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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/146 E
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021501693
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 JP2020001201
(87)【国際公開番号】W WO2020170658
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2019030766
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好弘
(72)【発明者】
【氏名】高見 義則
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-016565(JP,A)
【文献】特開2016-127058(JP,A)
【文献】国際公開第2012/176390(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/190759(WO,A1)
【文献】特開2019-024075(JP,A)
【文献】特開2016-063216(JP,A)
【文献】特開平06-268924(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194653(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2導電型の半導体層を含む半導体基板と、
入射光を電荷に変換する光電変換部と、
前記半導体層中に位置し、前記電荷が蓄積される、前記第2導電型と異なる第1導電型の第1不純物領域と、
前記半導体層中に位置し、前記第1不純物領域に隣接する前記第1導電型の第2不純物領域と、
前記半導体層中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に位置し、前記第2導電型の第3不純物領域と、
前記半導体層上に位置し、前記第3不純物領域に電気的に接続され、前記第2導電型の半導体を含む第1コンタクトと、
を備え
前記第2不純物領域と前記半導体層との間のpn接合には逆方向バイアスが印加され、
前記第3不純物領域の前記半導体基板表面に位置する部分における前記第2導電型の不純物濃度は、前記第3不純物領域の前記半導体基板表面より下方に位置する部分における前記第2導電型の不純物濃度よりも大きい、
撮像装置。
【請求項2】
前記第1コンタクト内の前記第2導電型の不純物濃度は、前記第3不純物領域の前記半導体基板表面より下方に位置する部分における前記第2導電型の不純物濃度よりも大きい、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1コンタクトに電圧を供給する電圧供給回路、及び前記半導体層中に位置し、前記第2導電型のウェル領域をさらに備え、
前記第1不純物領域、前記第2不純物領域、および、前記第3不純物領域は、前記ウェル領域内に位置する、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
第1画素をさらに備え、
前記第1画素は、前記第1不純物領域、前記第2不純物領域、前記第3不純物領域、及び前記第1コンタクトを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
第1画素と、前記第1画素に隣接する第2画素と、をさらに備え、
前記第1画素は、前記第1不純物領域を含み、
前記第2画素は、前記第2不純物領域を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
第1画素と、前記第1画素に隣接する第2画素と、をさらに備え、
前記第1画素は、前記第1不純物領域と、前記第2不純物領域と、前記第3不純物領域と、前記第1コンタクトと、を含み、
前記第2画素は、前記半導体基板中に位置し、前記第1導電型第4不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第4不純物領域との間に位置し、前記第2導電型の第5不純物領域と、
前記半導体基板上に位置し、前記第5不純物領域に電気的に接続され、前記第2導電型の半導体を含む第2コンタクトと、を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1不純物領域と前記第2不純物領域とは電気的に接続されない、請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2不純物領域をソースおよびドレインの一方として有し、前記第1不純物領域の電位に応じた信号を検出する第1トランジスタを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1トランジスタは、前記第1不純物領域と電気的に接続するゲート電極を有する、請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第3不純物領域は、前記半導体基板の表面に接する、請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
第2導電型の半導体層を含む半導体基板と、
入射光を電荷に変換する光電変換部と、
前記半導体層中に位置し、前記電荷が蓄積される、前記第2導電型とは異なる第1導電型の第1不純物領域と、
前記半導体層中に位置し、前記第1不純物領域に隣接する前記第1導電型の第2不純物領域と、
前記半導体層中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に位置し、前記第1導電型の第6不純物領域と、
前記半導体層上に位置し、前記第6不純物領域に電気的に接続され、前記第1導電型の半導体を含む第3コンタクトと、
前記半導体層中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第6不純物領域との間、および、平面視において前記第2不純物領域と前記第6不純物領域との間に位置し、前記第2導電型の第7不純物領域と、
を備え
前記第2不純物領域と前記半導体層との間のpn接合には逆方向バイアスが印加される、
撮像装置。
【請求項12】
第1画素と、前記第1画素に隣接する第2画素と、をさらに備え、
前記第1画素は、前記第1不純物領域を含み、
前記第2画素は、前記第2不純物領域を含む、
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
第1画素と、前記第1画素に隣接する第2画素と、をさら備え、
前記第1画素は、前記第1不純物領域と、前記第2不純物領域と、
前記第6不純物領域と、前記第7不純物領域と、前記第3コンタクトと、を含み、
前記第2画素は、
前記半導体基板中に位置し、前記第1導電型の第4不純物領域と、
前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第4不純物領域との間に位置し、前記第1導電型の第8不純物領域と、
前記半導体基板上に位置し、前記第8不純物領域に電気的に接続され、前記第1導電型の半導体を含む第4コンタクトと、
前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第8不純物領域との間、および、平面視において前記第4不純物領域と前記第8不純物領域との間に位置し、前記第2導電型の第9不純物領域と、を含む、
請求項11に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記半導体基板中に位置し、前記第2導電型の第1領域と、
前記第1領域上の全面を覆い、前記第1導電型の第2領域と、をさらに備え、
求項11に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記第1不純物領域と前記第2不純物領域とは電気的に接続されない、請求項11から14のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記第2不純物領域をソースおよびドレインの一方として有し、前記第1不純物領域の電位に応じた信号を検出する第1トランジスタを備える、請求項11から15のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記第1トランジスタは、前記第1不純物領域と電気的に接続するゲート電極を有する、請求項16に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記第6不純物領域は、前記半導体基板の表面に接する、請求項11から17のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項19】
前記第1導電型はn型であり、前記第2導電型はp型である、請求項1から18のいずれか一項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどにCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサおよびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが広く用いられている。よく知られているように、これらのイメージセンサは、半導体基板に形成されたフォトダイオードを有する。
【0003】
他方、光電変換層を有する光電変換部を半導体基板の上方に配置した構造が、例えば特許文献1及び2において提案されている。このような構造を有する撮像装置は、積層型の撮像装置と呼ばれることがある。積層型の撮像装置では、光電変換によって発生した電荷が、電荷蓄積領域(「フローティングディフュージョン」と呼ばれる)に蓄積される。電荷蓄積領域に蓄積された電荷量に応じた信号が、半導体基板に形成されたCCD回路またはCMOS回路を介して読み出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/002330号
【文献】国際公開第2012/147302号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像を表現する信号電荷とは異なる電荷が、信号電荷を一時的に保持する拡散領域へ流入すると、ノイズの原因となり得る。ノイズは、得られる画像を劣化させる。このような意図しない電荷の移動を抑制できると有益である。以下では、このような、意図しない電荷の移動をリーク電流と表現することがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の限定的ではないある例示的な実施形態によれば、以下が提供される。
【0007】
本開示の一態様に係る撮像装置は、半導体基板と、入射光を電荷に変換する光電変換部と、前記半導体基板中に位置し、前記光電変換部に電気的に接続され、第1導電型の不純物を含む第1不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、前記第1導電型の不純物を含み、前記第1不純物領域とは異なる第2不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に位置し、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む第3不純物領域と、前記半導体基板上に位置し、前記第3不純物領域に電気的に接続され、前記第2導電型の不純物を含む半導体を含む第1コンタクトと、を備える。
【0008】
また、本開示の他の一態様に係る撮像装置は、半導体基板と、入射光を電荷に変換する光電変換部と、前記半導体基板中に位置し、前記光電変換部に電気的に接続され、第1導電型の不純物を含む第1不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、前記第1導電型の不純物を含み、前記第1不純物領域とは異なる第2不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に位置し、前記第1導電型の不純物を含む第6不純物領域と、前記半導体基板上に位置し、前記第6不純物領域に電気的に接続され、前記第1導電型の不純物を含む半導体を含む第3コンタクトと、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第6不純物領域との間、および、平面視において前記第2不純物領域と前記第6不純物領域との間に位置し、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む第7不純物領域と、を備える。
【0009】
包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システムまたは方法で実現されてもよい。また、包括的または具体的な態様は、素子、デバイス、モジュール、システムおよび方法の任意の組み合わせによって実現されてもよい。
【0010】
開示された実施形態の追加的な効果および利点は、明細書および図面から明らかになる。効果および/または利点は、明細書および図面に開示の様々な実施形態または特徴によって個々に提供され、これらの1つ以上を得るために全てを必要とはしない。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、リーク電流が抑制された撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の例示的な構成を示す図である。
図2】本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す図である。
図3A】本開示の第1の実施形態に係る画素における各素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
図3B】本開示の第1の実施形態に係る画素の例示的な構成を示す模式的な断面図である。
図4A図3Bに示される遮断構造に近い領域における、シミュレーションによって得られた不純物濃度のプロファイルを示す図である。
図4B図3Bに示される遮断構造に近い領域における、シミュレーションによって得られた不純物濃度のプロファイルを示す図である。
図5】電荷蓄積領域へのリーク電流の大きさについて、第1の実施形態と参考例とで比較して示す図である。
図6】遮断構造に近い半導体基板の断面における電子電流分布について、第1の実施形態と参考例とで比較して示す図である。
図7】本開示の第1の実施形態の第1の変形例に係る画素における各素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
図8A】本開示の第1の実施形態の第2の変形例に係る画素における各素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
図8B】本開示の第1の実施形態の第2の変形例に係る画素の例示的な構成を示す模式的な断面図である。
図9】本開示の第1の実施形態の第3の変形例に係る画素における各素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
図10A】本開示の第1の実施形態の第4の変形例に係る画素の例示的な構成を示す模式的な断面図である。
図10B】本開示の第1の実施形態の第4の変形例に係る画素の例示的な構成を示す模式的な断面図である。
図11】本開示の第2の実施形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す図である。
図12】本開示の第2の実施形態に係る画素における各素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
図13】本開示の第3の実施形態に係る撮像装置の例示的な回路構成を示す図である。
図14】本開示の第3の実施形態に係る画素における各素子のレイアウトの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示の概要)
本開示の一態様の概要は以下のとおりである。
【0014】
本開示の一態様に係る撮像装置は、半導体基板と、入射光を電荷に変換する光電変換部と、前記半導体基板中に位置し、前記光電変換部に電気的に接続され、第1導電型の不純物を含む第1不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、前記第1導電型の不純物を含み、前記第1不純物領域とは異なる第2不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に位置し、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む第3不純物領域と、前記半導体基板上に位置し、前記第3不純物領域に電気的に接続され、前記第2導電型の不純物を含む半導体を含む第1コンタクトと、を備える。
【0015】
これにより、少数キャリアが第2不純物領域から第1不純物領域に向かう拡散によって移動しようとしても、第1コンタクトの直下に形成された第3不純物領域によるポテンシャル障壁によって、その移動が妨げられる。また、逆極性の電荷との再結合によって少数キャリアが消滅する。すなわち、第1不純物領域への少数キャリアの移動が第3不純物領域によって遮断され、その結果、第1不純物領域への少数キャリアの混入によるリーク電流が抑制される。
【0016】
ここで、前記第1コンタクト内の前記第2導電型の不純物濃度は、前記第3不純物領域の前記半導体基板表面より下方に位置する部分における前記第2導電型の不純物濃度よりも大きくてもよい。
【0017】
これにより、第3不純物領域の半導体基板表面の不純物濃度をより高くすることができる。よって、第3不純物領域によるリーク電流の抑制をより確実なものにできる。
【0018】
また、前記撮像装置は、前記第1コンタクトに電圧を供給する電圧供給回路、及び前記半導体基板中に位置し、前記第2導電型の不純物を含むウェル領域をさらに備え、前記第1不純物領域、前記第2不純物領域、および、前記第3不純物領域は、前記ウェル領域内に位置してもよい。
【0019】
これにより、第1コンタクトに供給された電圧は、第3不純物領域を介してウェル領域に印加される。よって、第1コンタクトを基板コンタクトとして用いることができる。
【0020】
また、前記撮像装置は、第1画素をさらに備え、前記第1画素は、前記第1不純物領域、前記第2不純物領域、前記第3不純物領域、及び前記第1コンタクトを含んでもよい。
【0021】
また、前記撮像装置は、第1画素と、前記第1画素とは異なる第2画素と、をさらに備え、前記第1画素は、前記第1不純物領域を含み、前記第2画素は、前記第2不純物領域を含んでもよい。
【0022】
これにより、第3不純物領域は、画素間に位置することになる。よって、画素間における少数キャリアの混入によるリーク電流が抑制される。
【0023】
また、前記撮像装置は、第1画素と、前記第1画素とは異なる第2画素と、をさらに備え、前記第1画素は、前記第1不純物領域と、前記第2不純物領域と、前記第3不純物領域と、前記第1コンタクトと、を含み、前記第2画素は、前記半導体基板中に位置し、前記第1導電型の不純物を含む第4不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第4不純物領域との間に位置し、前記第2導電型の不純物を含む第5不純物領域と、前記半導体基板上に位置し、前記第5不純物領域に電気的に接続され、前記第2導電型の不純物を含む半導体を含む第2コンタクトと、を含んでもよい。
【0024】
これにより、隣接する2つの画素の境界にも、第1コンタクトおよび第3不純物領域と同様の第2コンタクトおよび第5不純物領域が形成される。よって、画素内だけでなく、画素間におけるリーク電流も抑制される。
【0025】
また、本開示の他の一態様に係る撮像装置は、半導体基板と、入射光を電荷に変換する光電変換部と、前記半導体基板中に位置し、前記光電変換部に電気的に接続され、第1導電型の不純物を含む第1不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、前記第1導電型の不純物を含み、前記第1不純物領域とは異なる第2不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第2不純物領域との間に位置し、前記第1導電型の不純物を含む第6不純物領域と、前記半導体基板上に位置し、前記第6不純物領域に電気的に接続され、前記第1導電型の不純物を含む半導体を含む第3コンタクトと、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第6不純物領域との間、および、平面視において前記第2不純物領域と前記第6不純物領域との間に位置し、前記第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む第7不純物領域と、を備える。
【0026】
これにより、少数キャリアが第2不純物領域から第1不純物領域に向かう拡散によって移動しようとしても、第3コンタクトの直下に形成された第6不純物領域によるポテンシャル障壁によって、その移動が妨げられる。さらに、素子分離領域としての第7不純物領域が設けられているので、逆極性の電荷との再結合によって少数キャリアが消滅する。すなわち、第1不純物領域への少数キャリアの移動が第3不純物領域及び第7不純物領域によって遮断され、その結果、第1不純物領域への少数キャリアの混入によるリーク電流が抑制される。
【0027】
ここで、前記第3コンタクト内の前記第1導電型の不純物濃度は、前記第6不純物領域の前記半導体基板表面より下方に位置する部分における前記第1導電型の不純物濃度よりも大きくてもよい。
【0028】
これにより、第6不純物領域の半導体基板表面の不純物濃度をより高くすることができる。よって、第6不純物領域によるリーク電流の抑制をより確実なものにできる。
【0029】
また、前記第3コンタクトに電圧を供給する電圧供給回路、及び前記半導体基板中に位置し、前記第2導電型の不純物を含むウェル領域をさらに備え、前記第1不純物領域、前記第2不純物領域、前記第6不純物領域、および、前記第7不純物領域は、前記ウェル領域内に位置してもよい。
【0030】
これにより、第3コンタクトに供給された電圧は、第6不純物領域を介してウェル領域に印加される。よって、第3コンタクトを基板コンタクトとして用いることができる。
【0031】
また、前記撮像装置は、第1画素と、前記第1画素とは異なる第2画素と、をさらに備え、前記第1画素は、前記第1不純物領域を含み、前記第2画素は、前記第2不純物領域を含んでもよい。
【0032】
これにより、第6不純物領域は、画素間に位置することになる。よって、画素間における少数キャリアの混入によるリーク電流が抑制される。
【0033】
また、前記撮像装置は、第1画素と、前記第1画素とは異なる第2画素と、をさら備え、前記第1画素は、前記第1不純物領域と、前記第2不純物領域と、前記第6不純物領域と、前記第7不純物領域と、前記第3コンタクトと、を含み、前記第2画素は、前記半導体基板中に位置し、前記第1導電型の不純物を含む第4不純物領域と、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第4不純物領域との間に位置し、前記第1導電型の不純物を含む第8不純物領域と、前記半導体基板上に位置し、前記第8不純物領域に電気的に接続され、前記第1導電型の不純物を含む半導体を含む第4コンタクトと、前記半導体基板中に位置し、平面視において前記第1不純物領域と前記第8不純物領域との間、および、平面視において前記第4不純物領域と前記第8不純物領域との間に位置し、前記第2導電型の不純物を含む第9不純物領域と、を含んでもよい。
【0034】
これにより、隣接する2つの画素の境界にも、第3コンタクトおよび第6不純物領域と同様の第4コンタクトおよび第8不純物領域が形成される。よって、画素内だけでなく、画素間におけるリーク電流も抑制される。
【0035】
また、前記撮像装置は、前記半導体基板中に位置し、前記第2導電型の不純物を含む第1領域と、前記第1領域上の全面を覆い、前記第1導電型の不純物を含む第2領域と、をさらに備え、前記ウェル領域は、前記第2領域上に位置してもよい。
【0036】
これにより、第2導電型の不純物を含む第1領域の全面を覆い、第1導電型の不純物を含む第2領域が設けられる。よって、第1領域または周辺回路からの少数キャリアの流入が抑制される。
【0037】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略することがある。
【0038】
また、図面に示す各種の要素は、本開示の理解のために模式的に示したにすぎず、寸法比および外観などは実物と異なり得る。つまり、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。
【0039】
また、本明細書において、平行または一致などの要素間の関係性を示す用語、および、円形または矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0040】
また、本明細書において、「上方」および「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構造における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。具体的には、撮像装置の受光側を「上方」とし、受光側と反対側を「下方」とする。各部材の「上面」、「下面」についても同様に、撮像装置の受光側に対向する面を「上面」とし、受光側と反対側に対向する面を「下面」とする。なお、「上方」、「下方」、「上面」および「下面」などの用語は、あくまでも部材間の相互の配置を指定するために用いており、撮像装置の使用時における姿勢を限定する意図ではない。また、「上方」および「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接する場合にも適用される。また、本明細書において、「平面視」とは、半導体基板に垂直な方向から見たときのことを言う。
【0041】
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態による撮像装置100の例示的な構成を示す。図1に示す撮像装置100は、半導体基板60に形成された複数の画素10および周辺回路を有する。
【0042】
図1に示す例では、画素10が、m行n列の複数の行および列に配列されている。ここで、m、nは、独立して1以上の整数を表す。画素10は、半導体基板60に例えば2次元に配列されることにより、撮像領域R1を形成する。
【0043】
画素10の数および配置は、図示する例に限定されない。例えば、撮像装置100に含まれる画素10の数は、1つであってもよい。この例では、各画素10の中心が正方格子の格子点上に位置しているが、例えば、各画素10の中心が、三角格子、六角格子などの格子点上に位置するように複数の画素10を配置してもよい。例えば、画素10を1次元に配列することにより、撮像装置100をラインセンサとして利用し得る。
【0044】
図1に例示する構成において、周辺回路は、垂直走査回路42、水平信号読み出し回路44を含む。図1に例示するように、周辺回路は、付加的に、制御回路46および電圧供給回路48を含み得る。周辺回路が、信号処理回路、出力回路などをさらに含んでいてもかまわない。図1に示す例では、周辺回路に含まれる各回路は、半導体基板60上に設けられている。ただし、周辺回路の一部が、画素10の形成された半導体基板60とは異なる他の基板上に配置されることもあり得る。
【0045】
垂直走査回路42は、行走査回路とも呼ばれ、複数の画素10の各行に対応して設けられたアドレス信号線34との接続を有する。後述するように、複数の画素10の各行に対応して設けられる信号線は、アドレス信号線34に限定されず、垂直走査回路42には、複数の画素10の行ごとに複数の種類の信号線が接続され得る。水平信号読み出し回路44は、列走査回路とも呼ばれ、複数の画素10の各列に対応して設けられた垂直信号線35との接続を有する。
【0046】
制御回路46は、撮像装置100の例えば外部から与えられる指令データ、クロックなどを受け取って撮像装置100全体を制御する。典型的には、制御回路46は、タイミングジェネレータを有し、垂直走査回路42、水平信号読み出し回路44、電圧供給回路48などに駆動信号を供給する。図1中、制御回路46から延びる矢印は、制御回路46からの出力信号の流れを模式的に表現している。制御回路46は、例えば1以上のプロセッサを含むマイクロコントローラによって実現され得る。制御回路46の機能は、汎用の処理回路とソフトウェアとの組み合わせによって実現されてもよいし、このような処理に特化したハードウェアによって実現されてもよい。
【0047】
電圧供給回路48は、電圧線38を介して、各画素10に所定の電圧を供給する。電圧供給回路48は、特定の電源回路に限定されず、バッテリーなどの電源から供給された電圧を所定の電圧に変換する回路であってもよいし、所定の電圧を生成する回路であってもよい。電圧供給回路48は、上述の垂直走査回路42の一部であってもよい。図1において模式的に示すように、周辺回路を構成するこれらの回路は、撮像領域R1の外側の周辺領域R2に配置される。
【0048】
図2は、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置100の例示的な回路構成を模式的に示す。図2では、図面が複雑となることを避けるために、2行2列に配列された4つの画素10Aが代表して示されている。これら画素10Aの各々は、図1に示す画素10の一例であり、光電変換部としての光電変換構造12を有し、光電変換構造12に電気的に接続された信号検出回路14Aを含む。後に図面を参照して詳しく説明するように、光電変換構造12は、半導体基板60の上方に配置された光電変換層を含む。すなわち、ここでは、撮像装置100として積層型の撮像装置を例示する。
【0049】
光電変換構造12は、光の入射を受けて正および負の電荷、典型的には、正孔-電子対を発生させる。光電変換構造12は、半導体基板60の上方に配置された光電変換層を含む光電変換構造、あるいは、半導体基板60に形成されたフォトダイオードであり得る。なお、図2では、各画素10Aの光電変換構造12が空間的に互いに分離されて示されているが、これは説明の便宜に過ぎず、複数の画素10Aの光電変換構造12が互いに間隔をあけずに半導体基板60上に連続的に配置されることもあり得る。各画素10Aが、光電変換構造12として例えば半導体基板60の上方に光電変換構造を有する場合、図1の撮像領域R1は、半導体基板60のうち、光電変換構造によって覆われている領域として規定され得る。
【0050】
各画素10Aの光電変換構造12は、蓄積制御線31との接続を有する。撮像装置100の動作時、蓄積制御線31には所定の電圧が印加される。例えば、光電変換によって生成された正および負の電荷のうち、正の電荷を信号電荷として利用する場合であれば、撮像装置100の動作時に蓄積制御線31に例えば10V程度の正電圧が印加され得る。以下では、信号電荷として正孔を利用する場合を例示する。
【0051】
図2に例示する構成において、信号検出回路14Aは、信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26を含む。後に図面を参照して詳しく説明するように、信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26は、典型的には、光電変換構造12を支持する半導体基板60に形成された電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)である。以下では、特に断りの無い限り、トランジスタとしてNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor FET)を用いる例を説明する。なお、FETの2つの拡散層のうちどちらがソースおよびドレインに該当するかは、FETの極性およびその時点での電位の高低によって決定される。そのため、どちらがソースおよびドレインであるかはFETの作動状態によって変動しうる。
【0052】
図2において模式的に示すように、信号検出トランジスタ22のゲートは、光電変換構造12に電気的に接続されている。所定の電圧を動作時に蓄積制御線31に印加することにより、例えば正孔を電荷蓄積ノードFDに信号電荷として蓄積することができる。ここで、電荷蓄積ノードFDは、信号検出トランジスタ22のゲートを光電変換構造12に接続するノードであり、後に図面を参照して説明するように、半導体基板60に形成された不純物領域をその一部に含む。図示する例において、電荷蓄積ノードFDは、光電変換構造12によって生成された電荷を一時的に保持する機能を有する。
【0053】
信号検出トランジスタ22のドレインは、撮像装置100の動作時に各画素10Aに例えば3.3V程度の電源電圧VDDを供給する電源配線32に接続され、ソースは、アドレストランジスタ24を介して垂直信号線35に接続される。信号検出トランジスタ22は、ドレインに電源電圧VDDの供給を受けることにより、電荷蓄積ノードFDに蓄積された信号電荷の量に応じた信号電圧を出力する。
【0054】
信号検出トランジスタ22と垂直信号線35との間に接続されたアドレストランジスタ24のゲートには、アドレス信号線34が接続されている。したがって、垂直走査回路42は、アドレストランジスタ24のオンおよびオフを制御する行選択信号をアドレス信号線34に印加することにより、選択した画素10Aの信号検出トランジスタ22の出力を、対応する垂直信号線35に読み出すことができる。なお、アドレストランジスタ24の配置は、図2に示す例に限定されず、信号検出トランジスタ22のドレインと電源配線32との間であってもよい。
【0055】
垂直信号線35の各々には、負荷回路45およびカラム信号処理回路47が接続されている。負荷回路45は、信号検出トランジスタ22とともにソースフォロア回路を形成する。カラム信号処理回路47は、行信号蓄積回路とも呼ばれ、相関2重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換などを行う。水平信号読み出し回路44は、複数のカラム信号処理回路47から水平共通信号線49に信号を順次読み出す。負荷回路45およびカラム信号処理回路47は、上述の周辺回路の一部であり得る。
【0056】
リセットトランジスタ26のゲートには、垂直走査回路42との接続を有するリセット信号線36が接続される。リセット信号線36は、アドレス信号線34と同様に複数の画素10Aの行ごとに設けられる。垂直走査回路42は、アドレス信号線34に行選択信号を印加することによってリセットの対象となる画素10Aを行単位で選択することができ、リセット信号線36を介してリセットトランジスタ26のゲートにリセット信号を印加することにより、選択された行のリセットトランジスタ26をオンとすることができる。リセットトランジスタ26がオンとされることにより、電荷蓄積ノードFDの電位がリセットされる。
【0057】
この例では、リセットトランジスタ26のドレインおよびソースの一方は、電荷蓄積ノードFDに接続され、ドレインおよびソースの他方は、複数の画素10Aの列ごとに設けられたフィードバック線53のうちの対応する1つに接続されている。すなわち、この例では、光電変換構造12の電荷を初期化するリセット電圧として、フィードバック線53の電圧が電荷蓄積ノードFDに供給される。
【0058】
図2に例示する構成において、撮像装置100は、反転増幅器50を帰還経路の一部に含むフィードバック回路16Aを有する。図2に示すように、反転増幅器50は、複数の画素10Aの列ごとに設けられており、上述のフィードバック線53は、複数の反転増幅器50のうちの対応する1つの出力端子に接続されている。反転増幅器50は、上述の周辺回路の一部であり得る。
【0059】
図示するように、反転増幅器50の反転入力端子は、対応する列の垂直信号線35に接続され、反転増幅器50の非反転入力端子には、撮像装置100の動作時、例えば1Vまたは1V近傍の正電圧である参照電圧Vrefが供給される。アドレストランジスタ24およびリセットトランジスタ26をオンとすることにより、その画素10Aの出力を負帰還させる帰還経路を形成することができ、帰還経路の形成により、垂直信号線35の電圧が、反転増幅器50の非反転入力端子への入力電圧Vrefに収束する。換言すれば、帰還経路の形成により、電荷蓄積ノードFDの電圧が、垂直信号線35の電圧がVrefとなるような電圧にリセットされる。電圧Vrefとしては、電源電圧および接地の範囲内の任意の大きさの電圧を用い得る。帰還経路の形成により、リセットトランジスタ26のオフに伴って発生するリセットノイズを低減可能である。フィードバックを利用したリセットノイズの抑制の詳細は、国際公開第2012/147302号において説明されている。参考のために、国際公開第2012/147302号の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0060】
(画素10Aのデバイス構造)
図3Aは、画素10Aにおける各素子のレイアウトの一例を示す。図3Bは、画素10Aのデバイス構造の一例を模式的に示す。図3Aは、図3Bに示す画素10Aを、半導体基板60の法線方向に沿って見たときの、半導体基板60に形成された各素子の配置を模式的に示している。図3A中の3B-3B破線に沿って画素10Aを切断して展開すれば、図3Bに示す断面が得られる。
【0061】
図3Bを参照する。画素10Aは、概略的には、半導体基板60と、半導体基板60の上方に配置された光電変換構造12と、導電構造89とを含む。図示するように、光電変換構造12は、半導体基板60を覆う層間絶縁層90に支持され、導電構造89は、層間絶縁層90の内部に配置されている。図示する例において、層間絶縁層90は、複数層の絶縁層を含み、導電構造89は、層間絶縁層90の内部に配置された複数層の配線層の各一部を含む。層間絶縁層90中に配置された複数層の配線層は、アドレス信号線34およびリセット信号線36などをその一部に有する配線層、垂直信号線35、電源配線32およびフィードバック線53などをその一部に有する配線層などを含み得る。言うまでもないが、層間絶縁層90中の絶縁層の数および配線層の数は、この例に限定されず、任意に設定可能である。
【0062】
光電変換構造12は、入射光を電荷に変換する光電変換部の一例であり、層間絶縁層90上に形成された画素電極12a、光の入射側に配置された対向電極12c、および、これらの電極間に配置された光電変換層12bを含む。光電変換構造12の光電変換層12bは、有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から形成され、対向電極12cを介して入射した光を受けて、光電変換により正および負の電荷を生成する。光電変換層12bは、典型的には、複数の画素10Aにわたって連続的に形成される。光電変換層12bは、有機材料から構成される層と無機材料から構成される層とを含んでいてもよい。
【0063】
対向電極12cは、ITOなどの透明導電性材料から形成された透光性の電極である。本明細書における「透光性」の用語は、光電変換層12bが吸収可能な波長の光の少なくとも一部を透過することを意味し、可視光の波長範囲全体にわたって光を透過することは必須ではない。典型的には、対向電極12cは、光電変換層12bと同様に、複数の画素10Aにわたって形成される。図3Bにおいて図示が省略されているが、対向電極12cは、上述の蓄積制御線31との接続を有する。撮像装置100の動作時、蓄積制御線31の電位を制御して対向電極12cの電位を画素電極12aの電位よりも例えば高くすることにより、光電変換で生成された正および負の電荷のうち正の電荷を画素電極12aによって選択的に収集することができる。複数の画素10Aにわたって連続した単一の層の形で対向電極12cを形成することにより、複数の画素10Aの対向電極12cに一括して所定の電位を印加することが可能になる。
【0064】
画素電極12aは、アルミニウム、銅などの金属、金属窒化物、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される電極である。画素電極12aは、隣接する他の画素10Aの画素電極12aから空間的に分離されることにより、他の画素10Aの画素電極12aから電気的に分離される。
【0065】
導電構造89は、複数の配線およびプラグpa1と、コンタクトプラグcp1とを含み、その一端は、画素電極12aに接続されている。複数の配線およびプラグpa1は、典型的には、銅もしくはタングステンなどの金属、または、金属窒化物もしくは金属酸化物などの金属化合物から形成される。コンタクトプラグcp1は、例えば、p型不純物がドープされたポリシリコンで形成される。後述する他のコンタクトプラグについても同様である。後述するように、半導体基板60に形成された回路素子に導電構造89の他端が接続されることにより、光電変換構造12の画素電極12aと半導体基板60上の回路とが互いに電気的に接続される。
【0066】
ここで、半導体基板60に注目する。図3Bに模式的に示すように、半導体基板60は、支持基板61と、支持基板61上に形成された1以上の半導体層とを含む。ここでは、支持基板61として、p型シリコン基板を例示する。
【0067】
図3Bに例示する構成において、半導体基板60は、支持基板61上のp型半導体層61pと、p型半導体層61p上のn型半導体層62nと、n型半導体層62n上のp型半導体層63pと、p型半導体層63p上に位置する第1半導体層としてのp型半導体層65pとを有する。
【0068】
なお、本実施の形態では、n型を第1導電型、p型を第2導電型と呼ぶ。p型半導体層61pは、半導体基板60中に位置し、第2導電型の不純物を含む第1領域の一例である。また、n型半導体層62nは、第1領域を覆い、第1導電型の不純物を含む第2領域の一例である。また、p型半導体層65pと後述するp型不純物領域66pとは、第2領域上に位置するウェル領域を構成している。
【0069】
典型的には、p型半導体層63pは、支持基板61の全面にわたって形成される。p型半導体層61p、n型半導体層62n、p型半導体層63pおよびp型半導体層65pの各々は、典型的には、エピタキシャル成長で形成した半導体層への不純物のイオン注入によって形成される。p型半導体層65pにおける不純物濃度は、p型半導体層61pの不純物濃度よりも高い。
【0070】
第2半導体層としてのn型半導体層62nは、p型半導体層61pとp型半導体層63pとの間に位置する。図3Aにおいては図示が省略されているが、n型半導体層62nには、不図示のウェルコンタクトが接続される。ウェルコンタクトは、撮像領域R1の外側に設けられ、撮像装置100の動作時、n型半導体層62nの電位は、ウェルコンタクトを介して制御される。n型半導体層62nを設けることにより、信号電荷を蓄積する電荷蓄積領域への支持基板61または周辺回路からの少数キャリアの流入が抑制される。
【0071】
また、半導体基板60は、p型半導体層61pおよびn型半導体層62nを貫通するようにしてp型半導体層63pおよび支持基板61の間に設けられたp型領域64を有する。p型領域64は、p型半導体層63pおよびp型半導体層65pと比較して高い不純物濃度を有し、p型半導体層63pと支持基板61とを電気的に接続する。支持基板61は、図3Bにおいては不図示の、撮像領域R1の外側に設けられた基板コンタクトとの接続を有する。撮像装置100の動作時、基板コンタクトを介して、支持基板61およびp型半導体層63pの電位が制御される。また、p型半導体層63pに接するようにp型半導体層65pを配置することにより、撮像装置100の動作時にp型半導体層63pを介してp型半導体層65pの電位を制御することが可能である。
【0072】
図3Bに例示する構成において、p型半導体層65pは、不純物の濃度がより低いp型不純物領域66pを有し、p型不純物領域66p中にn型不純物領域67nが形成されている。n型不純物領域67nは、半導体基板60中に位置し、光電変換構造12に電気的に接続され、第1導電型の不純物を含む第1不純物領域の一例である。図3Bに模式的に示すように、n型不純物領域67nは、半導体基板60の表面の近傍に形成されており、その少なくとも一部は、半導体基板60の表面に位置している。ここでは、n型不純物領域67nは、第1領域67aと、第1領域67a内に位置し、第1領域67aよりも相対的に不純物濃度の高い第2領域67bとを含んでいる。
【0073】
半導体基板60の光電変換構造12側の主面上には、絶縁層が配置される。この例では、半導体基板60の光電変換構造12側の主面は、第1絶縁層70および第2絶縁層71によって覆われている。第1絶縁層70は、例えばシリコンの熱酸化膜である。第2絶縁層71は、例えば二酸化シリコン層である。第2絶縁層71が、複数の絶縁層を含む積層構造を有していてもよい。
【0074】
第1絶縁層70は、n型不純物領域67nの第2領域67b上にコンタクトホールh1を有する。図3Bに示す例では、導電構造89の一部であるコンタクトプラグcp1がコンタクトホールh1を貫通して第2領域67bに接続され、これにより、n型不純物領域67nが、導電構造89を介して光電変換構造12の画素電極12aに電気的に接続されている。
【0075】
pウェルとしてのp型不純物領域66pと、n型不純物領域67nとの間のpn接合によって形成される接合容量が信号電荷の少なくとも一部を蓄積する容量として機能することにより、n型不純物領域67nは、信号電荷を一時的に保持する電荷蓄積領域として機能する。導電構造89およびn型不純物領域67nは、上述の電荷蓄積ノードFDの少なくとも一部を構成するといえる。
【0076】
上述したように、p型半導体層63pに隣接してp型半導体層65pを配置することにより、撮像装置100の動作時にp型半導体層65pの電位を、p型半導体層63pを介して制御することが可能である。このような構造の採用により、光電変換構造12との電気的接続を有するコンタクトプラグcp1と半導体基板60とが接触する部分の周囲に、相対的に不純物濃度の低い領域を配置することが可能になる。この例では、n型不純物領域67nの第2領域67bの周囲に、第1領域67aおよびp型不純物領域66pを配置している。相対的に不純物濃度の低い第1領域67aを第2領域67bの周囲に配置することにより、n型不純物領域67nと、p型半導体層65pまたはp型不純物領域66pとの間のpn接合によって形成される電界強度を緩和し得る。pn接合によって形成される電界強度が緩和されることにより、pn接合によって形成される電界に起因するリーク電流を抑制する効果が得られる。
【0077】
なお、n型不純物領域67nにおける第2領域67bの形成は必須ではない。ただし、コンタクトプラグcp1と半導体基板60との接続部分である第2領域67bの不純物濃度を比較的高くすることにより、コンタクトプラグcp1と半導体基板60とが接触する部分の周囲の空乏層の広がりを抑制する効果が得られ、コンタクトプラグcp1と半導体基板60との界面における半導体基板60の結晶欠陥、換言すれば、界面準位に起因する、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nへの意図しない電荷の流入および/またはn型不純物領域67nからの意図しない電荷の流出を抑制し得る。また、比較的高い不純物濃度を有する第2領域67bにコンタクトプラグcp1を接続することにより、コンタクト抵抗を低減する効果も得られる。
【0078】
半導体基板60には、上述の信号検出回路14Aが形成される。画素10A中の信号検出回路14Aは、互いに隣接する画素10A間に素子分離領域69が配置されることにより、隣接する他の画素10A中の信号検出回路14Aから電気的に分離される。素子分離領域69は、例えばp型の不純物領域である。
【0079】
信号検出回路14Aのうち、リセットトランジスタ26は、n型不純物領域67nをドレイン領域およびソース領域の一方として含み、n型不純物領域68anをドレイン領域およびソース領域の他方として含む。リセットトランジスタ26は、さらに、第1絶縁層70上のゲート電極26eを含み、第1絶縁層70のうちゲート電極26eと半導体基板60との間に位置する部分は、リセットトランジスタ26のゲート絶縁膜として機能する。n型不純物領域68anは、p型半導体層65pに形成されており、コンタクトプラグcp2を介してフィードバック線53に接続されている。
【0080】
p型半導体層65pには、n型不純物領域68bn、68cnおよび68dnも設けられる。n型不純物領域68bn、68cnおよび68dnは、半導体基板60中に位置し、第1導電型の不純物を含み、第1不純物領域とは異なる第2不純物領域の一例である。なお、n型不純物領域68an、68bn、68cnおよび68dnの不純物濃度は、n型不純物領域67nの第1領域67aの不純物濃度よりも高い。
【0081】
信号検出トランジスタ22は、n型不純物領域68bnと、n型不純物領域68cnと、第1絶縁層70上のゲート電極22eとを含む。この例では、ゲート電極22eは、アドレス信号線34およびリセット信号線36などが位置するレイヤーにおいて、導電構造89のうち画素電極12aとコンタクトプラグcp1とを互いに接続する部分に接続されている。換言すれば、導電構造89は、ゲート電極22eとの電気的接続も有している。
【0082】
ドレイン領域としてのn型不純物領域68bnには、コンタクトプラグcp3がコンタクトホールh3を貫通して接続されている。コンタクトプラグcp3には、ソースフォロワ電源としての上述の電源配線32が接続される。
【0083】
図3Bに模式的に示すように、n型不純物領域68bnは、電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nから離してp型半導体層65p中に配置される。この例では、n型不純物領域68bnと、n型不純物領域67nとの間に不純物領域69paおよび69pbが介在させられることにより、n型不純物領域68bnがn型不純物領域67nから電気的に分離されている。不純物領域69paおよび69pbの各々は、上述の素子分離領域69の一部であり、典型的には、p型の不純物領域である。不純物領域69paおよび69pbにおける不純物濃度は、p型半導体層65pの不純物濃度よりも高く、例えば、5×1017cm-3以上1×1019cm-3以下程度の範囲である。図示するように、半導体基板60の主面に垂直な断面を見たとき、不純物領域69paおよび69pbは、n型不純物領域67nとn型不純物領域68bnとの間において互いに分離してp型半導体層65p中に設けられている。
【0084】
さらにここでは、第1絶縁層70上の、不純物領域69paと不純物領域69pbとの間の領域に遮断構造28が配置されている。遮断構造28は、半導体層cp5とp型不純物領域28aとを含む構造体である。図示するように、半導体層cp5は、第2絶縁層71および第3絶縁層72の積層構造によって覆われる。なお、この例では、第2絶縁層71および第3絶縁層72の積層構造は、リセットトランジスタ26のゲート電極26eおよび後述するゲート電極22e、24eをも覆っている。半導体層cp5は、第1絶縁層70に設けられたコンタクトホールh5を貫通して半導体基板60中のp型不純物領域28aに接続されている。
【0085】
図3Aに例示する構成において、遮断構造28は、複数の画素10Aの列方向に平行に延びる矩形状を有する。なお、図3Aに示す例では、信号検出トランジスタ22およびアドレストランジスタ24は、紙面における上下方向に沿って直線状に配置されている。これらのドレイン領域およびソース領域は、不純物領域69paおよび不純物領域69pbをその一部に含む素子分離領域69によってリセットトランジスタ26のドレイン領域およびソース領域から電気的に分離されている。
【0086】
(遮断構造の詳細)
ここで、再び図3Bを参照して、遮断構造28の詳細な構成を説明する。
【0087】
上述したように、遮断構造28は、第3不純物領域の一例であるp型不純物領域28aを含む。p型不純物領域28aは、p型不純物がドープされたポリシリコンである半導体層cp5からp型不純物を拡散させることで、p型半導体層65p内に、形成される。p型不純物領域28aは、半導体基板の表面付近における高濃度のp型不純物領域である。なお、半導体層cp5は、半導体基板60上に位置し、第3不純物領域に電気的に接続され、第2導電型の不純物を含む半導体を含む第1コンタクトの一例である。
【0088】
上述したように、信号検出トランジスタ22のドレイン領域として機能するn型不純物領域68bnには、撮像装置100の動作時、3.3V程度の比較的高い電圧が印加される。本発明者らの検討によると、高電圧が印加されるドレイン領域とその周囲との間に形成されるpn接合で電子が生成されると、その一部が、素子分離領域の界面準位およびシリコン基板表面の界面準位を介した拡散によって電荷蓄積領域に流入することが生じ得る。このような余計な電荷の流入に起因するリーク電流は、得られる画像の劣化の原因となり得る。
【0089】
これに対し、ここでは、信号検出トランジスタ22のドレイン領域としてのn型不純物領域68anと、信号電荷を保持する電荷蓄積領域としてのn型不純物領域67nとの間に遮断構造28を配置している。そのため、例えば、n型不純物領域68bnからn型不純物領域67nに向かって拡散によって移動する電子が生じても、このような電子は、半導体基板60のうち半導体層cp5の直下に形成されたp型不純物領域28aによるポテンシャル障壁によって、他方のn型不純物領域に到達し得なくなる、または正孔との再結合によって消滅し得る。すなわち、n型不純物領域67nへの少数キャリアの移動が半導体層cp5の直下に形成されたp型不純物領域28aによって遮断され、その結果、n型不純物領域67nへの少数キャリアの混入によるリーク電流が抑制される。
【0090】
図4A及び図4Bは、図3Bに示される遮断構造28に近い領域における、シミュレーションによって得られた不純物濃度のプロファイルを示す図である。図4Aは、図3Bにおける遮断構造28に近い領域での断面視における不純物濃度のプロファイルを示す。ただし、図4Aでは、遮断構造28に対するn型不純物領域68bnおよびn型不純物領域67nの位置関係が図3Bとは逆転している。図4Bは、図4Aの破線における半導体基板60の深さ方向における不純物濃度のプロファイルを示す。なお、図4Bには、本実施形態のプロファイルと、参考例のプロファイルが示されている。ここで、参考例は、本実施形態における遮断構造28に代えて、半導体基板60の表面近くに形成されたp型不純物領域のみを遮断構造として備える撮像装置である。
【0091】
図4Bに示されるように、本実施形態では、半導体層cp5の直下に形成されたp型不純物領域28aの存在により、半導体基板60の表面において不純物濃度が最大となり、深さが増すに従って不純物濃度が低下する。そして、第1コンタクトである半導体層cp5内の第2導電型の不純物濃度は、第3不純物領域であるp型不純物領域28aの半導体基板60の表面より下の部分の第2導電型の不純物濃度よりも大きい。一方、参考例では、半導体基板60の表面よりも少し深い位置で不純物濃度が最大となり、その位置よりも深さが増すに従って不純物濃度が低下する。このような差異が生じる理由は、以下のように説明される。本実施形態では、遮断構造28が、p型不純物が高濃度にドープされたポリシリコンである半導体層cp5を有し、半導体層cp5からp型不純物が半導体基板60の中に拡散することでp型不純物領域28aが形成される。一方で、参考例では、半導体層cp5が設けられず、半導体基板60へのイオン注入によってp型不純物領域が形成されるためである。
【0092】
このように、本実施の形態では、第1コンタクトである半導体層cp5内の第2導電型の不純物濃度は、第3不純物領域であるp型不純物領域28aの半導体基板60の表面より下の部分の第2導電型の不純物濃度よりも大きい。これにより、半導体基板60の表面の界面準位を介した、n型不純物領域68bnからn型不純物領域67nへの電子の拡散によるリーク電流が参考例よりも抑制される。
【0093】
図5は、シミュレーションによって得られた、n型不純物領域68bnからn型不純物領域67nに流れるリーク電流の大きさについて、第1の実施形態と参考例とで比較して示す図である。より詳しくは、図5は、n型不純物領域68bnが比較的小さい場合における本実施形態および参考例でのリーク電流の大きさを示す。縦軸は、n型不純物領域67nを流れる電流の比を示す。具体的には、INQ/(INL+IGW+INQ)を示す。INQ、INL、IGWは、それぞれ、n型不純物領域67nを流れる電流、n型不純物領域68bnを流れる電流、n型半導体層62nを流れる電流である。シミュレーションでは、n型不純物領域67nに0.5V、n型不純物領域68bnに3.3V、n型半導体層62nに0.5V、p型半導体層61pに0Vを印加した場合を想定している。また、本図における参考例は、図4Bで説明した参考例と同じである。
【0094】
図5から分かるように、n型不純物領域67nへの電子の拡散によるリーク電流は、遮断構造28が半導体層cp5を有する本実施形態では、参考例に比べ、抑制されている。n型不純物領域68bnが比較的小さい場合であっても大きい場合であっても同様の傾向が見て取れる。
【0095】
図6は、シミュレーションによって得られた、遮断構造28に近い半導体基板60の断面における電子電流分布について示す図である。より詳しくは、図6の部分(a)は、参考例での電子電流分布を示し、図6の部分(b)は、本実施形態での電子電流分布を示す。なお、本図における参考例は、図4Bで説明した参考例と同じである。図6の部分(a)および部分(b)において、矢印は、n型不純物領域68bnからの電子拡散の経路を示す。
【0096】
n型不純物領域68bnからn型不純物領域67nへの電子電流分布に着目する。図6の部分(a)に示される参考例では、n型不純物領域67nに近い領域では高い値での分布が見られるのに対して、図6の部分(b)に示される本実施形態では、n型不純物領域67nに近い領域では極めて低い値での分布が見られる。本実施形態では、半導体層cp5の直下に形成されたp型不純物領域28aによって、n型不純物領域68bnからn型不純物領域67nに流れる電子電流が抑制されることがわかる。
【0097】
(第1の実施形態の第1の変形例)
図7は、本開示の第1の実施形態の第1の変形例に係る画素10Bにおける各素子のレイアウトの一例を示す平面図を示す。本変形例では、第1の実施形態と異なり、遮断構造28に加えて半導体層cp6を備えている。半導体層cp6は、コンタクトホールh6を貫通して、p型ウェルであるp型半導体層65pに電気的に接続されている。また、半導体層cp6は、電圧線38を介して電圧供給回路48に接続されている。電圧供給回路48から、半導体層cp6に電圧を供給することにより、p型半導体層65pの電位を所望の値に制御できる。言い換えると、半導体層cp6を基板コンタクトとして用いることができる。これにより、支持基板61の電位を固定するための基板コンタクトを撮像領域外に別途設ける必要がなくなるため、撮像装置全体のサイズを小さくすることができる。
【0098】
(第1の実施形態の第2の変形例)
図8Aは、本開示の第1の実施形態の第2の変形例に係る画素10Cにおける各素子のレイアウトの一例を示す平面図を示す。図3Aに示される第1の実施形態と異なる点は、半導体層cp5が電圧線38を介して電圧供給回路48に接続されていることである。電圧供給回路48から半導体層cp5に電圧を供給することで、p型不純物領域28aを介してp型半導体層65pの電位を所望の値に制御できる。言い換えると、遮断構造28を、基板コンタクトとして併用できる。
【0099】
図8Bは、画素10Cの例示的な構成を示す模式的な断面図である。図8Bは、図8A中の8B-8B破線に沿って画素10Cを切断して展開した断面図である。本図に示されるように、遮断構造28を構成する半導体層cp5は、プラグpa8を介して、電圧線38に接続されている。また、本変形例では、p型半導体層61pは、半導体基板60中に位置し、第2導電型の不純物を含む第1領域の一例である。n型半導体層62nは、第1領域上の全面を覆い、第1導電型の不純物を含む第2領域の一例である。そして、p型半導体層65pとp型不純物領域66pとは、第2領域上に位置するウェル領域の一例である。つまり、本変形例では、図3Bに示されたp型領域64が設けられていない。
【0100】
このような構造により、遮断構造28を、n型不純物領域67nへのリーク電流を抑制のためだけでなく、基板コンタクトとしても用いることができる。これにより、本変形例では、図3Bに示されたp型領域64がないことから分かるように、支持基板61の電位を固定するための基板コンタクトを別途設ける必要がなくなるため、撮像装置全体のサイズをより小さくすることができる。
【0101】
(第1の実施形態の第3の変形例)
図9は、本開示の第1の実施形態の第3の変形例に係る画素における各素子のレイアウトの一例を示す平面図を示す。本変形例では、平面視において、電荷蓄積領域であるn型不純物領域67nの左右両側に、遮断構造28および281が形成されている。つまり、上記実施形態では、各画素におけるn型不純物領域67nとn型不純物領域68bnとの間にだけに遮断構造28が設けられたが、本変形例では、それに加えて、第1画素におけるn型不純物領域67nと、第1画素に隣接する第2画素におけるn型不純物領域68bnとの間にも遮断構造281が設けられている。遮断構造281は、例えば、第1画素と第2画素との境界上に設けられる。
【0102】
遮断構造281も、遮断構造28と同じ構造を有する。つまり、遮断構造281は、半導体層cp5とp型不純物領域28aとを含む構造体である。遮断構造281を構成する半導体層cp5は、第2絶縁層71および第3絶縁層72の積層構造によって覆われ、第1絶縁層70に設けられたコンタクトホールh5を貫通して半導体基板60に接続されている。そして、遮断構造281を構成する半導体層cp5の直下のp型半導体層65p内には、高濃度のp型不純物領域28aが形成されている。
【0103】
なお、第2画素におけるn型不純物領域68bnは、第2画素における、半導体基板60中に位置し、第1導電型の不純物を含む第4不純物領域の一例である。遮断構造281を構成する半導体層cp5の直下に位置するp型不純物領域28aは、半導体基板60中に位置し、平面視において第1不純物領域と第4不純物領域との間に位置し、第2導電型の不純物を含む第5不純物領域の一例である。遮断構造281を構成する半導体層cp5は、半導体基板60上に位置し、第5不純物領域に電気的に接続され、第2導電型の不純物を含む半導体を含む第2コンタクトの一例である。
【0104】
本変形例によれば、画素内で生じ得るリーク電流だけでなく、隣接する画素からの少数キャリアの混入によるリーク電流が抑制される。
【0105】
(第1の実施形態の第4の変形例)
図10Aは、本開示の第1の実施形態の第4の変形例に係る画素10Dの例示的な構成を示す模式的な断面図であり、図10Bは、本開示の第1の実施形態の第4の変形例に係る画素10Eの例示的な構成を示す模式的な断面図である。なお、図10A及び図10Bにおいて、右上がり斜線のハッチング箇所はp型の不純物を含むことを示し、右下がり斜線のハッチング箇所はn型の不純物を含むことを示す。
【0106】
図10Aに示される画素10Dは、第1の実施形態と異なり、n型不純物領域67nとn型不純物領域68bnとの間に素子分離領域69を備えない。p型不純物領域28aは、n型不純物領域67nおよびn型不純物領域68bnの導電型とは反対極性であるp型の不純物を含む。したがって、p型不純物領域28paに、電荷蓄積領域へのリーク電流を抑制する機能だけでなく、素子分離領域も兼ねさせることができる。これにより、素子分離領域を別途設ける必要がなくなるため、半導体基板への不純物注入の回数および量を少なくすることができる。したがって、不純物注入による半導体基板へのダメージを低減することができる。
【0107】
図10Bに示される画素10Eでは、第1の実施形態と異なり、遮断構造28を構成する半導体層cp5aは、n型不純物領域67nおよびn型不純物領域68bnの導電型と同極性である、n型の不純物を含む半導体を含む。また、n型不純物領域28bは、n型の不純物を含む。なお、この例では、第1の実施形態と同様に、素子分離領域として、p型の不純物領域69paおよび69pbが形成されている。
【0108】
つまり、画素10Eでは、n型不純物領域67nは、半導体基板60中に位置し、光電変換構造12に電気的に接続され、第1導電型の不純物を含む第1不純物領域の一例である。n型不純物領域68bnは、半導体基板60中に位置し、第1導電型の不純物を含み、第1不純物領域とは異なる第2不純物領域の一例である。n型不純物領域28bは、半導体基板60中に位置し、平面視において第1不純物領域と第2不純物領域との間に位置し、第1導電型の不純物を含む第6不純物領域の一例である。半導体層cp5aは、半導体基板60上に位置し、第6不純物領域に電気的に接続され、第1導電型の不純物を含む半導体を含む第3コンタクトの一例である。素子分離領域を構成するp型の不純物領域69paおよび69pbは、半導体基板60中に位置し、平面視において第1不純物領域と第6不純物領域との間、および、平面視において第2不純物領域と第6不純物領域との間に位置し、第1導電型とは異なる第2導電型の不純物を含む第7不純物領域の一例である。素子分離領域を構成するp型の不純物領域69paおよび69pbの存在によって、半導体層cp5aの直下に形成されたn型不純物領域28bは、n型不純物領域67nおよびn型不純物領域68bnとは電気的に分離される。また、n型不純物領域28bは、n型不純物領域67nへ向かって移動する不要な電荷を吸収する。したがって、このような構造の遮断構造であってもn型不純物領域67nへのリーク電流を抑制することができる。
【0109】
(第2の実施形態)
図11は、本開示の第2の実施形態による撮像装置の例示的な回路構成を示す図である。第1の実施形態との主な相違点は、第2の実施形態では、各画素10Fが、OFトランジスタ27を備えている点である。OFトランジスタ27は、電荷蓄積領域の過剰な電位上昇を防止するため、電荷を逃がすオーバーフロー動作を行う。OFトランジスタ27のドレインおよびソースの一方は、OFトランジスタ27のゲートと接続され、かつ、電荷蓄積ノードFDと接続されている。OFトランジスタ27のドレインおよびソースの他方は、電源配線33に接続されている。これにより、電荷蓄積ノードFDに過剰に電荷が蓄積された場合に、過剰な電荷がOFトランジスタ27を介して電源配線33に排出される。したがって、電荷蓄積ノードFDの過剰な電位上昇が防止される。これにより、飽和レベル以上の強い入射光により発生した電荷が隣接画素にあふれ出す現象であるブルーミングが抑制される。
【0110】
図12は、本開示の第2の実施形態に係る画素10Fにおける各素子のレイアウトの一例を示す平面図である。図3Aに示される第1の実施形態との相違点は、第2の実施形態では、OFトランジスタ27および電源配線33が追加されている点である。OFトランジスタ27は、ゲート電極27eおよびソース領域としてのn型不純物領域68enを備える。また、OFトランジスタ27は、n型不純物領域67nをリセットトランジスタ26と共有する。n型不純物領域68enは半導体層cp6を介して電源配線33に接続される。
【0111】
(第3の実施形態)
図13は、本開示の第3の実施形態による撮像装置の例示的な構成を示す。第1の実施形態との主な相違点は、第3の実施形態では、各画素10Gが、光電変換構造12Aとして、半導体基板中に形成されたフォトダイオードを備えている点である。また、信号検出回路14Bが、フォトダイオードで生成された電荷を電荷蓄積ノードFDに転送するための転送トランジスタ29を備えている点でも第1の実施形態と異なる。
【0112】
図14は、画素10Gにおける各素子のレイアウトの一例を示す平面図である。第3の実施形態では、ゲート電極29eを備える転送トランジスタ29により、光電変換構造12Aで生成された電荷がn型不純物領域67nに転送される。第1の実施形態と同様に、n型不純物領域67nとn型不純物領域68bnとの間に第1の実施形態と同様の遮断構造282が設けられる。遮断構造282はp型ウェルであるp型半導体層65pに電気的に接続される半導体層cp7を備える。さらに、第1の実施形態の第2の変形例と同様に、半導体層cp7は、電圧線38を介して電圧供給回路48と接続されている。
【0113】
遮断構造282により、半導体基板中にフォトダイオードを備える撮像装置においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、第1の実施形態の第2の変形例と同様に、遮断構造282を基板コンタクトとしても用いることができる。
【0114】
以上に説明したように、本開示の実施形態および変形例によれば、リーク電流による影響を抑制し得るので、高画質で撮像を行うことが可能な撮像装置が提供される。
【0115】
なお、本開示に係る撮像装置について、実施の形態および変形例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態および変形例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態および変形例に施したもの、並びに実施の形態および変形例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。また、上記の各実施形態および変形例は、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0116】
たとえば、上述の信号検出トランジスタ22、アドレストランジスタ24、リセットトランジスタ26の各々は、NチャンネルMOSFETであってもよいし、PチャンネルMOSFETであってもよい。これらのトランジスタの全てがNチャンネルMOSFETまたはPチャンネルMOSFETのいずれかに統一されている必要もない。画素中トランジスタの各々をNチャンネルMOSFETとし、信号電荷として電子を用いる場合には、これらのトランジスタの各々におけるソースおよびドレインの配置を互いに入れ替えればよい。
【0117】
また、上記実施の形態および変形例では、遮断構造は、平面視において、n型不純物領域68bnとn型不純物領域67nとの間に設けられたが、この位置に限定されない。n型不純物領域67nと、キャリア発生領域となり得るあらゆる不純物領域との間に配置されてもよい。これにより、電荷蓄積領域に流入し得る多くの経路に遮断構造が設けられることとなり、より電荷蓄積領域へのリーク電流が抑制され得る。
【0118】
また、上記実施の形態および変形例では、遮断構造中の半導体層は、平面視において、直線状の矩形領域であったが、このような形状に限られない。L字等の他の形状であってもよいし、上記実施の形態および変形例よりも長く延びる形状であってもよい。これにより、電荷蓄積領域に流入し得る多くの経路に遮断構造が設けられることとなり、より電荷蓄積領域へのリーク電流が抑制され得る。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本開示の実施形態によれば、リーク電流による影響を抑制して高画質で撮像が可能な撮像装置が提供される。本開示の撮像装置は、例えばイメージセンサ、デジタルカメラなどに有用である。本開示の撮像装置は、医療用カメラ、ロボット用カメラ、セキュリティカメラ、車両に搭載されて使用されるカメラなどに用いることができる。
【符号の説明】
【0120】
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G 画素
12 光電変換構造
14A、14B 信号検出回路
16A フィードバック回路
22 信号検出トランジスタ
22e 信号検出トランジスタのゲート電極
24 アドレストランジスタ
24e アドレストランジスタのゲート電極
26 リセットトランジスタ
26e リセットトランジスタのゲート電極
27 OFトランジスタ
27e OFトランジスタのゲート電極
28、281、282 遮断構造
28a p型不純物領域
28b n型不純物領域
29 転送トランジスタ
29e 転送トランジスタのゲート電極
60 半導体基板
61 支持基板
61p、63p、65p p型半導体層
62n n型半導体層
64 p型領域
66p p型不純物領域
67a、67b、67n、68an、68bn、68cn、68dn、68en n型不純物領域
69 素子分離領域
69pa、69pb 不純物領域
70、71、72 絶縁層
90 層間絶縁層
100 撮像装置
R1 撮像領域
R2 周辺領域
cp1、cp2、cp3 コンタクトプラグ
cp5、cp6、cp7、cp5a 半導体層
h1、h2、h3、h4、h5、h6 コンタクトホール
pa1、pa2、pa3、pa4、pa4、pa6、pa7、pa8 プラグ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14