキシ基を有する第2構造単位とを含む重合体成分と、感光剤と、アミン系化合物、イミダゾール系化合物及びイソシアネート系化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、溶剤と、を含有し、前記第1構造単位の含有割合が、前記重合体成分を構成する全構造単位に対して、20質量%を超え65質量%以下であり、前記第2構造単位の含有割合が、前記重合体成分を構成する全構造単位に対して、5質量%を超え25質量%以下であり、前記溶剤は、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項dHが10.0以上である高dH溶媒を、前記溶剤の全量に対して20質量%以上含む、感放射線性組成物。
[2] 上記[1]の感放射線性組成物を塗布する塗布工程を含む、硬化膜の製造方法。
[3] 上記[1]の感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜を備える、半導体素子。
[4] 上記[1]の感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜を備える、表示装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記の重合体成分、感光剤、特定の化合物及び溶剤を含む感放射線性組成物において、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項dHが10.0以上である高dH溶媒を含有させることにより、保存安定性に優れた感放射線性組成物を得ることができる。また、当該感放射線性組成物によれば、耐薬品性に優れた硬化膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施態様に関連する事項について詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」を用いて記載された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味である。「構造単位」とは、主鎖構造を主として構成する単位であって、少なくとも主鎖構造中に2個以上含まれる単位をいう。
【0010】
[感放射線性組成物]
本開示の感放射線性組成物は、半導体素子や液晶装置等の硬化膜を形成する材料として用いられる。当該感放射線性組成物は、重合体成分と感光剤と溶剤とを含有する。以下、本開示の感放射線性組成物に含まれる各成分、及び必要に応じて配合されるその他の成分について説明する。なお、各成分については、特に言及しない限り、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
ここで、本明細書において「炭化水素基」は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、主鎖に環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。なお、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基が有する環構造は、炭化水素構造からなる置換基を有していてもよい。「環状炭化水素基」は、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。
【0012】
<(A)重合体成分>
本開示の感放射線性組成物は、重合体成分として、オキシラニル基を有する構造単位(以下「第1構造単位」ともいう)と、カルボキシ基を有する構造単位(以下「第2構造単位」ともいう)とを有する重合体を含有する。なお、本明細書では、オキシラニル基及びオキセタニル基を包含して「エポキシ基」ともいう。重合体成分が第1構造単位及び第2構造単位を含むことにより、膜の解像性や密着性を高めることができる。また、オキシラニル基が架橋性基として作用することにより、耐薬品性が高く、長期間に亘って劣化が抑制される硬化膜を形成することができる。
【0013】
重合体成分を構成する重合体の主鎖は、特に限定されないが、良好な耐熱性や耐薬品性、現像性等を示す膜を得ることができる点及び単量体の選択の自由度が高い点で、重合性不飽和炭素-炭素結合を有する単量体(以下「不飽和単量体」ともいう)を用いて得られる重合体であることが好ましい。不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル化合物、スチレン系化合物、マレイミド系化合物、ビニル化合物等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」を包含する意味である。
【0014】
・第1構造単位
第1構造単位は、オキシラニル基を有する不飽和単量体に由来する構造単位であることが好ましく、具体的には下記式(1)で表される構造単位であることが好ましい。
【化1】
(式(1)中、R
1はオキシラニル基を有する1価の基であり、R
2は水素原子又メチル基であり、X
1は単結合又は2価の連結基である。)
【0015】
上記式(1)において、R1は、オキシラン構造(1,2-エポキシ構造)を有する1価の基であれば特に限定されず、例えば、オキシラニル基、3,4-エポキシシクロヘキシル基、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基等が挙げられる。
X1の2価の連結基としては、例えばメチレン基、エチレン基、1,3-プロパンジイル基等のアルカンジイル基が挙げられる。
【0016】
オキシラニル基を有する単量体の具体例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
重合体成分における第1構造単位の含有割合は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、20質量%を超えるものであり、22質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、第1構造単位の含有割合は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、65質量%以下であり、62質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましい。第1構造単位の含有割合を上記範囲とすることで、より良好な解像性を示す塗膜を形成できるとともに、得られる硬化膜の耐熱性及び耐薬品性を十分に高くすることができる点で好ましい。
【0018】
・第2構造単位
重合体成分は、カルボキシ基を有する構造単位(以下「第2構造単位」ともいう)をさらに含む。第2構造単位により、重合体成分のアルカリ現像液に対する溶解性(アルカリ可溶性)を高めたり、硬化反応性を高めたりすることができる。なお、本明細書において「アルカリ可溶」とは、2.38質量%濃度のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液等のアルカリ水溶液に溶解又は膨潤可能であることを意味する。
【0019】
第2構造単位は、カルボキシ基を有する不飽和単量体に由来する構造単位であることが好ましい。カルボキシ基を有する不飽和単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、4-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸を挙げることができる。
【0020】
重合体成分における第2構造単位の含有割合は、アルカリ現像液に対する良好な溶解性を付与する観点から、重合体成分を構成する全構造単位に対して、5質量%を超えるものであり、7質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。一方、第2構造単位の含有割合が多すぎると、露光部分と未露光部分とにおいてアルカリ現像液に対する溶解性の違いが小さくなり、良好なパターン形状が得られにくくなることが懸念される。こうした観点から、第2構造単位の含有割合は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、25質量%以下であり、20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0021】
・その他の構造単位
重合体成分は、第1構造単位及び第2構造単位以外の構造単位(以下「その他の構造単位」ともいう)をさらに含んでいてよい。その他の構造単位により、重合体成分のガラス転移温度を調整し、得られる硬化膜のパターン形状、耐薬品性を向上させることができる。
【0022】
その他の構造単位を構成する単量体(以下「その他の単量体」ともいう)としては、オキセタニル基を有する単量体、カルボキシ基とは異なる酸基を有する単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、N-置換マレイミド化合物、複素環構造を有するビニル化合物、共役ジエン化合物、窒素含有ビニル化合物、不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル化合物等が挙げられる。
【0023】
その他の単量体の具体例としては、オキセタニル基を有する単量体として、(3-メチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、(3-エチルオキセタン-3-イル)(メタ)アクリレート、(オキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート、及び(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル(メタ)アクリレート等を;
カルボキシ基とは異なる酸基を有する単量体として、例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸、4-ヒドロキシスチレン、o-イソプロペニルフェノール、m-イソプロペニルフェノール、p-イソプロペニルフェノール、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等を;
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-ステアリル等を;
脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸2-メチルシクロへキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル、(メタ)アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,5]デカン-8-イルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボロニル等を;
芳香環構造を有する(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等を;
芳香族ビニル化合物として、スチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,4-ジイソプロピルスチレン、5-t-ブチル-2-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、t-ブトキシスチレン、ビニルベンジルジメチルアミン、(4-ビニルベンジル)ジメチルアミノエチルエーテル、N,N-ジメチルアミノエチルスチレン、N,N-ジメチルアミノメチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、2-t-ブチルスチレン、3-t-ブチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等を;
N-置換マレイミド化合物として、N-シクロヘキシルマレイミド、N-シクロペンチルマレイミド、N-(2-メチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(4-メチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(4-エチルシクロヘキシル)マレイミド、N-(2,6-ジメチルシクロヘキシル)マレイミド、N-ノルボルニルマレイミド、N-トリシクロデシルマレイミド、N-アダマンチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-(2-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-メチルフェニル)マレイミド、N-(4-エチルフェニル)マレイミド、N-(2,6-ジメチルフェニル)マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ナフチルマレイミド等を;
複素環構造を有するビニル化合物として、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニル、(メタ)アクリル酸5-エチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチル、(メタ)アクリル酸5-メチル-1,3-ジオキサン-5-イルメチル、(メタ)アクリル酸(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル、2-(メタ)アクリロイルオキシメチル-1,4,6-トリオキサスピロ[4.6]ウンデカン、(メタ)アクリル酸(γ-ブチロラクトン-2-イル)、(メタ)アクリル酸グリセリンカーボネート、(メタ)アクリル酸(γ-ラクタム-2-イル)、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド等を;
共役ジエン化合物として、1,3-ブタジエン、イソプレン等を;
窒素含有ビニル化合物として、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等を;
不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル化合物として、イタコン酸ジエチル等を、それぞれ挙げることができる。また、その他の単量体としては、上記のほか、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル等の単量体が挙げられる。
【0024】
重合体成分は、保存安定性と硬化反応性とのバランスを改善する観点から、その他の構造単位として、オキセタニル基を有する構造単位(以下「その他の構造単位A」ともいう)を含んでいてもよい。その他の構造単位Aの含有割合は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、その他の構造単位Aの含有割合は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0025】
重合体成分は、重合体成分のガラス転移温度を調整して熱硬化時のメルトフローを抑制する観点から、その他の構造単位として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、脂環式構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香環構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物、N-置換マレイミド化合物及び複素環構造を有するビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の単量体に由来する構造単位(以下「その他の構造単位B」ともいう)を含むことが好ましい。
【0026】
その他の構造単位Bの含有割合は、重合体成分のガラス転移温度を適度に高くする観点から、重合体成分を構成する全構造単位に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましい。また、その他の構造単位Bの含有割合は、第1構造単位及び第2構造単位を十分に導入する観点から、重合体成分を構成する全構造単位に対して、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
【0027】
なお、重合体成分が、その他の構造単位としてマレイミドに由来する構造単位、シリル系官能基(例えば、トリアルキルシリル基)等によって保護されたカルボキシ基を有する構造単位を含むことを含んでいてもよいが、その場合、重合体成分におけるマレイミドに由来する構造単位の含有割合は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、10質量%未満が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また、保護されたカルボキシ基を有する構造単位の含有割合は、重合体成分を構成する全構造単位に対して、10質量%未満が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
【0028】
重合体成分は、第1構造単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。第2構造単位及びその他の構造単位についても同様である。なお、各構造単位の含有割合は、通常、重合体成分の製造に使用される単量体の割合と等価である。重合体成分は、第1構造単位及び第2構造単位を含む限り、1種の重合体からなるものであってもよく、2種以上の重合体からなるものであってもよい。すなわち、重合体成分が第1構造単位及び第2構造単位を含む場合、当該重合体成分は、同一の重合体中に又は異なる重合体中に、第1構造単位と第2構造単位とを含む態様とすることができる。なお、重合体成分は、第1構造単位及び第2構造単位のいずれも有さない重合体をさらに含有していてもよい。
【0029】
感放射線性組成物における重合体成分の含有形態としては、例えば、〔1〕第1構造単位と第2構造単位とを有する重合体を含有する態様、〔2〕第1構造単位を有する重合体と、第2構造単位を有する重合体とを含有する態様等が挙げられる。これらのうち、感放射線性組成物を構成する成分の数を少なくしつつ、耐薬品性の向上効果が得られる点で、上記〔1〕が好ましい。重合体成分を構成する重合体は、好ましくはアルカリ可溶性樹脂である。
【0030】
重合体成分において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、2000以上であることが好ましい。Mwが2000以上であると、耐熱性や耐溶剤性が十分に高く、かつ良好な現像性を示す硬化膜を得ることができる点で好ましい。Mwは、より好ましくは5000以上であり、さらに好ましくは6000以上であり、特に好ましくは7000以上である。また、Mwは、成膜性を良好にする観点から、好ましくは50000以下であり、より好ましくは30000以下であり、さらに好ましくは20000以下であり、よりさらに好ましくは18000以下であり、特に好ましくは15000以下である。
【0031】
重合体成分において、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、4.0以下が好ましく、3.0以下がより好ましく、2.7以下がさらに好ましい。なお、重合体成分が2種以上の重合体からなる場合、各重合体のMw及びMw/Mnが、それぞれ上記範囲を満たすことが好ましい。
【0032】
重合体成分の含有割合は、感放射線性組成物に含まれる固形分の全量に対して、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、重合体成分の含有割合は、感放射線性組成物に含まれる固形分の全量に対して、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。重合体成分の含有割合を上記範囲とすることにより、耐熱性及び耐薬品性が十分に高く、かつ良好な現像性及び透明性を示す硬化膜を得ることができる。
【0033】
重合体成分は、例えば、上述した各構造単位を導入可能な不飽和単量体を用い、適当な溶媒中、重合開始剤等の存在下で、ラジカル重合等の公知の方法に従って製造することができる。重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル等のアゾ化合物が挙げられる。重合開始剤の使用割合は、反応に使用する単量体の全量100質量部に対して、0.01~30質量部であることが好ましい。重合溶媒としては、例えばアルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、炭化水素類等が挙げられる。重合溶媒の使用量は、反応に使用する単量体の合計量が、反応溶液の全体量に対して、0.1~60質量%になるような量にすることが好ましい。
【0034】
重合において、反応温度は、通常、30℃~180℃である。反応時間は、重合開始剤及び単量体の種類や反応温度に応じて異なるが、通常、0.5~10時間である。重合反応により得られた重合体は、反応溶液に溶解された状態のまま感放射線性組成物の調製に用いられてもよいし、反応溶液から単離された後、感放射線性組成物の調製に用いられてもよい。重合体の単離は、例えば、反応溶液を大量の貧溶媒中に注ぎ、これにより得られる析出物を減圧下乾燥する方法、反応溶液をエバポレーターで減圧留去する方法等の公知の単離方法により行うことができる。
【0035】
<(B)感光剤>
感光剤は、照射された放射線に感応する成分である。感放射線性組成物が感光剤を含むことにより、放射線の照射により感放射線性組成物の現像液に対する溶解性を変化させることが可能となる。放射線としては、紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、電子線等が挙げられる。感光剤としては、光ラジカル重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤等が挙げられる。ポジ型の感放射線性組成物を得る場合、感光剤は、好ましくは光酸発生剤である。
【0036】
使用される光酸発生剤は、放射線照射により酸を発生する化合物であればよい。光酸発生剤としては、例えば、キノンジアジド化合物、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物が挙げられる。これらのうち、放射線感度が高い点で、キノンジアジド化合物が好ましい。
【0037】
キノンジアジド化合物は、放射線の照射によりカルボン酸を発生する感放射線性酸発生体である。キノンジアジド化合物としては、フェノール性化合物又はアルコール性化合物(以下「母核」ともいう)と、オルソナフトキノンジアジド化合物との縮合物が挙げられる。これらのうち、使用するキノンジアジド化合物は、母核としてのフェノール性水酸基を有する化合物と、オルソナフトキノンジアジド化合物との縮合物(以下「縮合物[B]」ともいう)が好ましい。
【0038】
上記母核としては、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン、置換フェノール、その他の母核を挙げることができる。これらの具体例としては、トリヒドロキシベンゾフェノンとして、例えば2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン等を;テトラヒドロキシベンゾフェノンとして、例えば2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,3’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’-テトラヒドロキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシ-3’-メトキシベンゾフェノン等を;ペンタヒドロキシベンゾフェノンとして、例えば2,3,4,2’,6’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン等を;ヘキサヒドロキシベンゾフェノンとして、例えば2,4,6,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、3,4,5,3’,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等を;(ポリヒドロキシフェニル)アルカンとして、例えばビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(p-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン、1-フェニル-1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)プロパン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、4,4’-〔1-〔4-〔1-〔4-ヒドロキシフェニル〕-1-メチルエチル〕フェニル〕エチリデン〕ビスフェノール、ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-ヒドロキシフェニルメタン、3,3,3’,3’-テトラメチル-1,1’-スピロビインデン-5,6,7,5’,6’,7’-ヘキサノール、2,2,4-トリメチル-7,2’,4’-トリヒドロキシフラバン、2-メチル-4-(4-ヒドロキシフェニル)-7,2’,4’-トリヒドロキシフラバン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、下記式(d-1)~(d-6)、(d-13)~(d-21)のそれぞれで表される化合物等を;置換フェノールとして、3-メチルフェノール、4-メチルフェノール、4-(1-メチルエテニル)フェノール、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等を;その他の母核として、例えば2-メチル-2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)-7-ヒドロキシクロマン、2-[ビス{(5-イソプロピル-4-ヒドロキシ-2-メチル)フェニル}メチル]、下記式(d-32)~(d-35)のそれぞれで表される化合物等を、それぞれ挙げることができる。
【0039】
母核としては、下記式(d-1)~式(d-35)のそれぞれで表される化合物を好ましく使用できる。これらの中でも特に、下記式(d-1)~式(d-20)のそれぞれで表される化合物が好ましい。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0040】
オルソナフトキノンジアジド化合物としては、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドが好ましく、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドがより好ましい。具体的には、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸クロリド、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド等が挙げられる。これらのうち、1,2-ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリドを好ましく使用できる。
【0041】
上記縮合物を得るための縮合反応において、母核とオルソナフトキノンジアジド化合物との割合は、オルソナフトキノンジアジド化合物の使用量を、母核中のOH基の数に対して30~85モル%に相当する量とすることが好ましく、50~70モル%に相当する量とすることがより好ましい。上記縮合反応は、公知の方法に従って行うことができる。
【0042】
感放射線性組成物における感光剤の含有割合は、重合体成分100質量部に対して、2質量部以上とすることが好ましく、5質量部以上とすることがより好ましく、10質量部以上とすることがさらに好ましい。また、感光剤の含有割合は、重合体成分100質量部に対して、100質量部以下とすることが好ましく、60質量部以下とすることがより好ましく、40質量部以下とすることがさらに好ましい。感光剤の含有割合を2質量部以上とすると、放射線の照射によって酸が十分に生成し、アルカリ溶液に対する、放射線の照射部分と未照射部分との溶解度の差を十分に大きくできる。これにより、良好なパターニングを行うことができる。また、重合体成分との反応に関与する酸の量を多くでき、耐熱性及び耐薬品性を十分に確保できる。一方、感光剤の含有割合を100質量部以下とすると、未反応の感光剤を十分に少なくでき、感光剤の残存による現像性の低下を抑制できる点で好適である。
【0043】
<(C)特定官能基を有する化合物>
本開示の感放射線性組成物は、特定官能基を有する化合物として、アミン系化合物、イミダゾール系化合物及びイソシアネート系化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(以下「化合物[C]」ともいう)を含有する。化合物[C]を含むことにより、得られる硬化膜の耐薬品性の改善効果をより高くできる点で好ましい。
【0044】
アミン系化合物としては、アミノ基(1級アミノ基、2級アミノ基及び3級アミノ基を含む)を有するシランカップリング剤を好ましく使用できる。感放射線性組成物がアミノ基含有シランカップリング剤を含むことにより、感放射線性組成物を用いて基板上にパターン膜を形成した場合に、膜の耐薬品性の改善効果が得られることに加え、密着助剤として機能し、現像後の膜剥がれを抑制できる点で好ましい。シランカップリング剤は、基「-Si(OR31)a(R32)3-a」(ただし、R31及びR32は、それぞれ独立して1価の炭化水素基である。aは1~3の整数である。)を有する化合物であることが好ましい。ここで、R31及びR32は、炭素数1~10のアルキル基又はフェニル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。aは、耐薬品性及び膜剥がれ抑制の改善効果を高くできる点において、2又は3が好ましい。
【0045】
イミダゾール系化合物としては、エポキシ基の硬化触媒として用いられる化合物を好ましく使用できる。こうした硬化触媒を感放射線性組成物に含有させることにより、得られる硬化膜の耐薬品性を優れたものとすることができる点で好ましい。
【0046】
イソシアネート系化合物としては、密着助剤として又はエポキシ基の硬化触媒として用いられる化合物を好ましく使用でき、シランカップリング剤を特に好ましく使用できる。このようなイソシアネート系化合物を感放射線性組成物に含有させることにより、パターン膜の膜剥がれの抑制効果及び耐薬品性をより向上させることができる点で好ましい。
【0047】
化合物[C]の具体例としては、アミン系化合物として、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-メチル-3-(トリメトキシシリル)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等を;
イミダゾール系化合物として、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、エポキシ・イミダゾールアダクト型硬化剤等を;
イソシアネート系化合物として、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネート、トルエンジイソシアネート系ポリイソシアネート等を、それぞれ挙げることができる。
【0048】
本開示の感放射線性組成物に化合物[C]を含有させる場合、その含有割合は、得られたパターン膜の膜剥がれの抑制効果や耐薬品性の改善効果を向上させる観点から、重合体成分100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.05質量部以上がより好ましく、0.1質量部以上がさらに好ましい。また、化合物[C]の含有割合は、重合体成分100質量部に対して、10質量部以下が好ましく、7質量部以下がより好ましい。
【0049】
<(D)フェノール性水酸基含有化合物>
本開示の感放射線性組成物は、フェノール性水酸基を有する化合物[D]をさらに含有していてもよい。化合物[D]を含むことにより、感放射線性組成物の放射線感度を向上させることができる点で好ましい。化合物[D]は、ベンゼン環を1分子内に2~5個有する化合物が好ましく、フェノール性水酸基を2~6個有する化合物が好ましい。化合物[D]の分子量は、好ましくは1000以下であり、より好ましくは700以下であり、さらに好ましくは550以下である。また、化合物[D]の分子量は、好ましくは200以上である。
【0050】
化合物[D]としては、感光剤の母核として用いられる化合物を使用することが好ましい。具体的には、下記式(2)で表される化合物、下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物、下記式(5)で表される化合物、下記式(6)で表される化合物、及び上記式(d-31)~式(d-35)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
【化6】
(式(2)中、R
4は水素原子又はメチル基であり、R
5~R
7は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基である。a1、a3及びa5は、それぞれ独立して0~2の整数であり、a2、a4及びa6は、それぞれ独立して1~3の整数である。a7は0又は1である。)
【化7】
(式(3)中、R
8~R
10は、それぞれ独立してフッ素原子、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基である。R
11及びR
12は、それぞれ独立してメチレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基又はペルフルオロプロパン-2,2-ジイル基である。b1、b3、b5及びb6は、それぞれ独立して0~2の整数であり、b2及びb4は、それぞれ独立して0~3の整数である。ただし、b2+b4+b6≧2を満たす。b7は0~3の整数である。)
【化8】
(式(4)中、R
13及びR
14は、それぞれ独立して水素原子又はメチル基であり、R
15~R
19は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基である。c1、c3、c5、c7及びc9は、それぞれ独立して0~2の整数であり、c2、c4、c6及びc8は、それぞれ独立して1~3の整数であり、c10は1又は2である。)
【化9】
(式(5)中、R
20及びR
21は、それぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基又はアルコキシ基であり、X
2は、カルボニル基、-CH(COCH
3)-又は-CH=CH-CO-CH
2-CO-CH=CH-である。d1及びd3は、それぞれ独立して0~2の整数であり、d2及びd4は、それぞれ独立して1~3の整数である。)
【化10】
(式(6)中、R
22は炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基又はメチルビニル基である。e1は0~2の整数である。)
【0051】
化合物[D]としては、これらの中でも、感光剤の説明で例示した上記式(d-1)~式(d-35)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を好ましく使用することができる。なお、上記式(d-1)~式(d-8)のそれぞれで表される化合物が上記式(2)で表される化合物に該当し、上記式(d-9)~式(d-19)のそれぞれで表される化合物が上記式(3)で表される化合物に該当し、上記式(d-20)で表される化合物が上記式(4)で表される化合物に該当し、上記式(d-21)~式(d-26)のそれぞれで表される化合物が上記式(5)で表される化合物に該当し、上記式(d-27)~式(d-30)のそれぞれで表される化合物が上記式(6)で表される化合物に該当する。
【0052】
化合物[D]としては、放射線感度の改善効果がより高い点で、これらのうち、上記式(2)で表される化合物及び上記式(3)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、上記式(2)で表される化合物がより好ましい。
【0053】
化合物[D]を含有させる場合、その含有割合は、現像後の残渣の抑制及び露光部と非露光部とのコントラスト向上の効果を十分に得る観点から、重合体成分100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、化合物[D]の含有割合は、重合体成分100質量部に対して、35質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がさらに好ましい。
【0054】
感光剤に対する化合物[D]の含有割合は、感光剤と化合物[D]との総量に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、化合物[D]の含有割合は、感光剤と化合物[D]との総量に対して、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。化合物[D]の含有割合を上記範囲とすることにより、放射線感度がより高い感放射線性組成物を得ることができる。
【0055】
また、感光剤として縮合物[B]を用いる場合、化合物[D]の含有割合は、化合物[D]と縮合物[B]との総量に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、化合物[D]の含有割合は、化合物[D]と縮合物[B]との総量に対して、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、45質量%以下がさらに好ましい。化合物[D]の含有割合を上記範囲とすることにより、感放射線性組成物の放射線感度を高くできる点で好ましい。
【0056】
<(E)溶剤>
本開示の感放射線性組成物は、重合体成分、感光剤、化合物[C]及び必要に応じて配合されるその他の成分が、溶剤に溶解又は分散された液状の組成物である。使用する溶剤は、感放射線性組成物に配合される各成分を溶解し、かつ各成分と反応しない有機溶媒が好ましい。
【0057】
・高dH溶媒
本開示の感放射線性組成物は、溶剤として、ハンセン溶解度パラメータ(HSP値)の水素結合項dHが10.0以上である溶媒(以下「高dH溶媒」ともいう)を含む。ここで、HSP値とは、ヒルデブラントの溶解度パラメータ(SP値)を分散力項dD、極性項dP及び水素結合項dHの3成分に分割して物性の極性を考慮した指標であり、「SP2=dD2+dP2+dH2」の関係がある。本明細書においてHSP値は、計算ソフトHSPiPver.5を用いて算出された値である。
【0058】
高dH溶媒において、HSP値の水素結合項dHは、得られる膜の耐薬品性及び現像密着性を良好に維持したまま、感放射線性組成物の保存安定性及び放射線感度を高くできる点で、10.5以上であることが好ましく、11.0以上であることがより好ましく、11.5以上であることがさらに好ましく、12.0以上であることが特に好ましい。また、高dH溶媒におけるHSP値の水素結合項dHは、30.0以下であることが好ましく、25.0以下であることがより好ましく、20.0以下であることがさらに好ましい。高dH溶媒は、エーテル類、アルコール類及びエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0059】
高dH溶媒としては、1気圧での沸点が200℃以下である溶媒を好ましく用いることができる。高dH溶媒として沸点が比較的低い溶媒を用いることにより、感放射線性組成物の保存安定性の改善効果及び放射線感度をより高くできる点で好ましい。高dH溶媒の沸点は、より好ましくは180℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。
これらの中でも特に、高dH溶媒は、水素結合項dHが10.0以上20.0以下であって、かつ1気圧での沸点が180℃以下である溶媒が好ましく、水素結合項dHが10.0以上20.0以下であって、かつ1気圧での沸点が160℃以下である溶媒がより好ましく、水素結合項dHが10.0以上18.0以下であって、かつ1気圧での沸点が160℃以下である溶媒がさらに好ましい。
【0060】
高dH溶媒は、HSP値の水素結合項dHが10.0以上であればよく、その種類は特に限定されない。高dH溶媒は、中でも、エーテル類、アルコール類及びエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル(dH=15.8)、エチレングリコールモノエチルエーテル(dH=13.9)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(dH=11.5)、エチレングリコールモノブチルエーテル(dH=12.3)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(dH=12.5)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(dH=11.3)、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル(dH=10.2)、ヘキシレングリコール(dH=14.8)、乳酸メチル(dH=14.6)、乳酸エチル(dH=13.1)、乳酸プロピル(dH=11.7)、乳酸ブチル(dH=11.6)、ブタノール(dH=14.8)、3-メトキシ-1-ブタノール(dH=11.7)、2-メチルブタノール(dH=11.4)、3-メチルブタノール(dH=11.4)、2-エチルブタノール(dH=10.6)、イソブチルアルコール(dH=12.5)、ペンタノール(dH=13.6)、2-メチルペンタノール(dH=10.6)、シクロヘキサノール(dH=11.5)、ダイアセトンアルコール(dH=10.4)、ベンジルアルコール(dH=12.5)及びフルフリルアルコール(dH=14.5)よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、これらのうち1気圧での沸点が200℃以下である溶媒がより好ましい。
【0061】
・その他の溶媒
溶剤成分としては、高dH溶媒のみを用いてもよいが、高dH溶媒とは異なる溶媒(以下「その他の溶媒」ともいう)を併用してもよい。その他の溶媒としては、アルコール類、エステル類、エーテル類、アミド類、ケトン類、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0062】
その他の溶媒の具体例としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ-ブチロラクトン、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;ジメチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらのうち、その他の溶媒は、エーテル類及びエステル類よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0063】
本開示の感放射線性組成物の溶剤成分は、沸点が160℃以下である低沸点溶媒を、溶剤成分(高dH溶媒及びその他の溶媒)の全量に対して、50質量%よりも多く含むことが好ましい。溶剤成分における低沸点溶媒の含有量が上記範囲であると、コーティング後の減圧乾燥工程を短縮でき、さらにプレベーク時の基板支持ピンによるムラを抑制できる点で好適である。こうした観点から、上記低沸点溶媒の含有割合は、溶剤成分の全量に対して、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、よりさらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。
【0064】
溶剤成分における高dH溶媒の含有割合は、溶剤成分の全量に対して20質量%以上が好ましい。高dH溶媒の含有割合が20質量%未満であると、感放射線性組成物の保存安定性の改善効果を十分に得ることができない。保存安定性を十分に高くする観点から、高dH溶媒の含有割合は、溶剤成分の全量に対して、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、高dH溶媒の含有割合は、その他の溶媒により重合体成分の溶解性を改善する観点から、溶剤成分の全量に対して、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。
【0065】
ここで、重合体が有するエポキシ基の硬化反応を利用して硬化膜を得る感放射線性組成物では、当該組成物の保管中に硬化反応が進行しないようにする、すなわち保存安定性を確保することが必要である。特に、オキシラニル基とカルボキシ基との反応を利用して硬化反応を行う場合、オキシラニル基とカルボキシル基との反応性が高いことに起因して保存安定性の低下を抑制する必要性が高い。
【0066】
また、本発明者らが検討したところ、エポキシ基とカルボキシ基との反応を利用して硬化反応を行う系に、アミノ基、イミダゾール基及びイソシアネート基のうち少なくともいずれかを有する添加剤(化合物[C])を配合した場合、窒素含有基の触媒作用により分子内架橋が進み、感放射線性組成物の保存安定性が低下しやすいことが分かった。この点、溶剤成分として高dH溶媒を所定量以上含有する本開示の感放射線性組成物によれば、化合物[C]の配合による効果を得ながら、保管中におけるエポキシ基とカルボキシ基との硬化反応を抑制でき、優れた保存安定性を示す組成物を得ることができる。
【0067】
<その他の成分>
本開示の感放射線性組成物は、上述した各成分に加えてさらに、これら以外の成分(以下「その他の成分」ともいう)を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、多官能重合性化合物(多官能(メタ)アクリレート等)、化合物[C]以外の密着助剤(カルボキシ基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、エポキシ基等を有する官能性シランカップリング剤)、界面活性剤(フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等)、重合禁止剤、酸化防止剤、連鎖移動剤等が挙げられる。これらの成分の配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で各成分に応じて適宜選択される。
【0068】
本開示の感放射線性組成物において、その固形分濃度(感放射線性組成物中の溶剤成分以外の成分の合計質量が、感放射線性組成物の全質量に対して占める割合)は、粘性や揮発性等を考慮して適宜に選択されるが、好ましくは5~60質量%の範囲である。固形分濃度が5質量%以上であると、感放射線性組成物を基板上に塗布した際に塗膜の膜厚を十分に確保できる。また、固形分濃度が60質量%以下であると、塗膜の膜厚が過大となりすぎず、さらに感放射線性組成物の粘性を適度に高くでき、良好な塗布性を確保できる。感放射線性組成物における固形分濃度は、より好ましくは10~55質量%であり、さらに好ましくは15~50質量%である。
【0069】
<硬化膜及びその製造方法>
本開示の硬化膜は、上記のように調製された感放射線性組成物により形成される。上記感放射線性組成物は、放射線感度が高く、かつ保存安定性に優れている。また、当該感放射線性組成物を用いることにより、基板に対して高い密着性(現像密着性)を示し、かつ耐薬品性に優れたパターン膜を形成することができる。したがって、上記感放射線性組成物は、例えば、層間絶縁膜、平坦化膜、スペーサー、保護膜、カラーフィルタ用着色パターン膜、隔壁、バンク等の形成材料として好ましく用いることができる。
【0070】
硬化膜の製造に際し、上記の感放射線性組成物を用いることにより、感光剤の種類に応じてポジ型又はネガ型の硬化膜を形成することができる。硬化膜は、上記感放射線性組成物を用いて、例えば以下の工程1~工程4を含む方法により製造することができる。
(工程1)感放射線性組成物を塗布する工程。
(工程2)形成された塗膜の少なくとも一部を露光する工程。
(工程3)塗膜を現像する工程。
(工程4)現像された塗膜を加熱する工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0071】
[工程1:塗布工程]
本工程では、膜を形成する面(以下「被成膜面」ともいう)に上記感放射線性組成物を塗布し、好ましくは加熱処理(プレベーク)を行うことにより溶媒を除去して被成膜面上に塗膜を形成する。被成膜面の材質は特に限定されない。例えば、層間絶縁膜を形成する場合、TFT等のスイッチング素子が設けられた基板上に上記感放射線性組成物を塗布し、塗膜を形成する。基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、樹脂基板が用いられる。塗膜を形成する基板の表面には、用途に応じた金属薄膜が形成されていてもよく、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理等の各種表面処理が施されていてもよい。
【0072】
感放射線性組成物の塗布方法としては、例えば、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等が挙げられる。これらの中でも、スピンコート法、スリットダイ塗布法又はバー塗布法により行うことが好ましい。プレベーク条件としては、感放射線性組成物における各成分の種類及び含有割合等によっても異なるが、例えば60~130℃で0.5~10分である。形成される塗膜の膜厚(すなわち、プレベーク後の膜厚)は、0.1~12μmが好ましい。
【0073】
被成膜面に塗布した感放射線組成物に対しては、プレベークを行う前に減圧乾燥(VCD)を行ってもよい(減圧乾燥工程)。プレベーク前にVCDを行うことにより、乾燥時間の短縮化を図ることができる点で好ましい。減圧乾燥の条件は適宜設定されるが、通常、室温(20℃)~110℃の温度で、大気圧(約101kPa)から20~100Paまで急激に減圧する方法が用いられる。減圧乾燥条件は、好ましくは、室温~100℃の温度で0.5~15分間である。
【0074】
[工程2:露光工程]
本工程では、上記工程1で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、塗膜に対し、所定のパターンを有するマスクを介して放射線を照射することにより、パターンを有する硬化膜を形成することができる。放射線としては、例えば、紫外線、遠紫外線、可視光線、X線、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらの中でも紫外線が好ましく、例えばg線(波長436nm)、i線(波長365nm)が挙げられる。放射線の露光量としては、0.1~20,000J/m2が好ましい。
【0075】
[工程3:現像工程]
本工程では、上記工程2で放射線を照射した塗膜を現像する。具体的には、ポジ型の感放射線性組成物を用いた場合には、工程2で放射線が照射された塗膜に対し、現像液により現像を行って放射線の照射部分を除去するポジ型現像を行う。一方、ネガ型の感放射線性組成物を用いた場合には、工程2で放射線が照射された塗膜に対し、現像液により現像を行って放射線の非照射部分を除去するネガ型現像を行う。
【0076】
現像液としては、例えば、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液が挙げられる。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、特開2016-145913号公報の段落[0127]に例示されたアルカリが挙げられる。アルカリ水溶液におけるアルカリ濃度としては、適度な現像性を得る観点から、0.1~5質量%が好ましい。現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法が挙げられる。現像時間は、組成物の組成によっても異なるが、例えば30~120秒である。なお、現像工程の後、パターニングされた塗膜に対して流水洗浄によるリンス処理を行うことが好ましい。
【0077】
[工程4:加熱工程]
本工程では、上記工程3で現像された塗膜を加熱する処理(ポストベーク)を行う。ポストベークは、例えばオーブンやホットプレート等の加熱装置を用いて行うことができる。ポストベーク条件について、加熱温度は、例えば120~250℃である。加熱時間は、例えばホットプレート上で加熱処理を行う場合には5~40分、オーブン中で加熱処理を行う場合には10~80分である。以上のようにして、目的とするパターンを有する硬化膜を基板上に形成することができる。硬化膜が有するパターンの形状は特に限定されず、例えば、ライン・アンド・スペースパターン、ドットパターン、ホールパターン、格子パターンが挙げられる。
【0078】
<半導体素子>
本開示の半導体素子は、上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜を備える。当該硬化膜は、好ましくは、半導体素子中の配線間を絶縁する層間絶縁膜である。本開示の半導体素子は、公知の方法を用いて製造することができる。
【0079】
<表示素子>
本開示の表示素子は、上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜を備える。当該表示素子は、本開示の半導体素子を備えることにより、上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜を備えるものであってもよい。また、本開示の表示素子は、上記感放射線性組成物を用いて形成された硬化膜として、TFT基板上に形成される平坦化膜を備えていてもよい。表示素子としては、例えば、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子が挙げられる。
【実施例】
【0080】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。本実施例において、重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は以下の方法により測定した。
【0081】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
重合体のMw及びMnは、下記方法により測定した。
・測定方法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
・装置:昭和電工社のGPC-101
・GPCカラム:島津ジーエルシー社のGPC-KF-801、GPC-KF-802、GPC-KF-803及びGPC-KF-804を結合
・移動相:テトラヒドロフラン
・カラム温度:40℃
・流速:1.0mL/分
・試料濃度:1.0質量%
・試料注入量:100μL
・検出器:示差屈折計
・標準物質:単分散ポリスチレン
【0082】
[単量体]
重合体の合成で用いた単量体は以下のとおりである。
《エポキシ基を有する単量体》
M-1:3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
M-2:3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート
M-3:グリシジルメタクリレート
M-4:(3-エチルオキセタン-3-イル)メチルメタクリレート
《酸基を有する単量体》
M-5:メタクリル酸
M-6:p-イソプロペニルフェノール
M-7:ヒドロキシフェニルメタクリレート
《その他の単量体》
M-8:スチレン
M-9:トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート
M-10:N-シクロヘキシルマレイミド
M-11:N-フェニルマレイミド
M-12:テトラヒドロフルフリルアクリレート
M-13:メチルメタクリレート
M-14:シクロヘキシルアクリレート
【0083】
<重合体の合成>
[合成例1]重合体(A-1)の合成
冷却管及び撹拌機を備えたフラスコに、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)12部及び3-メトキシプロピオン酸メチル200部を仕込んだ。引き続き、スチレン50部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート35部及びメタクリル酸15部を仕込み、窒素置換した。フラスコ内の溶液を緩やかに攪拌しつつ、溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持することにより、重合体(A-1)を含有する重合体溶液を得た。この重合体溶液の固形分濃度は34.0質量%であり、重合体(A-1)のMwは8,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。
【0084】
[合成例2~24]重合体(A-2)~(A-24)の合成
表1及び表2に示す種類及び配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は合成例1と同様の手法にて、表に示す固形分濃度、分子量及び分子量分布を有する重合体(A-2)~(A-24)を含む重合体溶液を得た。
【0085】
【0086】
【0087】
<感放射線性樹脂組成物の調製(1)>
上記で合成した重合体を用いて感放射線性樹脂組成物を調製した。感放射線性樹脂組成物の調製に用いた重合体、感光剤、化合物[C]及び溶剤を以下に示す。
《重合体》
A-1~A-24:合成例1~24で合成した重合体(A-1)~(A-24)
《感光剤》
B-1:4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-2:4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(1.0モル)との縮合物
B-3:1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(2.0モル)との縮合物
B-4:1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン(1.0モル)と1,2-ナフトキノンジアジド-5-スルホン酸クロリド(1.0モル)との縮合物
《化合物[C]》
C-1:2-フェニル-4-メチルイミダゾール
C-2:1-ベンジル-2-メチルイミダゾール
C-3:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
C-4:3-アミノプロピルトリエトキシシラン
C-5:3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
《溶剤》
E-1:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM、沸点:176℃、dH=6.1)
E-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146℃、dH=6.6)
E-3:3-メトキシプロピオン酸メチル(MMP、沸点:142℃、dH=7.4)
E-4:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME、沸点:121℃、dH=12.5)
E-5:乳酸エチル(沸点:155℃、dH=13.1)
E-6:乳酸メチル(沸点:145℃、dH=14.6)
E-7:プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点:133℃、dH=11.3)
E-8:ベンジルアルコール(沸点:205℃、dH=12.5)
なお、各溶媒につき、ハンセン溶解度パラメータの水素結合項dHは、計算ソフトHSPiP ver.5を用いて算出された値である。
【0088】
[実施例1]
重合体(A-1)を含有する重合体溶液に、重合体(A-1)100部(固形分)に相当する量に対して、感光剤(B-1)15部及び化合物(C-1)0.1部を混合し、最終的な固形分濃度が20質量%、溶剤組成がジエチレングリコールエチルメチルエーテル(EDM):3-メトキシプロピオン酸メチル(MMP):プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)=15:65:20(質量比)になるように各溶剤を添加した。次いで、孔径0.2μmのメンブランフィルタで濾過して、組成物(S-1)を調製した。
【0089】
[実施例2~37、比較例1~4]
表3、表4及び表5に示す種類及び配合量(質量部)の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様の手法にて、実施例2~37、比較例1~4の感放射線性樹脂組成物を調製した。なお、表中、樹脂、感光剤及び化合物[C]の数値は、樹脂100質量部に対する各成分の配合割合(質量部)を表す。溶剤の数値は、感放射線性樹脂組成物中の溶剤成分100質量部に対する各溶剤の配合割合(質量部)を表す。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
<評価(1)>
実施例1~37及び比較例1~4の感放射線性樹脂組成物(組成物(S-1)~(S-37)、(CS-1)~(CS-4))を用いて硬化膜を形成し、以下に説明する手法により下記項目を評価した。評価結果を表3~表5に示す。
【0094】
[耐薬品性]
硬化膜を剥離液に浸漬したときの硬化膜の膨潤しにくさにより硬化膜の耐薬品性を評価した。まず、スピンナーを用いて感放射線性樹脂組成物をシリコン基板上に塗布した後、減圧乾燥装置で50Paまで減圧し、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークした。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行って、平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。続いて、露光機(キヤノン社の「PLA-501F」:超高圧水銀ランプを使用)を用いて、3000J/m2の光を基板全面に照射した後、230℃に加温したオーブンを用いて30分間焼成し、硬化膜を形成した。この硬化膜を、40℃に加温したN-メチルピロリドン溶剤中に6分間浸漬させ、下記数式(X)により浸漬前後の膜厚変化率(%)を求め、耐薬品性の指標とした。
膜厚変化率=〔(浸漬後膜厚-浸漬前膜厚)/浸漬前膜厚〕×100 …(X)
膜厚変化率が5%未満である場合を「A」、5%以上10%未満である場合を「B」、10%以上である場合を「C」と判定した。膜厚は、光干渉式膜厚測定装置(ラムダエース VM-1010)を用いて25℃で測定した。膜厚変化率が低いほど耐薬品性が良好であると評価できる。
【0095】
[現像密着性]
スピンナーを用い、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を実施していないシリコン基板上に感放射線性樹脂組成物を塗布した後、減圧乾燥装置で50Paまで減圧した。次いで、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークして、平均膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、幅1~50μmのライン・アンド・スペースパターンを有するパターンマスクを介して、水銀ランプによって365nmにおける露光量が2000J/m2の紫外線を照射した。次いで、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38質量%水溶液よりなる現像液を用い、25℃で60秒現像処理を行った後、超純水で1分間流水洗浄を行った。このとき、基板上から剥がれずに残っているライン・アンド・スペースパターンの最少幅を測定した。最小幅の測定値が10μm以下の場合を「A」、10μmより大きく50μm以下の場合を「B」、50μmより大きい場合又は解像できずに評価に至らなかった場合を「C」と判定した。最小幅が小さいほど現像密着性が良好であると評価できる。
【0096】
[保存安定性]
調製直後の感放射線性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成し、下記の方法Aにより放射線感度を測定した。これとは別に、調製直後の感放射線性樹脂組成物を、遮光された密閉性の容器に封入し、25℃で7日間保管した。7日間経過後に容器を開封し、容器内の感放射線性樹脂組成物を用いた以外は保管前と同様にして放射線感度を測定した。また、7日間の保管前後の放射線感度から、下記数式(Y)により保管前後における放射線感度(最小露光量)の増加率(感度増加率)を計算した。
感度増加率=〔(保管後感度-保管前感度)/保管前感度〕×100 …(Y)
感度増加率の計算値が10%未満の場合を「A」、10%以上30%未満の場合を「B」、30%以上の場合又は解像できずに評価に至らなかった場合を「C」と判定した。感度増加率が低いほど保存安定性が良好であると評価できる。
(方法A.放射線感度の測定)
シリコン基板上に、スピンナーを用いてヘキサメチルジシラザン(HMDS)を塗布し、60℃にて1分間加熱した(HMDS処理)。HMDS処理後のシリコン基板上に、スピンナーを用いて感放射線性樹脂組成物を塗布し、減圧乾燥装置で50Paまで減圧した。次いで、90℃にて2分間ホットプレート上でプレベークすることによって膜厚3.0μmの塗膜を形成した。この塗膜に、露光機(キヤノン社の「PLA-501F」:超高圧水銀ランプを使用)を用い、幅10μmのライン・アンド・スペースのパターンを有するマスクを介して、露光量を変化させて塗膜の露光を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃において液盛り法で現像した。現像時間は60秒間とした。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、その後乾燥することにより、HMDS処理後のシリコン基板上にパターンを形成した。このとき、10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定し、この測定値を放射線感度とした。
【0097】
表3~表5に示されるように、実施例1~37の感放射線性樹脂組成物は、比較例1~4に比べて、耐薬品性、現像密着性及び保存安定性のバランスが取れていた。特に、実施例1~3、5~36の感放射線性樹脂組成物は、保存安定性の評価が「A」であり、比較例1~4と比べて保存安定性に優れていた。実施例4は、化合物[C]の配合量を実施例3の10倍量とし、この場合、保存安定性の評価は「B」であったが、高dH溶媒の配合量を増量することにより保存安定性が向上した(実施例5)。
【0098】
<感放射線性樹脂組成物の調製(2)>
化合物[D]をさらに配合したこと以外は実施例1と同様の手法にて、実施例38、39の感放射線性樹脂組成物を調製した。感放射線性樹脂組成物の調製に用いた化合物[D]を以下に示す。感光剤及び溶剤の略称については上記の調製(1)と同じである。なお、実施例38、39につき、化合物[D]の含有割合は、感光剤と化合物[D]との合計量に対して40質量%とした。
《化合物[D]》
D-1:4,4’-[1-[4-[1-[4-ヒドロキシフェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(上記式(d-1)で表される化合物)
D-2:1,1,1-トリ(p-ヒドロキシフェニル)エタン(上記式(d-8)で表される化合物)
【0099】
<評価(2)>
実施例1、38及び39の感放射線性樹脂組成物(組成物(S-1)、(S-38)及び(S-39))を用いて硬化膜を形成し、上記「評価(1)」と同様の手法により「耐薬品性」、「現像密着性」及び「保存安定性」を評価した。また、組成物(S-1)、(S-38)及び(S-39)の放射線感度についても評価を行った。放射線感度の評価は、上記「方法A.放射線感度の測定」の手法に従い、10μmのライン・アンド・スペースパターンを形成可能な最小露光量を測定し、その測定値が2000J/m2未満の場合に「A」、2000J/m2以上3000J/m2未満の場合に「B」、3000J/m2以上の場合に「C」と判定した。評価結果を表6に示す。
【0100】
【0101】
表6に示されるように、化合物[D]を配合した実施例38、39の感放射線性樹脂組成物は、化合物[D]を含まない実施例1と比較して、耐薬品性、現像安定性及び保存安定性を損なわずに放射線感度が向上したことが分かった。