(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】収納装置およびセンサユニット
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240628BHJP
F25D 29/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
F25D23/00 307
F25D23/00 301K
F25D29/00 Z
(21)【出願番号】P 2020165228
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城戸 涼
(72)【発明者】
【氏名】奈良 修
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘之
(72)【発明者】
【氏名】山田 大雅
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-243872(JP,A)
【文献】特開2019-134902(JP,A)
【文献】特開2011-208906(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111850(WO,A1)
【文献】特開2020-065731(JP,A)
【文献】特開2014-145636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00 ~ 31/00
G01B 11/00 ~ 11/30
H01L 31/12 ~ 31/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収納室を有し、各収納室を冷却する収納装置であって、
前記各収納室の底面部に設けられており、前記各収納室の内部に収納された物品を検知するセンサユニットを備え、
前記センサユニットは、物品検出センサ、および、前記物品検出センサと前記収納室との間で断熱する断熱材と、を有
し、
前記物品検出センサは、前記物品に向けて赤外線を出射する赤外線出射部と、前記物品によって反射された赤外線を検出する赤外線検出部と、を有する赤外線センサであって、
前記断熱材は、前記赤外線出射部から出射された赤外線と、前記物品によって反射された赤外線と、を別々に通過させる第1の穴部および第2の穴部を有する、
収納装置。
【請求項2】
前記センサユニットは、前記物品検出センサを加温する加温機構をさらに有する、
請求項1に記載の収納装置。
【請求項3】
前記断熱材の収納室内部側の面に接続された蓋材をさらに備える、
請求項
1または2に記載の収納装置。
【請求項4】
前記蓋材は、前記赤外線出射部から出射された赤外線と、前記物品によって反射された赤外線と、を通過させる開口を有する、
請求項
3に記載の収納装置。
【請求項5】
前記収納室内部側に開口を有し、前記物品検出センサおよび前記断熱材を収容するケースと、
前記蓋材よりも前記収納室内部側に配置され、前記ケースの開口を塞ぐ赤外線透過板と、をさらに備える、
請求項
3または
4に記載の収納装置。
【請求項6】
前記各収納室の底面部には、前記センサユニットが取り外し可能に埋め込まれる埋込穴が設けられている、
請求項
5に記載の収納装置。
【請求項7】
前記埋込穴に埋め込まれた前記センサユニットの収納室内部側に配置され、前記赤外線出射部から出射された赤外線と、前記物品によって反射された赤外線と、を通過させる穴が形成された底板をさらに備える、
請求項
6に記載の収納装置。
【請求項8】
収納装置の冷却される収納室の底面部に設けられたセンサユニットであって、
前記収納室の内部に収納された物品を検知する物品検出センサと、
前記物品検出センサと前記収納室との間で断熱する断熱材と、
を有
し、
前記物品検出センサは、前記物品に向けて赤外線を出射する赤外線出射部と、前記物品によって反射された赤外線を検出する赤外線検出部と、を有する赤外線センサであって、
前記断熱材は、前記赤外線出射部から出射された赤外線と、前記物品によって反射された赤外線と、を別々に通過させる第1の穴部および第2の穴部を有する、
センサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収納室内を冷却できる収納装置およびセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を一時収納する収納室を備えた収納装置において、収納室内に物品が存在するか否かを検出する物品検出センサを備えた収納装置が普及している。例えば特許文献1には、収容部内の物品の有無を検出する物品検出手段を設けたロッカー装置が開示されている。特許文献1では、物品検出手段として、光を投受光することによって物品の有無を検出する光センサ、重量によって物品の有無を検出する重量センサ、超音波の送受信時間の変化によって物品の有無を検出する超音波センサ、画像によって物品の有無を検出する画像センサ等が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、収納庫内部を冷却するための冷却ユニットを備え、要冷蔵物または要冷凍物を長時間収納できる収納装置が開発されている。このような冷蔵または冷凍収納装置では、収納庫内部が低温となるため、物品検出センサを収納庫内に配置した場合、物品検出センサの周囲に結露が生じ、物品検出センサが故障してしまうことがある。また、物品検出センサ周囲の温度が当該センサの動作可能温度範囲を下回ってしまうと、当該センサを正常に動作させることが困難となってしまう。このため、対策が要望されている。
【0005】
本開示の目的は、冷却可能な収納室の内部に設けられていても正常に動作するとともに結露を防止する物品検出センサを備えた収納装置およびセンサユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の収納装置は、複数の収納室を有し、各収納室を冷却する収納装置であって、前記各収納室の底面部に設けられており、前記各収納室の内部に収納された物品を検知するセンサユニットを備え、前記センサユニットは、物品検出センサ、および、前記物品検出センサと前記収納室との間で断熱する断熱材と、を有し、前記物品検出センサは、前記物品に向けて赤外線を出射する赤外線出射部と、前記物品によって反射された赤外線を検出する赤外線検出部と、を有する赤外線センサであって、前記断熱材は、前記赤外線出射部から出射された赤外線と、前記物品によって反射された赤外線と、を別々に通過させる第1の穴部および第2の穴部を有する。
【0007】
本開示のセンサユニットは、収納装置の冷却される収納室の底面部に設けられたセンサユニットであって、前記収納室の内部に収納された物品を検知する物品検出センサと、前記物品検出センサと前記収納室との間で断熱する断熱材と、を有し、前記物品検出センサは、前記物品に向けて赤外線を出射する赤外線出射部と、前記物品によって反射された赤外線を検出する赤外線検出部と、を有する赤外線センサであって、前記断熱材は、前記赤外線出射部から出射された赤外線と、前記物品によって反射された赤外線と、を別々に通過させる第1の穴部および第2の穴部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、物品検出センサが冷却可能な収納室の内部に設けられている場合でも、当該物品検出センサを正常に正常に動作させるとともに、周囲の結露を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3B】センサユニットが埋込穴に埋め込まれる様子を示した図
【
図5】物品検出センサから出射された赤外線の経路を例示した図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明等は省略する場合がある。
【0011】
なお、以下の説明および参照される図面は、当業者が本開示を理解するために提供されるものであって、本開示の請求の範囲を限定するためのものではない。
【0012】
<収納装置1>
図1Aおよび
図1Bは、収納装置1の外観について説明するための図である。収納装置1は、筐体11と、外扉12と、内扉13と、冷却ユニット14と、を備える。なお、以下では、収納装置1および収納装置1に含まれる各構成の方向を説明する際には、
図1Aおよび
図1Bに示す前後、上下、左右方向を用いる。すなわち、収納装置1自身を基準として、収納装置1の正面側(言い換えると、後述する外扉12および内扉13側)の方向を前方向、その反対側の方向を後ろ方向、右側の方向を右方向、左側の方向を左方向、上側の方向を上方向、下側の方向を下方向とする。
【0013】
収納装置1は、複数の収納室Sを有しており、収納室S毎に外扉12および内扉13が設けられている。収納室Sの内部には、冷却ユニット14と各収納室Sとを空間的に接続するダクト(図示せず)を通って、冷気が供給される。このため、外扉12および内扉13が閉められた状態では、収納室S内部が冷却される。収納室S内部の温度は、図示しない制御ユニット等によって設定されうる。本実施の形態では、収納装置1は、要冷蔵物または要冷凍物を複数の収納室Sに個別に収納可能な冷蔵または冷凍ロッカー装置である。なお、冷却ユニット14の制御は、図示しない制御ユニットによって行われる。
【0014】
筐体11は、例えば外板と内板との間に断熱材を挟んだ板状の断熱構造によって構成されている。外扉12および内扉13も、筐体11と同様に、上記断熱構造によって構成されている。これにより、内扉13が閉められたとき、収納室Sは、断熱構造によって囲まれた状態となる。なお、外扉12または内扉13のいずれかのみが上記断熱構造によって構成されていてもよい。外扉12および内扉13は、それぞれ、図示しないヒンジ機構を支点として回動可能に筐体11と連結されている。
【0015】
図2は、収納室Sの斜視図である。
図2では、外扉12および内扉13が開かれた状態の収納室Sが示されている。以下では、説明の都合上、1つの収納室Sについてのみ説明するが、収納装置1が備えるすべての収納室Sが同じ構造を有していてもよい。
【0016】
収納室Sは、外扉12および内扉13が開かれた場合に開放される面を除く、上下、左右および後ろ側のそれぞれの面に板状の上記断熱構造が配置されて構成された箱体の内部スペースである。収納室Sには、外扉12および内扉13が開かれた状態で、収納装置1のユーザの手によって、物品が収納されうる。
【0017】
収納室Sの下側の面、すなわち底面部Bには、収納室S内部に収納された物品を検出するためのセンサユニット20が埋め込まれている。以下では、
図3A、
図3B、
図4、および
図5を用いて、センサユニット20について説明する。
【0018】
図3Aは、
図2のA-A断面図である。言い換えると、
図3Aは、センサユニット20を含む、収納室Sの底面部Bの前後方向に沿った断面図である。センサユニット20は、底面部Bに設けられた埋込穴Hに埋め込まれて配置されている。
図3Bは、センサユニット20が埋込穴Hに埋め込まれる様子を示した図である。
図3Bの矢印A1は、センサユニット20が埋込穴Hに埋め込まれる様子を示す矢印である。
【0019】
このように、センサユニット20は、底面部Bの埋込穴Hから着脱可能となっている。このような構成により、センサユニット20を後付けで収納装置1に容易に取り付けることが可能となる。
【0020】
埋込穴Hは、底面部Bのほぼ中心部に設けられている。埋込穴Hの大きさは、センサユニット20に合わせて形成されていることが望ましいが、例えばセンサユニット20よりも埋込穴Hの方が大きくてもよい。その場合、センサユニット20の周囲には、例えば断熱材等が配置されて、埋込穴Hの内壁とセンサユニット20の外壁との間を埋めることが望ましい。
【0021】
図4は、センサユニット20の分解斜視図である。
図3A、
図3B、および
図4に示すように、センサユニット20は、物品検出センサ21と、ヒータ22と、断熱材23と、蓋材24と、赤外線透過板25と、ケース27と、を有する。
【0022】
物品検出センサ21は、赤外線を出射する赤外線出射部21aと、出射された赤外線が物品によって反射された場合に、反射赤外線を検出する赤外線検出部21bと、を有する赤外線センサである。物品検出センサ21は、赤外線出射部21aから出射された赤外線が、例えば収納室Sの底面部Bに載せられた物品に反射し、赤外線検出部21bによって検出された場合に、物品を検出したことを示す電気信号を出力する。
【0023】
また、物品検出センサ21は、赤外線出射部21aおよび赤外線検出部21bに接続されたケーブル21cを有する。ケーブル21cの他方の端部は、後述するコネクタ26に接続されている。ケーブル21cは、赤外線出射部21aおよび赤外線検出部21bに電力を供給する電力線と、赤外線検出部21bの検出結果を示す電気信号を出力する信号線と、を含む。
【0024】
ヒータ22は、物品検出センサ21を加温するための加温機構である。ヒータ22は、
図3Aおよび
図3Bでは図示を省略しているが、物品検出センサ21の近傍に、望ましくは物品検出センサ21に密着した状態で、配置されている。ヒータ22には、他方の端部が後述するコネクタ26に接続されているケーブル22aが接続されている。ケーブル22aは、ヒータ22に電力を供給する電力線を含む。
【0025】
ヒータ22は、収納室S内部が低温となっても物品検出センサ21の周囲温度を物品検出センサ21の動作可能温度範囲内に保つとともに、物品検出センサ21周囲の結露を防止するため、物品検出センサ21の周囲を加温する。ヒータ22が加温する量については、収納室S内部の温度や、物品検出センサ21の動作温度範囲等によって適宜決定されうる。
【0026】
物品検出センサ21が有するケーブル21c、および、ヒータ22が有するケーブル22aの他方の端部が接続されたコネクタ26は、収納装置1側から電力供給されるコネクタ(図示せず)に接続されるようになっている。このコネクタ26と収納装置1側のコネクタとは、防水仕様であることが望ましい。ケーブル21c、ケーブル22a、およびコネクタ26は、センサユニット20と同様に、収納室Sの底面部Bに埋め込まれて配置されることが望ましい。
【0027】
収納装置1の制御ユニット(図示せず)は、コネクタ26を通じて、物品検出センサ21から検出結果を示す電気信号を受信する。制御ユニットは、当該検出結果に応じて、収納室S内部に物品が収納されているか否かを判断する。
【0028】
また、制御ユニットは、コネクタ26を通じて、ヒータ22の動作を制御する電気信号をヒータ22に供給する。制御ユニットは、収納室S内部の温度、収納室S内部の物品の有無、物品検出センサ21の動作可能温度範囲等の各種要素に基づいて、物品検出センサ21の周囲温度が動作可能温度範囲内に保つとともに、物品検出センサ21周囲の結露を防止するようにヒータ22の動作を制御する。
【0029】
本実施の形態では、図示しない1つの制御ユニットが、冷却ユニット14の動作制御、および、物品検出センサ21の検出結果に基づくヒータ22の動作制御を行う例について説明するが、冷却ユニット14の動作制御とヒータ22の動作制御とは、それぞれ別の制御ユニットが起こってもよい。収納装置1が備えるこれらの制御ユニットは、図示しないルーター等を介し、インターネット等の公衆ネットワーク網を用いて、外部のサーバ装置等と通信を行う。これにより、例えば複数の収納装置1の動作が、1つのサーバ装置によって制御されうる。制御ユニットと外部のサーバ装置等との通信は、有線通信により行われてもよいし、例えば図示しないアンテナ等を介した無線通信によって行われてもよい。
【0030】
断熱材23は、例えば硬質ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリスチレンフォーム等の発泡プラスチック材料、または発泡ゴム材料等の発泡材料で形成された部材である。断熱材23は、収納室S内部の冷気から物品検出センサ21の周囲を遮断する。
図4では、断熱材23の内部構造が破線にて示されている。
【0031】
図4に示すように、断熱材23は、上下方向に沿って形成された、第1の穴部23aおよび第2の穴部23bを有する。第1の穴部23aは、物品検出センサ21の赤外線出射部21aから出射された赤外線を収納室S内部まで通過させるための穴である。第2の穴部23bは、収納室Sに置かれた物品によって反射された反射赤外線を物品検出センサ21の赤外線検出部21bまで通過させるための穴である。第1の穴部23aと第2の穴部23bとは、互いに独立した穴である。このような構成により、物品検出センサ21の赤外線出射部21aから出射された赤外線が、物品による反射を経ずに赤外線検出部21bに入射してしまい、誤検出が生じる事態を防止できる。
【0032】
また、
図4に示すように、断熱材23は、上下方向に沿って形成された、ケーブル21cおよびケーブル22aを通すための溝23cが形成されている。なお、センサユニット20が収納室Sの底面部Bに埋め込まれた状態では、溝23cは、ケーブル21cおよびケーブル22aが通された状態で、シリコンゴム等のパテ材等によって埋められることが望ましい。これにより、センサユニット20内部の防水性能が確保される。
【0033】
蓋材24は、センサユニット20の上側(収納室S内部側)からの冷気や湿気等の侵入を低減する部材である。蓋材24は、例えば軟質ウレタンフォーム、または発泡ゴム等で形成されている。蓋材24には開口24aが設けられている。この開口24aは、断熱材23の第1の穴部23aおよび第2の穴部23bの両方を含む大きさに形成されている。
【0034】
また、蓋材24は、軟質の部材で形成されていることから、センサユニット20の上側から掛かる衝撃を吸収する役割も果たす。このような蓋材24により、収納室S内部に物品が置かれた場合、物品の重さが分散される。したがって、蓋材24により、センサユニット20の断熱材23より下側の構成に過剰な重さが掛かる事態が防止される。
【0035】
また、蓋材24は、所定の厚みを有する。蓋材24は、この厚みによって、断熱材23の第1の穴部23aを通過した赤外線が物品に反射したとき、第1の穴部23aに戻るのではなく第2の穴部23bを好適に通過するように設けられたスペーサとしての役割を果たしている。
【0036】
図5は、物品検出センサ21から出射された赤外線の経路を例示した図である。
図5は、断熱材23の第1の穴部23aと、第2の穴部23bとを通る平面における、センサユニット20の断面図である。仮に蓋材24が薄く、断熱材23の第1の穴部23aの上端部から物品までの距離が短い場合には、第1の穴部23aを通過した赤外線は、物品に反射した後、第2の穴部23bに入りにくくなる。一方、
図5に示す本開示のように、蓋材24が所定の厚みを有し、第1の穴部23aの上端部から物品までの間に十分な距離が確保されている場合、物品に反射した赤外線は、余裕をもって第2の穴部23bに入ることができる。なお、
図5では、各部の幅および厚みは誇張して示されている。また、
図5では、物品検出センサ21、断熱材23、および蓋材24以外のセンサユニット20の構成は省略されている。
【0037】
赤外線透過板25は、赤外線を透過する薄いフィルム部材である。赤外線透過板25は、蓋材24の開口24aを完全に覆うことができる大きさに形成されている。
図4に示す例では、赤外線透過板25は円形に形成されているが、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば長方形に形成されていてもよい。
【0038】
以上説明した物品検出センサ21およびヒータ22、断熱材23、蓋材24、並びに赤外線透過板25が、下からこの順でケース27内に配置されることにより、センサユニット20が構成される。ケース27は、
図4に示すように、上側が開口した箱体である。
図3Aおよび
図3Bに示すように、物品検出センサ21の下面部はケース27の底面部と密接しており、物品検出センサ21の上面部と断熱材23の下面部とは密接しており、断熱材23の上面部と蓋材24の下面部とは密接している。なお、ケース27の側壁の高さは、
図3Aおよび
図3Bに示すように、物品検出センサ21と断熱材23とが積層された高さとほぼ等しくなるように形成されている。これにより、ケース27の内部は、物品検出センサ21および断熱材23によってほぼ充填された状態となる。
【0039】
そして、本実施の形態では、
図3Aおよび
図3Bに示すように、蓋材24の上面部と赤外線透過板25の下面部との間には、底板28が配置されている。すなわち、蓋材24の上面部と底板28の下面部とは密接しており、底板28の上面部と赤外線透過板25の下面部とは密接している。上述したように、蓋材24および底板28に設けられた開口は、赤外線透過板25によって塞がれているため、ケース27の上側の開口は、蓋材24、底板28、および赤外線透過板25によって完全に塞がれた状態となる。
【0040】
このような構成により、センサユニット20が収納室S内部の底面部Bに埋め込まれた状態では、センサユニット20の内部(ケース27の内部)は外部から遮断されているため、センサユニット20内部の防水性能が確保される。例えば収納室S内部に収納された物品の結露によって収納室S内部に水等の液体が発生した場合でも、センサユニット20の内部にその液体が入り込む事態を回避することができる。
【0041】
また、センサユニット20の下面部および側面部は、ケース27によって完全に覆われている。このため、センサユニット20の下面部および側面部から、センサユニット20の内部に水等の液体が入り込む事態を防止することができる。
【0042】
ところで、底板28は、センサユニット20が収納室Sの底面部Bに埋め込まれたとき、収納室Sの底面を構成する板部材である。
図4においては、底板28の図示が省略されている。底板28には、蓋材24の開口24aに対応する位置に、開口24aと同様の開口が形成されている。底板28の開口の大きさは、蓋材24の開口24aの大きさとほぼ同じであることが望ましい。
【0043】
なお、本実施の形態では、このように蓋材24と赤外線透過板25との間に底板28が配置される例について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、例えば蓋材24の上面部と赤外線透過板25の下面部とが密接した状態で、赤外線透過板25の上面部に下面部が密接するように底板28が配置されてもよい。
【0044】
以上、センサユニット20の構成について詳細に説明した。なお、
図2に示すように、センサユニット20が収納室Sの底面部Bに埋め込まれた状態においては、収納装置1のユーザからは、センサユニット20の各構成の内、赤外線透過板25、蓋材24の開口24a、および底板28が見えている状態となる。ユーザが開口24aを覆うように物品を収納することにより、センサユニット20は、物品の存在を確実に検出することができる。このため、例えば底板28の上側の面に、「ここに荷物を置いてください」等のメッセージ、または、荷物を置くべき場所を示す矢印等のマーク等を設け、ユーザが物品を開口24aを覆った状態で置くように、誘導することが望ましい。
【0045】
<作用、効果>
以上説明したように、本開示の実施の形態に係る収納装置1によれば、複数の収納室Sを有し、各収納室Sを冷却する収納装置1であって、各収納室Sの底面部Bに設けられており、各収納室Sの内部に収納された物品を検知するセンサユニット20を備え、センサユニット20は、物品検出センサ21、および、物品検出センサ21と収納室Sとの間で断熱する断熱材23と、を有する。
【0046】
このような構成により、収納室S内部が冷却された場合でも、冷気が底面部Bを伝って物品検出センサ21まで届くことを防止できる。このため、物品検出センサ21の周囲温度が物品検出センサ21の動作可能温度範囲外となったり、物品検出センサ21の周囲に結露が生じ物品検出センサ21が故障したり、といった事態を好適に防止できる。
【0047】
また、本開示の実施の形態に係る収納装置1によれば、センサユニット20は、物品検出センサ21を加温するヒータ22をさらに有する。
【0048】
ヒータ22が物品検出センサ21の周囲温度を上昇させることにより、物品検出センサ21が動作可能温度範囲外となったり、物品検出センサ21の周囲に結露が生じたりする事態を好適に防止できる。
【0049】
また、本開示の実施の形態に係る収納装置1によれば、物品検出センサ21は、物品に向けて赤外線を出射する赤外線出射部21aと、物品によって反射された赤外線を検出する赤外線検出部21bと、を有する赤外線センサであって、断熱材23は、赤外線出射部21aから出射された赤外線と、物品によって反射された赤外線と、を別々に通過させる第1の穴部23aおよび第2の穴部23bを有する。
【0050】
物品検出センサ21を赤外線センサとすることにより、例えば重量センサ等と異なり、収納室Sに収納される物品が非常に軽い場合でも、確実に物品を検出することができる。また、断熱材23を利用して、赤外線出射部21aから出射された赤外線と、物品で反射された赤外線と、をそれぞれ別の穴部を通過させるようにしたため、例えば赤外線出射部21aから出射された赤外線が直接赤外線検出部21bに入射してしまうことによる、誤検出を防止できる。
【0051】
また、本開示の実施の形態に係る収納装置1によれば、断熱材23の収納室S内部側の面に接続された蓋材24を更に備える。
【0052】
このような構成により、収納室S内部に重さが大きい物品が置かれたとしても、その重さによって物品検出センサ21が悪影響を被る事態を防止できる。
【0053】
また、本開示の実施の形態に係る収納装置1によれば、蓋材24は、赤外線出射部21aから出射された赤外線と、物品によって反射された赤外線と、を通過させる開口24aを有する。
【0054】
このような構成により、蓋材24の厚みによって、第1の穴部23aの上端部から物品までの間に十分な距離が確保されるので、物品に反射した赤外線が第1の穴部23aに戻ってしまう事態を防止し、第2の穴部23bに入りやすくすることができる。
【0055】
また、本開示の実施の形態に係る収納装置1によれば、収納室S内部側に開口を有し、物品検出センサ21および断熱材23を収容するケース27と、蓋材24よりも収納室S内部側に配置され、ケース27の開口を塞ぐ赤外線透過板25と、をさらに備える。
【0056】
このように、センサユニット20の各構成を収納するケース27の上側の開口は、赤外線透過板25によって塞がれているため、ケース27の上側開口から水が入り込むことを防止でき、センサユニット20の内部の防水性能を確保できる。また、赤外線透過板25により、物品検出センサ21から出射され断熱材23の第1の穴部23aを通過した赤外線が、物品が置かれる収納室S内部まで確実に届くようになる。
【0057】
また、本開示の実施の形態に係る収納装置1によれば、収納室Sの底面部Bには、センサユニット20を取り外し可能に埋め込む埋込穴Hが設けられている。
【0058】
このような構成により、収納装置1の例えば販売時において、センサユニット20が取り付けられていない場合でも、センサユニット20を後付けで容易に取り付けることが可能となる。
【0059】
また、本開示の実施の形態に係る収納装置1によれば、埋込穴Hに埋め込まれたセンサユニット20の収納室S内部側に配置され、赤外線出射部21aから出射された赤外線と、物品によって反射された赤外線と、を通過させる穴が形成された底板28をさらに備える。
【0060】
このような構成により、センサユニット20が収納室Sの底面部Bに埋め込まれた状態において、埋込穴Hが外部から見えないようになるので、収納室Sの美観を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本開示は、要冷蔵物または要冷凍物を収納する収納装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 収納装置
11 筐体
12 外扉
13 内扉
14 冷却ユニット
20 センサユニット
21 物品検出センサ
21a 赤外線出射部
21b 赤外線検出部
21c ケーブル
22 ヒータ
22a ケーブル
23 断熱材
23a 第1の穴部
23b 第2の穴部
23c 溝
24 蓋材
24a 開口
25 赤外線透過板
26 コネクタ
27 ケース
28 底板
S 収納室
B 底面部
H 埋込穴