(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】電力計測システム、充電システム、電力計測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240628BHJP
B60L 53/00 20190101ALI20240628BHJP
G01R 21/00 20060101ALI20240628BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 B
B60L53/00
G01R21/00 P
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2019019391
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-10-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠斗
(72)【発明者】
【氏名】田中 修平
(72)【発明者】
【氏名】松平 将雄
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】寺谷 大亮
【審判官】馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-39832(JP,A)
【文献】特開2014-99950(JP,A)
【文献】特開2013-110919(JP,A)
【文献】特開2015-91001(JP,A)
【文献】PHV・EV充電用コンセント取付,日本,株式会社沼尻電機,2013年12月06日,https://web.archive.org/web/20131206083706/https://www.numaden.co.jp/phv/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L15/00-58/40
G01R11/00-11/66
G01R21/00-22/10
G01R35/00-35/06
H02J 7/00- 7/12
H02J13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の動力源として用いられる蓄電池の充電を制御する充電設備にて消費される電力を計測する電力計測システムであって、
分電盤と前記充電設備とを電気的に接続する電路上に設けられ、前記充電設備へ供給される電力又は電流を計測する計測装置と、
前記電路に挿入される開閉器と、
前記計測装置との間で通信可能な通信部と、
前記通信部に電気的に接続された制御部と、を備え、
前記計測装置は、前記電路の電流を検知するセンサと、前記センサの出力信号の信号処理を行い、前記通信部と通信を行い、計測結果を前記通信部へ送信する計測ユニットと、を有し、
前記通信部は、前記計測結果を前記計測装置から受信し、
前記制御部は、前記通信部が受信した前記計測結果に基づいて、前記充電設備にて消費される電力の計測を行い、
前記開閉器、前記センサ、及び前記計測ユニットを収容するボックスを更に備え、
前記ボックスは、前記電路上に設けられ、
前記電路は、前記開閉器と前記分電盤との間の第1電路と、前記開閉器と前記充電設備との間の第2電路とを含み、
前記第1電路は前記第2電路よりも短い、
電力計測システム。
【請求項2】
前記通信部及び前記制御部は、前記分電盤に内蔵されている、
請求項1に記載の電力計測システム。
【請求項3】
前記通信部及び前記制御部は、前記分電盤の外部に配置されている、
請求項1に記載の電力計測システム。
【請求項4】
前記充電設備は、前記分電盤を介して電源に接続されており、
前記計測装置は、前記分電盤から前記充電設備への電力供給路としての前記電路上に設けられている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項5】
前記分電盤は、主幹ブレーカと、前記主幹ブレーカの二次側に電気的に接続される複数の分岐ブレーカと、前記複数の分岐ブレーカのいずれも介さず前記主幹ブレーカの二次側に接続される送り端子と、を備えており、
前記計測装置は、前記分電盤の前記送り端子と前記充電設備とを電気的に接続する前記電路上に設けられている、
請求項4に記載の電力計測システム。
【請求項6】
前記充電設備は、前記分電盤を介さずに電源に接続されており、
前記計測装置は、前記電源から前記分電盤への電力供給路から分岐された分岐路としての前記電路上に設けられている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項7】
前記分電盤は、屋外に配置される引込口配線を介して前記電源に電気的に接続されており、
前記分岐路は、前記引込口配線から分岐されている、
請求項6に記載の電力計測システム。
【請求項8】
前記計測装置は、前記開閉器に内蔵されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項9】
前記通信部は、少なくとも前記電路を通信回線として利用する電力線搬送通信により前記計測装置と通信する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項10】
前記通信部は、電波を伝送媒体として用いる無線通信により前記計測装置と通信する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の電力計測システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の電力計測システムと、
前記充電設備と、を備える、
充電システム。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の電力計測システムにて用いられる電力計測方法であって、
端末装置にて、前記分電盤と前記充電設備とを電気的に接続する前記電路上に設けられた前記計測装置と通信する通信ステップと、
前記通信ステップにて前記端末装置が前記計測装置から受信した前記計測装置の前記計測結果に基づいて、前記充電設備にて消費される電力の計測を行う計測ステップと、を有する、
電力計測方法。
【請求項13】
1以上のプロセッサに、請求項12に記載の電力計測方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電力計測システム、充電システム、電力計測方法及びプログラムに関し、より詳細には、移動体用の充電設備にて消費される電力を計測する電力計測システム、充電システム、電力計測方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、家庭用のハイブリッド自動車又は電気自動車の充電設備(充放電装置)を開示する。充電設備は、家(施設)の分電盤の遮断器に接続される。分電盤は、遮断器を介して商用周波数の電力系統に接続されている。また、一方で分電盤は、家の負荷(例えば、照明、エアコン等)に、遮断器を介して、電力を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、電気事業者の電力料金算定用の電力量計は、電力系統から分電盤に供給される電力を測定するために、電力系統と分電盤との間に設置される。特許文献1では、電力系統からの電力は、分電盤を経て、他の負荷及び充電設備に供給される。そのため、充電設備にて消費される電力は、電力系統から分電盤に供給される電力に含まれることになり、他の負荷にて消費される電力と区別することが難しい。
【0005】
本開示は、上記事由に鑑みてなされており、充電設備にて消費される電力を、他の負荷にて消費される電力と区別して計測しやすい電力計測システム、充電システム、電力計測方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電力計測システムは、充電設備にて消費される電力を計測する電力計測システムであって、計測装置と、開閉器と、通信部と、制御部と、を備える。前記充電設備は、移動体の動力源として用いられる蓄電池の充電を制御する。前記計測装置は、分電盤と前記充電設備とを電気的に接続する電路上に設けられ、前記充電設備へ供給される電力又は電流を計測する。前記開閉器は、前記電路に挿入される。前記通信部は、前記計測装置との間で通信可能である。制御部は、前記通信部に電気的に接続される。前記計測装置は、センサと、計測ユニットと、を有する。前記センサは、前記電路の電流を検知する。前記計測ユニットは、前記センサの出力信号の信号処理を行い、前記通信部と通信を行い、計測結果を前記通信部へ送信する。前記通信部は、前記計測結果を前記計測装置から受信する。前記制御部は、前記通信部が受信した前記計測結果に基づいて、前記充電設備にて消費される電力の計測を行う。前記開閉器、前記電流センサ、及び前記計測ユニットを収容するボックスを更に備える。前記ボックスは、前記電路上に設けられる。前記電路は、前記開閉器と前記分電盤との間の第1電路と、前記開閉器と前記充電設備との間の第2電路とを含む。前記第1電路は前記第2電路よりも短い。
【0007】
本開示の一態様に係る充電システムは、前記電力計測システムと、前記充電設備と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る電力計測方法は、前記電力計測システムにて用いられる方法である。前記電力計測方法は、通信ステップと、計測ステップと、を有する。前記充電設備は、移動体の動力源として用いられる蓄電池の充電を制御する。前記通信ステップは、端末装置にて、分電盤と前記充電設備とを電気的に接続する電路上に設けられた計測装置と通信するステップである。前記計測ステップは、前記通信ステップにて前記端末装置が前記計測装置から受信した前記計測装置の計測結果に基づいて、前記充電設備にて消費される電力の計測を行うステップである。
【0009】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記電力計測方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、充電設備にて消費される電力を、他の負荷にて消費される電力と区別して計測しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る充電システムの構成を示す概略図である。
【
図2】
図2は、同上の充電システムの要部のブロック図である。
【
図3】
図3は、同上の充電システムにおける端末装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、同上の充電システムの要部のブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の第2変形例に係る充電システムの構成を示す概略図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る充電システムの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る電力計測システム70は、
図1に示すように、移動体400用の充電設備10にて消費される電力を計測するシステムである。本開示でいう「充電設備」は、移動体400の動力源として用いられる蓄電池410の充電を制御する設備である。
【0013】
すなわち、移動体400は、動力源としての蓄電池410から出力される電気エネルギ(電力)を、電動機等で機械エネルギ(駆動力)に変換し、この機械エネルギを利用して移動する。この種の移動体400においては、蓄電池410に蓄積されている電気エネルギは、移動体400の移動に伴って消費するため、移動体400を継続的に使用するためには、随時、蓄電池410の充電が必要となる。
【0014】
充電設備10は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅の施設、又は、事務所、店舗若しくは介護施設等の非住宅の施設に導入され、これらの施設における移動体400の充電を制御する。本実施形態では一例として、戸建住宅である施設300に充電設備10が導入される場合について説明する。また、本実施形態では一例として、移動体400としての車両の蓄電池410の充電に、充電設備10が利用される場合について説明する。
【0015】
すなわち、本実施形態に係る充電設備10は、施設300に付設されているガレージに駐車されている移動体400の蓄電池410の充電に用いられる。移動体400は、少なくとも蓄電池410を有し、蓄電池410に蓄積された電気エネルギを用いて走行する電動車両である。本開示でいう「電動車両」は、例えば、電動機の出力によって走行する電気自動車、又はエンジンの出力と電動機の出力とを組み合わせて走行するプラグインハイブリッド車等である。また、電動車両は、シニアカー、二輪車(電動バイク)、三輪車又は電動自転車等であってもよい。
【0016】
本実施形態に係る電力計測システム70は、上述したように、移動体400の動力源として用いられる蓄電池410の充電を制御する充電設備10にて消費される電力を計測するシステムである。この電力計測システム70は、通信部71(
図2参照)と、制御部72(
図2参照)と、を備えている。通信部71は、分電盤20と充電設備10とを電気的に接続する電路L10上に設けられた計測装置80との間で通信可能である。制御部72は、通信部71に電気的に接続されている。通信部71は、計測装置80の計測結果を計測装置80から受信する。制御部72は、通信部71が受信した計測結果に基づいて、充電設備10にて消費される電力の計測を行う。
【0017】
ここにおいて、制御部72は、通信部71が受信した計測結果に基づいて、充電設備10にて消費される電力の計測を行えばよく、計測装置80の計測結果が充電設備10にて消費される「電力」を直接的に表すことは必須でない。例えば、計測装置80で電流のみを計測し、計測装置80とは別の装置(例えば、後述する端末装置24)にて計測される電圧を、計測装置80で計測される電流に制御部72にて乗じることにより、電力を算出してもよい。
【0018】
また、本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。すなわち、通信部71と計測装置80とは、互いに情報を授受することができる。
【0019】
また、本開示でいう「充電設備10にて消費される電力」は、基本的には、移動体400の蓄電池410の充電に用いられる電力であって、蓄電池410の充電電力に略等しいが、蓄電池410の充電電力と一致しなくてもよい。例えば、充電設備10自体でも電力が消費される場合には、蓄電池410の充電電力に、充電設備10自体で消費される電力を加えた電力が、「充電設備10にて消費される電力」となる。
【0020】
上述した本実施形態に係る電力計測システム70によれば、通信部71が、分電盤20と充電設備10とを電気的に接続する電路L10上に設けられた計測装置80との通信により、計測装置80の計測結果を受信する。そして、制御部72では、このように受信した計測装置80の計測結果に基づいて、充電設備10にて消費される電力の計測を行う。したがって、充電設備10にて消費される電力を、他の負荷にて消費される電力と区別して計測しやすい、という利点がある。ここで、通信部71は電路L10上に設けられた計測装置80と通信するので、制御部72から電路L10上の計測点にまで電流センサを引き回す必要がなく、構成の簡略化を図ることも可能である。
【0021】
(2)構成
以下に、本実施形態に係る電力計測システム70の構成について、
図1及び
図2を参照して、更に詳しく説明する。
【0022】
移動体400(電動車両)の蓄電池410の充電に用いられる充電設備10には、大別して、普通充電と急速充電との2種類の設備がある。本実施形態では、200V(又は100V)の単相交流の供給を受けて、蓄電池410の充電を行う普通充電用の充電設備10(
図1参照)を採用する場合を例に説明する。
【0023】
また、普通充電のモードは、充電制御方式によって、「Mode1」、「Mode2」及び「Mode3」に分類される(IEC61851-1)。「Mode1」は、制御回路を持たない充電設備10から移動体400に電力供給を行う方式である。「Mode2」は、充電ケーブルに制御回路を内蔵している方式である。「Mode3」は、充電設備10に制御回路を内蔵している方式である。本実施形態では一例として、充電設備10は、「Mode3」の方式を採用していることとする。本実施形態では、充電設備10は、比較的に高速な充電が可能な充電設備である。例えば、充電設備10は、6kWの普通充電を行う機能を有する。一例として、充電設備10の定格電圧は200V、定格電流は30Aである。
【0024】
(2.1)充電システム
まず、電力計測システム70を含む充電システム100の全体構成について説明する。電力計測システム70は、
図1に示すように、充電設備10等と共に、充電システム100を構成する。言い換えれば、本実施形態に係る充電システム100は、電力計測システム70と、充電設備10と、を備えている。充電システム100は、戸建住宅である施設300に導入される。
【0025】
本実施形態では、充電システム100は、電力計測システム70及び充電設備10に加えて、分電盤20と、電路L10と、電磁ブレーカ30と、ボックス40と、引込ボックス310と、電力量計320と、引込口配線L30と、を更に備えている。ただし、分電盤20、電路L10、電磁ブレーカ30、ボックス40、引込ボックス310、電力量計320及び引込口配線L30が、充電システム100の構成要素に含まれることは必須ではなく、充電システム100の構成要素に含まれなくてもよい。
【0026】
充電設備10は、施設300の外部に設置されている。一例として、充電設備10は、施設300の外壁に設置されている。充電設備10は、電路L10を介して、分電盤20に電気的に接続されている。特に、本実施形態では、充電設備10は、電路L10により、分電盤20の送り端子23(
図2参照)に電気的に接続されている。充電設備10は、移動体400の動力源として用いられる蓄電池410の充電を制御するように構成される。
【0027】
分電盤20は、施設300の内部に設置されている。分電盤20は、
図2に示すように、主幹ブレーカ21と、1以上(本実施形態では複数)の分岐ブレーカ22とを有している。主幹ブレーカ21は一次側及び二次側を有する。主幹ブレーカ21は、一次側が引込口配線L30を介して引込ボックス310に電気的に接続されている。複数の分岐ブレーカ22は、主幹ブレーカ21の二次側に電気的に接続されている。また、分電盤20は、複数の分岐ブレーカ22のいずれも介さず主幹ブレーカ21の二次側に接続される送り端子23を更に備える。
【0028】
電路L10は、充電設備10と分電盤20とを電気的に接続する。本実施形態では、電路L10は200V用の2線式の電線である。詳しくは後述するが、本実施形態では、電路L10上には電磁ブレーカ30が設置され、電路L10は、配線L11と、配線L12と、を含んでいる。
【0029】
電磁ブレーカ30は、電路L10に設置されている。また、電磁ブレーカ30は、施設300の内部に設置されている。特に、電磁ブレーカ30は、施設300の内部において、充電設備10よりも分電盤20の近傍に設置される。一例として、電磁ブレーカ30は、分電盤20に隣接して配置され得る。
【0030】
電磁ブレーカ30は、電磁式のブレーカである。特に、電磁ブレーカ30は、完全電磁式のブレーカである。つまり、電磁ブレーカ30は、熱動式の引き外し装置(熱動・電磁式の引き外し装置を含む)を持たないブレーカである。これにより、電磁ブレーカ30は、熱動式の引き外し装置を備えるブレーカに比べれば、熱による誤作動が起こりにくい。電磁ブレーカ30は、一例として、定格電流が40Aである。
【0031】
電磁ブレーカ30は、
図1に示すように、配線L11を介して分電盤20に電気的に接続され、配線L12を介して充電設備10に電気的に接続されており、これによって、分電盤20が充電設備10に電気的に接続される。したがって、充電設備10と分電盤20との間の電路L10は、配線L11と、配線L12とを含んでいる。配線L11は、電磁ブレーカ30と分電盤20との間の電路(第1電路)を構成し、配線L12は、電磁ブレーカ30と充電設備10との間の電路(第2電路)である。
【0032】
本実施形態では、配線L12(第2電路)は、配線L11(第1電路)よりも許容電流が小さい。一例として、配線L12の許容電流は49Aであり、配線L11の許容電流は61Aである。配線L12としては、公称断面積が5.5mm2(5.5SQ)のより線が用いられ得る。配線L11としては、公称断面積が8.0mm2(8.0SQ)のより線が用いられ得る。
【0033】
ボックス40は、電磁ブレーカ30を収容する。ボックス40は、電磁ブレーカ30を収容するボディ41と、ボディ41に開閉可能に取り付けられる扉42とを備える。ボディ41及び扉42は、電気絶縁性を有する。一例として、ボディ41及び扉42は、電気絶縁性を有する樹脂材料製である。また、ボックス40は、配線L11と電磁ブレーカ30との接続、及び、配線L12と電磁ブレーカ30との接続が可能なように、配線を通す孔及び開口を有している。
【0034】
引込ボックス310は、施設300の外部に設置されている。より詳細には、引込ボックス310は、施設300の外壁に設置されている。引込ボックス310は、電力系統との接続に使用される。ここで、電力系統は、電気事業者(電力会社)が管理する商用交流電源の電力系統である。引込ボックス310は、引込線200を介して、電力系統に電気的に接続される。一例として、引込線200は、架空引込線である。引込線200は、一端が、電力系統の低圧配電線(例えば100V又は200V用の交流配電線)に電気的に接続され、他端が施設300(の引込ボックス310)に物理的に固定される。引込ボックス310は、引込口配線L30を介して、分電盤20に電気的に接続される。
【0035】
電力量計320は、対象の電路の電力(単位時間当たりの電力量)を測定する電力量計である。ここで、電力量計320は、対象の電路の電力(例えば単位はW)を積算して計量する。電力量計320は、通信機能を有さない電力メータであってもよいし、通信機能を有するいわゆるスマートメータであってもよい。電力量計320は、施設300の外部に設置されている。より詳細には、電力量計320は、施設300の外壁に設置され、引込口配線L30上に配置されている。これによって、電力量計320は、引込口配線L30の電力(消費電力)を測定可能となっている。
【0036】
(2.2)電力計測システム
次に、本実施形態に係る電力計測システム70の構成についてより詳しく説明する。本実施形態に係る電力計測システム70は、上述した充電システム100に適用される。すなわち、電力計測システム70は、充電システム100における充電設備10にて消費される電力を計測する。
【0037】
本実施形態に係る電力計測システム70は、
図2に示すように、通信部71と、制御部72と、を備えている。また、本実施形態では、電力計測システム70は、出力部73と、計測装置80と、コントローラ90と、を更に備えている。ただし、計測装置80及びコントローラ90が、電力計測システム70の構成要素に含まれることは必須ではなく、電力計測システム70の構成要素に含まれなくてもよい。同様に、出力部73が、電力計測システム70の構成要素に含まれることは必須ではなく、電力計測システム70の構成要素に含まれなくてもよい。
【0038】
本実施形態では、通信部71、制御部72及び出力部73は、端末装置24に含まれている。言い換えれば、電力計測システム70は、端末装置24を備えており、この端末装置24が通信部71、制御部72及び出力部73の機能を有している。
【0039】
端末装置24は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、通信部71、制御部72及び出力部73等の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、端末装置24として機能させるためのプログラムである。
【0040】
通信部71は、分電盤20と充電設備10とを電気的に接続する電路L10上に設けられた計測装置80との間で通信可能である。通信部71は、少なくとも計測装置80の計測結果を計測装置80から受信する。通信部71と計測装置80との間の通信方式は、有線通信である。特に、本実施形態では、通信部71は、少なくとも電路L10を通信回線として利用する電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)により計測装置80と通信する。
【0041】
つまり、電路L10は、分電盤20から充電設備10への電力供給路として用いられる「電力線」であるので、通信部71は、電路L10を通して供給される電力に通信信号を重畳することにより、計測装置80との通信を行う。そのため、通信部71(端末装置24)は、分電盤20内にて、送り端子23に電気的に接続されている。本実施形態では、通信部71と計測装置80とは、互いに双方向に通信可能であって、通信部71から計測装置80への情報の送信、及び計測装置80から通信部71への情報の送信の両方が可能である。
【0042】
制御部72は、通信部71に電気的に接続されている。制御部72は、通信部71が受信した計測結果に基づいて、充電設備10にて消費される電力の計測を行う。本実施形態では、端末装置24が、電路L10に印加されている電圧を計測し、計測装置80は、電流のみを計測する。そのため、制御部72は、一例として、通信部71が受信した計測装置80の計測結果(電流)に、端末装置24にて計測される電圧を乗じる演算を行うことにより、電力を算出する。つまり、このようにして制御部72にて求められる電力は、充電設備10にて消費される電力に相当する。
【0043】
出力部73は、制御部72での計測結果の出力を行う。つまり、出力部73は、充電設備10にて消費される電力(電力値)を出力する。本実施形態では、出力部73は、コントローラ90と通信可能に構成されている。出力部73は、コントローラ90に対し、通信により制御部72での計測結果(消費電力)を出力(送信)する。
【0044】
出力部73とコントローラ90との間の通信方式は、例えば、電波を媒体とした無線通信である。無線通信の一例としては、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した通信方式がある。また、出力部73とコントローラ90との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。
【0045】
ところで、電力計測システム70の通信部71及び制御部72は、充電システム100における分電盤20に内蔵されている。具体的には、通信部71、制御部72及び出力部73を含む端末装置24が、分電盤20のキャビネットに収容されている。これにより、電力計測システム70のうち、少なくとも通信部71及び制御部72は、分電盤20に内蔵されることになる。
【0046】
計測装置80は、少なくとも充電システム100の電路L10上に設けられている。本実施形態では上述したように、電路L10には開閉器としての電磁ブレーカ30が挿入されている。計測装置80は、開閉器(電磁ブレーカ30)に内蔵されている。すなわち、計測装置80は、電磁ブレーカ30に内蔵されることにより、電路L10上に設けられることになる。これにより、計測装置80では、電路L10上に設定される計測点(ここでは電磁ブレーカ30)を通過する電力(又は電流)を計測可能となる。
【0047】
また、上述した充電システム100の構成によれば、充電設備10は、分電盤20を介して電源(電力系統)に接続されている。そして、計測装置80は、分電盤20から充電設備10への電力供給路としての電路L10上に設けられている。したがって、計測装置80では、電路L10を通して分電盤20から充電設備10へ供給される電力(又は電流)を計測可能となる。
【0048】
より詳細には、分電盤20は、上述したように、主幹ブレーカ21と、主幹ブレーカ21の二次側に電気的に接続される複数の分岐ブレーカ22と、複数の分岐ブレーカ22のいずれも介さず主幹ブレーカ21の二次側に接続される送り端子23と、を備えている。計測装置80は、分電盤20の送り端子23と充電設備10とを電気的に接続する電路L10上に設けられている。すなわち、
図2に示すように、分電盤20には送り端子23が設けられており、計測装置80が設けられる電路L10は、この送り端子23と充電設備10とを電気的に接続する。これにより、計測装置80では、電路L10を通して分電盤20の送り端子23から充電設備10へ供給される電力(又は電流)を計測可能となる。
【0049】
計測装置80は、電流センサ81と、計測ユニット82と、を有している。電流センサ81は、例えば、変流器(カレントトランス)からなり、電路L10を流れる電流を検知する。計測ユニット82は、電流センサ81に電気的に接続されており、電流センサ81の出力信号に対する信号処理を行う。さらに、計測ユニット82は、通信部71と通信可能に構成されている。本実施形態では、上述したように通信部71と計測装置80との間の通信方式は、少なくとも電路L10を通信回線として利用する電力線搬送通信である。そのため、計測ユニット82は、電路L10に対して電気的に接続されている。
【0050】
コントローラ90は、施設300におけるHEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御又は監視を行う。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、空調装置、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、電動カーテン、電動シャッタ又はテレビジョン受像機等を含む。HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
【0051】
コントローラ90は、分電盤20に設けられた計測システムと連携して、施設300で使用されている電力、及び施設300で発電される電力等を監視する機能を更に有している。特に、本実施形態では、施設300全体での消費(又は発電)電力だけでなく、少なくとも電力計測システム70にて計測される、充電設備10にて消費される電力についても監視可能に構成されている。
【0052】
コントローラ90は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。プロセッサは、メモリに記録されているプログラムを実行することにより、コントローラ90の機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、コンピュータシステムを、コントローラ90として機能させるためのプログラムである。
【0053】
コントローラ90は、表示部(ディスプレイ)及び操作部等のユーザインタフェースを有している。また、コントローラ90は、ネットワークを介して、施設300の外部にあるサーバ又は情報端末(スマートフォン又はタブレット端末等)等と通信可能に構成されている。
【0054】
(3)動作
以下に、本実施形態に係る電力計測システム70の動作について、
図3を参照して説明する。
図3は、電力計測システム70のうちの端末装置24の動作の一例を示すフローチャートである。
【0055】
端末装置24は、まず通信部71にて計測装置80と通信を行う(S1)。端末装置24における計測装置80との通信は、定期的、不定期、又は計測装置80からの要求に応じて行われる。端末装置24は、計測装置80の計測結果を計測装置80から受信したか否かを判断する(S2)。計測装置80の計測結果を受信していなければ(S2:No)、端末装置24は、通信部71による計測装置80との通信(S1)を繰り返し行う。
【0056】
計測装置80の計測結果を受信すると(S2:Yes)、端末装置24は、制御部72にて、充電設備10にて消費される電力を演算する(S3)。このとき、本実施形態では、制御部72は、通信部71が受信した計測装置80の計測結果(電流)に、端末装置24にて計測される電圧を乗じる演算を行うことにより、電力を算出する。このようにして、制御部72は、充電設備10にて消費される電力の計測を行う。
【0057】
消費電力(充電設備10にて消費される電力)が求まれば、端末装置24は、出力部73にて、演算結果の出力を行う(S4)。このとき、出力部73は、制御部72での演算結果である消費電力(充電設備10にて消費される電力)を、コントローラ90に送信する。これにより、コントローラ90では、電力計測システム70にて計測された電力、つまり充電設備10にて消費される電力を、例えば、表示及び/又は音声出力等の態様により、提示可能となる。また、コントローラ90は、電力計測システム70にて計測された電力を、例えば、施設300外にある情報端末等に転送し、情報端末に提示させてもよい。
【0058】
図3のフローチャートは、端末装置24の動作の一例に過ぎず、上記処理の順番は適宜変更可能であり、かつ端末装置24の実際の動作に際しては、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0059】
以上説明したように、電力計測システム70の通信部71は、充電システム100の電路L10上に設けられた計測装置80との間で通信することにより、計測装置80の計測結果を計測装置80から受信する。電力計測システム70の制御部72は、受信した計測結果に基づいて、充電設備10にて消費される電力の計測を行う。計測装置80は分電盤20から充電設備10へ供給される電力(又は電流)を計測可能であるので、計測装置80の計測結果を用いることで、電力計測システム70では、充電設備10で消費される電力の計測が可能となる。
【0060】
(4)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態1に係る電力計測システム70と同様の機能は、電力計測方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0061】
一態様に係る電力計測方法は、充電設備10にて消費される電力を計測する電力計測方法であって、通信ステップ(
図3の「S1」に相当)と、計測ステップ(
図3の「S3」に相当)と、を有する。充電設備10は、移動体400の動力源として用いられる蓄電池410の充電を制御する。通信ステップは、端末装置24にて、分電盤20と充電設備10とを電気的に接続する電路L10上に設けられた計測装置80と通信するステップである。計測ステップは、通信ステップにて端末装置24が計測装置80から受信した計測装置80の計測結果に基づいて、充電設備10にて消費される電力の計測を行うステップである。一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の電力計測方法を実行させるためのプログラムである。
【0062】
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0063】
(4.1)第1変形例
実施形態1の第1変形例に係る電力計測システム70Aは、
図4に示すように、通信部71及び制御部72が、分電盤20の外部に配置されている点で、実施形態1に係る電力計測システム70と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0064】
具体的には、通信部71、制御部72及び出力部73は、分電盤20のキャビネット外に配置されている。一例として、通信部71、制御部72及び出力部73は、コントローラ90に内蔵されている。言い換えれば、通信部71、制御部72及び出力部73は、コントローラ90の一機能として、コントローラに実装されている。これにより、電力計測システム70Aのうち、少なくとも通信部71及び制御部72は、分電盤20外に配置されることになる。
【0065】
また、本変形例では、通信部71は、電波を伝送媒体として用いる無線通信により計測装置80と通信する。つまり、通信部71と計測装置80との通信は、電力線搬送通信ではなく、無線通信である。一例として、通信部71と計測装置80との通信は、920MHz帯の特定小電力無線局、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、無線通信である。
【0066】
(4.2)第2変形例
実施形態1の第2変形例に係る電力計測システム70は、
図5に示すように、充電設備10Aが「Mode3」の充電設備ではなく、「Mode1」の屋外コンセントである点で、実施形態1と相違する。この場合、移動体400側の車載ケーブルを使用して、車載ケーブルのプラグを充電設備10Aのコンセント(Outlet)に接続することで、充電設備10が移動体400に接続される。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0067】
充電設備10Aは、施設300の外部に設置されている。一例として、充電設備10Aは、施設300の外壁に設置されている。また、充電設備10Aは、電路L10を介して、分電盤20に電気的に接続される。特に、充電設備10Aは、電路L10によって、分電盤20の分岐ブレーカ22(複数の分岐ブレーカ22の一つ)に電気的に接続される。一例として、充電設備10Aは、3kWの普通充電を行う機能を有する。この場合、定格電圧は200V、定格電流は15Aであり得る。
【0068】
本変形例において、電路L10には開閉器(電磁ブレーカ30)は挿入されておらず、充電設備10Aと分電盤20とは電路L10にて直接的に接続されている。そのため、計測装置80は、電路L10上の任意の計測点に設置される。
【0069】
(4.3)その他の変形例
本開示における電力計測システム70は、例えば、端末装置24等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における電力計測システム70としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0070】
また、電力計測システム70における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは電力計測システム70に必須の構成ではなく、電力計測システム70の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、端末装置24の機能は、一部の機能がコントローラ90に設けられる等、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、電力計測システム70の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0071】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている電力計測システム70の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、端末装置24とコントローラ90とに分散されている電力計測システム70の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0072】
また、実施形態1では、普通充電用の充電設備10を例示したが、この例に限らず、充電設備10は、普通充電に比べて短時間で充電を行うことができる急速充電用の充電設備を採用してもよい。この場合、充電設備への電力供給は、例えば、200Vの三相交流により行われる。
【0073】
また、電流センサ81は変流器(カレントトランス)に限らず、例えば、ロゴスキコイル、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサであってもよい。
【0074】
また、通信部71と計測装置80との通信は、電力線搬送通信に限らず、その他の有線通信であってもよい。あるいは、通信部71と計測装置80との通信は、非接触通信であってもよい。本開示でいう「非接触通信」には、電波を通信媒体として用いる無線通信、電磁結合を利用した通信、及び光を通信媒体として用いる光通信を含む。
【0075】
また、実施形態1では、充電設備10は、「Mode3」の方式を採用しているが、この例に限らず、例えば、「Mode1」又は「Mode2」等の「Mode3」以外の方式を採用してもよい。「Mode1」の充電設備10の例としては、屋外コンセント等がある(第2変形例参照)。
【0076】
また、出力部73による出力の態様は、コントローラ90への送信に限らず、例えば、表示、音(音声及びアラーム音等を含む)、光出力(点滅等を含む)及びプリントアウト等であってもよい。
【0077】
また、移動体400は、電動車両に限らず、例えば、ドローン、航空機又は船舶等であってもよい。さらに、実施形態1では、蓄電池410は、移動体400に搭載された状態で充電される場合について説明したが、この構成に限らず、蓄電池410は移動体400から取り外し可能であってもよい。この場合、充電設備10は、取り外された状態の蓄電池410の充電の制御に用いられる。
【0078】
また、充電設備10は、蓄電池410の放電を制御する機能を有していてもよい。この場合、移動体400の蓄電池410の放電電力を、施設300の分電盤20に出力することで、V2H(Vehicle To Home)のシステムを構築可能である。この場合においては、電力計測システム70は、充電設備10から分電盤20に出力される電力を計測することも可能である。
【0079】
(実施形態2)
本実施形態に係る電力計測システム70は、
図6に示すように、計測装置80が電路L131上に設けられている点で、実施形態1の電力計測システム70と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0080】
すなわち、本実施形態では、充電システム100の構成が実施形態1と相違する。本実施形態では、
図6に示すように、分岐回路60と、分電盤用回路50と、を備えている。
【0081】
分岐回路60は、施設300の外部に設置されている。一例として、分岐回路60は、施設300の外壁に設置されている。分岐回路60は、2つのブレーカ61,62を備える。2つのブレーカ61,62は、施設300への引込線200に対して並列に電気的に接続されている。より詳細には、2つのブレーカ61,62は、共通電路L130及び電路L131,L132を介して、引込線200に対して電気的に並列に接続される。共通電路L130の第1端は引込口配線L30に電気的に接続され、これによって、引込線200に電気的に接続される。共通電路L130の第2端は電路L131及び電路L132に電気的に接続されている。ここで、共通電路L130には、ブレーカが設けられていない。つまり、分岐回路60は、ブレーカを介さずに、引込線200に電気的に接続される。電路L131は、引込口配線L30にブレーカ61を接続し、電路L132は、引込口配線L30にブレーカ62を接続する。これらブレーカ61,62は、熱動式、電磁式(完全電磁式)、及び熱動・電磁式のいずれであってもよい。また、ブレーカ61は、漏電遮断機能を有している。
【0082】
ブレーカ61は、充電設備10を引込線200に電気的に接続する特定のブレーカとして利用される。特定のブレーカは、充電設備10専用のブレーカであるといえる。ブレーカ61は、配線L12を介して充電設備10に電気的に接続され、これによって、充電設備10が引込線200に電気的に接続される。ここで、配線L12は、分電盤20が設置されている施設300において、分電盤20と既設設備500との接続に用いられている配線である。
【0083】
ブレーカ62は、充電設備10専用のブレーカではない。ブレーカ62は、充電設備10とは異なる設備600を引込線200に電気的に接続するブレーカである。設備600は、施設300の外部に設置されている。一例として、設備600は、施設300の外壁に設置されている。設備600は、配線L14を介してブレーカ62に電気的に接続され、これによって、設備600が引込線200に電気的に接続される。本実施形態では、設備600は、給湯装置である。
【0084】
分電盤用回路50は、施設300の外部に設置されている。一例として、分電盤用回路50は、施設300の外壁に設置されている。分電盤用回路50は、分電盤20の主幹ブレーカ21を引込線200に電気的に接続するための回路である。分電盤用回路50は、分電盤20を接続するための接続端子51を有し、接続端子51は、共通電路L130に電気的に接続される。これによって、分岐回路60と分電盤用回路50とは、引込線200に対して並列に電気的に接続される。この分電盤用回路50の接続端子51には、配線L11を介して分電盤20の主幹ブレーカ21が電気的に接続され、これによって、分電盤20が引込線200に電気的に接続される。ここで、配線L11は、分電盤20が設置されている施設300において、分電盤20と引込線200との接続に用いられている配線である。
【0085】
すなわち、本実施形態において、共通電路L130及び電路L131,L132は、電源(電力系統)から分電盤20への電力供給路(引込口配線L30及び配線L11)から分岐された分岐路を構成する。そして、このうち共通電路L130及び電路L131については、電源(引込線200)から充電設備10への電力供給路の少なくとも一部を構成する。
【0086】
また、電路L131は、一端が、ブレーカ61及び配線L12を介して充電設備10に電気的に接続され、他端が、共通電路L130及び配線L11を介して分電盤20に電気的に接続されている。そのため、電路L131は、分電盤20と充電設備10とを電気的に接続する電路に含まれる。言い換えれば、電路L131は、分電盤20と充電設備10とを電気的に接続する電路の一部である。
【0087】
上述したように、本実施形態では、充電設備10は、分電盤20を介さずに電源(電力系統)に接続されている。そして、計測装置80は、電源(電力系統)から分電盤20への電力供給路(引込口配線L30及び配線L11)から分岐された分岐路としての電路L131上に設けられている。したがって、計測装置80では、分電盤20を介さずに電源(電力系統)から充電設備10へ供給される電力(又は電流)を計測可能となる。
【0088】
より詳細には、分電盤20は、屋外に配置される引込口配線L30を介して電源(電力系統)に電気的に接続されている。そして、分岐路(電路L131)は、引込口配線L30から分岐されている。すなわち、
図6に示すように、計測装置80が設けられる電路L131は、分電盤20と電源(電力系統)とを電気的に接続する引込口配線L30から分岐されているのであって、分電盤20の上流側(電源側)に位置する。言い換えれば、電源(電力系統)から電路L131を通して充電設備10に供給される電力は、分電盤20を経由しない。
【0089】
本実施形態のような構成の充電システム100においても、電力計測システム70は、通信部71が、分電盤20と充電設備10とを電気的に接続する電路L131上に設けられた計測装置80との通信により、計測装置80の計測結果を受信する。そして、制御部72では、このように受信した計測装置80の計測結果に基づいて、充電設備10にて消費される電力の計測を行う。したがって、充電設備10にて消費される電力を、他の負荷にて消費される電力と区別して計測しやすい、という利点がある。ここで、通信部71は電路L131上に設けられた計測装置80と通信するので、制御部72から電路L131上の計測点にまで電流センサを引き回す必要がなく、構成の簡略化を図ることも可能である。
【0090】
実施形態2で説明した種々の構成は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
【0091】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る電力計測システム(70,70A)は、充電設備(10,10A)にて消費される電力を計測する電力計測システム(70,70A)であって、通信部(71)と、制御部(72)と、を備える。充電設備(10,10A)は、移動体(400)の動力源として用いられる蓄電池(410)の充電を制御する。通信部(71)は、分電盤(20)と充電設備(10,10A)とを電気的に接続する電路(L10,L131)上に設けられた計測装置(80)との間で通信可能である。制御部(72)は、通信部(71)に電気的に接続される。通信部(71)は、計測装置(80)の計測結果を計測装置(80)から受信する。制御部(72)は、通信部(71)が受信した計測結果に基づいて、充電設備(10,10A)にて消費される電力の計測を行う。
【0092】
この態様によれば、通信部(71)が、分電盤(20)と充電設備(10,10A)とを電気的に接続する電路(L10,L131)上に設けられた計測装置(80)との通信により、計測装置(80)の計測結果を受信する。そして、制御部(72)では、このように受信した計測装置(80)の計測結果に基づいて、充電設備(10,10A)にて消費される電力の計測を行う。したがって、充電設備(10,10A)にて消費される電力を、他の負荷にて消費される電力と区別して計測しやすい、という利点がある。
【0093】
第2の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第1の態様において、通信部(71)及び制御部(72)は、分電盤(20)に内蔵されている。
【0094】
この態様によれば、充電設備(10,10A)にて消費される電力を、分電盤(20)内で計測可能となる。
【0095】
第3の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第1の態様において、通信部(71)及び制御部(72)は、分電盤(20)の外部に配置されている。
【0096】
この態様によれば、充電設備(10,10A)にて消費される電力を、分電盤(20)外で計測可能となる。
【0097】
第4の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第1~3のいずれかの態様において、充電設備(10,10A)は、分電盤(20)を介して電源に接続されている。計測装置(80)は、分電盤(20)から充電設備(10,10A)への電力供給路としての電路(L10,L131)上に設けられている。
【0098】
この態様によれば、分電盤(20)から充電設備(10,10A)への電力供給路としての電路(L10,L131)を通過する電力を、計測可能となる。
【0099】
第5の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第4の態様において、分電盤(20)は、主幹ブレーカ(21)と、複数の分岐ブレーカ(22)と、送り端子(23)と、を備えている。複数の分岐ブレーカ(22)は、主幹ブレーカ(21)の二次側に電気的に接続される。送り端子(23)は、複数の分岐ブレーカ(22)のいずれも介さず主幹ブレーカ(21)の二次側に接続される。計測装置(80)は、分電盤(20)の送り端子(23)と充電設備(10,10A)とを電気的に接続する電路(L10,L131)上に設けられている。
【0100】
この態様によれば、複数の分岐ブレーカ(22)のいずれも通らない電力を、計測可能となる。
【0101】
第6の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第1~3のいずれかの態様において、充電設備(10,10A)は、分電盤(20)を介さずに電源に接続されている。計測装置(80)は、電源から分電盤(20)への電力供給路から分岐された分岐路としての電路(L10,L131)上に設けられている。
【0102】
この態様によれば、電源から分電盤(20)への電力供給路から分岐された分岐路としての電路(L10,L131)を通過する電力を、計測可能となる。
【0103】
第7の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第6の態様において、分電盤(20)は、屋外に配置される引込口配線(L30)を介して電源に電気的に接続されている。分岐路は、引込口配線(L30)から分岐されている。
【0104】
この態様によれば、分電盤(20)を通らない電力を、計測可能となる。
【0105】
第8の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第1~7のいずれかの態様において、電路(L10,L131)には開閉器(電磁ブレーカ30)が挿入されている。計測装置(80)は、開閉器に内蔵されている。
【0106】
この態様によれば、計測装置(80)のための設置スペースを開閉器と別に設ける必要が無い。
【0107】
第9の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第1~8のいずれかの態様において、通信部(71)は、少なくとも電路(L10,L131)を通信回線として利用する電力線搬送通信により計測装置(80)と通信する。
【0108】
この態様によれば、通信部(71)と計測装置(80)との間の通信路を容易に確保できる。
【0109】
第10の態様に係る電力計測システム(70,70A)では、第1~8のいずれかの態様において、通信部(71)は、電波を伝送媒体として用いる無線通信により計測装置(80)と通信する。
【0110】
この態様によれば、通信部(71)と計測装置(80)との間の通信路を容易に確保できる。
【0111】
第11の態様に係る充電システム(100)は、第1~10のいずれかの態様に係る電力計測システム(70,70A)と、充電設備(10,10A)と、を備える。
【0112】
この態様によれば、通信部(71)が、分電盤(20)と充電設備(10,10A)とを電気的に接続する電路(L10,L131)上に設けられた計測装置(80)との通信により、計測装置(80)の計測結果を受信する。そして、制御部(72)では、このように受信した計測装置(80)の計測結果に基づいて、充電設備(10,10A)にて消費される電力の計測を行う。したがって、充電設備(10,10A)にて消費される電力を、他の負荷にて消費される電力と区別して計測しやすい、という利点がある。
【0113】
第12の態様に係る電力計測方法は、充電設備(10,10A)にて消費される電力を計測する電力計測方法であって、通信ステップと、計測ステップと、を有する。充電設備(10,10A)は、移動体(400)の動力源として用いられる蓄電池(410)の充電を制御する。通信ステップは、端末装置(24)にて、分電盤(20)と充電設備(10,10A)とを電気的に接続する電路(L10,L131)上に設けられた計測装置(80)と通信するステップである。計測ステップは、通信ステップにて端末装置(24)が計測装置(80)から受信した計測装置(80)の計測結果に基づいて、充電設備(10,10A)にて消費される電力の計測を行うステップである。
【0114】
この態様によれば、端末装置(24)が、分電盤(20)と充電設備(10,10A)とを電気的に接続する電路(L10,L131)上に設けられた計測装置(80)との通信により、計測装置(80)の計測結果を受信する。そして、計測ステップでは、このように受信した計測装置(80)の計測結果に基づいて、充電設備(10,10A)にて消費される電力の計測を行う。したがって、充電設備(10,10A)にて消費される電力を、他の負荷にて消費される電力と区別して計測しやすい、という利点がある。
【0115】
第13の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第12の態様に係る電力計測方法を実行させるためのプログラムである。
【0116】
この態様によれば、端末装置(24)が、分電盤(20)と充電設備(10,10A)とを電気的に接続する電路(L10,L131)上に設けられた計測装置(80)との通信により、計測装置(80)の計測結果を受信する。そして、計測ステップでは、このように受信した計測装置(80)の計測結果に基づいて、充電設備(10,10A)にて消費される電力の計測を行う。したがって、充電設備(10,10A)にて消費される電力を、他の負荷にて消費される電力と区別して計測しやすい、という利点がある。
【0117】
上記態様に限らず、実施形態1及び実施形態2に係る電力計測システム(70,70A)の種々の構成(変形例を含む)は、上記方法又はプログラムにて具現化可能である。
【0118】
第2~10の態様に係る構成については、電力計測システム(70,70A)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0119】
10,10A 充電設備
20 分電盤
21 主幹ブレーカ
22 分岐ブレーカ
23 送り端子
24 端末装置
30 電磁ブレーカ(開閉器)
70,70A 電力計測システム
71 通信部
72 制御部
80 計測装置
100 充電システム
400 移動体
410 蓄電池
L10,L131 電路
L30 引込口配線