(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】点灯装置、照明システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 45/14 20200101AFI20240628BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20240628BHJP
H05B 45/345 20200101ALI20240628BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20240628BHJP
H05B 47/14 20200101ALI20240628BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240628BHJP
H01S 5/068 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
H05B45/14
H05B45/325
H05B45/345
H05B45/375
H05B47/14
H02M3/155 H
H02M3/155 U
H01S5/068
(21)【出願番号】P 2020084812
(22)【出願日】2020-05-13
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 弘通
(72)【発明者】
【氏名】西野 博之
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-146278(JP,A)
【文献】特開2017-143001(JP,A)
【文献】特開2019-071211(JP,A)
【文献】特開2001-352756(JP,A)
【文献】特開2015-216813(JP,A)
【文献】特表2011-527078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00 - 39/10
H05B 45/00 - 45/58
H05B 47/00 - 47/29
H02M 3/00 - 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の出力電圧を出力するコンバータと、
前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されてオンオフするスイッチ素子と、
前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持するピークホールド回路と、
前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める誤差回路と、
前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する電圧制御回路と、を備
え、
前記ピークホールド回路は、前記発生電流のピーク値として、前記光源に流れる負荷電流のピーク値を保持する
点灯装置。
【請求項2】
直流の出力電圧を出力するコンバータと、
前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されてオンオフするスイッチ素子と、
前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持するピークホールド回路と、
前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める誤差回路と、
前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する電圧制御回路と、を備え、
前記電圧制御回路は、前記誤差と三角波との比較を行い、当該比較結果に基づいて前記コンバータを制御する
点灯装置。
【請求項3】
直流の出力電圧を出力するコンバータと、
前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されてオンオフするスイッチ素子と、
前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持するピークホールド回路と、
前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める誤差回路と、
前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する電圧制御回路と、を備え、
前記誤差回路は、前記誤差を第1誤差として求める第1誤差回路であり、
前記電圧制御回路は、
前記光源に流れる負荷電流と前記第1誤差との差分である第2誤差を求める第2誤差回路と、
前記第2誤差と三角波との比較を行い、当該比較結果に基づいて前記コンバータを制御する駆動回路と、を備える
点灯装置。
【請求項4】
前記第2誤差回路は、前記負荷電流の平均値と前記第1誤差との差分を前記第2誤差として求める
請求項3の点灯装置。
【請求項5】
前記負荷電流の検出結果である電流検出信号の微分成分を求める微分回路を更に備え、
前記第2誤差回路は、前記微分成分を含む信号の平均値と前記第1誤差との差分を前記第2誤差として求める
請求項4の点灯装置。
【請求項6】
前記スイッチ素子がオン状態を維持していないときに前記基準値を第1値に設定し、前記スイッチ素子がオン状態を維持しているときに前記基準値を前記第1値より低い第2値に設定する基準値切替回路と、
前記スイッチ素子がオン状態を維持していない状態から、前記スイッチ素子がオン状態を維持する状態になると、前記ピークホールド回路が保持している前記ピーク値をリセットするリセット回路と、
前記ピークホールド回路に対する前記発生電圧又は前記発生電流の入力経路に設けられたダイオードと抵抗との並列回路と、を更に備える
請求項3乃至5のいずれか1つの点灯装置。
【請求項7】
直流の出力電圧を出力するコンバータと、
前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されてオンオフするスイッチ素子と、
前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持するピークホールド回路と、
前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める誤差回路と、
前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する電圧制御回路と、を備え、
前記スイッチ素子は、前記スイッチ素子が導通しているときに前記光源に流れる負荷電流の瞬時値が目標値に一致するように動作する
点灯装置。
【請求項8】
直流の出力電圧を出力するコンバータと、
前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されてオンオフするスイッチ素子と、
前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持するピークホールド回路と、
前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める誤差回路と、
前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する電圧制御回路と、を備え、
前記発生電圧又は前記発生電流のピーク値が入力される前記ピークホールド回路の入力に接続されたスナバ回路を更に備える
点灯装置。
【請求項9】
前記ピークホールド回路は、前記発生電流のピーク値として、前記光源に流れる負荷電流のピーク値を保持する
請求項2乃至8のいずれか1つの点灯装置。
【請求項10】
前記ピークホールド回路は、前記発生電圧のピーク値として、前記スイッチ素子の両端電圧のピーク値を保持する
請求項2乃至8のいずれか1つの点灯装置。
【請求項11】
前記光源は、少なくとも1つの固体発光素子を備える
請求項1乃至10のいずれか1つの点灯装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの固体発光素子は、レーザーダイオードである
請求項11の点灯装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1つの点灯装置と、
前記点灯装置から電力を供給される
前記光源と、を備える
照明システム。
【請求項14】
コンピュータを、請求項1乃至12のいずれか1つの点灯装置が備える前記ピークホールド回路、前記誤差回路、及び前記電圧制御回路の一部又は全部として機能させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点灯装置、照明システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源を流れる電流を断続するスイッチを備える点灯装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1の装置は、光源と、電源回路と、スイッチと、信号発生回路と、電流抑制回路と、を備える。電源回路は、光源へ電流を供給し、電流の定電流化を図る。スイッチは、光源と直列に接続され、光源を流れる電流を断続する。信号発生回路は、照明光を変調するためにスイッチのオン及びオフを制御する二値の通信信号を発生する。電流抑制回路は、光源及びスイッチと直列に接続され、可変の電流設定値を超えないように、光源を流れる電流を抑制する。
【0004】
また、特許文献2では、調光特性が損なわれることを低減するために、補助電源回路を更に備える。補助電源回路は、補助電源電圧を生成し、生成した補助電源電圧に基づく電力を、スイッチ、及びスイッチの駆動回路に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-139211号公報
【文献】特開2019-145479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1、2のような点灯装置は、スイッチ素子(スイッチ)のオンオフを制御することで、光源に供給する負荷電流を調整する。
【0007】
しかしながら、点灯開始時、及び光源の調光レベルの変更時などのように出力が変化する過渡時には負荷電流が脈動し、光源の光がちらついてしまう、という課題があった。
【0008】
本開示の目的とするところは、光源に直列接続されたスイッチ素子のオンオフを制御することで出力を調整し、かつ、過渡時における光源のちらつきを抑制できる点灯装置、照明システム、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る点灯装置は、コンバータと、スイッチ素子と、ピークホールド回路と、誤差回路と、電圧制御回路と、を備える。前記コンバータは、直流の出力電圧を出力する。前記スイッチ素子は、前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されオンオフする。前記ピークホールド回路は、前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持する。前記誤差回路は、前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める。前記電圧制御回路は、前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する。前記ピークホールド回路は、前記発生電流のピーク値として、前記光源に流れる負荷電流のピーク値を保持する。
本開示の一態様に係る点灯装置は、コンバータと、スイッチ素子と、ピークホールド回路と、誤差回路と、電圧制御回路と、を備える。前記コンバータは、直流の出力電圧を出力する。前記スイッチ素子は、前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されオンオフする。前記ピークホールド回路は、前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持する。前記誤差回路は、前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める。前記電圧制御回路は、前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する。前記電圧制御回路は、前記誤差と三角波との比較を行い、当該比較結果に基づいて前記コンバータを制御する。
本開示の一態様に係る点灯装置は、コンバータと、スイッチ素子と、ピークホールド回路と、誤差回路と、電圧制御回路と、を備える。前記コンバータは、直流の出力電圧を出力する。前記スイッチ素子は、前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されオンオフする。前記ピークホールド回路は、前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持する。前記誤差回路は、前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める。前記電圧制御回路は、前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する。前記誤差回路は、前記誤差を第1誤差として求める第1誤差回路である。前記電圧制御回路は、第2誤差回路と、駆動回路と、を備える。前記第2誤差回路は、前記光源に流れる負荷電流と前記第1誤差との差分である第2誤差を求める。前記駆動回路は、前記第2誤差と三角波との比較を行い、当該比較結果に基づいて前記コンバータを制御する。
本開示の一態様に係る点灯装置は、コンバータと、スイッチ素子と、ピークホールド回路と、誤差回路と、電圧制御回路と、を備える。前記コンバータは、直流の出力電圧を出力する。前記スイッチ素子は、前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されオンオフする。前記ピークホールド回路は、前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持する。前記誤差回路は、前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める。前記電圧制御回路は、前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する。前記スイッチ素子は、前記スイッチ素子が導通しているときに前記光源に流れる負荷電流の瞬時値が目標値に一致するように動作する。
本開示の一態様に係る点灯装置は、コンバータと、スイッチ素子と、ピークホールド回路と、誤差回路と、電圧制御回路と、を備える。前記コンバータは、直流の出力電圧を出力する。前記スイッチ素子は、前記コンバータの出力端間において光源に直列接続されオンオフする。前記ピークホールド回路は、前記スイッチ素子がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持する。前記誤差回路は、前記ピーク値と基準値との差分である誤差を求める。前記電圧制御回路は、前記誤差に応じて前記コンバータを制御して、前記出力電圧を調整する。前記点灯装置は、スナバ回路を更に備える。前記スナバ回路は、前記発生電圧又は前記発生電流のピーク値が入力される前記ピークホールド回路の入力に接続される。
【0010】
本開示の一態様に係る照明システムは、上述の点灯装置と、前記点灯装置から電力を供給される前記光源と、を備える。
【0011】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、上述の点灯装置が備える前記ピークホールド回路、前記誤差回路、及び前記電圧制御回路の一部又は全部として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本開示では、光源に直列接続されたスイッチ素子のオンオフを制御することで出力を調整し、かつ、過渡時における光源のちらつきを抑制できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態の点灯装置を備える照明システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の点灯装置を示す回路図である。
【
図3】
図3Aは、同上の点灯装置が備えるピークホールド回路の第1回路例を示す回路図である。
図3Bは、ピークホールド回路の第2回路例を示す回路図である。
【
図4】
図4は、同上の点灯装置の第1誤差回路の回路例を示す回路図である。
【
図5】
図5は、同上の点灯装置のPWM信号のデューティと、負荷電流のピーク値及び平均値との関係を示す特性図である。
【
図6】
図6は、同上の点灯装置の動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図7】
図7は、同上の点灯装置の動作を説明するための別のタイムチャートである。
【
図8】
図8は、同上の第1変形例の点灯装置を示す回路図である。
【
図9】
図9は、同上の第2変形例の点灯装置を示す回路図である。
【
図10】
図10Aは、同上の点灯装置が備える積分回路の第1回路例を示す回路図である。
図10Bは、積分回路の第2回路例を示す回路図である。
図10Cは、積分回路の第3回路例を示す回路図である。
図10Dは、積分回路の第4回路例を示す回路図である。
【
図11】
図11は、同上の第3変形例の点灯装置を示す回路図である。
【
図12】
図12Aは、同上の点灯装置が備える非反転増幅回路の第1回路例を示す回路図である。
図12Bは、非反転増幅回路の第2回路例を示す回路図である。
【
図13】
図13Aは、同上の点灯装置が備える微分回路の第1回路例を示す回路図である。
図13Bは、微分回路の第2回路例を示す回路図である。
【
図14】
図14は、同上の第4変形例の点灯装置を示す回路図である。
【
図15】
図15は、同上の第5変形例の点灯装置を示す回路図である。
【
図16】
図16は、同上の第6変形例の点灯装置における断続回路を示す回路図である。
【
図17】
図17は、同上の第7変形例の点灯装置におけるスナバ回路を示す回路図である。
【
図18】
図18は、同上の点灯装置の各部の波形を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の実施形態は、一般に、点灯装置、照明システム、及びプログラムに関する。より詳細には、以下の実施形態は、光源に直列接続されたスイッチ素子のオンオフを制御することで出力を調整する点灯装置、照明システム、及びプログラムに関する。
【0015】
以下に本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(1)基本構成
図1は、照明システム1の構成を示す。照明システム1は、電源装置2、点灯装置3、及び光源4を備える。
【0017】
電源装置2は、外部電源9に電気的に接続している。外部電源9は、例えば100V系又は200V系の商用電力系統である。電源装置2は、外部電源9から交流電圧V1を供給され、交流電圧V1を電圧変換して直流電圧V2を生成し、生成した直流電圧V2を点灯装置3へ供給する。なお、外部電源9は、太陽光、風力、燃料電池、又はバイオマスなどを利用又は併用した電源であってもよい。
【0018】
点灯装置3は、コンバータ31、断続回路32、ピークホールド回路33、第1誤差回路34、電圧制御回路35、及び調光回路300を備える。点灯装置3は、直流電圧V2を入力されて、直流の出力電圧V3を出力し、光源4へ負荷電流I3を供給する。
【0019】
コンバータ31は、昇降圧機能、昇圧機能、及び降圧機能のいずれかを有するスイッチング電源回路である。コンバータ31は、交流電力の力率を改善する力率改善機能を更に有することが好ましい。コンバータ31が昇降圧機能を有する場合、コンバータ31は、SEPIC(Single Ended PrimaryInductor Converter)回路、CUK回路、及びZETA回路のいずれかの構成を備えることが好ましい。
【0020】
コンバータ31は、電源装置2から直流電圧V2を入力され、電圧制御回路35に制御されることで、直流の出力電圧V3を出力する。コンバータ31の出力端間には、光源4と断続回路32との直列回路が接続されている。光源4と断続回路32との直列回路には、出力電圧V3が印加される。調光回路300は、断続回路32内で生成されるPWM(Pulse Width Modulation)信号Y1のデューティを調光レベルに応じて可変とし、断続回路32は、調光レベルに応じたデューティで負荷電流I3を断続する。光源4を流れる負荷電流I3は、第1誤差回路34に接続された基準電位Vr1により可変となり、光源4の調光を行うことができる。
【0021】
光源4は、固体発光素子としてレーザーダイオード(LD:Laser Diode)を用いており、1個以上のLDを備える。
図1の光源4は、直列接続された複数のLD41を備える。直列接続された複数のLD41を備える場合、隣り合う一対のLD41では、一方のLD41のカソードが、他方のLD41のアノードに接続している。
図1では、光源4として複数のLD41を図示しているが、光源4は、1個以上のLD41を備えていればよい。光源4は、高電位側をアノード側とし、低電位側をカソード側とする。
【0022】
断続回路32は、光源4に直列接続されたスイッチ素子320、バッファIC321、ゲート抵抗322、及び断続信号回路323を備える。断続信号回路323は、PWM信号Y1を生成し、PWM信号Y1のデューティに応じてスイッチ素子320をオンオフして、光源4に流れる負荷電流I3を断続する。なお、PWM信号Y1のデューティは、PWM信号Y1のPWM周期に対して、PWM信号Y1がHレベルとなる時間の割合である。また、スイッチ素子320のデューティは、PWM周期に対してスイッチ素子32がオンとなる時間の割合であり、PWM信号Y1のデューティと同じ(又はほぼ同じ)になる。
【0023】
光源4がLD41を備える場合は、レーザーダイオードの発光原理から、PWM調光が好ましい。LD41のレーザー発振を維持するためには、下限値以上の負荷電流I3が必要であり、負荷電流I3の振幅を可変として調光する振幅制御では、調光レベルが低くなるとレーザー発振が停止して、光源4が消灯しやすくなる。そこで、LD41を備える光源4を調光する場合には、断続回路32を用いたPWM調光を行う。
【0024】
しかしながら、PWM調光を行う場合、カメラ及びビデオ機器などのデジタル映像機器への影響も懸念される。デジタル映像機器への影響を抑制するためには、PWM周波数をデジタル映像機器のスキャン周波数よりも高く設定する必要があるが、昨今の高画質化に伴って益々の高周波化が要求されている。そこで、本実施形態では、コンバータ31のスイッチング周波数を100kHzとし、断続回路32のPWM周波数を30kHzとする。
【0025】
さらに、特に舞台照明及びスタジアム照明などの用途においては、点灯開始時及び調光レベルの変更時などのように光出力が変化する過渡時において、調光レベルが変化し始めてから、調光レベルが目標レベルに安定するまでに要する時間(応答時間)の短縮が求められている。照明用の通信プロトコルであるDMX512(Digital Multiplex 512)では、調光信号にデジタルのDMX信号を用いるが、DMX信号を用いた制御には、例えば300msec程度の応答時間が要求される。しかしながら、PWM調光では、光出力が変化する過渡時に、負荷電流I3の脈動が発生しやすくなる。負荷電流I3が脈動すると、脈動が収まるまで光出力が不安定になり、光源4の光がちらついてしまう。すなわち、従来のPWM調光では、過渡時の応答性がよくなかった。特に、スイッチ素子320のオン期間が短くなる(PWM信号Y1のデューティが小さくなる)にしたがって、負荷電流I3の脈動の継続期間がより長くなり、応答時間がより長くなる傾向にあった。このように、PWM調光では、過渡時における応答性の向上が求められている。
【0026】
そこで、点灯装置3は、ピークホールド回路33、第1誤差回路34、及び電圧制御回路35を備える。ピークホールド回路33は、スイッチ素子320がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値を保持する。第1誤差回路34は、ピーク値と基準値との差分である第1誤差を求める。電圧制御回路35は、第1誤差に応じてコンバータ31を制御して、出力電圧V3を調整する。この結果、点灯装置3は、コンバータ31の出力電圧V3を調整し、かつ、過渡時における光源4のちらつきを抑制できる。
【0027】
【0028】
(2.1)コンバータ
コンバータ31は、
図2に示すように、インダクタL1、L2、コンデンサC1、ダイオードD1、出力コンデンサC2、及びスイッチング素子Q1を備えて、SEPIC回路を構成する。インダクタL1とインダクタL2とは、同じ鉄心に巻き回されていてもよいし、それぞれ別の鉄心に巻き回されていてもよい。直流電圧V2が印加されるコンバータ31の入力端間には、正側入力端(直流電圧V2の正電位)から負側入力端(直流電圧V2の負電位)に向かって、インダクタL1、コンデンサC1、ダイオードD1、出力コンデンサC2を順に接続した直列回路が接続されている。インダクタL1とコンデンサC1との接続点と負側入力端との間には、スイッチング素子Q1が接続されている。
図1のスイッチング素子Q1は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFET(Metal Oxide SemiconductorField Effect Transistor:電界効果トランジスタ)である。スイッチング素子Q1のドレインは、インダクタL1とコンデンサC1との接続点に接続され、スイッチング素子Q1のソースは、負側入力端に接続される。なお、スイッチング素子Q1は、MOSFET以外に、例えばバイポーラトランジスタなどの他の半導体スイッチング素子であってもよい。
【0029】
コンデンサC1とダイオードD1との接続点と負側入力端との間には、インダクタL2が接続されている。そして、出力コンデンサC2の両端電圧が出力電圧V3になる。なお、ダイオードD1のアノードはコンデンサC1に接続され、ダイオードD1のカソードは出力コンデンサC2の正極に接続されている。
【0030】
そして、スイッチング素子Q1がオンすると、正側入力端、インダクタL1、スイッチング素子Q1、負側入力端の順序で電流が流れて、インダクタL1にエネルギー(磁気エネルギー)が蓄積される。また、スイッチング素子Q1がオンすると、コンデンサC1、スイッチング素子Q1、インダクタL2、コンデンサC1の順序で電流が流れて、インダクタL2にエネルギー(磁気エネルギー)が蓄積される。
【0031】
次に、スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1及びインダクタL2に蓄積されているエネルギーによって、出力コンデンサC2が充電される。また、スイッチング素子Q1がオフすると、インダクタL1を通じて直流電圧V2によってコンデンサC1が充電される。
【0032】
そして、スイッチング素子Q1がスイッチング周波数でオンオフすることによって、直流電圧V2を入力とする昇降圧動作が行われ、出力コンデンサC2の両端間に直流の出力電圧V3が発生する。コンバータ31は、出力コンデンサC2の正極及び負極に接続する一対の出力端を備えており、一対の出力端から出力電圧V3を出力する。コンバータ31の出力端間には、光源4と断続回路32との直列回路が接続されている。
【0033】
(2.2)調光回路
調光回路300は、光源4の調光レベルを指示する調光信号Y0をPWM信号回路323へ出力する。例えば、調光信号Y0は、直流の電圧信号である。調光信号Y0の電圧値は、指示する調光レベルが高いほど小さくなり、指示する調光レベルが低いほど大きくなる。調光回路300は、外部からの指示、タイマの出力、又はセンサの出力などに基づいて、光源4の調光レベルを調整できる。また、調光回路300は、点灯装置3ではなく、点灯装置3の外部の機器に設けられてもよい。
【0034】
(2.3)断続回路
断続回路32は、スイッチ素子320と、バッファ(ドライバIC)321と、ゲート抵抗322と、PWM信号回路323とを備える。スイッチ素子320は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETである。スイッチ素子320のドレインは、光源4のカソード側に接続され、スイッチ素子320のソースは、出力コンデンサC2の負極に接続されている。なお、スイッチ素子320は、MOSFET以外に、例えばバイポーラトランジスタなどの他の半導体スイッチング素子であってもよい。
【0035】
バッファ321は、PWM信号回路323からPWM信号Y1を受け取る。PWM信号Y1は、Hレベル及びLレベル(1及び0)をとり得る2値の電圧信号であり、PWM周波数は例えば30kHzとなる。バッファ321の出力は、ゲート抵抗322を介してスイッチ素子320のゲートに接続しており、バッファ321は、スイッチ素子320をオンオフ駆動する。バッファ321は、PWM信号Y1がHレベルであれば、スイッチ素子320をオンさせ、PWM信号Y1がLレベルであれば、スイッチ素子320をオフさせる。スイッチ素子320がオンすれば、負荷電流I3が光源4に流れ、スイッチ素子320がオフすれば、負荷電流I3が遮断される。すなわち、PWM信号Y1のデューティが変化することで、負荷電流I3がPWM制御されて、光源4がPWM調光される。PWM信号Y1のデューティが大きくなるほど、負荷電流I3の平均値が大きくなり、光源4の調光レベルが高くなる。
【0036】
PWM信号回路323は、PWM調光のために、デューティを可変とするPWM信号Y1を生成する。PWM信号回路323は、調光回路300が出力する調光信号Y0に基づいて、PWM信号Y1のデューティを決定する。本実施形態の調光信号Y0は、直流の電圧信号であり、PWM信号回路323は、調光信号Y0を三角波信号と比較することで、PWM信号Y1を生成する。具体的に、調光信号Y0の電圧値が小さいほど、PWM信号Y1のデューティは大きくなり、調光信号Y0の電圧値が大きいほど、PWM信号Y1のデューティは小さくなる。
【0037】
(2.4)ピークホールド回路
本実施形態のピークホールド回路33は、発生電圧のピーク値として、スイッチ素子320の両端電圧のピーク値を用いる。
【0038】
具体的に、スイッチ素子320のドレインの電圧(スイッチ素子320のドレイン-ソース間電圧)は、スイッチ素子320がオンオフすることによって変化する。そこで、ピークホールド回路33は、スイッチ素子320のドレインに接続して、スイッチ素子320のドレインの電圧を電圧検出信号Vs1として取得する。スイッチ素子320がオフしていれば、電圧検出信号Vs1は、出力電圧V3から光源4の順方向電圧を差し引いた値となる。スイッチ素子320がオンしていれば、電圧検出信号Vs1は、スイッチ素子320のオン電圧になる。そして、ピークホールド回路33は、電圧検出信号Vs1のピーク値をピークホールド電圧Vp1として保持する。すなわち、ピークホールド電圧Vp1は、スイッチ素子320の両端電圧のピーク値に相当する。
【0039】
図3Aは、ピークホールド回路33の第1回路例として、ピークホールド回路33Aを示す。ピークホールド回路33Aは、ダイオードD11、コンデンサC11、及び抵抗R11を備える。ダイオードD11のアノードには電圧検出信号Vs1が入力され、ダイオードD11のカソードには、コンデンサC11と抵抗R11との並列回路が接続されている。この場合、コンデンサC11の両端電圧がピークホールド電圧Vp1となる。
【0040】
図3Bは、ピークホールド回路33の第2回路例として、ピークホールド回路33Bを示す。ピークホールド回路33Bは、トランジスタQ11、NOT論理素子K11、コンデンサC12、及び抵抗R12を備える。トランジスタQ11は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETである。トランジスタQ11のドレインには、電圧検出信号Vs1が入力され、トランジスタQ11のソースには、コンデンサC12と抵抗R12との並列回路が接続されている。NOT論理素子K11にはPWM信号Y1が入力され、NOT論理素子K11の出力は、トランジスタQ11のゲートに接続されている。NOT論理素子K11は、PWM信号Y1を反転させた信号を出力する。したがって、トランジスタQ11は、PWM信号Y1がLレベルであるときにオンし、PWM信号Y1がHレベルであるときにオフする。すなわち、NOT論理素子K11及びトランジスタQ11によって電子シャッター機能を実現している。したがって、スイッチ素子320がオフしているときにトランジスタQ11はオンし、出力電圧V3によってコンデンサC12が充電される。この場合、コンデンサC12の両端電圧がピークホールド電圧Vp1となる。
【0041】
(2.5)第1誤差回路
第1誤差回路34は、基準値生成部340が生成する直流電圧を基準電圧(基準値)Vr1として、ピークホールド電圧Vp1と基準電圧Vr1との差分を第1誤差信号Va1として生成する。
【0042】
図4は、第1誤差回路34の回路例として、第1誤差回路34Aを示す。第1誤差回路34Aは、オペアンプOP21、及び抵抗R21、R22を備える。オペアンプOP21の負入力端子は、抵抗R21を介してピークホールド電圧Vp1を入力される。オペアンプOP21の正入力端子は、基準電圧Vr1を入力される。オペアンプOP21の出力端子と負入力端子との間には抵抗R22が接続されている。したがって、第1誤差回路34Aはピークホールド電圧Vp1及び基準電圧Vr1を入力とする反転増幅回路として動作し、第1誤差信号Va1を出力する。第1誤差信号Va1の電圧値は、基準電圧Vr1からピークホールド電圧Vp1を引いた差分に比例する。
【0043】
(2.6)電圧制御回路
図2では、電圧制御回路35の一例として、電圧制御回路35Aを示す。電圧制御回路35Aは、駆動回路351を備える。駆動回路351は、コンパレータK31、バッファ(ドライバIC)K32、抵抗R31~R33、及び発振器OS31を有し、第1誤差信号Va1に応じてスイッチング素子Q1をスイッチング制御する。
【0044】
第1誤差信号Va1は抵抗R31、R32で分圧され、第1誤差信号Va1の分圧電圧は、コンパレータK31の正入力端子に入力される。発振器OS31は、例えば100kHzの三角波信号(又はのこぎり波信号)Vt1を生成し、コンパレータK31の負入力端子は、三角波信号Vt1を入力される。コンパレータK31は、第1誤差信号Va1と三角波信号Vt1との比較結果を、2値のスイッチング制御信号Vb1として出力する。具体的に、コンパレータK31が出力するスイッチング制御信号Vb1は、第1誤差信号Va1が三角波信号Vt1以上であればHレベルとなり、第1誤差信号Va1が三角波信号Vt1未満であればLレベルとなる。スイッチング制御信号Vb1は、例えば100kHzのPWM信号となり、スイッチング制御信号Vb1のデューティは、第1誤差信号Va1に応じて可変となる。
【0045】
バッファK32は、スイッチング素子Q1のゲートにゲート電圧Vg1を出力して、スイッチング素子Q1をオンオフ駆動する。具体的に、バッファK32は、スイッチング制御信号Vb1がHレベルであれば、スイッチング素子Q1をオンさせ、スイッチング制御信号Vb1がLレベルであれば、スイッチング素子Q1をオフさせる。すなわち、電圧制御回路35は、コンバータ31をPWM制御する。
【0046】
(2.7)過渡時の動作
光源4の光出力が変化する過渡時の動作について、
図5、
図6、及び
図7を用いて説明する。
【0047】
上述の点灯装置3は、スイッチ素子320の両端電圧のピーク値に相当するピークホールド電圧Vp1が一定値になるように、コンバータ31をフィードバック制御する。ここで、ピークホールド電圧Vp1と負荷電流I3のピーク値との間には、ピークホールド電圧Vp1が一定になると、負荷電流I3のピーク値も一定になる、という関係がある。したがって、ピークホールド電圧Vp1が一定値になるようにフィードバック制御されると、負荷電流I3のピーク値も一定値に制御され、かつ、PWM信号Y1のデューティが増加するにつれて負荷電流I3の平均値は大きくなる。
図5は、PWM信号Y1のデューティと、負荷電流I3のピーク値Ip3及び平均値Ia3との関係を表す。PWM信号Y1のデューティを1%~99%の範囲で変化させると、ピーク値Ip3の大きさはI300をほぼ維持し、平均値Ia3はPWM信号Y1のデューティに比例して変化する。
【0048】
例えば、
図6の上段のように、過渡期間T1ではPWM信号Y1のデューティは99%から1%までリニアに減少している。過渡期間T1の時間長さは、例えば300msecである。このとき、負荷電流I3のピーク値の波形の包絡線W1は、
図6の中段に示すようにほぼ一定の大きさを維持しており、脈動が抑えられている。また、電圧検出信号Vs1の波形の包絡線W2は、
図6の下段に示すようにほぼ一定の大きさを維持しており、脈動が抑えられている。
【0049】
また、
図7の上段のように、過渡期間T2ではPWM信号Y1のデューティは1%から99%までリニアに増加している。過渡期間T2の時間長さは、例えば300msecである。このとき、負荷電流I3のピーク値の波形の包絡線W3は、
図7の中段に示すようにほぼ一定の大きさを維持しており、脈動が抑えられている。また、電圧検出信号Vs1の波形の包絡線W4は、
図7の下段に示すようにほぼ一定の大きさを維持しており、脈動が抑えられている。
【0050】
すなわち、光源4の光出力が変化する過渡時における負荷電流I3の脈動の大きさ及び継続時間が抑えられており、点灯装置3は、過渡時における光源4のちらつきを抑制できる。この結果、過渡時における応答時間が短縮され、調光の応答性が向上する。
【0051】
また、点灯装置3では、LD41の順方向電圧が変動する順方向電圧変動に対する補償手段を必要としない。このことは、以下の理由によると考えられる。スイッチ素子320がターンオフした直後の電圧検出信号Vs1の電圧値は、出力電圧V3からスイッチ素子320がオフする直前の負荷電流I3によるLD41の順方向電圧を減じた値になる。すなわち、電圧検出信号Vs1には、スイッチ素子320がターンオフする毎にLD41の順方向電圧が反映されている。この結果、点灯装置3では、LD41の順方向電圧変動に対する補償手段を必要としない。
【0052】
(3)第1変形例
図8は、第1変形例の点灯装置として、点灯装置3Aを示す。点灯装置3Aのピークホールド回路33は、発生電流のピーク値として、負荷電流I3のピーク値を保持する。なお、点灯装置3(
図2参照)と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0053】
点灯装置3Aは、検出抵抗Ra1を備える。検出抵抗Ra1は、スイッチ素子320のソースと出力コンデンサC2の負極との間に接続されている。すなわち、出力コンデンサC2の両端間には、光源4、スイッチ素子320、及び検出抵抗Ra1の直列回路が接続されている。したがって、検出抵抗Ra1には負荷電流I3が流れ、検出抵抗Ra1の両端間には、負荷電流I3に比例する電圧が発生する。
【0054】
負荷電流I3は、スイッチ素子320がオンオフすることによって変化する。そこで、ピークホールド回路33は、検出抵抗Ra1の両端電圧を電流検出信号Vs2として取得する。スイッチ素子320がオフしていれば、電流検出信号Vs2は、ほぼ0Vとなる。スイッチ素子320がオンしていれば、電流検出信号Vs2は、負荷電流I3に比例する電圧になる。ピークホールド回路33は、電流検出信号Vs2のピーク値をピークホールド電圧Vp1として保持する。
【0055】
そして、点灯装置3と同様に、第1誤差回路34は、ピークホールド電圧Vp1と基準電圧Vr1との差分を第1誤差信号Va1として生成する。電圧制御回路35Aは、第1誤差信号Va1に応じて、スイッチング素子Q1をスイッチング制御する。
【0056】
上述の点灯装置3Aは、負荷電流I3のピーク値に相当するピークホールド電圧Vp1が一定値になるように、コンバータ31をフィードバック制御する。したがって、負荷電流I3のピーク値が一定値に制御され、かつ、PWM信号Y1のデューティが増加するにつれて負荷電流I3の平均値は大きくなる。
【0057】
第1変形例においても、光源4の光出力が変化する過渡時における負荷電流I3の脈動の大きさ及び継続時間が抑えられ、点灯装置3Aは、過渡時における光源4のちらつきを抑制できる。この結果、過渡時における応答時間が短縮され、調光の応答性が向上する。
【0058】
また、点灯装置3Aでは、LD41の順方向電圧が変動する順方向電圧変動に対する補償手段を必要としない。このことは、以下の理由によると考えられる。点灯装置3Aでは、負荷電流I3の平均値がPWM信号Y1のデューティと比例関係になるように出力電圧V3が制御される。出力電圧V3には、LD41の順方向電圧が含まれており、電流検出信号Vs2には、LD41の順方向電圧が反映されている。この結果、点灯装置3Aでは、LD41の順方向電圧変動に対する補償手段を必要としない。
【0059】
(4)第2変形例
図9は、第2変形例の点灯装置として、点灯装置3Bを示す。点灯装置3Bは、検出抵抗Ra2、及び電圧制御回路35Bを備える。なお、点灯装置3(
図2参照)と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0060】
検出抵抗Ra2は、スイッチ素子320のソースと出力コンデンサC2の負極との間に接続されている。すなわち、出力コンデンサC2の両端間には、光源4、スイッチ素子320、及び検出抵抗Ra2の直列回路が接続されている。したがって、検出抵抗Ra2には負荷電流I3が流れ、検出抵抗Ra2の両端間には、負荷電流I3に比例する電圧が発生する。
【0061】
電圧制御回路35Bは、電圧制御回路35Aの駆動回路351に加えて、第2誤差回路352を備える。第2誤差回路352は、オペアンプOP31、積分回路K33、及び抵抗R34を備える。電圧制御回路35Bは、検出抵抗Ra2の両端電圧を電流検出信号Vs3として取得する。
【0062】
オペアンプOP31の負入力端子は、抵抗R34を介して電流検出信号Vs3を入力される。オペアンプOP31の正入力端子は、誤差信号Va1を入力される。オペアンプOP31の出力端子と負入力端子との間には積分回路K33が接続されている。第2誤差回路352は、電流検出信号Vs3の平均値(積分値)と誤差信号Va1との差分を第2誤差として求める。第2誤差回路352は、第2誤差を、第2誤差信号Va2として出力する。
【0063】
第2誤差信号Va2は抵抗R31、R32で分圧され、第2誤差信号Va2の分圧電圧は、コンパレータK31の正入力端子に入力される。コンパレータK31は、第2誤差信号Va2と三角波信号Vt1との比較結果を、2値のスイッチング制御信号Vb1として出力する。バッファK32は、スイッチング制御信号Vb1に応じて、スイッチング素子Q1をオンオフ駆動する。
【0064】
図10Aは、積分回路K33の第1回路例として、積分回路K33Aを示す。積分回路K33Aは、オペアンプOP31の負入力端子と出力端子との間に接続されたコンデンサC41を備える。
【0065】
図10Bは、積分回路K33の第2回路例として、積分回路K33Bを示す。積分回路K33Bは、積分回路K33AのコンデンサC41に直列接続された抵抗R41を更に備える。
【0066】
図10Cは、積分回路K33の第3回路例として、積分回路K33Cを示す。積分回路K33Cは、積分回路K33BのコンデンサC41と抵抗R41との直列回路に並列接続されたコンデンサC42を更に備える。
【0067】
図10Dは、積分回路K33の第4回路例として、積分回路K33Dを示す。積分回路K33Dは、積分回路K33CのコンデンサC42に並列接続された抵抗R42を更に備える。
【0068】
上述の構成を備える第2誤差回路352は、負荷電流I3の平均値と第1誤差信号Va1との差分演算を行う。すなわち、第2誤差回路352は、負荷電流I3の平均値を制御するための誤差アンプである。一方、第1誤差回路34は、スイッチ素子320の両端電圧のピーク値(あるいは負荷電流I3のピーク値)を制御するため誤差アンプである。すなわち、点灯装置3Bでは、スイッチ素子320の両端電圧のピーク値(あるいは負荷電流I3のピーク値)を制御するための第1誤差回路34と、負荷電流I3の平均値を制御するための第2誤差回路352とが直列接続されている。この結果、増幅率の向上など誤差アンプとしての性能が向上し、オペアンプなどの増幅素子の選択肢が広がる。
【0069】
第2変形例においても、光源4の光出力が変化する過渡時における負荷電流I3の脈動の大きさ及び継続時間が抑えられ、点灯装置3Bは、過渡時における光源4のちらつきを抑制できる。この結果、過渡時における応答時間が短縮され、調光の応答性が向上する。
【0070】
(5)第3変形例
図11は、第3変形例の点灯装置として、点灯装置3Cを示す。点灯装置3Cは、非反転増幅回路37、微分回路38、及び抵抗Rbを備える。なお、点灯装置3B(
図9参照)と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0071】
電流検出信号Vs3は、非反転増幅回路37に入力される。非反転増幅回路37は、電流検出信号Vs3を正の増幅率で増幅し、増幅した電流検出信号Vs3を電流検出信号Vs31として出力する。通常、検出抵抗Ra2での電力損失を抑制するために、検出抵抗Ra2の抵抗値は非常に小さい。この結果、電流検出信号Vs3の電圧値も低くなる。そこで、非反転増幅回路37が電流検出信号Vs3を正の増幅率で増幅しておく。
【0072】
図12Aは、非反転増幅回路37の第1回路例として、非反転増幅回路37Aを示す。非反転増幅回路37Aは、オペアンプOP51、及び抵抗R51~R53を備える。オペアンプOP51の正入力端子は、抵抗R51を介して電流検出信号Vs3を入力される。オペアンプOP51の負入力端子は、抵抗R52を介して回路グランドに接続される。オペアンプOP51の出力端子と負入力端子との間には抵抗R53が接続されている。抵抗R51の抵抗値と抵抗R52の抵抗値とは同値であり、非反転増幅回路37Aの増幅率は、[R53の抵抗値/R51の抵抗値]になる。
【0073】
図12Bは、非反転増幅回路37の第2回路例として、非反転増幅回路37Bを示す。非反転増幅回路37Bは、2段の増幅回路を備える。具体的に、非反転増幅回路37Bは、非反転増幅回路37Aの後段に、オペアンプOP52、及び抵抗R54~R56を備える。オペアンプOP52の正入力端子は、抵抗R54を介してオペアンプOP51の出力端子に接続される。オペアンプOP52の負入力端子は、抵抗R55を介して回路グランドに接続される。オペアンプOP52の出力端子と負入力端子との間には抵抗R56が接続されている。抵抗R54の抵抗値と抵抗R55の抵抗値とは同値である。非反転増幅回路37Bの増幅率は、[R53の抵抗値/R51の抵抗値・R56の抵抗値/R54の抵抗値]になる。非反転増幅回路37Aの増幅率と非反転増幅回路37Bの増幅率とが同じであれば、2段構成の非反転増幅回路37Bは、1段構成の非反転増幅回路37Aよりも良好な増幅特性を得ることができる。
【0074】
微分回路38と抵抗Rbとの並列回路は、非反転増幅回路37の出力と電圧制御回路35Bとの間に接続されている。電流検出信号Vs31は、微分回路38と抵抗Rbとの並列回路によって微分信号Vs32に変換される。微分回路38は、電流検出信号Vs31を微分して、電流検出信号Vs31の微分成分(進み成分)を出力する。微分信号Vs32は、微分回路38を通過した微分成分と抵抗Rbを通過した同相成分との和である。微分信号Vs32は、抵抗R34を介して、オペアンプOP31の負入力端子に入力される。
【0075】
図13Aは、微分回路38の第1回路例として、微分回路38Aを示す。微分回路38Aは、抵抗Rbに並列接続されたコンデンサC61を備える。
【0076】
図13Bは、微分回路38の第2回路例として、微分回路38Bを示す。微分回路38Bは、コンデンサC61と抵抗R61との直列回路を備え、コンデンサC61と抵抗R61との直列回路は、抵抗Rbに並列接続される。
【0077】
オペアンプOP31の負入力端子は、抵抗R34を介して微分信号Vs32を入力される。オペアンプOP31の正入力端子は、誤差信号Va1を入力される。オペアンプOP31の出力端子と負入力端子との間には積分回路K33が接続されている。第2誤差回路352は、微分信号Vs32の平均値(積分値)と誤差信号Va1との差分を第2誤差として求める。第2誤差回路352は、第2誤差を、第2誤差信号Va2として出力する。
【0078】
第2誤差信号Va2は抵抗R31、R32で分圧され、第2誤差信号Va2の分圧電圧は、コンパレータK31の正入力端子に入力される。コンパレータK31は、第2誤差信号Va2と三角波信号Vt1との比較結果を、2値のスイッチング制御信号Vb1として出力する。バッファK32は、スイッチング制御信号Vb1に応じて、スイッチング素子Q1をオンオフ駆動する。
【0079】
第3変形例においても、光源4の光出力が変化する過渡時における負荷電流I3の脈動の大きさ及び継続時間が抑えられ、点灯装置3Cは、過渡時における光源4のちらつきを抑制できる。この結果、過渡時における応答時間が短縮され、調光の応答性が向上する。
【0080】
(6)第4変形例
図14は、第4変形例の点灯装置として、点灯装置3Dを示す。点灯装置3Dは、オンオフ判定回路39、リセット回路301、基準値切替回路340a、及び抵抗Rcを備える。また、ピークホールド回路33として、
図3Aに示すピークホールド回路33Aを備える。なお、点灯装置3B(
図9参照)と同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0081】
PWM信号Y1のデューティを100%(光源4の全点灯状態)にすると、スイッチ素子320はオン状態を維持する。ここで、スイッチ素子320がオン状態を維持するとは、スイッチ素子320のデューティが100%であることを意味する。スイッチ素子320がオン状態を維持すると、電圧検出信号Vs1はスイッチ素子320のオン電圧を一定に維持するので、ダイオードD11が非導通状態になる。この結果、PWM信号Y1のデューティを100%にすると、電圧検出信号Vs1のフィードバック経路が遮断され、電圧検出信号Vs1を用いたフィードバック制御が実行不能になる。
【0082】
そこで、点灯装置3Dは、オンオフ判定回路39、リセット回路301、基準値切替回路340a、及び抵抗Rcを備える。
【0083】
ピークホールド回路33AのダイオードD11には、抵抗Rcが並列接続されている。
【0084】
オンオフ判定回路39は、PWM信号回路323からPWM信号Y1を受け取り、PWM信号Y1のデューティが100%であるか否かを判定する。言い換えると、オンオフ判定回路39は、スイッチ素子320がオン状態を維持しているか否かを判定する。
【0085】
リセット回路301は、ワンショット回路K71、トランジスタQ71、及び抵抗R71を備える。ワンショット回路K71は、微分回路又はフリップフロップなどを備えて、オンオフ判定回路39の判定結果に基づいて、PWM信号Y1のデューティが100%になると、パルス信号(短期間だけHレベルに立ち上がる信号)を生成する。すなわち、スイッチ素子320がオン状態を維持していない状態(PWM信号Y1のデューティが100%未満)から、前記スイッチ素子がオン状態を維持する状態(PWM信号Y1のデューティが100%)になると、ワンショット回路K71は、パルス信号を生成する。トランジスタQ71は、パルス信号が立ち上がってHレベルになっている期間だけオンする。トランジスタQ71は、Nチャネルのエンハンスメント型のMOSFETである。トランジスタQ71のドレインは、抵抗R71を介して、ピークホールド回路33Aの出力に接続されている。したがって、トランジスタQ71がオンすると、コンデンサC11の電荷がトランジスタQ71を介して放電され、ピークホールド電圧Vp1が低下する。なお、トランジスタQ71は、MOSFET以外に、例えばバイポーラトランジスタなどの他の半導体スイッチング素子であってもよい。
【0086】
基準値切替回路340aは、オンオフ判定回路39の判定結果に基づいて、基準電圧Vr11の大きさを第1値又は第2値に切り替える。基準電圧Vr11は直流電圧であり、
第2値は第1値より低い値である。具体的に、基準値切替回路340aは、スイッチ素子320がオン状態を維持していない状態(PWM信号Y1のデューティが100%未満)であれば、基準電圧Vr11の大きさを第1値とする。基準値切替回路340aは、スイッチ素子320がオン状態を維持している状態(PWM信号Y1のデューティが100%)であれば、基準電圧Vr11の大きさを第2値とする。すなわち、スイッチ素子320がオン状態を維持しているときの基準電圧Vr11は、スイッチ素子320がオン状態を維持していないときに比べて低くなる。
【0087】
第1誤差回路34は、ピークホールド電圧Vp1と基準電圧Vr11との差分を第1誤差信号Va1として生成する。
【0088】
上述の構成を備える点灯装置3Dでは、ピークホールド回路33AのダイオードD11に抵抗Rcを並列接続することによって、スイッチ素子320がオン状態を維持していても、抵抗Rcを介したフィードバック経路を形成することができる。すなわち、点灯装置3Dは、スイッチ素子320がオン状態を維持したとしても、電圧検出信号Vs1を用いたフィードバック制御を可能とする。
【0089】
但し、抵抗Rcを介した充電経路でコンデンサC11に充電可能なピークホールド電圧Vp1は、ダイオードD11を介した充電経路でコンデンサC11に充電可能なピークホールド電圧Vp1よりも低くなる。そこで、基準値切替回路340aは、スイッチ素子320がオン状態を維持しているときには、スイッチ素子320がオン状態を維持していないときに比べて、基準電圧Vr11の大きさを低下させる。
【0090】
また、PWM信号Y1のデューティが100%未満から100%に達した瞬間には、ピークホールド電圧Vp1は、ダイオードD11を介した充電経路で充電された電圧値を維持している。そこで、PWM信号Y1のデューティが100%未満から100%に達すると、トランジスタQ71がオンすることでコンデンサC11を放電させ、ピークホールド電圧Vp1を低下させる。
【0091】
(7)第5変形例
第5変形例の点灯装置として、第1変形例の点灯装置3A(
図8参照)に、第2変形例の電圧制御回路35B(
図9参照)、更には第3変形例の非反転増幅回路37、微分回路38、及び抵抗Rb(
図11参照)を設けてもよい。
【0092】
例えば、
図15は、電圧制御回路35Bを備える点灯装置3Eを示す。なお、点灯装置3Aと同様の構成には同一の符号を付して、説明は省略する。
【0093】
電圧制御回路35Bは、検出抵抗Ra1の両端電圧を電流検出信号Vs2として取得する。オペアンプOP31の負入力端子は、抵抗R34を介して電流検出信号Vs2を入力される。オペアンプOP31の正入力端子は、誤差信号Va1を入力される。オペアンプOP31の出力端子と負入力端子との間には積分回路K33が接続されている。第2誤差回路352は、電流検出信号Vs2の平均値(積分値)と誤差信号Va1との差分を第2誤差として求める。第2誤差回路352は、第2誤差を、第2誤差信号Va2として出力する。コンパレータK31は、第2誤差信号Va2と三角波信号Vt1との比較結果を、2値のスイッチング制御信号Vb1として出力する。バッファK32は、スイッチング制御信号Vb1に応じて、スイッチング素子Q1をオンオフ駆動する。
【0094】
第5変形例においても、光源4の光出力が変化する過渡時における負荷電流I3の脈動の大きさ及び継続時間が抑えられ、点灯装置は、過渡時における光源4のちらつきを抑制できる。この結果、過渡時における応答時間が短縮され、調光の応答性が向上する。
【0095】
(8)第6変形例
図16は、第6変形例における断続回路32Aを示す。断続回路32Aは、スイッチ素子320A、オペアンプOP81、基準電圧源K81、PWM信号回路323、NOT論理素子K82、及び抵抗R81、R82を備える。スイッチ素子320Aは光源4に直列接続されており、断続回路32Aは、スイッチ素子320Aをオンオフして、光源4に流れる負荷電流I3をPWM制御する。さらに、断続回路32Aは、スイッチ素子320Aが導通しているときの負荷電流I3が目標電流に一致するように動作する。
【0096】
NOT論理素子K82は、PWM信号回路323からPWM信号Y1を受け取り、PWM信号Y1を反転させた信号を出力する。NOT論理素子K82の出力端子は、抵抗R81を介して、オペアンプOP81の負入力端子に接続されている。基準電圧源K81は、負荷電流I3の瞬時値の目標値に相当する直流の目標電圧を生成しており、オペアンプOP81の正入力端子には、目標電圧が入力される。オペアンプOP81の出力端子は、スイッチ素子320Aのゲートに接続されている。
【0097】
スイッチ素子320Aのソースと出力コンデンサC2(
図2、
図8、
図9、
図11、
図14、
図15参照)の負極との間には検出抵抗Raが接続されている。スイッチ素子320Aのソースと検出抵抗Raとの接続点は、抵抗R82を介してオペアンプOP81の負入力端子に接続されている。なお、上述の検出抵抗Ra1又はRa2が検出抵抗Raを兼用してもよい。
【0098】
PWM信号Y1がHレベルであれば、検出抵抗Raの両端電圧を抵抗R81、R82で分圧した分圧電圧が、オペアンプOP81の負入力端子に入力され、オペアンプOP81は、分圧電圧と目標電圧との誤差に応じた正電圧をスイッチ素子320Aのゲートに印加する。したがって、PWM信号Y1がHレベルであれば、スイッチ素子320Aは導通し、負荷電流I3は、スイッチ素子320Aによって目標値に一致するように調整される。
【0099】
PWM信号Y1がLレベルであれば、NOT論理素子K82が出力するHレベルの電圧を抵抗R81、R82で分圧した分圧電圧が、オペアンプOP81の負入力端子に入力される。目標電圧は、Hレベルの電圧の分圧電圧より十分に低い値に予め設定されている。したがって、PWM信号Y1がLレベルであれば、オペアンプOP81の出力電圧はLレベルとなり、スイッチ素子320Aはオフする。
【0100】
断続回路32Aは、単にスイッチ素子320Aで負荷電流I3の導通、遮断を切り替えるだけではなく、負荷電流I3を定電流制御しながら、負荷電流I3を断続している。この結果、負荷電流I3が過度に増加することを抑制できるので、光源4に過電流が流れ難くなり、光源4を保護することができる。
【0101】
(9)第7変形例
図17は、第7変形例におけるピークホールド回路33の入力段の構成を示す。ピークホールド回路33の入力端には、電圧検出信号Vs1が入力される。そして、スイッチ素子320又は320Aがターンオフすると、検出信号Vs1にリンギングが生じることがある。このとき、ピークホールド回路33が、リンギングのピーク値をピークホールド電圧Vp1として保持することがあり、ピークホールド電圧Vp1の検出精度の低下につながってしまう。そこで、第7変形例では、ピークホールド回路33の入力段に、リンギングを抑えるためのスナバ回路302を備える。
【0102】
スナバ回路302は、例えば、抵抗R91、コンデンサC91、及びダイオードD91を備える。ピークホールド回路33の入力端と回路グランドとの間には、抵抗R91とコンデンサC91との直列回路が接続されている。ダイオードD91は、ピークホールド回路33の入力端から回路グランドに向かって順方向となるように、抵抗R91に並列接続されている。
【0103】
ピークホールド回路33の入力段にスナバ回路302を備えていれば、電圧検出信号Vs1及び負荷電流I3の各波形は
図18に示される。ピークホールド回路33の入力段にスナバ回路302を備えていなければ、電圧検出信号Vs1及び負荷電流I3の各波形は
図19に示される。
図18では、スイッチ素子320又は320Aのターンオフ時に、電圧検出信号Vs1に小さなリンギングVs11が発生している。
図19では、スイッチ素子320又は320Aのターンオフ時に、電圧検出信号Vs1に大きなリンギングVs12が発生している。すなわち、スナバ回路302によって、電圧検出信号Vs1のリンギングが抑えられている。
【0104】
なお、スナバ回路は
図17の回路構成に限定されず、他の回路構成であってもよい。
【0105】
(10)第8変形例
光源4は、固体発光素子としてレーザーダイオードを有する構成に限定されない。光源4は、固体発光素子として、LED(Light Emitting Diode)、又は有機EL(Organic Electro Luminescence、OEL)などの他の固体発光素子を有していてもよい。
【0106】
また、ピークホールド回路33、第1誤差回路34、電圧制御回路35の各機能は、複数のディスクリート部品を有する電気回路、又プログラムを実行するコンピュータシステムによって実現される。ピークホールド回路33、第1誤差回路34、電圧制御回路35の各機能は、ディスクリート部品を有する電気回路、及びコンピュータシステムの両方で実現されてもよい。
【0107】
コンピュータシステムでは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することによって、ピークホールド回路33、第1誤差回路34、電圧制御回路35の一部又は全部の機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0108】
また、上述の実施形態及び各変形例のそれぞれの構成を適宜組み合わせることは可能であり、各構成によって上記同様の効果を得ることができる。
【0109】
(11)まとめ
以上のように、実施形態に係る第1の態様の点灯装置(3、3A~3E)は、コンバータ(31)と、スイッチ素子(320、320A)と、ピークホールド回路(33)と、誤差回路(34)と、電圧制御回路(35)と、を備える。コンバータ(31)は、直流の出力電圧(V3)を出力する。スイッチ素子(320、320A)は、コンバータ(31)の出力端間において光源(4)に直列接続されてオンオフする。ピークホールド回路(33)は、スイッチ素子(320、320A)がオンオフすることによって変化する発生電圧又は発生電流のピーク値(Vp1)を保持する。誤差回路(34)は、ピーク値(Vp1)と基準値(Vr1、Vr11)との差分である誤差(Va1)を求める。電圧制御回路(35)は、誤差(Va1)に応じてコンバータ(31)を制御して、出力電圧(V3)を調整する。
【0110】
上述の点灯装置(3、3A~3E)は、光源(4)に直列接続されたスイッチ素子(320、320A)のオンオフを制御することで出力を調整し、かつ、過渡時における光源(4)のちらつきを抑制できる。
【0111】
実施形態に係る第2の態様の点灯装置(3、3B~3D)では、第1の態様において、ピークホールド回路(33)は、発生電圧のピーク値(Vp1)として、スイッチ素子(320、320A)の両端電圧のピーク値を保持することが好ましい。
【0112】
上述の点灯装置(3、3B~3D)は、光源(4)に直列接続されたスイッチ素子(320、320A)のオンオフを制御することで出力を調整し、かつ、過渡時における光源(4)のちらつきを抑制できる。
【0113】
実施形態に係る第3の態様の点灯装置(3A、3E)では、第1の態様において、ピークホールド回路(33)は、発生電流のピーク値(Vp1)として、光源(4)に流れる負荷電流(I3)のピーク値を保持することが好ましい。
【0114】
上述の点灯装置(3A、3E)は、光源(4)に直列接続されたスイッチ素子(320、320A)のオンオフを制御することで出力を調整し、かつ、過渡時における光源(4)のちらつきを抑制できる。
【0115】
実施形態に係る第4の態様の点灯装置(3、3A~3E)では、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、電圧制御回路(35)は、誤差(Va1)を三角波(Vt1)と比較し、当該比較結果に基づいてコンバータ(31)を制御することが好ましい。
【0116】
上述の点灯装置(3、3A~3E)は、コンバータ(31)をPWM制御できる。
【0117】
実施形態に係る第5の態様の点灯装置(3B~3E)では、第1乃至第3の態様のいずれか1つにおいて、誤差回路は、誤差(Va1)を第1誤差として求める第1誤差回路(34)であることが好ましい。電圧制御回路(35B)は、第2誤差回路(352)と、駆動回路(351)と、を備える。第2誤差回路(352)は、光源(4)に流れる負荷電流(I3)と第1誤差(Va1)との差分である第2誤差(Va2)を求める。駆動回路(351)は、第2誤差(Va2)を三角波(Vt1)と比較し、当該比較結果に基づいてコンバータ(31)を制御する。
【0118】
上述の点灯装置(3B~3E)では、第1誤差回路(34)と第2誤差回路(352)とが直列接続されている。この結果、増幅率の向上など誤差アンプとしての性能が向上し、オペアンプなどの増幅素子の選択肢が広がる。
【0119】
実施形態に係る第6の態様の点灯装置(3B~3E)では、第5の態様において、第2誤差回路(352)は、負荷電流(I3)の平均値と第1誤差(Va1)との差分を第2誤差(Va2)として求めることが好ましい。
【0120】
上述の点灯装置(3B~3E)は、負荷電流(I3)の平均値を精度よく一定に制御できる。
【0121】
実施形態に係る第7の態様の点灯装置(3C)は、第6の態様において、負荷電流(I3)の検出結果である電流検出信号(Vs31)の微分成分を求める微分回路(38)を更に備えることが好ましい。第2誤差回路(352)は、微分成分を含む信号(Vs32)の平均値と第1誤差(Va1)との差分を第2誤差(Va2)として求める。
【0122】
上述の点灯装置(3C)は、過渡時における光源(4)のちらつきをより抑制できる。
【0123】
実施形態に係る第8の態様の点灯装置(3D)は、第5乃至第7の態様のいずれか1つにおいて、基準値切替回路(340a)と、リセット回路(301)と、ダイオード(D11)と抵抗(Rc)との並列回路と、を更に備えることが好ましい。基準値切替回路(340a)は、スイッチ素子(320、320A)がオン状態を維持していないときに基準値(Vr11)を第1値に設定し、スイッチ素子(320、320A)がオン状態を維持しているときに基準値(Vr11)を第1値より低い第2値に設定する。リセット回路(301)は、スイッチ素子(320、320A)がオン状態を維持していない状態から、スイッチ素子(320、320A)がオン状態を維持する状態になると、ピークホールド回路(33)が保持しているピーク値(Vp1)をリセットする。ダイオード(D11)と抵抗(Rc)との並列回路は、ピークホールド回路(33)に対する発生電圧又は発生電流の入力経路に設けられている。
【0124】
上述の点灯装置(3D)は、スイッチ素子(320、320A)がオン状態を維持したとしても、発生電圧又は発生電流を用いたフィードバック制御を可能とする。
【0125】
実施形態に係る第9の態様の点灯装置(3、3A~3E)では、第1乃至第8の態様のいずれか1つにおいて、スイッチ素子(320A)は、スイッチ素子(320A)が導通しているときに光源(4)に流れる負荷電流(I3)の瞬時値が目標値に一致するように動作することが好ましい。
【0126】
上述の点灯装置(3、3A~3E)は、負荷電流(I3)が過度に増加することを抑制できるので、光源(4)に過電流が流れ難くなり、光源(4)を保護することができる。
【0127】
実施形態に係る第10の態様の点灯装置(3、3A~3E)は、第1乃至第9の態様のいずれか1つにおいて、発生電圧又は発生電流のピーク値が入力されるピークホールド回路(33)の入力に接続されたスナバ回路(302)を更に備えることが好ましい。
【0128】
上述の点灯装置(3、3A~3E)は、スナバ回路(302)によって、信号のリンギングを抑えることができる。
【0129】
実施形態に係る第11の態様の点灯装置(3、3A~3E)は、第1乃至第10の態様のいずれか1つにおいて、光源(4)は、少なくとも1つの固体発光素子を備えることが好ましい。
【0130】
上述の点灯装置(3、3A~3E)は、固体発光素子を有する光源(4)のちらつきを抑制できる。
【0131】
実施形態に係る第12の態様の点灯装置(3、3A~3E)は、第11の態様において、少なくとも1つの固体発光素子は、レーザーダイオード(41)であることが好ましい。
【0132】
上述の点灯装置(3、3A~3E)は、レーザーダイオード(41)を有する光源(4)のちらつきを抑制できる。
【0133】
実施形態に係る第13の態様の照明システム(1)は、第1乃至第12の態様のいずれか1つの点灯装置(3、3A~3E)と、点灯装置(3、3A~3E)から電力を供給される光源(4)と、を備える。
【0134】
上述の照明システム(1)は、光源(4)に直列接続されたスイッチ素子(320、320A)のオンオフを制御することで出力を調整し、かつ、過渡時における光源(4)のちらつきを抑制できる。
【0135】
実施形態に係る第14の態様のプログラムは、コンピュータを、第1乃至第12の態様のいずれか1つの点灯装置(3、3A~3E)が備えるピークホールド回路(33)、誤差回路(34)、及び電圧制御回路(35)の一部又は全部として機能させる。
【0136】
上述のプログラムは、光源(4)に直列接続されたスイッチ素子(320、320A)のオンオフを制御することで出力を調整し、かつ、過渡時における光源(4)のちらつきを抑制できる。
【0137】
また、上述の実施形態及び変形例は本開示の一例である。このため、本開示は、上述の実施形態及び変形例に限定されることはなく、上述の実施形態及び変形例以外であっても、本開示に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0138】
1 照明システム
3、3A~3E 点灯装置
31 コンバータ
320、320A スイッチ素子
33 ピークホールド回路
34 第1誤差回路(誤差回路)
340a 基準値切替回路
35 電圧制御回路
351 駆動回路
352 第2誤差回路
38 微分回路
301 リセット回路
302 スナバ回路
4 光源
41 レーザーダイオード
D11 ダイオード
Rc 抵抗
I3 負荷電流
V3 出力電圧
Vp1 ピークホールド電圧(ピーク値)
Vr1、Vr11 基準電圧(基準値)
Va1 第1誤差信号(誤差、第1誤差)
Vt1 三角波信号(三角波)
Va2 第2誤差信号(第2誤差)