IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7511176制御システム、制御方法、及びプログラム
<>
  • 特許-制御システム、制御方法、及びプログラム 図1
  • 特許-制御システム、制御方法、及びプログラム 図2
  • 特許-制御システム、制御方法、及びプログラム 図3
  • 特許-制御システム、制御方法、及びプログラム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】制御システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20240628BHJP
   G08B 31/00 20060101ALI20240628BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G08B27/00 C
G08B31/00 B
G08B17/00 C
G08B17/00 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020042351
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021144445
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】上津 智宏
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-113357(JP,A)
【文献】特開2009-169659(JP,A)
【文献】特開2020-161070(JP,A)
【文献】特開2015-041110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に配置されて火災に関連する火災関連事象を検知する検知部から検知結果を取得する取得部と、
前記取得部が取得する検知結果に基づいて前記施設で発生する火災の拡大規模を推測する推測部と、
前記推測部の推測結果に応じた処理を行う処理部と、を備え、
前記処理部が、
前記推測部の推測結果に応じて火災に関する通知情報を出力する通知エリアを設定するエリア設定部と、
前記エリア設定部が設定した前記通知エリアに存在する通知先端末に対して前記通知情報を出力する情報通知部と、を含む、
制御システム。
【請求項2】
前記エリア設定部は、前記推測部の推測結果が変化すると前記通知エリアを再設定する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記エリア設定部は、前記推測部の推測結果と、風向きと風速との少なくとも一方を検知する風検知センサの検知結果とに基づいて、前記通知エリアを設定する、
請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記エリア設定部は、前記推測部によって推測された前記火災の拡大規模が大きいほど、前記通知エリアをより広い範囲に設定する、
請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記エリア設定部は、前記施設の周辺の地域に複数の区分エリアを設定し、前記複数の区分エリアから選択した1以上の区分エリアを前記通知エリアに設定する、
請求項1~4のいずれかに記載の制御システム。
【請求項6】
前記エリア設定部は、前記推測部の推測結果と、外部情報を取得する外部情報取得システムが取得した前記外部情報とに基づいて、前記通知エリアを設定する、
請求項1~5のいずれかに記載の制御システム。
【請求項7】
前記情報通知部は、前記推測部によって推測された前記火災の拡大規模に応じて、前記通知情報の内容を変更する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項8】
前記推測部は、前記取得部が取得する検知結果と、前記施設に関連する施設情報とに基づいて、前記火災の拡大規模を推測する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記施設には、複数の前記検知部が配置されており、
前記推測部は、前記火災関連事象を検知した前記検知部の個数と、前記個数の単位時間あたりの変化数との少なくとも一方に基づいて、前記拡大規模を推測する、
請求項1~8のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項10】
前記検知部は、ガスを検知するガス検知部を含み、
前記推測部は、前記ガス検知部が検知したガスの種類に基づいて、前記拡大規模を推測する、
請求項1~9のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項11】
前記検知部は、煙を検知する煙検知部を含み、
前記推測部は、前記煙検知部が検知した煙の濃度と前記濃度の単位時間あたりの変化量との少なくとも一方に基づいて、前記拡大規模を推定する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項12】
前記検知部は、周囲の温度を検知する熱検知部を含み、
前記推測部は、前記熱検知部が検知した温度と、前記温度の単位時間あたりの変化量との少なくとも一方に基づいて、前記拡大規模を推定する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項13】
前記推測部が前記拡大規模を推測するために利用した情報を外部システムに出力する情報提供部を、更に備える、
請求項1~12のいずれか1項に記載の制御システム。
【請求項14】
施設に配置されて火災に関連する火災関連事象を検知する検知部から検知結果を取得する第1処理と、
前記第1処理で取得した前記検知結果に基づいて前記施設で発生する火災の拡大規模を推測する第2処理と、
前記第2処理での推測結果に応じて火災に関する通知情報を出力する通知エリアを設定する第3処理と、
前記第3処理において設定した前記通知エリアに存在する通知先端末に対して前記通知情報を出力する第4処理と、を含む、
制御方法。
【請求項15】
コンピュータシステムに、
請求項14に記載の制御方法を実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、火災発生時の処理を制御する制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の住宅にそれぞれ設けられた複数の警報システムを連携させる警報連携システムを開示する。各警報システムは、火災を検知した場合に相互に警報する複数の住警器を備える。警報連携システムでは、ある住宅の警報システムで火災を検知した場合、他の住宅の警報システムに火災連携連動信号を伝送し、連携元警報システムでの異常を示す異常警報を出力させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-252689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の警報連携システムでは、ある住宅の警報システムで火災を検知した場合、予め登録されている他の住宅の警報システムに火災連携連動信号を伝送している。そのため、ある住宅で発生した火災の拡大規模が大きい場合に、延焼する可能性がある住宅に火災連携連動信号が伝送されない可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能な制御システム、制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の制御システムは、取得部と、推測部と、処理部と、を備える。前記取得部は、検知部から検知結果を取得する。前記検知部は、施設に配置されて火災に関連する火災関連事象を検知する。前記推測部は、前記取得部が取得する検知結果に基づいて前記施設で発生する火災の拡大規模を推測する。前記処理部は、前記推測部の推測結果に応じた処理を行う。前記処理部が、前記推測部の推測結果に応じて火災に関する通知情報を出力する通知エリアを設定するエリア設定部と、前記エリア設定部が設定した前記通知エリアに存在する通知先端末に対して前記通知情報を出力する情報通知部と、を含む。
【0007】
本開示の一態様の制御方法は、第1処理と、第2処理と、第3処理と、第4処理と、を含む。前記第1処理では、検知部から検知結果を取得する。前記検知部は、施設に配置されて火災に関連する火災関連事象を検知する。前記第2処理では、前記第1処理で取得した前記検知結果に基づいて前記施設で発生する火災の拡大規模を推測する。前記第3処理では、前記第2処理での推測結果に応じて火災に関する通知情報を出力する通知エリアを設定する。前記第4処理では、前記第3処理において設定した前記通知エリアに存在する通知先端末に対して前記通知情報を出力する。
【0008】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータシステムに、前記制御方法を実行させるための、プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能な制御システム、制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る制御システムを含む全体システムの概略的なシステム構成図である。
図2図2は、同上の制御システムの一適用例を説明する図である。
図3図3は、同上の制御システムの動作を示すフローチャートである。
図4図4は、同上の制御システムが通知情報を通知する通知エリアの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
本実施形態に係る制御システム10は、図1に示すように、取得部21と、推測部22と、処理部23と、を備える。取得部21は、検知部D1から検知結果を取得する。検知部D1は、施設100に配置されて、火災に関連する火災関連事象を検知する。推測部22は、取得部21が取得する検知結果に基づいて施設100で発生する火災の拡大規模を推測する。処理部23は、推測部22の推測結果に応じた処理を行う。
【0013】
ここにおいて、「火災関連事象」とは、例えば、火災の大きさ又は火勢に応じて変化するような第1事象と、火災の大きさ又は勢いに影響を与えるような第2事象とを含む。第1事象としては、例えば、火災の発生に伴う温度上昇、煙の発生状態、及び不完全燃焼ガス等の発生状態、等がある。第2事象としては、火災の発生場所付近における可燃性ガス及び可燃物の存在状態、施設100内に配置された暖房器具又は調理器具等の機器の動作状態、等がある。また、火災の「拡大規模」とは、火災の大きさ又は火災が広がる範囲のことを言う。火災の「拡大規模の推測」とは、施設100で発生した火災がどの程度の規模(例えばボヤ、部分焼、半焼、又は全焼)まで拡大するかを推測すること、施設100の周囲への延焼の有無及び延焼の範囲を推測することを含み得る。また、処理部23が行う「処理」は、火災が燃え広がる範囲にある他の施設に配置された端末又は他の施設を利用するユーザに対して火災が燃え広がる可能性を通知する通知処理を少なくとも含み、公的又は民間の消防組織に対して火災の拡大規模の推測結果を通知する通知処理等を含んでもよい。
【0014】
本実施形態の制御システム10では、推測部22が、取得部21によって取得された火災関連事象の検知結果に基づいて、火災の拡大規模を推測する。そして、処理部23が、推測部22の推測結果に応じた処理を行っているので、火災の拡大規模の大小に応じた処理を行うことができる。したがって、本開示によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能な制御システム10を提供することができる。
【0015】
本実施形態の制御システム10は、例えば、戸建の住宅のような施設100(図1及び図2参照)に適用される。制御システム10は、戸建の住宅のような施設100において火災が発生した場合に火災の拡大規模を推測し、その推測結果に応じた処理を行う。本実施形態では、施設100が戸建の住宅であることを想定するが、施設100は、戸建の住宅に限定されず、集合住宅(マンション)であってもよい。更に、施設100は、住宅に限らず、非住宅、例えば、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港等であってもよい。
【0016】
(2)詳細
(2.1)構成
以下、本実施形態の制御システム10について図面を参照して詳しく説明する。
【0017】
本実施形態の制御システム10は、図1及び図2に示すように、住宅のような施設100に配置されている。本実施形態では、図4に示すように複数の施設100が立ち並ぶ住宅街C1において、複数の施設100の各々に制御システム10が配置されている場合を例に説明を行う。図4の例では、12戸の施設100が二列に配置された区画B1~B9が道路を隔てて配置されている。なお、住宅街C1にある複数の施設100(住宅)の全てに制御システム10が配置されていることは必須ではなく、一部の施設100に制御システム10が配置されていなくてもよい。
【0018】
図1は、制御システム10が配置されている施設100の概略的なシステム構成図であり、当該施設100には、上記の制御システム10と共に、検知部D1と、風検知センサ5と、中継装置40と、が配置されている。中継装置40は、インターネット等のネットワークNT1に接続されており、施設100に配置された制御システム10と、ネットワークNT1に接続された外部システム200等との間の通信を中継する中継機能を有している。外部システム200は、例えば、複数の施設100の状況を監視するサービス等を提供する事業者、又は自治体等の公的機関が運営するサーバを含み得る。
【0019】
検知部D1は、施設100に配置され、施設100において発生する火災に関連する火災関連事象を検知する。本実施形態では、検知部D1として、火災感知器1と、煙検知部2と、ガス検知部3と、熱検知部4とが施設100に配置されている。なお、検知部D1が、火災感知器1、煙検知部2、ガス検知部3、及び熱検知部4を全て含むことは必須ではない。検知部D1は、火災感知器1、煙検知部2、ガス検知部3、及び熱検知部4のうちの1つ以上を含んでいればよく、また他の火災関連事象を検知するセンサを含んでもよい。
【0020】
火災感知器1は、施設100内の設置対象の空間にある天井、又は壁等に設置される。火災感知器1は、例えば、サーモパイルなどの温度センサと、煙の有無を感知する光電式の煙センサとを有し、熱と煙との少なくとも一方に基づいて、火災が発生しているか否かを感知する。火災感知器1は、無線通信機能を有し、火災の発生を感知すると、火災の検知信号を無線送信する。
【0021】
本実施形態では、施設100内に複数の火災感知器1が配置されている。以下の説明において複数の火災感知器1を区別する場合、火災感知器1A~1Eと表記する場合もある。図2に示すように複数の火災感知器1A~1Eは、施設100内の複数の空間E1~E5にそれぞれ配置されている。ここにおいて、複数の火災感知器1A~1Eのうち、例えば火災感知器1Aが親器として用いられ、他の火災感知器1B~1Eが子機として用いられる。火災感知器1A~1Eは相互に無線通信を行っており、子機である火災感知器1B~1Eが火災を感知すると、火災の発生を音と光との両方で報知するとともに、親器である火災感知器1Aに火災の検知信号を無線送信する。親器である火災感知器1Aは、火災感知器1B~1Eのいずれかから火災の検知信号を受信すると、火災の発生を音と光との両方で報知するとともに、火災感知器1B~1Eのうち発報元以外の火災感知器1に連動信号を送信し、発報元以外の火災感知器1においても火災の発生を音と光との両方で報知させる。また、親器である火災感知器1Aは、当該火災感知器1Aで火災の発生を感知するか、子機である火災感知器1B~1Eから火災の検知信号を受信すると、火災の発生を報知する報知信号を制御システム10に無線送信する。ここで、火災感知器1B~1Eは連動信号を受信した後も、当該火災感知器で火災を感知すると、火災感知器1Aに火災の検知信号を無線送信する。そして、親器である火災感知器1Aは、火災を感知した火災感知器1の数が変化するごとに、火災を感知した火災感知器1の個数を示す情報を、制御システム10に無線送信する。
【0022】
煙検知部2は、環境中の煙の濃度を検知する光電式の煙センサと、制御システム10との間で無線通信するための無線通信機能とを備える。煙検知部2は、煙センサによって煙が検知されると、煙の濃度を示す濃度情報を制御システム10に無線送信する。
【0023】
ガス検知部3は、環境中の空気に含まれるガスの種類を検知可能な電気化学式又は半導体式のガスセンサと、制御システム10との間で無線通信するための無線通信機能とを備える。ガス検知部3は、ガスセンサによって検知対象のガスが検知されると、ガスセンサが検知したガスの種類及びその濃度を示す情報を制御システム10に無線送信する。
【0024】
熱検知部4は、例えば、施設100の外壁に設置されており、施設100の外部での火災による熱を検知する。なお、熱検知部4は、施設100の内部に設置されてもよく、施設100の内部で火災による熱を検知してもよい。熱検知部4は、周囲の温度を検知するための、サーミスタ又はサーモパイルなどの感温センサと、制御システム10との間で無線通信するための無線通信機能とを備える。熱検知部4は、感温センサの検知結果を示す情報を制御システム10に無線送信する。
【0025】
また、本実施形態の制御システム10は、施設100に配置された風検知センサ5と連携する。風検知センサ5は、例えば施設100において外気と接触する部位(施設100の屋上等)に配置される。風検知センサ5は、施設100の周囲に吹く風の風向きと風力とを測定する風向風力計等で構成される。風検知センサ5は、制御システム10と無線通信する無線通信機能を有しており、風向き及び風力の検知結果を示す情報を制御システム10に無線送信する。なお、風検知センサ5は、風向きと風力の両方を検知するものに限定されず、風向きと風力との少なくとも一方を検知するものでもよい。
【0026】
ここにおいて、検知部D1及び風検知センサ5が備える無線通信機能は、例えばWi-SUN(登録商標)の規格(国際標準規格IEEE 802.15.4g)に準拠した無線通信インタフェースを含む。検知部D1及び風検知センサ5は、例えば920MHzの無線周波数帯の電波を用いて無線通信を行う。なお、検知部D1及び風検知センサ5が備える無線通信機能は、WiSUN(登録商標)の規格に準拠した無線通信インタフェースを含むものに限定されず、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の規格に準拠した無線通信インタフェースを含むものでもよいし、規格に準拠しない独自の通信方式の無線通信インタフェースを含むものでもよい。
【0027】
制御システム10は、信号処理部20と、第1通信部31と、第2通信部32と、記憶部33と、を備える。本実施形態では、制御システム10は、例えば、施設100内で使用されるエネルギーを管理するHEMS(Home Energy Management System)のコントローラと兼用されている。なお、制御システム10は、HEMSのコントロールを兼用するものに限定されず、専用のシステムであってもよい。
【0028】
第1通信部31は、施設100に配置された検知部D1及び風検知センサ5との間で無線通信を行う。第1通信部31は、例えば、Wi-SUN(登録商標)の規格に準拠した無線通信インタフェースを有し、920MHzの無線周波数帯の電波を用いて無線通信を行う。なお、第1通信部31は、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の規格に準拠した無線通信インタフェースを有するものでもよい。
【0029】
第2通信部32は、中継装置40とネットワークNT1とを介して、外部システム200、外部情報取得システム300、及び消防指令サーバ400等と通信を行う。また、第2通信部32は、中継装置40を介して、又は、中継装置40とネットワークNT1とを介して、当該施設100を利用するユーザが使用する情報端末50との間で通信を行う。また、第2通信部32は、中継装置40とネットワークNT1とを介して、他の施設100に配置された制御システム10、又は、他の施設100を利用するユーザが使用する情報端末50との間で通信を行うことも可能である。ここにおいて、情報端末50は、施設100に設置されているディスプレイ一体型の端末装置でもよいし、ユーザによって携帯される携帯情報端末(例えばスマートフォン又はタブレット型コンピュータ等)でもよい。
【0030】
記憶部33は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等から選択されるデバイスで構成される。記憶部33は、施設100に配置された火災感知器1、煙検知部2、ガス検知部3、熱検知部4、及び風検知センサ5の識別情報と、それらの設置場所に関する設置場所情報とを記憶する。また、記憶部33は、施設100に関する施設情報として、施設100に設けられた複数の部屋(空間E1~E5)の数、用途及びその配置に関する情報を記憶する。また、記憶部33は、施設情報として、施設100で使用される機器(例えばエアコンディショナ90及び電気ヒータ等の暖房器具、並びに、ガスコンロ等の調理器具)の種類、及びその設置場所に関する情報を記憶する。
【0031】
信号処理部20は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが信号処理部20として機能する。
【0032】
信号処理部20は、上述した取得部21、推測部22、及び処理部23の機能を有し、更に情報提供部26の機能を有している。
【0033】
取得部21は、第1通信部31を介して、検知部D1である火災感知器1、煙検知部2、ガス検知部3、及び熱検知部4から検知結果を示す情報を取得する。また、取得部21は、第1通信部31を介して風検知センサ5から検知結果を取得する。また、取得部21は、第2通信部32を介して、制御システム10と連携する外部情報取得システム300から外部情報を取得する。外部情報は、例えば、施設100において発生する火災に関連する情報であり、例えば電子掲示板又はブログ等に書き込まれる情報、SNS(Social Networking Service)を通じて伝達される情報、施設100を含む地域の現在及び将来の天気(気温、湿度、降雨、風向、風力等)に関する気象情報、等を含み得る。外部情報取得システム300は、例えば電子掲示板又はブログ等を運営する事業者のサーバ、SNSを提供する事業者のサーバ、現在の天気に関する気象データ及び将来の天気に関する予報データを提供する気象サービスを行う事業者のサーバ、等である。
【0034】
推測部22は、検知部D1の検知結果に基づいて、施設100で火災が発生したと判断すると、その火災の拡大規模を推測する。なお、推測部22による拡大規模の推測処理については「(2.3)推測処理」において、より詳細に説明する。
【0035】
処理部23は、エリア設定部24及び情報通知部25の機能を含む。
【0036】
エリア設定部24は、推測部22による推測結果に基づいて、火災に関する通知情報を出力する通知エリアを設定する。通知情報は、火災の発生を通知する情報を少なくとも含み、火災が拡大する拡大規模を通知する情報、又は火災からの避難を促す情報を含んでもよい。なお、エリア設定部24が通知エリアを設定する処理については「(2.4)通知エリアの設定処理」において、より詳細に説明する。
【0037】
なお、本実施形態では、推測部22が、任意の時間間隔で火災の拡大規模を推測する処理を繰り返し実行しており、エリア設定部24は、推測部22による推測結果が変化すると、通知エリアを動的に変化させている。すなわち、エリア設定部24は、推測部22の推測結果が変化すると、通知エリアを再設定している。火災規模が大きくなる方向に推測部22の推測結果が変化すると、エリア設定部24は、より広い範囲を通知エリアとするように通知エリアを再設定するので、火災の影響が及ぶ範囲に存在する通知先端末に通知情報が出力されない可能性を低減できる。また、火災規模が小さくなる方向に推測部22の推測結果が変化すると、エリア設定部24は、より狭い範囲を通知エリアとするように通知エリアを再設定するので、火災の影響が及ばない範囲に存在する通知先端末に対して不要な通知情報が出力されるのを抑制できる。
【0038】
情報通知部25は、エリア設定部24が設定した通知エリアに存在する通知先端末に対して通知情報を出力する。情報通知部25は、例えば、第2通信部32から中継装置40及びネットワークNT1を介して通知エリアに存在する1又は複数の施設100の通知先端末に通知情報を送信させる。ここにおいて、通知先端末は、通知エリアに存在する施設100に配置された制御システム10、又は当該施設100を利用するユーザが使用する情報端末50を含み得る。通知先端末は、民間の警備会社等が運用するサーバを含んでもよく、当該サーバは、施設100からの通知情報を受信すると、警備会社の巡回員に巡回を指示したり、公的な消防組織への通報を行ったりしてもよい。
【0039】
情報提供部26は、推測部22が火災の拡大規模を推測するために利用した情報(この情報を推測元情報とも言う)を外部システム200に出力する。推測元情報は、取得部21が検知部D1から取得した火災関連情報を含み、例えば、火災感知器1、煙検知部2、ガス検知部3、及び熱検知部4の検知結果のうちの少なくとも1つを含む。情報提供部26は、第2通信部32から中継装置40とネットワークNT1とを介して、外部システム200に推測元情報を送信する。外部システム200は、施設100から送信された推測元情報に基づいて、施設100で発生した火災の規模等を独自に評価することができる。なお、情報提供部26は、第2通信部32から中継装置40とネットワークNT1とを介して、消防指令サーバ400に推測元情報を送信してもよく、消防指令サーバ400において火災の推測元情報を収集、蓄積することができる。消防指令サーバ400は、例えば公的な消防組織が運営するサーバであって、消火活動を行う部隊に対して指示を出すサーバである。
【0040】
(2.2)動作説明
本実施形態の制御システム10の動作を図3及び図4等に基づいて説明する。なお、図3に示すフローチャートは、本実施形態に係る制御方法の一例に過ぎず、処理の順序が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は省略されてもよい。
【0041】
施設100に配置された検知部D1及び風検知センサ5は適宜のタイミングで検知動作を行っており、制御システム10の取得部21は、第1通信部31を介して、検知部D1及び風検知センサ5から検知結果を取得する処理(第1処理)を行う(ST1)。なお、第1処理において、取得部21は、第2通信部32を介して外部情報取得システム300から外部情報を取得してもよい。取得部21は、例えば、一定時間が経過するごとに検知部D1から検知結果を示す情報を取得する処理を行ってもよいし、何らかの事象(例えば外部システム200からの指示入力)をトリガとして検知部D1から検知結果を示す情報を取得する処理を行ってもよい。また、取得部21は、検知部D1から任意のタイミングで送信された検知結果を示す情報を取得してもよい。
【0042】
次に、推測部22は、検知部D1の検知結果に基づいて火災が発生したか否かを判断し、火災が発生したと判断した場合には火災の拡大規模を推測する処理(第2処理)を行う(ST2)。なお、推測部22による推測処理については「(2.3)推測処理」でより詳細に説明する。
【0043】
その後、処理部23が、推測部22の推測結果に応じた処理(第3処理)を行う(ST3)。具体的には、エリア設定部24が火災の拡大規模に応じて通知情報を通知する通知エリアを設定する。例えば、エリア設定部24は、火災の拡大規模に応じて半径L1を設定し、施設100を中心とする半径L1の円R1で囲まれる領域を通知エリアとして設定する。なお、エリア設定部24による通知エリアの設定処理については「(2.4)通知エリアの設定処理」でより詳細に説明する。
【0044】
そして、情報通知部25が、第2通信部32から、通知エリア(例えば円R1で囲まれる領域)に存在する通知先端末、及び通知エリア内に存在する施設100と紐付けられた通知先端末に対して通知情報を送信させる。
【0045】
制御システム10は、処理ST1~ST3を繰り返し実行しており、施設100での火災の発生を監視し、火災が発生した場合には火災の拡大規模を推測して、通知エリアを設定し、通知エリア内の通知先端末に対して通知情報を出力することができる。
【0046】
制御システム10から通知情報を受信した通知先端末は、この通知情報を、当該通知先端末のユーザに報知する処理を行う。これにより、通知先端末のユーザは、通知情報に基づいて避難したり、周囲の人に避難を呼びかけたり、公的な消防組織へ火災発生を通報したりする行動をとることができる。
【0047】
なお、情報通知部25は、推測部22によって推測された火災の拡大規模に応じて、通知情報の内容を変更してもよい。例えば、火災の拡大規模が大きいほど、通知先端末のユーザに対して、避難を強く訴えるような内容の通知情報を送信してもよく、通知情報を受け取ったユーザのうち、実際に避難を開始するユーザの数を増やすことができる。
【0048】
(2.3)推測処理
推測部22は、火災感知器1、煙検知部2、ガス検知部3、及び熱検知部4の検知結果に基づいて火災の拡大規模を推測しており、以下にその具体例を説明する。
【0049】
本実施形態では、それぞれ火災関連事象を検知する複数の検知部D1が施設100に配置されている。具体的には、施設100には、複数の火災感知器1と、煙検知部2と、ガス検知部3と、熱検知部4とが配置されている。施設100に配置された複数の検知部D1のうち、火災に伴って発生する火災関連事象を検知した検知部D1(例えば火災感知器1等)が多いほど火災の規模が大きいと推測される。したがって、推測部22は、火災関連事象を検知した検知部D1の個数が多いほど、現在の火災の規模が大きく、したがって火災が広がる範囲が広い、つまり火災の拡大規模が大きいと推測する。また、火災の勢いが大きい場合は、火災の範囲が広がる速度が速くなると推測されるので、推測部22は、火災関連事象を検知した検知部D1の個数の単位時間あたりの変化数が多くなるほど、火災の拡大規模が大きいと判断する。このように、推測部22は、火災関連事象を検知した検知部D1の個数と、火災関連事象を検知した検知部D1の個数の単位時間あたりの変化数との少なくとも一方に基づいて、拡大規模を推測している。火災関連事象を検知した検知部D1の個数が多いほど、また火災関連事象を検知した検知部D1の個数の単位時間あたりの増加数が多いほど、現在の火災の規模が大きく、また火災が広がる範囲が広いと判断でき、火災の拡大規模が大きいと判断できる。一方、火災関連事象を検知した検知部D1の個数が少ないほど、また火災関連事象を検知した検知部D1の個数の単位時間あたりの増加数が少ないほど、現在の火災の規模が小さく、また火災が広がる範囲が狭いと判断でき、火災の拡大規模が小さいと判断できる。すなわち、推測部22が、火災関連事象を検知した検知部D1の個数と、火災関連事象を検知した検知部D1の個数の単位時間あたりの変化数との少なくとも一方に基づいて、拡大規模を推測することで、より正確に拡大規模を推測できる。なお、火災関連事象を検知した検知部D1の個数が減少したり、この個数の単位時間あたりの変化数が低下したりする場合は、火勢が衰えていると推測できるので、このような場合には推測部22は火災の拡大規模をより小さく推測する。
【0050】
また、推測部22は、ガス検知部3が検知したガスの種類に基づいて、拡大規模を推測してもよい。例えば、酸素及びメタンなどの可燃性ガスの濃度が高いほど火の勢いが大きいと推測される。したがって、推測部22は、可燃性ガスの濃度が高いほど現在の火災の規模が大きく、火災が広がる範囲も大きくなる、つまり火災の拡大規模がより大きい規模であると推測してもよい。また、可燃性ガスの濃度が減少し、二酸化炭素等の濃度が増加すると、推測部22は、火の勢いが弱まっていると判断し、火災の拡大規模をより小さい範囲に推測してもよい。
【0051】
また、推測部22は、煙検知部2が検知した煙の濃度と、その濃度の単位時間あたりの変化量との少なくとも一方に基づいて、拡大規模を推測してもよい。例えば、推測部22は、煙の濃度が高いほど火勢が強いと判断し、濃度が低い場合に比べて火災の規模が大きくなる、つまり拡大規模がより大きい規模であると推測する。また、推測部22は、煙の濃度の単位時間あたりの変化量が相対的に大きい場合は、変化量が相対的に小さい場合に比べて火災の拡大規模をより大きい規模に推測する。このように、推測部22は、煙の濃度に応じて火災の拡大規模を推測しており、火災の拡大規模をより正確に推測できる。
【0052】
また、推測部22は、熱検知部4が検知した温度と、温度の単位時間あたりの変化量との少なくとも一方に基づいて、火災の拡大規模を推定してもよい。例えば、推測部22は、熱検知部4が検知した温度が高いほど火勢が強いと判断し、温度が低い場合に比べて火災の規模が大きくなる、つまり火災の拡大規模をより大きい規模に推測する。また、推測部22は、熱検知部4が検知した温度の単位時間あたりの変化量が相対的に大きい場合は、変化量が相対的に小さい場合に比べて火災の拡大規模をより大きい規模に推測する。このように、推測部22は、熱検知部4によって検知される温度に応じて火災の拡大規模を推測しており、火災の拡大規模をより正確に推測できる。
【0053】
なお、推測部22は、取得部21が取得した検知部D1の検知結果と、記憶部33に記憶された施設情報とに基づいて、火災の拡大規模を推測してもよい。例えば、推測部22は、施設情報をもとに火災の火元が可燃物の多い空間である場合は、可燃物の少ない場所である場合に比べて火災の規模が大きくなる、つまり火災の拡大規模をより大きく推測してもよい。また、推測部22は、火災が発生した火元の空間の広さ及び場所(1階か2階か)、窓の有無、等を考慮して火災の拡大範囲を推測してもよい。
【0054】
なお、同じ空間に配置された複数の検知部D1のうちの1つだけが火災関連情報を検知し、他の検知部D1が火災関連情報を検知していない場合、推測部22は、火災関連情報の検知が誤検知であると判断してもよい。これにより、通知先端末に対して通知情報が誤って出力されるのを防止することができる。
【0055】
(2.4)通知エリアの設定処理
上記実施形態では、エリア設定部24は、推測部22が推測した火災の拡大規模に応じて半径L1を設定し、火災が発生した施設100を中心とする半径L1の円R1で囲まれる領域を通知エリアとして設定している。
【0056】
ここで、エリア設定部24は、推測部22によって推測された火災の拡大規模が大きいほど、通知エリアをより広い範囲に設定しており、火災の拡大規模が大きいほど、より広い範囲に通知情報が出力される。例えば、エリア設定部24は、火災の拡大規模が大きいほど、半径L1を大きい値に設定することで、通知エリアをより広い範囲に設定する。火災の拡大規模が大きくなると、火災の影響がより広い範囲に発生すると推測されるので、より広い範囲に通知情報を出力することで、火災の影響が及ぶ範囲に存在する通知先端末に対して通知情報を通知することができる。
【0057】
また、エリア設定部24は、推測部22の推測結果に加えて、風検知センサ5の検知結果に更に基づいて通知エリアを設定してもよい。例えば風上に比べて風下の方が延焼範囲が広くなる傾向があるので、エリア設定部24は、風上に比べて風下の方を広くするように楕円形の領域を通知エリアとして設定してもよい。また、風が強いほど延焼範囲が広くなる傾向があるので、エリア設定部24は、風が強いほど通知エリアを広くするように通知エリアを設定してもよい。
【0058】
また、エリア設定部24は、施設100の周辺の地域(住宅街C1)に複数の区分エリア(例えば複数の施設100の集まりである複数の区画B1~B6)を設定し、複数の区分エリアから選択した1以上の区分エリアを通知エリアに設定してもよい。例えば、エリア設定部24は、推測部22が推測した火災の拡大規模に応じて半径L1を設定し、火災が発生した施設100を中心とする半径L1の円R1に少なくとも一部が含まれる区画を通知エリアとして設定する。図4の例では、円R1に4つの区画B2,B4,B5,B6の一部が含まれているので、エリア設定部24は、これらの区画B2,B4,B5,B6を通知エリアとし、通知エリア内に存在する通知先端末に通知情報を送信させる。図4では、通知エリアに設定される区画B2,B4,B5,B6にドットを付けて、他の区画と区別している。これにより、制御システム100は、区画単位で通知情報を出力することができ、同じ区画にある複数の施設100において一部の施設100には通知情報が通知されるのに、別の一部の施設100には通知情報が出力されないような事態を回避できる。
【0059】
また、エリア設定部24は、推測部22の推測結果と、取得部21が外部情報取得システム300から取得した外部情報とに基づいて、通知エリアを設定してもよい。つまり、エリア設定部24は、推測部22の推測結果と、外部情報取得システム300が取得する外部情報とに基づいて、通知エリアを設定してもよい。例えば、外部情報が現在の天気に関する気象データ又は将来の天気の予報データである場合、エリア設定部24は、空気が乾燥し、風が強い場合には通知エリアを広い範囲に設定し、湿度が高く雨が降る予報が出ている場合には通知エリアを狭い範囲に設定する。また、外部情報が、施設100で発生した火災に関するSNS等の情報である場合、エリア設定部24は、SNS等の情報を更に考慮して火災の拡大規模を再評価し、拡大規模に応じた通知エリアを設定することができる。
【0060】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、制御システム10と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る制御方法は、第1処理と、第2処理と、第3処理と、を含む。第1処理(ST1)では、検知部D1から検知結果を取得する。検知部D1は、施設100に配置されて火災に関連する火災関連事象を検知する。第2処理(ST2)では、第1処理で取得した検知結果に基づいて施設100で発生する火災の拡大規模を推測する。第3処理(ST3)では、第2処理での推測結果に応じた処理を行う。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、コンピュータシステムに、上記の制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0061】
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0062】
本開示における制御システム10は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0063】
また、制御システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御システム10に必須の構成ではなく、制御システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、制御システム10の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0064】
上記実施形態では、処理部23が、通知エリアに存在する通知先端末に通知情報を出力しているが、通知エリアの外にある特定機器に対して通知情報を出力してもよい。例えば、制御システム10の記憶部33には、特定機器の連絡先情報(例えばメールアドレス)が予め設定されている。特定機器は、当該施設100のユーザに関係する人物(例えば離れて住む家族及び親類、同じ団体(学校、会社等)に属する関係者、又は知人等)が使用する情報端末等である。情報通知部25は、当該施設100で火災が発生した場合、火災の拡大規模を通知する通知情報を、特定機器に出力しており、当該施設100のユーザに関係する人物に当該施設100で発生した火災の拡大規模を報知することができる。
【0065】
また、上記実施形態において、情報通知部25が、例えば推測部22の推測結果に応じて通知先端末に通知情報を出力するか否かを決定してもよい。情報通知部25は、推測部22によって推測された拡大規模が所定の判定閾値よりも大きい場合のみ、通知情報を通知先端末に出力する。これにより、火災の拡大規模が判定閾値以下である場合には、通知情報が通知先端末に送信されないので、不要な通知情報が通知先端末に送信されるのを防止できる。
【0066】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の制御システム(10)は、取得部(21)と、推測部(22)と、処理部(23)と、を備える。取得部(21)は、施設(100)に配置されて火災に関連する火災関連事象を検知する検知部(D1)から検知結果を取得する。推測部(22)は、取得部(21)が取得する検知結果に基づいて施設(100)で発生する火災の拡大規模を推測する。処理部(23)は、推測部(22)の推測結果に応じた処理を行う。
【0067】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0068】
第2の態様の制御システム(10)では、第1の態様において、処理部(23)が、エリア設定部(24)と、情報通知部(25)と、を含む。エリア設定部(24)は、推測部(22)の推測結果に応じて火災に関する通知情報を出力する通知エリアを設定する。情報通知部(25)は、エリア設定部(24)が設定した通知エリアに存在する通知先端末に対して通知情報を出力する。
【0069】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0070】
第3の態様の制御システム(10)では、第2の態様において、エリア設定部(24)は、推測部(22)の推測結果が変化すると通知エリアを再設定する。
【0071】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0072】
第4の態様の制御システム(10)では、第2又は3の態様において、エリア設定部(24)は、推測部(22)の推測結果と、風向きと風速との少なくとも一方を検知する風検知センサ(5)の検知結果とに基づいて、通知エリアを設定する。
【0073】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0074】
第5の態様の制御システム(10)では、第2~4のいずれかの態様において、エリア設定部(24)は、推測部(22)によって推測された火災の拡大規模が大きいほど、通知エリアをより広い範囲に設定する。
【0075】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0076】
第6の態様の制御システム(10)では、第2~5のいずれかの態様において、エリア設定部(24)は、施設(100)の周辺の地域に複数の区分エリアを設定し、複数の区分エリアから選択した1以上の区分エリアを通知エリアに設定する。
【0077】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0078】
第7の態様の制御システム(10)では、第2~6のいずれかの態様において、エリア設定部(24)は、推測部(22)の推測結果と、外部情報を取得する外部情報取得システム(300)が取得した外部情報とに基づいて、通知エリアを設定する。
【0079】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0080】
第8の態様の制御システム(10)では、第2~7のいずれかの態様において、情報通知部(25)は、推測部(22)によって推測された火災の拡大規模に応じて、通知情報の内容を変更する。
【0081】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0082】
第9の態様の制御システム(10)では、第1~8のいずれかの態様において、推測部(22)は、取得部(21)が取得する検知結果と、施設(100)に関連する施設情報とに基づいて、火災の拡大規模を推測する。
【0083】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0084】
第10の態様の制御システム(10)では、第1~9のいずれかの態様において、施設(100)には、複数の検知部(D1)が配置されている。推測部(22)は、火災関連事象を検知した検知部(D1)の個数と、個数の単位時間あたりの変化数との少なくとも一方に基づいて、拡大規模を推測する。
【0085】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0086】
第11の態様の制御システム(10)では、第1~10のいずれかの態様において、検知部(D1)は、ガスを検知するガス検知部(3)を含む。推測部(22)は、ガス検知部(3)が検知したガスの種類に基づいて、拡大規模を推測する。
【0087】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0088】
第12の態様の制御システム(10)では、第1~11のいずれかの態様において、検知部(D1)は、煙を検知する煙検知部(2)を含む。推測部(22)は、煙検知部(2)が検知した煙の濃度と濃度の単位時間あたりの変化量との少なくとも一方に基づいて、拡大規模を推定する。
【0089】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0090】
第13の態様の制御システム(10)では、第1~12のいずれかの態様において、検知部(D1)は、周囲の温度を検知する熱検知部(4)を含む。推測部(22)は、熱検知部(4)が検知した温度と、温度の単位時間あたりの変化量との少なくとも一方に基づいて、拡大規模を推定する。
【0091】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0092】
第14の態様の制御システム(10)では、第1~13のいずれかの態様において、推測部(22)が拡大規模を推測するために利用した情報を外部システムに出力する情報提供部(26)を、更に備える。
【0093】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0094】
第15の態様の制御方法は、第1処理(ST1)と、第2処理(ST2)と、第3処理(ST3)と、を含む。第1処理(ST1)では、施設(100)に配置されて火災に関連する火災関連事象を検知する検知部(D1)から検知結果を取得する。第2処理(ST2)では、第1処理(ST1)で取得した検知結果に基づいて施設(100)で発生する火災の拡大規模を推測する。第3処理(ST3)では、第2処理(ST2)での推測結果に応じた処理を行う。
【0095】
この態様によれば、火災の拡大規模に応じた処理を実行可能である。
【0096】
第16の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第15の態様の制御方法を実行させるためのプログラムである。
【0097】
上記態様に限らず、上記実施形態に係る制御システム(10)の種々の構成(変形例を含む)は、制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化可能である。
【0098】
第2~第14の態様に係る構成については、制御システム(10)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 火災感知器
2 煙検知部
3 ガス検知部
4 熱検知部
5 風検知センサ
10 制御システム
21 取得部
22 推測部
23 処理部
24 エリア設定部
25 情報通知部
26 情報提供部
D1 検知部
ST1 第1処理
ST2 第2処理
ST3 第3処理
図1
図2
図3
図4