(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】収納装置
(51)【国際特許分類】
E05B 65/00 20060101AFI20240628BHJP
F25D 13/02 20060101ALI20240628BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240628BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20240628BHJP
E05B 57/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
E05B65/00 D
F25D13/02
F25D23/02 301C
F25D23/02 303G
E05B47/00 U
E05B57/00
(21)【出願番号】P 2020165222
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
(72)【発明者】
【氏名】天野 直隆
(72)【発明者】
【氏名】若見 学司
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-112612(JP,A)
【文献】特開2003-097120(JP,A)
【文献】実開昭55-146987(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第110439390(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B65/00
F25D13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する箱体と、
前記箱体の開口部を閉じる扉部と、
電気信号に基づき駆動することによって前記扉部を施解錠する施解錠機構
を備えた電子錠と、
で構成された収納部と、
断熱構造を有する断熱筐体を備え、複数の前記収納部が内部に配置された外箱と、
前記外箱から露出するように設けられた操作子を有し、前記操作子の動きを前記施解錠機構に伝達して前記施解錠機構を駆動する解錠機構と、
を備え、
前記箱体は、内開口部を有し伝熱構造を有する内箱と、外開口部が前記内開口部の外側に位置するように前記外開口部を形成する四角筒状の外開口形成部と、を含んで構成され、
前記扉部は、前記内開口部を閉じる内扉および前記外開口部を閉じる外扉で構成され、
前記内扉と、前記外開口形成部と、前記断熱筐体における前記内箱と前記外開口部とを接続する部分と、前記外扉とにより区画された空間が形成され、
前記施解錠機構は、前記空間に配置されて前記外扉を施解錠する、収納装置。
【請求項2】
前記操作子は、複数の前記収納部から露出するように設けら
れ、前記解錠機構は、前記操作子の動きを
複数の前記収納部の施解錠機構に伝達して前記施解錠機構を一括して駆動する
、請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記操作子は、専用の鍵を用いた場合のみ操作される、請求項1または2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記施解錠機構は、前記
外開口形成部の側面部に配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項5】
前記外扉が解錠されたときに、前記外扉が開いた状態を維持する開状態維持部と、
前記外扉が解錠されたときに、前記内扉が閉じた状態を維持する閉状態維持部と、を備える、請求項4に記載の収納装置。
【請求項6】
前記閉状態維持部は、前記内扉を当該内扉を閉じる方向に付勢する内扉付勢部を備える、請求項5に記載の収納装置。
【請求項7】
前記内扉は、前記内扉付勢部として機能するばね付きヒンジを介して前記内箱に回動自在に設けられている、請求項6に記載の収納装置。
【請求項8】
前記内箱は、断熱構造で覆われている、請求項5から7のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項9】
前記内箱の内部の温度を制御する温度制御ユニットをさらに備える、請求項5から8のいずれか一項に記載の収納装置。
【請求項10】
前記施解錠機構は、前記外箱および前記外扉のうち一方に設けられたラッチ部と、前記ラッチ部が嵌合する嵌合部を有し、前記外箱および前記外扉のうち他方に設けられたストライカと、を備え、
前記開状態維持部は、前記ラッチ部とともに移動するように構成され、前記ラッチ部と前記嵌合部との嵌合が解除されるように前記ラッチ部が移動したときに、前記ストライカと接触することによって、前記外扉が開いた状態を維持する、請求項5から9のいずれか一項に記載の収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、店舗や屋外などに設けられ、食品などの収納対象物の受け渡しに用いられる収納装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の収納装置は、収納室の開口部を閉じる内扉と、当該内扉の外側で開閉自在な外扉と、を備える。特許文献1の収納装置は、外扉を施解錠する構成として、解錠操作部と、スプリングと、第1回転部材と、第2回転部材と、を備える。解錠操作部は、外扉が施錠された状態ではロック装置から下方に突出し、外扉が解錠された状態ではロック装置内に埋没される。スプリングは、第1回転部材を前方に回転させるように付勢する。第1回転部材は、内扉が閉じる方向に回動したときに、当該内扉に押圧されて後方に回転するように構成されている。第2回転部材は、第1回転部材が後方に回転したときに、後方に回転して、解錠操作部がロック装置から下方に突出することを許容するように構成されている。
【0004】
特許文献1の収納装置には、停電などによりロック装置に電気が供給されない場合であっても、外扉を解錠することができる機構が設けられている。この機構は、解錠操作部の後方に設けられた棒状の操作部材を備える。操作部材は、収納装置の最下部に位置する機械室から、下段冷蔵収納室および中段冷蔵収納室にわたって上下に延在するように設けられている。操作部材は、ロック装置の解錠操作部の下面または第2回転部材の下面に当接する押圧部材を備える。
【0005】
上述のような特許文献1の収納装置において、外扉を施錠する際には、外扉を後方に回動させて内扉に接触させ、さらに外扉を回動させることによって内扉を回動させる。後方に回動する内扉によって第1回転部材が後方に回転すると、当該第1回転部材の回転に伴い第2回転部材も後方に回転し、解錠操作部がロック装置から下方に突出することが許容される。そして、解錠操作部がロック装置から下方に突出することによって、ロック装置の鍵部材が回転して外扉の鍵受け部材に係合し、外扉が施錠される。
【0006】
一方、ロック装置に電気が供給されている状態において外扉を解錠する際には、コントロールボックスを操作する。コントロールボックスの操作に基づく電気信号がロック装置に入力されると、ロック装置の鍵部材と外扉の鍵受け部材との係合が解除され、外扉が解錠される。
【0007】
また、例えば、停電などによりロック装置に電気が供給されていない状態において外扉を解錠する際には、機械室の施錠装置を解錠して機械室扉を開き、機械室内から操作部材を上下に操作する。操作部材の操作によって、押圧部材が解錠操作部の下面または第2回転部材の下面に押圧され、解錠操作部が上方に押し上げられてロック装置内に埋没する。解錠操作部がロック装置内に埋没すると、ロック装置の鍵部材と外扉の鍵受け部材との係合が解除され、外扉が解錠される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の収納装置では、操作部材を用いて外扉を解錠する場合、操作部材を操作する前に、機械室の施錠装置を解錠する操作および機械室扉を開く操作が必要となり、外扉を迅速に解錠できないおそれがある。
【0010】
本開示は、扉部を施解錠する施解錠機構を電気信号に基づき駆動できない場合でも、迅速に扉部を解錠することができる収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の収納装置は、開口部を有する箱体と、前記箱体の開口部を閉じる扉部と、電気信号に基づき駆動することによって前記扉部を施解錠する施解錠機構を備えた電子錠と、で構成された収納部と、断熱構造を有する断熱筐体を備え、複数の前記収納部が内部に配置された外箱と、前記外箱から露出するように設けられた操作子を有し、前記操作子の動きを前記施解錠機構に伝達して前記施解錠機構を駆動する解錠機構と、を備え、前記箱体は、内開口部を有し伝熱構造を有する内箱と、外開口部が前記内開口部の外側に位置するように前記外開口部を形成する四角筒状の外開口形成部と、を含んで構成され、前記扉部は、前記内開口部を閉じる内扉および前記外開口部を閉じる外扉で構成され、前記内扉と、前記外開口形成部と、前記断熱筐体における前記内箱と前記外開口部とを接続する部分と、前記外扉とにより区画された空間が形成され、前記施解錠機構は、前記空間に配置されて前記外扉を施解錠する。
【発明の効果】
【0013】
本開示の収納装置によれば、扉部を施解錠する施解錠機構を電気信号に基づき駆動できない場合でも、迅速に扉部を解錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施の形態における収納装置の内扉および外扉が閉じている状態を示す正面図
【
図2】本開示の実施の形態における収納装置の内扉および外扉が開いている状態を示す斜視図
【
図3】本開示の実施の形態における収納装置の内部構成を示す断面斜視図
【
図4】本開示の実施の形態における収納装置の内部構成を示す正面視の断面図
【
図5】本開示の実施の形態における収納装置の内扉および外扉が閉じている状態を示す部分縦断面図
【
図6】本開示の実施の形態における収納装置の解錠機構を示す部分縦断面図
【
図7】本開示の実施の形態における収納装置の外扉が開いている状態を示す正面図
【
図8】本開示の実施の形態における収納装置の外扉が開いている状態を外扉の内面側から見たときの斜視図
【
図10】本開示の実施の形態における電子錠による外扉の施錠状態を示す側面図
【
図11】本開示の実施の形態における解錠機構の操作子が操作されていない状態を示す正面図
【
図12】本開示の実施の形態における解錠機構の操作子が操作されている状態を示す正面図
【
図13】本開示の実施の形態における解錠機構を用いた場合の外扉の解錠状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施の形態]
本開示の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
〔収納装置の構成〕
まず、収納装置の構成について説明する。
図1は、収納装置の内扉および外扉が閉じている状態を示す正面図である。
図2は、収納装置の内扉および外扉が開いている状態を示す斜視図である。
図3は、収納装置の内部構成を示す断面斜視図である。
図4は、収納装置の内部構成を示す正面視の断面図である。
図5は、収納装置の内扉および外扉が閉じている状態を示す部分縦断面図である。
図6は、収納装置の解錠機構を示す部分縦断面図である。
図7は、収納装置の外扉が開いている状態を示す正面図である。
図8は、収納装置の外扉が開いている状態を外扉の内面側から見たときの斜視図である。
図9は、電子錠の斜視図である。
図10は、電子錠による外扉の施錠状態を示す側面図である。
図11は、解錠機構の操作子が操作されていない状態を示す正面図である。
【0017】
図1~
図6に示す収納装置1は、店舗や屋外などに設けられ、生鮮食品、冷凍食品などの収納対象物の受け渡しに用いられる。収納装置1は、収納対象物を冷凍(例えば、約-20℃)、冷蔵(例えば、1℃以上5℃以下)、常温(例えば、約10℃)の状態で保管する。収納装置1は、収納ユニット10と、温度制御ユニット100と、図示しない制御ユニットと、を備える。
【0018】
収納ユニット10は、5個の収納部20と、解錠機構50と、を備える。本実施の形態では、収納ユニット10が、5個の収納部20を有する構成を例示するが、収納部20の個数は5個に限られず、4個以下であってもよいし、6個以上であってもよい。
【0019】
収納ユニット10は、5個の内箱21と、5個の内扉22と、1個の外箱23と、5個の外扉24と、5個の電子錠40と、をさらに備える。
【0020】
内箱21は、伝熱構造を有している。内箱21は、前面側に内開口部211を有する四角箱状に形成されている。内箱21の内部には、収納対象物が収納される。内箱21の背面部には、
図3および
図4に示すように、温度制御ユニット100からの冷却風を内箱21内部に入れるための複数の背面スリット212が設けられている。内箱21の左右の側面部には、当該内箱21の内部の空気を外部に排出するための複数の側面スリット213が設けられている。
【0021】
内扉22は、内箱21の内開口部211を閉じるように構成されている。内扉22は、
図7に示すように、例えば当該内扉22の一側縁部に設けられたばね付きヒンジ221を介して、内箱21の右前端部に回動自在に連結されている。ばね付きヒンジ221は、内扉22を閉じる方向に付勢する内扉付勢部として機能する。ばね付きヒンジ221は、内扉22が閉じた状態を維持する閉状態維持部の一例である。内扉22の内面には、内箱21を密閉するための枠状のパッキン222が設けられている。パッキン222は、断熱構造を有する。内扉22の外面には、ユーザ(店員または顧客)が内扉22を開けるときに指を入れる操作溝部223が設けられている。
【0022】
外箱23は、
図1~
図6に示すように、前面側に開口部を有する四角箱状に形成されている。外箱23は、断熱筐体231と、外装部232と、外開口形成部233と、を備える。
【0023】
断熱筐体231は、断熱構造を有している。断熱筐体231は、
図3および
図4に示すように、前面部に5個の開口部を有し、上面部に1個の開口部を有する四角箱状形成されている。断熱筐体231の内部には、5個の内箱21が上下に並ぶように配置されている。5個の内箱21は、収納ユニット10の前面側から見て、内開口部211が断熱筐体231の前面側の開口部と重なるように配置されている。断熱筐体231の背面部と内箱21の背面部との間には、背面流路F1が設けられている。断熱筐体231の左右それぞれの側面部と内箱21の左右それぞれの側面部との間には、側面流路F2が設けられている。断熱筐体231内における一番上の内箱21の上方には、温度制御ユニット100を構成する冷却風送出部101が配置されている。冷却風送出部101は、断熱筐体231の上面部の開口部から露出するように配置されている。冷却風送出部101から送出される冷却風は、矢印Y1に示すように、背面流路F1を流れ、背面スリット212から内箱21の内部に流入する。内箱21の内部で熱交換された空気は、矢印Y2に示すように、側面スリット213から流出し、側面流路F2を流れて、冷却風送出部101に流入する。冷却風送出部101に流入した空気は、当該冷却風送出部101で冷やされて、冷却風として背面流路F1に送出される。つまり、断熱筐体231の内部における冷却風の循環によって、内箱21の内部が冷やされる。
【0024】
外装部232は、右側板部234と、左側板部235と、前下板部236と、前上板部237と、を備える。右側板部234および左側板部235は、それぞれ断熱筐体231の左右の両側面部を被覆するように配置されている。前下板部236および前上板部237は、断熱筐体231の前面部の下側部分および上側部分から、それぞれ所定距離前方に離れた位置に配置されており、当該下側部分および上側部分を、収納ユニット10の前面側から見えなくする機能を有する。なお、外装部232は、断熱筐体231の背面部を被覆する背板部をさらに備えてもよく、この場合、背板部、右側板部234、左側板部235、前下板部236および前上板部237が一体化された箱状であってもよい。
【0025】
外開口形成部233は、右側板部234および左側板部235の前端縁と、前下板部236の上端縁と、前上板部237の下端縁と、で区画される開口部を、5個の外開口部230に区切るように設けられている。外開口形成部233は、四角筒状に形成されている。外開口形成部233は、収納ユニット10の前面側から見て、外開口部230が内開口部211の外側に位置するように、外開口部230を形成する。このような構成によって、外開口部230および内開口部211を介して、内箱21の内部に収納対象物を収納することができる。
【0026】
外扉24は、外箱23の外開口部230を閉じるように構成されている。外扉24が閉じられると、外扉24と内扉22との間には、
図5に示すように、内扉22と、外開口形成部233と、断熱筐体231における内箱21と外開口部230とを接続する部分と、外扉24とにより区画された空間が形成される。この空間は、所定の断熱性能を満たす空気断熱層Kとして機能する。空気断熱層Kは、収納装置1の周囲の温度が高くなった場合、収納装置1の周囲の熱が内箱21内に伝わることを抑制する機能を有する。外扉24は、
図8に示すように、例えば当該外扉24の一側縁部に設けられたヒンジ241を介して、外開口形成部233の右側面部に回動自在に連結されている。外扉24の内面における回動先端側には、内扉22が閉じていない状態で、外扉24が閉じることを阻止する閉塞阻止部25が設けられている。
【0027】
各電子錠40は、図示しない制御ユニットにより制御され、それぞれ各外扉24を施解錠する。電子錠40は、
図9および
図10に示すように、ケース41と、施解錠機構42と、電気駆動部43と、を備える。
【0028】
ケース41は、例えば外開口形成部233の左側面部に設けられている。ケース41の外扉24側(前側)には、前開口部が設けられている。ケース41の右側面部における前側には、切り欠き411が設けられている。
【0029】
施解錠機構42は、解錠レバー44と、回動部材45と、図示しない回動付勢部と、ストライカ46と、を備える。
【0030】
解錠レバー44は、ケース41内における内箱21側(後ろ側)に設けられている。解錠レバー44の長手方向の一端側(以下、「回動基端側」という)は、ケース41に設けられた第1の回動軸412に、回動自在に設けられている。解錠レバー44の長手方向の他端側(以下、「回動先端側」という)は、ケース41の上面部からケース41の外側に突出するように設けられている。解錠レバー44の回動基端側には、ケース41の前側に向けて突出する図示しないレバー突出部が設けられている。解錠レバー44におけるレバー突出部の下方には、後ろ側に向けて凹む図示しないレバー凹部が設けられている。
【0031】
回動部材45は、解錠レバー44よりも前側に設けられている。回動部材45は、ケース41に設けられた第2の回動軸413に、回動自在に設けられている。回動部材45は、ラッチ部451と、開状態維持部452と、図示しない回動突出部と、を備える。ラッチ部451は、ケース41の前側において、下方に延びるように設けられている。開状態維持部452は、ラッチ部451よりも後ろ側において、下方に延びるように設けられている。回動突出部は、ラッチ部451および開状態維持部452が延びる方向とほぼ直交し、かつ、解錠レバー44に近づく方向に延びるように設けられている。回動突出部は、回動部材45が回動したときに、当該回動突出部の先端部が、解錠レバー44のレバー突出部の上面に接触する状態と、解錠レバー44のレバー凹部の凹み内に位置する状態と、になるような形状に形成されている。
【0032】
回動付勢部は、解錠レバー44の回動先端側が前側に回動するように、解錠レバー44を付勢する。回動付勢部は、ラッチ部451および開状態維持部452が上方に向けて回動し、回動突出部が下方に向けて回動するように、回動部材45を付勢する。
【0033】
ストライカ46は、外扉24の内面における他側縁側、つまり外扉24の回動先端側に設けられている。ストライカ46は、外扉24の内面と直交する方向に延びる板状に形成されている。ストライカ46の先端側には、ラッチ部451が嵌合する施錠孔部461が設けられている。施錠孔部461は、嵌合部の一例である。
【0034】
電気駆動部43は、制御ユニットにより制御され、解錠レバー44を回動付勢部による付勢方向とは反対方向に付勢する。つまり、電気駆動部43は、解錠レバー44の回動先端側が後ろ側に回動するように、解錠レバー44を押圧する。電気駆動部43は、例えば、制御ユニットから電気信号に基づき棒状部材を移動させることによって、当該棒状部材で解錠レバー44を押圧する。
【0035】
施解錠機構42における外開口形成部233の左側面部に設けられた部品は、
図7に示すようなカバーによって覆われている。カバー47には、ストライカ46が挿入される貫通孔471が設けられている。
【0036】
ここで、1個の収納部20は、1個の箱体20Aと、1個の扉部20Bと、1個の電子錠40とで構成されている。1個の箱体20Aは、1個の内箱21と、1個の外開口形成部233と、断熱筐体231における前記1個の内箱21が収納された部分とを含んで構成されている。1個の扉部20Bは、それぞれ1個ずつの内扉22および外扉24で構成されている。
【0037】
解錠機構50は、停電時や制御ユニットの故障時など、電気駆動部43を用いて外扉24を解錠できない場合の解錠に用いられる。解錠機構50は、
図6、
図9~
図11に示すように、操作子51と、動き伝達部52と、を備える。
【0038】
操作子51は、
図1に示すように、外箱23の下端部、具体的には前下板部236において、外部に露出するように設けられている。操作子51は、専用の鍵を用いた場合のみ操作することができるシリンダ錠で構成されており、鍵穴511が外箱23の前面(前下板部236)から露出するように設けられている。
【0039】
動き伝達部52は、
図6に示すように、1個の解錠カム53と、1個の棒支持部材54と、1本の解錠棒55と、5個のレバー操作部材56と、5個の押し下げ部材57と、を備える。棒支持部材54、解錠棒55、レバー操作部材56および押し下げ部材57は、外開口形成部233の左側面部に設けられ、カバー47によって覆われている。
【0040】
解錠カム53は、
図6および
図11に示すように、操作子51の後ろ側において、左側に突出するように設けられている。解錠カム53は、操作子51を構成するシリンダの回転と連動して、当該操作子51と同じ方向に回動するように設けられている。解錠カム53の回動先端側には、前後方向に貫通する挿通孔531が設けられている。
【0041】
棒支持部材54は、
図6および
図10に示すように、一番上の電子錠40のケース41の後ろ側かつ上方に設けられている。棒支持部材54には、上下方向に貫通する図示しない支持孔が設けられている。
【0042】
解錠棒55の下端側は、
図6および
図11に示すように、前方に屈曲している。解錠棒55における下端側の前方に延びる部分は、解錠カム53の挿通孔531に後ろ側から挿通されている。解錠棒55における上端側は、
図6および
図10に示すように、棒支持部材54の支持孔に上下方向に挿通されている。このような構成によって、解錠棒55は、解錠カム53の回動に伴い、上下に移動する。
【0043】
5個のレバー操作部材56は、
図9および
図10に示すように、例えば、ケース41の第1の回動軸412に回動自在に設けられている。レバー操作部材56におけるケース41よりも上方に位置する部分には、左右に延びるレバー押圧部561が設けられている。レバー押圧部561は、解錠レバー44のケース41から突出している部分よりも前側に位置している。レバー操作部材56におけるケース41よりも後ろ側に位置する部分には、左右に延びる被押圧部562が設けられている。被押圧部562は、押し下げ部材57よりも下側に位置している。
【0044】
5個の押し下げ部材57は、
図6,
図9および
図10に示すように、それぞれ各ケース41の後側に位置するように、解錠棒55に固定されている。押し下げ部材57は、解錠棒55の下方へのスライドに伴い、下方に移動し、レバー操作部材56の被押圧部562を押し下げる。
【0045】
温度制御ユニット100は、
図1~
図6に示すように、外箱23の上部に設けられている。温度制御ユニット100は、図示しない制御ユニットにより制御され、全ての収納部20を一括して、冷凍、冷蔵および常温のうち一つの状態にする。
【0046】
制御ユニットは、制御ユニット筐体を備える。制御ユニット筐体の前側には、ユーザによって操作されるタッチパネルが配置されている。制御ユニット筐体の天面には、アンテナが取り付けられている。制御ユニット筐体の内部には、収納装置1を統括制御するコンピュータが配置されている。制御ユニット筐体の内部には、コンピュータが外部と通信する際に通信を中継するルータが配置されている。また、制御ユニット筐体の配電室には、アンテナとルータとの接続を中継するアダプタが配置されている。
【0047】
コンピュータはタッチパネルと接続されており、タッチパネルを介して入力されたユーザからの指示を実行する。コンピュータは、ルータおよびアンテナを介して、外部と無線通信する。なお、制御ユニット筐体の天面の前側には、配電室を外部と連通させるとともに、アンテナに接続された信号ケーブルが通される図示しない貫通孔が形成されている。
【0048】
〔収納装置の動作〕
次に、収納装置1の動作について説明する。
図12は、解錠機構の操作子が操作されている状態を示す正面図である。
図13は、解錠機構を用いた場合の外扉の解錠状態を示す側面図である。
【0049】
<電子錠の施錠状態>
まず、電子錠40の施錠状態について説明する。電子錠40によって外扉24が施錠されているときには、回動部材45の回動突出部の先端部が、解錠レバー44のレバー突出部の上面に接触しており、
図10に示すように、ストライカ46の施錠孔部461にはめ込まれたラッチ部451が真下に延びるような状態で、回動部材45の回動が規制されている。
【0050】
解錠機構50のレバー操作部材56は、レバー押圧部561が回動付勢部による付勢力に逆らって解錠レバー44を後ろ側に押圧しない状態に維持されている。解錠機構50の操作子51は、
図11に示すように、鍵穴511が上下方向に延びる状態に維持されている。
【0051】
<制御ユニットを用いる電子錠の解錠動作>
次に、制御ユニットを用いる電子錠40の解錠動作について説明する。ユーザが制御ユニットのタッチパネルなどの操作部を用いて解錠操作を行うと、制御ユニットは、電子錠40の電気駆動部43に電気信号を出力する。電気駆動部43は、制御ユニットからの電気信号に基づき棒状部材を移動させて、解錠レバー44を後ろ側に押圧する。解錠レバー44が後ろ側に回動すると、解錠レバー44のレバー突出部が回動部材45の回動突出部から離れる方向に移動し、レバー突出部の上面と回動突出部の接触が解除される。レバー突出部の上面と回動突出部との接触が解除されると、回動部材45が回動付勢部の付勢力によって前側に回動し、回動突出部の先端部がレバー凹部の凹み内に位置する状態で、回動部材45の回動が規制される。回動突出部の先端部がレバー凹部の凹み内に位置するタイミングで、電気駆動部43は、棒状部材をもとの位置に戻す。
【0052】
このときの回動部材45の前側への回動によって、ラッチ部451がケース41の外側に出るように回動する(
図13参照)。このラッチ部451の回動に伴い、ストライカ46がケース41の外側に押し出されつつ、ラッチ部451が施錠孔部461から抜けて、外扉24が解錠されて開かれる。また、回動部材45の前側への回動によって、開状態維持部452がケース41の切り欠き411から露出する位置まで移動する。仮に、開かれた外扉24が閉まる方向に回動しても、切り欠き411から露出する開状態維持部452にストライカ46が接触するため、外扉24の回動が規制される。その結果、外扉24が開いた状態が維持される。また、このとき、内扉22は、ばね付きヒンジ221の付勢力によって、外扉24が開いたか否かに関係なく、閉じた状態が維持される。
【0053】
<解錠機構を用いる電子錠の解錠動作>
次に、解錠機構50を用いる電子錠40の解錠動作について説明する。停電時や制御ユニットの故障時などの状況において、店員が外扉24を解錠したい場合、
図11に示す状態の操作子51の鍵穴511に、図示しない鍵を差し込んで左方向に回すと、
図12に示すように、解錠カム53が下方に回動して解錠棒55を下方に移動させる。解錠棒55の下方への移動に伴い、
図13に示すように、全ての押し下げ部材57がそれぞれレバー押圧部561を押し下げ、レバー操作部材56を後ろ側に回動させる。レバー操作部材56が後ろ側に回動すると、レバー押圧部561が後ろ側に移動し、解錠レバー44を後ろ側に押圧する。解錠レバー44が後ろ側に回動すると、制御ユニットを用いる解錠動作の場合と同様に、電子錠40の施解錠機構42が動作し、外扉24が解錠される。外扉24が解錠されると、開状態維持部452とストライカ46との接触によって、外扉24が開いた状態が維持されるとともに、ばね付きヒンジ221の付勢力によって、内扉22が閉じた状態が維持される。
【0054】
[実施の形態の作用効果]
収納装置1は、手動で外扉24を解錠するための解錠機構50を備える。このため、停電などによって電気駆動部43が駆動しない場合であっても、外扉24を解錠することができ、収納装置1の利便性を向上させることができる。特に、停電の場合、温度制御ユニット100も駆動しなくなるため、収納対象物である生鮮食品や冷凍食品の温度が上昇して商品価値が落ちてしまうが、手動で外扉24を解錠することができるため、生鮮食品や冷凍食品を、直ちに他の冷蔵庫や冷凍庫に移動させることができる。また、解錠機構50を構成する操作子51は、外装体30の外部に露出するように設けられている。このため、店員は、上記特許文献1の収納装置のように、操作子51を操作する前に、操作子51が収納されているボックスを開ける作業を行う必要がなく、迅速に外扉24を解錠することができる。
【0055】
操作子51は、シリンダ錠で構成されている。このため、専用の鍵以外で外扉24を解錠することができなくなり、収納対象物の盗難を防止できる。
【0056】
解錠機構50は、5個の外扉24を一括して解錠できるように構成されている。このため、5個の内箱21のうち、どの内箱21に収納対象物が入っているのかを特定できない場合でも、5個の外扉24を一括して解錠することによって、収納対象物が入っている内箱21を容易にかつ迅速に特定することができる。
【0057】
収納装置1は、外扉24が解錠されると、開状態維持部452によって、外扉24が開いた状態を維持するとともに、ばね付きヒンジ221の付勢力によって、内扉22が閉じた状態を維持する。このため、ユーザは、解錠された外扉を容易に特定することができる。また、内扉22が閉じた状態が維持されるため、外気が内箱21内に入ってしまい、収納対象物の温度が変化してしまうことを抑制することができる。したがって、収納対象物が生鮮食品または冷凍食品の場合には、温度変化による商品価値の低下を抑制することができる。さらに、ユーザは、外扉24を解錠した後、収納対象物の温度変化を避けるために、直ちに収納対象物を内箱21から取り出す必要がなくなり、自分のペースで収納対象物を取り出すことができる。
【0058】
内扉22が閉じた状態を維持する閉状態維持部として、内扉22を内箱21に回動自在に連結する機能と、内扉22を閉じる方向に付勢する機能と、を有するばね付きヒンジ221を適用している。このため、上記2つの機能を1つずつ有する複数の部材を用いる場合と比べて、部品点数を削減できる。
【0059】
電子錠40の回動部材45に、外扉24を施解錠する機能を有するラッチ部451と、外扉24が開いた状態を維持する機能を有する開状態維持部452と、を設けている。このため、ラッチ部451と開状態維持部452とを連動させる機構を用いることなく、回動部材45を1回回動させるだけで、外扉24の解錠と、外扉24が開いた状態の維持と、を行うことができる。
【0060】
収納装置1は、内箱21の前方に形成された空気断熱層Kを備える。このため、収納装置1の周囲の温度が高くなっても、収納装置1の周囲の熱が内箱21内に伝わることを抑制することができる。したがって、収納装置1を屋外に設置しても、内箱21内の収納対象物の温度変化を抑制することができる。
【0061】
[実施の形態の変形例]
本開示は、これまでに説明した実施の形態に示されたものに限られないことは言うまでもなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の変形を加えることができる。
【0062】
操作子51としてシリンダ錠を適用せずに、専用の鍵を用いることなく誰でも操作できる構成を適用してもよく、この場合、操作子を外装体30の下端部など、顧客の目につきにくい位置に設けることが好ましい。
【0063】
収納装置1に、それぞれ1個ずつの外扉24を解錠する5個の解錠機構を設けてもよい。
【0064】
閉状態維持部として、磁力で内扉22を内箱21に吸着させる構成など、ばね付きヒンジ221以外の構成を用いてもよく、この場合、ばねを有さないヒンジで内扉22を内箱21に回動自在に連結すればよい。
【0065】
電子錠40の回動部材45に開状態維持部452を設けずに、回動部材45の前側への回動に連動して、例えば棒状の開状態維持部を切り欠き411から露出するように移動させ、開状態維持部とストライカ46との接触によって、外扉24が開いた状態を維持するようにしてもよい。
【0066】
収納装置1に、収納対象物を加熱する温度制御ユニットを設けてもよい。収納装置1に、各収納部20の温度を個別に制御できる温度制御ユニットを設けてもよい。収納装置1に、温度制御ユニット100を設けなくてもよい。
【0067】
収納装置1に、空気断熱層Kを設けずに、特許文献1の収納装置のように、内扉22および外扉24が閉じているときに、内扉22と外扉24とが接近するようにしてもよい。
【0068】
収納部20を内扉22および外扉24を有するいわゆる二重扉構造で構成したが、1つの箱体と、当該箱体の開口部を閉じる1つの扉部と、で構成してもよい。
【0069】
収納装置1に収納する収納対象物は、生鮮食品および冷凍食品以外の食品、飲料、医薬品、日用品、雑貨、電子機器、書籍など、収納装置1に収納できるいずれの収納対象物であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、収納装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 収納装置
10 収納ユニット
20 収納部
20A 箱体
20B 扉部
21 内箱
22 内扉
23 外箱
24 外扉
25 閉塞阻止部
40 電子錠
41 ケース
42 施解錠機構
43 電気駆動部
44 解錠レバー
45 回動部材
46 ストライカ
47 カバー
50 解錠機構
51 操作子
52 動き伝達部
53 解錠カム
54 棒支持部材
55 解錠棒
56 レバー操作部材
57 押し下げ部材
100 温度制御ユニット
101 冷却風送出部
211 内開口部
212 背面スリット
213 側面スリット
221 ばね付きヒンジ
222 パッキン
223 操作溝部
230 外開口部
231 断熱筐体
232 外装部
233 外開口形成部
234 右側板部
235 左側板部
236 前下板部
237 前上板部
241 ヒンジ
411 切り欠き
412 第1の回動軸
413 第2の回動軸
451 ラッチ部
452 開状態維持部
461 施錠孔部
471 貫通孔
511 鍵穴
531 挿通孔
561 レバー押圧部
562 被押圧部
F1 背面流路
F2 側面流路
K 空気断熱層