(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】気流環境システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20240628BHJP
F24F 13/068 20060101ALI20240628BHJP
F24F 13/078 20060101ALI20240628BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20240628BHJP
F24F 13/26 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
F24F7/007 101
F24F13/068 A
F24F13/068 C
F24F13/078
F24F13/08 A
F24F13/08 B
F24F13/26
(21)【出願番号】P 2019219954
(22)【出願日】2019-12-04
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】P 2019007306
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】小田 一平
(72)【発明者】
【氏名】友永 勝之
(72)【発明者】
【氏名】柴村 一朗
(72)【発明者】
【氏名】藤園 崇
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-225631(JP,A)
【文献】特開2007-236576(JP,A)
【文献】特開2016-090179(JP,A)
【文献】特開2013-087715(JP,A)
【文献】特開平10-286420(JP,A)
【文献】特開平08-296889(JP,A)
【文献】実開平04-069048(JP,U)
【文献】特開2003-105906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 13/068
F24F 13/078
F24F 13/08
F24F 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも特定の方向に沿って流れる空気流を、環境空間に放出する放出口と、
前記特定の方向において前記放出口と対向するように配置され、前記特定の方向に沿って流れる前記空気流が当たる反射部と、
前記特定の方向に沿って前記反射部へ流れる前記空気流をガイドするガイド部と、
人が着座可能な台座と、
を備え、
前記反射部は、前記環境空間において、当たった前記空気流を前記放出口の側へ還流させるように構成され
、
前記ガイド部は、前記環境空間を、前記特定の方向の周方向に沿って2つ以上に分割する仕切部を有し、
前記仕切部は、前記台座から、前記特定の方向に沿って突出している、
気流環境システム。
【請求項2】
前記反射部は、
前記特定の方向に沿って流れる前記空気流が当たる第1領域と、
前記第1領域の周囲にあり、前記第1領域で当たった前記空気流が沿うように流れて前記放出口の側へ還流させる第2領域と、
を有する、
請求項1に記載の気流環境システム。
【請求項3】
前記第2領域は、前記特定の方向と直交する方向に沿って前記第1領域から離れるほど、前記放出口の側へ近づくように湾曲している、
請求項2に記載の気流環境システム。
【請求項4】
前記環境空間には、
前記放出口から放出された前記空気流が前記反射部に向かって流れる第1流路と、
前記反射部に当たった前記空気流が前記放出口の側へ還流する第2流路と、が形成され、
前記特定の方向に沿って見た時に、前記第2流路は、前記第1流路を囲むように形成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項5】
前記放出口と前記反射部とは、前記特定の方向において、空隙の中空部を介して互いに離間し、
前記放出口から放出される前記空気流、及び前記放出口の側へ還流する前記空気流は、前記中空部を流れる、
請求項1~4のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項6】
前記特定の方向は、鉛直方向に平行である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項7】
前記特定の方向は、鉛直上向きである、
請求項6に記載の気流環境システム。
【請求項8】
前記特定の方向に沿って流れる前記空気流を発生させて前記放出口に送る送風装置を、更に備える、
請求項1~7のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項9】
前記環境空間に繋がる吸気口を、更に備え、
前記送風装置は、前記反射部から前記放出口の側へ還流された前記空気流を、前記吸気口から吸い込み、前記特定の方向に沿って流れる前記空気流を発生させる、
請求項8に記載の気流環境システム。
【請求項10】
前記反射部の側に向けて光を照射する投光部を、更に備える、
請求項1~9のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項11】
前記放出口の側に向けて光を照射する照明部を、更に備える、
請求項1~10のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項12】
前記反射部の側に向けて音を鳴らすスピーカ部を、更に備える、
請求項1~11のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項13】
前記反射部は、配線ダクトに取り付けられる取付部を有する、
請求項1~12のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項14】
前記放出口から前記環境空間に放出する前記空気流に対して、付加要素を付与する機能部を、更に備え、
前記付加要素は、香り、空気浄化、及び温度変化のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~13のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項15】
前記放出口は、床面、又は椅子を構成する部材の一面に配置される、
請求項1~14のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【請求項16】
前記ガイド部は、前記反射部を支持する、
請求項1~請求項15のいずれか1項に記載の気流環境システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、気流環境システムに関し、より詳細には、環境空間に気流を形成する気流環境システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1に記載の空気清浄装置を例示する。この空気清浄装置(分煙機)は、タバコから生ずる煙又は臭い等を含む空気を取り込んで清浄化する。空気清浄装置は、本体部と、浄化部と、本体部から上方に延びて上部に空気吸入口を有する筒状の柄部と、柄部の上方に設けられる傘部と、柄部の周囲を上昇する誘引上昇流を発生させるファンと、を備える。この空気清浄装置によれば、煙等の拡散を効果的に抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この空気清浄装置によれば、タバコから生ずる煙等を含む空気は、柄部の上部にある空気吸入口から取り込まれ、柄部の内部を通る。言い換えると、この空気清浄装置では、煙等の拡散を抑制するために、本体部の側に戻る空気流の流路が、柄部によって、環境空間から隔離されている。そのため、環境空間に形成される気流を環境空間内に居る人に体感させる場合、この空気清浄装置では十分な体感性が得られない可能性がある。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、環境空間に形成される気流の体感性の向上を図ることができる、気流環境システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の気流環境システムは、放出口と、反射部と、ガイド部と、人が着座可能な台座と、を備える。放出口は、少なくとも特定の方向に沿って流れる空気流を、環境空間に放出する。反射部は、特定の方向において放出口と対向するように配置され、特定の方向に沿って流れる空気流が当たる。ガイド部は、特定の方向に沿って反射部へ流れる空気流をガイドする。反射部は、環境空間において、当たった空気流を放出口の側へ還流させるように構成される。ガイド部は、環境空間を、特定の方向の周方向に沿って2つ以上に分割する仕切部を有する。仕切部は、台座から、特定の方向に沿って突出している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、環境空間に形成される気流の体感性の向上を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る気流環境システムの外観斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の気流環境システムにおける放出口の正面図である。
【
図3】
図3は、同上の気流環境システムにおける送風システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の気流環境システムにより形成される気流を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、同上の気流環境システムの変形例1により形成される気流を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、同上の気流環境システムの変形例1の別の例により形成される気流を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、同上の気流環境システムの変形例1の更に別の例により形成される気流を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、同上の気流環境システムの変形例1の更に別の例により形成される気流を説明するための模式図である。
【
図9】
図9は、同上の気流環境システムの変形例2の外観斜視図である。
【
図10】
図10は、同上の気流環境システムの変形例3の外観斜視図である。
【
図11】
図11は、同上の気流環境システムの変形例3における別の例の外観斜視図である。
【
図12】
図12は、同上の気流環境システムの変形例4の外観斜視図である。
【
図13】
図13は、同上の気流環境システムの変形例5の外観斜視図である。
【
図14】
図14は、同上の気流環境システムの変形例6の外観斜視図である。
【
図15】
図15は、同上の変形例6の別の例の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
本実施形態に係る気流環境システム1は、環境空間100(
図1参照)に気流(空気流)を形成するように構成されている。環境空間100は、一例として、施設内の空間を想定するが、施設外(屋外)の空間でもよい。施設は、例えば、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、又は空港等の、非住宅でもよい。また施設は、非住宅以外に、戸建住宅又はマンション(集合住宅)等の、住宅でもよい。
【0011】
気流環境システム1は、放出口5と、反射部3と、を備えている。放出口5は、少なくとも特定の方向A1に沿って流れる空気流を、環境空間100に放出する。反射部3は、特定の方向A1において放出口5と対向するように配置され、特定の方向A1に沿って流れる空気流が当たる。ここでは一例として、「特定の方向A1」は、鉛直上向きであることを想定する。したがって、反射部3は、放出口5の真上に配置される。そして反射部3は、環境空間100において、当たった空気流を放出口5の側へ還流させるように構成される(
図1の還流方向A2参照)。
【0012】
この構成によれば、特定の方向A1に沿って流れる空気流が環境空間100に放出され、同じ環境空間100において、反射部3に当たった空気流が放出口5の側へ還流される。そのため、特許文献1に記載される空気清浄装置のように本体部の側に戻る空気流の流路が柄部によって環境空間から隔離されている場合に比べて、環境空間100内に居る人(ユーザ)にとっては、環境空間100に形成される気流を体感し易くなる。したがって、環境空間100に形成される気流の体感性の向上を図ることができる。
【0013】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る気流環境システム1の全体構成について、
図1~
図4を参照しながら詳しく説明する。
【0014】
(2.1)全体構成
気流環境システム1は、上述の通り、例えば施設内における環境空間100(
図1参照)に気流を形成するように構成されている。気流環境システム1は、
図1に示すように、送風システム2と反射部3とを備えている。
【0015】
(2.2)送風システム
送風システム2は、
図3に示すように、送風装置4(ファン部)、投光部E1、スピーカ部F1、機能部G1、制御ユニットH1、操作部J1、及び筐体7等を有している。
【0016】
筐体7は、送風装置4、投光部E1、スピーカ部F1、機能部G1、制御ユニットH1、及び操作部J1等を、その内部に収容、又は保持するように構成される。具体的には、筐体7は、
図1に示すように、甲板70と、支柱71と、放出部72と、を有しており、全体として、テーブルとしても機能するように構成されている。筐体7は、環境空間100内の床面101上に設置される。
【0017】
甲板70は、円形の板状に形成されている。甲板70は、その中央部において、厚み方向に貫通する円形状の孔を有している。支柱71は、中空の円錐台形状に形成されている。送風装置4及び制御ユニットH1は、支柱71内に収容されている。支柱71の上面は、開放されており、甲板70は、支柱71の開放された上面を塞ぐように支柱71の上端に取り付けられている。また支柱71は、
図1に示すように、その周壁において、吸気口6を有している。吸気口6は、例えば、上下方向に長尺であるスリット状の複数の孔から構成される。言い換えると、気流環境システム1は、環境空間100に繋がる吸気口6を、筐体7に備えている。甲板70及び支柱71の材料は、特に限定されないが、筐体7がテーブルとして機能できる程度の寸法、及び耐久性を有することが望ましい。支柱71の底には電源コードが露出しており、電源コードのプラグが、例えば床面101のフロアコンセント等に接続されて、送風装置4、投光部E1、スピーカ部F1、及び機能部G1等を駆動するための動作電源が供給され得る。支柱71の底には、筐体7を容易に移動できるようにキャスターが設けられてもよい。
【0018】
放出部72は、上下の両端が開放された円筒形状に形成されている。放出部72は、その下端の周縁部が甲板70の中央部にある孔の縁内に収まるように取り付けられている。放出部72の上面には、異物等の侵入を防ぐために、細長い複数の羽根が等間隔に並ぶように構成された保護カバー73で覆われている(
図2参照)。投光部E1、スピーカ部F1、及び機能部G1は、放出部72又は支柱71内に収容されている。放出部72の開放された上面が、少なくとも特定の方向A1に沿って流れる空気流を環境空間100に放出する放出口5に相当する。言い換えると、気流環境システム1は、放出口5を、筐体7に備えている。放出部72の材料は、特に限定されないが、放出部72内には投光部E1が収容されるため、放熱性の高い材料であることが望ましい。
【0019】
甲板70又は放出部72には、外部(ユーザ)からの操作入力を受け付ける操作部J1が設置されている。ユーザは、操作部J1への操作により、送風システム2の電源をオン、オフ可能となっている。制御ユニットH1は、操作部J1にて電源をオンする操作を受け付けると、送風装置4の駆動を開始する。操作部J1は、リモートコントローラでもよく、その場合、甲板70又は放出部72には、操作部J1から出射される赤外線を受光する受光部が設けられてもよい。
【0020】
送風装置4は、制御ユニットH1の制御により、特定の方向A1(ここでは鉛直上向き)に沿って流れる空気流を発生させて、放出口5に送るように構成される。送風装置4は、例えば、旋回成分に比べて直進的な成分を多く含む空気流を発生するシロッコファンである。送風装置4は、環境空間100内の空気を吸気口6から吸い込み、特定の方向A1に沿って流れる空気流を発生させる。送風装置4は、シロッコファンに限定されず、プロペラファンでもよい。送風装置4は、その正面を上方に向けて支柱71内に収容されており、送風装置4の正面に配置されたダクト74(
図2参照)を介して、放出口5に繋がっている。ダクト74は、上下の両端が開放された円筒状に形成されている。要するに、送風装置4で発生した直進的な成分を多く含む空気流は、そのまま特定の方向A1(ここでは鉛直上向き)に沿って流れる空気流として、放出口5から放出され得る。
【0021】
送風装置4は、例えば、インバータ制御により、モータの回転速度を調整して風量を適宜に変更可能であってもよい。例えば、操作部J1には、風量調節用のボリュームが設けられていて、気流環境システム1の設置現場、すなわち環境空間100において、ユーザが送風装置4の風量を適宜に調節できてもよい。また制御ユニットH1が、自動的に送風装置4の風量を周期的に変化させてもよい。
【0022】
制御ユニットH1は、送風装置4を制御する機能を有している。制御ユニットH1は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御ユニットH1として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0023】
投光部E1は、反射部3の側に向けて光を照射するように構成される。投光部E1は、光源として、例えば1又は複数のLED(Light Emitting diode)を含む。また投光部E1は、光源を覆う透光性のカバー、電源回路、点灯回路及び制御回路等を含む。電源回路、点灯回路及び制御回路のうち少なくとも一部の機能が、制御ユニットH1に集約されてもよい。投光部E1の稼働は、制御ユニットH1の制御下で、送風装置4の稼働に連動するように制御されてもよい。光源の発光色及び色温度等は、特に限定されない。また投光部E1は、一般照明に限らず、演出照明を提供するものでもよい。
【0024】
投光部E1の光源は、保護カバー73の窓部730(
図2参照)と対向するように放出部72内に収容され、投光部E1の光源から出射した光は、窓部730を介して、反射部3に向けて照射される。すなわち、投光部E1の光は、空気流と同様に、放出口5から上方に放出され得る。投光部E1の点灯、調光、及び消灯は、例えば、操作部J1への操作にて実行可能である。投光部E1が設けられていることで、環境空間100に対して、気流に加えて、光(明るさ)を提供できる。
【0025】
スピーカ部F1は、反射部3の側に向けて、音楽等の音を鳴らすように構成される。スピーカ部F1は、スピーカF10(
図2参照)、電源回路、音響回路、及び制御回路等を含む。電源回路、音響回路、及び制御回路のうち少なくとも一部の機能が、制御ユニットH1に集約されてもよい。スピーカ部F1の稼働は、制御ユニットH1の制御下で、送風装置4の稼働に連動するように制御されてもよい。スピーカF10は、その正面を上方に向けて、保護カバー73と対向するように配置される。したがって、スピーカF10から出力される音は、空気流と同様に、放出口5から上方に放出され得る。
【0026】
ここではスピーカ部F1は、一例として、超音波を用いて指向性を持たせる、いわゆるパラメトリック・スピーカを想定する。スピーカ部F1から出力される音の一部は、反射部3で反射され得る。スピーカ部F1がパラメトリック・スピーカであることで、環境空間100において、特に反射部3の真下等の特定の狭い範囲内に居る人に音を提供する。スピーカ部F1の電源のオン、オフ、及び音量調整等は、例えば、操作部J1への操作にて実行可能である。スピーカ部F1が設けられていることで、環境空間100に対して、気流に加えて、音(音響)を提供できる。
【0027】
機能部G1は、放出口5から環境空間100に放出する空気流に対して、付加要素を付与するように構成される。付加要素は、香り、空気浄化、及び温度変化のうちの少なくとも1つを含む。
【0028】
付加要素が、香りを含む場合、機能部G1は、例えば、芳香剤を含む香り提示装置を有する。香り提示装置は、放出部72内に収容される。芳香剤から気化した香りは、送風装置4からダクト74を通る空気流に混ざり得る。その結果、環境空間100に居る人(ユーザ)に、良質な香りの空気を提供できる。
【0029】
付加要素が、空気浄化を含む場合、機能部G1は、例えば、空気清浄装置を有する。空気清浄装置は、支柱71内に収容される。空気清浄装置は、吸気口6から吸い込まれた空気中の花粉等の微粒子を集塵する集塵フィルタ、及び脱臭用のフィルタ等を有する。空気清浄装置で浄化された空気は、送風装置4にて空気流として放出口5から上方に放出され得る。その結果、環境空間100に居る人(ユーザ)に、浄化された空気を提供できる。
【0030】
また付加要素が、空気浄化を含む場合、機能部G1は、例えば、空間除菌脱臭機を有してもよい。空間除菌脱臭機は、支柱71内に収容される。空間除菌脱臭機は、次亜塩素酸を生成して、送風装置4で発生した空気流に混入するように構成される。次亜塩素酸を含んだ空気流は、放出口5から上方に放出されて、環境空間100を除菌する。その結果、環境空間100に居る人(ユーザ)に、浄化された空気を提供できる。
【0031】
付加要素が、温度変化を含む場合、機能部G1は、例えば、空気調和装置を有する。空気調和装置は、コンプレッサを有し、空気調和装置にて生成された冷気又は暖気が、送風装置4にて空気流として放出口5から上方に放出され得る。その結果、環境空間100に居る人(ユーザ)に、快適な温度の空気を提供できる。
【0032】
機能部G1が上述した空気清浄装置、空間除菌脱臭機及び空気調和装置を有する場合、それらの電源のオン、オフ、及び各種パラメータの調整等は、例えば、操作部J1への操作にて実行可能である。なお、制御ユニットH1が、機能部G1に関する制御を集中的に行なってもよい。機能部G1の稼働は、制御ユニットH1の制御下で、送風装置4の稼働に連動するように制御されてもよい。
【0033】
このように機能部G1が設けられていることで、空気流に対して、付加要素を付与できる。
【0034】
(2.3)反射部
反射部3は、特定の方向A1において放出口5と対向するように配置される。反射部3は、放出口5から放出された特定の方向A1に沿って流れる空気流が当たるように構成される。また反射部3は、環境空間100において、当たった空気流を放出口5の側へ還流させるように構成される。
【0035】
以下、反射部3の構成について詳しく説明する。反射部3は、
図1に示すように、本体部30と、支持部33と、取付部35と、を有している。
【0036】
本体部30は、下面が開放された略傘状(より具体的には湾曲した椀状)に形成されている。本体部30は、一例として、布地と、布地を傘状に維持する複数の骨部とによって構成されることを想定するが、特に限定されない。本体部30は、合成樹脂の成形品でもよいし、金属の成形品でもよい。なお、スピーカ部F1から出力される音の音響特性を考慮した材料が望ましく、例えば音響効果を高める場合、吸音性の低い材料が用いられる。
【0037】
本体部30は、
図4に示すように、放出口5と対向する内側の曲面300において、第1領域31と、第2領域32と、を有している。第1領域31は、曲面300の頂点を含む中心領域であり、特定の方向A1に沿って流れる空気流が当たる領域である。第2領域32は、第1領域31の周囲にある。言い換えると、曲面300を正面から(下側から)見たときに、第2領域32は、ドーナツ状の領域である。第2領域32は、第1領域31で当たった空気流が沿うように流れて放出口5の側へ還流させる。本実施形態の本体部30では、第2領域32は、特定の方向A1と直交する方向(水平方向)に沿って第1領域31から離れるほど、放出口5の側へ近づくように湾曲している。曲面300の色は、特に限定されないが、投光部E1から放射される光の反射特性を考慮した色が望ましい。
【0038】
支持部33は、天井面の側から本体部30を吊るすための部位である。支持部33は、上下方向に長尺の、棒状に形成されている。支持部33は、紐状に形成されてもよい。支持部33の第1端(
図1では下端)は、本体部30の外側の頂点に取り付けられ、支持部33の第2端(
図1では上端)には、取付部35が設けられている。
【0039】
取付部35は、配線ダクト200に対して着脱可能に取り付けられるように構成される。配線ダクト200は、レール状に形成されており、施設の天井等に固定されている。配線ダクト200は、例えば照明用のダクトレールでもよい。配線ダクト200は、いわゆるリップ溝を有したダクト本体を備える。取付部35は、例えば、T字状に突出した端子板を有している。取付部35は、端子板を配線ダクト200のリップ溝に挿入した後に、取付部35の軸を中心として約90度回転させることで端子板がリップ溝に係止されて、配線ダクト200に対して抜け止めされる。取付部35が設けられていることで、反射部3の設置に関する施工性が向上される。
【0040】
このように本実施形態の気流環境システム1によれば、反射部3が、環境空間100において、当たった空気流を放出口5の側へ還流させるように構成されるため、環境空間100に形成される気流の体感性の向上を図ることができる。また反射部3が、第1領域31と第2領域32とを有しているため、第1領域31を中心として放出口5の側へ還流される空気流の層が形成され易くなり、当該層によって環境空間100が2つの空間に区分けされる可能性が高くなる。よって、気流の体感性が更に向上される。
【0041】
ところで、気流環境システム1は、
図1に示すように、放出口5の側に向けて光を照射する照明部E2を更に備えてもよい。照明部E2は、反射部3における本体部30の第1領域31に配置される。照明部E2は、光源として、例えば1又は複数のLEDを含む。また照明部E2は、光源を覆う透光性のカバー、電源回路、点灯回路及び制御回路等を含む。照明部E2の点灯、調光、及び消灯は、例えば、照明部E2に備え付けられた操作部にて実行可能である。光源の発光色及び色温度等は、特に限定されない。また照明部E2は、一般照明に限らず、演出照明を提供するものでもよい。
【0042】
そして、照明部E2の動作電源は、配線ダクト200から供給されてもよい。取付部35の端子板は、配線ダクト200のリップ溝に係止されることで、配線ダクト200の導体部との電気的な接続も達成されてもよい。支持部33内には電源コードが内装されていて、取付部35の端子板は、当該電源コードを介して、照明部E2の電源回路と電気的に接続されていてもよい。照明部E2の電源回路は、支持部33内の電源コード及び取付部35の端子板を介して、配線ダクト200の導体部から、例えば商用の交流電源を受け取り、LED点灯用の直流電力に変換してもよい。照明部E2が設けられていることで、環境空間100に対して、気流に加えて、光(明るさ)を提供できる。
【0043】
(2.4)環境空間内の空気流
以下、
図4を参照しながら気流環境システム1によって環境空間100内に形成され得る空気流について説明する。
【0044】
図4は、気流環境システム1における放出口5から放出された空気流と、その空気流が反射部3に当たり放出口5の側へ還流する様子(流線)を示す、シミュレーション結果である。なお、
図4の気流環境システム1は、
図1の気流環境システム1とやや異なり、筐体7及び支持部33等は省略されて、かつ模式化されている。また
図4の放出口5は、
図1の放出口5よりも、やや高い位置(反射部3に近い位置)にある。
【0045】
気流環境システム1が稼働することで、
図4に示すように、環境空間100には、第1流路P1と、第2流路P2と、が形成される。すなわち、放出口5から放出された空気流が、第1流路P1を通じて反射部3の第1領域31に向かって流れる。そして、反射部3の第1領域31に当たり反射部3の第2領域32に沿って外側に拡がった空気流が、第2流路P2を通じて放出口5の側(鉛直下向き)へ還流する。特定の方向A1に沿って見た時に、第2流路P2は、第1流路P1を囲むように形成されることになる。
【0046】
したがって、例えば、第1流路P1の側に近づく人(ユーザ)にとっては、第2流路P2を通じて還流する空気流の層に触れる可能性が高くなる。よって、気流の体感性が更に向上される。特に、第2流路P2を通じて還流する空気流の速度は、反射部3にて減衰されて、放出口5から放出された空気流の速度よりも小さくなり得る。したがって、逆に、放出口5から放出された空気流が第2流路P2を通って反射部3に向い、第1流路P1を通って放出口5の側へ還流する場合に比べて、第1流路P1の側に近づく人(ユーザ)に不快感を与える可能性を低減できる。
【0047】
また本実施形態では、放出口5と反射部3とは、特定の方向A1において、空隙の中空部9を介して互いに離間している。そして、放出口5から放出される空気流(往きの空気流)、及び放出口5の側へ還流する空気流(帰りの空気流)は、中空部9を流れることになる。言い換えると、放出口5から反射部3までの間には、第1流路P1と第2流路P2とを互いに隔離する障害物(壁等)が存在しない。そのため、環境空間100内に居る人(ユーザ)に開放感を与える可能性を高めることができる。
【0048】
また本実施形態では送風装置4は、反射部3から放出口5の側へ還流された空気流を、吸気口6から吸い込み、特定の方向A1に沿って流れる空気流を発生させるため、環境空間100に形成される気流の循環をより安定的に行うことができる。特に吸気口6が放出口5よりも低い位置に配置されているため、第2流路P2が、上下方向において比較的距離の長い流路として形成され得る。
【0049】
ところで、本実施形態では、第1流路P1と第2流路P2との間には、空気流の流速が比較的小さい中間層X1が形成されるように、反射部3の第2領域32の形状、放出口5から反射部3の第1領域31までの距離等が規定されている。気流環境システム1は、環境空間100内に、中間層X1を形成することで、気流環境システム1を利用するユーザにとっては、第2流路P2を通過した後に中間層X1内に進入することで、空気流により隔てられた中間層X1の存在を体感できる。中間層X1は、物理的な仕切壁で仕切られていないにも関わらず、あたかも外部と遮断された環境として提供される。ユーザは、空気流の緩やかな中間層X1を、リラクゼーションの場として体感できる。また物理的な仕切壁で仕切られる場合に比べて、コストの低減を図ることができ、ユーザにとっては中間層X1内に容易に進入できて利便性が高い。
【0050】
また本実施形態の気流環境システム1では、放出口5から放出された空気流が第2流路P2を通じて放出口5の側(鉛直下向き)へ還流する際に、その空気流の一部が、吸気口6から吸い込まれて、全体として循環し得る構成となっている。そのため、機能部G1における付加要素に関する使用量の削減等が期待できる。
【0051】
付加要素が、例えば、空気浄化であれば、空気清浄装置で浄化された空気が、放出口5から放出された後、還流して再び吸気口6から吸い込まれる可能性が高くなる。結果的に、集塵フィルタ、及び脱臭用のフィルタ等の延命につながる。
【0052】
また付加要素が、例えば、温度変化であれば、空気調和装置で生成された冷気(又は暖気)が、放出口5から放出された後、還流して再び吸気口6から吸い込まれる可能性が高くなる。結果的に、空気調和装置等の延命、及び空気調和装置による消費電力の削減につながる。
【0053】
また本実施形態の気流環境システム1では、放出口5から放出された空気流が第2流路P2を通じて放出口5の側(鉛直下向き)へ還流する際に、その空気流が、エアカーテンとして機能し得るものである。特に、その還流する空気流は、エアカーテンより内側の空間内の空気流に混入しにくい形態で放出され得る。結果として、例えば、放出口5から放出された空気流に含まれる機能部G1による付加要素が、エアカーテンによって閉じ込められることになる。したがって、付加要素が、エアカーテンの外側に漏れ出すことが抑制されることが期待できる。要するに、エアカーテンより内側の空間が付加要素で満たされている状況を、持続させやすくなる。
【0054】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0055】
(3.1)変形例1
以下、変形例1の気流環境システム1Aについて、
図5を参照しながら説明する。ただし、基本例の気流環境システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0056】
本開示の発明者らは、鋭意検証の結果、放出口5の高さ位置(放出口5から反射部3までの距離)、及び送風装置4の風量、風速よりも、反射部3の形状が、放出口5の側へ還流する空気流の形成に大きく影響し得る要因であることを見つけ出した。
【0057】
変形例1の気流環境システム1Aは、基本例の反射部3と形状の異なる反射部3Aを備える点で、基本例の気流環境システム1と相違する。なお、
図5の放出口5は、基本例における
図1の放出口5と概ね同じ高さ位置にある。
【0058】
変形例1の反射部3Aは、本体部30Aと、支持部33と、取付部35と、を有している(
図5では支持部33及び取付部35を省略)。本体部30Aは、下面が開放された略傘状に形成されている。ただし、基本例の本体部30は、椀状に湾曲した曲面300を有している一方で、変形例1の本体部30Aは、扁平な円錐状の曲面300Aを有している。すなわち、曲面300Aは、円錐面である。
【0059】
本体部30Aは、
図5に示すように、放出口5と対向する内側の曲面300Aにおいて、第1領域31と、第2領域32と、を有している。第1領域31は、曲面300Aの頂点を含む中心領域であり、特定の方向A1に沿って流れる空気流が当たる領域である。第2領域32は、第1領域31の周囲にある。第2領域32は、第1領域31で当たった空気流が沿うように流れて放出口5の側へ還流させる。本実施形態の本体部30Aでは、第2領域32は、水平方向に沿って第1領域31から離れるほど、放出口5の側へ近づくように真っ直ぐ傾斜している。
【0060】
図5は、変形例1の気流環境システム1Aにおける放出口5から放出された空気流と、その空気流が反射部3Aに当たり放出口5の側へ還流する様子(流線)を示す、シミュレーション結果である。
【0061】
気流環境システム1Aが稼働することで、
図5に示すように、環境空間100には、第1流路P1と、第2流路P2と、が形成される。すなわち、放出口5から放出された空気流が、第1流路P1を通じて反射部3Aの第1領域31に向かって流れる。そして、反射部3Aの第1領域31に当たり反射部3Aの第2領域32に沿って外側に拡がった空気流が、第2流路P2を通じて放出口5の側(鉛直下向き)へ還流する。
【0062】
ここで変形例1の第2流路P2は、基本例の第2流路P2とは異なり、送風システム2から離れる方向に拡散されている。したがって、変形例1では、中間層X1の体積を基本例よりも広く確保することができる。その結果、より多くのユーザが中間層X1を利用できる可能性が高くなる。ただし、放出口5から放出された空気流が、再び吸気口6に戻る「循環」の面で言えば、変形例1は、基本例よりも循環性が損なわれる可能性がある。基本例のように、第2領域32が第1領域31から離れるほど放出口5の側へ近づくように湾曲している方が、放出口5の側へ還流される空気流の層が更に形成され易くなる。そのため、気流環境システム1Aを利用するユーザにとって気流の体感性は、基本例の方が変形例1よりも高い。
【0063】
また変形例1の別の例(気流環境システム1B)は、
図6に示すように、反射部3Bを備えてもよい。反射部3Bの本体部30Bは、基本例の反射部3と同様に、椀状に湾曲した曲面300Bを有している。ただし、この曲面300Bは、その開口する縁部における接線方向D1が鉛直方向と概ね平行である点で、基本例の曲面300と異なる。すなわち、基本例の曲面300の開口する縁部における接線方向は、鉛直方向に対して、下方に行くほど外方に拡がるように傾斜している。
【0064】
図6の反射部3Bは、基本例及び
図5の例よりも、循環性は高い。そのため、放出口5の側へ還流される空気流の層が更に形成され易く、気流の体感性が向上され得る。ただし、中間層X1の体積が小さくなり易く、ユーザが空気流により隔てられた中間層X1の存在を体感できる可能性が低減する。なお、送風装置4の風量を増加させたり放出口5の高さ位置を調整したりすることで、中間層X1の体積を増加させることは可能である。
【0065】
変形例1の更に別の例(気流環境システム1C)は、
図7に示すように、反射部3Cを備えてもよい。反射部3Cの本体部30Cは、基本例の反射部3と同様に、椀状に湾曲した曲面300Cを有している。ただし、この曲面300Cは、その開口する縁部における接線方向D2が、下方に行くほど内方に狭まるように傾斜している点で、基本例の曲面300と異なる。
【0066】
図7の反射部3Cは、
図6の例よりも、循環性は更に高い。そのため、放出口5の側へ還流される空気流の層が更に形成され易く、気流の体感性が向上され得る。ただし、中間層X1の体積が更に小さくなり易い。なお、送風装置4の風量を増加させたり放出口5の高さ位置を調整したりすることで、中間層X1の体積を増加させることは可能である。
【0067】
変形例1の更に別の例(気流環境システム1D)は、
図8に示すように、反射部3Dを備えてもよい。反射部3Dの本体部30Dは、基本例の反射部3と同様に、椀状に湾曲した曲面300Dを有している。ただし、この曲面300Dは、その開口する開口面から頂点までの距離(深さW1)が、基本例の曲面300の深さよりも深い点で異なる。なお、曲面300Dの開口する縁部における接線方向D3は、鉛直方向と概ね平行である。
【0068】
図8の反射部3Dも、循環性は比較的高い。そのため、放出口5の側へ還流される空気流の層が更に形成され易く、気流の体感性が向上され得る。ただし、中間層X1の体積が小さくなり易い。なお、送風装置4の風量を増加させたり放出口5の高さ位置を調整したりすることで、中間層X1の体積を増加させることは可能である。
【0069】
(3.2)変形例2
以下、変形例2の気流環境システム1Eについて、
図9を参照しながら説明する。ただし、基本例の気流環境システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0070】
基本例の気流環境システム1では、放出口5が、テーブルとしても機能するように構成された筐体7に設けられている。変形例2の気流環境システム1Eは、放出口5が床面101に直接設けられている点で、基本例の気流環境システム1と相違する。
【0071】
また基本例の気流環境システム1では、反射部3が、吊り下げ型の構造を有している。変形例2の気流環境システム1Eは、埋め込み型の構造を有した反射部3Eを備える点で、基本例の気流環境システム1と相違する。
【0072】
変形例2の放出口5は、例えば、床材を厚み方向に貫通する円形の貫通孔として構成される。この場合、送風装置4、投光部E1、スピーカ部F1、機能部G1及び制御ユニットH1等は、床下に設置される。操作部J1は、放出口5の近傍に設置されてもよいし、壁面152に設置されてもよい。
【0073】
変形例2の反射部3Eは、例えば、システム天井150におけるスクエアタイプの複数の天井材151のうちの1つに、埋め込み配置される。反射部3Eは、複数(例えば4枚)の天井材151にわたって埋め込み配置されてもよい。反射部3Eは、例えば、天井裏における天井スラブの吊りボルトに直接固定される。
【0074】
この変形例2によれば、放出口5が、例えば専用の筐体の一面に配置される場合に比べて、環境空間100の美観が損なわれる可能性を低減しつつ、利便性が向上され得る。また部品(床と筐体)の共通化を図れる。
【0075】
変形例2の別の例として、天井材151そのものが、傘状に凹んだ曲面300を有する反射部3Eでもよい。
【0076】
変形例2の更に別の例として、互いに対応する1つの反射部3と1つの放出口5とを1組として、気流環境システム1Eは、これらを複数組備えてもよい。具体的には、システム天井150に、複数の反射部3Eが埋め込み配置され、複数の反射部3Eと一対一で対応するように、複数の放出口5が床面101に設けられてもよい。この場合、送風装置4及び制御ユニットH1の数は、必ずしも放出口5の数と同じでなくてもよい。例えば、1つの送風装置4で発生した空気流が、床下に設置されているダクトを通り、複数の放出口5から放出されてもよい。また1つの制御ユニットH1が、施設内の管理室等に設置されて、複数の送風装置4を、一括集中管理できるように構成されてもよい。なお、基本例においても同様に、気流環境システム1は、1つの反射部3と1つの放出口5とを1組として、これらを複数組備えて、1つの制御ユニットH1が、複数の送風装置4を、一括集中管理できるように構成されてもよい。
【0077】
(3.3)変形例3
以下、変形例3の気流環境システム1Fについて、
図10を参照しながら説明する。ただし、基本例の気流環境システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0078】
図10は、変形例3の気流環境システム1Fの外観斜視図である。変形例3の気流環境システム1Fは、ホテルのロビー等に設置されることを想定されて、利便性及びデザイン性を考慮した構造を有している。気流環境システム1Fの送風システム2の筐体7Fは、長テーブルとしても機能するように構成される。また筐体7Fは、瓶状の置物75を有し、その開放された上面が、放出口5となる。置物75は、底に開口を有し、長テーブル内に収容された送風装置4の空気流が、置物75の当該開口を通じて、放出口5から上方に放出さ得る。また1又は複数のロビーソファ301が、筐体7Fを囲むように設置されている。
【0079】
変形例3の反射部3Fは、下面が開放された円筒形状の本体部30Fを有している。反射部3Fは、基本例の支持部33を有しておらず、本体部30Fが天井面に直接取り付けされている。ロビーソファ301は、本体部30Fの開口面の投影領域内に概ね収まるように配置される。ロビーソファ301の数や形状に応じて、様々な寸法形状を有した反射部3Fが設置される。
【0080】
このようにホテルのロビー等において、気流環境システム1Fにより空気流を提供することで、環境空間100において、物理的な仕切壁で遮らなくもて周囲とは異なる局所的な空間の提供を実現できる。更に空気流に、光、音、及び付加要素(香り等)を適宜に組み合わせることで、更に快適なリラクゼーションの場として提供できる。
【0081】
図11は、変形例3の別の例(気流環境システム1G)の外観斜視図である。
図11の気流環境システム1Gは、病院内の待合室等に設置されることを想定されて、利便性及び除菌性を考慮した構造を有している。気流環境システム1Gの送風システム2は、ポール状の筐体7Gを有している。放出口5は、ポール状の筐体7Gの上面に形成されている。ポール状の筐体7G内に収容された送風装置4の空気流は、放出口5から上方に放出さ得る。またドーナツ状の待合椅子302が、筐体7Gの周囲を囲むように配置される。
【0082】
図11の反射部3Gは、下面が開放された傘状の本体部30Gを有している。待合椅子302は、本体部30Gの開口面の投影領域内に概ね収まるように配置される。
図11の反射部3Gは、出来るだけ多くのユーザ(患者)が利用できるように、比較的大きな寸法を有している。
【0083】
このように病院内の待合室等において、気流環境システム1Gにより空気流を提供することで、環境空間100において、物理的な仕切壁で遮らなくもて周囲とは異なる局所的な空間の提供を実現できる。また第2流路P2を通る空気流が、バリア機能として効果を奏し、院内感染のリスクが低減され得る。更に空気流に、付加要素(空気浄化:次亜塩素酸等)を適宜に組み合わせることで、更にクリーンな場として提供できる。
【0084】
(3.4)変形例4
以下、変形例4の気流環境システム1Hについて、
図12を参照しながら説明する。ただし、基本例の気流環境システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0085】
変形例4の気流環境システム1Hは、放出口5が椅子303を構成する部材の一面に配置される点で、基本例の気流環境システム1と相違する。なお、気流環境システム1Hの反射部3は、基本例と共通のため説明を省略する。
【0086】
変形例4の気流環境システム1Hは、椅子303として機能する筐体7Hを有している。筐体7Hは、中空の略直方体形状の座部76と、座部76の上面(座面760)の中央に設けられた角柱状の背もたれ77とを有している。送風装置4等は、座部76又は背もたれ77内に収容されている。
【0087】
放出口5は、背もたれ77の上端面に設けられている。また吸気口6は、座部76の座面760に設けられている。具体的には、例えば複数の角材761が、所定の間隔を空けて並ぶように組み付けられて、隣接する角材761間の隙間が、吸気口6となる。
【0088】
この変形例4によれば、放出口5が、例えば専用の筐体の一面に配置される場合に比べて、環境空間100の美観が損なわれる可能性を低減しつつ、利便性が向上され得る。また部品(椅子と筐体)の共通化を図れる。
【0089】
(3.5)変形例5
以下、変形例5の気流環境システム1Iについて、
図13を参照しながら説明する。ただし、基本例の気流環境システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0090】
変形例5の気流環境システム1Iは、ガイド部8を更に備える点で、基本例の気流環境システム1と相違する。
【0091】
図13は、変形例5の気流環境システム1Iの外観斜視図である。変形例5の気流環境システム1Iは、例えば、ホテルのロビー、病院、駅、又は、空港等の待合室に設置されることが想定される。
【0092】
反射部3Hは、本体部30と支持部33とを有している。
図13では、反射部3Hの本体部30を、一点鎖線のみで図示している。反射部3Hの本体部30は、下面が開放された略傘状であり、基本例の反射部3の本体部30と実質的に共通である。
【0093】
反射部3Hの支持部33は、基本例の反射部3の支持部33と異なり、天井面の側から本体部30を吊るすための部位ではなく、台座B1から突出して、本体部30を支持している。つまり、反射部3Hの支持部33は、傘(本体部30)の柄部(軸)に相当する部位である。支持部33の第1端(上端)は、本体部30の内側の頂点に取り付けられ、支持部33の第2端(下端)は、台座B1に固定されている。ただし、ここでは、反射部3Hの支持部33は、ガイド部8によって実現されている。言い換えると、ガイド部8は、反射部3H(の本体部30)を支持する。
【0094】
気流環境システム1Iの送風システム2の筐体7Iは、(複数の)人が着座可能な台座B1を兼ねている。つまり、気流環境システム1Iは、台座B1を備えている。台座B1は、特定の方向A1において扁平な円筒形状となっている。台座B1は、人が着座可能な椅子として機能する。台座B1の中心軸は、傘(本体部30)の柄部に相当する支持部33の中心軸に概ね一致する。台座B1(筐体7I)内には、送風装置4等が収容されている。吸気口6は、台座B1の外周面に配置されている(
図13では2か所について図示)。ここでは、傘状の反射部3Hの本体部30の外径は、台座B1の外径よりも大きく設定されている。結果的に、反射部3Hに当たった空気流が還流しやすくしている。
【0095】
ガイド部8は、特定の方向A1に沿って反射部3Hへ流れる空気流をガイドするように構成される。ガイド部8は、台座B1に固定されている。ガイド部8は、環境空間100を、特定の方向A1の周方向D4に沿って2つ以上に分割する(1又は複数の)仕切部80を有している。ここでは一例として、仕切部80を合計4つ有して(
図13では3つのみ図示)、環境空間100が4つに分割されている。各仕切部80は、特定の方向A1に沿って長尺の板状となっている。ここでは板状の4つの仕切部80が、特定の方向A1に沿って反射部3Hへ流れる空気流をガイドする。
【0096】
そして、4つの仕切部80は、台座B1から、特定の方向A1に沿って突出している。ここでは4つの仕切部80は、台座B1を上から見て、台座B1の上面の領域を台座B1の中心軸を中心に、四等分に分割するように配置される。すなわち、台座B1の上面の四等分された領域の各々は、中心角が約90度の扇状である。ここでは一例として、扇状の各領域に人が一人着座できる程度に、台座B1の寸法設定がなされている。つまり、ここでは同時に四人が台座B1に着座できるように設定されている。ただし、同時に着座できる人数は四人に限定されない。
【0097】
各仕切部80の外側縁(中心軸とは反対側の縁)は、上下方向に沿って延びている中間縁800と、中間縁800の下部から連続する第1縁801と、中間縁800の上部から連続する第2縁802と、第2縁802の先から連続する第3縁803とから構成される。第1縁801は、各仕切部80の厚み方向に沿って見て、台座B1の上面に近づくほど台座B1の周縁に向かって拡がるように湾曲している。第2縁802は、上方に向かって凸となるように湾曲している。第3縁803は、反射部3Hの内面に沿って垂れ下がるように湾曲している。4つの仕切部80は、各々の第3縁803で反射部3Hの内面と接触することで、傘状の反射部3Hを、安定的に保持する複数の骨部として機能している。
【0098】
またガイド部8は、4つの仕切部80の隣り合う2つの仕切部80の間において、台座B1の上面から特定の方向A1に沿って突出する背もたれ部81を更に有している。背もたれ部81は、台座B1の扇状の各領域に1つ配置されるように、合計4つ設けられている(
図13では2つのみ図示)。台座B1の扇状の各領域に着座した人は、背もたれ部81を利用して、くつろぐことができる。
【0099】
ところで、各背もたれ部81は、長手方向の両端面が開放された、中空の筒状となっている。さらに各背もたれ部81は、台座B1内における送風装置4の収容空間と連通している。そして、各背もたれ部81の開放された上面が、放出口5となる。要するに、台座B1内の送風装置4の空気流が、各背もたれ部81の中を通り、放出口5から上方に放出さ得る。したがって、送風装置4の空気流は、合計4か所の放出口5から上方に個別に放出されることになる。ここでは、共通する1つ送風装置4からの空気流が、4つの背もたれ部81の入り口で分岐して4か所の放出口5から放出される。
【0100】
この変形例5の気流環境システム1Iによれば、ガイド部8を備えることで、還流する空気流の安定性を更に向上できる。
【0101】
またガイド部8が仕切部80を有しているため、仕切部80によって分割された複数の空間の各々において個別に、気流の体感性の向上を図ることができる。さらに仕切部80が台座B1から特定の方向A1に沿って突出しているため、各人は、仕切部80によって分割された各空間内で、台座B1に着座して気流を体感できる。またガイド部8が、反射部3Hを支持しているため、空気流をガイドするガイド部8とは別に反射部3Hを支持するための支持部材を設ける必要がなくなる。
【0102】
そして、この変形例5の気流環境システム1Iでは、各人は、台座B1の上面において、隣り合う2つの仕切部80の間の領域に着座することで、2つの仕切部80で囲まれた空間内で、対応する放出口5から放出される気流を体感できる。特に仕切部80で仕切られていることで、横に着座する人と一定の距離が保たれ、また横の人からの視線を遮る可能性が高くなる。結果的に、気流環境システム1Iを利用する各人に、安心感を与えることができる。
【0103】
またこの変形例5の気流環境システム1Iでは、天井面の側から本体部30を吊るすための部位が不要であり、例えば天井が吹き抜けのような空間でも、気流環境システム1Iの設置導入が容易となる。
【0104】
(3.6)変形例6
以下、変形例6の気流環境システム1Jについて、
図14を参照しながら説明する。ただし、基本例の気流環境システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0105】
変形例6の気流環境システム1Jは、略半円筒状(かまぼこ状)となった本体部30を有する反射部3Iを備える点で、基本例の気流環境システム1と相違する。
【0106】
図14は、変形例6の気流環境システム1Jの外観斜視図である。変形例6の気流環境システム1Jは、例えば、複数の人が利用して学習をしたり仕事をしたりできるように複数(ここでは6つ)の椅子401及び作業机402(長机)が設置された作業空間に適用されることが想定される。
【0107】
変形例6の気流環境システム1Jの反射部3Iは、本体部30と、1又は複数(ここでは一対)の支持部33とを有している。本体部30は、一方向に沿って長尺である。本体部30は、その長手方向の両端及び下面が開放された、略半円筒状となっている。本体部30の長手方向は、作業机402の長手方向に沿っている。言い換えると、略半円筒状の本体部30の軸方向は、作業机402の長手方向に沿っている。本体部30は、軸方向に沿って見て、天井面に向かって凸となるように円弧状に湾曲した板状の部位である。一対の支持部33は、天井面の側から本体部30を吊るすための部位である。
【0108】
気流環境システム1Jの送風システム2の筐体7Jは、作業机402を兼ねている。作業机402は、本体部30の軸方向に沿って長尺の直方体状の基台403と、基台403の上に載置されている扁平な板状の天板404とを含む。各人は、椅子401に着座して、天板404の上にノートパソコン等を載せ置き、作業を遂行できる。
【0109】
作業机402の周囲には6つの椅子401が配置されている。具体的には、作業机402の幅方向における両側部のうちの一方である第1側部402Aと対向するように、3つの椅子401が、本体部30の軸方向に沿って並ぶ。同様に、作業机402の幅方向における両側部の他方である第2側部402Bと対向するように、残りの3つの椅子401が、本体部30の軸方向に沿って並ぶ。作業机402(筐体7J)の基台403内には、送風装置4等が収容されている。吸気口6は、基台403の外周面に配置されている(
図13では2か所について図示)。ここでは、椅子401に着座した各人が還流する空気流によって包まれるように、略半円筒状の本体部30の幅寸法(径寸法)が設定されている。
【0110】
気流環境システム1Jにおいては、放出口5は、天板404の中央部に設けられた開口により構成される。天板404の開口は、基台403内における送風装置4が収容されている収容空間と連通している。ここでは、天板404の開口から異物が侵入しないように、例えばメッシュ状の保護カバーで覆われていることが望ましい。
【0111】
この気流環境システム1Jでは、略半円筒状の反射部3Iに当たった空気流が還流しやすい構成を実現している。すなわち、放出口5から放出された空気流は、略半円筒状の本体部30の内面に当たり、幅方向のおける両側(二手)に分かれるように還流することになる。したがって、椅子401に着座する各人は、気流を体感しながら作業を遂行できる。
【0112】
ところで、変形例6の別の例として、
図15に示すような、気流環境システム1Kが提供されてもよい。気流環境システム1Kでは、作業机402の幅方向における両側部の一方である第1側部402Aと対向するように、3つの椅子401が、本体部30の軸方向に沿って並ぶ。一方、作業机402の幅方向における両側部の他方である第2側部402Bは、建物等の造営材である壁405に近接した状態になっている。
【0113】
またこの気流環境システム1Kの反射部3Jは、上述した反射部3Iの本体部30の、幅方向における一方の片側(
図14では右片側)のみとなった本体部30を有している。
【0114】
この気流環境システム1Kでは、椅子401に着座する各人は、壁405を向く形態で作業を行うことになる。この構成においても、気流を体感しながら作業を遂行できる。特に、壁405が、変形例5で説明した「ガイド部8」として機能する。つまり、壁405が、特定の方向A1に沿って反射部3Jへ流れる空気流をガイドし得る。結果的に、還流する空気流の安定性を更に向上できる。
【0115】
(3.7)その他の変形例
基本例における送風装置4、投光部E1、スピーカ部F1、及び機能部G1は、気流環境システム1において必須の構成要素ではなく、気流環境システム1は、これらのうち少なくとも1つを備えていなくてもよい。また基本例における吸気口6は、気流環境システム1において必須の構成要素ではなく、気流環境システム1は、吸気口6を備えていなくてもよい。
【0116】
基本例では、特定の方向A1は、鉛直方向に平行であり、さらに鉛直上向きであるが、鉛直下向きでもよい。あるいは、特定の方向A1は、鉛直方向と交差する方向でもよい。ただし、特定の方向A1は、少なくとも鉛直方向に平行である方が、放出口5の側へ還流する空気流の形成を容易に行うことができる。
【0117】
基本例では、投光部E1及び照明部E2の両方が設けられているが、これらのうちのいずれか一方のみが設けられてもよい。また取付部35が取り付けられる対象物は、基本例の配線ダクト200以外にも、給電機能(導体部)を有さないレール部材でもよい。
【0118】
基本例では、反射部3は、支持部33を介して、天井面の側から本体部30を吊るすように構成されている。しかし、傘の柄部(軸)のように、支持部33の第1端は、本体部30の内側の頂点(第1領域31の中心)に取り付けられ、支持部33の第2端は、筐体7の甲板70に固定されてもよい。
【0119】
あるいは支持部33は、全体として略J字状に形成されてもよい。具体的には、支持部33の第1端は、(基本例と同様に)本体部30の外側の頂点に取り付けられ、支持部33の中間部は、中空部9を迂回するように湾曲し、支持部33の第2端は、床面101に固定されてもよい。
【0120】
基本例では、反射部3は、全体として傘形状であるが、その内側に曲面300を有していればよく、例えば、全体としてブロック状に形成されて、その下面だけが曲面300となるように凹んでいてもよい。
【0121】
基本例では、反射部3は、その内側に曲面300を1つのみ有している。しかし、反射部3は、連続する複数の曲面300を有してもよい。言い換えると、反射部3の内側において、放出口5に近づく方向に凸となるような変曲点が1又は複数存在してもよい。
【0122】
基本例では、気流環境システム1は、操作部J1を介して稼働するが、例えば、人感センサを備えて、人を検知すると、自動的に稼働するように構成されてもよい。
【0123】
基本例における反射部3の本体部30は、傘が柄を中心に折り畳まれるように、萎めたり拡げたりできてもよい。要するに、本体部30開口面積は、設置現場において適宜に可変であってもよい。
【0124】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、放出口(5)と、反射部(3、3A~3J)と、を備える。放出口(5)は、少なくとも特定の方向(A1)に沿って流れる空気流を、環境空間(100)に放出する。反射部(3、3A~3J)は、特定の方向(A1)において放出口(5)と対向するように配置され、特定の方向(A1)に沿って流れる空気流が当たる。反射部(3、3A~3J)は、環境空間(100)において、当たった空気流を放出口(5)の側へ還流させるように構成される。第1の態様によれば、環境空間(100)に形成される気流の体感性の向上を図ることができる。
【0125】
第2の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)に関して、第1の態様において、反射部(3、3A~3J)は、第1領域(31)と、第2領域(32)と、を有することが好ましい。第1領域(31)には、特定の方向(A1)に沿って流れる空気流が当たる。第2領域(32)は、第1領域(31)の周囲にあり、第1領域(31)で当たった空気流が沿うように流れて放出口(5)の側へ還流させる。第2の態様によれば、例えば第1領域(31)を中心として放出口(5)の側へ還流される空気流の層が形成され易くなり、当該層によって環境空間(100)が2つの空間に区分けされる可能性が高くなる。よって、気流の体感性が更に向上される。
【0126】
第3の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)に関して、第2の態様において、第2領域(32)は、特定の方向(A1)と直交する方向に沿って第1領域(31)から離れるほど、放出口(5)の側へ近づくように湾曲していることが好ましい。第3の態様によれば、放出口(5)の側へ還流される空気流の層が更に形成され易くなる。
【0127】
第4の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)に関して、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、環境空間(100)には、第1流路(P1)と、第2流路(P2)と、が形成されることが好ましい。第1流路(P1)にて、放出口(5)から放出された空気流が反射部(3、3A~3J)に向かって流れる。第2流路(P2)にて、反射部(3、3A~3J)に当たった空気流が放出口(5)の側へ還流する。特定の方向(A1)に沿って見た時に、第2流路(P2)は、第1流路(P1)を囲むように形成される。第4の態様によれば、例えば、第1流路(P1)の側に近づく人にとっては、第2流路(P2)を通じて還流する空気流の層に触れる可能性が高くなる。よって、気流の体感性が更に向上される。特に、第2流路(P2)を通じて還流する空気流の速度は、放出口(5)から放出された空気流の速度よりも小さくなり得る。したがって、逆に、放出口(5)から放出された空気が第2流路(P2)を通って反射部(3、3A~3J)に向い、第1流路(P1)を通って放出口(5)の側へ還流する場合に比べて、第1流路(P1)の側に近づく人に不快感を与える可能性を低減できる。
【0128】
第5の態様に係る気流環境システム(1、1A~1H、1J)に関して、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、放出口(5)と反射部(3、3A~3G、3I)とは、特定の方向(A1)において、空隙の中空部(9)を介して互いに離間することが好ましい。放出口(5)から放出される空気流、及び放出口(5)の側へ還流する空気流は、中空部(9)を流れる。第5の態様によれば、放出口(5)と反射部(3、3A~3G、3I)とが中空部(9)を介して互いに離間するため、環境空間(100)内に居る人に開放感を与える可能性を高めることができる。
【0129】
第6の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)に関して、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、特定の方向(A1)は、鉛直方向に平行であることが好ましい。第6の態様によれば、例えば特定の方向(A1)が鉛直方向と交差する方向である場合に比べて、放出口(5)の側へ還流する空気流の形成を容易に行うことができる。
【0130】
第7の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)に関して、第6の態様において、特定の方向(A1)は、鉛直上向きであることが好ましい。第7の態様によれば、放出口(5)の側へ還流する(鉛直下向きの)空気流の形成を、より安定的に行うことができる。
【0131】
第8の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、送風装置(4)を、更に備えることが好ましい。送風装置(4)は、特定の方向(A1)に沿って流れる空気流を発生させて放出口(5)に送る。第8の態様によれば、環境空間(100)に形成される気流の体感性の向上を図ることが可能な、送風装置(4)付きの気流環境システム(1、1A~1K)を提供できる。
【0132】
第9の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、第8の態様において、環境空間(100)に繋がる吸気口(6)を、更に備えることが好ましい。送風装置(4)は、反射部(3、3A~3J)から放出口(5)の側へ還流された空気流を、吸気口(6)から吸い込み、特定の方向(A1)に沿って流れる空気流を発生させる。第9の態様によれば、環境空間(100)に形成される空気流の循環をより安定的に行うことができる。
【0133】
第10の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、反射部(3、3A~3J)の側に向けて光を照射する投光部(E1)を、更に備えることが好ましい。第10の態様によれば、環境空間(100)に対して、気流に加えて、光(明るさ)を提供できる。
【0134】
第11の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、放出口(5)の側に向けて光を照射する照明部(E2)を、更に備えることが好ましい。第11の態様によれば、環境空間(100)に対して、気流に加えて、光(例えば明るさ)を提供できる。
【0135】
第12の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、第1~第11の態様のいずれか1つにおいて、反射部(3、3A~3J)の側に向けて音を鳴らすスピーカ部(F1)を、更に備えることが好ましい。第12の態様によれば、環境空間(100)に対して、気流に加えて、音(例えば音響)を提供できる。
【0136】
第13の態様に係る気流環境システム(1、1A~1H、1J、1K)に関して、第1~第12の態様のいずれか1つにおいて、反射部(3、3A~3G、3I、3J)は、配線ダクト(200)に取り付けられる取付部(35)を有することが好ましい。第13の態様によれば、反射部(3、3A~3G、3I、3J)の設置に関する施工性が向上される。
【0137】
第14の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、第1~第13の態様のいずれか1つにおいて、放出口(5)から環境空間(100)に放出する空気流に対して、付加要素を付与する機能部(G1)を、更に備えることが好ましい。付加要素は、香り、空気浄化、及び温度変化のうちの少なくとも1つを含む。第14の態様によれば、空気流に対して、付加要素を付与できる。
【0138】
第15の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)に関して、第1~第14の態様のいずれか1つにおいて、放出口(5)は、床面(101)、又は椅子(303)を構成する部材の一面に配置されることが好ましい。第15の態様によれば、放出口(5)が、例えば専用の筐体の一面に配置される場合に比べて、環境空間(100)の美観が損なわれる可能性を低減しつつ、利便性が向上され得る。
【0139】
第16の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、第1~第15の態様のいずれか1つにおいて、特定の方向(A1)に沿って反射部(3、3A~3J)へ流れる空気流をガイドするガイド部(8)を、更に備える。第16の態様によれば、還流する空気流の安定性を更に向上できる。
【0140】
第17の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)に関して、第16の態様において、ガイド部(8)は、環境空間(100)を、特定の方向(A1)の周方向(D4)に沿って2つ以上に分割する仕切部(80)を有する。第17の態様によれば、仕切部(80)によって分割された複数の空間の各々において個別に、気流の体感性の向上を図ることができる。
【0141】
第18の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)は、第17の態様において、人が着座可能な台座(B1)を更に備える。仕切部(80)は、台座(B1)から、特定の方向(A1)に沿って突出している。第18の態様によれば、仕切部(80)によって分割された各空間内で、台座(B1)に着座して気流を体感できる。
【0142】
第19の態様に係る気流環境システム(1、1A~1K)に関して、第16~第18の態様のいずれか1つにおいて、ガイド部(8)は、反射部(3、3A~3J)を支持する。第19の態様によれば、空気流をガイドするガイド部(8)とは別に反射部(3、3A~3J)を支持するための支持部材を設ける必要がなくなる。
【0143】
第2~第19の態様に係る構成については、気流環境システム(1、1A~1K)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0144】
1、1A~1K 気流環境システム
3、3A~3J 反射部
31 第1領域
32 第2領域
35 取付部
4 送風装置
5 放出口
6 吸気口
8 ガイド部
80 仕切部
9 中空部
100 環境空間
101 床面
200 配線ダクト
303 椅子
A1 特定の方向
B1 台座
D4 周方向
E1 投光部
E2 照明部
F1 スピーカ部
G1 機能部
P1 第1流路
P2 第2流路